JP2024018256A - 螺子キャップ - Google Patents

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香帆 田中
Kaho Tanaka
怜子 小原
Reiko Obara
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Abstract

【課題】キャップの開栓に際して分断するタイプの開封履歴明示バンド(TEバンド)を備えた螺子キャップにおいて、ブリッジ切れ等の成形不良を生じることなく、キャップ開栓時に確実にTEバンドが分断する螺子キャップを提供する。【解決手段】螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体1と、キャップ本体1のスカート部6下端に設けられ且つ筒状形状を有する開封履歴明示バンド2とからなり、該バンド2は上下方向に延びている分断面30a、30bを有しており、この分断面30a、30bがキャップの開栓に際して破断するスプリットブリッジ31によって連結されている螺子キャップにおいて、平面図で見て、スプリットブリッジ31と分断面30a、30bの一方側との連結部の幅W1は、分断面30a、30bの他方側との連結部との幅W2に比して、小さく設定されていることを特徴とする。【選択図】図8

Description

本発明は、開封履歴明示バンド(TEバンド)を備えた螺子キャップに関するものであり、より詳細には、キャップの開封に際して、TEバンドが分断するタイプの螺子キャップに関する。
容器内容物の品質保証やいたずら防止などのために、開封履歴を明示するTEバンドを備えた螺子キャップが広く使用されている。即ち、この種のキャップでは、キャップを旋回して開栓したときには、キャップ本体とTEバンドを連結しているブリッジが破断し、これにより、キャップが開封された事実を明示するようになっている。
このようなTEバンドを備えた螺子キャップにおいては、キャップの開封に際して、TEバンド自体が分断するタイプのものが知られている(例えば特許文献1~4)。このタイプのキャップでは、TEバンドが、キャップの開栓に際して破断する連結部とキャップの開栓に際して破断しない非破断連結部とによってキャップ本体とに連結されており、キャップを開栓するとTEバンドは、分断して開いた状態となり、この状態でキャップ本体と共に容器口部から取り除かれることとなる。即ち、TEバンドが分断した状態をみて、一般の消費者は、キャップが開封された事実を認識できるのである。
このような分断型TEバンドを備えたキャップは、開封したときに、TEバンドが容器側に残らず、キャップに連結した状態で容器口部から取り除かれるため、容器内容物が飲料であるときには、容器側に残ったTEバンドにより飲料の喫飲などが阻害されず、また、キャップの廃棄に際しては、TEバンドが繋がったままの状態でキャップを廃棄することができるので、ゴミの数を増やさず、廃棄が容易であるという利点もある。
特開2004-149156号 特開2006-282181号 特開2013-103721号 特許第6364234号
ところで、上述した分断型のTEバンドでは、その分断面が破断用ブリッジによって連結されており、キャップの開栓に際して、この破断用ブリッジが破断して該ブリッジが分断されて開いた形態になるという構造を有している。このため、この種のTEバンドでは、キャップ開栓時に速やかに破断用ブリッジが破断するようにしなければならないが、キャップの材質や破断用ブリッジの厚みによっては破断用ブリッジが破断せず、TEバンドが分断せずにキャップと共にすっぽ抜けてしまうがあった。このすっぽ抜けを回避するには、破断用ブリッジを薄く且つ細いものとすればよいのであるが、そのようにすると、キャップ成形時の成形不良によるブリッジ切れやキャップを容器口部に巻き締める際のブリッジ切れが生じ易くなってしまう虞があった。
従って、本発明の目的は、キャップの開栓に際して分断するタイプの開封履歴明示バンド(TEバンド)を備えた螺子キャップにおいて、成形不良によるブリッジ切れを生じることなく、キャップ開栓時に確実にTEバンドが分断する螺子キャップを提供することにある。
本発明によれば、螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体のスカート部下端に設けられ且つ筒状形状を有する開封履歴明示バンドとからなり、該バンドは上下方向に延びている分断面を有しており、この分断面がキャップの開栓に際して破断するスプリットブリッジによって連結されている螺子キャップにおいて、
平面図で見て、前記スプリットブリッジと前記分断面の一方側との連結部の幅W1は、前記スプリットブリッジと前記分断面の他方側との連結部との幅W2に比して、小さく設定されていることを特徴とする螺子キャップが提供される。
本発明の螺子キャップにおいては、以下の態様が好適に採用される。
(1)前記幅W1は、前記幅W2の65~80%の長さを有していること。
(2)側面図で見て、前記幅W1を有する連結部の厚みは、前記幅W2を有する連結部の厚みよりも小さく設定されていること。
(3)前記平面図で見て、前記スプリットブリッジのキャップ中心側の面は、前記開封履歴バンドの上端のキャップ中心側の面と、面一となっていること。
(4)前記スプリットブリッジは、上下に間隔をおいて2本形成されていること。
(5)側面図で見て、前記分断面の一方側は、キャップ軸方向線を基準として突出した凸面形状を有しており、他方側は、キャップ軸方向線を基準として凹んだ凹面形状を有していること。
(6)前記開封履歴明示バンドの上端は、開栓に際しても破断しない非破断型連結片と、開栓に際して破断する破断型連結片とによって、前記スカート部の下端に連結されていること。
(7)前記非破断型連結片が、折り返し部を有するストリップにより形成されていること。
(8)前記開封履歴明示バンドの内面には、閉栓方向への回転は許容するが、容器口部の外面に形成されている突起部との当接によって開栓方向への回転を制限するラチェットが少なくとも1個設けられていること。
(9)前記キャップ本体及び開封履歴明示バンドは、プロピレン系樹脂により形成されていること。
本発明の螺子キャップに設けられている開封履歴明示バンド(TEバンド)は分断型であり、キャップの開栓に際して、このTEバンドはキャップ本体のスカート部に連なっているものの、分断して開いた状態となり、このようなTEバンドの分断状態により、キャップの開封履歴が明示されるという基本特性を有している。このような基本特性を有する分断型TEバンドを備えた本発明の螺子キャップでは、TEバンドの分断面を連結しているスプリットブリッジの付け根部分の幅方向長さ、即ち平面図で見たときの幅W1及びW2の大きさを調整することにより、キャップ開栓時に該スプリットブリッジが確実に破断するように調整されている。即ち、平面図で見て、スプリットブリッジと分断面との一方側との連結部の幅W1(スプリットブリッジの一方側の付け根部の幅)は、スプリットブリッジと分断面との他方側との連結部との幅W2(スプリットブリッジの一方側の付け根部の幅)に比して、小さく設定されている。例えば、幅W1は、幅W2の65~80%の大きさを有しており、このような幅調整により、キャップ開栓時に該スプリットブリッジの一方側の付け根部(幅W1を有する側)が確実に破断する。
上記の様な幅調整においては、幅W2をTEバンドの厚み程度に設定できるため、幅W1を極端に小さくせずに、しかも幅W1示す部分でのスプリットブリッジの厚みを極端に薄くせずに、ブリッジ破断性を確保できる。この結果、キャップ成形時の成形不良等におけるブリッジ切れの不都合も有効に回避することができる。
また、本発明の螺子キャップでは、TEバンドが分断型であるため、キャップを容器口部から取り外したとき、該TEバンドは、容器口部に残らず、キャップ本体に連なった状態で容器口部から取り除かれるため、廃棄物が増えるなどの問題もなく、また容器内容物を容器から取り出したとき、TEバンドが落下して排出された容器内容物と混ざってしまうなどの不都合を生じることもない。
このような本発明は、特に、プロピレン系樹脂製の螺子キャップに有効に適用される。
本発明の螺子キャップの斜視図。 図1の螺子キャップの側面図。 図1の螺子キャップの側断面図。 図1の螺子キャップの底面図。 図1の螺子キャップにおけるラチェットと容器口部の突起部との関係を示す図。 図1の螺子キャップと容器口部との嵌合断面を示す半断面図。 図1の螺子キャップを開栓していくプロセスを示す図。 図1の螺子キャップにおけるTEバンドの分断面について、拡大斜視図(a)、平面拡大図(b)及び側面拡大図(c)。 本発明の螺子キャップの最もシンプルな形態を示す側面図。
図1乃至図6を参照して、本発明の螺子キャップは、大まかに言って、キャップ本体1と、筒状形状の開封履歴明示バンド(TEバンド)2とから成っており、キャップ本体1は、頂板部5と、頂板部5の周縁部から垂下しているスカート部6とから形成されている。
頂板部5の内面には、スカート部6とは間隔を置いて下方に延びているインナーリング7が形成されており、且つインナーリング7とスカート部6との間の部分に小突起9、9が形成されている(特に図3及び図6参照)。また、スカート部6の内面には、雌螺条10が形成されている。
このような螺子キャップが装着される容器口部は、図2,図5及び図6において、全体として50で示されている。
かかる容器口部50は、螺子キャップの使用形態に応じて、例えばボトルの口部であってもよいし、また、袋状容器に溶着されているスパウトと呼ばれる筒状形状の注出具であってもよい。
いずれの形態にしろ、この容器口部50は、図6の半断面図からも理解されるように、全体として、細長い中空の筒状体であって、その外面には、雄螺条51が形成されており、この雄螺条51の下方には、TEバンド2の回転を制御するための突起部53が形成されている。
かかる容器口部50において、容器口部50の外面に形成されている雄螺条51は、スカート部6の内面に形成されている雌螺条10と係合するものであり、これにより、キャップ本体1は容器口部50に装着される。この状態において、容器口部50の上端は、インナーリング7とスカート部6との間の空間内に侵入し、且つその上端面が頂板部5の内面に形成されている小突起9、9に圧接されることにより、良好なシールが確保されるようになっている。
また、図3に示されているように、スカート部6の内面の上方部分には、適当な間隔で軸方向に延びている縦リブ12が設けられている。この縦リブ12は、容器口部50にキャップ本体1を装着する際のセンタリングとして作用し、キャップ本体1の斜め被りを防止するためのものである。
さらに、スカート部6の外面には、滑り止め用のローレット15が形成されており、キャップ本体1の閉栓方向及び開栓方向への旋回をスムーズに行い得るようになっている。
また、TEバンド2の内面には、ラチェット17が複数形成されている。これらのラチェット17は、図4に示されているように、閉栓方向Yへの回転は許容するが、容器口部50の外面に形成されている突起部53との当接によってTEバンド2の開栓方向Xへの回転を制限するような形状を有している。
尚、図2、図3及び図4から理解されるように、TEバンドの上端には、水平方向内方に少し突出した内方フランジ2aが形成されている。即ち、この内方フランジ2aの上面がスカート部6の下端に対面している。また、TEバンド2の内周面から内方フランジ2aの下面と一体に連なるようにラチェット17が形成されており、このラチェット17は、径方向内方且つ開栓方向X側に指向している(図4参照)。このようなラチェット17の回転制御により、TEバンド2が開封履歴明示機能を発揮することとなる。この開封履歴明示機能については、後述する。
本発明において、上記のTEバンド2は、細長い紐状のストリップ21によって、スカート部6の下端に連結されている。このストリップ21は、開栓に際して破断しない非破断型連結片として機能するものであり、このキャップ本体1を容器口部50から取り外したとき、TEバンド2が容器口部50側に残らずにキャップ本体1と共に容器口部50から取り外されるようにするための部材である。
また、TEバンド2の上端とスカート部6の下端とは小幅のブリッジ23により連結される。この小幅のブリッジ23は、キャップの開栓に際して破断する破断型連結片として機能するものであり、キャップの供給時、或いはキャップ本体1を容器口部50に装着した際(キャッピング)、TEバンド2が変形せずに、安定にキャップ本体1と共に容器口部50に装着されるようにするために設けられるものである。
さらに、スカート部6の下端面には、上記のストリップ21が位置している部分を除き、TEバンド2との間隔調整用のリブ25が弧状に形成されている。即ち、このようなリブ25が形成されていることにより、TEバンド2とスカート部6との間の隙間を狭くし、このキャップに軸方向荷重が加わったときの応力を緩和し、前述した小幅のブリッジ23やストリップ21の破損等を回避することができる。
ところで、TEバンド2は、上下方向に延びている上下方向スリット30によって、分断されており、互いに対面する分断面30a,30bが形成されている。即ち、図4を参照して、このキャップは、開栓に際してはXで示される方向に旋回され、閉栓に際してはYで示される方向に旋回されるが、上記の上下方向スリット30により、TEバンド2は、開栓方向X側に位置する開栓側部αと、閉栓方向Y側に位置する閉栓側部βとに分断されている。また、上記のストリップ21は、TEバンド2の開栓側部αに連結されている。
尚、図4の底面図で示したように、この例では、スリット30は、対称位置に2箇所形成されており、TEバンド2は、各スリット30により開栓側部αと閉栓側部βとに区画された構造となっており、該スリット30によって分割されたTEバンドのそれぞれにラチェット17が形成されている。
さらに、上記のスリット30により形成されている分断面30a,30bとは、開栓に際して破断するスプリットブリッジ(SPブリッジ)31によって互いに連結されている。図2,3等に示されているように、かかるSPブリッジ31は、上下に間隔をおいて2つ設けられている。かかる分断面30a,30b及びSPブリッジ31の形態については、後で詳述する。
上記の構造のキャップにおいて、容器口部50に装着されているキャップ本体1(スカート部6)を開栓方向Xに回転させてキャップを開栓すると、TEバンド2は、ストリップ21により引っ張られ、開栓方向X側に移動するが、上記スリット30で区画された閉栓部側βでは前述したラチェット17による回転制御によって開栓方向X側への移動が制限され、この結果、上記SPブリッジ31,31が破断し、TEバンド2が開栓側部αと閉栓側部βとに分断され、これによりTE性が発現する。
尚、非破断型連結片である上記のストリップ21は、折り返し部21aが形成されるように長く設けることが好ましい。即ち、図1に示されているように、ストリップ21とスカート部6との接合部及びストリップ21とTEバンド2との接合部は、TEバンド2を分断するスリット30の近傍に位置せしめると同時に、ストリップ21の全長を、スカート部6の下端とTEバンド2の上面との間隔に比して非常に長く設定して、このストリップ21に折り返し部21aを形成するのがよい。ストリップ21に、このような折り返し部21aを形成することにより、キャップ開栓時でのストリップ21の破断を有効に防止することができ、開栓によるTEバンド2の脱落を確実に防止することができる。さらに、一旦、開栓され、TEバンド2が完全に分断されると、このTEバンド2を分断前の形態に近い状態に戻すこともできなくなり、この結果、リシール時において優れたTE性を発揮する。
この螺子キャップを開栓していくプロセスを示す図7を参照して、キャップ本体1が容器口部50に装着された状態のキャップを、開栓方向に回転せしめると、キャップ本体1は上昇するが、図5に示されているように、ラチェット17と容器口部50の突起部53とが係合し、TEバンド2の回転は抑制される。従って、破断型連結片23が破断しスカート部6とTEバンド2との間隔は次第に上昇し、これに伴って、ストリップ21の折り返し部21aが徐々に伸びていく(図7(a)参照)。
さらに、キャップ本体1を開栓方向に回転させていくと、ストリップ21が伸びきった状態となり、これにより、TEバンド2の開栓側部αは、ストリップ21により開栓方向X側に引っ張られることになる(図7(b))。
引き続き、キャップ本体1を開栓方向に回転させていくと、キャップ本体1はさらに上昇し、TEバンド2の開栓側部αは、ストリップ21により開栓方向X側に引っ張られて上昇するが、TEバンド2の閉栓部側βは、前述したラチェット17との係合により、その旋回が制限されているため、分断面30a,30bを連結しているSPブリッジ31,31に応力が集中し、これらSPブリッジ31,31が破断し、TEバンド2は、分断されることとなる(図7(c))。即ち、分断されたTEバンド2が、垂れ下がったストリップ21により連結された状態となり、消費者が明確に一度開栓されたことを認識することができる。
上記の開栓プロセスから理解されるように、上述した構造の螺子キャップにおいては、キャップの開栓に際しては、折り返し部21aを有しているため、ストリップ21にテンションが一気に加わることはなく、ストリップ21は、その折り返し部21aが徐々に伸ばされていき、徐々にテンションが加わっていく。即ち、折り返し部21aが遊びとなってテンションを緩和しているわけである。従って、かかる構造の螺子キャップでは、キャップの開栓に際して、ストリップ21が破断するという不都合、即ちTEバンド2が脱落してしまうという不都合は有効に防止されている。
しかも、上記のストリップ21の長さが非常に長く、開栓後では、非常に長く垂れ下がったストリップ21に、分断されたTEバンド2が垂れ下がった状態にある。従って、これを元の形状に復帰させることが非常に困難であり、リシールに使用したときには、ストリップ21がかなり歪んだ形態となってしまい、従って、一般の需要者は、一旦開封されたキャップであるという事実を容易に認識することができる。特に、キャップが小さいときには、TEバンド2の径がかなり小さくなるため、TEバンド2の分断を看過してしまう傾向が極めて大きいが、ストリップ21の長さを長く設定することにより、リシールに際しては、その歪みが非常に大きく、一般需要者にも容易に認識でき、優れたTE性を確保することができる。
尚、図1や図7に示されているように、上述した構造の螺子キャップにおいては、キャップ本体1のスカート部6の下端及びTEバンド2の上端部(内方フランジ2aの上面)に、それぞれ、開栓或いは閉栓に際して互いに係合する案内突起35a,35bを設けておくことが好適である。即ち、これらの突起35a,35bは、それぞれ、直立面と傾斜面とを有しており、キャップを容器口部に装着する際の閉栓時には、直立面同士が当接係合し、キャップ本体1(スカート部6)の閉栓方向への回転がTEバンド2に伝達され、キャップ開栓時の初期には、傾斜面同士が当接係合し、キャップ本体1の回転に伴い、TEバンド2が下方に押し下げられることとなる。これにより、ストリップ21に過度の負荷がかからないようにして、閉栓及び開栓を行うことができる。
さらに、上述した螺子キャップでは、図2に示されているように、スリット30で分断された閉栓側部βの上面には、ストリップ21の折り返し部21aを許容し得るような切り欠き37を設けることが好ましい。これにより、長いストリップ21の形成により、スカート部6とTEバンド2との間隔を大きくしなければならないという不都合は有効に回避することができる。
また、図の例では、分断面30a,30bを形成している上方向スリット30は2個設けられているが、このようなスリット30は3個或いは4個設け、それぞれにおいて、開栓側部αと閉栓側部βとに区画することも可能である。即ち、スリット30の数は、2個に限定されるものではなく、1個或いは2個よりも多くすることもでき、これら複数のスリット30によって分割されたTEバンド2のそれぞれにラチェット17が設けられ、さらに、各スリット30に対応してストリップ21が設けられることとなる。
さて、図2及び図3に加えて、前述したTEバンド2の分断面30a,30bを拡大して示す図8を参照して、TEバンド2には、スリット30により分断面30a,30bが形成されており、開栓に際して破断するSPブリッジ31,31によって分断面30a,30bが連結された構造となっている。この分断面30a,30bを画定するための上下に延びているスリット30の形状は特に限定されず、例えば直線形状であってもよいが(この場合、分断面30a,30bも直線状となる)、本発明においては、図2、図3、図8等に示されているように、スリット30を直線ではなく、湾曲した曲線を含む形状とすることが好ましく、これにより、側面図でみて、一方の分断面30aは、軸方向線Zを基準として突出した凸面形状(即ち、湾曲凸部)となり、他方の分断面30bは凹面形状(即ち、湾曲凹部)となり、湾曲凸部(分断面30a)と湾曲凹部(分断面30b)とが、SPブリッジ31,31によって連結された構造となる。このような形態によれば、例えば、SPブリッジ31が開栓によって破断したとき、湾曲凹部の分断面30b側にSPブリッジ31の破断残片X(図7(c)参照)が残るように、SPブリッジ31の形態を調整すればよい。このような形態では、破断残片Xが湾曲凹部で隠されるため、この破断残片Xが指等の人体の一部に接触して不快感を与えることを防止することができる。
ところで、SPブリッジ31は、開栓に際して破断するように、その形態が調整されるが、本発明では、特に図8(a)、(b)で示されている形状から理解されるように、SPブリッジ31の一方の分断面30a側の連結部(付け根部)の幅W1が、他方の分断面30b側の連結部(付け根部)の幅W2よりも小幅とし、好適には、幅W1が幅W2の65~80%の大きさとなっている。このようなSPブリッジ31の形態調整により、SPブリッジ31の一方の分断面30a側の連結部が、開栓に際して速やかに破断するように調整されたとき、成形時のブリッジ切れ等の不都合を有効に回避することができる。
即ち、上記の様に分断面30a側の連結部の幅W1を他方側の連結部の幅W2よりも小幅に調整して破断性を確保したとき、図8(c)の側面図に示されているように、分断面30a側でのSPブリッジ11の厚みd1は、他方側(分断面30b側)での厚みd2よりも多少薄く設定されるが、比較的厚肉であってよい。上述した幅調整により、SPブリッジ31の破断性が確保されているからである。例えば、厚みd1は、厚みd2の55%以上であってよい。即ち、本発明では、SPブリッジ11の厚みd1を比較的厚肉に設定することができるため、成形不良等によるブリッジ切れを有効に防止することができるのである。
例えば、上述した幅調整を行わず、SPブリッジ11の厚みd1を薄くして、キャップ開栓時におけるSPブリッジ31の破断性を確保しようとすると、この厚みd1は、厚みd2の40%以下と、極めて薄肉に設定される。この結果、成形時にブリッジ切れなどの不都合が生じてしまうのである。
上述した本発明において、SPブリッジ31の平面形態は、一方の分断面側の幅W1が他方の分断面側の幅W2よりも小幅となっている限り、特に制限されないが、特に成形金型を複雑な構造としなくてもよいなど、成形性の観点から、図8(b)の平面図に示されているように、SPブリッジ31の内側側面31aが、TEバンド2の内側面と面一とする一方で、SPブリッジ31の外側側面31bのみを径方向内方へ傾斜(分断面30b側から分断面30a側の方向へ傾斜)させることによって幅W1および幅W2を調整して形成することが好ましい。即ちこの調整により、SPブリッジ31における分断面30a側の連結部の断面積が小さくなりすぎないため、成形不良等によるブリッジ切れを有効に防止することができる。
また、SPブリッジ31の他方の分断面側の幅W2の上限は、TEバンド2の厚みDであるが、一般に、この幅W2は、TEバンド2の厚みDの50%以上であることが好ましい。この幅W2が、必要以上に小さいと、SPブリッジ31が全体的に小幅になってしまい、成形時にブリッジ切れを生じ易くなってしまうからである。
さらに、上述した例では、分断面30a,30b間を連結しているSPブリッジ31は、上限に間隔を置いて2つ形成されているが、このようなブリッジの数は、2個に限定されるものではなく、1個でもよいし、2個より多く設けることもできる。但し、分断面30a,30b間を少ない数のブリッジで安定に連結するという点では、ブリッジの数は2つが好適である。
また、上述した図1~図8では、ラチェット係合を利用した螺子キャップを例にとって本発明を説明したが、本発明は、ラチェット係合を利用していない通常の螺子キャップにも適用できる。図9には、最もシンプルなタイプの螺子キャップに本発明を適用した例を示した。
図9のキャップは、ラチェット係合を利用していないことを除けば、その基本的な構造は、前述した螺子キャップと同じである。
図9において、このキャップは、キャップ本体1とTEバンド2とから形成されており、TEバンド2は、開栓に際して破断しない非破断型連結片21(前述したストリップ21に相当)と、開栓に際して破断する破断型連結片23とによって、キャップ本体1のスカート部6の下端に連結されている。
また、図示されていないが、スカート部6の内面には、容器口部の外面に係合する螺条が形成されており、TEバンド2の内面には、容器口部の外面に形成されている顎部(容器口部外面の螺条の下方に形成されている突部)の下面に係合するフラップ片の如き突片が形成されている。
さらに、TEバンド2には、前述したキャップと同様、分断面30a,30bが形成されており、一方の分断面30aは凸面となっており、他方の分断面30bは凹面となっており、これらの分断面30aと30bとは、開栓に際して破断するSPブリッジ31,31によって連結されている。
即ち、容器口部に装着されたキャップ本体1を開栓方向に回転すると、キャップ本体1は、螺子係合の解除に伴って上昇するが、TEバンド2は、その内面に形成されている突片と容器顎部との係合により上昇が阻止される。この結果、前述した破断型連結片23が破断し、キャップ本体1は上昇していくが、TEバンド2は、非破断型連結片21によっての開栓方向且つ上方に引っ張り上げられる。この結果、分断面30aと30bを連結しているブリッジ31,31が破断し、TEバンド2は分断されることとなる。即ち、キャップ本体1は、分断されたTEバンド2が非破断型連結片21によって繋がれたままの状態で容器口部から取り外されることとなる。従って、TEバンド2が分断された状態を見て、一般の消費者はキャップが取り外された開封履歴を認識することができる。
一方、容器口部から取り外されたキャップ本体1に繋がれ且つ分断されたTEバンド2には、ブリッジ31,31の破断残片が残ることとなるが、このような破断残片は、湾曲凹部41に位置するものとなる。従って、容器口部から取り外されたキャップを手で持って取り扱うに際して、破断残片が手に当るなどの不都合を有効に回避することができ、前述した図1~図7のラチェット係合型の螺子キャップと同様、その取扱いが容易となるわけである。
上述した本発明の螺子キャップ(キャップ本体1及びTEバンド2)は、通常、オレフィン系樹脂、例えば高密度ポリエチレンやプロピレン系樹脂を用いての射出成形により成形されるが、本発明の利点が最も効果的に発揮されるのは、プロピレン系樹脂、例えばホモポリプロピレンやランダムポリプロピレン(少量のエチレンが共重合されたポリプロピレン)などにより成形されている場合である(この場合、容器口部50が前記螺子キャップと同じ樹脂又は前記螺子キャップよりも高い剛性を示す樹脂で成形されることがより好ましい)。即ち、このようなプロピレン系樹脂は、ポリエチレンなどのエチレン系樹脂に比して高い剛性を示すため、SPブリッジ31に破断性を持たせようとして該ブリッジ31を薄く成形すると、成形不良等によるブリッジ切れが生じ易くなってしまう。しかるに、本発明では、プロピレン系樹脂により成形された螺子キャップにおいて、キャップ成形時の成形不良等によるブリッジ切れという問題を確実に防止することができる。
上述した本発明の螺子キャップは、袋状容器(パウチ)に口部として設けられているスパウトのような小径の容器口部にラチェット式の螺子キャップを装着する場合に最適であるが、このようなスパウト用のキャップに限定されるものではなく、ボトル等の容器の口部に用いるキャップとしても好適に使用することができる。
1:キャップ本体
2:TEバンド
17:ラチェット
21:非破断型連結片(ストリップ)
23:破断型連結片
30:上下方向スリット
30a,30b:分断面
31:スプリットブリッジ(SPブリッジ)
X:ブリッジ31の破断残片
50:容器口部
53:突部

Claims (10)

  1. 螺子係合により容器口部に固定されるキャップ本体と、該キャップ本体のスカート部下端に設けられ且つ筒状形状を有する開封履歴明示バンドとからなり、該バンドは上下方向に延びている分断面を有しており、この分断面がキャップの開栓に際して破断するスプリットブリッジによって連結されている螺子キャップにおいて、
    平面図で見て、前記スプリットブリッジと前記分断面の一方側との連結部の幅W1は、前記スプリットブリッジと前記分断面の他方側との連結部との幅W2に比して、小さく設定されていることを特徴とする螺子キャップ。
  2. 前記幅W1は、前記幅W2の65~80%の長さを有している請求項1に記載の螺子キャップ。
  3. 側面図で見て、前記幅W1を有する連結部の厚みd1は、前記幅W2を有する連結部の厚みd2よりも小さく設定されている請求項1に記載の螺子キャップ。
  4. 前記平面図で見て、前記スプリットブリッジのキャップ中心側の面は、前記開封履歴バンドの上端のキャップ中心側の面と、面一となっている請求項1に記載の螺子キャップ。
  5. 前記スプリットブリッジは、上下に間隔をおいて2本形成されている請求項1に記載の螺子キャップ。
  6. 側面図で見て、前記分断面の一方側は、キャップ軸方向線を基準として突出した凸面形状を有しており、他方側は、キャップ軸方向線を基準として凹んだ凹面形状を有している請求項1に記載の螺子キャップ。
  7. 前記開封履歴明示バンドの上端は、開栓に際しても破断しない非破断型連結片と、開栓に際して破断する破断型連結片とによって、前記スカート部の下端に連結されている請求項1に記載の螺子キャップ。
  8. 前記非破断型連結片が、折り返し部を有するストリップにより形成されている請求項7に記載の螺子キャップ。
  9. 前記開封履歴明示バンドの内面には、閉栓方向への回転は許容するが、容器口部の外面に形成されている突起部との当接によって開栓方向への回転を制限するラチェットが少なくとも1個設けられている請求項1に記載の螺子キャップ。
  10. 前記キャップ本体及び開封履歴明示バンドは、プロピレン系樹脂により形成されている請求項1~9の何れかに記載の螺子キャップ。
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