JP2024017848A - はんだペーストおよび実装構造体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024017848000001
【課題】本発明は、フェノール+エポキシ混合物を含み、優れた印刷作業性および優れたはんだ接続信頼性を示すはんだペーストおよびそれを用いた実装構造体を提供することができる。
【解決手段】はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含み、前記フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂を1種以上含み、前記有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)は1μm~5μmであり、前記有機ポリマー繊維の平均繊維長さ(L)は10μm~30μmであり、前記有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は2~30である、はんだペーストを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板に半導体部品または電子部品などを主としてはんだ付けする際に用いられるはんだペーストのうち、フラックス成分にエポキシ樹脂を含むはんだペーストおよび実装構造体に関するものである。
近年、携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル機器の小型化、高機能化が進んでいる。これに対応できる実装技術として、BGA(Ball Grid Array)またはCSP(Chip Scale Package)などの実装構造が多く用いられている。モバイル機器は、落下衝撃などの機械的負荷にさらされやすい。QFP(Quad Flat Package)では、そのリード部分において衝撃を吸収するが、衝撃を緩和するリードを持たないBGAまたはCSPなどでは、耐衝撃信頼性を確保することが重要となってきている。特に、近年の導体デバイスの高機能化およびハイパワー化に伴い、耐ヒートサイクル性などの耐熱性が重要になってきている。そのため、はんだの高い接続信頼性が必須となってきており、それを実現できる構造的な手法およびはんだ材料が望まれている。
そこで、フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペーストを用いた半導体実装構造体およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
熱硬化性樹脂を含むはんだペースト(以下、単に「はんだペースト」ともいう)は、加熱してはんだが溶融接続する工程で、フラックス中に含まれる樹脂とはんだが分離して、はんだの周辺を樹脂が覆う補強構造を形成し得る。その補強の結果、はんだの接続部の強度を高くすることが可能になる。
はんだペーストを用いた実装工程では、メタルマスクを用いて回路基板の配線電極などを所定の位置に印刷後、リフロー炉で加熱される。その際、フラックスによって、はんだ付けされる被着材の金属表面の酸化膜、およびはんだ粉末の表面の酸化膜を、還元反応で化学的に除去する作用が働き、はんだの溶融接続が可能となる。その後、引き続きエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化が進み、回路基板の配線電極と電子部品の接合および樹脂での補強が、1回の加熱リフロー工程で行われる。
一方、はんだ材料として、従来は代表的にPb共晶はんだが利用されていたが、昨今では環境への配慮から鉛フリーはんだが利用されている。例えば、鉛フリーはんだには、Sn-Bi系はんだ、Sn-Ag-Cu系はんだ(以下、単にSACはんだ、ともいう)、Sn-Cu系はんだなどがある。SACはんだなどを用いた実装では、高い接続信頼性の実現の対策として、金属組成の異なるIn入りのはんだなども実用化されてきている。SACはんだは、その代表格として、SAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ(以下、単にSAC305はんだともいう)およびより銀比率の低いSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだ(銀比率1%)(以下、単にSAC105はんだともいう)が検討されて、徐々に実用化されてきている。
特許第5204241号公報
前述したように、熱硬化性樹脂を含むはんだペーストを用いることで、プロセスの遅延およびコストアップの問題が生じることなく、樹脂で形成された補強構造によって接続信頼性を高めることができる。しかしながら、このようなはんだペーストで実用化されているものは、特許文献1に示されるような、Sn-Bi系はんだなどの低融点はんだを用いたものである。例えば、SACはんだなどの高融点はんだを用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストは、まだほとんど実用化されていない。
具体的には、特許文献1に示されているような低融点のSn-Bi系はんだであれば、融点が約139℃であるため、先にはんだが溶融接続した後に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂の硬化が起こる。そのため、はんだ接合部分(導電部)および樹脂補強部分を好適に形成することが可能である。一方、例えば、融点が約219℃であるSAC305はんだをリフロープロファイルにおいて十分に溶融させるためには、実装のリフロー炉のピーク温度を240~260℃まで上げる必要がある。一般的に、はんだペーストのフラックス中の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は、通常100~150℃で硬化反応を開始する。そのため、リフロープロファイルにおいて、はんだペースト中に分散しているはんだ粒子が溶融して凝集する前に、エポキシ樹脂が硬化を始めて増粘してしまい、その後のはんだ凝集が阻害されて、好適なはんだ接続が困難となる。さらに、エポキシ樹脂は、200℃付近の高い温度では、150℃付近の温度と比べて非常に硬化速度が速くなり、非常に短時間で架橋して固化してしまう。そのため、特に高融点のはんだの場合、熱硬化性樹脂を含むはんだペーストでのはんだ接合部分および樹脂補強部分の形成は、非常に困難となる問題がある。
本発明者らは、特定のフェノール樹脂を硬化剤としてエポキシ樹脂に溶解させた混合物(フェノール+エポキシ混合物ともいう)が、SAC305はんだの融点付近で硬化反応を開始し得るため、上記問題を解決できることを見出した。しかしながら、フェノール+エポキシ混合物は液体の形態であるため、当該混合物を含むはんだペーストのチクソ性が低下して、はんだペーストが必要以上に濡れ広がってしまい(以下、はんだペーストの「ダレ」ともいう)、印刷作業性が低下するという大きな問題が生じ得ることも同時に見出した。
そこで、本発明は、フェノール+エポキシ混合物を含み、優れた印刷作業性および優れたはんだ接続信頼性を示すはんだペーストおよびそれを用いた実装構造体を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含み、
前記フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂を1種以上含み、
前記有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)は1μm~5μmであり、
前記有機ポリマー繊維の平均繊維長さ(L)は10μm~30μmであり、
前記有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は2~30である、はんだペーストである。
本発明の態様2は、前記有機ポリマー繊維が、融点が170℃より高い熱可塑性樹脂を含む、態様1に記載のはんだペーストである。
本発明の態様3は、前記熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステルを含む、態様2に記載のはんだペーストである。
本発明の態様4は、前記芳香族ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、態様3に記載のはんだペーストである。
本発明の態様5は、前記はんだペースト中における前記はんだ粉末の含有率が60~95質量%である、態様1~4のいずれか1つに記載のはんだペーストである。
本発明の態様6は、前記フラックス中における前記有機ポリマー繊維の含有率が0.1~25質量%である、態様1~5のいずれか1つに記載のはんだペーストである。
本発明の態様7は、回路基板に、態様1~6のいずれかに記載のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部の周囲が前記フラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部と、を含む実装構造体である。
本発明の実施形態によれば、フェノール+エポキシ混合物を含み、優れた印刷作業性および優れたはんだ接続信頼性を示すはんだペーストおよびそれを用いた実装構造体を提供することができる。
本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。 本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて接合されたはんだボールの接合部分の上面写真である。 本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面写真である。
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。図1に示すように、CSP基板1に設けた電極2と回路基板3に設けた電極4との間が、主にはんだ粉末の溶融部分、またははんだ粉末およびはんだボールの溶融部分から構成される導電部5で接合され、その周囲が硬化樹脂6aおよび有機ポリマー繊維6bを含む補強部6で補強された構造となっている。
本発明の実施形態に係るはんだペーストの組成について、以下、詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るはんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを含む。フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含む。フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂を1種以上含み、有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)は1μm~5μmであり、有機ポリマー繊維の平均繊維長さ(L)は10μm~30μmであり、有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は2~30である。
本発明の実施形態に係るはんだペーストは、上記成分を含むことにより、優れた印刷作業性、高い接続信頼性および導電安定性を効果的に実現することができる。以下、各成分について詳細に説明する。
<はんだ粉末>
本発明の実施形態に係るはんだペーストに含まれるはんだ粉末は、特に限定されないが、融点が180℃以上、特に200℃以上のはんだ粉末が用いられることが好ましい。はんだ粉末の組成は、特に限定されないが、はんだ合金の形態であってもよい。例えば、Snをベースとした、SACはんだ、Sn-Cu系はんだ、またはSn-Ag系はんだの合金などを用いることができる。SACはんだは、例えば、融点が219℃であるSAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ、融点が220℃であるSAC405(Sn-4.0Ag-0.05Cu)はんだ、融点が225℃であるSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだなどを挙げることができる。Sn-Ag系はんだとしては、例えば融点が221℃であるSn-3.5Agはんだなど、Sn-Cu系はんだとしては、例えば融点が227℃であるSn-0.7Cuはんだなどを挙げることができる。これらのはんだ合金のうち、好ましくは、SAC305はんだである。これは、現在、SAC305はんだは、民生電子機器に汎用的に用いられており、高い接続信頼性と低コストを実現しているため、および、CSPやBGAパッケージのはんだボール用としても汎用的に用いられているためである。
本発明の実施形態において、はんだペーストの全質量に対するはんだ粉末の含有量は、好ましくは60質量%以上95質量%以下である。はんだ粉末の含有量が、60質量%以上であることによって、金属比率を高くでき、はんだ部分がやせ細った形状になりにくくなり、強度および電気導通性をより高めることができる。また、はんだ粉末の含有量が、95質量%以下であることによって、はんだ表面の酸化膜を還元する活性剤の比率を低くでき、且つエポキシ樹脂の比率をある程度高くできるため、樹脂補強効果をより高めることができる。すなわち、はんだ粉末の含有量が、60質量%以上95質量%以下の範囲の場合は、より良好な金属接続と樹脂補強を行えるので、優れた接続構造を形成することができ好ましい。
はんだ粉末の平均粒径(D50)は、1~100μmのものがリフロー時のはんだ溶融性を確保する上で好ましい。より好ましくは5~50μmである。
なお、本明細書におけるはんだ粉末の組成は、はんだ粉末に含まれる元素の元素記号をハイフンで結んで表記している。本明細書中、はんだ粉末の金属組成を説明するのに、金属元素の直前に数値または数値範囲を示すことがあるが、これは、当該技術分野において一般的に使用されているように、金属組成中に占める各元素の質量%(=質量%)を数値または数値範囲で示すものである。はんだ粉末は、列挙した元素で実質的に構成されている限り、不可避的に混入する微量金属であって、例えばNi、Ge、Zn、Sb、Cuなどである金属を含んでいてもよい。
本明細書におけるはんだ粉末(又ははんだ)の融点は、試料の加熱昇温過程での状態変化を観察したときの、融け終わりの温度を指し、DSC、TG-DTAなどを使用して測定することができる。
<フラックス>
本発明の実施形態に係るフラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含む。以下、各成分について詳細に説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂とは、一般に、構造内にエポキシ基を有することにより、加熱による硬化が可能である熱硬化性樹脂をいう。本発明の実施の形態においてフラックスに含まれるエポキシ樹脂(ベースエポキシ樹脂)は、常温で液状のものである。このようなエポキシ樹脂を配合することで、はんだ粒子などの他の成分を容易に分散することができる。本明細書において「常温で液状」とは、大気圧下での5℃以上28℃以下の温度範囲、特に室温20℃前後において流動性を持つことを意味する。あるいは、常温では固体のエポキシ樹脂を液体のエポキシ樹脂と混合することで液体化してもよい。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2つ以上有するものであれば、その分子量および分子構造は特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型またはオレフィン酸化型(脂環式)などの各種の液状のエポキシ樹脂を用いることができる。さらに具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物の低粘度化と硬化物の物性向上を考慮すると、常温で液状のエポキシ樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。具体的に市販されている商品として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER828)およびビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER806)などを挙げることができる。
さらには、エポキシ樹脂の粘度を下げるために、フラックス中に低分子量のエポキシ化合物である反応性希釈剤(エポキシ反応性希釈剤ともいう)をさらに含んでもよい。フラックス中のエポキシ樹脂の一部をこの反応性希釈剤にすることによって、後に、はんだ粉末を加えた際に高粘度となり過ぎず、はんだペーストの取り扱いを容易にすることができる。なお、低粘度化の方法として、一般的には、溶剤の添加という方法もあるが、溶剤成分の揮発に起因するボイドの発生が問題なる場合がある。しかし、この反応性希釈剤を用いた場合は、ペーストの粘度を下げると共に、反応性希釈剤のエポキシ基が硬化剤と反応することにより硬化物中に取り込まれるため、ボイドの発生が少なくなるため非常に好ましい。なお、フラックス中のエポキシ樹脂の全てをこの反応性希釈剤にしてもよい。
反応性希釈剤として、アルキルグリシジルエーテル類系であるブチルグリシジルエーテルまたは2-エチルヘキシルグリシジルエーテルなどを用いてもよい。これらのアルキルグリシジルエーテル類系の化合物は、非常に低粘度のため、低粘度化効果は大きい。しかし、沸点が低いために揮発性が高く、硬化時の加熱によって揮発するという問題と、単官能のため架橋密度が上がり難く、硬化物の剛性が出難いという問題と、さらに吸湿率が高くなるという問題があるため、それらを考慮して使用すべきである。
さらに、反応性希釈剤は、一般的に、その製造過程に起因して、塩素イオンを多く含むものが多い。この塩素イオンに代表されるハロゲンイオンは、電気電子部品におけるリーク電流増加の一因となる。反応性希釈剤に含まれる塩素は、水分の浸入によりイオン化して、電気電子部品のリーク不良や腐食現象を引き起こす。これらの問題の対策として、反応性希釈剤について、塩素イオン量が低減されたものを用いることが重要である。
このような点を考慮すると、反応性希釈剤として、例えば、1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼン、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、および、N,N-ビス(2,3-エポキシプロピル)-4-(2,3-エポキシプロポキシ)アニリン等を挙げることができる。これらの化合物の1以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、好ましくは、反応性希釈剤が、1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼンである。
1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼン(以下に示す化1の構造式)は、安定な骨格のベンゼン環の両末端にエポキシ基が2つ付いている構造である。実質的に1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼンからなる反応性希釈剤の1例として、ナガセケムテックス社製のEX-201-IMを使用して性質を測定すると、その粘度は400mPa・sであり、全塩素量は0.04質量%であった。1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼンは剛直なベンゼン環を有しているため、これを反応性希釈剤とした場合、エポキシ硬化物は室温密着性が強く、さらに低吸湿になることが想定される。
Figure 2024017848000002
(フェノール樹脂)
フラックス中に含まれるフェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂を1種以上含む。特に、該フェノール樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するものが好ましい。
このようなフェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることで、高融点はんだであるSACはんだ等の融点より低い温度域では、エポキシ樹脂の硬化がほとんど進まず、該融点付近以上の温度域で急激にエポキシ樹脂の反応が開始し得るため、はんだの溶融阻害を抑制できる。つまり、はんだ粒子が、融点で溶融し凝集して一体化する挙動をとる際、はんだ粒子の周囲のエポキシ樹脂は、未反応で低粘度の液状のままのため、はんだの凝集・一体化を阻害しない。
このようなはんだの融点上/下の各温度域での反応性の違いにより、例えば通常のエポキシ樹脂の硬化剤(例えばイミダゾール化合物など)を用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストでは達成できない、優れたはんだの接続性を実現し得る。
また、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂がフラックス中に含まれることによって、フラックスを低粘度化させ、後にはんだ粉末を添加した際に、はんだペーストの取り扱いをより容易とすることができる。これは、通常、フェノール樹脂が固体であるところ、該フェノール樹脂が有するアリル基の立体障害効果によって、フェノール性水酸基同士の水素結合による整列が妨げられるために、液状の形態をとっているものと推測される。このような液状のフェノール樹脂を硬化剤として用いることで、粉体形態の通常の硬化剤(例えばイミダゾール化合物)を用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストでは生じない、いわゆるダレの問題が発生するが、後述する有機ポリマー繊維によってその問題を解消することができる。
このような分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂のうち、特に、低分子量の二量体(下の化2に示す構造式(式中、n=0))のものは、フラックス中に含まれることによってより好適な液状の形態をとり、良好にはんだペーストを低粘度化することができるため、好ましい。具体的な市販品としては、例えば、明和化成(株)製:品番MEH8000H(粘度1500Pa・s以上3500mPa・s以下、水酸基当量139以上143以下)、同製:品番MEH8005(粘度4500Pa・s以上7500mPa・s以下、水酸基当量133以上138以下)などを挙げることができる。なお、本開示において、水酸基当量とは、JIS-K0070に準拠した中和滴定法によって測定した数値を指す。
Figure 2024017848000003
アリル基を有しないフェノール樹脂を、アリル基を有するフェノール樹脂と併用してもよい。前述したように、アリル基を有するフェノール樹脂はアリル基の立体障害を要因として低粘度化されると推測される。さらに、同様に、アリル基の立体障害を要因として、フェノール性水酸基とエポキシ基との反応が遅くなる傾向があり、架橋密度が上がり難い。そのため、アリル基を有しないフェノール樹脂を併用することによって、エポキシ基との反応性を上げることができる。エポキシ基との反応性を上げ、架橋密度が上がると、硬化物の強度が大きくすることができ、はんだペーストの密着性を高めることができる。ただし、はんだペーストの粘度が上がるため、アリル基を有しないフェノール樹脂の量とアリル基を有するフェノール樹脂の量とを、適宜調整する必要がある。
具体的には、好ましくは、フェノール樹脂は、フェノール樹脂の全体量に対して、アリル基を有しないフェノール樹脂を40質量%以下の量で含む。アリル基を有しないフェノール樹脂を40質量%以下の含有量で含むことによって、はんだペーストの粘度の過度な上昇を防止することができる。
アリル基を有しないフェノール樹脂は、エポキシ樹脂と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば特に限定されない。例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラック、またはクレゾールノボラック等のフェノール性水酸基を分子内に2個以上有する多官能フェノール類が好ましい。特に、分子中に2個以上存在するフェノール性水酸基のエポキシ樹脂などの他の成分への溶解性の点から、該フェノール樹脂は、好ましくは、軟化点が60℃以上110℃以下、水酸基当量が70g/eq以上150g/eq以下である。本開示において、軟化点とはフェノール樹脂が温度の上昇によって軟化し、変形を始めるときの温度をいい、環球式軟化点測定法を用いて計測した温度を指す。具体的に市販されている商品として、例えば、フェノールノボラック樹脂(明和化成(株)製:品番H-4)、フェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製:品番MEH-7800)、およびビフェニルアラルキル樹脂(明和化成(株)製:品番MEH-7851SS)などを挙げることができる。
フラックス中のフェノール樹脂の含有量(アリル基を有するフェノール樹脂とアリル基を有しないフェノール樹脂との合計量)は、フラックス中に存在するエポキシ樹脂に応じてさまざまであり得、適宜選択され得る。なお、好ましいモル数の比は、エポキシ基のモル数100に対して、フェノ-ル性水酸基のモル数が60~100、さらに好ましくは70~90である。
(活性剤)
活性剤の種類は、金属酸化膜を除去する機能を有する限り任意の適切なものであり得、種類は限定されない。例えば、はんだペーストを加熱する温度域において、被接合部材である電子部品の電極、配線および/またははんだ粉末表面に存在し得る酸化膜を除去する還元力を有する有機酸、ハロゲンまたはアミン塩などが用いられ得る。これらのうち、エポキシ樹脂硬化物に対するハロゲンの耐絶縁不良性、およびアミン塩によるペーストの増粘による保存性不良を考慮すると、活性剤は、好ましくは、絶縁性の耐劣化特性に優れる有機酸である。特に、電気・電子用途では、好適に適用される。あるいは、トリエタノールアミン(TEA)は、アミン系活性剤の中では、反応性が良好であり、保存性も優れているため、好ましい。
有機酸は、特に優れたフラックス作用(ここで、フラックス作用とは、はんだペーストが塗布される金属表面に生じた酸化皮膜を除去するという還元作用、および、溶融はんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を促進する作用を意味する)を有する。さらには、有機酸は、エポキシ樹脂との反応性に関して、室温化ではアミン塩ほどの反応性を示さないが、加熱時において高い反応性を示すため、好ましい。また、有機酸は、はんだを還元させて酸化膜を取り除いた後は、エポキシ樹脂の硬化物中に取り込まれるため、腐食性等の弊害もほとんど起こさず好ましい。
有機酸の種類は、特に限定されるものではなく、任意の有機化合物の酸を用いることができる。例えばアビエチン酸に代表されるロジン成分材料、各種アミンおよびその塩、セバシン塩、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、ピメリン酸などを用いることができる。特に、エポキシ樹脂との反応を考慮すると、架橋密度を低下させない2塩基酸が好ましい。
有機酸は、そのカルボキシル基が、200℃以下でもエポキシ基と反応するため、はんだペースト中のフラックスの増粘に関与する。そのため、活性剤として有機酸を用いる場合、該有機酸は、融点が、好ましくは130℃以上220℃以下、より好ましくは130℃以上200℃以下、さらに好ましくは133℃以上186℃以下である。これは、かかる高融点を有する2塩基酸の有機酸を用いることによって、後述するようなはんだの溶融および凝集を阻害し難いためである。
具体的には、高融点の例えばSACはんだのようなはんだに対しては、130℃以下の低温域では活性力(すなわち、はんだ表面の酸化膜の除去という還元作用)は小さく、高温域で活性力を発現することが望ましい。融点が130℃以上220℃以下である有機酸としては、例えば、2塩基酸の一種であるコハク酸(融点186℃)、アジピン酸(融点152℃)、コルク酸(融点142℃)、セバシン酸(融点133℃)などを挙げることができる。なお、シュウ酸無水和物は、融点が189℃と高いが、吸湿性が高く、吸湿により低融点(融点101℃)の2水和物になる。また、イソフタル酸(融点340℃)のようにSACはんだの融点よりも高い融点の有機酸は、はんだの酸化膜を除去する働きが通常期待できない。しかしながら、本発明に利用可能な有機酸から、融点が130℃未満または220℃超であるこれら有機酸を排除する趣旨ではなく、実際に使用するはんだおよびリフロー温度等に応じて適宜使用されてもよい。これらの有機酸は、1種類の成分であってもよく、2種類以上の成分を混合してもよい。
活性剤は、フラックスの全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以上30質量%以下の割合で含まれる。活性剤(特に有機酸)の含有量が上記範囲にあることにより、フラックス作用が適切に働き、好適な接続信頼性を得ることができる。
(有機ポリマー繊維)
本発明の実施形態に係るはんだペーストでは、チクソ性向上を1つの目的として有機ポリマー繊維を使用する。有機ポリマー繊維を使用することで、はんだペーストにチクソ性を付与しつつ、はんだの溶融性を阻害せず、エポキシ硬化物の剛直な物性を維持できる。チクソ性向上剤として一般的に使用される無機系微粉末であるヒュームドシリカ(超微細な乾式シリカの一種)である「アエロジル(日本アエロジル(株)製)」は、チクソ性向上に有効であるが、はんだの溶融を阻害するため、はんだペーストに使用するのは難しい。また、水添ヒマシ油または「ゲルオールD(新日本理化(株)製)」に代表される水素結合性化合物などは、チクソ性を高くするためには多量に添加する必要がある。また、これらの化合物は、エポキシ樹脂硬化物の中に取り込まれると可塑剤として働くため、エポキシ硬化物は柔らかくなり、その結果、はんだ部の補強効果が低くなって、後述するヒートサイクル信頼性が著しく低下するため、本発明の実施形態に係るはんだペーストのチクソ性を向上させる素材として好ましくない。
また、図1に示すように、有機ポリマー繊維6bは、主として硬化樹脂6aを含む補強部6の、ヒートサイクル時のクラック防止機能も有する。有機ポリマー繊維6bを含むことにより、補強部6は、低熱膨張化・高剛性化する。有機ポリマー繊維6bは、繊維形状でありアスペクト比が高いことから、粒状フィラーと比較して、より低熱膨張化・高剛性化に寄与する。さらに、仮に硬化樹脂6aを含む補強部6に、外部から内部方向にクラックが入ったとしても、有機ポリマー繊維6bのところでクラックが止まることが期待できる。クラック防止部材として、一般的には、シリカまたはアルミナなどの無機充填材を添加し、低熱膨張・高剛性化することが考えられるが、はんだの溶融を阻害することから好ましくない。
有機ポリマー繊維としては、融点が170℃より高い熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、融点が170℃より高い熱可塑性樹脂からなることがより好ましい。これにより、ヒートサイクル時のクラックを効果的に抑制できる。熱可塑性樹脂は、例えば、芳香族ポリエステルを含むことが好ましい。
芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が耐熱性の観点で好ましく、これらの樹脂を1種以上、すなわち1つまたは2種以上含むことが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、融点が255℃で、SACはんだの融点より高いため非常に好ましい。
有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)は1μm~5μmである必要がある。平均繊維径(D)が1μm未満の場合、SACはんだ粒子の凝集を阻害するため、凝集せずに残存したはんだボールが出来てしまう。一方で、平均繊維径(D)が5μm超の場合、はんだペーストのチクソ性向上効果が小さくなり、ダレが発生して印刷作業性が低下する。
有機ポリマー繊維の平均繊維長さ(L)は10μm~30μmである必要がある。平均繊維長さ(L)が10μm未満の場合、SACはんだ粒子の凝集を阻害して、凝集せずに残存したはんだボールが存在してしまう。一方、平均繊維長さ(L)が30μm超の場合、繊維同士が絡み合ってペーストの流動性の不均一化が起こり、形状が悪くなる。また、はんだペーストの塗布端部から繊維の一部が飛び出すという形状不良も起こり易くなる。
有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は2~30である必要がある。アスペクト比(L/D)が2未満の場合、ヒートサイクル時のクラック抑制効果が低下する。アスペクト比(L/D)が30超の場合、はんだペーストの印刷時に繊維が引っ掛かる等の不具合が発生する場合がある。
なお、上記の、有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)および平均繊維長さ(L)は、例えば、顕微鏡観察した繊維の写真を拡大し、不特定に抽出した繊維100本の繊維径および繊維長さを実測し、それらの算術平均値からそれぞれ求めることができる。有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は、前述のようにして求めた平均繊維長さ(L)を平均繊維径(D)で除すことで求めることができる。
フラックス中における有機ポリマー繊維の含有率は、0.1~25質量%であることが好ましい。0.1質量%以上とすることで、効果的にチクソ性を付与でき、ヒートサイクル時のクラックをより効果的に防止できる。より好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、さらにより好ましくは5.0質量%以上である。一方、25質量%以下とすることで、はんだペーストの粘着性を維持し、印刷性を向上できる。
本発明の実施形態に係る有機ポリマー繊維の製造方法については、公知の方法で製造してよく、上記の繊維形状(すなわち、D:1μm~5μm、L:10μm~30μmおよびL/D:2~30)のものが製造できる方法であれば、特に限定されない。
(その他の成分)
本発明の実施形態に係るはんだペーストは、本発明の目的が達成される範囲内で、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。はんだペーストに含まれるその他の成分の例としては、通常用いられる改質剤(例えばロジン)、添加剤、酸化防止剤などが挙げられる。また、はんだペーストの粘度を低減し、流動性を付与する目的で、溶剤及び/又は希釈剤を加えることもできる。
次に、上述した本発明の実施形態に係るはんだペーストの調製方法、および当該はんだペーストを用いて回路基板に電子部品を実装して実装構造体を作製(または製造)する具体的な方法の一例を示す。
まず、前述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を秤量し混合して、フラックスを作成する。そのフラックスに、はんだ粉末を添加して混合・混練する。
本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて、導体配線を有する回路基板などに半導体部品を実装することができる。本発明の実施形態に係る実装構造体、例えば半導体装置は、前述したはんだペーストを用いて半導体部品の端子と回路基板の電極とが接合された接合部分を備えている。はんだペーストの塗布は、例えば、電極と同じ位置に貫通孔を設けたメタルマスクを回路基板に重ねた後、メタルマスクの表面にはんだペーストを供給し、スキージで貫通孔に充填することによって行うことができる。その後、メタルマスクを回路基板から離すと、電極ごとにはんだペーストが塗布された回路基板を得ることができる。
次に、はんだペーストが未硬化状態のまま、チップ部品または半導体部品の端子と回路基板の電極とが対向するように、チップマウンターなどを用いてチップ部品または半導体部品を回路基板とを重ねる。ここで、チップ部品としては、チップ抵抗またはチップコンデンタなどが搭載され得る。また半導体部品としては、端子としてはんだボールを設けて形成されたCSPもしくはBGA、端子としてリードを設けて形成されたQFPなどの半導体パッケージ、または、パッケージに収容されずに端子を設けて形成された半導体素子(ベアチップ)などを用いることができる。
この状態で、チップ部品が配置されたプリント配線板をリフロー炉で所定の加熱温度まで加熱する。このような方法で、チップ部品または半導体部品の端子と回路基板の電極とが本発明の実施の形態におけるはんだペーストを介して接続された導電部を備える、本発明のもう1つの実施の形態における半導体装置を製造することができる。この導電部は、はんだ粉末とはんだボールが溶融一体化したはんだ接合部分(導電部)と、この周囲がフラックスの硬化物で覆われることにより形成された部分(補強部)とを備える。このように、本発明の実施の形態におけるはんだペーストによれば、導電部により部品と基板との電気的接合がなされ、かつ、補強部により機械的補強がなされた実装構造体を作製することができる。
リフロー工程では、はんだ粉末が十分に溶融し、さらには、フラックスの樹脂成分の硬化反応が充分かつ適切に進行する必要がある。詳細には、リフロー工程において、はんだ粉末が完全に溶融する前に、はんだペースト中のフラックス成分であるエポキシ樹脂の硬化反応が進行してしまうと、フラックスが増粘してしまう。すると、はんだ粒子の凝集および溶融が阻害されて、適切な金属導通が取れなくなる。このような事態を避けるために、リフロー炉の温度は、使用するはんだ粉末の融点に昇温するまでは樹脂の硬化反応が遅く、かつ、はんだ粉末が溶融し、例えば半導体部品のはんだボールと溶融合体し、回路部品の電極金属と溶融接合した後は、フラックスの樹脂が短時間(例えば数分程度)で硬化反応を完了することが必要である。
本発明の実施形態に係るはんだペーストは、フラックス中に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含み、リフロー炉の温度がはんだペースト中のはんだ粉末の融点(特に、汎用されているSAC305はんだの融点である約219℃)まで昇温する間、フラックスが増粘し難くなっている。また、優れたはんだ溶融性と、はんだ溶融後の樹脂フラックスの短時間硬化とを可能にする。
他の実施形態において、リフロー炉のプロファイルで、SAC305はんだの融点である約219℃にて、はんだ溶融後、温度を150~200℃に下げて、マイルドな硬化反応をするように、二段階プロファイルとしてもよい。その場合は、はんだ溶融を阻害しない程度に硬化促進剤を適量併用することも可能である。硬化促進剤の種類としては、イミダゾール類、3級アミン類、DBU塩などの環状アミン類、TPP塩等のトリアリールホスフィン類、4級ホスホニウム塩、Feアセチルアセトナートなどの金属錯体などが挙げられる。これらのうち、高温反応系のものが適している。
図2A~図2Cは、本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。図2Aに示すように、回路基板3に設けた電極4上に、はんだ粉末およびフラックス(有機ポリマー繊維を除く)の混合物7a、有機ポリマー繊維7bを含むはんだペースト7を塗布する。図2Bに示すように、はんだペースト7と、CSP基板1に設けた電極2上のはんだボール8とを、矢印の方向に接合する。その後、図2Cに示すように、乾燥機9で加熱硬化する。すると、図1に示すように、主にはんだペースト7中のはんだ成分とはんだボール8とからなる導電部5の周囲は、硬化樹脂6aおよび有機ポリマー繊維6bを含む、補強部6で補強された構造となる。図3および図4は、本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の画像(図3:上面図、図4:断面図)であり、前述したように、導電部5の周囲が、補強部6で補強された構造となっている。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。下記の本発明の実施例および比較例の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。実施例および比較例中、「部」および「%」は、言及のない限り、質量基準による。
<はんだペーストの作成>
はじめに、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂と、活性剤と、有機ポリマー繊維とを、後述の表1に記載の質量部を占めるような割合となるようにそれぞれ秤量し、140℃に加熱溶融して、均一な樹脂混合物を作成した。室温に冷却後、秤量した有機酸をさらに加えてプラネタリーミキサーを用いて混合して、実施例1~8および比較例1~2のフラックスを作成した。
エポキシ樹脂には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER806)を用いた。エポキシ反応性希釈剤には、1,3-ビス[(2,3-エポキシプロピル)オキシ]ベンゼン(前述した化1の構造式)(ナガセケムテックス(株)製:EX-201-IM)を用いた。
フェノール樹脂には、アリル変性フェノールノボラック(明和化成(株)製:品番MEH8000H)を用いた(後述の表1では液状フェノールと記載)。また、汎用フェノールノボラックとして、フェノールノボラック(明和化成(株)製:品番H-4)を用いた(後述の表1では粉状フェノールと記載)。
活性剤としては、セバシン酸(東京化成工業(株)製)、アジピン酸(東京化成工業(株)製)、またはトリエタノールアミン(TEA)(東京化成工業(株)製)を用いた。
後述の表2に示すように、実施例の有機ポリマー繊維として、材質:PET、平均繊維径(D):3.5μm、平均繊維長さ(L):21μm、アスペクト比(L/D):6である繊維を公知の方法で準備した。比較例1では有機ポリマー繊維を用いず、比較例2では有機ポリマー繊維の代わりに、アエロジル(日本アエロジル(株)製:品番RY200)を用いた。
上述のようにして得られた実施例1~8および比較例1~2のフラックスに、はんだ粉末を、それぞれ後述の表1に示す含有量で添加して、さらに混練することにより、はんだペーストを調製した。はんだ粉末には、SAC305はんだ粉末(Sn-3.0Ag-0.5Cu)(平均粒径:10~25μm、融点:219℃(三井金属鉱業(株)製))またはSAC105はんだ粉末(Sn-1.0Ag-0.5Cu)(平均粒径:10~25μm、融点:225℃(三井金属鉱業(株)製))を用いた。
<ヒートサイクル信頼性の評価素子の作製>
上述のとおりに調製されたはんだペーストを、メタルマスクを用いて、厚さが0.1mmとなるように、回路基板(FR-4基板)上のAuメッキされた電極上に印刷して、はんだペースト印刷部を形成した。
そして、10mm×10mmサイズ、0.4mmピッチ、360ピンのCSPチップを、チップマウンターを用いて回路基板上のはんだペースト印刷部にマウントした。なお、回路基板は、電極材質が銅で、基板材質はガラスエポキシ材であった。その後、リフロー装置を用いて240℃で6分加熱することにより接合部分を形成し、ヒートサイクル信頼性評価素子を作製した。
<評価>
実施例1~8および比較例1~2について、以下の項目について評価した。評価結果は、各例におけるはんだペーストの特性として後述の表1に併せて示した。
(スキージ付着性)
印刷作業性の評価の1つとして、以下のようにスキージ付着性を評価した。はんだペーストを、スキージを用いて印刷し、スキージを引き上げた際に、ペーストがカーテン状に持ち上がる度合いをカーテンの長さを比較して、○×判定した。カーテンの長さが、10mm以下を○、10-30mmを△、30mm以上を×とした。
(印刷性)
印刷作業性の評価の1つとして、メタルマスクを用いて印刷したはんだペーストの形状を観察することによって、はんだペーストの印刷性を評価した。観察は、目視にて、電極エリアへの収まり状態、ダレおよび尖がり形状に対して行った。印刷性の評価は、ペーストをマスクの貫通孔を通過させて回路基板の電極上に転写した時の形状で判定した。電極部に形状が保持できているものを○、形状に不具合(ダレ及び/又は尖がりの発生)があるが使用可能であるものを△、非常に形状が悪いものを×とした。
(ヒートサイクル信頼性)
はんだ接続信頼性の評価として、以下のようにヒートサイクル信頼性を評価した。上記のように作製したヒートサイクル信頼性の評価素子5つに対し、-40℃に冷却してから、125℃に昇温するサイクルを1000サイクル繰り返した後、接続抵抗値測定した。5つ全てが規格の抵抗値2Ω±20%を満たす場合〇、全てではないが1つでも規格の抵抗値を満たせば△、全て規格の抵抗値を満たさない場合×とした。
(総合判定)
スキージ付着性、印刷性およびヒートサイクル信頼性の3つの評価で、全項目が○のものを○、1個でも△があるものを△、1個でも×があるか、及び/又は未溶融のはんだが残るなどして、評価素子の実装が出来ず、ヒートサイクル信頼性の評価を行う事が出来なかったものを×、として総合的な評価を行った。
以上の結果を表1にまとめる。なお、表1に示す含有量は質量部を表す。また、実施例で使用した有機ポリマー繊維については表2に示す。
Figure 2024017848000004
Figure 2024017848000005
例えば、表1に示すとおり、実施例1では、はんだ粉末の種類は、SAC305はんだを用いた。
はんだ粉末の含有量は230質量部、フラックスの合計含有量は51.4質量部とした。
フラックス中のエポキシ樹脂はjER806(エポキシ当量160)とし、含有量は17.2質量部とした。
反応性エボキシ希釈剤はEX-201-IM(エポキシ当量120)とし、含有量は7.4質量部とした。
フェノール樹脂として、アリル基を含むフェノール(液状フェノールともいう)はMEH8000H(明和化成製、水酸基当量140)とし、含有量は11.7重量部とした。アリル基を含まないフェノール(粉状フェノールともいう)はH-4(明和化成(株)製、水酸基当量98)とし、添加量は5.1重量部とした。
活性剤は、セバシン酸とし、含有量は6.9質量部(はんだペースト全質量に対し3質量%)とした。
有機ポリマー繊維の含有量は3.1重量部(フラックス合計含有量に対し6質量%)とした。
ここで、実施例1の場合、エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数は、jER806のエポキシ当量(分子量/官能基数)が160であるため、添加量17.2質量部を160で除すことで、0.11モルとなる。同様に、反応性希釈剤(エポキシ反応性希釈剤)は、エポキシ当量(分子量/官能基数)が120であるため、エポキシ基のモル数は0.06モルとなる。従って、エポキシ基の合計のモル数は、0.17モルとなる。同様の計算により、フェノール樹脂のフェノ-ル性水酸基のモル数は、0.14モルとなる。エポキシ基のモル数とフェノ-ル性水酸基のモル数とを、エポキシ基のモル数を100として換算すると、(エポキシ基のモル数):(フェノール性水酸基のモル数)比は、100:82となる。
実施例2~8についても同様に、はんだ粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤ならびに有機ポリマー繊維の種類および量を種々変更した配合組成物の結果を表1に示している。
表1に示す実施例および比較例の結果について考察する。
実施例1~8は、本発明の実施形態で規定する要件の全てを満足する例でありスキージ付着性、印刷性およびヒートサイクル信頼性が許容レベル(〇または△)であった。特に実施例1、2、4および6~8は、フラックス中における有機ポリマー繊維の含有率が2.0質量%以上という好ましい範囲を満たしたため、全ての評価において良好(〇)であった。
一方、比較例1および2は、本発明の実施形態で規定する要件を満たしていない例であり、いずれかの評価で不良(×)を示した。
比較例1は、有機ポリマー繊維が含まれていないはんだペーストを用いた。その評価結果では、スキージ付着性×、印刷性×、ヒートサイクル信頼性×となった。これは、有機ポリマー繊維が含まれないことで、チクソ性が低いままであり、印刷時のスキージ付着性および印刷性が悪くダレてしまう、かつ、有機ポリマー繊維による、補強部の低熱膨張化・高剛性化の効果がないことから、ヒートサイクル信頼性が低かったと推定される。
比較例2は、チキソ性付与剤として、有機ポリマー繊維を用いずに、ヒュームドシリカ(超微細な乾式シリカの一種)であるアエロジル(日本アエロジル(株)製:品番RY200)を用いたものである。スキージ付着および印刷形状は優れているが、加熱時のはんだの溶融性が非常に悪く、未溶融のはんだが残ったままになった。そのため、評価素子の実装が出来ず、ヒートサイクル信頼性の評価を行う事が出来なかった。そのため総合判定も×であった。有機ポリマー繊維と違って、アエロジルは、SACはんだ表面の酸化膜を活性剤が還元反応で除去する作用を阻害する作用があると推察される。
なお、Sn-Zn系、Sn-Ag-In系、Sn-Bi系等の低融点Pbフリーはんだを用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストに対しても、本発明の実施形態に係る有機ポリマー繊維がチクソ性向上剤として有効であることを確認した。低融点はんだの場合、はんだの融点がSACはんだ等の高融点はんだよりも低いため、有機ポリマー繊維の種類も、例えばPETよりも低い融点の繊維を使うことができるので、設計の範囲が広がる。
本発明の実施形態に係るはんだペーストおよび実装構造体は、電気/電子回路形成技術の分野において、広範な用途に使用できる。例えば、CCD素子、フォログラム素子、チップ部品などの電子部品の接続用およびそれらを基板に接合する用途に用いることができる。さらに、例えば、これらの素子、部品、または基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、ポータブルAV機器、デジタルカメラなどに使用することができる。
1 CSP基板
2 電極
3 回路基板
4 電極
5 導電部
6 補強部
6a 硬化樹脂
6b 有機ポリマー繊維
7 はんだペースト
7a はんだ粉末およびフラックス(有機ポリマー繊維を除く)の混合物
7b 有機ポリマー繊維
8 はんだボール
9 乾燥機

Claims (7)

  1. はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
    前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性剤および有機ポリマー繊維を含み、
    前記フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有するフェノール樹脂を1種以上含み、
    前記有機ポリマー繊維の平均繊維径(D)は1μm~5μmであり、
    前記有機ポリマー繊維の平均繊維長さ(L)は10μm~30μmであり、
    前記有機ポリマー繊維のアスペクト比(L/D)は2~30である、はんだペースト。
  2. 前記有機ポリマー繊維は、融点が170℃より高い熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載のはんだペースト。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、芳香族ポリエステルを含む、請求項2に記載のはんだペースト。
  4. 前記芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、請求項3に記載のはんだペースト。
  5. 前記はんだペースト中における前記はんだ粉末の含有率は60~95質量%である、請求項1に記載のはんだペースト。
  6. 前記フラックス中における前記有機ポリマー繊維の含有率は0.1~25質量%である、請求項1に記載のはんだペースト。
  7. 回路基板に、請求項1~6のいずれかに記載のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
    前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部の周囲が前記フラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部と、を含む実装構造体。
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