JP2022187759A - 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体 - Google Patents

樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制する樹脂フラックスはんだペーストおよびそれを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供する。【解決手段】はんだ粉末とフラックスとを含む樹脂フラックスはんだペーストであって、前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤とを含み、前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂であり、前記活性剤は、有機塩基、有機酸、およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記はんだ粉末は複数のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は前記活性剤で覆われ、前記はんだ粉末の含有率は、前記樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%である、樹脂フラックスはんだペースト。【選択図】図1

Description

本発明は、主として回路基板に半導体部品または電子部品などをはんだ付けする際に用いられるはんだペーストのうち、フラックス成分にエポキシ樹脂を含むはんだペーストおよび実装構造体に関するものである。
近年、携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル機器の小型化、高機能化が進んでいる。これに対応できる実装技術として、BGA(Ball Grid Array)またはCSP(Chip Scale Package)などの実装構造が多く用いられている。モバイル機器は、落下衝撃などの機械的負荷にさらされやすい。QFP(Quad Flat Package)では、そのリード部分において、衝撃を吸収する。しかし、衝撃を緩和するリードを持たないBGAまたはCSPなどでは、耐衝撃信頼性を確保することが重要となってきている。そのため、デバイス実装での高いはんだ接続信頼性が必須となってきており、それを実現できる構造的な手法およびはんだ材料が望まれている。
そこで、さらなる対策として、フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペーストを用いた半導体実装構造体およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペースト(以下、樹脂フラックスはんだペーストと称する)は、加熱してはんだが溶融接続する工程で、フラックス中に含まれる樹脂とはんだが分離して、はんだ接続部の周辺を樹脂が覆う補強構造を形成し得る。その補強の結果、はんだの接続部の強度を高くすることが可能になる。
図3は、上記はんだペーストを用いて接合した接続部の断面図である。図3に示すように、回路基板1に設けた電極2と、回路基板3に設けた電極4との間を、はんだ導電部9Aで接合し、その周囲が硬化後の固体樹脂である補強部6bで補強された構造となっている。
この樹脂フラックスはんだペーストを用いた実装工程では、樹脂フラックスはんだペーストをメタルマスクで回路基板の配線電極など所定の位置に印刷した後、リフロー炉で加熱される。その際、フラックスによって、はんだ付けされる金属表面の酸化膜およびはんだ粉末表面の酸化膜を還元反応で化学的に除去する作用、すなわちフラックス作用が働き、はんだの溶融接続が可能となる。その後、引き続きエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化が進み、回路基板の配線電極と電子部品の接合および樹脂での補強が、1回の加熱リフロー工程で行われる。
一方、通常の(熱硬化性樹脂含まない)クリームはんだペーストに用いられるはんだ材料としては、従来はPb共晶はんだが利用されていたが、昨今では環境への配慮から鉛フリーはんだが利用されている。この鉛フリーはんだには、Sn-Bi系はんだ、Sn-Ag-Cu系はんだ(以下、単にSACはんだとも称する)、Sn-Cu系はんだなどがある。SACはんだなどを用いた実装では、高接続信頼性の実現の対策として、金属組成の異なるIn入りのはんだなども実用化されてきている。SACはんだは、その代表格として、SAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ(以下、単にSAC305はんだとも称する)およびより銀比率の低いSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだ(銀比率1%)(以下、単にSAC105はんだとも称する)が検討されて、徐々に実用化されてきている。
前述したように、樹脂フラックスはんだペーストを用いることで、プロセスの遅延およびコストの問題が生じることなく、樹脂で形成された補強構造によって接続信頼性を高めることができる。しかしながら、このような樹脂フラックスはんだペーストで実用化されているものは、特許文献1に示されるような、Sn-Bi系はんだなどの低融点はんだを用いたものである。例えば、SACはんだなどの高融点はんだを用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストは、まだほとんど実用化されていない。
特許第5204241号公報
上記の実用化されていない原因は、低い信頼性にある。その原因の一つとして、樹脂フラックスはんだペーストを使用した際に生じる「チップサイドボール」(以下、単にサイドボールとも称する)が挙げられる。具体的には、チップ型電子部品(以下、単にチップ部品とも称する)の回路基板への実装では、樹脂フラックスはんだペーストを回路基板上に印刷し、チップ部品を搭載した後、リフロー加熱する。このとき、チップ部品の側面から突出する数百ミクロンサイズの小さなはんだボール(すなわち、サイドボール)が発生することがある。「サイドボール」が発生すると、外部応力(より具体的には、外部からの振動等)でサイドボールがチップ部品から離れチップ部品付近の電気回路等に付着することで、ショート等の問題を引き起こすことがある。そのため、「サイドボールの発生」の抑制は、品質管理上、非常に重要な項目となっている。
また、サイドボールの発生を抑制すると、接続強度が低下したり、はんだボールを適切に形成できない等の不具合が生じることがあった。
そこで、本発明の目的は、信頼性に優れる樹脂フラックスはんだペーストを提供することである。つまり、本発明の目的は、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制する樹脂フラックスはんだペーストを提供することである。
また、本発明の別の目的は、そのような樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を搭載した実装構造体を提供することにある。
本発明の第1の要旨によれば、
はんだ粉末とフラックスとを含む樹脂フラックスはんだペーストであって、
前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤とを含み、
前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂であり、
前記活性剤は、有機塩基、有機酸、およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記はんだ粉末は複数のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、前記活性剤で覆われ、
前記はんだ粉末の含有率は、前記樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%である、樹脂フラックスはんだペースト。
本発明の第2の要旨によれば、
回路基板に、上記樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、該導電部の周囲の少なくとも一部が前記フラックスの硬化物で覆われることによって形成された補強部とを備える、実装構造体。
本発明は、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制する樹脂フラックスはんだペースト、およびそのような樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を搭載した実装構造体を提供することである。
本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 従来のはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、本発明の目的の範囲内で適宜変更して実施することができる。以下、樹脂フラックスはんだペーストおよび実施構造体について詳細に説明する。
本明細書で言及する数値範囲は、下限値および上限値そのものも含むことを意図している。つまり、86~97重量%といった数値範囲を例にとれば、その数値範囲は下限値「86重量%」および上限値「97重量%」を含むものとして解釈される。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら具体的に説明する。
<樹脂フラックスはんだペースト>
本発明の実施形態に係る樹脂フラックスはんだペーストは、
はんだ粉末とフラックスとを含む樹脂フラックスはんだペーストであって、
前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤とを含み、
前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂であり、
前記活性剤は、有機塩基、有機酸、およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記はんだ粉末は複数のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は、前記活性剤で覆われ、
前記はんだ粉末の含有率は、前記樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%である。
本実施形態に係る樹脂フラックスはんだペースト(以下、はんだペーストとも称する)は、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制することができる。つまり、本実施形態に係るはんだペーストは、「サイドボール発生の抑制性に優れること」と、「形成する接続部の接合安定性および密着性に優れること」という2つ重要な要求項目の両立を実現できる。その理由は以下のように推測される。本実施形態に係るはんだペーストは、フラックスが少なくともエポキシ樹脂と硬化剤としてフェノールノボラック樹脂と硬化促進剤とを含むことで、優れたエポキシ樹脂の接着力を発揮し、はんだ接合部の高い樹脂補強効果を実現している。さらに、本実施形態に係るはんだペーストは、はんだ粉末の含有率をはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%とし、かつはんだ粉末のはんだ粒子(の表面)が活性剤で覆われている。これにより、溶融はんだの凝集力が増加し、溶融はんだからの微粒子の飛び散りを防止し、サイドボールの発生が抑制される。したがって、本実施形態に係るはんだペーストは、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制することができる。
従来、サイドボール発生の効果的な抑制と、接続安定性および密着性に優れたはんだ接合部の形成との両立が困難であった。本発明者らが検討した結果、その両立が困難である原因は、サイドボール発生の抑制性と、接合部の優れた接続安定性および密着性とがトレードオフの関係にあることを見出した。
具体的には、サイドボール発生を効果的に抑制するためには、光硬化性組成物中のはんだ粉末の含有率を増加させることが有効である。ここで、はんだ粉末の含有率を増加させると、はんだ粉末を十分に溶融させるために活性剤の含有率を増加させる必要が生じる。その結果、フラックス中のエポキシ樹脂の含有率が低下し、形成される接合部の接続安定性および密着性が低下することになる。
一方、接続安定性および密着性に優れた接合部を形成するためには、光硬化性組成物中のエポキシ樹脂の含有率を増加させることが有効である。ここで、エポキシ樹脂の含有率を増加させると、はんだ粉末および活性剤の含有率が相対的に低下するため、サイドボール発生を十分に抑制できなくなる。
本発明者らは、トレードオフの関係にある上記性質の両立には、従来の配合設計の思想の延長では十分に対応できないと考え、フラックス中の活性剤の作用に着目した。つまり、はんだ粒子表面の酸化膜の還元除去では、はんだ粒子表面の酸化膜へ接触している活性剤が大きく寄与することに着目した。活性剤の還元除去作用を向上させるとの観点から、はんだペースト中で「はんだ粒子が活性剤で覆われる」との特徴に想到した。本発明者らはまた、活性剤による酸化膜の還元除去作用を向上させることで、活性剤の含有率を低下させることを見出し、これにより、はんだ粉末の含有率を相対的に増加させ、サイドボールの発生を抑制することを想到した。
以上から、本実施形態に係るはんだペーストは、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制することができる。
[はんだ粉末]
本実施形態に係るはんだペーストに含まれるはんだ粉末は、特に限定されないが、融点が180℃以上、特に200℃以上のはんだ粉末が用いられることが好ましい。はんだ粉末の組成は、特に限定されないが、Sn単体、またははんだ合金の形態であってもよい。はんだ合金としては、例えば、Snをベースとした、Sn-Ag-Cu系(SACはんだ)、Sn-Cu系はんだ、またはSn-Ag系はんだの合金などが挙げられる。SACはんだとしては、例えば、融点が220℃であるSAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ、または融点が225℃であるSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだなどが挙げられる。Sn-Ag系はんだとしては、例えば、融点が221℃であるSn-3.5Agはんだなどが挙げられる。Sn-Cu系はんだとしては、例えば、融点が227℃であるSn-0.7Cuはんだなどが挙げられる。これらのはんだ合金のうち、好ましくは、SAC305はんだまたはSAC105はんだであり、より好ましくはSAC305である。これは、現在、SAC305はんだは、民生電子機器に汎用的に用いられており、高い接続信頼性と低コストを実現しているため、および、CSPやBGAパッケージのはんだボール用としても汎用的に用いられているためである。
本明細書におけるはんだ粉末の組成は、はんだ粉末に含まれる元素の元素記号をハイフンで結んで表記している。本明細書中、はんだ粉末の金属組成を説明するのに、金属元素の直前に数値または数値範囲を示すことがあるが、これは、当該技術分野において一般的に使用されているように、金属組成中に占める各元素の質量%(=質量%)を数値または数値範囲で示すものである。はんだ粉末は、列挙した元素で実質的に構成されている限り、不可避的に混入する微量金属であって、例えばNi、Ge、Zn、Sb、Cuなどである金属を含んでいてもよい。
本明細書におけるはんだ粉末(またははんだ)の融点は、試料の加熱昇温過程での状態変化を観察したときの、融け終わりの温度をいい、示差走査熱量測定(DSC)、示差熱・熱重量測定(TG-DTA)などを使用して測定することができる。
はんだ粉末は、複数のはんだ粒子を含む。はんだ粒子は、活性剤で覆われている。好ましくは、はんだ粒子の全表面は、活性剤で覆われている。一態様では、はんだ粒子は、活性剤の被覆膜で覆われている。
はんだ粒子が活性剤で覆われていること、および活性剤の被覆膜で覆われていることは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認することができる。詳しくは、SEM画像を撮像し、SEM画像を観察することで確認することができる。また、活性剤が窒素原子から構成される活性剤(より具体的には、トリエタノールアミン(TEA)等)である場合、エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により、活性剤を構成する窒素原子由来の信号をはんだ粒子表面で観測することで、確認することができる。
はんだ粉末の含有率は、本実施形態に係るはんだペーストの総質量100重量%に対して、86~97質量%以下である。はんだ粉末の含有率が86重量%以上であると、サイドボールの発生を効率的に抑制できる。特定の理論に拘束されるわけではないが、その理由は以下のように推測される。本発明者らは、まず、サイドボールの発生メカニズムに着目し、はんだによる接続過程を注意深く観察した。リフロー加熱の際に、はんだ粒子の酸化膜が活性剤の還元作用によって除去され、溶融する。この溶融過程において、はんだ粒子に内在していた水分が水蒸気となり、水分の体積が急激に膨張し、水蒸気が溶融はんだ外に飛び出す。その際に、溶融はんだからはんだ微粒子が分離して飛び散りサイドボールが発生する。このように、本発明者らは、はんだ粒子に内在する水分の相転移(液相→気相)によって、溶融はんだ外にはんだ微粒子が飛び散ることでサイドボールが発生することを突き止めた。
次いで、本発明者らは、上記サイドボールの発生メカニズムに関する技術的知見に基づいて、はんだ微粒子の飛び散りを防止するために、はんだの凝集力を増加させることに着目した。鋭意検討した結果、はんだ粒子の溶融過程において、はんだ粒子同士の接触面積の増加が溶融はんだの凝集力を高めることを見出し、「はんだ粒子の含有率は、樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86重量%以上である」との特徴に想到した。
さらに、本発明者らは、上記はんだ溶融過程におけるはんだ粒子表面の酸化膜の還元除去するための活性剤、ならびにより強固で接続安定性に優れる接続部を形成するためのエポキシ樹脂、硬化剤、および硬化促進剤とのバランスを考慮して、「はんだ粉末の含有率は、樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して97重量%以下である」との特徴に想到した。
はんだ粉末の含有率は、通常の含有率に比べ大きい。これにより、本実施形態に係るはんだペーストは、トレードオフの関係にある「より強固で接続安定性に優れる接続部の形成」と、「サイドボール発生の抑制」とを両立することができる。このように、はんだ粉末の含有率を通常よりも大きくすることができる理由は、上述のように、活性剤が効率的に機能する形態(はんだ粒子(の表面)を活性剤で覆う形態)を採用することにより、活性剤の含有率を通常よりも低下させることができるからである。
[フラックス]
本実施形態では、フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、活性剤とを含む。フラックスは、これらの成分に加え、その他の成分をさらに含んでもよい。以下で、フラックスに含まれる各必須成分についてさらに詳細に説明する。
(エポキシ樹脂)
本実施形態ではフラックスはエポキシ樹脂を含む。フラックスがエポキシ樹脂を含むと、はんだ粉末など他の成分がエポキシ樹脂に容易に分散される。エポキシ樹脂は、常温で液体(液状)であることが好ましいが、常温で固体のエポキシ樹脂を液体のエポキシ樹脂と混合することで液体化してもよく、または常温で固体のエポキシ樹脂に溶剤を添加することで液体化してもよい。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、例えば、1分子内にエポキシ基を2つ以上有するものであれば、その分子量および分子構造は特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型またはオレフィン酸化型(脂環式)などの各種の液状のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的に市販されている商品としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:品番jER828)およびYD8125(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量170)などを挙げることができる。
エポキシ樹脂は、先述のように、はんだ粉末(より具体的には、SACはんだ)を分散させるため、液状エポキシ樹脂に溶剤を添加することが好ましい。つまり、好適な一態様では、はんだペーストの成分の分散性をさらに向上させる観点から、好ましくは、フラックスは溶剤をさらに含み、エポキシ樹脂は常温で液状である。
(硬化剤)
本実施形態では、フラックスは硬化剤を含む。硬化剤はフェノールノボラック樹脂である。硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂は、はんだペーストが例えば220℃に加熱された場合に、エポキシ樹脂と硬化反応を起こして、エポキシ樹脂を硬化させる。フェノールノボラック樹脂は、好ましくは1分子内(1分子鎖内)に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と、アリル基とを有する。フェノールノボラック樹脂は、1種類を用いてもよく、または2種類以上を用いてもよい。フェノールノボラック樹脂が2種類以上である場合、好ましくは、そのうちの1つは、繰り返し単位中(フェノールユニット中)にフェノール性水酸基およびアリル基の両方を有するフェノールノボラック樹脂(例えば、[化1]参照)であり、そのうちの別の1つが、ビフェニルアラルキル樹脂である。
前者のフェノールノボラック樹脂は、アリル基の立体障害効果で、フェノール性水酸基同士の水素結合による分子鎖の整列が妨げられるために、本来は固体であるべきところを、この効果により低粘度化されるものと推測される。特に、このフェノール樹脂のうち、低分子量の二量体(例えば、[化1]におけるn=0である化合物)のものは、液状の形態をとることができる。具体的に市販されている商品として、例えば、明和化成株式会社製:MEH-8000H(粘度1500~3500mPa・s、水酸基当量139~143)や、MEH-8005(粘度4500~7500mPa・s、水酸基当量133~138)などが挙げられる。なお、本開示において、水酸基当量とは、日本工業規格(JIS)-K0070に準拠した中和滴定法によって測定した数値を指す。
Figure 2022187759000002
この繰り返し単位中にフェノール性水酸基とアリル基の両方を有するフェノールノボラック樹脂は、エポキシ樹脂との硬化物のガラス転移温度(TG)が、60~70℃と低い値になる。そこで、80℃以上の高いTGにするために、エポキシ樹脂の場合と同様に、硬直な骨格のフェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。それを用いることで、硬化物の架橋密度を上げることが硬化物の剛性を向上することができる。
そこで、本発明者らが硬直な骨格のフェノールノボラック樹脂を鋭意検討した結果、ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(上述した、後者のフェノールノボラック樹脂)がもっとも優れていることを発見した。また、エポキシ樹脂の場合と同様に、SACはんだが溶融するまでは、樹脂の硬化が進まないことが望ましい。このような観点から、好適な一態様では、硬化剤は、水酸基当量が150~350のビフェニルアラルキルフェノール樹脂を硬化剤の全量100重量%に対して30~95重量%含み、水酸基当量が100~200のアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を硬化剤の全量100重量%に対して5~70重量%含む。この固形のフェノールノボラック樹脂は、具体的には、ビフェニルアラルキル樹脂:品番MEH-7851(明和化成製、水酸基当量210)が挙げられる。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤(フェノールノボラック樹脂)との硬化反応を促進する。硬化促進剤は、好ましくはホウ素含有化合物である。エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂との硬化反応は、比較的反応性が低い部類に入る。このため、はんだペーストが硬化促進剤を含まない場合、高温域であっても硬化反応がほとんど起こらない。硬化反応は、高温域において比較的短時間で進行することが望ましい。このため、硬化促進剤の添加が必要となる。
本発明者らが硬化促進剤の種類について鋭意検討した結果、ホウ素含有化合物を導き出した。具体的には、通常よく使用される硬化促進剤としてイミダゾールやDBU系の塩や三級アミン系化合物が挙げられるが、これらは、低温域でも活発に硬化促進するため、SACはんだ溶融前に樹脂が反応して、はんだペーストが増粘・固化してしまい、適切なはんだ接続ができなくなってしまうことを見出した。
本発明者らはさらに検討し、低温域で硬化反応がほとんど進行せず、かつ高温域で硬化反応が進行する(好ましくは、比較的短時間に急激に硬化反応が進行する)硬化促進剤として、ホウ素含有化合物を導き出した。本実施形態では、硬化促進剤はホウ素化合物を含む。硬化促進剤としてのホウ素含有化合物としては、例えば、アリールボラン錯体およびアリールボレート塩(より具体的には、リン含有のアリールボラン錯体およびアリールボレート塩)が挙げられる。リン含有のアリールボラン錯体およびアリールボレート塩は、有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩の何れかに相当する。つまり、ホウ素含有化合物は、有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩のうちの一つ以上を含み得る。有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩としては、例えば、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびテトラフェニルホスホニウム-P-トリルボリートが挙げられる。硬化促進剤は、これらの複数のホウ素含有化合物のうち、特に好ましいのは、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート (TPP-K)である。このテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート (TPP-K)はその融点も305℃と高いため、本実施形態に係るはんだペーストが硬化促進剤として高融点はんだへの適用性に優れている。
Figure 2022187759000003
硬化促進剤の含有率は、好ましくは、全フラックス量に対して、0.5~3.0phrである。硬化促進剤の含有率が、全フラックス量に対して0.5phrより少ないと、硬化反応が非常に弱くなり、高温に長時間曝す必要が出てくる。その長い加熱工程のために、周囲の部品に熱劣化を引き起こすなどの不具合が発生する恐れがあり好ましくない。また、硬化促進剤の含有率が、全フラックス量に対して3.0phrより多いと、硬化反応が非常に激しくなり、硬化度合いの不均一化や硬化応力の増大などの弊害が発生するため好ましくない。硬化促進剤の含有率が、全フラックス量に対して、0.5~3.0phrであれば、数分間のリフロー時間に合致した反応が可能となり、高温に長時間曝す必要もなく、また均一で安定した硬化反応が行えるため好ましい。なお、ここで、含有率の単位「phr」は、溶剤を除いた全フラックス重量(フラックスの固形分全重量)に対する添加物の重量%を数値で示したものである。
(活性剤)
活性剤は、例えば、はんだペーストを加熱する温度域において、被接合部材(より具体的には、電子部品の電極、配線および/またははんだ粉末)の表面に存在し得る酸化膜を除去する。活性剤は、一般的には、はんだペーストを加熱する温度域において、被接合部材の表面に存在し得る酸化膜を除去する還元力を有する有機酸、有機塩基、ハロゲンまたはこれらの塩(より具体的には、アミン塩等)などが挙げられる。電気・電子用途では、ハロゲン化合物は、エポキシ樹脂硬化物に含まれると絶縁不良の原因となるため、好ましくない。活性剤は、有機酸、有機塩基(より具体的には、アミン化合物)およびそれらの塩(より具体的には、アミン塩等)から成る群より選択される少なくとも1種である。
有機酸は、特に優れたフラックス作用(ここで、フラックス作用とは、はんだペーストが塗布される金属表面に生じた酸化膜を除去するという還元作用、および、溶融はんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を促進する作用を意味する)を有する。さらには、エポキシ樹脂との反応性は、室温下ではアミン塩ほど強い反応性はなく、加熱時には、エポキシ樹脂と反応することができる。有機酸は、はんだを還元させて酸化膜を取り除いた後は、エポキシ樹脂の硬化物中に取り込まれるため、殆ど腐食性等の弊害も起こさない。有機酸としては、例えば、ジカルボン酸(より具体的には、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸およびピメリン酸等)、トリカルボン酸またはこれらの誘導体(より具体的には、ジカルボン酸の誘導体としてのレブリン酸、ならびにトリカルボン酸の誘導体としてのクエン酸)が挙げられる。これらの中でも、エポキシとの反応を考慮すると、架橋密度を低下させないジカルボン酸(2塩基酸)が好ましい。
また、アミン化合物(より具体的には、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンのような第三級アミン等)やアミン塩(より具体的には、トリエタノールアミン-アジピン酸塩等)もはんだ粒子の酸化膜(はんだ被膜)の除去効果は優れている。これらの中でも、エポキシ樹脂との反応性が比較的低く、室温保存性に優れる観点から、トリエタノールアミンおよびトリエタノールアミン-アジピン酸塩(粉体・融点120℃、[化3]参照)が好ましい。また、トリエタノールアミンは室温で液状であるため、取り扱いが容易であるため、好ましい。
Figure 2022187759000004
以上から、活性剤は、好ましくは、レブリン酸、トリエタノールアミン、トリエタノールアミン・アジピン酸塩、およびセバシン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
活性剤は、好ましくは大気下120℃以下の温度で液体状態を呈する。かかる場合、後述するように、活性剤で覆われたはんだ粒子を調製しやすいからである。大気下120℃以下の温度で液体状態を呈する活性剤としては、例えば、レブリン酸、トリエタノールアミン、およびトリエタノールアミン・アジピン酸塩が挙げられる。活性剤は、より好ましくは室温付近(例えば、25~35℃)で液体状態を呈する。かかる場合、活性剤の、はんだ粒子の表面との濡れを向上させるため、活性剤で全表面が覆われたはんだ粒子を調製しやすいからである。さらに、はんだ粒子を覆う活性剤は室温で低粘度であることがより好ましい。粘度を調整して低下させる目的で、溶媒を加えた活性剤溶液をはんだ粒子の被覆に用いてもよい。室温付近で液体状態を呈する活性剤としては、例えば、レブリン酸、およびトリエタノールアミンが挙げられる。室温付近で液体状態を呈する活性剤はまた、はんだ粒子表面の酸化膜と比較的強い結合を形成することができるため、活性剤で覆われている状態を保持できる点において好ましい。例えば、はんだ粒子表面の酸化膜を構成する成分(酸化錫)と活性剤との水素結合、ならびに酸化膜の成分と活性剤の極性基(より具体的には、アミノ基等)との結合である。これらの結合の存在は、例えば、赤外分光法における上記結合由来の信号を測定することで確認することができる。
(活性剤で覆われたはんだ粒子)
本実施形態に係るはんだペーストでは、はんだ粉末のはんだ粒子は活性剤で覆われている。つまり、活性剤をはんだ粒子の表面に高濃度に集中して存在(つまり、偏在)させている。このように、酸化膜除去には酸化膜表面に接触する活性剤が大きく寄与するとの技術思想に基づき、活性剤のはんだ粒子表面の酸化膜除去の作用を向上させる形態を採用する。このため、活性剤の含有率が通常の含有率に比べ小さくても、はんだ粒子表面の酸化膜を効率的に還元除去できる。
はんだ粒子は、活性剤で覆われている。好ましくは、はんだ粒子の全表面が活性剤で覆われている。全表面が活性剤で覆われているはんだ粒子は、見かけ上、しっとりとした粉末粒子の外観をしている。
はんだ粒子は、活性剤で覆われている状態を保持できるため、好ましくははんだ粒子の表面を覆う活性剤と比較的強い結合を形成する。活性剤で覆われている状態を保持するとは、例えば、はんだペーストの製造方法において、はんだ粒子を活性剤で覆った後に、活性剤で覆われているはんだ粒子をフラックスに混合させる等の工程で、活性剤の被覆膜の表面にエポキシ樹脂が接触しても、被覆膜を構成する活性剤が拡散溶解しにくいことが挙げられる。これは後述するが、通常のはんだペーストの活性剤の含有率に比べて少ない活性剤の含有率であっても、優れたはんだ溶融性を示す実施例によって実証されている。
はんだ粒子は、活性剤の被覆膜で覆われていることが好ましい。はんだ粒子が活性剤の被覆膜で覆われていると、活性剤の含有率を、はんだ粒子表面の酸化膜を効率的に還元除去するための必要な量に近づけることができる。このため、溶融時にはんだ粒子の酸化膜を効果的に除去しつつ活性剤の含有率を低減でき、併せてははんだ粒子の含有率をさらに増加できる。よって、かかる場合、より強固で接続安定性により優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生をさらに抑制できる。
はんだ表面を液状の活性剤で前処理した場合は、被覆膜の膜厚は約0.1~20μmである。
なお、被覆膜を作製する場合、膜厚は、例えば、はんだ粒子の大きさや(例えば、溶媒を使用する場合)活性剤の濃度により調整することができる。液状の活性剤で被覆膜を作製する場合、被覆膜の膜厚は、室温で液状の活性剤により、被覆膜の膜厚は数0.1~数μmであり、室温で固体(粉末状)の活性剤を液状の活性剤に分散添加することにより、はんだ表面に膜厚が十数μmの被覆膜を容易に作製できる。
(活性剤で覆われたはんだ粒子の製造方法)
表面が活性剤で覆われたはんだ粒子(表面被覆はんだ)の製造方法の一例を示す。
所定量の液状活性剤と溶剤とを混合させて活性剤液を作製する。容器ではんだ粉末を粉末攪拌しながら、活性剤溶液を容器内へ滴下する。全体がしっとりとした粒子の外観状態になるまで攪拌して、表面被覆はんだを作製する。
微細なはんだ粒子の表面を活性剤で覆うためには、活性剤とはんだ粒子表面との馴染み(濡れ)が必要となる。活性剤の、はんだ粒子表面との濡れを向上させる観点から、室温付近(例えば、25~35℃)で液体であることが好ましい。
活性剤は、はんだ粒子表面をより容易に覆う観点から、好ましくは大気下120℃以下の温度で液体状態を呈し、より好ましくは大気下室温で液体状態を呈する。つまり、活性剤の融点は、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは室温以下である。
以下、はんだ粒子の表面被覆の作業性について活性剤の融点別に説明する。
室温で粉体の活性剤でも、例えば、トリエタノールアミン-アジピン酸塩のように、融点120℃の低融点のものは、120℃以下で溶剤と共に溶かして均一な溶液とし、そこにはんだ粒子を浸漬、またははんだ粒子に噴霧や滴下する等で、はんだ表面を被覆させることができる。なお、このトリエタノールアミン-アジピン酸塩の加熱溶液を使う場合には、予め、はんだ粒子を粉末攪拌しながら、そこへトリエタノールアミン-アジピン酸塩溶液を噴霧または滴下する方法だと、粉砕工程が不要となるため好ましい。
120℃より高い融点の粉体の活性剤、例えば、コハク酸(融点186℃)、アジピン酸(融点152℃)、コルク酸(融点142℃)、およびセバシン酸(融点133℃)等でも、温度を高くすれば液状にはできるが、130℃以上では、有機酸のカルボキシル基と、はんだ粒子表面の酸化膜が加熱した時点で反応してしまい増粘しやすい。はんだペーストの高粘度化を抑制し、および印刷特性の低下を抑制する観点から、活性剤の融点は、120℃以下であることが好ましい。ただし、120℃より高い融点の粉体の活性剤は、液状の活性剤中に粉体として分散した溶液にし、はんだ粉末に滴下して、はんだ粒子の酸化膜を覆うことができる。この場合、はんだ粒子の酸化膜上を覆う液体活性剤上にさらに粉体活性剤で覆われる複合層が形成される。その結果、液体活性剤と粉体活性剤の複合層で覆われたはんだ粒子が作製される。
(その他の成分)
本実施形態では、フラックスは、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、活性剤に加え、これらの成分以外のその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、例えば、通常用いられる改質剤(より具体的には、ロジン)、溶剤、およびチクソ付与剤などが挙げられる。溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルが挙げられる。フラックスに溶剤を添加して、はんだペーストの粘度および流動性を調整すること(より具体的には、その粘度の低減および流動性の付与等)ができ、これにより、はんだペーストの成分(例えば、はんだ粉末)の分散性を向上することができる。チクソ性付与剤としては、例えば、硬化ヒマシ油、ステアリン酸アミド、ソルビトール化合物、および水素添加ヒマシ油が挙げられる。フラックスにチクソ性付与剤を添加して、はんだペーストの形状(例えば、印刷形状)を保持することができる。チクソ性付与剤の具体的な商品としては、例えば、新日本理化株式会社製:ゲルオールMDなどが挙げられる。
(はんだペーストの製造方法)
次に、上述した本実施形態に係るはんだペーストの調製方法、および当該はんだペーストを用いて回路基板に電子部品を実装して実装構造体を作製(または製造)する具体的な方法の一例を示す。
前述したエポキシ樹脂、硬化剤(フェノールノボラック樹脂)を加熱溶解して、均一な樹脂混合物を作製する。冷却後、硬化促進剤を秤量し、樹脂混合物に混合して、フラックスを作製する。そのフラックスに、上述の方法で調製した表面被覆はんだを添加して混合・混練する。このようにしてはんだペーストを作製する。
このように、はんだペーストの製造方法では、はんだ粉末に前処理として活性剤で覆う処理を施した後、エポキシ樹脂等の成分と混合して調製する。その理由は、特定の理論に拘束されるわけではないが、以下のように推測される。はんだ粉末の表面は、活性剤だけでなく、はんだペースト中の他の成分(より具体的には、エポキシ樹脂)とも親和性がある。例えば、はんだ粉末を活性剤とエポキシ樹脂との混合物中に投入すると、活性剤とエポキシ樹脂とが競合的にはんだ粉末の表面の錫酸化物との間に化学的な弱い結合を形成して、はんだ粒子の表面を覆う。このため、前処理としてはんだ粉末の表面を活性剤で覆う処理を施すことにより、本実施形態に係るはんだペースト中で、はんだ粉末の表面を優先的に活性剤によって確実に覆うことができる。
なお、印刷性を改善するために必要に応じて、チクソ性付与剤をさらに加えてもよい。また、表面被覆はんだと混合するフラックスに活性剤をさらに加えてもよい。
<実装構造体>
本発明の実施形態に係る実装構造体は、回路基板に、上述のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、電子部品と回路基板とが金属接合された導電部と、導電部との周囲がフラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部とを備える。
図1を参照して、本実施形態に係る実装構造体を説明する。図1は、はんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。図1に示すように、実装構造体(例えば、半導体装置)は、回路基板1および回路基板3と、回路基板1,3に設けた電極2,4と、電極2,4間を金属接合するはんだ導電部(接合部)9と、はんだ導電部9の表面の少なくとも一部を被覆する補強部6bとを備える。電極2を設けた回路基板1は、電子部品(例えば、チップ部品および半導体部品)である。チップ部品としては、例えば、チップ抵抗およびチップコンデンサである。電極4を設けた回路基板3は、例えば、プリント基板である。半導体部品としては、例えば、端子としてはんだボールを設けて形成されたCSPもしくはBGA、端子としてリードを設けて形成されたQFPなどの半導体パッケージ、およびパッケージに収容されずに端子を設けて形成された半導体素子(ベアチップ)である。回路基板1,3は導電配線を有する。電極2は電子部品の端子である。電極2,4は、はんだ導電部9を介しては電気的に接続する。補強部6bは、フラックスの硬化物で構成され、はんだ導電部9の表面(周囲)の少なくとも一部を覆うことにより、はんだ導電部9を補強し、機械的強度を向上させる。フラックスの硬化物は、はんだペースト中のエポキシ樹脂が熱硬化した硬化物である。
(実装構造体の製造方法)
本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて、例えば、導体配線を有する回路基板などに電子部品(より具体的には、半導体部品等)を実装して本実施形態に係る実装構造体を製造することができる。この実装では、上記はんだペーストを用いて、電子部品の端子と回路基板の電極とを接合させ、はんだ導電部(接合部)9を形成する。図2A~図2Dを参照して、実装構造体の製造方法の一例を説明する。図2A~図2Dは、本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。実装構造体の製造方法は、例えば、塗布工程と、搭載工程と、接合工程とを含む。
塗布工程は、図2Aに示すように、回路基板3の電極4にはんだペースト7を塗布する。はんだペースト7の塗布は、例えば、電極4と同じ位置に貫通孔を設けたメタルマスクを回路基板3に重ねた後、メタルマスクの表面にはんだペースト7を供給し、スキージで貫通孔に充填することによって行うことができる。その後、メタルマスクを回路基板3から離すと、電極4ごとにはんだペースト7が塗布された回路基板3を得ることができる。
搭載工程は、図2Bに示すように、チップマウンターなどを用いて、はんだペースト7が塗布された電極4と、回路基板1の電極2とが互いに対向するようにして電子部品(回路基板1)を回路基板3に搭載する。具体的には、塗布したはんだペースト7が未硬化状態のまま、塗布された回路基板3の電極4とその上に電子部品(例えば、チップ部品または半導体部品)の端子とが対向するように、電子部品を回路基板とを重ねる。なお、搭載工程に用いる回路基板1の電極2上には、はんだバンプ5が形成されている。
接合工程(リフロー工程)は、図2Cに示すように、電子部品が搭載された回路基板1を、加熱機(乾燥炉)8を用いて加熱する。例えば、チップ部品が配置されたプリント配線板をリフロー炉で所定の加熱温度まで加熱する。これにより、図2Dに示すように、はんだ粉末が溶融してはんだボールとが一体化したはんだ導電部9と、導電部9の表面がフラックスの硬化物(エポキシ樹脂の硬化物)から構成される補強部6bとが形成される。電子部品と回路基板1とは、はんだ導電部9を介して電気的に接合している。
接合工程では、はんだ粉末を十分に溶融・凝集させ、その後フラックスの樹脂成分の硬化反応が充分かつ適切に進行する必要がある。詳細には、接合工程において、はんだ粉末が十分に溶融する前に、はんだペースト中のフラックス成分であるエポキシ樹脂の硬化反応が進行してしまうと、フラックスが増粘してしまう。すると、はんだ粒子の凝集および溶融が阻害されて、適切な金属導通が取れなくなる。このような事態を避け、かつ適切な導通を得て良好な機械的強度を得るために、加熱機8(例えば、リフロー炉)の温度が使用するはんだ粉末の融点に昇温するまでは、フラックスの樹脂の硬化反応を遅くさせる(硬化反応の進行を抑制する)必要がある。かつ、加熱機8の温度がはんだ粉末の融点に到達して、はんだ粉末が十分に溶融し、電子部品(例えば、半導体部品)のはんだボールと溶融合体し、回路部品の電極金属と溶融接合した後は、フラックスの樹脂は短時間(例えば、数分程度)で硬化反応を完了することが必要である。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は、質量基準である。
<はんだペーストの作製>
はじめに、以下に示すはんだペーストを構成する成分(はんだ粉末、およびフラックスの原料等)を準備した。
[はんだ粉末]
・SAC305:Sn-3.0Ag-0.5Cu、平均粒径は10~25μm、融点は219℃(三井金属鉱業株式会社製)
・SAC105:Sn-1.0Ag-0.5Cu、平均粒径は10~25μm、融点は225℃(三井金属鉱業株式会社製)
[フラックス]
(エポキシ樹脂:ベースエポキシ樹脂)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD8125(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量170)
(硬化剤:アリル基を有するフェノールノボラック樹脂(液状フェノール樹脂))
・アリル化フェノールノボラック樹脂(アリル変性フェノールノボラック樹脂):MEH8000H(明和化成株式会社製、水酸基当量140)
(硬化剤:ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(高剛性フェノール樹脂))
・ビフェニルアラルキル型フェノールノボラック樹脂、MEHC7851S(明和化成株式会社製、水酸基当量210)
(硬化促進剤)
・テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPP-K)
(活性剤:有機塩基)
・トリエタノールアミン(TEA:米山薬品工業株式会社製)
(活性剤:有機酸)
・セバシン酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・レブリン酸(東京化成工業株式会社製)
・アジピン酸(東京化成工業株式会社製)
(活性剤:有機酸と有機塩基との塩)
・トリエタノールアミンアジピン酸塩(TEAアジピン酸塩)(昭和化学株式会社製)
[その他]
(溶剤)
・ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(日本乳化剤株式会社製)
(チキソ性付与剤)
・ゲルオールMD(新日本理化株式会社製)
(はんだ粉末の調製)
次いで、下記の表1~3に示す活性剤(より具体的には、活性剤Iおよび活性剤II)ならびに溶剤を表1~3に示す配合量となるようにそれぞれ秤量し混合した。これにより、活性剤を溶媒に分散または溶解させて活性剤混合液を調製した。得られた活性剤混合液は、液体-粉体混合系の活性剤混合液または液体-液体混合系の活性剤混合液であった。
具体的には、実施例1~2および7~8では、活性剤としてのTEAを溶媒と混合して混合液を調製した。得られた混合液を加熱して、粉末状のセバシン酸を添加して混合し、活性剤混合液を調製した。実施例4および6では、TEAアジピン酸塩を溶剤と混合して120℃で溶解させて、混合液(混合溶液)を調製した。得られた混合溶液にTEAを添加して混合して活性剤混合液を調製した。実施例5では、加熱した溶剤に粉末状のセバシン酸およびレブリン酸を添加し、混合して活性剤混合液を調製した。
次いで、はんだ粉末を容器に投入した。はんだ粉末を容器内で低速攪拌しながら、先に調製した活性剤混合液を滴下した。混合物全体がしっとりとした状態になるまで攪拌した。その結果、はんだ粉末を調製した。はんだ粉末は、その表面が活性剤で覆われていた。
(フラックスの調製)
次いで、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、活性剤と、チキソ性付与剤とを、表1~3に示す組成となるようにそれぞれ秤量した。それらを加熱混合してフラックスを調製した。なお、フラックスにおける活性剤の配合量に関しては、はんだ粉末を被覆する活性剤の質量を除いた配合量である。
(はんだペーストの調製)
得られたフラックスに被覆膜を有するはんだ粉末を加え、プラネタリーミキサーを用いて所定時間混錬して、実施例1~8および比較例1~2の樹脂フラックスはんだペーストをそれぞれ作製した。得られた樹脂フラックスはんだペーストの組成を表1~3にまとめた。なお、配合量は質量部を表す。単位phrは、溶剤を除いた全フラックス重量(フラックスの固形分全重量)に対する添加物の重量%を数値で示したものである。
Figure 2022187759000005
Figure 2022187759000006
Figure 2022187759000007
<測定方法、観測方法>
実施例1~8および比較例1~2について、以下の項目を観測・測定した。それらの結果は各例におけるはんだペーストの特性として表1~3に併せて示した。
[被覆膜の観測方法]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて画像を撮像し、画像を観察してはんだ粒子が活性剤で覆われていることを確認した。観測結果を表1~3に示す。
<評価方法>
実施例1~8および比較例1~2について、以下の項目について評価した。評価結果は、各例におけるはんだペーストの特性として表1~3に併せて示した。
[接続安定性(はんだ溶融性)評価:はんだボールの外観観察]
はんだボールの外観を観察した。得られた外観結果から下記判定基準に基づいて、はんだボールを介した電極間の接続性(接続安定性)を評価した。評価結果を表1~2にまとめた。接続安定性は日本工業規格(JIS)Z3197に準拠して評価した。判定結果×、△、〇、および◎の順に接続安定性が向上することを示す。評価結果を表1~3にまとめた。
(判定基準)
◎(レベル1):はんだが溶融して大きな球になり、周囲にソルダーボールがない
○(レベル2):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが3つ以下ある
△(レベル3):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが4つ以上あり、半連続の環状に並んではいない。
×(レベル4):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に多数の細かい球が半連続の環状に並んでいる
[サイドボールの抑制性評価:サイドボール発生数の測定]
実施例1~8および比較例1~2のはんだペーストを、メタルマスクを用いてガラスエポキシ基板上に印刷し、印刷部を形成した。印刷部上に搭載部品として1005チップ部品(抵抗)を搭載し、リフロー実装した。このようにして評価用試料を作製した。目視にてチップ部品の側面部に発生したサイドボールの発生数をカウントした。測定サンプル数nは10であった。
(判定基準)
×:サイドボールの発生数が1個以上である
○:サイドボールの発生数が0個である(サイドボールが発生していない)
[密着力の評価:せん断密着力の測定]
実施例1~8および比較例1~2のはんだペーストを、メタルマスクを用いてガラスエポキシ基板上に印刷し、印刷部を形成した。印刷部上に搭載部品として1005チップ抵抗を搭載し、リフロー実装した。このようにして評価用試料を作製した。ボンドテスターを用いて、搭載部品の接続部のせん断強度(Kgf/チップ)を測定した。測定サンプル数nは5であり、5つの測定値の平均値を算出し、得られた平均値をせん断密着力とした。得られたせん断密着力から下記評価基準に基づいて密着力を評価した。判定結果×、△、および〇の順に密着力が高くなることを示す。
(判定基準)
×:密着力は、1.0未満である
△:密着力は、1.0Kgf以上2.0Kgf未満である
○:密着力は、2.0Kgf以上である
[総合判定]
上記3つの評価から下記評価基準に基づいてはんだペーストの総合判定を行った。
(判定基準)
〇:3つの評価結果のうち、いずれも◎および○の何れかである
△:3つの評価結果のうち、1つも×ではなく、少なくとも1つが△である
×:3つの評価結果のうち、少なくとも1つが×である
<構成および評価結果>
[実施例1]
(構成)
実施例1のはんだペーストは、表1に示すとおり、はんだ粉末としてのSAC305はんだ520質量部と、フラックス33.23質量部(溶剤を除く)とを含むはんだペーストであった。はんだペースト中のはんだ粒子は、活性剤で被覆された被覆膜を有していた。はんだペースト全量(溶剤を除く)553.23質量部に対する、はんだ粉末の比率は、94.0重量%であった。フラックスは、エポキシ樹脂としてYD8125を15.0質量部(45.14phr)と、硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂と、硬化促進剤としてのホウ素含有化合物(テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート)0.500量部(1.50phr)と、液状の活性剤としてトリエタノールアミン(TEA)2.58重量部(7.76phr、対はんだ0.5%)と、粉状の活性剤としてセバシン酸2.58重量部(7.76phr、対はんだ0.5%)とを含んでいた。前述のフェノールノボラック樹脂は、液状フェノールであるMEH8000Hを5.95重量部(17.91phr)、および固形フェノールであるMEHC7851Sを5.95重量部(17.91phr)であった。実施例1のフラックスは、さらにチクソ性付与剤としてのゲルオールMDを0.67重量部(2.02phr)と、溶剤としてのジエチレングリコールモノヘキシルエーテル17.12重量部(3.0%対はんだペースト全量)を含んでいた。実施例1は、請求項1に係る発明の範囲に包含される例であった。
(評価結果)
実施例1の評価結果では、はんだボールの外観評価がレベル2であり判定結果○であった。また、サイドボールの発生数が0個で判定結果〇であった。さらに、せん断密着力が2.4Kgfであり判定結果○であった。これらの結果、実施例1の総合判定は、○であった。
[実施例2~8]
(構成)
表1~2に示すように、はんだの種類および比率、活性剤の種類および配合量、硬化促進剤の種類および配合量、溶剤の配合量、ならびにチキソ性付与剤の配合量のうちの少なくとも1つを変更した以外は、実施例1と同様にして、はんだペーストをそれぞれ作製した。なお、実施例4および6では、固形の活性剤トリエタノールアミンアジピン酸塩を溶剤に120℃で溶解させて液状の活性剤混合液を調製した。
実施例2~8も、表1~2に示すように、請求項1に係る発明の範囲に包含される例であった。例えば、実施例2~8のはんだ粒子は活性剤で被覆された被覆膜を有していた。
(評価結果)
実施例2~8の総合判定は○および△のいずれかであった。例えば、実施例2の評価結果では、はんだボールの外観評価がレベル2であり判定結果○であった。また、サイドボールの発生数が0個で判定結果〇であった。さらに、せん断密着力が1.9Kgfであり判定結果△であった。これらの結果、実施例2の総合判定は、△であった。
[比較例1~2]
比較例1~2は、表3に示すように、はんだの種類および比率、活性剤の種類および配合量、硬化促進剤の種類および配合量、溶剤の配合量、ならびにチキソ性付与剤の配合量のうちの少なくとも1つを変更し、さらにはんだ粒子の表面の活性剤被覆処理を実行しないこと以外は、実施例1と同様にして、はんだペーストを作製した。つまり、比較例1~2では、表3に示す組成となるように、通常の工法を用いて活性剤被覆処理を施していないはんだ粉末をフラックスに混合させてはんだペーストを作製した。
(比較例1)
比較例1では、はんだ粉末の含有率が82.0重量%であり、86~97重量%の範囲外であった。また、はんだ粒子は、はんだ粒子の表面のすべてを被覆する被覆膜を有していなかった。つまり、比較例1は、請求項1に係る発明の範囲に包含されない例であった。
比較例1の評価結果は、はんだボールの外観評価がレベル3であり判定結果が△であった。また、サイドボールの発生数は9個で判定結果は×であった。さらに、せん断密着力が1.9Kgfであり判定結果が△であった。それらの結果、比較例1の総合判定は×であった。
(比較例2)
比較例2では、はんだ粒子は、はんだ粒子の表面のすべてを被覆する被覆膜を有していなかった。つまり、比較例2は、請求項1に係る発明の範囲に包含されない例であった。
比較例2の評価結果は、はんだボールがレベル4であり評価結果が×であった。また、サイドボールの発生数は6個で判定結果は×であった。さらに、せん断密着力が0.9Kgfであり判定結果は×であった。それらの結果、比較例2の総合判定は×であった。
表1~3の結果から考察すると、実施例1~8に示すように、はんだペーストが、はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、フラックスは少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤とを含み、硬化剤はフェノールノボラック樹脂であり、活性剤は、有機塩基、有機酸、およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、はんだ粉末は複数のはんだ粒子を含み、はんだ粒子は活性剤で被覆された被覆膜を有し、はんだ粉末の含有率は、前記樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%であるという特徴を有する樹脂フラックスはんだペーストは、より強固で接続安定性に優れる接続部を形成しつつ、サイドボールの発生を抑制することができる。
本発明のはんだペーストおよび実装構造体は、電気/電子回路形成技術の分野において、広範な用途に使用できる。例えば、各種の電子部品の接続用およびそれらを基板に接合する用途に用いることができる。さらに、例えば、これらの素子、部品、または基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、汎用家電、車載電化製品などに使用することができる。
1 CSP基板
2 CSPの電極
3 回路基板
4 回路基板の電極
5 CSPのはんだバンプ
7 樹脂フラックスはんだペースト
6b 補強部
8 加熱機(乾燥炉)
9 はんだ導電部

Claims (12)

  1. はんだ粉末とフラックスとを含む樹脂フラックスはんだペーストであって、
    前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤とを含み、
    前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂であり、
    前記活性剤は、有機塩基、有機酸、およびそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記はんだ粉末は複数のはんだ粒子を含み、該はんだ粒子は前記活性剤で覆われ、
    前記はんだ粉末の含有率は、前記樹脂フラックスはんだペーストの総重量100重量%に対して86~97重量%である、樹脂フラックスはんだペースト。
  2. 前記はんだ粒子の全表面が、前記活性剤で覆われている、請求項1に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  3. 前記はんだ粒子は、前記活性剤の被覆膜で覆われている、請求項1または2に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  4. 前記被覆膜の膜厚は、0.1~20μmである、請求項3に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  5. 前記活性剤は、大気下120℃以下の温度で液体状態を呈する、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  6. 前記活性剤は、レブリン酸、トリエタノールアミン、トリエタノールアミン・アジピン酸塩、およびセバシン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  7. 前記活性剤の含有率は、前記はんだ粉末総重量100重量%に対して0.5~3.0重量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  8. 前記硬化促進剤はホウ素含有化合物であり、
    前記硬化促進剤の含有率は、前記フラックスの総重量100重量%に対して、0.5~3.0phr含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  9. 前記ホウ素含有化合物は、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートである、請求項8に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  10. 前記フェノールノボラック樹脂は、その分子内にフェノール性水酸基とアリル基とを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  11. 前記はんだ粉末は、200℃以上の融点を有し、
    前記はんだ粉末は、Sn単体、または、Sn-Ag合金系、Sn-Cu合金系、Sn-Ag-Cu合金系、もしくは追加金属をさらに含む前記合金を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  12. 回路基板に、請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
    前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、該導電部の周囲の少なくとも一部が前記フラックスの硬化物で覆われることによって形成された補強部とを備える、実装構造体。
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