JP2022113418A - 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体 - Google Patents

樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2022113418A
JP2022113418A JP2021009654A JP2021009654A JP2022113418A JP 2022113418 A JP2022113418 A JP 2022113418A JP 2021009654 A JP2021009654 A JP 2021009654A JP 2021009654 A JP2021009654 A JP 2021009654A JP 2022113418 A JP2022113418 A JP 2022113418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solder
flux
resin
solder paste
curing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021009654A
Other languages
English (en)
Inventor
浩平 五十井
Kohei Isoi
裕久 日野
Hirohisa Hino
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2021009654A priority Critical patent/JP2022113418A/ja
Publication of JP2022113418A publication Critical patent/JP2022113418A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、高融点はんだへの適用性に優れ、かつ優れた接続安定性(はんだ溶融性)と優れたせん断密着力とを兼ね備える樹脂フラックスはんだペーストおよびそれを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供する。【解決手段】樹脂フラックスはんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストである。前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤と硬化反応調整剤とを含む。前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂を含む。前記硬化促進剤は、ホウ素含有化合物を含む。前記硬化反応調整剤は、リン含有化合物を含む。前記硬化反応調整剤と前記硬化促進剤との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))は、5/1~1/1である。【選択図】図1

Description

本発明は、主として回路基板に半導体部品または電子部品などをはんだ付けする際に用いられるはんだペーストのうち、フラックス成分にエポキシ樹脂を含むはんだペーストおよび実装構造体に関するものである。
近年、携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル機器の小型化、高機能化が進んでいる。これに対応できる実装技術として、BGA(Ball Grid Array)またはCSP(Chip Scale Package)などの実装構造が多く用いられている。モバイル機器は、落下衝撃などの機械的負荷にさらされやすい。QFP(Quad Flat Package)では、そのリード部分において、衝撃を吸収する。しかし、衝撃を緩和するリードを持たないBGAまたはCSPなどでは、耐衝撃信頼性を確保することが重要となってきている。そのため、デバイス実装での高いはんだ接続信頼性が必須となってきており、それを実現できる構造的な手法およびはんだ材料が望まれている。
そこで、さらなる対策として、フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペーストを用いた半導体実装構造体およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペースト(以下、樹脂フラックスはんだペーストと称する)は、加熱してはんだが溶融接続する工程で、フラックス中に含まれる樹脂とはんだが分離して、はんだの周辺を樹脂が覆う補強構造を形成し得る。その補強の結果、はんだの接続部の強度を高くすることが可能になる。
図3は、上記はんだペーストを用いて接合した接続部の断面図である。図3に示すように、回路基板1に設けた電極2と、回路基板3に設けた電極4との間を、はんだ導電部9Aで接合し、その周囲が硬化後の固体樹脂である補強部6bで補強された構造となっている。
この樹脂フラックスはんだペーストを用いた実装工程では、樹脂フラックスはんだペーストをメタルマスクを用いて回路基板の配線電極など所定の位置に印刷後、リフロー炉で加熱される。その際、フラックスによって、はんだ付けされる金属表面の酸化膜およびはんだ粉末表面の酸化膜を還元反応で化学的に除去する作用、すなわちフラックス作用が働き、はんだの溶融接続が可能となる。その後、引き続きエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化が進み、回路基板の配線電極と電子部品の接合および樹脂での補強が、1回の加熱リフロー工程で行われる。
一方、通常の(熱硬化性樹脂含まない)クリームはんだペーストに用いられるはんだ材料としては、従来はPb共晶はんだが利用されていたが、昨今では環境への配慮から鉛フリーはんだが利用されている。この鉛フリーはんだには、Sn-Bi系はんだ、Sn-Ag-Cu系はんだ(以下、単にSACはんだとも称する)、Sn-Cu系はんだなどがある。SACはんだなどを用いた実装では、高接続信頼性の実現の対策として、金属組成の異なるIn入りのはんだなども実用化されてきている。SACはんだは、その代表格として、SAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ(以下、単にSAC305はんだとも称する)およびより銀比率の低いSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだ(銀比率1%)(以下、単にSAC105はんだとも称する)が検討されて、徐々に実用化されてきている。
前述したように、樹脂フラックスはんだペーストを用いることで、プロセスの遅延およびコストの問題が生じることなく、樹脂で形成された補強構造によって接続信頼性を高めることができる。しかしながら、このような樹脂フラックスはんだペーストで実用化されているものは、特許文献1に示されるような、Sn-Bi系はんだなどの低融点はんだを用いたものである。例えば、SACはんだなどの高融点はんだを用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストは、まだほとんど実用化されていない。
特許第5204241号公報
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記実用されていない原因は、以下に示すものであることを見出した。例えば、融点が約220℃であるSAC305はんだをリフロープロファイルにおいて十分に溶融させるためには、実装のリフロー炉のピーク温度を240~260℃まで上げる必要がある。一般的に、樹脂フラックスはんだペーストのフラックス中の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は、通常100~150℃で硬化反応を開始する。そのため、リフロープロファイルにおいて、樹脂フラックスはんだペースト中に分散しているはんだ粒子が、融点で溶融し凝集接合する前に、エポキシ樹脂が先に硬化を始めて増粘してしまう。そのため、はんだ粒子は粒子同士の溶融合体が阻害され、はんだ接合ができず、はんだ周囲の樹脂補強構造の形成も困難となる。しかも、エポキシ樹脂は、200℃付近の高い温度では、150℃付近の温度と比べて非常に硬化速度が速くなり短時間で固化してしまう。そのため、特に高融点のはんだの場合、高温での樹脂フラックスはんだペーストでのはんだ接合部分および樹脂補強部分の形成は、非常に困難となっていた。つまり、はんだの溶融前に樹脂の硬化が起こってしまい、はんだの溶融接続が十分に形成できなかった。
一般的には、エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン化合物やイミダゾールや酸無水物などがよく知られている。そこで、本発明者らは、先述のように、SAC305はんだの融点の約220℃まではエポキシ樹脂の硬化がほとんど進まず、融点より高い温度域(高温域)にて硬化反応が始まるような硬化系を鋭意検討した。その結果、本発明者らは、フェノールノボラック樹脂が、その高温域で硬化剤として機能し、その高温域での求められる硬化反応挙動に合致することを見つけだした。
本発明者らはさらに検討した結果、以下の課題を見出した。硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂は、室温(例えば、25℃)から、SAC305はんだの融点220℃までの低い温度域では、エポキシ樹脂との反応性は低いため、室温での保存安定性に優れている。その一方で、220℃以上の高い温度域でのエポキシ樹脂との反応性が十分に高くなく、完全硬化までには長時間を要するという欠点を見出した。そこで、高い温度域でのエポキシ樹脂と硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂との反応性を向上させるために、硬化促進剤としてホウ素含有化合物を添加することを見出した。
本発明者らのさらなる検討の結果、硬化促進剤を添加することの弊害、つまり、低い温域でのフェノールノボラック樹脂のエポキシ樹脂との反応が低い温度域で進行するとの弊害を抑制するために、硬化反応調整剤としてリン含有化合物を添加することを見出した。
本発明者らは、要するに、樹脂フラックスはんだペーストによる望ましい硬化系は、はんだの融点未満の温度域(低温域)では樹脂の硬化反応は殆ど進まず、はんだの融点以上の温度域(高温域)では、短時間で急速に硬化反応が完了するという硬化挙動を示す硬化系であるとの技術思想に至った。このような技術思想に基づけば、低温域では、樹脂の硬化反応がほとんど進行しないため、樹脂フラックスはんだペーストの保存安定性に優れる。一方、高温域で短時間で急速に硬化反応が完了するため、はんだの溶融と樹脂の硬化が並行して進行する。これにより、樹脂フラックスはんだペースト中に分散するはんだ粒子が溶融して凝集接合し、溶融合体が形成され、溶融合体の少なくとも一部を被覆する樹脂補強構造も形成される。
本発明は、以上の様な最適な硬化バランスのとれた樹脂硬化系を有する樹脂フラックスはんだペーストを提供することを目的とする。つまり、本発明は、高融点はんだへの適用性に優れ、かつ優れた接続安定性(はんだ溶融性)と高いせん断密着力とを兼ね備える樹脂フラックスはんだペーストおよびそれを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供することを目的とする。
本発明の第1の要旨によれば、
はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤と硬化反応調整剤とを含み、
前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂を含み、
前記硬化促進剤は、ホウ素含有化合物を含み、
前記硬化反応調整剤は、リン含有化合物を含み、
前記硬化反応調整剤と前記硬化促進剤との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))は、5/1~1/1である、樹脂フラックスはんだペースト。
本発明の第2の要旨によれば、
回路基板に、上記樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部との周囲の少なくとも一部が前記フラックスの硬化物で覆われることによって形成された補強部とを備える、実装構造体。
本発明は、高融点(例えば、200℃以上の高い融点)のはんだの接続に適用することができ、かつ優れた接続安定性と高い密着力を有するはんだペーストおよび、それを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供することができる。
本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の樹脂フラックスはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 従来のはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。 実施例2の樹脂フラックスはんだペーストのフラックスをTAインスツルメント社製レオメーター『DHR-2』粘弾性測定装置にて、定速で加熱および冷却した時の弾性率の挙動を示している。 比較例3の樹脂フラックスはんだペーストのフラックスをTAインスツルメント社製レオメーター『DHR-2』粘弾性測定装置にて、定速で加熱および冷却した時の弾性率の挙動を示している。
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、本発明の目的の範囲内で適宜変更して実施することができる。以下、樹脂フラックスはんだペーストおよび実施構造体について詳細に説明する。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら具体的に説明する。
<樹脂フラックスはんだペースト>
本発明の実施形態に係る樹脂フラックスはんだペースト(以下、単に「はんだペースト」とも称する)は、
はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤と硬化反応調整剤とを含み、
前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂を含み、
前記硬化促進剤は、ホウ素含有化合物を含み、
前記硬化反応調整剤は、リン含有化合物を含み、
前記硬化反応調整剤と前記硬化促進剤との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))は、5/1~1/1である。
本実施形態に係るはんだペーストは、高融点はんだへの適用性に優れ、かつ優れた接合安定性および優れた密着性を兼ね備える。その理由は以下のように推測される。本実施形態に係るはんだペーストでは、フラックスがエポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂と、硬化促進剤としてのホウ素含有化合物と、硬化反応調整剤としてのリン含有化合物とを含む。硬化反応調整剤と硬化促進剤との比率が5/1~1/1である。このように、本実施形態に係るはんだペーストは、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を含み、硬化促進剤としてのホウ素含有化合物と硬化反応調整剤とを所定の比率で含む。これにより、はんだ粉末の融点未満の低温域(例えば、200℃未満の温度域)での硬化反応の進行を抑制しつつ、はんだ粉末の融点以上の高温域(例えば、200℃以上の温度域)での硬化反応を効率よく加速させるというエポキシ樹脂の温度域ごとの反応性を調整することが可能となる。これにより、はんだペーストを加熱すると、その温度がはんだ粉末の融点に達してからはんだ粒子の溶融および凝集が起こり、さらに過熱してその温度が硬化反応開始温度に達してから硬化反応の進行が加速する。このため、はんだ粒子の溶融および凝集が、硬化反応に起因するフラックスの増粘に阻害されにくくなり、はんだが適切に溶融接続して接合部を形成できる。硬化反応は、はんだの溶融および凝集の後に急激に加速するため、はんだ接合部外部に硬化反応で形成される樹脂硬化物によって被覆される。これにより、接合部の少なくとも一部を被覆する樹脂補強部が形成される。
以上から、本実施形態に係るはんだペーストは、高融点のはんだ適用性に優れ、かつ優れた接続安定性および高い密着力を兼ね備える。
[はんだ粉末]
本実施形態に係るはんだペーストに含まれるはんだ粉末は、特に限定されないが、融点が180℃以上、特に200℃以上のはんだ粉末が用いられることが好ましい。はんだ粉末の組成は、特に限定されないが、Sn単体、またははんだ合金の形態であってもよい。はんだ合金としては、例えば、Snをベースとした、Sn-Ag-Cu系(SACはんだ)、Sn-Cu系はんだ、またはSn-Ag系はんだの合金などが挙げられる。SACはんだとしては、例えば、融点が220℃であるSAC305(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ、または融点が225℃であるSAC105(Sn-1.0Ag-0.5Cu)はんだなどが挙げられる。Sn-Ag系はんだとしては、例えば、融点が221℃であるSn-3.5Agはんだなどが挙げられる。Sn-Cu系はんだとしては、例えば、融点が227℃であるSn-0.7Cuはんだなどが挙げられる。これらのはんだ合金のうち、好ましくは、SAC305はんだまたはSAC105はんだであり、より好ましくはSAC305である。これは、現在、SAC305はんだは、民生電子機器に汎用的に用いられており、高い接続信頼性と低コストを実現しているため、および、CSPやBGAパッケージのはんだボール用としても汎用的に用いられているためである。
はんだ粉末の含有率は、本実施形態に係るはんだペーストの全質量100重量%に対して、好ましくは60質量%以上95質量%以下である。はんだ粉末の含有率が60質量%以上である場合、金属比率が高いため、はんだ部分が細い形状になりにくく、強度および電気導通性が大きくなる傾向にあり、十分な金属接続を形成することができる。また、はんだ粉末の含有率が95質量%以下である場合、はんだ表面の酸化膜を還元する活性剤の比率が、エポキシ樹脂の比率に対して高くなりすぎないため、はんだ接続の周囲の少なくとも一部を効果的に樹脂補強することができる。よって、はんだ含有率が60質量%以上95重量%以下である場合、優れた接続構造を形成することができる。
本明細書におけるはんだ粉末の組成は、はんだ粉末に含まれる元素の元素記号をハイフンで結んで表記している。本明細書中、はんだ粉末の金属組成を説明するのに、金属元素の直前に数値または数値範囲を示すことがあるが、これは、当該技術分野において一般的に使用されているように、金属組成中に占める各元素の質量%(=質量%)を数値または数値範囲で示すものである。はんだ粉末は、列挙した元素で実質的に構成されている限り、不可避的に混入する微量金属であって、例えばNi、Ge、Zn、Sb、Cuなどである金属を含んでいてもよい。
本明細書におけるはんだ粉末(またははんだ)の融点は、試料の加熱昇温過程での状態変化を観察したときの、融け終わりの温度をいい、示差走査熱量測定(DSC)、示差熱・熱重量測定(TG-DTA)などを使用して測定することができる。
[フラックス]
本実施形態では、フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、活性剤と、硬化反応調整剤とを含む。フラックスは、これらの成分に加え、その他の成分をさらに含んでもよい。
フラックスは、好ましくはレオメータを用いて弾性率を測定したときに、フラックスを20℃/分で定速昇温加熱した際の弾性率上昇開始温度が220℃以上である。かかる場合、フラックスの弾性率上昇開始温度がはんだ粉末の融点に比べて高くなる傾向にある。このため、はんだフラックスを加熱した場合に、先にはんだが溶融および凝集し、後にまたは並行してエポキシ樹脂と硬化剤とが反応する。よって、はんだ粉末の溶融および凝集が硬化反応によるはんだペースの増粘によって阻害されにくいため、はんだ接合部を形成しやすい。フラックスの弾性率上昇開始温度およびその測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
以下で、フラックスに含まれる各必須成分についてさらに詳細に説明する。
(エポキシ樹脂)
本実施形態ではフラックスはエポキシ樹脂を含む。フラックスがエポキシ樹脂を含むと、はんだ粉末など他の成分がエポキシ樹脂に容易に分散される。エポキシ樹脂は、常温で液体(液状)であることが好ましいが、常温で固体のエポキシ樹脂を液体のエポキシ樹脂と混合することで液体化してもよく、または常温で固体のエポキシ樹脂に溶剤を添加することで液体化してもよい。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、例えば、1分子内にエポキシ基を2つ以上有するものであれば、その分子量および分子構造は特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型またはオレフィン酸化型(脂環式)などの各種の液状のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的に市販されている商品としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:品番jER828)およびYD8125(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量170)などを挙げることができる。
エポキシ樹脂は、先述のように、エポキシ樹脂にはんだ粉末(より具体的には、SACはんだ)を分散させるため、液状エポキシ樹脂に溶剤を添加することが好ましい。つまり、好適な一態様では、はんだペーストの成分の分散性をさらに向上させる観点から、好ましくは、フラックスは溶剤をさらに含み、エポキシ樹脂は常温で液状である。
(硬化剤)
本実施形態では、フラックスは硬化剤を含む。硬化剤はフェノールノボラック樹脂を含む。硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂は、はんだペーストが例えば220℃に加熱された場合に、エポキシ樹脂と硬化反応を起こして、エポキシ樹脂を硬化させる。フェノールノボラック樹脂は、好ましくは1分子内(1分子鎖内)に少なくとも2個以上のフェノール性水酸基と、アリル基とを有する。フェノールノボラック樹脂は、1種類を用いてもよく、または2種類以上を用いてもよい。フェノールノボラック樹脂が2種類以上である場合、好ましくは、そのうちの1つは、繰り返し単位中(フェノールユニット中)にフェノール性水酸基およびアリル基の両方を有するフェノールノボラック樹脂(例えば、[化1]参照)であり、そのうちの別の1つが、ビフェニルアラルキル樹脂である。
前者のフェノールノボラック樹脂は、アリル基の立体障害効果で、フェノール性水酸基同士の水素結合による分子鎖の整列が妨げられるために、本来は固体であるべきところを、この効果により低粘度化されるものと推測される。特に、このフェノール樹脂のうち、低分子量の二量体(例えば、[化1]におけるn=0である化合物)のものは、液状の形態をとることができる。具体的に市販されている商品として、例えば、明和化成(株)製:MEH-8000H(粘度1500~3500mPa・s、水酸基当量139~143)や、MEH-8005(粘度4500~7500mPa・s、水酸基当量133~138)などが挙げられる。なお、本開示において、水酸基当量とは、日本工業規格(JIS)-K0070に準拠した中和滴定法によって測定した数値を指す。
Figure 2022113418000002
この繰り返し単位中にフェノール性水酸基とアリル基の両方を有するフェノールノボラック樹脂は、エポキシ樹脂との硬化物のガラス転移温度(Tg)が、60~70℃と低い値になる。そこで、80℃以上の高いTgにするために、エポキシ樹脂の場合と同様に、硬直な骨格のフェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。それを用いることで、硬化物の架橋密度を上げることが硬化物の剛性を向上することができる。
そこで、本発明者らが硬直な骨格のフェノールノボラック樹脂を鋭意検討した結果、ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(上述した、後者のフェノールノボラック樹脂)がもっとも優れていることを発見した。また、エポキシ樹脂の場合と同様に、SACはんだが溶融するまでは、樹脂の硬化が進まないことが望ましい。このような観点から、好適な一態様では、硬化剤は、水酸基当量が150~350のビフェニルアラルキルフェノール樹脂を硬化剤の全量100重量%に対して30~95重量%含み、水酸基当量が100~200のアリル基を有するフェノールノボラック樹脂を硬化剤の全量100重量%に対して5~70重量%含む。この固形のフェノールノボラック樹脂は、具体的には、ビフェニルアラルキル樹脂:品番MEH-7851(明和化成製、水酸基当量210)が挙げられる。
(活性剤)
活性剤は、例えば、はんだペーストを加熱する温度域(より具体的には、高温域)において、被接合部材(より具体的には、電子部品の電極、配線および/またははんだ粉末)の表面に存在する金属酸化膜を除去する。
活性剤の種類は、金属酸化膜を除去する機能を有する限り任意の適切なものであり得、種類は限定されない。例えば、はんだペーストを加熱する温度域において、被接合部材である電子部品の電極、配線および/またははんだ粉末表面に存在し得る酸化膜を除去する還元力を有する有機酸、ハロゲンまたはアミン塩などが用いられ得る。電気・電子用途では、ハロゲン化合物は、エポキシ樹脂硬化物に含まれると絶縁不良の原因となるため、好ましくない。また、一般的なアミン塩は、エポキシ樹脂と反応するため、保存性を損なう傾向がある。それらを考慮すると、活性剤は、絶縁性の耐劣化特性に優れる有機酸が好ましい。
有機酸は、特に優れたフラックス作用(ここで、フラックス作用とは、はんだペーストが塗布される金属表面に生じた酸化皮膜を除去するという還元作用、および、溶融はんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を促進する作用を意味する)を有する。さらには、エポキシ樹脂との反応性は、室温下ではアミン塩ほど強い反応性はなく、加熱時には、エポキシ樹脂と反応することができる。
有機酸は、はんだを還元させて酸化膜を取り除いた後は、エポキシ樹脂の硬化物中に取り込まれるため、殆ど腐食性等の弊害も起こさない。
有機酸の種類は、特に限定されるものではなく、任意の有機化合物の酸を用いることができる。例えばアビエチン酸に代表されるロジン成分材料や、セバシン塩、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、ピメリン酸などを用いることができる。
特に、エポキシとの反応を考慮すると、架橋密度を低下させない2塩基酸が好ましい。
なお、有機酸は、そのカルボキシル基が、200℃以下でもエポキシ基と反応するため、はんだペースト中のフラックスの増粘に関与する。そのため、活性剤として有機酸を用いる場合、該有機酸の融点は、好ましくは130℃以上220℃以下、より好ましくは140℃以上200℃以下である。これは、かかる高融点を有する2塩基酸の有機酸を用いることによって、後述するようなはんだの溶融および凝集を阻害し難いということが分かったためである。
具体的には、高融点の例えばSACはんだのようなはんだに対しては、130℃以下の低温域では活性力(すなわち、はんだ表面の酸化膜の除去という還元作用)は小さく、高温域で活性力を発現することが望ましい。融点が130℃以上220℃以下である有機酸としては、例えば、2塩基酸の一種であるコハク酸(融点186℃)、アジピン酸(融点152℃)、コルク酸(融点142℃)、セバシン酸(融点133℃)などが挙げられる。なお、シュウ酸無水和物は、融点が189℃と高いが、吸湿性が高く、吸湿により低融点(融点101℃)の2水和物になる。また、イソフタル酸(融点340℃)のようにSACはんだの融点よりも高い融点の有機酸は、はんだの酸化膜を除去する働きが通常期待できない。しかしながら、本発明に利用可能な有機酸から、融点が130℃未満または220℃超であるこれら有機酸を排除する趣旨ではなく、実際に使用するはんだおよびリフロー温度等に応じて適宜使用されてもよい。これらの有機酸は、1種類の成分であってもよく、2種類以上の成分を混合してもよい。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤(フェノールノボラック樹脂)との硬化反応を促進する。硬化促進剤は、ホウ素含有化合物を含む。エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂との硬化反応は、比較的反応性が低い部類に入る。このため、はんだペーストが硬化促進剤を含まない場合、高温域であっても硬化反応がほとんど起こらない。硬化反応は、高温域において比較的短時間で進行することが望ましい。このため、硬化促進剤の添加が必要となる。
本発明者らが硬化促進剤の種類について鋭意検討した結果、ホウ素含有化合物を導き出した。具体的には、通常よく使用される効果促進剤としてイミダゾールやDBU系の塩や三級アミン系化合物が挙げられるが、これらは、低温域でも活発に硬化促進するため、SACはんだ溶融前に樹脂が反応して、はんだペーストが増粘・固化してしまい、適切なはんだ接続ができなくなってしまうことを見出した。
本発明者らはさらに検討し、低温域で硬化反応がほとんど進行せず、かつ高温域で硬化反応が進行する(好ましくは、比較的短時間に急激に硬化反応が進行する)硬化促進剤として、ホウ素含有化合物を導き出した。本実施形態では、硬化促進剤はホウ素化合物を含む。
硬化促進剤としてのホウ素含有化合物としては、例えば、アリールボラン錯体およびアリールボレート塩(より具体的には、リン含有のアリールボラン錯体およびアリールボレート塩)が挙げられる。リン含有のアリールボラン錯体およびアリールボレート塩は、有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩の何れかに相当する。つまり、ホウ素含有化合物は、有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩のうちの一つ以上を含み得る。有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩としては、例えば、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびテトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートが挙げられる。硬化促進剤は、これらの複数のホウ素含有化合物のうちの1種であってもよく、2種以上であってもよい。すなわち、ホウ素含有化合物は、[化2]に示すように、好ましくは、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびテトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートのうちの一つ以上であり、より好ましくはテトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートである。
Figure 2022113418000003
特に、テトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートはその融点も305℃と高いため、本実施形態に係るはんだペーストが硬化促進剤としてテトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートを含むと、さらなる高融点はんだへの適用性に優れる。なお、これらの好適なホウ素含有化合物はまた、リン系の第4級ホスホニウム化合物および第3級ホスフィン化合物である。
硬化促進剤の含有率は、好ましくは、全フラックス量に対して、0.5~3.0phrである。硬化促進剤の含有率が、全フラックス量に対して0.5phr以上であると、硬化反応が比較的半時間で進行する傾向にある。また、硬化促進剤の含有率が、全フラックス量に対して3.0phr以下であると、低温域における硬化反応の進行が効果的に抑制される傾向にある。ここで、含有率の単位「phr」は、溶剤を除いた全フラックス重量(フラックスの固形分全重量)に対する添加物の重量%を数値で示したものである。
(硬化反応調整剤)
本実施形態に係るはんだペーストは、硬化反応調整剤を含む。硬化反応調整剤は、エポキシ樹脂と硬化剤(フェノールノボラック樹脂)との硬化反応の進行を調整する。はんだペーストが硬化反応調整剤を含まない場合、はんだペーストは、反応促進剤(例えば、リン系第4級ホスホニウム化合物)を含むため、低温域であっても硬化反応の進行が促進されることがあった。本発明者らによる鋭意検討の結果、硬化反応調整剤を添加することで、本実施形態に係るはんだペーストは、低温域において硬化反応の進行が効果的に抑制されることが見出された。
硬化反応調整剤は、低温域で硬化反応の進行を抑制する機能を有するが、好ましくは、さらに高温域において活性剤としての機能も有することができる。このような硬化反応調整剤としては、例えば、リン含有化合物(より具体的には、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(以下、HCAと称する)等)が挙げられる([化3]参照)。
Figure 2022113418000004
以下、HCAを例に挙げて、硬化反応調整剤が硬化反応の進行を調整するメカニズムを説明する。[化3]に示すように、HCAは、その化合物中のリン原子(P)と繋がった活性水素を一つ有している。この活性水素が、還元反応に寄与することが知られている(つまり、HACは還元剤としても機能する)。
低温域では、HCAが本実施形態に係るはんだペースト中に含まれる場合、HCAの活性水素がフェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基(の酸素原子)と弱い水素結合を形成し、これにより、HCAがフェノールノボラック樹脂と錯体を形成すると推測される([化4]参照)。
Figure 2022113418000005
フェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基は、エポキシ樹脂との硬化反応において反応部位として機能するが、HCAとの錯体形成によって安定化するため、エポキシ樹脂との反応性が低下する。このため、低温域では、フェノールノボラック樹脂の反応部位の活性がHCAによって低下するため、硬化反応の進行が抑制されると推察される。
一方、フェノールノボラック樹脂のフェノール性水酸基と、HCAの活性水素とで形成される水素結合は、その強度が比較的弱い。このため、[化4]の下部に示すように、高温域では、水素結合が切れて、フェノールノボラック樹脂とHCAとが解離して、はんだペースト中で錯体が形成されにくくなる。解離したフェノールノボラック樹脂は、硬化促進剤(例えば、リン系第4級ホスホニウム化合物)の作用を受けて、エポキシ樹脂と効率的に反応すると推察される。このようにして、HCAは、本実施形態に係るはんだペーストにおいて、硬化反応調整剤として作用すると推測される。
さらに、HCAは、上述のように還元性も有する。このため、高温域では、解離したHCAがはんだ表面の酸化膜と還元反応を起こして、はんだの溶融を促進する。このようにHACは高温域で活性剤としても機能する。このようにHCAは活性剤としても機能するため、リン含有化合物はHCAを含むことが好ましい。
硬化反応調整剤の含有率は、好ましくは、全フラックス量に対して、1.0~9.0phrである。
(硬化反応調整剤と硬化促進剤との比率)
前記硬化反応調整剤(例えば、HCA)と硬化促進剤(例えば、リン系第4級ホスホニウム化合物)との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(質量比:w/w))は、5/1~1/1である。
比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が5/1~1/1の範囲内である場合、低温域では、フェノールノボラック樹脂とエポキシ樹脂との硬化反応を抑制させることができる。また高温域では、硬化反応調整剤は、フェノールノボラック樹脂とで形成される錯体から解離して、単独の存在となる。硬化促進剤の促進作用を受けてエポキシ樹脂と効率的に反応することができる。さらに、硬化反応調整剤がHACのように活性剤としても機能する硬化反応調整剤である場合、この硬化反応調整剤は、活性剤としてはんだ表面の酸化膜と還元反応を起こして、はんだの溶融を促進することができる。
比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が5/1~1/1の範囲外である場合、より具体的には、硬化反応調整剤の比率が、硬化促進剤1に対して5よりも多い場合(前記比率が5/1より大きい場合)は、硬化反応調整剤の反応抑制効果が大きくなり過ぎて、高温域におけるフェノールノボラック樹脂とエポキシ樹脂との反応性が弱くなり完全硬化までの時間がかかるため、一定のリフロー時間内では十分な硬化物が得られず、樹脂特性が劣ってしまう。
逆に、硬化反応調整剤の比率が、硬化促進剤1に対して1よりも小さい場合(前記比率が1/1より小さい場合)は、硬化反応調整剤の硬化抑制効果が小さくなり、低温域であってもフェノールノボラック樹脂とエポキシ樹脂との反応が進行し、はんだの溶融性を阻害してしまう。
(その他の成分)
本実施形態では、フラックスは、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、活性剤、および硬化反応調整剤に加え、これらの成分以外のその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、例えば、通常用いられる改質剤(より具体的には、ロジン)、溶剤、およびチクソ付与剤などが挙げられる。溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルが挙げられる。フラックスに溶剤を添加して、はんだペーストの粘度および流動性を調整すること(より具体的には、その粘度の低減および流動性の付与等)ができ、これにより、はんだペーストの成分(例えば、はんだ粉末)の分散性を向上することができる。チクソ性付与剤としては、例えば、硬化ヒマシ油、ステアリン酸アミド、ソルビトール化合物、および水素添加ヒマシ油が挙げられる。フラックスにチクソ付与剤を添加して、はんだペーストの形状(例えば、印刷形状)を保持することができる。チクソ付与剤の具体的な商品としては、例えば、新日本理化株式会社製:ゲルオールDなどが挙げられる。
(はんだペーストの製造方法)
次に、上述した本発明の実施の形態におけるはんだペーストの調製方法、および当該はんだペーストを用いて回路基板に電子部品を実装して実装構造体を作製(または製造)する具体的な方法の1例を示す。
まず、前述したエポキシ樹脂、硬化剤(フェノールノボラック樹脂)を加熱溶解して、均一な樹脂混合物を作製する。次いで、活性剤、硬化反応調整剤、および硬化促進剤をそれぞれ秤量し、樹脂混合物に混合して、フラックスを作製する。その後、フラックスに、はんだ粉末を添加して混合・混練する。このようにしてはんだペーストを作製する。
なお、溶剤は、活性剤等の添加前に必要に応じて添加してフラックスを低粘度化してもよい。また、印刷性を改善するために必要に応じて、チクソ性付与剤を加えてもよい。
<実装構造体>
本発明の実施形態に係る実装構造体は、回路基板に、上述のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、電子部品と回路基板とが金属接合された導電部と、導電部との周囲がフラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部とを備える。
図1を参照して、本実施形態に係る実装構造体を説明する。図1は、はんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。図1に示すように、実装構造体(例えば、半導体装置)は、回路基板1および回路基板3と、回路基板1,3に設けた電極2,4と、電極2,4間を金属接合するはんだ導電部(接合部)9と、はんだ導電部9の表面の少なくとも一部を被覆する補強部6bとを備える。電極2を設けた回路基板1は、電子部品(例えば、チップ部品および半導体部品)である。チップ部品としては、例えば、チップ抵抗およびチップコンデンサである。電極4を設けた回路基板3は、例えば、プリント基板である。半導体部品としては、例えば、端子としてはんだボールを設けて形成されたCSPもしくはBGA、端子としてリードを設けて形成されたQFPなどの半導体パッケージ、およびパッケージに収容されずに端子を設けて形成された半導体素子(ベアチップ)である。回路基板1,3は導電配線を有する。電極2は電子部品の端子である。電極2,4は、はんだ導電部9を介しては電気的に接続する。補強部6bは、フラックスの硬化物で構成され、はんだ導電部9の表面(周囲)の少なくとも一部を覆うことにより、はんだ導電部9を補強し、機械的強度を向上させる。フラックスの硬化物は、はんだペースト中のエポキシ樹脂が熱硬化した硬化物である。
(実装構造体の製造方法)
本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いて、例えば、導体配線を有する回路基板などに電子部品(より具体的には、半導体部品等)を実装して本実施形態に係る実装構造体を製造することができる。この実装では、上記はんだペーストを用いて、電子部品の端子と回路基板の電極とを接合させ、はんだ導電部(接合部)9を形成する。図2A~図2Dを参照して、実装構造体の製造方法の一例を説明する。図2A~図2Dは、本発明の実施形態に係るはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。実装構造体の製造方法は、例えば、塗布工程と、搭載工程と、接合工程とを含む。
塗布工程は、図2Aに示すように、回路基板3の電極4にはんだペースト7を塗布する。はんだペースト7の塗布は、例えば、電極4と同じ位置に貫通孔を設けたメタルマスクを回路基板3に重ねた後、メタルマスクの表面にはんだペースト7を供給し、スキージで貫通孔に充填することによって行うことができる。その後、メタルマスクを回路基板3から離すと、電極4ごとにはんだペースト7が塗布された回路基板3を得ることができる。
搭載工程は、図2Bに示すように、チップマウンターなどを用いて、はんだペースト7が塗布された電極4と、回路基板1の電極2とが互いに対向するようにして電子部品(回路基板1)を回路基板3に搭載する。具体的には、塗布したはんだペースト7が未硬化状態のまま、塗布された回路基板3の電極4とその上に電子部品(例えば、チップ部品または半導体部品)の端子とが対向するように、電子部品を回路基板とを重ねる。なお、搭載工程に用いる回路基板1の電極2上には、はんだバンプ5が形成されている。
接合工程(リフロー工程)は、図2Cに示すように、電子部品が搭載された回路基板1を、加熱機8を用いて加熱する。例えば、チップ部品が配置されたプリント配線板をリフロー炉で所定の加熱温度まで加熱する。これにより、図2Dに示すように、はんだ粉末が溶融してはんだボールとが一体化したはんだ導電部9と、導電部9の表面がフラックスの硬化物(エポキシ樹脂の硬化物)から構成される補強部6bとが形成される。電子部品と回路基板1とは、はんだ導電部9を介して電気的に接合している。
接合工程では、はんだ粉末を十分に溶融・凝集させ、その後フラックスの樹脂成分の硬化反応が充分かつ適切に進行する必要がある。詳細には、接合工程において、はんだ粉末が十分に溶融する前に、はんだペースト中のフラックス成分であるエポキシ樹脂の硬化反応が進行してしまうと、フラックスが増粘してしまう。すると、はんだ粒子の凝集および溶融が阻害されて、適切な金属導通が取れなくなる。このような事態を避け、かつ適切な導通を得て良好な機械的強度を得るために、加熱機8(例えば、リフロー炉)の温度が使用するはんだ粉末の融点に昇温するまでは、フラックスの樹脂の硬化反応を遅くさせる(硬化反応の進行を抑制する)必要がある。かつ、加熱機8の温度がはんだ粉末の融点に到達して、はんだ粉末が十分に溶融し、電子部品(例えば、半導体部品)のはんだボールと溶融合体し、回路部品の電極金属と溶融接合した後は、フラックスの樹脂は短時間(例えば、数分程度)で硬化反応を完了することが必要である。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は、質量基準である。
<はんだペーストの作製>
はじめに、以下に示すはんだペーストを構成する成分(はんだ粉末、およびフラックスの原料等)を準備した。
[はんだ粉末]
・SAC305:Sn-3.0Ag-0.5Cu、平均粒径は10~25μm、融点は219℃(三井金属鉱業株式会社製)
・SAC105:Sn-1.0Ag-0.5Cu、平均粒径は10~25μm、融点は225℃(三井金属鉱業株式会社製)
[フラックス]
(エポキシ樹脂:ベースエポキシ樹脂)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD8125(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、エポキシ当量170)
(硬化剤:アリル基を有するフェノールノボラック樹脂(液状フェノール樹脂))
・アリル化フェノールノボラック樹脂(アリル変性フェノールノボラック樹脂):MEH8000H(明和化成株式会社製、水酸基当量140)
(硬化剤:ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(高剛性フェノール樹脂))
・ビフェニルアラルキル型フェノールノボラック樹脂、MEHC7851S(明和化成株式会社製、水酸基当量210)
(硬化促進剤)
・テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPP-K)
・テトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリート(TPP-MK)
(活性剤:有機酸)
・アジピン酸(東京化成工業株式会社製)
(硬化反応調整剤)
・HCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド)(三光株式会社製)
[その他]
(溶剤)
・ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(日本乳化剤製)
(チキソ性付与剤)
・ゲルオールD(新日本理化株式会社製)
次いで、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、活性剤と、硬化反応調整剤と、チキソ性付与剤(チキソ性付与剤)と、溶剤とを、以下に示す表1に記載の質量部を占めるような割合となるようにそれぞれ秤量した。それらを加熱混合して、均一な樹脂混合物をフラックスを作製した。このフラックスにSACはんだを加えてプラネタリーミキサーを用いて所定時間混錬して、実施例1~9および比較例1~4のはんだペーストを作製した。得られたはんだペーストの組成を表1~4にまとめた。なお、配合量は質量部を表す。単位phrは、溶剤を除いた全フラックス重量(フラックスの固形分全重量)に対する添加物の重量%を数値で示したものである。
Figure 2022113418000006
Figure 2022113418000007
Figure 2022113418000008
<評価方法>
実施例1~8および比較例1~4について、以下の項目について評価した。評価結果は、各例におけるはんだペーストの特性として表1~3に併せて示した。
[高融点はんだへの適用性評価:弾性率上昇開始温度の測定]
粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製「レオメーターDHR-2」)を用いて、フラックスの加熱硬化時、および冷却時の弾性率変化の挙動を測定した。一例として図4および図5を参照して弾性率変化(貯蔵弾性率(G)変化)の挙動を説明する。図4は、実施例2のはんだペーストに含まれるフラックスの弾性率変化の挙動を示す。図5は、比較例3のはんだペーストに含まれるフラックスの弾性率変化の挙動を示す。表1に示す配合量を参照して、測定試料としてフラックスを調製した。所定の温度プロファイルに従ってフラックスを加熱および冷却し、並行して各時間における弾性率(図4および図5中、実線で示される)を測定した。温度プロファイルは、図4および図5中では点線で示されており、常温(25℃)から20℃/分で定速昇温し、240℃で8分間保持し、その後、低速-20℃/分で冷却するものであった。
図3では、貯蔵弾性率(G)は、フラックスを常温から定速昇温していくと、粘度の低下に伴い減少し、80℃付近で安定しほぼ一定となる。その後、フラックスの定速昇温を続けると、貯蔵弾性率(G)は230℃付近で急激な粘度上昇に伴い増加した。その後、温度が240℃で一定値となると、貯蔵弾性率(G)は安定しなだらかに増加した。このような貯蔵弾性率(G)のグラフが得られた。
得られたグラフから、フラックスを20℃/分で定速昇温加熱した時に、樹脂の硬化反応に伴う弾性率の“急上昇開始時点の温度”を読み取った。詳しくは、エポキシ樹脂と硬化剤(フェノールノボラック樹脂)とが硬化促進剤の促進効果により化学反応(硬化反応)を開始すると、この反応は高温のため一気に進んでフラックスの樹脂が架橋により三次元化し、硬化物の弾性率がアップしてくる。その弾性率変化を示すカーブ形状は、反応開始前のほぼフラットな形から、反応開始と共に急に右上がりに変化する。その急な右上がりとなる温度を“急上昇開始時点の温度”とした。このように得られた温度を粘弾性上昇開始温度とした。図4では、実施例2の粘弾性上昇開始温度は、229℃であった。
実施例2と同様にして、比較例3についてフラックスの貯蔵弾性率(G)のグラフを得た(図5参照)。得られたグラフから弾性率上昇開示温度(196℃)を読み取った。
得られた弾性率上昇開始温度から下記判定基準に基づいて、はんだペーストを判定した。判定結果○は×に対して、高融点はんだへの適用性に優れることを示す。
(判定基準)
○ :弾性率上昇開始温度が、220℃以上である
× :弾性率上昇開始温度が、220℃未満である
粘弾性上昇開始温度は、硬化反応が開始する温度(硬化反応開始温度)に相当する。図2に示すように、実施例2では、図4の示すように、硬化反応開始温度は229℃であり、SACはんだの融点(220℃)よりも高かった。よって、実施例2のはんだペーストを220℃に加熱した場合には、樹脂の反応および増粘がほとんど始まっていないため、はんだが溶融し凝集することができる。その結果、金属接続し、はんだ接合部を形成することができる。
比較例3では、図5に示すように、硬化反応開始温度(196℃)は、SACはんだの融点(220℃)よりも低かった。よって、比較例3のはんだペーストが196℃に加熱した場合に、樹脂の硬化が始まる。そのため、前記はんだペーストを220℃に加熱した場合に、すでに樹脂が硬化し増粘しているため、はんだが溶融して凝集することができず、はんだボールとして残ってしまう。
[接続安定性(はんだ溶融性)評価:はんだボールの外観]
はんだボールの外観を観察した。得られた外観結果から下記判定基準に基づいて、はんだボールを介した電極間の接続性(接続安定性)を評価した。評価結果を表1~2にまとめた。接続安定性は日本工業規格(JIS)Z3197に準拠して評価した。判定結果×、△、〇、および◎の順に接続安定性が向上することを示す。評価結果を表1~3にまとめた。
(判定基準)
◎(レベル1):はんだが溶融して大きな球になり、周囲にソルダーボールがない
○(レベル2):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが3つ以下ある
△(レベル3):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に直径75μm以下のソルダーボールが4つ以上あり、半連続の環状に並んではいない。
×(レベル4):はんだが溶融して大きな球になり、周囲に多数の細かい球が半連続の環状に並んでいる
[密着力の評価:せん断密着力の測定]
実施例1~8および比較例1~4のはんだペーストを、メタルマスクを用いてガラスエポキシ基板上に印刷し、印刷部を形成した。印刷部上に搭載部品として1005チップ抵抗を搭載し、リフロー実装した。このようにして評価用試料を作製した。ボンドテスターを用いて、搭載部品の接続部のせん断強度(Kgf/チップ)を測定した。測定サンプル数nは5であり、5つの測定値の平均値を算出し、得られた平均値をせん断密着力とした。得られたせん断密着力から下記評価基準に基づいて密着力を評価した。判定結果×、△、および〇の順に密着力が高くなることを示す。
(判定基準)
× :密着力は、1.0未満である
△ :密着力は、1.0Kgf以上2.0Kgf未満である
〇 :密着力は、2.0Kgf以上である
[総合判定]
上記3つの評価(高融点はんだへの適用性評価、接続安定性の評価および密着力の評価)から下記評価基準に基づいてはんだペーストの総合判定を行った。
(判定基準)
○ :3つの評価結果のうち、いずれも◎および〇の何れかである
△ :3つの評価結果のうち、1つも×ではなく、少なくとも1つが△である
× :3つの評価結果のうち、少なくとも1つが×である
<構成および評価結果>
[実施例1]
(構成)
例えば、表1に示すとおり、実施例1のはんだペーストは、はんだ粉末としてのSAC305はんだ402質量部と、フラックス79.96質量部(溶剤も含む値)とを含むはんだペーストであった。
フラックスは、エポキシ樹脂としてのYD8125(日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量170)30.0質量部と、硬化剤としてのフェノールノボラック樹脂と、硬化促進剤としてのホウ素含有化合物(テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート)0.658量部(1.00phr)と、活性剤としてのアジピン酸(東京化成工業(株)製)7.86重量部(12.0phr)と、硬化反応調整剤としてのリン含有化合物(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(HCA))(三光(株)社製))1.97重量部(3.0phr)とを少なくとも含んでいた。フェノールノボラック樹脂は、液状フェノールであるMEH8000H(明和化成製、水酸基当量140)11.86重量部(18.10phr)、および固形フェノールであるMEHC7851(明和化成(株)製、水酸基当量210)11.86重量部(18.10phr)であった。実施例1のフラックスは、さらにチキソ性付与剤としてのゲルオールD(新日本理科社製)1.31重量部(2.00phr)と、溶剤としてのジエチレングリコールモノヘキシルエーテル14.45重量部(3.0%対はんだペースト全量)を含んでいた。硬化反応調剤剤と硬化反応促進剤との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))は、3.0/1.0であった。実施例1は、請求項1に係る発明の範囲に包含される例であった。実施例2~8も、請求項1に係る発明の範囲に包含される発明であった。
(評価結果)
実施例1の評価結果は、弾性率上昇開始温度が227℃であり、220℃より高いため、高融点はんだへの適用性評価の判定結果は○であった。また、はんだボールの外観がレベル2であり、接続安定性(はんだ溶融性)評価の判定結果は〇であった。さらに、せん断密着力が2.2Kgfであり、密着力の判定結果は○であった。その結果、実施例1の総合判定は、○であった。
[実施例2~8]
実施例2~8は、表1~2に示すように、はんだの種類および比率、活性剤の配合量、硬化反応調整剤の配合量、硬化促進剤の種類および配合量、溶剤の配合量、ならびにチキソ性付与剤の配合量のうちの少なくとも1つを変更した以外は、実施例1と同様にして、はんだペーストをそれぞれ作製した。
実施例2は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が1.5phr/0.5phr(=3/1)であった。弾性率上昇開始温度は229℃であり、高融点はんだへの適用性評価の判定結果は〇であった。はんだボールの外観はレベル3であり、接続安定性評価の判定結果は△であった。せん断密着力は1.2Kgfであり、密着力の判定結果は△であった。よって実施例2の総合判定は、△であった。
実施例3は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が6.0phr/3.0phr(=2/1)であった。評価結果は表1に示す通りであった。以下、同様に表1または表2に示している。
実施例4は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が2.0phr/2.0phr(=1/1)であり、硬化促進剤の種類は、TPP-MK(テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート)であった。この比率は請求項1で規定する範囲の最小値を示す。
実施例5は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が8.0phr/1.6phr(=5/1)であり、この比率は請求項1で規定する範囲の最大値を示す。
実施例6は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が1.0phr/1.0phr(=1/1)であり、はんだ比率60.1%であった。
実施例7は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が9.0phr/3.0phr(=3/1)であり、はんだ比率95%であった。
実施例8は、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が3.0phr/1.0phr(=3/1)であり、はんだの種類がSAC105であった。
[比較例1~4]
(比較例1)
比較例1は、実施例1の組成(配合)と比べ、硬化促進剤の添加が無いものであった(硬化促進剤を含まなかった)。
比較例1の評価結果は、弾性率上昇開始温度が240℃より高いため、高融点はんだへの適用性評価の判定結果は×であった。はんだボールの外観はレベル2であり、接続安定性評価の判定結果は〇であったが、せん断密着力は0.8Kgfであり密着力の判定結果が×であった。以上の結果、比較例1の総合評価は、×であった。
(比較例2)
比較例2は、実施例1の組成に比べ、硬化反応調整剤の添加が無いものであった(硬化反応調整剤を含まなかった)。比較例2の評価結果は、弾性率上昇開始温度が211℃であり、220℃よりも低かったため、高融点はんだへの適用性評価の判定結果は×であった。はんだボールの外観はレベル4であり、接続安定性の評価結果は×であった。接続安定性の評価結果は、弾性率上昇温度が220℃未満であったため、比較例2のはんだペーストの温度がSAC305はんだの融点の220℃に到達する前に樹脂の硬化がはじまり、はんだ粒子の溶融集合が阻害されたためと考えられる。せん断密着力は1.1Kgfであり。密着力の判定結果は△であった。以上の結果、比較例2の総合評価は、×であった。
(比較例3)
比較例3は、実施例1の組成に比べて、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が3.0phr/5.0phr(=0.6/1)であり、この比率は請求項1で規定する比率の範囲に含まれないものであった。
比較例3の評価結果は、弾性率上昇開始温度が196℃であり、220℃よりも低いため、高融点はんだへの適用評価は×であった。はんだボールの外観はレベル4であり、接続安定性の判定結果は×であった。せん断密着力は0.5Kgfであり、密着力の判定結果は×であった。以上の結果、比較例3の総合判定は、×であった。
(比較例4)
比較例4は、実施例1の組成に比べて、比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤)が6.0phr/1.0phr(=6/1)であり、この比率は請求項1で規定する比率の範囲に含まれないものであった。
比較例4の評価結果は、弾性率上昇開始温度が240℃よりも高いため、高融点はんだへの適用性の判定結果は×であった。はんだボールの外観はレベル1であり接続安定性の判定結果は◎であった。せん断密着力は0.9Kgfであり、密着力の判定結果は×であった。以上の結果、比較例4の総合判定は、×とであった。
表1~3の結果から考察すると、実施例1~8に示すように、はんだペーストが、はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、フラックスが、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤と硬化反応調整剤を含み、硬化剤がフェノールノボラック樹脂を含み、硬化促進剤はホウ素含有化合物を含み、硬化反応調整剤はリン含有化合物を含み、(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))が5/1~1/1である場合、200℃以上の高融点はんだの接続に適用することができ、かつ優れた接続安定性と高い密着力を有する。これは、はんだペーストを加熱する場合、はんだの融点未満の温度域では樹脂の硬化反応は殆ど進まず、はんだの融点以上の温度域では短時間に硬化反応が完了するため、高融点はんだへの適用性に優れ、かつ優れた接続安定性(はんだ溶融性)と優れたせん断密着力とを両立するができるものと考えられる。
本発明のはんだペーストおよび実装構造体は、電気/電子回路形成技術の分野において、広範な用途に使用できる。例えば、各種の電子部品の接続用およびそれらを基板に接合する用途に用いることができる。さらに、例えば、これらの素子、部品、または基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、汎用家電、車載電化製品などに使用することができる。
1 CSP基板
2 CSPの電極
3 回路基板
4 回路基板の電極
5 はんだバンプ(CSPのはんだボール)
7 樹脂フラックスはんだペースト
6b 補強部
8 加熱機
9 はんだ導電部

Claims (9)

  1. はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
    前記フラックスは、少なくともエポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤と活性剤と硬化反応調整剤とを含み、
    前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂を含み、
    前記硬化促進剤は、ホウ素含有化合物を含み、
    前記硬化反応調整剤は、リン含有化合物を含み、
    前記硬化反応調整剤と前記硬化促進剤との比率(硬化反応調整剤/硬化促進剤(w/w))は、5/1~1/1である、樹脂フラックスはんだペースト。
  2. 前記リン含有化合物は、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイドを含む、請求項1に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  3. 前記リン含有化合物の含有率は、全フラックス量に対して、1.0~9.0phrである、請求項1または2に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  4. 前記ホウ素含有化合物は、有機ホスフィン化合物およびその塩、ならびに4級ホスホニウム化合物およびその塩のうちの一つ以上を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  5. 前記樹脂フラックスはんだペーストの全量100重量wt%に対して、前記はんだ粉末の含有率が60~95重量%である、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  6. 前記ホウ素含有化合物は、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびテトラフェニルホスホニウム-p-トリルボリートのうちの一つ以上であり、
    前記ホウ素含有化合物の含有率は、全フラックス量に対して、0.5~3.0phrである、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  7. 前記はんだ粉末は、200℃以上の融点を有し、
    前記はんだ粉末は、Sn単体、または、Sn-Ag合金系、Sn-Cu合金系、Sn-Ag-Cu合金系、もしくは追加金属をさらに含む前記合金を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  8. レオメータを用いて前記フラックスの弾性率を測定したときに、前記フラックスを20℃/分で定速昇温加熱した際の弾性率上昇開始温度が220℃以上である、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペースト。
  9. 回路基板に、請求項1~8の何れか1項に記載の樹脂フラックスはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
    前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部との周囲の少なくとも一部が前記フラックスの硬化物で覆われることによって形成された補強部とを備える、実装構造体。
JP2021009654A 2021-01-25 2021-01-25 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体 Pending JP2022113418A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021009654A JP2022113418A (ja) 2021-01-25 2021-01-25 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021009654A JP2022113418A (ja) 2021-01-25 2021-01-25 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022113418A true JP2022113418A (ja) 2022-08-04

Family

ID=82658215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021009654A Pending JP2022113418A (ja) 2021-01-25 2021-01-25 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022113418A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8697237B2 (en) Thermosetting resin composition, method of manufacturing the same and circuit board
JP6909953B2 (ja) ペースト状熱硬化性樹脂組成物、半導体部品、半導体実装品、半導体部品の製造方法、半導体実装品の製造方法
JP6534122B2 (ja) 樹脂フラックスはんだペースト及び実装構造体
JP5144489B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP5698447B2 (ja) はんだ接合剤組成物
EP3089844A1 (en) Rosin-free thermosetting flux formulations
JP2013256584A (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびフラックス組成物とそれを用いた半導体装置
JP7126167B2 (ja) はんだペーストおよび実装構造体
JP5952849B2 (ja) フラックス及びソルダペースト
US11623307B2 (en) Resin flux solder paste and mount structure
JP5571730B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物および半導体装置
JP5033047B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及びその製造方法
JP2020089897A (ja) はんだペーストおよび実装構造体
JP2010232388A (ja) 半導体パッケージ及び半導体部品の実装構造
JP5560032B2 (ja) はんだ接合補強剤組成物、及びこれを用いた実装基板の製造方法
JP2022113418A (ja) 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体
JP6956365B2 (ja) はんだペーストとそれにより得られる実装構造体
JP5351786B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびその製造方法
JP5475976B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物及びその製造方法並びに回路基板
JP2018195789A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、熱硬化性シート、半導体部品、半導体実装品、半導体部品の製造方法、及び、半導体実装品の製造方法
JP2022187759A (ja) 樹脂フラックスはんだペーストおよび実装構造体
JP5887541B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP5492002B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびその製造方法
JP2024017848A (ja) はんだペーストおよび実装構造体
JP7437677B2 (ja) はんだ組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231122

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20240513