JP2024016637A - SiC膜形成方法 - Google Patents

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瑠衣 林
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幹則 堀田
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Abstract

【課題】従来に比べて有意に高いプラズマ耐性を有し、かつニアネットシェイプ部材である、半導体装置用の部材を得るためのSiC膜形成方法を提供する。【解決手段】基材の表面の上に、レーザーCVD法によって、厚さが異なる部分を有するSiC膜を形成するSiC膜形成方法であって、前記表面にSi源ガス、C源ガスおよびドーパント源ガスを含む混合ガスを供給する工程と、前記表面に対し、第1の照射径を有するレーザー光を照射することにより第1のSiC層を形成する工程と、前記第1のSiC層の表面の少なくとも一部に対し、前記第1の照射径よりも小さい第2の照射径を有するレーザー光を、前記一部を二次元的に走査しながら照射することにより第2のSiC層を形成する工程と、を有し、前記ドーパントは、Al、Y、Mg、Sn、Ca、Zn、Co、Fe、Ni、AgおよびCrからなる群から選択された少なくとも1つの元素を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造装置用の部材を得るためのSiC膜形成方法に関する。
半導体製造装置には、しばしば、炭化ケイ素(SiC)を含む部材が使用される。
例えば、プラズマエッチング装置には、エッジリング、静電チャック、およびシャワープレートなど、各種部材が利用されている。これらの部材は、基材と、該基材の上に成膜されたSiC膜で構成される。あるいは、これらの部材は、SiC膜のみで構成される場合もある。
例えば、特許文献1には、熱CVD法を用いて、カーボン基材の上にSiCを成膜することにより、リング状部材を製造する方法が記載されている(特許文献1)。
特開2000-199063号公報
半導体製造装置用の部材は、装置の稼働中、しばしば、プラズマに暴露される。このようなプラズマに晒される環境では、SiC製の部材においても徐々に消耗が生じ得る。従って、ある程度消耗が進行した部材は、新品と交換される。
特に、近年の半導体製造プロセスにおける製品の高層化および複雑化に伴い、部材が晒されるプラズマ環境は、益々過酷になってきている。また、その結果、比較的頻繁に部材を交換する必要が生じている。
しかしながら、部材の交換の間は、半導体製造装置を稼働することができない。このため、交換頻度が増加すると、製品の生産効率が低下するという問題がある。このような観点から、半導体製造装置用の部材に対して、さらなる寿命の改善が求められている。
また、半導体装置用の部材の製造においては、ニアネットシェイプ部材を得ることが求められている。ニアネットシェイプ部材とは、最終製品(完成品)に近い形状を有する部材のことであり、ニアネットシェイプ部材を得ることで、平板状の部材から最終製品を得る場合と比較して、加工量を低減し、コストを抑制することができる。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて有意に高いプラズマ耐性を有し、かつニアネットシェイプ部材である、半導体装置用の部材を得るためのSiC膜形成方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
基材の表面の上に、レーザーCVD法によって、厚さが異なる部分を有するSiC膜を形成する方法であって、
前記表面にSi源ガス、C源ガス、およびドーパント源ガスを含む混合ガスを供給する工程と、
前記表面に対し、第1の照射径を有するレーザー光を照射することにより第1のSiC層を形成する工程と、
前記第1のSiC層の表面の少なくとも一部に対し、前記第1の照射径よりも小さい第2の照射径を有するレーザー光を、前記一部を二次元的に走査しながら照射することにより第2のSiC層を形成する工程と、を有し、
前記ドーパントは、Al(アルミニウム)、Y(イットリウム)、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Ca(カルシウム)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)、およびCr(クロム)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を有する、SiC膜形成方法が提供される。
従来に比べて有意に高いプラズマ耐性を有し、かつニアネットシェイプ部材である、半導体装置用の部材を得るためのSiC膜形成方法を提供することができる。
本発明の一実施形態によるSiC膜形成方法の一例を模式的に示したフロー図である。 図2は、本発明の一実施形態によるSiC膜形成方法により得られるSiC膜2の一例を示す斜視図である。 SiC膜2の異なる形態の例を示す図である。 プラズマエッチング装置の断面を模式的に示した図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態では、
基材の表面の上に、レーザーCVD法によって、厚さが異なる部分を有するSiC膜を形成する方法であって、
前記表面にSi源ガス、C源ガス、およびドーパント源ガスを含む混合ガスを供給する工程と、
前記表面に対し、第1の照射径を有するレーザー光を照射することにより第1のSiC層を形成する工程と、
前記第1のSiC層の表面の少なくとも一部に対し、前記第1の照射径よりも小さい第2の照射径を有するレーザー光を、前記一部を二次元的に走査しながら照射することにより第2のSiC層を形成する工程と、を有し、
前記ドーパントは、Al(アルミニウム)、Y(イットリウム)、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Ca(カルシウム)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)、およびCr(クロム)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を有する、SiC膜形成方法が提供される。
図1には、本発明の一実施形態によるSiC膜形成方法の一例のフロー図を模式的に示す。
図1に示すように、本発明の一実施形態によるSiC膜形成方法は、基材を準備する工程(工程S110)と、レーザーCVD法により、基材上に、ドーパントを含み、厚さの異なる部分を有するSiC膜を成膜する工程(工程S120)と、基材を除去する工程(工程S130)と、を有する。なお、工程S130は、必須の工程ではなく、省略されてもよい。
以下、各工程について、より詳しく説明する。
(工程S110)
図2は、本発明の一実施形態によるSiC膜形成方法により得られるSiC膜2の一例を示す斜視図である。
まず、SiC膜を成膜するための基材3が準備される。
基材3は、耐熱性を有する材料で構成される。基材3は、例えば、黒鉛、ケイ素、SiCまたはSiC-Si複合材料等で構成されてもよい。
ただし、後の工程S130において、基材3を除去する場合、基材3の材料は、以降の工程S120において耐性を有する限り、特に限られない。
基材3の形状は、特に限られないが、最終的な部材の形状に基づいて定められることが好ましい。例えば、エッジリングを製造する場合、基材3は、リング形状であってもよい。
(工程S120)
次に、レーザーCVD法により、基材3の上に、ドーパントを含み、厚さの異なる部分を有するSiC膜2が成膜される。
まず、レーザーCVD法により、基材3上に、ドーパントを含むSiC膜2を成膜する方法について説明する。
レーザーCVD法では、基材が収容されたチャンバに接続された真空ポンプ等によりチャンバ内圧力を30Pa以下とした後、チャンバ内に原料ガスが供給されると同時に、チャンバに設けられた窓部材を通してレーザー光が基材3の表面に照射される。基材3はレーザー光によって加熱され、熱エネルギーによって基材3の表面近傍の原料ガスのみが結晶化し、基材3上にSiC膜が形成される。
レーザー光の光源は、SiC膜2の成膜に必要な温度に達することができるものであれば特に限られないが、例えば半導体レーザー、ネオジウム添加YAGレーザー、炭酸ガスレーザーが挙げられる。
レーザー光の波長は、375nm~10600nmの範囲が好ましく、800nm~1080nmの範囲がより好ましい。レーザー光の波長が前記の範囲内であれば、SiC膜2の成膜に必要な温度域への加熱が容易かつ低コストである。
原料ガスは、Si源ガス、C源ガス、およびドーパント源ガスを含む。なお、原料ガスは、キャリアガスと混合して供給されてもよい。
このうち、Si源は、例えば、SiCl、SiHCl、SiHCl、およびSiH等から選定されてもよい。
また、C源は、例えば、CH、C、およびCから選定されてもよい。
また、Si源とC源は、同一のガスであってもよい。例えば、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、および[SiH-CH結合を有する化合物は、Si源かつC源として使用できる。[SiH-CH結合を有する化合としては、例えばCVD-4000(Starfire Systems社製)を用いることができる。
また、ドーパントは、Al(アルミニウム)、Y(イットリウム)、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Ca(カルシウム)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)、およびCr(クロム)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を有する。従って、例えば、ドーパントがAlの場合、ドーパント源は、アルミニウムのハロゲン化物(例えばAlCl)、有機アルミニウム化合物(例えばAl(CH)、またはそれらの混合物であってもよい。同様に、ドーパントがAl以外の場合も、ハロゲン化物および/または有機化合物を使用することができる。
キャリアガスには、例えば、アルゴンのような不活性ガス、水素ガス、または窒素ガス等が使用される。
原料ガスに含まれる各ガスの割合は、SiC膜に含まれるドーパントの含有量が10原子数濃度ppm以上となる限り、特に限られない。
例えば、原料ガスに含まれるSi源の流量をX(sccm)とし、ドーパント源の流量をY(sccm)としたとき、0.01≦Y/X≦0.5であってもよい。
原料ガスの供給により、基材3の上に、ドーパントを含むSiC膜2を成膜することができる。
成膜温度は、例えば、900℃~1700℃の範囲であり、950℃~1600℃の範囲であることが好ましく、1000℃~1500℃の範囲であることがより好ましく、1050℃~1400℃の範囲であることがさらに好ましい。
成膜速度は、例えば、0.01mm/h~3mm/hの範囲であり、0.1mm/h~~2mm/hの範囲であることが好ましく、0.5mm/h~1.6mm/hの範囲であることがより好ましい。0.01mm/h以上であればタクトを十分に短縮することができ、また3mm/h以下であれば、SiC膜の密度が十分に高くなる。
ただし、成膜温度および成膜速度は、使用ガスの温度および圧力によっても変化する。
続いて、上記のような方法で成膜されるSiC膜2が、厚さの異なる部分を有するようにするための方法について、図2に示すSiC膜2を形成する場合を例として説明する。
まず、基材3の表面に対し、第1の照射径を有するレーザー光を照射する。このとき、第1の照射径は比較的大きくてよく、例えば基材3の表面の幅に近い照射径としてもよい。
また、基材3の表面全体を均一に加熱することを目的として、レーザー光を基材3の表面に沿って二次元的に走査してもよい。なお、明細書中、「照射径」とは、レーザー光が照射されることにより被照射面に形成される円形の領域の直径を意味するものとする。
このようにして、厚さが略均一である第1のSiC層21を形成する。
次に、形成された第1のSiC層の表面の少なくとも一部に対し、第1の照射径よりも小さい第2の照射径を有するレーザー光を、二次元的にかつ局所的に走査しながら照射する。図2の場合においては、第2のSiC膜22が形成されるべき箇所に対してレーザー光を走査させる。また、第2の照射径は、第2のSiC層22の幅dに近い照射径とするのが好ましいが、照射径が小さいほど、より精密な形状を得ることが可能となる。
このようにして、第1のSiC層21の上に、平面視で、第1のSiC層21の表面積よりも小さな表面積を有する第2のSiC層22を形成し、結果として厚さの異なる部分を有するSiC膜2を得ることができる。
なお、図2に示すSiC膜2は、厚さの異なる部分を有するSiC膜2の一例に過ぎず、必要に応じて様々な形状が形成されうる。
図3に、SiC膜2の異なる形態の断面図の例を示す。図3(A)および図3(B)に示すようなSiC膜2を形成する場合も、上述の方法と同様の考え方に基づいてレーザーCVDによる成膜を行えばよい。SiC膜2の形状は、最終製品の形状に用いて適宜決定される。
レーザー光による局所的な成膜は、レーザー光の照射径の大きさにより、その解像度が制御される。照射径が大きいほど、より広い面積を効率よく成膜することが可能となる。一方で、照射径を小さくすると、より細かく複雑な形状の膜を形成することが可能となる。照射径は、例えば0.01mm~100mmであってもよく、0.01mm~50mmが好ましい。レーザー光の照射径は、例えばレンズによって制御される。
図2では、レーザー光の照射径として第1の照射径と、第2の照射径(第1の照射径よりも小さい)との2種類を用いた場合について説明したが、照射径は3種類以上選択されてもよい。例えば図3(A)や図3(B)のような第2のSiC膜22を得る際には、傾斜部の形状や凸部の幅に応じて複数の照射径が選択されることが好ましい。
基材200上におけるレーザー光の二次元的な走査は、基材を載置した台座をXYステージによって移動させることで達成される。レーザー光の二次的な走査は、成膜チャンバ内に設置した、ガルバノミラーを用いて達成してもよい。レーザー光をガルバノミラーに照射し、ガルバノミラーの角度を制御することで、レーザー光を基材の上で走査させることが可能となる。
(工程S130)
次に、必要な場合、基材3が除去され、SiC膜2のみが回収される。
基材3を除去する方法は、特に限られない。基材3は、例えば、機械研磨法により除去されてもよい。また、必要な場合、SiC膜2の表面を研磨して、膜の厚さを適宜調整してもよい。
その後、得られたSiC膜2(工程S130を実施しなかった場合は、SiC膜2と基材3との一体物)に対して、切削、研磨などの加工を施すことにより、段差を形成したり、孔を形成したりして、最終製品を得る。
このとき、最終製品の形状が、SiC膜2と同様に段差面を有する形状(例えば、SiC膜2の相似形であり、かつ、SiC膜2よりも小さい形状)である場合、SiC膜2は、ニアネットシェイプ部材であると言える。
この場合、例えば平板状の部材から最終製品を得るよりも、ニアネットシェイプ部材であるSiC膜2から最終製品を得る方が、加工量が減少する。このため、コスト面に優れる。
更に、ニアネットシェイプ部材を得る場合は、平板状の部材を得るよりも、加工により除去される部分を形成するために要する時間、電力費、原料費などが低減するため、この点からも、コスト面に優れる。
また、SiC膜は非常に硬いため加工に多くの時間を要することから、ニアネットシェイプ部材であるSiC膜2を得ることは、特に有用である。
また、大型の最終製品(具体的には、例えば、直径300mm、厚さ3mmを超える大型のフォーカスリング)を得る場合にも、ニアネットシェイプ部材であるSiC膜2を用いることは、非常に有用である。
なお、本明細書中、「厚さが異なる」とは、任意の段差を有することを意味し、表面粗さのような、例えばμmオーダー以下の微細な凹凸を含まないものとする。
次に、上記のようにして得られた最終製品(以下、単に「本SiC」とも称する。)の特徴について、より詳しく説明する。
本SiC部材は、SiC部分を有する。このSiC部分は、CVD製の多結晶SiCで構成される。
ここで、SiC部材は、半導体製造装置以外の分野においても広く使用されている。通常、そのようなSiC部材は、原料粒子を焼結させて得た焼結体として提供される。しかしながら、そのような焼結体は、半導体製造装置用の部材として使用することは難しい。焼結体は、粒子の一部が比較的容易に脱落する傾向にあるためである。すなわち、焼結体のSiC部材を半導体製造装置に使用した場合、部材から脱落した粒子がコンタミネーションの原因となり得る。
これに対して、本SiC部材は、CVD製の多結晶SiCで構成される。このため、本SiC部材は、高い清浄度が要求される半導体装置用の部材として使用できる。
なお、CVD製の多結晶SiCは、基材と直行する方向に沿って結晶が成長した柱状の炭化ケイ素結晶によって構成されるという特徴を有する。従って、CVD製の多結晶SiCと、焼結体のSiCとは、断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察することにより判別することができる。
ここで、前述のように、近年、半導体製造装置、例えば、プラズマエッチング装置において、SiC部材を比較的頻繁に交換する必要が生じている。また、そのような部材の交換による生産効率の低下が問題となっている。
しかしながら、本発明の一実施形態による部材では、SiC部分には、ドーパントがドープされている。ここで、ドーパントは、Al、Y、Mg、Sn、Ca、Zn、Co、Fe、Ni、Ag、Cr、およびそれらの組み合わせから選定される。
また、ドーパントは、SiC部分全体に対して、合計10原子数濃度ppm~30原子数濃度%の範囲で含有される。
以降に詳しく示すように、このようなドーパントがドープされたSiC部分を有する部材では、プラズマに対する耐性を有意に高めることができる。
従って、本SiC部材を半導体製造装置に使用した場合、交換の頻度が減り、製品の生産効率を高めることが可能となる。
(ドーパントの効果)
前述のように、本発明の一実施形態による部材は、プラズマに対して良好な耐性を有する。この理由として、以下のことが考えられる。
通常、プラズマエッチング装置において使用されるプラズマは、フッ化物を含む。SiC膜がこのフッ化物を含むプラズマに暴露されると、膜の表面で反応が生じ、ケイ素のフッ化物(例えばSiF)および炭素のフッ化物(例えばCF)が生成される。
ここで、これらの反応生成物は、いずれも沸点が0℃以下であるという特徴がある。例えば、SiFは、沸点が-86℃である。また、CFは、沸点が-184℃である。このため、膜の表面で生成したケイ素のフッ化物および炭素のフッ化物は、速やかに気化し、表面には残留しない。従って、SiC膜がプラズマに暴露されている間、フッ化物の生成反応およびフッ化物の気化が継続される。その結果、SiC膜は、比較的速やかに侵食されると考えられる。
一方、本SiC部材において、SiC部分に含有され得るドーパントは、いずれもフッ化物の沸点が高い。以下の表1には、参考のため、ドーパントとなり得る金属のフッ化物の沸点を示す。
Figure 2024016637000002
表1に示すように、各フッ化物の沸点は、いずれも700℃を超えることがわかる。
従って、本SiC部材では、ドーパントを含むSiC部分において、プラズマ暴露によりドーパントのフッ化物が生成された場合、そのようなフッ化物は、そのままSiC膜の表面に残留する。そのような残留物は、以降のプラズマによる侵食から、SiC部分を保護するように機能する。
このような効果の結果、本SiC部材では、ドーパントがドープされたSiC部分において、プラズマに対する耐性が向上するものと考えられる。
なお、上記効果を得るため、ドーパントは、SiCの部分全体に対して、10原子数濃度ppm以上ドープされる。ドーパントは、SiCの部分全体に対して、50原子数濃度ppm以上ドープされることが好ましく、100原子数濃度ppm以上ドープされることがより好ましく、300原子数濃度ppm以上ドープされることがさらに好ましく、500原子数濃度ppm以上ドープされることがよりさらに好ましい。
一方、ドーパントを過剰にドープすると、コンタミネーションの要因となり得る。このため、ドーパントのドープ量は、SiCの部分全体に対して、30原子数濃度%以下に制限される。ドーパントのドープ量は、SiCの部分全体に対して、15原子数濃度%以下であることが好ましく、10原子数濃度%以下であることがより好ましい。
なお、前述のドーパントの候補元素の中では、特に、Alが好ましい。これは以下の理由による:
SiC中に異元素がドープされる場合、SiC結晶中のSiまたはCと異元素との間で置換が起こると考えられる。従って、異元素は、SiまたはCと原子半径が近いことが望ましい。この点、Alは、Siと原子半径が近く(Alの原子半径は1.18Åであり、Siの原子半径は1.11Åである)、SiCの結晶構造を破壊することなく置換することができる。このため、Alは、比較的SiC中にドープされ易く、耐プラズマ性向上の効果が得られやすいと予想される。
本SiC部材は、半導体製造装置、特にプラズマエッチング装置に適用できる。
図4には、プラズマエッチング装置の断面を模式的に示す。
図4に示すように、プラズマエッチング装置100は、内部空間112を有するチャンバ110を有する。内部空間112には、処理体であるウェハWが設置される。
チャンバ110の上部には、シャワーヘッド130が設置される。シャワーヘッド130は、複数のガス吐出口を有し、供給管133から供給されたガスは、シャワーヘッド130を介して、内部空間112に供給される。
チャンバ110の底部には、ウェハWを載置するための載置台140が設けられる。
また、載置台140の上には、静電チャック145が設置されている。静電チャック145は、図示されていない各種電圧印加装置等により、静電引力を発生することができる。従って、ウェハWは、静電チャック145の静電引力により、所定の位置に固定される。
また、載置台140の上には、ウェハWの周囲を取り囲むようにして、エッジリング160が設置される。エッジリング160は、ドーナツ状の形状を有し、ウェハWに対するプラズマ処理の面内均一性を高める役割を有する。
また、チャンバ110には、内部空間112内の温度および圧力等を測定するため、1または2以上のセンサ170が設置される。通常、センサ170の周囲には、保護カバーが設けられる。
このようなプラズマエッチング装置100では、供給管133から供給されたガスにより、内部空間112内にプラズマが生成され、このプラズマによりウェハWを処理することができる。
ここで、プラズマエッチング装置100において、シャワーヘッド130、静電チャック145、エッジリング160、およびセンサ170の保護カバーは、ウェハWのエッチング処理の間、プラズマに暴露される。そのため、これらの部材は、プラズマエッチング装置100の稼働とともに侵食が進行し、ある程度使用した後に交換が必要となる。
しかしながら、シャワーヘッド130、静電チャック145、エッジリング160、およびセンサ170の保護カバーの部材として、本SiC部材を適用した場合、プラズマに対する耐性を高めることができる。
従って、そのようなプラズマエッチング装置100では、部材の交換の頻度を減らし、製造効率を高めることができる。
上述した実施形態において、レーザーCVD法によりドーパントを含むSiC膜を形成できることを確認するため、本発明者らはこれを実証する試験を行った。
以下に試験の詳細を示す。
以下の方法で基材上にSiC膜を成膜した。
まず、内部容量が100Lの反応容器内に、基材を設置した。
基材には、縦20mm×横20mm×厚さ1mmの黒鉛板を使用し、縦20mm×横20mmの一方の表面を成膜面とした。この黒鉛板の不純物含有量は、20ppmであり、線膨張係数は、5.6/Kであり、密度は、1.82g/cmであった。
次に、反応容器内の空気を真空引きにより除去し容器内圧力を10Paとした後、Hガスにより容器内圧力を1000Paとした。その後、反応容器に備えた石英窓からレーザー光を基材へ照射した。この際、レーザー照射径が15mmとなるようにした。このとき、レーザー照射部の基材表面温度が1100℃となるように、レーザーの出力を制御した。この状態で、反応容器内に混合ガスを供給し、1200PaにてSiCのCVD成膜を実施した。なお、レーザー光は走査させなかった。
供給ガスは、CVD-4000(200sccm)、Al(CH(10sccm)およびH(100sccm)の混合ガスとした。このうち、Hガスは、キャリアガスである。CVD―4000とAl(CH3)3は室温で液体の為、加熱し、気体の状態で供給した。
SiC膜の厚さは、0.5mmを目標とした。なお、SiC膜の厚さは成膜時間により調整することが可能である。
得られたSiC膜付き基材を「サンプル1」と称する。
次に、Al(CHの流量を20sccmとすることを除いてサンプル1と同様の方法により、SiC膜付き基材(「サンプル2」)を作成した。
更に、Al(CHの流量を0sccmとすることを除いてサンプル1と同様の方法により、SiC膜付き基材(「サンプル3」)を作成した。
続いて、各サンプルを用いて以下の評価を実施した。
各サンプルにおいて、厚さ分布測定器を用いて、SiC膜の膜厚を測定した。その結果、いずれのサンプルにおいても、少なくとも、直径12mmの円の領域において0.3mm~0.5mmの膜厚を有するSiC膜が形成されていることがわかった。なお、当該円領域の外側の領域においては、0.3mm未満の薄い膜厚を有するSiC膜が形成されていた。
次に、各サンプルにおいて、SiC膜に含まれるAlのドープ量をSEM-EDX法により評価した。鏡面研磨したサンプルのSiC膜の表面に対し、当該表面の中心を通る直線上において100μm間隔にて測定点を移動して10点測定を行い、その平均値を算出した。
その結果、サンプル1は8.6%、サンプル2は14.8%のAlがドープされていることを確認した。一方、Al源を含むガスを供給しなかったサンプル3においては、Alは0.0%であった。
なお、ドープ量の測定方法は、特に限定されず、EPMAまたはSIMSを用いてもよく、あるいはICP-AESまたはICP-MSを用いてもよい。ICP-AESまたはICP-MSを用いる場合は、サンプルを粉砕後酸に浸漬して定量分析を行うことができる。
次に、各サンプルを用いてエッチング試験を実施し、得られた結果から各サンプルのプラズマ耐性を評価した。
エッチング試験は、以下のように実施した。
まず、各サンプルのSiC膜の表面に対し鏡面研磨を実施した。次に、鏡面研磨したSiC膜の表面の一部に厚さ0.1mmのカプトンテープ(P-222:日東電工株式会社)を設置し、SiC膜にマスク部と非マスク部を形成した。マスク部と非マスク部の面積比は、カプトンテープの影響を最小限に抑えるため、1:8とした。なおサンプルの側面には、特にマスキングを実施しなかった。 次に、この試料を、SiC膜の側が上向きになるようにして、エッチング装置(EXAM:神港精機株式会社)のステージに設置し、エッチング試験を実施した。
試験条件は、以下とした:
CF流量;100sccm、
圧力;10Pa、
電力;350W、
試験時間;65分、
ステージ温度;20℃。
試験後に、マスク部と非マスク部におけるSiC膜の厚さの差(Δt)から、エッチング量を算定した。このエッチング量が小さいほど、SiC膜は、高いエッチング耐性、すなわち良好なプラズマ耐性を有すると言える。
その結果、サンプル1~3のエッチング速度は、それぞれ33.2nm/min、18.6nm/min、65.0nm/minであった。
以上のように、レーザーCVD法により、Alが十分にドープされたSiC膜を形成できることを確認することができた。更に、Alドープ量が多いほど、高いプラズマ耐性を有することも確認することができた。
上述の工程の後に、SiC膜の表面の少なくとも一部に対し、照射径がより小さいレーザー光を走査させながら更にSiC膜を形成することで、任意の段差を有するSiC膜を形成することが可能である。

Claims (10)

  1. 基材の表面の上に、レーザーCVD法によって、厚さが異なる部分を有するSiC膜を形成する方法であって、
    前記表面にSi源ガス、C源ガス、およびドーパント源ガスを含む混合ガスを供給する工程と、
    前記表面に対し、第1の照射径を有するレーザー光を照射することにより第1のSiC層を形成する工程と、
    前記第1のSiC層の表面の少なくとも一部に対し、前記第1の照射径よりも小さい第2の照射径を有するレーザー光を、前記一部を二次元的に走査しながら照射することにより第2のSiC層を形成する工程と、を有し、
    前記ドーパントは、Al(アルミニウム)、Y(イットリウム)、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Ca(カルシウム)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)、およびCr(クロム)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を有する、SiC膜形成方法。
  2. 前記Si源ガスは、SiCl、SiHCl、SiHCl、およびSiH4、からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  3. 前記C源ガスは、CH、C、およびCからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  4. 前記Si源ガスは、前記C源ガスと同じであり、CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、および[SiH-CH結合を有する化合物からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  5. 前記ドーパントは、Alである、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  6. 前記ドーパント源ガスは、AlCl、およびAl(CHからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項4に記載のSiC膜形成方法。
  7. 前記レーザー光の波長は375nm以上10600nm以下である、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  8. 前期レーザー光の照射径が0.01mm以上100mm以下である、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  9. 前期レーザー光の走査を、基材の移動によって行う、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
  10. 前期レーザー光の走査を、ガルバノミラーを用いて行う、請求項1に記載のSiC膜形成方法。
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