JP2024014607A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ Download PDF

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秀幸 石田
Hideyuki Ishida
智広 岩井田
Tomohiro Iwaida
政浩 西垣
Masahiro Nishigaki
一真 駒田
Kazuma Komada
創太 杉浦
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Abstract

【課題】 クラックの発生が抑制された積層セラミックコンデンサを提供する。【解決手段】 複数の内部電極層5と、複数の誘電体層4とのそれぞれが交互に積層された積層体21を有する積層セラミックコンデンサ1であって、複数の内部電極層5のそれぞれは、複数の空隙10を有し、複数の内部電極層5のそれぞれは、複数の空隙10に臨む複数の内周部12を有し、複数の内周部12の少なくとも一部は、平坦状の内周面11を有する。【選択図】 図3

Description

本開示は、積層セラミックコンデンサに関する。
従来技術の積層セラミックコンデンサの一例は、例えば特許文献1に記載されている。この従来技術では、内部電極層と、セラミック誘電体層とを交互に配置した積層セラミックコンデンサが記載されている。内部電極層のそれぞれは、厚みが1μm以上2μm未満の範囲にあり、その厚みの相当する空隙を含んでいる。空隙は、内部電極層の外周部により多く発生しており、内部電極層の外周縁から内部電極層の厚みを20倍した領域内における空隙率が5~15%の範囲内とされる。
特許第4761062号公報
上記の特許文献1の従来技術では、内部電極層の該周縁から内部電極層の厚みを20倍した領域に空隙を全体比で5~15%を含ませることによって、クラックを低減している。焼結時に内部電極層が溶融すると、内部電極層の大部が丸くなり易い。また積層セラミックコンデンサは、誘電体としてチタン酸バリウム(BT)、内部電極としてニッケル(Ni)を用いた積層構造であるため、焼成後の降温過程等で両者の熱膨張係数とヤング率の相違とに起因して、内部応力が生じ、クラックが発生し易い。特に、内部電極層の内周部が丸くなっていると、内部電極層の角部の応力が大きくなり、クラックが発生し易いという課題がある。したがって、クラックの発生が抑制された積層セラミックコンデンサが求められている。
本開示の積層セラミックコンデンサは、複数の内部電極層と複数の誘電体層とからなり、前記内部電極層と前記誘電体層とが交互に積層された積層体を含み、前記複数の内部電極層のそれぞれは、その内部電極層の厚みを貫通する複数の空隙を有し、前記複数の内部電極層のそれぞれは、前記複数の空隙に臨む複数の内周部を有し、前記複数の内周部の少なくとも一部は、平坦状の内周面を有する。
本開示に係る積層セラミックコンデンサによれば、内部電極層に生じる応力が均等に分散して低減され、内部電極層に生じる内部応力によるクラックの発生を抑制することができる。
本開示の実施形態の積層セラミックコンデンサの一例を示す斜視図である。 図1の積層セラミックコンデンサの素体を示す斜視図である。 積層セラミックコンデンサ1の中層部の一部の断面を拡大した写真である。 積層セラミックコンデンサ1の第1面7a寄りの表層部の一部の断面を拡大した写真である。 内周部形状と発生応力との関係を説明するための模式化した断面図である。 内周部に発生する応力について説明するための斜視図である。 積層セラミックコンデンサの空隙および内周部の発生状況を示す拡大写真である。 焼成時の加熱温度を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本開示の積層セラミックコンデンサの実施形態について説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。各図に示された構成要素の数(例えば、誘電体層および内部電極層の層数)は、互いに整合していないことがある。本明細書では、便宜的に、直交座標系XYZを定義する。X軸方向は、第1方向または長さ方向とも称される。Y軸方向は、第2方向または幅方向とも称される。Z軸方向は、第3方向、高さ方向、または積層方向とも称される。
図1は、本開示の実施形態の積層セラミックコンデンサの一例を示す斜視図であり、図2は、図1の積層セラミックコンデンサの素体を示す斜視図である。本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、積層体21を含んでいる。積層体21は、略直方体状の形状を有している。積層体21は、第3方向Zに互いに対向する第1面7aおよび第2面7b、第1方向Xに互いに対向する第1端面8aおよび第2端面8b、ならびに、第2方向Yに互いに対向する第1側面9aおよび第2側面9bを有している。第1面7aおよび第2面7bは、第3方向Zに垂直であってもよい。第1端面8aおよび第2端面8bは、第1方向Xに垂直であってもよい。第1側面9aおよび第2側面9bは、第2方向Yに垂直であってもよい。以下では、第1面7aおよび第2面7bを、主面7a,7bと称することがあり、第1端面8aおよび第2端面8bを、端面8a,8bと称することがあり、第1側面9aおよび第2側面9bを、側面9a,9bと称することがある。
積層体21は、複数の誘電体層4と複数の内部電極層5とが第3方向(積層方向)Zに交互に積層されて構成される。内部電極層5を形成する材料としては、高積層化して製造コストも抑制できるという点で、ニッケル(Ni)または銅(Cu)などの卑金属が用いられてもよい。内部電極層5と誘電体層4との同時焼成を行える点で、ニッケル(Ni)であってもよい。内部電極層5の厚みは、例えば、0.1μm~1.0μm程度の厚みを有していてもよく、0.4μm~0.5μm程度の厚みを有していてもよい。
外部電極3は、金属とガラスとの焼結体からなってもよく、例えば銅(Cu)粉末または銅と他の金属、例えばNi等の遷移金属との合金粉末と、ガラス粉末とを焼結した構成であってもよい。
誘電体層4は、絶縁性を有する材料によって構成されている。誘電体層4は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、またはジルコン酸バリウム(BaZrO)等を主成分とするセラミック材料で構成されていてもよい。なお、本明細書において、「主成分」とは、着目する材料または部材等において最も構成比率の高い成分のことを言う。構成比率は、含有濃度(mol%)であってよい。
誘電体層5は、チタン酸バリウム(BaTiO)に酸化マグネシウム、希土類元素(RE)の酸化物および酸化マンガンなどが固溶した結晶粒子と、酸化珪素(SiO)を主成分とする粒界相とから構成されているセラミックからなる。なお、セラミックの種類としては、上述したものだけに限らず、他のセラミックを用いることもできる。その平均厚みは2μm以下、特に、1μm以下であってもよい。これにより積層セラミックコンデンサ1を小型化、高容量化することが可能となる。なお、誘電体層5の第3方向Zの平均厚みは、0.1μm~1.0μm程度であってもよく、0.4μm~0.5μm程度であってもよい。0.4μm以上であると、静電容量のばらつきを小さくでき、また容量温度特性を安定化させることが可能になる。
内部電極層5は、第1側面9aおよび第2側面9bに露出している。また、内部電極層5は、極性別に第1端面8aおよび第2端面8bに露出している。
積層セラミックコンデンサ1は、例えば図2に示すように、保護層6を含んでいる。保護層6は、積層体21の第1側面9aおよび第2側面9bに位置している。保護層6は、側面9a,9bに露出した極性の異なる内部電極層5間を電気的に絶縁している。また、保護層6は、側面9a,9bに露出した内部電極層5の外周部を機械的に保護している。側面9a,9bに保護層6が配設された積層体21は、素体2とも称される。
保護層6は、絶縁性を有する材料によって構成されている。保護層6は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、またはジルコン酸バリウム(BaZrO)等を主成分とするセラミック材料で構成されていてもよい。保護層6は、誘電体層4を構成するセラミック材料と同じセラミック材料で構成されていてもよい。保護層6は、第2方向Yにおいて、例えば5μm~30μm程度の厚みを有していてもよい。
積層セラミックコンデンサ1は、第1端面8aおよび第2端面8bを覆い、内部電極層5に極性別に接続された外部電極3を含んでいる。外部電極3は、外部基板または外部装置との電気的接続のために用いられる。
外部電極3は、第1外部電極31と第2外部電極32とによって構成される。第1外部電極31は、積層体21の第1端面8aに位置している。第1外部電極31は、第1端面8aに露出した内部電極層5と電気的に接続されている。第2外部電極32は、積層体21の第2端面8bに位置している。第2外部電極32は、第2端面8bに露出した内部電極層5と電気的に接続されている。第1外部電極31および第2外部電極32は、例えば図1,2に示すように、主面7a,7bに位置してもよい。また、第1外部電極31および第2外部電極32は、例えば図1に示すように、側面9a,9b上に位置し、保護層6を部分的に覆っていてもよい。
第1外部電極31および第2外部電極32は、単一の導電層によって構成されていてもよく、複数の導電層によって構成されてもよい。本実施形態では、第1外部電極31および第2外部電極32が、下地層および外層を有する2層構造で構成されてもよい。
下地層は、積層体21に接しており、第1端面8aおよび第2端面8bに露出した内部電極層5と接続されている。下地層は、例えば、めっき法、スパッタリング法、蒸着法等の薄膜形成技術、またはスクリーン印刷法、グラビア印刷法等の厚膜形成技術を用いて形成されてもよい。下地層は、金属材料から構成されている。下地層に用いられる金属材料としては、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAu等の金属またはこれらの金属から成る合金であってもよい。
外層は、下地層を覆っている。外層は、例えば無電解めっき法、または電解めっき法等の薄膜形成技術を用いて形成されていてもよい。外層は、金属材料から構成されている。外層に用いられる金属材料は、例えばNi、Sn、Cu、またはAu等の金属もしくはこれらの金属から成る合金であってもよい。外層は、単一のめっき層で構成されてもよく、複数のめっき層で構成されてもよい。
図3は、積層セラミックコンデンサ1の中層部の一部の断面を拡大した写真であり、図4は、積層セラミックコンデンサ1の第1面7a寄りの表層部の一部の断面を拡大した写真である。積層セラミックコンデンサ1は、内部電極層5の所定の内部電極パターンとなる導電ペーストが例えば印刷して形成されたセラミックグリーンシート、例えば100~200枚が積層されたシート積層体を格子状に切断して、内部電極パターンの内周部が露出したコンデンサ本体成形体を形成する。コンデンサ本体成形体を脱脂した後、酸素分圧が例えば1×10-7Pa~1×10-9Paの水素-窒素の混合ガス中にて、1100℃~1200℃の温度で1~4時間の焼成を行い、誘電体層4と内部電極層5とが一体的に焼結して構成される。このような積層セラミックコンデンサ1の内部電極層5は、複数の空隙10を有する。複数の内部電極層5のそれぞれは、空隙10に臨む内周部12を有する。複数の内周部12の少なくとも一部は、平坦状の内周面11を有する。これによって内部電極層5および誘電体層4間が剥がれる方向の応力を分散することができ、内周面11が平坦であることによって、誘電体層4と内部電極層5とを分離する方向への力が低減され、亀裂が入った場合であっても亀裂の進展が進みにくくなり、これによってクラックの発生を抑制することができる。
平坦状の内周面11は、積層体21の中層部よりも積層体21の厚み方向両端側の端層部に多く存在している。また平坦状の内周面11は、積層体21の中層部よりも積層体21の厚み方向両端側の端層部に向かって増加している。このような構成によって、積層体21が変形によって内部応力が高くなったとき、端層部を起点としたクラックの発生を抑制することができる。
内部電極層5の各内周部12は、空隙10に向かって先細形状であり、このような構成によれば、内部電極層5および誘電体層4間の密着力が向上し、クラックの発生を抑制することができる。
内周部12の一部は、隣接する誘電体層4によって覆われている。このような構成によれば、内部電極層5および誘電体層4間の密着力が向上し、クラックの発生を抑制することができる。
複数の内周部12は、積層体21の厚み方向に平行な断面視において、1.5μm以上の曲率半径を有する、空隙10内に向かって凸の曲面12aを含む。このような構成によれば、内部電極層5および誘電体層4間の剥がれる方向の応力が分散されるので、クラックの発生を抑制することができる。
平坦状の内周面11を有する内周部12の個数は、複数の空隙10に臨む全ての内周部12の個数の70%以上である。このような構成によれば、内部電極層5および誘電体層4間が剥がれる方向の応力が分散され、クラックの発生を抑制することができる。
内周部12は、積層体21の厚み方向Zの中間部よりも厚み方向Zの内周部側の領域に多い構成である。このような構成によれば、積層変形して内部応力が高くなっている内周部12を起点としたクラックの発生を抑制することができる。
内周部12は、積層セラミックコンデンサ1の厚み方向中間部から厚み方向両端部に向かって増加している構成であってもよい。このような構成によれば、積層変形して内部応力が高くなっている内周部12を起点としたクラックの発生を抑制することができる。
本件発明者は、空隙10に臨む内周部12によるクラックの発生抑制効果を確認するため、焼成時の昇温速度および3次脱脂温度を異ならせて試料1~9の積層セラミックコンデンサを作製し、クラックの発生率および静電容量を確認した。その結果を表1に示す。この測定試験を実施したときの試料1~9の内部電極層5は、3次脱脂は高温で酸素濃度を低下して行う脱脂工程である。脱脂が不十分であると内部電極層5が溶融して端が丸くなる。例えばサイズが1.0mm×0.5mmの場合、クラック発生率は×100倍の拡大鏡で観察し、100個中何個クラックが入っているかを数えて発生率を算出した。厚み0.5μmのニッケル(Ni)を主材とし、誘電体層4は、厚み0.6μmのチタン酸バリウム(BaTiO)を材料として用いた。
試料1は、内部電極層5に空隙10は形成されるが、内周部12の内周面11の曲率半径が0.04μmの平坦でない構成とし、昇温速度を300℃/hrで焼成した。この場合、クラックの発生率は14.1%と高い値であった。また静電容量は1.48μFと低い値であった。
試料2は、昇温速度を3000℃/hrと高くし、内周部12の内周面11の曲率半径を0.15μmと大きくしたところ、クラックの発生率は1.2%に低下し、静電容量は1.89μFに上昇した。
試料3は、昇温速度が6000℃/hrとし、内周部12の内周面11の曲率半径が0.17μmとしたところ、クラックの発生率は0.3%に低下し、静電容量は2.06に上昇した。
試料4は、昇温速度を7000℃/hrとし、内周部12の内周面11の曲率半径を0.15μmにしたところ、クラックの発生率は0.1%に低下し、静電容量は2.05μFであった。
試料5は、昇温速度7000℃/hrとし、内周部12の内周面11の曲率半径を0.17μmとしたところ、クラックの発生率は2.08%であり、静電容量は2.08μFであった。
試料6は、昇温速度を10000℃/hrに上昇させ、内周部12の内周面11の曲率半径を0.22μmに大きくしたところ、クラックの発生率は0%に低下し、静電容量は2.14μFに上昇した。
試料7は、昇温速度を13000℃/hrとさらに上昇させ、内周部12の内周面11の曲率半径を0.22μmとしたところ、クラックの発生率0%を維持し、静電容量は0.22%であり、静電容量は2.20μFであった。
試料8は、昇温速度を13000℃/hrとし、内周部12の内周面11の曲率半径を0.23μmとしたところ、クラックの発生率は0%を維持し、静電容量は2.11μFであった。
試料9は、昇温速度を13000℃/hrとし、内周部12の内周面11の曲率半径を0.24μmとしたところ、クラックの発生率は0%を維持し、静電容量は1.74μFであった。
図5は、内周部形状と発生応力との関係を説明するための模式化した断面図であり、図6は、内周部に発生する応力について説明するための斜視図である。上記の表1に示されるように、試料1のように3次脱脂温度が低すぎると、バインダ残渣が多くなり、内部電極層5が溶融して空隙10が増え、静電容量が低下している。内部電極層5の内周部12が丸くなると、応力が分散されにくく、亀裂の進展が進みやすくなると考えられる。
3次脱脂温度が800℃から1100℃であってもよい。3次脱脂温度が800℃よりも低いと、内部電極層5にバインダが残り、焼成時に内部電極層5が溶融するので、内周面11が丸くなってしまう。このような3次脱脂処理によって、複数の内周部12は、厚み方向に平行な断面視において、1.5μm以上の曲率半径を有する、空隙10内に向かって凸の曲面12aが形成される。3次脱脂温度が1100℃よりも高いと、誘電体層4中のバインダが少なくなるので、誘電体層4が収縮せず、内部電極層5中に空隙10ができる。また、内部電極層5の酸化が進むので、静電容量が低下する。
焼成時の昇温速度が3000から13000℃/hrであってもよい。焼成時の昇温速度が3000℃/hrよりも小さいと、内部電極層5が溶融するので、内周面11が丸くなる。昇温速度が13000℃/hrよりも大きいと、加熱炉で積層体21を支持するセッターが温まらない。セッターが温まらないと、積層体21に熱が伝わらない。
3次脱脂温度が1100℃よりも低いので、内部電極層5からバインダが抜け過ぎず、焼結時に適度に内部電極層5が溶融し、空隙10が生じる。一方、3次脱脂温度は、800℃よりも高いので、内部電極層5のバインダが適度に抜けており、かつ昇温速度が3000℃/hrよりも速いので、内部電極層5が焼結時に溶融し過ぎず、焼成後に内周面11が平坦状になり易くなる。
試料9では、3次脱脂温度が高いため、誘電体層4が収縮し難くなり、内部電極層5中の空隙10が増加し、静電容量が低下している。このような状態は、バインダ残渣が多い下記(1)~(6)の条件を解消しているためと考えられる。
(1)3次脱脂温度が低い。
(2)バインダ残渣が多くなる。
(3)焼成時にバインダ中の炭素(C)が周囲の酸素(O)を吸収して、二酸化炭素(CO)として脱離する。このとき誘電体層4(BaCO)中の酸素も吸収される。
(4)誘電体層4中の酸素欠陥が増え、収縮し易くなる。
(5)誘電体層4が収縮する際に内部電極層5中の空隙10を縮める。
(6)内部電極層5中の空隙10が減少する。
図7は、積層セラミックコンデンサの空隙および内周部の発生状況を示す拡大写真である。図7は積層セラミックコンデンサ1を研磨して、研磨面の中央部の10μm範囲を電子顕微鏡によって10000倍の倍率で撮影し、内周部12の曲率半径を測定するとともに、空隙10の個数を係数した。積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層4としてチタン酸バリウム(BT)、内部電極層5としてニッケル(Ni)を用いた積層構造である。内部電極層5は、空隙10を有し、空隙10に臨む内周部12の内周面11は平坦状になっている。図7に記載される参照符号a1~a18は曲率半径を測定した内周面11の測定対象部位を示している。各測定対象部位a1~a18の曲率半径の測定値を、以下の表2に示す。
表2のa1~a18の曲率半径測定値の平均値が0.25μmであるため、この値以上となる程度に内部電極層5の内周面11が平坦であると、クラック発生の抑制効果が高いといえる。
積層セラミックコンデンサ1を製造するにあたっては、誘電体シートの表面に、Ni等の卑金属を含有する導電性ペーストを、スクリーン印刷法、グラビア印刷、オフセット印刷法等の周知の印刷方法により塗布し内部電極パターンを形成する。内部電極パターンの厚みは、コンデンサの小型化、高信頼性化という点から2μm以下、特に1μm以下であってもよい。表面に内部電極パターンが塗布された誘電体シートを複数枚積層圧着し、この積層成形体を、1次脱脂工程で約19時間、大気雰囲気中で脱脂を行い、その後、2次脱脂工程で約30分間、窒素(N)雰囲気中で脱脂した後、3次脱脂工程で窒素(N)ガスおよび水素(H)ガスの混合ガス雰囲気中で脱脂し、最後に窒素(N)ガスおよび水素(H)ガスの混合ガス雰囲気中で、10分間焼成を行う。
さらに所望により、酸素分圧が0.1~10-4Pa程度の低酸素分圧下で5~15時間再酸化処理を施すことにより、還元された誘電体層が酸化され、良好な絶縁特性を有する誘電体層4と内部電極層5とが交互に積層された積層体21が得られる。
最後に、得られた積層焼結体に対し、各端面にCuペーストを塗布して焼き付け、Ni/Snメッキを施し、内部電極層5と電気的に接続された外部電極3を形成して積層セラミックコンデンサ1が得られる。
図8は、焼成時の加熱温度を示すグラフである。図8の区間Wで示す900~1100℃の温度域における昇温速度を速くすると、内部電極層5の溶融を抑制することができる。このような区間Wの温度が低いと脱脂が不十分となり、高すぎると内部電極層5のNiが酸化してしまうため、900~1100℃の区間Wに選ばれる。
積層セラミックコンデンサ1を製造するに際しては、誘電体シートの表面に、Ni等の卑金属を含有する導電性ペーストを、スクリーン印刷法、グラビア印刷、オフセット印刷法等の周知の印刷方法により塗布し、内部電極パターンを形成することができる。内部電極パターンの厚みは、コンデンサの小型化、高信頼性化という点から2μm以下、特に1μm以下であることが望ましい。
焼成について温度域Wの昇温速度を速くすると、内部電極層5の溶融を抑制できる。
焼成直後の積層セラミックコンデンサ1に所定条件でバレル研磨を行い、誘電体層4の端面を削って内部電極層5を積層セラミックコンデンサ1の端面から突出させて外部電極3との電気的な接続が十分に行えるようにする。このバレル研磨では、積層セラミックコンデンサ1を、セラミック粒子をメディアボールとともにボールミル中に入れてバレル研磨を行う。メディアボールとともに混合するセラミック粒子は、バレル研磨においてメディアボールのバレル研磨する積層セラミックコンデンサ1に対する衝撃を和らげることができる。
以上、本実施形態によれば、内部電極層5に生じる応力が均等に分散して低減され、内部電極層5に生じる内部応力によるクラックの発生を抑制することができるので、積層セラミックコンデンサ1の製造上の歩留まりを向上することできる。
本開示は、以下の構成(1)~(6)の態様で実施可能である。
(1)複数の内部電極層と複数の誘電体層とからなり、前記内部電極層と前記誘電体層とが交互に積層された積層体を含み、
前記複数の内部電極層のそれぞれは、その内部電極層の厚みを貫通する複数の空隙を有し、
前記複数の内部電極層のそれぞれは、前記複数の空隙に臨む複数の内周部を有し、
前記複数の内周部の少なくとも一部は、平坦状の内周面を有する、積層セラミックコンデンサ。
(2)前記平坦状の内周面の少なくとも一部は、内部電極層の厚み方向両側に位置する2つの誘電体層によって覆われている、上記(1)に記載の積層セラミックコンデンサ。
(3)前記複数の内周部は、前記厚み方向に平行な断面視において、1.5μm以上の曲率半径を有する、前記空隙内に向かって凸の曲面部を含む、上記(1)または(2)に記載の積層セラミックコンデンサ。
(4)前記平坦状の内周面を有する内周部の個数は、前記複数の内周部の全個数の70%以上である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
(5)前記平坦状の内周面は、前記積層体の中層部よりも前記積層体の厚み方向両端側の端層部に多い、上記(1)~(4)のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
(6)前記平坦状の内周面は、前記積層体の中層部よりも前記積層体の厚み方向両端側の端層部に向かって増加している、上記(1)~(5)のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 積層セラミックコンデンサ
2 素体
3 外部電極
3a 下地層
3b 外層
4 誘電体層
5 内部電極層
6 保護層
7a 第1面
7b 第2面
8a 第1端面
8b 第2端面
9a 第1側面
9b 第2側面
10 空隙
11 内周面
12 内周部
12a 曲面
13 第1面
14 第2縁部
15 第2面
21 積層体
31 第1外部電極
32 第2外部電極

Claims (6)

  1. 複数の内部電極層と複数の誘電体層とからなり、前記内部電極層と前記誘電体層とが交互に積層された積層体を含み、
    前記複数の内部電極層のそれぞれは、その内部電極層の厚みを貫通する複数の空隙を有し、
    前記複数の内部電極層のそれぞれは、前記複数の空隙に臨む複数の内周部を有し、
    前記複数の内周部の少なくとも一部は、平坦状の内周面を有する、積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記平坦状の内周面の少なくとも一部は、内部電極層の厚み方向両側に位置する2つの誘電体層によって覆われている、請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記複数の内周部は、前記厚み方向に平行な断面視において、1.5μm以上の曲率半径を有する、前記空隙内に向かって凸の曲面部を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記平坦状の内周面を有する内周部の個数は、前記複数の内周部の全個数の70%以上である、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記平坦状の内周面は、前記積層体の中層部よりも前記積層体の厚み方向両端側の端層部に多い、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記平坦状の内周面は、前記積層体の中層部よりも前記積層体の厚み方向両端側の端層部に向かって増加している、請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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