JP2024013794A - 保持装置 - Google Patents

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Akinobu Yasojima
敦 鈴木
Atsushi Suzuki
祐介 勝
Yusuke Katsu
伸治 由利
Shinji Yuri
淳吉 柴田
Junkichi Shibata
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Abstract

【課題】対象物を保持する保持装置において、板状部の反りを抑制する技術を提供する。【解決手段】保持装置は、板状に形成される板状部と、無機材料を主成分とし、板状部より熱伝導率が低く、板状部に接合された無機基板と、無機基板に対して、板状部とは反対側に配置された板状の冷却部と、無機基板と冷却部との間に配置され、無機基板と冷却部とを接合する接合部と、を備え、無機基板の厚みをt(mm)、無機基板のヤング率をk(GPa)としたとき、t×k≦10(GPa・mm)である。【選択図】図1

Description

本発明は、対象物を保持する保持装置に関する。
半導体を製造する際にウェハ等の対象物を保持する保持装置として、例えば、静電チャックが用いられる。静電チャックは、対象物が載置される板状部と、板状部を冷却する冷却部と、板状部と冷却部とを接合する接合部と、を備える。静電チャックを、例えば、250℃以上の高温プロセスで使用する場合、シリコーン接着剤などにより形成された接合部が、熱により劣化し、剥がれるという問題があった。この問題に対し、板状部と接合部との間に、無機基板を挿入し、接合部を熱保護する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2022-048445号公報
上記特許文献1に記載の技術では、板状部と冷却部との剥がれを抑制することができるものの、板状部の反りについては十分に検討されていなかった。板状部と接合部との間に、無機基板が挿入された構成では、板状部と無機基板との熱膨張率が異なる場合には、板状部と無機基板との接合時や、保持装置の温度変化に伴い板状部の表面に反りが生じる虞がある。
このような課題は、静電チャックに限らず、CVD(chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PLD(Pulsed Laser Deposition)等の真空装置用ヒータ装置、サセプタ、載置台等の保持装置に共通する課題である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、対象物を保持する保持装置において、板状部の反りを抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、対象物を保持する保持装置が提供される。この保持装置は、板状に形成される板状部と、無機材料を主成分とし、前記板状部より熱伝導率が低く、前記板状部に接合された無機基板と、前記無機基板に対して、前記板状部とは反対側に配置された板状の冷却部と、前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、を備え、前記無機基板の厚みをt(mm)、前記無機基板のヤング率をk(GPa)としたとき、t×k≦10(GPa・mm)である。
無機基板は薄いほど、無機基板の厚み方向の温度差を小さくでき、板状部を内側に引っ張る力を小さくすることができ、板状部の反りを抑制することができる。ただし、無機基板が薄すぎると断熱板としての機能が低下する。無機基板のヤング率が低いほど柔らかいため、板状部に生じる力を小さくすることができる。無機基板の厚みtとヤング率kとの積(t×k)を、上記範囲にすることにより、無機基板の厚みとヤング率とのバランスにより、板状部の反りを抑制することができる。
(2)上記形態の保持装置であって、前記無機基板の厚みは、0.15(mm)以上、0.5(mm)以下であってもよい。無機基板の厚みをこの範囲内にすることにより、適切な断熱性を得ることができ、接合部を熱的に保護すると共に、板状部の反りをより抑制することができる。また、冷却部に伝わる熱を小さくすることができ、板状部の表面温度の過冷却を抑制することができるため、保持装置がヒータを有する場合には、ヒータによる板状部の加熱を抑制することができ、ヒータの消費電力を抑制することができる。また、冷却部に伝わる熱を小さくすることができるため、板状部の面内温度分布の均一性を向上させることができる。
(3)上記形態の保持装置であって前記板状部を構成する材料の熱膨張率と、前記無機基板を構成する前記無機材料の熱膨張率との差の絶対値が、7(ppm/K)以下であってもよい。このようにしても、板状部の加熱時に、平面視で円の中心もしくは外側に向かう方向に生じる力を小さくすることができるため、反りを抑制することができる。
(4)上記形態の保持装置であって、前記板状部の厚みは2(mm)以上、10(mm)以下であってもよい。このようにすると、例えば、板状部の内層にチャック電極、ヒータ配線を配置したり、表層に不活性ガスの充填層を形成することができる。また、板状部の厚みにより、板状部の反りをより抑制することができる。また、板状部の厚みを上記の範囲にすることにより、板状部の製造時のクラックの発生、板状部内部の隙間、空孔等の発生を抑制することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、保持装置を含む半導体製造装置、保持装置の製造方法、無機基板の形成方法などの形態で実現することができる。
実施形態の静電チャックの外観構成を概略的に示す斜視図である。 静電チャックのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 板状部の第1面側の平面構成を示す説明図である。 静電チャックの端部のXZ断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。 無機基板の厚みとヤング率との積を示す図である。 板状部-無機基板接合体の反りの変化を示す図である。 板状部の表面を250℃にしたときの接合部の最高温度を示す図である。 無機基板(ヤング率20GPa)の厚みと、接合体の反りおよび接合部の最高温度との関係を示す図である。 無機基板(ヤング率30GPa)の厚みと、接合体の反りおよび接合部の最高温度との関係を示す図である。 無機基板(ヤング率10GPa)の厚みと、接合体の反りおよび接合部の最高温度との関係を示す図である。 板状部の第1面を250℃にするために必要な消費電力を示す図である。 板状部と無機基板の熱膨張率差と接合体の反りとの関係を示す図である。
<実施形態>
図1は、実施形態の静電チャック10の外観構成を概略的に示す斜視図である。図2は、静電チャック10のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。図1、図2には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸が示されている。図2において、Y軸正方向は、紙面裏側に向かう方向である。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック10は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。本実施形態における静電チャック10を、「保持装置」とも呼ぶ。
静電チャック10は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック10は、上下方向(Z軸方向)に並べて配置された板状部100と、冷却部200と、板状部100と冷却部200との間に配置され断熱材として機能する無機基板300と、無機基板300と冷却部200とを接合する接合部400と、を備える。板状部100と無機基板300との接合体を、板状部-無機基板接合体310、または単に接合体310とも呼ぶ。
板状部100は、第1面S1と、第1面S1の裏面である第2面S2と、を有する板状部材である。詳しくは、板状部100は、略円形平面状の第1面S1を有する板状部材である第1板状部110(図1)と、第1板状部110より径が大きい略円形平面状の第2面S2(図2)とを有する板状部材である第2板状部120(図1)と、を備え、全体として、下に向かって(Z軸マイナス方向に向かって)階段状に拡径する板状部材である。本実施形態において、板状部100の第1面S1は、ウェハWが載置される載置面として機能する。板状部100は、いわゆるファインセラミックス、ニューセラミックスと言われるセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)を主成分とする緻密体である。本願明細書において、特定成分が「主成分である」あるいは「主に形成する材料である」とは、当該特定成分の含有率が、50体積%以上であることを意味する。他の実施形態では、板状部20は、例えば、ポリイミド等の樹脂、透明ガラス等のセラミック以外の材料を主成分として形成されてもよい。
第1板状部110の第1面S1の直径は、例えば、50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)である。本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
板状部100の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された吸着電極130(図2)が配置されている。Z軸方向視での吸着電極130の形状は、例えば略円形である。吸着電極130に電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部100の第1面S1に吸着固定される。
また、板状部100の内部には、吸着電極130よりも下側(Z軸マイナス側)に、Z軸方向視で渦巻き型のヒータ140(図2)が配置されている。本実施形態において、ヒータ140は、タングステンやモリブデン等により形成されたメタライズ層である。ヒータ140の形状は、本実施形態に限定されず、例えば、円盤形状等でもよい。他の実施形態では、板状部100は、ヒータ140を備えなくてもよい。
図3は、板状部100の第1面S1側の平面構成を示す説明図である。図4は、静電チャック10の端部のXZ断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。図示するように、板状部100の第1面S1には、平面形状が円形の窪み状のガス充填部112が形成されている。ガス充填部112は、底面に立設される複数の円柱状の突起部114を有する。突起部114の上面(Z軸正方向の面)は、第1面S1を構成する。すなわち、突起部114の上面の高さ方向の位置は、第1板状部110の端の高さ方向の位置と略一致する。
図4に示すように、静電チャック10は、静電チャック10を積層方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔であるガス流路500を有する。ガス流路500は、ウェハWを冷却するための不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)をガス充填部112に供給するための孔部である。なお、ガス流路500は、ガス充填部112に対して不活性ガスを均一に供給するために、ガス充填部112の底面に複数の噴出口を有する形態とすることが好ましい。
本実施形態の静電チャック10では、第1面S1にウェハを吸着する際に、不活性ガスが、ガス流路500を介して第1板状部110のガス充填部112に供給される。静電チャック10とウェハWとの間に不活性ガスを流すことにより、ウェハWを冷却したり、ヒータと組み合わせてウェハWを加熱したりと、加工中のウェハWの温度を制御することができる。
本実施例における静電チャック10は、ガス充填部112を有し、ガス充填部112に不活性ガスが充填されるため、静電チャック10とウェハWとの間の不活性ガスの分布が一様となり、ウェハWの温度分布を均一に保ちつつ、ウェハWを保持することができる。また、ガス充填部112に複数の突起部114が配置されることによって、吸着電極130への電圧除去後の吸着力の残留時間を短縮することができる。
板状部100の厚さは特に限定されないが、2mm以上、10mm以下が好ましい。本実施形態では、板状部100の内層に吸着電極130とヒータ140を備え、板状部100の表層にガス充填部112を形成しているため、厚みは2mm以上が好ましい。板状部100の反りを抑制するためには、適度な厚みが必要であるが10mm以下が好ましい。板状部100を10mmより厚く形成することは、クラックや、内部の隙間、空孔等の発生の可能性が高くなるためである。
冷却部200は、板状部100より径が大きい略円形平面状の板状部材である。冷却部200は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、モリブデン、チタン、タングステン、ニッケルのうちの少なくとも一種の金属を含むこととすることができる。モリブデン、チタン、タングステンは、上記した金属の中でも熱膨張率が比較的小さいため、これらのうちの少なくとも一種の金属を用いて冷却部200を構成する場合には、冷却部200と板状部100との間の熱膨張率差を抑えることができて望ましい。なお、本願明細書において、「熱膨張率」は、「線膨張率」を指す。また、マグネシウムは、ヤング率が比較的小さいため、マグネシウムを用いて冷却部200を構成する場合には、冷却部200で生じる熱応力を低減することができて望ましい。また、アルミニウムは、熱伝導率が比較的高く、加工が容易で低コストである。そのため、アルミニウムを用いて冷却部200を構成する場合には、冷却部200による板状部100およびウェハWの冷却効率を高めることができ、静電チャック10の製造コストを抑えることができて望ましい。冷却部200による冷却効率を高めつつ製造コストを抑える観点からは、冷却部200における金属の含有割合が高い方が望ましく、冷却部200は、金属を主成分とすることが望ましい。例えば、汎用性が高いアルミニウムを90質量%以上含有すること(例えば、A6061、A5052などのアルミニウム合金により構成すること)が望ましい。ただし、冷却部200は、セラミックなどの金属以外の成分を含んでいてもよい。冷却部200の直径は、例えば、220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm)であり、冷却部200の厚さは、例えば、20mm~40mm程度である。
冷却部200の内部には冷媒流路210(図2)が形成されている。静電チャック10の板状部100に保持されたウェハWを、プラズマを利用して加工する際、ウェハWに対してプラズマから入熱され、ウェハWの温度が上昇する。冷却部200に形成された冷媒流路210に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、冷却部200が冷却される。接合部400、および無機基板300を介した冷却部200と板状部100との間の伝熱により板状部100が冷却され、板状部100の第1面S1に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度制御が実現される。他の実施形態では、冷却部は内部に冷媒流路が形成されていなくてもよく、外部から冷却してもよい。
無機基板300は、板状部100の第2面S2と径が等しい略円形平面状の板状部材である。無機基板300は、無機材料を主成分とする、板状部100より熱伝導率が低い板状部材である。無機基板300は、板状部100より熱伝導率が低いため、断熱材として機能する。無機材料としては、例えば、アルミナ・シリカ等を主成分とする天然鉱物、いわゆるファインセラミックス、ニューセラミックスと言われるセラミックスを用いることができる。すなわち、無機材料は、セラミックスと天然鉱物を含む概念である。本実施形態において、無機基板300は緻密体である。他の実施形態では、無機基板300として、多孔質体を用いることができる。本実施形態において、無機基板300は、板状部100に以下の方法で接合されている。例えば、接着機能を有する未硬化のシート状の無機基板を熱圧着により板状部100に接合してもよいし、接着機能を有するペースト状の無機バインダーを板状部100に塗布して未硬化の無機基板を形成した後、熱圧着してもよい。熱圧着後、無機基板は板状部100と一体化した状態で硬化する。他の実施形態では、無機基板300は、例えば、無機材料を主成分とする接着剤により板状部100に接合されてもよい。
無機基板300の厚みt(mm)、およびヤング率k(GPa)は、下記を満たす。
t×k≦10(GPa・mm)
無機基板300は薄いほど、無機基板300の厚み方向の温度差を小さくでき、板状部100を内側に引っ張る力を小さくすることができるため、板状部100の反りを抑制することができる。ただし、無機基板300が薄すぎると断熱板としての機能が低下する。また、無機基板300のヤング率が低いほど柔らかいため、板状部100に生じる力を小さくすることができる。無機基板300の厚みとヤング率との積を、上記範囲にすることにより、無機基板300の厚みとヤング率とのバランスにより、板状部の反りを抑制することができる。その結果、ウェハWの吸着性が良好になり、ウェハのガタつきや傾きが抑制され、エッチング精度の低下を抑制することができる。また、ウェハWの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
無機基板300の厚みtは、下記の方法で測定することができる。
静電チャック10を、第1面S1に垂直な切断面(例えば、図1におけるXZ面)で、切断機で切り出し、その断面を長さ測定が可能な拡大鏡もしくは顕微鏡で観察、測定する。ここで、切断面は、第1面S1の中心を通る。断面の中央部(第2面S2の中心に対応)、端部、これらの中間(半径/2)の位置を幅1.5mmの範囲で観察し、それぞれの範囲で凸部と凹部の厚みを測定し、平均値を算出し無機基板300の厚みとする。
無機基板300のヤング率は、下記の方法で測定することができる。
JIS K6911記載の形状に、サンプルを切り出す。公知の引張試験機で、サンプルの両端の所定部分を保持し、5mm/分の速度で引っ張りつつ荷重を測定する。荷重をサンプルの断面積で割ることにより、引張応力(Pa)を算出する。ひずみは、ひずみゲージで測定する。横軸:ひずみ(%)、縦軸:応力(Pa)のグラフにおいて、原点付近の傾きを算出し、ヤング率とする。
無機基板300は、例えば、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどのシラン化合物に、充填剤としてアルミナやシリカの粉末やガラス繊維を配合したのち、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどのシラン化合物を加水分解と縮合重合しつつ、加熱、圧縮して固体化し、板状に整形することができる。また、無機基板300は、各種ガラス粉末(ガラスフリットとも言う)に充填剤としてアルミナやシリカの粉末やガラス繊維を配合したのち、ガラス粉末が軟化、流動する温度まで加熱、圧縮して板状に成形してもよい。無機基板300のヤング率は、充填剤やガラス繊維の配合量を変更することで調整することができる。
無機基板300の厚みは特に限定されないが、0.15mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。さらに、0.2mm以上、0.4mm以下がより好ましい。上述の通り、無機基板300は薄いほど、板状部100の反りを抑制することができるものの、薄すぎると断熱板としての機能が低下する。無機基板300の厚みを、0.15mm以上とすると、接合部400の温度上昇を抑制することができる。例えば、接合部400がシリコーン接着剤を主成分とする場合、接合部400の温度を、例えば、200℃以下にすることができるため、シリコーン接着剤の劣化を抑制することができる。また、無機基板300の厚みを、0.15mm以上とすると、冷却部200に伝わる熱を小さくすることができ、板状部100の表面温度の過冷却を抑制することができるため、ヒータによる板状部100の加熱を抑制することができ、ヒータ140の消費電力を抑制することができる。また、冷却部200に伝わる熱を小さくすることができるため、板状部100の面内温度分布の均一性を向上させることができる。また、無機基板300の厚みを、0.5mm以下とすると、無機基板300の厚み方向の温度差を小さくでき、板状部100を内側に引っ張る力を小さくすることができるため、板状部100の反りを抑制することができる。すなわち、接合部400の温度上昇と板状部100の反りとをバランスよく抑制することができる。
無機基板300を構成する無機材料の熱膨張率は、特に限定されないが、板状部100を構成する材料の熱膨張率と、無機基板300を構成する無機材料の熱膨張率との差の絶対値が、7(ppm/K)以下であることが好ましい。板状部100を構成する材料と、無機基板300を構成する無機材料との熱膨張率の差の絶対値を、上記の範囲にすると、板状部100の加熱時に、平面視で円の中心もしくは外側に向かう方向に生じる力を小さくすることができるため、反りを抑制することができる。
熱膨張率は、下記の方法で測定することができる。
装置は公知の熱膨張率測定装置(例えば、株式会社リガクTMA8311)を用いることができる。サンプルは、長さ18mm×幅3mm×厚み4mmに切り出し、長手方向に、100mNの圧縮荷重をかけ、窒素流速100ml/分の窒素雰囲気で10℃/分の速度で400℃まで昇温しつつ長さの変化を測定する。260℃の時の長さから40℃の時の長さを引き、元の長さと温度差220℃で除することにより260℃から40℃の間の熱膨張率を測定できる。
熱膨張率は、充填剤やガラス繊維の配合量を変更することで調整でき、熱膨張率は、非晶質シリカやガラス繊維の中でも特にEガラスを増加させることで低下させることができる。
無機基板300を構成する無機材料の熱伝導率は、特に限定されないが、1.8W/mK以下が好ましく、0.9W/mK以下がより好ましい。無機基板300を構成する無機材料の熱伝導率を、上記範囲にすることにより、板状部100から接合部400への熱伝導をより抑制することができ、接合部400の温度上昇をより抑制することができる。接合部400が、例えば、シリコーンを主成分とする接着剤から形成される場合には、無機材料の熱伝導率を1.8W/mK以下にすることにより、接合部400の最高温度を200℃以下に抑制することができる。さらに、無機材料の熱伝導率を0.9W/mK以下にすることにより、接合部400の最高温度を190℃以下に抑制することができ、より信頼性を高めることができる。ここで、熱伝導率は、室温(20℃)における熱伝導率である。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって熱拡散率から算出することができる。計算に用いた密度はアルキメデス法により測定する。ここで試料は単独で成形した場合と、保持装置から切り出した場合のどちらでも良く、結果は同じとなる。
無機基板300の熱伝導率は、充填剤やガラス繊維の配合量を変更することで調整できる。熱伝導率は、アルミナを増加させることで上昇し、シリカを増加させることで減少する。シリカを使用する場合は、結晶質のシリカよりも非晶質のシリカの方が熱伝導率減少の効果が大きく、体積基準で同じ添加量であれば結晶質のシリカよりも非晶質のシリカの方が熱伝導率を低下できる。
板状部100の熱伝導率は、無機基板300ほど大きく変化させることができないが、焼結助剤として添加するシリカやマグネシアの量を変更することで調整できる。シリカを増加させることで熱伝導率を低下、マグネシアを増加させることで熱伝導率を上昇させることができる。
板状部-無機基板接合体310の反りは、一般的な形状測定装置を使用して測定することができる。例えば、レーザー式もしくは光学式の3次元測定機、画像測定機で測定することができる。
接合部400は、無機基板300と径が等しい略円形平面状の板状部材であり、無機基板300と冷却部200とを接合する。接合部400は、接着剤から形成されており、例えば、アクリル、ポリイミド等の有機物、シリコーン等を主成分とする接着剤を用いることができる。
シリコーン接着剤は、例えば、ポリジメチルシロキサンと、架橋剤、シランカップリング剤、硬化触媒、およびフィラーを混合することで作製することができる。フィラーにはアルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化鉄、酸化マグネシウムのうち少なくとも1種類を用いることができる。無機基板300と冷却部200との接合には、シート状、もしくはワニス状のシリコーン接着剤を使用することができる。シート状で使用する場合、所定の形状に切断した後、シート状シリコーン接着剤を、板状部100と一体化した無機基板300と、冷却部200とにそれぞれ、真空中で貼りつけを行う。さらに板状部100と一体化した無機基板300と、冷却部200とを、シート状シリコーン接着剤を介して真空中で接合し、100℃以上の温度で硬化させることにより、無機基板300と冷却部200とを接合することができる。ワニス状のシリコーン接着剤を使用する場合、冷却部200にスクリーン印刷法で塗布し、板状部100と一体化した無機基板300と真空中で接合し、100℃以上の温度で硬化させることにより、無機基板300と冷却部200とを接合することができる。ここで、冷却部200には流れ出し防止用の樹脂壁を作製しておいても良い。
接合部400の厚みは特に限定されないが、200μm~800μmが好ましい。接合部400は、熱引きの点では薄い方が良いが、薄すぎると板状部100と冷却部200の熱膨張差を緩和することができない。接合部400の厚みを、上記の範囲にすると、適切に熱引きができると共に、板状部100と冷却部200の熱膨張差を緩和することができる。
接合部400の熱伝導率は特に限定されないが、0.2~1.5W/(m・K)が好ましい。接合部400の熱伝導率は高い方が好ましいが、熱伝導率を上げるために熱伝導フィラー(例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等)を大量に添加すると硬く伸びにくくなるため、温度変化に伴う破損が生じたり、板状部100と冷却部200との温度差に伴う応力の緩和能が低下する虞がある。接合部400の熱伝導率を上記の範囲にすると、応力緩和能を確保すると共に効率よく熱伝導を行うことができる。
静電チャック10の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法で製造することができる。
まず、従来公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックスグリーンシートを作製する。セラミックスグリーンシート上にヒータや吸着用電極、ビア、通気孔を作製し、複数のセラミックグリーンシートを積層して熱圧着した後、還元雰囲気下1400℃~1600℃で焼成を行い、セラミックス基板(板状部)を得る。
無機基板として、ガラスウールを無機バインダー溶液に含浸させ、乾燥、硬化させることで得られる緻密な無機基板を使用する。ここで無機バインダー溶液は、シリカおよびアルミナを主成分とする金属アルコキシド溶液、シリカおよびアルミナフィラー、有機溶剤、ポリシロキサンを混合することで調整する。無機基板のヤング率、熱伝導率、熱膨張率、厚みは上記の方法により調整する。
無機基板を所定のサイズに切断し、穴あけ加工を行い、シランカップリング剤を含む無機バインダーを全面に塗布し、熱圧着によって板状部と接合する。この時、無機バインダー溶液含浸後の無機基板に乾燥のみを行い、所定のサイズに切断し、穴あけ加工を行ったのち、板状部に熱圧着することで、硬化と接合を同時に行っても良い。
次いで、板状部と無機基板の接合体と、冷却部をシリコーン接着剤により接合することで、保持装置を得る。詳しくは、シリコーン接着剤は硬化できる官能基を含有するポリジメチルシロキサンと、架橋剤、シランカップリング剤、硬化触媒、およびフィラーを混合することで作製する。フィラーにはアルミナ、および窒化アルミニウムを用いる。接合にはシート状のシリコーン接着剤を使用する。シリコーン接着剤をシート状に成型した後、100℃以下の温度で一部を硬化させ、所定の形状に切断する。その後、板状部と一体化した無機基板と、冷却部とを、シート状シリコーン接着剤を介して真空中で接合し、100℃以上の温度で硬化させることにより、保持装置を得る。
以上説明したように、本実施形態の静電チャック10によれば、無機基板300の厚みtとヤング率kとの積(t×k)が10(GPa・mm)以下であるため、無機基板300の厚みとヤング率とのバランスにより、板状部100の反りを抑制することができる。その結果、ウェハWの吸着性が良好になり、ウェハのガタつきや傾きが抑制され、エッチング精度の低下を抑制することができる。また、ウェハWの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
実施例により本発明を更に具体的に説明する。
図5は、無機基板300の厚みtとヤング率kとの積を示す図であり、図6は、無機基板300の厚みtとヤング率kとの積の変化に伴う、板状部-無機基板接合体310の反りの変化のシミュレーション結果を示す図である。図6は、図5に示す無機基板300の厚みとヤング率との組み合わせにおける板状部-無機基板接合体310の反りを示している。図6では、板状部100の構成材料の熱膨張率が6.8ppm/K、無機基板300の構成材料の熱膨張率が11ppm/Kであり、板状部100の構成材料の熱膨張率と、無機基板300の構成材料の熱膨張率との差の絶対値が4.2ppm/Kであるものとしてシミュレーションを行った結果を示している。図5以降に示すシミュレーションでは、板状部100、無機基板300、および接合部400の半径が180mm、冷却部200の半径が180mmとし、接合部400がシリコーンを主成分とする接着剤から成るものとしてシミュレーションを行っている。なお、実施例において、板状部100は、外周面に段差がない円板状である。換言すると、第1板状部110と第2板状部120の径が同一である。これらのシミュレーションの結果は、210mm四方の角形状のサンプルを用いた実験結果と傾向が略一致している。実施例では、日本機械学会論文集A59巻563号ページ1777-1782に収録の論文、タイトル「多層ばり理論によるプリント基板の応力・変形の評価」を参考に、異なる熱伝導率の板が相互に接合され、温度が変化した際の各層に生じる応力と、接合体の反りのシミュレーションを行っている。
図6に示すように、無機基板300のヤング率kが高くなるほど板状部-無機基板接合体310の反りが大きくなり、また、無機基板300の厚みtが厚くなるほど板状部-無機基板接合体310の反りが大きくなる。図6では、反りが50μm以下である複数の欄を太線で囲んで図示している。反りが50μmを超えると、ウェハWの吸着が困難になり、また、ウェハWが吸着されてもガタついたり、傾いて吸着され、エッチング精度が低下する虞がある。すなわち、反りが50μm以下とすることが好ましい。図5において、図6と対応する複数の欄を太線で囲んで図示している。図5に図示するように、無機基板300の厚みt(mm)とヤング率k(GPa)との積が、10(GPa・mm)以下のとき、板状部-無機基板接合体310の反りが50μm以下となる。図5、図6から、無機基板300の厚みt(mm)とヤング率k(GPa)との積を10(GPa・mm)以下とすることにより、板状部-無機基板接合体310の反りが抑制され、ウェハWを良好に吸着することができるといえる。
図7は、板状部100の表面(第1面S1)を250℃にしたときの接合部400の最高温度を示す図である。図示するように、板状部100を加熱しつつ、冷却部に90℃の冷媒を供給して、板状部100の表面(第1面S1)を250℃にした場合の接合部400の最高温度を、無機基板300の熱伝導率を変化させてシミュレーションしている。各部の温度は、各層の熱抵抗(m2K/W)(熱抵抗=厚み/熱伝導率、で算出)を直列接続し、板状部からチラーまで、すべての層を通過する熱量は一定とする一次元の定常熱伝導の関係式によりシミュレーションした。接合部400の温度としては、無機基板300と接する第4面S4(図2)の温度を記載している。図7に示す例は、無機基板300の厚みtが0.3mm、無機基板300のヤング率kが20GPaであり、t×k≦10(GPa・mm)を満たす。
図7では、接合部400の温度が190℃未満を「◎」、190℃以上200℃未満を「〇」、200℃以上を「×」と表示している。この例では、接合部400がシリコーンを主成分とする接着剤で構成しており、シリコーンは温度が200℃以上になると、劣化、剥離が生じる虞があるため、200℃を基準として評価を行っている。図7に示すように、無機基板300の熱伝導率を1.8W/mK以下にすると、接合部400の最高温度を200℃以下に抑制することができるため好ましい。無機基板300の熱伝導率を0.9W/mK以下にすると、接合部400の最高温度を190℃以下に抑制することができるため、さらに好ましい。なお、上述の通り、接合部400を主に構成する材料は、シリコーンに限定されないが、例えば、アクリル、ポリイミド等の有機物等の他の材料を主成分とする接着剤により接合部400を構成した場合にも、無機基板300の熱伝導率を1.8W/mK以下にすると、接合部400の最高温度を適切に抑制することができるため好ましい。
図8は、無機基板300(ヤング率20GPa)の厚みと、接合体310の反りおよび接合部400の最高温度との関係を示す図である。図8に示す例は、サンプル11からサンプル17まで、サンプル番号が大きくなるにつれて無機基板300の厚みtが厚くなっており、その他の構成(物性を含む)は、各サンプル間で同一である。図8に示す例では、無機基板300を板状部100に接合する際の接合温度を170℃とし、接合後冷却したときの温度を20℃(室温)として、接合温度170℃から室温まで冷却した時の接合体310(板状部-無機基板接合体310)単体での反りをシミュレーションしている。また、静電チャック10において、板状部100の第1面S1の温度が250℃となったときの接合部400の第4面S4の最高温度をシミュレーションして、図8において「接合部温度」として記載している。なお、後述する図9、10に示す例においても同様の条件にてシミュレーションを行い、同様の基準で評価を行っている。
図8では、図7と同様に、接合部400の温度が190℃未満を「◎」、190℃以上200℃未満を「〇」、200℃以上を「×」と評価している。また、接合体310の反りについて、40μm未満を「◎」、40μm以上50μm未満を「〇」、50μm以上を「×」と評価している。
図8に示す例は、無機基板300のヤング率kが20GPaであり、サンプル11~16は、t×k≦10(GPa・mm)を満たし、サンプル17はt×k≦10(GPa・mm)を満たさない。図示するように、t×k≦10(GPa・mm)を満たすサンプル11~16は、接合体310の反りを50μm以下に抑制することができた。
図示するように、無機基板300の厚みを0.5mm以下にすると、接合体310の反りが50μm以下になる(サンプル11~16)。上述の通り、接合体310の反りを50μm以下にすると、静電チャック10によって、良好にウェハWを吸着することができ、良好にエッチングを行うことができる。また、無機基板300の厚みを0.15mm以上にすると、接合部400の最高温度が200℃以下になる(サンプル12~17)。上述の通り、接合部400の温度を200℃以下にすると、接合部400の劣化や剥離を抑制することができる。さらに、板状部100から冷却部200に伝わる熱が小さくなるため、板状部100の第1面S1のヒータ140による加熱を抑制することができ、ヒータ140の消費電力を抑制することができる。また、板状部100から冷却部200に伝わる熱が小さくなるため、板状部100の面内温度分布の均一性を良好にすることができる。このように、無機基板300の厚みを0.15mm以上0.5mm以下にすると、接合体310の反りを抑制することができると共に、板状部100から冷却部200への熱の移動を抑制することができるため、好ましい。
無機基板300の厚みを、0.2mm以上、0.4mm以下にすると接合部400の最高温度を190℃程度まで抑制することができ、かつ接合体310の反りを40μm以下に抑制することができるため、さらに好ましい。
図9は、無機基板300(ヤング率30GPa)の厚みと、接合体310の反りおよび接合部400の最高温度との関係を示す図である。図9に示す例は、サンプル21からサンプル27まで、図8に示した例と同様に、サンプル番号が大きくなるにつれて無機基板300の厚みtが厚くなっており、その他の構成(物性を含む)は各サンプル間で同一である。図9に示すサンプルは、図8に示すサンプルより無機基板300のヤング率大きく、ヤング率が30GPaである。すなわち、図9に示すサンプル21~27は、サンプル11~17(図8)と比べて硬い。
図9に示す例は、無機基板300のヤング率kが30GPaであり、サンプル21~25は、t×k≦10(GPa・mm)を満たし、サンプル26~29はt×k≦10(GPa・mm)を満たさない。図示するように、t×k≦10(GPa・mm)を満たすサンプル21~25は、接合体310の反りを50μm以下に抑制することができた。
図示するように、無機基板300の厚みを0.33mm以下にすると、接合体310の反りを50μm以下にすることができる(サンプル21~25)。また、無機基板300の厚みを0.15mm以上にすると、接合部400の最高温度が200℃以下になる(サンプル22~29)。このように、無機基板300の厚みを0.15mm以上0.33mm以下にすると、接合体310の反りを抑制することができると共に、板状部100から冷却部200への熱の移動を抑制することができるため、好ましい。無機基板300の厚みを、0.3mm以上、0.33mm以下にすると接合部400の最高温度を190℃以下に抑制することができるため、さらに好ましい。
図10は、無機基板300(ヤング率10GPa)の厚みと、接合体310の反りおよび接合部400の最高温度との関係を示す図である。図10に示す例は、サンプル31からサンプル37まで、図8に示した例と同様に、サンプル番号が大きくなるにつれて無機基板300の厚みtが厚くなっており、その他の構成(物性を含む)は、各サンプル間で同一である。図10に示すサンプルは、図8に示すサンプルより無機基板300のヤング率が小さく、ヤング率が10GPaである。すなわち、図10に示すサンプル31~37は、サンプル11~27(図8)と比べて柔らかい。
図10に示す例は、無機基板300のヤング率kが10GPaであり、サンプル31~37の全てにおいて、t×k≦10(GPa・mm)を満たす。図示するように、t×k≦10(GPa・mm)を満たすサンプル31~37は、接合体310の反りを50μm以下に抑制することができた。
図示するように、無機基板300の厚みを0.6mm以下にすると、接合体310の反りが50μm以下になる(サンプル31~37)。また、無機基板300の厚みを0.15mm以上にすると、接合部400の最高温度が200℃以下になる(サンプル32~37)。このように、無機基板300の厚みを0.15mm以上0.6mm以下にすると、接合体310の反りを抑制することができると共に、板状部100から冷却部200への熱の移動を抑制することができるため、好ましい。無機基板300の厚みを、0.3mm以上、0.6mm以下にすると接合部400の最高温度を190℃以下に抑制することができるため、さらに好ましい。
図8~10に示すように、無機基板300の厚みが厚いほど、接合体310の反りが大きくなる。無機基板300が厚くなると、無機基板300の表面と裏面との温度差が大きくなり、温度変化に伴う膨張・収縮時の歪が大きくなり、発生する力が大きくなるためである。また、無機基板300の厚みが薄いほど接合部400の最高温度が高くなる。また、無機基板300のヤング率が大きいほど、接合体310の反りが大きくなる。無機基板300について、厚みt×ヤング率k≦10(GPa・mm)を満たすことにより、接合体310の反りを抑制することができる。また、無機基板300の厚みを、0.15mm以上0.5mm以下にすることにより、接合部400の温度上昇を抑制し、接合部400の劣化を抑制することができる。
図11は、板状部100の第1面S1を250℃にするために必要な消費電力を示す図である。図示するように、板状部100を加熱しつつ、冷却部に90℃の冷媒を供給して、板状部100の表面(第1面S1)を250℃にした場合の静電チャック10の消費電力を、無機基板300の厚みを変化させてシミュレーションしている。図11に示す例は、無機基板300のヤング率kが20GPaであり、サンプル41~46は、t×k≦10(GPa・mm)を満たし、サンプル47は、t×k≦10(GPa・mm)を満たさない。図11では、消費電力が7000W未満を「〇」、7000W以上を「×」と評価している。一般的に電源から供給できる電力の上限値に基づいて、評価基準を決定している。
図示するように、サンプル41は無機基板300の厚みが0.1mmであり、消費電力が7000W以上になった。無機基板300の厚みが薄いと、熱が冷却部200に伝わってしまい、ヒータ140により加熱しても、板状部100の第1面S1の温度が上がりにくいため、消費電力が大きくなってしまう。消費電力の観点からも、無機基板300の厚みは0.15mm以上が好ましい。
図12は、板状部100と無機基板300の熱膨張率差と接合体310の反りとの関係を示す図である。図12において、板状部100の構成材料の熱膨張率と無機基板300の構成材料の熱膨張率との差を「熱膨張率差」として表示している。シミュレーションの条件は、上記図7~図11の例と同様である。接合体の反りが正の場合は、板状部100側に凸(図2におけるZ軸正方向に凸)であり、接合体の反りが負の場合は、無機基板300側に凸(図2におけるZ軸負方向に凸)である。図12では、図8と同様に、接合体310の反りの絶対値が、40μm未満を「◎」、40μm以上50μm未満を「〇」、50μm以上を「×」と評価している。図12に示す例は、サンプル41~49の全てが、無機基板300の厚みt×ヤング率k≦10(GPa・mm)を満たす。
図示するように、熱膨張率差の絶対値が7ppm/K以下の場合は(サンプル42~49)、接合体310の反りの絶対値が50μm以下となるため、好ましい。サンプル47~49は、接合体310単体での反りが、無機基板300側に凸(図2におけるZ軸負方向に凸)である。接合体310が接合部400により冷却部200に接合され、静電チャック10が構成された場合、冷却部200は接合体310より熱膨張率が大きいことが多いため、温度変化に伴い接合体310が板状部100側に凸(図2におけるZ軸正方向に凸)になるような力が発生することが多い。そのため、接合体310単体での反りが、無機基板300側に凸(図2におけるZ軸負方向に凸)であると、静電チャック10を構成したときに、反りが抑制されるため、好ましい。すなわち、熱膨張率差が-6ppm/K以上、0ppm/K未満が、より好ましい。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
・上記実施形態では、板状部100の第1面S1の上に対象物が保持される例を示したが、板状部100の上に、さらに別のセラミックス基板を接合し、その上に対象物が保持される構成にしてもよい。
・上記実施形態において、保持装置として静電チャックを例示したが、保持装置は、静電チャックに限定されない。例えば、CVD、PVD、PLD(Pulsed Laser Deposition)等の真空装置用ヒータ装置、サセプタ、載置台として構成することができる。
・上記実施形態において、保持装置として、略円形平面の板状部材の積層体を備える例を示したが、平面形状は上記実施形態に限定されない。例えば、矩形平面、多角形平面等であってもよい。
本開示は、上述の実施形態、実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示は、以下の適用例としても実現することが可能である。
[適用例1]
対象物を保持する保持装置であって、
板状に形成される板状部と、
無機材料を主成分とし、前記板状部より熱伝導率が低く、前記板状部に接合された無機基板と、
前記無機基板に対して、前記板状部とは反対側に配置された板状の冷却部と、
前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、
を備え、
前記無機基板の厚みをt(mm)、前記無機基板のヤング率をk(GPa)としたとき、
t×k≦10(GPa・mm)
であることを特徴とする、
保持装置。
[適用例2]
適用例1に記載の保持装置であって、
前記無機基板の厚みは、0.15(mm)以上、0.5(mm)以下であることを特徴とする、
保持装置。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の保持装置であって、
前記板状部を構成する材料の熱膨張率と、前記無機基板を構成する前記無機材料の熱膨張率との差の絶対値が、7(ppm/K)以下であることを特徴とする、
保持装置。
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれか一項に記載の保持装置であって、
前記板状部の厚みは2(mm)以上、10(mm)以下であることを特徴とする、
保持装置。
10…静電チャック
20…板状部
100…板状部
110…第1板状部
112…ガス充填部
114…突起部
120…第2板状部
130…吸着電極
140…ヒータ
200…冷却部
210…冷媒流路
300…無機基板
310…板状部-無機基板接合体(接合体)
400…接合部
500…ガス流路
S1…第1面
S2…第2面
S4…第4面

Claims (5)

  1. 対象物を保持する保持装置であって、
    板状に形成される板状部と、
    無機材料を主成分とし、前記板状部より熱伝導率が低く、前記板状部に接合された無機基板と、
    前記無機基板に対して、前記板状部とは反対側に配置された板状の冷却部と、
    前記無機基板と前記冷却部との間に配置され、前記無機基板と前記冷却部とを接合する接合部と、
    を備え、
    前記無機基板の厚みをt(mm)、前記無機基板のヤング率をk(GPa)としたとき、
    t×k≦10(GPa・mm)
    であることを特徴とする、
    保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置であって、
    前記無機基板の厚みは、0.15(mm)以上、0.5(mm)以下であることを特徴とする、
    保持装置。
  3. 請求項1に記載の保持装置であって、
    前記板状部を構成する材料の熱膨張率と、前記無機基板を構成する前記無機材料の熱膨張率との差の絶対値が、7(ppm/K)以下であることを特徴とする、
    保持装置。
  4. 請求項2に記載の保持装置であって、
    前記板状部を構成する材料の熱膨張率と、前記無機基板を構成する前記無機材料の熱膨張率との差の絶対値が、7(ppm/K)以下であることを特徴とする、
    保持装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保持装置であって、
    前記板状部の厚みは2(mm)以上、10(mm)以下であることを特徴とする、
    保持装置。
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