JP2024012938A - 電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 - Google Patents

電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材フィルム上から余分な電極組成物を効率的に除去すること。【解決手段】電池用電極製造装置は、帯状の基材フィルムを搬送する搬送部と、搬送される前記基材フィルム上の所定長さ且つ所定幅の規定範囲に対して、活物質を含む電極組成物を供給する供給部と、前記規定範囲より前記基材フィルムの搬送方向の上流側であって前記所定幅を有する範囲を少なくとも含んだ対象範囲から、前記電極組成物を一括して除去する除去部とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法に関する。
リチウムイオン電池は高容量の二次電池であり、近年様々な用途で使用されている。リチウムイオン電池の電極は、活物質層、集電体層、セパレータ、及び、活物質層を封入する枠体等によって構成される(例えば、特許文献1参照)。リチウムイオン電池における活物質層は、例えば、帯状の基材フィルムに対して電極組成物を供給し、ロールプレス等によって圧縮することで形成することができる。
特許第6633866号公報 特開2001-70891号公報 特許第3595928号公報
基材フィルムに対する電極組成物の供給時においては、基材フィルム上の規定範囲に対して正確に電極組成物を供給することが好ましいが、規定範囲から電極組成物がこぼれてしまうケースも想定される。このような余分な電極組成物は、リチウムイオン電池の不具合の原因となるおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、基材フィルム上から余分な電極組成物を効率的に除去することができる電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る電池用電極製造装置は、帯状の基材フィルムを搬送する搬送部と、搬送される前記基材フィルム上の所定長さ且つ所定幅の規定範囲に対して、活物質を含む電極組成物を供給する供給部と、前記規定範囲より前記基材フィルムの搬送方向の上流側であって前記所定幅を有する範囲を少なくとも含んだ対象範囲から、前記電極組成物を一括して除去する除去部とを備える。
本発明の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法によれば、基材フィルム上から余分な電極組成物を効率的に除去することができる。
図1は、第1実施形態の電池用電極製造装置を用いて製造される電池の単セルの断面模式図である。 図2は、第1実施形態の電池用電極製造装置の概略図である。 図3は、第1実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図4は、第1実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図5は、第1実施形態の除去装置の動作を示す図である。 図6Aは、第1実施形態の除去装置による一連の処理について説明するための図である。 図6Bは、第1実施形態の除去装置による一連の処理について説明するための図である。 図6Cは、第1実施形態の除去装置による一連の処理について説明するための図である。 図7は、第2実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図8は、第3実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図9は、第3実施形態のワイパーの掃除について説明するための図である。 図10は、第4実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図11は、第4実施形態の除去装置の一例を示す図である。 図12は、第5実施形態の電池用電極製造装置の概略図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、一部を省略して図示している場合がある。
<組電池(二次電池)>
実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法は、例えば、リチウムイオン電池の製造に適用される。リチウムイオン電池は、複数のリチウムイオン単電池(単セル又は電池セルとも記載する)を組み合わせてモジュール化した組電池、或いは、このような組電池を複数組み合わせて電圧及び容量を調整した電池パックの形態で使用される。
<単セル(電池セル)>
図1は、単セル10の断面模式図である。単セル10を複数組み合わせることで上記の組電池を作製することが可能である。例えば、単セル10は、2つの電極20(電池用電極)としての正極20a及び負極20bと、セパレータ30とを有する。
セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間に配置される。組電池において、複数の単セル10は、正極20aと負極20bとを同方向に向けて積層される。
セパレータ30には、電解質が保持される。これにより、セパレータ30は、電解質層として機能する。セパレータ30は、正極20a及び負極20bの電極活物質層22の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間の隔壁として機能する。
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液またはゲルポリマー電解質等が挙げられる。これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
正極20a及び負極20bは、それぞれ、集電体21と、電極活物質層22と、枠体35とを有する。電極活物質層22と集電体21とは、セパレータ30側からこの順に並ぶ。枠体35は、額縁状(環状)である。枠体35は、電極活物質層22の周囲を囲む。正極20aの枠体35と負極20bの枠体35とは、互いに溶着され一体化されている。以下の説明において、正極20a及び負極20bの電極活物質層22を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層22a、負極活物質層22bと呼ぶ。
<正極集電体の具体例>
正極集電体層21aを構成する正極集電体としては、公知のリチウムイオン単電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報及び国際公開第2015/005116号等に記載の樹脂集電体等)を用いることができる。正極集電体層21aを構成する正極集電体は、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は、薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等が挙げられるが、特に限定されない。また、導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択されれば特に限定されない。導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤等)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いても良い。
正極集電体層21aの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体層21aとして用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。正極集電体層21aは、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。
<正極活物質の具体例>
正極活物質層22aは、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層22aが非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22aに応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22aの破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22aは、正極活物質層22aを、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22aにする等の方法で得ることができる。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属元素が2種である複合酸化物、金属元素が3種類以上である複合酸化物等が挙げられるが、特に限定されない。
正極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質であってもよい。正極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015/005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
正極活物質層22aには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調節したもの、及び、特開平10-255805号公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱等を使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。したがって、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは、異なる材料である。
正極活物質層22aには、電解質と非水溶媒を含む電解液が含まれていてもよい。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用できる。非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの(例えば、リン酸エステル、ニトリル化合物等及びこれらの混合物等)等が使用できる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液を用いることができる。
正極活物質層22aには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
正極活物質層22aの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
実施形態において、正極活物質層22aを形成するために供給される正極組成物は、正極活物質と非水電解液を含んでなる湿潤粉体であってもよい。また、湿潤粉体はペンデュラー状態又はファニキュラー状態であることがより好ましい。
湿潤粉体における非水電解液の割合は、特に限定されないが、ペンデュラー状態又はファニキュラー状態とするためには、正極の場合には非水電解液の割合を湿潤粉体全体の0.5~15重量%とすることが望ましい。
<負極集電体の具体例>
負極集電体層21bを構成する負極集電体としては、正極集電体で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体層21bは、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。負極集電体層21bの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
<負極活物質の具体例>
負極活物質層22bは、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層22bを得る方法等は、正極活物質層22aが非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22aを得る方法と同様である。
負極活物質としては、例えば、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物等を用いることができるが、特に限定されない。
負極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質であってもよい。負極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
被覆材としては、被覆正極活物質を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層22bは、電解質と非水溶媒を含む電解液を含有する。電解液の組成は、正極活物質層22aに含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
負極活物質層22bには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質層22aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
負極活物質層22bには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質層22aの任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層22bの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
実施形態において、負極活物質層22bを形成するために供給される負極組成物は、負極活物質と非水電解液を含んでなる湿潤粉体であってもよい。また、湿潤粉体はペンデュラー状態又はファニキュラー状態であることがより好ましい。
湿潤粉体における非水電解液の割合は、特に限定されないが、ペンデュラー状態又はファニキュラー状態とするためには、負極の場合には非水電解液の割合を湿潤粉体全体の0.5~25重量%とすることが望ましい。
<セパレータの具体例>
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液又はゲルポリマー電解質等が挙げられる。セパレータ30は、これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータ30の形態としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム等が挙げられるが、特に限定されない。
<枠体の具体例>
枠体35としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、例えば、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。枠体35を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。より具体的には、枠体35としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
<電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法>
次に、本実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法(以下、製造方法と略して呼ぶ)について説明する。例えば、電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法では、まず正極20a及び負極20bが製造される。正極20aの製造方法と負極20bの製造方法とは、主に電極活物質層22に含まれる電極活物質が異なる。ここでは、電極20の製造方法として、正極20a及び負極20bの製造方法をまとめて説明する。
図2は、電池用電極製造装置1000の概略図である。例えば、電池用電極製造装置1000は、チャンバ100、搬送装置200、電極組成物供給装置300、枠体供給装置400、プレス装置500及び除去装置600を含む。搬送装置200は、搬送部の一例である。電極組成物供給装置300は、供給部の一例である。除去装置600は、除去部の一例である。なお、以下では、帯状の基材フィルムが帯状の集電体21Bである場合を一例として説明する。
チャンバ100は、内部を大気圧よりも減圧された状態に保持できる部屋である。チャンバ100の内部は、図示しない減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約101kPa)である。図2の例では、搬送装置200、電極組成物供給装置300、枠体供給装置400、プレス装置500及び除去装置600は、チャンバ100の内部に配置されている。ただし実施形態はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、チャンバ100の内部に配置するのは、搬送装置200、電極組成物供給装置300及び除去装置600のみとしてもよい。この時、枠体供給装置400及びプレス装置500については、チャンバ100と異なる減圧チャンバ内に配置してもよい。
例えば、チャンバ100の外部に集電体ロール21Rが配置され、集電体ロール21Rから引き出された帯状の集電体21Bが、スリットを通してチャンバ100の内部に搬送される。以下、帯状の集電体21Bを集電体21Bと記載する場合がある。なお、集電体21Bは、上述した集電体21が所定の形状に切り出される前のものである。集電体21Bは、搬送方向Daに沿って所定の速度で搬送される。以下では、集電体21Bが搬送される方向を下流側Da1、その反対方向を上流側Da2として説明する。なお、集電体ロール21Rが配置されるチャンバ100の外部空間は、常圧であってもよいし、チャンバ100と異なるチャンバによって減圧されていてもよい。
なお、図2に示す通り、鉛直方向Dbにおける上側をDb1、鉛直方向Dbにおける下側をDb2とする。搬送方向Da及び鉛直方向Dbに対して直交する方向は、集電体21B、及び、集電体21Bに載置される電極組成物22cの幅方向Dcに対応する。以下、説明の都合上、幅方向Dcのうち、図3での手前側を手前側Dc1とし、図3での奥側を奥側Dc2として説明する。
搬送装置200は、集電体21Bを、搬送方向Daの下流側Da1に搬送する。例えば、チャンバ100の外部において、搬送装置200は、2つのローラで集電体21Bを挟み込みつつ当該ローラを回転させることで、集電体21Bを搬送方向Daの下流側Da1に搬送する。これにより、搬送装置200は、スリットを通して集電体21Bをチャンバ100内に搬送する。また、チャンバ100の内部において、搬送装置200は、集電体21Bを下側から支持するベルトコンベアにより、集電体21Bを搬送方向Daの下流側Da1に搬送する。なお、後述の電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれた後、搬送装置200は、電極組成物22cを載せた集電体21Bを搬送することとなる。また、後述の枠体供給装置400による枠体35の供給が行なわれた後、搬送装置200は、枠体35及び電極組成物22cを載せた集電体21Bを搬送することとなる。
電極組成物供給装置300は、図2に示す通り、チャンバ100内で搬送される集電体21B上に電極組成物22cを供給する。電極組成物22cは、少なくとも活物質(正極活物質又は負極活物質)を含む物質である。後述するプレス装置500によって電極組成物22cを圧縮することにより、電極活物質層22(正極活物質層22a、負極活物質層22b)が形成される。
一例を挙げると、電極組成物供給装置300は、ホッパ及びシャッタから構成される。この場合、電極組成物供給装置300は、鉛直方向Dbの下側Db2に開口を有するホッパの内部に電極組成物22cを保持するとともに、ホッパの開口をシャッタで開閉することにより、集電体21B上の規定範囲に対して所定量の電極組成物22cを供給することができる。
枠体供給装置400は、搬送される集電体21Bに対して枠体35を供給する。例えば、枠体供給装置400は、ロボットアームを有し、事前に製造された枠体35を、搬送される集電体21B上の所定の位置に配置する。或いは、枠体供給装置400は、集電体21Bの上で枠体35を製造してもよい。一例を挙げると、集電体21Bを基材とし、ディスペンサーやコーター等によって集電体21B上に所定の材料を所定の形状に吐出又は塗布することで、集電体21B上に枠体35を形成することができる。
プレス装置500は、集電体21Bに供給された電極組成物22cを圧縮する。例えば、プレス装置500は、図2に示す通り、上部ローラ501及び下部ローラ502を有する。プレス装置500は、上部ローラ501及び下部ローラ502により、集電体21Bに供給された電極組成物22cを挟み込んで圧縮する。即ち、プレス装置500は、電極組成物22cに対するロールプレスを実行する。なお、図2では、枠体供給装置400による枠体35の供給後にプレス装置500による電極組成物22cの圧縮が行なわれるケースを示すが、プレス装置500による電極組成物22cの圧縮後、枠体供給装置400による枠体35の供給を行なうこととしてもよい。
プレス装置500による圧縮工程の後、図1に示したセパレータ30が更に供給され、単セル10が作製される。セパレータ30の供給は、搬送方向Daに沿って搬送される集電体21B及び電極組成物22cに対して連続的に行なわれてもよいし、集電体21Bや電極組成物22cを所定単位に分割した後、枚葉に行なってもよい。
ここで、上述した電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給時においては、集電体21B上の規定範囲に対して正確に電極組成物22cを供給することが好ましいが、規定範囲から電極組成物22cがこぼれてしまうケースも想定される。例えば、集電体21B上の所定長さ且つ所定幅の規定範囲に対して所定厚の電極組成物22cを供給した後、供給された電極組成物22cの一部が崩れて、規定範囲外にこぼれてしまう場合がある。また、例えば、シャッタを閉じてホッパの開口を閉止した後、シャッタやホッパに付着した電極組成物22cが落下して、規定範囲外にこぼれてしまう場合がある。このような余分な電極組成物22cは、リチウムイオン電池の不具合の原因となるおそれがあるため、除去することが好ましい。
実施形態の電池用電極製造装置1000においては、以下で説明する除去装置600によって、集電体21B上から余分な電極組成物22cを効率的に除去することを可能とする。
以下、除去装置600の一例として、図3及び図4に示す除去装置610について説明する。除去装置610は、カバー611、吸引ホース612a、吸引ホース612b、給気ホース613、吹付装置614、アーム615、基台616、レール617a及びレール617bを備える。ここで、図4は、図3に示すカバー611の一部を透過させて図示したものである。図4に示す通り、吹付装置614は、給気ホース613と接続された状態で、カバー611の内部に収納されている。
図3及び図4は、チャンバ100の内部において、電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれた後の状態を示している。例えば、搬送装置200は、電極組成物22cが供給された集電体21Bを、搬送方向Daの下流側Da1に向けて、ベルトコンベアにより一定の速度で搬送する。具体的には、搬送装置200は、図3及び図4に示すベルト210を複数のローラで駆動することにより、集電体21B及び電極組成物22cを搬送する。
図3及び図4に示す通り、電極組成物供給装置300は、集電体21B上の所定長さ(搬送方向Daの寸法)且つ所定幅(幅方向Dcの寸法)の略矩形状の規定範囲に対して、電極組成物22cを供給する。なお、所定長さ及び所定幅は、例えば、図1に示した単セル10の電極活物質層22の長さ方向及び幅方向の寸法に応じた設定値である。例えば、用途や要求性能に従ってリチウムイオン電池の設計が行なわれ、単セル10の電極活物質層22の長さ方向及び幅方向の寸法が決定され、決定された寸法に応じて所定長さ及び所定幅が設定される。所定長さ及び所定幅は、決定された寸法そのものであってもよいし、公差等を考慮して演算した値であってもよい。
しかしながら、前述した通り、種々の要因によって規定範囲から電極組成物22cがこぼれてしまうケースも想定される。以下、規定範囲外の余分な電極組成物22cについては、電極組成物22c’とも記載する。即ち、除去装置610は、電極組成物22c’の効率的な除去を実現する。
カバー611は、下側が開口となった直方体形状を有し、吸引ホース612a及び吸引ホース612bが接続される。また、図4に示した通り、カバー611の内部には、給気ホース613が接続された吹付装置614が収納される。ここで、カバー611の幅方向Dcの寸法は、電極組成物供給装置300により電極組成物22cが供給される規定範囲の所定幅よりも大きい。
アーム615は、カバー611を、少なくとも鉛直方向Dbに移動可能に保持する。基台616は、アーム615を支持するとともに、レール617a及びレール617bに沿って搬送方向Daに移動可能に構成される。即ち、図3及び図4において、カバー611は、アーム615、基台616、レール617a及びレール617bの動作により、搬送方向Da及び鉛直方向Dbに移動可能である。カバー611は、アーム615の動作により、幅方向Dcに更に移動可能であってもよい。
電極組成物22c’の除去を行なう際、カバー611は、アーム615の動作により、図3及び図4に示した状態から下側Db2に向けて移動し、集電体21B上に載置される。具体的には、カバー611は、規定範囲に供給された電極組成物22cの上流側Da2の位置に載置される。より具体的には、カバー611は、規定範囲における所定幅よりも大きい幅を有し、規定範囲より上流側Da2であって所定幅を有する範囲R1を少なくとも含んだ対象範囲に載置される。
カバー611が集電体21B上に載置された際、吹付装置614は、図5に示すように、給気ホース613から気体の供給を受け、集電体21B上にこぼれた電極組成物22c’に対して気体を吹き付ける。なお、電極組成物22c’に対して吹き付ける気体は、空気であってもよいし、窒素等の不活性ガスであってもよい。気体を吹き付けられた電極組成物22c’は、カバー611内部において巻き上げられ、吸引ホース612a及び吸引ホース612bによって吸引される。即ち、除去装置610は、電極組成物22c’に対して気体を吹き付けるとともに吸引して、電極組成物22c’を除去する。なお、図4においては、2本の吸引ホースと1本の給気ホースとを示したが、各ホースの本数については特に限定されるものではない。
電極組成物22c’を除去する際の除去装置610の動作について、図6A、図6B及び図6Cを用いてより詳細に説明する。図6Aは、電極組成物供給装置300によって規定範囲に電極組成物22cが供給され、規定範囲の上流側Da2の位置に電極組成物22c’がこぼれたケースを示す。
まず、図6Bに示す通り、カバー611が、規定範囲に供給された電極組成物22cの上流側Da2の位置に載置される。また、吹付装置614は、給気ホース613から気体の供給を受け、集電体21B上にこぼれた電極組成物22c’に対して気体を吹き付ける。気体を吹き付けられた電極組成物22c’は、カバー611内部において巻き上げられ、吸引ホース612a及び吸引ホース612bにより吸引される。
なお、図6Bに示す通り、カバー611には、蓋611aが設けられる。気体を吹き付けるとともに吸引を行なって電極組成物22c’を除去している間、蓋611aは、閉じた状態とされる。
電極組成物22c’の除去が済んだ後、カバー611は、図6Cに示す通り、アーム615の動作によって鉛直方向Dbの上側Db1に持ち上げられて、集電体21Bから離脱する。この時、蓋611aは開いた状態とされる。これにより、カバー611が集電体21Bに吸着してしまうことなく、集電体21Bからカバー611をスムーズに離脱させることができる。
なお、図6A、図6B及び図6Cに示した一連の動作が行なわれている間、集電体21Bは、搬送装置200によって、搬送方向Daの下流側Da1に向けて搬送されている。除去装置610は、カバー611、吸引ホース612a、吸引ホース612b、給気ホース613、吹付装置614、アーム615及び基台616を、レール617a及びレール617bに沿って、集電体21Bと同じ速度で搬送方向Daに移動させつつ、図6A、図6B及び図6Cに示した一連の動作を実行する。即ち、除去装置610は、搬送される集電体21Bに同期して移動しつつ、対象範囲から電極組成物22c’を除去する。これにより、除去装置610は、集電体21Bの搬送を停止することなく、電極組成物22c’の除去を実現することができる。
上述したように、除去装置610によれば、集電体21B上の対象範囲にこぼれた電極組成物22c’を一括して除去することができる。即ち、除去装置610によれば、集電体21B上から余分な電極組成物を効率的に除去することができる。特に、例えば図3及び図4に示したように、余分な電極組成物22c’は、規定範囲より上流側Da2の位置にこぼれることが多い。これは、規定範囲に供給された電極組成物22cが集電体21B上で崩れ、余分な電極組成物22c’が後方に飛び散るケース、電極組成物供給装置300においてシャッタを閉止した後に余分な電極組成物22c’が落下するケースなどがあるためである。除去装置610は、電極組成物22c’がこぼれることの多い範囲を含んだ対象範囲から電極組成物22c’を一括して除去し、電極組成物22c’の除去を更に効率化することができる。
また、上述した通り、電極組成物22cは、電極活物質(正極活物質、負極活物質)と電解液(非水電解液)を含んでなる湿潤粉体である場合がある。この場合、集電体21B上にこぼれた電極組成物22c’も湿潤粉体となるため、集電体21Bに付着してしまい、単に吸引しようとしても集電体21B上から除去しきれない場合がある。これに対し、除去装置610によれば、気体を吹き付けて集電体21Bから電極組成物22c’を引き剥がした上で除去するため、湿潤粉体についても除去することが可能である。
なお、上述した範囲R1の搬送方向Daの長さについては、ユーザが任意に設定してもよいし、計算により求めてもよい。例えば、余分な電極組成物22c’は規定範囲から後方に飛び散ることが多い所、規定範囲から搬送方向Daに離れる程、余分な電極組成物22c’が飛び散る確率は低くなると言える。そこで、余分な電極組成物22c’が飛び散る確率の高い範囲を求めて、範囲R1の搬送方向Daの長さとしてもよい。例えば、余分な電極組成物22c’が飛び散った度数を搬送方向Daの座標に対応付けて記録し、分布上の3σ区間に含まれる範囲を求めて、範囲R1の搬送方向Daの長さとしてもよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、除去装置600の一例として除去装置610について説明した。第2実施形態では、除去装置600の他の例として、図7に示す除去装置620について説明する。除去装置620は、カバー621、吸引ホース622a、吸引ホース622b、吸引ホース622c、吸引ホース622d、給気ホース623a、給気ホース623b、給気ホース623c、給気ホース623d、給気ホース623e、給気ホース623f、アーム625、基台626、レール627a及びレール627bを備える。図7は、図3及び図4と同様、チャンバ100の内部において、電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれた後の状態を示している。
なお、図7には現れないが、カバー621の内部には、給気ホース623a、給気ホース623b、給気ホース623c、給気ホース623d、給気ホース623e及び給気ホース623fに接続された吹付装置が収納される。また、図7においては、4本の吸引ホースと6本の給気ホースとを示したが、各ホースの本数については特に限定されるものではない。
カバー621は、下側が開口となった額縁状の形状を有する。即ち、カバー621は、図5等に示したカバー611と同様、内部が空洞になるとともに、下側が開口となっている。また、カバー621に対しては、吸引ホース622a、吸引ホース622b、吸引ホース622c及び吸引ホース622dが接続される。また、カバー621の内部には、給気ホース623a、給気ホース623b、給気ホース623c、給気ホース623d、給気ホース623e及び給気ホース623fが接続された吹付装置が収納される。このような吹付装置は、吸気ホースごとに設けられてもよいし、複数の吸気ホースに対して単一の吹付装置が設けられてもよい。
アーム625は、カバー621を、少なくとも鉛直方向Dbに移動可能に保持する。基台626は、アーム625を支持するとともに、レール627a及びレール627bに沿って搬送方向Daに移動可能に構成される。即ち、図7において、カバー621は、アーム625、基台626、レール627a及びレール627bの動作により、搬送方向Da及び鉛直方向Dbに移動可能である。カバー621は、アーム625の動作により、幅方向Dcに更に移動可能であってもよい。
電極組成物22c’の除去を行なう際、カバー621は、アーム625の動作により、鉛直方向Dbの下側Db2に向けて移動し、集電体21B上に載置される。ここで、カバー621は、その内径が、規定範囲と同じ寸法、或いは規定範囲よりも大きい寸法となるように設計される。そして、電極組成物22c’の除去を行なう際、カバー621は、規定範囲に供給された電極組成物22cを囲うように配置される。言い換えると、カバー621は、規定範囲を囲う位置に配置される。
カバー621が集電体21B上に載置された後、除去装置620は、除去装置610
と同様、電極組成物22c’に対して気体を吹き付けるとともに吸引して、電極組成物22c’を除去する。即ち、吹付装置は、給気ホース623a、給気ホース623b、給気ホース623c、給気ホース623d、給気ホース623e及び給気ホース623fから気体の供給を受け、集電体21B上にこぼれた電極組成物22c’に対して気体を吹き付ける。気体を吹き付けられた電極組成物22c’は、カバー621内部において巻き上げられ、吸引ホース622a、吸引ホース622b、吸引ホース622c及び吸引ホース622dによって吸引される。この時、除去装置620は、レール627a及びレール627bに沿って、搬送される集電体21Bに同期して移動しつつ、電極組成物22c’を除去することができる。
図7に示したように、除去装置620によれば、集電体21B上で規定範囲を囲う範囲を対象範囲として、対象範囲にこぼれた電極組成物22c’を一括して除去することができる。前述した通り、余分な電極組成物22c’は規定範囲より上流側Da2の位置にこぼれることが多いものの、規定範囲の周辺であればこぼれる可能性はある。除去装置620によれば、規定範囲の周辺を対象範囲として、余分な電極組成物22c’を効率的且つ確実に除去することができる。
特に、カバー621の太さは、後に枠体供給装置400によって供給される枠体35の太さと同じであるか、枠体35の太さよりも大きく構成することが好ましい。これにより、後に枠体35が載置される位置について、電極組成物22c’を除去しておくことができる。枠体35と集電体21Bとの間に余分な電極組成物22c’が混入することは不具合の原因となるおそれがあるところ、除去装置620によれば、リチウムイオン電池の不具合をより確実に回避することが可能となる。
(第3実施形態)
第1~第2実施形態では、対象範囲の電極組成物22c’に対して気体を吹き付けるとともに吸引して除去を行なう例について説明した。第3実施形態では、対象範囲の電極組成物22c’を拭き取って除去する例について説明する。
図8に示す除去装置630は、ワイパー631、ホルダー632、レール633a、レール633b、部材634、部材635、吸引ホース636、吸引ホース637、及び、アーム638を備える。部材634及び部材635は、それぞれ、クリーナー634a及びクリーナー635aを備える。なお、図8は、図3、図4及び図7と同様、チャンバ100の内部において、電極組成物供給装置300による電極組成物22cの供給が行なわれた後の状態を示している。
図8に示すように、ホルダー632は、ワイパー631を保持した状態で、レール633a及びレール633bに沿って、幅方向Dcに沿って移動する。例えば、ホルダー632は、レール633a及びレール633bに接する車輪をモータ等で駆動することにより、レール633a及びレール633bに沿って移動することができる。また、例えば、レール633a及びレール633bを二条ネジ等のスクリューとし、レール633a及びレール633bの各々を、幅方向Dcを回転軸として回転させることにより、ホルダー632を幅方向Dcに沿って移動させることができる。
ここで、ワイパー631の幅方向Dcの移動範囲には、少なくとも、電極組成物22cが供給される規定範囲から上流側Da2の所定幅を有する範囲R1が含まれる。これにより、ワイパー631は、規定範囲から上流側Da2の所定幅を有する範囲R1を少なくとも含んだ対象範囲から、余分な電極組成物22c’を除去する。
なお、除去装置630は、除去装置610及び除去装置620の場合と同様、搬送方向Daに移動可能に構成される。除去装置630は、ワイパー631が幅方向Dcに移動して対称範囲から電極組成物22c’の除去を行なっている間、搬送される集電体21Bと同じ速度で搬送方向Daの下流側Da1に移動し、集電体21Bに対するワイパー631の搬送方向Daにおける位置を略固定した状態とすることができる。即ち、除去装置630は、搬送される集電体21Bに同期して移動しつつ対象範囲から電極組成物22c’を除去することができる。
除去された電極組成物22c’はワイパー631に付着した状態となるため、ワイパー631については適宜交換するか、掃除する必要がある。図8では、ワイパー631を掃除しながら繰り返し使用する例について説明する。
図8に示すように、部材634にはクリーナー634aが設けられ、クリーナー634aに対して吸引ホース636が接続されている。また、部材635にはクリーナー635aが設けられ、クリーナー635aに対して吸引ホース637が接続されている。ワイパー631が幅方向Dcの手前側Dc1に向けて移動しながら電極組成物22c’の除去を行なった後、クリーナー634aは、ワイパー631に付着した電極組成物22c’をこそぎ落とし、こそぎ落とされた電極組成物22c’は、吸引ホース636により吸引される。また、ワイパー631が幅方向Dcの奥側Dc2に向けて移動しながら電極組成物22c’の除去を行なった後、クリーナー635aは、ワイパー631に付着した電極組成物22c’をこそぎ落とし、こそぎ落とされた電極組成物22c’は、吸引ホース637により吸引される。
ワイパー631の掃除について、図9を用いてより詳細に説明する。図9では、ワイパー631が幅方向Dcの手前側Dc1に向けて移動しながら電極組成物22c’の除去を行なった後、クリーナー634aによりワイパー631の掃除を行なうケースについて説明する。
図9に示す通り、クリーナー634aは、部材634に設けられた加工部分であり、部材634における上側Db1表面の凹凸と、部材634を貫通する孔とを含む。ワイパー631に付着した電極組成物22c’は、クリーナー634aの凹凸によってこそぎ落とされ、孔を通して吸引ホース636により吸引される。
なお、部材634において、図9に示すように、ワイパー631のための退避スペースを設けてもよい。ここで、電極組成物22c’をより確実に拭き取るため、ワイパー631における集電体21Bへの接地面を濡らしておくことが考えられる。例えば、エタノール等の揮発性の液体でワイパー631を濡らしながら、電極組成物22c’の拭き取りを行なうことが考えられる。この場合、図9に示す退避スペースにおいて、ワイパー631に対する液体の供給を行なうこととしてもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態では、対象範囲の電極組成物22c’を回転ブラシで掻き落とすとともに吸引して除去する例について説明する。図10及び図11に示す除去装置640は、回転ブラシ641、カバー642、ホルダー643、レール644a、レール644b、吸引ホース645、吸引ホース646、部材647、及び、アーム648を備える。なお、図11は、図10に示すカバー642の一部を透過させて図示したものである。図11に示す通り、回転ブラシ641は、カバー642の内部に収納されている。
回転ブラシ641は、搬送方向Daを回転軸として回転しながら、集電体21B表面から余分な電極組成物22c’をこそぎ落とすとともに、カバー642の内部において巻き上げる。巻き上げられた電極組成物22c’は、吸引ホース645及び吸引ホース646
を通して吸引される。
回転ブラシ641は、図8に示したワイパー631と同様、レール644a及びレール644bに沿って、幅方向Dcに移動する。そして、回転ブラシ641は、ワイパー631と同様の範囲から、余分な電極組成物22c’を除去する。即ち、回転ブラシ641の幅方向Dcの移動範囲には、少なくとも、電極組成物22cが供給される規定範囲から上流側Da2の所定幅を有する範囲R1が含まれる。これにより、回転ブラシ641は、規定範囲から上流側Da2の所定幅を有する範囲R1を少なくとも含んだ対象範囲から、余分な電極組成物22c’を除去することができる。また、除去装置640は、除去装置610、除去装置620及び除去装置630の場合と同様、搬送方向Daに移動可能に構成され、搬送される集電体21Bに同期して移動しつつ、対象範囲から電極組成物22c’を除去することができる。
なお、吸引ホース645は、回転ブラシ641の幅方向Dcへの移動に伴って変形を受けるところ、図10に示す通り、少なくとも搬送方向Daに直交する平面上で変形可能に構成することが好ましい。
(第5実施形態)
第5実施形態では、集電体21B上で余分な電極組成物22c’の検出を行ない、電極組成物22c’が検出された場合に電極組成物22c’の除去を行なう例について説明する。
例えば、電池用電極製造装置1000は、図12に示すように、図2に示した各種の構成に加えて、検出装置700を更に備える。検出装置700は、検出部の一例である。
検出装置700は、例えばカメラである。具体的には、カメラは、電極組成物22cが載置された集電体21Bを撮影し、撮影画像について画像認識を行なうことにより、規定範囲外にこぼれた電極組成物22c’を検出する。なお、検出装置700はカメラに限定されるものではなく、電極組成物22c’を検出することが可能であれば任意の変形が可能である。例えば、検出装置700は深度センサであってもよい。この場合、検出装置700は、集電体21Bの表面形状を解析して電極組成物22c’を検出する。また、例えば、検出装置700は光源を含み、集電体21Bを透過した光の強度から電極組成物22c’を検出してもよい。即ち、電極組成物22c’の存在によって光が減衰することから、集電体21Bを透過した光の強度分布を取得することにより、電極組成物22c’の存在及びその位置を検出することができる。
第5実施形態において、除去装置600は、検出装置700により検出された電極組成物22c’を除去する。言い換えると、除去装置600は、検出装置700により電極組成物22c’が検出されなかった場合には、対象範囲からの電極組成物22c’の除去を実行しない。これにより、第5実施形態の電池用電極製造装置1000では、消費エネルギーや機械部品の摩耗を抑制することができる。
第5実施形態は、上述した第1~第4実施形態のいずれに対しても適用することが可能である。即ち、上述した除去装置610、除去装置620、除去装置630及び除去装置640は、対象範囲から電極組成物22c’が検出された場合に、対象範囲から電極組成物22c’を一括して除去することとして構わない。
上述した実施形態では、電極組成物22cが載置される帯状の基材フィルムが帯状の集電体21Bであるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図2に示した帯状の集電体21Bに代えて、帯状のセパレータシートや、帯状の離形フィルムを基材フィルムとしてもよい。かかる場合、上述の除去装置600は、セパレータシートや離形フィルムから、余分な電極組成物22c’を除去することができる。なお、帯状のセパレータシートは、後にトリミングすることで、図1に示したセパレータ30を形成することができる。
例えば、セパレータシートを基材フィルムとする場合、セパレータシート上に電極組成物22cを供給し、電極組成物22cにおけるセパレータシートと反対側の面に集電体21Bを供給し、セパレータシート及び集電体21Bを所定の形状にトリミングし、更に、枠体35を供給することで、正極20a又は負極20bを作製することができる。
また、離形フィルムを基材フィルムとする場合、離形フィルム上に電極組成物22cを供給し、電極組成物22cにおける離形フィルムと反対側の面に集電体21Bを供給し、離形フィルムを回収した後、集電体21Bと反対側の面にセパレータシートを供給し、集電体21B及びセパレータシートを所定の形状にトリミングし、更に、枠体35を供給することで、正極20a又は負極20bを作製することができる。なお、セパレータシートを供給して後にトリミングすることに代え、電極組成物22cに対してセパレータ30を供給することとしても構わない。
或いは、離形フィルム上に電極組成物22cを供給し、電極組成物22cにおける離形フィルムと反対側の面にセパレータシートを供給し、離形フィルムを回収した後、セパレータシートと反対側の面に集電体21Bを供給し、セパレータシート及び集電体21Bを所定の形状にトリミングし、更に、枠体35を供給することで、正極20a又は負極20bを作製することができる。なお、集電体21Bを供給して後にトリミングすることに代え、所定の形状にトリミングされた集電体21を電極組成物22cに対して供給することとしても構わない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。更に、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
10:単セル
20:電極
20a:正極
20b:負極
21:集電体
21a:正極集電体層
21b:負極集電体層
21B:帯状の集電体
21R:集電体ロール
22:電極活物質層
22a:正極活物質層
22b:負極活物質層
22c:電極組成物
30:セパレータ
35:枠体
100:チャンバ
200:搬送装置
210:ベルト
300:電極組成物供給装置
400:枠体供給装置
500:プレス装置
501:上部ローラ
502:下部ローラ
600、610、620、630、640:除去装置
611、621、642:カバー
612a、612b、622a、622b、622c、622d、636、637、645、646:吸引ホース
613、623a、623b、623c、623d、623e、623f:給気ホース
614:吹付装置
615、625、638、648:アーム
616、626:基台
617a、617b、627a、627b、633a、633b、644a、644b:レール
631:ワイパー
632、643:ホルダー
634、635、647:部材
634a、635a:クリーナー
641:回転ブラシ
700:検出装置
1000:電池用電極製造装置
Da:搬送方向
Da1:下流側
Da2:上流側
Db:鉛直方向
Db1:上側
Db2:下側
Dc:鉛直方向
Dc1:手前側
Dc2:奥側

Claims (10)

  1. 帯状の基材フィルムを搬送する搬送部と、
    搬送される前記基材フィルム上の所定長さ且つ所定幅の規定範囲に対して、活物質を含む電極組成物を供給する供給部と、
    前記規定範囲より前記基材フィルムの搬送方向の上流側であって前記所定幅を有する範囲を少なくとも含んだ対象範囲から、前記電極組成物を一括して除去する除去部と
    を備えた電池用電極製造装置。
  2. 前記基材フィルム上の前記規定範囲に含まれない位置に供給された前記電極組成物を検出する検出部を更に備え、
    前記除去部は、前記検出部により検出された前記電極組成物を除去する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  3. 前記対象範囲は、前記基材フィルム上で前記規定範囲を囲う範囲である、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  4. 前記除去部は、搬送される前記基材フィルムに同期して移動しつつ前記対象範囲から前記電極組成物を除去する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  5. 前記除去部は、前記対象範囲の前記電極組成物に対して気体を吹き付けるとともに吸引して、前記電極組成物を除去する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  6. 前記除去部は、前記対象範囲の前記電極組成物を拭き取って除去する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  7. 前記除去部は、前記対象範囲の前記電極組成物を回転ブラシでこそぎ落とすとともに吸引して除去する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  8. 前記電極組成物は、活物質と電解液を含む湿潤粉体である、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  9. 前記搬送部、前記供給部及び前記除去部は、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内に配置される、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
  10. 搬送される帯状の基材フィルム上の所定長さ且つ所定幅の規定範囲に対して、活物質を含む電極組成物を供給し、
    前記規定範囲より前記基材フィルムの搬送方向の上流側であって前記所定幅を有する範囲を少なくとも含んだ対象範囲から、前記電極組成物を一括して除去する
    ことを含む、電池用電極製造方法。
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