JP2024011038A - 防音壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工する際の部材を人力施工可能な重量とし、かつ、部材を支柱の上方まで持ち上げずに支柱に設置可能で、さらに、部材寸法が小さいため狭い作業スペースでも施工性が良好な防音壁を提供する。【解決手段】所定間隔を置いて立設された複数の支柱2,・・・,2と、少なくとも支柱2に固定される後面部材50と、後面部材50から騒音源側に向け突出する前面部材51と、を備え、後面部材50の左右の両側に、支柱2の前フランジに騒音源側から前止め固定する延長部材56を設ける。【選択図】図6
Description
本発明は、防音壁に関するものであり、詳しくは、頂部の形状で騒音を多重回析と干渉で減音する分岐型の頂部を有する防音壁に関する。
高速道路などの道路沿いや鉄道などの軌道沿いに、騒音源からの騒音伝播の抑制を目的とした防音壁が設置されている。このような防音壁においては、高さを上げることなく騒音を低減できることが求められており、近年、防音壁の頂部を改良して、騒音源からの直接音や回折音、反射音を低減させる分岐型の頂部を有する分岐型防音壁が提案されている。
例えば、特許文献1には、支柱間に取り付けられて上下方向に延びる遮音パネルと、前記遮音パネルから騒音源側に斜め上方に延びる分岐パネルとを備え、前記分岐パネルの下面側に着脱可能な吸音部材が取り付けられている防音壁の頂部構造が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0030]~[0054]、図面の図2,図5~図7等参照)。
特許文献1に記載の防音壁の頂部構造は、遮音パネルと分岐パネルによって、二重回折と干渉による減音効果が期待できることから、壁高さを上げることなく騒音低減効果に優れ、かつ、メンテナンス性が良好で隣地境界を越境するおそれがないなどの利点を有している。
しかし、道路や鉄道の高架橋において、高架橋の上や下にクレーンなどの重機を置くスペースが無い場合や、鉄道運行時など重機が使えない場合、人力で施工することが求められる。例えば、鉄道で通常用いられる支柱間隔3m用のパネルの場合、着脱可能な吸音部材を除いても、人力により取り扱い可能な重量を超えるため、人力施工が困難となり、問題が生じていた。また、積雪地域などへの適用を考慮すると、雪荷重への対応も求められることから、遮音パネルと分岐パネルそれぞれの補強が必要となる。このため、遮音パネルと分岐パネルとを強固につなぐ部材も必要になり、さらに重量増となる。
また、騒音規制の関係で、防音壁の高さを2m以上とする場合が多く、この場合、支柱の高さも2mを超えてしまう。特許文献1の防音壁の頂部構造は、H形鋼支柱のフランジ内に落とし込む方法で施工するため、一旦、防音壁の頂部を支柱の上方まで持ち上げる必要がある。しかし、前述のように、人力では重量的に施工が困難な防音壁の頂部を、高さ2mを超える支柱の上方に人力で持ち上げるのは不可能であるという問題もあった。
それに加え、特許文献1の防音壁の頂部構造は、遮音パネルと分岐パネルとが一体化されており、通常の直壁パネルよりも厚み方向の寸法が大きい。このため、鉄道向けとして設置する場合、軌道と高欄との間の限られた施工スペース内で防音壁の頂部を搬入することが困難となっていた。つまり、遮音パネルと分岐パネルが一体化されたパネルを人力で所定位置に横移動させ、さらに支柱先端部に縦移動させて持ち上げる際、寸法の大きいパネルでは、高欄の軌道側にある電線や配管等の付帯構造物に接触したり、仮設線路防護柵に当たったりするなど、施工性が悪く、問題となっていた。
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工する際の部材を人力施工可能な重量とし、かつ、部材を支柱の上方まで持ち上げずに支柱に設置可能で、さらに、部材寸法が小さいため狭い作業スペースでも施工性が良好な防音壁を提供するものである。
第1発明に係る防音壁は、所定間隔を置いて立設された複数の支柱と、少なくとも前記支柱に固定される後面部材と、前記後面部材から騒音源側に向け突出する前面部材と、を備え、前記後面部材の左右の両側には、前記支柱の前フランジに騒音源側から前止め固定された延長部材が設けられていることを特徴とする。
第2発明に係る防音壁は、第1発明において、前記後面部材に前記前面部材を取り付けて接合する取付部材を備え、前記取付部材は、前記後面部材に前記前面部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成されていることを特徴とする。
第3発明に係る防音壁は、第1発明において、前記支柱の後フランジを支柱間方向に延長する受け部材が前記支柱に取り付けられていることを特徴とする。
第4発明に係る防音壁は、第1発明において、前記後面部材と前記前面部材とを繋ぐ中間部材をさらに備え、前記後面部材に前記前面部材を取り付けて接合する取付部材は、第1取付部材と第2取付部材とからなり、第1取付部材は、前記後面部材に前記中間部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成され、第2取付部材は、前記中間部材に前記前面部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成されていることを特徴とする。
第5発明に係る防音壁は、第4発明において、前記中間部材は、前記後面部材から騒音源側に突出する形状のブラケットであり、前記ブラケットが支柱間方向に離間して複数配置され、且つ、複数の前記ブラケットは、上部が支柱間方向に沿った横材により連結されていることを特徴とする。
第6発明に係る防音壁は、第1発明において、前記前面部材には、吸音部材が取り付けられていることを特徴とする。
第7発明に係る防音壁は、第1発明において、前記後面部材には、吸音部材が取り付けられていることを特徴とする。
第8発明に係る防音壁は、第6発明において、前記前面部材には、騒音源側に突出する突起部が設けられ、前記突起部には、前記吸音部材が取り付けられていることを特徴とする。
第9発明に係る防音壁は、第8発明において、前記突起部は、断面L字状のL字部材が組合わせられて形成されていることを特徴とする。
第1発明~第9発明によれば、防音壁の分岐型の頂部構造を、後面部材と前面部材に分割することで各部材の重量を低減することができ、人力施工が可能となる。また、各部材の厚さや防音壁の厚さ方向の寸法も小さくすることができ、限られた狭小なスペースでの施工も容易となる。また、第1発明~第9発明によれば、後面部材の両端に延長部材を設けることにより、支柱の前フランジに騒音源側から前止めできるので、従来技術のように防音壁をH形鋼支柱の上方に持ち上げて支柱フランジ内に落とし込む必要がなく、人力施工する際、作業性・安全性が向上する。
特に、第2発明によれば、取付部材を前面部材の重量を保持できる仮受け構造とすることで、前面部材を後面部材に固定する際、前面部材を所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
特に、第3発明によれば、後面部材を支柱に固定する際、後面部材を高架橋の下に落下させる危険が減り、安全性が向上する。また、後面部材を受け部材に当接させながら支柱に固定できるので、構造の安定性や防音性が向上する。
特に、第4発明によれば、頂部構造を後面部材、中間部材、前面部材に分割することで各部材の重量を低減することができ、人力施工が容易となる。また、各部材の厚さ方向の寸法も小さくすることができ、限られた狭小なスペースでの施工も容易となる。
特に、第5発明によれば、中間部材を複数のブラケットで構成することにより中間部材単体の軽量化を図ることができるとともに、横材により複数のブラケットを連結・一体化することで後面部材への取り付け作業性が向上する。
特に、第6発明によれば、騒音源側となる前面部材に吸音部材を取り付けることで、騒音を効果的に低減することができる。
特に、第7発明によれば、頂部の防音壁において、吸音部材を後面部材に設置することにより、頂部を越えて回り込んで近隣地域に伝播する騒音を吸音部材で効率よく減音させることが可能となる。
特に、第8発明によれば、前面部材に吸音性を有する突起部を付与することで、吸音性能をさらに向上させることができる。
特に、第9発明によれば、突起部を2つのL字部材に分割することで、前面部材の重量が低減でき、人力施工の作業効率をさらに向上させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る防音壁及び防音壁について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[防音壁]
先ず、図1~図4を用いて、本発明の実施形態に係る防音壁1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る防音壁1を示す斜視図であり、図2は、防音壁1の構成を示す分解斜視図である。また、図3は、防音壁1を騒音源側から見た状態で示す正面図であり、図4は、防音壁1を示す図3の右側面図である。
先ず、図1~図4を用いて、本発明の実施形態に係る防音壁1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る防音壁1を示す斜視図であり、図2は、防音壁1の構成を示す分解斜視図である。また、図3は、防音壁1を騒音源側から見た状態で示す正面図であり、図4は、防音壁1を示す図3の右側面図である。
本発明の実施形態に係る防音壁1は、道路や鉄道、室外機や工場等の施設周辺などの騒音源となる領域に沿って並設される防音壁であり、騒音源からの直接音と回折音や反射音を干渉させて騒音を減音する分岐型の頂部構造を備えた防音壁である。
図1,図2に示すように、本実施形態に係る防音壁1は、コンクリート構造物などの構造体に所定間隔(例えば、2m又は3m又は4m)を置いて立設されたH形鋼からなる複数の支柱2,2と、これらの支柱2,2間に挿置された複数段の遮音パネル3と、この遮音パネル3の上方の支柱2,2間に挿置された複数段の吸音パネル4と、防音壁1の上段に設けられる後述の分岐型の頂部構造5など、から構成されている。
<支柱>
支柱2は、主に溶融亜鉛めっきなどの防錆処理が施された所定のフランジ幅(例えば、100mm~175mm程度)のH形鋼からなり、下端にベースプレート20が溶接され、橋梁の地覆部や基礎コンクリートなどのコンクリート構造物上に立設されている。また、H形鋼とベースプレート20と接合部には、複数の補強リブが形成されて補強されている。勿論、本発明に係る支柱は、その間に後述の遮音パネル3及び吸音パネル4を挿置することができ、防音壁として想定される風圧等に耐えられるものであれば、角形パイプや溝形鋼、I形鋼など他の鋼材やその他の素材からなる支柱でも代替可能である。
支柱2は、主に溶融亜鉛めっきなどの防錆処理が施された所定のフランジ幅(例えば、100mm~175mm程度)のH形鋼からなり、下端にベースプレート20が溶接され、橋梁の地覆部や基礎コンクリートなどのコンクリート構造物上に立設されている。また、H形鋼とベースプレート20と接合部には、複数の補強リブが形成されて補強されている。勿論、本発明に係る支柱は、その間に後述の遮音パネル3及び吸音パネル4を挿置することができ、防音壁として想定される風圧等に耐えられるものであれば、角形パイプや溝形鋼、I形鋼など他の鋼材やその他の素材からなる支柱でも代替可能である。
<遮音パネル>
遮音パネル3は、コンクリート系のプレキャスト板であり、重量則で振動を抑えて防音壁1を透過する騒音を低減する機能を有するパネルである。
遮音パネル3は、コンクリート系のプレキャスト板であり、重量則で振動を抑えて防音壁1を透過する騒音を低減する機能を有するパネルである。
この遮音パネル3は、支柱2,2間に挿入され、支柱2の前フランジにボルト固定されている。勿論、ボルト固定に限られず、板バネ等を挿入して固定するなど何らかの手段で機械的に支柱2に固定できれば構わない。
また、図2に示すように、図示形態では、2段分の遮音パネル3が設置されている。但し、遮音パネル3の段数は、防音壁1の状況や目的に応じて適宜定めれば良く、遮音パネル3を1段も設置せずに、吸音パネル4を設置しても構わない。なお、この遮音パネル3は、特に前止めを行わなくてよい。
<吸音パネル>
吸音パネル4は、金属板からなる矩形箱状の金属筺体を備え、その金属筺体の正面側(騒音源側)に吸音材が挿置され、その背面側(騒音源と離れた反対側)に空気層が形成された一般的な吸音パネルである。
吸音パネル4は、金属板からなる矩形箱状の金属筺体を備え、その金属筺体の正面側(騒音源側)に吸音材が挿置され、その背面側(騒音源と離れた反対側)に空気層が形成された一般的な吸音パネルである。
この吸音パネル4は、図1,図2に示すように、複数段、図示形態では、4段設置されている。また、吸音パネル4と支柱2との間には、後述の受け部材53が設置され、支柱2のボルト孔に相当する位置にくさびナットWNやゆるみ止めクリップKナットKNが設置されている。
このため、吸音パネル4を防音壁1の前面側から簡単にボルトで前止めが可能となっており、作業員の腰より高い位置となる吸音パネル4を誤って境界外や高架橋の外に落下させるおそれを低減することができる。また、吸音パネル4の前止め固定は、吸音パネル4を支柱2の騒音源側となる前フランジにボルト固定して隙間なく設置することができるため、従来のように、支柱とパネル間に隙間が生じ得る、支柱のフランジ間に吸音パネルを落とし込んで板バネ等で固定する場合と比較して、隙間を通過する音漏れを確実に防止でき、音漏れの観点からもメリットがある。
(金属筺体)
この金属筺体は、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる。また、金属筺体の正面板は、図1,図2,図3に示すように、多数の貫通孔が穿設されたアルミニウム板からなるパンチングメタル形式の吸音パネルとなっており、多数の貫通孔から騒音の直接音を透過し、その直接音を吸音材で吸音する仕組みとなっている。勿論、本発明に係る金属筺体は、パンチングメタル形式ものに限られず、ルーバー形状の開口が形成されたルーバー形式のものであっても構わない。
この金属筺体は、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる。また、金属筺体の正面板は、図1,図2,図3に示すように、多数の貫通孔が穿設されたアルミニウム板からなるパンチングメタル形式の吸音パネルとなっており、多数の貫通孔から騒音の直接音を透過し、その直接音を吸音材で吸音する仕組みとなっている。勿論、本発明に係る金属筺体は、パンチングメタル形式ものに限られず、ルーバー形状の開口が形成されたルーバー形式のものであっても構わない。
(吸音材)
吸音材は、グラスウールやポリエステル繊維などの繊維材や発泡樹脂などの多孔質材からなり、騒音を吸音材で乱反射して減衰させて減音する機能を有している。勿論、本発明に係る吸音材は、騒音を乱反射して減衰させて吸音でき、防音壁に挿置可能な所定の撥水性や難燃性がある素材であれば特に限定されるものではない。
吸音材は、グラスウールやポリエステル繊維などの繊維材や発泡樹脂などの多孔質材からなり、騒音を吸音材で乱反射して減衰させて減音する機能を有している。勿論、本発明に係る吸音材は、騒音を乱反射して減衰させて吸音でき、防音壁に挿置可能な所定の撥水性や難燃性がある素材であれば特に限定されるものではない。
勿論、本発明に係る吸音パネルは、吸音材を挿置した多孔質型吸音タイプのものに限られない。例えば、本発明に係る吸音パネルは、板振動や膜振動をし、音のエネルギの一部を内部摩擦によって消費して吸音する板(膜)振動型吸音タイプ、空洞に孔があいた共鳴器を備え、共鳴周波数の近くで孔の部分の空気が激しく振動し、周辺との摩擦熱として消費して吸音する共鳴器型吸音タイプ、など、他の既知の吸音パネルとすることができる。
<頂部構造>
[第1実施形態]
次に、図5~図12を用いて、本発明の第1実施形態に係る防音壁1の頂部構造5について詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る頂部構造5を示す組立斜視図であり、図6は、本実施形態に係る頂部構造5の構成を示す分解斜視図である。図5,図6に示すように、本発明の実施形態に係る頂部構造5は、鉛直断面において、上下方向に延びる上下二段の後面部材50,50と、この後面部材50から騒音源側に向け突出して斜め上方に延びる前面部材51,51と、これらの後面部材50と前面部材51とを繋ぐ直角三角形状の複数枚の中間部材52と、を備えている。
[第1実施形態]
次に、図5~図12を用いて、本発明の第1実施形態に係る防音壁1の頂部構造5について詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る頂部構造5を示す組立斜視図であり、図6は、本実施形態に係る頂部構造5の構成を示す分解斜視図である。図5,図6に示すように、本発明の実施形態に係る頂部構造5は、鉛直断面において、上下方向に延びる上下二段の後面部材50,50と、この後面部材50から騒音源側に向け突出して斜め上方に延びる前面部材51,51と、これらの後面部材50と前面部材51とを繋ぐ直角三角形状の複数枚の中間部材52と、を備えている。
(後面部材)
後面部材50は、図7に示すように、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。図7は、本実施形態に係る後面部材50を示す斜視図である。
後面部材50は、図7に示すように、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。図7は、本実施形態に係る後面部材50を示す斜視図である。
また、図7に示すように、この後面部材50の支柱2側となる左右の両側には、平面視Z字状の延長部材56が取り付けられている。このため、後面部材50は、支柱2の前フランジに騒音源側から前止め固定容易となっており、鉄道高架橋のような限られた狭小なスペースでの施工でも作業性が良好である。また、誤って支柱2の後フランジの背面側に(橋梁や境界の外側に)後面部材50を落下させてしまうことを防ぐことができる。
なお、図7に示すように、延長部材56の支柱2の前フランジにボルト接合するためのボルト孔は、長孔56aとなっている。このため、支柱2の鉛直度などの施工誤差を長孔56a部分で吸収できるようになっている。
(受け部材)
また、図2に示すように、この後面部材50は、支柱2との間に断面コの字状の後面部材50を受け止めて支持する受け部材53が介装され、ボルトで支柱2の騒音源側となる前フランジに前止め固定されている(図8も参照)。なお、図2に示すように、受け部材53の長さは、遮音パネル3の上端から後面部材50の上端まで達する長さとなっており、吸音パネル4もこの受け部材53が支柱2との間に介装されることで支柱2の前フランジに前止め固定されている。
また、図2に示すように、この後面部材50は、支柱2との間に断面コの字状の後面部材50を受け止めて支持する受け部材53が介装され、ボルトで支柱2の騒音源側となる前フランジに前止め固定されている(図8も参照)。なお、図2に示すように、受け部材53の長さは、遮音パネル3の上端から後面部材50の上端まで達する長さとなっており、吸音パネル4もこの受け部材53が支柱2との間に介装されることで支柱2の前フランジに前止め固定されている。
図8は、本実施形態に係る受け部材53が支柱2に取り付けられた状態を示す平面図であり、(a)がくさびナットを溶接した場合、(b)がゆるみ止めクリップKナットを取り付けた場合である。また、図9は、支柱2の後フランジの幅を前フランジの幅より左右に広くした受け部材の変形例を示す平面図であり、(a)がくさびナットを溶接した場合、(b)がゆるみ止めクリップKナットを取り付けた場合である。
図8(a)に示すように、この受け部材53は、薄鋼板からなる一辺の幅が広い断面コの字状の部材であり、防音壁1の後面(背面)側(騒音源側と反対側)となる支柱2の後フランジに当接する側に幅広の辺がくるように設置されている。支柱2の前フランジと後フランジ間に吸音パネル4等の各パネルを挿し込む際に、誤って各パネルが橋梁や境界から落下してしまうことを防ぐためである。
また、図8(a)に示すように、この受け部材53には、くさびナットWNが溶接されている。このくさびナットWNが溶接されている位置は、図2等に示した支柱2のボルト孔に相当する位置であり、防音壁1の前面(正面)側(騒音源側)から簡単にボルトで各パネルの前止めが可能となっている。ここで、前止めとは、支柱2の前フランジの正面側からのボルト止め作業で支柱2への各部材(この場合では、受け部材53)の止め付けることを指している。勿論、前述のように、前止めもボルト接合に限られず、支柱2の前フランジの正面側から何らかの手段で機械的に支柱2に固定できれば構わない。
そして、予め受け部材53にくさびナットWN溶接するのではなく、図8(b)に示すように、受け部材53にゆるみ止めクリップKナットKNをクリップ止めしても構わない。溶接する手間が省けるからである。
なお、図9(a)に示すように、支柱2の後フランジの幅を前フランジの幅より左右に広くすることで、受け部材53を設置する作業を省略することも可能である。その場合は、くさびナットWNが溶接されたプレートを現場で溶接するか、又は支柱2に予め溶接しておく。
また、図9(b)に示すように、支柱2にくさびナットWNを溶接する代わりに、支柱2にゆるみ止めクリップKナットKNをクリップ止めしても構わない。
(前面部材)
前面部材51は、金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。本実施形態に係る前面部材51は、図4、図5に示すように、後面部材50との間に直角三角形状の複数枚の中間部材52が介装されることで、後面部材50に対して所定の角度で交差するように後面部材50から騒音源側に向け斜め上方に突設されている。
前面部材51は、金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。本実施形態に係る前面部材51は、図4、図5に示すように、後面部材50との間に直角三角形状の複数枚の中間部材52が介装されることで、後面部材50に対して所定の角度で交差するように後面部材50から騒音源側に向け斜め上方に突設されている。
本実施形態に係る前面部材51は、図4,図5に示すように、吸音パネル54a,54bが取り付けられてた上下一対の断面L字状のL字部材となっており、これらの吸音パネル54,54で前面部材51の下面から騒音源側に突出して再分岐する突起部55が形成されている。
この吸音パネル54は、断面L字状となっている点を除き、前述の吸音パネル4と同様に、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる金属筐体に前述の吸音材が挿置されている。
このように、突起部55を2つのL字部材である一対の吸音パネル54,54に分割することで、前面部材51や吸音パネル54単体の重量を低減することができ、人力施工が容易となっている。また、前面部材51からさらに分岐する突起部55を設けることで、回析及び干渉させるポイントを増やすことができるとともに、騒音が最初に到達する部分に吸音材を設けて吸音することができ、騒音の低減効果を向上させることができる。
また、本実施形態に係る吸音パネル54は、図10に示す上部吸音パネル54aと、図11に示す下部吸音パネル54bとからなり、後述の中間部材52に接合して取り付けるための取付部材がそれぞれ取り付けられている。図10は、本発明の実施形態に係る上部吸音パネル54aを示す斜視図であり、(a)が騒音源から見た正面斜視図であり、(b)がその背面斜視図である。図11は、本発明の実施形態に係る下部吸音パネル54bを示す斜視図であり、(a)が騒音源から見た正面斜視図であり、(b)がその背面斜視図である。
図10に示すように、上部吸音パネル54aには、断面L字状のパネル材の上部に後述の中間部材52の先端連結部材58に掛け止められる上部掛止めフック60が取り付けられている。この先端連結部材58と上部掛止めフック60とは、中間部材52に前面部材51である吸音パネル54を取り付ける第2取付部材として機能する。
つまり、第2取付部材である先端連結部材58と上部掛止めフック60は、ボルト接合して中間部材52に前面部材51である上部吸音パネル54aを取り付けるまでの間、先端連結部材58に上部掛止めフック60を掛け止めて上部吸音パネル54aの自重を仮受けできる構造となっている。このように、取付部材を前面部材51である上部吸音パネル54aの重量を保持できる構造とすることで、上部吸音パネル54aを所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
また、図11に示すように、下部吸音パネル54bには、断面L字状のパネル材の上部に後述の中間部材52の側面掛止めブラケット59に掛け止められる下部掛止めフック61が取り付けられている。この側面掛止めブラケット59と下部掛止めフック61とは、中間部材52に前面部材51である吸音パネル54を取り付ける第2取付部材として機能する。
つまり、先端連結部材58と上部掛止めフック60と同様に、第2取付部材である側面掛止めブラケット59と下部掛止めフック61は、ボルト接合して中間部材52に前面部材51である下部吸音パネル54bを取り付けるまでの間、側面掛止めブラケット59に下部掛止めフック61を掛け止めて下部吸音パネル54bの自重を仮受けできる構造となっている。このように、取付部材を前面部材51である下部吸音パネル54bの重量を保持できる構造とすることで、下部吸音パネル54bを所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
(中間部材)
中間部材52は、図12に示すように、直角三角形状のブラケット部材であり、後面部材50と前面部材51である吸音パネル54を繋いで両者を接合して一体化する機能を有している。図12は、本実施形態に係る頂部構造5の中間部材52の連結体を主に示す斜視図である。
中間部材52は、図12に示すように、直角三角形状のブラケット部材であり、後面部材50と前面部材51である吸音パネル54を繋いで両者を接合して一体化する機能を有している。図12は、本実施形態に係る頂部構造5の中間部材52の連結体を主に示す斜視図である。
この中間部材52は、直角三角形状のブラケット部材が支柱2-支柱2間の支柱間方向(図1参照)に所定間隔だけ離間して複数枚(図示形態では6枚)取り付けられている。勿論、中間部材52の形状は、直角三角形状に限られず、後面部材50から騒音源側に突出する形状のブラケット部材であり、鉛直方向(上下方向)に延びる後面部材50に対して前面部材51が所定角度を付けて傾斜して固定できる形状であればよい。
また、複数枚(図示形態では6枚)の中間部材52を後面部材50側となる基端部で連結する横材57が取り付けられて複数枚が一体化されている。各ブラケット部材を後面部材50に接合する際は、複数枚のブラケット部材を横材57により一体化して設置するため取付作業の作業効率が向上する。
しかも、横材57は、断面コの字状の部材となっており、後面部材50のパネル上面に載置して断面コの字状の横材57を後面部材50に被せることにより、複数枚のブラケット部材が連結された中間部材52の連結体の自重を支えることが可能となっている。このため、従来、重労働である頭上作業となる中間部材52の後面部材50への取付作業において、支柱2の上部で重量が重い中間部材52の連結体をボルトの締結作業が完了するまでの間支え続ける必要がなく、中間部材52の後面部材50への取付作業が容易に短時間で行うことができるようになる。
そして、本実施形態では、直角三角形状の一対2枚の中間部材52の先端(後面部材50から離れた端)には、中間部材52の先端同士を繋ぐ先端連結部材58が取り付けられている。この先端連結部材58は、前述のように、上部掛止めフック60を掛け止めて上部吸音パネル54aの自重を仮受けできる構造となっており、中間部材52に吸音パネル54を取り付ける第2取付部材として機能する。
さらに、図12に示すように、中間部材52の側面には、中間部材52の側面から支柱間方向に突出する側面掛止めブラケット59が取り付けられている。この側面掛止めブラケット59は、前述のように、下部掛止めフック61を掛け止めて下部吸音パネル54bの自重を仮受けできる構造となっており、中間部材52に吸音パネル54を取り付ける第2取付部材として機能する。
以上説明した第1実施形態に係る頂部構造5を備えた防音壁1によれば、後面部材50、前面部材51、中間部材52に分割することで各部材の重量を低減することができ、人力施工が可能となる。また、各部材の厚さや防音壁1の厚さ方向の寸法も小さくすることができ、鉄道高架橋のような限られた狭小なスペースでの施工も容易となる。
また、防音壁1によれば、後面部材50の両端に延長部材56を設けることにより、支柱2の前フランジに騒音源側から前止め固定できるので、従来技術のように防音壁1をH形鋼支柱2の上方に持ち上げて支柱フランジ内に落とし込む必要がなく、人力施工する際、作業性・安全性が向上する。
その上、防音壁1によれば、第1取付部材である横材57を中間部材52の重量保持できる構造とすることにより、中間部材52を後面部材50に取り付ける際に、中間部材52を所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
同様に、防音壁1によれば、第2取付部材である先端連結部材58,側面掛止めブラケット59,上部掛止めフック60,下部掛止めフック61を、前面部材51である吸音パネル54の重量を保持できる仮受け構造とすることで、中間部材52に吸音パネル54を固定する際、吸音パネル54を所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
さらに、防音壁1によれば、受け部材53を設けることにより、後面部材50を支柱2に前止め固定することが可能となるため、従来技術のように防音壁1の頂部構造5をH形鋼からなる支柱2の上方に持ち上げて支柱フランジ内に落とし込む必要がなく、人力施工するのが容易で、作業性・安全性が向上する。
また、防音壁1によれば、中間部材52を複数のブラケットで構成することにより中間部材単体の軽量化を図ることができるとともに、横材57により複数のブラケットを連結・一体化することで後面部材50への取り付け作業性が向上する。
そして、防音壁1によれば、騒音源側となる前面部材51を吸音パネル54とすることにより、騒音を効果的に低減することができる。
その上、防音壁1によれば、前面部材51として吸音パネル54に吸音性を有する突起部55を設けることにより、吸音性能をさらに向上させることができる。
さらに、防音壁1によれば、吸音パネル54として突起部55を2つのL字部材に分割することで、吸音パネル54の重量が低減でき、人力施工の作業効率をさらに向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、図13~図16を用いて、本発明の第2実施形態に係る頂部構造5’について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る頂部構造5’の構成を示す分解斜視図である。
次に、図13~図16を用いて、本発明の第2実施形態に係る頂部構造5’について説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る頂部構造5’の構成を示す分解斜視図である。
図13に示すように、第2実施形態に係る頂部構造5’は、鉛直断面において、上下方向に延びる後面部材50’と、この後面部材50’から騒音源側に向け突出して斜め上方に延びる前面部材51’と、これらの後面部材50’と前面部材51’とを繋ぐ直角三角形状の複数枚の中間部材52’と、を備えている。
(後面部材)
後面部材50’は、図14に示すように、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。図14は、本発明の第2実施形態に係る後面部材50’を示す斜視図である。
後面部材50’は、図14に示すように、高耐候性めっき鋼板やアルミニウム板などの金属板からなる正面視矩形状のパネル材であり、重量則で振動を抑えて透過する騒音を低減する機能を有している。図14は、本発明の第2実施形態に係る後面部材50’を示す斜視図である。
本実施形態に係る後面部材50’が、前述の後面部材50と相違する点は、前述の後面部材50が上下二段に分割されていたのに対して、後面部材50’は、後面部材50の上下二段分の高さが1枚の後面部材50’となっている点である。
また、図14に示すように、この後面部材50’の支柱2側となる左右の両側には、前述の後面部材50と同様に、平面視Z字状の延長部材56’が取り付けられている。このため、後面部材50’は、支柱2の前フランジに騒音源側から前止め固定が容易となっており、鉄道高架橋のような限られた狭小なスペースでの施工でも作業性が良好である。また、誤って支柱2の後フランジの背面側に(橋梁や境界の外側に)後面部材50’を落下させてしまうことを防ぐことができる。
図14に示すように、延長部材56’の支柱2の前フランジにボルト接合するためのボルト孔は、前述の延長部材56と同様に、長孔56a’となっている。このため、支柱2の鉛直度などの施工誤差を長孔56a’部分で吸収できるようになっている。
図15は、第2実施形態の変形例に係る後面部材50”を示す背面斜視図である。図15に示すように、後面部材50”の背面(騒音源の反対側の面)に前述の吸音パネル4と同様の吸音パネルが取り付けられていることが好ましい。後面部材50”の頂部を越えて回り込んで近隣地域に伝播する騒音を吸音部材で減音させることができるからである。勿論、後面部材50”の背面だけでなく、騒音源側となる正面にも設けても構わない。前面部材51の頂部を越えて回り込んで伝播する騒音を低減できるからである。
(中間部材)
中間部材52’は、図16に示すように、直角三角形状のブラケット部材が支柱2-支柱2間の支柱間方向(図1も参照)に所定間隔だけ離間して複数枚(図示形態では4枚)取り付けられている。図16は、勿論、中間部材52’の形状も、前述の中間部材52と同様に、直角三角形状に限られず、後面部材50’から騒音源側に突出する形状のブラケット部材であり、鉛直方向(上下方向)に延びる後面部材50’に対して前面部材51‘が所定角度を付けて傾斜して固定できる形状であればよい。
中間部材52’は、図16に示すように、直角三角形状のブラケット部材が支柱2-支柱2間の支柱間方向(図1も参照)に所定間隔だけ離間して複数枚(図示形態では4枚)取り付けられている。図16は、勿論、中間部材52’の形状も、前述の中間部材52と同様に、直角三角形状に限られず、後面部材50’から騒音源側に突出する形状のブラケット部材であり、鉛直方向(上下方向)に延びる後面部材50’に対して前面部材51‘が所定角度を付けて傾斜して固定できる形状であればよい。
また、複数枚(図示形態では4枚)の中間部材52’を後面部材50’側となる基端部で連結する横材57’が取り付けられて複数枚が一体化されている。各ブラケット部材を後面部材50’に接合する際は、複数枚のブラケット部材を横材57’により一体化して設置するため取付作業の作業効率が向上する。
しかも、横材57’は、断面コの字状の部材となっており、後面部材50’のパネル上面に載置して断面コの字状の横材57’を後面部材50’に被せることにより、複数枚のブラケット部材が連結された中間部材52’の連結体の自重を支えることが可能となっている。このため、従来、重労働である頭上作業となる中間部材52’の後面部材50’への取付作業において、支柱2の上部で重量が重い中間部材52’の連結体をボルトの締結作業が完了するまでの間支え続ける必要がなく、中間部材52’の後面部材50’への取付作業が容易に短時間で行うことができるようになる。
そして、本実施形態では、直角三角形状の中間部材52’の先端(後面部材50’から離れた端)には、中間部材52’の先端同士を繋ぐ先端連結部材58’が取り付けられている。前述の先端連結部材58は、隣接する2枚の中間部材52の先端同士を繋ぐものであったが、この先端連結部材58’は、4枚全部の中間部材52’の先端を1本の先端連結部材58’で連結するものである。この先端連結部材58’は、後述の上部掛止めフック60’を掛け止めて吸音パネル54’の自重を仮受けできる構造となっており、中間部材52’に吸音パネル54’を取り付ける第2取付部材として機能する。
さらに、図16に示すように、中間部材52’の側面には、中間部材52’の側面から支柱間方向に突出する側面掛止めブラケット59’が取り付けられている。この側面掛止めブラケット59’は、吸音パネル54’の図示しない下部掛止めフックを掛け止めて吸音パネル54’の自重を仮受けできる構造となっており、中間部材52’に吸音パネル54’を取り付ける第2取付部材として機能する。
(前面パネル)
本実施形態に係る前面部材51’は、図13に示すように、前述の吸音パネル4と同様の平板状の吸音パネル54’と、その高さ方向の中央に取り付けられる突起部吸音パネル55’とから構成されている。これらの吸音パネル54’と突起部吸音パネル55’とを接合すると、前述の上下一対の断面L字状の吸音パネル54を接合した前面部材51の下面から騒音源側に突出して再分岐する突起部55が形成されたものと同様の形態なっている。
本実施形態に係る前面部材51’は、図13に示すように、前述の吸音パネル4と同様の平板状の吸音パネル54’と、その高さ方向の中央に取り付けられる突起部吸音パネル55’とから構成されている。これらの吸音パネル54’と突起部吸音パネル55’とを接合すると、前述の上下一対の断面L字状の吸音パネル54を接合した前面部材51の下面から騒音源側に突出して再分岐する突起部55が形成されたものと同様の形態なっている。
このように、吸音パネル54’と突起部吸音パネル55’に分割することで、前面部材51’や吸音パネル54’単体の重量を低減することができ、人力施工が容易となっている。また、前面部材51’である吸音パネル54’からさらに分岐する突起部吸音パネル55’を設けることで、回析及び干渉させるポイントを増やすことができるとともに、騒音が最初に到達する部分に吸音材を設けて吸音することができ、騒音の低減効果を向上させることができる。
図13に示すように、吸音パネル54’の背面には、パネル上部に設けられた上部掛止めフック60’と、パネル高さ方向の中央付近に設けられた図示しない下部掛止めフックが取り付けられている。
この上部掛止めフック60’は、前述の中間部材52’の先端連結部材58’に掛け止められ、下部掛止めフックは、前述の中間部材52’の側面掛止めブラケット59’に掛け止められる。この先端連結部材58’及び上部掛止めフック60’と、側面掛止めブラケット59’及び下部掛止めフックは、中間部材52’に前面部材51’である吸音パネル54’を取り付ける第2取付部材として機能する。
つまり、第2取付部材である先端連結部材58’及び上部掛止めフック60’と、側面掛止めブラケット59’及び下部掛止めフックは、ボルト接合して中間部材52’に前面部材51’である吸音パネル54’を取り付けるまでの間、先端連結部材58’に上部掛止めフック60’を、側面掛止めブラケット59’に下部掛止めフックを掛け止めて吸音パネル54’の自重を仮受けできる構造となっている。このように、取付部材を前面部材51’である吸音パネル54’の重量を保持できる構造とすることで、吸音パネル54’を所定位置に持ち上げた後、固定するまでの間、人力で持ち上げた状態を保持する必要がなくなり、作業負担が大きく減る。
以上説明した第2実施形態に係る頂部構造5’を備えた防音壁1によれば、後面部材50’、前面部材51’、中間部材52’に分割することで各部材の重量を低減することができ、人力施工が可能となる。また、各部材の厚さや防音壁1の厚さ方向の寸法も小さくすることができ、鉄道高架橋のような限られた狭小なスペースでの施工も容易となる。
また、頂部構造5’によれば、後面部材50’の両端に延長部材56’を設けることにより、支柱2の前フランジに騒音源側から前止め固定できるので、従来技術のように防音壁1をH形鋼支柱2の上方に持ち上げて支柱フランジ内に落とし込む必要がなく、人力施工する際、作業性・安全性が向上する。
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る防音壁1について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、防音壁として本発明に係る頂部構造の下方に、遮音パネル3と吸音パネル4を設置するものを例示したが、本発明に係る防音壁は、これらの遮音パネル3と吸音パネル4のいずれか一方のみを設置したものであっても構わない。防音壁全体として所望の防音効果を達成できればよいからである。
1:防音壁
2:支柱
20:ベースプレート
3:遮音パネル
4:吸音パネル
5,5’:頂部構造
50,50’,50”:後面部材
51,51’:前面部材
52,52’:中間部材
53:受け部材
54:(断面L字状の)吸音パネル(前面パネル)
54’:(平板状の)吸音パネル(前面パネル)
55:突起部
55’:突起部吸音パネル
56,56’:延長部材
57,57’:横材(第1取付部材:取付部材)
58,58’:先端連結部材(第2取付部材:取付部材)
59,59’:側面掛止めブラケット(第2取付部材:取付部材)
60,60’:上部掛止めフック(第2取付部材:取付部材)
61:下部掛止めフック(第2取付部材:取付部材)
WN:くさびナット
KN:ゆるみ止めクリップKナット
2:支柱
20:ベースプレート
3:遮音パネル
4:吸音パネル
5,5’:頂部構造
50,50’,50”:後面部材
51,51’:前面部材
52,52’:中間部材
53:受け部材
54:(断面L字状の)吸音パネル(前面パネル)
54’:(平板状の)吸音パネル(前面パネル)
55:突起部
55’:突起部吸音パネル
56,56’:延長部材
57,57’:横材(第1取付部材:取付部材)
58,58’:先端連結部材(第2取付部材:取付部材)
59,59’:側面掛止めブラケット(第2取付部材:取付部材)
60,60’:上部掛止めフック(第2取付部材:取付部材)
61:下部掛止めフック(第2取付部材:取付部材)
WN:くさびナット
KN:ゆるみ止めクリップKナット
Claims (9)
- 所定間隔を置いて立設された複数の支柱と、少なくとも前記支柱に固定される後面部材と、前記後面部材から騒音源側に向け突出する前面部材と、を備え、
前記後面部材の左右の両側には、前記支柱の前フランジに騒音源側から前止め固定された延長部材が設けられていること
を特徴とする防音壁。 - 前記後面部材に前記前面部材を取り付けて接合する取付部材を備え、
前記取付部材は、前記後面部材に前記前面部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の防音壁。 - 前記支柱の後フランジを支柱間方向に延長する受け部材が前記支柱に取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載の防音壁。 - 前記後面部材と前記前面部材とを繋ぐ中間部材をさらに備え、
前記後面部材に前記前面部材を取り付けて接合する取付部材は、第1取付部材と第2取付部材とからなり、
第1取付部材は、前記後面部材に前記中間部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成され、
第2取付部材は、前記中間部材に前記前面部材を固定する前に載置して仮受け可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載の防音壁。 - 前記中間部材は、前記後面部材から騒音源側に突出する形状のブラケットであり、前記ブラケットが支柱間方向に離間して複数配置され、
且つ、複数の前記ブラケットは、上部が支柱間方向に沿った横材により連結されていること
を特徴とする請求項4に記載の防音壁。 - 前記前面部材には、吸音部材が取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載の防音壁。 - 前記後面部材には、吸音部材が取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載の防音壁。 - 前記前面部材には、騒音源側に突出する突起部が設けられ、前記突起部には、前記吸音部材が取り付けられていること
を特徴とする請求項6に記載の防音壁。 - 前記突起部は、断面L字状のL字部材が組合わせられて形成されていること
を特徴とする請求項8に記載の防音壁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022112711A JP2024011038A (ja) | 2022-07-13 | 2022-07-13 | 防音壁 |
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