JP2024010801A - 液晶ポリエステル組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性がより高められた液晶ポリエステル組成物、及びこれを含む成形体を提供する。【解決手段】本発明は、液晶ポリエステルと、特定の高分子量ポリエチレンと、を含有する液晶ポリエステル組成物を採用する。高分子量ポリエチレンの極限粘度は、10dL/g以上、18dL/g以下であり、高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)は、65μm以下であり、高分子量ポリエチレンの含有量が、液晶ポリエステル100質量部に対して0.1質量部以上、1.2質量部以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル組成物及び成形体に関する。
液晶ポリエステルは、耐熱性や強度が高く、溶融流動性に優れることから、電気電子部品をはじめ、各種製品及び部品を製造するための成形材料として用いられている。特に溶融流動性に優れるという特長を生かし、液晶ポリエステルは、薄肉部を有する成形体や、複雑な形状を有する成形体を製造するための成形材料として好ましく用いられている。
例えば、特許文献1には、液晶ポリエステルと、充填剤と、高分子量ポリエチレンと、を混合してなる液晶ポリエステル樹脂混合物が開示されている。
特開2003-12898号公報
ところで、電気電子部品や機械部品は、近年の機器の高性能化もしくは高出力化、又は小型化もしくは軽量化に伴い、薄肉化や形状の複雑化がますます進んでいる。
薄肉化や複雑化した成形体の成形においては、金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性に劣る場合がある。この場合、成形体の取り出しにおいて工数が増加したり、成形体の変形や破損が生じたりする場合がある。特許文献1では離型性について考察されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性がより高められた液晶ポリエステル組成物、及びこれを含む成形体を提供すること、を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の態様を包含する。
[1] 液晶ポリエステルと、高分子量ポリエチレンと、を含有する液晶ポリエステル組成物であって、前記高分子量ポリエチレンの極限粘度が、10dL/g以上、18dL/g以下であり、前記高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)が、65μm以下であり、前記高分子量ポリエチレンの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して0.1質量部以上、1.2質量部以下である、液晶ポリエステル組成物。
[2] 繊維状フィラーをさらに含有する、[1]に記載の液晶ポリエステル組成物。
[3] 前記繊維状フィラーが、ガラス繊維である、[2]に記載の液晶ポリエステル組成物。
[4] 前記繊維状フィラーの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して20質量部以上、250質量部以下である、[2]又は[3]に記載の液晶ポリエステル組成物。
[5] 脂肪酸の金属塩をさらに含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
[6] 前記脂肪酸の金属塩が、炭素数12以上の脂肪酸の金属塩である、[5]に記載の液晶ポリエステル組成物。
[7] 前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位を有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
(1)-O-Ar-CO-
前記式(1)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Arで表される前記基にある水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
[8] 前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位と、下記式(2)で表される繰返し単位と、下記式(3)で表される繰返し単位と、を有する、[7]に記載の液晶ポリエステル組成物。
(1)-O-Ar-CO-
(2)-CO-Ar-CO-
(3)-X-Ar-Y-
前記の式(1)、式(2)及び式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
(4)-Ar-Z-Ar
前記式(4)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。
[9] 前記高分子量ポリエチレンの極限粘度が、11dL/g以上、16dL/g以下であり、好ましくは12dL/g以上、15dL/g以下であり、前記高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)が、5μm以上65μm未満であり、好ましくは5μm以上50μm以下であり、より好ましくは5μm以上40μm以下であり、前記高分子量ポリエチレンの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して0.2質量部以上、1.0質量部以下であり、好ましくは0.3質量部以上、0.9質量部以下であり、より好ましくは0.4質量部以上、0.8質量部以下である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
[10] 前記繊維状フィラーの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは40質量部以上200質量部以下であり、より好ましくは50質量部以上150質量部以下である、[4]~[9]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
[11] 前記炭素数12以上の脂肪酸の金属塩の含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して0.02質量部以上0.15質量部以下であり、好ましくは0.02質量部以上0.12質量部以下であり、より好ましくは0.02質量部以上0.09質量部以下である、[6]~[10]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
[12] [1]~[11]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物を含む、成形体。
本発明によれば、金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性がより高められた液晶ポリエステル組成物、及びこれを含む成形体を提供することができる。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物を含む成形体の一例を示す斜視図である。 本実施例で使用した金型を示す断面図である。 本実施例で使用した金型における第1プレートを示す写真である。
(液晶ポリエステル組成物)
本実施形態に係る液晶ポリエステル組成物は、液晶ポリエステルと、高分子量ポリエチレンと、を含有する。前記高分子量ポリエチレンの極限粘度は、10dL/g以上、18dL/g以下である。前記高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)は、65μm以下である。前記高分子量ポリエチレンの含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して0.1質量部以上、1.2質量部以下である。
<液晶ポリエステル>
本実施形態で用いる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示すポリエステルであり、400℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリエステルの流動開始温度は、260℃以上が好ましく、260℃以上400℃以下がより好ましく、260℃以上380℃以下がさらに好ましい。
本明細書において、液晶ポリエステルの流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、液晶ポリエステルの分子量の目安となる温度である(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
流動開始温度は、毛細管レオメーターを用いて、液晶ポリエステルを9.8MPa(100kg/cm)の荷重下4℃/分の速度で昇温しながら溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、当該液晶ポリエステルの粘度が4800Pa・s(48000ポイズ)であるときの温度を意味する。
液晶ポリエステルは、芳香族化合物のみを原料モノマーとする全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルは、下記式(1)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(1)」という。)を有することが好ましい。液晶ポリエステルは、前記繰返し単位(1)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(2)」という。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(3)」という。)と、を有することがより好ましい。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)~(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。
(1)-O-Ar-CO-
(2)-CO-Ar-CO-
(3)-X-Ar-Y-
前記の式(1)、式(2)及び式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(-NH-)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
(4)-Ar-Z-Ar
前記式(4)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基が挙げられ、その炭素数は、1~10が好ましい。前記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6~20が好ましい。
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n-ブチリデン基、2-エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は1~10が好ましい。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが1,4-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
尚、本明細書において「由来」とは、原料モノマーが重合するために、重合に寄与する官能基の化学構造が変化し、その他の構造変化を生じないことを意味する。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが1,4-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが1,3-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、Arがジフェニルエ-テル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエ-テル-4,4’-ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、30モル%以上が好ましく、30モル%以上80モル%以下がより好ましく、40モル%以上70モル%以下がさらに好ましく、45モル%以上65モル%以下が特に好ましい。
繰返し単位(1)の含有量が多いほど、溶融流動性や耐熱性や強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
本明細書において、全繰返し単位の合計量とは、液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を、その各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値を意味する。
繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、35モル%以下が好ましく、10モル%以上35モル%以下がより好ましく、15モル%以上30モル%以下がさらに好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下が特に好ましい。
繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、35モル%以下が好ましく、10モル%以上35モル%以下がより好ましく、15モル%以上30モル%以下がさらに好ましく、17.5モル%以上27.5モル%以下が特に好ましい。
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、0.9/1~1/0.9が好ましく、0.95/1~1/0.95がより好ましく、0.98/1~1/0.98がさらに好ましい。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)~(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有することが、溶融粘度が低くなり易いため、好ましい。液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することが、より好ましい。
かかる液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(以下「プレポリマー」ということがある。)を固相重合させることにより、製造されてよい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよい。
本実施形態で、液晶ポリエステルは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物における液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル組成物全量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の液晶ポリエステル組成物における液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル組成物全量100質量%に対して、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
例えば、本実施形態の液晶ポリエステル組成物における液晶ポリエステルの含有量は、液晶ポリエステル組成物全量100質量%に対して、30質量%以上80質量%以下が好ましく、35質量%以上70質量%以下がより好ましく、40質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
<高分子量ポリエチレン>
本実施形態で用いる高分子量ポリエチレンの極限粘度は、10dL/g以上、18dL/g以下であり、好ましくは11dL/g以上、16dL/g以下であり、より好ましくは12dL/g以上、15dL/g以下である。
このような高分子量ポリエチレンとしては、市販品を用いることができる。例えば、三井化学株式会社製の商品名ミペロン(登録商標)の各グレードのものが挙げられる。
高分子量ポリエチレンの極限粘度は、以下のようにして測定することができる。
デカリンにより高分子量ポリエチレンを希釈して、高分子量ポリエチレン濃度の異なる複数の希釈溶液を得る。測定温度135℃にて、それぞれの希釈溶液の流下時間を毛細管粘度計で測定して、還元粘度を求める。高分子量ポリエチレン濃度と還元粘度との関係をプロットして外挿し、直線近似したときの切片を極限粘度(dL/g)とする。
本実施形態で用いる高分子量ポリエチレンの分子量は、好ましくは100万以上350万以下であり、より好ましくは125万以上300万以下である。
高分子量ポリエチレンの分子量は、下式(*)に基づいて、上述の極限粘度から粘度平均分子量を算出することにより求めることができる。
粘度平均分子量Mv=5.37×10×[η]1.37 ・・・(*)
[η]:極限粘度(dL/g)、溶媒:デカリン、測定温度:135℃
高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)は、コールターカウンター法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
本実施形態で用いる高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)は、65μm以下であり、好ましくは5μm以上65μm未満であり、より好ましくは5μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上40μm以下である。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物において、前記高分子量ポリエチレンの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0.1質量部以上、1.2質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上、1.2質量部未満であり、より好ましくは0.2質量部以上、1.0質量部以下であり、さらに好ましくは0.3質量部以上、0.9質量部以下であり、特に好ましくは0.4質量部以上、0.8質量部以下である。
<その他成分>
本実施形態の液晶ポリエステル組成物は、液晶ポリエステル及び高分子量ポリエチレンの他、必要に応じて、繊維状フィラー、脂肪酸の金属塩、液晶ポリエステル以外の樹脂、これら以外の添加剤を1種以上含有してもよい。
≪繊維状フィラー≫
本実施形態の液晶ポリエステル組成物は、繊維状フィラーをさらに含有することが好ましい。繊維状フィラーをさらに含有することで、引張強度、曲げ強度、衝撃強度に代表される成形体の強度が高くなる。
繊維状フィラーは、繊維状の無機フィラーであってもよいし、繊維状の有機フィラーであってもよい。
成形体に対する強度付与、及び入手しやすさの観点から、繊維状フィラーは、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラスが好ましい。
本実施形態で繊維状フィラーを用いる場合、繊維状フィラーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物において、繊維状フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、20質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。また、繊維状フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対し、250質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物における、繊維状フィラーの含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、20質量部以上250質量部以下が好ましく、40質量部以上200質量部以下がより好ましく、50質量部以上150質量部以下がさらに好ましい。
≪脂肪酸の金属塩≫
本実施形態の液晶ポリエステル組成物は、脂肪酸の金属塩をさらに含有することが好ましい。脂肪酸の金属塩をさらに含有することで、成形時の計量時間が安定し、計量時間のバラツキも抑制される。また、成形時の平均計量時間を短縮することができる。これにより、成形時に樹脂ペレットに含まれる繊維状フィラーの破断を低減することができ、成形体強度が向上する。
本実施形態における脂肪酸の金属塩の一例は、炭素数12以上の脂肪酸の金属塩である。
該脂肪酸の炭素数は、12以上28以下が好ましく、該炭素数は12以上18以下がより好ましい。
脂肪酸の金属塩として、具体的には、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸バリウム等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物において、脂肪酸の金属塩の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上0.15質量部以下であり、より好ましくは0.02質量部以上0.12質量部以下であり、さらに好ましくは0.02質量部以上0.09質量部以下である。
≪液晶ポリエステル以外の樹脂≫
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル樹脂以外のポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
その他添加剤としては、上記繊維状フィラー以外の充填材、上記脂肪酸の金属塩以外の計量安定化剤、上記高分子量ポリエチレン以外の離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物の形状は特に限定されず、粉末状、ペレット状が挙げられる。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物のなかでも、成形時の計量時間の安定性、及び成形体の機械強度の向上の点から、前記液晶ポリエステルと、前記高分子量ポリエチレンと、前記繊維状フィラーと、前記脂肪酸の金属塩と、を含有する組成物が好適に挙げられる。
かかる好適な組成物は、例えば、ペレット混合物として用いることが、繊維長バラツキの制御性、及び成形部での長繊維化の観点から特に好ましい。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物においては、特に、含有される高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)が65μm以下であることが、成形時の離型性に有効である。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物においては、高分子量ポリエチレンの粒径、高分子量ポリエチレンの含有量及び/又は高分子量ポリエチレンの極限粘度を制御することで、離型性の向上に加え、成形時の平均計量時間の短縮、引張強度、曲げ強度、衝撃強度に代表される成形体の強度の向上の効果を得られる。また、衝撃強度に関して、強度のバラツキを示す標準偏差も小さくなる。
(成形体)
本実施形態に係る成形体は、上述した本発明の一実施形態に係る液晶ポリエステル組成物を含む。
かかる成形体の一実施形態は、上述した実施形態の液晶ポリエステル組成物を用い、射出成形などの公知の成形方法により製造することができる。
本実施形態の成形体は、一般に液晶ポリエステルが適用し得るあらゆる用途に適用可能であり、中でも自動車分野の用途に特に好適である。
自動車分野の用途としては、例えば、自動車の内装材用の射出成形体や、外装材用の射出成形体が挙げられる。
本実施形態の成形体は、例えば、車両に取り付けられるクラッシュボックスにおける衝撃吸収部材として使用される。
以下、各図面を参照しながら、実施形態について説明する。全ての図面においては、図面の見やすさの観点から、各構成要素の寸法や比率などは実寸とは異なっている。
成形体500は、液晶ポリエステル組成物を成形材料とする射出成形部530を有する。射出成形部530は、本体部510と、これと一体成形されているフランジ部520とを備える。
本体部510は、フランジ部520から突出する複数の筒状セル512が隙間なく並ぶハニカム構造体を有している。筒状セル512は、フランジ部520側の端面が塞がれ、フランジ部520と反対側の端面が開口した筒状に形成されている。筒状セル512の高さは、例えば20~200mmである。セル壁514の厚さは、例えば0.5~5mmである。
成形体500は、樹脂製であることから軽量化がされ、かつ、ハニカム構造体を有することから、衝撃エネルギー吸収性能が高められている。
成形体500は複雑な形状を有し、細長いコアピンとの接触面積が広いため、金型から成形体を取り出すことが難しい。具体的には、金型から成形体を取り出すことができない、エジェクタピンを突出させる操作回数が多く必要となる、取り出しの際にフランジ部520が破壊される、フランジ部520にエジェクタピンの打痕が残る等の不具合が生じ得る。
本実施形態の液晶ポリエステル組成物は、成形体500のような複雑な形状の成形体を射出成形する場合においても、金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性が高い。
本発明は以下の側面を有する。
[13] 上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物を用いて製造された射出成形部を含む、衝撃吸収部材であって、
前記射出成形部は、複数の筒状セルが充填したハニカム構造体を有する本体部を備える、衝撃吸収部材。
[14] 前記射出成形部が含有する液晶ポリエステル及び繊維状フィラーの含有量の質量比は、液晶ポリエステル40~75質量部に対して繊維状フィラー25~60質量部であり、好ましくは液晶ポリエステル45~75質量部に対して繊維状フィラー25~55質量部であり、より好ましくは液晶ポリエステル45~70質量部に対して繊維状フィラー30~55質量部であり、さらに好ましくは液晶ポリエステル50~70質量部に対して繊維状フィラー30~50質量部である、[13]に記載の衝撃吸収部材。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[液晶ポリエステル、ペレットの流動開始温度の測定]
フローテスター(株式会社島津製作所製の「CFT-500EX型」)を用いて、試料約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPaの荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、試料を溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・sの粘度を示す温度を測定し、流動開始温度とした。
[高分子量ポリエチレンの極限粘度の測定]
デカリンにより高分子量ポリエチレンを希釈して、高分子量ポリエチレン濃度の異なる複数の希釈溶液を調製した。測定温度135℃にて、それぞれの希釈溶液の流下時間を毛細管粘度計で測定して、還元粘度を求めた。そして、高分子量ポリエチレン濃度と還元粘度との関係をプロットして外挿し、直線近似したときの切片を極限粘度(dL/g)として測定した。
[高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)の測定]
高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)は、以下のようにして測定した。
高分子量ポリエチレンに、ISOTONIIとTween20とを加えて混合することにより、試料を調製した。この試料について、コールターカウンター法により体積中位径(d50)を求めた。ISOTONIIは、ベックマンコールター社製の測定用電解液である。Tween20は、界面活性剤である。
使用した装置及び測定条件:
コールターカウンターには、Multisizer 4(ベックマン・コールター社製)を使用した。
アパーチャー 100μm(測定範囲2μmから60μmまで)
アパーチャー 280μm(測定範囲5.6μmから168μmまで)
アパーチャー 400μm(測定範囲9.7μmから240μmまで)
<樹脂材料の調製>
液晶ポリエステルとして、粉末状の液晶ポリエステル(LCP1)と、粉末状の液晶ポリエステル(LCP2)とをそれぞれ製造した。
また、液晶ポリエステルのみからなるニートペレット(1)を製造した。
また、液晶ポリエステルがガラス繊維に含浸した樹脂ペレット(1)を製造した。
≪粉末状の液晶ポリエステル(LCP1)の製造≫
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p-ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.2モル)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(446.9g、2.4モル)、テレフタル酸(299.0g、1.8モル)、イソフタル酸(99.7g、0.6モル)及び無水酢酸(1347.6g、13.2モル)と、1-メチルイミダゾール0.9gとを入れ、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。
その後、窒素ガス気流下で、反応器内の温度を室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃を保持して1時間還流させた。
次いで、1-メチルイミダゾール(0.9g)を反応器に加え、副生酢酸や未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分間かけて昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了として内容物を取り出し、これを室温まで冷却し、固形物を得た。
得られた固形物を、粉砕機で、粒径が約0.1~1mmになるまで粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。
固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LCP1)を得た。
ここで得られた液晶ポリエステルは、全繰り返し単位の合計量に対して、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)を60モル%と、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)を15モル%と、Arが1,3-フェニレン基である繰返し単位(2)を5モル%と、Arが4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位(3)を20モル%とを有し、その流動開始温度は327℃であった。
≪粉末状の液晶ポリエステル(LCP2)の製造≫
撹拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p-ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.2モル)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(446.9g、2.4モル)、テレフタル酸(239.2g、1.44モル)、イソフタル酸(159.5g、0.96モル)及び無水酢酸(1347.6g、13.2モル)を仕込み、1-メチルイミダゾール(0.9g)を添加し、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。
その後、窒素ガス気流下で、反応器内の温度を室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃を保持して1時間還流させた。
次いで、1-メチルイミダゾール(0.9g)を反応器に加え、副生酢酸や未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分間かけて昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了として内容物を取り出し、これを室温まで冷却し、固形物を得た。
得られた固形物を、粉砕機で、粒径が約0.1~1mmになるまで粉砕後、窒素雰囲気下、室温から220℃まで1時間かけて昇温し、220℃から240℃まで0.5時間かけて昇温し、240℃で10時間保持することにより、固相重合を行った。
固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステル(LCP2)を得た。
ここで得られた液晶ポリエステルは、全繰り返し単位の合計量に対して、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(1)を60モル%と、Arが1,4-フェニレン基である繰返し単位(2)を12モル%と、Arが1,3-フェニレン基である繰返し単位(2)を8モル%と、Arが4,4’-ビフェニリレン基である繰返し単位(3)を20モル%とを有し、その流動開始温度は291℃であった。
≪ニートペレット(1)の製造≫
得られた粉末状の液晶ポリエステル(LCP2)を、二軸押出機(PMT47、IKG社製)にて、シリンダー温度290℃で造粒してニートペレット(1)を製造した。得られたニートペレット(1)の流動開始温度は284℃であった。
≪樹脂ペレット(1)の製造≫
樹脂ペレット(1)については、以下のようにして製造した。
押出機にはGTS-40型押出機(株式会社プラスチック工学研究所製)を用いた。ベルト式引取機にはEBD-1500A(アイメックス株式会社製)を用いた。繊維状フィラーには、下記のガラス繊維を用いた。
[ガラス繊維]
GF1:ガラス繊維ロービング(Eガラス、繊維径10μm、繊度1400g/1000m、日本電気硝子株式会社製)
粉末状の液晶ポリエステルとして、上述したLCP1及びLCP2を用いた。
LCP1及びLCP2の合計100質量部(LCP1が75質量部、LCP2が25質量部)に対して、GF1が165質量部となる樹脂構造体を得た。具体的には、前記押出機から、溶融状態のLCP1及びLCP2を供給し、GF1に含浸させて、樹脂構造体を得た。
得られた樹脂構造体を、前記ベルト式引取機でストランド状に引き取り、ペレタイザーへ繰り出し、その長手方向に所定の長さ(12mm)で切断して、円柱形状の樹脂ペレット(1)を得た。
<液晶ポリエステル組成物の製造>
(比較例1)
表1に示す配合割合、及び後述の成形条件(A)で、樹脂ペレット(1)と、ニートペレット(1)と、脂肪酸の金属塩(1)とを混合して、比較例1の液晶ポリエステル組成物を製造した。
脂肪酸の金属塩(1)は、LCP1とLCP2との合計100質量部に対して0.06質量部を外添した。
(実施例1~5、比較例2~3)
表1に示す配合割合、及び後述の成形条件(A)で、樹脂ペレット(1)と、ニートペレット(1)と、高分子量ポリエチレン(1)~(5)と、脂肪酸の金属塩(1)とを混合して、実施例1~5及び比較例2~3の各液晶ポリエステル組成物を製造した。
高分子量ポリエチレン(1)~(5)は、LCP1とLCP2との合計100質量部に対して、実施例1では0.1質量部;実施例3では1.2質量部;実施例2、4及び5ではそれぞれ0.6質量部;比較例2~3ではそれぞれ0.6質量部を外添した。
脂肪酸の金属塩(1)は、LCP1とLCP2との合計100質量部に対して0.06質量部を外添した。
使用した高分子量ポリエチレン、及び脂肪酸の金属塩をそれぞれ以下に示した。
高分子量ポリエチレン(1):極限粘度14dL/g、体積中位径(d50)32μm、三井化学製のミペロン(登録商標)XM-221U
高分子量ポリエチレン(2):極限粘度13dL/g、体積中位径(d50)11μm、三井化学製のミペロン(登録商標)PM-200
高分子量ポリエチレン(3):極限粘度14dL/g、体積中位径(d50)64μm、三井化学製のミペロン(登録商標)XM-330
高分子量ポリエチレン(4):極限粘度5dL/g、体積中位径(d50)132μm、三井化学製のハイゼックスミリオン(登録商標)030S
高分子量ポリエチレン(5):極限粘度30dL/g、体積中位径(d50)171μm、三井化学製のハイゼックスミリオン(登録商標)630M
脂肪酸の金属塩(1):ベヘン酸カルシウム、日東化成工業社製のCS-7
Figure 2024010801000001
<成形体の製造>
各例の液晶ポリエステル組成物を、以下に示す成形条件(A)で射出成形する工程により、上述した図1に示す成形体500と同じ形態の、ハニカム構造体を有する本体部を備えた射出成形部を成形して、衝撃吸収部材を製造した。
[成形条件(A)]
成形温度:可塑化部300℃、プランジャー部360℃
スクリュー回転数100rpm、背圧1MPa、射出速度200mm/s、金型温度70℃、保圧30MPa、保圧時間5sec
本体部が有するハニカム構造体は、上面視で、高さ80mmの筒状セルの開口面を、略正六角形状であって各頂点の曲率半径を2mmとし、32個の筒状セルで構成されているもの、並びに、筒状セルの開口面のセル内径を13mm、筒状セルのフランジ部側の端面のセル内径を12mm、筒状セルの開口面のセル壁厚さを1mm、筒状セルのフランジ部側の端面のセル壁厚さを2mm、及びフランジ部の厚さを5mmにそれぞれ成形した。
[離型性の評価]
金型からの成形体の取り出し易さを表す離型性について、以下の手順に従い評価した。
図2Aにおいて、金型200は、第1プレート210と、第2プレート220と、合計12本のエジェクタピン232とを有する。
第1プレート210は、複数のピンが水平方向に配列したコアピン212を備えており、図2Bに示す写真はその一形態を示している。エジェクタピン232は、コアピン212の外周に位置しており、コアピン212と平行に配置されている。
手順(1)金型200から成形体(衝撃吸収部材)を取り出す際、まず、第1プレート210と第2プレート220とを、15mm以上の間隔を空けて開いた。
手順(2)下記エジェクト条件により、エジェクタピン232を右方向(第2プレート220側、矢印方向)へ突出させる操作を行い、第1プレート210から成形体を押し出した。
操作1回のエジェクト条件:突出力5.4kN、突出速度5mm/sec
手順(3)成形体が第1プレート210から突き出る距離(突出距離)が15mmになるまでの、エジェクタピン232を突出させる操作回数(エジェクタ突出回数)を求めた。そして、当該エジェクタ突出回数を指標とし、下記の評価基準に基づいて離型性を評価した。この結果を表2に示した。
離型性の評価基準
E(Excellent):エジェクタ突出回数が1回であった。
G(Good):エジェクタ突出回数が2回であった。
B(Bad):エジェクタ突出回数が3回であった、又は金型から成形体を取り出すことができなかった。
Figure 2024010801000002
<成形体(2mm厚ダンベル)の製造>
各例の液晶ポリエステル組成物を、以下に示す成形条件(B)で射出成形する工程により、それぞれの試験片を製造した。
具体的には、各例の液晶ポリエステル組成物をそれぞれ、射出成形機TR450EH3(株式会社ソディック製)のホッパーへ投入し、下記成形条件(B)にて、JIS K7139に準拠した多目的試験片(タイプA1)(厚さ4mm)の厚さを2mmへ変更した試験片を成形した。
尚、ゲートは、多目的試験片の片側つかみ部の上辺より厚さ2mmのフィルムゲートとした。
[成形条件(B)]
成形温度:可塑化部300℃、プランジャー部360℃
スクリュー回転数100rpm、背圧1MPa、射出速度20mm/s、金型温度100℃、保圧70MPa、保圧時間5sec
[平均計量時間の測定]
成形体(2mm厚ダンベル)の製造において、厚さ2mmの多目的試験片15本を連続で成形し、6本目から15本目までの各成形時における計量時間をそれぞれ測定した。そして、これらの合計10ショットの計量時間の平均値を算出した。この結果を表3に示した。
[引張強度の測定]
上記<成形体(2mm厚ダンベル)の製造>で製造された、厚さ2mmの多目的試験片について、試験速度を1mm/minとした以外はJIS K7161(プラスチック-引張特性の試験方法)及びISO527に準拠し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下における引張強度(MPa)を測定した。
測定にはインストロン万能試験機(インストロン社製、68TM-50)を用いた。測定は5サンプルについて行い、これらの平均値を求めた。その結果を表3に示した。
[曲げ強度の測定]
上記<成形体(2mm厚ダンベル)の製造>で製造された、厚さ2mmの多目的試験片の中央部より、幅10mm×長さ80mm×厚さ2mmの試験片を切り出した。この切り出した試験片に対し、試験速度1mm/min、支点間距離32mmとした以外はJIS K7171(プラスチック-曲げ特性の求め方)及びISO178に準拠し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下における曲げ強度(MPa)を測定した。
測定にはインストロン万能試験機(インストロン社製、68TM-50)を用いた。測定は5サンプルについて行い、これらの平均値を求めた。その結果を表3に示した。
[衝撃強度及びその標準偏差の測定]
・ノッチなし試験片のシャルピー衝撃強度
上記<成形体(2mm厚ダンベル)の製造>で製造された、厚さ2mmの多目的試験片の中央部より、幅10mm×長さ80mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、ノッチなし試験片とした。
この切り出したノッチなし試験片に対し、ISO179-1及びJIS K7111-1(プラスチック-シャルピー衝撃特性の求め方-)に準拠し、ハンマー4.0Jを採用して、シャルピー衝撃試験5回を行い、衝撃強度(kJ/m)及びその標準偏差を測定した。この測定には振子式衝撃試験機(インストロン社製、CEAST9050)を用いた。
ノッチなし試験片のシャルピー衝撃強度は、5回測定の平均値を採用した。この結果を表3に示した。
・ノッチあり試験片のシャルピー衝撃強度
前記ノッチなし試験片について、ISO2818及びJIS K7144に準拠した方法により、ノッチ角度45°、深さ2mmのノッチ加工を施して、ノッチあり試験片とした。ノッチ加工にはノッチングツール(東洋精機株式会社製、型式A-4)を用いた。
前記のノッチあり試験片に対し、ISO179-1及びJIS K7111-1に準拠し、ハンマー4.0Jを採用して、シャルピー衝撃試験5回を行い、衝撃強度(kJ/m)及びその標準偏差を測定した。この測定には振子式衝撃試験機(インストロン社製、CEAST9050)を用いた。
ノッチあり試験片のシャルピー衝撃強度は、5回測定の平均値を採用した。この結果を表3に示した。
Figure 2024010801000003
200 金型、210 第1プレート、212 コアピン、220 第2プレート、232 エジェクタピン、500 成形体、510 本体部、512 筒状セル、514 セル壁、520 フランジ部、530 射出成形部

Claims (7)

  1. 液晶ポリエステルと、高分子量ポリエチレンと、を含有する液晶ポリエステル組成物であって、
    前記高分子量ポリエチレンの極限粘度が、10dL/g以上、18dL/g以下であり、
    前記高分子量ポリエチレンの体積中位径(d50)が、65μm以下であり、
    前記高分子量ポリエチレンの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して0.1質量部以上、1.2質量部以下である、液晶ポリエステル組成物。
  2. 繊維状フィラーをさらに含有する、請求項1に記載の液晶ポリエステル組成物。
  3. 前記繊維状フィラーが、ガラス繊維である、請求項2に記載の液晶ポリエステル組成物。
  4. 前記繊維状フィラーの含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して20質量部以上、250質量部以下である、請求項2に記載の液晶ポリエステル組成物。
  5. 脂肪酸の金属塩をさらに含有する、請求項1に記載の液晶ポリエステル組成物。
  6. 前記液晶ポリエステルが、下記式(1)で表される繰返し単位を有する、請求項1に記載の液晶ポリエステル組成物。
    (1)-O-Ar-CO-
    前記式(1)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Arで表される前記基にある水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物を含む、成形体。
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