JP2024007280A - ウエハのレーザースライシング方法 - Google Patents

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比宇麻 岩瀬
Hiuma Iwase
剛志 納谷
Takeshi Naya
順一 池野
Junichi Ikeno
洋平 山田
Yohei Yamada
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Nakamura Tome Precision Industry Co Ltd
Saitama University NUC
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Nakamura Tome Precision Industry Co Ltd
Saitama University NUC
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Abstract

【課題】ウエハの割断面が滑らかで割断荷重が低くなり、材料歩留りの向上にも有効なレーザースライシング方法の提供を目的とする。【解決手段】基材の中心軸と結晶方位(C軸)との間に所定のオフ角を有する基材表面から所定の深さに集光点を形成させながら前記レーザー光と基材とを相対に移動走査し、改質層及びクラックを形成させ、ウエハを割断製造するためのレーザースライシング方法であって、前記移動走査させる走査方向は、前記C軸と直交する結晶面の傾斜方向に沿って直線状にドット照射することを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、ウエハを基材から割断製造するためにレーザー光を用いたスライシング方法に関する。
単結晶の、Si(シリコン),SiC(炭化珪素),GaN(窒化カリウム),Al(サフィア)等の半導体ウエハは、IC,LSI等の各種デバイスに使用されている。
これらの単結晶ウエハを製造するための基材(インゴット)は、エピタキシャル成長法等により製造されているが成長の安定性、内部欠陥の低減等の観点から結晶方位に2~8°の所定のオフ角が形成されているものが多い。
これらの基材の表面から所定の深さに集光点を合せながらレーザー光を照射走査することで、改質層及びそれに伴うクラックを発生させ、割断面を形成するレーザースライシング方法によるウエハの製造方法が提案される。
例えば特許文献1には、基板内部にレーザー光を集光させ、レーザー集光手段と基板とを相対的に移動させることで基板内部に改質層を形成させることが記載されているが、結晶方位にオフ角を有する場合については何ら記載がない。
特許文献2には、オフ角が形成される方向と直交する方向にレーザービームの集光点を移動させるレーザースライシング方法が記載されているが、このようにオフ角を形成している方向とは直交する方向に走査させると同公報にはオフ角の形成面に沿ったクラックが発生する旨の説明がある。
しかし、本発明者らの調査によればクラックの発生方向やクラックの大きさに乱れが大きく、割断面がウロコ状になることが判明した。
これでは滑らかな割断面が得られず、材料損失が大きい。
しかも、割断に要する荷重が大きくなり、ウエハが破損しやすい問題もあった。
特許第5509448号公報 特許第6399913号公報
本発明は、ウエハの割断面が滑らかで割断荷重が低くなり、材料歩留りの向上にも有効なレーザースライシング方法の提供を目的とする。
本発明に係るレーザースライシング方法は、基材の中心軸と結晶方位(C軸)との間に所定のオフ角を有する基材表面から所定の深さに集光点を形成させながら前記レーザー光と基材とを相対に移動走査し、改質層及びクラックを形成させ、ウエハを割断製造するためのレーザースライシング方法であって、前記移動走査させる走査方向は、前記C軸と直交する結晶面の傾斜方向に沿って直線状にドット照射することを特徴とする。
ウエハを製造するための基材(インゴット)は、単結晶で結晶方位にオフ角を有しているものも多い。
基材の上面中心と下面中心とを結ぶ中心軸に対して、結晶方位[100],[0001]等は所定のオフ角を有している。
従って、結晶面は所定のオフ角を形成したステップ・テラス構造になっている。
そこで本発明者らは、オフ角を形成している傾斜に沿ってレーザー光を走査させながらドット照射することでステップ・テラス面に沿った滑らかな割断面が得られることを見い出した。
本発明においてドット照射は、レーザー照射のパルス周期と基材の相対移動速度の組み合せにより、ドット状に照射されることをいい、等間隔のピッチにて連続的に照射してもよいが、前記ドット照射するピッチは、照射する部位と非照射の部位を有する間欠ドット照射にしてもよい。
集光点を有するレーザー光を基材の内部に照射すると、照射により改質層ができクラックが発生するとともに、このクラックが進展する。
従って、このクラック進展長さを考慮して、ドット照射のピッチ間隔を設定したり、あるいは間欠的にドット照射してもよい。
また、本発明において、オフ角を形成した傾斜方向に沿って直線状にドット照射する方向を照射ラインと表現し、照射ラインが所定の間隔で平行に同一方向又は往復移動させることで改質層及びクラックを形成するが、その照射ライン間隔を走査ラインピッチと表現する。
本発明においては、基材の中心軸と結晶方位(C軸)との間に所定のオフ角を有する基材表面から所定の深さに集光点を形成させながら前記レーザー光と基材とを相対に移動走査し、改質層及びクラックを形成させ、ウエハを割断製造するためのレーザースライシング方法であって、前記移動走査させる走査方向は、前記C軸と直交する結晶面の傾斜方向に対して所定の走査傾斜角を形成するように直線状にドット照射してもよい。
ドット照射の照射ラインは所定の走査ラインピッチにて同一方向に平行に、あるいは往復方向に交互に平行に形成されることで無数のクラックにより割断面ができる。
この際に、傾斜方向に対して4~20°の所定の走査傾斜角を有するように斜めに走査させると、隣接する走査ラインにてそれぞれ発生するクラックにつながりができやすく、割断荷重が小さくなる。
本発明においては、オフ角を有する基材(インゴット)に対して、結晶面のオフ角の傾斜方向に沿って直線状あるいは、この傾斜方向に対して所定の走査傾斜角を形成するように直線状にドット照射する照射ラインを所定の走査ラインピッチで平行走査、又は往復走査することで割断面が滑らかになり、その割断荷重が従来よりも小さくなる。
(a)本発明に係るドット照射の照射ラインを基材のオフ角を形成した傾斜方向[11-20]に走査させた例、(b)はドット照射の模式図と割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を示す。 本発明において、ドット照射を間欠照射した例の模式図と、割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を示す。 本発明において、(a)はドット照射の照射ラインを図3において[11-20]方向に対して時計回りに所定の走査傾斜角を形成するように走査させる側を示し、(b)はそのドット模式図及び割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を示す。 比較のためにドット照射の照射ラインを、基材のオフ角を形成する[11-20]方向とは直交する[10-10]方向に走査させた場合のドットの模式図と割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を示す。 評価結果を示す。 試験したレーザー走査傾斜角と割断時の剥離力との関係をグラフに示す。 試験したレーザー走査傾斜角と割断面の最大高さと算術平均粗さとの関係を示す。
ドット照射の照射方法とレーザースライシング後に割断した際の表面粗さ、割断荷重を計測及び比較したので以下説明する。
図1(a)は六方晶単結晶の基材(インゴット)の例を示す。
基材には[10-10]方向のオリエンテーションフラットと、それとは直交する方向[10-20]方向のオリエンテーションフラットが通常形成されている。
結晶方位[0001]は、基材の中心軸(基材面直方向)に対して2~8°のオフ角が形成されている。
この結晶方位をC軸とすると、このC軸と直交する結晶面にオフ角を形成する傾斜面が形成されている。
今回の試験及び評価にはオフ角4°のSi基材を用いた。
Si基材のC軸と直交するオフ角の形成面は、150~200μmピッチのステップ・テラス構造に形成されている。
レーザー光としては波長532nm,
パルス幅8~30ns(パルス発振周波数20kH)に設定した。
開口数NA0.2以上以上(NA:ビーム径/焦点距離×2)
パルスエネルギー : 3~20μJ
照射ドットピッチ : 1~5μm
走査ラインピッチ : 20~70μm
の範囲にて調査した。
その評価結果を図5の表に示す。
剥離力はJISに準拠した万能試験機を用い、一定の大きさの小片試料に対して両面に引張荷重を印加し、割断までの最大荷重を測定した。
なお、剥離を容易にするために試験片中心から90mmオフセットした位置で印加した。
割断面の表面粗さは、共焦点レーザー顕微鏡にて一定の大きさの小片試料の割断面全体の最大高さ(R)を測定した。
実施例1~6は、オフ角を形成した傾斜方向[11-20]にドット照射したものであり、比較例1はオフ角を形成した傾斜方向とは直交方向[10-10]にドット照射したものを示す。
その時のドット照射の模式図及び割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を図4に示す。
ドット照射の照的ラインをオフ角を形成した傾斜方向[11-20]にした実施例1~6の方が直交方向[10-10]に走査した比較例よりも割断面の表面粗さが少なくなっている。
割断後の表面の研磨代が、実施例1~6にて100μm以下になるのに対して比較例は150μm以上必要であった。
また、実施例1~6の内容を比較すると照射ドットピッチ1~3μmにて、剥離力が小さくなっている。
実施例4から、照射ドットピッチ5μm程度,走査ラインピッチ50μmと比較的大きくてもパルスエネルギーを高くすると、剥離力が小さくなることが分かる。
これらのことから、パルスエネルギー2~6μJ,
照射ドットピッチ : 0.6~3μm
走査ラインピッチ : 10~30μmの範囲がよい。
なお、図1(b)に示した割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像は実施例1のものを示す。
図2は、ドット照射を間欠照射する例を示す。
レーザー光の集光点を起点にして、クラックが発生し、このクラック長さは展進することから、クラック展進長さを考慮して、ドット照射を間欠照射してもよい。
間欠照射は、パルス発振器を直接,間欠制御してもよく、チョッパーやシャッターにて遮光制御してもよい。
図3は、照射ラインをオフ角を形成した傾斜方向[11-20]に対して図3にて時計回り方向に走査傾斜角を形成するようにパルスレザーをドット照射する例を示す。
本実施例は、波長1030nm
パルス幅 : 1~20ピコ秒
照射ドットピッチ : 5~15μm
走査ラインピッチ : 40~80μm
パルスエネルギー : 5~15μJ
にて評価した。
図6は、照射ラインのレーザー走査傾斜角(時計回り)を変化させた際の10mm角当たりの剥離力の変化を調査した結果を示し、図7にレーザー走査傾斜角変化に対する割断面の最大高さRz(●印)と算術平均粗さ(○印)変化を示す。
図6の結果からレーザー走査傾斜角が、4~8°付近にて剥離荷重が最小になっていることが分かる。
これは、照射ラインに傾斜を設けることでクラックの方向が整列し、相互に隣り合う照射ラインでのクラックが連続的につながるためと推定される。
図3(b)には傾斜角度4°のときの割断後表面共焦点レーザー顕微鏡像を示す。
これに対して図7からは、走査傾斜角に対する割断面の粗さには大きな差がないことが明らかになった。

Claims (3)

  1. 基材の中心軸と結晶方位(C軸)との間に所定のオフ角を有する基材表面から所定の深さに集光点を形成させながら前記レーザー光と基材とを相対に移動走査し、改質層及びクラックを形成させ、ウエハを割断製造するためのレーザースライシング方法であって、
    前記移動走査させる走査方向は、前記C軸と直交する結晶面の傾斜方向に沿って直線状にドット照射することを特徴とするウエハのレーザースライシング方法。
  2. 前記ドット照射するピッチは、照射する部位と非照射の部位とを有する間欠ドット照射であることを特徴とする請求項1記載のウエハのレーザースライシング方法。
  3. 基材の中心軸と結晶方位(C軸)との間に所定のオフ角を有する基材表面から所定の深さに集光点を形成させながら前記レーザー光と基材とを相対に移動走査し、改質層及びクラックを形成させ、ウエハを割断製造するためのレーザースライシング方法であって、
    前記移動走査させる走査方向は、前記C軸と直交する結晶面の傾斜方向に対して所定の走査傾斜角を形成するように直線状にドット照射することを特徴とするウエハのレーザースライシング方法。
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