JP2011159827A - 透明基板の改質領域形成方法 - Google Patents

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【課題】被加工物の切断予定ライン周囲に生じる歪みや微少な欠陥を生じさせることなくレーザ照射によるスクライブラインを形成させることによって、透明基板を精密かつ効率的に割断できる透明基板の改質領域形成方法を提供する。
【解決手段】レーザ発振器11から照射されるレーザ光15を透明基板10に照射して透明基板内に改質領域を形成する方法であって、前記レーザ光の焦点fを前記透明基板の裏面に設定するとともにレーザ光を裏面に集光させたままスキャンして裏側面状改質領域22を形成させる裏側改質領域形成工程と、前記レーザ光の焦点を前記透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に集光させたままスキャンして前記裏側面状改質領域に対向する割断予定ライン14上に表側面状改質領域23を形成させる表側改質領域形成工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体部品などに用いられる透明基板の改質領域形成方法に関し、さらに詳しくは、サファイアなどの透明基板を分割する際の起点となる改質領域を透明基板の内部に形成する方法に関する。
サファイア基板に窒化ガリウムなどの窒化物系化合物半導体を育成することによって、発光ダイオード(LED)や、トランジスタ(FET)などのデバイスが得られる。このような半導体デバイスの製造工程等において半導体基板となる透明基板を分割するに際して、その切断起点となるスクライブ溝を形成して機械的に切断する方法が知られている。
一般にサファイア基板は円盤状であり、2〜6インチ径(直径51〜154mm)及び厚さ0.08〜1mm程度である。また、窒化物半導体をエピタキシャル成長させる側の基板表面は、傷、スクラッチ及び微小な凹凸のない平滑な表面になるように研磨加工される。さらに、窒化物半導体層成長後のデバイス作製工程においてはフォトリソグラフィーやエッチングなどの微細加工プロセスが適用され、基板の直径、厚さ、平坦度及び反りなどに対して高精度の加工が要求される。
近年の半導体デバイスの小型化に伴い、半導体デバイスの製造工程において、半導体基板が数10μm程度の厚さにまで薄型化されることがある。
また、従来のパルスレーザによるサファイア加工は一般的にパルス幅50ns以下のレーザが用いられ、0.7mm厚さのサファイアの場合には、スクライブ溝形成工程とこのスクライブ溝に沿って折断する割断工程を経て所定形状に分割される。
このように薄型化された半導体基板をブレードにより切断し分割すると、半導体基板が厚い場合に比べてチッピングやクラッキングの発生が増加し、半導体基板を分割することで得られる半導体チップの歩留まりが低下するという問題があった。
このような問題を解決するための半導体基板の分割方法として特許文献1(特開2009−206534号公報)には、基板内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、基板の内部に切断予定ラインに沿った改質領域を形成し、この改質領域を切断起点領域として基板を分割する方法が記載されている。
特開2009−206534号公報
しかしながら、サファイア基板の片側にスクライブを設けてから割断する方法では、割断したときに結晶の方位によって割れる断面が45度の傾斜がついてしまうという問題点があった。
さらに特許文献1のように基板内部に切断予定ラインに沿った改質領域を形成させる切断方法では、レーザ光の照射により生じた改質領域のガス成分などを外部に排出させる排出路が形成されないために、切断予定ラインの外周囲に微小な歪みや不定形な欠陥などが生じるおそれがあった。このためサファイアなどの透明基板を精密かつ効率的に切断処理することができないという課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被加工物の切断予定ライン周囲に生じる歪みや微少な欠陥を生じさせることなく、レーザ照射によって改質領域を形成させることによって、透明基板を精密かつ効率的に割断できる透明基板の改質領域形成方法を提供することを目的とする。
(a)前記課題を解決する本発明は、レーザ発振器から照射されるレーザ光を透明基板に照射して透明基板内に改質領域を形成する方法であって、
前記レーザ光の焦点を前記透明基板の裏面に設定するとともにレーザ光を裏面に集光させたままスキャンして裏側面状改質領域を形成させる裏側改質領域形成工程と、
前記レーザ光の焦点を前記透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に集光させたままスキャンして前記裏側面状改質領域に対向する割断予定ライン上に表側面状改質領域を形成させる表側改質領域形成工程と、を有する。
(b)本発明は、前記(a)記載の透明基板がサファイアであることにも特徴を有している。
本発明によれば、レーザ光の焦点を透明基板の裏面に設定するとともにレーザ光を裏面に集光させたままスキャンして裏側面状改質領域を形成させ、前記レーザ光の焦点を前記透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に集光させたまま前記裏側面状改質領域に対向する割断予定ライン上に表側面状改質領域を形成させるので、被加工物となる透明基板に歪みや微小欠陥のないスクライブラインを形成して、その割断面が結晶の特定方向へ割れて生じるような劈開面やチッピングやクラッキングなどが少なく精密分割された透明基板を効率的に得ることができる。
本実施例に係る透明基板の裏面面状改質領域を形成する説明図である。 本実施例に係る透明基板の表面面状改質領域を形成する説明図である。 本実施例に係るサファイア基板の割断予定ライン上に沿ってレーザ光を照射して面状改質領域形成する平面図(a)及びそのA−A割断面図である。
本実施形態に係る透明基板の改質領域形成方法は、レーザ発振器から照射されるレーザ光を透明基板に照射してその基板面に面状改質領域を形成し、
前記面状改質領域を起点に折り曲げて前記透明基板を割断するに際し、
前記レーザ光の焦点を前記透明基板の裏面に設定するとともにレーザ光を裏面に集光させたままスキャンして裏側面状改質領域を形成させる裏側改質領域形成工程と、
前記レーザ光の焦点を前記透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に集光させたままスキャンして前記裏側面状改質領域に対向する割断予定ライン上に表側面状改質領域を形成させる表側改質領域形成工程と、を有する。
これによって、約0.7mm程度の比較的厚いサファイアなどの場合、透明基板の裏表両面に対向した面状改質領域を形成して、この面状改質領域を起点として折り曲げることによって、透明基板を精密に分割することができる。
従来の割断方法においては改質領域を起点として割断したときに結晶の方位によってその破断面に傾斜がついてしまうという現象があった。
これに対して、透明基板の裏表両面に、対向した歪みのない面状改質領域を形成させるようにレーザ加工を行うことによって、垂直な割断面を得ることができる。
こうして、被加工物となるサファイアなどの透明基板を精密かつ効率的に分割できる。
透明基板としては、例えばウェーハとしてのサファイア基板が適用できる。
ここで、透明とは、レーザ光に対して透過性を有する性質をいう。
サファイア基板には窒化ガリウムなどの窒化物系化合物半導体を育成して、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、トランジスタ(FET)などのデバイス得るための基板として用いることができる。
透明基板を反転せずに片面からレーザ加工を行うためには、このようなサファイアに対して十分な透過性をもった波長のレーザ光を使用することが必要であり、レーザ加工に際して、まず透明基板の裏面にレーザ光の焦点を合わせて裏面側から加工し、次に表面側から加工する。そのため、裏表面側におけるレーザ加工条件をそれぞれ変化させて加工する。
こうして、改質領域を裏面側から表面側に向かってまず線状に成長させる。この場合、透明基板又はレーザ光とを相対的に移動させる(スキャン)ことにより、線状の改質領域が移動方向に複数本形成され、面状改質領域とすることができる。
裏側改質領域形成工程は、透明基板に向って照射するレーザ光の焦点をその透明基板裏面に合わせてスキャン操作して裏面側に面状改質領域を形成させる工程である。
サファイアなどの透明基板の厚み方向に線状改質領域を形成させるとともに、移動方向に複数本の線状改質領域を形成して面状改質領域とするためのレーザ照射条件としては、例えば、レーザ照射装置を用いて、出力:2.3w、周波数:80khz、透明基板とレーザ光とを相対的に移動させる(スキャン)走査スピード:15mm/sなどに設定することができる。
次の工程における、表側改質領域形成工程は、レーザ光の焦点を透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に沿ってスキャンして裏側面状改質領域に対向するライン上に表側面状改質領域を形成させる工程である。
表側改質領域形成工程において、透明基板の厚み方向(下方に向かって)に表面側から裏面側に向かって改質領域を線状に成長させるとともに移動方向に複数本の線状改質領域を形成して面状改質領域とするためのレーザ照射条件としては、例えば、出力:2.3w、周波数:80khz、透明基板とレーザ光とを相対的に移動させる(スキャン)走査スピード:70mm/sなどに設定することができる。
本実施形態の透明基板の改質領域形成方法は、透明基板がサファイアである場合に好適に実施できる。これにより、工業的に生産される単結晶コランダムなどから、絶縁性と熱伝導性に優れたサファイアの精密加工を可能にして、半導体基板などに加工して利用することができる。
従来、半導体層の形成されたウェーハをチップ単位で切断する方法として、ダイアモンドチップを具備した円盤状ブレードを回転運動させてウェーハを完全に切断するか、スクライバーを用いてブレード幅に相当する広幅の溝を形成するようにしていた。
一般に、円盤状ブレードなどのダイシングソーを用いた方法は切断面にチッピングやクラックが発生し易く、精密な切断工程を保障し難いので、スクライバーを用いた切断方法が半導体チップを製造するための切断工程としてより積極的に利用されている。
しかし、スクライバーを用いたウェーハ切断方法もダイアモンドチップの機械的な駆動を利用するため、切断過程において汚染物が多量発生するばかりでなく、半導体層の剥離現象までも引き起こされかねない。即ち、青色ダイオードなどには、窒化ガリウム系などの化合物半導体結晶を成長させるウェーハとしてサファイア基板などが用いられるが、サファイア基板と半導体層とは結晶の性質上相異して剥離現象を起こし易い。さらに、サファイア及び半導体層の硬度は強固であるため、ダイアモンドチップを具備したスクライバーを用いてもその切断工程にかなり時間がかかり、通常切断工程にかかる時間は全製造工程時間の大部分を占める。
これに対して、本実施例の透明基板の改質領域形成方法は面状改質領域を形成する際の欠陥が少なく、透明基板の効率的な割断を可能にするものである。
図1に示すように、まず、透明基板である厚み約0.7mmのサファイア基板10を移動台上に配置する。そして、サファイア基板10に対して十分な透過性をもった波長のレーザ光15を、レーザ発振器11を介して照射する。
こうして、サファイア基板10の裏表を反転させることなくその基板裏表面に対向するように線状改質領域12、13を形成させて、効率的に面状改質領域22,23とすることができる。
レーザ発振器11は、例えばその出力:10〜30w、周波数:5〜20khzのYAGレーザが適用でき、サファイア基板10を載置する移動台の走査スピード:20〜40mm/sの範囲に設定し、レーザ照射条件を設定することができる。
レーザ照射による加工は、まず、サファイア基板10の裏面に焦点fを合わせて裏面側から上方に向かって線状改質領域12を成長させるとともに、透明基板をS方向に移動させて(スキャンして)、線状改質領域が移動方向に複数本形成された裏側面状改質領域22を形成させる裏側改質領域形成工程と、次に、図2に示すように、このサファイア基板10の裏面側に形成された裏側面状改質領域22の対向する割断予定ライン上に、サファイア基板10の表面にレーザ光の焦点fを合わせて表面側から下方に向かって線状改質領域13を成長させるとともに、透明基板をS方向に移動させて(スキャンして)、表側面状改質領域23を形成させる表側改質領域形成工程とからなる。
本実施例では、裏表の加工条件をそれぞれ変えることで、線状改質領域12,13を櫛状にサファイア基板の厚み方向に成長させるとともに、透明基板をS方向に移動させて、多数の線状改質領域12,13を移動方向に形成し、サファイア基板を割断するときの力の軽減と垂直に割断できるような面状改質領域22,23を形成させる。
なお、本実施例における裏及び表側面状改質領域22,23は、透明基板の表面に解放されているので、レーザ加工中に発生するガスなどを排出することができる。
図1において、サファイア基板10は、図示しない移動台上に図示しない治具によって固定されて載置されている。
サファイア基板10の上方にはレーザ発振器11が設けられ、サファイア基板10の割断予定ライン14(図3参照)上に沿って所定条件に設定されたレーザ光が照射できるようになっている。
レーザ発振器11はパルスレーザを発振する発振装置の一部であり、サファイア基板10を載置する移動台は、レーザ発振器11の下方に配置され、任意の走査スピードでS方向への移動が可能となっている。
移動台はサファイア基板10を載置してS方向に移動するとともに、レーザ発振器11はサファイア基板10の裏表面にそれぞれ焦点Sを合わせてパルスレーザを照射することができる。
なお、サファイア基板10を移動台上に載置して、レーザ発振器をS方向と反対方向に移動させることで、サファイア基板10上にレーザ光を照射してサファイア基板10のレーザ加工を行なうようにしてもよい。
レーザ発振器11を介してサファイア基板10の上方からその裏面に焦点Sを合わせてパルスレーザを発振することによって、改質領域となるレーザ照射痕を生じさせる。
このレーザ照射痕は、サファイアの物性変化による微小クラックや溶融孔などであり、レーザ光の入射方向と逆方向に(厚み方向の上方に向かって)短く形成される。
また、サファイア基板10のその表面に焦点Sを合わせてパルスレーザを発振する場合は、レーザ光の入射方向と同方向に(厚み方向の下方に向かって)短く形成する。
また、レーザ照射痕は線状の円筒状であり、レーザ照射痕の大きさは、通常、直径が約0.01〜0.02mmである。
レーザ発振器11の光学系に長焦点レンズを用いれば、焦点深度も深まりさらにレーザ照射痕を楕円長軸方向に長くすることもできる。
こうして、レーザ光の焦点fをサファイア基板10の裏面及び表面に合わせて、サファイア基板10を載置した移動台を作動させることにより、レーザ照射痕をサファイア基板10の裏表面の割断予定ライン14に沿って裏側改質領域22及び表側改質領域23を形成させる。
これによって、この割断予定ライン14を、図3に示す矢印方向に折り曲げるように力を加えることによって、チッピングやクラッキングを生じさせることなくサファイア基板10を割断することができる。
以上説明したように、本発明の透明基板の改質領域形成方法によって改質領域を形成された透明基板は、その割断処理において微小欠陥がなく精密な割断面となる。このため、特に発光ダイオードやレーザダイオードの分野で利用される窒化ガリウム化合物半導体などのサファイア基板において、その割断加工に広く適用することができる。
10 サファイア基板(透明基板)
11 レーザ発振器
12 線状改質領域
13 線状改質領域
14 割断予定ライン
15 レーザ光
22 裏側面状改質領域
23 表側面状改質領域

Claims (2)

  1. レーザ発振器から照射されるレーザ光を透明基板に照射して透明基板内に改質領域を形成する方法であって、
    前記レーザ光の焦点を前記透明基板の裏面に設定するとともにレーザ光を裏面に集光させたままスキャンして裏側面状改質領域を形成させる裏側改質領域形成工程と、
    前記レーザ光の焦点を前記透明基板の表面に設定するとともにレーザ光を表面に集光させたままスキャンして前記裏側面状改質領域に対向する割断予定ライン上に表側面状改質領域を形成させる表側改質領域形成工程と、を有することを特徴とする透明基板の改質領域形成方法。
  2. 前記透明基板がサファイアであることを特徴とする請求項1記載の透明基板の改質領域形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109715570A (zh) * 2016-10-14 2019-05-03 日本电气硝子株式会社 玻璃板的制造方法
WO2022249541A1 (ja) * 2021-05-28 2022-12-01 浜松ホトニクス株式会社 レーザ加工装置及びレーザ加工方法

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