JP2024038855A - 基板加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶基板及び加工条件に応じた適切な加工方法で結晶基板を加工する。【解決手段】基板加工方法は、ステージに載置した結晶基板210の主表面210aに向けてレーザ光Bを照射し、主表面210aから所定深さにレーザ光Bを集光して主表面210aの面方向に連続する結晶面方位の劈開面を含む改質層を形成する工程と、改質層に含まれる劈開面において結晶基板210から新たな結晶基板210を主表面210aの面方向に剥離する工程とを含んでいる。【選択図】図8

Description

この発明は、加工対象単結晶基板の表面からレーザ光を照射して、加工対象単結晶基板の内部にレーザ光を集光し、加工対象単結晶基板に劈開面を形成する基板加工方法に関する。
従来、半導体基板の材料として各種の単結晶が使用されている。これらの単結晶の内でシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ダイヤモンド(C)などは難削材と呼ばれ、従来の機械加工ではインゴットやブロックなどのバルクから基板として切り出すことが困難であった。このため、機械加工に代わる加工方法としてレーザ光を基板の主表面に向けて照射して、主表面から所定深さに集光して加工痕を形成することによって、剥離可能な改質層を形成する加工技術が研究されている。
また、シリコンや酸化マグネシウム(MgO)の単結晶基板上にダイヤモンド結晶を、シリコン、炭化ケイ素、サファイア(Al)などの基板上に窒化ガリウムを、それぞれヘテロエピキャシタル成長させるためのベースとしてダイヤモンド基板や窒化ガリウム基板が利用されている。これらのベース基板の再利用や成長基板を薄いウエーハに加工する方法として上記のレーザ光による加工技術が研究されている。
特開2018-183801号公報
しかしながら、上記の単結晶材料はその固体構造や化学結合の種類が様々であり、その特性が異なるためレーザ光による加工技術によって剥離可能な改質層を形成するためには、加工する単結晶基板の材質、結晶構造、結合形態、結晶面方位、結晶成長のオフ角その他のパラメータを確認し、さらにレーザ光の特性、基板内部へのレーザ光の集光、レーザ光走査方法、形成する改質層の深さや厚さなどの加工条件も考慮する必要があった。
この発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、加工する結晶基板及び加工条件に応じて適切に結晶基板を加工する基板加工方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、この出願に係る基板加工方法は、ステージに載置した結晶基板の主表面に向けてレーザ光を照射し、主表面から所定深さにレーザ光を集光して主表面の面方向に連続する結晶面方位の劈開面を含む改質層を形成する工程と、改質層に含まれる劈開面において結晶基板から新たな結晶基板を主表面の面方向に剥離する工程とを含んでいる。
改質層を形成する工程は、結晶基板の主表面から所定の深さにレーザ光を集光して結晶基板の結晶の転位によるずれを起点とする劈開を発生させるようにレーザ光を走査してもよい。
改質層を形成する工程において、レーザ光を走査する方向は、結晶基板に関するパラメータとして、結晶材料、結晶構造、結晶の種類、面方位、オフ角、劈開面、すべり面及びバーガース・ベクトル及び転位面の少なくとも一つを含んでもよい。
レーザ光を走査する方向は、結晶基板の面方向に対して2次元方向および3次元方向であってもよい。
この発明によると、結晶材料の劈開面で剥離して結晶基板を作製することができる基板加工方法を提供することができる。
基板加工装置の斜視図である。 閃亜鉛鉱型構造の結晶構造を示す斜視図である。 ダイヤモンド型構造の結晶構造を示す斜視図である。 ウルツ鉱型構造の結晶構造を示す斜視図である。 六方晶の窒化ガリウムの結晶構造を示す斜視図である。 結晶基板を構成する正四面体の基本構造とレーザ走査方向との関係を説明する模式図である。 結晶基板に対するレーザ光の走査方向を示す模式図である。 主表面と劈開面の面方位が同じである結晶基板への加工痕の形成を説明する図である。 主表面と劈開面の面方位が異なる結晶基板への加工痕の形成を説明する図である。 主表面と劈開面の面方位が異なる結晶基板への加工痕の形成を説明する図である。 岩塩型結晶の結晶構造を示す斜視図である。
以下、基板加工方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、基板加工装置のステージに結晶基板を載置してその主表面に向けてレーザ光を照射し、主表面から所定深さにレーザ光を集光して剥離可能な改質層を形成する基板加工方法である。具体的には、上記改質層において劈開を劈開面に沿って発生させ、この劈開面を結晶基板の面方向に連続的に形成するように改質層を制御することで剥離基板を創製することを想定している。ここで、結晶基板の面方向とは結晶基板の主表面が延びる方向をいうものとし、面方向に連続的に形成された層とは主表面に平行に延びるように形成された層をいうものとする。
図1は、本実施の形態の基板加工方法に使用する基板加工装置の構成を示す斜視図である。基板加工装置100は、結晶基板200を支持して駆動する基板支持装置110と、結晶基板200の主表面200aに向かってレーザ光Bを照射する光学系120とを有している。基板支持装置110は、結晶基板200を載置するステージ112と、ステージ112が水平面内のXY方向及び垂直方向のZ方向に駆動可能であり、Z方向の軸の周りに回転駆動可能なように支持するステージ駆動装置111と、ステージ112に結晶基板200を固定する固定具113とを有している。固定具113には、粘着層、機械的なチャック、静電チャック、真空チャックなどが適用可能である。
光学系120は、レーザ光源121と、対物レンズ125及び収差調整部126を含むレーザ集光部127とを有し、レーザ光源121から放出されたレーザ光Bがレーザ集光部127を介して結晶基板200の主表面200aに向かって照射されるようにしている。光学系120には、回折光学素子(DOE)など他の光学素子がさらに含まれてもよい。
次の表1は、本実施の形態の基板加工方法における結晶基板200に関するパラメータおよび加工条件のパラメータの例を示している。結晶基板200に関するパラメータは、結晶基板200の材料、サイズ、結晶方位などの個別の結晶基板200に固有のパラメータを含んでいる。結晶基板200に固有のパラメータには、結晶欠陥のXYZ座標や表面異物のXY座標なども含まれる。
Figure 2024038855000002
次の表2は、結晶基板200の材料の例を示している。表2には、単結晶シリコン、単結晶ダイヤモンド、4H-SiC、6H-SiC、単結晶窒化ガリウム、単結晶ヒ化ガリウム、単結晶リン化ガリウム、単結晶サファイア、単結晶酸化マグネシウムが例示されている。表2には、各材料の結晶構造及び劈開面も併せて記載されている。なお、結晶基板200の材料は表2の材料に限らず、他の種類であってもよい。例えば、材料は多結晶シリコンなど多結晶であってもよいし、ガラスなどの非晶質な材料であってもよい。
Figure 2024038855000003
表1に示すように、結晶基板200に関するパラメータは、結晶基板200の結晶構造、化学結合、面方位、オフ角、劈開面方位、すべり面方位、すべり方向、バーガース・ベクトル、転位面などの結晶基板200の材料によって決まるパラメータも含んでいる。表2を参照すると、材料によって決まるパラメータとして結晶構造及び劈開面が示されている。
表1の結晶基板200の材料のパラメータにあるすべり面方位及びすべり方向について説明する。結晶材料におけるすべり面は結晶面の上下の結晶が結晶材料により特定される方向であるすべり方向にずれることにより発生する。このずれは結晶材料に線欠陥である転位を導入することで生じ、結晶材料の塑性変形によってすべり面が形成される。このずれを表わすベクトルとしてバーガース・ベクトルが定義されている。すべり系はすべり面とすべり方向は対になって構成され、これらの面と方向の大部分は結晶材料の原子配列における最稠密面と最稠密方向に一致している。一方、劈開は脆性的な破壊であるとされ変形の起点付近から生じるとされている。本実施の形態では結晶基板200の主表面200aから所定の深さにレーザ光Bを集光することで結晶材料に転位によるずれを起点とする劈開を発生させることをその加工メカニズムとしている。
加工条件に関するパラメータは、結晶基板200からスライスする結晶基板200の厚さ、結晶基板200の内部に形成する改質層の厚さなどを含んでいる。これらのパラメータは、表1の加工条件の欄に示している。
次の表3に示すように、光学系120に関するパラメータは、レーザ光Bの波長、パルス幅、輝度、繰り返し周波数、ビームプロファイルなどレーザ光Bに関するパラメータを含んでいる。これらのパラメータは、表3において光学系120のレーザ光Bの欄に示している。光学系120に関するパラメータは、開口数、倍率、焦点距離、作動距離、焦点深度、必要に応じてレーザ光Bを複数のビームに分岐するための回折光学素子などのレーザ集光部127に関するパラメータも含んでいる。回折光学素子のパラメータは、回折光学素子を使用してレーザ光Bを分岐するレーザ透過光の形状、数、配置に関するパラメータなどの集光条件を含んでもよい。これらのパラメータは、表3において光学系120のレーザ集光部127の欄に示している。ステージ112の駆動に関するパラメータは、駆動方向、駆動速度、回転速度などを含んでいる。ここで、回転速度はステージ112を回転駆動する場合に該当する。これらのパラメータは、表3においてステージ駆動の欄に示している。なお、ステージ112の駆動は相対的にレーザ光Bの走査と同等であるので、ステージ駆動はレーザ光Bの走査に読み替えてもよい。
Figure 2024038855000004
このように、本実施の形態によると、加工する結晶基板200及び加工条件に応じた適切な加工方法で結晶基板200を加工することで結晶材料に転位によるずれを起点とする劈開を発生させ、その劈開面からなる加工層を主表面に平行に延びるように面方向に連続的に形成することができる。すなわち本実施の形態によると、加工する単結晶材料による結晶基板200の材料、結晶構造、結合形態、結晶面方位、結晶成長のオフ角その他のパラメータに加え、さらにレーザ光Bの特性、結晶基板200の内部へのレーザ光Bの集光、レーザ光Bの走査方法、形成する改質層の深さや厚さなどの加工条件のパラメータも考慮して、様々な固体構造や化学結合の種類を有する単結晶材料について、適切なレーザ光Bによる加工技術によって剥離可能な改質層を形成することができる。
なお、本実施の形態においては、結晶基板200の主表面200aにレーザ光Bを照射することにより主表面200aから所定の深さに形成した加工痕によって剥離可能な改質層を形成することを想定していたが、さらに結晶基板200の端部を適切に処理してもよい。例えば、結晶基板200において外周の端部から所定の距離には加工痕を形成せずに、端部に沿った加工痕から端部に向かって劈開が自発的に発生して改質層を形成するようにしてもよい。このような結晶基板200の端部を加工することもできる。
また、本実施の形態の基板加工装置100を制御して加工された結晶基板200について、基板加工の状態を評価してもよい。例えば、赤外線顕微鏡や光学顕微鏡などにより得られる画像のセンシング結果から、画像データを用いて、劈開方向、レーザ光Bの照射面側の外観(亀裂発生など)、結晶の乱れた深さなど結晶基板200に形成した改質層を評価してもよい。
以下では、本実施の形態の結晶基板200にレーザ光Bを照射して改質層を形成する例を説明する。実施例においては、結晶基板200の材料、サイズ、結晶方位などのパラメータ、結晶基板200の結晶構造、化学結合、面方位などのパラメータは結晶基板200の材料に応じて特定される。
図2は閃亜鉛鉱型構造の結晶構造を示す斜視図である。図2に示す閃亜鉛鉱型構造は、例えばガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)のようなIII-V族化合物に見られる。図2において、白丸はガリウム(Ga)のようなIII族原子を示し、黒丸はヒ素(As)や窒素(N)のようなV族原子を示し、白丸又は黒丸を結ぶ線は共有結合を示している。閃亜鉛鉱型構造は、一つの原子を取り囲む他の四つの原子を頂点として形成された正四面体を基本構造として構成されている。図2には、劈開面となる(011)面も示した。
図3はダイヤモンド型構造の結晶構造を示す斜視図である。図2に示したような閃亜鉛鉱型構造が同種の元素から構成されている場合には、図3に示すダイヤモンド型構造になる。ダイヤモンド型構造は、例えばIV族元素に属する炭素、シリコンなどに見られる。図3において、白丸は炭素、シリコンなどの原子を示し、白丸を結ぶ線は共有結合を示している。ダイヤモンド型構造は、一つの原子を取り囲む他の四つの原子を頂点として形成された正四面体を基本構造として構成されている。図3には、劈開面となる(001)面、結晶基板200の主表面200aとされることがある(001)面も示した。
図4は窒化ガリウムのウルツ鉱型構造を示す斜視図である。III-V族化合物に属する窒化ガリウムは図2に示した閃亜鉛鉱型構造も取り得るが、常温定圧下では図4に示すようなウルツ鉱型構造が安定型である。図4において、白丸はガリウム(Ga)原子を示し、黒丸は窒素(N)原子を示し、白丸又は黒丸を結ぶ線は共有結合を示している。
図5は窒化ガリウムの六方晶の結晶構造を示す斜視図である。ウルツ鉱型構造の窒化ガリウムの単位格子は、図5に示すような六方晶である。六方晶を示す図5においても、図4と同様に、白丸はガリウム原子を示し、黒丸は窒素原子を示している。図5に示す六方晶の窒化ガリウムの単位格子は、極性によって異なる劈開面を有している。ガリウム原子層と窒素原子層はc軸方向に交互に積層した構造でありガリウム原子と窒素原子の電気陰性度の違いによる分極が生じ、c面は極性面、c面と垂直に位置するa面およびm面は無極性面、r面は半極性面とされる。ここで劈開面はa面{11-20}面とm面{1-100}面となる。なお、特許出願書類に使用できる文字に制限があるため、ミラー指数の上線に代えて負号“-”を使用した。このような六方晶の窒化ガリウムは、ベース基板にc軸成長させることができる。六方晶において、底面及び頂面は{0001}面となる。
図6は結晶基板200を構成する正四面体の基本構造とレーザ走査方向との関係を示す模式図である。図2に示した閃亜鉛鉱型構造や図3に示したダイヤモンド型構造の結晶構造を有する単結晶や、このような単結晶から構成された結晶基板200は、正四面体を基本構造として構成されている。主表面200aが(100)、(111)などの面方位を有する結晶基板200においては、基本構造の正四面体の一つの面は主表面に平行に配置される。この場合、レーザ照射による結晶材料の転位から劈開を形成することができるように、レーザ光Bは基本構造の正四面体の配置を考慮して特定の方向に走査することができる。図中には、結晶基板200の主表面200aに対する基本構造の正四面体の配置と、基本構造の正四面体を基準として結晶基板200の主表面200aに向かってレーザ光Bを走査する方向を例示している。
図1の基板加工装置100を参照すると、正四面体を基準として主表面200aに向かってレーザ光Bを走査する方向は、結晶基板200の主表面200aに沿ってレーザ光源121を含む光学系120からレーザ光Bを走査する方向に対応している。レーザを走査する方向は、(100)、(111)などの結晶基板200の面方位について結晶材料の転位によるずれを起点とする劈開の発生と発生方向に基づいて、加工される結晶基板200の種類についてのパラメータである。
図6(a)は、レーザ光Bを走査する方向の第1の態様を示している。図中の破線はレーザ光Bを走査するラインを示している。レーザ光Bは、ラインに沿って一定の間隔(ドットピッチ)で結晶基板200に走査され、隣接するラインが互いに一定の間隔(ラインピッチ)になるように結晶基板200の主表面200aの全体にわたって走査される。図中の太い矢印は、ラインを移動させる方向を示している。第1の態様においては、レーザ光Bを走査するラインの方向を主表面200aに平行な基本図形の正四面体の一つの面を構成する正三角形の辺の一つと直交する方向としている。このような方向に走査することにより、基本図形の四面体の中心に位置する原子から、正四面体の各面に向かって延びる特定の共有結合を切断して劈開を発生させることができる。
図6(b)は、レーザ光Bを走査する方向の第2の態様を示している。第2の態様においても図中の破線はレーザ光Bを走査するラインを示し、レーザ光Bはラインに沿って一定の間隔(ドットピッチ)で結晶基板200に走査され、隣接するラインが互いに一定の間隔(ラインピッチ)になるように結晶基板200の主表面200aの全体にわたって走査される。図中の太い矢印は、ラインを移動させる方向を示している。第2の態様においては、レーザ光Bを走査するラインの方向を主表面に平行な基本図形の正四面体の一つの面を構成する正三角形の辺の一つと平行な方向としている。このような方向に走査することにより、基本図形の正四面体の中心に位置する原子から、四面体の各面に面に向かって延びる特定の共有結合を切断して劈開を発生させることができる。
図7は、結晶基板200に対するレーザ光Bの走査方向を示す模式図である。レーザ光Bは、結晶基板200の(100)、(111)などの面方位にしたがい結晶に劈開を生じさせる適切な方向に走査される。レーザ光Bを走査する方向は、結晶基板200の主表面200aにおいて、図6で説明したように、結晶基板200を構成する基本構造の四面体の配置を考慮して定められる。結晶基板200の主表面200aにおいて、レーザ光Bはラインに沿って一定の間隔(ドットピッチ)で結晶基板200に走査され、隣接するラインが互いに一定の間隔(ラインピッチ)になるように結晶基板200の主表面200aの全体にわたって走査される。これらの走査方向は加工する材料、結晶方位に対しレーザB光のパラメータ、ドットピッチ、ラインピッチなどのパラメータと組み合わせて設定され、発生する劈開により剥離可能な加工層を形成し劈開面で結晶基板200を面方向に剥離して新たな基板を創製する加工条件が選択される。
図7(a)は、結晶基板200の主表面200aを走査するレーザ光Bの第1の態様を示す模式図である。第1の態様において、レーザ光Bは、結晶基板200の略矩形状の主表面200aに沿って図中で右側から左側へ向かう、又は左側から右側へ向かうような一方向に走査されてもよい。また、レーザ光Bは隣接するラインごとに右側から左側に向かう、及び左側から右側に向かうように走査方向を切り替えてもよい。レーザ光Bを走査するラインは、主表面200aに沿って図中の下側から上側に向けて移動するようにしてもよく、上側から下側に移動するようにしてもよい。
図7(b)は、結晶基板200の主表面200aを走査するレーザ光Bの第2の態様を示す模式図である。第2の態様は、図7(a)に示した第1の態様のレーザ光の走査方向を主表面200a内で90°回転させたものである。第2の態様においては、レーザ光は、略矩形状の結晶基板200の主表面200aに沿って図中で下側から上側へ向かう、又は上側から下側へ向かうような一方向に走査されてもよい。また、レーザ光Bは隣接するラインごとに下側から上側に向かう、及び上側から下側に向かうように走査方向を切り替えてもよい。レーザ光Bを走査するラインは、主表面200aに沿って図中の右側から左側に向けて移動するようにしてもよく、左側から右側に移動するようにしてもよい。
図7(c)は、結晶基板200の主表面200aを走査するレーザ光Bの第3の態様を示す模式図である。第3の態様は、図7(a)に示した第1の態様のレーザ光Bの走査方向を主表面内で所定の角度にわたって回転させたものである。第3の態様においては、レーザ光Bは、結晶基板200の主表面200aに沿って主表面を所定の方向に、又はこの所定の方向とは逆の方向に向かうような一方向に走査されてもよい。レーザ光Bは隣接するラインごとに所定方向に、及びこの所定の方向とは逆の方向に走査方向を切り替えてもよい。レーザ光Bを走査するラインは、主表面200aの全体を走査することができれば、いずれの方向に移動してもよい。
図8は、主表面210aと劈開面との面方位が同じである結晶基板210への加工痕212の形成を説明する図である。図8(a)は加工痕212が形成された結晶基板210の上面図であり、図8(b)は加工痕212が形成された結晶基板210の断面図である。主表面210aと劈開面の面方位が同じである結晶基板210には、例えば、主表面210aが(111)面の単結晶シリコンや単結晶ダイヤモンドの結晶基板210、主表面210aが(100)面の後述する岩塩型の結晶基板210がある。
図8(b)に示すように、レーザ光Bは主表面210aから結晶基板210の所定の深さに集光され加工痕212が形成される。加工痕212からは、主表面210aと面方位が同じ劈開面に沿ってクラック214が延びている。図8(a)に示すように、レーザ光Bは主表面210aの全体が走査されるように照射される。レーザ光Bは所定の繰り返し周波数によりパルス状に照射されているため、加工痕212はレーザ光Bを走査するラインに沿って所定間隔のドットピッチで形成される。図8(a)及び図8(b)の細い矢印はラインに沿ったレーザ光Bの走査の方向を示し、図8(a)の太い矢印はレーザ光Bを走査するラインを移動する方向を示している。レーザ光Bは、隣接するラインと互いに所定間隔のラインピッチを有するように走査される。
図8(c)に示すように、加工痕212の周囲には加工痕212から劈開が進んだクラック214が主表面210aと面方位が同じ劈開面の方向に沿ってレーザ光Bの走査方向に延びている。各加工痕212から延びたクラック214が隣接する加工痕212から延びたクラック214と連結することで、結晶基板210の内部に主表面210aと平行に延びる加工痕212及びクラック214が連結した改質層が形成される。
このような改質層によって、結晶基板210は主表面210aから改質層までの結晶基板と、改質層から裏面までの残りの結晶基板とに分けられる。改質層は加工痕212及びクラック214が連結されて形成されているため、主表面210aから改質層までの結晶基板と、改質層から裏面までの残りの結晶基板とを改質層において劈開により剥離することができる。主表面210aから改質層までの結晶基板は、スライス加工と同様に元の結晶基板210から薄い結晶基板を切り出したものであるため、スライス基板と称される。スライス基板の厚さは、スライスする厚さと称される。改質層でスライス基板を剥離することで、結晶基板210から新たな結晶基板が得られる。
図9及び図10は、主表面220aと劈開面との面方位が異なる結晶基板220への加工痕222の形成を説明する図である。図9(a)及び図9(b)はそれぞれ第1回のレーザ光Bの走査による加工痕222が形成された結晶基板220の上面図及び断面図であり、図10(a)から図10(c)は第2回のレーザ光Bの走査による加工痕222が形成された結晶基板220の上面図及び断面図である。主表面220aと劈開面の面方位が異なる結晶基板220には、例えば、主表面220aが(001)面の単結晶シリコンや単結晶ダイヤモンドの結晶基板220、主表面220aが(111)面の後述する岩塩型の結晶基板220がある。
図9(b)に示すように、第1回のレーザ光Bの走査においてレーザ光Bは主表面220aから結晶基板220の所定の深さに集光され加工痕222が形成される。第1回のレーザ光Bの走査によって、加工痕222からは主表面220aと面方位が異なる第1劈開面に沿ってレーザ光Bの走査方向にクラック224が延びている。図9(a)に示すように、レーザ光Bは主表面220aの全体が走査されるように照射される。レーザ光Bは所定の繰り返し周波数によりパルス状に照射されているため、加工痕222はレーザ光Bを走査するラインに沿って所定間隔のドットピッチで形成される。図9(a)及び図9(b)の細い矢印はラインに沿ったレーザ光Bの走査の方向を示し、図9(a)の太い矢印はレーザ光Bを走査するラインを移動する方向を示している。レーザ光Bは、隣接するラインと互いに所定間隔のラインピッチを有するように走査される。図10(a)から図10(c)においても同様である。
図10(b)に示すように、第2回の走査においてもレーザ光Bは主表面220aから結晶基板220の所定の深さに集光され加工痕222が形成される。図10(a)及び図10(b)中の細い矢印に示すように、第2回のレーザ光Bの走査は、第1回のレーザ光Bの走査と同じライン上を第1回のレーザ光Bの走査とは逆方向に走査することで行われる。図10(a)中の太い矢印に示すように、レーザ光Bを走査するラインを移動する方向も第1回のレーザ光Bの走査とは逆の方向である。第2回のレーザ光Bの走査におけるラインに沿ったレーザ光Bの走査の間隔(ドッドピッチ)及びレーザ光Bを走査するラインを移動する方向への間隔(ラインピッチ)も、第1回のレーザ光Bの走査と同様である。
図10(b)に示すように、第2回のレーザ光Bの走査においてもレーザ光Bは主表面220aから結晶基板220の所定の深さの加工痕222に集光される。第2回のレーザ光Bの走査によって、加工痕222からは、新たに主表面220aとも前記第1劈開面とも面方位が異なる第2劈開面に沿ってレーザ光Bの走査方向にクラック224が延びている。ここで、第2回のレーザ光Bの走査は、第1回のレーザ光Bの走査とレーザ光Bの走査方向が逆であるため、第2回のレーザ光Bの走査では第1回のレーザ光Bの走査に対してレーザ光Bのプロファイルがラインに関して逆になっている。図10(b)に示すように、第1回のレーザ光Bの走査と第2回のレーザ光Bの走査と併せると、レーザ光Bの照射によって形成された加工痕222や加工痕222から第1劈開面及び第2劈開面に沿って延びるクラック224はラインに沿って加工痕222を起点として対称に形成される。
図10(c)においては、ラインに沿って加工痕222を起点として対称にクラック224が形成され、ライン上において各加工痕222から延びたクラック224が互いに連結している。各加工痕222から延びた主表面220aと平行ではないクラック224すなわち第1劈開面及び第2劈開面が互いに連結することで、結晶基板220の内部に主表面220aに平行な改質層が形成される。互いに隣接する加工痕222から延びたクラック224の連結は、表3に示したような光学系120に関するパラメータなどを適切に設定することにより実現される。
このような改質層によって、結晶基板220は主表面220aから改質層までの結晶基板220と、改質層から裏面までの残りの結晶基板220とに分けられる。この連結した改質層により結晶基板220の全体に劈開を進めることにより、主表面220aから改質層までの結晶基板と、改質層から裏面までの残りの結晶基板とを剥離することができる。主表面220aから改質層までの結晶基板は、スライス加工と同様に元の結晶基板220から薄い基板結晶を切り出したものであるため、スライス基板と称される。スライス基板の厚さは、スライスする厚さと称される。改質層でスライス層を剥離することで、結晶基板220から新たな結晶基板が得られる。
本実施の形態においては、加工する結晶基板200の材質、結晶構造、結合形態、結晶面方位、結晶成長のオフ角その他のパラメータを確認し、さらにレーザ光の特性、基板内部へのレーザ光の集光、レーザ光走査方法、形成する改質層の深さや厚さなどの加工条件も考慮して、加工する結晶基板200に適する加工方法が実施される。このため、結晶基板200を所望の条件でスライス加工することができる。
図10は、岩塩(NaCl)型の結晶構造を示す斜視図である。実施例2では結晶基板200の材料として単結晶窒化ガリウム(GaN)、単結晶ヒ化ガリウム(GaAs)及び単結晶リン化ガリウム(GaP)を例にとって説明するが、これら単結晶窒化ガリウム、単結晶ヒ化ガリウム又は単結晶リン化ガリウム塩化はナトリウム型の単位格子を有している。図10中の白丸はガリウム(Ga)原子を示し、黒丸は窒素(N)、ヒ素(As)又はリン(P)原子を示し、白丸又は黒丸を結ぶ線は共有結合を示している。
単結晶窒化ガリウム、単結晶ヒ化ガリウム又は単結晶リン化ガリウムからなる結晶基板200についても、実施例1と同様に結晶材料に基づくパラメータを基にレーザ光Bを照射することにより結晶基板200の内部に壁開を発生させる改質層を形成することができる。この改質層によって結晶基板200を劈開することにより、実施例1と同様に結晶基板200よりも薄い結晶基板を得ることができる。

Claims (4)

  1. ステージに載置した結晶基板の主表面に向けてレーザ光を照射し、主表面から所定深さにレーザ光を集光して前記主表面の面方向に連続する結晶面方位の劈開面を含む改質層を形成する工程と、
    前記改質層に含まれる劈開面において前記結晶基板から新たな結晶基板を前記主表面の面方向に剥離する工程と
    を含む基板加工方法。
  2. 前記改質層を形成する工程は、前記結晶基板の主表面から所定の深さにレーザ光を集光して前記結晶基板の結晶の転位によるずれを起点とする劈開を発生させるようにレーザ光を走査する請求項1に記載の基板加工方法。
  3. 前記改質層を形成する工程において、レーザ光を走査する方向は、前記結晶基板に関するパラメータとして、結晶材料、結晶構造、結晶の種類、面方位、オフ角、劈開面、すべり面及びバーガース・ベクトル及び転位面の少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の基板加工方法。
  4. 前記レーザ光を走査する方向は、前記結晶基板の面方向に対して2次元方向および3次元方向である請求項3に記載の基板加工方法。
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