JP2024005365A - 水処理方法および水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】下限臨界共溶温度(LCST)型ドロー溶質を用いる正浸透処理を含む水処理方法において、更なる効率化を図ること。【解決手段】半透膜10の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、半透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させることで、対象溶液中に含まれる水を、半透膜を通してドロー溶液に移動させる、正浸透工程と、正浸透工程の後に、ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離する、相分離工程と、分離膜20を用いて、低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離する、膜分離工程と、を含み、ドロー溶質は、式(1)で表される共重合体を含む、水処理方法。TIFF2024005365000008.tif7125【選択図】図1

Description

本発明は、水処理方法および水処理システムに関する。
従来、水処理分野においては、逆浸透(RO:reverse osmosis)工程による淡水化方法が広く知られている。一方、正浸透(FO:forward osmosis)現象は、低濃度側の溶媒(水など)が高濃度側の溶液に向かって移動する現象のことである。
膜分離工程は、人為的に高い圧力を高濃度の対象溶液に加えることにより、正浸透とは逆に高濃度の対象溶液(海水など)から低濃度の溶液(水など)側に水を移動させる工程である。これにより、例えば、対象溶液から水を生産することができる。膜分離工程は高い圧力を必要とするため、エネルギー消費量が極めて多く、エネルギー効率が低い。そこで、近年、水処理のエネルギー効率を高めるために、人為的に圧力を加える必要のない正浸透工程による淡水化方法が検討されている。
ここで、正浸透用の高張液である誘導溶液(ドロー溶液)の溶質(ドロー溶質)として、近年、ドロー溶液からのドロー溶質の回収が容易であり、再利用可能な点で、温度変化によって水との相溶状態が可逆的に変化するドロー溶質(温度応答性ドロー溶質)が注目されている。
例えば、特許文献1(特表2019-529077号公報)、特許文献2(国際公開第2018/150690号)および特許文献3(特開2015-47541号公報)には、加熱(温度上昇)により溶解度が低下するドロー溶質を用いた正浸透処理を含む、水処理方法が開示されている。
なお、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質(下限臨界共溶温度(LCST)型温度応答性高分子)を用いる場合、温度を上昇させることにより、ドロー溶液を低濃度画分(低濃度ドロー溶液)と高濃度画分(高濃度ドロー溶液)とに相分離させることはできるが、多くの場合、温度上昇だけでは水とドロー溶質とを完全に分離することはできない。
このため、図1に示されるように、正浸透モジュール1での正浸透処理によって、希釈されたドロー溶液を加熱等によって、分離槽3で低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに相分離させた後、分離膜モジュール2で低濃度ドロー溶液を膜分離処理することにより、低濃度ドロー溶液から最終的に水が回収される。
特表2019-529077号公報 国際公開第2018/150690号 特開2015-47541号公報
しかしながら、このような水処理方法および水処理システムの更なる効率化のために、従来の下限臨界共溶温度(LCST)型ドロー溶質には改善の余地があった。すなわち、正浸透処理においてドロー溶液に対象溶液から水を分離するための十分な浸透圧を付与することができ、かつ、上記の相分離および膜分離においてドロー溶液中に回収された水と容易に分離させることができる、ドロー溶質を用いることにより、水処理方法および水処理システムの更に効率化することが望まれていた。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、下限臨界共溶温度(LCST)型ドロー溶質を用いる正浸透処理を含む水処理方法において、更なる効率化を図ることである。
[1] 半透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、前記半透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させることで、前記対象溶液中に含まれる水を、前記半透膜を通して前記ドロー溶液に移動させる、正浸透工程と、
前記正浸透工程の後に、前記ドロー溶液の温度を上昇させることで、前記ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離する、相分離工程と、
分離膜を用いて、前記低濃度ドロー溶液を水と前記ドロー溶質を含む濃縮液とに分離する、膜分離工程と、を含み、
前記ドロー溶質は、下記式(1)で表される共重合体を含む、水処理方法。
Figure 2024005365000002

(式(1)において、x、yおよびzは各々独立な自然数である。)
[2] 前記ドロー溶質の数平均分子量は2000~3000であり、
前記ドロー溶質の1質量%水溶液でのLCSTは35~50℃であり、
前記ドロー溶質においてエチレンオキシド基が占める比率は、35~50質量%である、請求項1の水処理方法。
[3] 正浸透工程の温度は40℃未満であり、
相分離工程において、ドロー溶液は40℃以上の温度に上昇し、
膜分離工程の温度は40℃以上である、[1]または[2]に記載の水処理方法。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載の正浸透水処理方法に用いられる正浸透水処理システムであって、
半透膜、半透膜の一方の面に対象溶液を接触させるために設けられた第1室、および、半透膜の他方の面にドロー溶液を接触させるために設けられた第2室を含む、正浸透モジュールと、
ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽と、
低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離するための分離膜と、を備える、水処理システム。
本発明によれば、下限臨界共溶温度(LCST)型ドロー溶質を用いる正浸透処理を含む水処理方法において、更なる効率化を図ることができる。
本発明に係る水処理システムの一例を示す模式図である。 本発明で用いられるドロー溶質の一例(プロニック(登録商標)17R4)の濃度と浸透圧との関係を示すグラフである。 別のドロー溶質の一例(プロニック(登録商標)25R2)の濃度と浸透圧との関係を示すグラフである。 本発明で用いられるドロー溶質の一例(プロニック(登録商標)17R4)の濃度とLCSTとの関係を示すグラフである。 本発明の水処理方法の各工程を示すフロー図である。
<水処理方法>
本発明の水処理方法は、対象溶液(水と水以外の成分を含む液)から水を分離する方法である。対象溶液としては、例えば、海水、河川水、湖沼水、工業廃水などが挙げられる。
図5を参照して、本発明の水処理方法は、以下に説明する正浸透工程と、相分離工程と、膜分離工程と、を少なくとも含む。
[正浸透工程]
正浸透工程では、半透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、半透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させる。これにより、対象溶液中に含まれる水を、半透膜を通してドロー溶液に移動させる。
図1を参照して、半透膜10の一方の面に接して設けられた第1室11内に、対象溶液(FS:フィード溶液)を流入させて、対象溶液を半透膜10の一方の面に接触させる。これと共に、半透膜10の他方の面に接して設けられた第2室12内に、ドロー溶質を含むドロー溶液(DS)を流入させて、ドロー溶液を半透膜10の他方の面に接触させる。このようにすることで、正浸透現象によって、対象溶液中に含まれる水が、半透膜10を透過して第1室11から第2室12に移動する。
正浸透工程に用いられる半透膜としては、特に限定されず、正浸透に用いることのできる種々の膜を使用できる。
半透膜としては、例えば、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)、正浸透膜(FO膜:Forward Osmosis Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)と呼ばれる半透膜が挙げられる。半透膜は、好ましくは逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜である。なお、半透膜として逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜を用いる場合、第1室内の対象溶液の圧力は、好ましくは0.01~10MPaである。
通常、RO膜およびFO膜の孔径は約2nm以下であり、UF膜の孔径は約2~100nmである。NF膜は、RO膜のうちイオンや塩類の阻止率が比較的低いものであり、通常、NF膜の孔径は約1~2nmである。半透膜としてRO膜またはFO膜、NF膜を用いる場合、RO膜またはFO膜、NF膜の塩除去率は好ましくは90%以上である。
半透膜を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。半透膜は、セルロース系樹脂およびポリスルホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成されることが好ましい。
セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましくは三酢酸セルロースである。セルロース系の半透膜としては、例えば、CTA(東洋紡株式会社製)が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルスルホンである。
半透膜の形状としては、特に限定されないが、例えば、平膜、スパイラル膜または中空糸膜が挙げられる。中空糸膜(中空糸型半透膜)は、スパイラル型半透膜などに比べて、膜厚が小さく、さらにモジュール当たりの膜面積を大きくすることができ、浸透効率を高めることができる点で有利である。
<ドロー溶質>
本実施形態で用いられるドロー溶質(温度上昇により溶解度が低下する溶質)は、前記ドロー溶質は、下記式(1)で表される高分子化合物を含む。
Figure 2024005365000003
(式(1)において、x、yおよびzは各々独立な自然数である。)
式(1)で示されるように、本実施形態のドロー溶質は、共重合体であり、少なくとも1つのエチレンオキシド(EO)基(親水性基)からなるポリエチレンオキシド(PEO)鎖(親水性セグメント)と、該PEO鎖の両端の各々に結合する少なくとも1つのプロピレンオキシド(PO)基(疎水性基)からなるポリプロピレンオキシド(PPO)鎖(疎水性セグメント)から構成される。なお、式(1)で示されるとおり、共重合体の両端は水素が付加されている。
PEO鎖を構成するEO基の数(y)は、例えば、10~30である。PPO鎖を構成するPO基の数(xまたはz)は、例えば、10~30である。なお、x:zは、好ましくは1:2~2:1であり、より好ましくは実質的に1:1である。
本実施形態で用いられるドロー溶質の製品としては、例えば、非イオン界面活性剤として販売されている株式会社ADEKA製のプルロニック(Pluronic,登録商標)17R4が挙げられる。
上記のドロー溶質は、いわゆるLCST型の温度応答性高分子としての機能を有する。LCST型の温度応答性高分子の水溶液は、その温度を上昇させたときに固有の下限臨界共溶温度(Lower Critical Solution Temperature:LCST)より高い温度になると、溶質の脱水和が生じ、溶質分子の凝集(ミセル化)により温度相転移(液-液相分離)を生じ、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)とに相分離する。なお、LCSTより低い温度に冷却すると、再び元の溶液に戻るという可逆的な相分離挙動を示す。
(平均分子量)
ドロー溶質の数平均分子量(Mn)は、好ましくは2000~3000である。
ドロー溶質の平均分子量が小さい方が、同じ質量のドロー溶質を添加する場合、ドロー溶液中のモル濃度が高くなる。このため、ドロー溶液の浸透圧をより高くすることができ、正浸透工程を効率的に実施することができる。例えば、ドロー溶質の数平均分子量が3000以下である場合、高い浸透圧を有するドロー溶液を提供することができる。
一例として、プルロニック(登録商標)17R4(Mn:2650)は、プルロニック25R2(Mn:3100)に比べて、分子量が小さいため、ドロー溶液のモル濃度を容易に高めることができる。さらに、プルロニック(登録商標)17R4は、プルロニック25R2に比べて会合し難いため、ドロー溶液中に多くの量を添加してもポリマー単体として存在できる。したがって、プルロニック17R4は、プルロニック25R2に比べて、高い浸透圧を有するドロー溶液を提供することができる。
例えば、図2は、プロニック(登録商標)17R4の濃度と浸透圧との関係を示すグラフである。図2から、例えば、プロニック17R4の80質量%水溶液をDSとして用い、海水を対象溶液(FS)とする正浸透工程において、DSが50質量%まで希釈されるような水処理において、DSが常に海水(FS)よりも高い浸透圧を有することになり、正浸透工程を効率的に実施することができると考えられる。
一方、図3は、プロニック(登録商標)25R2の濃度と浸透圧との関係を示すグラフである。図3から、プロニック25R2が海水(FS)よりも高い浸透圧を有するDSの濃度範囲は狭いため、正浸透工程でDSにより回収できる水の量はプロニック17R4の場合と比べて少なく、正浸透工程を効率的に実施することができないと考えられる。
一方で、ドロー溶質の数平均分子量が小さ過ぎると、正浸透工程において、第2室12中のドロー溶質が半透膜10(FO膜)を透過してFS側(第1室11側)へ漏れ出す可能性が高くなると考えられる。このため、ドロー溶質の数平均分子量は2000以上であることが好ましい。例えば、プルロニック17R4(Mn:2650)は、この条件も満たす。
(LCST)
ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCST、および、80質量%水溶液でのLCSTの両方が、45℃以上であることが好ましい。
通常、正浸透工程は、余分なエネルギーを必要としないためには、室温または室温に近い温度で行うことが好ましい。このような温度でドロー溶液が相分離してしまうと、浸透圧が低下して正浸透工程の効率が低下する可能性がある。このため、室温または室温に近い温度でドロー溶液が相分離しないようにするために、ドロー溶液のLCSTが45℃以上であることが好ましい。ここで、例えば、正浸透工程でドロー溶液が80質量%から50質量%まで希釈されることを想定すれば、ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCSTおよび80質量%水溶液でのLCSTの両方が、45℃以上であることが好ましいと考えられる。
また、ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCSTは、好ましくは65℃以下であり、より好ましくは55℃以下である。
例えば、正浸透工程でドロー溶液が80質量%から50質量%まで希釈されることを想定すれば、相分離工程では、ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCSTより高い温度まで加温を行う必要がある。この加温の温度が低い方が、相分離工程の消費エネルギーが少ないため、水処理のエネルギー効率の面で好ましい。したがって、ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCSTが、例えば、65℃以下であることが好ましいと考えられる。
図4は、プロニック(登録商標)17R4の濃度と応答温度(曇点)との関係を示すグラフである。図4に示されるように、プルロニック17R4の水溶液のLCSTは濃度50~80質量%の範囲で45℃以上であり、かつ、プルロニック17R4の50質量%水溶液でのLCSTが65℃以下である。このプルロニック17R4のようなドロー溶質を用いることが好ましい。
(EO比率)
前記ドロー溶質においてエチレンオキシド(EO)基が占める比率(EO比率)は、好ましくは35~50質量%である。
ドロー溶質の温度応答性(相分離挙動)は、ドロー溶質の親水性に影響を受ける。ドロー溶質の親水性は、ドロー溶質(共重合体)分子中に含まれるEO基(親水性基)の比率、すなわち、EO基とプロピレンオキシド(PO)基(疎水性基)のバランス影響を受ける。
本発明者らは、種々のLCST型温度応答性高分子を検討した結果、上記EO比率が35~50質量%である場合、50質量%水溶液でのLCSTおよび80質量%水溶液でのLCSTの両方が、45℃以上となり、かつ、50質量%水溶液でのLCSTが65℃以下となることを見出した。したがって、上記LCSTに関する理由と同様の理由で、EO比率が35~50質量%であるLCST型温度応答性高分子をドロー溶質として用いることが好ましい。
(曇点)
ドロー溶質の1質量%水溶液での曇点は、好ましくは35℃~50℃であり、より好ましくは40~50℃である。曇点とは、ドロー溶液の温度を上昇させたときに、ドロー溶質の析出(固-液相分離)が始まる温度である。なお、曇点以上の温度では、ミセル状態で溶解しているドロー溶質も液相から分離して析出する。曇点は、通常、液-液相分離が始まるLCSTよりも高い温度である。
上記曇点が35℃以上であると、膜分離工程の温度が相分離工程と同様に40℃程度である場合、上記相分離工程により得られた低濃度DS(希薄相)中では、ドロー溶質が溶解した状態で存在する。膜分離工程では、このように低濃度DS中でドロー溶質が溶解した状態が維持されることが望ましい。
一方、上記曇点が35℃未満であると、ユニマーの水中での安定性が低いため、ミセル形成が起こりやすい傾向にあり、中濃度~高濃度領域での浸透圧が低くなる。そのため、ドロー溶液として使用可能な濃度域が狭くなる。
例えば、プルロニック17R4の1質量%水溶液での曇点は38~44℃であり35℃以上(40℃付近)である。このためプルロニック17R4のモノポリマーの水中での安定性は高い。これより、図2よりプルロニック17R4水溶液の浸透圧は、濃度50質量%以上から海水の浸透圧を超えるため、ドロー溶液として使用可能な濃度域が広い。
一方、プルロニック25R2の1質量%水溶液での曇点は、27~32℃であり、35℃未満である。この場合、プルロニック25R2のモノポリマーの水中での安定性が低い。これより、図3よりプルロニック25R2の水溶液の浸透圧は、濃度70質量%以上になって海水の浸透圧を超えるため、ドロー溶液として使用可能な濃度域が狭い。
なお、上記曇点が50℃を超える場合、ドロー溶質のLCSTも高温になり、相分離工程で高温に加熱する必要があるため、エネルギーコストが高くなるという問題が生じる可能性があるため、上記曇点は50℃以下であることが好ましい。
[相分離工程]
相分離工程では、正浸透工程の後に、ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離(相分離)する。
相分離工程におけるドロー溶液の上昇後の温度は、好ましくは40℃以上90℃以下であり、より好ましくは40℃以上85℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上80℃以下である。
対象溶液中の水を含むドロー溶液を、分離槽3内に流入させ、ここでドロー溶液の温度を上昇させることで、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)に分離させる。例えば、ドロー溶質がLCST型の温度応答性高分子を含む場合は、ドロー溶液の温度をLCST以上に上昇させることで、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)に分離させることができる。このように、ドロー溶液の温度を上昇させるために、分離槽3は加熱機構を有していることが好ましい。
[膜分離工程]
膜分離工程では、分離膜を用いて、上記相分離工程で分離された低濃度ドロー溶液(希薄相)を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離する。膜分離工程では、加圧、減圧などによる圧力差を駆動力として、膜分離(ろ過)が行われる。分離膜としては、例えば、UF膜、NF膜、RO膜などを用いることができる。
膜分離工程の温度は、正浸透工程の温度よりも高い温度が好ましい。また、相分離温度より低い温度が好ましい。膜分離工程の温度は、より好ましくは40℃以上90℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上85℃以下であり、さらにより好ましくは40℃以上80℃以下である。
なお、上記相分離工程により得られた低濃度DS(希薄相)中では、ドロー溶質(LCST型温度応答性高分子)が溶解した状態で存在する。膜分離工程では、このように低濃度DS中でドロー溶質が溶解した状態が維持されることが望ましい。したがって、膜分離工程の温度は、低濃度DS(例えば、1質量%程度のドロー溶質を含む溶液)の曇点と同程度またはそれ以上の温度に維持されることが好ましい。
なお、この膜分離工程によって分離された水を回収することで、水処理方法の目的物である水を得ることができる。得られた水には、さらに水の品質を高めるための処理が行われてもよい。
膜分離工程で分離されたドロー溶質、および、相分離工程で得られるドロー溶質を含む濃縮液(高濃度ドロー溶液)は、正浸透工程においてドロー溶液として再利用されることが好ましい。
<水処理システム>
図1は、本発明に係る水処理システムの一例を示す模式図である。
図1を参照して、上記の水処理方法に用いられる水処理システムは、
半透膜10、半透膜10の一方の面に対象溶液を接触させるために設けられた第1室11、および、半透膜の他方の面にドロー溶液を接触させるために設けられた第2室12を含む、正浸透モジュール1と、
ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽3と、
低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質とに分離するための分離膜20(分離膜モジュール2)と、を備える。
図1に示されるように、ポンプ41~46によって、矢印の方向にFS、DSなどが流される。分離槽3は加熱機構を有している。すなわち、分離槽3の周囲には、分離槽3に供給された希釈DSの温度を上昇させて、相分離させるために、廃熱水などの温水が供給される。温水の温度は、相分離工程におけるDSの上昇後の温度の目標値に合わせて調整すればよい。
分離槽3においては、ドロー溶液(希釈DS)は、温度上昇により、低濃度DSと高濃度DSに相分離する。なお、分離槽3で分離された高濃度DSと、分離膜モジュール2で濃縮された低濃度DSは、ポンプ44によって、タンク5に送られて、一時的に貯留された後に、正浸透工程のDSとして再利用され得る。
分離膜20としては、例えば、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)と呼ばれる半透膜が挙げられる。
分離膜モジュール2は、高温(例えば、40℃以上)での耐熱性を有していることが好ましい。この場合、分離槽3から排出される高温の低濃度DSに対して、冷却工程等を必要とせずに、効率的に膜分離工程を実施することができる。
耐熱性を有する分離膜の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂などが挙げられる。また、分離膜モジュールは、分離膜以外の部品も耐熱性を有しており、全体として耐熱性を有していることが好ましい。耐熱性を有する分離膜モジュールの製品としては、例えば、サーモプラス(日東電工株式会社製)、デュラサーモ(GEウォーター・テクノロジーズ社製)、ロメンブラ(登録商標)のTSシリーズ(東レ株式会社製)などが挙げられる。
また、耐熱性を有する分離膜の他の材質としては、例えば、アルミナ、シリカ等のセラミックが挙げられる。耐熱性膜用のシリカとしては、例えば、ビストリルエトキシシリルエタン由来のシリカが挙げられる(都留稔了、「多様な水源に対応できるロバストRO/NF膜の開発」、水環境学会誌、vol.36(A)、No.1、pp.8-10、2013参照)。
種々のドロー溶質(LCST型温度応答性高分子)について、以下の〔1〕~〔3〕の評価を行った。
〔1〕 共重合体の配列順序(LCSTの上限)に関する検討
表1に示される共重合体(プルロニック(登録商標)、株式会社ADEKAまたはBASF社)の各々について、ドロー溶質の50質量%水溶液および80質量%水溶液でのLCSTを表1に示す。ドロー溶質の50質量%水溶液でのLCSTが65℃以下であった場合を「OK」、65℃超であった場合を「NG」と評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1に示されるMnは、数平均分子量を意味する。
Figure 2024005365000004
表1に示される結果から、ドロー溶質として上記化学式(1)とは異なるPEO-PPO-PEOの配列を有する共重合体(プルロニックL64およびL43)を用いた場合は、50質量%水溶液でのLCSTが高く(65℃超であり)、相分離工程を実施するために必要な熱量が大きいため、水処理を実施する上でエネルギー効率が悪いことが分かる。
また、浸透圧に関して、ドロー溶質の数平均分子量が2000~3000以下である場合を「OK」、3000超である場合を「NG」と評価した。なお、正浸透工程に必要な十分な浸透圧を得るためのドロー溶質の数平均分子量について、上述の理由から、3000以下であることを評価基準とした。なお、評価結果を表2に示す。
Figure 2024005365000005
表2に示される結果から、正浸透工程を効率的に実施する観点では、「LCST」についてはプルロニック17R4およびプロニック25R2がより好ましい共重合体であることが分かる。
なお、EO比率はLCSTとの関連性が高いため、表2に示される結果から、プルロニック17R4のようにEO比率が35~50質量%である場合、50質量%水溶液でのLCSTおよび80質量%水溶液でのLCSTの両方が、45℃以上となり、かつ、50質量%水溶液でのLCSTが65℃以下となると考えられる。
また、浸透圧に関しては、プルロニック17R4、プルロニック17R2、および、プロニック25R1がより好ましい共重合体であることが分かる。
そして、LCSTおよび浸透圧の両者に関して好ましい共重合体は、プルロニック17R4であることが分かる。
〔2〕 正浸透工程におけるドロー溶質の漏れ出しの検討
表3に示されるプロニックの各々をドロー溶質として用いて、正浸透工程(半透膜:三酢酸セルロース製中空糸膜、DS濃度:70質量%、FS濃度:0質量%(RO水))を実施した。この正浸透工程において、ドロー溶質が半透膜(FO膜)を透過してFS側へ漏れ出した量(溶質漏れ量)を、TOC(全有機炭素濃度)によって測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2024005365000006
表3に示される結果から、ドロー溶質の数平均分子量(Mn)が約2000未満である場合、正浸透工程において、ドロー溶質が半透膜(FO膜)を透過してFS側へ漏れ出す量が多くなる可能性が高くなると考えられる。
1 正浸透モジュール、10 半透膜、11 第1室、12 第2室、2 分離膜モジュール、20 分離膜、3 分離槽、41~46 ポンプ、5 タンク。

Claims (6)

  1. 半透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、前記半透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させることで、前記対象溶液中に含まれる水を、前記半透膜を通して前記ドロー溶液に移動させる、正浸透工程と、
    前記正浸透工程の後に、前記ドロー溶液の温度を上昇させることで、前記ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離する、相分離工程と、
    分離膜を用いて、前記低濃度ドロー溶液を水と前記ドロー溶質を含む濃縮液とに分離する、膜分離工程と、を含み、
    前記ドロー溶質は、下記式(1)で表される共重合体を含む、水処理方法。
    Figure 2024005365000007
    (式(1)において、x、yおよびzは各々独立な自然数である。)
  2. 前記ドロー溶質の数平均分子量は2000~3000である、請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記ドロー溶質においてエチレンオキシド基が占める比率は、35~50質量%である、請求項1に記載の水処理方法。
  4. 前記ドロー溶質の1質量%水溶液での曇点は35~50℃である、請求項1に記載の水処理方法。
  5. 正浸透工程の温度は40℃未満であり、
    相分離工程において、ドロー溶液は40℃以上の温度に上昇し、
    膜分離工程の温度は40℃以上である、請求項1に記載の水処理方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の正浸透水処理方法に用いられる正浸透水処理システムであって、
    半透膜、前記半透膜の一方の面に前記対象溶液を接触させるために設けられた第1室、および、前記半透膜の他方の面に前記ドロー溶液を接触させるために設けられた第2室を含む、正浸透モジュールと、
    前記ドロー溶液の温度を上昇させることで、前記ドロー溶液を前記低濃度ドロー溶液と前記高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽と、
    前記低濃度ドロー溶液を水と前記ドロー溶質を含む濃縮液とに分離するための分離膜と、を備える、水処理システム。
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