JP2004243262A - 液体の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】NF膜を用い、飲用水として深層海洋水からミネラル水を得る場合、単独でもカリウムイオンとカルシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離でき、低コストでミネラル成分を濃縮できる、液体の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造するに際し、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分(たとえば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン)の阻止率RAと透過分離対象成分(たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン)の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造するに際し、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分(たとえば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン)の阻止率RAと透過分離対象成分(たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン)の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜、たとえば逆浸透膜(RO膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
よく知られているように、化学工業、食品工業、電子工業等の各種の工業において、廃水中に含まれる懸濁物質や微粒子、細菌の除去等にRO膜、NF膜、UF膜、MF膜等の分離膜が用いられている。また、近年は、恒常的な水質汚濁や水不足に鑑み、これらの分離膜を用いて海水やかん水から飲用水を商業的に製造することも行われている。
【0003】
たとえば、RO膜を用いて海水を淡水化し、飲用水を得る場合、プレフィルタ等を用いて懸濁物質や細菌類等を分離、除去した海水をRO膜モジュールに送り、RO膜でその一部を淡水(飲用水)として分離し、残り(濃縮水)は海に放流している。この場合、製造コストを抑えるためには、回収率(海水から得られる淡水の割合)を向上させる必要があるが、限界回収率は、濃縮水中における硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム等のスケールの析出に大きく左右される。すなわち、回収率を上げていくと、濃縮水中には溶解しきれなくなったスケールが多く析出し、RO膜モジュールの、海水の流れる流路が閉塞したり、硬くなったスケール(いわゆる、ハードスケール)によってRO膜が損傷したりするようになり、プロセスの運転にとって大きな障害となる。
【0004】
かかる不都合を解決しようとして、RO膜による処理に先立ってNF膜やUF膜を用いて海水を前処理し、スケールの原因となるカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等の二価イオンを除去することが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。これは、NF膜は、一般に、0.1〜1nm程度の細孔を有し、表面には荷電を有していて、細孔による分画性能と荷電を有することによる電気的反発力との複合作用によってイオンを選択的に分離することができることから、かかる性質を利用してスケールの原因となる二価イオンを除去しようというものである。しかしながら、この方法は、RO膜モジュールとNF膜モジュールやUF膜モジュールの使用を必須とするので、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
一方、近年、飲用水への安全性の認識の高まりから、ミネラル水への需要が高まっており、湧水、イオン水、海洋深層水等、いろいろなミネラル成分を含む水が飲用水として販売されている。なかでも、200m以深の深海から採取される海洋深層水は、人体が必要とする各種のミネラル成分を多く含み、また、医薬品、化粧品、食品等への利用も可能であることから、海洋深層水からミネラル成分を残しながら塩分(塩化ナトリウムや塩化カリウム)を除去(脱塩)したミネラル水が注目されるようになってきた。しかしながら、海洋深層水からミネラル成分を残しながら飲用できるレベルまで脱塩することはなかなか難しい。
【0006】
深層海洋水からミネラル水を得る方法としては、蒸発やRO膜による分離によって全成分を一旦濃縮した後、濃縮水中に含まれる塩分を晶析法や電気透析法を用いてある程度まで脱塩し、脱塩後の濃縮水を塩分を舌で感じない程度まで純水で希釈する方法があるが、よりコストの低い方法として、NF膜を用い、塩分を濃縮することなくミネラル成分のみを凝縮して高ミネラル水を得る方法が注目されている(たとえば、特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、NF膜の、イオン分離作用を発現する要素の一つである電気的反発力は、電気透析法にくらべると小さく、特に、高濃度の濃縮水では高い分離効果を得にくい。また、分子サイズの分離を行う場合、NF膜の最高孔径には分布があるために、たとえばカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することは難しく、そのため、多段処理や、透過水側にミネラル水を流してミネラル成分の濃度を高めるといったコストのかかる方法が採られている(たとえば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−206460号公報
【0008】
【特許文献2】
特許第2920200号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−85944号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2002−172392号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2002−113465号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜、特にNF膜を用い、たとえば飲用水として深層海洋水からミネラル水を得るような場合、単独でもカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することができ、低コストでミネラル成分を濃縮することができる、液体の製造方法および製造装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、 イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造するに際し、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて制御することを特徴とする液体の製造方法を提供する。
【0014】
上記において、原液は、たとえば海水である。海水は、塩分やミネラル成分等の各種のイオンを多く含んでいるからである。そして、阻止分離対象成分は、たとえばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンといった二価イオンであり、透過分離対象成分は、たとえばナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンといった一価イオンである。
【0015】
また、分離膜は、圧力を透過の駆動力とし、かつ、少なくとも2種類のイオンに対して異なる阻止性能を呈するもの、すなわち、イオン選択透過性を有するものであればよく、海水に含まれるイオン成分を分離する場合には、その主成分であり、阻止分離対象成分として最も重視される硫酸イオンの阻止率の高いものを選択するのが好ましい。そのような分離膜は、たとえば、各種のNF膜から選択することができる。
【0016】
また、比rがあらかじめ定めた比r0を下回った場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げるようにする。あらかじめ定める比r0は、比r0が大きいほど分離性能がよくなるため、濃縮液基準で少なくとも10に設定するのがよい。
【0017】
本発明は、また、上述した目的を達成するために、イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造する装置であって、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r=RA/RBに応じて制御する手段を設けたことを特徴とする液体の製造装置を提供する。
【0018】
上記において、操作圧力を制御する手段は、比r=RA/RBがあらかじめ定めた比r0を下回った場合にはr≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる手段である。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一形態に係る液体の製造装置を示すもので、原液タンク1内の原液は、原液ポンプ2によって原液ライン3を介して分離膜モジュール4に圧送され、この分離膜モジュール4によって濃縮液(生産液)と透過液とに分離される。濃縮液は、バルブ6を有する濃縮液ライン7を介して濃縮液タンク8に集められる。一方、透過液は、透過液ライン5を介して系外に送出される。
【0020】
また、原液ライン3にはサンプリングライン9が、透過液ライン5にはサンプリングライン10がそれぞれ接続され、サンプリングライン9、10は水質分析器11に、また、水質分析器11は演算制御部12に接続されている。水質分析器11は、原液ライン3から採取した原液と透過液ライン5から採取した透過液について阻止分離対象成分の濃度と透過分離対象成分の濃度を測定し、演算制御部12は、これらの測定値に基づいて、阻止率、すなわち、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によって算出されるそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求めるとともに、求めた比rの値に応じて、原液ポンプ2の回転数や濃縮液ライン7のバルブ6の開度を、単独で、または組み合わせて制御し、分離膜モジュール4の分離膜の操作圧力を制御する。すなわち、たとえば、比rの値があらかじめ定めた比r0を下回っている場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。
【0021】
図2に示す形態のものは、図1に示した形態のものにおいて、分離膜モジュール4によって分離される原液をあらかじめRO膜によって濃縮、分離するようにしたものである。
【0022】
すなわち、原液タンク1内の原液は、原液ポンプ2によって、原液ライン3を介してRO膜モジュール13に圧送され、そのRO膜モジュール13によって濃縮液と透過液とに分離される。濃縮液は、バルブ16を有する濃縮液ライン17を介して、図1に示した分離膜モジュール4にその原液として送られ、濃縮液と透過液とに分離される。透過液は、透過液ライン14を介して希釈生産液タンク15に集められる。
【0023】
分離膜モジュール4による濃縮液の一部は、バルブ18を有する濃縮液ライン19を介して上述の希釈生産液タンク15に送られ、RO膜モジュール13による透過液と混合される。残りの濃縮液は、バルブ6を有する濃縮液ライン7を介して濃縮液タンク8に集められる。透過液は、透過液ライン5を介して系外に送出される。
【0024】
また、図1に示した形態のものと同様、濃縮液ライン17にはサンプリングライン9が、透過液ライン5にはサンプリングライン10がそれぞれ接続され、サンプリングライン9、10は水質分析器11に、また、水質分析器11は演算制御部12に接続されている。水質分析器11は、原液ライン3から採取した原液と透過液ライン5から採取した透過液について阻止分離対象成分の濃度と透過分離対象成分の濃度を測定し、演算制御部12は、これらの測定値に基づいて、阻止率、すなわち、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によって算出されるそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求めるとともに、求めた比rの値に応じて、原液ポンプ2の回転数や、濃縮液ライン7のバルブ6、濃縮液17のバルブ16、濃縮液ライン19のバルブ18の開度を、単独で、または組み合わせて制御し、分離膜モジュール4の分離膜の操作圧力を制御する。すなわち、たとえば、比rの値があらかじめ定めた比r0を下回っている場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。
【0025】
この図2に示す形態によれば、たとえば、RO膜モジュール13による濃縮海水を分離膜モジュール4に送ってミネラルの濃縮を行うとともに、RO膜モジュール13の透過水(淡水)を分離膜モジュール4によるミネラルの濃縮水と混合することができるため、ミネラル調整水を一気に製造することができるようになる。
【0026】
以上説明した形態において、原液は、イオンを含むものである。特に、本発明は、海水やかん水のように、塩分やミネラル成分等、多種のイオン、たとえば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンのような二値イオンや、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンのような一価イオンを含むようなものに対して好適である。これら二価イオンと一価イオンはサイズの差が大きくないが、本発明はそのようにサイズの差が大きくないものに対して好適である。なぜなら、たとえば、海水や河川水中に含まれるフミン酸(分子量Mw≧100,000)、フルボ酸(分子量Mw=100〜1,000)、塩素イオン(分子量Mw=35)のようにサイズの差が大きく異なるものは、格別の操作を行わなくても十分に分離できるからである。本発明は、より具体的には、分離膜モジュールの分離膜による阻止分離対象成分をカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンのような二値イオンとし、また、透過分離対象成分をナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンのような一価イオンとして分離する。たとえば、カルシウムイオン(分子量Mw=40)やマグネシウムイオン(分子量Mw=24)と、カリウムイオン(分子量Mw=39)やナトリウムイオン(分子量Mw=23)とを分離する。このように、海水やかん水を原液とし、それから二価イオンからなるミネラル成分と一価イオンである塩分とを分離するのに好適である。
【0027】
分離膜モジュールにおいては、圧力を透過の駆動力とし、イオン選択透過性を有する分離膜を用いる。そのような分離膜には、RO膜、NF膜、UF膜、MF膜等、いろいろなものがあるが、本発明は、浸透圧の影響が現れ、しかも、運転条件によって阻止性能が変動する分離膜と溶質の範囲に適用するのが好ましい。具体的には、溶質として分子量200以下のイオンや分子を分離対象とする場合には、RO膜、それもルースRO膜と呼ばれる分画分子量が100〜200程度のものやNF膜を用いるのが好ましい。また、メタノール等の小さな分子を分離対象とする場合には、RO膜を用いるのが好ましい。溶質として分子量が数千から数十万であるような蛋白質や、河川水等に含まれるフミン酸やフルボ酸といった腐食酸類を分離する場合には、UF膜を用いるのが好ましい。いずれの分離膜も、細孔の目詰まりによって使用時の実質細孔径は小さくなることが多く、たとえばMF膜であってもUF膜のような分離性能を示すことが多々ある。したがって、かかる状況を加味しながら用いる分離膜を選定する。
【0028】
また、海水やかん水に対しては、全塩濃度3.5重量%、温度25℃、pH7の海水を原液として圧力1MPaで分離したときの、下記式で表される硫酸イオンの阻止率RSAが少なくとも90%であるような分離膜を選択して用いるのが好ましい。
【0029】
硫酸イオンの阻止率RSA(%)=[1−(CA/CB)]×100
ただし、CA:透過液中における硫酸イオン濃度
CB:濃縮液中における硫酸イオン濃度
また、海水やかん水を分離する場合、分離膜としては、硫酸イオンのような、阻止分離対象成分として最も重視されるイオンの阻止率を維持しつつ、塩分のような透過分離対象成分となるイオンの阻止率が変えられるものであるのが好ましい。具体的には、全塩濃度3.5重量%、温度25℃、pH7の海水を原液として圧力3MPaで分離したときの全塩阻止率RTDS3と1MPaで分離したときの全塩阻止率RTDS1との比RTDS(RTDS=RTDS3/RTDS1)が0.5以下であるようなものを選択して用いるのが好ましい。
【0030】
さらに、分離膜としては、イオン分離性能に優れる、ピペラジンまたはピペラジン同族体を主成分とし、かつ、構成成分として次式[I]および/または[II]で表される酸成分を含む架橋ポリアミドからなる分離機能層を有するようなものを選択して用いるのが好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
ところで、分離膜による液体の分離は、原液中の不要成分を除去するか、有用成分を濃縮、回収するのを目的とする。本発明においては、たとえば、有用成分を阻止分離対象成分とし、不要成分を透過分離対象成分とする。したがって、分離膜が、阻止分離対象成分を阻止しながら透過分離対象成分を透過させれば、有用成分を回収しながら不要成分を除去することができることになる。
【0034】
本発明においては、上述したように、原液と透過液について阻止分離対象成分と透過分離対象成分の濃度を測定し、それらの測定値から、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によってそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求める。この阻止率の比rが大きければ大きいほど、分離特性が優れているということになる。ここで、原液平均濃度は、原液と濃縮水における濃度を算術平均して求めるのが一般的であるが、対数平均を用いてもよく、厳密な物質収支計算に基づいて求めてもよく、原液濃度や濃縮水の濃度のみを用いて求めてもよい。もっとも、本発明においては、濃縮水と透過水とが分離操作によって生成することから、濃縮水の濃度を原水の平均濃度と考えて本発明を適用するのが好ましい。そして、本発明においては、上述の、分離膜による阻止分離対象成分の阻止率RAと分離膜による透過分離対象成分の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて分離膜の操作圧力を制御する。具体的には、比rがあらかじめ定めた比r0を下回った場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。比rがあらかじめ定めた比r0を上回る場合もあるが、その場合にはr≧r0となるように分離膜の操作圧力を上げる。
【0035】
比r0は、単一成分のみについて定めてもよく、たとえば、阻止分離対象成分としてカルシウムイオンとマグネシウムイオンとの濃度の和、透過分離対象成分としてカリウムイオンとナトリウムイオンとの濃度の和といったように、複数の成分について定めてもよい。また、たとえばr1=rCa/rK、r2=rMg/rNaといったように2成分についてr0,1とr0,2を設定し、その両方を監視するようにしてもよい。設定される比r0の値は、分離比であるので、大きいほうが好ましい。ただ、比r0が10倍以上になるようにすると、原液側と透過液側の全塩濃度(TDS濃度)の差がほとんど変わらなくなるため、浸透圧による濾過エネルギー損失を抑えることができるようになるので好ましい。また、UF膜による濃縮水をミネラル水として得る場合、濃縮分離対象成分が100%に近いほうが好ましいが、この場合も、比r0を10以上とすることで塩分の濃縮を実質的に抑えることができるようになる。
【0036】
さて、分離膜の操作圧力を変化させることによる阻止性能の変化は、溶質のサイズや荷電によって大きく異なる。たとえば、分離膜として、東レ株式会社製NF膜UTC−60(ポリスルホン多孔質基材の表面に脂肪族アミンと酸クロライドとの架橋重合による分離機能層を形成してなる複合NF膜)を用いて海水からミネラル成分の分離を行った場合の阻止率は、図3のようになる。図3に示すように、二価イオンであるマグネシウムイオンやカルシウムイオンの阻止率は操作圧力に対してあまり変化しないが、一価イオンであるナトリウムイオンやカリウムイオンの阻止率は操作圧力を下げると大きく低下する。このことは、二価イオンの阻止率と一価イオンの阻止率の比rを制御できることを示している。また、分離膜による液体分離においては、原液の温度、濃度、pHといった条件が変動することによって原液の粘度や溶質の状態(イオン解離度、拡散性等)が変化したり、原液の熱によって分離膜が膨張、収縮したり、長期の運転によって分離膜に圧力による不可逆的な変形(圧密化等)や化学的劣化を生じたり、原水中の微生物等によるバイオファウリングが生じたりして分離膜の透過性能や阻止性能が変動するが、このように性能が変化した場合に、操作圧力を変化させる(圧力を下げて分離比を上げる)ことによって一定の高い分離比を常に得ることができることを意味している。
【0037】
本発明は、上述したように、阻止分離対象成分と透過分離対象成分のサイズの差があまり大きくなく、しかも、荷電強度が異なるような原液を分離するとき、たとえば、カルシウムイオンやマグネシウムイオンとカリウムイオンやナトリウムイオンとを分離するときに好適である。したがって、海水やかん水等を原液とし、二価イオンからなるミネラル成分と一価イオンである塩分とを分離するのに好適である。特に、図2に示した形態のように、RO膜モジュール13によって原液をあらかじめ濃縮、分離しておけば、濃縮水を分離膜モジュール4に送ってミネラル濃縮を行い、その透過水(淡水)をミネラル濃縮水と混合することでミネラル調整水(生産水)を製造することができるため、本発明を適用して分離膜モジュール4の分離比を一定に保つことが非常に効果的になる。
【0038】
また、一方で、RO膜、NF膜、UF膜を用いて海水やコロイド溶液を分離する場合、膜間に生ずる浸透圧が性能に大きく影響し、溶液の透過流束は、次式で表されることが知られている。
【0039】
Jv=Lp(ΔP−σΔπ)
ここで、Lpは純水透過係数、ΔPは操作圧、σは反射係数、Δπは膜面浸透圧差である。すなわち、浸透圧が影響する状況では、操作圧力を下げると透過流束が大きく低下し、σΔπ以下では透過水を得ることはできないため、特に分離対象とする溶質の阻止率が高い分離膜において膜面の浸透圧差が高い(原液の濃度と透過液の濃度の差が大きい)場合には、圧力エネルギーの大きな損失を招く。しかしながら、表面に荷電を有するUF膜やNF膜のように細孔の大きさに加えて荷電による電気的な反発力によって分離を行う分離膜を用いると、圧力を低下させることで阻止率が低下し、浸透圧の影響も大きく低減され、低圧で運転したほうが圧力エネルギーの損失を抑えることができる。特に、原液の主成分を透過分離対象成分とする場合、その阻止率を0に近づけることによって浸透圧はほとんど無視できるようになるため、エネルギー的に大きなメリットを得ることができる。これにより、十分な分離性能が得られず、多段処理を余儀なくされていたのみならず、圧力エネルギー損失も多くコストも高かったNF膜によるミネラル濃縮プロセスが、一段で、しかも低いエネルギーコストで可能になる。
【0040】
また、本発明は、海水やその濃縮水からミネラル成分をNF膜を用いて分離、回収する場合に好適である。具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンといった二価イオンを阻止分離対象成分として濃縮し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンといった一価イオンを透過分離対象成分として透過水中に出してしまうものである。この場合は、阻止分離対象成分の阻止率が高く、透過分離対象成分の阻止性能が本質的に低い膜であることが好ましい。その上で、操作圧力の調節によって、阻止分離対象成分の阻止率が90%以上のときに透過分離対象成分の阻止率が30%以下であるようにできるとなおよい。さらに、阻止分離対象成分の阻止率が99%以上のときに、透過分離対象成分の阻止率が10%以下にできれば、浸透圧による圧力エネルギー損失も小さく、かつ、阻止分離対象成分が透過側に漏れる量も抑えることができ、好ましい。ここで、このような運転を行うNF膜としては、海水を原液とする場合は、上述したように膜の表面荷電の影響が小さくなるため、細孔サイズのばらつきができるだけ小さな膜であることが好ましい。特に、細孔径dpに対してその標準偏差がdp/3以下であるようなものが好ましい。
【0041】
上述したような分離膜には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマー等の高分子素材がよく使用されている。代表的なRO膜としては、酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜や、ポリアミド系、ポリ尿素系の活性層を有する複合膜等がある。これらのなかでも、本発明には酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合膜が有効であり、さらに、脂肪族系のポリアミド複合膜が有効である。たとえば、上述の、ピペラジンまたはその同族体を主成分とし、かつ、次式[I]および/または[II]で示される酸成分を構成成分として含有する架橋ポリアミド複合膜を用いるとき効果が大きい。
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
また、細孔サイズが大きめ(分画分子量が1000Da以上)のNF膜、UF膜、MF膜としては、相分離法や溶融延伸法等による、膜素材として酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン等の有機素材を用いたものを使用できる。また、膜素材は無機材料であってもよい。さらに、これらの膜を表面修飾することによって細孔径、細孔構造、表面特性の異なる膜とすることもできる。また、膜構造においても非対称膜、複合膜等いずれの構造であってもよく、膜の少なくとも表面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部または裏面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する複合膜等を用いることができる。膜形態は、中空糸膜、管状膜、平膜等、いずれであってもよい。また、モジュール構造は、濃縮水を活用する観点からは、原液流路における滞留部分が少なく、汚染の虞の少ないスパイラル型か、内圧式の管状膜を用いる構造のものが好ましい。
【0045】
【実施例】
図2に示した装置を用い、海水から二価イオンを濃縮した。RO膜モジュール13には、多孔質基材の表面に芳香族アミンと酸クロライドとの界面重縮合による分離機能層を形成してなるRO膜のスパイラル型エレメント(東レ株式会社製RO膜エレメントSU−810)を6本直列にして圧力容器に装填してなるモジュールを用いた。このモジュールにより、海水を全塩濃度が約4.4重量%になるように濃縮した。分離膜モジュール4としては、ポリスルホン多孔質膜の表面に芳香族アミンと酸クロライドとの界面重縮合による分離機能層を形成してなるスパイラル型エレメント(東レ株式会社製NF膜エレメントSU−610)4本を直列に圧力容器に装填してなるモジュールを用いた。運転開始時の原水(海水)温度を25℃、操作圧力を1.0MPa、原水流量を25m3/日としたとき、透過水の流量は11.8m3/日であり、濃縮水の流量は13.2m3/日であった。このときの原水、透過水および濃縮水の濃度を以下に示す。なお、ナトリウムイオンの阻止率に対するカルシウムイオンの阻止率の比r=rCa/rNaは、23.1であった。
【0046】
この後、原水の温度を45℃に上げ、3日間循環流通させることによって膜を強制的に収縮させ、阻止性能を向上させたところ、透過水の流量は10.5m3/日、濃縮水の流量は14.5m3/日となった。このときの原水、透過水および濃縮水の濃度を以下に示す。一価イオンの阻止性能が上がった結果、比rは7.5にまで低下した。
【0047】
そこで、運転圧力を0.9MPaまで下げたところ、透過水の流量は9.6m3/日、濃縮水の流量は15.4m3/日となり、水質は以下のようになって比rは24.2まで回復した。
【0048】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、特にNF膜を用い、たとえば飲用水として深層海洋水からミネラル水を得るような場合、単独でもカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することができ、低コストでミネラル成分を濃縮することができるようになる。すなわち、イオンを含む原液から原液条件や膜の性能変化に応じて必要成分と不要成分とを効率的に分離し、低コストで必要成分を濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係る液体の製造装置の概略ブロック図である。
【図2】本発明の他の形態に係る液体の製造装置の概略ブロック図である。
【図3】分離膜の操作圧力とイオンの阻止率との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1:原液タンク
2:原液ポンプ
3:原液ライン
4:分離膜モジュール
5:透過液ライン
6:バルブ
7:濃縮液ライン
8:濃縮液タンク
9:サンプリングライン
10:サンプリングライン
11:水質分析器
12:演算制御部
13:RO膜モジュール
14:透過液ライン
15:希釈生産液タンク
16:バルブ
17:濃縮液ライン
18:バルブ
19:濃縮液ライン
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜、たとえば逆浸透膜(RO膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、限外濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
よく知られているように、化学工業、食品工業、電子工業等の各種の工業において、廃水中に含まれる懸濁物質や微粒子、細菌の除去等にRO膜、NF膜、UF膜、MF膜等の分離膜が用いられている。また、近年は、恒常的な水質汚濁や水不足に鑑み、これらの分離膜を用いて海水やかん水から飲用水を商業的に製造することも行われている。
【0003】
たとえば、RO膜を用いて海水を淡水化し、飲用水を得る場合、プレフィルタ等を用いて懸濁物質や細菌類等を分離、除去した海水をRO膜モジュールに送り、RO膜でその一部を淡水(飲用水)として分離し、残り(濃縮水)は海に放流している。この場合、製造コストを抑えるためには、回収率(海水から得られる淡水の割合)を向上させる必要があるが、限界回収率は、濃縮水中における硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム等のスケールの析出に大きく左右される。すなわち、回収率を上げていくと、濃縮水中には溶解しきれなくなったスケールが多く析出し、RO膜モジュールの、海水の流れる流路が閉塞したり、硬くなったスケール(いわゆる、ハードスケール)によってRO膜が損傷したりするようになり、プロセスの運転にとって大きな障害となる。
【0004】
かかる不都合を解決しようとして、RO膜による処理に先立ってNF膜やUF膜を用いて海水を前処理し、スケールの原因となるカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等の二価イオンを除去することが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。これは、NF膜は、一般に、0.1〜1nm程度の細孔を有し、表面には荷電を有していて、細孔による分画性能と荷電を有することによる電気的反発力との複合作用によってイオンを選択的に分離することができることから、かかる性質を利用してスケールの原因となる二価イオンを除去しようというものである。しかしながら、この方法は、RO膜モジュールとNF膜モジュールやUF膜モジュールの使用を必須とするので、製造コストが高くなるという問題がある。
【0005】
一方、近年、飲用水への安全性の認識の高まりから、ミネラル水への需要が高まっており、湧水、イオン水、海洋深層水等、いろいろなミネラル成分を含む水が飲用水として販売されている。なかでも、200m以深の深海から採取される海洋深層水は、人体が必要とする各種のミネラル成分を多く含み、また、医薬品、化粧品、食品等への利用も可能であることから、海洋深層水からミネラル成分を残しながら塩分(塩化ナトリウムや塩化カリウム)を除去(脱塩)したミネラル水が注目されるようになってきた。しかしながら、海洋深層水からミネラル成分を残しながら飲用できるレベルまで脱塩することはなかなか難しい。
【0006】
深層海洋水からミネラル水を得る方法としては、蒸発やRO膜による分離によって全成分を一旦濃縮した後、濃縮水中に含まれる塩分を晶析法や電気透析法を用いてある程度まで脱塩し、脱塩後の濃縮水を塩分を舌で感じない程度まで純水で希釈する方法があるが、よりコストの低い方法として、NF膜を用い、塩分を濃縮することなくミネラル成分のみを凝縮して高ミネラル水を得る方法が注目されている(たとえば、特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、NF膜の、イオン分離作用を発現する要素の一つである電気的反発力は、電気透析法にくらべると小さく、特に、高濃度の濃縮水では高い分離効果を得にくい。また、分子サイズの分離を行う場合、NF膜の最高孔径には分布があるために、たとえばカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することは難しく、そのため、多段処理や、透過水側にミネラル水を流してミネラル成分の濃度を高めるといったコストのかかる方法が採られている(たとえば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−206460号公報
【0008】
【特許文献2】
特許第2920200号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−85944号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2002−172392号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2002−113465号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の技術の上述した問題点を解決し、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜、特にNF膜を用い、たとえば飲用水として深層海洋水からミネラル水を得るような場合、単独でもカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することができ、低コストでミネラル成分を濃縮することができる、液体の製造方法および製造装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、 イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造するに際し、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて制御することを特徴とする液体の製造方法を提供する。
【0014】
上記において、原液は、たとえば海水である。海水は、塩分やミネラル成分等の各種のイオンを多く含んでいるからである。そして、阻止分離対象成分は、たとえばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンといった二価イオンであり、透過分離対象成分は、たとえばナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンといった一価イオンである。
【0015】
また、分離膜は、圧力を透過の駆動力とし、かつ、少なくとも2種類のイオンに対して異なる阻止性能を呈するもの、すなわち、イオン選択透過性を有するものであればよく、海水に含まれるイオン成分を分離する場合には、その主成分であり、阻止分離対象成分として最も重視される硫酸イオンの阻止率の高いものを選択するのが好ましい。そのような分離膜は、たとえば、各種のNF膜から選択することができる。
【0016】
また、比rがあらかじめ定めた比r0を下回った場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げるようにする。あらかじめ定める比r0は、比r0が大きいほど分離性能がよくなるため、濃縮液基準で少なくとも10に設定するのがよい。
【0017】
本発明は、また、上述した目的を達成するために、イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造する装置であって、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r=RA/RBに応じて制御する手段を設けたことを特徴とする液体の製造装置を提供する。
【0018】
上記において、操作圧力を制御する手段は、比r=RA/RBがあらかじめ定めた比r0を下回った場合にはr≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる手段である。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一形態に係る液体の製造装置を示すもので、原液タンク1内の原液は、原液ポンプ2によって原液ライン3を介して分離膜モジュール4に圧送され、この分離膜モジュール4によって濃縮液(生産液)と透過液とに分離される。濃縮液は、バルブ6を有する濃縮液ライン7を介して濃縮液タンク8に集められる。一方、透過液は、透過液ライン5を介して系外に送出される。
【0020】
また、原液ライン3にはサンプリングライン9が、透過液ライン5にはサンプリングライン10がそれぞれ接続され、サンプリングライン9、10は水質分析器11に、また、水質分析器11は演算制御部12に接続されている。水質分析器11は、原液ライン3から採取した原液と透過液ライン5から採取した透過液について阻止分離対象成分の濃度と透過分離対象成分の濃度を測定し、演算制御部12は、これらの測定値に基づいて、阻止率、すなわち、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によって算出されるそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求めるとともに、求めた比rの値に応じて、原液ポンプ2の回転数や濃縮液ライン7のバルブ6の開度を、単独で、または組み合わせて制御し、分離膜モジュール4の分離膜の操作圧力を制御する。すなわち、たとえば、比rの値があらかじめ定めた比r0を下回っている場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。
【0021】
図2に示す形態のものは、図1に示した形態のものにおいて、分離膜モジュール4によって分離される原液をあらかじめRO膜によって濃縮、分離するようにしたものである。
【0022】
すなわち、原液タンク1内の原液は、原液ポンプ2によって、原液ライン3を介してRO膜モジュール13に圧送され、そのRO膜モジュール13によって濃縮液と透過液とに分離される。濃縮液は、バルブ16を有する濃縮液ライン17を介して、図1に示した分離膜モジュール4にその原液として送られ、濃縮液と透過液とに分離される。透過液は、透過液ライン14を介して希釈生産液タンク15に集められる。
【0023】
分離膜モジュール4による濃縮液の一部は、バルブ18を有する濃縮液ライン19を介して上述の希釈生産液タンク15に送られ、RO膜モジュール13による透過液と混合される。残りの濃縮液は、バルブ6を有する濃縮液ライン7を介して濃縮液タンク8に集められる。透過液は、透過液ライン5を介して系外に送出される。
【0024】
また、図1に示した形態のものと同様、濃縮液ライン17にはサンプリングライン9が、透過液ライン5にはサンプリングライン10がそれぞれ接続され、サンプリングライン9、10は水質分析器11に、また、水質分析器11は演算制御部12に接続されている。水質分析器11は、原液ライン3から採取した原液と透過液ライン5から採取した透過液について阻止分離対象成分の濃度と透過分離対象成分の濃度を測定し、演算制御部12は、これらの測定値に基づいて、阻止率、すなわち、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によって算出されるそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求めるとともに、求めた比rの値に応じて、原液ポンプ2の回転数や、濃縮液ライン7のバルブ6、濃縮液17のバルブ16、濃縮液ライン19のバルブ18の開度を、単独で、または組み合わせて制御し、分離膜モジュール4の分離膜の操作圧力を制御する。すなわち、たとえば、比rの値があらかじめ定めた比r0を下回っている場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。
【0025】
この図2に示す形態によれば、たとえば、RO膜モジュール13による濃縮海水を分離膜モジュール4に送ってミネラルの濃縮を行うとともに、RO膜モジュール13の透過水(淡水)を分離膜モジュール4によるミネラルの濃縮水と混合することができるため、ミネラル調整水を一気に製造することができるようになる。
【0026】
以上説明した形態において、原液は、イオンを含むものである。特に、本発明は、海水やかん水のように、塩分やミネラル成分等、多種のイオン、たとえば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンのような二値イオンや、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンのような一価イオンを含むようなものに対して好適である。これら二価イオンと一価イオンはサイズの差が大きくないが、本発明はそのようにサイズの差が大きくないものに対して好適である。なぜなら、たとえば、海水や河川水中に含まれるフミン酸(分子量Mw≧100,000)、フルボ酸(分子量Mw=100〜1,000)、塩素イオン(分子量Mw=35)のようにサイズの差が大きく異なるものは、格別の操作を行わなくても十分に分離できるからである。本発明は、より具体的には、分離膜モジュールの分離膜による阻止分離対象成分をカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンのような二値イオンとし、また、透過分離対象成分をナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンのような一価イオンとして分離する。たとえば、カルシウムイオン(分子量Mw=40)やマグネシウムイオン(分子量Mw=24)と、カリウムイオン(分子量Mw=39)やナトリウムイオン(分子量Mw=23)とを分離する。このように、海水やかん水を原液とし、それから二価イオンからなるミネラル成分と一価イオンである塩分とを分離するのに好適である。
【0027】
分離膜モジュールにおいては、圧力を透過の駆動力とし、イオン選択透過性を有する分離膜を用いる。そのような分離膜には、RO膜、NF膜、UF膜、MF膜等、いろいろなものがあるが、本発明は、浸透圧の影響が現れ、しかも、運転条件によって阻止性能が変動する分離膜と溶質の範囲に適用するのが好ましい。具体的には、溶質として分子量200以下のイオンや分子を分離対象とする場合には、RO膜、それもルースRO膜と呼ばれる分画分子量が100〜200程度のものやNF膜を用いるのが好ましい。また、メタノール等の小さな分子を分離対象とする場合には、RO膜を用いるのが好ましい。溶質として分子量が数千から数十万であるような蛋白質や、河川水等に含まれるフミン酸やフルボ酸といった腐食酸類を分離する場合には、UF膜を用いるのが好ましい。いずれの分離膜も、細孔の目詰まりによって使用時の実質細孔径は小さくなることが多く、たとえばMF膜であってもUF膜のような分離性能を示すことが多々ある。したがって、かかる状況を加味しながら用いる分離膜を選定する。
【0028】
また、海水やかん水に対しては、全塩濃度3.5重量%、温度25℃、pH7の海水を原液として圧力1MPaで分離したときの、下記式で表される硫酸イオンの阻止率RSAが少なくとも90%であるような分離膜を選択して用いるのが好ましい。
【0029】
硫酸イオンの阻止率RSA(%)=[1−(CA/CB)]×100
ただし、CA:透過液中における硫酸イオン濃度
CB:濃縮液中における硫酸イオン濃度
また、海水やかん水を分離する場合、分離膜としては、硫酸イオンのような、阻止分離対象成分として最も重視されるイオンの阻止率を維持しつつ、塩分のような透過分離対象成分となるイオンの阻止率が変えられるものであるのが好ましい。具体的には、全塩濃度3.5重量%、温度25℃、pH7の海水を原液として圧力3MPaで分離したときの全塩阻止率RTDS3と1MPaで分離したときの全塩阻止率RTDS1との比RTDS(RTDS=RTDS3/RTDS1)が0.5以下であるようなものを選択して用いるのが好ましい。
【0030】
さらに、分離膜としては、イオン分離性能に優れる、ピペラジンまたはピペラジン同族体を主成分とし、かつ、構成成分として次式[I]および/または[II]で表される酸成分を含む架橋ポリアミドからなる分離機能層を有するようなものを選択して用いるのが好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
ところで、分離膜による液体の分離は、原液中の不要成分を除去するか、有用成分を濃縮、回収するのを目的とする。本発明においては、たとえば、有用成分を阻止分離対象成分とし、不要成分を透過分離対象成分とする。したがって、分離膜が、阻止分離対象成分を阻止しながら透過分離対象成分を透過させれば、有用成分を回収しながら不要成分を除去することができることになる。
【0034】
本発明においては、上述したように、原液と透過液について阻止分離対象成分と透過分離対象成分の濃度を測定し、それらの測定値から、式、
阻止率(%)=(1−(透過液濃度/原液平均濃度))×100
によってそれぞれの阻止率RAとRBとを求め、さらにそれらの比r(r=RA/RB)を求める。この阻止率の比rが大きければ大きいほど、分離特性が優れているということになる。ここで、原液平均濃度は、原液と濃縮水における濃度を算術平均して求めるのが一般的であるが、対数平均を用いてもよく、厳密な物質収支計算に基づいて求めてもよく、原液濃度や濃縮水の濃度のみを用いて求めてもよい。もっとも、本発明においては、濃縮水と透過水とが分離操作によって生成することから、濃縮水の濃度を原水の平均濃度と考えて本発明を適用するのが好ましい。そして、本発明においては、上述の、分離膜による阻止分離対象成分の阻止率RAと分離膜による透過分離対象成分の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて分離膜の操作圧力を制御する。具体的には、比rがあらかじめ定めた比r0を下回った場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる。比rがあらかじめ定めた比r0を上回る場合もあるが、その場合にはr≧r0となるように分離膜の操作圧力を上げる。
【0035】
比r0は、単一成分のみについて定めてもよく、たとえば、阻止分離対象成分としてカルシウムイオンとマグネシウムイオンとの濃度の和、透過分離対象成分としてカリウムイオンとナトリウムイオンとの濃度の和といったように、複数の成分について定めてもよい。また、たとえばr1=rCa/rK、r2=rMg/rNaといったように2成分についてr0,1とr0,2を設定し、その両方を監視するようにしてもよい。設定される比r0の値は、分離比であるので、大きいほうが好ましい。ただ、比r0が10倍以上になるようにすると、原液側と透過液側の全塩濃度(TDS濃度)の差がほとんど変わらなくなるため、浸透圧による濾過エネルギー損失を抑えることができるようになるので好ましい。また、UF膜による濃縮水をミネラル水として得る場合、濃縮分離対象成分が100%に近いほうが好ましいが、この場合も、比r0を10以上とすることで塩分の濃縮を実質的に抑えることができるようになる。
【0036】
さて、分離膜の操作圧力を変化させることによる阻止性能の変化は、溶質のサイズや荷電によって大きく異なる。たとえば、分離膜として、東レ株式会社製NF膜UTC−60(ポリスルホン多孔質基材の表面に脂肪族アミンと酸クロライドとの架橋重合による分離機能層を形成してなる複合NF膜)を用いて海水からミネラル成分の分離を行った場合の阻止率は、図3のようになる。図3に示すように、二価イオンであるマグネシウムイオンやカルシウムイオンの阻止率は操作圧力に対してあまり変化しないが、一価イオンであるナトリウムイオンやカリウムイオンの阻止率は操作圧力を下げると大きく低下する。このことは、二価イオンの阻止率と一価イオンの阻止率の比rを制御できることを示している。また、分離膜による液体分離においては、原液の温度、濃度、pHといった条件が変動することによって原液の粘度や溶質の状態(イオン解離度、拡散性等)が変化したり、原液の熱によって分離膜が膨張、収縮したり、長期の運転によって分離膜に圧力による不可逆的な変形(圧密化等)や化学的劣化を生じたり、原水中の微生物等によるバイオファウリングが生じたりして分離膜の透過性能や阻止性能が変動するが、このように性能が変化した場合に、操作圧力を変化させる(圧力を下げて分離比を上げる)ことによって一定の高い分離比を常に得ることができることを意味している。
【0037】
本発明は、上述したように、阻止分離対象成分と透過分離対象成分のサイズの差があまり大きくなく、しかも、荷電強度が異なるような原液を分離するとき、たとえば、カルシウムイオンやマグネシウムイオンとカリウムイオンやナトリウムイオンとを分離するときに好適である。したがって、海水やかん水等を原液とし、二価イオンからなるミネラル成分と一価イオンである塩分とを分離するのに好適である。特に、図2に示した形態のように、RO膜モジュール13によって原液をあらかじめ濃縮、分離しておけば、濃縮水を分離膜モジュール4に送ってミネラル濃縮を行い、その透過水(淡水)をミネラル濃縮水と混合することでミネラル調整水(生産水)を製造することができるため、本発明を適用して分離膜モジュール4の分離比を一定に保つことが非常に効果的になる。
【0038】
また、一方で、RO膜、NF膜、UF膜を用いて海水やコロイド溶液を分離する場合、膜間に生ずる浸透圧が性能に大きく影響し、溶液の透過流束は、次式で表されることが知られている。
【0039】
Jv=Lp(ΔP−σΔπ)
ここで、Lpは純水透過係数、ΔPは操作圧、σは反射係数、Δπは膜面浸透圧差である。すなわち、浸透圧が影響する状況では、操作圧力を下げると透過流束が大きく低下し、σΔπ以下では透過水を得ることはできないため、特に分離対象とする溶質の阻止率が高い分離膜において膜面の浸透圧差が高い(原液の濃度と透過液の濃度の差が大きい)場合には、圧力エネルギーの大きな損失を招く。しかしながら、表面に荷電を有するUF膜やNF膜のように細孔の大きさに加えて荷電による電気的な反発力によって分離を行う分離膜を用いると、圧力を低下させることで阻止率が低下し、浸透圧の影響も大きく低減され、低圧で運転したほうが圧力エネルギーの損失を抑えることができる。特に、原液の主成分を透過分離対象成分とする場合、その阻止率を0に近づけることによって浸透圧はほとんど無視できるようになるため、エネルギー的に大きなメリットを得ることができる。これにより、十分な分離性能が得られず、多段処理を余儀なくされていたのみならず、圧力エネルギー損失も多くコストも高かったNF膜によるミネラル濃縮プロセスが、一段で、しかも低いエネルギーコストで可能になる。
【0040】
また、本発明は、海水やその濃縮水からミネラル成分をNF膜を用いて分離、回収する場合に好適である。具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンといった二価イオンを阻止分離対象成分として濃縮し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンといった一価イオンを透過分離対象成分として透過水中に出してしまうものである。この場合は、阻止分離対象成分の阻止率が高く、透過分離対象成分の阻止性能が本質的に低い膜であることが好ましい。その上で、操作圧力の調節によって、阻止分離対象成分の阻止率が90%以上のときに透過分離対象成分の阻止率が30%以下であるようにできるとなおよい。さらに、阻止分離対象成分の阻止率が99%以上のときに、透過分離対象成分の阻止率が10%以下にできれば、浸透圧による圧力エネルギー損失も小さく、かつ、阻止分離対象成分が透過側に漏れる量も抑えることができ、好ましい。ここで、このような運転を行うNF膜としては、海水を原液とする場合は、上述したように膜の表面荷電の影響が小さくなるため、細孔サイズのばらつきができるだけ小さな膜であることが好ましい。特に、細孔径dpに対してその標準偏差がdp/3以下であるようなものが好ましい。
【0041】
上述したような分離膜には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマー等の高分子素材がよく使用されている。代表的なRO膜としては、酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜や、ポリアミド系、ポリ尿素系の活性層を有する複合膜等がある。これらのなかでも、本発明には酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合膜が有効であり、さらに、脂肪族系のポリアミド複合膜が有効である。たとえば、上述の、ピペラジンまたはその同族体を主成分とし、かつ、次式[I]および/または[II]で示される酸成分を構成成分として含有する架橋ポリアミド複合膜を用いるとき効果が大きい。
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
また、細孔サイズが大きめ(分画分子量が1000Da以上)のNF膜、UF膜、MF膜としては、相分離法や溶融延伸法等による、膜素材として酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリ6フッ化プロピレン等の有機素材を用いたものを使用できる。また、膜素材は無機材料であってもよい。さらに、これらの膜を表面修飾することによって細孔径、細孔構造、表面特性の異なる膜とすることもできる。また、膜構造においても非対称膜、複合膜等いずれの構造であってもよく、膜の少なくとも表面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部または裏面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する複合膜等を用いることができる。膜形態は、中空糸膜、管状膜、平膜等、いずれであってもよい。また、モジュール構造は、濃縮水を活用する観点からは、原液流路における滞留部分が少なく、汚染の虞の少ないスパイラル型か、内圧式の管状膜を用いる構造のものが好ましい。
【0045】
【実施例】
図2に示した装置を用い、海水から二価イオンを濃縮した。RO膜モジュール13には、多孔質基材の表面に芳香族アミンと酸クロライドとの界面重縮合による分離機能層を形成してなるRO膜のスパイラル型エレメント(東レ株式会社製RO膜エレメントSU−810)を6本直列にして圧力容器に装填してなるモジュールを用いた。このモジュールにより、海水を全塩濃度が約4.4重量%になるように濃縮した。分離膜モジュール4としては、ポリスルホン多孔質膜の表面に芳香族アミンと酸クロライドとの界面重縮合による分離機能層を形成してなるスパイラル型エレメント(東レ株式会社製NF膜エレメントSU−610)4本を直列に圧力容器に装填してなるモジュールを用いた。運転開始時の原水(海水)温度を25℃、操作圧力を1.0MPa、原水流量を25m3/日としたとき、透過水の流量は11.8m3/日であり、濃縮水の流量は13.2m3/日であった。このときの原水、透過水および濃縮水の濃度を以下に示す。なお、ナトリウムイオンの阻止率に対するカルシウムイオンの阻止率の比r=rCa/rNaは、23.1であった。
【0046】
この後、原水の温度を45℃に上げ、3日間循環流通させることによって膜を強制的に収縮させ、阻止性能を向上させたところ、透過水の流量は10.5m3/日、濃縮水の流量は14.5m3/日となった。このときの原水、透過水および濃縮水の濃度を以下に示す。一価イオンの阻止性能が上がった結果、比rは7.5にまで低下した。
【0047】
そこで、運転圧力を0.9MPaまで下げたところ、透過水の流量は9.6m3/日、濃縮水の流量は15.4m3/日となり、水質は以下のようになって比rは24.2まで回復した。
【0048】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、特にNF膜を用い、たとえば飲用水として深層海洋水からミネラル水を得るような場合、単独でもカリウムイオンやナトリウムイオンとカルシウムイオンやマグネシウムイオンといったサイズの差の小さな溶質を分離することができ、低コストでミネラル成分を濃縮することができるようになる。すなわち、イオンを含む原液から原液条件や膜の性能変化に応じて必要成分と不要成分とを効率的に分離し、低コストで必要成分を濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係る液体の製造装置の概略ブロック図である。
【図2】本発明の他の形態に係る液体の製造装置の概略ブロック図である。
【図3】分離膜の操作圧力とイオンの阻止率との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1:原液タンク
2:原液ポンプ
3:原液ライン
4:分離膜モジュール
5:透過液ライン
6:バルブ
7:濃縮液ライン
8:濃縮液タンク
9:サンプリングライン
10:サンプリングライン
11:水質分析器
12:演算制御部
13:RO膜モジュール
14:透過液ライン
15:希釈生産液タンク
16:バルブ
17:濃縮液ライン
18:バルブ
19:濃縮液ライン
Claims (7)
- イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造するに際し、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r(r=RA/RB)に応じて制御することを特徴とする液体の製造方法。
- 原液として海水を用いる、請求項1に記載の液体の製造方法。
- 阻止分離対象成分をカルシウムイオン、マグネシウムイオンまたは硫酸イオンとし、透過分離対象成分をナトリウムイオン、カリウムイオンまたは塩素イオンとする、請求項1または2に記載の液体の製造方法。
- 比rがあらかじめ定めた比r0を下回った場合には、r≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる、請求項1〜3のいずれかに記載の液体の製造方法。
- 比r0を、濃縮液基準で少なくとも10に設定する、請求項1〜4のいずれかに記載の液体の製造方法。
- イオンを含む原液を、圧力を透過の駆動力とする、イオン選択透過性を有する分離膜を用いて濃縮液と透過液とに分離して液体を製造する装置であって、分離膜の操作圧力を、阻止分離対象成分の阻止率RAと透過分離対象成分の阻止率RBとの比r=RA/RBに応じて制御する手段を設けたことを特徴とする液体の製造装置。
- 操作圧力を制御する手段が、比r=RA/RBがあらかじめ定めた比r0を下回った場合にはr≧r0となるように分離膜の操作圧力を下げる手段である、請求項6に記載の液体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003037896A JP2004243262A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 液体の製造方法および製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003037896A JP2004243262A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 液体の製造方法および製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004243262A true JP2004243262A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33022565
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003037896A Pending JP2004243262A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 液体の製造方法および製造装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004243262A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7144511B2 (en) * | 2002-05-02 | 2006-12-05 | City Of Long Beach | Two stage nanofiltration seawater desalination system |
JP2007217356A (ja) * | 2006-02-17 | 2007-08-30 | Wamiles Cosmetics Kk | 海洋深層水濃縮物含有組成物及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-02-17 JP JP2003037896A patent/JP2004243262A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7144511B2 (en) * | 2002-05-02 | 2006-12-05 | City Of Long Beach | Two stage nanofiltration seawater desalination system |
JP2007217356A (ja) * | 2006-02-17 | 2007-08-30 | Wamiles Cosmetics Kk | 海洋深層水濃縮物含有組成物及びその製造方法 |
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