JP2004237280A - ミネラル液の製造方法及び製造装置 - Google Patents

ミネラル液の製造方法及び製造装置 Download PDF

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雅英 谷口
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Abstract

【課題】
海水から低コストで成分比に優れたミネラル液を製造する手段を提供する。
【解決手段】
ミネラル成分を含む原液から少なくとも硫酸イオンを除去する第1の工程と、第1の工程から得られた処理液を濃縮する第2の工程と、第2の工程で得られた濃縮液からさらに硫酸イオンを除去する第3の工程とを備え、第1の工程および第3の工程においては、硫酸イオンを70%以上、かつ、カルシウムイオンを30%以下の範囲内で除去し、さらに、第2の工程においては、カルシウムイオンを80%以上、かつ、ナトリウムイオンを30%以下の範囲内で除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ミネラル成分を含む原液からミネラル成分濃度の高いミネラル液を製造する方法および装置に関するものであり、さらに詳しくは、海水などから硫酸イオンを高効率で除去するとともにミネラル成分を高効率で回収するミネラル液製造方法および製造装置に関するものである。
液体分離膜は、化学工業,食品工業,電子工業などの進歩とともに、液体中の懸濁物質,微粒子,細菌の除去に応用されてきた。とくに、最近の水不足や環境問題の深刻化から、海水やかん水の淡水化による飲料水製造、水中の環境汚染物質の除去など用途はさらに多岐に広がってきている。また、飲料水への安全性の認識の高まりからミネラルウォーターの需要が高まり、各種湧水、イオン水、海洋深層水など様々な成分を含む水を飲料水として精製する技術が求められてきている。とくに、水深200m以深から得られる海洋深層水は、漁業用水の鮮度維持に対する効果や皮膚炎治療に対する効用が報告されはじめており、食品工業・医療用途などへ展開されるようになり、海洋深層水を用いてミネラル分を残しながら塩分(塩化ナトリウムや塩化カリウム)を除去(脱塩)したミネラルウォーターが製造・販売されるようになっている。
しかしながら、海洋深層水からミネラル分を残しながら飲用レベルまで脱塩するのは容易ではない。現在、海洋深層水からミネラルウォーターを製造する方法としては、蒸発や逆浸透膜などですべての成分を濃縮し、濃縮海水から晶析法や電気透析によってある程度脱塩した上で塩分を舌で感じない程度にまで純水で希釈するという方法が採られている。特に濃縮の部分では逆浸透膜を用いるとエネルギーコストを低く抑えることができ、蒸発に比べて効率的である。また、ミネラルと塩分のような価数の異なるイオンを分離する分離手法としては、晶析法の他に電気透析法もあげられる。
さらに、最近は、海水のような高濃度溶液から硬度成分を除去するために荷電型限外濾過膜やナノ濾過膜の適用が試みられ始めている。前者は、10nmオーダーの膜細孔を有し、後者は0.1〜1nm程度の細孔を有するもので、後者は前者よりもより小さな分子の分離を行うことができる。さらに、荷電型限外濾過膜やナノ濾過膜は、いずれも、細孔径による分画性能に加え、膜が荷電を有することによる電気的反発力を利用した複合効果による分離を原理としており、硬水の軟水化や飲料水中の有害イオン成分除去といった低濃度原水の処理に適用されている。この技術は、深層海水から塩分をある程度除去し、ミネラル分を回収することが原理的には可能であり、とくに、従来の晶析法や電気式脱塩法に比べてエネルギーコストが小さく、装置を小型化でき、大量処理が可能であるという点で優れている。また、ナノ濾過膜の透過側に塩水をながすことにより浸透圧差の低減をはかり、さらに動力費を低減させることも試みられている(特許文献1)。
ところで、飲用水としてのミネラル水は、カルシウムとマグネシウムの比率によって味が大きく変わることが一般に知られており、カルシウムが多いと味がまろやかになる。したがって、海水からミネラル液を得る場合は、海水中における含有量の少ないカルシウムを効率よく濃縮することが必要とされる。また、マグネシウムイオンに関しては、健康面でメリットがあるといわれているため、ある程度は存在した方が良いともされているが、飲料水としての水質の指標である「O index」によれば、硫酸イオンおよびマグネシウムイオンはおいしさを低下させるため、硫酸イオンおよびマグネシウムイオンは少ない方がよいとされている。
しかしながら、上述の方法では、いずれも硫酸イオンとともにミネラル分も濃縮されるため、あまり濃縮しすぎると硫酸カルシウムがスケールとなって膜面に析出することになる。すなわち、ミネラル分の濃縮に伴ってスケールが析出するので、せっかく濃縮したミネラル、しかもマグネシウムに比べて海水中の溶存量の少ないカルシウムが失われることになる。
この問題に対し、ナノろ過膜によって濃縮前の海水を処理し、硫酸イオンの濃度を低下させてからミネラル分を濃縮する方法も提案されているが(特許文献2)、この方法では、ナノろ過膜によって硫酸イオンと同時にミネラルも除去されてしまい、海水中からのミネラル分の回収率が十分に得られない。例えば、特許文献2に示される実施例にある脱硫酸処理では、原水中の硫酸イオン除去率が99%以上ではあるが、カルシウムイオンのうち70%以上が硫酸イオンとともに除去され失われており、さらに、マグネシウムイオンの除去性も硫酸イオンほど高くないため、前述したようなおいしいミネラル水の成分を得ることは容易でない。そして、海水を逆浸透膜やナノろ過膜で処理する場合は、膜のファウリングによる性能低下を防止するためにさらなる前処理が必要とされるが(特許文献3)、このように膜処理とは別に前処理を施しコストがかかっている被処理水中のミネラル分、特にカルシウム分を70%以上も失うことは、製造コストの面から大きな問題である。
特開2002−113465号公報(請求項等) 特開2002−292248号公報(請求項等) 特開平08−108048号公報(第0039段落)
本発明は、硫酸イオンを除去しつつ、ミネラル分、特にマグネシウムに比べて海水中の溶存量が少ないカルシウムの濃度を高めることができるミネラル液の製造方法および製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、ミネラル成分を含む原液から少なくとも硫酸イオンを除去する第1の工程と、第1の工程から得られた処理液を濃縮する第2の工程と、第2の工程で得られた濃縮液からさらに硫酸イオンを除去する第3の工程とを備え、第1の工程および第3の工程においては、硫酸イオンを70%以上、かつ、カルシウムイオンを30%以下の範囲内で除去し、さらに、第2の工程においては、カルシウムイオンを80%以上、かつ、ナトリウムイオンを30%以下の範囲内で除去するミネラル液の製造方法を特徴とするものである。
このとき、第2の工程において、液体分離膜を用い、カルシウムの阻止率RCaとナトリウムの阻止率RNaとの比r1=RCa/RNaが予め設定した値r10を下回った場合に液体分離膜の運転圧力を低減することが好ましく、r10≧3であることがさらに好ましい。また、第1の工程および第3の工程の少なくとも一方において、液体分離膜を用い、かつ、硫酸イオンの阻止率RSO4とカルシウムイオンの阻止率RCaとの比r1=RSO4/RCaが予め設定した値r20を下回った場合に液体分離膜の運転圧力を低減することが好ましく、r20≧3であること、さらにはr20≧6であることも好ましい。そして、原水として、深度200m以深から採取した海洋深層水を用いることも好ましい。
また、本発明は、ミネラル成分を含む原液から少なくとも硫酸イオンを除去する第1の手段と、第1の手段から得られた処理液を濃縮する第2の手段と、第2の手段で得られた濃縮液からさらに硫酸イオンを除去する第3の手段とを備え、第1の手段および第3の手段は、硫酸イオンの阻止率が70%以上で、かつ、カルシウムの阻止率が30%以下であり、第2の手段は、カルシウムの阻止率が80%以上で、かつ、ナトリウムの阻止率が30%以下であるミネラル液の製造装置を特徴とするものである。
このとき、第1の手段および第3の手段は、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで分離処理した場合、硫酸イオンの阻止率が70%以上で、かつ、カルシウムイオンの阻止率が30%以下である液体分離膜を備えていることや、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力3MPaで分離処理した場合のTDS阻止率R3と、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで分離処理した場合の塩素イオン阻止率R1との比率が、次の関係式を満足する液体分離膜を備えていることが好ましい。
1/R3≦0.5
また、第1の手段、第2の手段および第3の手段の少なくとも一つは、分離機能層とその分離機能層の支持層とを有する液体分離膜を備え、分離機能層は、ピペラジンまたはその同族体を主成分とし、かつ、次の[I]または[II]で示される酸成分を構成成分として含有していることが好ましい。
Figure 2004237280
Figure 2004237280
さらに、前記分離機能層が、次の[III]に示される成分を構成成分として含有していることも好ましい
Figure 2004237280
また、第1の手段および第3の手段の少なくとも一つが、濃度1mM、pH7のNaCl水溶液においてアニオン性を示す液体分離膜を備えているも好ましい。
本発明により、硫酸イオンを除去しつつ、ミネラル分、特にマグネシウムに比べて海水中の溶存量が少ないカルシウムの濃度を高めることができる。これにより、おいしいミネラル水の元になるミネラル液を低コストで製造することが可能となる。
以下に、本発明に係るミネラル液の製造装置および製造方法について、図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、海水からミネラル水を製造するミネラル液製造装置のフロー図である。ミネラル液製造装置は、原水タンク1と、原水を処理する一段目モジュール3と、一段目モジュール3の透過水を処理する二段目モジュール7と、二段目モジュール7の濃縮水を処理する三段目モジュール11と、三段目モジュール11の透過水(ミネラル液)を貯留するミネラル液タンク13とを備え、各モジュールの上流側に、被処理水を昇圧するための昇圧ポンプ2、6、10を配設している。
ここで、一段目モジュール3および三段目モジュール11は、なるべく硫酸イオン阻止率が高く、ミネラル、とくに海水中の含有量が少ないカルシウムイオンの阻止率が低くなるように構成する。具体的には、一段目モジュール3および三段目モジュール11は、硫酸イオン阻止率が70%以上、カルシウムイオン阻止率が30%以下となるように、好ましくは、硫酸イオン阻止率が80%以上でカルシウムイオン阻止率が20%以下となるように構成する。なお、ここで述べるところの阻止率は、(1−透過水濃度/原水入口濃度)から算出される値であり、陽イオン濃度はICP発光分析装置によって、陰イオン濃度はイオンクロマトグラフによって測定することができる。
このように構成することで、一段目モジュール3では、カルシウムイオンの除去率を低く抑えつつ硫酸イオンを除去、すなわち、濃縮側で硫酸イオンを濃縮・除去しつつ透過側でカルシウムイオンを効率良く回収することができる。その結果、二段目モジュール7に送られる液の硫酸イオン濃度を低く抑えることができ、二段目モジュール7において、スケール析出を阻止しながらカルシウムイオンを効率よく濃縮することが可能となる。さらに、三段目モジュール11において、一段目モジュール3と同様に硫酸イオンを濃縮しながらカルシウムイオンを透過させ、最終的に三段目モジュール11の透過水から硫酸イオン濃度を低減したバランスのよいミネラル液を得ることができる。
これは、運転条件を適正化することでも達成可能ではあるが、一段目モジュール3および三段目モジュール11に、濃度1mM、pH7のNaCl水溶液においてアニオン性を示す液体分離膜膜、さらには表面電位が−10mV以下であるアニオン性の液体分離膜を用いることが好ましい。すなわち、アニオン性膜を用いれば、膜が有する荷電による電気的反発力によって二価の陰イオンである硫酸イオンの除去率を上げ、一方で、二価の陽イオンであるカルシウムイオンの除去率を下げることができ、より高い硫酸イオン/カルシウムイオン分離性を発揮することができる。具体的には、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで濾過した場合、硫酸イオンの阻止率が70%以上で、かつ、カルシウムイオンの阻止率が30%以下の性能を有する液体分離膜を用いることが好ましい。なお、TDS濃度は、液体を150℃で蒸発乾固させて析出した全蒸発残留物量から得ることができる。
細孔の大きさとしては、限外ろ過膜(一般に、細孔径が100m以下で1nm以上程度)もしくはナノろ過膜を適用することが可能であるが、細孔が大きくなると分離能力を荷電に頼ることになり、高イオン濃度である海水の処理で高い分離性を発現する運転条件が非常に限られてくる。したがって、細孔がよりちいさいナノろ過膜を適用するのが好ましい。ナノろ過膜は細孔径が1nm以下で、分子量が200〜1000程度の分子を分離するものであると一般的に定義されているが、ナノ濾過膜の中でも、細孔分布がシャープな膜、具体的には、細孔径dに対して細孔径の標準偏差がd/3以下である膜が好ましい。このような膜としては、たとえば脂肪族系のポリアミド複合膜が挙げられが、中でも、ピペラジンまたはその同族体を主成分としかつ次式[I]および/または[II]で示される酸成分を構成成分として含有する架橋ポリアミド複合膜が好ましい。
Figure 2004237280
Figure 2004237280
そして、さらに分画特性をシャープにするために、上記酸成分に加えて次の[III]に示される成分を構成成分として含有するものも好ましい。
Figure 2004237280
なお、ここでいう細孔径は、様々な分子量のデキストランとグルコースなどの糖を用いて膜分離試験を行って実際に得られた分画分子量分布から、次のStokes-Einstein式によって求めることができる値である。
d=kT/12πμD
ただし、k:ボルツマン定数
T:絶対温度
μ:粘度
D:溶質拡散係数(実測値もしくは推算式)
ナノ濾過膜は、細孔サイズが比較的小さなもの(分画分子量が1000Da未満)の場合、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を用い、キャスト相分離法、界面重縮合法、延伸法などによって製膜することができる。また、細孔サイズが比較的大きなもの(分画分子量が1000Da以上)の場合には、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリ6フッ化プロピレンなどの有機材料や、アルミナ、ジルコニア、シリカなどの無機材料を用い、相分離法や溶融延伸法などの方法で製膜することができる。
さらに、これらの膜を表面修飾することによって、所望の細孔径、細孔構造、表面特性を有する膜としてもよい。
一方、二段目モジュール7は、スケールの原因となる硫酸イオンが既にある程度除去された水を処理するものであり、また、ミネラル分を濃縮することを目的とするものであるので、カルシウムイオンを80%以上、かつ、ナトリウムイオンを30%以下の範囲内で除去するように構成する。好ましくは、カルシウムイオンを85%以上、かつ、ナトリウムイオンを20%以下の範囲内で除去するように構成する。さらに、運転条件を適正化することでも上述の運転を達成することが可能ではあるが、ミネラル分、特にカルシウムイオンを濃縮回収するため、このカルシウムイオン等の阻止率が高い液体分離膜を用いて達成することが好ましく、具体的には、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで濾過した場合、カルシウムイオンの阻止率が80%以上で、かつ、ナトリウムイオンの阻止率が30%以下の性能を有する液体分離膜を用いることが好ましい。
細孔の大きさとしては、一段目モジュール3および三段目モジュール11に好適な液体分離膜と同様に、限外ろ過膜(一般に、細孔径が100nm以下で1nm以上程度)もしくはナノろ過膜を好適に用いることが可能であるが、一段目モジュール3および三段目モジュール11よりも小さなイオンを阻止する必要があるため、一段目モジュール3および三段目モジュール11の液体分離膜よりも細孔が小さいか膜荷電が大きいことが必要になる。好ましくは、分離能力を荷電に頼ると、高イオン濃度である海水の処理で高い分離性を発現する運転条件が非常に限られてくるため、細孔が一段目モジュール3および三段目モジュール11の液体分離膜よりも小さい膜である。
細孔径分布に関しても、一段目モジュール3および三段目モジュール11の液体分離膜と同様、分布がシャープな膜、具体的には、細孔径dに対して細孔径の標準偏差がd/3以下である膜が好ましい。このような膜としては、たとえば脂肪族系のポリアミド複合膜が挙げられが、中でも、ピペラジンまたはその同族体を主成分としかつ次式[I]および/または[II]で示される酸成分を構成成分として含有する架橋ポリアミド複合膜が好ましい。
Figure 2004237280
Figure 2004237280
そして、さらに分画特性をシャープにするために、上記酸成分に加えて次の[III]に示される成分を構成成分として含有するもの好ましい。
Figure 2004237280
なお、一段目モジュール3、二段目モジュール7および三段目モジュール11は、いずれも、上述のとおり、ピペラジンまたはその同族体を主成分としかつ上式[I]および/または[II]で示される酸成分、さらには[III]で示される成分を構成成分として含有する架橋ポリアミド複合膜が好ましいが、いずれか一つもしくは二つのモジュールにおいてこのような液体分離膜を採用するのでもよい。
上述の一段目モジュール3および三段目モジュール11に加えて二段目モジュール7をこのように構成することで、スケール析出を阻止しながらカルシウムイオンを高度に濃縮することができる。また、塩分まで阻止すると膜面浸透圧が大きくなり、所要圧力エネルギーが大きくなるが、二段目モジュール7においてはナトリウムイオンを30%以下の範囲内で除去するだけであるので、塩分が透過側に抜け出て実質的な脱塩を行いながらミネラル濃縮が可能となる。
なお、一段目モジュール3、二段目モジュール7および三段目モジュール11を構成する上述の膜としては、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する複合膜などを用いることができる。また、その膜形態としては中空糸膜、管状膜、平膜などがあるが、いずれのモジュールも、原水流路における滞留部分がなく、汚染のおそれが少ない、平膜をスパイラル状に巻囲したスパイラル型とすることが好ましい。管状膜や中空糸膜を用いる場合は、濃縮水を活用する二段目モジュール7については内圧式で、また、透過水を用いる一段目モジュール3および三段目モジュール11については、外圧式で用いることが、汚染のおそれが少ないため好ましい。
前述の本発明の装置において、前処理を施された海水は、原水タンク1に蓄えられ、昇圧ポンプ2によって一段目モジュール3に送られる。一段目モジュール3には、たとえば硫酸イオンの阻止率が高く、カルシウムイオンの阻止率が低い分離膜を用いているので、主に硫酸イオンが分離され(第1の工程)、硫酸イオン濃度が低下した透過水5が、再度昇圧ポンプ6によって昇圧されて二段目モジュール7に供給される。二段目モジュール7においては、たとえば、硫酸イオンとカルシウムイオンの阻止率が高く、ナトリウムイオンの阻止率が低い分離膜を用いているので、主にミネラル分が濃縮され(第2の工程)、ミネラル分が濃縮された濃縮水8が、さらに昇圧され三段目モジュール11に供給される。三段目モジュール11においては、一段目モジュール3と同様の硫酸イオンの阻止率が高く、カルシウムイオンの阻止率が低い分離膜を用いているので、硫酸イオン濃度がさらに低減され(第3の工程)、その透過水がミネラル液タンク13に貯留される。
このように、本発明においては、事前に海水等原水の硫酸イオン濃度を下げることによってミネラル分濃縮時のスケール発生を抑えつつ、さらに、ミネラル分濃縮後の硫酸イオン濃度も低減させることができる。
このとき、分離膜モジュールのイオン分離性能は運転方法によって変化する。すなわち、操作圧力を下げることで、特定イオンの阻止率を維持したまま別の特定イオンの阻止率を下げることができる。したがって、本発明においては、第2の工程において、カルシウムの阻止率RCaとナトリウムの阻止率RNaとの比r1=RCa/RNaが予め設定した値r10を下回った場合に液体分離膜の運転圧力を低減することが好ましい。また、同様の理由から、第1および第3の工程において、硫酸イオンの阻止率RSO4とカルシウムイオンの阻止率RCaとの比r1=RSO4/RCaが予め設定した値r20を下回った場合に分離膜の運転圧力を低減することも好ましい。このように運転圧力を制御することで、より効率の高い液体分離が可能になる。このような運転方法は、特に膜性能の変化や原水条件の変化などにフレキシブルに対応できるという点で優れている。そして、本発明において求めるところの高い分離性能を発揮するためには、設定値r10およびr20の値としては、3以上であることが好ましく、より高効率で液体分離を行うためにはr20≧6とすることが好ましい。こうすることで、第1の工程で硫酸イオンを高度に除去しつつ、カルシウムイオンできるだけ透過させることがで、第2,第3の工程の負荷を低減できる。
さらに、第1および第3の手段では、ミネラル分を失わない目的からとくに硫酸イオンとカルシウムイオンの分離比を維持することが重要であり、前述のようにr20を設定する運転方法が適用できる硫酸イオン除去用膜としては、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力3MPaで分離処理した場合のTDS阻止率R3と、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで分離処理した場合の塩素イオン阻止率R1との比率がR1/R3≦0.5を満足するものである。
また、各段のモジュールの運転圧力については特に制約があるものではなく、独立した圧力で運転することが可能であるが、二段目モジュール7は、通常、一段目モジュール3および三段目モジュール11よりも細孔が小さくなるために透水性が低下する。そのため、二段目モジュール7は、透水性を上げるために一段目モジュール3および三段目モジュール11よりも高圧で運転することが多く、この場合は昇圧ポンプ10が不要となる。
なお、本発明に係る装置は、次のように変形実施することも可能である。すなわち、図2〜4に示すように、昇圧ポンプ2、6、10にターボチャージャを設け、一段目や三段目の濃縮水4、12の圧力を利用して各段のモジュールの被処理水を昇圧したり、二段目モジュール7の運転圧力を他のモジュールよりも高圧にする場合には、図4に示すように、昇圧ポンプ10による昇圧を省略するとともに、少なくとも昇圧ポンプ2にターボチャージャを設け濃縮水12の圧力を利用して一段目モジュールの被処理水を昇圧してもよい。また、本発明は、図5に示すように、逆浸透膜15を用いた海水淡水化プラントからの濃縮水を原水として利用してもよい。この場合、濃縮海水が圧力エネルギーを持っているため、昇圧ポンプ2を省略するとともに、逆浸透膜15の濃縮海水17の圧力によって昇圧ポンプ6をアシストして透過水5を昇圧することもできる。一般に海水淡水化プラントの濃縮水圧力は本発明における3つの工程で必要な圧力エネルギーよりも高いので、エネルギーコストを抑えた運転が可能となる。
さらに、本発明においては、前処理としてカートリッジフィルターやpH調整などを設けたり、後処理として電気透析法や晶析法などの脱塩処理を行ったり、純水との混合装置を設けてもよい。
本発明に適した原水は、特に限定されるものではないが、効率的にミネラル分を濃縮できることから高濃度である海水やかん水が適している。なかでも、一般に200m以深の海水を意味する海洋深層水は、表層海水に比べて汚染が少なく、ミネラル水の製造に適しており、本発明の適用に好ましいものである。
<実施例1>
図1に示したフローで、東レ(株)愛媛工場近海の海水を原水としてミネラル液を製造した。 原水、一段目モジュール3および三段目モジュール11で得られた透過水ならびに二段目モジュール7で得られた濃縮水の水質を表1に示す。
なお、原水流量は30m3/日、原水温度は25℃、操作圧力は1段目モジュール3が2.6MPa、2段目モジュール7が1.5MPa、3段目モジュール11が0.8MPaであった。また、一段目モジュール3としては、東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610(外径10cm、全長1m)4本を直列して圧力容器に装填したモジュール1系列、二段目モジュール7としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610を2本直列して圧力容器に装填したモジュール1系列、三段目モジュール11としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610エレメント4本を圧力容器に装填したモジュール1系列を用いた。
また、TDS濃度は、150℃で液を蒸発乾燥して得られた全蒸発残留物量から得、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンはICP発光分析装置、また、硫酸イオンはイオンクロマトグラフによって測定した。
Figure 2004237280
この結果、3段目モジュール11の透過水(ミネラル液)は、硫酸イオン濃度を十分に下げつつ、カルシウムイオンを高濃度に維持しながらマグネシウムイオン濃度が低いという成分比に優れたミネラル液であった。そのため、このミネラル液を脱塩して希釈すれば、おいしいミネラル水を得ることができ、そのまま脱水すれば、成分比に優れた食用塩を得ることができる。
<実施例2>
実施例1と同じフロー、同じ原水を用い、ミネラル液を製造した。水質を表2に示す。
なお、原水流量は30m3/日、原水温度は25℃、操作圧力は1段目モジュール3が2.2MPa、2段目モジュール7が0.7MPa、3段目モジュール11が1.5MPaであった。また、一段目モジュール3としては、東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610(外径10cm、全長1m)3本を直列して圧力容器に装填したモジュール2系列、二段目モジュール7としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610を90℃で7時間熱処理して阻止性能を向上させたエレメント3本を圧力容器に装填したモジュール3系列、三段目モジュール11としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610を6本圧力容器に装填したモジュール1系列を用いた。
Figure 2004237280
<実施例3>
実施例1と同じフロー、同じ原水を用い、ミネラル液を製造した。水質を表3に示す。
なお、原水流量は30m3/日、原水温度は25℃、操作圧力は1段目モジュール3が2.2MPa、2段目モジュール7が2.2MPa、3段目モジュール11が1.7MPaであった。また、一段目モジュール3としては、東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610(外径10cm、全長1m)3本を直列して圧力容器に装填したモジュール2系列、二段目モジュール7としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610を90℃で7時間熱処理して阻止性能を向上させたエレメント4本を圧力容器に装填したモジュール1系列、三段目モジュール11としては東レ(株)製スパイラル型ナノ濾過膜エレメントSU−610を4本圧力容器に装填したモジュール1系列を用いた。
Figure 2004237280
本発明は、海水から飲料用としておいしいミネラル水を製造するにあたり好適に利用できる。
本発明に係るミネラル液製造装置の一実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係るミネラル液製造装置の他の実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係るミネラル液製造装置の他の実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係るミネラル液製造装置の他の実施態様を示す概略フロー図である。 本発明に係るミネラル液製造装置の他の実施態様を示す概略フロー図である。
符号の説明
1:原水 2:昇圧ポンプ(一段目)
3:一段目モジュール 4:濃縮水(一段目)
5:透過水(一段目) 6:昇圧ポンプ(二段目)
7:二段目モジュール 8:濃縮水(二段目)
9:透過水(二段目) 10:昇圧ポンプ(三段目)
11:三段目モジュール 12:濃縮水(三段目)
13:ミネラル液タンク(三段目モジュール透過水)
14:高圧ポンプ 15:逆浸透膜
16:逆浸透膜透過水(淡水) 17:逆浸透膜濃縮水

Claims (13)

  1. ミネラル成分を含む原液から少なくとも硫酸イオンを除去する第1の工程と、第1の工程から得られた処理液を濃縮する第2の工程と、第2の工程で得られた濃縮液からさらに硫酸イオンを除去する第3の工程とを備え、第1の工程および第3の工程においては、硫酸イオンを70%以上、かつ、カルシウムイオンを30%以下の範囲内で除去し、さらに、第2の工程においては、カルシウムイオンを80%以上、かつ、ナトリウムイオンを30%以下の範囲内で除去することを特徴とするミネラル液の製造方法。
  2. 第2の工程において、液体分離膜を用い、カルシウムの阻止率RCaとナトリウムの阻止率RNaとの比r1=RCa/RNaが予め設定した値r10を下回った場合に液体分離膜の運転圧力を低減する、請求項1に記載のミネラル液の製造方法。
  3. 10≧3である、請求項2に記載のミネラル液の製造方法。
  4. 第1の工程および第3の工程の少なくとも一方において、液体分離膜を用い、かつ、硫酸イオンの阻止率RSO4とカルシウムイオンの阻止率RCaとの比r1=RSO4/RCaが予め設定した値r20を下回った場合に液体分離膜の運転圧力を低減する、請求項1〜3のいずれかに記載のミネラル液の製造方法。
  5. 20≧3である、請求項4に記載のミネラル液の製造方法。
  6. 20≧6である、請求項4に記載のミネラル液の製造方法。
  7. 原水として、深度200m以深から採取した海洋深層水を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載のミネラル液の製造方法。
  8. ミネラル成分を含む原液から少なくとも硫酸イオンを除去する第1の手段と、第1の手段から得られた処理液を濃縮する第2の手段と、第2の手段で得られた濃縮液からさらに硫酸イオンを除去する第3の手段とを備え、第1の手段および第3の手段は、硫酸イオンの阻止率が70%以上で、かつ、カルシウムの阻止率が30%以下であり、第2の手段は、カルシウムの阻止率が80%以上で、かつ、ナトリウムの阻止率が30%以下であることを特徴とするミネラル液の製造装置。
  9. 第1の手段および第3の手段は、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで分離処理した場合、硫酸イオンの阻止率が70%以上で、かつ、カルシウムイオンの阻止率が30%以下である液体分離膜を備えている、請求項8に記載のミネラル液製造装置。
  10. 第1の手段および第3の手段は、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力3MPaで分離処理した場合のTDS阻止率R3と、TDS濃度3.5wt%、温度25℃、pH7の海水を操作圧力1MPaで分離処理した場合の塩素イオン阻止率R1との比率が、次の関係式を満足する液体分離膜を備えている、請求項8または9に記載のミネラル液の製造装置。
    1/R3≦0.5
  11. 第1の手段、第2の手段および第3の手段の少なくとも一つは、分離機能層とその分離機能層の支持層とを有する液体分離膜を備え、分離機能層は、ピペラジンまたはその同族体を主成分とし、かつ、次の[I]または[II]で示される酸成分を構成成分として含有している、請求項8〜10のいずれかに記載のミネラル液の製造装置。
    Figure 2004237280
    Figure 2004237280
  12. 前記分離機能層が、さらに次の[III]に示される成分を構成成分として含有している、請求項11に記載のミネラル液の製造装置。
    Figure 2004237280
  13. 第1の手段および第3の手段の少なくとも一つは、濃度1mM、pH7のNaCl水溶液においてアニオン性を示す液体分離膜を備えている、請求項8〜12のいずれかに記載のミネラル液の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007217356A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Wamiles Cosmetics Kk 海洋深層水濃縮物含有組成物及びその製造方法
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