JP7117718B2 - 水処理方法および水処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、水処理方法および水処理システムに関する。
従来、水処理分野においては、逆浸透(RO:reverse osmosis)工程による淡水化方法が広く知られている。一方、正浸透(FO:forward osmosis)現象は、低濃度側の溶媒(水など)が高濃度側の溶液に向かって移動する現象のことである。
膜分離工程は、人為的に高い圧力を高濃度の対象溶液に加えることにより、正浸透とは逆に高濃度の対象溶液(海水など)から低濃度の溶液(水など)側に水を移動させる工程である。これにより、例えば、対象溶液から水を生産することができる。膜分離工程は高い圧力を必要とするため、エネルギー消費量が極めて多く、エネルギー効率が低い。そこで、近年、水処理のエネルギー効率を高めるために、人為的に圧力を加える必要のない正浸透工程による淡水化方法が検討されている。
ここで、正浸透用の高張液である誘導溶液(ドロー溶液)の溶質(ドロー溶質)として、近年、ドロー溶液からのドロー溶質の回収が容易であり、再利用可能な点で、温度変化によって水との相溶状態が可逆的に変化するドロー溶質(温度応答性ドロー溶質)が注目されている。
特許文献1(特表2014-512951号公報)には、加熱(温度上昇)により溶解度が低下するドロー溶質を用いた正浸透処理を含む、水処理方法が開示されている。なお、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質(下限臨界共溶温度(LCST)型ドロー溶質)を用いる場合、温度を上昇させることにより、ドロー溶液を低濃度画分(低濃度ドロー溶液)と高濃度画分(高濃度ドロー溶液)とに相分離させることはできるが、多くの場合、温度上昇だけでは水とドロー溶質とを完全に分離することはできない。
このため、図8を参照して、正浸透モジュール1での正浸透処理によって、希釈されたドロー溶液を加熱等によって、分離槽3で低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに相分離させた後、分離膜モジュール2で低濃度ドロー溶液を膜分離処理することにより、水を回収している(ドロー溶質を分離している)。なお、ドロー溶液の温度を上昇させるための熱エネルギーが必要であるが、他の設備等の廃熱を利用することで、熱エネルギーの消費によるコスト面への影響は比較的小さい。
特表2014-512951号公報
しかしながら、低濃度ドロー溶液は数質量%~数十質量%程度のドロー溶質を含んでいる場合が多く、この低濃度ドロー溶液を膜分離によって水とドロー溶質とに分離するためには、膜分離において高い圧力を加える必要があり、加圧のための多くのエネルギーが必要になる。このため、水処理のエネルギー効率を十分に向上させることができず、水処理のコストを十分に低下させることが難しいという問題があった。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、ドロー溶質を低エネルギーでドロー溶液から分離でき、水処理のエネルギー効率をさらに高めることのできる、水処理方法および水処理システムを提供することである。
[1]
正浸透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、
正浸透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させることで、
対象溶液中に含まれる水を、正浸透膜を通してドロー溶液に移動させる、正浸透工程と、
正浸透工程の後に、ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離する、相分離工程と、
分離膜を用いて、低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離する、膜分離工程と、を含み、
膜分離工程の温度は、正浸透工程の温度よりも高いことを特徴とする、水処理方法。
[2]
ドロー溶質は、温度上昇により浸透圧が低下する、[1]に記載の水処理方法。
[3]
膜分離工程の温度は40℃以上である、[1]または[2]に記載の水処理方法。
[4]
正浸透工程の温度は40℃未満である、[1]~[3]のいずれかに記載の水処理方法。
[5]
相分離工程において、ドロー溶液は40℃以上の温度に上昇する、[1]~[4]のいずれかに記載の水処理方法。
[6]
[1]~[5]のいずれか1項に記載の正浸透水処理方法に用いられる正浸透水処理システムであって、
正浸透膜、正浸透膜の一方の面に対象溶液を接触させるために設けられた第1室、および、正浸透膜の他方の面にドロー溶液を接触させるために設けられた第2室を含む、正浸透モジュールと、
ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽と、
低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離するための分離膜と、を備える、水処理システム。
本発明によれば、ドロー溶質を低エネルギーでドロー溶液から分離でき、水処理のエネルギー効率をさらに高めることのできる、水処理方法および水処理システムを提供することができる。
本発明に係る水処理システムの一例を示す模式図である。 本発明に係る水処理システムの別の例を示す模式図である。 本発明で用いられるドロー溶質の一例(PPG400)の相分離曲線を示す図である。 本発明で用いられるドロー溶質の一例(PPG400)の浸透圧特性を示す図である。 本発明で用いられるドロー溶質の別の一例([N4444][TMBS])の相分離曲線を示す図である。 本発明で用いられるドロー溶質の別の一例([N4444][TMBS])の浸透圧特性を示す図である。 本発明の水処理方法の各工程を示すフロー図である。 従来の水処理方法の一例を示す模式図である。 DSとしてPPG400を20質量%で用いた際、DS側に圧力を印加し、逆浸透処理した場合の印加圧力と透水フラックスとの関係を示すグラフである。
<水処理方法>
本発明の水処理方法は、対象溶液(水と水以外の成分を含む液)から水を分離する方法である。対象溶液としては、例えば、海水、河川水、湖沼水、工業廃水などが挙げられる。
図7を参照して、本発明の水処理方法は、以下に説明する正浸透工程と、相分離工程と、膜分離工程と、を少なくとも含む。
[正浸透工程]
正浸透工程では、正浸透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、正浸透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させる。これにより、対象溶液中に含まれる水を、正浸透膜を通してドロー溶液に移動させる。
正浸透膜(半透膜)としては、特に限定されず、正浸透に用いることのできる種々の膜を使用できる。
半透膜としては、例えば、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)、正浸透膜(FO膜:Forward Osmosis Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)と呼ばれる半透膜が挙げられる。半透膜は、好ましくは逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜である。なお、半透膜として逆浸透膜または正浸透膜、ナノろ過膜を用いる場合、第1室内の対象溶液の圧力は、好ましくは0.01~10MPaである。
通常、RO膜およびFO膜の孔径は約2nm以下であり、UF膜の孔径は約2~100nmである。NF膜は、RO膜のうちイオンや塩類の阻止率が比較的低いものであり、通常、NF膜の孔径は約1~2nmである。半透膜としてRO膜またはFO膜、NF膜を用いる場合、RO膜またはFO膜、NF膜の塩除去率は好ましくは90%以上である。
半透膜を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。半透膜は、セルロース系樹脂およびポリスルホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成されることが好ましい。
セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましくは三酢酸セルロースである。セルロース系の半透膜としては、例えば、CTA(東洋紡株式会社製)が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルスルホンである。
半透膜の形状としては、特に限定されないが、例えば、平膜、スパイラル膜または中空糸膜が挙げられる。中空糸膜(中空糸型半透膜)は、スパイラル型半透膜などに比べて、膜厚が小さく、さらにモジュール当たりの膜面積を大きくすることができ、浸透効率を高めることができる点で有利である。
(ドロー溶質)
本発明に用いられるドロー溶質は、温度上昇により溶解度が低下する物質であれば、特に限定されない。なお、このような溶解度の低下は可逆的であり、逆に温度が低下すれば、溶解度が増加することが好ましい。
このようなドロー溶質としては、例えば、LCST(下限臨界共溶温度)型相転移物質が挙げられる。一般に、LCST型相転移物質を含む水溶液は、溶液温度の上昇に伴い溶質の脱水和が生じ、溶質分子の凝集により温度相転移(液-液相分離)を生じると考えられている。なお、相転移温度以下の温度域(LCST曲線以下の均一相領域)においても多分子会合を形成しているため、相転移温度以下の温度域でも、温度上昇により溶液の浸透圧が低下すると考えられる。
LCST型相転移物質としては、例えば、LCST型の温度応答性高分子が挙げられる。LCST型の温度応答性高分子は、比較的低温では水に溶解し、温度が所定の温度(固有の下限臨界共溶温度:LCST)以上になると、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)とに相分離する。
LCST型の温度応答性高分子は、少なくとも一部または全部の構造単位(モノマー単位)において少なくとも1つの親水性基を有することが好ましい。また、温度応答性高分子は、親水性基を有しつつ、一部の構造単位において疎水性基を有していてもよい。なお、温度応答性高分子が、温度応答性を有するためには、分子中に含まれる親水性基と疎水性基のバランスが重要であると考えられている。
親水性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アセチル基、アルデヒド基、エーテル結合、エステル結合などが挙げられる。
具体的な温度応答性高分子としては、例えば、ポリビニルエーテル系ポリマー、ポリ酢酸ビニル系ポリマー、(メタ)アクリル酸系ポリマーなどが挙げられる。
ポリビニルエーテル系ポリマーとしては、ポリメチルビニルエーテル、オキシエチレン鎖を有するビニルエーテル、ポリヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
具体的なポリビニルエーテル系ポリマーとしては、例えば、表1に示すポリマーが挙げられる。なお、表1に示す相転移温度は、水溶液中での下限臨界共溶温度(LCST)である。
Figure 0007117718000001
表1中に記載の参考文献1~4は、次のとおりである。
参考文献1:日本ゴム協会誌、第63巻、第1号、29-39(1990)。
参考文献2:Journal of Polymer Science Part A:polymer Chemistry Vol.30,2407-2413(1992)。
参考文献3:Journal of Polymer Science Part A:polymer Chemistry Vol.41,3300-3312(2003)。
参考文献4:Macromolecules ,36,8312-8319(2003)。
ポリ酢酸ビニル系ポリマーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル部分けん化物などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸系ポリマーとしては、例えば、オキシエチレン鎖を有するポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸系共重合体などが挙げられる。
上記以外のLCST型の温度応答性高分子としては、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)が挙げられる。PPG(分子量400、ジオール型)の相分離特性および浸透圧特性を、それぞれ図3および図4に示す。図3においては、PPGが、例えば、約70℃の水溶液中で、約15質量%の低濃度相と、約80質量%の高濃度相と、に相分離することが示されている。また、図4から、PPGは、温度が高い程、浸透圧が低くなることが分かる。
図9は、温度応答性のドロー溶液が20質量%のポリプロピレングリコール(分子量400、PPG400)溶液の場合で、ドロー溶液側に圧力を印加し、逆浸透処理した場合の透水フラックスの値を、異なる温度(25℃および60℃)について示している。図9において、透水量が0となる印加圧力(横軸の切片)は、温度が25℃の場合は19barであり、温度が60℃の場合は11barであり、ドロー溶液の濃度が同じであるにもかかわらず、温度の上昇により、透水量がゼロとなる圧力が低下している。これは、PPG400の浸透圧が温度により変化することを示している。例えば、25℃の場合、25barの圧力で得られる透水フラックスは約2L/(m・H)であるが、これは、60℃の場合の約12barの圧力で得られる透水フラックスに相当し、同じ透水フラックスが得られる印加圧力を大幅に下げることが出来ることを示している。
LCST型の温度応答性高分子の製品としては、例えば、ポリオキシプロピレンとポリオキシエチレンのブロック共重合体であるプルロニック(BASF社製)が挙げられる。
LCST型の温度応答性高分子以外のLCST型相転移物質としては、例えば、LCST型イオン液体、グリコールエーテル系のLCST型相転移物質、酸アミド系のLCST型相転移物質、アミン系のLCST型相転移物質などが挙げられる。
LCST型イオン液体としては、例えば、
テトラブチルアンモニウム-2,4,6-トリメチルベンゼンスルフォネート(N4444-TMBS)、
テトラブチルアンモニウム-トリフルオロアセテート(N4444-CF3COO)、
テトラブチルホスホニウム-2,4,6-トリメチルベンゼンスルフォネート(P4444-TMBS)、
テトラブチルホスホニウム-トリフロロアセテート(P4444-CF3COO)
などが挙げられる。
グリコールエーテル系のLCST型相転移物質としては、例えば、
ジエチレングリコールヘキシルエーテル、
プロピレングリコールブチルエーテル、
ジプロピレングリコールプロピルエーテル、
エチレングリコールn-ブチルエーテル、
エチレングリコールn-ペンチルエーテル、
ジエチレングリコールn-ペンチルエーテル、
エチレングリコール2-メチル-1-ブチルエーテル、
ジエチレングリコール2-メチル-1-ブチルエーテル、
エチレングリコールn-ヘキシルエーテル、
トリエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、
エチレングリコールn-ヘプチルエーテル、
ジエチレングリコールn-ヘプチルエーテル、
トリエチレングリコールn-ヘプチルエーテル、
プロピレングリコールn-プロピルエーテル、
トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、
ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、
トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル
などが挙げられる。
酸アミド系のLCST型相転移物質としては、例えば、
N,N-ビス(2-ブチラミドエチル)ブチラミド(nBu-DETA)
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)ペンタナミド(Val-DEEA)
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)イソブチラミド(iBu-DEEA)
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ジブチラミド(nBu-DAPMA)
N,N’-((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ジペンタナミド(Val-DAPMA)
N-ブチルプロピオナミド(N-BPA)
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)ブチラミド(nBu-DIPA)
N-ブチル化ポリエチレンイミン(nBu-PEI)
などが挙げられる。
アミン系のLCST型相転移物質としては、例えば、
トリエチルアミン、
N-エチルピペリジン、
2-メチルピペリジン、
N-メチルピペリジン
などが挙げられる。
4444-TMBSの相分離特性および浸透圧特性を、それぞれ図5および図6に示す。図5においては、N4444-TMBS([N4444][TMBS])が、例えば、約70℃の水溶液中で、約12質量%の低濃度相と、約65質量%の高濃度相と、に相分離することが示されている。また、図6から、N4444-TMBSは、温度が高い程、浸透圧が低くなることが分かる。なお、図5において、70℃で相分離した低濃度相(約12質量%)の浸透圧は、図6から室温(25℃)において約4.6barであり、40℃において約3.1barである。
本発明者らは、上記のドロー溶質(LCST型相転移物質)について、実際の浸透圧を測定する方法を構築し、その測定結果から、温度上昇によりその水溶液(ドロー溶液)の浸透圧が低下することを見出した。なお、温度上昇によりその水溶液(ドロー溶液)の浸透圧が低下する理由は、以下のように推測される。
本発明で用いられるドロー溶質(DS)は、低温では、溶媒(水)中において、溶媒和(水和)している。ドロー溶液の温度上昇に伴い、DS分子の脱水和が生じる場合、溶媒分子(水分子)とDS分子の間の相互作用と比較して、DS分子同士の相互作用が相対的に強く働き、DS分子は会合体(凝集体)を形成すると考えられる。
ファントホッフの式(π=cRT)で表されるように、理想溶液の浸透圧π[bar]は、溶質モル濃度c[mol・L-1]、気体定数R[bar・L・K-1・mol-1]、および絶対温度T[K]に比例する。溶質モル濃度は、全溶質粒子の質量モル濃度であるため、溶質粒子の会合体が生じると、計算上の溶質モル濃度は減少する。このため、会合体の形成によって、溶液の浸透圧が低下すると考えられる。
膜分離工程に供されるドロー溶液(昇温後)の浸透圧は、好ましくは0.01~2MPaであり、より好ましくは0.01~1MPaである。
図1を参照して、正浸透膜10の一方の面に接して設けられた第1室11内に、対象溶液(FS:フィード溶液)を流入させて、対象溶液を正浸透膜10の一方の面に接触させる。これと共に、正浸透膜10の他方の面に接して設けられた第2室12内に、ドロー溶質を含むドロー溶液(DS)を流入させて、ドロー溶液を正浸透膜10の他方の面に接触させる。
所定の時間、このような状態を維持することで、正浸透現象により、対象溶液中に含まれる水が、正浸透膜10を透過して第1室11から第2室12に移動する。
[相分離工程]
相分離工程では、正浸透工程の後に、ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離(相分離)する。
相分離工程におけるドロー溶液の上昇後の温度は、好ましくは40℃以上90℃以下であり、より好ましくは40℃以上85℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上80℃以下である。
対象溶液中の水を含むドロー溶液を、分離槽3内に流入させ、ここでドロー溶液の温度を上昇させることで、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)に分離させる。例えば、ドロー溶質がLCST型の温度応答性高分子を含む場合は、ドロー溶液の温度をLCST以上に上昇させることで、希薄相(低濃度ドロー溶液)と濃厚相(高濃度ドロー溶液)に分離させることができる。このように、ドロー溶液の温度を上昇させるために、分離槽3は加熱機構を有していることが好ましい。
[膜分離工程]
膜分離工程では、分離膜を用いて、加圧、減圧などによる圧力差を駆動力として低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質を含む濃縮液とに分離する。分離膜としては、例えば、UF膜、NF膜、RO膜などを用いることができる。
膜分離工程の温度は、正浸透工程の温度よりも高い温度が好ましい。また、相分離温度より低い温度が好ましい。膜分離工程の温度は、より好ましくは40℃以上90℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上85℃以下であり、さらにより好ましくは40℃以上80℃以下である。
なお、この膜分離工程によって分離された水を回収することで、水処理方法の目的物である水を得ることができる。得られた水には、さらに水の品質を高めるための処理が行われてもよい。
膜分離工程で分離されたドロー溶質、および、相分離工程で得られるドロー溶質を含む濃縮液(高濃度ドロー溶液)は、正浸透工程においてドロー溶液として再利用されることが好ましい。
<水処理システム>
図1は、本発明に係る水処理システムの一例を示す模式図である。
図1を参照して、上記の水処理方法に用いられる水処理システムは、
正浸透膜10、正浸透膜10の一方の面に対象溶液を接触させるために設けられた第1室11、および、正浸透膜の他方の面にドロー溶液を接触させるために設けられた第2室12を含む、正浸透モジュール1と、
ドロー溶液の温度を上昇させることで、ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽3と、
低濃度ドロー溶液を水とドロー溶質とに分離するための分離膜20(分離膜モジュール2)と、を備える。
図1に示されるように、ポンプ41~46によって、矢印の方向にFS、DSなどが流される。分離槽3は加熱機構を有している。すなわち、分離槽3の周囲には、分離槽3に供給された希釈DSの温度を上昇させて、相分離させるために、廃熱水などの温水が供給される。温水の温度は、相分離工程におけるDSの上昇後の温度の目標値に合わせて調整すればよい。
分離槽3においては、ドロー溶液(希釈DS)は、温度上昇により、低濃度DSと高濃度DSに相分離する。なお、分離槽3で分離された高濃度DSと、分離膜モジュール2で濃縮された低濃度DSは、ポンプ44によって、タンク5に送られて、一時的に貯留された後に、正浸透工程のDSとして再利用され得る。
分離膜としては、例えば、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)と呼ばれる半透膜が挙げられる。
分離膜モジュールは、高温(例えば、40℃以上)での耐熱性を有していることが好ましい。分離槽3から排出された高温の低濃度DSに対して、膜分離工程を実施できるようにするためである。
耐熱性を有する分離膜の材質としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)系樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂などが挙げられる。また、分離膜モジュールは、分離膜以外の部品も耐熱性を有しており、全体として耐熱性を有していることが好ましい。耐熱性を有する分離膜モジュールの製品としては、例えば、サーモプラス(日東電工株式会社製)、デュラサーモ(GEウォーター・テクノロジーズ社製)、ロメンブラ(登録商標)のTSシリーズ(東レ株式会社製)などが挙げられる。
また、耐熱性を有する分離膜の他の材質としては、例えば、アルミナ、シリカ等のセラミックが挙げられる。耐熱性膜用のシリカとしては、例えば、ビストリルエトキシシリルエタン由来のシリカが挙げられる(都留稔了、「多様な水源に対応できるロバストRO/NF膜の開発」、水環境学会誌、vol.36(A)、No.1、pp.8-10、2013参照)。
図2は、本発明に係る水処理システムの別の例を示す模式図である。
図2に示される水処理システムは、図1に示される水処理システムに加えて、熱交換器61,62を備えている。これにより、分離槽3から排出される低濃度DSおよび高濃度DSの廃熱を利用して、希釈DSを加熱することで、相分離工程に必要な熱エネルギーを低減し、水処理のエネルギー効率を高めることができる。
ここで、図8に示される従来の水処理システムでは、通常の水処理に用いられる分離膜モジュール2は、常温で使用されることが多いため、高温(例えば、40℃以上)での耐熱性を有していない場合が多い。このため、分離膜モジュール2は、熱交換器61より下流に設けられ、分離膜モジュール2では、温度が下降した後の低濃度DSに対して膜分離工程が行われていた。
これに対して、図2では、分離膜モジュール2(分離膜20)は、熱交換器61よりも上流側に配置されている。これにより、分離槽3から排出された高温の低濃度DSに対して、膜分離工程が行われる。本発明者らは、このようにして、浸透圧が低い高温のDSに対して膜分離工程を実施することで、膜分離工程に必要なポンプの圧力が低くなるため、ポンプに必要なエネルギーが低減され、水処理のエネルギー効率が向上することを見出した。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 正浸透モジュール、10 正浸透膜、11 第1室、12 第2室、2 分離膜モジュール、20 分離膜、3 分離槽、41~48 ポンプ、5 タンク、61,62 熱交換器。

Claims (6)

  1. 正浸透膜の一方の面を、水と水以外の成分を含む対象溶液に接触させると共に、
    前記正浸透膜の他方の面を、温度上昇により溶解度が低下するドロー溶質を含むドロー溶液に接触させることで、
    前記対象溶液中に含まれる水を、前記正浸透膜を通して前記ドロー溶液に移動させる、正浸透工程と、
    前記正浸透工程の後に、前記ドロー溶液の温度を上昇させることで、前記ドロー溶液を低濃度ドロー溶液と高濃度ドロー溶液とに分離する、相分離工程と、
    分離膜を用いて、前記低濃度ドロー溶液を水と前記ドロー溶質を含む濃縮液とに分離する、膜分離工程と、を含み、
    前記膜分離工程の温度は、前記正浸透工程の温度よりも高く、
    前記分離膜は40℃以上での耐熱性を有し、
    前記相分離工程において、前記膜分離工程で分離された水の熱を利用して、前記正浸透工程後の前記ドロー溶液の温度を上昇させ、
    前記膜分離工程で分離された前記濃縮液を、前記相分離工程に用いることなく、またさらに濃縮することなく、前記正浸透工程の前記ドロー溶液の少なくとも一部として使用する、水処理方法。
  2. 前記ドロー溶質は、温度上昇により浸透圧が低下する、請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記膜分離工程の温度は40℃以上である、請求項1または2に記載の水処理方法。
  4. 前記正浸透工程の温度は40℃未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理方法。
  5. 前記相分離工程において、前記ドロー溶液は40℃以上の温度に上昇する、請求項1~4のいずれか1項に記載の水処理方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の正浸透水処理方法に用いられる正浸透水処理システムであって、
    正浸透膜、前記正浸透膜の一方の面に前記対象溶液を接触させるために設けられた第1室、および、前記正浸透膜の他方の面に前記ドロー溶液を接触させるために設けられた第2室を含む、正浸透モジュールと、
    前記ドロー溶液の温度を上昇させることで、前記ドロー溶液を前記低濃度ドロー溶液と前記高濃度ドロー溶液とに分離するための加熱機構を有する分離槽と、
    前記低濃度ドロー溶液を水と前記ドロー溶質を含む濃縮液とに分離するための分離膜と、を備える、水処理システム。
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