JP2024004416A - 組合せ剤及び食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化等のための組合せ剤及び食品組成物の提供。【解決手段】プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化、又はBDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化のための組合せ剤。プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化、又はBDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化用の食品組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化、又はBDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化のための組合せ剤及び食品組成物に関する。
脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor; BDNF)は、神経細胞の発生や成長、維持、修復に働き、さらに学習や記憶、情動、摂食、糖代謝などにおいても重要な働きをする分泌タンパク質である。
近年、BDNFが、うつ病やアルツハイマー病患者の脳、主として海馬、大脳皮質で減少していることが確認されている。
BDNFと記憶・学習との関連をみても、空間認知の記憶・学習能力を評価する水迷路課題試験において、ラットでこの水迷路の成績と海馬におけるBDNF mRNA発現量との間に正の相関関係が報告されている。
また、BDNF発現を増加、あるいはBDNF特異的受容体を活性化させる化合物が、アルツハイマー病やうつ病等の精神疾患により低下した脳機能を改善させる可能性を示す結果が報告されている。
このように、BDNFは、脳・神経系の疾患のバイオマーカーや創薬ターゲットとして着目されている。
また、BDNFは、神経障害性疼痛の発症、摂食抑制、肥満時の糖代謝の改善、心拍数や血圧の調節にも関わっている。更には、BDNFについては、身体運動による脳BDNF mRNAの誘導も知られている。
短期投与において海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)を増加させる作用があり、短期投与による抗うつ作用が期待される物質として、特開2012-102059号公報には、トゥルーラベンダー(Lavandula angustifolia)、スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)、ラバンジン(Lavandula ×intermedia)及びオレガノ(Origanum vulgare)の抽出物並びに該植物抽出物を分画して得られる分画物が開示されている。
また特許6890810号公報には、シリンガレジノール-di-O-β-D-グルコシドを有効成分とするBDNF-TrkBシグナル伝達系活性化剤が、脳におけるBDNF産生の増加によりTrkBシグナル伝達系を活性化し、それにより神経細胞の発生、成長、維持、修復を高めることができることが開示されている。
また特開2016-210696号公報には、プラズマローゲンを含む、健常な哺乳動物に対して投与されるように用いられる、学習記憶能力増強剤として、プラズマローゲンの90質量%以上が、エタノールアミンプラズマローゲン及びコリンプラズマローゲンであり、鳥組織から抽出されたものであり、プラズマローゲンに含有される(エタノールアミンプラズマローゲン:コリンプラズマローゲン)の質量比が、(1:5)~(5:1)であるプラズマローゲンが好ましい学習記憶能力増強剤が開示されている。
更に、特開2019-162042号公報には、魚介類又は水産動物からの抽出物であって、プラズマローゲン型リン脂質を高純度に含有し、且つ、ヒ素の含量が低減された、プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物及びその製造方法に関する発明が開示されている。
特開2012-102059号公報 特許6890810号公報 特開2016-210696号公報 特開2019-162042号公報
本発明は、上記背景技術の下、BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化、又はBDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化のための組合せ剤及び食品組成物を提供することを目的とする。
本発明の組合せ剤及び食品組成物は、次のように表わすことができる。
(1) プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、組合せ剤。
(2) 上記プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の両者を共に含むことにより当該両者が同時に使用されるか、又は、上記プラズマローゲンを含む剤Aと、上記クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を含む剤Bが、時間をあけて又は同時に使用される、上記(1)記載の組合せ剤。
(3) BDNF発現増加のための上記(1)又は(2)記載の組合せ剤。
(4) BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化のための上記(1)又は(2)記載の組合せ剤。
(5) BDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化のための上記(1)又は(2)記載の組合せ剤。
(6) 上記プラズマローゲンがマボヤ又はその他のホヤ由来である上記(1)又は(2)記載の組合せ剤。
(7) プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF発現増加用の食品組成物。
(8) プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化用の食品組成物。
(9) プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化用の食品組成物。
(10) 上記プラズマローゲンがマボヤ又はその他のホヤ由来である上記(7)乃至(9)の何れか1項に記載の食品組成物。
本発明の組合せ剤及び食品組成物は、BDNF発現増加、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化、又はBDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化の効果を有する。
ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるBDNF発現量への影響を表す図である。 ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるTrkB発現量への影響を表す図である。 ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるTrkBリン酸化への影響を表す図である。 ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるCREB発現量への影響を表す図である。 ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるCREBリン酸化への影響を表す図である。
本発明の実施の形態を説明する。
(1) 本発明の組合せ剤及び食品組成物におけるプラズマローゲンは、グリセロール分子のsn-1(α)位にビニルエーテル結合を有する1-アルケニル-2-アシル-sn-グリセロ-3-燐酸同族体であって、一般に下記式[1]で表されるアルケニルエーテル型燐脂質である。
Figure 2024004416000001
....[1]
式[1]中、Rは一般には炭素数1乃至20のアルキル基(例えば、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコサニル基)であり、Rは一般には多価不飽和脂肪酸(DHA、EPA、アラキドン酸などを含む)又はオレイン酸などの一価の不飽和脂肪酸の残基に相当する脂肪族炭化水素基(例えば、RCO-基として、オクタデカジエノイル基、オクタデカトリエノイル基、イコサテトラエノイル基、イコサペンタエノイル基、ドコサテトラエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基が挙げられる。好ましくはイコサペンタエノイル基又はドコサヘキサエノイル基である。)、Xは例えばエタノールアミン(下記式[2])、コリン(下記式[3])、セリン、イノシトール、又はグリセロール(好ましくはエタノールアミン又はコリン)である。
Figure 2024004416000002
....[2]
Figure 2024004416000003
....[3]
本発明におけるプラズマローゲンとしては、例えば、魚介類若しくは水産動物(例えば、ホヤなどの原索動物、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ヒザラガイ、チヂミボラ、クボガイ、アワビ、ムラサキインコガイなどの軟体動物、ナマコ、ヒトデ、ウニなどの棘皮動物門、イソギンチャクなどの腔腸動物、サケ、サンマ、カツオ、マグロ、クジラなどの脊椎動物)、哺乳類(例えば、牛、豚、馬、羊など)、鳥類(例えば、鶏、家鴨、鴨、七面鳥など)、嫌気性細菌など(好ましい例としてはマボヤ[Halocynthia roretzi]又はその他のホヤ)に含まれる各種プラズマローゲン(混合物又は単体)を用いることができるほか、それらのプラズマローゲンと同一の立体配置を有し、公知手段で化学合成されたものも排除されない。一般的には、前記魚介類若しくは水産動物その他から公知手段により抽出した、プラズマローゲンを含有する抽出物又は抽出物を処理したもの(抽出物の乾燥粉末、プラズマローゲンを濃縮したもの、プラズマローゲンを希釈若しくは増量したもの、抽出物にその他の公知手段による処理を施したものを含む、処理抽出物)を用いることができる。或いは、前記魚介類若しくは水産動物その他における一部についての公知手段による処理物(例えばホヤ可食部のフリーズドライ粉末)を用いることもできる。このような抽出物及び処理抽出物或いは処理物中のプラズマローゲン含有量は、例えば、0.05乃至99.9質量%である。好ましくは0.1乃至50質量%、より好ましくは0.2乃至40質量%、更に好ましくは0.3乃至30質量%である。
(2) 本発明におけるクロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)の細胞壁破砕物は、例えば次のようにして得ることができる。
先ずクロレラ濃度10乃至25重量%のクロレラ粉体・水懸濁液を10℃以下に調整する。次にこの懸濁液を、下記のような連続湿式微粉砕機に送入し、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕する。次いで、このようにして得られたクロレラスラリーを、直ちに10℃以下に冷却することにより、細胞壁が破砕されたクロレラを、品質劣化を生じさせることなく得ることができる。
上記連続湿式微粉砕機としては、冷却外套を持つ密閉シリンダー中に、当該密閉シリンダー容量の80乃至85%の多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されたものを好ましく用いることができる。そのグラスビーズを流入液体と混和・回転させることにより、流入液体中の物質を効果的に摩砕し得る。
このようにして得られたクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物は、そのまま用いることもできるが、例えば、真空乾燥後粉砕を行う等の適宜の処理を施した後に使用してもよい。
(3) 本発明の組合せ剤は、経口投与又は非経口投与により適用することができる。
本発明の組合せ剤は、例えば、プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の両者を共に含むことにより、前記両者が同時に使用されるものとすることができる。
或いは例えば、本発明の組合せ剤は、
プラズマローゲンを含む剤Aと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を含む剤Bが、時間をあけて又は同時に使用されるものとすることができる。この場合、例えば、両方が経口投与剤であるもの、剤Aが非経口投与剤で剤Bが経口投与剤であるものなどのように、両者の投与経路が同じであるものとすることができ、異なるものとすることもできる。
(4) 本発明の組合せ剤及び食品組成物の経口投与の形態に特に限定はないが、例えば、粉末、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、液剤とすることができる。本発明の組合せ剤が、プラズマローゲンを含む剤Aと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を含む剤Bからなるものである場合は、剤Aと剤Bの形態が同じであっても異なっていてもよい。
また種々の形態を形成する上で、各種賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、可塑剤等を適宜用いることができる。
賦形剤の例としては、糖類(乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール)、マルチトール、デンプン(バレイショ、コムギ、トウモロコシ)、無機物(炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム)、デキストリン、結晶セルロース、植物末(カンゾウ末、ゲンチアナ末)等を挙げることができる。
結合剤の例としては、デンプンのり液、アラビアゴム、ゼラチン、二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、メチ/レセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルポキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
崩壊剤の例としては、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、CMC・Na、CMC・Ca、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコーン油等を挙げることができる。
コーティング剤の例としては、糖衣(白糖、HPC、セラック)、膠衣(ゼラチン、グリセリン、ソルビトール)、フイルムコーティング〔ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、EC、HPC、PVP〕、腸溶性コーティング〔ヒドロキシプロビルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)〕等を挙げることができる。
着色剤の例としては、水溶性食用色素、レーキ色素等を挙げることができる。矯味剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、マルチトール等を挙げることができる。矯臭剤の例としては、芳香性精油類、光線遮断剤(酸化チタン)等を挙げることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類、植物油、ポリエチレングリコール)等を挙げることができる。
(5) 本発明の組合せ剤及び食品組成物のヒトに対する経口投与量は、プラズマローゲンの含有量において例えば0.1mg乃至1000mg/日程度が好ましく、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の含有量において例えば1000mg乃至20000mg/日程度が好ましい。
非経口剤としては、例えば、プラズマローゲンについて、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等の注射剤として液剤、或いは、溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶剤に溶解、懸濁又は乳化させて用いる固形の注射剤が挙げられるが、これらに限るものではない。
(6) 本発明の組合せ剤及び食品組成物は、例えば栄養食品、栄養補助食品又は飲料用液体等を構成する飲食組成物中に含有した形態とすることができ、本発明の効果を損なわない各種成分を含むものとすることができる。
海馬における、脳由来神経栄養因子(BDNF)、高親和性BDNF受容体(TrkB)、及び核内転写因子cAMP-response element binding protein(CREB)それぞれの発現量、並びに、TrkBのリン酸化(TrkBの活性化指標)及びCREBのリン酸化(CREBの活性化指標)に対する、プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与の効果について、試験を行った。
1.被験物質
ホヤ由来のプラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を用いた。
(1) ホヤ由来プラズマローゲン
(1-1) ホヤから下記のように抽出された焼津水産化学工業株式会社製のホヤプラズマローゲンエキス(Lot.No.191109)に含まれるホヤ由来プラズマローゲンを披験物質とした。
前記ホヤプラズマローゲンエキス100gに主に含まれるホヤ由来プラズマローゲンは、グリセロールの2位のアシル基により分類した次の4種類であった。その4種類の合計量は5540mg、括弧内は4種類の合計量に占める各種類の質量%である。
EPA型 3120mg(56.3質量%)
DHA型 1810mg(32.7質量%)
アラキドン酸型 450mg(8.1質量%)
オレイン酸型 160mg(2.9質量%)
(1-2) 前記ホヤプラズマローゲンエキスは、特開2019-162042号公報に記載の下記方法に準じてホヤから抽出されたものである。
すなわち、ホヤ可食部のフリーズドライ粉末を50.8g秤量し、ヘキサン66mL、エタノール121mL、及び水11mLを仕込み、混合し、撹拌しながら常温で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離し、残渣には、再度、ヘキサン66mL、エタノール121mL、及び水11mLを仕込み、混合し、撹拌しながら常温で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。抽出液2回分を併せて真空乾燥による溶媒除去を行い、ホヤ抽出物を得た。その収量は7.9gであった。
得られたホヤ抽出物を1.97g秤量し、0.1Mクエン酸-HClバッファー(pH4.5)5mL、ホスホリパーゼA1(PLA1製剤、三菱ケミカルフーズ製)を240mg添加し、50℃にて4時間撹拌し酵素反応させた。酵素処理液にアセトン16.7mLとヘキサン16.7mLを添加し、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、ヘキサン層(上層)と水層(下層)に分離させた。上層を回収し、ロータリーエバポレーターで乾固し、アセトンを30mL添加した。遠心分離し、アセトンを除去し、沈殿物を回収した。再度、アセトンを30mL添加し、遠心分離し、アセトンを除去し、沈殿物を回収した。沈殿物を真空乾燥し、酵素処理物を得た。その収量は345.9mgであった。
得られた酵素処理物100.0mgを秤量し、ヘキサン10mL、アセトン10mL、及び水3mLを加え、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、液/液分配させた。下層を除去し、更に、アセトン5mLと水3mLを添加して、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、液/液分配させた。その上層を回収し、ロータリーエバポレーターで溶媒除去させたうえ、真空乾燥して、プラズマローゲン含有抽出物(ホヤプラズマローゲンエキス)を得た。その収量は68.1mgであった。
(2) クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物
冷却外套を持つ密閉シリンダー中にその密閉シリンダー容量の80乃至85%の多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されており、そのグラスビーズを流入液体と混和・回転させることにより流入液体中の物質を摩砕する連続湿式微粉砕機(商品名:ダイノーミル[KD型] WAB, Inc.製)に、10℃以下に調整されたクロレラ・ピレノイドサ濃度10乃至25重量%のクロレラ・ピレノイドサ粉体・水懸濁液を送入して、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕した。
このようにして得られたクロレラ・ピレノイドサのスラリーを、直ちに10℃以下に冷却し、更に、真空乾燥させた後、粉砕することにより、被験物質であるクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を、乾燥粉末として得た。
2.方法
6週齢のSD系雄性ラットを1週間予備飼育後、Cont群(対照)、CHL群(クロレラ投与)、H-Pls群(ホヤ由来プラズマローゲン投与)、H-Pls & CHL群(ホヤ由来プラズマローゲン及びクロレラ投与)の4群に分けた(各群の個体数は5)。
第1日から第7日までの7日間にわたり毎日、各群のラットに対し次の披験物質を投与した。
(1) Cont群
[a]サラダ油0.5mLを経口ゾンデにて1回胃内投与
[b]MF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)25gを摂餌
図1-5において、CHL: -、H-Pls: -
(2) CHL群
[a]サラダ油0.5mLを経口ゾンデにて1回胃内投与
[b]クロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物の乾燥粉末を1質量%(600mg/kg体重)配合したMF飼料25gを摂餌
図1-5において、CHL: +、H-Pls: -
(3) H-Pls群
[a]ホヤ由来プラズマローゲン(前記4種類)0.07mg(0.2mg/kg体重)を含む量のホヤプラズマローゲンエキスを含有するサラダ油0.5mLを経口ゾンデにて1回胃内投与
[b]MF飼料25gを摂餌
図1-5において、CHL: -、H-Pls: +
(4) H-Pls & CHL群
[a]ホヤ由来プラズマローゲン(前記4種類)0.07mg(0.2mg/kg体重)を含む量のホヤプラズマローゲンエキスを含有するサラダ油0.5mLを経口ゾンデにて1回胃内投与
[b]クロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物の乾燥粉末を1質量%(600mg/kg体重)配合したMF飼料25gを摂餌
図1-5において、CHL: +、H-Pls: +
投与を完了した翌日である第8日に、各群の各ラットより海馬を摘出し、ウエスタンブロット法にて、海馬における、脳由来神経栄養因子(BDNF)、高親和性BDNF受容体(TrkB)、及び核内転写因子cAMP-response element binding protein(CREB)それぞれの発現量、並びに、TrkBのリン酸化(TrkBの活性化指標)及びCREBのリン酸化(CREBの活性化指標)を解析した。
3.結果
(1) ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるBDNF発現量への影響を表す図1[数値は平均±SEMを示す(n=5);*p<0.05 クロレラ投与群(CHL群)との比較、#p<0.05 ホヤプラズマローゲン投与群(H-Pls群)との比較]に示されるように、H-Pls & CHL群(ホヤ由来プラズマローゲン及びクロレラ投与群)においては、BDNF発現量が顕著に増加した。
(2) ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるTrkB発現量への影響を表す図2[数値は平均±SEMを示す(n=5);*p<0.05 対照群(Cont群)との比較、#p<0.05 クロレラ投与群(CHL群)との比較]に示されるように、H-Pls & CHL群(ホヤ由来プラズマローゲン及びクロレラ投与群)においては、TrkB発現量の顕著な低下が認められた。
(3) ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるTrkBリン酸化への影響を表す図3[数値は平均±SEMを示す(n=5);*p<0.05 対照群(Cont群)との比較、#p<0.05 クロレラ投与群(CHL群)との比較]に示されるように、H-Pls & CHL群(ホヤ由来プラズマローゲン及びクロレラ投与群)においては、TrkBリン酸化が顕著に促進された。
(4) ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるCREB発現量への影響は図4[数値は平均±SEMを示す(n=5)]に示される。
(5) ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の投与によるCREBリン酸化への影響を表す図5[数値は平均±SEMを示す(n=5);*p<0.05 対照群(Cont群)との比較、#p<0.05 クロレラ投与群(CHL群)との比較、\p<0.05 ホヤプラズマローゲン投与群(H-Pls群)との比較]に示されるように、H-Pls & CHL群(ホヤ由来プラズマローゲン及びクロレラ投与群)においては、CREBリン酸化が顕著に促進された。
以上のように、ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物を1週間投与したH-Pls & CHL群において、Cont群(対照)、CHL群(クロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物の1週間単独投与)、H-Pls群(ホヤ由来プラズマローゲンの1週間単独投与)と比較して、顕著な、BDNF発現量の増加、TrkBリン酸化の促進、及び、CREBのリン酸化の促進が認められた。
すなわち、ホヤ由来プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物を併せて投与することにより、海馬において、ホヤ由来プラズマローゲン単独投与又はクロレラ・ピレノイドサ細胞壁破砕物単独投与に比し効果的に、BDNF発現量の増加、TrkBリン酸化の促進(BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化)、及び、CREBのリン酸化の促進(BDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化)を図り得る。

Claims (10)

  1. プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、組合せ剤。
  2. 上記プラズマローゲンとクロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物の両者を共に含むことにより当該両者が同時に使用されるか、又は、上記プラズマローゲンを含む剤Aと、上記クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物を含む剤Bが、時間をあけて又は同時に使用される、請求項1記載の組合せ剤。
  3. BDNF発現増加のための請求項1又は2記載の組合せ剤。
  4. BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化のための請求項1又は2記載の組合せ剤。
  5. BDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化のための請求項1又は2記載の組合せ剤。
  6. 上記プラズマローゲンがマボヤ又はその他のホヤ由来である請求項1又は2記載の組合せ剤。
  7. プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF発現増加用の食品組成物。
  8. プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF-TrkBシグナル伝達系活性化用の食品組成物。
  9. プラズマローゲンと、クロレラ・ピレノイドサの細胞壁破砕物とを含む、BDNF-TrkB-CREBシグナル伝達系活性化用の食品組成物。
  10. 上記プラズマローゲンがマボヤ又はその他のホヤ由来である請求項7乃至9の何れか1項に記載の食品組成物。
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