JP2004083902A - 油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 次の成分(A)及び(B):
(A)構成脂肪酸の20〜75重量%がドコサヘキサエン酸(DHA)であり、0.1〜25重量%がイコサペンタエン酸(IPA)であり、それらの重量比(DHA/IPA)が2以上であるモノグリセライド 80〜99.9重量%、
(B)ジグリセライド 0.1〜20重量%
を含有する油脂組成物。
【選択図】 なし
Description
このように、IPAやDHAを含む油脂には、いろいろな健康機能が解明されてきている。しかし、加工特性、風味等の点で課題があり、充分な技術が確立されていないのが現状である。
日本油化学会誌, 48, 1017(1999) Atherosclerosis, 50, 3-10(1984) Lipids, 32, 1129-1136(1997) 細胞, 31(6), 218-234(1999) J. Lipid Res. 37, 907-925(1996) Curr. Opin. Lipidol. 10, 151-159(1999)
(A)構成脂肪酸の20〜75重量%がドコサヘキサエン酸(DHA)であり、0.1〜25重量%がイコサペンタエン酸(IPA)であり、それらの重量比(DHA/IPA)が2以上であるモノグリセライド 80〜99.9重量%、
(B)ジグリセライド 0.1〜20重量%
を含有する油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記油脂組成物を含有する食品、飼料及び医薬品を提供するものである。
更に、飽和脂肪酸は、工業的生産性、生理効果の点から0〜30重量%、更に0.1〜20重量%、特に0.5〜15重量%含有するのが好ましい。
ジグリセライド(成分(B))の構成脂肪酸は、モノグリセライドと同様であるのが工業的生産性の点で好ましい。
トリグリセライドの構成脂肪酸は、モノグリセライドと同様であるのが工業的生産性の点で好ましい。
本発明の油脂組成物の遊離脂肪酸又はその塩は、モノグリセライドの構成脂肪酸と同様であるのが工業的生産性の点で好ましい。
次の油脂組成物を製造した。得られた油脂組成物の組成を表1に示す。グリセライド組成は、HPLC法にて測定した(カラム:「TSKgelG2500H」東ソー(株)製、溶出溶媒:THF、溶媒流速:0.4mL/分、検出器:RI)。脂肪酸組成は、メチルエステル化後、GLC法にて測定した(日本油化学協会「基準油脂分析試験法」2.4.1.2-1996、2.4.2.2-1996)。
4ツ口フラスコに、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール422.9gと水酸化ナトリウム0.64gを入れ、80℃にて減圧脱水とアルコラート化を行った後、50℃に冷却した。これにDHA高含有油「DHA−22」(マルハ(株)製)355.3gを加え、1.5時間反応を行った後、50%硫酸で中和した。次に1.33kPa、80〜100℃で減圧蒸留を行い、水と2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールを留去した。これを水洗し、モノグリセライドアセタール451.4gを得た。
得られたモノグリセライドアセタール220gに、酸性白土(ガレオンアースNV、水澤化学(株)製)13.2gを加えた。反応系内に、1時間あたりモノグリセライドアセタールに対して10%の水蒸気を導入して、反応時に生成するアセトンと過剰な水蒸気を系外に除去しながら、脱アセタール化反応を6時間行った(70℃、13.3kPa)。次いで、酸吸着剤(KW600S、協和化学(株)製)を6.6g加えた後、0.5時間脱水を行った(6.65kPa、70℃)。これを濾過し、モノグリセライド170.7gを得た。これにトコフェロール「イーミックスD」(エーザイ(株)製)を200ppm加え、油脂組成物1を製造した。
DHA高含有油として、「DHA−45」(マルハ(株)製)を用い、油脂組成物1と同様にして、油脂組成物2を製造した。
4ツ口フラスコに、DHA高含有油「DHA−70G」(日本化学飼料(株)製)1000g、グリセリン280gと水酸化ナトリウム1gを入れ、窒素気流下にて、170℃で2時間反応を行った。反応終了後、リン酸0.88gを加え、中和した。次いで、10分間脱グリセリンを行った(180℃、0.667kPa)後、薄膜蒸留を行った(185℃、0.004kPa)。薄膜蒸留で得られた留分を採取し、トコフェロール「イーミックスD」(エーザイ(株)製)を200ppm添加して、油脂組成物3を得た。
油脂組成物4として、DHA高含有油「DHA−22」(マルハ(株)製)を用いた。
油脂組成物3の製造時に生成した薄膜蒸留の残分を採取した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(「ワコーゲルC−200」(和光純薬(株)製))で、溶媒としてヘキサンと酢酸エチル(最初100:0、次いで95:5、次いで90:10、次いで80:20、最後に70:30、v/v)を用いて分画した。次いで、溶媒をエバポレーターで留去した。得られた各画分を混合した後、トコフェロール「イーミックスD」(エーザイ(株)製)を200ppm加え、油脂組成物5を製造した。
油脂組成物6(比較品)
「eicosapentaenoic acid」(Sigma社製)を用いた。
「docosahexaenoic acid」(Sigma社製)を用いた。
小腸上皮細胞株IEC−6を12ウェルプレートにまき、DMEM(5%FCS)中で1日培養した。ここにGAL4、DNA結合ドメイン(DBD)とPPARγリガンド結合ドメイン(LBD)のキメラ分子を発現するプラスミド(pGAL4-PPARγ-LBD)と、蛍ルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4結合配列を含むレポータープラスミド(pREP)を同時に各々0.5μg/wellとなるようトランスフェクション試薬(Superfect transfection reagent;QIAGEN)を用いて導入した。尚、トランスフェクション効率をモニタリングするため、pGAL4−PPARγ−LBDに、ウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を同時に組み込んだ。その後、培養液を被験物質(500μM)を含むDMEM(+250μM BSA)培地に交換し、更に24時間培養した。PBSにて洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて細胞を溶解した。次いで、該溶解液にルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにて蛍及びウミシイタケのルシフェラーゼ活性を各々測定した。このようにしてPPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性)を測定することにより、PPARγ活性化能を評価した。尚、PPARγ依存的な転写活性(ルシフェラーゼ活性)は以下のように定義した。
各油脂:水=70:30(重量/重量)において、ゲル化性を目視で観察し、下記評価基準にて、評価を行った。結果を表1に示す。
A:流動性がなく、ゲル化している。
B:流動性があまりなく、ややゲル化している。
C:流動性があり、一部ゲル化している。
D:流動性があり、全くゲル化していない。
実施例3にて作製したサンプル(各油脂:水=70:30)を室温にて、1週間静置した。この臭いを嗅ぎ、下記評価基準にて、劣化臭の官能評価を行った。結果を表1に示す。
A:劣化臭が殆どなく、不快ではない。
B:劣化臭がややあるが、あまり不快でない。
C:劣化臭があり、不快である。
D:強い劣化臭があり、非常に不快である。
50℃に加温した各サンプルに、対全系で何重量%まで水を取り込ませることができるかを5重量%毎に調べた。水が分離した点の1つ手前を、水取込性の値とした。結果を表1に示す。
また、本発明の油脂組成物は、比較品6(モノグリセライド含量は高いが、脂肪酸組成が異なる)に比べて、極めて強力なPPARγ活性化作用を有することが示された。
表2に示す配合の基本食に、油脂組成物2(本発明品)又は油脂組成物6(比較品)を10重量部添加した餌を、C57BL/6マウス(n=6)に10日間摂取させた。最終日に解剖して、小腸を採取し、mRNAを単離した。次いで、Real time RT−PCR法により、ACO(Acyl−CoA Oxidase)のmRNAの発現量を測定した。その結果を、油脂組成物6を摂取して発現したmRNA量を1.00とした相対量で、表3に示す。
油脂組成物2を100重量部、「ミックスビタミンE MDE−6000」(八代(株)製)0.02重量部、カテキン「サンカートルNo.1」(太陽化学(株)製)0.1重量部、「ビタミンCパルミテート」(ロッシュ社製)0.02重量部、及び植物ステロール「CANOLA STERYLESTERS」(ADM(株)製)2.0重量部を混合して油脂組成物7を得た。該油脂組成物10重量部、コーンスターチ44重量部、結晶性セルロース40重量部、カルボキシメチルセルロースカルシウム5重量部、無水ケイ酸0.5重量部及びステアリン酸マグネシウム0.5重量部の混合物を打錠して錠剤(200mg/個)を製造した。
油脂組成物3を100重量部、「ミックスビタミンE MDE−6000」(八代(株)製)0.02重量部、カテキン「サンカートルNo.1」(太陽化学(株)製)0.5重量部、ローズマリー抽出物「ハーバロックスタイプHT−O」(カルセック社製)0.1重量部及びポリグリセリン脂肪酸エステル「THL−3」(阪本薬品工業(株)製)0.2重量部を混合して油脂組成物8を得た。該油脂組成物300mgをオバール型のソフトカプセルに封入し、ソフトカプセルを作製した。
油脂組成物1を6重量部、スケソウタラ(すり身)600重量部、砂糖30重量部、醤油30重量部、味醂5重量部、馬鈴薯澱粉5重量部、全卵100重量部をフードプロセッサーにてよく撹拌・混合した。これを50gずつ小判型に成形した後、180℃のサラダ油(日清製油製)で4分間揚げて、さつま揚げを作った。
油相:油脂組成物2を0.5重量部、部分硬化大豆油68.8重量部、レシチン0.1重量部、縮合リシノレイン酸エステル0.5重量部、フレーバー0.1重量部
水相:28.4重量部、脱脂粉乳0.3重量部、食塩1.3重量部
上記油相と水相を調製し、次いで、ホモミキサー(特殊幾化工業製)により10分間混合・乳化を行った。得られた乳化物を常法により急冷・可塑化してスプレッドを得た。
油脂組成物7を2重量部、トウモロコシ粉15重量部、ミートミール8重量部、小麦粉26重量部、脱脂大豆20重量部、魚粉16重量部、ビートパルプ4重量部、骨粉2重量部、ビタミン・ミネラル混合物4重量部、ラード3重量部を混合し、犬用ペットフードを作製した。
Claims (6)
- 次の成分(A)及び(B):
(A)構成脂肪酸の20〜75重量%がドコサヘキサエン酸(DHA)であり、0.1〜25重量%がイコサペンタエン酸(IPA)であり、それらの重量比(DHA/IPA)が2以上であるモノグリセライド 80〜99.9重量%、
(B)ジグリセライド 0.1〜20重量%
を含有する油脂組成物。 - 更に(C)抗酸化剤0.01〜5重量%を含有するものである請求項1記載の油脂組成物。
- 更に(D)植物ステロール0.05〜19.9重量%を含有するものである請求項1又は2記載の油脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有する食品。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有する飼料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂組成物を含有する医薬品。
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