JP2024003966A - 炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法、炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】ストランド強度およびストランド弾性率を低下させることなく、樹脂組成物との接着性が高い炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維強化複合材料を提供する。【解決手段】複数本の炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束であって、ストランド強度4GPa以上、ストランド弾性率が、350GPa以上の炭素繊維束であり、前記炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着した、炭素繊維束。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維強化複合材料に関する。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度及び比弾性率を有する。この炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束は、複合材料用補強繊維として、スポーツ用途や航空・宇宙用途に加えて、自動車や土木・建築、圧力容器や風車ブレード等の一般産業用途にも幅広く展開されつつある。炭素繊維束には、更なる高性能化が求められている。
炭素繊維の中でも広く利用されているポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維は、一般的に以下のようにして工業的に製造されている。まず、前駆体となるアクリロニトリル系重合体を含む紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸又は乾湿式紡糸して、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を得る。得られた炭素繊維前駆体アクリル繊維束を、例えば、180~400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維束へ転換する。その後、例えば、1000℃以上の不活性雰囲気下で耐炎化繊維束を加熱して炭素化し、炭素繊維束を得る。
炭素繊維は、例えば、繊維強化樹脂組成物の強化繊維として用いられる。しかしながら、とりわけ高温で加熱されて得られる引張弾性率の高い炭素繊維は、樹脂組成物との接着性が低く、複合材料とした場合に所望の曲げ強度、ねじ切り強度を得ることが難しかった。炭素繊維と樹脂組成物の接着性を向上させるために、炭素繊維の表面に官能基を導入する処理や炭素繊維の表面にサイジング処理を施して炭素繊維束を得ている。
例えば、炭素繊維と、炭素繊維に付着した20~80質量%のエポキシ基を有するゴムラテックスおよび80~20質量%のエポキシ樹脂を必須成分として含有するエポキシ樹脂サイジング剤とを有し、前記エポキシ樹脂サイジング剤の付着量が0.3~5質量%である炭素繊維束が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-95222号公報
特許文献1に記載の炭素繊維束は、ゴムラテックスを一定量含むため、エポキシ樹脂の靱性が向上する傾向にはある。しかしながら、特許文献1に記載の炭素繊維束は、その表面の官能基の量が少なく、前記官能基の量が不活性な表面を有する高弾性率炭素繊維における炭素繊維と樹脂組成物の接着性を発現するために十分でなかった。
本発明は、ストランド強度およびストランド弾性率を低下させることなく、樹脂組成物との接着性が高い炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]複数本の炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束であって、ストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上、及びフラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が65MPa以上である、炭素繊維束。
[2]複数本の炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束であって、ストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上であり、前記炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着した、炭素繊維束。
[3]前記炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着した、[1]に記載の炭素繊維束。
[4]前記サイジング剤の付着量が、前記炭素繊維の単繊維と前記サイジング剤の総質量に対して、0.05~1.0質量%である、[2]または[3]に記載の炭素繊維束。
[5]前記サイジング剤に含まれるオキサゾリン基の量が0.2~10μmolである、[2]または[3]に記載の炭素繊維束。
[6]前記サイジング剤は水分散タイプである、[2]または[3]に記載の炭素繊維束。
[7]前記サイジング剤の固形分の全質量に対してエポキシ樹脂の含有量が0~90質量%、前記サイジング剤の固形分の全質量に対して界面活性剤の含有量が0~20質量%である、[5]に記載の炭素繊維束。
[8][2]または[3]に記載の炭素繊維束を製造する炭素繊維束の製造方法であって、サイジング剤の浴濃度が0.2~3質量%かつ乾燥温度が180℃以下である、炭素繊維束の製造方法。
[9]炭素繊維束をオキサゾリン基を含むサイジング剤の浴に通過させた後、前記炭素繊維束を180℃以下の温度で乾燥させて、オキサゾリン基を含むサイジング剤を前記炭素繊維束に固着させる工程を有し、前記サイジング剤の浴濃度が0.2~3質量%である、炭素繊維束の製造方法。
[10]前記炭素繊維束のストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上、及びフラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が65MPa以上である、[9]に記載の炭素繊維束の製造方法。
[11]前記サイジング剤は水分散タイプである、[9]に記載の炭素繊維束の製造方法。
[12][1]または[2]に記載の炭素繊維束と熱硬化樹脂とを複合化した炭素繊維強化複合材料であって、前記炭素繊維束を構成する炭素繊維の単繊維の繊維軸方向に対する90°曲げ強度が100MPa以上である、炭素繊維強化複合材料。
本発明によれば、ストランド強度およびストランド弾性率を低下させることなく、樹脂組成物との接着性が高い炭素繊維束、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維強化複合材料を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
[炭素繊維束]
本発明の炭素繊維束は、複数本の炭素繊維の単繊維が集束されて構成されるものである。本発明の炭素繊維束は、連続繊維の状態でもよく、所定の長さに切断された状態でもよい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらの中でも、工業規模における生産性及び機械的特性に優れている観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維束を構成する炭素繊維の単繊維の本数は、8000~24000本が好ましく、10000~18000本がより好ましく、12000~18000本がさらに好ましい。単繊維数の本数が、前記下限値以上であれば、炭素繊維束は加工性に優れる。単繊維数の本数が、前記上限値以下であれば、炭素繊維束は取り扱い性に優れる。
本発明の炭素繊維束は、ストランド強度が4.0GPa以上である。
炭素繊維束のストランド強度は、4.5GPa以上が好ましく、5.0GPa以上がより好ましい。炭素繊維束のストランド強度が4.0GPa未満では、炭素繊維束を含む複合材料(炭素繊維強化複合材料)の強度が上がりにくいため、設計自由度が向上しにくい。
炭素繊維束のストランド強度は高いほど好ましい。炭素繊維束のストランド強度は、生産性、コストの観点から、7.0GPa以下であれば良い。
ストランド強度は、JIS R 7608:2007に準拠して測定される。
本発明の炭素繊維束は、ストランド弾性率が350GPa以上である。
炭素繊維束のストランド弾性率は、360GPa以上が好ましく、370GPa以上がより好ましい。炭素繊維束のストランド弾性率が350GPa未満では、炭素繊維束を含む複合材料(炭素繊維強化複合材料)は十分な剛性が得られにくい。
炭素繊維束のストランド弾性率は高いほど好ましい。炭素繊維束のストランド弾性率は、生産性、コストの観点から400GPa以下であれば良い。
ストランド弾性率は、JIS R 7608:2007のA法に準拠して測定される。
本発明の炭素繊維束は、フラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が、65MPa以上であることが好ましい。
炭素繊維束の界面剪断強度が、65MPa以上であれば、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性が十分に高く、炭素繊維束を含む複合材料(炭素繊維強化複合材料)は、曲げ強度や成形品のねじ切り強度を高くすることができる。この観点から、界面剪断強度は70MPa以上が好ましく、75MPa以上がより好ましい。フラグメンテーション試験による界面剪断強度の算出は後述する方法にて実施される。
本発明の炭素繊維束は、オキサゾリン基を含むサイジング剤が付着していることが好ましい。すなわち、本発明の炭素繊維束は、炭素繊維束を構成する炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着していることが好ましい。サイジング剤の付着量は、炭素繊維の単繊維とサイジング剤の総質量に対して、0.05~1.0質量%であることが好ましい。
サイジング剤の付着量が前記下限値以上であれば、炭素繊維のバラケを抑制し、毛羽や糸切れがなく、炭素繊維束としての収束性を発現することができる。サイジング剤の付着量が前記上限値以下であれば、炭素繊維束の開繊性を高く保持することができ、薄目付のプリプレグを製造することができる。これらの観点から、サイジング剤の付着量は0.08~0.9質量%がより好ましく、0.1~0.8質量%がさらに好ましく、0.12~0.6質量%が特に好ましい。
本発明の炭素繊維束では、サイジング剤に含まれるオキサゾリン基の量が、0.2~10μmolであることが好ましい。
前記オキサゾリン基の量が前記下限値以上であれば、炭素繊維の表面とオキサゾリン基が強固に反応するため、炭素繊維の表面に対するサイジング剤の接着性が高くなる効果がある。前記オキサゾリン基の量が前記上限値以下であれば、オキサゾリン基が余剰となり、炭素繊維の表面に対するサイジング剤の密着性が低下することを抑制できる。
これらの観点から、前記オキサゾリン基の量は0.5~9μmolがより好ましく、0.8~8μmolがさらに好ましい。
本発明の炭素繊維束に用いられるサイジング剤は、水分散タイプであることが好ましい。サイジング剤が水分散タイプであれば、炭素繊維束に固着した後、経時変化による性状変化が生じにくく、取り扱い性が良好である。
本発明の炭素繊維束に用いられるサイジング剤は、サイジング剤の固形分の全質量に対してエポキシ樹脂の含有量が0~90質量%であることが好ましく、40~85質量%がより好ましく、50~80質量%がさらに好ましい。
サイジング剤がエポキシ樹脂を含むことで、炭素繊維束とマトリックス樹脂との親和性が向上し、プリプレグ製造時に炭素繊維束に対する樹脂含浸性を向上させることができ、炭素繊維束が硬くなり過ぎず、その後の加工工程における取扱い性が良好になる。エポキシ樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、サイジング剤が十分な量のオキサゾリン基を含有するため、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性を高く保つことができる。
本発明の炭素繊維束に用いられるサイジング剤は、サイジング剤の固形分の全質量に対して界面活性剤の含有量が1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。
サイジング剤が界面活性剤を含むことで、炭素繊維の表面へのサイジング剤の濡れ性を良くすることができ、均一な塗膜が得られる。界面活性剤の含有量が前記上限値以下であれば、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性を阻害することがなく、炭素繊維束を含む複合材料に良好な特性が得られる。
[炭素繊維強化複合材料]
本発明の炭素繊維強化複合材料は、本発明の炭素繊維束と熱硬化樹脂とを複合化したものである。本発明の炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維束を構成する炭素繊維の単繊維の繊維軸方向に対する90°曲げ強度が100MPa以上である。前記90°曲げ強度が100MPa未満では、炭素繊維束とマトリックス樹脂の接着性が低く、シャフトなどの中空形状の材料においてねじ切り強度を高く保つことができない。
この観点から、前記90°曲げ強度は、105MPa以上が好ましく、110MPa以上がより好ましい。
[炭素繊維束の製造方法]
炭素繊維束は、炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理することにより得られる。
加熱処理では、酸化性雰囲気下での耐炎化処理の後に不活性雰囲気下での炭素化処理を行う。
(炭素繊維前駆体繊維束)
炭素繊維前駆体繊維束としては、例えば、PAN系繊維、レーヨン系繊維、ピッチ系繊維等の繊維の単繊維が集束されたものが挙げられる。これらの中でも、炭素繊維前駆体繊維束としては、PAN系繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維前駆体繊維束が好ましい。以下、PAN系繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維前駆体繊維束を、特に「炭素繊維前駆体アクリル繊維束」ともいう。
炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、例えば、アクリロニトリル共重合体を含む紡糸溶液を紡糸して凝固糸とし、必要に応じて、従来公知の水洗、浴延伸、油剤付与、乾燥緻密化、延伸等を施すことで得られる。
アクリロニトリル共重合体は、分子構造中にアクリロニトリル単位を有していればよい。本発明においては、アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリルの単独重合体であってもよいし、アクリロニトリルと他のモノマー(例えば、メタクリル酸等)との共重合体であってもよい。アクリロニトリル共重合体中のアクリロニトリル単位と他のモノマー単位との含有割合は、製造する炭素繊維束の性質に応じて適宜設定することができる。
アクリロニトリル共重合体を含む紡糸溶液の紡糸方法は、特に制限されないが、例えば、紡糸溶液を直接凝固浴中に紡出する湿式紡糸、紡糸溶液を空気中で凝固する乾式紡糸、紡糸溶液を一旦、空気中に紡出した後に浴中凝固させる乾湿式紡糸等が挙げられる。これらの中でも、単繊維の側面の表面皺を小さくすることができ、表面形状による欠陥生成を抑制できる観点から、炭素繊維前駆体アクリル繊維束は、アクリロニトリル共重合体を含む紡糸溶液を乾湿式紡糸で製造した繊維束であることが好ましい。
湿式紡糸又は乾湿式紡糸による紡糸方法では、紡糸溶液を、長さ方向(紡糸溶液を紡出する方向)と垂直方向の断面形状が円形の孔を有するノズルより紡出することで行うことで、炭素繊維前駆体アクリル繊維束を製造することができる。凝固浴としては、紡糸溶液に用いられる溶剤を含む水溶液を用いることが、溶剤回収の容易さの観点から好ましい。
炭素繊維前駆体繊維束の単繊維繊度は、0.5~2.5dtexが好ましく、0.7~2dtexがより好ましい。単繊維繊度が前記下限値以上であれば、糸切れの少ない炭素繊維束が得られやすくなる。単繊維繊度が前記上限値以下であれば、性能ムラの小さい炭素繊維束が得られやすくなる。
炭素繊維前駆体繊維束の単繊維の本数は、8000~24000本が好ましく、10000~18000本がより好ましく、12000~18000本がさらに好ましい。単繊維の本数が、前記下限値以上であれば、得られる炭素繊維束は加工性に優れる。単繊維数の本数が、前記上限値以下であれば、得られる炭素繊維束は取り扱い性に優れる。
炭素繊維前駆体繊維束は、焼成工程へと移され、耐炎化処理、炭素化処理、表面酸化処理、サイジング処理が順次施され、炭素繊維束となる。
(耐炎化処理)
耐炎化処理の工程(耐炎化工程)では、炭素繊維前駆体繊維束を酸化性雰囲気下で加熱して、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化繊維束に転換する。
耐炎化処理としては、例えば、180~280℃の熱風循環型の耐炎化炉で、炉内雰囲気温度を180~280℃として、耐炎化処理後の耐炎化繊維の密度が1.28~1.42g/cmになるまで、炭素繊維前駆体繊維束を加熱する方法が挙げられる。耐炎化繊維の密度が1.28g/cm以上であれば、次の工程である炭素化処理の際に単繊維間接着を防ぐことが容易になる。耐炎化繊維の密度が1.42g/cm以下であれば、耐炎化工程が長くなりすぎず、経済的である。
酸化性雰囲気を形成するガスとしては、例えば、空気、酸素、二酸化窒素等が挙げられる。これらの中でも、経済性の面から空気が好ましい。
耐炎化処理の時間は、30~100分間が好ましい。
耐炎化処理においては、フィブリル構造の配向を維持させやすい点から、耐炎化繊維束の伸長操作を行うことが好ましい。
耐炎化処理における耐炎化繊維束の伸長率は、1~8%が好ましい。耐炎化処理における伸長率が1%以上であれば、フィブリル構造の配向の維持や向上が容易となり、力学特性に優れた炭素繊維束が得られやすい。耐炎化処理における伸長率が8%以下であれば、フィブリル構造自体の破断が生じにくく、その後の炭素繊維の構造形成が損なわれにくいため、高強度な炭素繊維束が得られやすい。なお、耐炎化繊維束の伸長率は、耐炎化処理工程における繊維束の工程前後における繊維束の速度の比で定義される。また、耐炎化繊維束の伸長率は、耐炎化処理工程における繊維束の工程前後における繊維束の速度の比によって測定される。
(炭素化処理)
耐炎化繊維束は、連続して炭素化処理の工程(炭素化工程)に導かれる。
炭素化工程では、耐炎化繊維束を不活性雰囲気下で加熱して炭素繊維束を得る。
不活性雰囲気を形成するガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。これらの中でも、経済性の面から窒素が好ましい。
炭素化処理の温度(炭素化処理温度)は、300~2500℃であることが好ましい。
炭素化処理温度は、炭素化処理中に昇温させることが好ましい。昇温させる場合、例えば、複数の炭素化炉を設置し、上流側の炭素化炉から下流側の炭素化炉に向かって温度が高くなるように各炭素化炉の温度を設定して、上流側の炭素化炉から下流側の炭素化炉に向かって耐炎化繊維束を順次通過させて、耐炎化繊維束を炭素化処理する。
以下、炭素化処理温度を昇温させて炭素化処理する場合の一例について説明する。
本実施形態では、不活性雰囲気下で300℃から800℃の温度勾配を有する第一炭素化炉で加熱処理する第一炭素化処理と、不活性雰囲気下で1000℃から2500℃まで加熱処理する第二炭素化処理とを順次行い、耐炎化繊維束を炭素化処理する。なお、第二炭素化処理は、2つ以上の加熱処理炉を適用しても良い。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、炭素繊維前駆体繊維束を加熱して炭素繊維束を得る製造方法であって、不活性雰囲気下において2000℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理した後、炭素繊維前駆体繊維束を酸性水溶液中に浸漬し、続いて、炭素繊維前駆体繊維束をアルカリ性水溶液中に浸漬し、少なくともアルカリ水溶液中で炭素繊維前駆体繊維束を電解処理することが好ましい。
本発明の炭素繊維束の製造方法では、不活性雰囲気下において2000℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理することが好ましい。2000℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理することでストランド弾性率を高くしやすい。
この観点から、不活性雰囲気下において2100℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理することがより好ましく、2200℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理することがさらに好ましい。
(表面処理)
本発明の炭素繊維束の製造方法は、不活性雰囲気下において2000℃以上で炭素繊維前駆体繊維束を加熱処理した後に、酸性水溶液中に浸漬し、続いて、炭素繊維前駆体繊維束をアルカリ性水溶液中に浸漬し、少なくともアルカリ水溶液中で炭素繊維前駆体繊維束を電解処理することが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維束に対して、酸性水溶液中での強い表面処理を行った後、アルカリ水溶液中で緩やかな表面処理をすることで、炭素繊維束の弾性率を低下させずに、炭素繊維束と樹脂との親和性を高くすることができるので、炭素繊維束のストランド強度を高くすることがさらに容易になる。
前記アルカリ性水溶液中での電解処理における電気量は、被処理炭素繊維1g当たり5~200クーロン(C)であることが好ましい。
前記電気量が5クーロン/g以上であれば、炭素繊維束と樹脂との親和性を高くすることができる。前記電気量が200クーロン/g以下であれば、炭素繊維束のストランド強度を低下させにくい。
これらの観点から、前記電気量は、6~100クーロン/gがより好ましく、7~20クーロン/gがさらに好ましい。
電解質としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、リン酸、重炭酸アンモニウムが好ましい。
電解処理は、1種類の電解液で行ってもよいし、複数回行うこともできる。マトリックス樹脂との接着性を発現しつつ、短時間で処理する観点からは複数回処理することが好ましい。
(サイジング処理)
サイジング処理では、有機溶剤に溶解させたサイジング剤や、乳化剤等で水に分散させたサイジング剤エマルジョン液を、ローラー浸漬法、ローラー接触法等によって炭素繊維束に付与し、これを乾燥することによって行うことができる。
サイジング剤としては、公知のものを使用でき、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤等が挙げられる。
サイジング剤としては、オキサゾリン基を含む樹脂が好適であり、炭素繊維束とマトリックス樹脂との接着性を向上させる観点から、サイジング剤とエポキシ樹脂を併用することがさらに好ましい。
サイジング剤の炭素繊維への付着量は0.05~1.0質量%であることが好ましい。前記付着量が0.05質量%以上であれば、炭素繊維束の収束性が得られる。前記付着量が1%以下であれば、加工時に良好な炭素繊維束の開繊性が得られる。
炭素繊維の表面へのサイジング剤の付着量は、サイジング剤液の濃度調整や絞り量調整によって制御できる。乾燥は、熱風、熱板、加熱ローラー、各種赤外線ヒーター等を利用して行なうことができる。
本発明の炭素繊維束の製造方法においては、サイジング剤の浴濃度を0.2~3質量%とすることで所望の付着量のサイジング剤が付いた炭素繊維束を得ることができる。さらには、乾燥温度を180℃以下とすることで炭素繊維束の内部まで均一にサイジング剤が付着した炭素繊維束を得ることができる。
<作用効果>
以上説明した本発明の炭素繊維束は、ストランド強度が4.0GPa以上、かつストランド弾性率が350GPa以上の炭素繊維束であって、フラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が65MPa以上である炭素繊維束である。
このような炭素繊維束であれば、樹脂との接着性が高く、炭素繊維強化複合材料とした場合の90度曲げ強度を高くすることができる。
<用途>
本発明の炭素繊維束は、例えば、マトリックス樹脂と組み合わされて、複合材料として成形され、様々な用途に利用される。
マトリックス樹脂としては、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合系樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体を用いることもできる。また、マトリックス樹脂としては市販品を用いてもよい。
炭素繊維束を用いた複合材料の用途としては、特に限定されず、例えば、自動車用部材、航空宇・宙素材、土木・建築用素材、スポーツ・レジャー用素材、圧力容器、風車ブレード等の工業用素材等、幅広い用途に使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によっては限定されない。
本実施例で行った各種測定方法は、以下の通りである。
[ストランド物性の測定方法]
JIS R 7608:2007に準拠して、炭素繊維束のストランド強度及びストランド弾性率を測定した。なお、ストランド弾性率は、同法のA法で算出した。
[界面剪断強度の測定方法]
炭素繊維とマトリックス樹脂との接着強度は、単繊維埋め込み(フラグメンテーション)法により界面剪断強度を測定することで評価した。単繊維埋め込み法としては、例えば、「炭素繊維の展開と評価方法」(リアライズ社)、第157~160頁に記載されている方法を用いた。具体的には、以下に示す手順で界面剪断強度を測定した。
まず、炭素繊維のうち単繊維1本を抜き出し、これをマトリックス樹脂中に包埋させて試験片を作製した。この試験片に、繊維の破断伸度より大きな伸張を付与した(引張試験の実施)。マトリックス樹脂中で破断した各破断繊維の長さを測定し、下記式(1)、(2)より界面剪断強度を算出した。
臨界繊維長[mm]=4×平均繊維長[mm]/3 ・・・(1)
界面剪断強度[MPa]=繊維強度[MPa]×繊維直径[mm]/2×臨界繊維長[mm] ・・・(2)
なお、マトリックス樹脂として試験片作製に用いた樹脂は、CIBA-GEIGY社製、「アラルダイドCY230」100質量部と、「ハードナーHY2967」35質量部とを混合し、これを専用の型枠に注入し、20℃で24時間、60℃で6時間の条件で硬化させたものを用いた。
また、引張試験は室温にて行い、試験片が破断しない範囲内(伸度7%)で伸張を付与した後、樹脂内で破断した破断繊維の長さを、偏光顕微鏡にて読み取り、平均繊維長を算出した。
[プリプレグの作製]
オキサゾリドン型エポキシ樹脂(TSR400:DIC社製)70質量部、メタ型トリグリシジルアミノフェノール(MY0600:ハンツマンジャパン株式会社製、品名「MY0600」)30質量部、硬化剤(1400F:ジシアンジアミド:エアープロダクツ社製)17質量部からなる未硬化の硬化性樹脂組成物を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード製、「M-500」)でフィルム状にし、樹脂目付け16.7g/mのレジンフィルムを作製した。このレジンフィルムを、炭素繊維束を引き揃えて得られた、繊維目付100g/mの炭素繊維シートの両面に張り合わせ、加熱ロールで含浸させて、繊維目付133.4g/m、樹脂含有量25質量%の未硬化のプリプレグを得た。
[繊維強化プラスチック板の作製]
上記で得られた樹脂含有量25質量%の未硬化のプリプレグを300mm×300mmにカットし、繊維方向が[0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°/0°]となるように24枚積み重ねて積層体を得た。この積層体をオートクレーブで圧力0.04MPa下で2℃/分で昇温し、80℃で60分保持後、圧力0.6MPa下で2℃/分で昇温し、130℃で90分保持して加熱硬化させて、厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を得た。
[炭素繊維強化複合材料の90°曲げ試験]
上記[繊維強化プラスチック板の作製]で得られた厚さ2.1mmの繊維強化プラスチック板を、長さ60mm×幅12.7mmに加工して試験片とした。該試験片について、3点曲げ治具(圧子R=5.0mm、サポートR=3.2mm)を設置した万能試験機(INSTRON社製、「INSTRON5565」)を用いて、サポート間距離(L)と試験片の厚み(d)の比L/d=16、クロスヘッドスピード(分速)=(L2×0.01)/(6×d)として、繊維強化プラスチック板の曲げ特性として、90°曲げ強度を測定した。
[実施例1]
<炭素繊維前駆体繊維束の作製>
アクリロニトリル単位を98質量%、メタクリル酸単位を2質量%含有するアクリロニトリル共重合体をジメチルホルムアミドに溶解し、23.5質量%の紡糸溶液を調製した。
この紡糸溶液を直径150μm、孔数12000の吐出孔を配置した紡糸口金から紡出させて乾湿式紡糸した。すなわち、空気中に紡出させて約5mmの空間を通過させた後、10℃に調温した、ジメチルホルムアミドを79.0質量%含有する水溶液を満たした凝固液中で凝固させ、凝固糸を引き取った。次いで、空気中で1.1倍延伸した後、60℃に調温した、ジメチルホルムアミドを35質量%含有する水溶液を満たした延伸槽中にて2.5倍延伸した。延伸後、溶剤を含有している工程繊維束を清浄な水で洗浄し、次に、95℃の熱水中で1.4倍の延伸を行った。引き続き、繊維束にアミノ変性シリコーンを主成分とする油剤を1.1質量%となるよう付与し、乾燥緻密化した。乾燥緻密化後の繊維束を、加熱ロール間で2.6倍延伸して、更なる配向の向上と緻密化を行った後に巻き取って、炭素繊維前駆体繊維束(炭素繊維前駆体アクリル繊維束)を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維束の単繊維繊度は1.0dtexであった。
<炭素繊維束の作製>
複数の炭素繊維前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入し、220~280℃に加熱された空気を炭素繊維前駆体繊維束に吹き付けることによって、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化処理して、密度1.35g/cmの耐炎化繊維束を得た。伸長率は6%とし、耐炎化処理時間は70分とした。
次いで、耐炎化繊維束を窒素中300~700℃の温度勾配を有する第一炭素化炉にて4.5%の伸長を加えながら通過させ、第一炭素化処理を行った。温度勾配は直線的になるように設定した。処理時間は2.0分とした。
さらに、窒素雰囲気中で1000~2300℃の温度勾配を設定した第二炭素化炉を用いて第二炭素化処理を行い、炭素繊維束を得た。その際、第二炭素化処理での伸長率は-4.0%、処理時間は3.5分とした。
<炭素繊維束の表面処理、サイジング処理>
引き続き、炭素繊維束をリン酸5質量%水溶液中で走行させ、続いて、重炭酸アンモニウム5質量%水溶液中を走行させると同時に、炭素繊維束を陽極として被処理炭素繊維1g当たり140クーロンの電気量となるように対極との間で通電処理を行った。リン酸水溶液中では通電処理は行わなかった。次いで、温水90℃で洗浄した後、乾燥することで表面処理された炭素繊維束を得た。
次いで、サイジング剤としてDIC株式会社製「ハイドランN320」(水分散タイプ)80質量部と、オキサゾリン基を含有する樹脂として日本触媒社製「エポクロスK-2010E」(水分散タイプ)20質量部との混合物を用い、サイジング剤の浴濃度が2.0質量%であるサイジング浴中に炭素繊維束通過させ、ニップロールで搾液した後、150℃の乾燥ロールに炭素繊維束を60秒間接触させて乾燥させ、サイジング剤0.5質量%が付着した炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束について、ストランド強度、ストランド弾性率、界面剪断強度、コンポジットの90度曲げ強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
[実施例2]
サイジング剤を、DIC株式会社製「ハイドランN320」80質量部と、オキサゾリン基を含有する樹脂として日本触媒社製「エポクロスK-2020E(水分散タイプ)」20質量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
サイジング剤を、DIC株式会社製「ハイドランN320」80質量部と、オキサゾリン基を含有する樹脂として日本触媒社製「エポクロスK-2035E」(水分散タイプ)20質量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
サイジング剤を、DIC株式会社製「ハイドランN320」80質量部と、オキサゾリン基を含有する樹脂として日本触媒社製「エポクロスWS-300」(水溶タイプ)20質量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
サイジング剤を、DIC株式会社製「ハイドランN320」80質量部と、オキサゾリン基を含有する樹脂として日本触媒社製「エポクロスWS-700」(水溶タイプ)20質量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
サイジング剤を、オキサゾリン基が含有する樹脂として、日本触媒社製「エポクロスK-2010E」100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
サイジング剤の浴濃度を0.4質量%とし、浴通過後の搾液を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
炭素繊維束として三菱ケミカル株式会社製、品名「パイロフィルHR40」を用いたこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維束を作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2024003966000001
本発明の炭素繊維束は、樹脂との接着性が高いため、高い強度が要求される用途、例えば自動車用部材、航空宇・宙素材、土木・建築用素材、スポーツ・レジャー用素材、圧力容器、風車ブレード等の工業用素材等、幅広い用途において有用である。

Claims (12)

  1. 複数本の炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束であって、
    ストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上、及びフラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が65MPa以上である、炭素繊維束。
  2. 複数本の炭素繊維の単繊維が集束されてなる炭素繊維束であって、
    ストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上であり、
    前記炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着した、炭素繊維束。
  3. 前記炭素繊維の単繊維にオキサゾリン基を含むサイジング剤が付着した、請求項1に記載の炭素繊維束。
  4. 前記サイジング剤の付着量が、前記炭素繊維の単繊維と前記サイジング剤の総質量に対して、0.05~1.0質量%である、請求項2または3に記載の炭素繊維束。
  5. 前記サイジング剤に含まれるオキサゾリン基の量が0.2~10μmolである、請求項2または3に記載の炭素繊維束。
  6. 前記サイジング剤は水分散タイプである、請求項2または3に記載の炭素繊維束。
  7. 前記サイジング剤の固形分の全質量に対してエポキシ樹脂の含有量が0~90質量%、前記サイジング剤の固形分の全質量に対して界面活性剤の含有量が0~20質量%である、請求項5に記載の炭素繊維束。
  8. 請求項2または3に記載の炭素繊維束を製造する炭素繊維束の製造方法であって、
    サイジング剤の浴濃度が0.2~3質量%かつ乾燥温度が180℃以下である、炭素繊維束の製造方法。
  9. 炭素繊維束をオキサゾリン基を含むサイジング剤の浴に通過させた後、前記炭素繊維束を180℃以下の温度で乾燥させて、オキサゾリン基を含むサイジング剤を前記炭素繊維束に固着させる工程を有し、
    前記サイジング剤の浴濃度が0.2~3質量%である、炭素繊維束の製造方法。
  10. 前記炭素繊維束のストランド強度が4.0GPa以上、ストランド弾性率が350GPa以上、及びフラグメンテーション試験より求められる界面剪断強度が65MPa以上である、請求項9に記載の炭素繊維束の製造方法。
  11. 前記サイジング剤は水分散タイプである、請求項9に記載の炭素繊維束の製造方法。
  12. 請求項1または2に記載の炭素繊維束と熱硬化樹脂とを複合化した炭素繊維強化複合材料であって、
    前記炭素繊維束を構成する炭素繊維の単繊維の繊維軸方向に対する90°曲げ強度が100MPa以上である、炭素繊維強化複合材料。
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