JP2022096210A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた強度及び優れた品位を有する炭素繊維の製造方法を提供する。【解決手段】炭素繊維前駆体繊維を酸化性雰囲気下で加熱処理して0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造すること、予備耐炎化繊維を酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維を製造すること、耐炎化繊維を不活性雰囲気中第1温度で加熱して第1炭素化繊維を製造すること、及び、第1炭素化繊維を不活性雰囲気中第1温度より高い第2温度で加熱してさらに炭素化処理すること、を含み、第1炭素化処理における延伸倍率が1.08以上である、炭素繊維の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、比強度・比弾性率に優れ、軽量であるため、熱硬化性及び熱可塑性樹脂の強化繊維として、従来のスポーツ・一般産業用途だけでなく、航空・宇宙用途、自動車用途など、幅広い用途に利用されるようになってきている。利用用途が拡大されるにつれ、炭素繊維強化樹脂複合材料(以下コンポジットと称する)には、さらに高い性能が求められている。
炭素繊維の製造方法では、例えば、アクリル繊維等の炭素繊維前駆体繊維を酸化性雰囲気下で耐炎化処理し、そして、得られた耐炎化繊維を不活性ガス雰囲気下で加熱することによって炭素化して、炭素繊維を得る。
従来から、炭素繊維の製造過程について、種々の検討がなされている。
特許文献1は、アクリル系繊維に対して水洗、乾燥、スチーム延伸処理を行い、次いで特定の熱処理を行うことによって、特定の水蒸気吸着量及び1.2g/cm以下の密度を有する炭素繊維製造用前駆体繊維を製造すること、及び、当該炭素繊維製造用前駆体繊維に対して耐炎化処理を行って耐炎化繊維を得ることを記載している。
特許文献2は、前駆体繊維を150℃以下の加熱ロールを外装した酸化性ガス雰囲気炉で水分率が4%以上になるように加熱処理した後、耐炎化処理し、次いで炭素化処理を行って、炭素繊維を得ることを記載している。
特許文献3は、シリコーン油剤が付与された特定のアクリル系前駆体繊維に対して、200℃以下で1.05~1.4倍に延伸処理した後、耐炎化処理し、次いで炭素化処理を行って、炭素繊維を得ることを記載している。
特許文献4は、アクリル系繊維の製造工程において、凝固、熱水延伸後の膨潤糸に対して特定の平均粒子径を有する油剤を付与しアクリル系前駆体繊維を製造すること、及び、当該アクリル系前駆体繊維を用いて炭素繊維を製造することを記載している。
特開2012-246596号公報 特開2004-232134号公報 特開2006-299439号公報 特開2015-30943号公報
従来の炭素繊維の製造方法では、得られる炭素繊維の強度及び品位が不十分である場合があった。
本発明の目的は、優れた強度及び優れた品位を有する炭素繊維の製造方法を提供することである。
本発明の目的は、下記の態様を有する本発明によって解決される。
<態様1>
炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造する、予備耐炎化工程、
前記予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する、耐炎化工程、
前記耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃以下の第1温度範囲で加熱して炭素化処理する、第1炭素化工程、及び、
前記第1温度範囲で炭素化処理された前記耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃超の第2温度範囲で加熱してさらに炭素化処理する、第2炭素化工程、
を含み、
前記第1炭素化工程における延伸倍率が1.08以上である、
炭素繊維の製造方法。
<態様2>
前記予備耐炎化繊維が、1.23g/cm以下の密度を有する、態様1に記載の方法。
<態様3>
前記第1炭素化工程における前記延伸倍率が、1.11~1.20である、態様1又は2に記載の方法。
<態様4>
炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で200℃~260℃の温度で40秒~200秒にわたって加熱して、予備耐炎化繊維を製造する、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
<態様5>
前記予備耐炎化工程における延伸倍率が、0.94以上0.98未満である、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
<態様6>
製造された前記予備耐炎化繊維に油剤を付与する油剤付与工程をさらに含み、前記油剤が付与された前記予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
<態様7>
前記油剤付与工程において、前記予備耐炎化繊維に、0.1~0.3重量%の油剤を付与する、態様6に記載の方法。
本発明によれば、優れた強度及び優れた品位を有する炭素繊維の製造方法を提供することができる。
≪炭素繊維の製造方法≫
本開示に係る炭素繊維の製造方法は、
炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造すること(予備耐炎化工程)、
予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造すること(耐炎化工程)
耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃以下の第1温度範囲で加熱して炭素化処理すること(第1炭素化工程)、及び、
第1温度範囲で炭素化された耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃超の第2温度範囲で加熱して、さらに炭素化処理すること(第2炭素化工程)
を含んでおり、
第1炭素化工程における延伸倍率が1.08以上である。
本件発明者らは、炭素繊維前駆体繊維に対して酸化性雰囲気下で加熱処理を行うことによって残留収縮応力を低減させ、その後に耐炎化処理を行い、かつ、比較的高い延伸倍率で炭素化処理を行うことによって、優れた強度及び優れた品位を有する炭素繊維が得られることを見出した。
このような効果が得られるメカニズムは明らかではないが、繊維の残留収縮応力を低減することによって繊維の延伸性が向上するため、炭素化処理の間に、繊維を比較的高い延伸倍率で延伸することが容易になると考えられる。炭素化処理の間に繊維を比較的高い延伸倍率で延伸することによって、炭素繊維における結晶の配向性が向上し、結果として、炭素繊維の強度が向上すると考えられる。
また、残留収縮応力が比較的高い繊維に対して比較的高い延伸倍率を適用すると、得られる炭素繊維の強度が得られないばかりか、毛羽の発生など、炭素繊維の品位が低下するおそれがある。これに対して、本発明では、繊維の残留収縮応力を低減させたのちに比較的高い延伸倍率を適用するので、毛羽の発生などの品位低下を生じることなく、高強度の炭素繊維を得ることができると考えられる。
<予備耐炎化工程>
本開示に係る炭素繊維の製造方法においては、
炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造する。
(炭素繊維前駆体繊維)
本開示に係る方法に用いる炭素繊維前駆体繊維は、特に限定されないが、好ましくは、アクリル系前駆体繊維が挙げられる。アクリル系前駆体繊維は、アクリロニトリルを90質量%以上、好ましくは95質量%~99.9重量%含有し、その他の単量体を10質量%以下含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して製造されたものであることが好ましい。その他の単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能な単量体が挙げられ、例えば、アクリル酸、イタコン酸等の酸類及びその塩類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等のエステル類、アクリルアミド等のアミド類等が挙げられ、これらは、目的とする繊維特性に応じて、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アクリル系前駆体繊維を製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。アクリル系前駆体繊維は、例えば、ポリアクリロニトリル系重合体を含有する紡糸原液を調製し、この紡糸原液を湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法によって凝固させることによって凝固繊維を得、かつ、得られた凝固繊維に対して水洗、延伸、油剤付与(オイリング)、乾燥、及び二次延伸を行うことによって、製造することができる。ポリアクリロニトリル系重合体は、例えば、溶液重合法または懸濁重合法で重合することができる。また、二次延伸はスチーム延伸処理を用いることが好ましく、合計の延伸倍率が5~15倍になるように延伸することが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維は、複数の単糸(フィラメント)から構成される繊維束の形態であってよい。炭素繊維前駆体繊維のフィラメント数は、製造効率の面では1,000フィラメント以上が好ましく、3,000フィラメント以上がより好ましい。フィラメント数の上限は特に限定されないが、例えば100,000フィラメントであってよく、50,000フィラメント以下であることが好ましい。炭素繊維前駆体繊維の単繊維直径は7~13μmであることが好ましい。
炭素繊維前駆体繊維は、油剤を付与されたものであることが好ましい。油剤は、例えば、炭素繊維前駆体繊維の製造過程で付与することができ、特には、紡糸後の凝固繊維を油剤含有水溶液に浸漬することによって、付与することができる。油剤は、シリコーン系油剤であってよく、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、若しくはエーテル変性シリコーン、又はこれらの混合物であってよい。
炭素繊維前駆体繊維に付着している油剤の量(油剤の付着量)は、炭素繊維前駆体繊維に対して、好ましくは0.01重量%~0.8重量%、より好ましくは0.03~0.7重量%、さらに好ましくは0.05~0.65重量%である。炭素繊維前駆体繊維における油剤の付着量をこの範囲に制御することで、静電防止効果がもたらされ、かつ、その後の工程での糸切れ及び毛羽の発生を抑制することができ、高品質の炭素繊維前駆体繊維及び炭素繊維束を得ることができる。なお、炭素繊維前駆体繊維における油剤の付着量は、油剤付与の前後でそれぞれ計測した繊維の重量に基づいて決定することができる。
(酸化性雰囲気)
予備耐炎化工程は、酸化性ガスを含む雰囲気(酸化性雰囲気)中で行う。酸化性ガスとしては、酸素やオゾンなどが例示でき、特には空気中で行うことが好ましい。
(残留収縮応力)
予備耐炎化工程で製造される予備耐炎化繊維の残留収縮応力は、好ましくは、0.25cN/dtex以下、0.24cN/dtex以下、若しくは0.23cN/dtex以下であり、かつ/又は、0.21cN/dtex以上、若しくは0.22cN/dtex以上である。
残留収縮応力が上記の範囲であることによって、特に優れた強度及び特に優れた品位を有する炭素繊維を得ることができる。
予備耐炎化繊維の残留収縮応力は、熱機械分析装置(TMA)TMA4000SE装置(NETZSCH社)を用いて、下記のとおりにして測定することができる。
(1)予備耐炎化繊維を30フィラメント採取し、測定有効長10mmとして、繊維測定用治具に固定する。
(2)酸素濃度21vol%の酸化性ガス雰囲気下、100ml/minにて、繊維長を一定に保ち、RT(室温)~400℃まで、昇温速度10℃/minの条件で昇温し、予備耐炎化繊維の繊維断面積当たりのTMA測定応力を測定する。
(3)測定したデータより、RT~180℃以下における最大収縮応力を示す値を、予備耐炎化繊維の残留収縮応力とする。
(密度)
好ましくは、予備耐炎化繊維は、1.23g/cm以下の密度を有する。予備耐炎化繊維の密度は、さらに好ましくは、1.22g/cm以下、若しくは1.20g/cm以下であり、かつ/又は、1.10g/cm以上、1.15g/cm以上、若しくは1.18g/cm以上である。
(加熱)
予備耐炎化工程は、例えば、加熱炉を用いて行うことができる。
本開示に係る好ましい1つの実施態様では、予備耐炎化工程において、炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で、200℃~260℃の温度で、40秒~200秒にわたって加熱して、予備耐炎化繊維を製造する。これによって、予備耐炎化繊維の残留収縮応力をさらに効率的に低減することができる。
予備耐炎化工程における温度、すなわち、予備耐炎化繊維を製造する際の温度は、より好ましくは、210℃~255℃、220℃~250℃、又は230℃~245℃である。
予備耐炎化工程における加熱時間、すなわち、予備耐炎化繊維を製造する際の加熱時間は、より好ましくは、60秒~180秒、さらに好ましくは80秒~160秒、特に好ましくは100秒~140秒である。
(延伸倍率)
本開示に係る別の好ましい実施態様では、予備耐炎化工程における延伸倍率、すなわち、予備耐炎化繊維を製造する際の延伸倍率が、0.94以上0.98未満(特には0.95以上0.97以下)である。これによって、予備耐炎化繊維の残留収縮応力をさらに効率的に低減することができる。延伸倍率は、工程の前後の繊維搬送速度を制御すること等によって適宜調節することができる。
<耐炎化工程>
本開示に係る方法では、予備耐炎化工程で得られた予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する。耐炎化処理を行うことにより、前駆体繊維の分子内で環化反応が起こり、酸素結合量が増加する。その結果、不融化・難燃化された耐炎化繊維を得ることができる。
耐炎化工程では、例えば、予備耐炎化工程で得られた予備耐炎化繊維を、加熱空気中で10~120分間、好ましくは30~90分間にわたって加熱する。耐炎化処理は、延伸倍率0.85~1.15の範囲で行うことができ、高強度・高弾性率の炭素繊維を得るためには、延伸倍率が0.95以上であることが好ましく、0.98超であることが特に好ましい。耐炎化処理は、前駆体繊維を酸化された繊維とするものであり、耐炎化時の張力(延伸配分)は、特に限定されるものでは無い。
予備耐炎化処理及び耐炎化処理は、連続的に行うことができる。例えば、ローラーなどを用いて繊維を移送させて連続的に処理する場合に、炭素繊維前駆体繊維の走行方向の上流側で予備耐炎化処理を行い、かつ走行方向の下流側で耐炎化処理を行うことができる。
(酸化性雰囲気)
耐炎化工程は、予備耐炎化工程と同様に、酸化性雰囲気中で行うことができ、特には空気中で行うことができる。
(加熱温度)
耐炎化工程における加熱処理の温度、すなわち、耐炎化繊維を製造する際の加熱温度は、200℃~280℃、好ましくは230℃~260℃であってよい。
(密度)
耐炎化工程で製造される耐炎化繊維の密度は、好ましくは1.30g/cm~1.40g/cm、より好ましくは1.32g/cm~1.38g/cmである。耐炎化された繊維の密度がこの範囲であると、より強度の高い炭素繊維束を得ることができる。
(油剤の付与)
本開示に係る好ましい実施態様では、耐炎化工程の前に、予備耐炎化繊維に油剤を付与する。
すなわち、本開示に係る製造方法は、下記の態様を含む:
炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造すること(予備耐炎化工程)、
製造された予備耐炎化繊維に油剤を付与すること(油剤付与工程)、
油剤が付与された予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造すること(耐炎化工程)、
耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃以下の第1温度範囲で加熱して炭素化処理すること(第1炭素化工程)、及び、
第1温度範囲で炭素化処理された耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃超の第2温度範囲で加熱してさらに炭素化処理すること(第2炭素化工程)、
を含み、
第1炭素化工程における延伸倍率が1.08以上である、
炭素繊維の製造方法。
予備耐炎化繊維への油剤の付与量は、0.1重量%~0.3重量%であることが好ましく、0.15~0.25重量%であることがより好ましい。なお、予備耐炎化繊維に付与された油剤の量は、油剤付与の前後でそれぞれ計測した繊維の重量に基づいて決定することができる。
好ましくは、耐炎化処理の前において、予備耐炎化繊維に付着している油剤の量(油剤の付着量)が、0.1~1.0重量%であり、より好ましくは、0.13~0.9重量%、さらに好ましくは、0.15~0.8重量%である。この油剤の付着量は、炭素繊維前駆体繊維に付着していた油剤の量と、予備耐炎化繊維に付与した油剤の量とを含む。
繊維に油剤を付与する方法は特に限定されないが、油剤を含有する溶液に予備耐炎化繊維を接触させる方法が挙げられる。より具体的には、油剤溶液中にロールの一部を浸漬させて表面転写した後、このロールに予備耐炎化繊維を接触させて油剤溶液を付着させるタッチロール式、予備耐炎化繊維を直接油剤溶液に浸漬させる浸漬方式などが挙げられる。
油剤の種類は、単繊維間の接着、耐熱性、離形性、工程通過性の点から、シリコーン系油剤を主成分とすることが好ましい。シリコーン系油剤としてはアミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、エーテル変性シリコーンが好ましく、これらのうち2種以上を混合してもよい。
<炭素化工程>
本開示に係る方法では、耐炎化繊維を不活性雰囲気中で加熱して、炭素化処理する。
本開示に係る方法では、炭素化処理が、2段階、又はそれ以上の段階から構成される。通常、炭素工程の一段目処理(第1炭素化工程)は400℃~700℃程度、二段目処理(第2炭素化工程)の処理温度はそれ以上であり、得ようとする炭素繊維の弾性率に合わせ、任意の温度で処理され、必要に応じ三段目処理を行うこともできる。
<第1炭素化工程>
第1炭素化工程では、耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃以下の第1温度範囲で加熱して炭素化処理する。不活性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気が挙げられる。
例えば、耐炎化工程で得られた耐炎化繊維を、第1炭素化炉において、窒素雰囲気下、700℃以下の第1温度範囲で徐々に温度を上昇させつつ、1段目の炭素化処理を行うことができる。第1温度範囲は、700℃以下の温度範囲であり、好ましくは300℃以上700℃以下、より好ましくは400℃以上650℃以下である。
(延伸倍率)
本開示に係る方法では、第1炭素化工程における延伸倍率、すなわち、第1炭素化繊維を製造する際の延伸倍率を、1.08以上に設定する。第1炭素化工程における延伸倍率が1.08以上であることによって、優れた強度及び品位を有する炭素繊維を得ることができる。なお、「第1炭素化繊維」は、上記の第1温度範囲での炭素化処理によって得られる、炭素化処理された耐炎化繊維を意味する。
第1炭素化工程における延伸倍率は、好ましくは1.10以上である。第1炭素化工程における延伸倍率は、より好ましくは、1.11~1.20、さらに好ましくは、1.12~1.16である。第1炭素化工程における延伸倍率が当該範囲であることによって、強度及び品位の点で特に優れた炭素繊維を得ることができる。延伸倍率は、繊維に付与される張力を制御することによって調節することができる。
<第2炭素化工程>
第2炭素化工程では、第1温度範囲で炭素化処理された耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃超の第2温度範囲で加熱して、さらに炭素化処理する。第2炭素化処理によって、繊維の炭素化が進み炭素繊維を得ることができる。
例えば、第1温度範囲で炭素化処理された耐炎化繊維を、第2炭素化炉において、窒素等の不活性ガス雰囲気中で、700℃超の第2温度範囲で徐々に温度を上昇させつつ、焼成する。第2温度範囲は、700℃超の温度範囲であり、好ましくは700℃超2000℃以下、より好ましくは800℃超1800℃以下である。
第2炭素化工程では、第1温度範囲で炭素化処理された耐炎化繊維(第1炭素化繊維)に張力を作用させて行うことが好ましい。
(追加の炭素化工程)
より高い弾性率が求められる場合などは、所望により、第2炭素化工程を経た繊維に対して、2000℃~3000℃の高温で黒鉛化処理をさらに行うことができる。黒鉛化処理を行うと、グラファイト化(炭素の高結晶化)がさらに進み、より弾性率の高い炭素繊維とすることができる。
<表面酸化処理>
炭素化処理後に得られる炭素繊維に対して、気相又は液相で表面酸化処理を行うことができる。好ましくは、電解液中で表面酸化処理を施す。表面酸化処理を行うことで、炭素繊維の表面に官能基を導入することができ、サイジング剤及びマトリクス樹脂との接着性をさらに高めることができる。
<サイジング処理>
表面酸化処理された炭素繊維に対して、必要に応じて、サイジング処理を行うことができる。サイジング処理は、公知の方法で行うことができる。サイジング処理では、公知のサイジング剤を用途に応じて適宜使用することができる。炭素繊維に対してサイジング剤を均一に付着させた後、乾燥させることが好ましい。
<コンポジット>
本開示に係る方法によって製造される炭素繊維とマトリックス樹脂とから、炭素繊維強化樹脂複合材料(コンポジット)を形成することができる。本開示に係る方法によって製造される炭素繊維に対しては、上述のとおり、随意に表面酸化処理及びサイジング処理を行うことができる。
コンポジットに用いる炭素繊維は、シート状の強化繊維材料であることが好ましい。シート状の材料としては、繊維材料を一方向にシート状に引き揃えたもの、繊維材料を織編物や不織布等の布帛に成形したもの、多軸織物等が挙げられる。不織布として用いる場合、連続繊維からなる不織布であってもよく、不連続繊維からなる不織布であってもよい。シート状強化繊維材料として用いる場合、その目付としては25~10000g/mとすることが好ましい。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性マトリックス樹脂の具体例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性に優れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が、特に好ましい。これらの熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤以外に、通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリーレンオキシド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂等が挙げられる。
コンポジット中に占める樹脂組成物の含有率は、10~90重量%、好ましくは20~60重量%、更に好ましくは25~45重量%である。
このようにして得られる炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、機械的強度に優れた繊維強化複合材料である。
以下で、実施例を参照して、本開示に係る発明をより詳細に説明する。
≪実施例1~6及び比較例1~6≫
実施例1~6及び比較例1~6に係る炭素繊維を作製した。予備耐炎化繊維及び耐炎化繊維に関する物性、並びに炭素繊維の物性を、下記のとおりにして評価した。
<密度>
予備耐炎化繊維及び耐炎化繊維の密度は、JIS R 7603に規定された方法のうち、液置換法に基づき、液体にアセトンを用いて繊維密度を測定した。
<残留収縮応力>
予備耐炎化繊維の残留収縮応力は、熱機械分析装置(TMA)TMA4000SE装置(NETZSCH社)を用いて測定した。予備耐炎化繊維を30フィラメント採取し、測定有効長10mmとして、繊維測定用治具に固定した。次いで、酸素濃度21vol%の酸化性ガス雰囲気下、100ml/minのガス流量の条件で、繊維長を一定に保ち、室温(RT)~400℃まで、昇温速度10℃/minの条件で昇温し、予備耐炎化繊維の繊維断面積当たりのTMA測定応力を測定した。測定したデータより、RT~180℃以下における最大収縮応力を示す値を、予備耐炎化繊維の残留収縮応力とした。
<炭素繊維引張強度>
炭素繊維引張強度(CF強度)は、JIS R 7608に規定された方法により測定した。
<引張弾性率>
炭素繊維の引張弾性率は、JIS R 7608に規定された方法により測定した。
<単糸毛羽量>
炭素繊維の品位を、以下の手順で単糸毛羽量を測定することによって評価した。まず、炭素繊維1mを採取し、上端を固定し、下端に50gの重りをつるした。100℃の温風を1分間当て、確認できた毛羽数を目視により数え、1000フィラメント当たりの単糸毛羽量(ケ/1K)として計測した。
<接着数>
炭素繊維の品位に関して、接着数の測定は、下記のとおりに行った:炭素繊維を5mm長に切断し、アセトン10mlに分散させ、超音波処理を行った後に、100倍の光学顕微鏡により、接着した糸数を計測した。
<単繊維圧縮強度>
単繊維圧縮強度は、単糸圧縮装置MCT-W200J(SHIMADZU社製)を使用して測定した。炭素繊維束から単繊維を1本採取し、試料台に固定した。そして、圧縮試験モードにて、試験力200gf、負荷速度0.122gf/sec、保持時間0secにて測定を行った。
<コンポジット物性>
コンポジットの靭性は、以下の手順に従って作成した試料を用いて、モードI破壊靭性値GIc(J/m)を測定し評価した。
(樹脂組成物)
一方向プリプレグシートの作製に使用したエポキシ樹脂組成物の成分は、下記のとおりである。
・35重量部のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、アラルダイトMY0600(商品名))
・30重量部のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、EP604(商品名))
・15重量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、EP828(商品名))
・20重量部のウレタン変性エポキシ樹脂(アデカ社製、EPU-6(商品名))
・40重量部の芳香族アミン系硬化剤(4,4’-ジアミノジフェニルスルホン:和歌山精化工業製、セイカキュアS(商品名))
・35重量部のポリエーテルスルホン(住友化学工業(株)製、PES-5003P(商品名))
・20重量部のポリアミド樹脂粒子(エムスケミー・ジャパン社製、グリルアミド TR-55(商品名))
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂にポリエーテルスルホンを添加し、120℃で60分間、プラネタリーミキサーを用いて撹拌し、ポリエーテルスルホンをエポキシ樹脂に完全溶解させた。樹脂温度を80℃以下に冷ました後、ポリアミド樹脂粒子および硬化剤を添加し、ロールミルを用いて混練して、一方向プリプレグ作製用のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(プリプレグの製造)
調製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いてそれぞれ離型紙上に塗布して、50g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、炭素繊維束を一方向に配列させた炭素繊維シートに、上記作製した樹脂フィルムをシート両面にそれぞれ1枚重ねた。加熱、加圧することにより、樹脂を炭素繊維シートに含浸させ、炭素繊維の目付が190g/mで、マトリクス樹脂の質量分率が35.0%の一方向プリプレグを作製した。
(測定試料および試験方法)
一方向プリプレグを、一辺が360mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(繊維強化複合材料)を幅12.7mm×長さ304.8mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から12.7mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。予亀裂の先端から、亀裂進展長さが127mmに到達した時点で試験を終了させた。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは25.4mm/分とし、n=5で測定を行った。亀裂進展長さは顕微鏡を用いて試験片の両端面から測定し、荷重、及び亀裂開口変位を計測することにより、積分法にてGIcを算出した。
<実施例1>
0.5重量%のシリコーン油剤が付着したアクリル繊維(単繊維繊度0.8dtex、フィラメント数6000本)を、炭素繊維前駆体繊維として用いた。このアクリル繊維を、空気中において240℃で120秒にわたって加熱処理して、予備耐炎化繊維を製造した(予備耐炎化工程)。予備耐炎化工程での延伸倍率は0.96であった。得られた予備耐炎化繊維の密度及び残留収縮応力を、下記の表1に示す。
得られた予備耐炎化繊維に対して、0.2重量%の油剤を付与し、そして、空気中において250℃で耐炎化処理を行って、1.355g/cmの密度を有する耐炎化繊維を得た(耐炎化工程)。耐炎化工程における延伸倍率は、1.0であった。
次いで、得られた耐炎化繊維を、窒素ガス雰囲気下で、最低温度(入口温度)300℃、最高温度600℃の第1温度範囲で加熱して、炭素化処理した(第1炭素化工程)。第1炭素化工程における延伸倍率は、1.10であった。
第1温度範囲で炭素化処理した耐炎化繊維を、窒素ガス雰囲気下、最低温度(入口温度)1000℃、最高温度1400℃の第2温度範囲で加熱して、さらに炭素化処理した(第2炭素化工程)。第2炭素化工程の後に、表面処理、サイジング剤処理を行い、実施例1に係る炭素繊維を得た。
実施例1に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
また、実施例1に係る予備耐炎化繊維及び耐炎化繊維の物性、並びに実施例1に係る製造過程における温度等を、下記の表1に示す。実施例2~6及び比較例1~6についても同様に、これらの値を下記の表1に示す。
<実施例2>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱温度を220℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る炭素繊維を製造した。実施例2に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<実施例3>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る炭素繊維を製造した。実施例3に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<実施例4~6>
第1炭素化工程における延伸倍率をそれぞれ1.12、1.14、及び1.15としたこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ、実施例4、実施例5、及び実施例6に係る炭素繊維を製造した。実施例4~6に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<比較例1>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱温度を180℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る炭素繊維を製造した。なお、予備耐炎化工程における延伸倍率は、0.97であった。比較例1に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<比較例2>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱温度及び加熱時間をそれぞれ150℃及び30秒としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る炭素繊維を製造した。なお、予備耐炎化工程における延伸倍率は、0.98であった。比較例2に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<比較例3>
予備耐炎化処理を行わずに炭素繊維前駆体繊維としてのアクリル繊維を耐炎化処理したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3にかかる炭素繊維を製造した。比較例3では、第1炭素化工程において延伸を行うことができなかったため、炭素繊維の物性を評価することができなかった。
<比較例4>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱時間を20秒としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る炭素繊維を製造した。なお、予備耐炎化工程における延伸倍率は、0.97であった。比較例4に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<比較例5>
予備耐炎化繊維を製造する際の加熱時間を180秒としたこと、予備耐炎化繊維に0.1重量%の油剤を付与したこと、及び、第1炭素化工程における延伸倍率を1.05としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係る炭素繊維を製造した。なお、予備耐炎化工程における延伸倍率は、0.95であった。比較例5に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<比較例6>
第1炭素化繊維を製造する際の延伸倍率を1.05としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係る炭素繊維を製造した。予備耐炎化工程における延伸倍率は、0.96であった。比較例6に係る炭素繊維に関する物性の評価結果を、下記の表1に示す。
<評価>
表1で見られるとおり、実施例1~6は、0.22~0.25cN/dtexの残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造すること、及び第1炭素化工程における延伸倍率を1.10~1.15とすることを含んでおり、これらの製造方法によれば、予備耐炎化繊維を製造することを含まない比較例3の製造方法、0.29~0.35cN/dtexの残留収縮応力を有している予備耐炎化繊維を製造することを含む比較例1~2及び比較例4の製造方法、並びに第1炭素化工程における延伸倍率を1.05とする比較例5及び6の製造方法と比較して、優れた物性を有する炭素繊維を製造することができたことがわかる。
Figure 2022096210000001

Claims (7)

  1. 炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、0.27cN/dtex以下の残留収縮応力を有する予備耐炎化繊維を製造する、予備耐炎化工程、
    前記予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する、耐炎化工程、
    前記耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃以下の第1温度範囲で加熱して炭素化処理する、第1炭素化工程、及び、
    前記第1温度範囲で炭素化処理された前記耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、700℃超の第2温度範囲で加熱してさらに炭素化処理する、第2炭素化工程、
    を含み、
    前記第1炭素化工程における延伸倍率が1.08以上である、
    炭素繊維の製造方法。
  2. 前記予備耐炎化繊維が、1.23g/cm以下の密度を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1炭素化工程における前記延伸倍率が、1.11~1.20である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 炭素繊維前駆体繊維を、酸化性雰囲気下で200℃~260℃の温度で40秒~200秒にわたって加熱して、予備耐炎化繊維を製造する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記予備耐炎化工程における延伸倍率が、0.94以上0.98未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 製造された前記予備耐炎化繊維に油剤を付与する油剤付与工程をさらに含み、前記油剤が付与された前記予備耐炎化繊維を、酸化性雰囲気下で加熱して、耐炎化繊維を製造する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記油剤付与工程において、前記予備耐炎化繊維に、0.1~0.3重量%の油剤を付与する、請求項6に記載の方法。
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