JP2024003719A - Icカード - Google Patents

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【課題】ユーザによる使用選択が簡便に行えるとともに耐久性に優れ、スキミングを抑制できるICカードを提供する。【解決手段】非接触通信が可能なICカード1は、カード基体2と、ICチップおよびアンテナ80と、ICチップおよびアンテナ80が形成する通信回路に直列的に配置され、通信回路を閉じるか否かを選択可能な光学的スイッチ回路200と、を備える。光学的スイッチ回路200は、所定の入射光を入射光のレベルに応じた電圧に変換する光電素子210と、発生した電圧が所定値よりも低い場合に通信回路が通信不可能となる開状態とし、発生した電圧が所定値以上の場合に通信回路が通信可能となる閉状態とするスイッチ素子と、を備える。光電素子210は少なくとも一部がカード基体2の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるようにカード基体2に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、外部機器との非接触通信が可能なICカードに関する。
従来、ICカードとして、カード表面の外部接続端子を通じて電気信号の入出力を行う接触ICカードや、アンテナを介して電磁誘導等により電気信号の入出力を行う非接触ICカードが用いられている。また、これらに加えて、カードが備える単一のICチップにより、接触ICカードの機能およびと非接触ICカードの機能のいずれも実現できる接触および非接触共用ICカード、すなわちデュアルインターフェースICカードも用いられている。中でも、デュアルインターフェースICカードは、金融決済時には入出力データの外部漏洩の抑制に効果的な接触ICカードとして使用でき、部屋への入退室時や駅の改札機等に対しては近接状態でデータのやり取りを行う利便性の高い非接触ICカードとして使用できる。このため、デュアルインターフェースICカードについても、市場での普及が進んでいる。
ところで、非接触ICカードやデュアルインターフェースICカードは、カード基体の内部にICチップと電気的に接続されたコイルアンテナを有している。このアンテナは、外部から所定周波数の電磁波が発せられた場合に、この電磁波が形成する磁界を横切ることによって誘導起電力を励起する。誘導起電力で生じた電流がICチップに流れ込むことでICチップが動作し、外部のリーダー等と非接触通信を行うことができる。しかし、この非接触通信はユーザの意図とは無関係に行われてしまう。このため、例えばカード会社からユーザに向けて新規に発行されたカードが郵送される際に、悪意ある者により封筒の外部から非接触通信用のリーダライタを使ってカードが読み取られ、個人情報等が盗まれる(スキミング)可能性がある。
また、ユーザが財布の中に非接触ICカードを収納して外出した場合に、例えば駅の改札や店舗の出口等にて、ユーザの意図に反して非接触ICカードの情報が機器によって読み取られたり、決済されてしまう可能性がある。よって、ユーザが意図した場合にのみ、ICカードが使用できることが好ましい。
ところで、引用文献1には、切替部の各接触部の導電部と配線とが電気的に接続され、これら配線がアンテナの各端子に接続されており、複数のICチップのうちの1つのICチップが切替部を介してアンテナに電気的に接続できる非接触型ICカードが記載されている。切替部本体の周囲には発光素子(EL素子)の光を遮るための遮光部が取り付けられており、この遮光部は、切替部本体の周囲に同心に取りつけられ、回転軸に対して垂直方向に延びるように取り付けられている。遮光部は円板の一部を切り欠いた形状であり、この切り欠き部が、カード基材の内部に設けられた発光素子の下部に位置する場合には、当該発光素子から発生する光を遮光することになる。すなわち、切替部を回転させることにより、遮光部によって発光素子から発生する光の通過量を調整することにより、太陽電池からの出力電圧を調整し、ICチップの選択を行なうことができる。
特開2006-127483号公報
ユーザが、ICカードを意図して使用する場合にのみ、非接触通信が可能となる構成が好ましいが、機械的なスイッチを有するものは構造が複雑である上、故障し易く、ユーザの作業も面倒になる。このため、ユーザによる使用選択が簡便に行えるとともに耐久性に優れ、スキミングを抑制できるICカードを提供することを課題とする。
本実施の形態による、外部機器との非接触通信が可能な第1の構成に係るICカードは、カード基体と、前記カード基体の内部に配置されたICチップおよび当該ICチップと電気的に接続されたアンテナと、前記ICチップおよび前記アンテナが形成する通信回路に直列的に配置され、当該通信回路を閉じるか否かを選択可能な光学的スイッチ回路と、を備え、前記光学的スイッチ回路は、所定の入射光を当該入射光のレベルに応じた電圧に変換する光電素子と、前記光電素子にて発生した電圧が所定値よりも低い場合に前記通信回路が通信不可能となる開状態とし、前記光電素子にて発生した電圧が所定値以上の場合に前記通信回路が通信可能となる閉状態とするスイッチ素子と、を備え、前記光電素子は、少なくとも一部が前記カード基体の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるように前記カード基体に配置されている。
また、本実施の別の形態によるICカードのうちの第2の構成は、第1の構成において、前記光電素子およびスイッチ素子は、それぞれ太陽電池およびMOSFETを含んで構成されてもよい。
また、本実施の別の形態によるICカードのうちの第3の構成は、第1の構成または第2の構成において、デュアルインターフェースICカードであってもよい。
また、本実施の別の形態によるICカードのうちの第4の構成は、第1の構成から第3の構成のいずれかにおいて、不使用時または未使用時には、前記カード基体の表面に、前記光電素子を覆うように遮光ラベルが貼付されていてもよい。
また、本実施の別の形態によるICカードのうちの第5の構成は、第1の構成から第4の構成のいずれかにおいて、前記光学的スイッチ回路は、互いに前記通信回路に直列的に配置された第1の光学的スイッチ回路および第2の光学的スイッチ回路から構成され、 前記第1の光学的スイッチ回路が有する前記スイッチ素子である第1のスイッチ素子と、前記第2の光学的スイッチ回路が有する前記スイッチ素子である第2のスイッチ素子と、がともに閉状態となることにより前記通信回路が通信可能となってもよい。
また、本実施の別の形態によるICカードのうちの第6の構成は、第5の構成において、前記第1の光学的スイッチ回路が有する光電素子である第1の光電素子と、前記第2の光学的スイッチ回路が有する光電素子である第2の光電素子と、は、前記カード基体の互いに反対の表面に対して、少なくとも一部が前記カード基体の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるように前記カード基体に配置されてもよい。
本実施の形態によれば、ユーザによる使用選択が簡便に行えるとともに耐久性に優れ、スキミングを抑制できるICカードを提供することができる。
第1実施形態に係るICカードの構造を説明する平面図および断面図である。 図1(a)におけるICモジュール搭載位置付近に関する、ICモジュールを外した場合の拡大図である。 ICモジュールの構成と、カード基体との接続部分の詳細を説明する図である。 光学的スイッチ回路の構成を説明する、変形例を含めた断面図である。 光学的スイッチ回路を説明する回路図である。 第2実施形態に係るICカードの構造を説明する平面図である。 第3実施形態に係るICカードの構造を説明する平面図である。
以下、図面等を参照して、本開示のICカードの一例について説明する。ただし、本開示のICカードは、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のICカードの第1実施形態の一例について説明する。第1実施形態に係るICカード1は、デュアルインターフェースICカードである。ここで、説明の便宜上、ICカード1についてXYZ座標系を設定する。まず、図1(a)や図1(b)等に示すように、ICカード1の主面の法線方向にZ軸をとる。そして、ICモジュール70の外部接続端子71が配置されていない側の主面から、当該外部接続端子71が配置されている側の主面に向かう方向を+Z方向または厚さ方向の上方とし、その反対方向を-Z方向または厚さ方向の下方とする。
また、ICカード1を+Z方向から見たとき、ICカード1の両短辺およびZ軸に垂直な直線をX軸とする。また、外部接続端子71に近い側の一の短辺から他の短辺に向かう方向を+X方向または右方向とし、その反対方向を-X方向または左方向とする。さらに、X軸およびZ軸に垂直な軸をY軸とし、外部接続端子71から遠い側の一の長辺から他の長辺に向かう方向を+Y方向または上方とし、その反対方向を-Y方向または下方とする。
ここで、図1(a)は、ICカード1を+Z方向から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のICカード1のICモジュール70付近におけるX軸と平行なA-A線に沿った面で切った断面を、-Y方向から見た図である。図2は、図1(a)のICカード1のICモジュール70付近を拡大し、かつICモジュール70を取り外した状態のカード基体2側の状態を示す図である。また、図4(a)は、図1(a)のICカード1の光学的スイッチ回路200付近におけるX軸と平行なB-B線に沿った面で切った断面を、-Y方向から見た図であり、図4(b)は、これのバリエーションを示す図である。
図1(a)に示すように、ICカード1は、+Z方向側からの平面視において、4隅に丸みを備えた略矩形状の薄板の形態を有する。また、ICカード1の+Z方向側の表面には、中心よりもやや左上、すなわち中心よりも-X方向寄りでありかつ+Y方向寄りに外部接続端子71を含むICモジュール70が視認できる。ICモジュール70は、図1(b)に示すように、カード基体2に形成された凹部9の中に埋設され、外部接続端子71の+Z方向側の表面がカード基体2の+Z方向側の表面と略同一面となるように配置されている。このようなICカード1の形態は、ICカードの国際規格であるISO/IEC7816に準拠している。
一方、ICカード1の同じく+Z方向側の表面には、中心よりもやや右下、すなわち中心よりも+X方向寄りでありかつ-Y方向寄りに光電素子210が露出した光学的スイッチ回路200の一部が視認できる。光学的スイッチ回路200も、ICモジュール70と同様に、カード基体2に形成された凹部94の中に埋設され、光電素子210の+Z方向側の表面がカード基体2の+Z方向側の表面と略同一面となるように配置されている。ただし、光学的スイッチ回路200は、このような構成には限定されず、後述するように、光電素子210を含む光学的スイッチ回路200の表面の全体が透明性のある基材で覆われている態様でもよい。また、ICカード1を平面視した際の光学的スイッチ回路200の配置は、ICモジュール70と重複しない限り任意の場所に配置できる。
図1(b)に示すように、ICカード1のカード本体を構成するカード基体2は、-Z方向側から順に、オーバーシート層8、インナー層7、アンテナ保持層6および5、インナー層4並びにオーバーシート層3が積層されて一体化したものである。典型的には、オーバーシート層8および3が透明色の基材であり、インナー層7および4並びにアンテナ保持層6および5が白色の基材であるが、これには限定されない。また、アンテナ保持層5および6の間には、アンテナ80を構成するアンテナ線83が両者に挟まれるように配置されている。
アンテナ80を構成するアンテナ線83の両端には、それぞれ矩形状の金属製の導電性プレートである端部100として、第1プレート110および第2プレート120が溶接されている。カード基体2の凹部9のうち、比較的浅く切削されている第1凹部91には、ICモジュール70の基板72が搭載され、基板72の下面が第1凹部91の上面と当接する。さらに、第1凹部91では、アンテナ80と導通する第1プレート110や第2プレート120が凹部9の開口側に向けて露出する。この第1凹部91には、例えば導電性粒子を含んだ導電接着層11を形成することにより、ICモジュール70の電気的接点と第1プレート110等とを電気的に接続できる。その結果、ICモジュール70およびアンテナ80が非接触の通信回路を形成できる。
一方、図1(a)や図4(a)に示すように、ICモジュール70およびアンテナ80が形成する非接触の通信回路の途中には、当該通信回路に直列的に配置され、当該通信回路を閉じるか否かを選択可能な光学的スイッチ回路200が接続されている。光学的スイッチ回路200は、所定の入射光の条件によって、通信回路が通信可能となる閉状態および通信回路が通信不可能となる開状態、のいずれかの状態に遷移することが可能なスイッチ機能を有している。光学的スイッチ回路200は、所定の入射光を当該入射光のレベルに応じた電圧に変換する光電素子210を備える。光電素子210は、これに発生した電圧が所定値よりも低い場合に回路を開状態とし、発生した電圧が所定値以上の場合に回路を閉状態とする制御を行う。このような光学的スイッチ回路200のスイッチング動作は、例えばMOSFETやフォトトランジスタ等の無接点デバイスにより実現できるため、機械的接点と比べて耐久性が得られ、故障し難い構成とできる。
光学的スイッチ回路200がこのようなスイッチング動作を行うための光電素子210の所定の入射光の条件が、例えば可視光領域の所定の周波数範囲の入射光量であるとする。このとき、第1実施形態のICカード1では、光学的スイッチ回路200の光電素子210への所定の入射光の照射量が少ない場合、例えばICカード1が封筒に封入されてユーザ宛に送付中である場合やユーザがICカード1を財布に入れている場合には、ICカード1は非接触通信をしない。一方、ユーザが店舗等で財布からICカードを取り出しており、光電素子210に所定の入射光が十分照射されている場合には、ICカード1は正常に非接触通信を行う。よって、本実施形態では、ユーザによる使用選択が簡便に行えるとともに耐久性に優れ、スキミングを抑制できるICカードを提供することができる。
以下に、本実施形態のICカード1の構成およびその製造方法の詳細を説明する。
(a)カード基体
カード基体2は、デュアルインターフェースICカードであるICカード1を構成する、ICモジュール70を除くカード本体を指す。カード基体2は、前述したとおり、典型的には厚さ方向の-Z方向側の一端からオーバーシート層8、インナー層7、アンテナ保持層6および5、インナー層4およびオーバーシート層3がこの順に積層された構成を備える。また、アンテナ保持層6および5の間には、ループ形状に巻かれ、被覆導線等から形成されたアンテナ80が配置されている。カード基体2は、凹部9が形成される前のもの、および凹部9の形成後のものの両方を指すことがあり、アンテナ80を含まないもの、およびこれを含むものの両方を指す場合がある。また、アンテナ80の始点および終点にプレート状の端部100として第1プレート110および第2プレート120が溶接されている。
ただし、カード基体2の層構成は、これに限らず、オーバーシート層、インナー層、オーバーシート層の3層構成、または、オーバーシート層、インナー層が4層およびオーバーシート層の6層構成であってもよく、インナー層は適宜、複数層設けられてもよい。また、カード基体2のオーバーシート層3または6のインナー層4または5とは反対側の表面に印刷や磁気ストライプの埋め込みがされていてもよく、インナー層4または5のオーバーシート層3または6との隣接表面に印刷がされていてもよい。
カード基体2の厚さは、ISO/IEC7810等の規格に準拠する観点からは、0.76mm以上、0.84mm以下であることが好ましいが、この範囲外であってもよい。
(i)インナー層
インナー層はコア層とも称する。インナー層4および7としては、白色または着色された各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。インナー層4および7の厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.10mm以上、0.38mm以下程度とすることができる。
(ii)アンテナ保持層
アンテナ保持層は、インナー層と同様にコア層とも称する。アンテナ保持層5および6は、アンテナ80を挟み込んでこれを保持する機能を有し、インナー層4および7と同様の各種のプラスチックシートを幅広く使用することができる。アンテナ保持層5および6は、インナー層4および7と同一材料で構成されてもよく、互いに異なる材料で構成されてもよい。アンテナ保持層5および6の厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.10mm以上、0.38mm以下程度とすることができる。
(iii)オーバーシート層
オーバーシート層3および8としては、通常、インナー層やアンテナ保持層と同質の材料を使用するが、厚さが0.05mm以上、0.10mm以下程度の透明材料が使用されることが多い。インナー層、アンテナ保持層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層3および8の厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。また、この点は前述のインナー層4および7やアンテナ保持層5および6についても共通する。
オーバーシート層の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、オーバーシート層自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の接着剤の層をインナー層およびオーバーシート層の間に追加形成することで両者を一体化できる。また、ICカード1を磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層3および8のいずれかまたは両方について、インナー層4および7の両方または片方とは反対の主面側に磁気ストライプを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでおいてもよい。
(iv)アンテナシート
本実施形態では、後述するように、アンテナ保持層5または6の一方の面に、アンテナ80を形成し、当該アンテナ80を構成するアンテナ線83の両方の先端が、プレート状の導電性の端部100である第1プレート110および第2プレート120と電気的に接続した構成を有する。このようなアンテナ保持層5または6へのアンテナ80の形成は、例えば以下のように行う。まず、積層前のアンテナ保持層6のアンテナ保持層5と対向する表面に第1プレート110および第2プレート120を、熱圧等を掛けて接着固定する。このとき、アンテナ保持層6の表面に接着剤を塗布してから第1プレート110および第2プレート120を配置してもよい。なお、第1プレート110および第2プレート120は、ICモジュール70の載置予定位置に左右方向に並べて、その一部が載置時のICモジュール70の端子73aおよび73bと重畳するように配置される。
その後、アンテナ線83の先端を第1プレート110および第2プレート120のいずれか一方に対して溶接する。そして、この地点を始点として、アンテナ線83に対して所定の熱圧を掛け、絶縁部材で被覆された被覆導線であるアンテナ線83を、巻き線形成機によりアンテナ保持層6の表面に埋め込む。すなわち、アンテナ線83に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をアンテナ保持層6に順次、埋め込む。埋め込みが終了したアンテナ線83を切断し、当該切断されたアンテナ線83の先端を終点として、第1プレート110および第2プレート120のいずれか他方に対して溶接する。なお、ここでは説明の簡略化のため、後述する光学的スイッチ回路200とアンテナ線83とを接続する工程については触れていない。
アンテナ線83の始点となる先端と終点となる先端とは、それぞれ、第1プレート110および第2プレート120のいずれか一方と他方とに溶接によって電気的に接続される。このようにしてアンテナ80が形成されたアンテナ保持層6(アンテナシート12)を得る。アンテナ80がアンテナ保持層5または6に埋め込まれた中間生成物を、アンテナシート12と称することがある。アンテナシート12は、それのみでICカード1を製造するための部品として市場に流通させることができる。あるいは、アンテナ保持層等のシート材を加工業者に供給し、これを当該加工業者がアンテナシート12に加工して供給元に納品する、という商形態が存在し得る。
(v)アンテナ
アンテナ保持層5または6に形成されたアンテナ80において、そのアンテナ線83の複数の先端が電気的に接続された一対の端部100である第1プレート110および第2プレート120には、ICモジュール70の端子73aおよび73bがそれぞれ電気的に接続する。これにより、ICモジュール70が備えるICチップおよびアンテナ80が非接触通信の通信回路を構成する。当該通信回路は、例えば、ISO/IEC18092やISO/IEC144443等で規定される13.56MHzのHF周波数帯域を用いて近接通信を行うものでもよい。または、それ以外の、例えば920MHzのUHF周波数帯域や125KHzのLF周波数帯域、マイクロ波の2.45GHzの周波数帯を用いて通信を行うものでもよい。
外部機器であるリーダライタ等にICカード1をかざしたときに、当該通信回路にはリーダライタが形成する磁界や電波等により起電力や電流が発生して、ICチップに電力を供給する。これにより、ICチップは駆動可能となり、リーダライタと非接触による情報の送受信が可能であり、メモリに対する情報の読み出しや書き換え等ができる。
アンテナ80を構成するアンテナ線83は、典型的には銅線の周囲が絶縁部材で被覆された被覆導線により形成される。なお、これ以外にも、Cu-Ni、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Sn、Cu-Be等の銅合金線、または鉄、ステンレス、アルミ等の種々の金属線、金属合金線を選択することもできる。ICカード1は、被覆導線を用いることにより、例えば銅箔エッチング方式等に比較して安価に製造できる。ただし、本開示のICカード1は、銅箔エッチング方式や金属箔の打ち抜き方式等で形成されたアンテナ線を用いてもよい。
アンテナ線83の直径は、非接触の通信回路としての特性を確保できる限りにおいて、特段の制限はないが、例えば、0.03mm以上、0.30mm以下とすることができ、好ましくは、0.05mm以上、0.15mm以下とすることができる。後者の範囲とすることで、埋め込み加工による熱圧や切削加工による外力への耐久性が向上でき、良好な通信特性を確保できる。
(vi)端部(第1プレートおよび第2プレート)
次に、導電性の端部100である第1プレート110および第2プレート120の構成の詳細を説明する。第1プレート110および第2プレート120は、いずれも、ICカード1の主面の法線方向であるZ軸方向に沿った平面視において、略矩形状の板状部材である。図1(b)に示すように、第1プレート110および第2プレート120は、当該平面視において、第1凹部91と重畳する領域、すなわち、カード基体2から露出している領域と、第1凹部91よりも外側に位置し、カード基体2の内部に埋め込まれている領域と、を有する。
言い換えると、図2に示すように当該平面視で凹部9の外周93のうち、Y軸に沿う-X方向側の辺93aおよび+X方向側の辺93bに重畳する直線をそれぞれ直線m1およびm2とする。このとき、第1プレート110は、直線m1よりも+X方向側の領域が第1凹部91においてカード基体2から露出しており、直線m1よりも-X方向側の領域がカード基体2に被覆されている。同様に、第2プレート120は、直線m2よりも-X方向側の領域が第1凹部91においてカード基体2から露出しており、直線m2よりも+X方向側の領域がカード基体2に被覆されている。
第1プレート110を例にとれば、第1凹部91においてカード基体2から露出している第1プレートのX軸方向に沿った横幅は、第1凹部91の横幅と同じくW12であり、カード基体2による被覆部分も含めた横幅W11よりも狭い。また、第1凹部91においてカード基体2から露出している第1プレートのY軸方向に沿った縦幅はW2である。W12、W11およびW2の大きさや比率は任意であるが、第1プレート110の縦幅W2かつ横幅W12の領域の中に、ICモジュール70の載置時の端子73aの領域が包含されることが好ましい。これにより、端子73aと第1プレート110との電気的な接続に関する接触面積が安定的に得られるからである。第2プレート120についても同様である。
また、このように第1プレート110および第2プレート120の一部が、カード基体2に被覆されていることにより、凹部9の形成時のエンドミル刃の切削抵抗等の外力に対する第1プレート110および第2プレート120の保持効果が高められる。よって、不用意にプレートがカード基体2から剥がれて位置がずれてしまうことが抑制される。
また、前述したように、第1プレート110および第2プレート120は、第1部材111と、当該第1部材111の+Z方向側に積層される第2部材112との少なくとも2層を含む積層構成を有する。このとき、第2部材112は、第1部材111よりも酸化し難い部材であることが好ましい。酸化し難い部材とは、例えば第1部材111や第2部材112がともに金属である場合は、第2部材112の方が、第1部材111よりもイオン化傾向が小さい金属であると言い換えることができる。このような金属の一例として、第1部材111をアルミニウム、鉄、ニッケルまたは銅とし、第2部材112を銀、パラジウム、プラチナまたは金とすることができる。
材料調達の容易性やコスト、加工適性、電気特性等を考慮すると、上記に挙げた中でも、第1部材111として導電性の高い銅を使用し、第2部材112として銀メッキを使用することが好ましい。十分な導電性が確保できる銅を第1部材111とし、酸化し難く、エンドミルによる樹脂層の切削時に金属界面を露出させ易い銀をメッキとして第2部材112に用いることで、コストアップを抑制しつつ、良好な電気特性および加工適性を得られるからである。
一方、第1プレート110および第2プレート120は、上述した2層または3層以上の積層構成を有さず、単一部材のみの構成としてもよい。この場合、単一部材は導電性を有する部材に限定され、例えば第1部材111や第2部材112として例示した上述の部材やこれらの合金等を使用できる。好ましくは導電性の高い銅やアルミ、ステンレス等を選択できる。単一部材とする方が、材料入手や加工が容易でありコスト低減にもつながる。
なお、本実施形態では、上述するようにアンテナ線83の複数の先端が一対の端部100である第1プレート110および第2プレート120と溶接されている構成について説明するが、必ずしもアンテナ線83の端部がこのようなプレートと接続する必要はない。例えば、アンテナ線の複数の先端がジグザグ形状、メアンダ形状または蛇腹形状と呼ばれる何度も折り返す構成とすることで、上述のプレートと同様の機能を果たすことができる。また、ICモジュールとカード側のアンテナ線とが物理的に接合せず、ICモジュール側にICチップと電気的に接続された第1コイルが形成され、カード基体側にこれと対向する第2コイルが形成され、第2コイルがカード基体のアンテナと結線されている構成であってもよい。この場合、第1コイルと第2コイルとが電磁結合し、カード基体のアンテナをブースターアンテナとして動作させるブースター方式でICカードの非接触通信が可能となる。
(b)ICモジュール
次に、ICモジュール70の主要な構成要素の各部について、主に図1(b)や図3に基づいて説明する。図3(a)は、図1(a)と同様に、+Z方向側からICモジュール70の外部接続端子71側を見た図である。図3(b)は、ICモジュール70を図3(a)とは反対側の-Z方向側から見た図である。ここでは、内部を透視できるよう、ICチップ体74のモールド部74bの大半を省略して記載している。また、図3(c)は、図1(b)の端子73a付近のC部を拡大した断面図である。
ICモジュール70は、カード基体2に対して形成された凹部9に埋設され、ICモジュール70の端子73aおよび73bがアンテナ80の第1プレート110および第2プレート120とそれぞれ電気的に接続することで、非接触通信の通信回路を形成する。このとき、ICモジュール70が備える外部接続端子71を通じて、接触式リーダライタ等と接触通信を行うことができる。
基板72はガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の可撓性を有する絶縁性の樹脂フィルムの表裏に銅箔が接着剤を介して貼り込まれ、当該樹脂フィルムの表裏面に貼り込まれた銅箔を、所定のパターンを形成するように残存させたものである。具体的には、当該樹脂フィルムの一方の銅箔面に外部接続端子71を、他方の銅箔面に端子73aおよび73bを形成するように、感光材の塗付、所定パターンが形成されたフィルム版の載置、露光、非感光部位のエッチング除去、を順次行う。これにより、当該樹脂フィルムの表裏面に所定のパターンの銅箔が一部残存した基板72が形成される。また、基板72にはあらかじめ、外部接続端子71へのワイヤボンディングのための貫通孔であるボンディングホール76が複数箇所、設けられている。
外部接続端子71には、図3(a)に示すように、ISO/IEC7816―2規格で定められた、外部端子の各区画が画定されている。これらの各区画とICチップ74aとは、図3(b)に示すように、基板72に設けられた上述のボンディングホール76を通じて、金ワイヤ等のワイヤ75によって結線されている。また、端子73aおよび73bとICチップ74aとの間も同様に、ワイヤ75によって結線されている。これらのボンディングホール76やワイヤ75は、モールド部74bによって被覆保護されている。
基板72の、外部接続端子71の形成面とは反対側の面に、ICチップ体74が配置されている。ICチップ体74は、基板72に接着剤を介して接着、固定されたICチップ74aと、結線のためのボンディング用のワイヤ75と、これらを保護するための封止樹脂であるモールド部74bとから構成される。ICチップ74aは、接触通信、非接触通信の両方の動作を制御するためのCPUと、RAMやROM、EEPROM、フラッシュメモリー等の記憶装置と、を備える。さらにICチップ74aは、接触通信および非接触通信の入力信号解読と出力信号生成を行うインターフェース回路や電力発生回路等の各種回路を備えている。なお、各種回路はICチップ74aとは別個の素子として設けられていてもよい。
モールド部74bは、ICチップ74aやワイヤ75を外力負荷や環境負荷から保護するために、これらを被覆する突起状部位として設けられる。モールド部74bとして、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂等が使用される。
(c)導電接着層
カード基体2に対してICモジュール70を埋設するための凹部9を、エンドミルによる切削加工等によって形成した後、ICモジュール70を当該凹部9に埋設固定し、電気的および機械的に接続する導電接着層11について説明する。導電接着層11は、図3(c)に示すように、第1プレート110と、ICモジュール70の基板72および基板72に形成された端子73aと、に挟まれるように配置される、液状またはテープ状の部材である。
導電接着層11は、あらかじめ、ICモジュール70の基板72の外部接続端子71とは反対側の面に塗付、貼付されていてもよく、カード基体2の凹部9の切削後の底面に塗付、貼付されてもよい。
典型的な導電接着層11は、ICモジュール70と切削済みのカード基体2との機械的接続を兼ねるため、基板72の裏面の全面または凹部9のうちの第1凹部91に対応する部位に塗付、貼付されていてもよい。こうすることで、ICチップ74aおよびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とを同一種類の導電接着層11で行うことができ、工程の簡略化に寄与する。
しかし、導電接着層11が、基板72の裏面のうち、端子73aおよび73bの領域のみを覆うように塗付、貼付され、その他の基板72の裏面には、導電性を有しない別の接着剤が塗付、貼付されていてもよい。当該別の接着剤が導電性を考慮しなくてもよいことにより、接着剤として機械的接続に有利なものを選定し易くできる。
電気的接続と機械的接続との兼用が図れる導電接着層11としては、ACF(Anisotropic Conductive Film)、すなわち、異方性導電フィルムや、ACP(異方性導電ペースト)を使用できる。また、その他、エポキシ樹脂中に銀粒子をフィラーとして分散した、いわゆる導電性ペーストやはんだペーストとしてもよい。中でも、ACFを使用すれば、ICモジュール70の基板72の裏面全体にACFを熱ラミネートしておき、当該ICモジュール70を切削済みのカード基体2の凹部9に埋設後、これを所定温度、荷重でヒートプレスすることができる。こうすることで、ICチップ74aとアンテナ80との電気的接続が容易に図れる。さらには、ICモジュール70のカード基体2への機械的接続も同時に図れるため、ICモジュール70のカード基体2への実装工程を簡易化することができる。
導電接着層11としてACFを使用した際の、ICチップ74aおよびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とは、図3(c)に基づいて以下のように説明できる。導電接着層11は、接着成分を含有するバインダーである接着剤11bの中に、球状樹脂または球状金属の周りに金属膜が形成された導電粒子11aが分散した構成を有している。導電粒子としては、樹脂をニッケルや金でコーティングしたものでもよく、はんだ粒子であってもよい。はんだ粒子は、SnPb系、SnAgCu系、SnCu系、SnZnBi系、SnAgInBi系、SnZnAl系等様々なものや、これと他の金属とを合金化したもの等が使用可能である。これらの構成は、ACPとした場合も同様である。
ここで、アンテナ線83の先端と電気的に接続した第1プレート110と、ICモジュール70の基板72および基板72に形成された端子73aと、に挟まれるように配置された導電接着層11が圧縮されるように、基板72に対して+Z方向から-Z方向に向かう熱圧を掛ける。これにより、導電接着層11を介してICモジュール70およびカード基体2の機械的接続と、ICチップ74aおよびアンテナ80の電気的接続と、の両立が図れる。
(d)光学的スイッチ回路
次に、光学的スイッチ回路200について、主に図1(a)、図4および図5に基づいて説明する。図5(a)および図5(b)は、ICカード1および光学的スイッチ回路200の電気的構成を示す概略回路図である。
光学的スイッチ回路200は、そのいずれかの面上に光電素子210と、外部との信号のやりとりのための電気的な端子220aおよび220bと、が露出している略直方体の筐体を備える。光学的スイッチ回路200は、ICモジュール70と同様に、カード基体2に対して形成された凹部94に埋設され、光学的スイッチ回路200の電気的な端子220aおよび220bがアンテナ80の端部であるプレート130および140とそれぞれ電気的に接続する。プレート130および140は、前述した第1プレート110および第2プレート120とほぼ同様の構成とできる。これにより、光学的スイッチ回路200は非接触通信の通信回路の開閉用スイッチ構造を形成する。すなわち、光学的スイッチ回路200のスイッチ素子が閉状態となるときには、非接触通信が可能となるが、光学的スイッチ回路200のスイッチ素子が開状態となるときには、通信回路が断線状態となるため、非接触通信が不可能となる。
光学的スイッチ回路200は、ICモジュール70と同様に、カード基体2に対して光学的スイッチ回路200を埋設するための凹部94を、エンドミルによる切削加工等によって形成した後、光学的スイッチ回路200を当該凹部94に埋設固定する。その際、導電接着層11と同様の構成である導電接着層13を介在させることで、光学的スイッチ回路200の全体がカード基体2の凹部94に機械的に固定される。また、光学的スイッチ回路200の端子220aおよび220bは、それぞれ、導電接着層13を介してプレート130および140と電気的に接続する。導電接着層13は、導電接着層11と同様に、接着成分を含有するバインダーである接着剤13bの中に、球状樹脂または球状金属の周りに金属膜が形成された導電粒子13aが分散した構成を有している。
これにより、光学的スイッチ回路200の端子220aおよび220bが短絡する場合には、プレート130および140に接続するアンテナ80は互いに導通し、通信回路を閉状態とする。なお、プレート130および140は、前述した第1プレート110および第2プレート120と同様に、第1部材131、141と、当該第1部材131、141の+Z方向側に積層される第2部材132、142との少なくとも2層を含む積層構成を有してもよい。
光学的スイッチ回路200の構造は任意であるが、少なくとも光電素子210とスイッチ素子とを具備し、スイッチ素子の両端にアンテナ80の端部が電気的に接続されている。また、光電素子210の少なくとも一部が、図4(a)に示すようにカード基体2の表面に露出するように、または図4(b)に示すようにオーバーシート層等の透明性を有する層を介して外部から入射光が受光可能となるようにカード基体2に埋設されて配置されている。これにより、ICカード1が所定の入射光の照射を受けているときに、光学的スイッチ回路200の光電素子210が効果的にこれを受光し、通信回路のスイッチング動作を良好に行うことができる。
光学的スイッチ回路200の配置を含む、ICカード1の電気的な等価回路は図5(a)のようになる。図5(b)に光学的スイッチ回路200部分の概略回路図を示す。ICカード1は、大きく分けてICチップ部分と、その外側のアンテナLと、光学的スイッチ回路200とに分けることができる。ICチップは、アンテナLの両端および整流回路RCと接続する各種回路と、アンテナLの両端の配線と各種回路とで構成される回路に対して並列に接続される内部容量Cと、整流回路RCとを有している。光学的スイッチ回路200は、アンテナLの両端の配線と各種回路とで構成される回路に対して直列に接続される。
ICチップの各種回路は、アンテナLが受電した交流電圧を、整流回路RCを通じて直流電圧に変換する定電圧回路や充電回路を含む。また、ICチップの各種回路は、アンテナLが受信したアナログ信号を復調し、デジタルデータに変換する復調回路、デジタルデータをアナログ信号に変調し、アンテナLを通じて外部機器に向けて送信するための変調回路を含む。さらには、リセット回路、クロック回路、デジタル回路等を含んで構成される。
一方、光学的スイッチ回路200は、光電素子210と、スイッチ素子とを少なくとも備える。両者は必ずしも物理的に異なる素子である必要はなく、両機能を備えた一体的な素子であってもよい。図5(b)の回路を参照すると、外部から照射された所定の入射光によって、太陽電池やフォトダイオードを含んで構成される光電素子は、半導体のPN接合部に照射された入射光の光量に応じて所定の電圧を生じさせる。発生した電圧が光電素子の内部に設けられた制御回路を通じて出力側のMOSFET等で構成されるスイッチ素子のゲートに印加される。この印加された電圧が所定の閾値以上になった場合、スイッチ素子はオン状態となり、負荷回路がオンする。その結果、光学的スイッチ回路200のアンテナ80の端部との接続点である端子220aおよび220bは短絡し、通信回路が閉状態となる。
上述の光学的スイッチ回路200は専用に設計、製作してもよいが、汎用的な部品である発光素子(LED)と光電素子およびスイッチ素子(太陽電池、制御回路およびMOSFET)とを組み合わせた半導体リレーを流用する方法も有効である。このような部品は、例えばPhotoMOS(登録商標)等の名称で製品化されている。これらのリレー部品から発光素子を除去し、光電素子が露出するようにICカード1に組み込むことで、複雑な設計や製造を経ずとも容易に本実施形態の光学的スイッチ回路200を形成することが可能である。スイッチ素子がMOSFETである場合、ゲート電圧をVGSとすると、VGS=10VのMOSFETを使用すれば、スイッチ素子のゲートに印加された電圧が10V以上になった場合、スイッチ素子はオン状態となって負荷回路がオンし、ゲートに印加された電圧が10Vを下回った場合、スイッチ素子はオフ状態となって負荷回路がオフする。すなわち、光電素子210にて発生した電圧が10Vよりも低い場合にスイッチ素子は通信回路が通信不可能となる開状態となり、光電素子210にて発生した電圧が10V以上の場合にスイッチ素子は通信回路が通信可能となる閉状態となる。VGSの値は、標準で10V、5V、2.7V、1.5V等のものが市販品として容易に選択できる。
なお、入射光量に応じて電圧を発生させる光電素子210は、フォトダイオードやフォトトランジスタよりも太陽電池であることが好ましい。太陽電池は、フォトダイオードやフォトトランジスタよりも光照射による電流出力を向上させるようにPN接合の改良が図られており、入射光の変動があっても光学的スイッチ回路200スイッチング動作の安定化が図れるからである。
また、一般的な発光素子(LED)、光電素子(太陽電池)およびスイッチ素子(MOSFET)とを組み合わせた半導体リレーは、発光素子(LED)が赤外線の波長帯域であるものが多い。しかし、本実施形態における光学的スイッチ回路200の使用の観点からは、波長が380nm以上、780nm以下のいわゆる可視光領域の入射光に対して光電素子210が反応するものであることが好ましい。可視光領域の入射光に対応して光学的スイッチ回路200の開閉動作ができることにより、ICカード1の通信可能条件が周囲の可視光の強弱のみに依存する結果、ユーザが光学的スイッチ回路200の開閉動作を予測し易くなり、使い勝手が向上する。
一方、本実施形態のICカード1の光学的スイッチ回路200は、紫外線や赤外線等の不可視光の入射光の光量に応じて光電素子210が反応するものであってもよい。このような不可視光領域の入射光に対応して光学的スイッチ回路200の開閉動作ができることにより、ICカード1の通信可能条件が赤外線ランプや紫外線ランプ等の特殊な装置を使用することに依存するという、通常の予測とは異なる使用形態がとれる。これにより、ユーザの光学的スイッチ回路200の開閉動作の予測性は低下するものの、第3者から見た当該予測性も低下するため、セキュリティ性が向上する。不可視光の波長範囲は、例えば波長が380nmよりも短い範囲か、あるいは780nmよりも長い範囲とすることができる。
(e)ICカードの製造方法
次に、上述したカード基体2、ICモジュール70、光学的スイッチ回路200および導電接着層11、13を用いた、ICカード1の製造方法の一例を説明する。
まず、インナー層4または7とは隣接しない側の、アンテナ保持層5または6のいずれかの表面に、プレート状の端部100である第1プレート110および第2プレート120を接着し、かつ、プレート状の端部であるプレート130および140を接着する。
次に、絶縁部材で被覆された被覆導線をアンテナ線83として、端部100が形成されたアンテナ保持層5または6の当該形成面に、第1プレート110および第2プレート120のいずれか一方を始点とし、いずれか他方を終点として、巻き線形成機により埋め込む。ここで、アンテナ線83の始点および終点において、巻き線形成機は、第1プレート110および第2プレート120に、アンテナ線83の先端を溶接する。ただし、アンテナ線83は、途中でプレート130および140のいずれか一方に溶接した地点でいったん切断され、再度、その他方へ溶接したところから再開して、終端まで埋め込まれる。
具体的には、例えば、アンテナ保持層6に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をアンテナ保持層6に順次、埋め込む。このとき、アンテナ保持層6を第1の基材と称してもよい。
次に、図1(b)に示すとおり、厚さ方向の下側からオーバーシート層8、インナー層7、アンテナ保持層6および5、インナー層4およびオーバーシート層3をこの順に重ねる。その後、カードが縦横に多面付けで配置された大判シートの積層体の単位で、厚さ方向の上下からステンレス板で挟み込み、当該ステンレス板を介して、当該積層体に対して熱圧を加える。このとき、アンテナ保持層5および6の間に挟まれるように、例えばアンテナ保持層6の表面上に事前にアンテナ80が形成されている。このとき、第1の基材であるアンテナ保持層6と対向配置され、アンテナ80を挟み込むように第1の基材に対して積層されるアンテナ保持層5を第2の基材と称してもよい。
このような熱プレス工程を経ることにより、第1の基材および第2の基材を含む積層体の各層が一体化した大判シート単位のカード基体を得ることができる。また、オーバーシート層、インナー層、アンテナ保持層のいずれかが所定温度で熱融着しない耐熱性を有する場合には、各層間に所定温度で熱融着する接着シートを挟むか、接着剤を塗付する。その上で、これらを熱プレス工程に掛けることにより、一体化した大判シート単位のカード基体を得る。
上記により得られた、カードが縦横に多面付けで配置された大判シート単位のカード基体を、打ち抜き機によりISO/IEC7816のカードサイズであるカード基体2として打ち抜く。また、当該カード基体2にICモジュール70を埋設するための凹部9と、光学的スイッチ回路200を埋設するための凹部94と、をエンドミルによる切削加工にて形成する。これにより、切削済みのカード基体2が得られる。凹部9は、ICモジュール70の平板状の基板72を収納するための第1の深さの第1凹部91と、凸状のICチップ体74を収納するための、第1凹部91よりも深い第2の深さの第2凹部92との2段で構成されることは前述したとおりである。また、カード基体2の第1凹部91の底面には、第1プレート110および第2プレート120の表面が露出している。一方、カード基体2の凹部94の底面には、プレート130および140の表面が露出している。
一方、カード基体2の製造および凹部9を形成するための切削加工とは別に、ICモジュール70や光学的スイッチ回路200への導電接着層11や13の貼付を行う。ICモジュール70や光学的スイッチ回路200としては、通常、1列取りまたは2列取りで連続的に長尺のテープにこれらの部品が形成されているモジュールテープを使用する。このモジュールテープの外部接続端子71の形成面とは反対側の面に、テープ状のACFを一定の熱圧を加えながら貼り込んでいく。その後、ACFが貼り込まれたモジュールテープを、角に丸みを有する略矩形のICモジュール70や光学的スイッチ回路200として打ち抜き機で打ち抜くことで、導電接着層11や13の貼付がされたICモジュール70や光学的スイッチ回路200を得る。
その後、凹部9や凹部94が形成されたカード基体2に対し、導電接着層11や13の貼付がされたICモジュール70や光学的スイッチ回路200を埋設する。そして、外部接続端子71や光電素子210の部分に所定のヒートブロックを押し当てて、カード基体2側に向けて所定時間、所定の熱圧を加える。これにより、ACFで構成された導電接着層11や13を溶融させることにより、ICモジュール70や光学的スイッチ回路200の端子73a、73bおよび220a、220bと、第1プレート110、第2プレート120およびプレート130、140との電気的接続を図る。これとともに、ICモジュール70や光学的スイッチ回路200とカード基体2との機械的接続を図る。ACFは、その品種や組成により、加える時間や熱圧条件に差異はあるが、一例としては、時間を0.5秒以上、10.0秒以下、温度を150℃以上、250℃以下、圧力を20MPa以上、100MPa以下とすることができる。
(f)第1実施形態のICカードについて
以上をまとめると、第1実施形態のICカード1は、外部機器との非接触通信が可能なデュアルインターフェースICカードである。ICカード1は、カード基体2と、カード基体2の内部に配置されたICチップ74aおよび当該ICチップ74aと電気的に接続されたアンテナ80と、を備える。さらにICカード1は、ICチップ74aおよびアンテナ80が形成する通信回路に直列的に配置され、当該通信回路を閉じるか否かを選択可能な光学的スイッチ回路200を備える。光学的スイッチ回路200は、所定の入射光を当該入射光のレベルに応じた電圧に変換する光電素子210を備える。また光学的スイッチ回路200は、光電素子210にて発生した電圧が所定値よりも低い場合に通信回路が通信不可能となる開状態とし、光電素子210にて発生した電圧が所定値以上の場合に通信回路が通信可能となる閉状態とするスイッチ素子を備える。
第1実施形態のICカード1では、光学的スイッチ回路200の光電素子210への所定の入射光の照射量が少ない場合、例えばICカード1が封筒に封入されてユーザ宛に送付中である場合やユーザがICカード1を財布に入れている場合にはICカード1は非接触通信をしない。一方、ユーザが店舗等で財布からICカードを取り出しており、光電素子210に所定の入射光が十分照射されている場合にはICカード1は正常に非接触通信を行う。よって、本実施形態では、ユーザによる使用選択が簡便に行えるとともに耐久性に優れ、スキミングを抑制できるICカードを提供することができる。
なお、本実施形態ではICカード1がデュアルインターフェースICカードであるものとして説明した。しかし、本開示はこれに限定されず、ICモジュールが外部接続端子を備えず、完全にカード基体の内部に埋め込まれた態様の非接触ICカードにも適用可能であることはいうまでもない。この場合においても、光学的スイッチ回路が所定の入射光に応じてICチップおよびアンテナにより形成される通信回路のオンオフを好適に制御することにより得られる効果は同じだからである。この点は、以降の他の実施形態や変形例に関しても同様である。
2.第1実施形態の変形例
(a)変形例1
第1実施形態のICカード1の変形例について説明する。第1実施形態のICカード1の一方の面には光学的スイッチ回路200の光電素子210が露出している。しかし、ユーザの使用開始前、および使用予定がない間は、図4(a)に破線で示すように、ICカード1の光電素子210が露出する側の面上に、光電素子210全体を覆うような粘着性のある遮光ラベル300を貼り付けてもよい。遮光ラベル300は、適度の遮光性さえあれば、材質は問わないが、これを再剥離可能かつ再粘着可能なラベルか、再剥離可能かつ再粘着不可能なラベルとして使用することが好ましい。
遮光ラベル300を前者の構成とすれば、ユーザが必要に応じて遮光ラベル300を、光電素子210全体を覆うように何度でも貼り付けたり剥がしたりできる。これによって、ユーザの使用時と不使用時の使い分けの利便性が向上できる。また、遮光ラベル300を後者の構成とすれば、ユーザが遮光ラベル300を剥がしたあとは、再度、光電素子210全体を覆うように貼り付けることができず、ユーザの初回の使用時までの未使用時に限って、有効に使用禁止とできる。
このように、不使用時に、ICカード1に光電素子210全体を覆う遮光ラベル300を貼り付けることで、郵送中や使用予定がないときの、無用なスキミングのリスクを一層低減できる。また、これとは逆に、レンズ機能を有する透明ラベルを、光電素子210全体を覆うように貼り付けることで、入射光が当該透明ラベルで集光され、光電素子210に入射する光量を増加させることができる。その結果、入射光に対する光電素子210の感度が向上し、光学的スイッチ回路200の開閉動作がより明確に選択可能となる。
(b)変形例2
第1実施形態のICカード1の別の変形例について説明する。第1実施形態の説明でも一部触れたが、ICカード1の一方の面には光学的スイッチ回路200の光電素子210が直接露出せず、透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるように光学的スイッチ回路200がカード基体2に配置されていてもよい。この例であるICカード1aの図4(a)に対応する断面図を図4(b)に示す。
ICカード1aの光学的スイッチ回路200が配置される側の面上に、光電素子210の全体を覆うような透明性を有する層、すなわちオーバーシート層3を介して外部からの入射光が受光可能となるように、光学的スイッチ回路200がカード基体2に配置されている。ここでいう透明性とは、外部からの可視光である所定の入射光が、光電素子210に到達し、スイッチ素子を開閉動作させることが可能なレベルの光透過性があればよい。具体的には、例えば380nm以上、780nm以下の波長範囲の可視光の、垂直方向の照射に対する透過率が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。透過率が高いほど、入射光のレベルに対するスイッチ素子の応答性が向上する。
このようなICカード1aの製造方法は、例えば、あらかじめ各層を積層する前に、アンテナ保持層5、インナー層4に対して、光学的スイッチ回路200の収納用の切り抜き加工をしておく。そして、オーバーシート層8からインナー層4までの積層時に光学的スイッチ回路200を当該積層体の中に収納しておき、これにオーバーシート層3を重ねて全体の熱プレスを行う。これによって、光学的スイッチ回路200が内蔵され、オーバーシート層3によって覆われたICカード1aを得る。
3.第2実施形態
次に、本開示の第2実施形態のICカード1bについて説明する。図6は、ICカード1bを+Z方向から見た、図1(a)に対応する平面図である。第2実施形態のICカード1bは、アンテナ80とICチップ74aとから構成される非接触の通信回路に直列的に、光学的スイッチ回路200に加えて同等の構成の光学的スイッチ回路200aがさらに設けられた点が、第1実施形態のICカード1とは異なる。
言い換えると、第2実施形態のICカード1bは、光学的スイッチ回路として、互いに通信回路に直列的に配置された第1の光学的スイッチ回路である光学的スイッチ回路200および第2の光学的スイッチ回路である光学的スイッチ回路200aから構成される。ここで、第1の光学的スイッチ回路が有するスイッチ素子である第1のスイッチ素子と、第2の光学的スイッチ回路が有するスイッチ素子である第2のスイッチ素子と、がともに閉状態となることにより前記通信回路が通信可能となる。逆に言えば、第1の光学的スイッチ回路および第2の光学的スイッチ回路のいずれか一方が閉状態となっていても他方が開状態である限り、通信回路は通信不可能となる。
光学的スイッチ回路200の下端側には、図4(a)に示すように、電気的接続のための端子220aおよび220bが設けられている。これらの端子220aおよび220bとZ軸方向に対向するように、アンテナ線83の先端に溶接された導電性のプレート130および140が配置され、凹部94の底面にその一部が露出している。端子220aおよびプレート130の間、および端子220bおよびプレート140の間には、導電接着層13が介在し、端子220aおよびプレート130の導通、および端子220bおよびプレート140の導通を図っている。これにより、光学的スイッチ回路200のスイッチ素子が閉状態となる場合は端子220aおよび220bが短絡し、光学的スイッチ回路200のスイッチ素子が開状態となる場合は端子220aおよび220bが絶縁する。
一方、光学的スイッチ回路200aの下端側にも、これと同様に、電気的接続のための端子220cおよび220dが設けられている。図4(a)と同様のため特に図示しないが、これらの端子220cおよび220dとZ軸方向に対向するように、アンテナ線83の先端に溶接された導電性のプレート150および160が配置され、凹部の底面にその一部が露出している。端子220cおよびプレート150の間、および端子220dおよびプレート160の間には、導電接着層13が介在し、端子220cおよびプレート150の導通、および端子220dおよびプレート160の導通を図っている。これにより、光学的スイッチ回路200aのスイッチ素子が閉状態となる場合は端子220cおよび220dが短絡し、光学的スイッチ回路200aのスイッチ素子が開状態となる場合は端子220cおよび220dが絶縁する。
なお、光学的スイッチ回路200は、ICカード1aの外部接続端子71が配置される側の+Z方向側の表面に、中心よりもやや右下、すなわち中心よりも+X方向寄りでありかつ-Y方向寄りに光電素子210が露出するように配置されている。一方、光学的スイッチ回路200aは、光学的スイッチ回路200と同様の面であって、中心よりもやや左下、すなわち中心よりも-X方向寄りでありかつ-Y方向寄りに光電素子210aが露出するように配置されている。しかし、光学的スイッチ回路200および200aの配置はこれに限らず、外部接続端子71が配置される側の+Z方向側の表面上の任意の位置に配置されていてもよい。
このように、2箇所の光学的スイッチ回路が設けられることにより、入射光がICカード1aに対して局所的に照射されても、非接触通信が不可能となる可能性を高められ、ICカード1aの周囲全体が均等に明るくなった条件では非接触通信が可能となる可能性を高められる。すなわち、一時的な入射光の変化等に対しても通信可否が頻繁に切り替わる等の動作不安定を抑制でき、安定した動作が期待できる。また、2箇所の光学的スイッチ回路の配置が互いに離れることにより、動作安定性の確保が容易となる。すなわち、2箇所の光学的スイッチ回路の配置は、ICカード1aの長辺方向に沿って、ICカード1aの領域を左右に等分するY軸沿いの直線に対して、左右の一方および他方に配置されることが好ましい。
また、2箇所の光学的スイッチ回路の配置は、ICカード1aの短辺方向に沿って、ICカード1aの領域を上下に等分するX軸沿いの直線に対して、上下の一方および他方に配置されることが好ましい。さらには、2箇所の光学的スイッチ回路の配置は、ICカード1aの短辺方向および長辺方向に沿って、ICカード1aの領域を上下および左右に4等分するX軸沿いおよびY軸沿いの直線に対して、4分割された各々の象限の異なる象限の領域に配置されることが好ましい。なお、本実施形態では光学的スイッチ回路を2個配置することを例示したが、本開示はこれに限らず、光学的スイッチ回路を通信回路に対して直列的に3個以上配置してもよい。
4.第3実施形態
次に、本開示の第3実施形態のICカード1cについて説明する。図7(a)は、ICカード1cを+Z方向から見た、図1(a)に対応する平面図である。また、図7(b)は、ICカード1cを反対側である-Z方向から見た、同様の平面図である。第3実施形態のICカード1cは、アンテナ80とICチップ74aとから構成される非接触の通信回路に直列的に、光学的スイッチ回路200に加えて同等の構成の光学的スイッチ回路200aがさらに設けられた点は第2実施形態のICカード1bと同様である。しかし、光学的スイッチ回路200aの光電素子210aが、光学的スイッチ回路200の光電素子210とは反対側のICカード1cの面側に露出している点が、第2実施形態のICカード1bとは異なる。
言い換えると、第3実施形態のICカード1bは、第1の光学的スイッチ回路である光学的スイッチ回路200が有する光電素子210である第1の光電素子と、第2の光学的スイッチ回路である光学的スイッチ回路200aが有する光電素子210aである第2の光電素子と、は異なる配置となる。すなわち、両者はカード基体2の互いに反対の表面に対して、少なくとも一部がカード基体2の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるようにカード基体に配置されている。
なお、光学的スイッチ回路200および200aの配置に関しては、第2実施形態と同様、平面視した際の両者の位置がある程度、離れている方が好ましく、その理由は第2実施形態での説明と共通する。
本実施形態では、2箇所の光学的スイッチ回路が、ICカード1cの表裏面において、互いに反対側の面にその光電素子が露出するように、または透明層を介して光電素子が受光可能に設けられる。これにより、入射光がICカード1cの片側の面に対して局所的に照射されても、非接触通信が不可能となる可能性を高められる。また、ICカード1cの表裏を含めた周囲全体が均等に明るくなった条件では非接触通信が可能となる可能性を高められる。すなわち、一時的な入射光の変化等に対しても通信可否が頻繁に切り替わる等の動作不安定を一層抑制でき、安定した動作が一層期待できる。また、2箇所の光学的スイッチ回路の配置が表裏の関係も含めて互いに離れることにより、動作安定性の確保が一層容易となる。
なお、本開示で説明した実施形態や変形例は、矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせた態様も含むものとする。例えば、光電素子を覆う遮光ラベルを貼り付ける態様は、第2実施形態や第3実施形態にも共通に適用可能である。また、光電素子をカード表面に直接露出させるのではなく、透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるようにカード基体に配置することに関しても同様である。
1、1a、1b、1c ICカード
2 カード基体
3、8 オーバーシート層
4、7 インナー層
5、6 アンテナ保持層
9 凹部
11、13 導電接着層
11a、13a 導電粒子
11b、13b 接着剤
12 アンテナシート
70 ICモジュール
71 外部接続端子
72 基板
73a、73b 端子
74 ICチップ体
74a ICチップ
74b モールド部
74p パッド
75 ワイヤ
76 ボンディングホール
80 アンテナ
83 アンテナ線
91 第1凹部
92 第2凹部
93 外周
93a、93b 辺
100 端部
110 第1プレート
111 第1部材
112 第2部材
120 第2プレート
130、140、150、160 プレート
131 第1部材
132 第2部材
200、200a 光学的スイッチ回路
210、210a 光電素子
220a、220b、220c、220d 端子
300 遮光ラベル

Claims (6)

  1. 外部機器との非接触通信が可能なICカードであって、
    カード基体と、
    前記カード基体の内部に配置されたICチップおよび当該ICチップと電気的に接続されたアンテナと、
    前記ICチップおよび前記アンテナが形成する通信回路に直列的に配置され、当該通信回路を閉じるか否かを選択可能な光学的スイッチ回路と、を備え、
    前記光学的スイッチ回路は、所定の入射光を当該入射光のレベルに応じた電圧に変換する光電素子と、
    前記光電素子にて発生した電圧が所定値よりも低い場合に前記通信回路が通信不可能となる開状態とし、前記光電素子にて発生した電圧が所定値以上の場合に前記通信回路が通信可能となる閉状態とするスイッチ素子と、を備え、
    前記光電素子は、少なくとも一部が前記カード基体の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるように前記カード基体に配置されている、ICカード。
  2. 前記光電素子およびスイッチ素子は、それぞれ太陽電池およびMOSFETを含んで構成される、請求項1に記載のICカード。
  3. デュアルインターフェースICカードである、請求項1に記載のICカード。
  4. 不使用時または未使用時には、前記カード基体の表面に、前記光電素子を覆うように遮光ラベルが貼付されている、請求項1に記載のICカード。
  5. 前記光学的スイッチ回路は、互いに前記通信回路に直列的に配置された第1の光学的スイッチ回路および第2の光学的スイッチ回路から構成され、
    前記第1の光学的スイッチ回路が有する前記スイッチ素子である第1のスイッチ素子と、前記第2の光学的スイッチ回路が有する前記スイッチ素子である第2のスイッチ素子と、がともに閉状態となることにより前記通信回路が通信可能となる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のICカード。
  6. 前記第1の光学的スイッチ回路が有する光電素子である第1の光電素子と、前記第2の光学的スイッチ回路が有する光電素子である第2の光電素子と、は、前記カード基体の互いに反対の表面に対して、少なくとも一部が前記カード基体の表面に露出するように、または透明性を有する層を介して外部からの入射光が受光可能となるように前記カード基体に配置されている、請求項5に記載のICカード。
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