JP2024001533A - 複合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用空気調和装置等の小型化に資することができる複合装置を提供すると共にそこに搭載された電子回路の誤動作等を抑制する。【解決手段】複合装置1は、冷媒を圧縮する圧縮機構3及び圧縮機構3を駆動する電動モータ4を内部に収容する第1ハウジング2Aと、熱媒体を加熱する電気ヒータ5を内部に収容する第2ハウジング2Bと、モータ駆動回路20と、ヒータ制御回路30と、モータ駆動回路20及びヒータ制御回路30に供給する電源を生成する電源回路50を内部に収容する第3ハウジング2Cとを含む。モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6の駆動周波数と、ヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8の駆動周波数と、電源回路50の第3スイッチング素子Q9の駆動周波数とが、互いに重ならないように設定されている。【選択図】図8
Description
本発明は、冷媒圧縮機能と熱媒体加熱機能とを有する複合装置に関する。
特許文献1には、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に適用可能な車両用空気調和装置が記載されている。特許文献1に記載された車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する電動圧縮機と、電動圧縮機から吐出された冷媒を放熱させて車室内に供給される空気を加熱する放熱器と、放熱された冷媒を減圧膨張させる膨張弁と、減圧膨張された冷媒と外気との間で熱交換を行わせる蒸発器に相当する熱交換器を含む冷媒回路を有している。また、特許文献1に記載された車両用空気調和装置は、放熱器による車室内の暖房を補助するため、熱媒体を加熱する熱媒体加熱電気ヒータと、加熱された熱媒体で車室内に供給される空気を加熱する熱媒体-空気熱交換器と、を有している。
特許文献1に記載された車両用空気調和装置は、放熱器による暖房能力の不足を補完することが可能である。しかし、特許文献1に記載された車両用空気調和装置では、電動圧縮機や熱媒体加熱電気ヒータなどが個別に設けられている。このため、装置全体が大型化し、設置スペースなどの面で改良の余地があった。
本発明は、車両用空気調和装置等の小型化に資することができる複合装置を提供すると共に、そこに搭載された電子回路の誤動作等を抑制することを目的とする。
本発明の一側面によると、冷媒圧縮機能及び熱媒体加熱機能を有する複合装置が提供される。複合装置は、冷媒を圧縮する圧縮機構及び前記圧縮機構を駆動する電動モータを内部に収容すると共に、冷媒を内部に流入させる冷媒流入口及び前記圧縮機構で圧縮された冷媒を外部に流出させる冷媒流出口を有する圧縮機ハウジングと、熱媒体を加熱する電気ヒータを内部に収容すると共に、熱媒体を内部に流入させる熱媒体流入口及び前記電気ヒータで加熱された熱媒体を外部に流出させる熱媒体流出口を有するヒータハウジングと、前記電動モータを駆動するモータ駆動回路と、前記電気ヒータを制御するヒータ制御回路と、前記モータ駆動回路の動作及び前記ヒータ制御回路の動作を制御する制御回路と、前記モータ駆動回路、前記ヒータ制御回路及び前記制御回路に供給する電源を生成する電源回路とを内部に収容する回路ハウジングとを含む。前記圧縮機ハウジング、前記ヒータハウジング及び前記回路ハウジングは、一体的に結合されている。また、前記モータ駆動回路、前記ヒータ制御回路及び前記電源回路は、それぞれスイッチング素子を含み、前記モータ駆動回路のスイッチング素子の駆動周波数と、前記ヒータ制御回路のスイッチング素子の駆動周波数と、前記電源回路のスイッチング素子の駆動周波数とが互いに重ならないように設定されている。
本発明によれば、車両用空気調和装置等の小型化に資することができる複合装置を提供することができる。また、複合装置に搭載された電子回路(モータ駆動回路、ヒータ制御回路、電源回路等)の誤動作を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1~図4は、本発明の実施形態に係る複合装置1の概略構成を示している。図1は、実施形態に係る複合装置1の正面図であり、図2は、実施形態に係る複合装置1の右側面図であり、図3は、実施形態に係る複合装置1の上面図であり、図4は、実施形態に係る複合装置の部分概略断面図であり、図2のA-A断面図に相当する図である。
実施形態に係る複合装置1は、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機能と、冷媒とは別の熱媒体を加熱する熱媒体加熱機能とを有している。つまり、複合装置1は、冷媒圧縮機と熱媒体加熱装置とが一体化された構成を有する。
複合装置1は、上述したような車両用空気調和装置に適用され得る。すなわち、複合装置1は、冷媒が循環する冷媒回路と、電動ポンプなどで構成されるポンプ部によって熱媒体が循環する熱媒体回路とに組み込まれて使用され得る。例えば、複合装置1の冷媒圧縮機能部は、前記冷媒回路に組み込まれ、膨張弁と、蒸発器(又はこれに相当する熱交換器)とを通過した冷媒を圧縮すると共に、圧縮された冷媒を、車室内に供給される空気を加熱する放熱器(冷媒-空気熱交換器)に供給するように構成され得る。また、複合装置1の熱媒体加熱機能部は、前記熱媒体回路に組み込まれ、車室内に供給される空気を加熱する熱媒体-空気熱交換器を通過した熱媒体を加熱すると共に、加熱された熱媒体を前記熱媒体-空気熱交換器に供給するように構成され得る。なお、冷媒及び熱媒体は、それぞれ任意に選択され得るが、例えば、冷媒としては気体冷媒が用いられ、熱媒体としては液体が用いられ得る。また、特に限定されないが、熱媒体には、通常、水(不凍液などが混入されたものを含む)が用いられる。したがって、熱媒体加熱機能(熱媒体加熱装置)は、水加熱機能(水加熱装置)とも称され得る。
図1~図4を参照すると、複合装置1は、ハウジング2を有する。複合装置1のハウジング2は、第1ハウジング2Aと、第2ハウジング2Bと、第3ハウジング2Cと、第1カバー2Dと、第2カバー2Eと、第3カバー2Fとを含み、これらが図示省略のボルトなどの締結部材によって一体的に結合(締結)されて構成されている。
第1ハウジング2Aは、略円筒状に形成されている。第1ハウジング2Aの内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構3と、圧縮機構3を駆動する電動モータ4とが軸方向に直列に収容されている。特に限定されないが、圧縮機構3は、固定スクロールと可動(旋回)スクロールとを含むスクロール圧縮機構であり得る。また、電動モータ4の出力軸4aは、圧縮機構3(例えば、前記可動(旋回)スクロール)に連結されている。
第1ハウジング2Aの2つの開口端のうちの一方の開口端(図1、図2における下側のの開口端)、すなわち、第1ハウジング2Aの圧縮機構3側の開口端は、第1カバー2Dによって閉塞されている。なお、圧縮機構3及びこれを駆動する電動モータ4を収容する第1ハウジング2Aは「圧縮機ハウジング」とも称され得る。
第2ハウジング2Bは、第1ハウジング2Aの側方に配置されている。第2ハウジング2Bは、略矩形筒状に形成されている。第2ハウジング2Bの内部には、熱媒体を加熱する電気ヒータ5が収容されている。
第2ハウジング2Bの2つの開口端のうちの一方の開口端(図1、図2における下側のの開口端)は、第2カバー2Eによって閉塞されている。なお、電気ヒータ5を収容する第2ハウジング2Bは、「ヒータハウジング」とも称され得る。
第3ハウジング2Cは、上面が開放された箱型に形成されている。第3ハウジング2Cの内部には、電動モータ4を駆動(制御)するモータ駆動回路20と、電気ヒータ5を制御するヒータ制御回路30と、モータ駆動回路20の動作及びヒータ制御回路30の動作を制御する制御回路40と、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30及び制御回路40に供給する電源を生成する電源回路50とが収容されている。具体的には、本実施形態において、これらモータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路40及び電源回路50が実装された一つの回路基板6が第3ハウジング2Cの内部に収容されている。
第3ハウジング2Cの底壁7は、第1ハウジング2Aの他方の開口端(図1、図2における上側の開口端)、すなわち、第1ハウジング2Aの電動モータ4側の開口端と、第2ハウジング2Bの他方の開口端(図1、図2における上側の開口端)とを閉塞している。これにより、第1ハウジング2Aの内部と第3ハウジング2Cの内部とが仕切られ、第2ハウジング2Bの内部と第3ハウジング2Cの内部とが仕切られている。つまり、第3ハウジング2Cの底壁7は、第1ハウジング2Aの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第1仕切部71と、第2ハウジング2Bの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第2仕切部72を有する。
第3ハウジング2Cの上面(開口端)は、第3カバー2Fによって閉塞されている。なお、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路40及び電源回路50(具体的にはこれらが実装された回路基板6)を収容する第3ハウジング2Cは、「回路ハウジング」又は「基板ハウジング」とも称され得る。
そして、複合装置1においては、主に圧縮機構3、電動モータ4及びモータ駆動回路20によって冷媒圧縮機能(冷媒圧縮機)が実現され、主に電気ヒータ5及びヒータ制御回路30によって熱媒体加熱機能(熱媒体加熱装置)が実現される。
第1ハウジング2Aには、前記冷媒回路を循環する冷媒を内部に流入させるための冷媒流入口8が形成されている。流入させる冷媒は、例えば、膨張弁と蒸発器(またはこれに相当する熱交換器)とを通過した冷媒、すなわち、低温低圧の冷媒である。本実施形態において、冷媒流入口8は、第1ハウジング2Aの第3ハウジング2C側の部位、つまり、第1ハウジング2Aの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第1仕切部71の近傍に設けられている。好ましくは、冷媒流入口8は、冷媒の少なくとも一部が第1仕切部71に沿って流れるように、前記冷媒回路を循環する冷媒を第1ハウジング2A内に流入させるように構成されている。
冷媒流入口8を介して第1ハウジング2Aの内部に流入した(低温低圧の)冷媒は、第1ハウジング2Aの内部を流れて圧縮機構3に吸入される。圧縮機構3に吸入された冷媒は、圧縮機構3によって圧縮され、高温高圧の冷媒となって圧縮機構3から吐出される。吐出された(高温高圧の)冷媒は、第1ハウジング2Aに形成された冷媒流出口9から流出し、例えば、上述の放熱器(冷媒-空気熱交換器)に供給される。
本実施形態において、冷媒流出口9は、第1ハウジング2Aの第1カバー2D側の部位に、すなわち、冷媒流入口8から図1、図2における上下方向に離れた位置に設けられている。このため、本実施形態において、冷媒流入口8から第1ハウジング2A内に流入した冷媒は、第1ハウジング2A内を図1、図2における上側から下側に向かって流れる。
なお、第1仕切部71は、冷媒流入口8を介して第1ハウジング2A内に流入する(低温低圧の)冷媒によって冷却され得、電動モータ4は、第1ハウジング2Aの内部を流れる冷媒によって冷却され得る。また、冷媒流入口8、第1ハウジング2Aの内部及び冷媒流出口9は、前記冷媒回路の一部を構成する。
第2ハウジング2Bには、前記熱媒体回路を循環する熱媒体を内部に流入させるための熱媒体流入口10が形成されている。流入させる熱媒体は、例えば、上述の熱媒体-空気熱交換器を通過した熱媒体、すなわち、低温の熱媒体である。本実施形態において、熱媒体流入口10は、第2ハウジング2Bの第3ハウジング2C側の部位、つまり、第2ハウジング2Bの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第2仕切部72の近傍であって且つ図1における奥側(図2における右側)に設けられている。好ましくは、熱媒体流入口10は、熱媒体の少なくとも一部が第2仕切部72に沿って流れるように、前記熱媒体回路を循環する熱媒体を第2ハウジング2B内に流入させるように構成されている。
熱媒体流入口10を介して第2ハウジング2Bの内部に流入した(低温の)熱媒体は、第2ハウジング2Bの内部を流れ、その際、電気ヒータ5によって加熱されて昇温する。加熱された熱媒体は、第2ハウジング2Bに形成された熱媒体流出口11から流出し、例えば、上述の熱媒体-空気熱交換器に供給される。
本実施形態において、熱媒体流出口11は、第2ハウジング2Bの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第2仕切部72の近傍であって且つ図1における手前側(図2における左側)に設けられている。このため、本実施形態において、熱媒体流入口10から第2ハウジング2B内に流入した熱媒体は、第2ハウジング2B内を、第2仕切部72に沿って、図2、図4における右側から左側に向かって流れる。
なお、第2仕切部72は、熱媒体流入口10を介して第2ハウジング2B内に流入する(低温の)熱媒体によって冷却され得る。また、熱媒体流入口10、第2ハウジング2Bの内部及び熱媒体流出口11は、前記熱媒体回路の一部を構成する。
ここで、図には示されていないが、モータ駆動回路20から電動モータ4への給電線及びヒータ制御回路30から電気ヒータ5への給電線は、それぞれ気密及び液密な状態で第3ハウジング2Cの底壁7を貫通して延びている。
次に、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路40及び電源回路50について説明する。
モータ駆動回路20は、車両に搭載された高電圧バッテリなどの高電圧電源HVからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動モータ4に供給することで電動モータ4を駆動(制御)するように構成されている。図5は、モータ駆動回路20の要部構成例を示す図である。図5に示されるように、モータ駆動回路20は、平滑コンデンサ21と、第1パワーモジュール22と、第1ドライバ23とを有する。
平滑コンデンサ21は、高電圧電源HVの電源ラインと接地ラインとの間に接続されており、高電圧電源HVからの直流電圧を平滑化する。
第1パワーモジュール22は、6つのパワースイッチング素子(以下「第1スイッチング素子」という)Q1~Q6と、6つのダイオードD1~D6とを含む。特に限定されないが、第1スイッチング素子Q1~Q6は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)であり得る。第1パワーモジュール22は、第1スイッチング素子Q1~Q6がPWM制御されることにより、高電圧電源HVからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動モータ4に供給する。
具体的には、第1パワーモジュール22は、高電圧電源HVの電源ラインと接地ラインとの間に、互いに並列に設けられたU相アーム、V相アーム及びW相アームを有する。
U相アームには、2つの第1スイッチング素子Q1、Q2が直列に接続されており、各第1スイッチング素子Q1、Q2にはダイオードD1、D2がそれぞれ逆並列に接続されている。
V相アームには、2つの第1スイッチング素子Q3、Q4が直列に接続されており、各第1スイッチング素子Q3、Q4にはダイオードD3、D4がそれぞれ逆並列に接続されている。
W相アームには、2つの第1スイッチング素子Q5、Q6が直列に接続されており、各第1スイッチング素子Q5、Q6にはダイオードD5、D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
また、U、V、W各相アームの中間点は、それぞれの一端においてスター結線された電動モータ4のU、V、W各相コイルの他端に接続されている。つまり、U相アームの第1スイッチング素子Q1、Q2の中間点がU相コイルに接続され、V相アームの第1スイッチング素子Q3、Q4の中間点がV相コイルに接続され、及び、W相アームの第1スイッチング素子Q5、Q6の中間点がW相コイルに接続されている。
したがって、第1パワーモジュール22は、各相アームの電源ライン側の第1スイッチング素子Q1,Q3,Q5のON期間と、接地ライン側の第1スイッチング素子Q2,Q4,Q6のON期間との比率が制御される(PWM制御される)ことにより、平滑コンデンサ21によって平滑化された、高電圧電源HVからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動モータ4に供給することができ、これにより、電動モータ4を駆動し、及び圧縮機構3を駆動することができる。
第1ドライバ23は、制御回路40からの制御信号(PWM信号)に基づき、第1スイッチング素子Q1~Q6(のゲート)をON/OFF駆動(スイッチング)する。
つまり、本実施形態において、モータ駆動回路20の動作(第1スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作)、ひいては、電動モータ4及び圧縮機構3(すなわち、冷媒圧縮機能)の動作は、制御回路40によって制御されるようになっている。
ヒータ制御回路30は、高電圧電源HVの電圧を電気ヒータ5に印加するように構成されている。図6は、ヒータ制御回路30の要部構成例を示す図である。図6に示されるように、ヒータ制御回路30は、第2パワーモジュール31と、第2ドライバ32とを有する。なお、図示省略するが、モータ駆動回路20と同様、高電圧電源HVの電源ラインと接地ラインとの間に平滑コンデンサが接続されてもよい。
第2パワーモジュール31は、電気ヒータ5への通電を制御する2つのパワースイッチング素子(以下「第2スイッチング素子」という)Q7、Q8を含む。第2スイッチング素子Q7、Q8は、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6と同様、IGBTであり得る。本実施形態において、2つの第2スイッチング素子Q7、Q8のうちの一方の第2スイッチング素子Q7は、電気ヒータ5よりも高電圧電源HVの出力側(電圧側)に設けられ、他方の第2スイッチング素子Q8は、電気ヒータ5よりも高電圧電源HVの接地側に設けられている。
第2パワーモジュール31は、第2スイッチング素子Q7、Q8が制御(PWM制御)されることにより、高電圧電源HVと電気ヒータ5との間の通電をON/OFFし、これによって、電気ヒータ5の温度、さらには、電気ヒータ5によって加熱される熱媒体の温度を制御することができる。
第2ドライバ32は、制御回路40からの制御信号(PWM信号)に基づき、第2スイッチング素子Q7、Q8(のゲート)をON/OFF駆動(スイッチング)する。
つまり、本実施形態において、ヒータ制御回路30(第2スイッチング素子Q7、Q8)の動作、ひいては、電気ヒータ5(熱媒体加熱機能)の動作は、制御回路40によって制御されるようになっている。
制御回路40は、図示省略の上位の制御装置(例えば、上述の車両用空調装置の制御装置)からの冷媒圧縮機能の動作要求に応じた制御信号を第1ドライバ23に出力し、熱媒体加熱機能の動作要求に応じた制御信号を第2ドライバ32に出力するように構成されている。特に限定されないが、本実施形態において、制御回路40は、マイクロコントロールユニット(MCU)で構成されている。
電源回路50は、例えばスイッチング式のDC-DCコンバータであり、車両に搭載された低電圧バッテリなどの低電圧電源LV(ここではDC12V)をスイッチングして所定の直流電圧(15V及び5V)を生成し、生成された直流電圧をモータ駆動回路20、ヒータ制御回路30及び制御回路(MCU)40に供給するように構成されている。本実施形態において、電源回路50によって生成された15Vの直流電圧は、モータ駆動回路20の第1ドライバ23及びヒータ制御回路30の第2ドライバ32に供給され、電源回路50によって生成された5Vの直流電圧は、制御回路(MCU)40に供給される。
図7は、電源回路50の要部構成例を示す図である。図7に示されるように、電源回路50は、スイッチングトランス51を含む。スイッチングトランス51は、絶縁トランスであり、一次巻線52と、一次巻線52とは絶縁された二次巻線53とを有する。
一次巻線52の巻き終わり端52Bは、低電圧電源LVの電源ライン54に接続され、一次巻線52の巻き始め端52Aは、スイッチング素子(以下「第3スイッチング素子」という)Q9を介して低電圧電源LVの接地ライン56に接続されている。特に限定されないが、第3スイッチング素子Q9は、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)であり得る。
第3スイッチング素子Q9の(ゲートの)ON/OFF動作(スイッチング動作)は、電源回路コントローラ55によって制御される。電源回路コントローラ55には、低電圧電源LVからの直流電圧が供給されている。なお、低電圧電源LVの電源ライン54と接地ライン56との間には、平滑コンデンサ57が接続されている。
二次巻線53は、第1巻線部58と第2巻線部59とを有する。第1巻線部58の巻き始め端58Aは、ダイオードD7を介して第1電源出力ライン(15Vライン)60に接続されている。第1巻線部58の巻き終わり端58Bは、ダイオードD8及びレギュレータ(LDO:ロー・ドロップアウト・レギュレータ)61を介して第2電源出力ライン(5Vライン)62に接続されている。また、第2巻線部59の巻き始め端59Aは、第1巻線部58の巻き終わり端58Bに接続され、第2巻線部59の巻き終わり端59Bは、二次側接地ライン63を介して二次側接地(SGND)に接続されている。
第1電源出力ライン60には、モータ駆動回路20の第1ドライバ23及びヒータ制御回路30の第2ドライバ32が接続され、第2電源出力ライン62には、制御回路(MCU)40が接続される。
なお、第1電源出力ライン60と二次側接地ライン63との間には、平滑コンデンサ64が接続されており、レギュレータ61の前後の第2電源出力ライン62と二次側接地ライン63との間には、それぞれ平滑コンデンサ65、66が接続されている。また、本実施形態においては、スイッチングトランス51の一次巻線52の巻き終わり端52B側と二次巻線53の第2巻線部59の巻き終わり端59B側とが、カップリングコンデンサ67を介して結合されている。
電源回路コントローラ55は、スイッチングトランス51の巻数比に応じて、第1電源出力ライン60にDC15Vが出力されるように第3スイッチング素子Q9のスイッチング動作を制御する。これにより、DC15Vがモータ駆動回路20の第1ドライバ23及びヒータ制御回路30の第2ドライバ32に供給される。また、制御回路(MCU)40には、二次巻線53の第1巻線部58と第2巻線部59との巻数比に応じた中間出力からレギュレータ61を介してDC5Vが供給される。
上述のように、本実施形態において、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路(MCU)40及び電源回路50は、一つの回路基板6に実装されている。なお、図8は、回路基板6の回路ブロック図である。
次に、図9を参照して実施形態に係る複合装置1における、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6及びヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8の配置構造について説明する。図9は、複合装置1の部分概略断面図(図3のB-B断面図に相当する図)である。
上述のように、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路(MCU)40及び電源回路50が実装された回路基板6は、図9に示されるように、第3ハウジング2Cの内部に設けられた複数の基板取付部12に取り付けられ得る。本実施形態において、複数の基板取付部12のそれぞれは、第3ハウジング2Cの底壁7から(第1ハウジング2A及び第2ハウジング2Bから離れる方向)に突出するボス状に形成されており、複数の基板取付部12の上面に回路基板6がねじ13によって取り付けられている。
本実施形態において、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6及びヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8は、第3ハウジング2C内において、冷媒流入口8から第1ハウジング2A内に流入した冷媒によって冷却され得る位置に配置されている。
具体的には、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6及びヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8は、基板取付部12に取り付けられた回路基板6の第3ハウジング2Cの底壁7側の面に実装され、第1ハウジング2Aの内部と第3ハウジング2Cの内部とを仕切る第1仕切部71に熱的に接触している。なお、「第1仕切部71に熱的に接触している」とは、第1仕切部71との間で熱交換可能な状態にあることをいい、第1仕切部71に直接接触していること、第1仕切部71に熱交換可能な程度に近接していること、及び、熱伝導率が高い熱交換部材などを介して第1仕切部71に間接的に接触することなどが含まれる。
ところで、第3ハウジング2C内において、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6、ヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8及び電源回路50の第3スイッチング素子Q9は、それぞれに設定された駆動周波数(スイッチング周波数ともいう)で駆動される。すなわち、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6は、第1スイッチング素子Q1~Q6のための駆動周波数(以下「第1駆動周波数」という)f1で駆動され、ヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8は、第2スイッチング素子Q7、Q8にための駆動周波数(以下「第2駆動周波数」という)f2で駆動され、電源回路50の第3スイッチング素子Q9は、第3スイッチング素子Q9のための駆動周波数(以下「第3駆動周波数」という)で駆動される。
ここで、第1駆動周波数f1と第2駆動周波数f2とが重なったり、第1駆動周波数f1と第3駆動周波数f3とが重なったり、第2駆動周波数f2と第3駆動周波数f3とが重なると、ノイズレベルの増大や回路の誤動作を招くおそれがある。
そのため、本実施形態において、第1駆動周波数f1、第2駆動周波数f2及び第3駆動周波数f3は、互いに重ならないように(ずらして)設定されている。換言すれば、第1駆動周波数(第1スイッチング周波数)f1、第2駆動周波数(第2スイッチング周波数)f2及び第3駆動周波数(第3スイッチング周波数)f3は、互い影響を与えないように、すなわち、それらの間で干渉や共振などが生じないように、設定されている。
基本的には、各回路に要求される性能等を考慮し、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6の第1駆動周波数f1は、ヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8の第2駆動周波数f2よりも一桁以上高く設定され、電源回路50の第3スイッチング素子Q9の第3駆動周波数f3は、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6の第1駆動周波数f1よりも一桁以上高く設定される。
例えば、第1駆動周波数f1は、数10kHzオーダーの周波数(10~99kHz)に設定され、第2駆動周波数f2は、数10Hzオーダーの周波数(10~99Hz)に設定され、第3駆動周波数f3は、数100kHzオーダー(100~999kHz)の周波数に設定され得る。特に限定されないが、一例として、第1駆動周波数f1は10~20kHzであり、第2駆動周波数f2は50~65Hzであり、第3駆動周波数f3は150~200kHzであり得る。
実施形態に係る複合装置1によれば以下の効果が得られる。
実施形態に係る複合装置1は、冷媒を圧縮する圧縮機構3及び圧縮機構3を駆動する電動モータ4を内部に直列に収容すると共に、冷媒流入口8及び冷媒流出口9を有する第1ハウジング(圧縮機ハウジング)2Aと、熱媒体を加熱する電気ヒータ5を内部に収容すると共に、熱媒体流入口10及び熱媒体流出口11を有する第2ハウジング(ヒータハウジング)2Bと、電動モータ4を駆動するモータ駆動回路20と、電気ヒータ5を制御するヒータ制御回路30と、モータ駆動回路20の動作及びヒータ制御回路30の動作を制御する制御回路(MCU)40と、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30及び制御回路(MCU)40に供給する電源を生成する電源回路50とを内部に収容する第3ハウジング(回路ハウジング)2Cとを含む。そして、第1ハウジング(圧縮機ハウジング)2A、第2ハウジング2B(ヒータハウジング)及び第3ハウジング(回路ハウジング)2Cは、一体的に結合されている。
このような複合装置1は、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機(電動圧縮機)及び熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置として機能し得るものであり、冷媒を圧縮しながら、熱媒体を加熱することができる。このため、複合装置1は、上述したような車両用空気調和装置に適用され得る。そして、複合装置1が車両用空気調和装置に適用されることにより、電動圧縮機及び熱媒体加熱装置を別個に有する従来の構成に比べて、車両用空気調和装置の小型化を図ることが可能である。
ここで、モータ駆動回路20は、直流電圧を三相交流電圧に変換する第1スイッチング素子Q1~Q6を含み、ヒータ制御回路30は、電気ヒータ5への通電をON/OFFする第2スイッチング素子Q7、Q8を含む。また、電源回路50は、スイッチング式のDC-DCコンバータで構成されており、第3スイッチング素子Q9を含む。そして、モータ駆動回路20、ヒータ制御回路30、制御回路40及び電源回路50は、一つの回路基板6に実装されており、また、モータ駆動回路20の第1スイッチング素子Q1~Q6の第1駆動周波数f1と、ヒータ制御回路30の第2スイッチング素子Q7、Q8の第2駆動周波数f2と、電源回路50の第3スイッチング素子Q9の第3駆動周波数f3とが互いに重ならないように設定されている。好ましくは、第1駆動周波数f1は数10kHzオーダーの周波数に設定され、第2駆動周波数f2は数10Hzオーダーの周波数に設定され、第3駆動周波数f3は数100kHzオーダーの周波数に設定される。
このため、第3ハウジング(回路ハウジング)2Cの複雑化や大型化を招くことなく、各回路の誤動作等を防止することができ、複合装置1の安定した動作が確保され得る。
なお、上記では、主に複合装置1が車両用空気調和装置に適用される場合について説明されている。しかし、これに限られるものではない。複合装置1は、冷媒を圧縮する電動圧縮機及び熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置を利用する種々の装置やシステムに適用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて変形及び変更が可能であることはもちろんである。
1…複合装置、2…ハウジング、2A…第1ハウジング(圧縮機ハウジング)、2B…第2ハウジング(ヒータハウジング)、2C…第3ハウジング(回路ハウジング)、3…圧縮機構、4…電動モータ、5…電気ヒータ、6…回路基板、7…底壁、8…冷媒流入口、9…冷媒流出口、10…熱媒体流入口、11…熱媒体流出口、20…モータ駆動回路、30…ヒータ制御回路、40…制御回路、50…電源回路、Q1~Q6…第1スイッチング素子(モータ駆動回路のスイッチング素子)、Q7,Q8…第2スイッチング素子(ヒータ制御回路のスイッチング素子)、Q9…第3スイッチング素子(電源回路のスイッチング素子)
Claims (5)
- 冷媒圧縮機能及び熱媒体加熱機能を有する複合装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機構及び前記圧縮機構を駆動する電動モータを内部に収容すると共に、冷媒を内部に流入させる冷媒流入口及び前記圧縮機構で圧縮された冷媒を外部に流出させる冷媒流出口を有する圧縮機ハウジングと、
熱媒体を加熱する電気ヒータを内部に収容すると共に、熱媒体を内部に流入させる熱媒体流入口及び前記電気ヒータで加熱された熱媒体を外部に流出させる熱媒体流出口を有するヒータハウジングと、
前記電動モータを駆動するモータ駆動回路と、前記電気ヒータを制御するヒータ制御回路と、前記モータ駆動回路及び前記ヒータ制御回路に供給する電源を生成する電源回路とを内部に収容する回路ハウジングと、
を含み、
前記圧縮機ハウジング、前記ヒータハウジング及び前記回路ハウジングは、一体的に結合されており、
前記モータ駆動回路、前記ヒータ制御回路及び前記電源回路は、それぞれスイッチング素子を含み、
前記モータ駆動回路のスイッチング素子の駆動周波数と、前記ヒータ制御回路のスイッチング素子の駆動周波数と、前記電源回路のスイッチング素子の駆動周波数とが互いに重ならないように設定されている、
複合装置。 - 前記モータ駆動回路、前記ヒータ制御回路及び前記電源回路が一つの回路基板に実装されている、請求項1に記載の複合装置。
- 前記回路基板には、前記モータ駆動回路の動作及び前記ヒータ制御回路の動作を制御する制御回路がさらに実装されており、
前記電源回路は、前記モータ駆動回路及び前記ヒータ制御回路に供給する電源に加えて前記制御回路に供給する電源を生成するように構成されている、
請求項2に記載の複合装置。 - 前記モータ駆動回路のスイッチング素子の駆動周波数は、前記ヒータ制御回路のスイッチング素子の駆動周波数よりも一桁以上高く、前記電源回路のスイッチング素子の駆動周波数は、前記モータ駆動回路のスイッチング素子の駆動周波数よりも一桁以上高い、請求項1~3のいずれか一つに記載の複合装置。
- 前記モータ駆動回路のスイッチング素子の駆動周波数は数10kHzオーダーの周波数に設定され、前記ヒータ制御回路のスイッチング素子の駆動周波数は数10Hzオーダーの周波数に設定され、前記電源回路のスイッチング素子の駆動周波数は数100kHzオーダーの周波数に設定されている、請求項4に記載の複合装置。
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