JP2024000981A - セラミックマトリックス複合材料及びその製造方法 - Google Patents

セラミックマトリックス複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なセラミックスマトリックスを備えることにより、高温曝露後の強度の低下が抑制されるセラミックスマトリックス複合材料及びその製造方法の少なくとも1つを提供する。【解決手段】アルミニウムの複合酸化物と、該複合酸化物とは組成の異なる酸化物を含有するセラミックスマトリックスと、セラミックス連続繊維と、を備えたセラミックスマトリックス複合材料。【選択図】なし

Description

本開示は、セラミックスマトリックス複合材料及びその製造方法に関する。
高分子系複合材料等の他の複合材料と比べて強度、特に高温強度、が高いため、セラミックス連続繊維とセラミックスマトリックスからなるセラミックス複合材料(以下、「CMC」ともいう。)は、高温構造材料として注目されている。その一方、CMCは高温雰囲気下に曝露(以下、「高温曝露」ともいう。)されると、継時劣化により強度低下が生じる。継時劣化の抑制、すなわち高温曝露後の強度改善のため、種々の検討が報告されている。
例えば、セラミックスマトリックスと、表面が改質されたセラミックス連続繊維と、を複合化することで、CMCの高温曝露後の強度が改善されることが報告されている(特許文献1)。また、セラミックスマトリックスとセラミックス連続繊維との間隙に変性アルミナ部を設けることで、セラミックスマトリックスの密度を向上させ、強度を改善する検討が行われている(特許文献2)。さらに、非特許文献1では、シリカを添加したアルミナをセラミックスマトリックスとし、これとアルミナ及びムライトからなる連続繊維とを複合化したCMCの熱処理に対する挙動が検討されている。
国際公開2022/071218号 国際公開2021/193817号
J.Euro.Ceram.Soc.,24(2004)565-578
特許文献1は、セラミックス連続繊維の改良によりCMCの高温曝露後の強度を改善しており、セラミックスマトリックスの検討はされていなかった。また、特許文献2及び非特許文献1に開示されたCMCは、高温曝露後の強度低下の抑制効果は小さく、特に長時間の高温曝露後の強度が著しく低下するものであった。
本開示は、新規なセラミックスマトリックスを備えることにより、高温曝露後の強度の低下が抑制されるセラミックスマトリックス複合材料及びその製造方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
本発明者らは、セラミックスマトリックスを構成する成分に着目した。その結果、セラミックスマトリックスが複数の成分からなり、なおかつ、特定の複合酸化物を含むことで、高温曝露によるCMCの強度の劣化が著しく抑制されることを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] アルミニウムの複合酸化物及び該複合酸化物とは組成の異なる酸化物を含有するセラミックスマトリックスと、セラミックス連続繊維と、を備えたセラミックスマトリックス複合材料。
[2] 前記複合酸化物が、スピネル、ムライト及びYAGの群から選ばれる1以上である、上記[1]に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[3] 前記酸化物がアルミナを含む、上記[1]又は[2]に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[4] 前記セラミックスマトリックスに対する前記複合酸化物の含有量が0.5質量%以上80質量%以下である、上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[5] 前記セラミックス連続繊維が、アルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上である、上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[6] 繊維体積率が30体積%以上60体積%以下である、上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[7] 実測密度が2.0g/cm以上3.2g/cm以下である、上記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料。
[8] アルミニウムの複合酸化物源と、該複合酸化物源とは組成の異なる酸化物源を含むスラリーと、セラミックス連続繊維と、を混合して混合物を得る工程、該混合物を固化して成形体を得る工程、並びに、該成形体を焼成する工程、を有する、上記[1]乃至[7]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料の製造方法。
[9] 前記酸化物源の平均粒子径に対する前記複合酸化物源の平均粒子径の割合が0.01以上1.2以下である、上記[8]に記載の製造方法。
[10] 前記複合酸化物源が、スピネル、ムライト及びYAGの群から選ばれる1以上である、上記[8]又は[9]に記載の製造方法。
[11] 上記[1]乃至[7]のいずれかひとつに記載のセラミックスマトリックス複合材料を含む部材。
本開示により、新規なセラミックスマトリックスを備えることにより、高温曝露後の強度の低下が抑制されるセラミックスマトリックス複合材料及びその製造方法の少なくとも1ついずれかが提供ができる。
実施例1のCMCのEBSD結晶相マッピング
本開示のセラミックス連続繊維について、実施形態の一例を示して説明する。本実施形態における用語は以下に示すとおりである。
「セラミックスマトリックス複合材料」(CMC)は、セラミックス連続繊維とセラミックスマトリックスが複合化した材料であり、いわゆる、セラミックス繊維強化セラミックスである。
「セラミックスマトリックス」とは、CMCのマトリックス(母相)となるセラミックスであり、本質的に、セラミックスの結晶粒子(以下、単に「結晶粒子」ともいう。)から構成されるCMCのマトリックス(母相)である。
「セラミックス繊維」とは、紡糸された多結晶セラミックス、更には糸状の多結晶セラミックスであり、結晶粒子から構成される繊維である。セラミックス繊維は、その繊維長により「セラミックス短繊維」と「セラミックス連続繊維」に区別される。本実施形態において、「セラミックス短繊維」は繊維長が500μm未満のセラミックス繊維、及び、「セラミックス連続繊維」はセラミックス短繊維以外のセラミックス繊維(繊維長が500μm以上のセラミックス繊維)である。また、「セラミックス混合繊維」とは、2種以上のセラミックスの結晶粒子の混合組織を有するセラミックス繊維であり、「セラミックス混合連続繊維」とは、2種以上のセラミックスの結晶粒子の混合組織を有するセラミックス連続繊維である。
「繊維束」は、2本以上のセラミックス繊維の集合体である。
「セラミックス繊維クロス」とは、セラミックス繊維の織物であり、特に、セラミックス連続繊維の織物である。セラミックス連続繊維の繊維束の織物、すなわち、繊維束が編まれた状態のセラミックス連続繊維であってもよい。
「平均粒子径」は、湿式法で測定される粉末の体積粒子径分布におけるメジアン径(D50)である。
「BET比表面積」は、JIS Z 8830に準じて測定されるBET比表面積であり、吸着ガスに窒素を使用したキャリアガス法による、BET1点法により測定すればよい。BET比表面積の具体的な測定条件として以下の条件が例示できる。
吸着媒体 : N
吸着温度 : -196℃
前処理条件 :大気中、200℃で30分間の処理
「繊維体積率」は、CMCに占めるセラミックス連続繊維の体積割合であり、CMCの走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察図から得られる個別の繊維体積率(V)[体積%]の平均値である。個別繊維体積率(V)は以下の(1)式から求められる。
=A/(A+A)×100 (1)
(1)式において、AはSEM観察図におけるセラミックス連続繊維の面積[m]、及び、AはSEM観察図におけるセラミックスマトリックスの面積[m]である。A及びAは、画像解析ソフト(例えば、ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して、二値化処理後のSEM観察図を画像解析して求めればよい。二値化処理は、一般的な画像解析ソフト(例えば、ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用してSEM観察図の二値化処理を行えばよい。
10±5個のSEM観察図からVを得、その平均値を繊維体積率(Vf-ave)とすればよい。
SEM観察図は、一般的な走査型電子顕微鏡(例えば、JSM-7600F、日本電子社製)を使用し、以下の条件によるSEM観察により得られる。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :130倍
SEM観察にあたり、CMCをダイヤモンドカッターで8mm×6mm角の板状に切断した後、切断により露出した表面(切断面)をクロスセクションポリッシャで加工し、加工後の切断面に金(Au)蒸着したものを観察面とすればよい。
「実測密度」とは、JIS R 1634に準じた方法により、電子天秤を使用して測定された質量に対する、アルキメデス法で測定された体積の割合[g/cm]より求められる密度である。
「平均結晶粒径」は、CMCにおける複合酸化物の結晶粒子径の平均値であり、以下の方法により測定される値である。
まず、一般的な電子後方散乱回折装置(例えば、Symmetry、オックスフォード・インストゥルメント製)を使用した以下の条件によるEBSD観察により、EBSD観察データを得る。
加速電圧 :30kV
露光時間 :3ms
観察倍率 :30,000倍
ワーキングディスタンス :8mm
ステップサイズ :20nm
測定範囲 :3.26μm×4.34μm
次に、一般的な解析ソフト(例えば、AZtecCrystal、オックスフォード・インストゥルメント製)を使用して、以下の条件で得られたEBSD観察データを解析して複合酸化物の結晶粒子それぞれの等価円直径を求め、これを複合酸化物の結晶粒径とする。結晶粒径の平均を求め、これを平均結晶粒径とすればよい。
結晶方位差 :5°
結晶粒子の数 :100±50個
EBSD観察用試料は、CMCを10mm×6mm角の板状にダイヤモンドカッターで切断し、切断により露出した表面(切断面)をクロスセクションポリッシャで加工した後、加速電圧30kVでFIB加工することで作製し、FIB加工後の表面(切断面)を観察面とすればよい。
「結晶粒径の変動係数(CV)」は、CMCにおける複合酸化物の結晶粒径のバラツキであり、結晶粒径の標準偏差を平均結晶粒径で除することで求められる値である。
「複合酸化物量」とは、セラミックスマトリックスに対する、複合酸化物の含有量(質量%)であり、CMC中のセラミックスマトリックスのSEM-EDS観察図の画像解析により求まる値である。すなわち、まず、一般的な走査型電子顕微鏡(例えば、JSM-7600F、日本電子社製)及びエネルギー分散型X線分光器(例えば、NSS312E+UltraDry30mm、サーモフィッシャサイエンティフィック製)を使用し、以下の条件によるSEM-EDS観察によりSEM-EDS観察図を得る。SEM-EDS観察は上述のSEM観察と同様な方法で作製した観察面について行えばよい。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :20,000倍
次いで、得られたSEM-EDS観察図を一般的な画像解析ソフト(例えば、ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して二値化処理及び画像解析し、以下の(2)式から、各SEM-EDS観察図における複合酸化物の含有量(C)を求める。
=[(A×d)/{(A×d)+(A×d)}]×100 (2)
上式において、Cは複合酸化物量[質量%]、AはSEM-EDS観察図における複合酸化物の面積[m]、dは複合酸化物の真密度[g/m]、AはSEM-EDS観察図における酸化物の面積[m]及びdは後述のマトリックス酸化物の真密度[g/m]である。A及びAは、SEM-EDS観察図の画像解析により求まる値である。
複数の複合酸化物や、複数のマトリックス酸化物を含む場合、(2)式におけるA×d及びA×dは以下の値を使用すればよい。
×d=AC1×dC1+AC2×dC2+ ・・・ +ACn×dCn (2-1)
×d=AO1×dO1+AO2×dO2+ ・・・ +AOm×dOm (2-2)
(2-1)式及び(2-2)式において、ACn、dCn、AOm及びdOmは、それぞれ、マトリックスに含まれる各複合酸化物及びマトリックス酸化物の面積[m]及び真密度[g/m]である。真密度は、それぞれ、スピネルが3.98×10g/m、ムライトが3.11×10g/m、YAGが4.55×10g/m、及び、アルミナが3.98×10g/mが挙げられる。
3±1個のSEM-EDS観察図を用いて、それぞれ、複合酸化物量を求め、その平均値をもって本実施形態における複合酸化物量とすればよい。
「引張強度」とは、JIS R 1656に準じた方法によって、強度試験機(例えば、AG-XPlus、島津製作所社製)及び引張試験冶具を使用して求められる値である。測定試料は、幅10±1mm×長さ110±10mm×厚み2±1mmの形状で両端にアルミタブを取り付けたCMCであればよい。負荷速度を0.5mm/minとして2回引張強度を測定し、その平均値をもって引張強度とすればよい。
[セラミックスマトリックス複合材料(CMC)]
本実施形態のCMCは、アルミニウムの複合酸化物及び該複合酸化物とは組成の異なる酸化物を含有するセラミックスマトリックスと、セラミックス連続繊維と、を備えたセラミックスマトリックス複合材料、である。
本実施形態のCMCにおけるセラミックスマトリックス(以下、単に「マトリックス」ともいう。)は、アルミニウムの複合酸化物及び該複合酸化物とは組成の異なる酸化物を含有する。これにより、高温曝露によるCMCの強度低下、特に引張強度の低下が抑制される。
本実施形態のCMCがこのようなマトリックスを備えることにより、高温曝露による引張強度の低下が抑制される理由のひとつとして、アルミニウムの複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」ともいう。)を含むマトリックスは、これを含まないマトリックスと比べて、高温曝露によるセラミックス連続繊維との焼付き、及び、これによるマトリックスとセラミックス連続繊維の固着が著しく抑制される。その結果、引張応力が印加された場合にセラミックス連続繊維が破断しにくくなり、引張強度が高いCMCが得られることが考えられる。
マトリックスは複合酸化物を含む。複合酸化物はアルミウム(Al)以外の金属元素及び半金属元素の少なくともいずれかと、アルミニウムと、を含む酸化物であればよく、ムライト(Al13Si)、YAG(YAl12)及びスピネル(MgAl)の群から選ばれる1種以上が例示でき、ムライト及びスピネルの少なくともいずれか、更にはムライトが好ましい。
マトリックスは、複合酸化物とは組成の異なる酸化物(以下、「マトリックス酸化物」ともいう。)を含有する。マトリックス酸化物は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム及びマグネシウムの群から選ばれる1以上を含む酸化物、更にはケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム及びマグネシウムの群から選ばれる1以上を含む酸化物、また更にはケイ素、アルミニウム、イットリウム及びマグネシウムの群から選ばれる1以上を含む酸化物、また更には少なくともアルミニウムを含む酸化物が挙げられる。特に好ましいマトリックス酸化物は、金属元素又は半金属元素を1種含む酸化物であり、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム又はマグネシウムの酸化物、また更にはケイ素、アルミニウム、イットリウム又はマグネシウムの酸化物、また更にはアルミニウムの酸化物である。
具体的なマトリックス酸化物として、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、ハフニア(HfO)及びマグネシア(MgO)の群から選ばれる1種以上、好ましくはシリカ、アルミナ、ジルコニア及びイットリアの群から選ばれる1種以上、より好ましくはシリカ及びアルミナの少なくともいずれか、更に好ましくはシリカ又はアルミナが挙げられ、更により好ましくは少なくともアルミナを含み、特に好ましくはアルミナである。
ジルコニアは、安定化元素が固溶したジルコニア、好ましくはイットリウムが固溶したジルコニア、より好ましくはY換算で2mol%以上6mol%以下のイットリウムが固溶したジルコニア、また更には3mol%のイットリウムが固溶したジルコニアが例示できる。
マトリックスはマトリックス酸化物を1種以上含んでいればよく、2種以上、また、5種以下、4種以下又は3種以下含んでいてもよい。
本実施形態のCMCにおけるマトリックスは、複合酸化物としてムライト及びスピネルの少なくともいずれかを含み、マトリックス酸化物としてジルコニア及びアルミナの少なくともいずれかを含むマトリックスであることが好ましく、複合酸化物としてムライト及びマトリックス酸化物としてアルミナを含むマトリックスであることが更に好ましい。
本実施形態のCMCが、複合酸化物と、マトリックス酸化物を含有するマトリックスを備えることは、EBSD観察により確認すればよい。
EBSD観察による確認は以下の通りであればよい。すなわち、一般的な電子後方散乱回折装置(例えば、Symmetry、オックスフォード・インストゥルメント製)を使用し、以下の条件でCMCのマトリックスをEBSD観察してEBSDパターンを得る。
加速電圧 :30kV
露光時間 :3ms
観察倍率 :30,000倍
ワーキングディスタンス :8mm
ステップサイズ :20nm
測定範囲 :3.26μm×4.34μm
結晶構造データを用い、得られたEBSDパターンを解析することで、マトリックスを構成する成分(酸化物の種類)を確認する。解析に使用する結晶構造のデータベースは、EBSD観察に使用した装置に付属するデータベース(例えば、HKL Phases(オックスフォード・インストゥルメント製)、Inorganic Crystal Structure Database(FIZ Karlsruhe-NIST製)、及び、OINA phases(オックスフォード・インストゥルメント製))が挙げられる。
本実施形態のCMCのマトリックスに対する複合酸化物の含有量(以下、「複合酸化物量」ともいう。)は、マトリックスの質量に対する複合酸化物の質量割合として、0.5質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上又は15質量%以上であり、かつ、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、50質量%未満、40質量%以下又は25%質量以下であるこことが挙げられ、0.5質量%以上80質量%以下、5質量%以上60質量%以下、5質量%以上40質量%以下、又は、10質量%以上25質量%以下であることが好ましい。複合酸化物量がこの範囲を満たすことで、マトリックスが、異なる組成の酸化物から構成されることによる効果が得られやすい複合マトリックスとなる。これにより、本実施形態のCMCを高温曝露しても強度がより低下しにくくなる。
本実施形態のCMCの複合酸化物の平均結晶粒径は、0.05μm以上、0.1μm又は0.15μm以上であり、また、10μm以下、1μm以下、0.3μm以下又は0.25μm以下であることが挙げられ、0.05μm以上10μm以下、0.1μm以上0.3μm以下、又は、0.15μm以上0.25μm以下であることが挙げられる。
本実施形態のCMCの複合酸化物の結晶粒径の変動係数(CV)は、20以上、35以上又は50以上であり、また、80以下、70以下、65以下又は60以下であることが挙げられ、20以上80以下、35以上70以下、50以上70以下、又は、50以上65以下が好ましい。
本実施形態のCMCにおけるセラミックス連続繊維は、セラミックスで構成される連続繊維、更には多結晶セラミックスの連続繊維であればよく、例えば、炭化ケイ素、アルミナ及びムライトの群から選ばれる1以上を含むセラミックス連続繊維が挙げられ、アルミナ及びムライトの少なくともいずれかを含むセラミックス連続繊維が好ましい。具体的なセラミックス連続繊維として、炭化ケイ素連続繊維、アルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上、更にはアルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上が挙げられる。強度の観点から、セラミックス連続繊維はアルミナ繊維であることが好ましい。一方、耐熱性の観点から、セラミックス連続繊維はムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の少なくともいずれかであることが好ましく、アルミナ及びムライト混合連続繊維がより好ましい。
セラミックス連続繊維は、マトリックスと同じ化合物からなる連続繊維、マトリックスと異なる化合物からなる連続繊維、及び、セラミックス混合連続繊維の群から選ばれる1以上であればよく、アルミナ結晶粒子とムライト結晶粒子との混合組織を有するセラミックス連続繊維(アルミナ及びムライト混合連続繊維)であってもよい。アルミナ及びムライト混合連続繊維は、アルミナ(Al):ムライト(Al13Si)が質量比で30質量%:70質量%から55質量%:45質量%である連続繊維であることが例示できる。
セラミックス連続繊維の繊維径は、8μm以上又は10μm以上であり、また、18μm以下又は15μm以下であることが例示でき、8μm以上18μm以下、又は、10μm以上15μm以下であればよい。
セラミックス連続繊維は、繊維束及びセラミックス繊維クロスの少なくともいずれかであることが好ましく、セラミックス繊維クロスであることがより好ましい。
セラミックス繊維クロスの面密度は、250g/m以上又は500g/m以上であり、また、900g/m以下又は700g/m以下であり、500g/m以上700g/m以下であることが例示できる。また、セラミックス繊維クロスの厚みは、0.2mm以上又は0.4mm以上、また、1.0mm以下又は0.6mm以下であり、0.4mm以上0.6mm以下であることが例示できる。
本実施形態のCMCの繊維体積率は、30体積%以上、35体積%以上、40体積%以上又は43%体積以上であり、また、60体積%以下、55体積%以下、50体積%以下又は46体積%以下であることが挙げられ、30体積%以上60体積%以下、40体積%以上50体積%以下、40体積%以上46体積%以下、又は、43体積%以上46体積%以下であることが好ましい。繊維体積率がこの範囲を満たすことで、強度を発現するために適した量のセラミックス連続繊維がCMC中に存在し、かつ、CMCの形状が保たれやすくなる。
本実施形態のCMCの実測密度は、マトリックスの種類等により異なるが、例えば、2.0g/cm以上、2.2g/cm以上又は2.4g/cm以上であり、また、3.2g/cm以下、3.0g/cm以下又は2.6g/cm以下であることが挙げられ、2.0g/cm以上3.2g/cm以下、2.2g/cm以上3.0g/cm以下、又は2.4g/cm以上2.6g/cm以下であることが好ましい。
本実施形態のCMCの引張強度、特に後述の熱曝露処理前の引張強度(TS)は、マトリックス及びセラミックス連続繊維の種類により異なるが、100MPa以上、110MPa以上、130MPa以上又は150MPa以上であり、また、350MPa以下、300MPa以下、200MPa以下又は170MPa以下であることが例示でき、100MPa以上350MPa以下、100MPa以上200MPa以下、110MPa以上200MPa以下、又は130MPa以上170MPa以下であることが好ましい。具体的には、マトリックスとしてムライト及びアルミナを含み、セラミックス連続繊維としてアルミナ連続繊維を含むCMCは、引張強度(熱曝露処理前の引張強度)が150MPa以上、200MPa以上又は220MPa以上であり、また、350MPa以下又は300MPa以下であることが例示でき、150MPa以上350MPa以下であることが好ましい。マトリックスとしてムライト及びアルミナを含み、セラミックス連続繊維としてアルミナ及びムライト混合連続繊維を、含むCMCは、引張強度(後述の熱曝露処理前の引張強度)が、100MPa以上、130MPa以上又は140MPa以上であり、また、230MPa以下、200MPa以下又は170MPa以下であることが例示でき、100MPa以上230MPa以下、100MPa以上200MPa以下、110MPa以上200MPa以下、又は130MPa以上170MPa以下であることが挙げられる。
本実施形態のCMCは、高温曝露後の引張強度の変化が小さいことが好ましい。例えば、本実施形態のCMCを、大気雰囲気、1250℃で100時間処理(以下、「熱曝露処理」ともいう。)した場合において、熱曝露処理前の引張強度(TS)[MPa]に対する熱曝露処理後の引張強度(TS’)[MPa]の割合[%](以下、「強度維持率」ともいう。)は、75%以上、80%以上又は85%以上であることが好ましく、また、150%以下、140%以下、120%以下、100%以下、99%以下又は90%以下であることが挙げられる。具体的な強度維持率として、75%以上150%以下、80%以上120%以下、80%以上100%以下、又は、80%以上90%以下、が例示できる。本実施形態のCMCは熱曝露処理によりマトリックスの結晶粒子同士の焼結が進行する場合もあり、熱曝露処理前の引張強度と比べ、熱曝露処理後の引張強度が高くなってもよい。
本実施形態のCMCの熱曝露処理後の引張強度(TS’)は、80MPa以上、80MPa超、95MPa以上又は110MPa以上であり、また、350MPa以下、300MPa以下、200MPa以下又は150MPa以下であることが例示できき、80MPa超350MPa以下、80MPa超200MPa以下、又は、95MPa以上150MPa以下が挙げられる。熱曝露処理後の引張強度はセラミックス連続繊維の種類により異なるが、具体的には、セラミックス連続繊維としてアルミナ連続繊維を含むCMCは、引張強度が110MPa以上、120MPa以上又は150MPa以上であり、また、300MPa以下又は200MPa以下であることが例示できる。また、セラミックス連続繊維としてアルミナ及びムライト混合連続繊維を含むCMCは、熱曝露処理後の引張強度が80MPa以上又は100MPa以上であり、また、230MPa以下であることが例示できる。
本実施形態において、複合酸化物量、複合酸化物の平均結晶粒径、複合酸化物の結晶粒径の変動係数、繊維径、セラミックス繊維クロスの面密度、セラミックス繊維クロスの厚み、繊維体積率、密度及び引張強度等のパラメータにおける上限及び下限は、上述の任意の組合せであればよい。
本実施形態のCMCは、公知のCMCの用途に使用することができ、これを含む部材、特に耐熱性が要求される用途、例えば、耐熱構造材料、更には耐熱フィルター、タービン部材及び原子力関連部材の群から選ばれる1以上に使用することができる。
[セラミックスマトリックス複合材料の製造方法]
本実施形態のセラミックスマトリックス複合材料は上述の特徴を有していれば、その製造方法は任意である。本実施形態のセラミックスマトリックス複合材料の好ましい製造方法として、アルミニウムの複合酸化物源と、該複合酸化物源とは組成の異なる酸化物源を含むスラリーと、セラミックス連続繊維と、を混合して混合物を得る工程、該混合物を固化して成形体を得る工程、並びに、該成形体を焼成する工程、を有する、セラミックスマトリックス複合材料の製造方法、が挙げられる。
本実施形態の製造方法では、アルミニウムの複合酸化物源、及び、該複合酸化物源とは組成の異なる酸化物源(以下、これらをまとめて「マトリックス源」ともいう。)を含むスラリー(以下、「マトリックススラリー」ともいう。)と、セラミックス連続繊維とを混合して混合物を得る工程(以下、「混合工程」ともいう。)を有する。
アルミニウムの複合酸化物源(以下、単に「複合酸化物源」ともいう。)は、複合酸化物又はその前駆体であればよく、ムライト、YAG及びスピネルの群から選ばれる1種以上が例示でき、ムライト及びスピネルの少なくともいずれかが好ましく、ムライトがより好ましい。
前記複合酸化物源とは組成の異なる酸化物源(以下、単に「酸化物源」ともいう。)は、マトリックス酸化物及びその前駆体の少なくともいずれかであればよい。好ましい酸化物源として、シリカ、アルミナ、ジルコニア、イットリア、ハフニア及びマグネシアの群から選ばれる1種以上が例示でき、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びイットリアの群から選ばれる1種以上が好ましく、シリカ及びアルミナの少なくともいずれかがより好ましい。また、酸化物源は、金属元素又は半金属元素を1種含む酸化物であり、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、ハフニウム又はマグネシウムの酸化物、また更にはケイ素、アルミニウム、イットリウム又はマグネシウムの酸化物、また更には少なくともアルミナを含むことが好ましい。ジルコニアは、安定化元素が固溶したジルコニアであってもよく、イットリウムが固溶したジルコニアが挙げられる。具体的には、Y換算で2mol%以上4mol%以下のイットリウムが固溶したジルコニアや、Y換算で3mol%のイットリウムが固溶したジルコニアが例示できる。
セラミックス連続繊維のまわりにマトリックス源が均一に分散しやすくなるため、複合酸化物源及び酸化物源の平均粒子径は、それぞれ、0.05μm以上、0.1μm以上、0.2μm以上又は0.4μm以上であり、また、10μm以下、5μm以下、3μm以下又は1μm以下であることが挙げられ、0.05μm以上10μm以下、0.1μm以上5μm以下、0.4μm以上3μm以下、又は、0.4μm以上1μm以下であることが好ましい。
混合工程に供する複合酸化物源及び酸化物源は、酸化物源の平均粒子径に対する複合酸化物源の平均粒子径の割合(以下、「粒子径比」ともいう。)が0.01以上、0.05以上又は0.1以上であり、また、1.2以下、1以下又は0.6以下であることが挙げられ、また、0.01以上1.2以下、0.01以上0.6以下、0.05以上0.6以下、又は、0.1以上0.6以下であることが好ましい。複合酸化物量が同程度であっても、より高い強度維持率を有するCMCが得られるため、粒子径比は0.6以上1.2以下であることが好ましい。
複合酸化物源及び酸化物源のBET比表面積は、それぞれ、0.1m/g以上、0.5m/g以上、6m/g以上、7m/g以上又は8m/g以上であり、また、50m/g以下、40m/g以下、30m/g以下又は10m/g以下であることが挙げられ、0.1m/g以上50m/g以下、又は、0.5m/g以上10m/g以下であることが好ましい。
マトリックス源は、マトリックススラリーに分散する状態であれば、その形態は任意であるが、粉末及びコロイド状粒子の少なくともいずれかであることが好ましく、粉末であることがより好ましい。
マトリックス源の平均粒子径は、0.01μm以上又は0.1μm以上、また、10μm以下、5μm以下、3μm以下又は1μm以下であることが好ましい。
マトリックス源のBET比表面積は、0.1m/g以上、0.5m/g以上、5m/g以上、7m/g以上又は8m/g以上、また、50m/g以下又は30m/g以下であることが好ましい。
マトリックス源に対する複合酸化物源の含有量(以下、「複合酸化物源量」ともいう。)は、酸化物源並びに複合酸化物源に含まれる金属元素及び半金属元素を酸化物換算した合計質量に対する、複合酸化物源に含まれる金属元素及び半金属元素を酸化物換算した質量[質量%]であり、0.5質量%以上、1質量%以上、5質量%以上又は10質量%以上であり、かつ、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、50質量%未満又は30質量%以下であることが例示でき、0.5質量%以上80質量%以下、5質量%以上80質量%以下、5質量%以上60質量%以下、又は、10質量%以上50質量%未満であることが好ましい。得られるCMCがより緻密になりやすいため、複合酸化物源量は5質量%以上50質量%以下、又は、10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。金属元素等の酸化物換算は、それぞれ、アルミニウム(Al)がAl、ケイ素(Si)がSiO、マグネシウム(Mg)がMgO、イットリウム(Y)がY、ジルコニウム(Zr)がZrO、ハフニウム(Hf)がHfOである。
複合酸化物源がムライト、酸化物源がアルミナである場合の複合酸化物源量は、
[{(ムライトの質量[g])/(ムライトの質量+アルミナの質量)[g]}]×100
={(3Al・2SiO)}/{(3Al・2SiO)+Al}×100、
から求められる。
マトリックススラリーは溶媒を含み、該溶媒は、マトリックス源が分散する溶媒であればよく、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸イソブチル、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N―ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン、1,4-ジオキサン及びスチレンの群から選ばれる1以上が例示でき、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール及びイソブチルアルコールの群から選ばれる1以上、更に好ましくは、水及びエタノールの少なくともいずれか、より好ましくは水、である。
マトリックススラリーの固形分濃度は、30質量%以上又は40質量%以上であり、また、90質量%以下又は85質量%以下であることが例示でき、30質量%以上90質量%以下、又は、40質量%以上85質量%以下であればよい。
「固形分濃度」は、マトリックススラリーに含まれる金属元素及び半金属元素を酸化物換算した質量並びに溶媒の質量の合計に対する、複合酸化物源及び酸化物源に含まれる金属元素及び半金属元素を酸化物換算した合計質量の割合[質量%]である。例えば、複合酸化物源がムライト、酸化物源がアルミナ、及び、溶媒が水であるマトリックススラリーの場合、固形分濃度は、{(アルミナの質量[g]+ムライトの質量[g])/(アルミナの質量+ムライトの質量+水の質量)[g]}×100から求められる。なお、固形分濃度は、マトリックススラリーの質量に対する、マトリックススラリーの溶媒を乾燥させた後の残部の質量割合、としても求められる。
混合工程に供するマトリックススラリーの製造方法はマトリックス源及び溶媒が混合される方法であれば任意であるが、粉砕混合で得られることが好ましい。具体的には、マトリックス源及び溶媒を混合し、ボールミル粉砕することで得られるマトリックススラリーであること、が例示できる。ボールミルに使用されるボールは、マトリックス源の緩慢凝集を取り除けるものであればよく、マトリックス源等の平均粒子径よりも大きいセラミックスボールであればよい。このようなボールとして直径0.5mm以上20mm以下、更には1mm以上15mm以下のセラミックスボールが例示できる。セラミックスボールはアルミナボール及びジルコニアボールの少なくともいずれか、更にはアルミナボールであればよい。
混合時間は、必要とするセラミックススラリーの量や、目的とする粒子径に応じて任意に変更すればよく、例えば、混合時間として12時間以上72時間以下が挙げられる。平均粒子径は、混合時間が長くなるほど平衡に達するまで、小さくなる傾向がある。
セラミックス連続繊維は、セラミックスで構成される連続繊維であれば特に制限されず、例えば、炭化ケイ素、アルミナ及びムライトの群から選ばれる1以上を含むセラミックス連続繊維が挙げられ、アルミナ及びムライトの少なくともいずれかを含むセラミックス連続繊維であることが好ましい。具体的なセラミックス連続繊維として、炭化ケイ素連続繊維、アルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上、更にはアルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上が挙げられる。
混合工程における混合方法は、マトリックス源とセラミックス連続繊維とを均一に混合し得る方法であれば任意であり、マトリックススラリーにセラミックス連続繊維を含浸させること、が例示できる。具体的な混合方法として、真空含浸処理及び加圧含浸処理の少なくともいずれかが例示できる。
真空含浸処理として、以下の条件による処理が挙げられる。
含浸雰囲気 :真空度85%以上又は真空度90%以上、かつ、
真空度100%以下、真空度100%未満又は真空度99%以下
含浸温度 :0℃以上又は10℃以上、かつ、
40℃以下又は35℃以下
加圧含浸処理として、以下の条件による処理が挙げられる。
含浸圧力 :0.11MPa以上又は0.15MPa以上、かつ、
2.0MPa以下又は1.8MPa以下
含浸温度 :0℃以上又は10℃以上、かつ、
40℃以下又は35℃以下
混合方法として、具体的には、0℃以上35℃以下、真空度95%以上100%未満の真空下で、セラミックス連続繊維をマトリックススラリーに含浸させることが挙げられる。
本実施形態の製造方法は、混合物を固化して成形体を得る工程(以下、「成形工程」ともいう。)を含む。これにより、本実施形態のCMCの前駆体となる成形体が得られる。混合物の固化方法は、混合物が固化し、一定形状を有する方法であればよく、熱処理、凍結処理及び添加剤処理の群から選ばれる1以上が例示できる。なお、成形工程は2以上の固化方法を組み合わせてもよく、また同じ固化方法を複数回、例えば2回以上5回以下、行ってもよい。
熱処理として、以下の条件による処理が挙げられる。
熱処理温度 :50℃以上、60℃以上又は80℃以上、かつ、
160℃以下又は140℃以下
熱処理回数 :1回以上5回以下
熱処理時間は、処理する混合物の量や、熱処理温度により任意に調整すればく、例えば1時間以上30時間以下、更には2時間以上20時間以下、また更には3時間以上10時間以下が挙げられる。
凍結処理として、以下の条件による処理が挙げられる。
凍結温度 :-200℃以上又は-180℃以上、かつ、
-20℃以下又は-30℃以下
昇華圧力 :0.001MPa以上又は0.002MPa以上、かつ、
0.05MPa以下又は0.03MPa以下
処理回数 :1回以上5回以下
凍結処理を複数回数行う場合、凍結温度及び昇華圧力は任意の条件とすればよい。
添加剤処理として、固化剤やバインダーなどの添加剤を、混合物と混合することにより、該混合物を成形する処理が挙げられる。添加剤は、CMCの製造に使用でき公知のものであればよく、例えば、寒天、ゼラチン、メチルセルロース、カンフェン、アルギン酸ナトリウム、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸6-ヒドロキシへキシル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミドメタクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、尿素、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、窒化ガリウム(GaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、ポリ塩化アルミニウム([Al(OH)Cl6-n、1≦n≦5、m≦10)、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ-n-プロポキシアルミニウム、トリ-i-プロポキシアルミニウム、トリ-n-ブトキシアルミニウム、トリ-i-ブトキシアルミニウム、トリ-sec-ブトキシアルミニウム、トリ-t-ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ-n-プロポキシボロン、トリ-i-プロポキシボロン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシシラン、テトラ-i-プロポキシシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、パラフィンワックス及びポリビニルアルコールの群から選ばれる1以上が例示できる。
添加剤処理は、固化剤及びバインダーを混合物と混合する方法、固化剤を混合物と混合する方法、並びに、バインダーを混合物と混合する方法の群から選ばれる1以上であることが例示でき、固化剤及びバインダーを混合物と混合する方法が好ましい。
本実施形態の製造方法は、混合工程及び成形工程を繰り返してもよい。この場合、セラミックス連続繊維に代わり成形工程で得られる成形体を混合工程に供すること以外は同様な条件による混合工程及び成形工程を有していてもよい。例えば、本実施形態の製造方法は混合工程及び成形工程を1回以上5回以下含むことが挙げられる。
本実施形態のCMCの製造方法において、成形体の焼成に先立ち、これを仮焼し仮焼体を得る仮焼工程を有していてもよい。
仮焼工程では、成形体を仮焼し仮焼体を得る。仮焼条件は、マトリックス源の粒子同士のネッキングが進行する条件であればよく、仮焼条件として、以下の条件が挙げられる。
仮焼雰囲気 :酸化雰囲気又は不活性雰囲気、好ましくは大気雰囲気
仮焼温度 :800℃以上又は850℃以上、かつ、
1000℃未満又は900℃以下
仮焼時間は成形体の大きさや、使用する仮焼炉の性能等により任意に変更すればよく、30分以上120時間以下が例示できる。
本実施形態の製造方法では、更に、仮焼体を混合工程に供してもよい。当該混合工程は、成形体の代わりに仮焼体を使用すること以外、上述の条件と同様な条件であればよい。マトリックスラリーと混合後の仮焼体は任意の方法で仮焼すればよい。
本実施形態の製造方法は、成形体を焼成する工程(以下、「焼成工程」ともいう。)を有する。これにより、本実施形態のCMCが得られる。本実施形態の製造法が仮焼工程を含む場合、焼成には、成形体に代わり仮焼体を供すればよい。焼成は、マトリックス源の焼結が進行する条件であればよく、焼成条件として、以下の条件が挙げられる。
焼成雰囲気 :酸化雰囲気、不活性雰囲気、好ましくは大気雰囲気
焼成温度 :1000℃以上、1100℃以上又は1200℃以上、かつ、
1500℃以下、1450℃以下又は1400℃以下
焼成回数 :1回以上5回以下
焼成時間は成形体(又は仮焼体)の大きさや、使用する焼成炉の特性により任意に変更すればよく、例えば30分以上120時間以下が挙げられる。焼成を複数回数行う場合、焼成雰囲気及び焼成温度は任意の条件とすればよい。
操作が簡便であることから、焼成は、常圧焼成が好ましい。本実施形態において、「常圧焼成」とは、焼成時に被焼成物(成形体や仮焼体など)に対して外的な力を加えずに加熱することにより焼成する方法である。
本実施形態のCMCの製造方法が仮焼工程を有する場合、成形体に代えて、仮焼体を焼成に供してもよい。
本実施形態の製造方法において、マトリックス源の平均粒子径、マトリックス源のBET比表面積、複合酸化物源量、固形分濃度、含浸雰囲気、含浸温度、含浸圧力、熱処理温度、凍結温度、昇華圧力、仮焼温度及び焼成温度等のパラメータにおける上限及び下限は、上述の任意の組合せであればよい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。しかしながら、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
(SEM観察及びSEM-EDS観察)
ダイヤモンドカッターを用い、CMCを8mm×6mm角の板状に切断した。クロスセクションポリッシャ(日本電子社製)を用い、切断により露出した表面(切断面)を加工し、加工後の切断面を観察面とした。これに金(Au)蒸着したものを走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-7600F、日本電子社製)を用いて、以下の条件でCMCを観察した。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :130倍
後述の繊維体積率の算出に先立ち、SEM観察図は、画像解析ソフトウェア(ソフト名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して二値化処理した。
SEM-EDS観察は、SEM観察と同様に処理した観察面を、走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-7600F、日本電子社製)及びエネルギー分散型X線分光器(装置名:NSS312E+UltraDry30mm、サーモフィッシャサイエンティフィック製)を用いて、以下の条件でCMCを観察した。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :10,000倍
後述の複合酸化物の含有量の算出に先立ち、SEM-EDS観察図は、画像解析ソフトウェア(ソフト名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して二値化処理した。
(平均結晶粒径及び結晶粒径の変動係数)
平均結晶粒径は以下の方法により求めた。すなわち、電子後方散乱回折装置(装置名:Symmetry、オックスフォード・インストゥルメント製)を使用した以下の条件により得られたEBSD観察データを得た
加速電圧 :30kV
露光時間 :3ms
観察倍率 :30,000倍
ワーキングディスタンス :8mm
ステップサイズ :20nm
測定範囲 :3.26μm×4.34μm
次いで、解析ソフト(製品名:AZtecCrystal、オックスフォード・インストゥルメント製)を使用して、EBSD観察データを以下の条件で解析して複合酸化物の各結晶粒子の等価円直径を求め、これを複合酸化物の結晶粒径とし、その平均値を平均結晶粒径とした。
結晶方位差 :5°
結晶粒子の数 :100±50個
解析には、電子後方散乱回折装置に付属する結晶構造のデータベース(データベース名:HKL Phases(オックスフォード・インストゥルメント製)、Inorganic Crystal Structure Database(FIZ Karlsruhe-NIST製)及びOINA phases(オックスフォード・インストゥルメント製))を使用し、これによりEBSDマッピングを得た。
EBSD観察用試料は、CMCを10mm×6mm角の板状にダイヤモンドカッターで切断し、切断により露出した表面をクロスセクションポリッシャで加工した後、加速電圧30kVでFIB加工することで作製し、FIB加工後の表面を観察面とした。
また、結晶粒径の変動係数(CV)は、結晶粒径の標準偏差を平均結晶粒径で除することで求めた。
(繊維体積率)
繊維体積率は、走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-7600F、日本電子社製)を使用し、以下の条件による得られたSEM観察図、及び、上述の(1)式から得られる個別の繊維体積率(V)[体積%]の平均値として求めた。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :130倍
(1)式における、A及びAは、画像解析ソフト(製品名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して二値化処理及び画像解析して求めた。
12個のVの平均値を求め、これを繊維体積率(Vf-ave)とすればよい。
SEM観察にあたり、CMCをダイヤモンドカッターで8mm×6mm角の板状に切断した後、切断により露出した表面(切断面)をクロスセクションポリッシャで加工し、加工後の切断面に金(Au)蒸着したものを観察面とした。
(複合酸化物量)
マトリックスの複合酸化物量は、走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-7600F、日本電子社製)及びエネルギー分散型X線分光器(装置名:NSS312E+UltraDry30mm、サーモフィッシャサイエンティフィック製)を使用し、以下の条件によるSEM-EDS観察で得られたSEM-EDS観察図を、画像解析ソフト(製品名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を使用して二値化処理及び画像解析し、上述の(2)式から求めた。
加速電圧 :5kV
観察倍率 :20,000

3個のSEM-EDS観察図を用いて、それぞれ、複合酸化物の含有量を求め、その平均値をもって複合酸化物量とした。
(平均粒子径)
粉末試料の平均粒子径は、JIS R 1629に準じた方法によって、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(装置名:MT3300EX-II、マイクロトラックベル製)を用いて求めた。測定条件を以下に示す。
光源 : 半導体レーザー
電圧 : 780mW
測定試料 : 純水に原料粉末を分散させたスラリー
アルミナの屈折率 : 1.77
ムライトの屈折率 : 1.65
シリカの屈折率 : 1.48
溶媒(水)の屈折率 : 1.333
計算モード : MT3000EXII
前処理として、試料粉末及びポリアクリル酸アンモニウム分散剤0.2質量%を純水に懸濁させてスラリーとした後、超音波ホモジナイザー(装置名:BRANSON SONIFIER 250、エマソン製)を用いて3分間分散処理した。
(BET比表面積)
BET比表面積は、JISZ8830に準じて測定されるBET比表面積であり、吸着ガスに窒素を使用したキャリアガス法による、BET1点法により測定した(装置名:BELSORP MR6、マイクロトラックベル社製)。BET比表面積の測定条件を以下に示す。
吸着媒体 : N
吸着温度 : -196℃
前処理条件 :大気中、200℃で30分間の処理
(実測密度)
密度は、JIS R 1634に準じた方法により、電子天秤を使用して測定された質量に対する、アルキメデス法で測定された体積の割合(g/cm)により求めた。体積の測定に先立ち、乾燥後のCMCの質量を測定した後、CMCを純水中で3時間煮沸し、前処理とした。
(引張強度)
JIS R 1656に準じた方法によって、CMCの引張強度を測定した。測定は、強度試験機(装置名:AG-XPlus、島津製作所社製)及び引張試験冶具を使用し、負荷速度を0.5mm/minとした。
測定に先立ち、幅10±1mm×長さ110±10mm×厚み2±1mmのCMCの両端にアルミタブを取り付けて引張試験片とした。なお、引張試験片の幅及び厚みはマイクロメーターで、試験片長さはノギスで測定した。
測定は2回行い、その平均値をもってCMCの引張強度とした。
また、熱曝露処理前のCMCの引張強度に対する、熱曝露処理後のCMCの引張強度の割合[%]を求め、これを強度維持率とした。
合成例1
市販のムライト粉末(製品名:KM101、共立マテリアル社製)800g、分散剤(製品名:A-6114、東亜合成社製)40g、及び、純水1200gを秤量及び粉砕媒体として直径0.3mmのアルミナビーズを用いたビーズミルで18時間混合することで、スラリーを得た。
得られたスラリーを120℃で乾燥させて溶媒(純水)を除去し、ムライト粉末(平均粒子径:0.2μm、BET比表面積:28m/g)を得、これを本合成例のムライト粉末とした。
合成例2
粉砕媒体として直径1.0mmのアルミナビーズを用いたビーズミルで2時間混合し、スラリーを得たこと以外は合成例1と同様な方法でムライト粉末(平均粒子径:0.6μm、BET比表面積:9.2m/g)を得、これを本合成例のムライト粉末とした。
実施例1
[マトリックススラリーの作製]
合成例1のムライト粉末47g、α-アルミナ粉末(平均粒子径:0.2μm)47g及び純水28gを秤量した後、粉砕媒体として直径10mmのアルミナボールを用いたボールミルで24時間混合し、複合酸化物源量が50質量%である、ムライト含有アルミナスラリー(固形分濃度:72質量%)を得た。
[CMCの作製]
アルミナ及びムライト混合連続繊維クロス(繊維径:13±1μm、クロス厚み:0.55±0.02μm。製品名:Nextel-720、3M社製)を、得られたムライト含有アルミナスラリーへ含浸し、含浸後の連続繊維クロスを熱処理(120±10℃、6±2時間)し、幅130mm×長さ110mm×厚み2mmの成形体を得た。得られた成形体を大気雰囲気、900℃で熱処理し仮焼体とした。仮焼体を、大気雰囲気、1100℃で熱処理することで、複合酸化物量が53.1質量%であり、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例2
合成例1のムライト粉末を9.4g、アルミナ粉末を84g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、複合酸化物量が8.4質量%であり、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例3
合成例1のムライト粉末を23g、アルミナ粉末を70g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、複合酸化物量が22.6質量%であり、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
比較例1
ムライト粉末の代わりに市販のシリカ粉末(製品名:1-FX、龍森社製、平均粒子径:0.24μm、BET比表面積:23m/g)を23g、純水を32g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、シリカ及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例1乃至3及び比較例1の結果を下表に示す。
表1より、シリカ及びアルミナからなるマトリックスを有する比較例1のCMCに対し、実施例のCMCは高温曝露処理前の引張強度が高く、なおかつ、強度維持率も高いことが確認できた。実施例2のCMCのムライト使用量(10.1%)は、比較例1のCMCのシリカ使用量(32.9質量%)の1/3程度であるにもかかわらず、高温曝露処理前の引張強度が著しく高く、なおかつ、強度維持率が高い。これより、シリカより少ない添加量で、高温処理後の強度低下が抑制されたCMCが得られることが確認できた。さらに、比較例1のCMCにおいて、マトリックス中のシリカがガラス化しており、複合酸化物量、平均結晶粒径等は測定できなかった。
実施例1のEBSD結晶相マッピング(図1)より、実施例1のCMCは、セラミックスマトリックスにムライト及びアルミナを含有することが確認できる。
実施例は、アルミニウムの複合酸化物であるムライト及びアルミナを含有するマトリックスを備えるCMCである。ムライト及びアルミナを含有することで、実施例は、強度維持率が80%以上であり、高温曝露処理によるCMCの強度の低下が抑制されることを確認できた。一方で、アルミニウムの複合酸化物ではないシリカと、アルミナとを含有するマトリックスを備える比較例1のCMCは、強度維持率が73%であり、高温曝露処理によるCMCの強度の低下が著しかった。
実施例4
[マトリックススラリーの作製]
合成例2のムライト粉末4.7g、α-アルミナ粉末(平均粒子径:0.2μm)89g、及び純水28gを秤量した後、粉砕媒体として直径10mmのアルミナボールを用いたボールミルで24時間混合し、複合酸化物源量が5質量%である、ムライト含有アルミナスラリー(固形分濃度:72質量%)を得た。
[CMCの作製]
得られたムライト含有アルミナスラリーを使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例5
合成例2のムライト粉末9.4g、アルミナ粉末を84g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例6
合成例2のムライト粉末23g、アルミナ粉末を70g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例7
合成例2のムライト粉末47g、アルミナ粉末を47g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例8
合成例2のムライト粉末56g、アルミナ粉末を38g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例9
合成例2のムライト粉末を75g、アルミナ粉末を19g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例4乃至9の結果を下表に示す。
実施例4乃至9にかけて複合酸化物量(ムライト量)が増加している。アルミナと比べて、ムライトは真密度が低いにもかかわらず、実施例4のCMCに比べ、実施例5乃至7のCMCは実測密度が高かった。これより、複合酸化物量が10質量%以上50質量%以下の範囲で、特にCMCが緻密になっていることが確認できた。
実施例10
市販のムライト粉末(製品名:KM101、共立マテリアル社製、平均粒子径:1.8μm、BET比表面積:7.0m/g)を9.4g、アルミナ粉末を84g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例11
市販のムライト粉末(製品名:KM101、共立マテリアル社製)を23g、アルミナ粉末を70g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
実施例12
市販のムライト粉末(製品名:電融ムライト70M 100F、太平洋ランダム社製、平均粒子径:3.6μm、BET比表面積:0.85m/g)23g、アルミナ粉末を70g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
本実施例のCMCは、高温曝露処理前の引張強度が119MPa、高温曝露処理後の引張強度が106MPaであり、強度維持率は89%であった。
実施例13
市販のムライト粉末(製品名:電融ムライト70M 325F、太平洋ランダム社製、平均粒子径:9.5μm、BET比表面積:0.17m/g)23g、アルミナ粉末を70g使用したこと以外は実施例1と同様な方法によって、ムライト及びアルミナを含有するマトリックスと、アルミナ及びムライト混合連続繊維クロスからなるCMCを得た。
本実施例のCMCは、高温曝露処理前の引張強度が107MPa、高温曝露処理後の引張強度が100MPaであり、強度維持率は93%であった。

Claims (11)

  1. アルミニウムの複合酸化物及び該複合酸化物とは組成の異なる酸化物を含有するセラミックスマトリックスと、セラミックス連続繊維と、を備えたセラミックスマトリックス複合材料。
  2. 前記複合酸化物が、スピネル、ムライト及びYAGの群から選ばれる1以上である、請求項1に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  3. 前記酸化物がアルミナを含む、請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  4. 前記セラミックスマトリックスに対する前記複合酸化物の含有量が0.5質量%以上80質量%以下である、請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  5. 前記セラミックス連続繊維が、アルミナ連続繊維、ムライト連続繊維、並びに、アルミナ及びムライト混合連続繊維の群から選ばれる1以上である、請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  6. 繊維体積率が30体積%以上60体積%以下である、請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  7. 実測密度が2.0g/cm以上3.2g/cm以下である、請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料。
  8. アルミニウムの複合酸化物源と、該複合酸化物源とは組成の異なる酸化物源を含むスラリーと、セラミックス連続繊維と、を混合して混合物を得る工程、該混合物を固化して成形体を得る工程、並びに、該成形体を焼成する工程、を有する、請求項1に記載のセラミックスマトリックス複合材料の製造方法。
  9. 前記酸化物源の平均粒子径に対する前記複合酸化物源の平均粒子径の割合が0.01以上1.2以下である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記複合酸化物源が、スピネル、ムライト及びYAGの群から選ばれる1以上である、請求項8又は9に記載の製造方法。
  11. 請求項1又は2に記載のセラミックスマトリックス複合材料を含む部材。
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