JP2023552716A - 超砥粒研削工具のコンディショニング - Google Patents

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Abstract

超砥粒材料からなるセラミックボンド研削粒を有する研削工具320を有する歯研削機においてワークを機械加工する方法において、研削工具をまずドレッシングする。続いて、研削工具の所望の摩耗状態がもたらされるように、ドレッシングされた研削工具をコンディショニングする。その後、プレ歯付きワークを、ドレッシング及びコンディショニングされた研削工具を使用して機械加工する。コンディショニングは、ワークの縁部ゾーンに熱損傷をもたらし得る、研削工具の望ましくない削り込み挙動を防止する。コンディショニングは、機械加工キネマティクスとは異なり、ドレッシングキネマティクスに対応し得るコンディショニングキネマティクスによって実行される。コンディショニングには、ワークの基本形状とは異なる基本形状を有するコンディショニング工具416、425が使用される。【選択図】図2

Description

本発明は、歯車研削機において、プロファイル研削ホイール又は研削ウォームとして構成され、超砥粒材料、特にcBN製のビトリファイドボンド研削粒を含む研削工具を使用して、ワークを機械加工する方法に関し、その方法を実行するように設計される歯車研削機に関する。
歯車研削において、研削工具の異なる仕様の中から選択を行うことができる。ビトリファイドボンドを有するドレッシング可能なコランダム工具、及び電気めっきボンドを有するドレッシング不能なcBN工具に加えて、ビトリファイドボンドを有するドレッシング可能なcBN工具も知られている。ビトリファイドボンドcBN工具は、ドレッシング可能なボンドに起因して、電気めっきボンド工具よりも高い柔軟性を呈する。高性能なcBN切削粒子に起因して、ビトリファイドボンドcBN工具は、高い材料除去率を達成することができる。結果として、2つのドレッシング動作間に機械加工される体積は、コランダム工具と比較して増大することができる。
ビトリファイドボンドcBN工具の不都合点は、望ましくない削り込み挙動(grinding-in behavior)が生じることである(www.fva-net.deから2020年11月16日に取得された研究レポートFVA 778 I, IGF No. 18580 N)。「削り込み挙動」という用語は、ビトリファイドボンドcBN工具を使用する際、ドレッシングの直後に、熱処理されるワークの縁部ゾーンに対する熱損傷(いわゆる研削焼け)が生じ得る現象を指すものと理解される。例えば、個々の歯溝が順次研削される歯車の断続プロファイル研削中、ドレッシング後に最初に機械加工された歯溝に縁部ゾーンへの熱損傷が刻まれることが多々ある。この削り込み挙動を説明するには様々なアプローチがある(不十分なチップ空間、露出したボンド、cBN粒子の平坦化)。
この問題を克服するために、従来技術では、ドレッシング後に研削工具の「慣らし研削」によって研削工具をコンディショニングすることを提案している。これについては2つの方策が提案されている。第1の方策によれば、ドレッシング後、第1の歯溝又は第1のワークを、低減された送込み及び/又は低減された軸方向送り速度で機械加工する。この方策は、実施にコストがかかり、最初に加工したワークの特性が、後から機械加工したワークの特性から逸脱することになり得る。第2の方策によれば、ドレッシング後、1つ又は複数の犠牲ワークをまず機械加工し、その後廃棄する。この方策は、時間がかかり、コストも高い。
特許文献1は、超砥粒研削工具をコンディショニングする方法を開示しており、ここでは、研削工具のドレッシング後、犠牲部材に複数の切削を行う。犠牲部材の幾何学形状は、研削工具を用いて後から機械加工されるワークの幾何学形状に対応する。
米国特許出願公開第2005/272349号
本発明の目的は、ビトリファイドボンド超砥粒の研削粒を含む研削工具を使用する際、工具寿命の初期にワークの縁部ゾーンに熱損傷をもたらすことなく、また、犠牲ワークを機械加工する必要なく、ワークの均一な機械加工を保証する方法を開示することである。
この目的は、請求項1の方法によって実現される。更なる実施の形態は、従属請求項において規定される。
したがって、歯車研削機において、超砥粒材料、特にcBN製のビトリファイドボンド研削粒を含む研削工具を使用してワークを機械加工する方法が提案される。本方法は、
a)研削工具をドレッシングするステップと、
b)研削工具の所望の摩耗状態がもたらされるように、ドレッシングされた研削工具をコンディショニングするステップであって、歯車研削機は、コンディショニングキネマティクスを実行する、ステップと、
c)ドレッシング及びコンディショニングされた研削工具を使用して、所定の基本形状を有するプレ歯付きワークを機械加工するステップであって、歯車研削機は、機械加工キネマティクスを実行する、ステップと、
を含む。
本プロセスは、コンディショニングキネマティクスが機械加工キネマティクスとは異なることを特徴とする。
したがって、従来技術とは対照的に、犠牲ワークがコンディショニングのために機械加工キネマティクスによって機械加工されるのではなく、コンディショニングは、特別なコンディショニングキネマティクスによって研削工具に対してコンディショニング工具を動かすことによって実行される。特に、コンディショニングキネマティクスは、研削工具をドレッシングするのに使用され得るドレッシングキネマティクスに対応し得る。したがって、ワークとは異なる基本形状を有する、特にドレッシング工具の基本形状を有するコンディショニング工具が、コンディショニングに使用され得る。例えば、ワークが歯車形状である場合、コンディショニング工具も歯車形状ではないことが好ましい。代わりに、コンディショニング工具は、例えば、回転円板形状コンディショニング工具、又は静止した、例えば、ピン又は歯形状コンディショニング工具とすることができる。
コンディショニングのために機械加工キネマティクスとは異なるキネマティクスを使用することにより、様々な利点が得られる。特に、コンディショニングは、最適なコンディショニング結果を達成するように運動シーケンスを特別に適合することができることから、はるかに目標どおりに実行することができる。例えば、研削工具の回転軸に対して径方向へのコンディショニング工具の送込み、研削工具の及び該当する場合はコンディショニング工具の回転速度、作用方向(アップカット又はダウンカット方向)の並びにコンディショニングが研削工具の完全な加工プロファイルに沿って線接触して実行されない場合の外形送り速度、及び重なり具合等の技術的パラメーターを、特別に調整することができる。別個のコンディショニングキネマティクスを有するコンディショニング工具を使用すると、そうしたコンディショニング工具を使用しない場合に、犠牲ワークを機械加工されるワークに置き換えるためにコンディショニングの後に生じる非生産的なアイドル時間を低減することもできる。また、犠牲ワークとは異なり、コンディショニング工具は、複数回使用することができる。これにより、材料消費が大幅に低減される。
本明細書において、以下の定義が使用される。
本明細書において、「超砥粒材料」は、室温におけるマイクロビッカース硬さがコランダムの微小硬さよりも大きい材料として理解される。このクラスの超砥粒材料は、特に、立方晶窒化ホウ素(cBN)及びダイヤモンドを含む。cBNは、ダイヤモンドとは異なり、典型的な歯車材料に対する化学的親和性を有しないため、プレ歯付きスチール製のワークの硬化仕上げには特に重要である。これに関して、本発明は、特に、研磨体がビトリファイドボンドcBN粒子によって形成される研削工具に関する。
ワークの「縁部ゾーンの熱損傷」又は「研削焼け」は、ISO 14104:2017-04において指定されるような損傷パターンとして定義される。縁部ゾーンの熱損傷があるか否かの検証は、ISO 14104:2017-04に規定される表面焼戻しエッチング方法によって実行される。本明細書において規定されるワークの縁部ゾーンに対する熱損傷は、ISO 14104:2017-04に従って、ワークがタイプ3のエッチング後に等級FA/NB2を満たさない場合に存在する。
本明細書において、「基本形状」という用語は、寸法の僅かな差異を除いた物体の幾何学的形状を意味する。例えば、同じ螺旋角度、同じモジュール、及び同じ歯数を有する2つの円筒歯車は、例えば、円筒歯車の歯厚、歯形、又は歯面線が異なっていても、同じ基本形状を有する物体とみなす。反対に、円筒歯車の歯、若しくは固定ピン、歯、又はロッドを有しない円板は、円筒歯車とは異なる基本形状を有する物体とみなす。
本明細書において、「ドレッシング」又は「ツルーイング」という用語は、一方では、研削工具の所望の幾何学的形状を生成又は復元し、他方では、回転研削工具をドレッシング工具に係合させることによって、研削工具が研がれるプロセスを意味するように理解される。
本明細書において、「コンディショニング」という用語は、所望の摩耗状態を特別にもたらすことを意味する。コンディショニング中、ドレッシング中に生成された研削工具の幾何学的形状は、もはや変更されないことが好ましい。コンディショニングは、特に、研削粒を部分的に露出させるために、ドレッシング後に研削粒間の結合剤を除去する役目を果たすことができる。
「ドレッシングキネマティクス」、「コンディショニングキネマティクス」、及び「機械加工キネマティクス」という用語は、それぞれ「ドレッシング」、「コンディショニング」、及び「機械加工」のプロセス中に、研削機によって実行される動作シーケンスを意味するようにそれぞれ理解される。特に、ドレッシングキネマティクスは、研削工具をドレッシングするために、ドレッシング工具を回転研削工具に係合させる動作シーケンスとして理解される。ドレッシングキネマティクスは、研削機の機械ベッドに対する研削工具の動き、及び/又は、機械ベッドに対するドレッシング工具の動きを、含むことができる。ドレッシングキネマティクスは、研削機の1つ以上の数値制御(NC)軸によってもたらされる。したがって、「コンディショニングキネマティクス」とは、研削工具をコンディショニングするためにコンディショニング工具を回転研削工具に係合させる動作シーケンスを意味するように理解され、「機械加工キネマティクス」とは、ワークを機械加工するために回転研削工具をワークに係合させる動作シーケンスを意味するように理解される。
2つのキネマティクスは、関連する動きが、移動長、速度等の個々のパラメーターにおいて異なるだけでなく、基本動作シーケンスも異なる場合に異なるものとみなされる。例えば、研削ウォームを用いる連続創成歯車研削における機械加工キネマティクスは、研削ウォームが回転ドレッシングホイールによってドレッシングされるドレッシングキネマティクスとは異なる。例えば、連続創成歯車研削における機械加工キネマティクスは、回転条件を満たすように研削ウォーム及びワークの回転速度の強制的な結合を含むが、ドレッシングキネマティクスは、そのような強制的な結合を含まない。また、プロファイル研削ホイールを用いる断続プロファイル研削における機械加工キネマティクスは、回転ドレッシングホイールを用いてプロファイル研削ホイールをドレッシングするドレッシングキネマティクスとは根本的に異なる。例えば、機械加工キネマティクスは、1つの歯溝を機械加工した後に、プロファイル研削ホイールを次の歯溝に係合させることを必要とする。この要素は、ドレッシングキネマティクスでは完全になくなっている。
本発明によれば、コンディショニングキネマティクスは、機械加工キネマティクスとは異なり、すなわち、コンディショニング中、ワークを機械加工するのに使用される動作シーケンスとは異なる動作シーケンスが実行される。コンディショニング工具は、ワークスピンドルとは異なるコンディショニング装置上にクランプされることが好ましく、すなわち、犠牲ワークが使用される場合とは異なり、コンディショニングは、ワークスピンドルを用いて実行されず、ワークスピンドルとは別個のコンディショニング装置を用いて実行される。コンディショニング装置は、特に、ドレッシング装置に統合するか又はドレッシング装置と組み合わせることができる。
特に、コンディショニング工具の基本形状は、研削工具をドレッシングするのに特に使用されるドレッシング工具の基本形状に対応することができ、又は、いくつかのドレッシング工具が使用される場合、これらのドレッシング工具のうちの1つの基本形状に対応することができる。例えば、回転円板形状ドレッシング工具がドレッシングに使用される場合、コンディショニング工具も円板形状とし、ドレッシング工具と同様の寸法を有することができる。次いで、コンディショニングキネマティクスは、このドレッシング工具のドレッシングキネマティクスに対応することができる。
しかしながら、コンディショニング工具の基本形状は、実際に使用されるドレッシング工具の基本形状とは異なることもできる。例えば、ドレッシングは、回転円板形状ドレッシング工具を用いて実行することができるが、コンディショニング工具は、静止部材、例えば、ピン、歯、又はロッドとして設計される。したがって、コンディショニングキネマティクスは、使用される実際のドレッシングキネマティクスとは異なり得る。そうではあるが、この場合のコンディショニングキネマティクスは、ドレッシングに使用することもできるキネマティクスでもあり、これに関して、コンディショニングキネマティクスは、この場合のドレッシングキネマティクスにも対応する。
コンディショニング工具は、コンディショニング中、研削工具と接触する領域において、金属、特にスチールから作製されることが好ましい。スチールは、ワークが作製されるスチールと同様の特性を有するスチールであることが好ましい。特に、スチールは、ワークに使用されるスチールと同じタイプとすることができる。特に、コンディショニング工具は、硬質材料コーティングが省かれた、ドレッシング工具のスチール製の基体に対応することができる。
上述したように、いくつかの実施形態において、コンディショニング工具は、コンディショニングプロセス中に静止している。他の実施形態において、コンディショニング工具は、コンディショニングプロセス中に回転し、この回転は、研削工具の回転に対してアップカット又はダウンカットとすることができる。
回転コンディショニング工具の場合、コンディショニング工具は、ドレッシングロールの基本形状、すなわち、円板形状の基本形状を有することができる。特に、コンディショニング工具は、いわゆる、プロファイルロール又はフォームロールの形状を有することができる。「プロファイルロール」は、ドレッシングロールのプロファイル形状を研削工具に転写するように線接触して研削工具をドレッシングするように構成されるドレッシングロールに関するものと理解される。線接触は、例えば、研削工具の1つの歯面の領域においてのみ起こる場合も、2つの隣接する歯面において起こる場合も、研削工具の中間ヘッド領域及び/又は足部領域も含む場合もある。一方、「フォームロール」という用語は、研削工具を点接触でドレッシングするように設けられるドレッシングロールに関するものとして理解される。既に説明したように、コンディショニング工具は、硬質材料コーティングを伴わない、ドレッシングロールのスチール製の基体に対応することが好ましい。
コンディショニング工具が回転するように構成されるか又は静止するように構成されるかに関わらず、コンディショニング工具は、概して、コンディショニングプロセス中の研削工具の加工プロファイルの少なくとも一部に線接触することができ、又は、その加工プロファイルの一部に点接触する場合もある。コンディショニング工具が研削工具の加工プロファイル全体に沿って線接触しない場合、歯車研削機が、コンディショニング工具と研削工具との間の接触位置をコンディショニング中に研削工具のプロファイルに沿って変更するように、研削工具とコンディショニング工具との間で相対的な動きを実行することが可能であり得る。
既に述べたように、本発明は、ステップc)において、全てのワークが、同一の機械加工パラメーターによって機械加工される、特に、ワークスピンドル軸に対して垂直の同一の送込み及びワークスピンドル軸に沿って同一の軸方向送り速度を有して機械加工されることを可能にする。これらの機械加工パラメーターは、ステップb)が実行されない場合、ステップc)における少なくとも第1のワークの機械加工中に縁部ゾーンの熱損傷が生じるように選択することができる。これは、ステップb)において、ステップc)の機械加工中に縁部ゾーンの熱損傷が厳密にもはや生じないようにコンディショニングが実行されることから可能である。
ステップa)~c)は、複数回繰り返すことができる。コンディショニングプロセスb)は、同じコンディショニング工具を用いて複数回実行することができる。したがって、犠牲ワークとは異なり、コンディショニング工具は、単一のコンディショニングプロセスの後に廃棄する必要はなく、複数回再使用することができる。
ステップc)におけるワークの機械加工は、特に、連続創成歯車研削によって又は断続プロファイル研削によって実行することができる。したがって、研削工具は、研削ウォーム又はプロファイル研削ホイールとすることができる。
本発明は、上記に開示された方法を実行するように特に構成される歯車切削機も提供する。本歯車切削機は、
研削工具をクランプすることができる工具スピンドルと、
ワークをクランプすることができる少なくとも1つのワークスピンドルと、
ドレッシング工具をクランプすることができるドレッシング装置と、
工具スピンドル、ワークスピンドル、及びドレッシング装置を駆動し、それらを互いに対して相対的に動かす複数の機械軸と、
機械軸を制御する制御ユニットと、
を備える。
歯車切削機は、ワークスピンドルとは異なるコンディショニング装置を備えることを特徴とし、コンディショニング工具は、コンディショニング装置上にクランプすることができる。次いで、制御ユニットは、加工機が上述したタイプの方法を実行するように、機械軸を制御するように構成され、それにより、機械加工キネマティクスとは異なり、好ましくはドレッシングキネマティクスに対応するコンディショニングキネマティクスによってコンディショニングが実行される。
本発明の好ましい実施形態が、図面を基に以下に説明される。図面は、例示のみを目的としており、限定的なものとして解釈されるべきではない。
図1は、一実施形態例に係る歯車研削機の斜視図である。 図2は、図1の歯車研削機のドレッシング装置の領域におけるセクションを示す図であり、ここでは、歯車研削機の一部は単純化するために図示していない。 図3は、図2のセクションを示す図であり、ここでは、研削ウォームの代わりにプロファイル研削ホイールが研削工具として設けられている。 図4は、ワークに係合する研削ウォームを示す概略図である。 図5は、ワークに係合するプロファイル研削ホイールを示す概略図である。 図6は、本発明に係る方法のフローチャートである。
[例示的な加工機の設計]
図1は、創成歯車研削によって歯車の硬化仕上げを行う加工機の一例を示している。水平空間方向は、X及びYによって示され、鉛直空間方向(重力方向)は、Zによって示されている。加工機は、機械ベッド100を有し、その上に、送込みスライド210が送込み方向X1に沿って可動であるように配置される。送込み方向X1は、水平空間方向Xに対応する。タワー様工具キャリア200が、鉛直旋回軸C1周りに旋回可能であるように送込みスライド210上に取り付けられる。鉛直旋回軸C1は、以降でC1軸と称する。送りスライド220が、軸送り方向Z1に沿って可動であるように工具キャリア200上に配置される。送り方向Z1は、鉛直空間方向Zに対応する。送りスライド220は、水平旋回軸A1周りで送りスライド220に対して旋回可能な工具ヘッド300を保持する。水平旋回軸A1は、以降でA1軸と称する。A1軸は、送込み方向X1に対して平行である。工具スピンドル310は、シフト方向Y1に沿って可動であるように工具ヘッド300上に配置される。シフト方向Y1は、A1軸に対して垂直であり、軸送り方向Z1に対して、A1軸周りの工具ヘッド300の旋回角に応じた角度を有する。研削ウォームの形態の研削工具320が、工具スピンドル軸B1周りに回転するように工具スピンドル310上にクランプされる(図2~図5を参照)。工具スピンドル軸B1は、シフト方向Y1に対して平行である。
ドレッシング装置400は、機械ベッド100上に配置される。ドレッシング装置400に面しない工具キャリア200の側において、図1では部分的にのみ見えているワークスピンドル500は、機械ベッド100上に配置され、鉛直ワークスピンドル軸C’周りで機械ベッド100上にクランプされたワーク510を回転させる(図4及び図5を参照)。工具キャリア200は、C1軸周りに、機械加工位置とドレッシング位置との間で180°旋回可能である。工具キャリア200の機械加工位置において、研削工具320は、ワーク510(図4及び図5を参照)に係合させることができる。ドレッシング位置において、研削工具320は、より詳細に後述するドレッシング装置400のドレッシング工具に係合させることができる(図2及び図3を参照)。図1において、工具キャリア200が、ドレッシング位置に示されている。
記号的にのみ示されている機械制御部600は、加工機内のセンサーからの信号を受信し、加工機、工具スピンドル、ワークスピンドル、及びドレッシング装置の直線軸及び旋回軸を制御する。
図1に係る機械構想は、米国特許第5857894号に開示されている。対応する機械は、スイス、ヴァリゼレン所在のReishauer AG社からRZ 400という名称で利用可能である。
[ドレッシング装置及びコンディショニング装置]
図2において、図1の加工機のセクションが異なる視点方向から示されている。加工機の一部は、より明確な説明を得るために省かれている。
研削工具320は、図2では、自由に浮動するように示されているが、図1に示されているように、研削工具は工具スピンドル310に依然としてクランプされることが理解される。後述に関して、研削工具320は、ビトリファイドボンドcBN製の研磨体を備えるものと想定される。
特に、図2は、ドレッシング装置400の構造を示している。ドレッシング装置400は、鉛直軸C_P1周りに機械ベッドに対して旋回可能であるとともに、直交する2つの水平方向X_P、Y_Pに沿って直線的に可動である第1のドレッシングスピンドル410を備える。旋回駆動部411、第1の直線駆動部412、及び第2の直線駆動部(図2では見えない)がこの目的を果たす。円板形状のドレッシング工具415が、第1のドレッシングスピンドル410上に回転するようにクランプされる。ドレッシング装置400は、旋回駆動部421によって鉛直軸C_P2周りに機械ベッドに対して旋回可能である第2のドレッシングスピンドル420を更に備える。第2の円板形状ドレッシング工具は、第2のドレッシングスピンドル420上に回転するようにクランプされ得る。
本発明に関して、ドレッシング工具の代わりに円板形状の第1のコンディショニング工具425が、第2のドレッシングスピンドル420上にクランプされる。付加的又は代替的に、静止した第2のコンディショニング工具416を設けてもよい。静止コンディショニング工具416は、ホルダー417内に保持され、ホルダー417は、図2の例において、第1のドレッシングスピンドル410のハウジング上に静止して配置される。
したがって、本発明に関して、ドレッシング装置400は、ドレッシング装置とコンディショニング装置とを組み合わせた機能を果たす。厳密には、ドレッシング工具415がクランプされた第1のドレッシングスピンドル410のみが実際のドレッシング装置を形成し、コンディショニング工具425がクランプされた第2のドレッシングスピンドル420と、静止コンディショニング工具416を有するホルダー417とが、コンディショニング装置を形成する。
NC軸を使用してX1、Y1、Z1、A1、X_P、Y_P、C_P1、及びC_P2に対する動きをもたらすことで、研削工具320は、3つのドレッシング又はコンディショニング工具415、416、及び425のそれぞれに選択的に係合させることができる。
[プロファイル研削ホイールの形態の研削工具]
図2の研削工具320は研削ウォームであるが、図3は、プロファイル研削ホイールの形態の研削工具321の使用を示している。本明細書に記載の全ての検討事項は、このタイプの研削工具にも準用される。プロファイル研削ホイールが使用される場合、「接線送り方向」という用語は、通常、「シフト方向」という用語の代わりに方向Y1に対して使用される。
[ドレッシングプロセス及びコンディショニングプロセス]
研削工具320又は321をドレッシングするために、回転研削工具320、321をまず、同じく回転するドレッシング工具415に係合させる。これにより、研削工具320、321の所望の外形を生成又は復元し、研削工具320、321を研ぐ。
次いで、上述したように、このようにしてドレッシングされる研削工具320、321の望ましくない削り込み挙動を回避又は少なくとも低減するために、回転研削工具320、321を、回転コンディショニング工具425及び/又は静止コンディショニング工具416に係合させる。コンディショニングは、機械加工が全てのワークに対して同じ技術的パラメーターで実行される場合でも、後続のワークの機械加工中にワークの縁部ゾーンに熱損傷が生じないことが保証されるまで実行される。
[ドレッシング工具及びコンディショニング工具]
図1~図3に示されているタイプのドレッシング工具及びコンディショニング工具の代わりに、他のタイプのドレッシング及びコンディショニング工具を使用してもよい。したがって、ドレッシング及びコンディショニング装置は、別様に構成することができる。
ドレッシング工具415は、ビトリファイドボンドcBN製の研磨体をドレッシングするのに好適な任意のドレッシング工具とすることができる。そのようなドレッシング工具は、多様な実施形態で従来技術において既知である。そのようなドレッシング工具は、様々な方法のドレッシングに使用することができる。
例えば、ドレッシング工具のプロファイルを研削工具のプロファイル上にマッピングするために、研削ウォームのドレッシングを、ドレッシング工具と研削工具との間で線接触して実行することができることが知られている。これは、「プロファイルドレッシング」と称する。ドレッシング工具が回転する場合には、「プロファイルロール」と称する。ドレッシング工具及びドレッシング装置に応じて、プロファイルドレッシング中、ウォームギアの各歯面を個別にドレッシングしてもよく、ウォームギアの双方の歯面を同時にドレッシングしてもよく、多条研削ウォームの2つ以上のウォームギアの歯面を同時にドレッシングしてもよい。歯面に加えて、ウォームギアの歯先領域及び/又は歯底領域を同時に又は連続的にドレッシングすることも可能である。このために、同じドレッシング工具を使用しても、別のドレッシング工具を使用してもよい(例えば、米国特許第6234880号を参照)。
研削ウォームを点接触でドレッシングし、それにより、ドレッシング工具が、研削ウォームの歯面に沿って線ごとにガイドされることも知られている。これは、「フォームドレッシング」と称される。ドレッシング工具が回転する場合には、「フォームロール」と称される。
異なるドレッシング工具又は同じドレッシング工具の異なる領域を用いて、プロファイルの一部が線接触でドレッシングされ、他の部分が点接触でドレッシングされる混合形態も知られている(例えば、米国特許第6012972号を参照)。
したがって、ドレッシング工具の多数の設計が存在する。例えば、ドレッシング工具415と同様に、ドレッシングのためにドレッシング工具軸周りに回転するように駆動される円板形状のドレッシング工具(ドレッシングロール)が知られている。また、ドレッシング工具は、例えばダイヤモンド粒子による研磨コーティングが施されたスチール製の円板形状の基体を有することが多い。一方で、他のタイプのドレッシング工具は、静止するように構成される。そのようなドレッシング工具は、研磨材料によってコーティングされるスチールの基体を有することもできる。
異なるタイプのドレッシング方法及び対応するドレッシング工具は、ドレッシングプロファイル研削ホイールとしても知られる。特に、プロファイル研削ホイールは、線接触又は点接触でドレッシングすることもできる。これはまた、ドレッシング工具415のタイプの回転円板形状ドレッシング工具を用いて又は静止ドレッシング工具を用いて行うことができる。ドレッシング工具は、スチール製の基体及び研磨コーティングを有することができる。
このために使用されるコンディショニングプロセス及びコンディショニング工具にも、等しく多様な構成が可能である。研削工具のコンディショニングも、線接触又は点接触して実行することができる。コンディショニング工具は、回転又は静止するように構成することができる。特に、コンディショニング工具は、研磨コーティングが省かれた、ドレッシング工具のスチールの基体によって形成することができ、それにより、研削工具は、基体のスチールによって直接コンディショニングされる。
コンディショニング工具は、ドレッシング工具と同じタイプのものとすることができる。例えば、ドレッシング工具及びコンディショニング工具の双方は、ドレッシング又はコンディショニング中に回転される円板形状の工具とすることができる。しかしながら、コンディショニング工具は、ドレッシング工具とは異なってもよい。例えば、ドレッシング工具が回転することができる一方で、コンディショニング工具は静止する。
決定的な要素は、コンディショニングが、コンディショニングのためにワークスピンドル上にクランプされる犠牲ワークによってではなく、別個のコンディショニング工具によって実行されることである。コンディショニング工具は、ワークスピンドル上にクランプされず、コンディショニングは、ワークの機械加工に使用されるキネマティクスに対応するキネマティクスによって実行されず、むしろ、コンディショニングは、典型的なドレッシング動作のキネマティクスに対応するキネマティクスによって実行される。コンディショニングに使用されるキネマティクスは、ドレッシングに使用される実際のキネマティクスとは異なる場合がある(例えば、ドレッシング工具及びコンディショニング工具が同じでないため)が、それでもなお、ドレッシングに使用され得るキネマティクスである。
図1~図3の例において、ドレッシングにも使用することができる同じ動作軸をコンディショニングに使用することができる。これらの動作軸は、軸X_P、Y_P、C_P1、及び/又はC_P2を含む。これらの軸は、ワークの機械加工に関連しない、純粋なドレッシング及びコンディショニング軸である。したがって、図1~図3の例におけるコンディショニング中の動作シーケンスは、ワークの機械加工中のものとは完全に異なることが明らかである。
[ワークの機械加工]
コンディショニング後、ワークの機械加工が行われる。完全を期すために、これは、連続創成歯車研削の例として図4に示され、断続プロファイル研削の例として図5に示されている。
図4の例において、研削工具320は、ワーク510に回転係合する研削ウォームである。同時に、ワーク510は、研削工具320の回転速度に対する所定の回転速度比を有する回転速度で、ワークスピンドル軸C’周りに回転する。この回転係合は、機械制御部600によって電子的に確立される。研削工具320は、ワークの全幅にわたって送り方向Z1に沿って同時に連続的に前進し、必要な場合、シフト方向Y1に沿ってシフトする。このキネマティクスは、ドレッシング及びコンディショニングに使用されるキネマティクスとは著しく異なることが明らかである。
図5の例において、研削工具321は、プロファイル研削ホイールである。回転研削工具321は、ワーク510の各歯溝に順次挿入され、歯溝を機械加工する。歯溝の機械加工中、ワーク510は静止しており、研削工具321は、ワークの全幅にわたって送り方向Z1に沿って連続的に前進する。その後、ワークは、次の歯溝を機械加工するために回転する。このキネマティクスも、ドレッシング及びコンディショニング中のキネマティクスとは著しく異なることが明白である。
[フローチャート]
上述の方法は、図6のフローチャートの形態に要約される。ステップ701において、研削工具をドレッシングする。ステップ702において、研削工具をコンディショニングする。次いで、ステップ703において、ワークを機械加工する。再整形及び/又は再研磨が必要となるほど研削工具が摩耗した場合、ステップ701及び702を再び実行する。
[他の変形]
本発明は、上記実施形態に限定されず、更なる変形が可能である。特に、本発明は、何らかの特定の機械設計に限定されず、ドレッシング及びコンディショニングの双方を可能にする任意の歯車研削機とともに使用することができる。
100 機械ベッド
200 工具キャリア
210 送込みスライド
220 送りスライド
300 工具ヘッド
310 工具スピンドル
320、321 研削工具
400 ドレッシング装置
410 ドレッシングスピンドル
411 旋回駆動部
412 直線駆動部
415 ドレッシング工具
416 コンディショニング工具
417 ホルダー
420 ドレッシングスピンドル
421 旋回駆動部
425 コンディショニング工具
500 ワークスピンドル
510 ワーク
600 機械制御部
701~703 手順ステップ
X、Y、Z 座標
X1 送込み方向
Y1 シフト方向
Z1 軸送り方向
A1 工具ヘッドの旋回軸
C1 工具キャリアの旋回軸
C’ ワークスピンドル軸
X_P、Y_P ドレッシング/コンディショニングの変位方向
C_P1、C_P2 ドレッシング/コンディショニングの旋回軸

Claims (15)

  1. 歯車研削機において、超砥粒材料、特にcBN製のビトリファイドボンド研削粒を含む研削工具(320、321)を使用してワーク(510)を機械加工する方法であって、
    a)前記研削工具(320、321)をドレッシングするステップと、
    b)前記研削工具(320、321)の所望の摩耗状態がもたらされるように、前記ドレッシングされた研削工具(320、321)をコンディショニングするステップであって、前記歯車研削機は、コンディショニングキネマティクスを実行する、ステップと、
    c)前記ドレッシング及びコンディショニングされた研削工具(320、321)を使用して、プレ歯付きワーク(510)を機械加工するステップであって、前記歯車研削機は、機械加工キネマティクスを実行する、ステップと、
    を含み、
    前記コンディショニングキネマティクスは、前記機械加工キネマティクスとは異なることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記コンディショニングキネマティクスは、ドレッシング工具(415)のドレッシングキネマティクスに対応する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加工機は、コンディショニング工具(416、425)がクランプされるコンディショニング装置(417、420)を備え、前記コンディショニング工具(416、425)を用いて、ステップb)における前記コンディショニングが実行され、
    前記加工機は、ステップc)において前記ワーク(510)がクランプされるワークスピンドル(500)を備え、
    前記コンディショニング装置(417、420)は、前記ワークスピンドル(500)とは異なる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記コンディショニング工具(416、425)は、前記ワーク(510)の基本形状とは異なる基本形状を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記コンディショニング工具(416、425)は、ドレッシング工具(415)の基本形状に対応する基本形状を有する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記コンディショニング工具(416、425)は、コンディショニング中に前記研削工具(320、321)に接触する領域において、金属、特にスチールから作製される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記研削工具(320、321)は、前記コンディショニングのステップ中に回転し、前記コンディショニング工具(416)は、前記コンディショニングのステップ中に静止する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記研削工具(320、321)は、前記コンディショニングのステップ中に回転し、前記コンディショニング工具(425)は、前記コンディショニングのステップ中に前記研削工具(320、321)に対してアップカット又はダウンカット方向に回転する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記コンディショニング工具(425)は、ドレッシングロール、特にプロファイルロール又はフォームロールの基本形状を有し、好ましくは、硬質材料コーティングを伴わない、ドレッシングロールの金属基体に対応する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記コンディショニング工具(416、425)は、前記コンディショニングのステップ中に前記研削工具(320、321)に線接触又は点接触する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記歯車研削機は、コンディショニング中、前記研削工具(320、321)のプロファイルに沿って、前記コンディショニング工具(416、425)と前記研削工具(320、321)との間の接触位置が変化するように、前記研削工具(320、321)と前記コンディショニング工具(416、425)との間の相対的な動きを実行する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. ステップc)における全てのワーク(510)が同一の機械加工パラメーター、特に送込み速度及び軸方向送り速度で機械加工され、
    前記機械加工パラメーターは、ステップb)が実行されない場合、ステップc)における少なくとも第1のワーク(510)の機械加工中に縁部ゾーンの熱損傷が生じるように選択され、
    ステップb)において、前記コンディショニングは、ステップc)における前記機械加工中に縁部ゾーンの熱損傷が生じないように実行される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記コンディショニングのステップb)は、同じコンディショニング工具(415、426)を用いて複数回実行される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記研削工具(320、321)は、研削ウォーム又はプロファイル研削ホイールである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 歯車切削機であって、
    研削工具(320、321)をクランプすることができる工具スピンドル(310)と、
    ワーク(510)をクランプすることができる少なくとも1つのワークスピンドル(500)と、
    少なくとも1つのドレッシング工具(415)をクランプすることができるドレッシング装置(400)と、
    前記工具スピンドル(310)、前記ワークスピンドル(500)、及び前記ドレッシング装置(400)を駆動し、それらを互いに対して相対的に動かす複数の機械軸(X1、Y1、Z1、A1、C1、C’、X_P、Y_P、C_P1、C_P2)と、
    前記機械軸(X1、Y1、Z1、A1、C1、C’、X_P、Y_P、C_P1、C_P2)を制御する制御ユニット(600)と、
    を備え、
    前記歯車切削機は、前記ワークスピンドル(500)とは異なるコンディショニング装置(417、420)を備え、少なくとも1つのコンディショニング工具(416、425)を、前記コンディショニング装置(417、420)上にクランプすることができ、
    前記制御ユニットは、前記加工機が請求項1~14のいずれか1項に記載の方法を実行するように、前記機械軸を制御するように構成されることを特徴とする、前記歯車切削機。
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