JP2023548110A - 卵巣がんの検出及び治療方法 - Google Patents

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Abstract

早期卵巣がんの検出及び卵巣がんのリスクがあることの判定のための方法及び関連するキットが提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に援用される、2020年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/107,160号明細書の優先権を主張する。
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いにより、官庁により提供されるであろう。
卵巣がんは、現在の方法では早期卵巣がんを適切に検出できないため、特に潜伏性が高いタイプのがんである。早期に検出された卵巣がん(ステージIA/IB/IC)の5年生存率は、少なくとも85%であるが、予後は、疾患の進行と共に急激に悪化し、ステージIVのがんの相対生存率は、17%である。現在、卵巣がんを有する患者の70%以上が進行期(III~IV)の疾患を呈しており、5年生存率は、30%未満と散々たるものである。しかしながら、疾患が卵巣(ステージI)又は骨盤(ステージII)に限局されている場合、従来の手術及び化学療法で最大70~90%の生存率が達成される。
これまで、CA125は、最も研究されている卵巣がんの早期発見マーカーである。しかしながら、CA125の感度は、限られており、上皮性卵巣がんの20%は、有意なレベルのCA125を発現しない。CA125又は経膣超音波検査(TVS)は、いずれも単独では早期発見に十分な感度又は特異度がない。CA125の上昇により、スクリーニングされた女性の限られた割合でTVSを促す二段階ストラテジーは、十分な特異度を達成することができるが、CA125の感度は、限定的である。したがって、CA125の性能を補完する、初期段階の疾患を検出するための追加のマーカーが必要である。
卵巣がん及びトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、MYCコピー数増幅を含む共通のゲノム機能を共有する。MYCは、卵巣がんの病態形成における発がん駆動機構である。トリプルネガティブ乳がんにおけるMYCによるポリアミン代謝酵素(PME)転写の調節及び血漿ポリアミンシグネチャの存在は、TNBCの発生及び進行に関連することが実証されている。卵巣がんに関連する血漿ポリアミンシグネチャ及びCA125単独と比較して分類性能を向上させるための、CA125と組み合わせたポリアミンの使用が本明細書で実証される。
本開示は、卵巣がんを検出及び診断するための方法及びキットを提供する。方法及びキットは、対象から得られた生物学的サンプル中に含有されるバイオマーカーの複数のアッセイを使用する。少なくとも3つのバイオマーカーDAS、N3AP及びCA125を組み合わせて解析することで、卵巣がんの高精度な検出が提供される。
対象から得られた生物学的サンプル中に認められたDAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルに基づいて、対象の卵巣がんを検出し得る回帰モデルが同定された。
したがって、対象からのサンプル中のDAS、N3AP及びCA125のレベルを測定することを含む、対象における卵巣がんを検出する方法が本明細書で提供される。
対象からのサンプル中のDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルを測定することを含む、対象における卵巣がんを検出する方法も提供される。
DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが、対象を卵巣がんのリスクがあると分類する、対象における卵巣がんを治療又は予防する方法も提供される。
サンプル中のDAS、N3AP及びCA125を測定するか、又はサンプル中のDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルを測定するための材料を含む、対象からのサンプル中の卵巣がんの指標の存在を判定し、対象における卵巣がんのリスクを判定し、且つ対象における卵巣がんのリスクを判定及び/又は定量化するための対応するキットも提供される。
MYCによる卵巣がんにおけるポリアミン代謝の調節を描写する。TCGA-卵巣がんデータセットにおける、(i)正常卵巣組織(n=8)、及び(ii)卵巣漿液性がん(n=586)のポリアミン代謝酵素の遺伝子発現:(a)オルニチンデカルボキシラーゼ1(ODC1)(P=0.04)、(b)スペルミンシンターゼ(SMS)(P<0.0001)、及び(c)ポリアミンオキシダーゼ(PAOX)(P=0.01)。縦軸=対数中央値中心。統計的有意性は、片側ウィルコクソン順位和検定によって判定された。 MYCによる卵巣がんにおけるポリアミン代謝を描写する。(a)漿液性がん細胞株SKOv3における、MYCのsiRNA媒介性ノックダウンに続く、MYC(P<0.001)、ODC1(P<0.001)、SRM(P<0.001)及びSMS(P<0.001)の相対倍数変化(2-Δ/ΔCT)。(i)siCtrl、(ii)siMYC-1、(iii)siMYC-3。統計的有意性は、siCtrlと比較して両側スチューデントt検定によって判定された。(b)MYCのsiRNA媒介性ノックダウンに続く、SKOv3の馴化培地中のDAS(P=0.04)のレベル(面積単位±標準偏差)。縦軸=面積単位±標準偏差。統計的有意性は、両側スチューデントt検定によって判定された。 試験セット#1に対する個々の血漿ポリアミン(i)DAS、(ii)AcSpmd、(iii)N3AP、(iv)DiAcSpmdの分類性能を描写する。全症例(n=116)を、(a)全対照(n=143)、(b)良性骨盤腫瘤患者(n=72)、及び(c)健常対照(n=71)から線引きするためのDASの曲線下面積(AUC)。横軸=特異度(%);縦軸=感度(%)。 試験セット#1に対する、組織学によって層別化された症例及び対照におけるポリアミンの血漿レベルを描写する。(a)DAS、(b)DiAcSpmd、(c)AcSpmd、(d)N3AP。(i)漿液性(n=91)、(ii)類内膜(n=12)、(iii)粘液性(n=4)、(iv)明細胞がん(n=8)、(v)その他(n=1)、(vi)良性卵巣嚢胞(n=72)、(vii)健常対照(n=71)。縦軸=標準化値。 試験セット#1に対する3マーカーパネル及びCA125の分類性能を描写する。(a)(i)DAS+N3AP+CA125からなる3マーカーパネル、及び(ii)CA125単独の曲線下面積。横軸=特異度(%);縦軸=感度(%)。(b)(i)卵巣がん症例、(ii)良性疾患を有する対照、(iii)健常対照について、3マーカーパネルスコア(縦軸)及び対数10CA125値(横軸)の分布を例示する散布図。破線は、99%の特異度カットオフを表す。 検証セット#2に対する血漿ポリアミン(i)DAS、(ii)AcSpmd、(iii)N3AP、(iv)DiAcSpmdの分類性能を描写する。全症例(n=61)を健常対照(n=71)から線引きするための個々のポリアミン曲線下面積(AUC)。(b)(i)卵巣がん症例(ii)健常対照について、3マーカーパネルスコア(縦軸)及び対数10CA125値(横軸)の分布を例示する散布図。破線は、99%を超える特異度カットオフを表す。 検証セット#2に対する、組織学によって層別化された症例及び対照におけるポリアミンの血漿レベルを描写する。(a)DAS、(b)DiAcSpmd、(c)AcSpmd、(d)N3AP。(i)漿液性(n=28)、(ii)類内膜(n=22)、(iii)粘液性(n=6)、(iv)明細胞がん(n=4)、(v)その他(n=1)、(vi)健常対照(n=71)。縦軸=標準化値。 (i)卵巣がん症例、及び(ii)健常対照について、検証セット#2に対するCA125「陰性」(35U/mL以下と定義される)対象における、3マーカーパネルスコア(縦軸)及びCA125値(横軸、U/mL)を描写する散布図を描写する。破線は、100%特異度カットオフを表す。 全てのOvCa症例(A)又は早期OvCa症例(B)を健常対照から区別するための、規定の3マーカーパネル(3MP)の予測性能を描写する。
本明細書で開示されるのは、卵巣がんの早期検出のための発がん性MYC駆動型血漿ポリアミンシグネチャである。重要なことに、このポリアミンシグネチャは、CA125と組み合わされて、分類子の性能をさらに向上させ得る。具体的には、初期試験セットから、早期卵巣がん症例及び対照対象を使用して開発されたDAS+N3AP+CA125からなる3マーカーパネルである。次に、61例の新たに診断された早期卵巣がん症例及び71人の健常対照(検査コホート#2)からなる独立した一連の血漿サンプルを使用して、規定の3マーカーパネルが試験され、その結果は、CA125単独では見逃された症例の30%を捕捉することにより、CA125単独よりも顕著な改善を示した。したがって、卵巣がんに関連するMYC駆動の血漿ポリアミンシグネチャが同定され、それは、早期卵巣がんの検出においてCA125を補完した。さらに、219例の新たに診断された卵巣がん症例(59例のステージI+II及び160例のステージIII+IV)、良性骨盤腫瘤(BPM)を有する190人の個人及び409人の健常対照からなる独立したデータセットの固定係数を使用して、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdを含む5つのマーカーのパネル並びに本明細書に記載の3マーカーパネルが、その予測性能について試験された。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、対象から採取された血液サンプル中で測定される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプル中のバイオマーカーの有無又は量が判定され得る。いくつかの実施形態では、生物学的サンプル中のバイオマーカーのレベルが定量化され得る。
別の実施形態では、測定された濃度を使用して、表12に記載のカットオフでの感度及び特異度の値に基づいてバイオマーカースコアが計算される。別の実施形態では、このような方法は、DAS+N3AP+CA125の量を、表12に例示されるようなカットオフ値と比較することをさらに含む。別の実施形態では、このような方法は、DAS+N3AP+CA125+AcSpmd+DiAcSpmdの量を、表14に例示されるようなカットオフ値と比較することをさらに含む。別の実施形態では、カットオフ値は、少なくとも0.89(95%CI:0.82~0.95)のAUC(95%CI)を含む。別の実施形態では、カットオフ値は、約0.52~約0.95のAUC(95%CI)を含む。他の実施形態では、N3APのカットオフ値は、少なくとも0.62のAUC(95%CI)を含むか、又はAcSpmdのカットオフ値は、少なくとも0.75のAUC(95%CI)を含むか、又はDiAcSpmdのカットオフ値は、少なくとも0.73のAUC(95%CI)を含むか、又はDASのカットオフ値は、少なくとも0.92のAUC(95%CI)を含む。別の実施形態では、卵巣がんを有するとされる対象の分類は、それぞれ78%及び94%の特異度で、93%及び84%の感度を有する。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルを分析するために表面が提供される。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、この表面に非特異的に吸着する。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーに特異的な受容体がこの表面に組み込まれる。いくつかの実施形態では、表面は、例えばビーズなどの粒子と結合している。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、特定の受容体分子に結合し、バイオマーカー受容体複合体の有無又は量が判定され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカー受容体複合体の量が定量化され得る。いくつかの実施形態では、受容体分子は酵素に連結されて、検出及び定量化が促進される。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは特定のリレー分子に結合し、バイオマーカーとリレー分子の複合体は受容体分子に結合する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーとリレー受容体との複合体の有無又は量が判定され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーとリレー受容体との複合体の量が定量化され得る。いくつかの実施形態では、受容体分子は酵素に連結されて、検出及び定量化が促進される。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、個々のバイオマーカーについて順次分析される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、複数のバイオマーカーの同時分析を可能にするために別々の部分に分割される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、複数のバイオマーカーについて単一のプロセスで分析される。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーの有無は、目視検査によって判定され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの量は、分光技術の使用によって判定され得る。いくつかの実施形態では、分光技術は質量分析法である。いくつかの実施形態では、分光技術はUV/Vis分光法である。いくつかの実施形態では、分光技術は、蛍光分光法などの励起/発光技術である。いくつかの実施形態では、分光技術は質量分析法である。いくつかの実施形態では、分光技術はクロマトグラフィー技術と組み合わされる。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィー技術は液体クロマトグラフィーである。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィー技術は高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)である。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィー技術はガスクロマトグラフィー(「GC」)である。いくつかの実施形態では、組み合わされたクロマトグラフィー/分光技術は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析(「HPLC-MS」)である。いくつかの実施形態では、組み合わされたクロマトグラフィー/分光技術は、超高速液体クロマトグラフィー/質量分析(「UPLC-MS」)である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーDAS、N3AP及びCA125の解析又はバイオマーカーDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの解析は、追加のバイオマーカーの解析と組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、追加のバイオマーカーは、タンパク質バイオマーカーであり得る。いくつかの実施形態では、追加のバイオマーカーは、非タンパク質バイオマーカーであり得る。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルの分析のためのキットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、分析を行うために必要な化学物質及び試薬を含有し得る。いくつかの実施形態では、キットは生物学的サンプルを操作するための手段を含んで、必要な操作者の介入を最小限にする。いくつかの実施形態では、キットは、分析の結果をデジタルで記録し得る。いくつかの実施形態では、キットは、分析によって生成されたデータの必要な数学的処理を実行し得る。
別の態様では、本開示は、バイオマーカーパネル及びタンパク質マーカーパネルを利用して、対象における卵巣がんのリスクを判定する方法を提供し、バイオマーカーパネルは、DAS、N3AP及びCA125を含むか、又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdを含み、方法は、対象から得られた物学的サンプルに対して、生物学的サンプル中のバイオマーカー及びタンパク質バイオマーカーのレベルの測定を実施するステップを含み、バイオマーカー及びタンパク質バイオマーカーの量は、対象における卵巣がんのリスクを決定する。
別の態様では、本開示は、DASの検出のための第1の溶質を含む第1の試薬溶液、N3APの検出のための第2の溶質を含む第2の試薬溶液及びCA125の検出のための第3の溶質を含む第3の試薬溶液を含む、本明細書に記載の方法のためのキットを提供する。他の実施形態では、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの検出のための溶質を含む試薬溶液が提供される。
一実施形態では、このようなキットは、試薬溶液を生物学的サンプルと接触させるためのデバイスを含む。別の実施形態では、このようなキットは、少なくとも1つのバイオマーカーを結合するための手段を有する少なくとも1つの表面を含む。別の実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、DAS、N3AP及びCA125からなる群又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdからなる群から選択される。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の方法を用いて卵巣がんのリスクについて対象を解析するステップと、卵巣がんの治療に有効な量の治療を施すステップとを含む、卵巣がんのリスクがあると疑われる対象を治療する方法を提供する。一実施形態では、治療法は、手術、化学療法、放射線療法、標的療法又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、このような方法は、DAS、N3AP及びCA125からなる群又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdからなる群から選択されるバイオマーカーに選択的に結合する少なくとも1つの受容体分子を含む。別の実施形態では、DAS、N3AP及びCA125の量又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの量の検出は、固体粒子の使用を含む。別の実施形態では、固体粒子は、ビーズである。別の実施形態では、少なくともの1つレポーター分子は、酵素と連結する。別の実施形態では、タンパク質又は代謝産物マーカーの少なくとも1つは、検出可能なシグナルを生成する。別の実施形態では、検出可能なシグナルは、分光法によって検出可能である。別の実施形態では、分光法は、質量分析法である。別の実施形態では、このような方法は、卵巣がんのリスクがあるか、又は卵巣がんのリスクがないかの割り当てに患者病歴情報を含めることを含む。別の実施形態では、このような方法は、卵巣がんのリスクがあるとして割り当てられた患者に少なくとも1つの代替の診断試験を施すことを含む。
別の態様では、本開示は、卵巣がんを有する対象に化学療法薬を投与するステップと、卵巣がんを有する対象に治療用放射線を投与するステップと、卵巣がんを有する対象のがん組織の部分的又は完全な外科的除去のための手術との1つ又は複数のステップを含み、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが対象における卵巣がんのリスクを同定する、対象における卵巣がんを治療又は予防する方法を提供する。一実施形態では、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが上昇している。別の実施形態では、卵巣がんのリスクがない参照対象又はグループにおけるDAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルに対して、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが上昇している。別の実施形態では、参照対象又はグループは、健康である。
別の態様では、本開示は、卵巣がんを有する対象に化学療法薬を投与するステップと、卵巣がんを有する対象に治療用放射線を投与するステップと、卵巣がんを有する対象のがん組織の部分的又は完全な外科的除去のための手術との1つ又は複数のステップを含み、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが、対象が卵巣がんを有するか、又はそのリスクを有することを同定する、対象における卵巣がんを治療又は予防する方法を提供する。一実施形態では、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが上昇している。別の実施形態では、卵巣がんのリスクがない参照対象又はグループにおけるDAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルに対して、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが上昇している。別の実施形態では、参照対象又はグループは、健康である。別の実施形態では、対象は、卵巣がんのリスクが高い。
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される方法を用いて卵巣がんのリスクについて対象を分析するステップと、卵巣がんの治療に有効な量の治療法を施すステップとを含む、卵巣がんのリスクがあると疑われる対象を治療する方法を提供する。一実施形態では、治療法は、手術、化学療法、放射線療法、標的療法又はそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーの量は分光法を用いて判定される。いくつかの実施形態では、利用される分光法は紫外可視分光法である。いくつかの実施形態では、利用される分光法は質量分析法である。他の実施形態では、利用される分光法は、プロトンNMR分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)、相関分光法(COSy)、核オーバーハウザー効果分光法(NOESY)、回転フレーム核オーバーハウザー効果分光法(ROESY)、LC-TOF-MS、LC-MS/MS及びキャピラリー電気泳動法-質量分析法などを含むが、これらに限定されない核磁気共鳴(NMR)分光法である。
特定のアッセイで検出されたバイオマーカー又はバイオマーカー群の量は、オペレータに直接報告され得るか、又は代わりにデジタル形式で保存して数学的処理に用意に利用できるようにされ得る。数学的解析を実行するためのシステムが提供され得、卵巣がん陽性又は卵巣がん陰性としての分類が、オペレータにさらに報告され得る。
いくつかの実施形態では、当業者に知られている追加のアッセイが、本明細書の開示と共に機能し得る。他のアッセイとしては、質量分析法、免疫親和性LC-MS/MS、表面プラズモン共鳴、クロマトグラフィー、電気化学、音響波、免疫組織化学及びアレイ技術を利用するアッセイが挙げられるが、これに限定されない。
本明細書で考察される様々なシステム構成要素には、デジタルデータを処理するための1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ、短期又は長期のデジタルメモリ、デジタル化されたデータを提供するための入力アナログ-デジタル変換器、プロセッサによるデジタルデータの処理を指示するためにプロセッサが利用できるアプリケーションプログラム。対象又は操作者から情報を収集するための入力装置及び対象又は操作者に情報を提示するための出力装置の1つ又は複数が含まれ得る。
本明細書では、卵巣がん陽性と分類される対象の治療方法も提供される。卵巣がん陽性患者の治療法としては、手術、化学療法、放射線療法、標的化療法又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で詳述されるバイオマーカーの検出に関して、本開示は、本明細書で報告される特定の生体分子に限定されない。いくつかの実施形態では、タンパク質、抗体、核酸、アプタマー及び合成有機化合物に基づく生体分子を含むが、これらに限定されない、開示されたバイオマーカーの検出及び分析のために、他の生体分子が選択され得る。他の分子は、感度、効率、アッセイの速度、費用、安全性又は製造又は保管の容易さの観点から利点を示すこともある。この点において、当業者であれば、本明細書で開示されたバイオマーカーの予測力及び診断力が、これらのバイオマーカーのタンパク質形態だけでなく、バイオマーカーの他の表現物(例えば、核酸)の分析にも及ぶ場合があることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書で開示されるバイオマーカーの予測力及び診断力が、卵巣がんに関連する他のバイオマーカーの分析と組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、卵巣がんに関連する他のバイオマーカーは、タンパク質ベースのバイオマーカーであり得る。
本開示は、以下の実施形態をさらに記載する。
一態様では、本開示は、
- 対象が卵巣がんを保有するリスクを判定する方法、
- 対象の卵巣がんの素因を予測する方法、
- 対象の卵巣がんを診断する方法、
- 対象を、卵巣がんを保有している/保有するリスクがあると分類する方法、又は
- 対象における卵巣がんの進行の可能性を予測する方法、
- 卵巣がんを有する対象について予後を提供する方法、又は
- 抗がん療法による治療のために、卵巣がんを有する対象を選択する方法
を提供し、方法は、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、
a)ジアセチルスペルミン(DAS)、N-(3-アセトアミドプロピル)ピロリジン-2-オン(N3AP)及びがん抗原125(CA125)のレベルを測定するステップと、
b)前記サンプル中のDAS、N3AP及びCA125のレベルを、健常者に対応する参照値と比較するステップと
を含み、前記参照に対するDAS、N3AP及びCA125の量の変化は、
- 対象が卵巣がんを保有しているか若しくは保有するリスクがあるか、又は卵巣がんを保有していないか若しくは保有するリスクがないという指標、
- 対象が卵巣がんを発症するリスクがあるか、又は卵巣がんを発症するリスクがないという指標、
- 卵巣がんに対する対象の素因の指標、
- 対象における卵巣がんの進行の可能性の指標、
- 対象の無増悪生存期間の指標、
- 卵巣がんの治療の可能性のある結果の指標、及び
- 対象が抗がん療法による治療の候補であるという指標
からなる群から選択される指標を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、N3AP、AcSpmd及び/又はDiAcSpmdのレベルを測定するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルは、参照値に対して上昇している。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルは、卵巣がんのない対象から得られた生物学的サンプル中の対応するレベルに対して上昇している。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルは、1つ又は複数の良性骨盤腫瘤を有する対象から得られた生物学的サンプル中の対応するレベルに対して上昇している。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、対象の血液に由来する。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、血清である。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、漿液性及び非漿液性から選択される。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、漿液性である。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、非漿液性である。
いくつかの実施形態では、非漿液性卵巣がんは、類内膜、粘液性及び明細胞がんから選択される。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、早期である(例えば、ステージI)。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、進行している(例えば、ステージII)。
いくつかの実施形態では、卵巣がんは、上皮起源である。
いくつかの実施形態では、対象は、c-mycにおける増幅を有する。
いくつかの実施形態では、CA125の濃度は、免疫アッセイによって判定される。
いくつかの実施形態では、免疫アッセイは、抗CA125抗体又はその結合断片を使用する。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの少なくとも1つの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの少なくとも1つの濃度は、液体クロマトグラフィーを含む方法によって判定される。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、液体クロマトグラフィー及び質量分析法の両方を含む方法によって判定される。
いくつかの実施形態では、方法は、DASのみを評価する方法と比較して、所与の特異度で改善された感度を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、CA125のみを評価する方法と比較して、所与の特異度で改善された感度を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、約99%特異度で改善された感度を提供する。
いくつかの実施形態では、方法は、DAS又はCA125のみを評価する方法よりも多くの早期卵巣がんを正しく同定する。
別の態様では、本開示は、DAS、N3AP及びCA125を含む、卵巣がんの診断パネルを提供する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、0.82を超えるAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、約0.84のAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、卵巣がんを健常対照から区別するための約0.97のAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、早期卵巣がんを区別するための約0.95のAUC点推定値を有する。
別の態様では、本開示は、DAS、N3AP、AcSpmd、DiAcSpmd及びCA125を含む、卵巣がんの診断パネルを提供する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、0.82を超えるAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、約0.84のAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、卵巣がんを健常対照から区別するための約0.97のAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、診断パネルは、早期卵巣がんを区別するための約0.95のAUC点推定値を有する。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP、AcSpmd、DiAcSpmd及びCA125は、固定係数を使用して評価される。
いくつかの実施形態では、方法は、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの量を、約0.52~約0.95のAUC(95%CI)を含むカットオフ値と比較するステップをさらに含む。
いくつかの実施形態では、N3APのカットオフ値は、少なくとも0.62のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、AcSpmdのカットオフ値は、少なくとも0.75のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、DiAcSpmdのカットオフ値は、少なくとも0.73のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、DASのカットオフ値は、少なくとも0.92のAUC(95%CI)を含む。
別の態様では、本開示は、DAS、N3AP及びCA125のレベルが、卵巣がんのない対象のレベルに対応する参照値に対して上昇している対象において、卵巣がんの進行を治療又は予防する方法であって、
- 卵巣がんを有する対象に抗がん剤を投与するステップと、
- 卵巣がんを有する対象に治療用放射線を投与するステップと、
- 卵巣がんを有する対象のがん組織の部分的又は完全な外科的除去のための手術と
の1つ又は複数を含む方法を提供する。
別の態様では、本開示は、DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが、卵巣がんのない対象のレベルに対応する参照値に対して上昇している対象において、卵巣がんの進行を治療又は予防する方法であって、
- 卵巣がんを有する対象に抗がん剤を投与するステップと、
- 卵巣がんを有する対象に治療用放射線を投与するステップと
の1つ又は複数を含む方法を提供する。
上記は、詳細な説明がよりよく理解されるように、本開示の特徴及び技術的利益をかなり大まかに概説した。開示された特定の実施形態は、開示の同じ目的を実行するための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者によって理解されるべきである。特定の実施形態の変形形態がなされ得、添付の特許請求の範囲内に依然として含まれることから、本開示は、記載された特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。
略語及び定義
本明細書の用法では、以下の用語は示された意味を有する。
値の範囲が開示され、「n1~n2」又は「n1とn2との間」という表記が使用される場合、n1及びn2は、数値であり、特に明記されない限り、この表記は、数字自体とそれらの間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、終了値間及び終了値を含む積分又は連続であり得る。例として、「2~6個の炭素」の範囲は、炭素が整数単位であることから、2、3、4、5及び6個の炭素を含むことが意図される。例として、「1~3μM(マイクロモル濃度)」の範囲を比較すると、これは、1μM、3μM及びその間の全てから、任意の有効数字(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことが意図される。
「約」という用語は、本明細書の用法では、それが修飾する数値を限定することを意図し、このような値が誤差限界内で変動することを示す。データのチャート又は表で与えられる平均値に対する標準偏差などの特定の誤差限界が列挙されていない場合、「約」という用語は、有効数字を考慮に入れて、列挙された値を包含する範囲並びにその数値の切り上げ又は切り捨てによって含まれる範囲を意味するものと理解されるべきである。
本明細書における任意の定義は、複合構造基を記述するために任意の他の定義と組み合わせて使用され得る。慣例として、このような定義では、末尾の要素は、親部分に付着する。例えば、複合基アルキルアミドは、アミド基を介して親分子に結合したアルキル基を表し、アルコキシアルキルという用語は、アルキル基を介して親分子に結合したアルコキシ基を表す。
「卵巣がん」は、本明細書の用法では、卵巣で形成される細胞の悪性増殖を指す。卵巣がんは、最も一般的には上皮起源であり(卵巣がんの約90%)、漿液性及び非漿液性卵巣がんを含む様々なタイプに分類され得る。漿液性卵巣がんは、上皮細胞卵巣がんの中で最も一般的なタイプであり、全ての卵巣がんの約40%を占めている一方で、非漿液性卵巣がんには、類内膜がん、粘液性がん及び明細胞がんが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、卵巣がんは、ステージI~IVによって表される重症度が変動し得る。いくつかの実施形態では、卵巣がんは、早期である(例えば、ステージI)か又は進行していてもよい(例えば、ステージII、III又はIV)。
本明細書の用法では、「c-MYC」は、c-MYC発がん遺伝子を指し、その発現は、ヒトがんの最大70%まで上方制御されることが認められている。c-MYCは染色体8q24上にあり、がんにおいて頻繁に転座又は増幅される。したがって、いくつかの実施形態では、卵巣がんを有する対象は、c-MYC遺伝子に転座又は増幅を有し得る。他の実施形態では、卵巣がんを有する対象は、c-MYCに増幅を有する。
グループが「null」と定義されている場合、そのグループが存在しないことを意味する。
本明細書の用法では、「対象」又は「患者」という用語は、卵巣がん陽性又は卵巣がん陰性としての分類が望まれ、さらなる治療が提供され得る好ましくはヒトである哺乳類を指す。
本明細書の用法では、「参照患者」、「参照対象」又は「参照グループ」は、卵巣がんを有するか又は進行のリスクがあると疑われる患者又は対象からの試験サンプルが比較され得る、患者又は対象のグループを指す。いくつかの実施形態では、このような比較を使用して、試験対象が卵巣がんを有するかどうかを判定され得る。参照患者又はグループは、試験又は診断目的の対照としての役割を果たし得る。本明細書に記載されるように、参照患者又はグループは、単一の患者から得られたサンプルであり得るか、又はプールされたサンプル群などのサンプル群を表し得る。
本明細書の用法では、「健康な」とは、卵巣がんの証拠が認められない個人、すなわち卵巣がんを患っていない個人を指す。このような個人は、「卵巣がん陰性」又は健康な卵巣を有するか、又は正常で損なわれていない卵巣機能を有すると分類され得る。健康な患者又は対象には、卵巣がん又は他の卵巣疾患の症状はないが、良性骨盤腫瘤、すなわち腺腫と嚢胞の組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、健康な患者又は対象は、患者又は患者グループにおける卵巣がんの判定のために、病気のサンプル又は病気の疑いのあるサンプルと比較するために、参照患者として使用され得る。
本明細書の用法では、「治療」又は「治療すること」という用語は、対象又は患者が罹患している場合における、虚弱又は病気又は病状又は事象の発生又は再発の予防(防止)又は治癒、又はその程度又は可能性の軽減のいずれかのための、対象に対する薬の投与又は医療処置の実施を指す。本開示に関連して、本用語は、薬理学的物質又は製剤の投与又は放射線療法及び手術を含むが、これらに限定されない非薬理学的方法の実施も意味し得る。薬理学物質としては、本明細書の用法では、化学療法剤、ホルモン療法及び標的化療法を含む抗がん剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。卵巣がんに対する化学療法剤の例としては、パクリタキセル(例えば、アルブミンに結合したパクリタキセル又はnab-パクリタキセル、商品名Abraxane(登録商標))、アルトレタミン(Hexalen(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、エトポシド(VP-16)、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、イリノテカン(CPT-11、Camptosar(登録商標))、リポソーム性イリノテカン(Onivyde(登録商標))、リポソーム性ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、メルファラン、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、トポテカン及びビノレルビン(Navelbine(登録商標));並びにシスプラチン+パクリタキセル、TIP(パクリタキセル/タキソール、イホスファミド及びシスプラチン/プラチノール)、VeIP(ビンブラスチン、イホスファミド及びシスプラチン/プラチノール)、VIP(エトポシド/VP-16、イホスファミド及びシスプラチン/プラチノール)、VAC(ビンクリスチン、ダクチノマイシン及びシクロホスファミド)及びPEB(シスプラチン/プラチノール、エトポシド及びブレオマイシン)を含む化学療法の組み合わせレジメン;黄体形成-ホルモン-放出ホルモン(LHRH)作動薬(ゴセレリン(Zoladex(登録商標)及びロイプロリド(Lupron(登録商標)など)、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤(レトロゾール(Femara(登録商標)、アナストロゾール(Arimidex(登録商標)及びエキセメスタン(Aromasin(登録商標)など)を含むするホルモン治療法;及びベバシズマブ(Avastin)を含む血管新生阻害剤並びにオラパリブ(Lynparza)、ルカパリブ(Rubraca)及びニラパリブ(Zejula)などの(ポリ(ADP)-リボースポリメラーゼ)(PARP)阻害剤などの標的化療法が挙げられる。「薬理学的物質」及び「抗がん療法」という用語は、チェックポイント阻害剤などの免疫療法で使用される物質も含み得る。治療としては、多数の薬理学的物質又は手術及び化学療法を含むが、これらに限定されない多数の治療方法が挙げられ得る。
本明細書の用法では、「量」又は「レベル」は、本明細書に記載のバイオマーカーの典型的に定量化可能な測定値を指し、測定値は、サンプル間の及び/又は対照サンプルとのマーカーの比較を可能にする。いくつかの実施形態では、量又はレベルは定量可能であり、免疫アッセイ、(例えば、抗体)、質量分析又は液体クロマトグラフィーなどの検査的方法又は試験によって判定される、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、尿など)中の特定のマーカーのレベルを指す。いくつかの実施形態では、マーカーは、増加した量又は減少した量でサンプル中に存在し得る。マーカー比較は、本明細書に記載のバイオマーカーのレベルの直接測定(例えば、タンパク質定量化又は遺伝子発現解析による)に基づくか、又は例えばレポーター分子、バイオマーカー-受容体複合体、バイオマーカー-リレー-受容体複合体などの測定に基づき得る。
本明細書の用法では、「ELISA」という用語は、酵素結合免疫吸着アッセイを指す。このアッセイは、一般に、蛍光標識されたタンパク質のサンプルを、それらのタンパク質に対して特異的な親和性を有する抗体と接触させることを伴う。これらのタンパク質の検出は、レーザー蛍光測定法を含むが、これに限定されない様々な手段で達成され得る。
本明細書の用法では、「回帰」という用語は、サンプルの観察可能な形質(又は観察可能な形質のセット)に基づいて、サンプルの基本的な特性に予測値を割り当て得る統計的方法を指す。いくつかの実施形態では、特性は直接観察可能ではない。例えば、本明細書で使用される回帰法は、特定の対象に対する特定のバイオマーカー試験又はバイオマーカー試験セットの定性的又は定量的な結果を、前記対象が卵巣がん陽性である確率に関連付けられ得る。
本明細書の用法では、「ロジスティック回帰」という用語は、モデルからの予測の割り当てが、許容されるいくつかの離散値の1つを有し得る回帰法を指す。例えば、本明細書で使用されるロジスティック回帰モデルは、特定の対象について、卵巣がん陽性又は卵巣がん陰性のいずれかの予測を割り当て得る。
本明細書の用法では、「バイオマーカースコア」という用語は、特定の対象についての特定のバイオマーカーレベルを統計的方法に入力することによって計算される、特定の対象についての数値スコアを指す。
本明細書の用法では、「複合スコア」という用語は、対象からのサンプルで測定された所定のマーカーの正規化値の総和を指す。一実施形態では、正規化値がバイオマーカースコアとして報告され、次に、これらのバイオマーカースコア値が合計されて、試験された各対象の複合スコアが提供される。リスク分類表の文脈で使用され、リスク分類表の複合スコアの範囲に基づいて層別化されたグループに関連付けられた場合、「複合スコア」を用いて、試験された各対象の「リスクスコア」が判定され、層別化されたグループががんを有する可能性の増加を示す乗数が「リスクスコア」になる。
本明細書の用法では、「リスクスコア」という用語は、疾患コホートにおける卵巣がん進行の既知の有病率と比較して、無症候性ヒト対象の卵巣がんのリスクを示す単一の数値を指す。特定の実施形態では、複合スコアは、ヒト対象について計算され、卵巣がんのリスクを示す乗数に関連付けられ、複合スコアは、リスク分類表内の層別化されたグループ毎の複合スコアの範囲に基づいて関連付けられる。このようにして、複合スコアは、複合スコアに最もよく一致するグループ化について、がんを有する可能性の増加を示す乗数に基づいてリスクスコアに変換される。
本明細書の用法では、「カットオフ」又は「カットオフポイント」という用語は、対象のバイオマーカースコアに基づいて、卵巣がん陽性又は卵巣がん陰性の分類を対象に割り当てるために使用され得る、特定の統計的方法に関連する数学的値を指す。
本明細書の用法では、カットオフ値を超える又は下回る数値が「卵巣がんに特徴的である」場合、それは、サンプルの分析によってその値が得られた対象が卵巣がんを有するか又は卵巣がんのリスクがあることを意味する。
本明細書の用法では、卵巣がんを診断するためのマーカーの「使用」は、本明細書に記載の1つ又は複数のマーカーの生物学的サンプル中のレベル又は量の定量化を指す。定量化は、当技術分野における又は本明細書に記載された任意の既知の方法又は技術を用いて実行され得る。いくつかの実施形態では、他のサンプルとの統計的比較のためのパネルとして、マーカーが使用され又は組み合わされ得る。
いくつかの実施形態では、DAS、N3AP及びCA125の量又はレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの量又はレベルは、例えば、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、約0.60、約0.61、約0.62、約0.63、約0.64、約0.65、約0.66、約0.67、約0.68、約0.69、約0.70、約0.71、約0.72、約0.73、約0.74、約0.75、約0.76、約0.77、約0.78、約0.79、約0.80、約0.81、約0.82、約0.83、約0.84、約0.85、約0.86、約0.87、約0.88.約0.89、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、約0.52~約0.95のAUC(95%CI)を含むカットオフ値と比較される。いくつかの実施形態では、マーカーDAS、N3AP及びCA125をパネルとして一緒に使用するか、又はマーカーDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdをパネルとして一緒に使用することで、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などを含む、0.90以上のAUC(95%CI)を有し得る。
いくつかの実施形態では、固定係数を使用して、卵巣がんの診断のためのパネルとして、マーカーDAS、N3AP及びCA125を一緒に解析するか、又は固定係数を使用して、卵巣がんの診断のためのパネルとして、マーカーDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdを一緒に解析することで、卵巣がん症例を健常対照から区別するための例えば、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、約0.95~約0.99のAUC(95%CI)がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、固定係数を使用してこれらのマーカーパネルを解析することで、卵巣がん症例を健康な対照から区別するための0.97のAUC(95%CI)がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、固定係数を使用して、卵巣がんの診断のための本明細書に記載のマーカーパネルのいずれかを解析することで、早期卵巣がんを区別するための例えば、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、約0.91~約0.98のAUC(95%CI)がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、固定係数を使用してこれらのマーカーパネルを解析することで、早期卵巣がんを区別するための0.95のAUC(95%CI)がもたらされ得る。
いくつかの実施形態では、N3APのカットオフ値は、例えば、約0.62、約0.63、約0.64、約0.65、約0.66、約0.67、約0.68、約0.69、約0.70、約0.71、約0.72、約0.73、約0.74、約0.75、約0.76、約0.77、約0.78、約0.79、約0.80、約0.81、約0.82、約0.83、約0.84、約0.85、約0.86、約0.87、約0.88.約0.89、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、少なくとも0.62のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、AcSpmdのカットオフ値は、例えば、約0.75、約0.76、約0.77、約0.78、約0.79、約0.80、約0.81、約0.82、約0.83、約0.84、約0.85、約0.86、約0.87、約0.88.約0.89、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、少なくとも0.75のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、DiAcSpmdのカットオフ値は、例えば、約0.73、約0.74、約0.75、約0.76、約0.77、約0.78、約0.79、約0.80、約0.81、約0.82、約0.83、約0.84、約0.85、約0.86、約0.87、約0.88.約0.89、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、少なくとも0.73のAUC(95%CI)を含む。
いくつかの実施形態では、DASのカットオフ値は、例えば、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、少なくとも0.92のAUC(95%CI)を含む。
本明細書の用法では、「卵巣がんのリスク」がある対象とは、卵巣がんの明白な症状を依然として示していない場合があるが、対象が卵巣がんを有すること又は近い将来にそれを発症する可能性を示すバイオマーカーのレベルを産生している者である。卵巣がんを有するか又は卵巣がんを有する疑いのある対象は、がん又はがん疑いについて治療され得る。
本明細書の用法では、「分類」という用語は、対象について得られたバイオマーカースコアの結果に基づいて、卵巣がんのリスクがあるか、又は卵巣がんのリスクがないという対象の割り当てを指す。
本明細書の用法では、「ウィルコクソン順位和検定」という用語は、マン・ホイットニーU検定、マン・ホイットニー・ウィルコクソン検定又はウィルコクソン・マン・ホイットニー検定としても知られ、2つの母集団の比較のために使用される特定の統計的方法を指す。例えば、本明細書で検定を使用して、観察可能な形質、特にバイオマーカーレベルが、特定の集団の対象における卵巣がんの非存在又はリスクに関連付けられ得る。
本明細書の用法では「真陽性率」とは、特定の方法で陽性と分類された対象者が真に陽性である確率を指す。
本明細書の用法では「偽陽性率」とは、特定の方法で陽性と分類された対象者が真に陰性である確率を指す。
本明細書の用法では、「感度」という用語は、様々な生化学的アッセイの文脈において、疾患を有する人を正しく識別するアッセイの能力(すなわち真の陽性率)を指す。比較すると、本明細書の用法では、「特異性」という用語は、様々な生化学的アッセイの文脈において、疾患のない者を正しく識別するアッセイの能力(すなわち真陰性率)を指す。感度及び特異度は、バイナリ分類試験の性能(すなわち分類機能)の統計学的尺度である。感度は、偽陰性の回避を数値化したものであり、特異度は、偽陽性の回避を数値化したものである。
本明細書の用法では,「固定係数」又は「固定モデル係数」は、回帰モデルにおける各係数の相対的重要度の比較を可能にするために係数を標準化する統計的方法を指す。いくつかの実施形態では、固定係数は、ロジスティック回帰モデルから同じβ係数を使用して、開発された組み合わせルールの複合スコアを導き出し、最終的に判定閾値に基づく臨床判断に使用されることを伴う。
本明細書の用法では、「サンプル」は、本明細書に記載のバイオマーカーの存在及びそのレベル又は濃度について試験される試験物質を指す。サンプルは、血液、血清、血漿又はそれらの任意の部分を含むが、これらに限定されない、本開示に従った適切な任意の物質であり得る。
本明細書の用法では、「代謝産物」は、細胞代謝の中間体及び/又は生成物である小分子を指す。代謝産物は、例えば、酵素に対する構造的、シグナル伝達、刺激及び/又は阻害効果など、細胞内における様々な機能を果たし得る。いくつかの実施形態では、代謝産物は、例えば、AcSpmd、DiAcSpmd、DAS及びN3APを含むが、これらに限定されない、非タンパク質、血漿由来の代謝物マーカーであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の有用な代謝産物は、「ポリアミン」、すなわち2つ以上のアミノ基を有する有機化合物であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリアミンは、血漿ポリアミンである。いくつかの実施形態では、本パネル及び方法で有用なポリアミンとしては、DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリアミンは、本明細書に記載の卵巣がんの検出を向上させるために、例えば、CA125などの他のマーカーと組み合わされ得る
本明細書の用法では、「3マーカーパネル」又は「3MP」という用語は、卵巣がんを有すると疑われる患者における卵巣がんの検出に有用な、DAS、N3AP及びCA125を含む3つのバイオマーカーのパネルを指す。いくつかの実施形態では、3マーカーパネルは、血漿ポリアミンなどの追加のマーカーと組み合わせて評価され、卵巣がんを有すると疑われる患者からの生物学的サンプルにおける卵巣がんの検出が向上され得る。有用な血漿ポリアミンとしては、N3AP、AcSpmd、DiAcSpmd及び/又はDASが挙げられるが、これらに限定されない。追加のポリアミンは、当技術分野で知られており、臨床医によって適切と見なされる場合に組み入れられ得る。
本明細書の用法では、「ROC」という用語は、様々なカットオフポイントで特定の診断法の性能を測定するために、本明細書で使用されるグラフプロットである受信機動作特性を指す。ROCプロットは、様々なカットオフポイントにおける真陽性と偽陽性の割合から構築され得る。
本明細書の用法では、「AUC」という用語は、ROCプロットの曲線下面積を指す。AUCを使用して、特定の診断試験の予測力が推定され得る。一般に、AUCが大きいほど予測力が高くなり、予測エラーの頻度が低くなる。AUCの可能な値は0.5~1.0の範囲であり、後者の値はエラーのない予測方法の特徴である。
本明細書に記載されるように、マーカーDAS、N3AP及びCA125のレベルは、卵巣がんを診断するための診断パネルとして使用され得る。他の実施形態では、マーカーDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルは、卵巣がんを診断するための診断パネルとして使用され得る。いくつかの実施形態では、固定係数を使用して、これらのパネルの一方又は両方が評価され得る。いくつかの実施形態では、卵巣がんを診断するための、DAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルを解析することで、例えば、約0.82、約0.83、約0.84、約0.85、約0.86、約0.87、約0.88.約0.89、約0.90、約0.91、約0.92、約0.93、約0.94、約0.95、約0.96、約0.97、約0.98、約0.99などの、約0.82を超えるAUC点推定値を得ることができる。いくつかの実施形態では、卵巣がんを診断するためのDAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルを解析することで、約0.84のAUC点推定値を得ることができる。
いくつかの実施形態では、卵巣がんを診断するためのDAS、N3AP及びCA125のレベル又はDAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルを解析することで、卵巣がんを健常対照から区別するための約0.97のAUC点推定値を有し得る。いくつかの実施形態では、早期卵巣がん(例えば、ステージI)を区別するための約0.95のAUC点推定値を得ることができる。
本明細書の用法では、「p値」又は「p」という用語は、卵巣がん陽性及び卵巣がん陰性対象のバイオマーカースコアの分布が、ウィルコクソン順位和検定の文脈において同一である確率を指す。一般に、ゼロに近いp値は、特定の統計的方法が対象の分類において高い予測力を有することを示す。
本明細書の用法では、「CI」という用語は、信頼区間、すなわちその中で特定の値が特定のレベルの信頼性で存在すると予測され得る区間を指す。本明細書の用法では、「95%CI」という用語は、その中で特定の値が95%の信頼水準であると予測され得る間隔を指す。
本明細書の用法では、「疾患進行」又は「早期疾患進行」という用語は、積極的監視の開始後18ヶ月以内の監視生検におけるグリーソンスコアの上昇及び/又は腫瘍体積の増加として定義される。
略語の一覧
AcSpmd=アセチルスペルミジン;AS=積極的監視;AUC=曲線下面積;DAS=N1、N12-ジアセチルスペルミン;DiAcSpmd=N1,N8-ジアセチルスペルミジン;FBS=ウシ胎仔血清;HILIC=親水性相互作用液体クロマトグラフィー;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;N3AP=N-(3-アセトアミドプロピル)ピロリジン-2-オン;ODC1=オルニチンデカルボキシラーゼ;PAOX=ポリアミンオキシダーゼ;ROC=受信者動作特性;SEM=平均標準誤差:SFM=無血清培地;SMS=スペルミンシンターゼ;SRM=スペルミジンシンターゼ;TCGA=The Cancer Genome Atlas;UPLC=超高速液体クロマトグラフィー;UPLC/MS=超高速液体クロマトグラフィー/質量分析法。
以下の実施例は、本開示の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例は、例証として、また当業者が本開示を使用することを促進するためにのみ提示される。実施例は、いかなる意味においても開示の範囲を限定することを意図していない。当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更が可能であり、依然として本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、同様の又は類似した結果が得られることを理解すべきである。
手順1:代謝産物。
手順2:ヒトコホート
血漿サンプルは、MD Anderson Gynecologic Cancer Bank及びNormal Risk Ovarian Cancer Screening Study(NROSS)から採取した。MD Anderson及び協力機関の適切な機関審査委員会/倫理委員会から、これらの研究に対する倫理的承認を得た。全ての参加者は、倫理的に承認された二次研究でのサンプルの使用に同意していた。健常対照からの血漿は、卵巣がんを発症しなかったNROSS研究からのものであった。過去20年間にわたり、NROSS治験には、卵巣がんの発症リスクが平均的な50歳を超える閉経後の女性6379人が参加し、毎年CA125を測定して追跡調査され、卵巣がんリスクアルゴリズム(ROCA)によって判定されて、各個人のベースラインからCA125値が上昇した場合、経膣超音波検査と婦人科評価に紹介されている。全ての健常対照は、がんのない状態を確実にするために最低7年間追跡した。
試験セット#1(表1)は、41例の早期(I-II)症例、75例の後期(III-IV)症例、71人の健常対照、72人の良性骨盤腫瘤患者で構成された。
検証セット#2(表2)は、61例の早期症例及び71人の健常対照で構成された。
手順3:メタボロミクス解析
血漿代謝産物は、96ウェルマイクロプレート(Eppendorf)内で30μLのLCMS等級メタノール(ThermoFisher)を用いて、事前に分注したEDTA血漿(10μL)から抽出した。プレートをヒートシールし,750rpmで5分間ボルテックスし,2000×gで10分間,室温で遠心分離した。沈殿したタンパク質を残して、上清(10μL)を96ウェルプレートに注意深く移した。上清を10μLの100mMギ酸アンモニウム、pH3でさらに希釈した。HILIC分析では、サンプルを60μLのLCMS等級アセトニトリル(ThermoFisher)で希釈した一方、C18分析のためのサンプルは60μLの水(GenPure超純水システム、Thermofisher)で希釈した。LCMS分析のために、各サンプル溶液を384ウェルマイクロプレート(Eppendorf)に移した。
凍結培地サンプルを氷上で解凍し、30μlを、30μLの100mMギ酸アンモニウム、pH3.0を含有する96ウェルマイクロプレート(Eppendorf)に移した。マイクロプレートをヒートシールし、750rpmで5分間ボルテックスし、2000×gで10分間、室温で遠心分離した。HILIC分析では、25μLのサンプルを、75μLのアセトニトリルを含有する新しい96ウェルマイクロプレートに移した一方、C18分析のためのサンプルは、75μLの水(GenPure超純水システム、Thermofisher)を含有する新しい96ウェルマイクロプレートに移した。LCMS分析のために、各サンプル溶液を384ウェルマイクロプレート(Eppendorf)に移した。
バッチ毎にサンプルを無作為化し、マトリックスが一致した参照品質管理と、バッチ固有のプールされた品質管理を組み入れた。
血漿ポリアミンの半定量的測定は、Xevo G2-XS四重極飛行時間型(qTOF)質量分析計に接続された2Dカラム再生(Iクラス及びHクラス)を備えたWaters Acquity(商標)UPLCシステム上で実施した。クロマトグラフ分離は、45°CでHILIC(Acquity(商標)UPLCBEHアミド、100Å、1.7μm2.1×100mm)及びC18(Acquity(商標)UPLC HSS T3、100Å、1.8μm、2.1×100mm)カラムを使用して実施した。質量分析データは、感度、正及び負のエレクトロスプレーイオン化モードで取得した。機器の自動ゲイン制御を使用して、サンプル取得中の感度を最適化し、データ処理は、既述の通り行った(Fahrmann 2018;Fahrmann 2019)。
手順4:CA125レベルの測定
CA125抗原の濃度を測定するための自動免疫アッセイキットは、Roche Diagnostics USA(Indianapolis,Indiana)から購入した。
手順5:細胞培養及び形質移入
SKOv3漿液性がん細胞株は、10%FBSを添加したRPMI培地中で維持した。この株の同一性は、Promega PowerPlex 1.2キットを使用して、mRNA及び全タンパク質溶解物調製時の短いタンデム反復によるDNAフィンガープリント法によって確認した。フィンガープリント法の結果は、一次情報源によって維持されている参照フィンガープリントに対して検証した。
低分子干渉RNA(siRNA)形質移入実験は、以下のsiRNA(ThermoFisher)を使用して実施した:siControl(Silencer Select Negative Control#1)、siMYC#1及び#3(Sigma Aldrich Hs01_00222676及びHs01_00222678)。製造業者の指示書に従ってリポフェクタミンRNAiMAXを使用し、最終濃度20nMのsiRNAで細胞を形質移入した。形質移入の48時間後、RT-qPCR及びメタボロミクスプロファイリングのために、細胞溶解物及び馴化培地をそれぞれ収集した。
手順6:RT-qPCR解析
製造業者のプロトコルに従ってRNeasy Extraction Kit(Qiagen)を使用し、RNAを抽出した。0.8μLの100mM dNTPを添加した10μLのRNA(100ng)、1μLの10×multiscribe逆転写酵素、1μLの10×反応緩衝液、2μLのランダムプライマー、1μLのRNase阻害剤及び3.2μLの超純水(全ての試薬はApplied Biosciences製)を組み合わせて、相補的DNAサンプルを調製した。Eppendorfサーマルサイクラーを使用してPCR cDNA調製を行った。循環条件は、25℃/10分、37℃/120分、85℃/5分、その後4℃に戻した。汎用TaqMan PCRマスターミックス(ThermoFisher)及びMYC用のFAM(商標)標識プローブ(Hs00153408_m1)、ODC1(Hs00159739_m1)、SRM(Hs01027696_g1)及びSMS(Hs019224834_u1)及びGUSB用のVIC(商標)標識プローブ(Hs_00939627_m1)を使用して、TaqMan PCRを実施した。PCR反応は、BioRad CFX Connect RTシステムを使用して実施した。循環条件は、50℃/2分、95℃/10分、その後95℃/15秒から60℃/1分までの40サイクルであった。各サンプルは二連で試験した。各遺伝子のCt値を計算し、GUSBのCT値に正規化した(ΔCT)。次に、対照のΔCT値に対して正規化することにより、ΔΔCT値を計算した。
手順7:遺伝子発現データ
The Cancer Genome Atlas(TCGA)卵巣がんデータセットからの586の漿液性がん及び8の正常卵巣組織における、ポリアミン代謝酵素(PME)オルニチンデカルボキシラーゼ1(ODC1)、アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ1(AMD1)、オルニチンデカルボキシラーゼアンチザイム1(OAZ1)、スペルミジンシンターゼ(SRM)、スペルミンシンターゼ(SMS)、スペルミンオキシダーゼ(SMOX)、ポリアミンオキシダーゼ(PAOX)及びスペルミジン/スペルミンN1-アセチルトランスフェラーゼ1(SAT1)の遺伝子発現は、Oncomine database[12](https://www.oncomine.org/resource/login.html)からダウンロードした。遺伝子発現は、Affymetrix Human Genome U133Aアレイを使用して誘導され、値は、log2中央値中心であった。
手順8:統計解析
3つ以上のグループとの比較のために、クラスカル・ウォリス検定を用いて単変量分析を実施し、ダンの多重比較検定を用いてグループ固有の違いを判定し、調整されたp値を報告した。2クラスの比較では、ウィルコクソン順位和検定を用いて統計的有意性を判定した。統計的有意性は、p値<0.05で判定した。受信者動作特性曲線は、Rを使用して生成した。各バイオマーカーの個々の性能について提示された95%信頼区間は、ブートストラップ手順に基づき、置換を伴う再サンプリングは、対照及び疾患の1000のブートストラップサンプルに対して別々に行った。CA125と他の4つのポリアミンの間でマーカーの最適な組み合わせを特定するために、ラッソ回帰を実装した。分類性能の測定としてAUCを有するトレーニングデータセット上の10倍の交差検証を組み込んで、最適な調整パラメーターを見いだした(λ)。このパラメーターにより、バイオマーカーの最良の組み合わせとしてCA125、DAS及びN3APがもたらされ、その後、CA125、DAS及びN3APを使用したバイオマーカーパネルが、ロジスティック回帰モデルを使用して誘導された。モデル構築は、ロジスティック回帰モデルに基づいた。提案された代謝物パネルの推定AUCは、前述のモデルに対応する一次結合の経験的ROC推定量を使用して導出した。マクネマーの直接確率検定を用いて、所与の特異度における2つの異なるモデルの性能を比較した。全ての統計学的検定は、特に明記されない限り両側である。
混同行列を利用して、99%の特異度カットオフで3マーカーパネル又はCA125単独の分類モデルを記述した。マトリックスの行は予測されたクラス(症例又は対照)を表示する一方、列は実際のクラス(症例又は対照)を表す。3マーカーパネルがCA125よりも統計的に有意な分類子の改善をもたらすかどうかを試験するために、マクネマー直接確率検定を2×2分割表に適用し、表中、最初のセルは、両方のマーカーが正しく予測する患者の数を表し(a)、第2のセルは、CA125によって正しく同定されたが、3マーカーパネルによって誤分類された患者の数を表し(b)、第3のセルは、CA125によって誤分類されたが、3マーカーパネルによって正しく同定された患者の数を表し(c)最後のセルは、両方のマーカーによって誤分類された患者の数を表す(d)。したがって、帰無仮説と対立仮説は、以下のようになる。
:P=P
:P<P
ここで、Pは、細胞iにおける発生確率を示す。正確な二項検定を用いてp値を達成した。
実施例1.卵巣がんにおけるMYCとポリアミン代謝との関連性。
MYCが卵巣がんの文脈でポリアミン代謝を調節するという証拠を提供するために、TCGA-卵巣がんトランスクリプトームデータセットを使用して、卵巣漿液性がん及び正常卵巣組織におけるポリアミン代謝酵素(PME)の遺伝子発現を評価した。PMEのうち、オルニチンデカルボキシラーゼ1(ODC1)、ポリアミン代謝の律速酵素及びスペルミンシンターゼ(SMS)の遺伝子発現レベルは、正常な卵巣組織と比較して、卵巣漿液性がんで統計的に有意に上昇した(それぞれ片側ウィルコクソン順位和検定p:0.04、<0.0001)一方で、アセチル化ポリアミンの酸化を触媒するポリアミンオキシダーゼ(PAOX)は、統計的に有意に低下した(片側ウィルコクソン順位和検定p:0.01)(図1)。これらの所見は、卵巣がんにおけるポリアミン代謝の上昇を暗示する。
次に、漿液性がん細胞株SKOv3においてMYCのsiRNA媒介性ノックダウンを行い、ODC1、SRM及びSMSの遺伝子発現を評価した。以前の知見(Fahrmann 2019)と一致して、MYCのsiRNAを介したノックダウンは、ODC1、SRM及びSMSのmRNAレベルを統計的に有意に低下させた(それぞれ片側スチューデントt検定p<0.001、<0.001、<0.001)(図2(a))。さらに、ジアセチルスペルミン(DAS)のレベルは、MYCのsiRNA媒介性ノックダウンに続くSKOv3卵巣がん細胞の馴化培地中で統計的に有意に減少した(両側スチューデントt検定p:0.04)(図2(b))。これらの所見は、MYCが卵巣がんにおけるポリアミン代謝を調節するという仮説を立証する。
実施例2.卵巣がん患者の血漿中のポリアミンレベルとモデル開発。
ポリアミンシグネチャが卵巣がんと関連するかどうかを判定するために、試験セット#1(表1)からの血漿中のポリアミンレベルをUPLC/MSを使用してスクリーニングした。いくつかのポリアミンを定量化した(表3)。
卵巣がんを全対照から区別するための個々のポリアミンのAUCは、0.61~0.83の範囲であった(表4(a)(i))。測定されたポリアミンのうち、DASは、卵巣がん症例を、良性骨盤腫瘤を有する患者(AUC:0.78、表4(a)(ii);図3(b))又は健常対照(AUC:0.88、表4(a)(iii)、図3(c))から区別するための最高の分類性能を示した
全ての漿液性症例を、全対照又は良性骨盤腫瘤を有する対照又は健常対照から区別するためのDASのAUCは、それぞれ0.85、0.80及び0.90であった(表5(a)(i)(ii)(iii))。初期段階の漿液性症例のみを考慮すると、DASは、全対照、良性骨盤腫瘤を有する対照又は健常対照と比較して、それぞれ0.76、0.70及び0.81のAUCをもたらした(表5(b)(i)(ii)(iii))。
非漿液性卵巣がん症例を、全対照又は良性骨盤腫瘤を有する対照又は健常対照から区別するためのDASのAUCは、それぞれ0.77、0.71及び0.83であった(表6(i)(ii)(iii);図4)。
実施例3.3マーカーパネルの評価。
次に、ロジスティック回帰モデルを用いて、早期卵巣がん症例を対照(健常者+良性骨盤腫瘤を有する対象)から区別する際の、CA125単独と比較したポリアミン+CA125の組み合わせの相対性能を評価した。変数選択法を用いたロジスティック回帰(交差検証の損失関数としてAUCを用いたラッソL1ペナルティ)では、CA125の0.81(95%C.I.:0.73~0.89)のAUC点推定値と比較して、血漿DAS+N3AP+CA125の組み合わせが、0.84(95%C.I.:0.77~0.92)のAUC点推定値で、最も良好なパネルとして同定された(図5(a))。
したがって、特異度99%、98.5%、97%に対応する3マーカーパネル(DAS+N3AP+CA125)の感度を、CA125単独と比較して評価した(表7)。CA125単独と比較して、3マーカーパネルは、99%及び98.5%の特異度で、統計的に有意に改善された感度をもたらした。
3マーカーパネル及びCA125単独に対応する分類モデルの性能を99%の特異度で記述する混同行列は、3マーカーパネルが、41の早期卵巣がん症例のうちの19例を正しく同定した(感度46.3%)一方で、CA125単独では、41の早期卵巣がん症例のうちの10例を正確に同定した(感度24.3%)ことを示す(片側マクネマー直接確率検定:0.006)(表8;図5(b))。
実施例4.早期卵巣がん患者の独立コホートにおけるモデル検証
個々のポリアミン代謝物及びDAS+N3AP+CA125からなる固定3マーカーパネルのさらなる検証を、検証セット#2で行った(表2)。個々のポリアミン代謝産物のAUCは0.57~0.84の範囲であり、血漿DASのAUC点が最も高かった(表9(a);図6(a))。漿液性症例(n=28)及び非漿液性症例(n=33)を健常対照から区別する際の血漿DASの分類性能は、それぞれ0.84及び0.84であった(表9(b)(c);図7)。
検証セット#2の対応する>99%、98.5%及び97%の特異度で、試験セット#1から導出された固定共分散係数を使用した3マーカーパネルの感度は、それぞれ73.7、78.6及び83.6であった(表10)。CA125単独と比較して、3マーカーパネルは、>99%の特異度で、統計的に有意に改善された感度をもたらした。
3マーカーパネル及びCA125単独に対応する分類モデルの性能を>99%の特異度で記述する混同行列は、3マーカーパネルが、61の早期卵巣がん症例のうちの45例を正しく同定した一方で、CA125単独では61の早期卵巣がん症例のうちの38例を正しく同定したことを示し、これは、CA125単独では見逃された症例の30.4%を捕捉することに相当する(表11;図6(b))。
35U/mLのCA125カットオフ値は、「正常」の上限と見なされる。検証セット#2では、35U/mLのカットオフ値が61の症例中53例を捕捉し(感度86.9%)、偽陽性は2例であった(特異度97.2%)。CA125について「陰性」(≦35U/mLと定義される)の症例を考察すると、固定3マーカーパネルは、追加の偽陽性なしで8の早期症例(感度25.0%)のうちの追加の2例を同定する(図8)。特に、3マーカーパネルによって同定されたこれらの2つの追加の症例は、ステージIの高悪性度漿液性がんであった。
実施例5:回帰モデル診断スコアの範囲における特異度と感度
一例では、本明細書で開示される3バイオマーカーパネルに基づいて卵巣がんのスクリーニングを受けている患者は、血液サンプル(又は他の体液又は組織生検)が採取されて、ELISA(又は他のアッセイ)でアッセイされており、患者のDAS、N3AP及びCA125のレベルが定量化されている。使用した特定のアッセイを考慮した少なくともこれらのバイオマーカーの正規化値は、例えば、DAS=5.57ng/mL、N3AP=1.35、CA125=86.7であり得る。DAS及びN3APでは、半定量的な値は、特定の分析対物について全ての分析バッチで実行された過去の品質管理参照サンプルの中央値に対する比率として報告される。CA125では、生の値はlog10に変換される。次の回帰モデルを用いて解析した場合、
logit(p)=-7.0619+1.8065×logCA125+2.3582×DAS+0.5139×N3AP
上記の患者は、10.27の合計スコアを有する。特異度感度の両方を考慮するための好ましいカットオフを考慮すると(表12)、このような合計スコアを有する患者は、ほぼ確実に卵巣がんを患っており、その結果、本明細書で考察され、当業者に知られている他の様式を用いて、卵巣がんの追跡調査試験及び治療を指示される。本明細書に記載の回帰モデルを用いることで、卵巣がん予測スコアの合計が正であるほど、患者が卵巣がんを有する確実性が高くなる。逆に、卵巣がん予測スコアの合計が負であるほど、患者が卵巣がんにかかっていないという確実性が高くなる。
異なる試薬の使用を含み得るバイオマーカーの検出、定量化及び解析の異なる方法又はアッセイは、回帰モデルの修正を必要とし得る異なる結果をもたらすことを当業者は理解するであろう。特に、異なるアッセイは、例えば異なる単位で表される結果を生成し得る。さらに、同じサンプルの重複アッセイでの重複反応も異なる生の結果を生成し得る。しかしながら、本明細書で開示されるように回帰モデルに組み込まれると、卵巣がんの確定診断をもたらすのは、少なくとも3つのバイオマーカー、DAS、N3AP及びCA125の検出、定量化及び解析の組み合わせである。
4つのバイオマーカーの検出、定量化及び解析に使用される特定のアッセイ毎に報告される結果の範囲は、結果として得られる卵巣がん予測スコアにおいて範囲を有し、それは感度又は特異度の程度にある程度依存する。卵巣がん予測スコアを生成するために用いられる回帰モデルは、マーカーを試験するために利用される特定のアッセイに依存し得る。当業者によって理解されるように、異なるアッセイは、4つのバイオマーカーの異なるエピトープを標的化し得るか、又は異なる親和性及び感度を有し得る。そのため、卵巣がん予測スコアを生成するために用いられる回帰モデルアルゴリズムを修正して、これらのアッセイのバリエーションを考慮し得る。
測定された濃度を使用して、ロジスティック回帰モデルに基づいてバイオマーカースコアを計算する。表12は、試験セット#2(検証セット)における、早期OvCa症例を健常対照から区別するためのバイオマーカーパネルベース(N3AP、DAS及びCA125)スコアの異なるカットオフ点における感度、特異度及び対応するユーデン指数を示す。
考察
ポリアミンは、2つの独立した症例対照コホートを使用して、卵巣がん症例の血漿中で対照と比較して統計的に有意に上昇する。測定されたポリアミンのうち、DASは、症例を、良性骨盤腫瘤を呈する対象又は健常対照から区別するための最高のAUCを示した。重要なことに、DAS+N3AP+CA125からなる3マーカーパネルは、CA125単独と比較して分類性能の向上をもたらし、その結果、検証セット#2においてCA125単独では見逃された早期症例が捕捉された。
以前の研究では、尿中のポリアミンレベルが調べられており、一つの研究では、卵巣がんを有する対象の間で尿ポリアミンが上昇していることが認められた。この所見と同様に、DASは、卵巣がん症例を、良性疾患を有する個人から線引きするための最良の分類性能を示し、疾患進行と関連することが認められた(Niemi 2017)。
ポリアミン生合成は、オルニチンの脱炭酸を媒介してプトレシンを生成するポリアミン経路の最初の酵素であるODC1と、S-アデノシルメチオニンを脱炭酸してスペルミジン及びスペルミンへの変換のためのアミノプロピル供与体を提供するアデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(AMD1)とによって調節される。スペルミジン及びスペルミンの生成は、SRM及びSMSを介した2つの連続したアミノプロピル転移反応によって媒介される。細胞内ポリアミンレベルは、酵素であるスペルミジン/スペルミンN1-アセチルトランスフェラーゼ(SAT1)によって調節され、これは、細胞流出を媒介するスペルミジン/スペルミンのアセチル化及びオキシダーゼであるポリアミンオキシダーゼ(PAOX)及びスペルミンオキシダーゼ(SMOX)を促進する。TCGA卵巣がんデータセットからのトランスクリプトームデータの解析は、ODC1及びSMSが正常卵巣組織と比較して卵巣漿液性がんで統計的に有意に上昇している一方で、PAOXが統計的に有意に減少していることを実証し、ポリアミン代謝が卵巣がんで上昇しているこが示唆される。ポリアミン代謝の上昇は、DASを含むアセチル化ポリアミンの生合成の増加、引き続く乳がん細胞株の馴化培地中のそれらの蓄積において顕在化する。
ODC1、SRM及びSMSは、MYCによって転写制御される。MYCのsiRNA媒介性ノックダウンが、漿液性卵巣がん細胞株SKOv3における、ODC1、SRM及びSMSのmRNAレベルの統計的に有意な低下をもたらしたという観察と一致して、それにより本開示の血漿ポリアミンシグネチャが発がん性MYCに結び付けられる。
結論として、卵巣がんの早期病態形成を反映するMYC駆動型ポリアミンシグネチャが同定された。がん検出ストラテジーの開発に大きい関心が寄せられていること、CA125の性能が限られていることを考慮すると、CA125を補完する早期卵巣がんのポリアミンシグネチャの検証は、がん検出のための異常なポリアミン代謝の有用性を裏付ける証拠を提供する。これらの所見は、他のバイオマーカー候補を包含する検証研究に、3マーカーパネルを含めるための基礎を提供する。
実施例6:固定係数を使用したポリアミンと3マーカーパネルの予測性能
現在、卵巣がん(OvCa)を有する患者の70%以上が進行期(III~IV)の疾患を呈しており、5年生存率は30%未満と散々たるものである。しかしながら、疾患が卵巣(ステージI)又は骨盤(ステージII)に限局している場合、従来の手術と化学療法で最大70~90%の生存率が達成される。現在までのところ、CA125も経膣超音波検査(TVS)も単独では、早期発見のために一般的に使用するには十分な感度や特異度を有していない。CA125の性能欠点を補うような、早期卵巣がんを検出するための追加のマーカーが必要である。
219例の新たに診断された卵巣がん症例(59例のステージI+II、160例のステージIII+IV)、190人の良性骨盤内腫瘤(BPM)を有する個人及び409人の健常対照からなる独立したデータセットにおいて、固定係数を使用してポリアミン並びに3マーカーポリアミンパネルの予測性能を試験した(表13を参照されたい)。
OvCa症例を健常対照から区別するための血漿ポリアミンの個々の性能は、0.62~0.92の範囲であり、DASは、0.92(95%CI:0.90~0.95)のAUCで最も高い予測性能をもたらした(表14)。
固定係数を使用した3MPは、OvCa症例を健常対照から区別する場合に0.97(95%CI:0.95~0.99)のAUCを有し、早期OvCa症例を考慮する場合に0.95(95%CI:0.91~0.98)のAUCを有した(図9)。重要なことに、95%の特異度という事前に指定されたカットオフで、3マーカーパネルは、CA125単独では見逃していたであろうOvCa症例のさらに11.8%を捕捉した。したがって、本研究は、卵巣がんの早期発見のためのポリアミンの有用性を検証した。
他の実施形態
上記の詳細な説明は、当業者が本開示を実施することを促進するために提供されている。しかしながら、本明細書で記載及び特許請求される本開示は、これらの実施形態が開示のいくつかの態様の例示として意図されているため、本明細書で開示される特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。任意の均等な実施形態は、本開示の範囲内にあることが意図される。実際、本明細書で示され記載されるものに加えて、本開示の様々な変更形態は、本発明の発見の趣旨又は範囲から逸脱しない前述の説明から当業者に明らかになるであろう。このような変更形態も添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。

Claims (44)

  1. - 対象が卵巣がんを保有するリスクを判定する方法、
    - 対象の卵巣がんの素因を予測する方法、
    - 対象の卵巣がんを診断する方法、
    - 対象を、卵巣がんを保有している/保有するリスクがあると分類する方法、又は
    - 対象における卵巣がんの進行の可能性を予測する方法、
    - 卵巣がんを有する対象について予後を提供する方法、又は
    - 抗がん療法による治療のために、卵巣がんを有する対象を選択する方法
    であって、前記対象から得られた生物学的サンプルにおいて、
    c)ジアセチルスペルミン(DAS)、N-(3-アセトアミドプロピル)ピロリジン-2-オン(N3AP)及びがん抗原125(CA125)のレベルを測定するステップと、
    d)前記サンプル中のDAS、N3AP及びCA125の前記レベルを、健常者に対応する参照値と比較するステップと
    を含み、前記参照に対するDAS、N3AP及びCA125の量の変化は、
    - 前記対象が卵巣がんを保有しているか若しくは保有するリスクがあるか、又は卵巣がんを保有していないか若しくは保有するリスクがないという指標、
    - 前記対象が卵巣がんを発症するリスクがあるか、又は卵巣がんを発症するリスクがないという指標、
    - 卵巣がんに対する前記対象の素因の指標、
    - 前記対象における前記卵巣がんの進行の可能性の指標、
    - 前記対象の無増悪生存期間の指標、
    - 前記卵巣がんの治療の可能性のある結果の指標、及び
    - 前記対象が抗がん療法による治療の候補であるという指標
    からなる群から選択される指標を提供する、方法。
  2. N3AP、AcSpmd及び/又はDiAcSpmdのレベルを測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの前記レベルは、前記参照値に対して上昇している、請求項1又は2に記載の方法。
  4. DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの前記レベルは、卵巣がんのない対象から得られた生物学的サンプル中の対応するレベルに対して上昇している、請求項3に記載の方法。
  5. DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの前記レベルは、1つ又は複数の良性骨盤腫瘤を有する対象から得られた生物学的サンプル中の対応するレベルに対して上昇している、請求項4に記載の方法。
  6. 前記生物学的サンプルは、前記対象の血液に由来する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記生物学的サンプルは、血清である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記卵巣がんは、漿液性及び非漿液性から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記卵巣がんは、漿液性である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記卵巣がんは、非漿液性である、請求項8に記載の方法。
  11. 前記非漿液性卵巣がんは、類内膜、粘液性及び明細胞がんから選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記卵巣がんは、早期である(例えば、ステージI)、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記卵巣がんは、進行している(例えば、ステージII)、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記卵巣がんは、上皮起源である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記対象は、c-mycの増幅を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. CA125の濃度は、免疫アッセイによって判定される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記免疫アッセイは、抗CA125抗体又はその結合断片を使用する、請求項16に記載の方法。
  18. DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの少なくとも1つの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの少なくとも1つの濃度は、液体クロマトグラフィーを含む方法によって判定される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される、請求項18又は19に記載の方法。
  21. DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、質量分析法を含む方法によって判定される、請求項18に記載の方法。
  22. DAS、N3AP、AcSpmd及びDiAcSpmdの濃度は、液体クロマトグラフィー及び質量分析法の両方を含む方法によって判定される、請求項18に記載の方法。
  23. DASのみを評価する方法と比較して、所与の特異度で改善された感度を提供する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. CA125のみを評価する方法と比較して、所与の特異度で改善された感度を提供する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  25. 約99%の特異度で改善された感度を提供する、請求項23又は24に記載の方法。
  26. DAS又はCA125のみを評価する方法よりも多くの早期卵巣がんを正しく同定する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. DAS、N3AP及びCA125を含む、卵巣がんの診断パネル。
  28. 0.82を超えるAUC点推定値を有する、請求項27に記載の診断パネル。
  29. 約0.84のAUC点推定値を有する、請求項27に記載の診断パネル。
  30. 卵巣がんを健常対照から区別するための約0.97のAUC点推定値を有する、請求項26に記載の診断パネル。
  31. 早期卵巣がんを区別するための約0.95のAUC点推定値を有する、請求項26に記載の診断パネル。
  32. DAS、N3AP、AcSpmd、DiAcSpmd及びCA125を含む、卵巣がんの診断パネル。
  33. 0.82を超えるAUC点推定値を有する、請求項32に記載の診断パネル。
  34. 約0.84のAUC点推定値を有する、請求項32に記載の診断パネル。
  35. 卵巣がんを健常対照から区別するための約0.97のAUC点推定値を有する、請求項32に記載の診断パネル。
  36. 早期卵巣がんを区別するための約0.95のAUC点推定値を有する、請求項32に記載の診断パネル。
  37. DAS、N3AP、AcSpmd、DiAcSpmd及びCA125は、固定係数を使用して評価される、請求項32に記載の方法。
  38. DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdの量を、約0.52~約0.95のAUC(95%CI)を含むカットオフ値と比較するステップをさらに含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. N3APの前記カットオフ値は、少なくとも0.62のAUC(95%CI)を含む、請求項38に記載の方法。
  40. AcSpmdの前記カットオフ値は、少なくとも0.75のAUC(95%CI)を含む、請求項38に記載の方法。
  41. DiAcSpmdの前記カットオフ値は、少なくとも0.73のAUC(95%CI)を含む、請求項38に記載の方法。
  42. DASの前記カットオフ値は、少なくとも0.92のAUC(95%CI)を含む、請求項38に記載の方法。
  43. DAS、N3AP及びCA125のレベルが、卵巣がんのない対象のレベルに対応する参照値に対して上昇している対象において、卵巣がんの進行を治療又は予防する方法であって、
    - 卵巣がんを有する前記対象に抗がん剤を投与するステップと、
    - 卵巣がんを有する前記対象に治療用放射線を投与するステップと、
    - 卵巣がんを有する前記対象のがん組織の部分的又は完全な外科的除去のための手術と
    の1つ又は複数を含む方法。
  44. DAS、N3AP、CA125、AcSpmd及びDiAcSpmdのレベルが、卵巣がんのない対象のレベルに対応する参照値に対して上昇している対象において、卵巣がんの進行を治療又は予防する方法であって、
    - 卵巣がんを有する前記対象に抗がん剤を投与するステップと、
    - 卵巣がんを有する前記対象に治療用放射線を投与するステップと、
    - 卵巣がんを有する前記対象のがん組織の部分的又は完全な外科的除去のための手術と
    の1つ又複数を含む方法。
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