JP2013532830A - 前立腺癌に関するバイオマーカー及びそれを使用する方法 - Google Patents

前立腺癌に関するバイオマーカー及びそれを使用する方法 Download PDF

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Abstract

前立腺癌に関するバイオマーカー(及び一連のバイオマーカー)並びに前立腺癌の早期予測、疾患グレード分類、標的の同定/バリデーション及び薬物の有効性のモニタリングを含むそのようなバイオマーカー(及び一連のそれら)を使用する方法が提供される。

Description

本特許出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2010年7月28日出願米国仮特許出願第61/368,434号の優先権を主張するものである。
本発明は、前立腺癌に関するバイオマーカー及び同バイオマーカーに基づく方法に一般に関する。
前立腺癌は、男性癌関連死の主な原因であり、65歳を超える男性の9名に1名が罹患する。米国癌協会は、今年、200,000名を超えるアメリカ人男性が前立腺癌を有すると診断され、30,000を超える者が死亡すると推定している。有効な外科的治療及び放射線治療が局所性前立腺癌については存在する一方で、転移性前立腺癌は依然として本質的に治癒できず、転移性疾患を有すると診断された男性のほとんどは数ヶ月から数年で死亡する。
前立腺癌は、直腸診(DRE)によって又は(許容し難い高率での疑陽性を有する)前立腺特異抗原(PSA)のレベルの測定によってのいずれかで検出される。前立腺癌の診断は生検によってのみ確認されうる。前立腺全摘除術、放射線照射及び待機療法は局所性前立腺癌に一般に有効であるが、どの手法を使用するかを判断することはしばしば困難である。低悪性度の腫瘍とより悪性の腫瘍とを鑑別することが可能でないことから、現在の治療は非常に保守的な手法をとっている。
画像診断、X線、コンピューター断層撮影法及びさらなる生検は、前立腺癌が転移性を有するかどうかの決定に役立つことができる一方で、それらは初期段階を鑑別できない。局所性、初期、低悪性度の状態から悪性状態及び最終的には転移性状態への前立腺癌の進行を理解することは、本疾患の適切な臨床的対応を可能にする。さらに初期の低悪性度の前立腺癌は、悪性形態に進行性である場合と非進行性である場合がある。
一態様において本発明は、試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップとを含む、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する方法を提供する。1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B及び8から選択されても良い。生物学的試料が前立腺組織である場合、1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10から選択されて良く、又は表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/若しくは10から選択されても良い。生物学的試料が尿である場合、1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10から選択されて良く、又は表8から選択されても良い。生物学的試料はDRE尿試料であっても良い。
別の態様において本発明は、試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップとを含む、対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法も提供する。
さらに別の態様において本発明は、試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択され、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が第二の時点で対象から得られるステップと、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニターするために第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法を提供する。
別の態様において本発明は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前治療された対象由来の生物学的試料を分析するステップと、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、(a)対象から予め採取された生物学的試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベルであって、予め採取された生物学的試料が、組成物で治療される前に対象から得られたものである、レベル、(b)1つ若しくは複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル、及び/又は(c)1つ若しくは複数のバイオマーカーの前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップとを含む、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法を提供する。
別の態様において本発明は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、対象に組成物を投与するステップと、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が組成物の投与後の第二の時点で対象から得られるステップと、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む、前立腺癌の治療における組成物の有効性を評価するための方法を提供する。
さらに別の態様において本発明は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第一の組成物で現在治療されている又は以前治療された第一の対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップと、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第二の組成物で現在治療されている又は以前治療された第二の対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップと、前立腺癌を治療するための第一及び第二の組成物の相対的有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む、前立腺癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法を提供する。
別の態様において本発明は、1つ又は複数の細胞を組成物と接触させるステップと、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、1つ若しくは複数の細胞の少なくとも一部分又は細胞に関連する生物学的試料を分析するステップと、組成物が1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を調節したかどうかを決定するために1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を前記バイオマーカーについての所定の標準レベルと比較するステップとを含む、前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーを調節する活性について組成物をスクリーニングするための方法を提供する。
さらなる態様において本発明は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーに関連する1つ又は複数の生化学的経路を同定するステップと、同定された1つ又は複数の生化学的経路の少なくとも1つに影響するタンパク質を同定するステップであって、タンパク質が前立腺癌に対する潜在的薬物標的であるステップとを含む、前立腺癌に対する潜在的薬物標的を同定するための方法を提供する。
さらに別の態様において本発明は、前立腺癌で低下している、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーの有効量を対象に投与するステップを含む、前立腺癌を有する対象を治療するための方法を提供する。別の態様において本発明は、試料中の低グレード前立腺癌及び/又は高グレード前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、対象が低グレード若しくは高グレード前立腺癌のいずれを有するかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、(高グレード前立腺癌から鑑別する)低グレード前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低グレード前立腺癌から鑑別する)高グレード前立腺癌陽性基準レベルと比較するステップとを含む、前立腺癌を有する対象において低グレード(低悪性度)前立腺癌を高グレード(高悪性度)前立腺癌から鑑別する方法も提供する。1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されても良い。生物学的試料が前立腺組織である場合、1つ又は複数のバイオマーカーは表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10から選択されて良く;表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/若しくは10から選択されて良く;又は表10から選択されても良い。表10から選択される場合、バイオマーカーはプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/若しくはホスホエタノールアミンから選択されて良く;プトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン及び/若しくはN−アセチルプトレシンから選択されて良く;プトレシン、グリセロール−2−ホスフェート及び/若しくはグリシルバリンから選択されて良く;ホスホエタノールアミン、プトレシン及び/若しくはスペルミジンから選択されて良く;スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、ラクテート及び/若しくはスペルミジンから選択されて良く;並びに/又はプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/若しくはホスホエタノールアミンから選択されて良い。
図1は、高悪性度前立腺癌を有する対象と低悪性度前立腺癌を有する対象とを鑑別するための一例の代謝産物(アドレネート)に基づく再帰分割プロットを提供する図(左)及び対応する受信者動作特性(ROC)又はROC曲線、感度又は真陽性対(1−特異度)又は偽陽性の図表プロット(右)である。
図2は、存在量が癌と関連する代表的なバイオマーカー代謝産物のボックスプロットを示すグラフである。個々のバイオマーカー代謝産物のAUCは、0.73から0.84の範囲である。良性(非癌)DRE尿沈降試料中のバイオマーカーのレベルを左に示し、癌試料は右に示す。
図3は、前立腺癌検出のための現在の最先端技術検査「ポストDRE PCA3」(PCA3)検査及び「血清PSA」(PSA)検査についての受信者動作特性(ROC)曲線を示すグラフである。PCA3検査についての曲線下面積(AUC)は、およそ0.68でありPSA検査についてのAUCはおよそ0.61であった。
図4は、前立腺癌に関連するDRE尿沈降試料由来のバイオマーカーサインを例示するヒートマップである。群1及び群2は前立腺癌のバイオマーカーサインであるが、群3は非癌のバイオマーカーサインである。癌バイオマーカーサイン(群1及び群2)は、前立腺癌のサブタイプをさらに鑑別する。
図5は、例7に記載のHanノモグラムについてのROC曲線を示す図である。
本発明は、前立腺癌のバイオマーカー、前立腺癌の診断方法、低悪性度前立腺癌と高悪性度前立腺癌とを鑑別する方法、前立腺癌の素因を決定する方法、前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法、前立腺癌のバイオマーカーを調節する活性について組成物をスクリーニングする方法、前立腺癌を治療する方法及び前立腺癌のバイオマーカーに基づく他の方法に関する。本発明を詳細にさらに記載する前に下の用語をまず定義する。
定義
「バイオマーカー」は化合物、好ましくは、第一の表現型を有する(例えば疾患を有する)対象又は対象群由来の生物学的試料において、第二の表現型を有する(例えば疾患を有さない)対象又は対象群由来の生物学的試料と比較して異なって(すなわち増加して又は減少して)存在する代謝産物を意味する。バイオマーカーは、任意のレベルで異なって存在して良いが、一般に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%若しくはそれ以上増加しているレベルで存在する;又は一般に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%若しくは100%(すなわち消失)減少しているレベルで存在する。バイオマーカーは、好ましくは統計学的に有意なレベル(すなわちウェルチのT検定又はウィルコクソン順位和検定のいずれかを使用して決定したp値が0.05未満及び/又は0.10未満のq値)で異なって存在する。
1つ又は複数のバイオマーカーの「レベル」は、試料中のバイオマーカーの絶対量若しくは相対量又は濃度を意味する。
「試料」又は「生物学的試料」は、対象から単離された生物学的物質を意味する。生物学的試料は、所望のバイオマーカーを検出するために適切な任意の生物学的物質を含有でき、対象由来の細胞性及び/又は非細胞性物質を含んで良い。試料は、例えば前立腺組織、血液、血漿、尿又は脳脊髄液(CSF)などの任意の適切な生物学的組織又は体液から単離されうる。
「対象」は、任意の動物を意味するが、好ましくは例えばヒト、サル、マウス又はウサギなどの哺乳類である。
バイオマーカーの「基準レベル」は、特定の病態、表現型若しくはこれらの欠如及び病態、表現型若しくはこれらの欠如の組合せを示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「陽性」基準レベルは、特定の病態又は表現型を示すレベルを意味する。バイオマーカーの「陰性」基準レベルは、特定の病態又は表現型の欠如を示すレベルを意味する。例えばバイオマーカーの「前立腺癌陽性基準レベル」は、対象における前立腺癌の陽性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「前立腺癌陰性基準レベル」は、対象における前立腺癌の陰性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「基準レベル」は、バイオマーカーの絶対量若しくは相対量又は濃度、バイオマーカーの存在又は欠如、バイオマーカーの量又は濃度の範囲、バイオマーカーの最小及び/又は最大の量又は濃度、バイオマーカーの平均の量又は濃度、並びに/或いはバイオマーカーの中央値の量又は濃度であって良く、付加的にバイオマーカーの組合せの「基準レベル」は、2つ以上のバイオマーカーの絶対量若しくは相対量又は濃度のそれぞれに対する比であっても良い。特定の病態、表現型若しくはこれらの欠如に関するバイオマーカーの適切な陽性及び陰性の基準レベルは、1つ又は複数の適切な対象における所望のバイオマーカーのレベルを測定することによって決定されることができ、そのような基準レベルは、対象の特定集団について調整されうる(例えば基準レベルは、特定の年齢の対象由来の試料におけるバイオマーカーレベルと特定の年齢群における特定の病態、表現型若しくはこれらの欠如に関する基準レベルとの間の比較がなされうるように、年齢を合致させたものであって良い)。そのような基準レベルは、生物学的試料中のバイオマーカーのレベルを決定するために、使用される特定の技術(例えばLC−MS、GC−MSなど)用にも調整されることができ、バイオマーカーのレベルは使用される特定の技術に基づいて異なっていても良い。
「非バイオマーカー化合物」は、第一の表現型を有する(例えば第一の疾患を有する)対象又は対象群由来の生物学的試料において、第二の表現型を有する(例えば第一の疾患を有さない)対象又は対象群由来の生物学的試料と比較して異なって存在しない化合物を意味する。しかしそのような非バイオマーカー化合物は、第一の表現型(例えば第一の疾患を有する)又は第二の表現型(例えば第一の疾患を有さない)と比較して第三の表現型を有する(例えば第二の疾患を有する)対象又は対象群由来の生物学的試料においてバイオマーカーであって良い。
「代謝産物」又は「小分子」は、細胞中に存在する有機及び無機分子を意味する。用語は大きなタンパク質(例えば2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000又は10,000を超える分子量を有するタンパク質)、大きな核酸(例えば2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000又は10,000を超える分子量を有する核酸)、大きな多糖類(例えば2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000又は10,000を超える分子量を有する多糖類)などの大きなマクロ分子を含まない。細胞の小分子は、それらがさらに代謝されうる又は、マクロ分子と称される大分子を生成するために使用されうる中間体のプールを形成する細胞質又はミトコンドリアなどの他のオルガネラ中の溶液において一般に遊離で見出される。用語「小分子」は、シグナル伝達分子及び、食物由来のエネルギーを利用できる形態に変換する化学反応における中間体を含む。小分子の例は、糖、脂肪酸、アミノ酸、ヌクレオチド、細胞の過程において形成される中間体及び細胞内に見出される他の小分子を含む。
「代謝プロファイル」又は「小分子プロファイル」は、標的細胞、組織、器官、生物又はこれらの一部(例えば細胞内コンパートメント)中の小分子の完全な又は部分的な一覧を意味する。一覧は、存在する小分子の量及び/又は種類を含みうる。「小分子プロファイル」は、単一の技術又は複数の異なる技術を使用して測定されうる。
「メタボローム」は、所与の生物において存在する全ての小分子を意味する。
「前立腺癌」は、癌が前立腺、男性生殖器系内の腺において発生する疾患を意味する。「低グレード」又は「より低グレードの」前立腺癌は、転移の可能性が低い悪性腫瘍を含む非転移性の前立腺癌(すなわち「低悪性度」と考えられる前立腺癌)を意味する。前立腺に限局している(すなわち器官限局性、OC)癌腫瘍は、低悪性度前立腺癌であると考えられる。「高グレード」又は「より高グレードの」前立腺癌は、転移の可能性が高い悪性腫瘍を含む対象において転移している前立腺癌(「悪性」と考えられる前立腺癌)を意味する。前立腺に限局していない(すなわち非器官限局性、NOC)癌腫瘍は、悪性前立腺癌であると考えられる。前立腺に限局している腫瘍(すなわち器官限局性腫瘍)は、前立腺に限局していない腫瘍(すなわち非器官限局性腫瘍)よりも低悪性度であると考えられる。「悪性」前立腺癌は、進行し、再発し及び/又は死の原因となる。悪性癌は、下の:非器官限局性(NOC)、被膜外浸潤(ECE)を伴う、精嚢浸潤(SVI)を伴う、リンパ節浸潤(LN)を伴う、グリーソンスコアメジャー若しくはグリーソンスコアマイナー4を伴う及び/又はグリーソンスコアサム8若しくはより高くを伴う、の1つ又は複数によって特徴付けられうる。対照的に「低悪性度」癌は、前立腺に限局しており(器官限局性、OC)、被膜外浸潤(ECE)、精嚢浸潤(SVI)、リンパ節浸潤(LN)、グリーソンスコアメジャー又はグリーソンスコアマイナー4又はグリーソンスコアサム8若しくはより高くを伴わない。
I.バイオマーカー
本明細書に記載される前立腺癌バイオマーカーは、メタボロミックプロファイリング技術を使用して発見された。そのようなメタボロミックプロファイリング技術は、下に記載する実施例及びその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,005,255号、第7,329,489号、第7,550,258号、第7,550,260号、第7,553,616号、第7,635,556号、第7,682,783号、第7,682,784号、第7,910,301号、第6,947,453号、第7,433,787号、第7,561,975号、第7,884,318号においてより詳細に記載される。
一般に代謝プロファイルは、前立腺癌を有すると診断されたヒト対象由来の生物学的試料について測定され、ヒト対象はより低グレードの前立腺癌(例えば器官限局性腫瘍)を有すると診断された又は転移性/高グレード前立腺癌(例えば非器官限局性腫瘍)を有すると診断された。前立腺癌を有する対象由来の生物学的試料に関する代謝プロファイルは、1つ又は複数の他の対象群由来の生物学的試料に関する代謝プロファイルと比較された。統計的に有意なレベルで異なって存在する分子を含んで、別の群(例えば低悪性度前立腺癌を有すると診断された対象)と比較して悪性前立腺癌を有する対象由来の腫瘍試料の代謝プロファイルにおいて異なって存在する分子は、これらの群を鑑別するバイオマーカーとして同定された。付加的に統計的に有意なレベルで異なって存在する分子を含んで、高グレード前立腺癌と比較して低グレード前立腺癌を有する対象由来の非腫瘍試料(すなわち癌腫瘍に隣接する非癌性組織)の代謝プロファイルにおいて異なって存在する分子も、これらの群を鑑別するバイオマーカーとして同定された。
バイオマーカーは、本明細書でさらに詳細に論じられる。下の群(単数又は複数):
前立腺癌を有する対象対前立腺癌と診断されていない対照対象を鑑別するためのバイオマーカー(表1A、1B、3A、3B及び8を参照されたい);並びに
悪性前立腺癌を有する対象を低悪性度前立腺癌を有する対象から鑑別するためのバイオマーカー(表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び10を参照されたい);
に対応するバイオマーカーが発見されたが、表5A、5B、7A、7B及び10におけるバイオマーカーは、前立腺癌を有する対象対前立腺癌を有すると診断されていない対照対象を鑑別するためにも使用されることができ、表8におけるバイオマーカーは悪性前立腺癌を有する対象を低悪性度前立腺癌を有する対象から鑑別するためにも使用されうる。
IIA.前立腺癌の診断
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌の1つ又は複数の症状を呈する対象における前立腺癌の診断(又は診断の支援)を可能にする。対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)方法は、(1)試料中の前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップと、(2)対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)ために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップとを含む。使用される1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A及び/又は7B並びにこれらの組合せから選択される。一態様において、1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B及び8から選択されうる。そのような方法が前立腺癌の診断を支援するために使用される場合に、方法の結果は、対象が前立腺癌を有するかどうかの臨床的判断において有用な他の方法(又はそれらの結果)と共に使用されうる。
任意の適切な方法が、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、生物学的試料を分析するために使用されうる。適切な方法は、クロマトグラフィー(例えばHPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えばMS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学的技術及びこれらの組合せを含む。さらに1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、例えば測定することが望ましいバイオマーカー(単数又は複数)のレベルに関連する化合物(単数又は複数)のレベルを測定するアッセイを使用することによって間接的に測定されうる。
表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する方法及び診断を支援する方法において決定されうる。例えば1つのバイオマーカー、2つ以上のバイオマーカー、3つ以上のバイオマーカー、4つ以上のバイオマーカー、5つ以上のバイオマーカー、6つ以上のバイオマーカー、7つ以上のバイオマーカー、8つ以上のバイオマーカー、9つ以上のバイオマーカー、10以上のバイオマーカー(表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7、8及び/若しくは10における全てのバイオマーカーの組合せ(単数又は複数)又はこれらの任意の一部を含んで)などのレベル(単数又は複数)は、そのような方法において測定及び使用されうる。バイオマーカーの組合せのレベルを測定することは、前立腺癌の診断及び前立腺癌の診断の支援においてより高い感度及び特異度を可能にし、(前立腺癌を有さない対象と比較して)前立腺癌に類似する若しくは重複するバイオマーカーを有する場合がある他の前立腺障害(例えば良性前立腺肥大(BPH)、前立腺炎など)又は他の癌からの前立腺癌のより良い鑑別を可能にする。例えば生物学的試料中の特定のバイオマーカー(又は非バイオマーカー化合物)のレベルの比は、前立腺癌の診断及び前立腺癌の診断の支援においてより高い感度及び特異度を可能にし、(前立腺癌を有さない対象と比較して)前立腺癌に類似する若しくは重複するバイオマーカーを有する場合がある他の癌又は前立腺の他の障害からの前立腺癌のより良い鑑別を可能にする。
特定の種類の試料(例えば前立腺組織試料、尿試料若しくは血漿試料)において前立腺癌を診断する(又は前立腺癌の診断を支援する)ために特異的な1つ又は複数のバイオマーカーも使用されうる。例えば生物学的試料が前立腺組織である場合、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/又は10に列挙された1つ又は複数のバイオマーカーは、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)ために使用されうる。別の例として生物学的試料が尿(又はDRE尿)である場合、表8に列挙された1つ又は複数のバイオマーカーは、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)ために使用されうる。
試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が測定された後、レベル(単数又は複数)は、対象が前立腺癌を有するかどうかの診断を支援する又は診断するために前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較される。前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象における前立腺癌の診断を示す。前立腺癌陰性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象中に前立腺癌が無い診断を示す。付加的に前立腺癌陰性基準レベルと比較して試料中で異なって(特に統計的に有意なレベルで)存在する1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象における前立腺癌の診断を示す。前立腺癌陽性基準レベルと比較して試料中で異なって(特に統計的に有意なレベルで)存在する1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象中に前立腺癌が無い診断を示す。
1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)の前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルとの単純比較(例えば手作業での比較)を含む種々の技術を使用して前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較されうる。生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、1つ又は複数の統計分析(例えばt検定、ウェルチのT検定、ウィルコクソン順位和検定、ランダムフォレスト)を使用しても前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較されうる。
付加的に生物学的試料は、1つ又は複数の非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)を決定するために分析されうる。そのような非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)は、(前立腺障害を有さない対象と比較して)前立腺癌に類似する若しくは重複するバイオマーカーを有する場合がある他の前立腺障害からの前立腺癌の鑑別も可能にする。例えば、前立腺癌を有する対象及び前立腺癌を有さない対象の生物学的試料において存在する周知の非バイオマーカー化合物は、別の前立腺障害を有する対象由来の生物学的試料が非バイオマーカー化合物を含まない場合に、前立腺障害の診断と比較して前立腺癌の診断を確認するためにモニターされうる。
対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)方法は、対象が低悪性度前立腺癌及び/又は高悪性度前立腺癌のいずれを有するかを明確に診断する(又は診断を支援する)ためにも実施されうる。そのような方法は、(1)試料中の低悪性度前立腺癌(及び/又は高悪性度前立腺癌)の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップと、(2)対象が低悪性度前立腺癌(又は高悪性度前立腺癌)を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)ために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を低悪性度前立腺癌陽性及び/又は低悪性度前立腺癌陰性の基準レベル(又は高悪性度前立腺癌陽性及び/若しくは高悪性度前立腺癌陰性の基準レベル)と比較するステップとを含む。低グレード前立腺癌に特異的なバイオマーカーは、表1、3、7に列挙されており、高グレード前立腺癌に特異的なバイオマーカーは、表1、3、7に列挙されている。
IIB.低悪性度前立腺癌(低グレード)をより悪性の前立腺癌(高グレード)から鑑別する方法
低悪性度前立腺癌対より悪性の前立腺癌を鑑別するためのバイオマーカーの同定は、患者における低悪性度前立腺癌と悪性前立腺癌との鑑別を可能にする。したがって対象は、より悪性の前立腺癌を有する対象が低悪性度前立腺癌を有する対象よりもさらに積極的な治療を受けて適切に治療されうる。前立腺癌を有する対象において低悪性度前立腺癌をより悪性の前立腺癌から鑑別する方法は、(1)(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカー及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーの試料中のレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップと、(2)対象が低悪性度又は高悪性度前立腺癌のいずれを有するかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、1つ又は複数のバイオマーカーの(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較するステップとを含む。使用される1つ又は複数のバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10並びにこれらの組合せから選択される。
本発明の一態様において使用されるバイオマーカーは、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/又は10並びにこれらの組合せから選択される。
本発明の別の態様において使用される1つ又は複数のバイオマーカーは、プトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/又はホスホエタノールアミンから選択される。
本発明の一態様において、より悪性の癌は被膜外浸潤(ECE)を伴い、バイオマーカー代謝産物はプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン及び/又はN−アセチルプトレシンから選択される。
本発明の一態様において、より悪性の癌は精嚢浸潤(SVI)を伴い、バイオマーカーはプトレシン、グリセロール−2−ホスフェート及び/又はグリシルバリンから選択される。
本発明の一態様において、より悪性の癌はリンパ節浸潤を伴い、バイオマーカーはホスホエタノールアミン、プトレシン及び/又はスペルミジンから選択される。
本発明の一態様において、より悪性の癌は8より大きいグリーソンスコア(GS)を伴い、バイオマーカーはスクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、ラクテート及び/又はスペルミジンから選択される。
任意の適切な方法が、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために生物学的試料を分析するために使用されうる。適切な方法は、クロマトグラフィー(例えばHPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えばMS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学的技術及びこれらの組合せを含む。さらに1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、例えば測定することが望ましいバイオマーカー(単数又は複数)のレベルに関連する化合物(単数又は複数)のレベルを測定するアッセイを使用することによって間接的に測定されうる。
表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する方法及び診断を支援する方法において測定されうる。例えば1つのバイオマーカー、2つ以上のバイオマーカー、3つ以上のバイオマーカー、4つ以上のバイオマーカー、5つ以上のバイオマーカー、6つ以上のバイオマーカー、7つ以上のバイオマーカー、8つ以上のバイオマーカー、9つ以上のバイオマーカー、10以上のバイオマーカー(表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10における全てのバイオマーカーの組合せ又はこれらの任意の一部を含んで)などのレベル(単数又は複数)は、そのような方法において測定及び使用されうる。バイオマーカーの組合せのレベルを測定することは、低悪性度前立腺癌と高悪性度前立腺癌との鑑別においてより高い感度及び特異度を可能にする。
特定の種類の試料(例えば前立腺組織試料、尿試料若しくは血漿試料)において低悪性度前立腺癌と高悪性度前立腺癌とを鑑別するために特異的な1つ又は複数のバイオマーカーも使用されうる。例えば生物学的試料が前立腺組織である場合、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/又は10に列挙された1つ又は複数のバイオマーカーは使用されうる。別の例として生物学的試料が尿(又はDRE尿)である場合、表8に列挙された1つ又は複数のバイオマーカーは使用されうる。
試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が測定された後、レベル(単数又は複数)は、対象が低悪性度前立腺癌又は高悪性度前立腺癌のいずれを有するかを決定するために、1つ又は複数のバイオマーカーの(高悪性度前立腺癌陰性を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較される。(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象における低悪性度前立腺癌を示す。(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象における高悪性度前立腺癌を示す。1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルにより類似している(又は高悪性度前立腺癌陽性基準レベルにより類似していない)場合、結果は対象における低悪性度前立腺癌を示す。1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が、(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルにより類似している(又は低悪性度前立腺癌陽性基準レベルにより類似していない)場合、結果は対象における高悪性度前立腺癌を示す。
1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と低悪性度前立腺癌陽性及び/又は高悪性度前立腺癌陽性の基準レベルとの単純比較(例えば手作業での比較)を含む種々の技術を使用して、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較されうる。生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、1つ又は複数の統計分析(例えばt検定、ウェルチのT検定、ウィルコクソン順位和検定、ランダムフォレスト)を使用しても、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較されうる。
付加的に生物学的試料は、1つ又は複数の非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)を決定するために分析されうる。そのような非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)も、低悪性度前立腺癌の高悪性度前立腺癌からの鑑別を可能にする。
III.前立腺癌の素因を決定する方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌の症状を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかの決定も可能にする。前立腺癌の症状を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法は、(1)試料中の表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10に列挙する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップと、(2)対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップとを含む。方法の結果は、対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかの臨床的判断において有用な他の方法(又はそれらの結果)と共に使用されうる。
前立腺癌を診断する(又は診断を支援する)方法に関連して上に記載したとおり、任意の適切な方法が、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために生物学的試料を分析するために使用されうる。
上に記載の前立腺癌を診断する(又は診断を支援する)方法と同様に、1つのバイオマーカー、2つ以上のバイオマーカー、3つ以上のバイオマーカー、4つ以上のバイオマーカー、5つ以上のバイオマーカー、6つ以上のバイオマーカー、7つ以上のバイオマーカー、8つ以上のバイオマーカー、9つ以上のバイオマーカー、10以上のバイオマーカー(表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10における全てのバイオマーカーの組合せ又はこれらの任意の一部を含んで)などのレベル(単数又は複数)は、前立腺癌の症状を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかの決定方法において決定及び使用されうる。
試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が決定された後、レベル(単数又は複数)は、対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを予測するために、前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較される。前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を発症する素因を有することを示す。前立腺癌陰性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を発症する素因を有さないことを示す。付加的に前立腺癌陰性基準レベルと比較して試料中で異なって(特に統計的に有意なレベルで)存在する1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を発症する素因を有することを示す。前立腺癌陽性基準レベルと比較して試料中で異なって(特に統計的に有意なレベルで)存在する1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、対象が前立腺癌を発症する素因を有さないことを示す。
さらに、前立腺癌を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するか否かを評価するために特異的な基準レベルを決定することも可能である。例えば前立腺癌発症に関する対象におけるさまざまな程度の危険性(例えば低い、中程度、高い)を評価するためのバイオマーカーの基準レベルを決定することは可能である。そのような基準レベルは、対象由来の生物学的試料における1つ又は複数のバイオマーカーのレベルとの比較のために使用されうる。
上に記載の方法と同様に、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、単純比較、1つ又は複数の統計分析及びこれらの組合せを含む、種々の技術を使用して前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較されうる。
対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する(又は診断を支援する)方法と同様に、前立腺癌の症状を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法は、1つ又は複数の非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)を決定するために生物学的試料を分析するステップをさらに含みうる。
前立腺癌の症状を有さない対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法は、前立腺癌の症状を有さない対象が低悪性度前立腺癌及び/又は高悪性度前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを特異的に決定するためにも実施されうる。低悪性度前立腺癌に特異的なバイオマーカーを表1、3、5、7及び10に列挙し、高悪性度前立腺癌に特異的なバイオマーカーを表1、3、5、7及び10に列挙する。
付加的に低悪性度前立腺癌を有する対象が高悪性度前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーを使用して実施されうる。
IV.前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングすることも可能にする。対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、(2)1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が第二の時点で対象から得られるステップと、(3)対象中の前立腺癌の進行/退縮をモニターするために第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む。方法の結果は、対象における前立腺癌の経過(すなわち変化がある場合は、進行又は退縮)を示す。
1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)における経時的変化(ある場合は)は、対象における前立腺癌の進行又は退縮を示しうる。対象における前立腺癌の経過を特徴付けるために、第一の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)、第二の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)、並びに/又は第一及び第二の試料中のバイオマーカーのレベルの比較結果は、前立腺癌陽性、前立腺癌陰性、低悪性度前立腺癌陽性、低悪性度前立腺癌陰性、高悪性度前立腺癌陽性及び/又は高悪性度前立腺癌陰性の基準レベル並びに(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較されうる。比較が、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が、前立腺癌陽性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陰性基準レベルと同様ではなくなる)、高悪性度前立腺癌基準レベルと同様になる、或いは対象が初めに低悪性度前立腺癌を有する場合に(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になるように経時的に(例えば第一の試料と比較して第二の試料において)増加又は減少することを示す場合、結果は前立腺癌の進行を示す。比較が、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が、前立腺癌陰性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)、或いは対象が初めに高悪性度前立腺癌を有する場合に低悪性度前立腺癌基準レベル及び/又は(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になるように経時的に増加又は減少することを示す場合、結果は前立腺癌の退縮を示す。
本明細書に記載の他の方法と共に、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法において実施される比較は、単純比較、1つ又は複数の統計分析及びこれらの組合せを含む種々の技術を使用して実行されうる。
方法の結果は、対象における前立腺癌の進行/退縮の臨床モニタリングにおいて有用な他の方法(又はこれらの結果)と共に使用されうる。
前立腺癌を診断する(又は診断を支援する)方法と関連して上に記載したとおり、任意の適切な方法が、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために生物学的試料を分析するために使用されうる。付加的に、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10における全てのバイオマーカーの組合せ又はこれらの任意の一部を含む1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法において決定及び使用されうる。
そのような方法は、前立腺癌を有する対象において前立腺癌の経過をモニターするために実施されることができ、又は前立腺癌を有さない対象(例えば前立腺癌を発症する素因を有すると疑われる対象)において前立腺癌の素因のレベルをモニターするために使用されうる。
V.前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌を治療するための組成物の有効性の評価及び前立腺癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性の評価も可能にする。そのような評価は、例えば有効性研究及び前立腺癌を治療するための組成物のリード選択において使用されうる。
前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前治療された対象由来の生物学的試料を分析するステップと、(2)試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)を、(a)対象から予め採取された生物学的試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)であって、予め採取された生物学的試料が組成物での治療を受ける前に対象から得られたものであるレベル、(b)1つ若しくは複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル(低悪性度前立腺癌陽性及び/若しくは高悪性度前立腺癌陽性の基準レベルを含む)、(c)1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陰性基準レベル(低悪性度前立腺癌陰性及び/若しくは高悪性度前立腺癌陰性の基準レベルを含む)、(d)(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル、並びに/又は(e)(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較するステップとを含む。比較の結果は、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を示す。
したがって、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を特徴付けるために生物学的試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)は、(1)前立腺癌陽性基準レベル、(2)前立腺癌陰性基準レベル、(3)組成物での治療を受ける前の対象における1つ若しくは複数のバイオマーカーの以前のレベル、(4)(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル、及び/又は(5)(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベル、と比較される。
生物学的試料(前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前治療された対象由来)中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較する場合、前立腺癌陰性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中のレベル(単数又は複数)は、組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有することを示す。前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有さないことを示す。比較は、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)に基づいて前立腺癌を治療するための有効性の程度も示しうる。
生物学的試料(高悪性度前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前治療された対象由来)中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル及び/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較する場合、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中のレベル(単数又は複数)は、組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有することを示す。(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルに合致する(例えば基準レベルと同じ、実質的に基準レベルと同じ、基準レベルの最小値及び/若しくは最大値より上及び/若しくはより下、並びに/又は基準レベルの範囲内であるレベル)試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルは、組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有さないことを示す。
生物学的試料(前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前治療された対象由来)中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、組成物での治療の前に対象から予め採取された生物学的試料における1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較する場合、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)におけるいかなる変化も、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を示す。すなわちこれは、比較が1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が組成物での治療後に、前立腺癌陰性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少した、或いは対象が初めに高悪性度前立腺癌を有する場合にレベル(単数又は複数)が(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になる(又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少したことを示す場合、結果は組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有することを示す。比較が、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が組成物での治療後に、前立腺癌陰性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少しなかった、或いは対象が初めに高悪性度前立腺癌を有する場合にレベル(単数又は複数)が(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になる(又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少しなかったことを示す場合、結果は組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有さないことを示す。比較は、治療後に1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)において観察された変化の量に基づいて前立腺癌を治療するための有効性の程度も示しうる。そのような比較を特徴付けることを助けるために、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)における変化、治療前の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)、及び/又は組成物で現在治療されている又は以前治療された対象における1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)は、前立腺癌陽性基準レベル(低悪性度及び高悪性度の前立腺癌陽性基準レベルを含む)、前立腺癌陰性基準レベル(低悪性度及び高悪性度の前立腺癌陰性基準レベルを含む)、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル、並びに/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較されうる。
前立腺癌を治療する組成物の有効性を評価するための別の方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、(2)組成物を対象に投与するステップと、(3)1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が組成物の投与後の第二の時点で対象から得られるステップと、(4)前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む。上に示すとおり試料の比較が、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が組成物の投与後に、前立腺癌陰性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少した、或いは対象が初めに高悪性度前立腺癌を有する場合にレベル(単数又は複数)が(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になる(又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少したことを示す場合、結果は組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有することを示す。比較が、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)が組成物での治療後に、前立腺癌陰性基準レベルと同様になる(又は前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少しなかった、或いは対象が初めに高悪性度前立腺癌を有する場合にレベル(単数又は複数)が(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様になる(又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと同様ではなくなる)ように増加又は減少しなかったことを示す場合、結果は組成物が前立腺癌を治療するための有効性を有さないことを示す。上に考察のとおり、比較は、組成物の投与後に1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)において観察された変化の量に基づいて前立腺癌を治療するための有効性の程度も示しうる。
前立腺癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第一の組成物で現在治療されている又は以前治療された第一の対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップと、(2)1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第二の組成物で現在治療されている又は以前治療された第二の対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップと、(3)前立腺癌を治療するための第一及び第二の組成物の相対的有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップとを含む。結果は、2つの組成物の相対的有効性を示唆し、結果(或いは第一の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル及び/又は第二の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数))は、相対的有効性の特徴付けを支援するために、前立腺癌陽性基準レベル(低悪性度及び高悪性度の前立腺癌陽性基準レベルを含む)、前立腺癌陰性基準レベル(低悪性度及び高悪性度の前立腺癌陰性基準レベルを含む)、(高悪性度前立腺癌を鑑別する)低悪性度前立腺癌陽性基準レベル、並びに/又は(低悪性度前立腺癌を鑑別する)高悪性度前立腺癌陽性基準レベルと比較されうる。
有効性を評価する各方法は、1つ若しくは複数の対象又は1つ若しくは複数の対象群(例えば第一の組成物で治療される第一群及び第二の組成物で治療される第二群)について実施されうる。
本明細書に記載する他の方法と同様に、前立腺癌を治療するための組成物の有効性(又は相対的有効性)の評価方法においてなされる比較は、単純比較、1つ又は複数の統計分析及びこれらの組合せを含む種々の技術を使用して実行されうる。試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、任意の適切な方法が生物学的試料を分析するために使用されうる。付加的に、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10の全てのバイオマーカーの組合せ又はこれらの任意の一部を含む1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)は、前立腺癌を治療するための組成物の有効性(又は相対的有効性)の評価方法において決定及び使用されうる。
最終的に、前立腺癌を治療するための1つ又は複数の組成物の有効性(又は相対的有効性)の評価方法は、1つ又は複数の非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)を決定するために、生物学的試料を分析するステップをさらに含みうる。非バイオマーカー化合物は、次いで前立腺癌を有する(又は有さない)対象についての非バイオマーカー化合物の基準レベルと比較されうる。
VI.前立腺癌に関連するバイオマーカーを調節する活性に関する組成物のスクリーニング方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌の治療において有用でありうる前立腺癌に関連するバイオマーカーを調節する活性に関する組成物のスクリーニングも可能にする。前立腺癌の治療のために有効な組成物のスクリーニング方法は、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルを調節する活性に関して試験組成物をアッセイするステップを含む。そのようなスクリーニングアッセイは、in vitro及び/又はin vivoで実施されることができ、例えば細胞培養アッセイ、器官培養アッセイ及びin vivoアッセイ(例えば動物モデルに関するアッセイ)などの、試験組成物の存在下でそのようなバイオマーカーの調節をアッセイするために有用な当技術分野において周知の任意の形態であってよい。
一実施形態において、前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーを調節する活性に関して組成物をスクリーニングする方法は、(1)1つ又は複数の細胞を組成物と接触させるステップと、(2)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、1つ若しくは複数の細胞の少なくとも一部分又は細胞に関連する生物学的試料を分析するステップと、(3)組成物が1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を調節したかどうかを決定するために、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を1つ又は複数のバイオマーカーについての所定の標準レベルと比較するステップとを含む。上に考察のとおり、細胞はin vitro及び/又はin vivoで組成物と接触されうる。1つ又は複数のバイオマーカーについての所定の標準レベルは、組成物の非存在下での1つ又は複数の細胞における1つ又は複数のバイオマーカーのレベルであってよい。1つ又は複数のバイオマーカーについての所定の標準レベルは、組成物と接触していない対照細胞における1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)であってもよい。
付加的に、方法は、前立腺癌の1つ又は複数の非バイオマーカー化合物のレベル(単数又は複数)を決定するために、1つ若しくは複数の細胞の少なくとも一部又は細胞に関連する生物学的試料を分析するステップをさらに含みうる。非バイオマーカー化合物のレベルは、次いで1つ又は複数の非バイオマーカー化合物の所定の標準レベルと比較されうる。
任意の適切な方法が、1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)(又は非バイオマーカー化合物のレベル)を決定するために、1つ若しくは複数の細胞の少なくとも一部分又は細胞に関連する生物学的試料を分析するために使用されうる。適切な方法は、クロマトグラフィー(例えばHPLC、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えばMS、MS−MS)、ELISA、抗体結合、他の免疫化学的技術及びこれらの組合せを含む。さらに1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数若しくは複数)(又は非バイオマーカー化合物のレベル)は、例えば、測定することが望ましいバイオマーカー(単数又は複数)(又は非バイオマーカー化合物)のレベルに関連する化合物(単数又は複数)のレベルを測定するアッセイを使用することによって間接的に測定されうる。
VII.潜在的薬物標的を同定する方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌に対する潜在的薬物標的の同定も可能にする。前立腺癌に対する潜在的薬物標的を同定する方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーに関連する1つ又は複数の生化学的経路を同定するステップと、(2)同定された1つ又は複数の生化学的経路の少なくとも1つに影響するタンパク質(例えば酵素)を同定するステップであって、タンパク質が前立腺癌に対する潜在的薬物標的であるステップとを含む。
前立腺癌に対する潜在的薬物標的を同定するための別の方法は、(1)表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカー並びに前立腺癌の1つ又は複数の非バイオマーカー化合物に関連する1つ又は複数の生化学的経路を同定するステップと、(2)同定された1つ又は複数の生化学的経路の少なくとも1つに影響するタンパク質を同定するステップであって、タンパク質が前立腺癌に対する潜在的薬物標的であるステップとを含む。
1つ又は複数のバイオマーカー(又は非バイオマーカー化合物)に関連する1つ又は複数の生化学的経路(例えば生合成及び/又は代謝(異化)経路)は、同定される。生化学的経路が同定された後、少なくとも1つの経路に影響を与える1つ又は複数のタンパク質は同定される。好ましくは、1つより多い経路に影響を与えるこれらのタンパク質は、同定される。
1つの代謝産物(例えば経路中間体)の増大は、代謝産物の下流「遮断」の存在を示す場合があり、遮断は低い/欠如したレベルの下流代謝産物(例えば生合成経路の産生物)をもたらす場合がある。同様の様式で、代謝産物の欠如は、不活性若しくは非機能性酵素(単数若しくは複数)から又は産生物を産生するために必要な基質である生化学的中間体の入手不可能から生じる代謝産物の経路上流における「遮断」の存在を示唆できる。代替的に代謝産物のレベルの増加は、代謝産物の過産生及び/又は蓄積を生じる異常タンパク質を産生し、次いで他の関連する生化学的経路の変化を導き、経路を通じた正常な流れの調節不全を生じる遺伝的変異を示す場合があり;さらに生化学的中間体代謝産物の増大は、有毒である場合がある又は関連する経路に必要な中間体の産生を損なう場合がある。経路間の関係性が現在未知であり、このデータがそのような関係性を明らかにできる可能性もある。
例えばデータは、窒素排出、アミノ酸代謝、エネルギー代謝、酸化ストレス、プリン代謝及び胆汁酸代謝に関与する生化学的経路における代謝産物が、前立腺癌対象において増えていることを示す。さらにポリアミンレベルは、癌対象においてより高く、酵素オルニチンデカルボキシラーゼのレベル及び/又は活性が増大していることを示す。ポリアミンが有糸分裂剤として作用でき、フリーラジカル損傷に関連していることは周知である。これらの知見は、ポリアミン(又は任意の異常なバイオマーカー)の産生をもたらす経路が創薬のために有用な多数の潜在的標的を提供することを示す。
潜在的薬物標的として同定されたタンパク質は、次いで遺伝子治療用組成物を含む前立腺癌を治療するための潜在的候補となりうる組成物を同定するために使用されうる。
VIII.前立腺癌を治療する方法
前立腺癌に関するバイオマーカーの同定は、前立腺癌の治療も可能にする。例えば前立腺癌を有する対象を治療するために、前立腺癌を有さない健康な対象と比較して前立腺癌において低下している1つ又は複数の前立腺癌バイオマーカーの有効量は、対象に投与されうる。投与されうるバイオマーカーは、前立腺癌において減少している表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10の1つ又は複数のバイオマーカーを含みうる。いくつかの実施形態において投与されるバイオマーカーは、前立腺癌において減少しており、0.10未満のp値を有する表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10に列挙される1つ又は複数のバイオマーカーである。他の実施形態において投与されるバイオマーカーは、前立腺癌において少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%(すなわち消失)減少しており、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10に列挙される1つ又は複数のバイオマーカーである。
IX.他の種類の癌に関する前立腺癌バイオマーカーの使用方法
主な前立腺癌に関する本明細書に記載のバイオマーカーのいくつかは、例えば肺癌又は腎臓癌を含む他の種類の癌に関するバイオマーカーでもある場合があると考えられている。したがって前立腺癌バイオマーカーの少なくともいくつかは、他の種類の癌のために本明細書に記載の方法において使用されうると考えられている。すなわち前立腺癌に関する本明細書に記載の方法は、任意の種類の癌の診断の(又は診断を支援する)ため、任意の種類の癌の進行/退縮のモニタリング方法のため、任意の種類の癌を治療する組成物の有効性の評価方法のため、任意の種類の癌に関連するバイオマーカーを調節する活性に関する組成物のスクリーニング方法のため、任意の種類の癌に対する潜在的薬物標的の同定方法のため、及び任意の種類の癌の治療方法のためにも使用されうる。そのような方法は、前立腺癌に関して本明細書に記載されたように実施されうる。
X.他の前立腺障害に関する前立腺癌バイオマーカーの使用方法
前立腺癌に関する本明細書に記載のバイオマーカーのいくつかは、一般に前立腺障害(例えば前立腺炎、良性前立腺肥大(BHP))に関するバイオマーカーである場合もあると考えられている。したがって前立腺癌バイオマーカーの少なくともいくつかは、一般に前立腺障害のために本明細書に記載の方法において使用されうると考えられている。すなわち前立腺癌に関する本明細書に記載の方法は、前立腺障害の診断の(又は診断を支援する)ため、前立腺障害の進行/退縮のモニタリング方法のため、前立腺障害を治療する組成物の有効性の評価方法のため、前立腺障害に関連するバイオマーカーを調節する活性に関する組成物のスクリーニング方法のため、前立腺障害に対する潜在的薬物標的の同定方法のため、及び前立腺障害の治療方法のためにも使用されうる。そのような方法は、前立腺癌に関して本明細書に記載されたように実施されうる。
XI.他の方法
本明細書において考察するバイオマーカーを使用する他の方法も考慮される。例えば、米国特許第7,005,255号、米国特許第7,329,489号、米国特許第7,553,616号、米国特許第7,550,260号、米国特許第7,550,258号、米国特許第7,635,556号、米国特許出願第11/728,826号、米国特許出願第12/463,690号及び米国特許出願第12/182,828号において記載の方法は、本明細書において開示する1つ又は複数のバイオマーカーを含む小分子プロファイルを使用して実施されうる。
本明細書に列挙した任意の方法において使用されるバイオマーカーは、0.05未満のp値を有する表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10におけるバイオマーカーから、並びに/又は0.10未満のq値を有する表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10におけるバイオマーカーから選択されうる。本明細書に記載の任意の方法において使用されるバイオマーカーは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%若しくは100%(すなわち消失)(対照と比較して)前立腺癌において減少している又は(対照若しくは前立腺癌と比較して)寛解において減少している表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10におけるバイオマーカーから;並びに/或いは少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%若しくはそれ以上(対照若しくは寛解と比較して)前立腺癌において増加している又は(対照若しくは前立腺癌と比較して)寛解において増加している表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/若しくは10におけるバイオマーカーから選択されうる。
本発明は、限定することを意図しない下の例示的実施例によりさらに説明される。
I.一般的方法
A.前立腺癌に関する代謝プロファイルの同定
各試料を数百の代謝産物の濃度を決定するために分析した。GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)及びLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)などの分析技術を代謝産物を分析するために使用した。複数のアリコートを同時に、平行して分析し、適切な品質管理(QC)後に各分析から得られた情報を再構成した。全ての試料を、最終的に数百化学種に達する数千の特徴について特徴付けた。使用した技術は、新規の化学的に命名されていない化合物も同定可能であった。
B.統計分析
データは、定義可能な集団又は、定義可能な集団間(例えば前立腺癌と対照、低悪性度前立腺癌と高悪性度前立腺癌)を鑑別するために有用な亜集団中で異なるレベルで存在する分子(周知、命名された代謝産物又は命名されていない代謝産物のいずれも)(例えば対照生物学的試料と比較された、若しくは前立腺癌が寛解した患者と比較された前立腺癌生物学的試料に関するバイオマーカー)を同定するためにT検定を使用して分析した。定義可能な集団又は亜集団における他の分子(周知の命名された代謝産物又は命名されていない代謝産物のいずれも)も同定された。
データは、ランダムフォレスト分析を使用しても分析された。ランダムフォレストは、新規データセット中の個々のデータがいかに良く既存の群に分類されうるかの推定をもたらす。ランダムフォレスト分析は、実験単位及び化合物の連続的なサンプリングに基づいて一連の分類木を作成する。次いで各観察結果は、全分類木からの多数決に基づいて分類される。統計において分類木は、変数(この場合変数は代謝産物又は化合物である)の組合せに基づいて観察結果を群に分類する。木を作成するために使用されるアルゴリズムには多数のバリエーションがある。木アルゴリズムは、2群間で最も大きな分割をもたらす代謝産物(化合物)を探索する。これはノードを作る。次いで各ノードで、最良の分割をもたらす代謝産物が使用され、以下同様である。ノードが改善されない場合、次にそのノードで停止し、そのノードにおける全ての観察結果を多数群として分類する。
ランダムフォレストは、多数の(例えば数千)木に基づいて分類する。化合物のサブセット及び観察結果のサブセットは、各木を作成するために使用される。木を作成するために使用した観察結果はインバッグ(in−bag)試料と称され、残りの試料はアウトオブバッグ(out−of−bag)試料と称される。分類木はインバッグ試料から作成され、アウトオブバッグ試料はこの木から推定される。観察結果についての最終分類を得るために、各群についての「投票」をそれがアウトオブバッグ試料であった回数に基づいて計数する。例えば、観察結果1が2,000の木によって「対照」と分類されたが、3,000の木によって「疾患」と分類されたと想定する。「多数者の勝ち」を基準として使用して、この試料は「疾患」と分類される。
ランダムフォレストの結果を混同行列に要約する。列は真の分類に対応し、行はランダムフォレストからの分類に対応する。したがって、対角要素が正しい分類を示す。2つの群については偶然により50%の誤りが生じ、3つの群については偶然により66.67%の誤りが生じるなど。「アウトオブバッグ」(OOB)誤差率は、ランダムフォレストモデルを使用して新規観察結果がどれだけ正確に予測されうるかの推定を与える(例えば、試料が罹患対象由来又は対照対象由来のいずれであるか)。
どの変数が最終分類においてより「重要」であるかを確認することも興味深い。「重要度プロット」は、それらの重要度に関して順位付けられた最上位の化合物を示す。重要度を順位付けるための異なる基準が存在するが、一般的な概念は、重要な変数を排除することは重要度がより低い変数よりも正確度においてより大きな低下を生じるということである。最も重要な同定されたバイオマーカーを表3A、3B、5A、5B、7A及び7Bに示す。
C.バイオマーカー同定
統計的に有意と同定されたものを含む、分析(例えば、GC−MS、LC−MS、MS−MS)において同定された種々のピークを質量分析に基づく化学的同定プロセスに供した。
(例1)
バイオマーカーは、(1)試料中の代謝産物のレベルを決定するために、ヒト対象の異なる群由来の組織試料を分析するステップ、及び次いで(2)2つの群において異なって存在した代謝産物を決定するために結果を統計的に分析するステップ、によって発見された。
分析に使用した組織試料は、癌細胞を含まない前立腺組織の切片由来の癌不含有組織である(すなわち、癌性前立腺由来で、癌性細胞を含まないと決定された)61個の対照組織、器官限局性(T_OC)前立腺癌腫瘍(すなわち、悪性度がより低い前立腺癌)由来の46個の前立腺組織試料及び非器官限局性(T_NOC)前立腺癌腫瘍(すなわち、高悪性度前立腺癌)由来の25個の前立腺組織試料であった。代謝産物のレベルを測定した後、データを単変量T検定(すなわち、ウェルチのT検定)を使用して分析した。
T検定を2つの集団間(すなわち、前立腺癌(T)対対照(C)、高悪性度(T_NOC)前立腺癌対低悪性度(T_OC)前立腺癌)及び高悪性度前立腺癌の隣接組織(N_NOC)対低悪性度前立腺癌対照の隣接組織(N_OC))の代謝産物の平均レベルにおける差異を決定するために使用した。
バイオマーカー
下の表1A及び1Bに列挙するとおり、1)前立腺癌腫瘍及び、癌性細胞を含まないと決定された対照前立腺組織(すなわち、患者から取り出した癌性前立腺由来の癌性細胞不含有前立腺組織の切片)、2)悪性前立腺腫瘍(すなわち非器官限局性である腫瘍、NOC)及び低悪性度前立腺腫瘍(すなわち器官限局性である腫瘍、OC)、並びに3)NOC癌腫瘍又はOC癌腫瘍に隣接する非癌組織を使用するNOC癌とOC癌との間、由来の組織試料間で異なって存在したバイオマーカーを発見した。研究は、非器官限局性(NOC)前立腺腫瘍を有する25の対象及び器官限局性(OC)前立腺癌腫瘍を有する46の対象から回収した組織を含んだ。
表1A及び1Bは、列挙された各バイオマーカーに関して、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値及びq値、並びに対照平均レベルと比較した癌試料の平均レベルの比(表1A及び1B、列3〜5)、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値及びq値、並びに低悪性度前立腺癌に隣接した非癌組織(N_OC)平均レベルと比較した高悪性度前立腺癌に隣接した非癌組織(N_NOC)の平均レベルの比(表1A及び1B、列6〜8)、並びにバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値及びq値、並びに低悪性度前立腺癌由来の癌腫瘍(T_OC)平均レベルと比較した高悪性度前立腺癌由来の癌腫瘍(T_NOC)平均レベルの平均レベルの比(表1A及び1B、列9〜11)を含む。表において使用される用語「同重体」は、分析で使用した分析プラットフォームでは相互に識別できなかった化合物(すなわち、ほぼ同時に溶出され、類似の(時には正確に同じ)クアントイオンを有し、したがって識別できない同重体の化合物)を示す。













結果を表1A及び1Bに要約するために315個のバイオマーカーを同定した。これらの内206個のバイオマーカーは腫瘍(T)と腫瘍に隣接する非癌組織(C)との間で統計的に有意に異なっており、131個のバイオマーカーは高悪性度腫瘍(T_NOC)と低悪性度腫瘍(T_OC)との間で有意に異なると同定され、86個のバイオマーカーは高悪性度癌腫瘍に隣接する非癌組織(N_NOC)と低悪性度癌腫瘍に隣接する非癌組織(N_OC)との間で有意に異なると同定された。低悪性度癌(T_OC)である腫瘍と比較して高悪性度癌(T_NOC)である腫瘍において統計的に有意に変化するバイオマーカーの内、34個のバイオマーカーが10%〜30%増加又は減少し、49個のバイオマーカーが30%〜50%増加又は減少し、37個のバイオマーカーが50%〜100%増加又は減少し、及び12個のバイオマーカーが>100%増加又は減少する。百分率変化の範囲は、10%〜239%である。偽発見率は5%以下であった(すなわち、q≦0.05)。
(例2)組織試料の分類に関するランダムフォレスト分析
組織試料に関して例1で得られたデータをランダムフォレストモデルを作成するために使用した。ランダムフォレスト分析は、例1の組織試料から得られたデータについてそれらを対照、非癌組織(C)、器官限局性腫瘍(T_OC)(すなわち低悪性度)又は非器官限局性腫瘍(T_NOC)(すなわち高悪性度癌)として分類するために実施した。
器官限局性腫瘍組織と比較する非癌、対照組織のランダムフォレスト分類によって正確度83%(表2)が達成されたことが見出された。群を有効に分離する同定されたバイオマーカー化合物の表を表3A及び3Bに示す。
ランダムフォレスト分析に基づく診断パラメーターは、正確度=83%;感度=82、特異度=83、陽性的中率(PPV)=83、陰性的中率(NPV)=82及び曲線下面積(AUC)=0.87である。
低悪性度、器官限局性腫瘍(T_OC)及び高悪性度、非器官限局性腫瘍(T_NOC)由来の組織のランダムフォレスト分析は、正確度66%をもたらした。結果を表4に示す。遺伝子型を有効に分離する命名されたバイオマーカーの表を表5に示す。
ランダムフォレスト分析に基づく診断パラメーターは、正確度=66%;感度=63%、特異度=72%、陽性的中率(PPV)=81%、陰性的中率(NPV)=50%及び曲線下面積(AUC)=0.73である。
ランダムフォレスト分析を高悪性度癌腫瘍に隣接する非癌組織(N_NOC)及び低悪性度癌腫瘍に隣接する非癌組織(N_OC)由来の組織試料を分類するためにも実施した。この分析は、2つの組織型の62%正確な分類をもたらした。ランダムフォレスト分析の結果を表6に示し、遺伝子型を有効に分離する命名されたバイオマーカーの表を表7A及び7Bに示す。
ランダムフォレスト分析に基づく診断パラメーターは、正確度=62%;感度=63、特異度=60、陽性的中率(PPV)=74、陰性的中率(NPV)=47及び曲線下面積(AUC)=0.71である。
(例3)悪性癌を除外するために有用なバイオマーカー
本発明者らは、悪性癌を除外するために例1で同定したバイオマーカーの能力を調査した。本発明者らは、バイオマーカーアドレネート(22:4n6)をこの考えを検討するために選択した。アドレネートのレベルを、高悪性度(すなわちNOC)癌を有する19の対象及び低悪性度(すなわちOC)癌を有する47の対象において測定した。再帰分割分析は、アドレネートのレベルに基づいてNOC癌を有する19対象のうち19が正確に分類され、47のOCの対象の内26が正確に分類されたことを示す。感度は100%であり、特異度は55%であり、AUCは0.74である。結果を図1に示す。これらのバイオマーカーを、DRE T1又はT2及びグリーソンスコア6〜7を有する対象において癌の悪性度を評価するために使用した場合、約40%(26/66)を悪性形態の癌を有するとして除外できた。
(例4)バイオマーカーは臨床的ノモグラムに付加価値を与える
現在臨床医らは、PCa腫瘍悪性度を決定するためにPSA、生検グリーソンスコア及びDRE段階などの臨床パラメーターを利用している。この方法は、グリーソン範囲6〜7についてはあまり正確ではない。本発明者らは、悪性及び非悪性の疾患を有するこれらのさらなる層別化を支援するために代謝産物バイオマーカーを加えることの効果を評価した。公表された文献によると臨床パラメーターに関するパーティンノモグラムは、非器官限局性癌(すなわち低悪性度癌)の決定を0.68〜0.73のAUCを有して実行する。本発明者らは、パーティンノモグラムを使用して例1に記載の対象を評価した。本発明者らのデータセットにおいて0.71のAUCを得たパーティン確率は、文献と一致した。
次いで本発明者らは、まず予備除外試験を加えることの効果を検査し、次いで残りの記録(除外されなかったもの)についてパーティンノモグラムを実施した。例1に記載したデータセットにおいて、グリーソンスコア6〜7を有する対象についてのパーティン確率についてAUC=0.65。トップランダムフォレストトップヒットバイオマーカーをグリーソンスコア6〜7を有する対象について使用してAUC=0.72。アドレネートを使用したグリーソンスコア6〜7の対象について、まず除外試験として例3に記載のトップランダムフォレストトップヒットバイオマーカーを使用し、次いでパーティン確率を残りの記録に使用してAUCは0.83に増加した。これらの結果は、本発明において同定したバイオマーカーが前立腺癌を評価するために現在使用されている臨床ツールの性能を改善できることを示す。
(例5)DRE尿バイオマーカー
前立腺癌を有する対象を前立腺癌を有さない対象から鑑別する直腸診(DRE)後に対象から回収した尿中でバイオマーカーを同定した。尿は、DRE後に対象(16対象は前立腺癌を有し、8対象は前立腺癌を有さない)から回収し、コニカル遠心分離チューブに移し、尿液体から尿沈降物を分離するために遠心分離にかけた。一般的方法に記載したGC−MS及びLC−MS/MSを使用して存在する小分子を測定するために代謝産物を沈降物ペレットから抽出した。前立腺癌を有する対象由来の尿沈降物において測定した小分子プロファイルを前立腺癌を有さない対象由来の尿沈降物において測定した小分子プロファイルと、前立腺癌に関するバイオマーカーである小分子を同定するために比較した。癌の存在と関連し、有用な癌バイオマーカーであるバイオマーカーを同定した。癌を有する対象を癌を有さない対象から鑑別する同定されたバイオマーカーを下の表8に列挙する。

前立腺癌を予測するこれらのバイオマーカーの診断パラメーターは:感度81%;特異度88%;PPV 93%;NPV 70%であった。個々のバイオマーカー代謝産物は、AUC範囲0.73から0.84で癌を非癌から鑑別した。代表的なバイオマーカーについてのボックスプロットグラフを図3に示す。
本発明者らは、これらのバイオマーカーが前立腺癌サブタイプを鑑別するために有用であったことを決定した。本発明者らは前立腺癌バイオマーカーのレベルが、対象を前立腺癌群又は非前立腺癌群に分類する明確なサインを作るだけでなく、前立腺癌対象を癌サブグループに分類するために有用なバイオマーカーサインも作ることを示した。バイオマーカー及びバイオマーカーサインを図4に示す。
(例6)癌悪性度を決定するための組織パネルバイオマーカー
前立腺癌に関するバイオマーカーを前立腺組織において同定した。研究コホートを表9に記載する。代謝産物を、癌を含有する前立腺組織試料又は癌を含有しない前立腺組織試料から抽出し、一般的方法において記載のとおりGC−MS及びLC−MS/MSを使用して存在する小分子を測定した。前立腺癌バイオマーカーを同定するために、前立腺癌腫瘍において測定した小分子プロファイルを非癌前立腺組織において測定した小分子プロファイルと比較した。
前立腺組織において同定された、癌を有する対象を癌を有さない対象から鑑別するバイオマーカーを下の表10に列挙する。
もはや前立腺器官に限局していない前立腺癌は(つまり器官限局性では無い場合(N_OC))、前立腺に限局している前立腺癌(つまり器官限局性である場合(OC))よりもより悪性であると考えられる。非器官限局性前立腺癌は、より高いグリーソンスコア(GS)、リンパ節(LN)における癌細胞の検出、被膜外浸潤(ECE)を有する腫瘍、及び精嚢浸潤(SVI)を伴う。本発明者らは、一般的方法において記載のとおりGC−MS及びLC−MS/MSを使用して、これらそれぞれの悪性度指標を有する癌腫瘍の小分子プロファイルを測定することによって、悪性度指標のこれらの種類それぞれについての指標となるバイオマーカーを同定した。得られた小分子プロファイルをバイオマーカーを同定するために非腫瘍及び非悪性癌腫瘍由来の小分子プロファイルと比較した。検査コホートにおいて同定されたバイオマーカーを受信者動作特性(ROC)曲線を使用して評価し、曲線下面積(AUC)を対象の新規コホートを使用して悪性度指標それぞれについて決定した。
バイオマーカー、プトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン及びN−アセチルプトレシンは、被膜外浸潤(ECE)を伴う前立腺癌腫瘍を有する対象を示す有用なバイオマーカーであった。AUCは0.84であった。
バイオマーカー、プトレシン、グリセロール−2−ホスフェート及びグリシルバリンは、浸潤した精嚢を伴う前立腺癌腫瘍を有する対象を示す有用なバイオマーカーであった。AUCは0.75であった。
バイオマーカー、ホスホエタノールアミン、プトレシン、スペルミジンは、リンパ節(LN)における癌細胞の検出を伴う前立腺癌腫瘍を有する対象を示す有用なバイオマーカーであった。AUCは0.73であった。
バイオマーカー、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、ラクテート及びスペルミジンは、より高いグリーソンスコアを伴う癌腫瘍を同定するために有用なバイオマーカーであった。AUCは0.73であった。
(例7)前立腺癌再発のバイオマーカー
5年以内に再発する前立腺癌を有する個体を決定するために有用であった、前立腺癌再発の指標となるバイオマーカーを同定した。癌再発率は、癌腫瘍悪性度の指標である。バイオマーカーのレベルを、前立腺癌を有する対象において最初に測定し、癌悪性度に関するバイオマーカーとなるかを決定した。バイオマーカーは、前立腺癌について治療されたことがあり、前立腺切除術を受けた対象の独立コホートにおいて測定した。この群の61の前立腺癌対象の内、33の対象は5年以内に前立腺癌は再発せず、28の対象は5年以内に前立腺癌が再発した。癌腫瘍組織において測定したバイオマーカー、プトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/又はホスホエタノールアミンのレベルに基づいて、対象が非悪性癌腫瘍又は悪性癌腫瘍を有すると予測した。表11に示すとおり、5年以内に再発した28の癌腫瘍のうち25がバイオマーカーを使用して悪性と分類され、33の非再発腫瘍のうち14が悪性と分類された。
バイオマーカーは、5年癌再発率を予測するために有用であった。バイオマーカーは、前立腺癌対象において5年以内の前立腺癌再発率を感度89%、特異度58%、PPV 65%及びNPV 86%で予測した。
同じ対象を現在使用されている臨床Hanノモグラムを使用して評価した。Hanノモグラムを使用して、27の対象のうち23の5年癌再発は、再発と正しく分類された。ノモグラムは33の対象のうち7だけを非再発と正しく予測した。Hanノモグラムの結果を表12に示す。HanノモグラムについてのROC曲線を図5に示す。本発明のバイオマーカーの性能とは対照的に、Hanノモグラムは、感度85%、特異度22%、PPV 47%及びNPV 64%を有した。5年癌再発を伴う対象を予測するための本発明のバイオマーカーの性能は、現在臨床で標準的なHanノモグラムのそれより優れていた。
本発明のバイオマーカー及びHanノモグラムの性能特性を表13に示す。
本発明は、詳細にその特定の実施形態を参照して記載されているが、種々の変更及び改変が本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされうることは当業者に明らかである。

Claims (38)

  1. 試料中の低グレード前立腺癌及び/又は高グレード前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、
    対象が低グレード若しくは高グレード前立腺癌のいずれを有するかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、高グレード前立腺癌から鑑別する低グレード前立腺癌陽性基準レベル、及び/又は低グレード前立腺癌から鑑別する高グレード前立腺癌陽性基準レベルと比較するステップと
    を含む、前立腺癌を有する対象において低グレード前立腺癌を高グレード前立腺癌から鑑別する方法。
  2. 1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、5A、5B、7A、7B及び/又は10から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 生物学的試料が前立腺組織であり、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 1つ又は複数のバイオマーカーが表10から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 1つ又は複数のバイオマーカーがプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/又はホスホエタノールアミンから選択される、請求項4に記載の方法。
  6. バイオマーカー代謝産物がプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン及び/又はN−アセチルプトレシンから選択される、請求項5に記載の方法。
  7. バイオマーカーがプトレシン、グリセロール−2−ホスフェート及び/又はグリシルバリンから選択される、請求項5に記載の方法。
  8. バイオマーカーがホスホエタノールアミン、プトレシン及び/又はスペルミジンから選択される、請求項5に記載の方法。
  9. バイオマーカーがスクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、ラクテート及び/又はスペルミジンから選択される、請求項5に記載の方法。
  10. バイオマーカーがプトレシン、ラクテート、5,6−ジヒドロウラシル、10−ノナデセノエート、NAD+、スペルミン、N−アセチルプトレシン、スクシニルカルニチン、3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクテート、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、スペルミジン、グリセロール−2−ホスフェート、グリシルバリン及び/又はホスホエタノールアミンから選択される、請求項5に記載の方法。
  11. 試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、
    対象が前立腺癌を有するかどうかを診断するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップと
    を含む、対象が前立腺癌を有するかどうかを診断する方法。
  12. 1つ又は複数のバイオマーカーが、0.05未満のp値を有する表1A及び/若しくは1Bにおけるバイオマーカー並びに/又は0.10未満のq値を有する表1A及び/若しくは1Bにおけるバイオマーカーから選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B及び8から選択される、請求項11に記載の方法。
  14. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される2つ以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  15. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される3つ以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  16. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される4つ以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  17. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される5つ以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  18. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される10以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  19. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される15個以上のバイオマーカーのレベルを決定するために、生物学的試料を分析するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  20. 生物学的試料が前立腺組織であり、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される、請求項11に記載の方法。
  21. 生物学的試料が前立腺組織であり、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B及び/又は10から選択される、請求項11に記載の方法。
  22. 生物学的試料が尿であり、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される、請求項11に記載の方法。
  23. 1つ又は複数のバイオマーカーが表8から選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 生物学的試料がDRE尿試料である、請求項23に記載の方法。
  25. 試料が質量分析法、ELISA及び抗体結合からなる群から選択される1つ又は複数の技術を使用して分析される、請求項11に記載の方法。
  26. 試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択されるステップと、
    対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定するために、試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップと
    を含む、対象が前立腺癌を発症する素因を有するかどうかを決定する方法。
  27. 試料中の前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、1つ又は複数のバイオマーカーが表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択され、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、
    1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が第二の時点で対象から得られるステップと、
    対象中の前立腺癌の進行/退縮をモニターするために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップと
    を含む、対象における前立腺癌の進行/退縮をモニタリングする方法。
  28. 第一の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)、第二の試料中の1つ若しくは複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)並びに/又は第一及び第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)の比較結果を、1つ又は複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル及び/又は前立腺癌陰性基準レベルと比較するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  29. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、組成物で現在治療されている又は以前に治療された対象由来の生物学的試料を分析するステップと、
    試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を、(a)対象から予め採取された生物学的試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベルであって、予め採取された生物学的試料が、組成物で治療される前に対象から得られたものである、レベル、(b)1つ若しくは複数のバイオマーカーの前立腺癌陽性基準レベル、及び/又は(c)1つ若しくは複数のバイオマーカーの前立腺癌陰性基準レベル、と比較するステップと
    を含む、前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法。
  30. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップであって、第一の試料が第一の時点で対象から得られるステップと、
    対象に組成物を投与するステップと、
    1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップであって、第二の試料が組成物の投与後の第二の時点で対象から得られるステップと、
    前立腺癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップと
    を含む、前立腺癌の治療における組成物の有効性を評価するための方法。
  31. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第一の組成物で現在治療されている又は以前治療された第一の対象由来の第一の生物学的試料を分析するステップと、
    1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、前立腺癌を有し、第二の組成物で現在治療されている又は以前治療された第二の対象由来の第二の生物学的試料を分析するステップと、
    前立腺癌を治療するための第一及び第二の組成物の相対的有効性を評価するために、第一の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を第二の試料中の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)と比較するステップと
    を含む、前立腺癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法。
  32. 1つ又は複数の細胞を組成物と接触させるステップと、
    表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を決定するために、1つ若しくは複数の細胞の少なくとも一部又は細胞に関連する生物学的試料を分析するステップと、
    組成物が1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)を調節したかどうかを決定するために、1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)をバイオマーカーについての所定の標準レベルと比較するステップと
    を含む、前立腺癌の1つ又は複数のバイオマーカーを調節する活性について組成物をスクリーニングするための方法。
  33. バイオマーカーについての所定の標準レベルが、組成物の非存在下での1つ又は複数の細胞における1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)である、請求項32に記載の方法。
  34. バイオマーカーについての所定の標準レベルが、組成物と接触していない1つ又は複数の対照細胞における1つ又は複数のバイオマーカーのレベル(単数又は複数)である、請求項32に記載の方法。
  35. in vivoで実施される、請求項32に記載の方法。
  36. in vitroで実施される、請求項32に記載の方法。
  37. 表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される前立腺癌に関する1つ又は複数のバイオマーカーに関連する1つ又は複数の生化学的経路を同定するステップと、
    同定された1つ又は複数の生化学的経路の少なくとも1つに影響するタンパク質を同定するステップであって、タンパク質が前立腺癌に対する潜在的薬物標的であるステップと
    を含む、前立腺癌に対する潜在的薬物標的を同定するための方法。
  38. 前立腺癌で低下している、表1A、1B、3A、3B、5A、5B、7A、7B、8及び/又は10から選択される1つ又は複数のバイオマーカーの有効量を対象に投与するステップを含む、前立腺癌を有する対象を治療するための方法。
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