JP2023547657A - トリフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

トリフルオロエチレンの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であってi)該触媒を還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む、該触媒を活性化するステップ、及びii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、を含み、該ステップi)の間に、触媒床の温度を、0.5℃/分未満の温度勾配で、温度T1からT1より高い温度T2まで上昇させることを特徴とする、方法に関する。

Description

本発明は、ヒドロフルオロオレフィンの製造方法に関する。特に、本発明は、クロロトリフルオロエチレンの水素化分解によるトリフルオロエチレン(VF)の製造方法に関する。
VFなどのフッ素化オレフィンは既知であり、注目すべき特性、特に優れた耐薬品性及び良好な耐熱性を示すフルオロカーボンポリマーを製造するための、モノマー又はコモノマーとして使用される。
トリフルオロエチレンは、標準の圧力及び温度条件下のガスである。この生成物の使用に関連する主なリスクは、他のハロゲン化オレフィンから類推して、その可燃性、その生成物が安定化されていない場合の自己重合の傾向、その化学的不安定性による爆発性、及び過酸化に対するその想定される感受性に関する。トリフルオロエチレンは、爆発下限界(LEL)が約10%、爆発上限界(UEL)が約30%であり、極めて可燃性であるという際立った特徴を有する。しかし、主な危険は、酸素の非存在下でも、エネルギー源の存在下の特定の圧力条件下で激しく及び爆発的に分解するVFの傾向に関連する。
上記の主なリスクを考えると、VFの合成及びまた貯蔵は特定の問題を引き起こし、これらの方法全体にわたって厳しい安全規則が課される。トリフルオロエチレンの既知の調製経路は、出発物質として、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及び水素を触媒の存在下及び気相中で使用する。気相中及び第VIII族の金属をベースとする触媒の存在下で、大気圧及び比較的低温におけるCTFEの水素化分解によるトリフルオロエチレンの製造方法がWO2013/128102より既知である。
国際公開第2013/128102号
第1の態様によれば、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
i)該触媒を還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む、該触媒を活性化するステップ、及び
ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
を含み、
該ステップi)の間に、触媒床の温度を、0.5℃/分未満の温度勾配で、温度T1からT1より高い温度T2まで上昇させることを特徴とする、方法に関する。活性化中に適用される温度勾配は、触媒の早期分解の防止を可能にし、したがって水素化分解反応のより良好な収率又はより良好な生産性を与える。0.5℃/分より大きい温度勾配で触媒を活性化すると、効率がより低い方法、即ちトリフルオロエチレンのより不十分な生産性につながることが認められた。
好ましい実施形態によれば、温度T1は、0℃~150℃、有利には0℃~120℃、好ましくは0℃~100℃、より優先的には10℃~100℃、特に20℃~100℃、より詳細には20℃~75℃、良好には20℃~50℃である。
第1の態様によれば、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
i)該触媒を還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む、該触媒を活性化するステップ、及び
ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
を含み、該ステップi)の間に、該触媒床の温度を、温度T1からT1より大きい温度T2まで増分ずつ上昇させることを特徴とする、方法にも関する。
したがって、本方法によって、連続的な増分による加熱を用いる触媒を活性化する本ステップのおかげで、クロロトリフルオロエチレンを水素化分解してトリフルオロエチレンを得るための反応の効率の改善が可能となる。特に、水素化分解反応(ステップii))の生産性は、活性化ステップi)によって著しく改善される。
好ましい実施形態によれば、ステップi)において、2つの増分の間で、温度は0.5℃/分未満の温度勾配で上昇する。2つの増分の間に適用される温度勾配は、触媒の早期分解の防止を可能にし、したがって水素化分解反応のより良好な収率又はより良好な生産性を与える。
好ましい実施形態によれば、ステップi)は、90℃~120℃の温度T1aにて少なくとも1つの増分を含む。
好ましい実施形態によれば、各増分は、5分~24時間、好ましくは30分~10時間続く。
好ましい実施形態によれば、温度T2は、150℃~400℃である。
特定の実施形態によれば、還元剤は、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C-Cアルカン及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物からなる群から、好ましくは水素及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物から、特に水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン又はそれらの混合物から選択される。
第1の態様によれば、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
i)該触媒を活性化するステップ、及び
ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
を含み、該ステップi)が、該触媒を、クロロトリフルオロエチレン及び任意に水素を含むガス流と接触させることを含むことを特徴とする、方法にも関する。
好ましい実施形態によれば、該ステップi)の間に、触媒床の温度を、温度T1’からT1’より高い温度T2’まで上昇させる。好ましくは、触媒床の温度を、0.5℃/分未満の温度勾配で温度T1’からT1’より高い温度T2’まで上昇させる。
好ましい実施形態によれば、触媒床の温度を、接触時間を増加させることによって上昇させ、接触時間は、反応器の入口における、標準リットル/秒での該ガス流の総流量に対する、リットルでの触媒の体積の比であるとして計算される。
好ましい実施形態によれば、ステップii)は温度T3にて行われ、温度T2’はステップii)が行われる温度T3よりも低い。
第2の態様によれば、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
a)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、触媒の存在下で、気相中で及び触媒床の温度T3にて行われる、クロロトリフルオロエチレンと水素とを反応させるステップ、
b)ステップa)で使用した触媒を再生するステップ、
c)ステップb)で再生された触媒を使用してステップa)及びb)を繰り返すステップ、
を含み、ステップb)が、90℃~300℃の触媒床の温度T4にて及び水素の存在下で、好ましくは90℃~250℃の触媒床の温度T4にて、より優先的には90℃~200℃、特に90℃~175℃、より詳細には90℃~150℃の触媒床の温度T4にて行われることを特徴とする、方法に関する。
好ましい実施形態によれば、ステップa)の触媒床の温度とステップb)の触媒床の温度との間の温度差ΔT(ΔT=T3-T4)は、絶対値で0~50の間、好ましくは0~20の間である。
好ましい実施形態によれば、ステップa)の前に、好ましくは本発明の第1の態様によるステップi)に記載されるように、触媒を活性化するステップが行われる。
好ましい実施形態によれば、方法は、T4より高い温度T5、好ましくは230℃より高い温度T5、特に250℃より高い温度T5での該触媒の熱処理のステップd)も含む。
好ましい実施形態によれば、該触媒は、好ましくは担体、特にアルミニウム系担体上に堆積された周期表の第8族~第10族の金属をベースとする触媒である。
第3の態様によれば、本発明は、触媒を含む少なくとも1つの触媒床を各々が備えた2つの反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
-第1の反応器において、トリフルオロエチレンを含む流れを製造するために、触媒の存在下及び気相中で行われる、クロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
-第2の反応器において、該触媒を熱処理するステップ、
を含む方法に関する。
好ましい実施形態によれば、該反応ステップ及び該熱処理ステップは、該2つの反応器の各々で交互に行われる。
好ましい実施形態によれば、該熱処理ステップは、本発明の第1の態様によるステップi)に記載されるように触媒を活性化するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップb)に記載されるように触媒を再生するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップd)による熱処理である。
反応ステップが反応器において行われる、本発明の特定の実施形態による方法を行うための装置を概略的に示す。 触媒の活性化又は再生のステップが、温度T1~T1aの窒素の存在下で反応器において行われる、本発明の特定の実施形態による方法を行うための装置を概略的に示す。 触媒の活性化又は再生のステップが、温度T1a~T2の水素の存在下で反応器において行われる、本発明の特定の実施形態による方法を行うための装置を概略的に示す。 触媒の活性化又は再生のステップが、温度T1a~T2のクロロトリフルオロエチレンの存在下で反応器において行われる、本発明の特定の実施形態による方法を行うための装置を概略的に示す。 再生ステップ及び反応ステップが交互に行われ、再生ステップが水素の存在下で行われる、本発明の特定の実施形態による、方法を行うための2つの反応器を含む装置を概略的に示す。 再生ステップ及び反応ステップが交互に行われ、再生ステップがハロ炭化水素の存在下で行われる、本発明の特定の実施形態による、方法を行うための2つの反応器を含む装置を概略的に示す。 再生ステップ及び反応ステップが交互に行われる、本発明の別の特定の実施形態による、方法を行うための2つの反応器を含む装置を概略的に示す。
好ましい実施形態によれば、本出願に記載された本発明による方法は、連続的に行われる。
好ましい実施形態によれば、本出願に記載される方法のいずれか1つにおいて、水素は無水形態である。
好ましい実施形態によれば、本出願に記載される方法のいずれか1つにおいて、クロロトリフルオロエチレンは無水形態である。
無水水素及び/又はクロロトリフルオロエチレンの存在下での本発明による方法の実施により、触媒の寿命を延長すること、したがって方法の全体的な生産性を効果的に向上させることができる。無水のという用語は、検討中の化合物の総重量に対して1000ppm未満、有利には500ppm、好ましくは200ppm未満、特に100ppm未満の水の重量含有量を指す。
好ましくは、触媒は、元素周期表の8列目から10列目までの金属をベースとする。特に、触媒はPd、Pt、Rh及びRuからなる群から選択される金属、好ましくはパラジウムを主成分とする。好ましくは、触媒は担持されている。担体は、好ましくは活性炭、アルミナ、カルシウムカーボネート及びグラファイトからなる群から選択される。好ましくは、担体はアルミニウムを主成分とする。特に、担体はアルミナである。したがって、触媒は、より詳細には、アルミナ担持パラジウムである。
アルミナは、α-アルミナであることができる。好ましくは、アルミナは、少なくとも90%のα-アルミナを含む。アルミナがα-アルミナである場合、水素化分解反応の転化率が向上することが認められた。
好ましくは、パラジウムは、触媒の総重量に対して0.01重量%~5重量%、好ましくは触媒の総重量に対して0.1重量%~2重量%に相当する。
触媒の活性化(ステップi))
実施形態(1)
第1の実施形態によれば、触媒を活性化するステップは、該触媒を還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む。好ましくは、ステップi)の間に、触媒床の温度を温度T1から温度T2に上昇させる。特に、該ステップi)の間、触媒床の温度を0.5℃/分未満の温度勾配で、温度T1からT1より高い温度T2に上昇させる。適用される温度勾配によって、触媒の早期分解を防止することが可能となり、したがって水素化分解反応のより良好な収率又はより良好な生産性が与えられる。特に、温度を0.45℃/分未満、又は0.40℃/分未満、又は0.35℃/分未満、又は0.30℃/分未満、又は0.25℃/分未満、又は0.20℃/分未満、又は0.15℃/分未満、又は0.10℃/分未満、又は0.05℃/分未満の温度勾配で上昇させる。
温度T1は、活性化ステップの初期温度である。この温度T1は、周囲温度であることができる。又は、温度T1は0℃~150℃、有利には0℃~120℃、好ましくは0℃~100℃、より優先的には10℃~100℃、特に20℃~100℃、より詳細には20℃~75℃、良好には20℃~50℃であることができる。
温度T2は、活性化相中に到達される温度である。温度T2は、有利には150℃~400℃、好ましくは155℃~375℃、より優先的には160℃~350℃、特に165℃~325℃、より詳細には170℃~320℃、良好には175℃~310℃、より良好には180℃~300℃である。好ましい実施形態によれば、温度T2は、有利には185℃~290℃、好ましくは190℃~280℃、より優先的には195℃~270℃、特に200℃~260℃である。
温度T2は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間、良好には1時間~25時間維持することができる。温度T2は、5分~24時間、好ましくは10分~20時間、特に15分~15時間、より詳細には30分~10時間、良好には1時間~10時間維持することができる。
上述のように、ガス流は、還元剤、不活性ガス又はこれら2つの混合物を含むことができる。特定の実施形態によれば、還元剤は、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C-Cアルカン及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物からなる群から、好ましくは水素、C-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物から、特に水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン又はそれらの混合物から選択される。
不活性ガスは、窒素又はアルゴン、好ましくは窒素であり得る。
ステップi)の間に使用されるガス流は、好ましくは酸素を含まない。
好ましくは、ステップi)は、触媒1グラム当たり0.01molを超える、好ましくは触媒1グラム当たり0.05を超える量の還元剤を用いて行うことができる。特に、ステップi)は、触媒1グラム当たり0.01~10molの間、好ましくは触媒1グラム当たり0.05~5molの間の還元剤の量で行うことができる。
実施形態(2)
第2の実施形態によれば、触媒を活性化するステップは、該触媒を還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む。好ましくは、ステップi)の間、触媒床の温度は、温度T1から温度T2まで増分ずつ上昇する。触媒を増分ずつ活性化することにより、触媒の性能を高めることができる。増分を実施することにより、触媒の劣化を防止することができる。増分間の温度上昇が、触媒を活性化するための通常の条件と比較して緩やかで比較的遅い場合、触媒の特性がさらに改善されることも認められている。
したがって、好ましくは、ステップi)において、2つの増分の間で、温度を0.5℃/分未満の温度勾配で上昇させる。2つの増分の間に適用される温度勾配は、触媒の早期分解の防止を可能にし、したがって水素化分解反応のより良好な収率又はより良好な生産性を与える。特に、温度を0.45℃/分未満、又は0.40℃/分未満、又は0.35℃/分未満、又は0.30℃/分未満、又は0.25℃/分未満、又は0.20℃/分未満、又は0.15℃/分未満、又は0.10℃/分未満、又は0.05℃/分未満の温度勾配で上昇させる。
温度T1は、活性化ステップの初期温度である。この温度T1は、周囲温度であることができる。又は、温度T1は0℃~150℃、有利には0℃~120℃、好ましくは0℃~100℃、より優先的には10℃~100℃、特に20℃~100℃、より詳細には20℃~75℃、良好には20℃~50℃であることができる。
温度T2は、活性化相中に到達される温度である。温度T2は、有利には150℃~400℃、好ましくは155℃~375℃、より優先的には160℃~350℃、特に165℃~325℃、より詳細には170℃~320℃、良好には175℃~310℃、より良好には180℃~300℃である。好ましい実施形態によれば、温度T2は、有利には185℃~290℃、好ましくは190℃~280℃、より優先的には195℃~270℃、特に200℃~260℃である。
温度T2は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間、良好には1時間~25時間維持することができる。温度T2は、5分~24時間、好ましくは10分~20時間、特に15分~15時間、より詳細には30分~10時間、良好には1時間~10時間維持することができる。
触媒を活性化するステップi)は、温度T1と温度T2との間に少なくとも1つの増分を含有する。触媒を活性化するステップi)は、温度T1と温度T2との間のいくつかの増分を含むことができる。好ましくは、ステップi)は、90℃~120℃の温度T1aにて少なくとも1つの増分を含む。触媒の寿命を延ばすためには、90℃~120℃の増分の存在が好ましいはずである。ステップi)は、温度T1とT1aとの間及び/又は温度T1aとT2との間に1つ以上の増分を含むこともできる。
好ましくは、温度T1と温度T2との間の各増分は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間続くことができる。特に、温度T1と温度T2との間の各増分は、5分~24時間、好ましくは10分~20時間、特に15分~15時間、より詳細には30分~10時間続くことができる。特に、温度T1aにおける増分は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間続くことができる。好適には、温度T1aにおける増分は、5分~24時間、好ましくは10分~20時間、特に15分~15時間、より詳細には30分~10時間続くことができる。
上述のように、ガス流は、還元剤、不活性ガス又はこれら2つの混合物を含むことができる。特定の実施形態によれば、還元剤は、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C-Cアルカン及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物からなる群から、好ましくは水素若しくはC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物から、特に水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン又はそれらの混合物から選択される。
不活性ガスは、窒素又はアルゴン、好ましくは窒素であり得る。
ステップi)の間に使用されるガス流は、好ましくは酸素を含まない。
ステップi)の間に使用されるガス流は、経時的に異なることができる。例えば、ガス流は、2つの増分の間に不活性ガスを含むことができ、例えば、2つの他の増分の間に還元剤を含むことができる。特に、ステップi)が温度T1とT1aとの間で行われる場合、ガス流は不活性ガスを含み、ステップi)が温度T1aとT2との間で行われる場合、ガス流は上で定義したように還元剤、好ましくは水素又はC-C10ハロ炭化水素を含む。したがって、ステップi)の間に使用されるガス流は、温度T1aにて行われる増分の間に変更される。
又は、ガス流は、任意に窒素などの不活性ガスと混合された、ステップi)の全体を通して上で定義したような水素又はC-C10ハロ炭化水素などの還元剤を含むことができる。該増分の温度T1aと温度T2との間の温度上昇中に、窒素などの不活性ガスと任意に混合された、上記で定義したような水素又はC-C10ハロ炭化水素などの還元剤の使用は、生産性に関して追加の利点を示すことが認められた。
上述したように、温度T2はある期間にわたって維持される。温度T2におけるこの増分の間に、ガス流を変更することができる。したがって、ガス流は、温度T2における増分の間に、上で定義したような水素又はC-C10ハロ炭化水素を含むことができる。特に、ガス流は、温度T2における増分の間に、水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン又はジフルオロエタンを含むことができる。
好ましくは、ステップi)は、触媒1グラム当たり0.01を超える、好ましくは触媒1グラム当たり0.05を超える量の還元剤を用いて行うことができる。特に、ステップi)は、触媒1グラム当たり0.01~10molの間、好ましくは触媒1グラム当たり0.05~5molの間の還元剤の量で行うことができる。
実施形態(3)
第3の実施形態によれば、触媒を活性化するステップi)は、該触媒を、クロロトリフルオロエチレン及び任意に水素を含むガス流と接触させることを含む。クロロトリフルオロエチレン(CTFE)によって、特に水素のみがまた存在する場合に、触媒を活性化できることが認められている。これにより、トリフルオロエチレンの製造方法を改善することができる。CTFEの存在下での活性化によって、より低温での触媒の活性化が可能となり、したがってよりエネルギー消費の少ない方法が提供される。活性化中の還元剤も後続の反応のための反応物の1つであるため、方法はさらに簡略化される。
好ましくは、この実施形態では、ステップi)は、100℃未満の温度T2’で行われる。この温度T2’は、低い温度勾配を使用して温度T1’から到達することができる。したがって、該ステップi)の間、触媒床の温度を温度T1’からT1’より高い温度T2’に上昇させる。触媒床の温度を、好ましくは温度T1’からT1’より高い温度T2’に、0.5℃/分未満の温度勾配で上昇させる。適用される温度勾配によって、触媒の早期分解を防止することができ、したがって水素化分解反応のより良好な収率又はより良好な生産性が与えられる。特に、温度を0.45℃/分未満、又は0.40℃/分未満、又は0.35℃/分未満、又は0.30℃/分未満、又は0.25℃/分未満、又は0.20℃/分未満、又は0.15℃/分未満、又は0.10℃/分未満、又は0.05℃/分未満の温度勾配で上昇させる。
好ましくは、触媒床の温度は、反応器の入口における、標準リットル/秒での該ガス流の総流量に対する、リットルでの触媒の体積の比であるとして計算される、接触時間を増加させることによって上昇させる。接触時間は、1~60秒、好ましくは5~45秒、特に10~30秒、より詳細には15~25秒である。
温度T1’は、0℃~50℃、有利には10℃~50℃、好ましくは20℃~50℃であることができる。
好ましくは、温度T2’は、ステップii)が行われる温度T3よりも低い。温度T3は、好ましくは100℃~180℃、より優先的には100℃~160℃、特に120℃~160℃である。
水素化分解反応(本発明の第1の態様によるステップii)又は本発明の第2の態様によるステップa))
本発明は、上述のように、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)と水素との水素化分解反応のステップ(ステップii)又はステップa))を含む。水素化分解ステップは、触媒の存在下及び気相中で行われる。水素化分解ステップは、好ましくは該活性化触媒の存在下及び気相中で行われる。
水素化分解ステップは、気相中及び該触媒、好ましくは活性化触媒の存在下で、水素、CTFE及び任意に窒素などの不活性ガスを同時に導入することに存する。触媒床の温度T3は、反応器のジャケット内の伝熱流体の循環によって制御される。伝熱流体の温度は、目標温度T3に応じて適応させる。
温度T3は、好ましくは100℃~180℃、より優先的には100℃~160℃、特に120℃~160℃である。
S/CTFEモル比は、0.5/1~2/1の間、好ましくは1/1~1.2/1の間である。窒素などの不活性ガスがステップii)に存在する場合、窒素/Hモル比は0/1~2/1の間、好ましくは0/1~1/1の間である。
ステップii)は、好ましくは0.05MPa~0.2MPaの圧力、特に大気圧で行われる。
触媒のリットルでの体積の、反応器の入口における、標準リットル/秒でのガス混合物の総流量に対する比として計算される接触時間は、1~60秒、好ましくは5~45秒、特に10~30秒、より詳細には15~25秒である。
本方法の水素化分解ステップは、トリフルオロエチレンを含む流れAの生成をもたらす。該流れAはまた、未反応水素及び未反応CTFEを含むことができる。流れAは、水素化分解反応の副生成物としてトリフルオロエタン及び/又はクロロトリフルオロエタンも含むことができる。
流れAは、HCl及びHFも含むことができる。好ましくは、流れAは、ガス形態で反応器出口にて回収される。好ましくは、流れAは、水素化分解反応器の出口にてHCl及びHFを除去するために処理される。流れAをスクラビングカラム内の水に通過させて、続いてNaOH又はKOHなどの希釈塩基でスクラブ洗浄する。ガス混合物Bを形成する未変換の反応物(H及びCTFE)、希釈用窒素(存在する場合)及び反応生成物(VF、143、133及び他の有機生成物)からなるガス混合物の残りは、微量のスクラビング水を除去するために乾燥機に誘導される。乾燥は、カルシウム、ナトリウム又はマグネシウムのサルフェート、カルシウムクロリド、カリウムカーボネート、シリカゲル又はゼオライトなどの生成物を使用して行うことができる。一実施形態では、シリポライトなどのモレキュラーシーブ(ゼオライト)が乾燥に使用される。このように乾燥された流れBは、吸収のために、大気圧にて及び周囲温度を下回る、好ましくは10℃未満、さらにより好ましくは-25℃の温度にて、1~4個の炭素原子を含むアルコール、好ましくはエタノールの存在下での吸収/脱着によって、混合物B中に存在する他の生成物の残りから水素及び不活性物質を分離するステップに供される。一実施形態では、有機物の吸収は、-25℃に冷却したエタノールを用いた向流カラムで行われる。エタノールの流量は、吸収される有機物の流量に応じて調整される。この温度にてエタノールに不溶性である水素及び不活性ガスは、吸収カラム頂部で除去される。続いて蒸留するために、エタノールをその沸点まで加熱する(脱着)ことによって、有機物をガス混合物Cの形態で続いて回収する。
純トリフルオロエチレン(VF)を混合物Cから続いて蒸留して、他の有機生成物(混合物Dを形成する、CTFE、F143、F133及び他の有機物)から分離する。他の有機化合物を含む混合物Dは、カラム底部で回収される。第2のカラムでの該混合物Dの蒸留によって、カラム頂部で未変換のCTFEを回収及び再利用して、この第2のカラムの底部における反応の副生成物を除去することができる。
触媒の再生(ステップb))
好ましくは、ステップb)における再生は、90℃~300℃の触媒床の温度T4にて水素の存在下で、好ましくは90℃~250℃、より優先的には90℃~200℃、特に90℃~175℃の触媒床の温度T4にて、より詳細には90℃~150℃の触媒床の温度T4で行われる。
ステップb)を行うことにより、再生前の初期収率と比較して反応収率を向上させることができる。特に、ステップb)を低温、例えば90℃~200℃又は90℃~175℃又は90℃~150℃にて行うことにより、触媒の活性に有害な化合物を脱着させることができ、及び/又は触媒の構造を変更する相転移を制限することができる。
好ましい実施形態によれば、ステップa)の触媒床の温度とステップb)の触媒床の温度との間の温度差ΔT(ΔT=T3-T4)は、絶対値で0~50である。有利には、温度差ΔTは、0~45、好ましくは0~40、特に0~35、より詳細には0~30、好都合には0~25、好都合には0~20、優先的に好都合には0~15、特に好都合には0~10である。本方法によって、水素化分解反応と触媒再生の両方を低温で行えるようになる。このことは大幅なエネルギー節約を表す。上述のように、低温再生によって、ステップa)の初期収率を向上させることができ、初期収率と一致するだけではない。
好ましくは、ステップb)は、1時間~500時間、好ましくは1時間~400時間、特に1時間~300時間、より詳細には1時間~200時間の期間行うことができる。
上述のように、ステップb)は水素の存在下で行われる。触媒を再生するステップb)は、好ましくは酸化剤の非存在下で、より詳細には酸素を含有する流れの非存在下で行われる。本明細書で言及する酸素は、純粋な酸素若しくは空気、又は酸素及び窒素を含有する混合物を指す。実際、ステップb)の間に酸化剤が存在すると、触媒の構造が変更され得て、より高い温度でステップa)を行うことが必要となる。したがって、本ステップb)は、任意に不活性ガスと混合された水素からなる流れの存在下での触媒の再生からなることができる。本ステップb)は、水素流の存在下での単一ステップでの触媒の再生からなることができる。
熱処理(ステップd)
好ましい実施形態によれば、方法は、T4より高い温度T5、好ましくは200℃より高い、有利には230℃より高い、好ましくは250℃より高い、特に300℃より高い温度T5における該触媒の熱処理のステップd)も含む。ステップd)は、ステップa)で得られた生産性又は転化率に応じて定期的に行うことができる。好ましくは、ステップd)は、ステップa)、b)及びc)を数回繰り返した後にステップa)に続く。ステップd)を行った後、ステップa)、b)及びc)を繰り返す。
ステップd)は、好ましくは、該触媒を還元剤、不活性ガス又はこれら2つの混合物を含むガス流と接触させることからなる。還元剤は、本発明の第1の態様において上で定義したとおりである。
ステップd)は、本発明によるステップi)について記載されるように、触媒床の温度を増分ずつ上昇させることによって行うことができる。したがって、ステップd)は、温度T6から開始してT6よりも高い温度T6aにて少なくとも1つの増分に達し、次いで温度T6aを上昇させて温度T5に達するよう行うことができる。
好ましくは、ステップd)において、触媒床の温度は、0.5℃/分未満の温度勾配で上昇させる。特に、温度は、0.45℃/分未満、又は0.40℃/分未満、又は0.35℃/分未満、又は0.30℃/分未満、又は0.25℃/分未満、又は0.20℃/分未満、又は0.15℃/分未満、又は0.10℃/分未満、又は0.05℃/分未満の温度勾配で上昇させる。
温度T5は、有利には200℃~300℃、好ましくは205℃~295℃、より優先的には210℃~290℃、特に215℃~290℃、より詳細には220℃~285℃、好ましくは225℃~280℃、より好ましくは230℃~280℃である。又は、温度T5は、300℃~450℃、好ましくは300℃~400℃であることができる。
温度T5は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間、好ましくは1時間~25時間維持することができる。
好ましくは、ステップd)において、温度T6は一般に周囲温度である。又は、温度T6は、周囲温度と50℃であることができる。
ステップd)は、好ましくは、90~120℃の温度T6aで少なくとも1つの増分を含む。
好ましくは、温度T6と温度T5との間の各増分は、5分~200時間、好ましくは10分~100時間、特に15分~75時間、より詳細には30分~50時間続く。
ステップd)の前に、方法は、触媒床を冷却するステップを含むことができる。したがって、触媒温度は、ステップd)の熱処理の初期温度である、温度T6におけるステップa)の間の触媒床の温度である、温度T3だけ低下させることができる。
上述のように、ガス流は、還元剤、不活性ガス又はこれら2つの混合物を含むことができる。特定の実施形態によれば、還元剤は、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C-Cアルカン及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物からなる群から、好ましくは水素若しくはC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物から、特に水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン又はそれらの混合物から選択される。
不活性ガスは、窒素又はアルゴン、好ましくは窒素であり得る。
好ましくは、ガス流は酸素を含まない。
好ましくは、ステップd)で使用されるガス流は、ステップi)で使用されるものと同じである。
例えば、ガス流は、2つの増分の間に不活性ガスを含むことができ、例えば、2つの他の増分の間に還元剤を含むことができる。特に、ステップd)が温度T6とT6aとの間で行われる場合、ガス流は不活性ガスを含み、ステップd)が温度T6aとT5との間で行われる場合、ガス流は上で定義したように還元剤、好ましくは水素又はC-C10ハロ炭化水素を含む。したがって、ステップd)の間に使用されるガス流は、温度T6aにて行われる増分の間に変更される。又は、ガス流は、任意に窒素などの不活性ガスと混合された、ステップd)の全体を通して上で定義したような水素又はC-C10ハロ炭化水素などの還元剤を含むことができる。該増分の温度T6aと温度T5との間の温度上昇中に、上記で定義したような水素又はC-C10ハロ炭化水素などの還元剤を使用することは、生産性の点で大きな利点となることが認められている。
好ましくは、ステップd)は、触媒1グラム当たり0.01を超える、好ましくは触媒1グラム当たり0.05を超える量の還元剤を用いて行うことができる。特に、ステップd)は、触媒1グラム当たり0.01~10molの間、好ましくは触媒1グラム当たり0.05~5molの間の還元剤の量で行うことができる。
本発明の第1及び第2の態様
上述のように、第1の態様によれば、本発明はトリフルオロエチレンの製造方法に関する。該方法は、触媒を含む触媒床を備えた反応器において行われる。方法は、実施形態(1)~(3)のいずれか1つによる触媒を活性化するステップ(ステップi))、及びトリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、触媒、好ましくは活性化触媒の存在下で、気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ(ステップb)を含む。
上述のように、第2の態様によれば、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器においてトリフルオロエチレンを製造する方法であって、
a)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、触媒の存在下で、気相中で、触媒床の温度T3にて行われる、クロロトリフルオロエチレンと水素とを反応させるステップ、
b)ステップa)で用いた触媒を再生するステップ、
c)ステップb)で再生された触媒を使用してステップa)及びb)を繰り返すステップを含み、好ましくは、本発明のこの態様では、ステップb)の再生は、90℃~300℃の触媒床の温度T4にて、水素の存在下で行われる、方法に関する。
好ましい実施形態によれば、ステップa)の前に、好ましくは実施形態(1)~(3)のいずれか1つによる上記ステップi)で説明したように、触媒を活性化するステップが行われる。
したがって、好ましくは、本発明は、触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
-好ましくはステップi)の実施形態(1)~(3)のいずれか1つによる、該触媒を活性化するステップと、
-トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、活性化触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ(ステップii)又はa))、
-好ましくは90℃~300℃の触媒床の温度T4にて、水素の存在下で、触媒を再生するステップ(ステップb))、
-再生触媒を使用して反応及び再生ステップを繰り返すステップ(ステップc))、
-任意に、触媒の熱処理ステップ(ステップd))、
を含む方法を提供する。
図1、図2、図2a及び図2bは、本発明の第1の態様又は第2の態様による本発明の特定の実施形態を示す。
図1は、水素化分解反応ステップ中に本発明による方法を行うための装置を概略的に示す。反応器3は触媒床4を備え、弁2b及び1b並びに管1a及び2aを介してクロロトリフルオロエチレン2及び水素1が供給される。水素とCTFEとの間の反応が行われる一実施形態(本発明の第1の態様のステップii)又は本発明の第2の態様のステップa))では、弁1b及び2bは、反応器3にCTFE 2及び水素1を供給できるように構成されている。水素化分解反応から生じるガス(流れA)は、管3’によって反応器3から排気される。弁5は、HF又はHClなどの酸を除去するために、管6を介して流れAを処理するための装置7に供給する。処理装置7は、塩形成を制限できるようにする、水若しくは水酸化ナトリウム、又は2つの組み合わせ(最初に水を使用してスクラブ洗浄し、次いで水酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液でスクラブ洗浄する)を含有するスクラビングカラムであり得る。この水性処理又は塩基性処理の残留物は、8で除去される。ガス混合物の残りを含む流れBは、流れB中に存在する有機化合物から水素及び不活性ガスを分離する目的で、管9を介して第1の精製装置10に供給する。流れBは、分離の前にモレキュラーシーブで脱水することができる。精製装置10は、大気圧及び周囲温度より低い温度にて、エタノールの存在下で吸収/脱着ステップを実施する。水素及び不活性ガス(存在する場合)は、配管12を介して弁1b及び反応器3に再循環される。続いて、エタノールをその沸点まで加熱すること(脱着)によって、有機物をガス混合物Cの形態で回収する。流れCは、管11を介して第2の精製装置13に供給する。装置13は、好ましくは蒸留カラムである。トリフルオロエチレンは、蒸留カラム14の頂部で回収される。CTFEを含む他の有機化合物は、蒸留カラムの底部で回収され、混合物Dを形成する。後者は、管15aを介して弁2b及び反応器3に再循環されるCTFEを回収するために、管15を介して第3の精製装置13a、好ましくは蒸留カラムに供給する。CTFEから分離された他の有機化合物は、例えば、焼却炉又は不純物回収装置14aに送られる。
図2は、触媒の活性化又は再生の段階中に本方法を行うための装置を示す。反応器3は、触媒床4を備える。この特定の実施形態では、触媒床には、弁1dを介して不活性ガス1c(窒素など)が供給される。再生又は活性化から生じるガスは、管3’を介して反応器3から排気される。弁5は、再生又は活性化ガスを焼却炉又はガスを回収するための装置16に移送する。再生又は活性化ガスは、任意に、精製(水及び水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液でのスクラブ洗浄)後に再循環され得て、モレキュラーシーブで脱水することができる。例えば、活性化ステップの場合、触媒床4の温度は、温度T1からT1aまで上昇することができる。増分T1aが維持されている間、反応器に水素1を供給するために、弁1dが閉じ、弁1bが開かれている。次いで、触媒床4の温度を温度T1aからT2に上昇させる。これを図2aに示す。又は、増分T1aを維持しながら、反応器にクロロトリフルオロエチレンを供給するために、弁1dが閉じ、弁2bが開かれている。次いで、触媒床4の温度を温度T1aからT2に上昇させる。これを図2bに示す。
本発明の第3の態様
第3の態様によれば、本発明は、触媒を含む少なくとも1つの触媒床を各々が備えた2つの反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
-第1の反応器において、トリフルオロエチレンを含む流れを製造するために、触媒の存在下及び気相中で行われる、クロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
-第2の反応器において、該触媒を熱処理するステップ、
を含む方法に関する。
好ましい実施形態によれば、該反応ステップ及び該熱処理ステップは、該2つの反応器の各々で交互に行われる。
好ましい実施形態によれば、該熱処理ステップは、本発明の第1の態様によるステップi)に記載されるように触媒を活性化するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップb)に記載されるように触媒を再生するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップd)に記載された熱処理である。
本発明のこの第3の態様におけるクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップは、本発明の第1の態様のステップii)又は本発明の第2の態様によるステップa)に記載の反応ステップに相当する。
図3は、本発明の第3の態様による方法を行うための反応器を2個備える装置を概略的に示す。装置は、2個の反応器3a及び3bを備え、反応器が触媒を含む触媒床4a及び4bをそれぞれ備える。図示の実施形態では、反応器3aは製造モードにあり、即ち反応器は水素によるCTFEの水素化分解のための反応を行っている。反応器3bは熱処理モードにあり、即ち反応器は、本発明の第1の態様によるステップi)に記載の触媒を活性化するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップb)に記載の触媒を再生するステップ、又は本発明の第2の態様によるステップd)に記載の熱処理を行っている。反応器3aは触媒床4aを備え、クロロトリフルオロエチレン2及び水素1が弁2b及び1aを介して供給される。弁1a及び2bは、反応器3aにCTFE 2及び水素1を供給できるように構成されている。水素化分解反応から生じるガス(流れA)は、管3a’によって反応器3aから排気される。弁5aは、HF又はHClなどの酸を除去するために、管6を介して流れAを処理するための装置7に供給する。処理装置7は、水又は水酸化ナトリウムを含有するスクラビングカラムとすることができる。この水性処理又は塩基性処理の残留物は、8で除去される。ガス混合物の残りを含む流れBは、流れB中に存在する有機化合物から水素及び不活性ガスを分離する目的で、管9を介して第1の精製装置10に供給する。流れBは、分離の前にモレキュラーシーブで脱水することができる。精製装置10は、大気圧及び周囲温度より低い温度にて、エタノールの存在下で吸収/脱着ステップを実施する。水素及び不活性ガスは、配管12を介して弁1a及び反応器3aに再循環される。続いて、エタノールをその沸点まで加熱すること(脱着)によって、有機物をガス混合物Cの形態で回収する。流れCは、管11を介して第2の精製装置13に供給する。装置13は、好ましくは蒸留カラムである。トリフルオロエチレンは、蒸留カラム14の頂部で回収される。CTFEを含む他の有機化合物は、蒸留カラムの底部で回収され、混合物Dを形成する。後者は、管15aを介して弁2b及び反応器3aに再循環されるCTFEを回収するために、管15を介して第3の精製装置13a、好ましくは蒸留カラムに供給する。CTFEから分離された他の有機化合物は、例えば焼却炉に送られる。反応器3bには、弁1bを介して水素1が供給され、及び/又は弁1dを介して不活性ガス1c(例えば窒素)が供給される。水素1又は不活性ガス1cの供給は、活性化又は再生ステップを行えるようにするために、弁1b及び1dによって容易に調節される。反応器3bで行われる触媒の熱処理から生じるガス流は、管3b’を介して回収され、弁5bを介して焼却炉又は回収装置16に送られる。
行われる熱処理がステップi)による又はステップd)による処理による活性化である場合、還元剤は、例えば本出願で定義されるハロ炭化水素であることができる。この場合、反応器3bには、弁1fを介して還元剤1eが供給される。これを図4に示す。この場合、弁1bは、反応器3bに水素を供給しないように構成されている(図4)。又は、ハロヒドロカルバンがCTFEである場合、これは弁2bを介して反応器3bに供給することができる。
図5は、反応器3bが製造モードにある、即ち、本出願に記載されるように、気相中及び触媒の存在下でCTFEの水素化分解のための反応を行っている実施形態を示す。したがって、反応器3bには、弁2bを介してCTFE 2が供給され、弁1bを介して水素が供給される。この場合、反応器3aは触媒熱処理モードである。この特定の実施形態では、反応器3aには、弁1aを介して水素が供給され、弁1dを介して不活性ガス1cが供給される。各ガスのフィードは、本出願で説明するように、必要に応じて経時的に調節される。したがって、反応器3bの出口において、反応ガス(即ち流れA)は、管3b’及び管6を介して装置7に送られる。弁5bは、この目的のために構成されている。流れAは、上記のように処理される。反応器3aの出口において、ガスは、この目的のために構成された弁5aを介して焼却炉又は回収装置16に送られる。
[実施例1]
触媒(0.2%のα-アルミナ担持パラジウム)25cmを、長さ1200mm、直径25mmのステンレス鋼管からなり、ジャケットを備えた管状反応器に導入する。このように投入された触媒を続いて、以下の方法で活性化した。反応管を管炉に入れ、水素流(触媒1グラム当たり0.05~0.1mol)を供給した。次いで、触媒床を0.2℃/分の温度勾配で200℃~250℃の温度まで加熱した。この活性化期間の後、管を周囲温度まで冷却し、次いで、水素化分解試験ベンチに設置するために切り離した。反応器に1mol/時のCTFE及び1mol/時の水素を供給した。反応器に不活性ガス(この例では窒素)を供給することも可能である。触媒床の温度は100℃~130℃であった。接触時間は、反応物の標準リットル/秒での流量の合計に対する、触媒のリットルでの体積の比として計算され、約22秒であった。反応及び反応器の出口で得られたガスの精製の後、トリフルオロエチレンの生産性は18g/時であった。
[実施例2](比較)
0.7℃/分の温度勾配で実施例1を再現した。反応及び反応器の出口で得られたガスの精製の後、トリフルオロエチレンの生産性は7.5g/時未満であった。
[実施例3]本発明による再生
この実施例では、実施例1の装置を使用する。触媒を実施例1と同様に活性化した。反応器に1mol/時のCTFE及び1mol/時の水素を供給した。反応器に不活性ガス(この例では窒素)を供給することも可能である。触媒床の温度は100℃~130℃であった。接触時間は、反応物の標準リットル/秒での流量の合計に対する、触媒のリットルでの体積の比として計算され、約22秒であった。生産性は約18.5g/時であった。100時間後、触媒を水素流(CTFE流の停止)下、90℃~150℃の温度で48時間再生した。次いで、反応器に1mol/時のCTFE及び1mol/時の水素を供給した。反応及び反応器の出口で得られたガスの精製の後、トリフルオロエチレンの生産性は25g/時であった。

Claims (20)

  1. 触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって
    i)前記触媒を、還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む、前記触媒を活性化するステップ、及び
    ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された前記触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
    を含み、前記ステップi)の間に、前記触媒床の温度を、0.5℃/分未満の温度勾配で、温度T1からT1より高い温度T2まで上昇させることを特徴とする、方法。
  2. 温度T1が、0℃~150℃、有利には0℃~120℃、好ましくは0℃~100℃、より優先的には10℃~100℃、特に20℃~100℃、より詳細には20℃~75℃、良好には20℃~50℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって
    i)前記触媒を、還元剤、不活性ガス又はそれらの混合物を含むガス流と接触させることを含む、前記触媒を活性化するステップ、及び
    ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された前記触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
    を含み、前記ステップi)の間に、前記触媒床の温度を、温度T1からT1より高い温度T2まで増分ずつ上昇させることを特徴とする、方法。
  4. ステップi)において、2つの増分の間で、温度を0.5℃/分未満の温度勾配で上昇させることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. ステップi)が、90℃~120℃の温度T1aにて少なくとも1つの増分を含むことを特徴とする、請求項3及び4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 各増分が5分~24時間、好ましくは30分~10時間続くことを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 温度T2が、150℃~400℃であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記還元剤が、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C-Cアルカン及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物からなる群から、好ましくは水素及びC-C10ハロ炭化水素又はそれらの混合物から、特に水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエタン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
    i)前記触媒を活性化するステップ、及び
    ii)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、ステップi)で活性化された前記触媒の存在下及び気相中でクロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
    を含み、前記ステップi)が、前記触媒を、クロロトリフルオロエチレン及び任意に水素を含むガス流と接触させることを含むことを特徴とする、方法。
  10. ステップi)の間に、前記触媒床の温度を、温度T1’からT1’より高い温度T2’まで上昇させ、好ましくは、前記触媒床の温度を、0.5℃/分未満の温度勾配で温度T1’からT1’より高い温度T2’まで上昇させることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記触媒床の温度を、前記反応器の入口における標準リットル/秒での前記ガス流の総流量に対する、リットルでの触媒の体積の比であるとして計算される接触時間を増加させることによって上昇させることを特徴とする、請求項9及び10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ステップii)が、温度T3にて行われ、温度T2’が、ステップii)が行われる前記温度T3よりも低いことを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 触媒を含む触媒床を備えた反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
    a)トリフルオロエチレンを含む流れを生成するために、前記触媒の存在下で、気相中で及び前記触媒床の温度T3にて行われる、クロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
    b)ステップa)で使用した前記触媒を再生するステップ、
    c)ステップb)で再生された前記触媒を使用してステップa)及びb)を繰り返すステップ、
    を含み、ステップb)が、90℃~300℃の前記触媒床の温度T4にて及び水素の存在下で、好ましくは90℃~250℃の前記触媒床の温度T4にて、より優先的には90℃~200℃、特に90℃~175℃、より詳細には90℃~150℃の前記触媒床の温度T4にて行われることを特徴とする、方法。
  14. ステップa)における触媒床の温度とステップb)における前記触媒床の温度との温度差ΔT(ΔT=T3-T4)が、絶対値で、0から50、好ましくは0から20であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. ステップa)の前に、好ましくは請求項1~12のいずれか一項に記載のステップi)に記載されているように、前記触媒を活性化するステップが先行することを特徴とする、請求項13及び14のいずれか一項に記載の方法。
  16. T4より高い温度T5、好ましくは230℃より高い温度T5、特に250℃より高い温度T5における前記触媒の熱処理のステップd)も含むことを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記触媒が、好ましくは担体、特にアルミニウム系担体上に堆積された、周期表の第8族~第10族の金属をベースとする触媒であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 触媒を含む少なくとも1つの触媒床を各々が備えた2つの反応器におけるトリフルオロエチレンの製造方法であって、
    -第1の反応器において、トリフルオロエチレンを含む流れを製造するために、前記触媒の存在下及び気相中で行われる、クロロトリフルオロエチレンを水素と反応させるステップ、
    -第2の反応器における、前記触媒の熱処理のステップ
    を含む、方法。
  19. 前記反応ステップ及び前記熱処理ステップが、前記2つの反応器の各々で交互に行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 前記熱処理ステップが、請求項1~12及び17のいずれか一項に記載のステップi)に記載の触媒を活性化するステップ、又は請求項13~15及び17のいずれか一項に記載のステップb)に記載の触媒を再生するステップ、又は請求項16又は17に記載のステップd)であることを特徴とする、請求項18及び19のいずれか一項に記載の方法。
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