JP2009541425A - 1,2−ジクロロエタンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
今まで、99.8%純度より高いエチレンが普通はDCEの製造のために使用されている。この非常に高い純度のエチレンは、様々な石油製品の熱分解、引き続く分解の他の生成物からエチレンを単離し、そして非常に高い純度の製品を得るための多数の複雑な、費用のかかる分離操作によって得られる。
こうして、エタンの簡略化分解によって製造された99.8%未満の純度を有するエチレンから出発するDCEの様々な製造方法が想定されてきた。
例えば、国際公開第00/26164号パンフレットは、エタンの簡略化分解によって得られたエチレンの塩素化によるDCEの製造方法を記載しており、塩素化は、いかなる他の精製もなくエタンの分解中に得られた不純物の存在下に行われる。
国際公開第03/48088号パンフレットそれ自体は、エタン、エチレンおよび水素をはじめとする不純物を含む画分であって、次に塩素化および/またはオキシ塩素加にかけられる画分の形成をもたらすエタンの脱水素によるDCEの製造方法を記載している。
VCが、エチレンではなくエタンのオキシ塩素化によって得られる方法もまた公知である。かかる方法は、それらが高温で行われるとき、それらが使用される反応体の損失によるあまり良くない選択性と、副生物の分離および破壊のためのコストとをもたらし、かつ、それらがまた腐食性オキシ塩素化媒体中での材料の挙動の問題で特徴付けられることを考えて、今まで工業的応用を見いだしてこなかった。最終的に、それらの成分の漸次蒸発のために使用触媒の挙動に関連した、そしてまた交換器束の低温表面上へのこれらの成分の沈着に関連した問題に通常直面する。
a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つに予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、ガスを場合によりパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の追加処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と
によるエタンの流れから出発するDCEの製造方法に関する。
接触オキシ脱水素にかけられるエタンの流れは、化学的に純粋であってもなくてもよい。使用されるエタンの流れは、メタン、水素、エチレン、酸素、窒素および一酸化炭素などの70vol%以下の他のガスを含有してもよい。
接触オキシ脱水素にかけられるエタンの流れは、市場で入手可能であるものなどのエタン源、また1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つに加えられ、そして工程h)にリサイクルされるエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れ、またはこれら2つの混合物であってもよい。
ODHは、熱分解温度の範囲より下の、650℃より上で800℃以下の温度、または650℃未満以下の温度で行われてもよい。
工程a)が実施される圧力は有利には、少なくとも1、好ましくは少なくとも1.5、特に好ましくは少なくとも2バール絶対である。それは有利には、16バール絶対以下、好ましくは11バール絶対以下、特に好ましくは6バール絶対以下である。
導入される酸素の量は、エタンの量を基準として、有利には0.001〜1モル/モル、好ましくは0.005〜0.5モル/モル、特に好ましくは0.05〜0.3モル/モルである。
こうして、一般に600℃より上の温度で動作する、例えばLi/MgO触媒などの、アルカリ土類金属酸化物をベースとする触媒が挙げられてもよい。ニッケル(Ni)をベースとする触媒も挙げられてもよい。モリブデン(Mo)および/またはバナジウム(V)を含有する触媒が特別な利点を有する。これらの触媒は一般にこれらの元素の酸化物をベースとする。それらは有利には、加えて、例えばCr、Mn、Nb、Ta、Te、Ti、P、Sb、Bi、Zr、Ni、Ce、Al、CaまたはWなどの他の元素を含有する。
VとMo、W、Nb、Ta、Te、Ti、P、Sb、Bi、Zr、Ni、Ce、AlおよびCaから選択された少なくとも1つの他の元素とを含有する混合酸化物が好ましい。
MoおよびV、WおよびVまたはMo、WおよびVの両方を含有する混合酸化物が特に好ましい。
MoおよびVを含有するもののうち、Mo−V−O、Mo−V−Zr−O、Mo−V−Ta−Sb−Zr−O、Mo−V−Ta−Sb−O、Mo−V−Nb−Te−O、Mo−V−Nb−Bi−Ni−O、Mo−V−Nb−Bi−O、Mo−V−Nb−Ni−O、Mo−V−Nb−Sb−Ca−O、Mo−V−Ta−Al−O、Mo−V−Ta−O、Mo−V−Al−O、Mo−V−Sb−O、Mo−V−Nb−OおよびMo−V−Nb−Sbが挙げられてもよい。
WおよびVを含有するもののうち、W−V−O、W−V−Nb−O、およびW−V−Ta−Oが挙げられてもよい。
Ta−Ni−O、Nb−Ni−OおよびNb−Ta−Ni−O触媒もまた使用することができよう。
ODHのために使用される触媒は有利には耐DCE性である。
使用される触媒は、温度調節がこれらのチューブを取り囲むかもしくはそれらを通リ抜ける流体によって得られるように床上にまたはチューブ中にもしくはそれらのチューブの外側に置かれてもよい。
本発明による方法の第2変形によれば、ODHは650℃以下の温度で行われる。
有利には、ODHは次に、600℃以下、好ましくは550℃以下、特に好ましくは500℃以下、より特に好ましくは450℃以下、最も特に好ましくは400℃以下の温度で行われる。200〜400℃の温度が特に有利である。
この場合には、本発明による方法は、多くの欠点の原因である水素を非常に少量発生させるという利点を有する。
この第2変形によれば、有利にはODHにより、例えばプロピレンおよびその分子量がプロピレンのそれより高いオレフィンなどの、3個以上の数の炭素原子を有する重質化合物を好ましくない量で発生させることができなくなる。
本発明による方法の第2変形は第1変形より好ましい。
工程a)で得られたガス混合物は洗浄されてもされなくてもよい。好ましくは、それは洗浄される。工程a)で得られたガス混合物の洗浄は、任意の公知方法によって実施されてもよい。好ましくは、それは、水性、好ましくはアルカリ性洗浄液を使用してか、または非水性液体を使用して実施される。水性洗浄液のうち、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられてもよい。非水性液体のうち、メチルピロリドン、重質油およびメタノールが挙げられてもよい。この操作によって、石炭などの固形分、硫黄化合物、二酸化炭素、エチレンより重質な飽和または不飽和炭化水素、アセチレン、酢酸または塩化水素などの酸化学種、およびアルデヒドが有利に除去される。
行われる場合、洗浄工程と、乾燥工程とはいかなる順に行われてもよい。こうして、ガス混合物を洗浄し、次に乾燥させること、またはそれを乾燥させ、次にそれを洗浄することが可能である。好ましくは、工程a)で得られた前記ガス混合物は洗浄され、次にそれは乾燥させられ、こうして乾燥ガス混合物を生成する。
工程b)の後、乾燥ガス混合物中の水の量は有利には、500容量ppm以下、好ましくは10容量ppm以下、特に好ましくは1容量ppm以下である。
アセチレンは、水素化によって、好ましくは混合物中に存在する水素を用いて有利に除去されてもよい。
この工程は、遅くとも塩素化工程の直前に行われなければならない。それは、工程b)と工程c)との間に、工程c)中にまたは工程d)の直前に行われてもよい。好ましくは、それは工程b)と工程c)との間で行われる。
こうして、乾燥ガス混合物は吸収工程A1にかけられ、そこで前記流れは好ましくはDCEを含有する洗浄剤と接触させられる。
従って、吸収工程A1のために使用することができる洗浄剤は有利には、液体状態でのDCEを含有する。前記洗浄剤中の、他の化合物の存在は、本発明の範囲から決して排除されない。しかしながら、洗浄剤は少なくとも50vol%、より特に少なくとも80vol%、最も特に好ましくは少なくとも95vol%のDCEを含有することが好ましい。
好ましくは、吸収工程A1のために使用される洗浄剤は、場合により新しい洗浄剤を添加した、上述の任意の処理後の、塩素化反応器で形成され、そして脱着工程で抽出されるDCEを場合により含有する、本発明による方法の脱着工程D中に回収された画分F3の全てかもしくは一部からなる。塩素化反応器で形成されたDCEが塩素化出口で塩素化反応器に由来する生成物の流れから単離される場合、特に好ましい方法では、吸収工程A1のために使用される洗浄剤は、新しい洗浄剤(吸収および脱着工程中の洗浄剤の損失を補填するための)を添加した、前述の任意の処理後の、本発明による方法の脱着工程D中に回収された画分F3の全てかもしくは一部からなる。
本質的な利点は、DCEがオキシ塩素化または塩素化中に主に形成される化合物であるので、このDCEの存在が全く問題にならないという事実にある。
吸収塔は有利には塔の内部または外部にある、例えば、少なくとも1つの凝縮器または冷却装置などの関連付属品を備えている。
吸収工程A1が実施される温度は、吸収器または吸収塔の頂部で有利には少なくとも−10、好ましくは少なくとも0、特に好ましくは少なくとも10℃である。それは、吸収器または吸収塔の頂部で有利には60℃以下、好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下である。
吸収器または吸収塔の底部での温度は、少なくとも0、好ましくは少なくとも10、特に好ましくは少なくとも20℃である。それは有利には70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下である。
画分Aはエチレンより軽質な化合物に富む。これらの化合物は一般にメタン、窒素、酸素、水素および一酸化炭素である。
有利には、画分Aは、乾燥ガス混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも85質量%を含有する。有利には、画分Aは、乾燥ガス混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の99.99質量%以下、好ましくは99.95質量%以下、特に好ましくは99.9質量%以下を含有する。
有利には、画分Aは、画分Aの総容量に対して20%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下のエタンを含有する。
画分Aは、画分Aの総容量に対して有利には0.01vol%以下、好ましくは0.005vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物の含有率で特徴付けられる。
画分Aは、画分Aの総容量に対して有利には0.005vol%以下、好ましくは0.002vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
画分Aは、乾燥ガス混合物中に含有されるエチレンの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%を含有する。画分Aは有利には、乾燥ガス混合物中に含有されるエチレンの90%以下、好ましくは80%以下、特に好ましくは60%以下を含有する。
画分F1は有利には、画分F1の総質量に対して少なくとも0.1質量%、好ましくは少なくとも0.3質量%、特に好ましくは少なくとも0.5質量%のエチレンを含有する。画分F1は、画分F1の総質量に対して好ましくは20質量%以下、好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下のエチレンを含有する。
画分F1は有利には、画分F1の総質量に対して少なくとも0.3質量%、好ましくは少なくとも0.8質量%、特に好ましくは少なくとも1質量%のエタンを含有する。画分F1は有利には、画分F1の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは18質量%以下のエタンを含有する。
画分F1は加えて、画分F1の総質量に対して有利には0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
画分F1は、画分F1の総質量に対して有利には1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物の含有率で特徴付けられる。
画分F1は、画分F1の総質量に対して有利には0.005質量%以下、好ましくは0.002質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
塩素化反応は有利には、FeCl3または別のルイス(Lewis)酸などの溶解触媒を含有する液相(好ましくは主にDCE)で実施される。この触媒をアルカリ金属塩化物などの共触媒と有利に組み合わせることが可能である。良好な結果を与えたペアは、FeCl3とLiClとの錯体(リチウムテトラクロロフェラート−オランダ国特許出願第6901398号明細書に記載されている)である。
有利に使用されるFeCl3の量は、液体ストックの1kg当たり約1〜30gのFeCl3である。FeCl3対LiClのモル比は有利には約0.5〜2である。
本発明による塩素化プロセスは有利には30〜150℃の温度で実施される。良好な結果は、圧力にかかわらず沸点より下の温度(サブクール条件下の塩素化)および沸点そのもの(沸騰塩素化)の両方で得られた。
本発明による塩素化プロセスがサブクール条件下の塩素化プロセスであるとき、それは、有利には50℃以上、好ましくは60℃以上、しかし有利には80℃以下、好ましくは70℃以下の温度で、そして有利には1バール絶対以上、好ましくは1.1バール絶対以上、しかし有利には30バール絶対以下、好ましくは25バール絶対以下、特に好ましくは20バール絶対以下の気相での圧力で操作することによって良好な結果を与えた。
塩素は、エチレンのほとんどを転化させるのに十分な量で、そして過剰の未転化塩素の添加を必要とすることなく加えられる。用いられる塩素/エチレン比は好ましくは1.2〜0.8、特に好ましくは1.5〜0.95モル/モルである。
得られた塩素化生成物は主にDCE、そしてまた1,1,2−トリクロロエタンなどの少量の副生物または少量のエタンもしくはメタン塩素化生成物を含有する。
それが行われる場合、塩素化反応器に由来する生成物の流れからの得られたDCEの分離は公知方法に従って実施され、塩素化反応の熱を利用することを一般に可能にする。それはそのとき好ましくは凝縮および気/液分離によって実施される。
こうして、1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れは、前記流れがDCEを含有する洗浄剤と好ましくは接触させられる吸収工程A2にかけられる。
吸収工程A2のために使用される洗浄剤は、任意の起源の新しい洗浄剤、例えば塩素化装置を出る粗DCE、オキシ塩素化装置を出る粗DCEまたは精製されなかったこれら2つの混合物からなってもよい。それはまた、場合により新しい洗浄剤を添加した、予め精製された前記DCEから、または工程c)の記載で下に説明されるような、DCE中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを可能にする任意の処理後の、塩素化反応器で形成され、そして脱着工程で抽出されるDCEを場合により含有する本発明による方法の吸着工程D中に回収された画分F3の全てかもしくは一部からなってもよい。
本質的な利点は、DCEがオキシ塩素化または塩素化中に主に形成される化合物であるので、このDCEの存在が全く問題にならないという事実にある。
吸収塔は有利には塔の内部または外部にある、例えば、少なくとも1つの凝縮器または冷却装置などの関連付属品を備えている。
吸収工程A2が実施される温度は有利には、吸収器または吸収塔の頂部で少なくとも−10、好ましくは少なくとも0、特に好ましくは少なくとも10℃である。それは有利には、吸収器または吸収塔の頂部で60℃以下、好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下である。
吸収器または吸収塔の底部での温度は、少なくとも0、好ましくは少なくとも10、特に好ましくは少なくとも20℃である。それは有利には、70℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下である。
画分F2’は、エタンより軽質な化合物に富む。エタンより軽質な化合物は一般にエチレン、メタン、窒素、酸素、水素および一酸化炭素である。
有利には、画分F2’は、工程e)にかけられた塩素化反応器に由来する生成物の流れ中に含有されるエタンより軽質な化合物の少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも85質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%を含有する。
有利には、画分F2’は、工程e)にかけられた生成物の流れ中に存在するエタンより軽質な化合物の99.99質量%以下、好ましくは99.95質量%以下、特に好ましくは99.9質量%以下を含有する。
有利には、画分F2’は、工程e)にかけられた生成物の流れ中に含有されるエタンの20%以下、好ましくは12%以下、特に好ましくは8%以下を含有する。
有利には、画分F2’は、工程e)にかけられた生成物の流れ中に含有されるエチレンより軽質な化合物の20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下を含有する。
画分F2は有利には、画分F2の総質量に対して少なくとも0.1質量%、好ましくは0.3質量%、特に好ましくは少なくとも0.5質量%のエタンを含有する。画分F2は有利には、画分F2の総質量に対して25質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは18質量%以下のエタンを含有する。
画分F2は、加えて、画分F2の総質量に対して有利には0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
画分F2は、画分F2の総質量に対して有利には1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物の含有率で特徴付けられる。
画分F2は、画分F2の総質量に対して有利には0.005質量%以下、好ましくは0.002質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
塩素化反応器で形成され、その後抽出されるDCEを場合により含有する、脱着工程後に回収された洗浄剤は取り出され、このDCEがオキシ塩素化反応器で形成されたDCEと一緒になるオキシ塩素化部に完全にもしくは部分的に再搬送されても、または場合により前述の処理(工程c))後に、場合により新しい洗浄剤を添加して、本発明による方法の吸収工程の1つに完全にもしくは部分的に再搬送されてもよい。好ましくは、脱着工程後に回収された洗浄剤は、上述の任意の処理後に、場合により新しい洗浄剤を添加して、本発明による方法の吸収工程の1つに、またはオキシ塩素化部に再搬送される。塩素化反応器で形成されたDCEが塩素化出口で塩素化反応器に由来する生成物の流れから単離される場合、特に好ましい方法では、脱着工程後に回収された洗浄剤は、上述の任意の処理後に、場合により新しい洗浄剤を添加して、本発明による方法の吸収工程の1つに完全にまたは部分的に再搬送される。
脱着塔は有利には、塔の内部または外部にある、例えば、少なくとも1つの凝縮器または冷却装置などの関連付属品を備えている。
脱着工程は有利には、少なくとも1、好ましくは少なくとも2、特に好ましくは少なくとも3バール絶対の圧力で実施される。脱着工程は有利には、20バール絶対以下、好ましくは15バール絶対以下、特に好ましくは10バール絶対以下の圧力で実施される。
脱着器または脱着塔の底部での温度は少なくとも60、好ましくは少なくとも80、特に好ましくは少なくとも100℃である。それは有利には200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは150℃以下である。
画分Bは、画分Bの総容量に対して有利には2vol%以上、好ましくは3vol%以上、特に好ましくは4vol%以上のエチレン含有率で特徴付けられる。
画分Bは、画分Bの総容量に対して有利には98vol%以下、好ましくは97vol%以下、特に好ましくは96vol%以下のエタン含有率で特徴付けられる。
画分Bは、画分Bの総容量に対して有利には0.01%以下、好ましくは0.005%以下、特に好ましくは0.001%以下の少なくとも3個の炭素原子を含む化合物を含有する。
画分Bは、加えて、画分Bの総容量に対して有利には0.1vol%以下、好ましくは0.05vol%以下、特に好ましくは0.01vol%以下のアセチレン含有率で特徴付けられる。
画分Bは、画分Bの総容量に対して有利には0.005vol%以下、好ましくは0.002vol%以下、特に好ましくは0.001vol%以下の硫黄化合物の含有率で特徴付けられる。
有利には、画分F3は、画分F3の総質量に対して0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下のエタンを含有する。
有利には、画分F3は、画分F3の総質量に対して0.3質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下のエチレンを含有する。
本発明による方法の工程g)によれば、画分Bはオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどは1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンはオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、それは塩素化反応器で形成されたDCEに場合により加えられる。
金属形態で計算される、マグネシウム含有率は有利には、触媒1kg当たり10〜30g、好ましくは触媒1kg当たり12〜25g、特に好ましくは触媒1kg当たり15〜20gである。
金属形態で計算される、アルカリ金属含有率は有利には、触媒1kg当たり0.1〜30g、好ましくは触媒1kg当たり0.5〜20g、特に好ましくは触媒1kg当たり1〜15gの触媒である。
窒素でBET法に従って測定される、有利には25m2/g〜300m2/g、好ましくは50〜200m2/g、特に好ましくは75〜175m2/gを含む比表面積を有する触媒が特に有利である。
反応体は、任意の公知デバイスによって床へ導入されてもよい。安全上の理由から酸素を他の反応体とは別々に導入することが一般に有利である。また、これらの安全上の理由により、反応器を出るまたはそれにリサイクルされるガス混合物を、該当する圧力および温度で引火性の限度外に保つ必要がある。いわゆる濃混合気、言い換えれば、燃料と比較して点火するのには少なすぎる酸素を含有する混合物を維持することが好ましい。この関連で、水素の豊富な存在(2vol%より多い、好ましくは5vol%より多い)は、この化合物の幅広い引火性範囲を考えると不利となるであろう。
得られた塩素化生成物は主にDCE、およびまた1,1,2−トリクロロエタンなどの少量の副生物を含有する。
オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れからの得られたDCEの分離は、公知方法に従って実施される。それは好ましくは先ず凝縮によって実施される。オキシ塩素化反応器の熱は蒸気状態で一般に回収され、それは分離のために、または任意の他の使用のために使用されてもよい。
オキシ塩素化反応器から出た後、DCEが抽出された、この反応器に由来する生成物の流れはまた有利には、未転化HClを回収するために洗浄される。この洗浄操作は有利にはアルカリ性洗浄工程である。それに好ましくは気/液分離工程が続き、それは液体形態で形成されたDCEを回収し、そして最終的にDCEを乾燥させることを可能にする。ODHに場合によりリサイクルされるガスは冷却によって乾燥させられる。
DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは、任意の工程h)の間、工程a)にリサイクルされてもされなくてもよい。好ましくは、DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは、工程h)の間、工程a)にリサイクルされる。
従って、工程b)〜g)の1つに予め導入されたエタンのさらなる流れは、工程h)にリサイクルされるこの流れに見られてもよい。
同様に、利用可能なエタンの流れが硫黄化合物に富む特殊な場合には、この流れを直接に工程a)へではなく、これらの好ましくない化合物をそれから除去するために、例えば、工程b)へ導入することが有利であるかもしれず、工程c)〜g)を受けた後に、エタンのこの流れは次に工程h)の間ODHにリサイクルされる。
DCEが除去された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは有利には、前記流れの総容量に対して90vol%以下、好ましくは85vol%以下、特に好ましくは80vol%以下のエタン含有率で特徴付けられる。
DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは有利には、前記流れの総容量に対して10vol%以下、好ましくは5vol%以下、特に好ましくは2vol%以下のエチレン含有率で特徴付けられる。
DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは有利には、前記流れの総容量に対して20vol%以下、好ましくは15vol%以下、特に好ましくは10vol%以下の一酸化炭素含有率で特徴付けられる。
DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは有利には、前記流れの総容量に対して40vol%以下、好ましくは35vol%以下、特に好ましくは30vol%以下の二酸化炭素含有率で特徴付けられる。
DCEが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れは有利には、前記流れの総容量に対して10vol%以下、好ましくは5vol%以下の酸素含有率で特徴付けられる。
工程a)へのリサイクリングはこの場合には、ガスの任意のパージ後におよび/または生成物の考慮される流れ中に含有される塩素化生成物(特に微量のDCEおよび/または塩化エチレンなどの他の塩素化生成物)を排除するための任意の追加処理後に行われる。追加処理は、それが行われる場合、活性炭または吸着剤を使用することによって行われてもよい。
ガスのパージか追加処理かのいずれかまたはそれらの両方が行われてもよい。より好ましくは、生成物の流れは、ガスをパージすることなく、そして中に含有される塩素化生成物を排除するためのいかなる追加処理もなしに工程a)にリサイクルされる。
実際、ODH工程a)への生成物のこの流れのリサイクリングは、ODH反応に対する塩素化生成物の有益な触媒効果から恩恵を受けるために興味深いかもしれない。
従って、第1の好ましい形態によれば、本発明による方法は、
a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
f)画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分3が、画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収A1にリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成されたDCEに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが工程a)にリサイクルされる工程と
を特徴とする。
従って、この第2の好ましい形態によれば、本発明による方法は、
a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分3が、画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収A1にリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成されたDCEに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが工程a)にリサイクルされる工程と
を特徴とする。
従って、本発明はまたVCの製造方法に関する。この趣旨で、本発明は、
a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つで予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、場合によりガスをパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の追加処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と、
i)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と
を特徴とするVCの製造方法に関する。
熱分解が実施されてもよい条件は当業者に公知である。この熱分解は有利には、管状炉中気相での反応によって達成される。通常の熱分解温度は400〜600℃に広がり、480℃〜540℃の範囲が好ましい。滞留時間は有利には1〜60秒であり、5〜25秒の範囲が好ましい。DCEの転化率は有利には、副生物の形成および炉パイプの汚れを制限するために45〜75%に制限される。以下の工程は、任意の公知デバイスを使用して、精製VCとオキシ塩素化で好ましくは品質向上されるべき塩化水素とを集めることを可能にする。精製後に、未転化DCEは有利には熱分解炉に再搬送される。
a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つで予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、場合によりガスをパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の追加処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と、
i)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と、
j)PVCを生成するためにVCが重合させられる工程と
を特徴とするPVCの製造方法に関する。
表現「水性分散重合」は、水性懸濁液でのラジカル重合ならびにまた水性エマルジョンでのラジカル重合および水性マイクロサスペンジョンでの重合を意味すると理解される。
表現「水性懸濁液でのラジカル重合」は、分散剤および油溶性ラジカル開始剤の存在下に水性媒体中で行われる任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
表現「水性エマルジョンでのラジカル重合」は、乳化剤および水溶性ラジカル開始剤の存在下に水性媒体中で行われる任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
均質化水性分散系での重合とも呼ばれる、表現「水性マイクロサスペンジョンでの重合」は、油溶性開始剤が使用され、モノマー小滴のエマルジョンが強力な機械撹拌および乳化剤の存在によって調製される任意のラジカル重合法を意味すると理解される。
本発明による方法はまた、DCEが抽出された、オキシ塩素化に由来する生成物の流れをODH工程にリサイクルすることを可能にし、こうしてエチレンへのエタンの転化率の増加を確実にするという利点を有する。さらに、熱分解と比較してODHの中程度の温度を考えると、たとえこのリサイクルされる流れがDCEなどの微量の塩素化有機生成物を含有しても、それらの存在は、800℃より上の熱分解の場合に起こるような材料挙動および腐食問題を引き起こさない。塩素化生成物の存在はさらに、それがODH反応の効率の増大を可能にする限りにおいて有利であるかもしれない。
ODH反応は熱分解より低い温度で行われるので、本発明による方法は有利には、加えて、オリゴマー化による重質化合物の形成がはるかにより低いということを特徴とする。
ODH工程を利用する本発明による方法はまた、エチレン蒸留を必要とするものなどのコストの高い分離を用いることなくODHを通すことによって転化率を制限するという利点を有する。
ODHが650℃以下の温度で行われる、本発明による方法の第2変形は、多くの欠点の原因である水素を非常に少量発生させるという利点を有する。
エタン源1および酸素源2は、その中でODHにかけられるために反応器3へ導入される。エチレン、未転化エタン、水およびODH工程中に生成された二次成分を含有するガス混合物4は、それから水(6)だけでなく副生物を除去するために5で洗浄および乾燥にかけられる。任意の追加精製工程後に、形成された乾燥ガス混合物7は次に、凝縮器を備えた吸収塔8に搬送される。脱着塔9からの洗浄剤は、それぞれ交換器11および11’ならびにポンプ12で冷却され、再加圧された後に、ライン10経由で吸収塔8へ導入される。新しい洗浄剤は、塔9からの洗浄剤にライン13経由で加えられ、パージ13bisは、洗浄剤がその後ライン10に再搬送されるように洗浄剤中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理(図示せず)へ洗浄剤を搬送する。
エチレンに富むDCEを含む画分15は次に、交換器16で再加熱された後に脱着塔9へ導入される。
オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れ25は、凝縮、引き続く洗浄および気/液分離によって、液化した副生物、特に水を伴うDCE24に21bisで分離される。DCE24が抽出されたオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れ26は次に反応器3にリサイクルされる。
エタン源1および酸素源2は、その中でODHにかけられるために反応器3へ導入される。エチレン、未転化エタン、水およびODH工程中に生成された二次成分を含有するガス混合物4は、それから水(6)だけでなく副生物を除去するために5で洗浄および乾燥にかけられる。任意の追加精製工程後に、形成された乾燥ガス混合物7は次に、凝縮器を備えた吸収塔8に搬送される。脱着塔9からの洗浄剤は、それぞれ交換器11および11’ならびにポンプ12で冷却され、再加圧された後に、ライン10経由で吸収塔8へ導入される。新しい洗浄剤は、塔9からの洗浄剤にライン13経由で加えられ、パージ13bisは、洗浄剤がその後ライン10に再搬送されるように洗浄剤中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理(図示せず)へ洗浄剤を搬送する。
1,2−ジクロロエタンが抽出された、塩素化部に由来する生成物の流れ26は、凝縮器を備えた、そして洗浄剤28を供給される吸収塔27へ搬送され、そこでそれは画分15に再搬送されるエタンに富む画分29と、熱的に、化学的にまたは水圧的で価格設定されてもよいエタンより軽質な化合物に富む画分30とに分離される。
エチレンに富むDCEを含む画分15は次に、交換器16’で再加熱された後に脱着塔9へ導入される。
オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れ25は、凝縮、引き続く洗浄および気/液分離によって、液化した副生物、特に水を伴うDCE24に21bisで分離される。DCE24が抽出されたオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れ31は次に反応器3にリサイクルされる。
Claims (11)
- a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つに予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、ガスを場合によりパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と
によるエタンの流れから出発する1,2−ジクロロエタンの製造方法。 - エタン源が少なくとも80vol%のエタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- エタン源が少なくとも98vol%のエタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程a)の接触オキシ脱水素が650℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 工程b)中に、前記ガス混合物が洗浄され、次に乾燥させられ、こうして乾燥ガス混合物を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 吸収A1の工程c)中に、乾燥ガス混合物が1,2−ジクロロエタンを含有する洗浄剤と接触させられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 画分Aが乾燥ガス混合物中に含有されるエチレンより軽質な化合物の少なくとも70質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 画分Bが画分Bの容量に対して2vol%以上のエチレン含有率で特徴付けられる請求項1に記載の方法。
- 工程e)が行われないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つに予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、ガスを場合によりパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と、
i)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と
による塩化ビニルの製造方法。 - a)エタンの流れが接触オキシ脱水素にかけられ、エチレン、未転化エタン、水および二次成分を含有するガス混合物を生成する工程と、
b)前記ガス混合物が場合により洗浄され、そして乾燥され、こうして乾燥ガス混合物を生成する工程と、
c)任意の追加精製工程後に、前記乾燥ガス混合物が、前記ガス混合物を幾らかのエチレンを含有するエチレンより軽質な化合物に富む画分(画分A)と画分F1とに分離することからなる吸収A1にかけられる工程と、
d)画分Aが塩素化反応器に搬送され、そこで画分A中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンに転化され、そして場合により、得られた1,2−ジクロロエタンが塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離される工程と、
e)1,2−ジクロロエタンが場合により抽出された、塩素化反応器に由来する生成物の流れが場合により、前記流れをその後画分F1に搬送して戻されるエタンに富む画分F2と、エタンより軽質な化合物に富む画分F2’とに分離することからなる吸着A2にかけられる工程と、
f)吸収A2の工程e)で回収された画分F2を場合により含有する、画分F1が、画分F1をエチレンに富む画分(画分B)と、塩素化反応器で形成され、予め抽出されなかった場合にはその後抽出される1,2−ジクロロエタンを場合により含有する、画分F3とに分離することからなる脱着Dにかけられ、画分F3が、場合により画分F3中のエタンより重質な化合物の濃度を下げることを目的とした追加処理後に、吸収工程の少なくとも1つにリサイクルされる工程と、
g)画分Bがオキシ塩素化反応器に搬送され、そこで画分B中に存在するエチレンのほとんどが1,2−ジクロロエタンへ転化され、得られた1,2−ジクロロエタンがオキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れから分離され、そして塩素化反応器で形成された1,2−ジクロロエタンに場合により加えられる工程と、
h)1,2−ジクロロエタンが抽出された、工程b)〜g)の1つに予め導入されたエタンのさらなる流れを場合により含有する、オキシ塩素化反応器に由来する生成物の流れが、ガスを場合によりパージされた後におよび/またはその中に含有される塩素化生成物を排除するための任意の処理後に工程a)に場合によりリサイクルされる工程と、
i)得られた1,2−ジクロロエタンが熱分解にかけられ、こうしてVCを生成する工程と、
j)VCが重合させられてPVCを生成する工程と
によるポリ塩化ビニルの製造方法。
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