JP2023540771A - 炎症性腸疾患を治療する方法 - Google Patents

炎症性腸疾患を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、炎症性腸疾患(IBD)を治療及び/又は予防するための、薬学的方法、医薬品組成物、及び医薬品組み合わせに関する。本発明は特に、IBDを治療するための、式(I)の化合物、【化1】JPEG2023540771000018.jpg8496又はその製薬上許容される塩、を含む、方法及び組成物に関する。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月4日に出願されたPCT/CN2020/113466号に対する優先権の利益を主張するものであり、その内容は全ての目的において参照によって本明細書に援用される。
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の治療法、並びにIBDを治療するのに有用な組成物及び医薬に関する。前記方法及び組成物は、式(I)のレニン阻害剤がIBDの症状及び徴候を軽減できることを示すデータに基づいている。
炎症性腸疾患は、多くの場合、クオリティ・オブ・ライフに劇的な影響を与え得る慢性状態である。IBDには、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)が含まれる。十分には理解されていないが、IBDは一般的には、粘膜免疫系の過剰又は異常な活性化を伴うと考えられている。現行のIBD治療法としては、抗炎症性コルチコステロイド、アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン)、免疫経路阻害薬(アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、メトトレキサート、TNF-α阻害薬)などが挙げられる。しかしながら、一部の患者は、これらの利用可能な治療薬に反応せず、一部の患者は、公知の治療レジメンに最初は反応するものの、その後効力が失われる。このようなことから、IBDに対する新規の治療モダリティが依然として求められている。
レニン・アンジオテンシン系(RAS)の活性化によって大腸炎が促されることが最近報告された。Y. Shi, et al., Scientific Reports (Nature) 6, 27552; doi: 10.1038/srep27552 (2016)。活性型レニンを肝臓から過剰発現させるRenTgMKマウスは、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸内点滴注入後の野生型コントロールよりも重度の大腸炎を発症した。RenTgMKマウスは50%超が死亡したが、野生型マウスは全て回復した。また、RenTgMKマウスは、野生型コントロールと比較して、より頑健性の高い粘膜TH17及びTH1/TH17反応と、より重度の結腸上皮細胞アポトーシスも示した。
これらのRenTgMKマウスを、レニン阻害剤であるアリスキレンの腹腔内注射による投与で治療したところ、このRenTgMKマウスにおける誘発性大腸炎は改善されたが、一方で、アリスキレンと同様に血圧を低下させる平滑筋弛緩薬であるヒドララジンによる治療では、大腸炎に影響は認められず、アリスキレン治療による大腸炎の軽減が、アリスキレン及びヒドララジンに共通の降圧効果とは無関係であることが示された。
アリスキレンは、高血圧の治療に承認された最初の直接的なレニン阻害剤である。アリスキレンはその目的で広く使われてきたが、腎毒性の可能性から、糖尿病患者及び腎機能障害患者に対しては一定のリスクとなっている。また、アリスキレンは、たったの2.5%という比較的低い生物学的利用能しか有しておらず(Tekturna(登録商標)(アリスキレン)のラベル)、長々しい直鎖骨格に沿って4つのキラル中心が存在することから合成が複雑かつ高価である。
Shi研究の著者らは、使用された遺伝子導入試験動物がRAS阻害剤の効果を増幅しやすい性質であるため、Shiらのモデル系が通常の代謝条件に必ずしも適用可能ではないことを認めている。著者らは、これらの発見が、内在性RASが「通常の条件」下の大腸炎の発生に関与していることを意味していない可能性もあることを述べている。「RenTgマウスモデルは、基本的には、研究のためにRASの作用を増幅している「人為的な」系である。通常の条件下で内在性RASが大腸炎の発生に関与しているか否かについて取り組む必要がある...したがって、RASの腸炎惹起作用に関する我々の結論を一般化することに対しては、慎重になる必要がある。」(Shi、pp7~8)。
本発明は、式(I)の直接的レニン阻害剤を用いた、新規のIBD治療法及び組成物を提供するものである。この化合物は、アリスキレンよりも優れた生物学的利用能を有し、レニンの阻害剤としてより強力な化合物である。本明細書のデータは、式(I)の化合物が、「正常」な(遺伝的にRAS活性にとりわけ敏感な体質ではない)ラット及びマウスの両方を用いたモデル系におけるIBDの治療に有効であることを示している。加えて、式(I)の化合物は、ヒト潰瘍性大腸炎患者から、結腸組織における炎症性サイトカインの放出を低減することが示された。さらに、このラットのデータは、式(I)の化合物が経口投与された場合にIBDの治療に有効であることを示している。
式(I)の化合物はレニン阻害剤であるが、式(I)の化合物がIL-6を含むいくつかの重要な炎症性サイトカインの放出を阻害することが本明細書におけるデータによって示されていることから、IBDに対するその効果がレニンの阻害によるものであるかどうかは不明であり、すなわち、IBDにおける作用機序は未解明であり、多面的である可能性がある。しかし、本発明の方法は、現在承認されているIBD治療薬とは異なる機構で働くことが考えられるため、本発明の方法を現在の治療薬が効力を失う場合に使用することで、又は、本発明の方法を現在のIBD治療薬と組み合わせることで、IBD患者に対し新しくより効果的な治療を得ることができる。
1つの態様では、本開示は、式(I)の化合物を用いて炎症性腸疾患を治療する方法を提供するものである。理論に制限されるものではないが、前記化合物は、レニンの強力な直接的阻害剤であることと、IBD治療に対するその有効性をもたらす一因となり得る、炎症性サイトカインのレベルを減少させることが示されている。前記化合物は、経口投与を介した治療用途に適した薬物速度論的特性を有しており、現在では炎症性腸疾患のインビボ治療に有効であることが示されている。
理論に制限されるものではないが、式(I)の化合物は、新規の作用機序又は現在の治療法を補完できる機序の組み合わせを介して、IBDを治療すると考えられる。式(I)の化合物は、現在のIBD治療法と併せて、又は、現在のIBD治療法では問題がある患者や、現在のIBD治療法に対して十分な反応が得られない患者のための代替法として、使用することができる。これらの方法で治療できるIBDとしては、クローン病及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。これらの方法は、IBD、例えば潰瘍性大腸炎又はクローン病と診断された対象の治療に有用である。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、典型的には錠剤又はカプセル剤などの固形剤として経口投与される。他の好適な製剤としては、経口投与用のソフトジェル剤、及び結腸への直接導入用の坐剤が挙げられる。投与は単回投与でも反復投与でもよく、式(I)の化合物の用量は、少なくとも1日1回、典型的には1つ又は2つ又は3つの錠剤又はカプセル剤で投与されてもよく、あるいは、1日おきに1回、又は少なくとも週1回の投与とすることもできる。いくつかの実施形態において、1回の服用量が、潰瘍性大腸炎又はクローン病の治療を必要としている対象に、少なくとも1日1回投与される。他の実施形態では、1回の服用量が、前記対象に、1日2回又は1日3回投与される。好ましい実施形態では、1日2回、典型的には経口投与で、服用量の投与が行なわれる。
別の態様において、本発明は、上記のような方法であって、前記式(I)の化合物が別のIBD治療法による治療も受けている対象に投与され、前記別のIBD治療法は、例えば、抗炎症性コルチコステロイド、アミノサリチル酸系薬、並びに、限定はされないが以下を含む他のIBD治療法から選択することができる、方法を提供するものである:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害剤(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸塩(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
別の態様において、本発明は、IBD治療用に製剤化され得る、式(I)の化合物を含む固形剤を提供する。前記固形剤は、典型的には、経口投与用に製剤化された単一単位剤形(single unit dosage)で、25mg~800mgの式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する。いくつかのそのような実施形態においては、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、抗炎症性コルチコステロイド、アミノサリチル酸系薬、並びに、以下のような他のIBD治療薬から選択される少なくとも1つの追加のIBD治療薬を含む、錠剤、カプセル剤、ソフトジェル剤、又は坐剤などの剤形に製剤化される:
抗TNFα薬;
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
抗接着(抗インテグリン)薬;
IL-12/IL-23阻害薬;
トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);及び、
プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン)。
さらに別の態様において、本開示は、経口投与用の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む遅延放出製剤を提供する。典型的には、前記遅延放出製剤は、胃を通過して腸内に入ってから、対象の腸、特に結腸において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の大部分又は実質的に全てを放出するように構成又は設計される。本発明はまた、そのような遅延放出製剤をIBDに対する治療を必要としている対象に投与することによりIBDを治療する方法を提供する。
さらに別の態様において、本開示は、炎症性腸疾患を治療するための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、炎症性腸疾患に対する治療を必要としている対象への経口投与用に製剤化される。いくつかのそのような実施形態において、前記化合物又はその製薬上許容される塩は、受容者の胃を通過した後、受容者の腸管内で式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の大部分又は実質的に全てを放出させるように設計された遅延放出製剤として製剤化される。いくつかのそのような実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の大半は、治療を受けた対象の結腸において放出される。
さらに別の態様において、本発明は、炎症性腸疾患の治療に使用するための医薬の製造において式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を使用する方法を提供する。いくつかのそのような実施形態において、前記医薬は経口送達用に製剤化される。いくつかのそのような実施形態において、前記医薬は、対象の胃を通過した後、対象の腸内で式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の大部分又は実質的に全てを放出させる遅延放出製剤として製剤化される。
さらに別の態様において、本開示は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を投与することと、それ加えて以下から選択され得る少なくとも1つの他のIBD治療法で対象を治療することとを含む、炎症性腸疾患を治療及び/又は予防するための組み合わせを提供する:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g) ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;及び、
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
図1は、実施例1における、試験動物(DNBS誘発大腸炎モデルのウィスター系ラット)の体重を示している。 図2は、効果の指標として群毎の曲線下面積(AUC)を用いた、記載されたような7日間の試験中にスコアリングされた便の硬さを示している。 図3は、結腸の重量(CW)、結腸の長さ(CL)、及び潰瘍面積を含む、7日間の治療の終了時の、実施例1における結腸の肉眼評価を示している。 図4Aは、TNBS処置で大腸炎を誘発したC57BL/6マウスの結腸間の肉眼による形態的差異を示しており、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)暴露後に、20mg/kgのリンゴ酸塩(「SPH-X」)としての式(I)の化合物で1日2回処置した場合で、TNBSによって引き起こされたダメージが大きく回復していることを示している。 図4Bは、TNBS処置で大腸炎を誘発したC57BL/6マウスの結腸間の肉眼による形態的差異を示しており、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)暴露後に、20mg/kgのリンゴ酸塩(「SPH-X」)としての式(I)の化合物で1日2回処置した場合で、TNBSによって引き起こされたダメージが大きく回復していることを示している。 図5Aは、誘発性大腸炎モデルから得られた、結腸粘膜組織に対するダメージの微視的証拠を示しており、TNBSへの暴露後の、腹腔内投与による、5mg/kg又は10mg/kgのSPH-X(リンゴ酸塩としての式(I)の化合物)の1日2回処置が、そのようなダメージを治療又は予防することを明らかにしている。 図5Bは、誘発性大腸炎モデルから得られた、結腸粘膜組織に対するダメージの微視的証拠を示しており、TNBSへの暴露後の、腹腔内投与による、5mg/kg又は10mg/kgのSPH-X(リンゴ酸塩としての式(I)の化合物)の1日2回処置が、そのようなダメージを治療又は予防することを明らかにしている。 図6は、SPH-X(リンゴ酸塩としての式(I)の化合物)が、TNBSへの暴露後の結腸粘膜組織における、サイトカインであるIL-1β及びIL-6の過剰な産生を有意に低減することを示している。 図7は、結腸組織のTNBSによる処置が、TNF-αレベルの上昇をもたらすこと、及び、SPH-X(10mg/kg、1日2回)による処置が、TNF-αの形成を低減又は停止させることを示している、ウエスタンブロットである。 図8A~図8Cは、潰瘍性大腸炎(UC)患者のヒト結腸組織試料からのIL-6放出に対するBirb796及びCFN001/01(これは、リンゴ酸塩としての式(I)の化合物であるSPH-Xの特定のバッチを特定するものである)の効果を示しており:図8Aは、ドナーAの場合のデータを示している。 図8A~図8Cは、潰瘍性大腸炎(UC)患者のヒト結腸組織試料からのIL-6放出に対するBirb796及びCFN001/01(これは、リンゴ酸塩としての式(I)の化合物であるSPH-Xの特定のバッチを特定するものである)の効果を示しており:図8BはドナーBの場合のデータを示している。 図8A~図8Cは、潰瘍性大腸炎(UC)患者のヒト結腸組織試料からのIL-6放出に対するBirb796及びCFN001/01(これは、リンゴ酸塩としての式(I)の化合物であるSPH-Xの特定のバッチを特定するものである)の効果を示しており:図8CはドナーCの場合のデータを示している。
[選択された実施形態の説明]
[全般的な定義]
特に記載がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照された全ての特許、出願、公開出願、及び他の刊行物は、それらの全体が参照によって援用される。本節に記載された定義が、参照によって本明細書に援用された特許、出願、又は他の刊行物に記載された定義に相違ないし矛盾している場合、本節に記載された定義が参照によって本明細書に援用された定義よりも優先される。
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味する。
「製薬上許容される塩」という語は、患者、例えばヒトなどの哺乳動物への投与が許容される塩(所与の用法(dosage regime)において許容できる哺乳類安全性を有する、対イオンを有する塩)を意味する。このような塩は、薬剤的に許容できる無機又は有機塩基に由来するもの、及び、薬剤的に許容できる無機又は有機酸に由来するものとすることができる。「製薬上許容される塩」とは、化合物の製薬上許容される塩を指すが、この塩は、当該技術分野において周知の種々の有機及び無機対イオンに由来するものであり、例示のみを目的として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;並びに、分子が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機又は無機酸の塩が挙げられる。
「その塩」という語は、酸の水素イオンが金属カチオン又は有機カチオンなどの陽イオンによって置換された場合に形成される化合物を意味する。適用可能な場合、この塩は製薬上許容される塩であるが、これは、患者への投与が意図されていない中間化合物の塩に要求されるものではない。例として、本化合物の塩としては、当該化合物が無機又は有機酸によってプロトン化されて陽イオンを形成し、当該無機又は有機酸の共役塩基が当該塩の陰イオン成分となっているものが挙げられる。
[式(I)の化合物]
式(I)の化合物の構造を以下に示す。この化合物は、レニン阻害剤として強力な活性と、経口投与に適した薬物動態的特徴を示す。ラットにおける生物学的利用能は約11.5~24.5%であり、サルにおいては約3.3~11.3%であった。アリスキレンに対しての血漿レニン活性が0.60nMであるのに対し、式(I)の化合物に対しての血漿レニン活性は0.28nMであり、0.2mg/kgという低投与量であっても活性は24時間維持された。
式(I)の化合物は、中性化合物として、又は製薬上許容される塩として、製剤化及び投与することができる。本明細書に記載された実験の場合、式(I)の化合物はリンゴ酸塩として投与された。この化合物の合成及び特徴付けは、例えば米国特許第9,278,944号に開示されている。前記リンゴ酸塩の調製は、米国特許第10,519,150号に記載されている。本明細書で開示される方法、組成物及び組み合わせにおいては、式(I)の化合物のリンゴ酸塩が好ましい。
別の態様において、本開示は、炎症性腸疾患の治療に使用するための、式(I)の化合物、又はそのリンゴ酸塩を提供する。
別の態様において、本発明は、炎症性腸疾患を治療するための医薬を製造するために、式(I)の化合物、又はそのリンゴ酸塩を使用する方法を提供する。
本発明のいくつかの態様は、以下に列挙された実施形態の一覧に要約される。
1. 炎症性腸疾患の治療を必要としている対象における炎症性腸疾患を治療する方法であって、式(I)の化合物、
又はその製薬上許容される塩、
の有効量を前記対象に投与すること、を含む、方法。好ましい実施形態では、前記式(I)の化合物はそのリンゴ酸塩として使用される。
2. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、実施形態1の方法。
3. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、実施形態1の方法。
4. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が経口投与される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。いくつかのそのような実施形態において、前記化合物は、錠剤、カプセル剤、又はソフトジェル剤の形態で投与される。
5. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が坐剤として投与される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が少なくとも1日1回対象に投与される、実施形態1~5のいずれか一項に記載の方法。この実施形態の好ましい態様では、前記式(I)の化合物は1日2回投与される。
7. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の少なくとも1用量が1日2回対象に投与される、実施形態6に記載の方法。
8. 前記対象に投与される前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の用量が25mg~800mgである、請求項1~7のいずれか一項の方法。本実施形態の具体例では、前記用量は、約25mg、又は約50mg、又は約75mg、又は約100mg、又は約125mg、又は約150mg、又は約175mg、又は約200mg、又は約225mg、又は約250mg、又は約275mg、又は約300mg、又は約350mg、又は約400mg、又は約450mg、又は約500mg、又は約550mg、又は約600mg、又は約650mg、又は約700mg、又は約750mg、又は約800mgである。
9. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が、遅延放出製剤として投与される、好ましくは、下部消化管における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進するように構成された製剤、又は、胃における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を低減するように構成された製剤として投与される、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
10. 前記対象が少なくとも1つの追加のIBD治療薬による治療も受ける、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。前記追加のIBD治療薬は、前記式(I)の化合物と混合された状態で、又は、前記式(I)の化合物とは別々に投与することができ、同じ投与経路で投与しても、異なる投与経路で投与してもよい。
11. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療が以下から選択される、実施形態10の方法:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
12. 炎症性腸疾患の治療に使用するための、前記式(I)の化合物、
又は、その製薬上許容される塩。好ましい実施形態では、前記式(I)の化合物はそのリンゴ酸塩として使用される。
13. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、実施形態12に記載の炎症性腸疾患の治療に使用するための前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
14. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、実施形態12に記載の炎症性腸疾患の治療に使用するための前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
15. 経口投与用に調製された、実施形態12~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
16. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が少なくとも週1回、典型的には少なくとも1日1回、好ましくは1日2回、対象に投与されるために調製された、実施形態12~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
17. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が、少なくとも1日1回、好ましくは1日2回、対象に投与されるために調製された、実施形態16に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
18. 投与用に調製された前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の用量が25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、実施形態12~17のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。本実施形態の具体例では、前記用量は、約25mg、又は約50mg、又は約75mg、又は約100mg、又は約125mg、又は約150mg、又は約175mg、又は約200mg、又は約225mg、又は約250mg、又は約275mg、又は約300mg、又は約350mg、又は約400mg、又は約450mg、又は約500mg、又は約550mg、又は約600mg、又は約650mg、又は約700mg、又は約750mg、又は約800mgである。
19. 前記化合物が遅延放出製剤として調製される、実施形態12~18のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
20. 前記遅延放出製剤が、下部消化管における前記化合物の放出を促進するように構成されている、又は、胃における前記化合物の放出を低減するように構成されている、実施形態19に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
21. 前記化合物が追加のIBD治療との併用のために調製又は構成された、実施形態12~20のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
22. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療が以下から選択される、実施形態21に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
23. 炎症性腸疾患の治療用医薬の製造における、式(I)の化合物、
又はその製薬上許容される塩の使用。好ましい実施形態では、前記式(I)の化合物はそのリンゴ酸塩として使用される。
24. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、実施形態23に記載の使用。
25. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、実施形態23に記載の使用。
26. 前記医薬が経口投与用に又は坐剤として調製された、実施形態23~25のいずれか一項に記載の使用。
27. 前記医薬が、25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する丸剤、カプセル剤、錠剤、又はソフトジェル剤などの、投薬単位として調製された、実施形態23~26のいずれか一項 使用。
28. 前記医薬が遅延放出製剤として調製された、好ましくは、下部消化管における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進する、又は、胃における放出を低減する、製剤として調製された、実施形態23~27のいずれか一項に記載の使用。
29. 前記医薬が少なくとも1つの追加のIBD治療法と使用されるために調製又は構成された、実施形態23~28のいずれか一項に記載の使用。
30. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療法が以下から選択される、実施形態29に記載の使用:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
31. 追加のIBD治療薬と混合された、式(I)の化合物、
又はその製薬上許容される塩を含む、医薬組成物。好ましい実施形態では、前記式(I)の化合物はそのリンゴ酸塩として使用される。
32. 経口投与用の固形剤、ソフトジェル剤、又は坐剤である、請求項31に記載の医薬組成物。
33. 25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、実施形態31又は実施形態32に記載の医薬組成物。
34. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が遅延放出製剤として調製された、実施形態31~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
35. 下部消化管における式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進するように構成された、又は、胃における式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を低減するように構成された、実施形態31~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
36. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療薬が以下から選択される、実施形態31~35のいずれか一項に記載の医薬組成物:
a)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
b)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
c)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
d)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
e)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
f)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
g)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
h)免疫経路阻害薬(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、メトトレキサート、TNF-α阻害薬)。
上記実施形態のいずれにおいても、前記式(I)の化合物はリンゴ酸塩として使用又は投与することができる。
[医薬組成物、組み合わせ、及び他の関連した用途]
さらに別の態様において、本開示は、少なくとも1つの薬剤的に許容できる担体又は賦形剤と混合された、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む医薬組成物であって、IBDを治療するための使用のために構成された、組成物を提供する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、IBDの治療に有用である追加の治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を遅延させるように、特に、主に下部消化管における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進するように、且つ/又は、胃における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を低減するように、構成されている。
さらに別の態様において、本開示は、炎症性腸疾患の治療に使用するための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。前記化合物はそのリンゴ酸塩として使用され得る。
さらに別の態様において、本開示は、炎症性腸疾患を治療するための医薬を製造するための、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。これらの実施形態のいくつかでは、前記式(I)の化合物のリンゴ酸塩が使用される。
[製剤]
前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又は前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩を含む組み合わせのいかなる好適な製剤も調製することができる。一般論としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences, (2000) Hoover, J. E. editor, 20 th edition, Lippincott Williams and Wilkins Publishing Company, Easton, Pa., pages 780-857を参照されたい。適切な投与経路に好適であるように製剤は選択される。化合物が安定な非毒性の酸塩又は塩基塩を形成するのに十分に塩基性又は酸性である場合、当該化合物を塩として投与することが適切であり得る。製薬上許容される塩の例としては、生理的に許容できる陰イオンを形成する酸と形成された有機酸付加塩があり、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩、及びα-グリセロリン酸塩が挙げられる。好適な無機塩を形成させてもよく、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、及び炭酸塩が挙げられる。製薬上許容される塩は、当該技術分野において周知の標準手順を用いて、例えば、アミンなどの十分な塩基性を有する化合物と、生理学的に許容される陰イオンを与える好適な酸とによって得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム)塩又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も調製される。
好ましくは、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、経口投与用に、典型的には錠剤又はカプセル剤として、製剤化される。いくつかの実施形態では、前記式(I)の化合物のリンゴ酸塩が使用される。
企図される化合物が薬理学的組成物の状態で投与される場合、当該化合物は薬剤的に許容できる賦形剤及び/又は担体と混合状態で製剤化され得ると考えられる。例えば、企図される化合物は、中性化合物として、若しくは製薬上許容される塩として経口的に、又は生理的食塩水中で静脈内に、投与され得る。リン酸塩、炭酸水素塩、又はクエン酸塩などの従来の緩衝液を、この目的のために使用することができる。当然ながら、当業者は、本明細書の教示の範囲内で製剤を改変することで、特定の投与経路用の多数の製剤を得てもよい。特に、企図される化合物を改変することで、水などの溶媒中の可溶性を高めてもよく、これは、例えば、当該技術分野における通常の技術の十分に範囲内である微細な変更(塩調製、エステル化など)により容易に達成できる。また、患者における有益な作用を最大化するために本化合物の薬物動態を管理することを目的として、特定の化合物の投与経路及び投与計画を変更することも、当該技術分野における通常の技術の十分に範囲内である。
本方法における使用のための水溶性有機溶剤の説明を目的とした例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、アルコール、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、又はこれらの組み合わせが挙げられ、これらに限定はされない。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、又はプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定はされない。
本方法における使用のための水溶性非イオン性界面活性剤の説明を目的とした例としては、クレモフォール(登録商標)EL、ポリエチレングリコール修飾クレモフォール(登録商標)(ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート(triricinoleat)35)、水素化クレモフォール(登録商標)RH40、水素化クレモフォール(登録商標)RH60、PEG-サクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルトール(登録商標)HS(ポリエチレングリコール 660 12-ヒドロキシステアレート)、ソルビタンモノオレート、ポロキサマー、ラブラフィル(登録商標)(エトキシ化杏仁油)、ラブラゾール(登録商標)(カプリル-カプロイルマクロゴール-8-グリセリド)、ゲルシア(登録商標)(グリセロールエステル)、ソフチゲン(登録商標)(PEG6カプリン酸グリセリド)、グリセリン、グリコール-ポリソルベート、又はその組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
本方法における使用のための水溶性脂質の説明を目的とした例としては、野菜油、トリグリセリド、植物油、又はこれらの組み合わせが挙げられ、これらに限定はされない。脂肪油の例としては、ヒマシ油、ポリオキシルヒマシ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、ピーナッツ油、ハッカ油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、硬化植物油、水素化ダイズ油、ヤシ油のトリグリセリド、パームシードオイル、及びこれらの水素化形態、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
本方法における使用のための脂肪酸及び脂肪酸エステルの説明を目的とした例としては、オレイン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、PEGの一若しくは二脂肪酸エステル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
本方法における使用のためのシクロデキストリンの説明を目的とした例としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、又はスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定はされない。
本方法における使用のためのリン脂質の説明を目的とした例としては、大豆ホスファチジルコリン、又はジステアロイルホスファチジルグリセロール、及びこれらの水素化形態、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
[遅延放出製剤]
式(I)の化合物は、即時放出及び急速吸収用に製剤化されることがあり、又は、遅延放出用に製剤化されることがある。いくつかの実施形態において、前記化合物は、投与された製剤が胃を通過後、下部消化管で有効成分の送達を促進する方法及び組成物を用いる、遅延放出用に製剤化される。このような方法としては、公知の腸溶コーティングが挙げられ、これは、胃における式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の放出を遅くするか又は妨げることで、活性薬剤を主に腸で放出させ、IBDに最も影響を受ける組織への直接送達を増強するものである。遅延放出製剤に有用ないくつかの方法が、例えば、B. Singh, Modified-release solid formulations for Colonic Delivery, Recent Patents on Drug Delivery and Formulations 2007, Vol. 1(1), 53-63に記載されている。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、標的組織における活性薬剤の有効性を増加させることを目的として、胃における溶解を低減し、且つ/又は、下部消化(GI)管における溶解及び吸収を増加させる方法を用いて、製剤化されることがある。
遅延放出を達成する方法は、以下の1つ又は2つ以上の組み合わせを利用することがある:pH制御(又は遅延放出)系、時間制御(又は時間依存的)系、微生物制御系、及び圧力制御系。
当業者は、本明細書の教示の範囲内で製剤を改変することで、特定の投与経路用の多数の製剤を得てもよい。特に、前記化合物を改変することで、水などの溶媒中の可溶性を高めてもよい。また、患者における有益な作用を最大化するために本化合物の薬物動態を管理することを目的として、特定の化合物の投与経路及び投与計画を変更することも、当該技術分野における通常の技術の十分に範囲内である。
[製剤の組み合わせ]
各実施形態の方法は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の有効量を、炎症性腸疾患に対する治療を必要としている対象に投与することを含む。前記式(I)の化合物は、中性化合物として投与されることがあり、又は、製薬上許容される塩として投与されることがある。いくつかの実施形態において、前記式(I)の化合物は、リンゴ酸塩として投与される。前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩は、単剤として投与されることがあり、又は、追加の治療薬と組み合わされてもよい。所望により、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、1又は複数の追加の治療薬、特に、炎症性腸疾患の治療に有用であることが知られている治療薬と組み合わせて、投与されてもよい。これらの治療薬としては、以下が挙げられるが、これらに限定はされない:
a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
i)糞便移植(FMT);
j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
前記方法は、便微生物移植及び幹細胞移植などの治療法を含む、IBDを治療するための他の治療法と組み合わせた、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用をさらに含む。
別のIBD治療薬又は治療法と組み合わせた前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と別のIBD治療薬との同時投与、並びに、所与の患者における別のIBD治療薬又は治療法の同時使用であって、その他のIBD治療薬又は治療法が前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とは別々に投与され、前記式(I)の化合物の投与と異なる日であってもよく、ただし、前記異なる治療的処置は順次に、且つ、その両方が対象に同時に治療効果を与えることが期待される時間枠に投与される、同時使用を含む。すなわち、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、対象が、任意の期間に亘って、前記式(I)の化合物と、他のIBD治療薬又は治療法との両方からIBD治療の治療効果を受けることが期待される場合は常に、IBD治療薬又は治療法と組み合わせて使用される。
前記追加のIBD治療薬は、前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩とは別々の医薬組成物において投与されてもよく、又は、両者の投与経路及び投与タイミングが単一医薬組成物中への含有に適合する場合は前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩と一緒に含まれてもよい。前記追加のIBD治療薬は、前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の投与と同時に、その前に、又はその後に、投与されてもよい。
[式(I)の化合物及びその医薬組成物の使用法]
本明細書中で提供された情報と併せて、式(I)の化合物の薬物速度論的特性及び化学的性質に関する当該技術分野において入手可能な情報に照らして、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を投与するための投与経路及び好適な製剤の選択は、医師の通常の技能の範囲内である。医師であれば、公知の方法を用いて、そのような処置の有効性をモニターし、投与量及び投与頻度を調整することができる。
本発明の方法を実施するために、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩、及びその医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、経直腸投与、経鼻投与、頬側投与、経膣投与、埋め込み型リザーバーを介した投与、又は他の薬剤投与方法によって投与されてもよい。「非経口」という語は、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、病巣内、及び頭蓋内への注射法又は点滴法を包含する。
本発明の方法の特定の実施形態では、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、経口投与される。経口投与用組成物としては、経口的に許容できるいかなる剤形であってもよく、錠剤、カプセル剤、乳剤、並びに水性懸濁剤、水性分散液、及び水溶液が挙げられるが、これらに限定はされない。経口用錠剤の場合、通常使用される担体としては、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、添加することができる。カプセル剤の形態で経口投与する場合、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の水性懸濁液又は水性乳濁液が経口投与される場合、当該化合物を、乳濁化剤又は懸濁化剤と組み合わされた油性相中に懸濁又は溶解させることがある。必要であれば、ある特定の甘味剤、香味剤、又は着色剤を添加することができる。点鼻エアロゾル又は吸入用組成物が、医薬製剤分野において周知の手法に従って調製されることがあり、好適な保存剤(例えば、ベンジルアルコール)、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、及び/又は当該技術分野において公知の他の可溶化剤若しくは分散剤を使用している、例えば生理食塩水中の溶液として、調製されることがある。
好ましい実施形態では、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、典型的には1回量当たり25mg~800mgの当該化合物(又は当該化合物のリンゴ酸塩)を含む、錠剤、カプセル剤、ソフトジェル剤、又は坐剤の形態で、経口投与される。1回量が、丸剤又はカプセル剤などの単一剤形中に含有されてもよいし、又は、1回量が、2、3、4、若しくはそれ以上の丸剤若しくはカプセル剤などの単一剤形の使用を要するものであってもよい。いくつかの実施形態において、丸剤、錠剤、又はカプセル剤などの単一剤形は、式(I)の化合物又はそのリンゴ酸塩を、1回量に適した量、例えば、約25mg、又は約50mg、又は約75mg、又は約100mg、又は約125mg、又は約150mg、又は約175mg、又は約200mg、又は約225mg、又は約250mg、又は約275mg、又は約300mg、又は約350mg、又は約400mg、又は約450mg、又は約500mg、又は約550mg、又は約600mg、又は約650mg、又は約700mg、又は約750mg、又は約800mg含有する。いくつかの実施形態においては、所望の成人用1回量を含有する1錠の丸剤、錠剤、ソフトジェル剤、坐剤、又はカプセル剤が、IBDに対する治療を必要としている対象に少なくとも1日1回投与される。好ましい実施形態においては、式(I)の化合物を含む用量が、1日2回投与される。
また、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、単独で投与されてもよいし、本明細書において開示される他の治療薬と組み合わせて投与されてもよい。本発明における併用療法は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及びIBDの治療に有用な少なくとも1つの他の薬剤的に活性な成分の少なくとも1用量の投与を含む。前記用量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及び他の薬剤的に活性な薬剤は、別々に投与されてもよいし、一緒に投与されてもよい。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及び他の薬剤的に活性な薬剤の各含有量と、相対的な投与タイミングは、所望の併用治療効果を達成することを目的として選択されることとなる。
以下の実施例は、大腸炎モデル系におけるその式(I)の化合物の生物活性を説明するために提供されたものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。
実施例1.
誘導性大腸炎に対する式(I)リンゴ酸塩の効果
DNBSの結腸内投与により、ウィスター系ラットにおいて大腸炎を誘導した。ラットは下記のような6群に分けられた。1つ目の群はDNBS未処置(Naive)群であり、群2~6はそれぞれ1日目にのみDNBS処置を受けた。2つ目の群は、DNBSによる処置を受け、治療薬による治療は受けていないものであり、疾病対照(diseased control)として働く。3つ目の群は、陽性治療比較群として、潰瘍性大腸炎に対する公知の治療である、トファシチニブで治療されたものである。4つ目及び5つ目の群は、異なる投与量の式(I)の化合物のリンゴ酸塩で治療されたものであり、6つ目の群は、式(I)の化合物のリンゴ酸塩及びトファシチニブの組み合わせで治療されたものである。動物は、DNBSが投与された直後から開始して、下記の通りに、毎日治療された。治療は7日間継続され、その間、便の硬さがモニターされた。7日後、動物を安楽死させ、それぞれの動物の結腸を、重量、長さ、及び潰瘍面積について評価した。
試験法及び結果を以下に要約する。
計82匹のウィスター系ラットを、シャンハイ・SLAC・ラボラトリー・アニマル社から入手した。これらの動物は特定病原体除去動物であり、到着時におよそ4~5週齢であった。
各治療群への割付
BioBookソフトウェアを用いた無作為化により、1日目の群平均体重が同様となるように、動物を各治療群に割り当て、偏りの制御を行った。
1日目、群2~6において、0.5mLのDNBS溶液(30%エタノール中の50mg/mL DNBS)の結腸内投与により、大腸炎をウィスター系ラットで誘導した。同時に、群1には、エタノール対照として、30%エタノール(0.5mL)を結腸内投与した。計82匹の雄ウィスター系ラットを、以下のように、6群に無作為に割り当てた:
第1群:未処置(エタノールのみの対照)、N=12
第2群:溶媒(DNBS対照)、N=14
第3群:トファシチニブ、30MPK、経口、1日2回、N=14
第4群:式Iリンゴ酸塩、30MPK、経口、1日1回、N=14
第5群:式Iリンゴ酸塩、100MPK、経口、1日1回、N=14
第6群:式Iリンゴ酸塩(100MPK、1日1回)+トファシチニブ(30MPK、1日2回)、経口、N=14
全ての被験動物について、体重及び便の硬さを毎日記録した。7日目に動物を屠殺した。それぞれの結腸を採取した。潰瘍面積、遠位結腸重量、結腸の長さ、及び関連性のある結腸領域の写真を記録した。結腸組織を長軸方向に3片に割き、1片の結腸を10%中性緩衝ホルマリン中で直ちに固定した。他の2片の結腸は採取後に液体窒素中で瞬間凍結し、-80℃で保存した。
略語:
DNBS:2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸
IBD:炎症性腸疾患
CMC-Na:カルボキシルメチルセルロースナトリウム
被験物質は以下の通りに調製した:式(I)リンゴ酸塩を電子はかりで秤量し、蒸留水に溶解させた後、ボルテックスにより完全に溶解させた。
対照化合物として、トファシチニブを式Iリンゴ酸塩の試験に含めた。トファシチニブは、関節リウマチ(rheumatoid arithritis)の治療用、及び中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療用に承認を受けたものである。
3mg/mLトファシチニブ懸濁液を0.5%カルボキシルメチルセルロースナトリウム中で調製した:新鮮なサンプルを週毎に2回調製し品質を確保した。
DNBSは30%エタノール中に50mg/mLの濃度で溶解させた。
参照薬液:トファシチニブを0.5%CMC-Naで3mg/mLの濃度に希釈した。
大腸炎の誘導
1日目、動物を無作為に6群(表1の治療群を参照)に分け、40時間絶食させた。絶食中、エネルギー摂取のために、生理食塩水中5%グルコース(10mL/kg、皮下)を供給した。
試験の1日目に、これらの絶食動物を、ゾレチル(腹腔内、25mg/kg)、ゾラゼパム(腹腔内、25mg/kg)、及びキシラジン(腹腔内、5mg/kg)で麻酔した。
第2~6群においては、肛門を介して脾弯曲部(肛門から8cm)まで、結腸内に挿入したカテーテルを用いて、0.5mLのDNBSを結腸内投与することにより、大腸炎を誘導した。第1群には、また結腸内投与により、30%エタノールを投与した。DNBS又はエタノールに暴露した動物は、頭を下にした状態で15分間保持した後、逆流を避けるために回復までトレンデレンブルク体位を維持した。
治療
第1群:動物に、1日1回、1日目から7日目まで、30%エタノールの4時間後に、蒸留水を経口投与した。
第2群:動物に、1日1回、1日目から7日目まで、30%エタノールの4時間後に、蒸留水を経口投与した。
第3群:動物に、1日2回、1日目から7日目まで、DNBSの4時間後に、30mg/kg(mpk)トファシチニブを経口投与した。
第4~5群:動物に、1日1回、1日目から7日目まで、DNBSの4時間後に、異なる用量の式Iリンゴ酸塩を経口投与した。
第6群:動物に、1日目から7日目まで、DNBSの4時間後に、100mpkの式(I)の化合物のリンゴ酸塩(式Iリンゴ酸塩と称される)を1日1回、及び、30mpkのトファシチニブを1日2回、経口投与した。
大腸炎の評価
体重
試験中、体重を毎日記録した。開始体重に対する1日毎の体重変化率を、下記式を用いて算出した:
[(X日目の体重-初期体重)/初期体重]×100
治療過程の試験動物の体重を図1にまとめる。
便の硬さスコア
実験の間、大腸炎の重症度の指標として、便を毎日モニターし、硬さのスコアリング(0=有形便、1=湿性/粘着性便、2=軟便、3=液状便)を行った。
上記スコアリングを用いて、前記7日間の実験について、治療過程の各動物の便の硬さスコアリングをグラフ化し、そのグラフを用いて治療群毎に曲線下面積(AUC)を算出した。治療群及び対照群毎のAUCを図2に示す。
結腸の重量及び長さ、並びに潰瘍面積
7日目、全ての動物を、CO2で窒息させた後に頸椎脱臼することにより屠殺した。正中切開で開腹した。結腸から内容物を取り除いて空にし、すすいで、重量を測定した。結腸の長さ(盲腸末端から肛門まで)及び結腸内側の潰瘍化表面積を測定した。全ての治療群及び対照群について、結腸の長さ(CL)、結腸の重量(CW)、及び潰瘍化の程度(面積)の肉眼的な評価測定を行った。それらの結果を、CW/CL、CW/BW(体重)、及びCW/CL/BWと共に、図3に示す。
注:潰瘍化の形状が不規則である場合、潰瘍化した部分同士を繋ぎ合わせて長方形を形成させてから、その長方形の面積を測定した(面積=長さ*幅)。
試料採取
結腸の長さ及び重量の評価後、結腸全体を長軸方向に3等分し、2片分の結腸を液体窒素中で瞬間凍結し、-80℃で保存した。もう1片は10%中性緩衝ホルマリンで固定し、病理組織学評価を行った。
臨床観察
疾病の徴候、並びに手術及び治療に対する全身反応について、動物の観察を毎日行った。正常な健康的外観及び挙動に対する全ての例外を記録し、標準的なPharmaLegacy Laboratories社の臨床観察フォームに詳細に記載した。
[統計]
体重、結腸の長さ、結腸の重量、結腸の重量/長さ、結腸の重量/体重、潰瘍面積、及び他の懸案(pending)パラメーターについて、群平均値±平均値の標準誤差を算出した。統計解析はGraphpad Prism、SPSS又はSigmaplotを用いて行った。使用された特定の統計検定は図のレジェンドで特定される。p値が0.05未満である場合を統計的に有意と見なした。
[結果]
溶媒(エタノール)のみで処置された対照と比較した場合、DNBSで処置された全ての群において、有意な体重の減少、便の硬さスコア及び便の硬さスコアのAUCの増加、結腸の長さの減少、結腸の重量の増加、並びに潰瘍面積の増加が認められた。これにより、このモデル系が大腸炎の症状を誘導したことが示された。CW/CL比、CW/BW比、及びCW/CL/BW比についても、DNBS未処置群と比べて、処置群の方が高かった。
トファシチニブは、大腸炎効果を低減するが、式Iリンゴ酸塩とは異なる機構を介して作用することを期待された陽性対照として含められた。30mg/kgを1日2回投与されたトファシチニブ治療群では、CW/CL比、CW/BW比、及びCW/CL/BW比が、それぞれ37%、9%、及び14%だけ改善した。
30mg/kgの式Iリンゴ酸塩を1日1回投与された治療群の動物は、結腸の長さの有意な増加を示した。DNBSで処置された対照群に対して、CW/CL、CW/BW、及びCW/CL/BWの各阻害比が、それぞれ30%、6%、及び29%だけ改善した。
100mg/kg/日の式Iリンゴ酸塩で治療された群の動物では、CW/CL比、CW/BW比、及びCW/CL/BW比が、それぞれ44%、29%、及び39%だけ改善した。これは、式Iの化合物が、両方の用量で、また高用量であるほど、大腸炎により引き起こされる病変の程度及び/又は重症度を低減したことを明らかにするものであり、式Iリンゴ酸塩は、誘導性大腸炎の治療においては、対照薬であるトファシチニブよりも効果的であるようである。
式Iリンゴ酸塩とトファシチニブの併用は、便の硬さスコアのAUCを有意に減少させた。このことは、式Iリンゴ酸塩とトファシチニブの組み合わせが、IBD治療に有益である可能性があることを示唆している。
実施例2:C57BL/6マウスにおけるTNBS誘導性大腸炎に対する式(I)リンゴ酸塩の効果
従来法に従った結腸内へのトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の点滴注入により、大腸炎をC57BL/6マウスで誘導した。Antoniou, et al., Ann. Medicine and Surgery, vol. 11, 9-15 (2016)を参照されたい。これらのマウスをその後、各試験について示されているように、5~20mg/kgの式(I)リンゴ酸塩(「SPH-X」)又はPBS(対照)で治療した。
[肉眼観察]
図4Aは、TNBS点滴注入の7日後におけるマウス結腸の肉眼形態を示しており、腹腔内送達による20mg/kgのSPH-Xで1日2回治療されたマウスの結腸を、代わりに溶媒(PBS)を投与されたマウスの結腸と比較している。溶媒(PBS)治療マウスの結腸の方が短く且つ膨張しており、また、明確な糞ペレット形成を示しておらず;これは潰瘍性大腸炎モデルの場合で予測された通りである。SPH-X(20mg/kg、1日2回)で治療されたマウスの結腸の方がより正常に見え;これらの結腸は溶媒治療マウスの結腸よりも長く且つ薄く、明確な糞ペレットを示している。これは、SPH-X治療が、大腸炎モデルにおいて、肉眼的な身体レベルで、TNBSが通常であれば引き起こすはずの傷害を治療又は予防していることを示している。
図4Bは、長軸方向に切開されて結腸の内側を露出しているTNBS処置結腸を示している。上記のようにTNBSのみで治療された結腸は遠位端で出血示しているが、一方、TNBSの点滴注入後に10mg/kgのSPH-Xを腹腔内投与された動物の結腸はそのようなダメージを示していない。外側及び内側のどちらの肉眼観察も、TNBS処置が大腸炎と一致する明瞭な肉眼形態的傷害を引き起こしていること、及び、それらの傷害が、SPH-X(式(I)リンゴ酸塩)の腹腔内処置により実質的に予防又は回復(reverse)されていることを示している。
[顕微鏡観察]
図5A~図5Bは、C57BL/6マウスから得られた結腸切片の組織学的観察を示している。全ての動物は上記のように大腸炎を誘導するためのTNBS点滴注入後3日目に屠殺し、組織はH&E(ヘマトキシリン及びエオシン)染色で可視化されている。
図5Aの1つ目のパネルは、エタノールのみ(TNBSなし)を注入された結腸由来の組織を示しており、これはベースラインとして働く。図5Aの2つ目のパネルは、TNBS注入後にPBSを1日2回腹腔内処置された結腸(大腸炎対照)を示しており、これは、TNBSによって引き起こされた大腸炎傷害に典型的な組織傷害を示している。
図5Bは、TNBSを注入されたマウスにおける、1日2回の5mg/kg又は10mg/kgのSPH-Xの効果を示している。図5Bの1つ目のパネルは、TNBSを注入され、5mg/kgのSPH-Xで1日2回治療された結腸の組織であるが;このパネルは、この用量のSPH-Xが、TNBS点滴注入によって引き起こされるあらゆる傷害を実質的に予防又は治療することを示している。図5Bの2つ目のパネルは、TNBSを注入され、腹腔内投与された10mg/kgのSPH-Xで1日2回治療された結腸由来の組織である。このパネルも、SPH-Xによる治療が、TNBSによって引き起こされる傷害から結腸を実質的に保護することを示している。これらの画像は、SPH-Xが、マウス大腸炎モデルにおけるTNBSによって引き起こされた傷害を、治療又は予防することを、顕微鏡レベルで示している。
[生化学的観察]
このモデルにおけるSPH-Xの効果を分子レベルで評価するために、再度、大腸炎をTNBS点滴注入によりマウスにおいて導入し(3匹/治療群)、エタノールを対照として用いた。TNBS傷害後、試験動物を、溶媒(PBS)又はSPH-X(10mg/kg、腹腔内、1日2回)のいずれかで3日間治療し、その後屠殺した。各試験動物から結腸の粘膜を分離し、mRNAの調製に用いた。そのmRNAを逆転写してcDNAを得た。サイトカインであるIL-1β及びIL-6をqRT-PCRにより定量した。表2は、エタノール対照(TNBS処置なし)に対して正規化された、qRT-PCRから得られたデータを示しており、これらの結果をグラフとして図6に示す。
TNBS点滴注入は、大腸炎モデルにおいて予測されるような、エタノール対照に対する、IL-1β及びIL-6の両サイトカインの有意な上昇を引き起こした。これらのSPH-Xマウス由来の試料は、これらのサイトカインの有意なレベル減少を示した。大腸炎傷害はこれらのサイトカイン(及び、おそらくは他のサイトカイン)を介していると考えられていることから、このことは、SPH-Xが、TNBSによって引き起こされる組織傷害を生化学的レベルで低減し、サイトカイン放出を低減することにより少なくとも部分的に作用する可能性があることを示すものである。
最後に、サイトカイン解析において記載されたように治療された試験動物由来の粘膜ライセートを調製し、ウエスタンブロットで分析したことで、SPH-Xが大腸炎モデルにおけるTNF-αのタンパク質レベルにどのような影響を与えるかが分かった。図7は、上記分析の結果を示しており;各レーンは1匹のマウスを表しており、対照としてβアクチンを含めた。エタノール対照動物は検出可能なTNF-αタンパク質を示さなかった。対照的に、TNBS大腸炎モデル動物は容易に検出可能なレベルのTNF-αを示した。SPH-Xで治療されたマウス由来の粘膜アイソレートにTNF-αタンパク質が見られないことから、10mg/kgのSPH-X(1日2回、3日間;図ではSphと標識)による治療は、このTNBSインスタレーション(installation)の効果を回復させた。
実施例3:ヒト潰瘍性大腸炎及び正常粘膜結腸組織に対する式(I)リンゴ酸塩(CFN001/01)の効果
健常ドナー由来及び潰瘍性大腸炎(UC)を有するドナー由来のヒト結腸組織を、サイトカイン産生を生じさせるように設計された条件下で試験することにより、式(I)の化合物が、潰瘍性大腸炎を有するドナー由来の組織においてサイトカイン産生を低減するかどうかを確認した。
3人は正常であり、3人は潰瘍性大腸炎を有する、インフォームドコンセントが得られた6人のドナーの手術残余供給源から、ヒトUC胃腸管組織とヒト正常胃腸管組織を得た。ドナーは、過去1か月以内にいずれかの抗サイトカイン治療薬を受けたことがある被験者を除外するための事前スクリーニングを受けた。試料毎に、平滑筋を粘膜及び付着粘膜下組織から分離した。メスを用いて各試料を切開し、およそ5mm×5mmサイズの全層粘膜生検を18個得た。培養プレートを準備する間、これらの試料を約10分間、培地中で洗浄及び保持した。
[被験物質の調製]
黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)(100μg/mL原液)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製した。次に、この100μg/mL原液を濃度10μg/mLにPBSで希釈して、50μLのこの溶液を9.95mLの培地に添加することで最終ウェル濃度50ng/mLのSEBが得られるようにした。SEBを添加することで、ベースラインレベルが一貫したサイトカイン産生を得た。
Birb796(陽性対照、セレック・ケミカルズ社(Selleck Chemicals)、カタログ番号:S1574)を粉末として購入した。Birb796は、サイトカイン形成を阻害することが知られているp38MAPキナーゼの広域スペクトル阻害剤である。10mM原液をDMSO中で調製した。この溶液を次に、10mLの培地当たり体積1μLとなるように培地に添加して、適切な濃度である1μMのBirb796及びDMSO濃度0.01%を達成した。
CFN001/01(式(I)リンゴ酸塩)を粉末として得て、10mMの原液を蒸留水中で調製し、-20℃で保存した。実験日毎に、新鮮な10mMの分割量を使用した。蒸留水で10mMの分割量を300μM、100μM、30μM、及び10μMの濃度に希釈することで、検量線用標準溶液を準備した。
次に各作用濃度を、培地1mL当たり1μlだけ培地に添加して、各ウェルにおいて300nM、100nM、30nM、及び10nMの最終濃度を得た。
CMRL培地は標準方法で調製した。溶媒は蒸留水とし、対照用に、試験化合物と合うように1mL当たり1μlだけ培地に添加した。
試料を、気液界面のNetwellフィルター上にアピカル(粘膜)側を上に向けて配置した。次に、この生検標本を、適切な対照又は被験物質である式Iリンゴ酸塩(「CFN001/01」)を添加した培地中、高O2雰囲気下、およそ37℃でインキュベートした。p38MAPキナーゼ阻害剤Birb796(CAS 285983-48-4)を陽性対照として用いた。各試験条件は1ドナーにつきトリプリケート生検で評価された。また、各試料用の試験培地には50ng/mLの黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)も含ませて、ベースラインレベルが一貫したサイトカイン産生を達成した。各試験条件は1ドナーにつきトリプリケート生検で評価された。
[試験条件:]
1.溶媒対照
2.BIRB796-1μM
3.CFN001/01-300nM
4.CFN001/01-100nM
5.CFN001/01-30nM
6.CFN001/01-10nM
培養開始からおよそ18時間後、培地試料を収集し、液体窒素中で急速凍結し、ELISA分析用に調製されるまでおよそ-80℃で保存した。
培地試料はその後、マルチプレックスELISAを用いて、IL-1β、IL-17A、TNF-α、IL-6、及びIL-23についての分析を行った。使用されたマルチプレックスELISAプラットフォームは、Luminex xMAP(登録商標)適合性の磁気ビーズ技術を用いた、Luminex Magpix(登録商標)システムであった。各分析物は、同じ96ウェル分析用プレートに関して作成された検量線に対する内挿によって定量化した。各試料はデュプリケートで分析し、その平均値を図8のグラフに用いた。
図8には、選択されたELISA結果がグラフ形式で示されているが、各グラフは1人のUC被験者についてのデータを表しており;これらのグラフは、粘膜組織試料によるIL-6放出に対するCFN001/01の効果を示している。図8の各グラフは、1人のUC被験者からの結果をまとめたものであり、各ドットは、3つのレプリケート組織試料のうち1つからのサイトカイン放出を表している。試験条件毎の水平方向の実線は、当該試験条件においての、3つの個々のドナー平均値の平均値を示しており、溶媒対照のパーセンテージとして表されている。
図8A~図8Cのグラフが示しているように、CFN001/01治療は、3人中2人の被験者、ドナーA(図8A)及びドナーB(図8B)において、陽性対照Birb796の効果と同等以上に、有意且つ用量依存的にIL-6産生を減少させた。ドナーCから得られた試料(図8C)は、Birb-796(陽性対照)によるIL-6の減少を示しているが、SPH-Xによる治療に対してはIL-6の減少を示していない。
生物学的治療薬による効果的なIBD治療は、IL-6レベルの減少を伴うことが報告されており、生物学的IBD治療薬による治療10週間目の減少(p=0.022)は、当該治療の12か月間後の臨床応答の持続を伴った。Caviglia, et al., J. Clin. Med., vol. 9, 800 (2020)。報告された最初の治療後試験であった10週間目のマーク(mark)では、非反応性患者がIL-6産生の低下を示さなかった。すなわち、この報告が示唆するように、全てのIBD患者が、全ての治療薬に、あるいは同様に、反応するわけではない。同様に、図8のドナーCも、CFN001/01に反応しないUCを有する対象である可能性があるが、一方で、この対象はBirb796には反応しているようである。CFN001/01はまた、一部のUC患者において、炎症性サイトカインであるIL-17A及び腫瘍壊死因子α(TNF-α)の放出を、用量依存的に減少させた。
上記の詳細な説明は、本発明を実施する際に当業者を助ける目的で提供されている。しかし、本明細書で説明され特許請求された本発明は、開示された本明細書における特定の実施形態によって範囲が限定されることはなく、というのも、これらの実施形態は本発明のいくつかの態様の例示として意図されているためである。均等な実施形態はいずれも本発明の範囲内であることが意図される。実際に、本明細書に示され、説明されたものに加えて、本発明の発見の要旨から逸脱しない本発明の様々な変更が、上記の説明から当業者には明らかとなるであろう。そのような変更も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
本願において引用された全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の参考文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の参考文献が全ての目的においてその全体が参照によって援用されることが明確且つ個別に示されているのと同程度に、全ての目的においてそれらの全体が参照によって本明細書に援用される。本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることの承認とは解釈されないものとする。

Claims (36)

  1. 炎症性腸疾患の治療を必要としている対象における炎症性腸疾患を治療する方法であって、
    式(I)の化合物、

    又はその製薬上許容される塩の有効量を前記対象に投与すること、
    を含む、方法。
  2. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が経口投与される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が坐剤として投与される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が少なくとも1日1回前記対象に投与される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の少なくとも1用量が1日2回前記対象に投与される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記対象に投与される前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の用量が25mg~800mgである、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が、遅延放出製剤として投与される、好ましくは、下部消化管における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進するように構成された製剤、又は、胃における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を低減するように構成された製剤として投与される、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記対象が少なくとも1つの追加のIBD治療による治療も受ける、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療が以下から選択される、請求項10に記載の方法:
    a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
    b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
    c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
    d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
    e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
    f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
    g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
    h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
    i)糞便移植(FMT);
    j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
    k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
    l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに
    m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
  12. 炎症性腸疾患の治療に使用するための、前記式(I)の化合物、

    又は、その製薬上許容される塩。
  13. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項12に記載の炎症性腸疾患の治療に使用するための前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  14. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項12に記載の炎症性腸疾患の治療に使用するための前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  15. 経口投与用に調製された、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  16. 少なくとも1日1回対象に投与されるように調製された、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  17. 1日2回対象に投与されるように調製された、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  18. 投与用に調製された前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の用量が25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  19. 前記化合物が遅延放出製剤として調製される、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  20. 前記遅延放出製剤が、下部消化管における前記化合物の放出を促進するように構成されている、又は、胃における前記化合物の放出を低減するように構成されている、請求項19に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  21. 前記化合物が追加のIBD治療との併用のために調製又は構成された、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩。
  22. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療が以下から選択される、請求項21に記載の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩:
    a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
    b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
    c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
    d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
    e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
    f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
    g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
    h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
    i)糞便移植(FMT);
    j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
    k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
    l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに
    m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
  23. 炎症性腸疾患の治療用医薬の製造における、式(I)の化合物、

    又はその製薬上許容される塩の使用。
  24. 前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項23に記載の使用。
  25. 前記炎症性腸疾患がクローン病である、請求項23に記載の使用。
  26. 前記医薬が経口投与用に又は坐剤として調製された、請求項23~請求項25のいずれか一項に記載の使用。
  27. 前記医薬が、25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する投薬単位、例えば丸剤、カプセル剤、錠剤、又はソフトジェル剤、として調製された、請求項23~請求項25のいずれか一項に記載の使用。
  28. 前記医薬が遅延放出製剤として調製された、好ましくは、下部消化管における前記式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進する、又は、胃における放出を低減する、製剤として調製された、請求項23~請求項25のいずれか一項に記載の使用。
  29. 前記医薬が少なくとも1つの追加のIBD治療法と使用されるために調製又は構成された、請求項23~請求項25のいずれか一項に記載の使用。
  30. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療法が以下から選択される、請求項29に記載の使用:
    a)抗TNFα薬(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ);
    b)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
    c)抗接着(抗インテグリン)薬(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ、セルトリズマブ(ertolizumab));
    d)IL-12/IL-23阻害薬(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ);
    e)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
    f)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
    g)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
    h)幹細胞移植(例えば、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞);
    i)糞便移植(FMT);
    j)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
    k)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
    l)抗炎症性コルチコステロイド;並びに
    m)アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、及びメトトレキサートなどの免疫経路阻害薬。
  31. 追加のIBD治療薬と混合された、式(I)の化合物、

    又はその製薬上許容される塩、
    を含む、医薬組成物。
  32. 経口投与用の固形剤又は坐剤である、請求項31に記載の医薬組成物。
  33. 25mg~800mgの前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、請求項31に記載の医薬組成物。
  34. 前記式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩が遅延放出製剤として調製された、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  35. 下部消化管における式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を促進するように構成された、又は、胃における式(I)の化合物若しくはその製薬上許容される塩の放出を低減するように構成された、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  36. 前記少なくとも1つの追加のIBD治療薬が以下から選択される、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の医薬組成物:
    a)スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬(例えば、オザニモド);
    b)トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)阻害薬(例えば、モンジャーセン、ピルフェニドン);
    c)ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(例えば、アプレミラスト(aprimelast));
    d)ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達性転写因子(STAT)阻害薬(例えば、トファシチニブ、フィルゴチニブ);
    e)プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)阻害薬(例えば、MDI-2268、チプラクスチニン);
    f)アミノサリチル酸系薬(例えば、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン);
    g)抗炎症性コルチコステロイド;並びに、
    h)免疫経路阻害薬(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、シクロスポリン、メトトレキサート、TNF-α阻害薬)。
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