JP2023538956A - 吸引シリンジ及びその方法 - Google Patents

Abstract

吸引シリンジ及びその方法が開示される。例示的な吸引シリンジは、バレルと、バレル内に配置されるプランジャと、吸引機構とを含んでもよい。吸引機構は、バレルの遠位部分に結合される親指支持部材と、バレルの周りに摺動自在に配置されるシリンジハウジングとを含んでもよい。シリンジハウジングは、プランジャの近位部分に結合される近位部分と、指支持部材に組み込まれるフランジで終端する遠位部分とを含んでもよい。吸引機構は、指支持部材がバレル上で親指支持部材に向けて摺動する際に、バレルからプランジャを引き出すように構成されてもよい。前述の吸引シリンジの例示的方法は、シリンジの中間部分の上で、片手を使用して指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことによって、流体含有空間から流体を吸引することを含む、流体吸引ステップを含んでもよい。

Description

本開示は、吸引シリンジ及びその方法に関する。

従来のシリンジは、主として、流体の注入用に設計されていた。しかしながら、そのようなシリンジは、血管カニュレーション時の若干の真空引きのためによく使用されている。この真空は、血管アクセスの確立が成功した時点で触覚フィードバックを受け取るための手段を臨床医に提供するものであり、このフィードバックは、シリンジに結合されている針の先端部が血管に進入する際の真空が解除された時点の圧力差に起因する。

従来のシリンジの場合、臨床医が、血管内に針を挿入している間にシリンジの固定と真空引きとの双方を行うための支持部が欠如している。血管カニュレーション用の、少なくとも前述の支持部を有するように特別に構成される吸引シリンジが必要とされている。

本明細書では、吸引シリンジ及びその方法が開示される。

本明細書では、吸引シリンジであって、いくつかの実施形態では、バレルと、バレル内に配置されるプランジャと、吸引機構とを含む、吸引シリンジが開示される。吸引機構は、バレルの近位部分に結合される親指支持部材と、バレルの周りに摺動自在に配置されるシリンジハウジングとを含む。シリンジハウジングは、プランジャの近位部分に結合される近位部分と、指支持部材に組み込まれるフランジで終端する遠位部分とを含む。吸引機構は、指支持部材がバレル上で親指支持部材に向けて摺動する際に、バレルからプランジャを引き出すように構成される。

いくつかの実施形態では、シリンジハウジングとプランジャとは、シリンジハウジングの近位部分がプランジャの近位部分と一体であるような一体型部品として共に成形される。

いくつかの実施形態では、シリンジハウジングとプランジャとは、シリンジハウジングの近位部分がプランジャの近位部分に接合又は接着されるような結合型部品として共に結合される、別個に成形される部品である。

いくつかの実施形態では、シリンジハウジングは、長手方向間隙を含み、シリンジハウジングがバレル上で摺動する際に、親指支持部材が長手方向間隙内をシリンジハウジングに対して移動する。

いくつかの実施形態では、フランジは、フランジの遠位面に一対の指用凹部を含む。一対の指用凹部は、片手の２本の指の２つの指腹をそれぞれ置くように構成される。一対の指用凹部はまた、２本の指の各指をバレルの両側に配置することを促すようにも構成される。

いくつかの実施形態では、フランジは、バレルをフランジが取り囲むような環状である。代替的に、フランジはバレルを取り囲む遠位環状部材に結合されている。フランジ又は遠位環状部材は、その遠位側に対して配置される片手の２本の指の２つの指腹を、フランジ又は遠位環状部材の周りにおけるそれら２本の指の各指の任意の選択された配置で、受け入れるように構成される。

いくつかの実施形態では、フランジ又は遠位環状部材は、その遠位面に環状指用凹部を含む。環状指用凹部は、２本の指の２つの指腹を置くように構成される。
いくつかの実施形態では、親指支持部材は、親指支持部材の近位面に単一の親指用凹部を含む。親指用凹部は、親指の親指腹を置くように構成される。親指用凹部はまた、親指とバレルの表面の面法線との長手方向のおおよその位置合わせを促すようにも構成される。

いくつかの実施形態では、親指支持部材は、バレルを取り囲む近位環状部材に結合されるか、又はバレルを取り囲む近位環状部材と共に形成されている。近位環状部材は、その近位側に対して配置される親指の親指腹を、近位環状部材の周りにおけるその親指の任意の選択された配置で、受け入れるように構成される。

いくつかの実施形態では、近位環状部材は、その近位面に環状親指用凹部を含む。環状親指用凹部は、親指の親指腹を置くように構成される。
いくつかの実施形態では、バレルの遠位部分は、ルアーテーパ付き（Ｌｕｅｒ－ｔａｐｅｒｅｄ）シリンジ先端部で終端する。

いくつかの実施形態では、バレルの遠位部分は更に、シリンジ先端部の周りの雌ねじ付きコネクタで終端する。雌ねじ付きコネクタは、別の医療デバイスの雄ねじ付きコネクタ又はフランジ付きコネクタと螺合するように構成される。

また本明細書では、吸引シリンジを使用してカニュレーションする方法も開示される。本方法は、取得ステップ、針挿入ステップ、及び真空引きステップを含む。取得ステップは、吸引シリンジを取得することを含む。吸引シリンジは、バレルの近位部分に結合される親指支持部材と、バレルの周りに摺動自在に配置されるシリンジハウジングとを含む。シリンジハウジングは、プランジャの近位部分に結合される近位部分、並びに、指支持部材に組み込まれるフランジで終端する遠位部分を含む。針挿入ステップは、吸引シリンジに結合される針を、患者の皮下組織内に挿入することを含む。真空引きステップは、患者の皮下組織内に針を挿入している間に、吸引シリンジを使用して真空引きすることを含む。真空引きステップは、吸引シリンジの中間部分の上で、片手を使用して指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことによって実行される。指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことにより、バレル上をシリンジハウジングが近位方向に摺動して、バレルからプランジャが引き出される。

いくつかの実施形態では、本方法は、針結合ステップを更に含む。針結合ステップは、吸引シリンジに針を結合することを含み、これは、針ハブのフランジ付きコネクタを、吸引シリンジのシリンジ先端部の周りの雌ねじ付きコネクタ内にねじ込むことを含む。

いくつかの実施形態では、真空引きステップ時に、指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことは、シリンジハウジング内の長手方向間隙を介して親指支持部材を移動させることを含む。

いくつかの実施形態では、本方法は、指配置ステップを更に含む。指配置ステップは、片手の２本の指の２つの指腹を、バレルの両側のフランジの遠位面の一対の指用凹部に配置することを含む。指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、指配置ステップの代替形態は、フランジが環状である場合に、フランジの遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。フランジが遠位環状部材に結合される場合、指配置ステップは、遠位環状部材の遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。この場合も同様に、指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、この指配置ステップの代替形態は、フランジ又は遠位環状部材の遠位面の環状指用凹部に、２つの指腹を配置することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、親指配置ステップを更に含む。親指配置ステップは、片手の親指の親指腹を、親指がバレルの表面の面法線と長手方向におおよそ位置合わせされる状態で、親指支持部材の近位面の単一の親指用凹部に配置することを含む。指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、親指配置ステップの代替形態は、親指支持部材に結合されるか又は親指支持部材と共に形成される近位環状部材の近位側に対して、片手の親指の親指腹を任意の場所に配置することを含む。この場合も同様に、親指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、この親指配置ステップの代替形態は、近位環状部材の近位面の環状親指用凹部に、親指腹を配置することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、針経路確立ステップを更に含む。針経路確立ステップは、患者の皮膚表面から患者内の流体含有空間への針経路を確立することを含む。針経路の確立は、針の先端部が流体含有空間に進入する際の真空の解除に伴って生じる圧力差に起因する触覚フィードバックを受け取ったときに実現される。

いくつかの実施形態では、流体含有空間は、その中に流体として血液を含む、血管内腔である。
また本明細書では、吸引シリンジを使用して流体を吸引する方法も開示される。本方法は、取得ステップ、針経路確立ステップ、及び流体吸引ステップを含む。取得ステップは、吸引シリンジを取得することを含む。吸引シリンジは、バレルの近位部分に結合される親指支持部材と、バレルの周りに摺動自在に配置されるシリンジハウジングとを含む。シリンジハウジングは、プランジャの近位部分に結合される近位部分、並びに、指支持部材に組み込まれるフランジで終端する遠位部分を含む。針経路確立ステップは、吸引シリンジに結合される針を使用して、皮膚表面から患者内の流体含有空間への針経路を確立することを含む。流体吸引ステップは、吸引シリンジの中間部分の上で、片手を使用して指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことによって、流体含有空間から流体を吸引することを含む。指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことにより、バレル上をシリンジハウジングが近位方向に摺動して、バレルからプランジャが引き出される。

いくつかの実施形態では、本方法は、針結合ステップを更に含む。針結合ステップは、吸引シリンジに針を結合することを含み、これは、針ハブのフランジ付きコネクタを、吸引シリンジのシリンジ先端部の周りの雌ねじ付きコネクタ内にねじ込むことを含む。

いくつかの実施形態では、流体吸引ステップ時に、指支持部材と親指支持部材とを一緒につまむことは、シリンジハウジング内の長手方向間隙を介して親指支持部材を移動させることを含む。

いくつかの実施形態では、本方法は、指配置ステップを更に含む。指配置ステップは、片手の２本の指の２つの指腹を、バレルの両側のフランジの遠位面の一対の指用凹部に配置することを含む。指配置ステップは、流体吸引ステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、指配置ステップの代替形態は、フランジが環状である場合に、フランジの遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。フランジが遠位環状部材に結合される場合、指配置ステップは、遠位環状部材の遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。この場合も同様に、指配置ステップは、流体吸引ステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、この指配置ステップの代替形態は、フランジ又は遠位環状部材の遠位面の環状指用凹部に、２つの指腹を配置することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、親指配置ステップを更に含む。親指配置ステップは、片手の親指の親指腹を、親指がバレルの表面の面法線と長手方向におおよそ位置合わせされる状態で、親指支持部材の近位面の単一の親指用凹部に配置することを含む。指配置ステップは、流体吸引ステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、親指配置ステップの代替形態は、親指支持部材に結合されるか又は親指支持部材と共に形成される近位環状部材の近位側に対して、片手の親指の親指腹を任意の場所に配置することを含む。この場合も同様に、親指配置ステップは、流体吸引ステップの前に実行される。

いくつかの実施形態では、この親指配置ステップの代替形態は、近位環状部材の近位面の環状親指用凹部に、親指腹を配置することを含む。
いくつかの実施形態では、流体含有空間は血管内腔であり、流体は血液である。

本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかとなるであろう。

いくつかの実施形態による、吸引準備が完了した状態にある吸引シリンジの斜視図。 いくつかの実施形態による、ある体積の流体を吸引した後の吸引シリンジの斜視図。 いくつかの実施形態による、図１の吸引シリンジの上面図。 いくつかの実施形態による、図２の吸引シリンジの上面図。 いくつかの実施形態による、吸引準備が完了した状態にある別の吸引シリンジの斜視図。 いくつかの実施形態による、ある体積の流体を吸引した後の他の吸引シリンジの斜視図。 いくつかの実施形態による、図５の吸引シリンジの上面図。 いくつかの実施形態による、図６の吸引シリンジの上面図。

いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することが可能であることも理解されたい。

本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数（例えば、第１、第２、第３、等）は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値限定を提供するものではない。例えば、「第１」、「第２」、及び「第３」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも３つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、等の表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「１つ」、及び「その」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。

「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ（ｐｒｏｘｉｍａｌ ｌｅｎｇｔｈ）」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。

「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ（ｄｉｓｔａｌ ｌｅｎｇｔｈ）」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。

別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
上述のように、臨床医が、血管カニュレーション時に吸引シリンジの固定と真空引きとの双方を行い、血管アクセスの確立が成功した時点で、触覚フィードバックを受け取るように特別に構成される吸引シリンジが必要とされている。本明細書では、吸引シリンジ及びその方法が開示される。

吸引シリンジ
図１～図４、及び図５～図８は、いくつかの実施形態による、２つの吸引シリンジに関する２つの異なる図及び２つの異なる状態を示す。図１及び図３は、吸引準備が完了した状態にある吸引シリンジ１００を示し、図２及び図４は、ある体積の流体を吸引した後の吸引シリンジ１００を示す。同様に、図５及び図７は、吸引準備が完了した状態にある吸引シリンジ２００を示し、図６及び図８は、ある体積の流体を吸引した後の吸引シリンジ２００を示す。図２、図４、図６、及び図８では、流体は単に空気であるが、流体は少なくとも流体吸引ステップに関して以下の方法で記載されるように、血液などの体液とすることができる。

図示のように、吸引シリンジ１００又は２００は、バレル１０２と、バレル１０２内に配置されているプランジャ１０４と、吸引機構とを含む。
バレル１０２は、プランジャ１０４が貫通して配置されている近位開口部（図示せず）で終端する近位部分を含む。バレル１０２はまた、遠位開口部を有するルアーテーパ付きシリンジ先端部１０６で終端する遠位部分も含み、シリンジ先端部１０６は、別の医療デバイス（例えば、レセプタクルを有する針ハブを含む針）のルアーテーパ付きレセプタクル内に挿入するように構成されている。バレル１０２の遠位部分は更に、シリンジ先端部１０６の周りの雌ねじ付きコネクタ１０８（例えば、カラー）で終端している。雌ねじ付きコネクタ１０８は、他の医療デバイス（例えば、フランジ付きコネクタを有する針ハブを含む針）の雄ねじ付きコネクタ又はフランジ付きコネクタと螺合するように構成されている。

バレル１０２は更に、吸引シリンジ１００又は２００の吸引準備が完了した状態において、プランジャ１０４がバレル１０２内でのその初期位置から引き出されるときに、どの程度の量の流体が吸引シリンジ１００又は２００内に吸引されるかを判定するための、バレル１０２上に印刷又は成形されている目盛りを含む。

プランジャ１０４は、シリンジハウジング１１２に関して以下に記載されるように、シリンジハウジング１１２に固定して結合されている近位部分を含む。プランジャ１０４はまた、ガスケット１１０で終端する遠位部分も含み、ガスケット１１０は、特に吸引シリンジ１００又は２００によってある体積の流体を吸引する時に、隣接しているバレル１０２の部分を、互いに流体封鎖するように構成されている。

吸引機構は、バレル１０２の周りに摺動自在に配置されているシリンジハウジング１１２と、指支持部材１１４又は２１４と、親指支持部材１１６又は２１６とを含む。吸引機構は、指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことなどによって、シリンジハウジング１１２がバレル１０２上を摺動して指支持部材１１４又は２１４が親指支持部材１１６又は２１６に引き寄せられる際に、バレル１０２からプランジャ１０４を引き出すように構成されている。

シリンジハウジング１１２は、プランジャ１０４の近位部分に固定して結合されている近位部分と、指支持部材１１４又は２１４に組み込まれているフランジ１１８で終端する遠位部分とを含む。シリンジハウジング１１２とプランジャ１０４とは、シリンジハウジング１１２の近位部分がプランジャ１０４の近位部分に接着又は接合されている（例えば、溶剤接合されている）ような結合型部品として共に結合されている、別個に成形された部品とすることができる。代替的に、シリンジハウジング１１２とプランジャ１０４とは、シリンジハウジング１１２の近位部分がプランジャ１０４の近位部分と一体であるような一体型部品として共に成形することもできる。

シリンジハウジング１１２は、長手方向間隙１２０を含み、（例えば、指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことによって）バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が摺動する際に、親指支持部材１１６又は２１６が長手方向間隙１２０内を移動する。以下に記載されるように、親指支持部材１１６又は２１６は、バレル１０２に固定して結合されており、これにより、親指支持部材１１６又は２１６は、移動することが制限される。実際には、バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が近位方向に摺動する際、移動するのはシリンジハウジング１１２である。しかしながら、シリンジハウジング１１２を基準系とすると、親指支持部材１１６又は２１６が長手方向間隙１２０内でシリンジハウジング１１２に対して移動する。

指支持部材１１４又は２１４は、シリンジハウジング１１２のフランジ１１８を組み込んでいる。指支持部材１１４及び２１４の各指支持部材に関する説明が、以下に記載される。指支持部材１１４は、図１～図４に示される吸引シリンジ１００の一部であるように示されているが、指支持部材１１４は、代替的には、図５～図８に示される吸引シリンジ２００の一部とすることができる点を理解されたい。同様に、指支持部材２１４は、図５～図８に示される吸引シリンジ２００の一部であるように示されているが、指支持部材２１４は、代替的には、図１～図４に示される吸引シリンジ１００の一部とすることもできる。

指支持部材１１４は、フランジ１１８の遠位面に一対の指用凹部１２２を含む。一対の指用凹部１２２は、片手の２本の指の２つの指腹をそれぞれ置くように構成されている。一対の指用凹部１２２はまた、２本の指の各指をバレル１０２の両側に配置することを促すように構成されている。

指支持部材２１４は、フランジ１１８に固定して結合されている遠位環状部材２２４である。代替的に、フランジ１１８が環状である場合、指支持部材２１４は、フランジ１１８と共に形成されている。いずれにせよ、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８は、環状である場合、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８の中心孔をバレル１０２が通るように、バレル１０２を取り囲んでいる。遠位環状部材２２４がフランジ１１８に結合されている場合、遠位環状部材２２４とフランジ１１８とは、結合型部品として共に結合されている（例えば、接着されている、溶剤接合されているなどの）、別個に成形された部品とすることができる。代替的に、遠位環状部材２２４とフランジ１１８とは、一体型部品として共に成形することもできる。指支持部材１１４と同様に、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８は、環状である場合、その遠位側に対して配置される片手の２本の指の２つの指腹を、受け入れるように構成されている。しかしながら、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８は、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８の遠位側に対する２本の指の配置を、遠位環状部材２２４又はフランジ１１８の周りにおけるそれら２本の指の任意の所望の配置に促すように構成されている。図示されていないが、遠位環状部材２２４は、その遠位面に環状指用凹部を含み得る。環状指用凹部は、２本の指の２つの指腹を置くように構成されている。

親指支持部材１１６又は２１６は、バレル１０２の近位部分に固定して結合されており（例えば、接着されている、溶剤接合されているなど）、この近位部分から延出している。親指支持部材１１６及び２１６の各親指支持部材に関する説明が、以下に記載される。親指支持部材１１６は、図１～図４に示される吸引シリンジ１００の一部であるように示されているが、親指支持部材１００は、代替的には、図５～図８に示される吸引シリンジ２００の一部とすることができる点を理解されたい。同様に、親指支持部材２１６は、図５～図８に示される吸引シリンジ２００の一部であるように示されているが、親指支持部材２１６は、代替的には、図１～図４に示される吸引シリンジ１００の一部とすることもできる。

親指支持部材１１６は、親指支持部材１１６の近位面に単一の親指用凹部１２６を含む。親指用凹部１２６は、手の自然な把持による吸引シリンジ１００の３本指での吸引のために、指支持部材１１４又は２１４上で使用される２本の指と同じ手の親指の親指腹を置くように構成されている。親指用凹部１２６はまた、図１に示されるように、親指とバレル１０２の表面の面法線との長手方向のおおよその位置合わせを促すようにも構成されている。

親指支持部材２１６は、親指支持部材１１６に固定して結合されている近位環状部材２２８である。代替的に、親指支持部材２１６は、単に近位環状部材２２８がバレル１０２の近位部分に固定して結合されているという点で、近位環状部材２２８と共に形成されている。いずれにせよ、近位環状部材２２８は、近位環状部材２２８の中心孔をバレル１０２が通るように、バレル１０２を取り囲んでいる。実際には、親指支持部材２１６と近位環状部材２２８とは、結合型部品として共に結合されている（例えば、接着されている、溶剤接合されているなどの）、別個に成形された部品とすることができる。代替的に、親指支持部材２１６と近位環状部材２２８とは、一体型部品として共に成形することもできる。親指支持部材１１６と同様に、近位環状部材２２８は、その近位側に対して配置される指支持部材１１４又は２１４上で使用される２本の指と同じ手の親指の親指腹を、受け入れるように構成されている。しかしながら、近位環状部材２２８は、手の自然な把持による吸引シリンジ２００の３本指での吸引のために、近位環状部材２２８の近位側に対する親指の配置を、近位環状部材２２８の周りにおけるその親指の任意の所望の配置に促すように構成されている。図示されていないが、近位環状部材２２８は、その近位面に環状親指用凹部を含み得る。環状親指用凹部は、親指の親指腹を置くように構成されている。

方法
吸引シリンジ１００及び２００の方法は、カニュレーションする方法、並びに、吸引シリンジ１００及び２００を使用して吸引する方法を含む。例えば血管内腔などの流体含有空間のカニュレーションは、その流体含有空間から血液などの流体を吸引する前に実施されるものであるため、吸引シリンジ１００又は２００を使用してカニュレーションする方法が、吸引シリンジ１００又は２００を使用して吸引するためのステップを含めて、以下に記載される。

吸引シリンジ１００又は２００を使用してカニュレーションする方法は、取得ステップ、針挿入ステップ、及び真空引きステップを含む。
取得ステップは、吸引シリンジ１００又は２００を取得することを含む。上述のように、吸引シリンジ１００又は２００は、バレル１０２の遠位部分に結合されている親指支持部材１１６又は２１６と、バレル１０２の周りに摺動自在に配置されているシリンジハウジング１１２とを含む。シリンジハウジング１１２は、プランジャ１０４の近位部分に結合されている近位部分、並びに、指支持部材１１４又は２１４に組み込まれているフランジ１１８で終端する遠位部分を含む。

針挿入ステップの前に、本方法は、針結合ステップを更に含み得る。針結合ステップは、吸引シリンジ１００又は２００に針を結合することを含み、これは、針ハブのフランジ付きコネクタを、吸引シリンジ１００又は２００のシリンジ先端部１０６の周りの雌ねじ付きコネクタ１０８内にねじ込むことを含む。

針挿入ステップは、吸引シリンジ１００又は２００に結合されている針を、患者の皮下組織内に挿入することを含む。
真空引きステップの前に、本方法は、指配置ステップを更に含む。吸引シリンジ１００に関しては、指配置ステップは、片手の２本の指の２つの指腹を、バレル１０２の両側のフランジ１１８の遠位面の一対の指用凹部１２２に配置することを含む。以下に記載されるように吸引シリンジ１００を使用して吸引するとき、吸引シリンジ１００を使用するカニュレーションと吸引との間のいずれかの介在ステップの後に吸引シリンジ１００から片手が部分的又は完全に離れる場合には、流体吸引ステップの前に、指配置ステップが実行される。

環状フランジ又は遠位環状部材２２４を含む吸引シリンジ２００若しくは任意の同様のシリンジに関しては、前述の指配置ステップの代替形態が実行される。そのような代替的な指配置ステップは、フランジ１１８が環状である場合に、フランジ１１８の遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。フランジ１１８が遠位環状部材２２４に結合されている場合、指配置ステップは、遠位環状部材２２４の遠位側に対して、片手の２本の指の２つの指腹を任意の場所に配置することを含む。例えば、この指配置ステップの代替形態は、フランジ１１８又は遠位環状部材２２４の遠位面の環状指用凹部に、２つの指腹を配置することを含み得る。前述の指配置ステップと同様に、代替的な指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。以下に記載されるようにシリンジ２００を使用して吸引するとき、吸引シリンジ２００を使用するカニュレーションと吸引との間のいずれかの介在ステップの後に吸引シリンジ２００から片手が部分的又は完全に離れる場合には、流体吸引ステップの前に、代替的な指配置ステップが実行される。

更には、真空引きステップの前に、本方法は、親指配置ステップを更に含む。吸引シリンジ１００に関しては、親指配置ステップは、片手の親指の親指腹を、親指がバレル１０２の表面の面法線と長手方向におおよそ位置合わせされる状態で、親指支持部材１１６の近位面の単一の親指用凹部１２６内に配置することを含む。以下に記載されるように吸引シリンジ１００を使用して吸引するとき、吸引シリンジ１００を使用するカニュレーションと吸引との間のいずれかの介在ステップの後に吸引シリンジ１００から片手が部分的又は完全に離れる場合には、流体吸引ステップの前に、指配置ステップが実行される。

近位環状部材２２８を含む吸引シリンジ２００又は任意の同様のシリンジに関しては、前述の親指配置ステップの代替形態が実行される。そのような代替的な親指配置ステップは、親指支持部材２１６に結合されているか又は親指支持部材２１６と共に形成されている近位環状部材２１８の近位側に対して、片手の親指の親指腹を任意の場所に配置することを含む。例えば、この親指配置ステップの代替形態は、近位環状部材２２８の近位面の環状親指用凹部に、親指腹を配置することを含み得る。前述の親指配置ステップと同様に、代替的な親指配置ステップは、真空引きステップの前に実行される。以下に記載されるようにシリンジ２００を使用して吸引するとき、吸引シリンジ２００を使用するカニュレーションと吸引との間のいずれかの介在ステップの後に吸引シリンジ２００から片手が部分的又は完全に離れる場合には、流体吸引ステップの前に、代替的な親指配置ステップが実行される。

真空引きステップは、針挿入ステップを積極的に実行している間、又は真空引きステップを実行するために針挿入ステップの途中で一時的に休止している間などの、患者の皮下組織内に針を挿入している間に、吸引シリンジ１００又は２００を使用して真空引きすることを含む。真空引きステップは、吸引シリンジ１００又は２００の中間部分の上、下、又は側方で、片手を使用して指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことによって実行される。指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことにより、バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が近位方向に摺動して、バレル１０２からプランジャ１０４が引き出され、真空を作り出す。真空引きステップ時に、指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことは、シリンジハウジング１１２内の長手方向間隙１２０を介して親指支持部材１１６又は２１６を移動させることを含む。この場合も同様に、親指支持部材１１６又は２１６は、バレル１０２に結合されており、それゆえ、親指支持部材１１６又は２１６は、実際には移動しない点を理解されたい。実際には、バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が近位方向に摺動する際、移動するのはシリンジハウジング１１２である。

本方法は、針経路確立ステップを更に含む。針経路確立ステップは、患者の皮膚表面から患者内の流体含有空間への針経路を確立することを含む。針経路の確立は、針の先端部が流体含有空間に進入する際の真空引きステップ時に作り出された真空の解除に伴って生じる圧力差に起因する触覚フィードバックを受け取ったときに実現される。

針経路確立ステップにより針経路が確立されると、流体吸引ステップで吸引シリンジ１００又は２００を使用して、血管内腔などの流体含有空間から血液などの流体を吸引することができる。流体吸引ステップは、吸引シリンジ１００又は２００の中間部分の上、下、又は側方で、前述の片手と同じ手又は異なる手を使用して、指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことによって、流体含有空間から流体を吸引することを含む。指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことにより、バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が近位方向に摺動して、バレル１０２からプランジャ１０４が引き出され、真空を作り出す。流体吸引ステップ時に、指支持部材１１４又は２１４と親指支持部材１１６又は２１６とを一緒につまむことは、シリンジハウジング１１２内の長手方向間隙１２０を介して親指支持部材１１６又は２１６を移動させることを含む。この場合も同様に、親指支持部材１１６又は２１６は、バレル１０２に結合されており、そのため、親指支持部材１１６又は２１６は、実際には移動しない点を理解されたい。実際には、バレル１０２上をシリンジハウジング１１２が近位方向に摺動する際、移動するのはシリンジハウジング１１２である。

吸引シリンジ１００及び２００は、３本指での吸引などのために設計されているが、臨床医によっては、２本の指、又は最大で片方の５本の指全てを使用することを選択する場合もあり、これは、本明細書で提供される概念の範囲内である点を理解されたい。

いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合及び／又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合及び／又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。

Claims (12)

1. 吸引シリンジであって、
   バレルと、
   前記バレル内に配置されるプランジャと、
   吸引機構と、を備え、前記吸引機構は、
   前記バレルの近位部分に結合される親指支持部材と、
   前記バレルの周りに摺動自在に配置されるシリンジハウジングであって、前記プランジャの近位部分に結合される近位部分と、指支持部材に組み込まれるフランジで終端する遠位部分とを含むシリンジハウジングと、を含み、前記吸引機構は、前記指支持部材が前記バレル上で前記親指支持部材に向けて摺動する際に、前記バレルから前記プランジャを引き出すように構成される、吸引シリンジ。
2. 前記シリンジハウジングと前記プランジャとは、前記シリンジハウジングの前記近位部分が前記プランジャの前記近位部分と一体であるような一体型部品として共に成形される、請求項１に記載の吸引シリンジ。
3. 前記シリンジハウジングと前記プランジャとは、前記シリンジハウジングの前記近位部分が前記プランジャの前記近位部分に接合又は接着されるような結合型部品として共に結合される、別個に成形される部品である、請求項１に記載の吸引シリンジ。
4. 前記シリンジハウジングは、長手方向間隙を含み、前記シリンジハウジングが前記バレル上で摺動する際に、前記親指支持部材が前記長手方向間隙内を前記シリンジハウジングに対して移動する、請求項１～３のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
5. 前記フランジは、前記フランジの遠位面に片手の２本の指の２つの指腹をそれぞれ置くように構成される一対の指用凹部を含み、前記一対の指用凹部は、前記２本の指の各指を前記バレルの両側に配置することを促すように構成される、請求項１～４のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
6. 前記フランジは前記バレルを取り囲む環状であるか、又は前記フランジは前記バレルを取り囲む遠位環状部材に結合されており、前記フランジ又は前記遠位環状部材は、その遠位側に対して配置される前記片手の２本の指の２つの指腹を、前記フランジ又は前記遠位環状部材の周りにおける前記２本の指の各指の任意の選択された配置で、受け入れるように構成される、請求項１～４のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
7. 前記フランジ又は前記遠位環状部材は、その遠位面に環状指用凹部を含み、前記環状指用凹部は、前記２本の指の前記２つの指腹を置くように構成される、請求項６に記載の吸引シリンジ。
8. 前記親指支持部材は、前記親指支持部材の近位面に親指の親指腹を置くように構成される単一の親指用凹部を含み、前記単一の親指用凹部は、前記親指と前記バレルの表面の面法線との長手方向のおおよその位置合わせを促すように構成される、請求項１～７のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
9. 前記親指支持部材は、前記バレルを取り囲む近位環状部材に結合されるか、又は前記バレルを取り囲む近位環状部材と共に形成されており、前記近位環状部材は、その近位側に対して配置される親指の親指腹を、前記近位環状部材の周りにおける前記親指の任意の選択された配置で、受け入れるように構成される、請求項１～７のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
10. 前記近位環状部材は、その近位面に環状親指用凹部を含み、前記環状親指用凹部は、前記親指の前記親指腹を置くように構成される、請求項９に記載の吸引シリンジ。
11. 前記バレルの遠位部分は、ルアーテーパ付きシリンジ先端部で終端する、請求項１～１０のいずれか一項に記載の吸引シリンジ。
12. 前記バレルの前記遠位部分は更に、前記シリンジ先端部の周りの雌ねじ付きコネクタで終端し、前記雌ねじ付きコネクタは、別の医療デバイスの雄ねじ付きコネクタ又はフランジ付きコネクタと螺合するように構成される、請求項１１に記載の吸引シリンジ。