JP2023538524A - スプライシングを調節する組成物 - Google Patents

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Abstract

遺伝子によってコードされるプレmRNAなどのmRNAのスプライシングを調節する小分子スプライシング調節因子化合物、並びにスプライシングを調節し、かつ疾患及び状態を治療するための小分子スプライシング調節因子化合物の使用方法が本明細書に記載される。【選択図】なし

Description

[0001]
本願は、2020年8月5日に出願された米国仮出願第63/061,742号の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[0002] ヒトゲノム中のタンパク質コード遺伝子の大半は、イントロン(非コード領域)によって分離される複数のエクソン(コード領域)で構成されている。遺伝子発現により、単一のメッセンジャーRNA前駆体(プレmRNA)が生じる。その後、イントロン配列がスプライシングと呼ばれるプロセスによってプレmRNAから除去され、結果として成熟メッセンジャーRNA(mRNA)が生じる。エクソンの様々な組合せを包含することにより、選択的スプライシングが別個のタンパク質アイソフォームをコードする複数のmRNAを生じさせる。スプライシングは、複数のタンパク質及びリボ核タンパク質の細胞内複合体であるスプライセオソームが触媒する。
[0003] mRNA発現を誘導して制御する現在の治療的アプローチは、遺伝子療法、ゲノム編集、又は広範なオリゴヌクレオチド技術(アンチセンス、RNAiなど)などの方法を必要とする。遺伝子治療及びゲノム編集は、DNAコードに影響を及ぼし、それにより、mRNA発現を変化させることによって、mRNAの転写の上流で作用する。オリゴヌクレオチドは、基準塩基/塩基ハイブリダイゼーションによりRNAの作用を調節する。このアプローチの魅力は、オリゴヌクレオチドの基本的なファーマコフォアの設計にあり、これは、標的配列対象との既知の塩基対合によって直接的な様式で規定することができる。これらの治療法は各々、実質的な技術的、臨床的、及び制御上の課題に晒されている。治療剤としてのオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンス、RNAi)のいくつかの制限としては、好ましくない薬物動態、経口バイオアベイラビリティの欠如、及び血液脳関門透過の欠如が挙げられ、後者は、疾患(例えば、神経疾患、脳がん)の治療用の非経口薬剤の投与後の脳又は脊髄への送達を妨げる。加えて、オリゴヌクレオチドは、脂質ナノ粒子などの複雑な送達系なしでは、固形腫瘍に効果的に取り込まれない。さらに、細胞及び組織に取り込まれたオリゴヌクレオチドの大半が、非機能的区画(例えば、エンドソーム)に留まり、標的が位置するサイトゾル及び/又は核へ接近しない。
[0004] 加えて、ある標的に対するアニーリングのために、オリゴヌクレオチド療法では、その標的の相補的塩基対への接近を必要とする。このアプローチでは、プレmRNA配列が細胞内の直鎖状RNAとして存在すると仮定する。しかしながら、プレmRNAが直鎖状であることは稀であり、複雑な2次構造及び3次構造を有する。さらに、シス作用エレメント(例えば、タンパク質結合エレメント)及びトランス作用因子(例えば、スプライシング複合体構成成分)は、さらなる2次元的及び3次元的な複雑性を生じさせる(例えば、プレmRNAへの結合によって)という可能性がある。これらの特徴は、オリゴヌクレオチド療法に対する効力及び有効性の制限である可能性がある。
[0005] 本明細書に記載の新規の小分子スプライシング調節因子(SMSM)は、上記の制限にも、オリゴヌクレオチド療法を大いに制限する構造的及び立体障害にも(例えば、プレmRNA標的へのハイブリダイゼーションを遮断することによって)、晒されることがない。小分子は、DNAの複製、転写、及び翻訳を含む多くの細胞プロセスの機序、制御、及び機能を明らかにするのに不可欠とされてきた。いくつかの最近の報告がスプライシングの小分子エフェクターに関するスクリーニングについて説明しているが、わずかな数の構成的スプライシング調節因子又は選択的スプライシング調節因子しか特定されておらず、小分子阻害剤の多くは特異性を欠くか、選択性を欠くか、効力を欠くか、毒性を呈するか、又は経口利用可能でない。小分子調節因子を用いてRNAトランスクリプトームを標的とすることは、様々なRNA媒介性疾患を治療するための未開発の治療的アプローチを意味する。したがって、治療剤として有用な小分子RNA調節因子の開発が依然として要望されている。スプライシングプロセス又はスプライシング依存性プロセスの新規の調節因子が当技術分野で要望されている。この要望を満たす小分子スプライシング調節因子及びその使用が本明細書に提供される。
[0006] 1態様では、本明細書において、式(I)の化合物:
式中、Qは、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、又は置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレンであり、Xは水素、CH、又は置換若しくは非置換C~Cシクロアルキルであり、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はCHであり、R及びRはそれぞれ独立して水素又はハロゲンであり、A、A、A、及びAはそれぞれ独立してN、-NRY1-、-O-、-S-、又はCRA1であり、
はそれぞれ独立して単結合又は2重結合であり、RA1はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、=O、又は置換若しくは非置換C~Cアルキルであり、またRY1はそれぞれ独立して水素又は置換若しくは非置換C~Cアルキルである、当該化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物、を記載する。
[0007] また本明細書において、本明細書に開示する化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む医薬組成物も提供する。
[0008] また本明細書において、スプライシングを調節する方法であって、本明細書に開示の化合物を細胞と接触させることを含み、該化合物が、mRNAをコードするプレmRNAのスプライス部位配列においてのスプライシングを調節し、該mRNAが標的タンパク質又は機能性RNAをコードするものである方法も提供する。
[0009] また本明細書において、疾患又は状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に開示の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物を投与することを含む方法も提供する。
[0010] また本明細書において、状態又は疾患の治療のための医薬の製造における、本明細書に開示の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物の使用も提供する。
参照による組み込み
[0011] 本明細書で述べられる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が各々、参照により組み込むように具体的かつ個別に示した場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
[0012] 本明細書のある特定の詳細は、様々な実施形態の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者であれば、本開示がこれらの詳細なくとも実施され得ることを理解するであろう。他の事例では、周知の構造は、実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを避けるために詳細には示されておらず、説明されていない。
[0013] 別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料が本開示の実施又は試験に使用され得るが、好適な方法及び材料を以下に記載する。
定義
[0014] 「この開示の化合物」、「本開示の化合物」、「小分子立体調節因子」、「小分子スプライシング調節因子」、「立体調節因子」、「スプライシング調節因子」、「スプライシングを改変する化合物」及び「スプライシングを改変している化合物」、「SMSM」、又は「標的RNAに結合する小分子」という用語は、本明細書で区別なく使用されて、本明細書に開示される化合物、並びにその立体異性体、互変異性体、溶媒和化合物、及び塩(例えば、薬学的に許容可能な塩)を指す。「この開示の化合物」、「本開示の化合物」、「小分子立体調節因子」、「小分子スプライシング調節因子」、「立体調節因子」、「スプライシング調節因子」、「スプライシングを改変する化合物」及び「スプライシングを改変している化合物」、「SMSM」、又は「標的RNAに結合する小分子」という用語は、細胞構成成分(例えば、DNA、RNA、プレmRNA、タンパク質、RNP、snRNA、炭水化物、脂質、補因子、栄養素、及び/又は代謝物)に結合して、かつ例えばプレmRNAである標的ポリヌクレオチドのスプライシングを調節する小分子を意味する。例えば、SMSMは、標的ポリヌクレオチドに、例えば、変異の、非変異の、突出した(bulged)、及び/又は異常なスプライス部位を有するRNA(例えば、プレmRNA)に直接又は間接的に結合することができ、結果として標的ポリヌクレオチドのスプライシングの調節をもたらす。例えば、SMSMは、例えばスプライセオソームタンパク質又はリボ核タンパク質(ribonuclear protein)であるタンパク質に直接又は間接的に結合することができ、結果としてタンパク質の立体調節及び標的RNAのスプライシングの調節をもたらす。例えば、SMSMは、例えばスプライセオソームタンパク質又はsnRNAであるスプライセオソーム構成成分に直接又は間接的に結合することができ、結果としてスプライセオソームタンパク質又はsnRNAの立体調節及び標的ポリヌクレオチドのスプライシングの調節をもたらす。これらの用語は、オリゴヌクレオチドからなる化合物を明確に除外する。これらの用語は、標的RNAの1以上の2次構造エレメント又は3次構造エレメントに結合し得る小分子化合物を含む。これらの部位には、RNA3本鎖、3WJ、4WJ、平行Y接合部、ヘアピン、バルジループ、シュードノット、内部ループ、及び他のより高次のRNA構造モチーフが含まれる。
[0015] 本明細書で使用される「RNA」(リボ核酸)という用語は、天然に存在するオリゴリボヌクレオチド又は合成オリゴリボヌクレオチドを意味し、これは源(例えばこのRNAが、ヒト、動物、植物、ウイルス、若しくは細菌によって産生されてもよく、又は合成由来であってもよい)、生物学的背景(例えばこのRNAが、核内にあってもよく、血液中を循環していてもよく、インビトロ、細胞溶解物中にあっても、又は単離された若しくは純粋な形態であってもよい)、又は物理的形態(例えばこのRNAが、1本鎖、2本鎖、又は3本鎖形態(RNA-DNAハイブリッドを含む)であり得るか、エピジェネティックな修飾、天然の転写後修飾、人工的な修飾(例えば、化学修飾若しくはインビトロ修飾によって得られるもの)、若しくは他の修飾を含み得るか、又は例えば金属イオン、小分子、シャペロンなどのタンパク質、若しくは補因子に結合し得るか、又は例えば4本鎖、ヘアピン、3本鎖、3方向接合部(3WJ)、4方向接合部(4WJ)、平行Y接合部、ヘアピン、バルジループ、シュードノット、及び内部ループなどの任意の天然若しくは非天然の2次構造若しくは3次構造をはじめとする、変性した、部分的に変性した、若しくは折り畳まれた状態であってもよく、またRNAによって採用される任意の一過性形態又は構造であり得る)、に依存しないものである。いくつかの実施形態では、RNAは、ヌクレオチド長が、20、22、50、75、又は100以上である。いくつかの実施形態では、RNAは、ヌクレオチド長が、250以上である。いくつかの実施形態では、RNAは、ヌクレオチド長が、350、450、500、600、750、又は1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、7,500、10,000、15,000、25,000、50,000又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、RNAは、ヌクレオチド長が、250~1,000である。いくつかの実施形態では、RNAは、プレRNA、プレmiRNA、又は転写物前駆体である。いくつかの実施形態では、RNAは、非コードRNA(ncRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、リボスイッチ、lncRNA、lincRNA、snoRNA、snRNA、scaRNA、piRNA、ceRNA、偽遺伝子、ウイルスRNA、真菌性RNA、寄生虫性RNA、又は細菌性RNAである。
[0016] 本明細書における「立体改変」、「立体修飾」、又は「立体調節」とは、互いに対する化学的部分の空間的配向上の変化を指す。当業者であれば、立体障害、立体遮蔽、立体誘引、鎖交差、立体反発、共鳴の立体阻害、及びプロトン化の立体阻害を含むがこれらに限定されない立体的機構を認識するであろう。
[0017] 本明細書における構造中の炭素、酸素、硫黄、又は窒素原子上に現れる空白の原子価はいずれも、別途示されない限り、水素が存在していることを示す。
[0018] 本明細書に記載の定義は、問題となっている用語が単独で現れるか組み合わせて現れるかにかかわらず適用される。本明細書に記載の定義は、例えば「ヘテロシクロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクロアルキル」、又は「アルコキシアルキル」など、化学的に関連性のある結合を形成するために付加され得ることが企図される。結合の最後の成員が、その分子の残りの部分に結合している基である。結合の他の成員は、文字の配列に対して逆の順で結合基に結合しており、例えば、アリールアルキルヘテロシクロアルキルという結合は、アリールによって置換されたアルキルによって置換されたヘテロシクロアルキル基を指す。
[0019] 置換基の数を示す場合、「1以上の」という用語は、1つの置換基から可能な最大数の置換基までの範囲を指し、すなわち置換基による1つの水素の置換から全ての水素の置換までの範囲を指す。
[0020] 「置換基」という用語は、親分子上の水素原子を置換する原子又は原子の基を意味する。
[0021] 「置換(された)」という用語は、特定された基が1以上の置換基を有することを意味する。任意の基が複数の置換基を有することができ、かつ様々な可能な置換基が提供される場合、それら置換基は独立して選択され、同じである必要はない。「非置換」という用語は、その特定された基が置換基を有しないことを意味する。「任意に置換された」という用語は、その特定された基が、置換されないか、又は可能な置換基の群から独立して選択される1以上の置換基によって置換されることを意味する。
[0022] 以下の略語が本明細書を通して使用される:酢酸(AcOH)、酢酸エチル(EtOAc)、ブチルアルコール(n-BuOH)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(CHCl、DCM)、ジイソプロピルエチルアミン(Diipea)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化水素(HCl)、メタノール(MeOH)、メトキシメチルブロミド(MOMBr)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ヨウ化メチル(MeI)、n-プロパノール(n-PrOH)、p-メトキシベンジル(PMB)、トリエチルアミン(EtN)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、(Pd(dppf)Cl)、ナトリウムエタンチオラート(EtSNa)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、水素化ナトリウム(NaH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、テトラヒドロピラン(THP)、テトラヒドロフラン(THF)。
[0023] 本明細書で使用される場合、C~Cは、C~C、C~C・・・C~Cを含む。ほんの1例として、「C~C」と示す基は、その部分内に1から4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、又は4個の炭素原子を含む基である。したがって、ほんの1例として、「C~Cアルキル」は、アルキル基内に1から4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルから選択される。
[0024] 「オキソ」という用語は、=O置換基を指す。
[0025] 「チオキソ」という用語は、=S置換基を指す。
[0026] 「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」という用語は、本明細書で区別なく使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
[0027] 「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を有し、かつ単結合によって分子の残りの部分に結合している直鎖又は分枝の炭化水素鎖の基を指す。最大10個の炭素原子を含むアルキルは、C~C10アルキルと称され、同様に、例えば、最大6個の炭素原子を含むアルキルは、C~Cアルキルである。他の数の炭素原子を含むアルキル(及び本明細書で規定される他の部分)は、同様に表される。アルキル基には、C~C10アルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルキル、及びC~Cアルキルが含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(i-プロピル)、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-エチル-プロピルなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル又はエチルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、-CH(CH又は-C(CHである。本明細書に別途明確に記載されない限り、アルキル基は、任意に置換されてもよい。疑義を避けるために付言すると、用語「アルキル」はアルケニル基又はアルキニル基を包含しない。「アルキレン」又は「アルキレン鎖」とは、分子の残りをラジカル基に結合する直鎖又は分枝の2価炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CH-、-CHCH-、又は-CHCHCH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CHCH-である。いくつかの実施形態では、アルキレンは、-CHCHCH-である。本明細書に別途明確に記載されない限り、アルキレン基は、任意に置換されてもよい。疑義を避けるために付言すると、用語「アルキレン」は、アルケニレン基又はアルキニレン基を包含しない。
[0028] 用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素2重結合が存在する、1から20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の炭化水素鎖の基を指す。1実施形態では、アルケニル基は、式-C(R)=CR を有し、式中、Rは、同じであっても異なっていてもよいアルケニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、Rは、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、アルケニルは、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル(すなわち、アリル)、ブテニル、ペンテニル、ペンタジエニルなどから選択される。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH、-C(CH)=CH、-CH=CHCH、-C(CH)=CHCH、及び-CHCH=CHが挙げられる。用語「アルケニレン」は、2価アルケニル基を指す。
[0029] 用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素3重結合が存在する、1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の炭化水素鎖の基を指す。1実施形態では、アルケニル基は、式-C≡C-Rを有し、式中、Rは、アルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、Rは、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどから選択される。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH、-C≡CCHCH、-CHC≡CHが挙げられる。用語「アルキニレン」は、2価アルキニル基を指す。
[0030] 「アルコキシ」という用語は、式-OR基を指し、式中、Rは、規定されるようなアルキル基である。本明細書に別途明確に記載されない限り、アルコキシ基は、任意に置換されてもよい。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルコキシは、メトキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、エトキシである。
[0031] 「芳香族」という用語は、nは整数である4n+2個の電子を含む非局在化π-電子系を有する平面環を指す。π芳香族は、任意に置換され得る。「芳香族」という用語は、アリール基(例えば、フェニル、ナフタレニル)及びヘテロアリール基(例えば、ピリジニル、キノリニル)の両方を含む。
[0032] 「アリール」という用語は、芳香族環であって、当該環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香族環を指す。アリール基は、任意に置換され得る。アリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリールは、フェニルである。構造に応じて、アリール基は、モノラジカル又はジラジカル(すなわち、アリレン基)であり得る。本明細書に別途明確に記載されない限り、「アリール」という用語又は接頭辞「ar-」(例えば、「アラルキル(aralkyl)」がもつものなど)は、任意に置換されるアリール基を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、アリール基は、本明細書で定める部分的に還元されたシクロアルキル基(例えば、1,2-ジヒドロナフタレン)を含む。いくつかの実施形態では、アリール基は、本明細書で定める完全に還元されたシクロアルキル基(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)を含む。アリールがシクロアルキル基を含む場合、アリールは、芳香族環の炭素原子を介して分子の残りの部分に結合される。
[0033] 「ハロアルキル」という用語は、アルキル基であって該アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つが同じ又は異なるハロゲン原子、具体的にはフルオロ原子によって置換されているアルキル基を意味する。ハロアルキルの例としては、モノフルオロ-、ジフルオロ-、又はトリフルオロ-である-メチル、-エチル、又は-プロピル、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル、又はトリフルオロメチルが挙げられる。「過ハロアルキル(perhaloalkyl)」という用語は、アルキル基であって該アルキル基の全ての水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルキル基を意味する。
[0034] 「2環式環系」という用語は、共通の単結合又は2重結合を介して(縮合した(annelated)2環式環系)、3個以上の共通の原子の配列を介して(架橋した2環式環系)、又は共通の単一原子を介して(スピロ2環式環系)、互いに縮合している2つの環を意味する。2環式環系は、飽和、部分不飽和、不飽和、又は芳香族とすることができる。2環式環系は、N、O、及びSから選択されるヘテロ原子を含み得る。
[0035] 「炭素環式」又は「炭素環」という用語は、環の骨格を形成する原子が全て炭素原子である環又は環系を指す。すなわち、この用語は、炭素環式環を、環骨格に炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含むものである「複素環式」環又は「複素環」と区別させる。いくつかの実施形態では、2環式炭素環の2つの環の少なくとも一方が芳香族である。いくつかの実施形態では、2環式炭素環の両方の環が芳香族である。炭素環には、シクロアルキル及びアリールが含まれる。
[0036] 「シクロアルキル」という用語は、単環式又は多環式の非芳香族基であって当該環を形成する原子(すなわち、骨格原子)の各々が炭素原子である単環式又は多環式の非芳香族基を指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和又は部分不飽和である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環式化合物又は架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、芳香族環と縮合している(この場合、シクロアルキルは、非芳香族環炭素原子を介して結合されている)。シクロアルキル基には、3~10個の環原子を有する基が含まれる。代表的なシクロアルキルには、3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子、又は3~5個の炭素原子を有するシクロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。単環式シクロアルキル基には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルである。いくつかの実施形態では、単環式シクロアルキルは、シクロペンテニルである。多環式基には、例えば、アダマンチル、1,2-ジヒドロナフタレニル、1,4-ジヒドロナフタレニル、テトライニル、デカリニル、3,4-ジヒドロナフタレニル-1(2H)-オン、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニル、及び2環式[1.1.1]ペンチルが含まれる。本明細書に別途明確に記載されない限り、シクロアルキル基は、任意に置換されてよい。
[0037] 「架橋」という用語は、2個の橋頭原子を結合する架橋を含む2つ以上の環を有する任意の環構造を指す。橋頭原子は、分子の骨格フレームワークの一部であり、かつ3以上の他の骨格原子に結合している原子として規定される。いくつかの実施形態では、橋頭原子は、C、N、又はPである。いくつかの実施形態では、架橋は、2つの橋頭原子を結合する単一原子又は原子鎖である。いくつかの実施形態では、架橋は、2個の橋頭原子を結合する原子価結合である。いくつかの実施形態では、架橋環系は、シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、架橋環系は、ヘテロシクロアルキルである。
[0038] 「フルオロアルキル」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置換されるアルキルを指す。1態様では、フルオロアルキルは、C~Cフルオロアルキルである。いくつかの実施形態では、フルオロアルキルは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどから選択される。
[0039] 「ヘテロアルキル」という用語は、直鎖又は分枝の炭化水素鎖の基であって、該炭化水素鎖の1以上の骨格原子が、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、-NH-、-N(アルキル)-、又は-N(アリール)-)、硫黄(例えば、-S-、-S(=O)-、又は-S(=O)-)、又はそれらの組合せから選択される、直鎖又は分枝の炭化水素鎖の基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、ヘテロアルキルの炭素原子において当該分子の残りの部分に結合している。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、ヘテロアルキルのヘテロ原子において当該分子の残りの部分に結合している。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは、C~Cヘテロアルキルである。代表的なヘテロアルキル基としては、-OCHOMe、-OCHCHOH、-OCHCHOMe、又は-OCHCHOCHCHNHが挙げられるが、これらに限定されない。
[0040] 「ヘテロアルキレン」又は「ヘテロアルキレン鎖」という用語は、当該分子の残りの部分をあるラジカル基に連結させる直鎖又は分枝の2価炭化水素鎖であって、該炭化水素鎖の1以上の骨格原子が、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素(例えば、-NH-、-N(アルキル)-、又は-N(アリール)-)、硫黄(例えば、-S-、-S(=O)-、又は-S(=O)-)、又はそれらの組合せから選択される、直鎖又は分枝の2価炭化水素鎖を指す。本明細書に別途明確に記載されない限り、ヘテロアルキレン基は、任意に置換されてもよい。代表的なヘテロアルキレン基には、-OCHCHO-、-OCHCHOCHCHO-、又は-OCHCHOCHCHOCHCHO-が含まれるが、これらに限定されない。
[0041] 「ヘテロシクロアルキル」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。本明細書に別途明確に記載されない限り、ヘテロシクロアルキル基は、縮合環系(アリール環又はヘテロアリール環と縮合した場合、ヘテロシクロアルキルは非芳香族環原子を介して結合される)又は架橋環系を含み得る単環式又は2環式環系であり得る。ヘテロシクリル基中の窒素、炭素、又は硫黄原子は、任意に酸化されてもよい。窒素原子は、任意に4級化されてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、部分飽和又は完全飽和である。ヘテロシクロアルキル基の例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルという用語は、単糖、二糖、及びオリゴ糖を含むが、これらに限定されない、炭水化物の全ての環形態も含む。別途記載されない限り、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素及び1個又は2個のN原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~10個の炭素及び3個又は4個のN原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素、0~2個のN原子、0~2個のO原子、0~2個のP原子、及び0~1個のS原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環内に2~12個の炭素、1~3個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数について言及する場合、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数が、ヘテロシクロアルキルを構成する原子(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)の総数(ヘテロ原子を含む)と同じではないことが理解される。本明細書に別途明確に記載されない限り、ヘテロシクロアルキル基は、任意に置換されてもよい。
[0042] 「複素環」又は「複素環式」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族複素環(別名、ヘテロアリール)及びヘテロシクロアルキル環(別名、ヘテロ脂環式基)を指し、複素環式基が各々、その環系内に3~12個の原子を有するが、但し、いずれの環も2つの隣接するO又はS原子を含まないことを条件とする。非芳香族複素環式基(別名、ヘテロシクロアルキル)は、その環系内に3~12個の原子を有する環を含み、芳香族複素環式基は、その環系に5~12個の原子を有する環を含む。複素環式基は、ベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環式基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピロリン-2-イル、ピロリン-3-イル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、h-インドリル、インドリン(indolin)-2-オニル(onyl)、イソインドリン-1-オニル、イソインドリン(isoindoline)-1,3-ジオニル(dionyl)、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オニル、イソインドリン-1,3-ジチオニル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オニル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オニル、及びキノリジニルである。芳香族複素環式基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。前述の基は、可能な場合、C結合(若しくはC連結)又はN結合のいずれかである。例えば、ピロール由来の基は、ピロール-1-イル(N結合)又はピロール-3-イル(C結合)の両方を含む。さらに、イミダゾール由来の基は、イミダゾール-1-イル若しくはイミダゾール-3-イル(いずれもN結合)又はイミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、若しくはイミダゾール-5-イル(全てC結合)を含む。複素環式基は、ベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環は、ピロリジン-2-オンなどの1つ又は2つのオキソ(=O)部分で任意に置換される。いくつかの実施形態では、2環式複素環の2つの環の少なくとも一方が芳香族である。いくつかの実施形態では、2環式複素環の両方の環が芳香族である。
[0043] 「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上の環上ヘテロ原子を含むアリール基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、単環式又は2環式である。単環式ヘテロアリールの例示的な例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、及びプテリジンが挙げられる。単環式ヘテロアリールの例示的な例には、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、及びフラザニルが挙げられる。2環式ヘテロアリールの例示的な例には、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、及びプテリジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル、チエニル、チアジアゾリル、又はフリルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に0~6個のN原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に1~4個のN原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に4~6個のN原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に0~4個のN原子、0~1個のO原子、0~1個のP原子、及び0~1個のS原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、環内に1~4個のN原子、0~1個のO原子、及び0~1個のS原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、C-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロアリールは、C-Cヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロアリールは、5員又は6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、本明細書で定める、部分的に還元されたシクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基(例えば、7,8-ジヒドロキノリン)を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、本明細書で定める、完全に還元されたシクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン)を含む。ヘテロアリールがシクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を含む場合、ヘテロアリールは、芳香族複素環の炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合される。
[0044] 「部分」という用語は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学的部分は、多くの場合、分子内に包埋されるか、又は分子に付加される化学的実体として認識される。
[0045] 「互変異性体」という用語は、分子の1原子から同じ分子の別の原子へのプロトン移動を指す。本明細書に提示される化合物は、互変異性体として存在し得る。互変異性体は、水素原子の移動によって相互変換可能な化合物であり、それは単結合及び隣接する2重結合の切り替えを伴う。互変異性化が可能である結合の立体配置では、互変異性体の化学平衡が存在するであろう。本明細書に開示される化合物の全ての互変異性形態が企図される。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒、及びpHを含むいくつかの因子に依存する。互変異性体相互変換のいくつかの例には、以下が挙げられる。
[0046] 本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、「投与」などの用語は、所望の生物学的作用部位への化合物又は組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法には、経口経路(p.o.)、十二指腸内経路(i.d.)、非経口注射(静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、血管内又は注入(inf.)を含む)、局所(top.)、及び直腸(p.r.)への投与が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、本明細書に記載の化合物及び方法とともに用いられ得る投与技法に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物及び組成物は、経口投与される。
[0047] 本明細書で使用される「同時投与」などの用語は、単一の患者への選択された治療薬の投与を包含するよう意図されており、治療薬が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同時に若しくは異なる時点で投与される治療レジメンを含むよう意図されている。
[0048] 本明細書で使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、治療される疾患又は状態の症状のうちの1以上をある程度緩和するであろう、例えば、疾患の1以上の兆候、症状、若しくは原因の軽減及び/又は緩和、又は生物学的系の任意の他の望ましい変化をもたらすであろう、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。例えば、治療的使用に関する「有効量」は、1以上の疾患症状の臨床的に有意な減少をもたらす薬剤の量とすることができる。適切な「有効」量は、個々の症例における用量漸増試験などの技法を使用して決定され得る。
[0049] 本明細書で使用される「増強する」又は「増強すること」という用語は、望ましい効果の量、効力、又は持続時間のいずれかの増加又は延長を意味する。例えば、標的のスプライシングの増強に関して、「増強すること」という用語は、標的の量、効力、又は持続時間のいずれかの点でスプライシングを増加させる又は延長する能力を指すことができる。
[0050] 「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳類分類のあらゆる構成員である、ヒト、例えばチンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、例えばウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物、例えばラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類をはじめとする実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。1態様では、哺乳動物は、ヒトである。本明細書で使用される「動物」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を含む。1実施形態では、「非ヒト動物」は、哺乳類、例えば、ラット又はマウスなどのげっ歯類である。1実施形態では、非ヒト動物は、マウスである。
[0051] 「医薬組成物」及び「医薬製剤」(又は「製剤」)という用語は、区別なく使用され、例えばそれを必要とするヒトである対象に対して投与しようとする薬学的活性成分の治療有効量を1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む混合物又は溶液を意味する。
[0052] 本明細書で使用される「薬学的配合」という用語は、複数の活性成分の混合又は配合によって生じる産物を意味し、当該活性成分の固定の配合及び固定でない配合の両方を含む。「固定の配合」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に記載の化合物及び助剤の両方が、単一の実体又は投薬量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「固定でない配合」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に記載の化合物及び助剤が、特定の介在時間制限なしで、同時に、同時発生的に、又は順次にのいずれかで別個の実体として患者に投与されることを意味し、かかる投与は、患者の体内においてこれらの2つの化合物の有効レベルを提供する。後者は、カクテル療法、例えば3以上の活性成分の投与、にも適用される。
[0053] 「薬学的に許容可能」という用語は、概して安全であり、非毒性であり、また生物学的にもその他であっても望ましくないものではなく、かつ獣医学並びにヒトへの薬学的使用に許容される医薬組成物の調製に有用な材料の属性を意味する。「薬学的に許容可能」とは、化合物の生物学的活性又は特性を抑止せず、かつ比較的非毒性である担体又は希釈剤などの材料を指すことができ、すなわち、この材料は、望ましくない生物学的影響を引き起こすことなく、又はそれが含まれる組成物の構成成分のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく個体に投与することができる。
[0054] 「薬学的に許容可能な賦形剤」、「薬学的に許容可能な担体」、及び「治療的に不活性な賦形剤」という用語は、区別なく使用され得、治療活性を有しておらず、かつ投与された対象に非毒性である医薬組成物中の任意の薬学的に許容可能な成分を意味し得、例えば、医薬品の製剤化に使用される崩壊剤、結合剤、充填剤、溶媒、緩衝液、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、防腐剤、又は滑沢剤である。
[0055] 「薬学的に許容可能な塩」という用語は、生物学的に又はその他にとっても望ましくないものではない塩を示す。薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。「薬学的に許容可能な塩」とは、投与される生物に著しい刺激を引き起こさない化合物の製剤、及び/又はその化合物の生物学的活性及び特性を抑止しない化合物の製剤を指すことができる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、式(I)~(Io)のうちのいずれか1つのSMSM化合物を酸と反応させることによって得られる。薬学的に許容可能な塩は、式(I)~(Io)のうちのいずれか1つの化合物を塩基と反応させて、塩を形成することによっても得られる。
[0056] 本明細書で使用される「核酸」という用語は、概して、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、又はヌクレオチドを指し、この用語は、ポリ核酸塩基、ポリヌクレオシド、及びポリヌクレオチドを含む。
[0057] 本明細書で使用される場合、「低分子量化合物」は、「小分子」又は「小有機分子」と区別なく使用され得る。小分子とは、ペプチド又はオリゴヌクレオチド以外の化合物を指し、典型的には、約2000ダルトン未満、例えば、約900ダルトン未満の分子量を有する。
[0058] リボ核タンパク質(RNP)とは、RNAを含む核タンパク質を指す。RNPは、リボ核酸とRNA結合タンパク質との複合体とすることができる。かかる組合せは、タンパク質-RNA複合体とも称し得る。これらの複合体は、DNA複製、遺伝子発現、RNA代謝、及びプレmRNAスプライシングを含むが、これらに限定されない、いくつかの生物学的機能において機能することができる。RNPの例には、リボソーム、酵素テロメラーゼ、ヴォールトリボ核タンパク質、RNase P(リボヌクレアーゼP)、ヘテロ核RNP(hnRNP)、及び核内低分子RNP(snRNP)が挙げられる。
[0059] タンパク質をコードする遺伝子及びmRNAプロセシング中間体由来の新生RNA転写物は、まとめてプレmRNAと称し、概して、真核細胞の核内のタンパク質によって結合されている。新生転写物が最初にRNAポリメラーゼ(例えば、RNAポリメラーゼII)から出現したときから、成熟mRNAが細胞質に輸送されるまで、RNA分子は、スプライシング複合体構成成分の大量なセット(例えば、核タンパク質及びsnRNA)と会合している。これらタンパク質は、様々なサイズのヘテロ核RNA(hnRNA)(例えば、プレmRNAと核内RNAとの複合体)を含み得るhnRNPの構成成分であり得る。
[0060] スプライシング複合体構成成分は、スプライシング及び/又はスプライシング制御において機能する。スプライシング複合体構成成分には、リボ核タンパク質(RNP)、スプライシングタンパク質、核内低分子RNA(snRNA)、核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)、及びヘテロ核リボ核タンパク質(hnRNP)が含まれ得るが、これらに限定されない。スプライシング複合体構成成分には、構成的スプライシング、選択的スプライシング、制御されたスプライシング、及び特定のメッセージ又はメッセージ群のスプライシングなどのスプライシングに必要とされ得るものが含まれるが、これらに限定されない。関連タンパク質の一群であるセリンアルギニンリッチタンパク質(SRタンパク質)は、構成的プレmRNAスプライシングにおいて機能することができ、濃度依存的様式で選択的スプライス部位選択を制御することもできる。SRタンパク質は、典型的には、1つ又は2つのRNA認識モチーフ(RRM)と、アルギニン残基及びセリン残基が豊富なC末端(RSドメイン)とからなるモジュール構造を有する。選択的スプライシングにおけるそれらの活性は、タンパク質のhnRNP A/Bファミリーのメンバーによって拮抗され得る。スプライシング複合体構成成分には、1つ以上のsnRNAと会合しているタンパク質も含まれ得る。ヒトにおけるSRタンパク質には、SC35、SRp55、SRp40、SRm300、SFRS10、TASR-1、TASR-2、SF2/ASF、9G8、SRp75、SRp30c、SRp20、及びP54/SFRS11が含まれるが、これらに限定されない。スプライス部位選択に関与し得るヒトにおける他のスプライシング複合体構成成分には、U2 snRNA補助因子(例えば、U2AF65、U2AF35)、Urp/U2AF1-RS2、SF1/BBP、CBP80、CBP20、SF1、及びPTB/hnRNP1が含まれるが、これらに限定されない。ヒトにおけるhnRNPタンパク質には、A1、A2/B1、L、M、K、U、F、H、G、R、I、及びC1/C2が含まれるが、これらに限定されない。hnRNPをコードするヒト遺伝子には、HNRNPA0、HNRNPA1、HNRNPA1L1、HNRNPA1L2、HNRNPA3、HNRNPA2B1、HNRNPAB、HNRNPB1、HNRNPC、HNRNPCL1、HNRNPD、HNRPDL、HNRNPF、HNRNPH1、HNRNPH2、HNRNPH3、HNRNPK、HNRNPL、HNRPLL、HNRNPM、HNRNPR、HNRNPU、HNRNPUL1、HNRNPUL2、HNRNPUL3、及びFMR1が含まれる。スプライシング複合体構成成分は、snRNP又は転写物と安定的に又は一過性的に会合していてもよい。
[0061] 「イントロン」という用語は、遺伝子内のDNA配列と、プロセシングされていないRNA転写物中の対応する配列との両方を指す。RNAプロセシング経路の一部として、イントロンは、転写の直後に又は転写と同時にのいずれかでRNAスプライシングによって除去され得る。イントロンは、大半の生物及び多くのウイルスの遺伝子で見られる。これらは、タンパク質、リボソームRNA(rRNA)、及びトランスファーRNA(tRNA)を生成する遺伝子を含む、広範な遺伝子内に位置し得る。
[0062] 「エクソン」とは、イントロンがRNAスプライシングによって除去された後に最終成熟RNAの一部をコードする遺伝子によって産生されるその遺伝子の任意の部分であり得る。「エクソン」という用語は、遺伝子内のDNA配列と、RNA転写物中の対応する配列との両方を指す。
[0063] 「スプライセオソーム」は、snRNAとタンパク質との複合体から構築され得る。スプライセオソームは、転写されたプレmRNAからイントロンを除去することができる。
[0064] 小分子スプライシング調節因子(SMSM)
[0065] 本開示は、ある特定の小化学分子が、本明細書で小分子スプライシング調節因子(SMSM)と称するプレmRNA分子におけるスプライシング事象を改変することができるという予期しない発見を提供する。これらのSMSMは、特定のプレmRNA分子において特定のスプライシング事象を調節することができ、したがって、特定のRNAに関連する疾患又は状態を治療、予防、又は改善する際に有用である。これらのSMSMは、スプライシング事象を改変するための様々な機序によって動作することができる。例えば、本開示のSMSMは、1)スプライシング複合体、スプライセオソーム、及び/又はそれらの構成成分、例えば、hnRNP、snRNP、SR-タンパク質、及び他のスプライシング因子若しくはエレメントの形成及び/又は機能及び/又は他の特性に干渉し、結果的にプレmRNA分子におけるスプライシング事象の防止又は誘導をもたらすことができる。別の例として、2)遺伝子産物、例えば、hnRNP、snRNP、SRタンパク質、及び他のスプライシング因子の転写後調節(例えば、スプライシング)を防止及び/又は改変し、その後、スプライセオソーム又はスプライシング複合体構成成分の形成及び/又は機能に関与することができ、3)hnRNP、snRNP、SRタンパク質、及び他のスプライシング因子を含むが、これらに限定されない遺伝子産物のリン酸化、グリコシル化、及び/又はその他の修飾を防止及び/又は改変し、その後、スプライセオソーム又はスプライシング複合体構成成分の形成及び/又は機能に関与することができ、4)例えば、配列特異的様式でRNAと塩基対形成することを含まない機構を介して特定のスプライシング事象が防止又は誘導されるように特定のプレmRNAに結合する及び/又はそうでなければ影響を及ぼすことができる。本開示の小分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチジーンオリゴヌクレオチドとは異なるものであり、またこれらに関連していない。
[0066] 疾患又は状態の治療、予防、及び/又はその進行の遅延に使用するための遺伝子産物のスプライシングを改変する化合物を本明細書に記載する。
[0067] 1態様では、本明細書において、式(I)の構造を有する化合物:
式中、Qは、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、又は置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレンであり、Xは水素、CH、又は置換若しくは非置換C~Cシクロアルキルであり、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はCHであり、R及びRはそれぞれ独立して水素又はハロゲンであり、A、A、A、及びAはそれぞれ独立してN、-NRY1-、-O-、-S-、又はCRA1であり、
はそれぞれ独立して単結合又は2重結合であり、RA1はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、=O、又は置換若しくは非置換C~Cアルキルであり、またRY1はそれぞれ独立して水素又は置換若しくは非置換C~Cアルキルである、当該化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物、を記載する。
[0068] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の構造を有する。
[0069] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iaa)の構造を有する。
[0070] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iaa)の構造を有する。
[0071] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iaaa)の構造を有する。
[0072] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iaaa)の構造を有する。
[0073] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib)の構造を有する。
[0074] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ibb)の構造を有する。
[0075] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ibb)の構造を有する。
[0076] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ibbb)の構造を有する。
[0077] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ibbb)の構造を有する。
[0078] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic)の構造を有する。
[0079] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Icc)の構造を有する。
[0080] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Id)の構造を有する。
[0081] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Idd)の構造を有する。
[0082] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ie)の構造を有する。
[0083] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iee)の構造を有する。
[0084] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ieee)の構造を有する。
[0085] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(If)の構造を有する。
[0086] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Iff)の構造を有する。
[0087] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ig)の構造を有する。
[0088] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ih)の構造を有する。
[0089] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ihh)の構造を有する。
[0090] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ii)の構造を有する。
[0091] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ij)の構造を有する。
[0092] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ik)の構造を有する。
[0093] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Il)の構造を有する。
[0094] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Im)の構造を有する。
[0095] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(In)の構造を有する。
[0096] 式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)、式(Ih)、式(Ij)、式(Ij)、式(Ik)、式(Il)、式(Im)、又は式(In)の化合物のいくつかの実施形態では、X基を有する窒素原子は、R、R、R、及びR置換基を有する複素環に対してエクアトリアルな位置にある。
[0097] 式(Iaa)、式(Iaaa)、式(Ibb)、式(Ibbb)、式(Icc)、式(Idd)、式(Iee)、式(Ieee)、式(Iff)、又は式(Ihh)の化合物のいくつかの実施形態では、X基を有する窒素原子は、R、R、R、及びR置換基を有する複素環に対してエクアトリアルな位置にある。
[0098] 式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)、式(Ih)、式(Ij)、式(Ij)、式(Ik)、式(Il)、式(Im)、式(In)、式(Iaa)、式(Iaaa)、式(Ibb)、式(Ibbb)、式(Icc)、式(Idd)、式(Iee)、式(Ieee)、式(Iff)、又は式(Ihh)の化合物のいくつかの実施形態では、X基を有する窒素原子とN-H基とは、ある面の同一面側にある。式(I)、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)、式(Id)、式(Ie)、式(If)、式(Ig)、式(Ih)、式(Ij)、式(Ij)、式(Ik)、式(Il)、式(Im)、式(In)、式(Iaa)、式(Iaaa)、式(Ibb)、式(Ibbb)、式(Icc)、式(Idd)、式(Iee)、式(Ieee)、式(Iff)、又は式(Ihh)の化合物のいくつかの実施形態では、X基を有する窒素原子とQ基とは、ある面に対して反対側にある。
[0099] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Io)の構造を有する。
[0100] いくつかの実施形態では、R又はRの少なくとも1つがフッ素である。いくつかの実施形態では、Rはフッ素であり、またRは水素である。いくつかの実施形態では、Rは水素であり、またRはフッ素である。いくつかの実施形態では、Rは、水素又はFである。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、Fである。いくつかの実施形態では、Rは、水素又はFである。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、Fである。
[0101] いくつかの実施形態では、Aは、CH、CF、C(CH)、N、O、又はC(=O)である。いくつかの実施形態では、Aは、CHである。いくつかの実施形態では、Aは、CFである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、AはNである。いくつかの実施形態では、AはOである。いくつかの実施形態では、AはC(=O)である。いくつかの実施形態では、AはSである。いくつかの実施形態では、AはCRA1である。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1はHである。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RA1はHである。いくつかの実施形態では、RA1はメチルである。いくつかの実施形態では、RA1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RA1はCD又はCDCDである。いくつかの実施形態では、RA1はハロゲンである。いくつかの実施形態では、RA1はFである。いくつかの実施形態では、AはNRY1である。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1はHである。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RY1はHである。いくつかの実施形態では、RY1はメチルである。いくつかの実施形態では、RY1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RY1はCD又はCDCDである。
[0102] いくつかの実施形態では、Aは、CH、C(CH)、N、又はC(CH)である。いくつかの実施形態では、Aは、CHである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、Aは、Nである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、AはSである。いくつかの実施形態では、AはCRA1である。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1はHである。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RA1はHである。いくつかの実施形態では、RA1はメチルである。いくつかの実施形態では、RA1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RA1はCD又はCDCDである。いくつかの実施形態では、RA1はハロゲンである。いくつかの実施形態では、RA1はFである。いくつかの実施形態では、AはNRY1である。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1はHである。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RY1はHである。いくつかの実施形態では、RY1はメチルである。いくつかの実施形態では、RY1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RY1はCD又はCDCDである。
[0103] いくつかの実施形態では、Aは、CH、C(CH)、N、又はC(CH)である。いくつかの実施形態では、Aは、CHである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、Aは、Nである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、AはSである。いくつかの実施形態では、AはCRA1である。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1はHである。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RA1はHである。いくつかの実施形態では、RA1はメチルである。いくつかの実施形態では、RA1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RA1はCD又はCDCDである。いくつかの実施形態では、RA1はハロゲンである。いくつかの実施形態では、RA1はFである。いくつかの実施形態では、AはNRY1である。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1はHである。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RY1はHである。いくつかの実施形態では、RY1はメチルである。いくつかの実施形態では、RY1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RY1はCD又はCDCDである。いくつかの実施形態では、Aは、N(CH)である。
[0104] いくつかの実施形態では、Aは、CH、C(CH)、N、O、又はC(=O)である。いくつかの実施形態では、Aは、CHである。いくつかの実施形態では、Aは、C(CH)である。いくつかの実施形態では、AはNである。いくつかの実施形態では、AはOである。いくつかの実施形態では、AはC(=O)である。いくつかの実施形態では、AはSである。いくつかの実施形態では、AはCRA1である。
[0105] いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1はHである。いくつかの実施形態では、AはCRA1であり、RA1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RA1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RA1はHである。いくつかの実施形態では、RA1はメチルである。いくつかの実施形態では、RA1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RA1はCD又はCDCDである。いくつかの実施形態では、RA1はハロゲンである。いくつかの実施形態では、RA1はFである。いくつかの実施形態では、AはNRY1である。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1はHである。いくつかの実施形態では、AはNRY1であり、RY1は置換又は非置換C~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のハロゲン(Fなど)で任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、任意で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1は、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、RY1中の1つ以上の水素は重水素で置換される。いくつかの実施形態では、RY1はHである。いくつかの実施形態では、RY1はメチルである。いくつかの実施形態では、RY1は、メチル、エチル、CF、CHF、又はCHCFである。いくつかの実施形態では、RY1はCD又はCDCDである。
[0106] いくつかの実施形態では、A、A、A、及びAのうちの1つは、C(=O)である。
[0107] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも20個の炭素原子、5個の窒素原子、及び1個のフッ素原子を含む。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも18個の炭素原子(例えば、18個、19個、又は20個の炭素原子)、6個の窒素原子、及び1個のフッ素原子を含む。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも18個の炭素原子(例えば、18個、19個、又は20個の炭素原子)、7個の窒素原子、及び1個のフッ素原子を含む。
[0108] いくつかの実施形態では、Xは、水素である。いくつかの実施形態では、Xは、-CHである。一部の実施形態では、Xは、-CDである。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換C~Cシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、置換若しくは非置換シクロプロピル、置換若しくは非置換シクロブチル、又は置換若しくは非置換シクロペンチルである。いくつかの実施形態では、Xは、シクロプロピル、シクロブチル、又はシクロペンチルであり、各々が、フッ素、OH、CH、及びOCHからそれぞれ独立に選択される1、2又は3の置換基で置換されている。いくつかの実施形態では、Xは、シクロプロピルである。
[0109] いくつかの実施形態では、Rは、水素又はCHである。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
[0110] いくつかの実施形態では、Rは、水素又はCHである。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、CHである。
[0111] いくつかの実施形態では、Qは、置換又は非置換C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、置換又は非置換C~Cヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、C~Cアルキル及びハロゲンから選択される1つ以上の置換基によって任意に置換される。いくつかの実施形態では、Qは、置換又は非置換C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、置換又は非置換C~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、フッ素、OH、CH、及びOCHから各々独立して選択される1、2、3、又は4の置換基で置換されるC~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、-CHCH-である。いくつかの実施形態では、Qは、-CHCHCH-である。いくつかの実施形態では、Qは、-CHOCH-である。いくつかの実施形態では、Qは、ハロゲンによって任意に置換されるC~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cアルキレンである。いくつかの実施形態では、Qは、1つ以上のFで任意に置換されるC~Cヘテロアルキレンである。
[0112] いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。
[0113] いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。
[0114] いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、
からなる群から選択される。
[0115] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
からなる群から選択される。
[0116] いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、表1の化合物から選択される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、表2の化合物から選択される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-1,2-ジヒドロイソキノリン-1-オン;7-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチル-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-オン;7-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン;6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-1,2-ジヒドロフタラジン-1-オン;7-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン;又は6-(6-{[(1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-[[(1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ]-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-[[(1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ]-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オールである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オールである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1-オンである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、2-エチル-4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシイソキノリン-1-オンである。いくつかの実施形態では、本明細書において、記載の化合物のいずれかの塩又は溶媒和化合物を記載する。いくつかの実施形態では、本明細書において、記載の化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物を記載する。
[0117] 1態様では、本明細書において、スプライシングを調節する方法であって、先に記載の請求項のいずれか1項に記載の化合物を細胞と接触させることを含み、該化合物が、mRNAをコードするプレmRNAのスプライス部位配列においてスプライシングを調節し、該mRNAが標的タンパク質又は機能性RNAをコードするものである、上記方法を開示する。
[0118] 1態様では、本明細書において、疾患又は状態を治療する方法であって、本発明の化合物を投与することを含むものである、上記方法を開示する。
[0119] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、1つ以上の立体中心を保有し、各立体中心は独立して、R配置又はS配置のいずれかで存在する。本明細書に提示される化合物は、全てのジアステレオマー形態、エナンチオマー形態、及びエピマー形態、並びにそれらの適切な混合物を含む。本明細書に提供される化合物及び方法は、シス、トランス、シン、アンチ、エントゲーゲン(E)、及びツザメン(Z)の異性体の全て、並びにそれらの適切な混合物を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分解剤と反応させて、ジアステレオ異性体化合物/塩のペアを形成することと、ジアステレオマーを分離することと、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することとによって、それらの個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、エナンチオマーの分割は、本明細書に記載の化合物の共有結合性ジアステレオ誘導体を使用して行われる。別の実施形態では、ジアステレオマーは、溶解度の差に基づく分離/分割技法によって分離される。他の実施形態では、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、又はジアステレオマー塩の形成、及び再結晶又はクロマトグラフィー又はそれらの任意の組合せによる分離によって、行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley And Sons,Inc.,1981。1態様では、立体異性体は、立体選択的合成によって得られる。
[0120] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」とは、インビボで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、いくつかの状況では親薬物よりも投与しやすい場合があるため、有用であることが多い。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、その親薬物はそうではない。プロドラッグは、親薬物よりも、医薬組成物において可溶性が改善されている場合もある。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計により有効な水溶性が高まる。限定されるものではないが、プロドラッグの1例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されて、水溶性が可動性にとって有害である細胞膜を横断する伝達を促進するが、その後、水溶性が有益である細胞内に入ると、活性実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される、本明細書に記載の化合物である。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝されて活性部分が露出されるものである、ある酸性基に結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。ある特定の実施形態では、インビボ投与時に、プロドラッグは、本化合物の生物学的、薬学的、又は治療的に活性な形態に化学的に変換される。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、1以上のステップ又はプロセスによって、本化合物の生物学的、薬学的、又は治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。
[0121] 1態様では、プロドラッグは、薬物の代謝安定性若しくは輸送特性を変えるように、副作用若しくは毒性を遮蔽するように、薬物の風味を改善するように、又は薬物の他の特徴若しくは特性を変えるように設計される。薬物動態学の知識、薬力学的プロセス、及びインビボでの薬物代謝により、薬学的に活性な化合物がわかることで、本化合物のプロドラッグの設計が可能になる。(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York、第388-392頁、Silverman(1992),The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,Academic Press,Inc.,San Diego、第352-401頁、Rooseboom et al.,Pharmacological Reviews,56:53-102,2004、Aesop Cho,“Recent Advances in Oral Prodrug Discovery”,Annual Reports in Medicinal Chemistry,Vol.41,395-407,2006、T.Higuchi and V.Stella,Pro-drugs as Novel Delivery Systems,the A.C.S.Symposium Series 第14巻を参照)。
[0122] いくつかの場合では、本明細書に記載の化合物のうちのいくつかは、別の誘導体又は活性化合物のためのプロドラッグであり得る。
[0123] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の芳香族環部分上の部位は、様々な代謝反応の影響を受けやすいため、芳香族環構造上に適切な置換基を組み込むことにより、この代謝経路が低減、最小化、又は除去されるであろう。具体的な実施形態では、芳香族環の代謝反応への影響の受けやすさを低減させる又は除去するための適切な置換基は、ほんの1例としては、ハロゲン又はアルキル基である。
[0124] 別の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、同位体的に(例えば、放射性同位体を用いて)、又は発色団若しくは蛍光部分、生物発光標識若しくは化学発光標識の使用を含むがこれらに限定されない別の他の手段によって、標識される。
[0125] 本明細書に記載の化合物は、本明細書に提示される様々な式及び構造に列挙されるものと同一であるが、1以上の原子が通常自然界に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されるという事実のために、同位体標識化合物を含む。本化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、及び36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体が挙げられる。1態様では、本明細書に記載の同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位体が組み込まれるものが、薬物及び/又は基質組織分布アッセイに有用である。1態様では、重水素などの同位体での置換により、より大きい代謝安定性から生じるある特定の治療的利点、例えば、インビボでの半減期の増加又は必要投薬量の減少などがもたらされる。
[0126] 追加の又はさらなる実施形態では、本明細書に記載の化合物は、代謝物を産生する必要のある生物への投与時に代謝され、その後、その代謝物は、所望の治療効果を含む所望の効果をもたらすために使用される。
[0127] 本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容可能な塩として形成されてもよく、及び/又は薬学的に許容可能な塩として使用されてもよい。薬学的に許容可能な塩の種類としては、(1)化合物の遊離塩基形態を、薬学的に許容可能な無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸などと、又は薬学的に許容可能な有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などと、反応させることによって形成される酸付加塩、(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えば、マグネシウム若しくはカルシウム)、又はアルミニウムイオンによって置換された場合に形成される塩が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、本明細書に記載の化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどであるが、これらに限定されない有機塩基と配位し得る。他の場合では、本明細書に記載の化合物は、アルギニン、リジンなどであるが、これらに限定されないアミノ酸と塩を形成し得る。酸性プロトンを含む化合物と塩を形成するために使用される許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。
[0128] 薬学的に許容可能な塩への言及が、溶媒付加形態、具体的には溶媒和化合物を含むことを理解されたい。溶媒和化合物は、化学量論的量又は非化学量論的量のいずれかの溶媒を含有し、また水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた結晶化プロセス中に形成され得る。溶媒が水である場合、水和物が形成され、又は溶媒がアルコールである場合、アルコラートが形成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物の溶媒和化合物は、本明細書に記載のプロセス中に好都合に調製又は形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和形態及び溶媒和形態で存在し得る。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的のために、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
[0129] いくつかの実施形態では、SMSMは、最大約2000ダルトン、1500ダルトン、1000ダルトン、又は900ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、SMSMは、少なくとも100ダルトン、200ダルトン、300ダルトン、400ダルトン、又は500ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、SMSMは、ホスホジエステル結合を含まない。
化合物を作製する方法
[0130] 本明細書に記載の化合物は、標準の合成技術を使用して、又は本明細書に記載の方法と組み合わせて当技術分野で公知の方法を使用して合成することができる。別途示されない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNAの技術、及び薬理学の従来の方法を用いることができる。化合物は、標準の有機化学分野の技術、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry,6th Edition,John Wiley and Sons,Inc.に記載のものなどを使用して調製することができる。溶媒、反応温度、反応時間の変動、並びに様々な化学試薬及び他の反応条件など、本明細書に記載の合成による変換の代替的な反応条件が用いられてもよい。出発物質は、商業的供給元から入手可能であり得るか、又は容易に調製することができる。ほんの1例として、例示的なSMSMを調製するためのスキームを提供する。
[0131] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMを調製するためのスキームは、スキーム1である。
式中、PGは適切な保護基1であり、PGは適切な保護基2である。いくつかの実施形態では、PG及びPGは、実施例に記載されるとおりである。
[0132] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSM化合物は、表1又は表2から選択される。表1及び表2の化合物を、上記の全般スキーム1及び以下の実施例1~8に概説される手順を使用して作製することができる。
[0133] いくつかの実施形態では、本明細書において、表1又は表2からのSMSM化合物の薬学的に許容可能な塩又は薬学的に許容可能な溶媒和化合物を開示する。
医薬組成物
[0134] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物に製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物のプロセシングを促進する1以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の医薬組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見ることができ、これらは、かかる開示のために参照により本明細書に組み込まれる。
[0135] 医薬組成物は、本明細書に記載のSMSMと、1以上の他の化学成分(すなわち、薬学的に許容可能な成分)、例えば担体、賦形剤、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤(moistening agent)、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤(wetting agent)、消泡剤、抗酸化剤、防腐剤、又はそれらの1以上の組合せとの混合物とすることができる。医薬組成物は、化合物の生物への投与を容易にする。
[0136] 本明細書に記載の組成物は、非経口、静脈内、皮内、筋肉内、結腸内(colonically)、直腸、又は腹腔内を含む様々な方法で対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、小分子スプライシング調節因子又はその薬学的に許容可能な塩は、対象の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口、静脈内、筋肉内、又は経口投与することができる。小分子スプライシング調節因子を含む経口薬剤は、液剤、錠剤、カプセル剤などの経口投与に好適な任意の形態とすることができる。経口製剤は、胃内での溶解を防止又は低減するためにさらにコーティング又は処理することができる。本開示の組成物は、当技術分野で公知の任意の好適な方法を使用して対象に投与することができる。本開示における使用に好適な製剤及び送達方法は、概して、当技術分野で周知である。例えば、本明細書に記載の小分子スプライシング調節因子は、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とともに医薬組成物として製剤化することができる。本組成物は、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなど、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤などを含む生理学的条件に近づけるのに必要な薬学的に許容可能な補助物質を含み得る。
[0137] 本明細書に記載の医薬製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、髄内注射、髄腔内注射、直接の心室内注射、腹腔内注射、リンパ管内注射、鼻腔内注射)、鼻腔内、頬側、局所、又は経皮投与経路を含むが、これらに限定されない複数の投与経路によって、様々な方法で対象に投与可能であり得る。本明細書に記載の医薬製剤には、水性液体分散剤、自己乳化分散剤、固体溶液(solid solution)、リポソーム分散剤、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出剤、徐放性製剤、速溶性製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出型製剤、持続放出型製剤、パルス放出製剤、多粒子性製剤、及び即時放出と徐放性との混合製剤が含まれるが、これらに限定されない。
[0138] いくつかの実施形態では、医薬製剤は、錠剤の形態である。他の実施形態では、本明細書に記載のSMSMを含む医薬製剤は、カプセル剤の形態である。1態様では、経口投与用の液体製剤剤形は、水性経口分散剤、エマルション、溶液、エリキシル剤、ゲル剤、及びシロップ剤を含む群から選択されるが、これらに限定されない水性懸濁液又は溶液の形態である。
[0139] 吸入による投与の場合、本明細書に記載のSMSMは、エアロゾル、ミスト、又は粉末剤として使用するために製剤化することができる。頬側又は舌下投与の場合、本組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤、トローチ剤、又はゲル剤の形態をとり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、経皮剤形として調製することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、筋肉内、皮下、又は静脈内注射に好適な医薬組成物に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、局所投与することができ、溶液、懸濁剤、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック剤、香膏剤、クリーム剤、又は軟膏などの様々な局所投与可能な組成物に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、直腸組成物、例えば、浣腸剤、直腸ゲル剤、直腸泡剤、直腸エアロゾル、座薬、ゼリー座薬、又は停留浣腸剤などに製剤化することができる。
スプライシング調節
[0140] 本開示は、標的RNAのスプライシングの活性を調節する好ましい薬物特性を有する小分子の使用を企図する。標的ポリヌクレオチドのスプライシングを調節する小分子スプライシング調節因子(SMSM)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、SMSMは、標的RNAに結合し、それを調節する。いくつかの実施形態では、1以上の標的RNAに結合し、調節するSMSMのライブラリが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、標的RNAは、mRNAである。いくつかの実施形態では、標的RNAは、mRNA、非コードRNAである。いくつかの実施形態では、標的RNAは、プレmRNAである。いくつかの実施形態では、標的RNAは、hnRNAである。いくつかの実施形態では、小分子が、標的RNAのスプライシングを調節する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される小分子は、標的RNAの配列においてスプライシングを調節する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される小分子は、標的RNAの潜在スプライス部位配列においてスプライシングを調節する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される小分子は、標的RNAに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される小分子は、スプライシング複合体構成成分に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される小分子は、標的RNA及びスプライシング複合体構成成分に結合する。
[0141] したがって、プレmRNA分子におけるスプライシング事象を防止又は誘導する方法であって、(例えば、細胞内の)スプライシング機構のプレmRNA分子及び/又は他の要素を本明細書に提供される化合物と接触させて、プレmRNA分子におけるスプライシング事象を防止又は誘導することを含むものである方法が本明細書に提供される。防止又は誘導されたスプライシング事象は、例えば、異常なスプライシング事象、構成的スプライシング事象、又は選択的スプライシング事象であり得る。
[0142] 本明細書においては、プレmRNA分子におけるスプライシング事象を防止又は誘導することができる化合物を特定する方法であって、プラスの効果(スプライシングの防止若しくは誘導)又はマイナスの効果(スプライシングの防止若しくは誘導がない)がもたらされ、かつそれが検出されるという条件下で、その化合物を、(例えば、細胞内の)本明細書に記載の選択的スプライシング、異常なスプライシング、及び/又は構成的スプライシングに関与するスプライシング要素及び/又は因子と接触させることと、スプライシング事象を防止又は誘導することができる化合物としてプラスの効果をもたらす化合物を特定することとを含むものである方法がさらに提供される。
[0143] いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体中の本明細書に記載の小分子化合物は、プレmRNA分子における選択的スプライシング事象又は異常なスプライシング事象を防止又は誘導する。上述のように、本明細書に提供される小分子化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチジーンオリゴヌクレオチドではない。
[0144] いくつかの実施形態では、疾患又は状態を有する対象を治療する方法は、疾患又は状態を有する対象に、小分子スプライシング調節因子化合物(SMSM)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、プレmRNAである。いくつかの実施形態では、方法は、対象に追加の治療用分子を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、SMSMは、本明細書に記載の化合物である。
[0145] 本明細書に記載の化合物及び製剤は、異常なスプライシング及び/又は選択的スプライシングを伴う疾患の治療における治療剤としても有用である。したがって、いくつかの実施形態では、プレmRNA分子中の選択的スプライシング事象又は異常なスプライシング事象に関連する状態又は障害を有する対象を治療する方法は、対象に本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与して、選択的スプライシング事象を調節するか、又は異常なスプライシング事象を防止し、それにより、対象を治療することを含む。本方法は、例えば、プレmRNA分子中に正しいスプライシング事象を回復させることができる。本方法は、例えば、薬学的に許容可能な担体中で本明細書に記載の小分子化合物を利用することができる。
[0146] 本明細書に記載の小分子を含む製剤は、水性担体などの生理学的又は薬学的に許容可能な担体を含むことができる。したがって、本明細書に記載の方法に使用するための製剤には、例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、及び動脈内投与、並びに局所投与(例えば、嚢胞性線維症又は肺癌に罹患している患者の肺への呼吸域粉塵のエアロゾル化製剤の投与、又は乾癬患者の経皮投与用のクリーム若しくはローション製剤の投与)を含む、経口投与、非経口投与に好適なものが含まれるが、これに限定されない。これらの製剤は、単位剤形で簡便にもたらされ得、当技術分野で周知の方法のうちのいずれかによって調製され得る。任意の所与の場合での最も好適な投与経路は、当業者によって容易に決定されるであろう、治療される対象、性質、及び状態の重症度、並びに使用されている特定の活性化合物に依存し得る。
[0147] 本明細書においては、上で述べたように、プレmRNA分子の異常なスプライシング又は選択的スプライシングに関連する障害を有する患者におけるRNA発現を発現増加又は発現減少させるための医薬の調製のために上に記載された特性を有する本明細書に記載の化合物を使用するための方法も提供される。いくつかの実施形態では、医薬は、遺伝子発現を増加させる。他の実施形態では、医薬は、遺伝子発現を減少させる。本開示による医薬の製造において、本化合物は、特に、薬学的に許容可能な担体と混合され得る。担体は、固体又は液体であり得る。1以上の化合物が本明細書に記載の製剤に任意の組合せで組み込まれてもよく、これは、構成成分の混合及び/又は1以上の補助治療成分の包含などの周知の調剤技法のうちのいずれかによって調製され得る。
[0148] 本開示は、mRNAスプライシングを遮断する、及び/又はmRNAスプライシングを増強(促進、増大)するものである、(本明細書では小分子と称されることもある低分子量化合物を特定する。本明細書に記載の方法によって調節され得るスプライシングには、選択的スプライシングが含まれ、例えば、エクソンスキッピング、イントロン保持、偽エクソンスキッピング、エクソン排除、部分的イントロン排除、及び他のものである。関与するスプライシング配列及びRNA(又はRNAをコードする遺伝子)又はエクソンなどの因子に応じて、スプライシングの調節は、目的とするスプライシング配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(AO)の存在下又は不在下で達成され得る。いくつかの実施形態では、小分子及びAOは、相乗的に作用する。
[0149] いくつかの実施形態では、本開示は、プレmRNAの異常スプライシングに関連する疾患又は状態に罹患している対象を治療する方法を提供する。本方法は、対象に、SMSM又はSMSMを含む組成物を投与することを含むことができるものであり、該SMSMが、プレmRNA又はスプライシング複合体構成成分に結合し、そしてプレmRNAのスプライシングを調節して、転写物の1以上のアイソフォームの発現を阻害する。本方法は、対象に、SMSM又はSMSMを含む組成物を投与することを含むことができるものであり、該SMSMが、プレmRNA又はスプライシング複合体構成成分に結合し、そしてプレmRNAのスプライシングを調節して、転写物の1以上のアイソフォームの発現を増加させる。
[0150] いくつかの疾患は、ある遺伝子の異常な遺伝子産物(例えば、RNA転写物又はタンパク質)の発現と関連している。例えば、異常量のRNA転写物により、対応するタンパク質発現の変化に起因して疾患を引き起こす場合がある。特定のRNA転写物の量の変化は、いくつかの因子の結果である可能性がある。第1に、転写因子又は転写プロセスの一部の混乱などによる、RNA転写物の量の変化は、特定の遺伝子の異常な転写レベルに起因する場合があり、これが結果として特定のRNA転写物の発現レベルの変化をもたらす。第2に、特定のスプライシングプロセスの混乱又は修飾スプライシングをもたらす遺伝子の変異などによる、特定のRNA転写物のスプライシングの変化は、特定のRNA転写物のレベルを変化させる可能性がある。特定のRNA転写物の安定性の変化、又は例えば、ポリA尾部組み込みプロセス若しくはRNA転写物に結合して安定化するある特定の因子若しくはタンパク質への影響など、RNA転写物の安定性を維持する構成成分の変化は、特定のRNA転写物のレベルの変化につながり得る。特定のRNA転写物の翻訳レベルもそれらの転写物の量に影響を与え、RNA転写物の崩壊プロセスに影響を与える又はそれを上方制御する可能性がある。最後に、異常なRNA輸送又はRNA隔離もRNA転写物の機能レベルの変化につながる可能性があり、そしてRNA転写物の安定性、さらなるプロセシング、又は翻訳に影響を与え得る。
[0151] いくつかの実施形態では、プレmRNAによってコードされる1、2、3、又はそれ以上のRNA転写物の量を調節するための方法であって、細胞を、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩と接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、細胞を、細胞培養下でSMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩と接触させる。他の実施形態では、細胞を、対象(例えば、非ヒト動物対象又はヒト対象)において、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩と接触させる。
[0152] いくつかの実施形態では、疾患又は状態を治療する、予防する、及び/又はその進行を遅延させるための方法であって、対象、具体的には哺乳動物に、本明細書に記載の小分子スプライシング調節因子の有効量を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
[0153] いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩のプレmRNAへの結合は、プレmRNAの集団由来の1つ以上のエクソン及び/若しくはイントロン並びに/又はそれらのタンパク質からのスプライシングを防止して、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAを産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、標的タンパク質又は機能性RNAをコードする遺伝子から転写されたプレmRNAの集団を含むものであり、該プレmRNAの集団は、1つ以上のエクソンからのスプライシングを引き起こす変異を含み、またSMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、プレmRNAの集団における1つ以上のエクソンからのスプライシングを引き起こす変異に結合する。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の、1つ以上のエクソンからのスプライシングを引き起こす変異への結合は、プレmRNAの集団由来の1つ以上のエクソンからのスプライシングを防止して、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAを産生する。いくつかの実施形態では、状態は、疾患又は障害である。いくつかの実施形態では、本方法は、タンパク質発現を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、プレmRNAの標的部分に結合する。
[0154] いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の結合は、欠損しているエクソンの包含又は望ましくない保持イントロン若しくはその一部の除去を触媒し、結果として健常mRNA及びタンパク質をもたらす。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の結合は、非疾患細胞にほとんど又は全く影響しない。
SMSM標的
[0155] プレmRNAなどのmRNAの異常なスプライシングは、欠陥タンパク質をもたらす可能性があり、対象に疾患又は障害を引き起こす可能性がある。本明細書に記載の組成物及び方法は、プレmRNAなどのmRNAのこの異常なスプライシングを減少させ、この異常なスプライシングによって引き起こされる疾患又は障害を治療することができる。
[0156] RNA転写物の量の変化に関連する疾患は、多くの場合、異常なタンパク質発現に焦点を当てて治療される。しかしながら、スプライシングプロセスの構成成分又は関連の転写因子若しくは関連の安定性因子など、RNAレベルの異常な変化に関与するプロセスが、小分子での治療によって標的とすることができるのであれば、RNA転写物又は関連タンパク質の異常なレベルの発現の望ましくない影響であるようなタンパク質発現レベルを回復させることが可能であろう。したがって、RNA転写物又は関連タンパク質の異常な発現に付随する疾患を予防又は治療する方法として、ある特定の遺伝子によってコードされるRNA転写物の量を調節する方法が要望されている。
治療方法
[0157] 本明細書に記載の組成物及び方法は、異常なプレmRNAスプライシングなどの異常なスプライシングに関連するヒトの疾患又は障害を治療するために使用することができる。本明細書に記載の組成物及び方法は、プレmRNAなどのmRNAを調節することによってヒトの疾患又は障害を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、核酸が、治療される疾患又は障害の病因において異常にスプライシングされていない場合であっても、その核酸のスプライシングを調節することによってヒトの疾患又は障害を治療するために使用することができる。
[0158] いくつかの実施形態では、SMSM化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩又はその組成物若しくは医薬の投与の文脈での有効量とは、治療効果及び/又は有益な効果を有する、患者へのSMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の量を指す。ある特定の具体的な実施形態では、患者へのSMSM化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩又はその組成物若しくは医薬の投与の文脈での有効量が、以下の効果:(i)疾患の重症度を軽減又は改善すること、(ii)疾患の発症を遅延させること、(iii)疾患の進行を阻止すること、(iv)対象の入院を減らすこと、(v)対象の入院期間を短縮すること、(vi)対象の生存率を増加させること、(vii)対象の生活の質を向上すること、(viii)疾患に関連する症状の数を減少させること、(ix)疾患に関連する症状の重症度を軽減又は改善すること、(x)関連する疾患に関連する症状の持続期間を短縮すること、(xi)疾患に関連する症状の再発を予防すること、(xii)疾患の症状の出現又は発症を阻止すること、及び/又は(xiii)疾患に関連する症状の進行を阻止すること、のうちの1、2、又はそれ以上を結果としてもたらす。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、遺伝子のRNA転写物の量を、健常患者又は健常患者由来の細胞における検出可能なRNA転写物の量まで回復させるのに有効な量である。他の実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、遺伝子のRNAアイソフォーム及び/又はタンパク質アイソフォームの量を、健常患者又は健常患者由来の細胞における検出可能なRNAアイソフォーム及び/又はタンパク質アイソフォームの量まで回復させるのに有効な量である。
[0159] いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、疾患に関連する遺伝子のRNA転写物の異常量を減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、遺伝子のアイソフォームの異常な発現量を減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、RNA転写物(例えば、mRNA転写物)、選択的スプライスバリアント、又はアイソフォームの量に実質的な変化をもたらすのに有効な量である。
[0160] いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、疾患の予防及び/又は治療に有益な遺伝子のRNA転写物(例えば、mRNA転写物)の量を増加又は減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、疾患の予防及び/又は治療に有益な遺伝子のRNA転写物の選択的スプライスバリアントの量を増加又は減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、SMSM化合物又はその薬学的に許容可能な塩の有効量は、疾患の予防及び/又は治療に有益な遺伝子のアイソフォームの量を増加又は減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態では、遺伝子は、SMN2である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドのスプライシングを調節することは、エクソン7のスキッピングを阻害することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSM化合物及びそれらの使用方法は、SMN2のプレmRNAのスプライシングを調節することができる。例えば、本明細書に記載のSMSM化合物及びそれらの使用方法は、SMN2のプレmRNAのエクソン7のスプライシングを調節することができる。いくつかの実施形態では、このSMSM化合物及び方法は、表3に開示されたスプライシング配列を介してポリヌクレオチドのスプライシングを調節し、開示された疾患を治療する。
[0161] 1実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、本明細書に記載の疾患又は状態の治療用の医薬の調製に使用することができる。加えて、かかる治療を必要とする対象における本明細書に記載の疾患又は状態のうちのいずれかを治療するための方法は、対象に、治療有効量で、本明細書に記載の少なくとも1つのSMSM又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与することを含み得る。
[0162] ある特定の実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、予防的及び/又は治療的治療のために投与することができる。ある特定の治療用途では、本組成物は、疾患又は状態にすでに罹患している患者に、その疾患又は状態の症状のうちの少なくとも1つを治癒する又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患又は状態の重症度及び経過、それまでの療法、患者の健康状態、体重、及び薬物への応答、並びに治療担当医の判断に依存する。治療有効量は、用量漸増臨床試験を含むが、これに限定されない方法によって任意に決定される。予防的用途では、本明細書に記載のSMSMを含む組成物は、特定の疾患、障害、又は状態にかかりやすいか、又はそうでなければそのリスクがある患者に投与することができる。ある特定の実施形態では、投与される薬物の用量は、ある特定の期間にわたって一時的に減らされてもよく、又は一時的に中断されてもよい(すなわち、「休薬期間」)。成人ヒト治療に用いられる用量は、典型的には、0.01mg~5000mg/日又は約1mg~約1000mg/日の範囲である。いくつかの実施形態では、所望の用量は、単回用量又は分割用量で好都合に提示される。
[0163] 本明細書に記載の併用療法の場合、同時投与される化合物の投薬量は、用いられる共薬の種類、用いられる特定の薬物、治療される疾患又は状態などに応じて変動し得る。さらなる実施形態では、1以上の他の治療剤と同時投与される場合、本明細書に提供される化合物は、1つ以上の他の治療剤と同時に投与されるか、又は順次投与されるかのいずれかである。投与が同時である場合、複数の治療剤は、ほんの1例として、単一の統合した形態で又は複数の形態で提供され得る。
投与方法
[0164] 本明細書に記載の組成物は、非経口、静脈内、皮内、筋肉内、結腸内(colonically)、直腸、又は腹腔内を含む様々な方法で対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、小分子スプライシング調節因子又はその薬学的に許容可能な塩は、対象の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口、静脈内、筋肉内、又は経口投与することができる。小分子スプライシング調節因子を含む経口薬剤は、液剤、錠剤、カプセル剤などの経口投与に好適な任意の形態とすることができる。経口製剤は、胃内での溶解を防止又は低減するためにさらにコーティング又は処理することができる。本開示の組成物は、当技術分野で公知の任意の好適な方法を使用して対象に投与することができる。本開示における使用に好適な製剤及び送達方法は、概して、当技術分野で周知である。例えば、本明細書に記載の小分子スプライシング調節因子は、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とともに医薬組成物として製剤化することができる。本組成物は、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなど、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤などを含む生理学的条件に近づけるのに必要な薬学的に許容可能な補助物質を含み得る。
[0165] 本明細書に記載の医薬製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、髄内注射、髄腔内注射、直接の心室内注射、腹腔内注射、リンパ管内注射、鼻腔内注射)、鼻腔内、頬側、局所、又は経皮投与経路を含むが、これらに限定されない複数の投与経路によって、様々な方法で対象に投与可能であり得る。本明細書に記載の医薬製剤には、水性液体分散剤、自己乳化分散剤、固体溶液(solid solution)、リポソーム分散剤、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出剤、徐放性製剤、速溶性製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出型製剤、持続放出型製剤、パルス放出製剤、多粒子性製剤、及び即時放出と徐放性との混合製剤が含まれるが、これらに限定されない。
[0166] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、局所投与される。かかる実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、溶液、懸濁剤、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、シャンプー剤、スクラブ剤、塗擦剤(rub)、塗布剤(smear)、薬用スティック剤、薬用絆創膏、バーム剤、クリーム剤、又は軟膏などの様々な局所投与可能な組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮膚に局所投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、吸入によって投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、鼻腔内投与用に製剤化される。かかる製剤には、鼻腔スプレー、鼻腔ミストなどが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、点眼薬として製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、(a)哺乳動物に全身投与される、及び/又は(b)哺乳動物に経口投与される、及び/又は(c)哺乳動物に静脈内投与される、及び/又は(d)哺乳動物に吸入によって投与される、及び/又は(e)哺乳動物に経鼻投与によって投与される、又は、及び/又は(f)哺乳動物に注射によって投与される、及び/又は(g)哺乳動物に局所投与される、及び/又は(h)眼投与によって投与される、及び/又は(i)哺乳動物に直腸投与される、及び/又は(j)哺乳動物に非全身投与若しくは局部投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、哺乳動物に経口投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、全身様式ではなく局部様式で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、局所投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSMSMは、全身投与される。
[0167] 経口組成物は、概して、不活性希釈剤又は食用担体を含む。これらは、ゼラチンカプセル内に封入することができるか、又は錠剤に圧縮することができる。治療的経口投与のために、活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれて、錠剤、トローチ剤、又はカプセル剤の形態で使用することができる。薬学的に適合性の結合剤及び/又はアジュバント材料は、本組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の構成成分、例えば微結晶性セルロース、トラガカントガム、又はゼラチンなどの結合剤、デンプン又はラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel、又はトウモロコシデンプンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はステロテスなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤、スクロース又はサッカリンなどの甘味剤、又はペパーミント、サルチル酸メチル、オレンジ香味などの香味剤のうちのいずれか、又は類似の性質の化合物、を含むことができる。
[0168] 吸入による投与の場合、本化合物は、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素などのガス、又はネブライザーを含む圧力容器又はディスペンサーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
[0169] 全身投与は、経粘膜手段又は経皮手段によるものである場合もある。経粘膜投与又は経皮投与の場合、透過されるバリアに適切な浸透剤が製剤中に使用される。かかる浸透剤は、当技術分野で概して公知であり、これらには、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔スプレー又は座薬の使用によって達成することができる。経皮投与の場合、本活性化合物は、当技術分野で概して公知の軟膏、軟膏剤、ゲル剤、又はクリーム剤に製剤化される。
[0170] 注射用途に好適なSMSMには、滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製用の滅菌水溶液(水溶性である場合)又は分散液及び滅菌粉末剤が含まれる。静脈内投与の場合、好適な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF社、ニュージャージー州パーシッパニー)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。いずれの場合にも、本組成物は、滅菌でなければならず、容易な通針性(syringability)が存在する程度に流動性であるべきである。本組成物は、製造及び保管条件下で安定していなければならず、細菌及び真菌などの微生物からの汚染に対して保存されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含む溶媒又は分散媒体とすることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には必要な粒子サイズの維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、本組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。
投薬及びスケジュール
[0171]
本開示の方法で利用されるSMSMは、例えば、対象の要件、治療される及び/若しくは画像化される状態の重症度、並びに/又は用いられるSMSMに応じて変動し得る投薬量で投与することができる。例えば、投薬量は、特定の対象において診断された疾患の種類及び病期、並びに/又はSMSMとともに使用される画像化法の種類を考慮して経験的に決定することができる。本開示の文脈では、対象に投与される用量は、対象における有益な診断又は治療応答に影響を与えるのに十分であるべきである。用量のサイズは、特定の対象におけるSMSMの投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によって決定することもできる。
[0172] 投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、組成物を単位剤形で製剤化することが有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、治療される対象に単位投薬量として適している物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量の活性化合物を含有する。本開示の単位剤形の仕様は、本活性化合物の特有の特徴及び達成される特定の治療効果、並びに個体の治療のためのかかる活性化合物を配合する技術に固有の制限によって決定され、かつそれらに直接依存する。かかる化合物の毒性及び治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における手順によって決定することができる。毒作用と治療効果との間の用量比が治療指数となり、これは、LD50/ED50比として表すことができる。大きい治療指標を呈する化合物が好ましい。毒性副作用を呈する化合物が使用され得るが、かかる化合物を罹患組織の部位に標的させる送達系を設計して、非感染細胞への潜在的な損傷を最小限に抑え、それにより、副作用を軽減するように注意が払われなければならない。
[0173] 細胞培養アッセイ及び/又は動物試験から得られた治療指数データは、インビボでの治療指数を予測する際、及びヒト対象などの対象における使用のためのある範囲の投薬量を処方する際に使用することができる。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のためのある範囲の投薬量を処方する際に使用することができる。かかる化合物の投薬量は、好ましくは、ほとんど又は全く毒性のないED50を含む血中濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本開示の方法で使用されるいずれの化合物の場合にも、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養下で決定される症状の半数阻害を達成する試験化合物の濃度を含む血中血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで処方され得る。かかる情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。疾患又は状態を予防又は軽減する際に特定のSMSMの有効性を評価するための様々な動物モデル及び臨床アッセイが本開示で使用され得る。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。正確な製剤、投与経路、及び投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。(例えば、Fingl et al,1975,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics.Ch.1 piを参照されたい)。
[0174] 本開示の組成物は、必要に応じて、毎時、毎日、毎週、又は毎月を含めて、必要な頻度で投与することができる。
[0175] 前述の態様のうちのいずれにおいても、(i)本化合物が1回投与される、(ii)本化合物が1日にわたって哺乳動物に複数回投与される、(iii)継続的に投与される、又は(iv)連続的に投与されるといったさらなる実施形態を含めて、本明細書に記載のSMSMの有効量の単回投与を含むさらなる実施形態が存在する。
[0176] 前述の態様のうちのいずれにおいても、(i)本化合物が単回用量として連続的又は間欠的に投与される、(ii)複数回投与間の時間が6時間毎である、(iii)本化合物が哺乳動物に8時間毎に投与される、(iv)本化合物が哺乳動物に12時間毎に投与される、(v)本化合物が哺乳動物に24時間毎に投与されるといったさらなる実施形態を含めて、本明細書に記載のSMSMの有効量の複数回投与を含むさらなる実施形態が存在する。さらなる又は代替の実施形態では、本方法は、休薬期間を含み、ここで、本明細書に記載のSMSMの投与が一時的に中断されるか、又は投与される本化合物の用量が一時的に減少され、休薬期間の終了時に、本化合物の投与が再開される。1実施形態では、休薬期間の長さは、2日間~1年間と変動する。
併用療法
[0177] ある特定の例では、本明細書に記載の少なくとも1のSMSMを別の治療薬と併用して投与するのが適切である。例えば、本明細書に記載の化合物SMSMは、第2の治療薬と同時投与することができ、ここで、SMSMと第2の治療剤は、治療しようとする疾患、障害、又は状態の様々な態様を調節し、それにより、いずれかの治療薬単独での投与よりも大きい全体的な利益をもたらす。
[0178] いくつかの実施形態では、SMSMは、1以上の他のSMSMと併用で投与され得る。
[0179] SMSMは、他の治療薬の投与前に、それと同時に、又はその後に、必要とする対象に投与され得る。例えば、SMSMは、他の治療薬の投与開始時間の少なくとも8時間前、7時間前、6時間前、5時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1.5時間前、1時間前、又は30分前に、対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、それらは、他の治療薬の投与と同時に投与され得る。言い換えれば、これら実施形態では、SMSMは、他の治療薬の投与を開始する時に同時に投与される。他の実施形態では、SMSMは、他の治療薬の投与開始時間の後(例えば、他の治療薬の投与開始時間の少なくとも30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、又は8時間後)に投与され得る。あるいは、SMSMは、他の治療薬の投与完了の少なくとも30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、又は8時間後に投与され得る。概して、これらSMSMは、疾患又は状態が予防又は軽減されるように、十分な期間にわたって投与される。かかる十分な期間は、他の治療薬が投与される期間と同一であってもよく、又は異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、SMSMの複数回用量は、別の治療薬の投与毎に、又は複数の他の治療薬の併用の投与毎に投与される。
[0180] ある特定の実施形態では、SMSMの適切な投薬量は、疾患又は状態を予防又は軽減するのに最適な効果を達成するために、特定のタイミング及び/又は特定の経路と組み合わせられる。例えば、SMSMは、別の治療薬又は他の治療薬の併用の投与の開始又は完了よりも、少なくとも、1時間前若しくは1時間後、2時間前若しくは2時間後、3時間前若しくは3時間後、4時間前若しくは4時間後、5時間前若しくは5時間後、6時間前若しくは6時間後、7時間前若しくは7時間後、8時間前若しくは8時間後、9時間前若しくは9時間後、10時間前若しくは10時間後、11時間前若しくは11時間後、又は12時間前若しくは12時間後、又は少なくとも、1日前若しくは1日後、2日前若しくは2日後、3日前若しくは3日後、4日前若しくは4日後、5日前若しくは5日後、6日前若しくは6日後、7日前若しくは7日後、8日前若しくは8日後、9日前若しくは9日後、10日前若しくは10日後、11日前若しくは11日後、12日前若しくは12日後、又は少なくとも、1週間前若しくは1週間後、2週間前若しくは2週間後、3週間前若しくは3週間後、又は4週間前若しくは4週間後、又は少なくとも、1ヶ月前若しくは1ヶ月後、2ヶ月前若しくは2ヶ月後、3ヶ月前若しくは3ヶ月後、4ヶ月前若しくは4ヶ月後、5ヶ月前若しくは5ヶ月後、6ヶ月前若しくは6ヶ月後、7ヶ月前若しくは7ヶ月後、8ヶ月前若しくは8ヶ月後、9ヶ月前若しくは9ヶ月後、10ヶ月前若しくは10ヶ月後、11ヶ月前若しくは11ヶ月後、又は12ヶ月前若しくは12ヶ月後に、ヒトに経口投与され得る。
対象
[0181] 本明細書に記載のSMSM及び方法で治療することができる対象は、選択的スプライシングを受けるmRNAを産生する任意の対象とすることができ、例えば、対象は、植物又は動物などの真核生物対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト動物である。いくつかの実施形態では、対象は、胎児(fetus)、胚(embryo)、又は小児である。いくつかの実施形態では、対象は、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、例えばウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物、例えばラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などである。いくつかの実施形態では、対象は、出生前(例えば、胎児)、小児(例えば、新生児、乳児、幼児、青年期前小児)、青年期児、思春期児、又は成人(例えば、成人早期、中年成人、高齢者)である。
[0182] これら実施例は、例示のみを目的として提供されており、本明細書に提供される特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書に記載の化合物は、標準の合成技術を使用して、又は本明細書に記載の方法と組み合わせて当技術分野で公知の方法を使用して合成することができる。別途示されない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNAの技術、及び薬理学の従来の方法を用いることができる。化合物は、標準の有機化学分野の技術、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry,6th Edition,John Wiley and Sons,Inc.に記載のものなどを使用して調製することができる。溶媒、反応温度、反応時間の変動、並びに様々な化学試薬及び他の反応条件など、本明細書に記載の合成による変換の代替的な反応条件が用いられてもよい。本明細書に記載の化合物の合成に使用される出発物質及び試薬は、合成してもよく、又はSigma-Aldrich社、Acros Organics社、Fluka社、及びFischer Scientific社などが挙げられるがこれらに限定されない商業的供給元から入手することもできる。出発物質は、商業的供給元から入手可能であり得るか、又は容易に調製することができる。ほんの1例として、本明細書に記載の実施例を準備するためのスキームを提供する。
[0183] 以下の略語を使用する:DCM - ジクロロメタン;DIPEA - N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMSO - ジメチルスルホキシド;DMF - N,N-ジメチルホルムアミド;EDCI - N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド;EtO - ジエチルエーテル;EtOAc - 酢酸エチル;EtOH - エチルアルコール;HOBt - 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;LCMS - 液体クロマトグラフィー質量分析計;MeCN - アセトニトリル;MeOH - メチルアルコール;Ms - メシラート;MTBE - メチル tert-ブチルエーテル;セレクトフルオル(Selectfluor) - 1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ビス(テトラフルオロボラート);SFC - 超臨界流体クロマトグラフィー;THF - テトラヒドロフラン;TMSCl - トリメチルシリルクロリド;h - 時間;min - 分;rt - 室温(22~25℃);g - グラム;mL - ミリリットル;mg - ミリグラム;mmol - ミリモル。
[0184] 本明細書に記載の化合物の調製に有用な反応物の合成について詳述しているか、又は調製について記載している記事の参考文献を提供する好適な参考文献及び論文としては、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”,John Wiley & Sons,Inc.,New York、S.R.Sandler et al.,“Organic Functional Group Preparations,”2nd Ed.,Academic Press,New York,1983、H.O.House,“Modern Synthetic Reactions”,2nd Ed.,W.A.Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.1972、T.L.Gilchrist,“Heterocyclic Chemistry”,2nd Ed.,John Wiley & Sons,New York,1992、J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure”,4th Ed.,Wiley Interscience,New York,1992、が挙げられる。本明細書に記載の化合物の調製に有用な反応物の合成について詳述しているか、又は調製について記載している記事の参考文献を提供するさらなる好適な参考文献及び論文としては、例えば、Fuhrhop,J.and Penzlin G.“Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials”,Second,Revised and Enlarged Edition(1994)John Wiley & Sons ISBN:3 527-29074-5、Hoffman,R.V.“Organic Chemistry,An Intermediate Text”(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5、Larock,R.C.“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations” 2nd Edition(1999)Wiley-VCH,ISBN:0-471-19031-4、March,J.“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure” 4th Edition(1992)John Wiley & Sons,ISBN:0-471-60180-2;Otera,J.(editor)“Modern Carbonyl Chemistry”(2000)Wiley-VCH,ISBN:3-527-29871-1、Patai,S.“Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups”(1992)Interscience ISBN:0-471-93022-9、Solomons,T.W.G.“Organic Chemistry” 7th Edition(2000)John Wiley & Sons,ISBN:0-471-19095-0、Stowell,J.C.,“Intermediate Organic Chemistry”2nd Edition(1993)Wiley-Interscience,ISBN:0-471-57456-2、“Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclopedia”(1999)John Wiley & Sons,ISBN:3-527-29645-X、全8巻、“Organic Reactions”(1942-2000)John Wiley & Sons、全55巻超、及び“Chemistry of Functional Groups”John Wiley & Sons、全73巻、が挙げられる。
[0185] 記載されている反応では、反応への望ましくない関与を避けるために、最終生成物中において必要な場合、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、チオ基、又はカルボキシ基を保護することが必要であり得る。保護基の生成及びそれらの除去に適用可能な技術についての詳細な説明は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999、及びKocienski,Protective Groups,Thieme Verlag,New York,NY,1994に記載されており、これらは、かかる開示のために参照により本明細書に組み込まれる。
[0186] 実施例は、既知の技術を使用してなされ得、いくつかの実施形態では、例えば、スプライシング複合体構成成分、スプライセオソーム、又はプレmRNA分子への核内移行を促進するように、さらに化学修飾することができる。当業者であれば、核内移行のための化学修飾(例えば、電荷の減少、サイズの最適化、及び/又は親油性の改変)のための標準の医薬化学的アプローチを理解するであろう。
立体化学:
[0187] (±)、又はラセミ(の)とは、生成物がエナンチオマーのラセミ混合物であることを示す。例えば、(±)(1S,2S,3R,5R)又はラセミ(1S,2S,3R,5R)とは、示される生成物の相対立体化学が同様の化合物及び/又は反応物の既知の立体化学に基づいており、またこの生成物は、(1S,2S,3R,5R)及び(1R,2R,3S,5S)の両立体異性体のエナンチオマーのラセミ混合物である。分離したエナンチオマーの絶対立体化学が未決定である化合物は、単一のエナンチオマーのいずれか、例えば(1S,2S,3R,5R)又は(1R,2R,3S,5S)のいずれかとして表されるか、又はいずれかの可能性のある単一のエナンチオマーとして表される。このような場合、生成物は純粋かつ単一のエナンチオマーであるが、絶対立体化学は特定されないが、相対立体化学はわかっているので示されている。
[0188] 実施例1: 6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン及び6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン(化合物1A及び1B)の調製。
[0189] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0190] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)並びにn-BuOH(360mL)を加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]+=370、として得た。
[0191] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0192] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0193] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0194] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム:CHIRALPAK IG、2×25cm、5um;移動相A:CO、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;グラジエント:50%B;250nm;RT1:3.99分;RT2:6.19分;注入量:4ml;実行数:80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0195] ステップ4: 1-(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エテノンの調製。
[0196] 2000mLの3つ口丸底フラスコに、2,4-ジヒドロキシアセトフェノン(35.00g、230.04mmol)、テトラブチルアンモニウムトリブロミド(122.01g、253.04mmol)、及びCHCl(600mL)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次いで反応を、水(400mL)でクエンチした。有機相を分離して、得られた水相を2×300mLのジクロロメタンで抽出した。その有機相をまとめて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:酢酸エチル/石油エーテル(20/80))にかけ、単離後、37gの1-(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタノンを白色固体として得た。
[0197] ステップ5: 1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]エテノンの調製。
[0198] 2000mLの3つ口丸底フラスコに、1-(5-ブロモ-2,4-ジヒドロキシフェニル)エタノン(37g、160.14mmol)、アセトン(500mL)、炭酸カリウム(35.41g、256.23mmol)、及びブロモメチルメチルエーテル(25.81g、208.19mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、次いで濾液を濃縮した。得られた残渣を、400mLのHOと合わせて、2×500mLのジクロロメタンで抽出した。有機相をまとめて、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、濾過し、濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲルカラム:石油エーテル/酢酸エチル(20/1))にかけ、単離後、約30gの1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]エタノンを白色固体として得た。
[0199] ステップ6: 1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]ブタン-1,3-ジオンの調製。
[0200] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]エタノン(28g、101.78mmol)、テトラヒドロフラン(300mL)を加えた。この混合物に、乾燥窒素雰囲気下で、0℃で攪拌しながら、水素化ナトリウム(9.77g、407.13mmol)をいくつかに分けて加えた。得られた混合物を、0℃で1時間攪拌し、続いて乾燥酢酸エチル(17.94g、203.57mmol)を加えた。酢酸エチル添加後、冷浴を外し、次いで得られた混合物を2時間攪拌した。その後、反応を、100mLの水を加えて慎重にクエンチした。得られた混合物を、2×200mLの酢酸エチルで抽出し、有機相をまとめ、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、約25gの1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]ブタン-1,3-ジオンを淡黄色固体として直接得た。
[0201] ステップ7: 6-ブロモ-7-ヒドロキシ-2-メチルクロメン-4-オンの調製。
[0202] 1000mLの丸底フラスコに、1-[5-ブロモ-2-ヒドロキシ-4-(メトキシメトキシ)フェニル]ブタン-1,3-ジオン(25g、78.83mmol)、Amberlyst-15(20.00g)、i-PrOH(300mL)を合わせた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、還流で2時間攪拌した。反応物の加熱をやめ、自然冷却させた。固体を濾過し、3×200mlのMeOHで洗浄した。濾液をまとめて、濃縮し、乾燥により固化した残渣を得た。残渣を、メタノール(約200mL)からの結晶化により精製し、単離後、15gの6-ブロモ-7-ヒドロキシ-2-メチルクロメン-4-オンを灰色固体として得た。
[0203] ステップ8: 6-ブロモ-7-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロメン-4-オンの調製。
[0204] 窒素でパージした500mLの3つ口丸底フラスコに、6-ブロモ-7-ヒドロキシ-2-メチルクロメン-4-オン(15g、58.81mmol、1.00)、テトラヒドロフラン(150mL)、及びジメチルホルムアミド(15mL)を加えた。混合物を0℃に冷却し、その後、窒素雰囲気下で、水素化ナトリウム(2.12g、88.21mmol)を慎重にいくつかに分けて加えた。得られた混合物を、0℃で1時間攪拌し、続いてメトキシメチルブロミド(11.02g、88.212mmol)を加えた。冷浴を外し、次いで得られた混合物を周囲温度でさらに1時間撹拌した。反応を、水(100mL)の添加によりクエンチし、得られた溶液を2×200mLの酢酸エチルで抽出した。まとめた有機相を、NaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を固化させ、酢酸エチル/石油エーテル(4:1)からの再結晶により精製し、単離後、15g(85.27%)の6-ブロモ-7-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロメン-4-オンを淡桃色固体として得た。
[0205] ステップ9: 7-(メトキシメトキシ)-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)クロメン-4-オンの調製。
[0206] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した100mLの丸底フラスコに、6-ブロモ-7-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロメン-4-オン(3.00g、10.03mmol)、ジオキサン(30mL)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(3.06g、12.035mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(0.37g、0.501mmol)、及び酢酸カリウム(1.97g、20.06mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、100℃で12時間攪拌した。反応物の加熱をやめ、冷却し、その後、50mLの水を加えてクエンチした。得られた混合物を3×50mLの酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめた。まとめた有機層を1×50mLのブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(0~80%グラジエント)により精製して、単離後、0.8g(23.04%)の7-(メトキシメトキシ)-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)クロメン-4-オンを黄色固体として得た。
[0207] ステップ10: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(7-(メトキシメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(7-(メトキシメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0208] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した8mLのバイアルに、異性体1(150mg、0.391mmol)、テトラヒドロフラン(3.00mL)、7-(メトキシメトキシ)-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)クロメン-4-オン(406.23mg、1.173mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(copper(I)-3-methylsalicylate)(251.92mg、1.173mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(22.60mg、0.020mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、窒素下、70℃で、12時間攪拌した。次いで反応混合物の加熱をやめ、自然冷却させた。その後、反応を、20mLの水を加えてクエンチした。得られた溶液を3×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめた。得られた有機混合物をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(0~80%)グラジエント)により精製し、単離後、80mg(36.8%)の中間体10Aを黄色固体として得た。
[0209] 上記の手順に従うが、異性体2(150mg、0.391mmol)から出発して、単離後、81mgの中間体10Bを黄色固体として得た。
[0210] ステップ11: 6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン及び6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンの調製。
[0211] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した8mLの丸底フラスコに、中間体10A(80.00mg、0.144mmol)及びジオキサン(2.00mL)中のHClを加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。その後、反応を、20mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。得られた混合物をジクロロメタン(3×20mL)で抽出し、有機層をまとめた。得られた混合物を、次いで飽和ブライン(20mL)で洗浄した。有機混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。得られた残渣を、フラッシュ-分取-HPLC(カラム、C18;移動相、0.01% NHHCO/HO:ACN=20%を30分以内に0.01% NHHCO/HO:ACN=60%に増加;検出器、254nm)で精製し、単離後、25mgの化合物1A 6を黄色固体、(ES,m/z)[M+H]=412.20、として得た。H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ8.91-8.80(m,1H),8.53(s,1H),7.10(s,1H),6.40-5.91(m,1H),5.30(d,J=15.5Hz,1H),4.75(dd,J=49.2,7.7Hz,1H),3.66(s,2H),3.18-2.92(m,3H),2.33(d,J=31.4Hz,3H),2.11(d,J=10.2Hz,1H),1.85-1.72(m,4H),1.34(s,1H)。
[0212] 上記の手順に従うが、中間体10Bから出発して、25mgの化合物1Bを、黄色固体、(ES,m/z)[M+H]=412.20、として得た。H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ8.85(d,J=8.9Hz,1H),8.53(s,1H),7.11(s,1H),6.39-5.93(m,1H),5.34-4.90(m,1H),4.86-4.55(m,1H),3.61(d,J=28.7Hz,2H),3.19-2.92(m,3H),2.33(d,J=31.8Hz,3H),2.23(s,1H),1.88-1.50(m,4H),1.29(d,J=29.6Hz,1H)。
[0213] 実施例2: 6-(6-[[(1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ]-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1-オン及び6-(6-[[(1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ]-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1-オン(化合物2A及び2B)の調製。
[0214] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0215] 6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)並びにn-BuOH(360mL)を、1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]+=370、として得た。
[0216] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0217] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を、1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0218] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0219] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム:CHIRALPAK IG、2×25cm、5um;移動相A:CO、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;グラジエント:50%B;250nm;RT1:3.99分;RT2:6.19分;注入量:4ml;実行数:80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0220] ステップ4: 4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチルベンゾヒドラジドの調製。
[0221] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下、0℃で、4-ブロモ-3-メトキシ安息香酸(15.00g、65mmol)、メチルヒドラジン(11.96g、260mmol)、DMF(150mL)、EDCI(14.93g、78mmol、及びHOBT(10.53g、78mmol)を加えた。得られた溶液を、窒素下で4時間攪拌し、室温に自然昇温させた。次いで反応を、300mLの水でクエンチした。混合物を、3×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層をまとめて、3×500mlの飽和ブラインで洗浄した。次いで、混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC(IntelFlash-1:カラム:C18カラム;移動相A:水(10MMOL/L NHHCO)、移動相B:ACN;流量:80mL/分;グラジエント:25分で20Bから80B)により精製し、12.0gの4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチルベンゾヒドラジドを淡黄色油状物として得た。
[0222] ステップ5: 4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチル-N’-メチリデンベンゾヒドラジドの調製。
[0223] 窒素でパージした250mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチルベンゾヒドラジド(12.00g、46mmol)、ヒドロキシメチリデン(1.67g、0.055mmol)、及びトルエン(150mL)を加えた。得られた混合物を、120℃で予熱した油浴に入れ、16時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、水/氷浴中で冷却した。次いで、混合物を残渣に濃縮し、クロマトグラフィー(シリカゲルカラム:酢酸エチル/石油エーテル(1:3))にかけ、12g(95.57%)の4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチル-N’-メチリデンベンゾヒドラジドを白色固体として得た。
[0224] ステップ6: 6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルフタラジン-1-オンの調製。
[0225] 乾燥窒素でパージした500mLの3つ口丸底フラスコに、4-ブロモ-3-メトキシ-N-メチル-N(10g、36.89mmol)、キノン(5.98g、55.33mmol)、酢酸パラジウム(0.83g、3.69mmol)、及び酢酸(200mL)を入れた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で12時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、水/氷浴で冷却した。得られた混合物を濃縮し、残渣のpHをNaHCOで8に調節した。得られた混合物を3×150mLの酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。混合物を濾過、濃縮、及び精製(シリカゲル:酢酸エチル/石油エーテル(1:3))し、6g(60.45%)の6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルフタラジン-1-オンを淡黄色固体として得た。
[0226] ステップ7: 7-メトキシ-2-メチル-1-オキソフタラジン-6-イルボロン酸の調製。
[0227] 乾燥窒素でパージした500mLの3つ口丸底フラスコに、6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルフタラジン-1-オン(6g、22mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(8.5g、33mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(0.91g、1mmol)、酢酸カリウム(4.38g、44mmol)、及びジオキサン(120mL)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、窒素下、100℃で、2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、水/氷浴中で冷却した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(1:2酢酸エチル/石油エーテル)にかけた。固体残渣を単離し、エーテル-石油から再結晶して、単離後、3.5gの7-メトキシ-2-メチル-1-オキソフタラジン-6-イルボロン酸を白色固体として得た。
[0228] ステップ8: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(7-メトキシ-2-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロフタラジン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(7-メトキシ-2-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロフタラジン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0229] 窒素でパージした40mLの密封管に、異性体1(150mg、0.391mmol)、7-メトキシ-2-メチル-1-オキソフタラジン-6-イルボロン酸(183.1mg、0.782mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(22.6mg、0.02mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(168mg、0.782mmol)、及びテトラヒドロフラン(3.00mL)を入れた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、窒素下、70℃で、3時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、水/氷浴中で冷却した。粗反応物を濃縮し、フラッシュ-分取-HPLC((IntelFlash-1):カラム:C18カラム;移動相A:水(10MMOL/L NHHCO)、移動相B:ACN;流量:80mL/分;グラジエント:25分で20Bから70B)により直接精製し、100mgの中間体8Aを黄色固体として得た。
[0230] 上記の手順に従うが、異性体2(150mg、0.391mmol)から出発して、100mg(48.64%)の中間体8Bを黄色固体として得た。
[0231] ステップ9: 6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1(2H)-オン及び6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルフタラジン-1(2H)-オン(化合物2A及び2B)の調製。
[0232] 窒素でパージした40mLの密封管に、中間体8A(120mg、0.228mmol)を入れ、ジクロロメタン(5mL)と合わせて攪拌した。三臭化ホウ素(3mL)を0℃で滴下して加え、得られた溶液を室温で2時間攪拌した。その後、反応を、100mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えてクエンチした。得られた溶液を4×150mLのジクロロメタン/アセトニトリル(10:1)で抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC((IntelFlash-1):Kinetex EVO C18カラム、21.2×150、5um;移動相A:水(10mmol/L NHHCO)、移動相B:ACN;流量:25mL/分;グラジエント:30分で5Bから50B;254/220nm)により精製し、単離後、46.9mgの化合物2Aを黄色固体、(ES,m/z):[M+H]+=412.2、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ ppm 13.21(s,1H),8.90(s,1H),8.86(s,1H),8.47(s,1H),7.65(s,1H),4.97-4.80(m,1H),4.76-4.63(m,1H),3.71(s,3H),3.64-3.56(m,2H),3.18(s,3H),2.33-2.25(m,1H),1.81-1.60(m,5H)。
[0233] 上記の手順に従うが、中間体8Bから出発して、21.1mg(16.95%)の化合物2Bを、黄色固体(ES,m/z):[M+H]=412.2、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ ppm 13.23(s,1H),8.91(s,1H),8.86(s,1H),8.47(s,1H),7.65(s,1H),4.99-4.82(m,1H),4.78-4.61(m,1H),3.71(s,3H),3.64-3.55(m,2H),3.18(s,3H),2.31-2.25(m,1H),1.81-1.58(m,5H)。
[0234] 実施例3: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(化合物3A及び3B)の調製。
[0235] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0236] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)、並びにn-ブタノール(360mL)を加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]+=370、として得た。
[0237] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0238] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0239] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0240] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム:CHIRALPAK IG、2×25cm、5um;移動相A:CO、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;グラジエント:50%B;250nm;RT1:3.99分;RT2:6.19分;注入量:4ml;実行数:80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0241] ステップ4: 4-ブロモ-5-メトキシ-2-ニトロ安息香酸メチルの調製。
[0242] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、4-ブロモ-5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸メチル(60.00g、215.8mmol)、メタノール(600mL)、及びカリウム tert-ブトキシド(29.06g、258.974mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を濃縮し、水(300mL)で洗浄し、ジクロロメタン(2×200mL)で抽出し、有機層をまとめて、次いで濃縮し、単離後、59g(94.25%)の4-ブロモ-5-メトキシ-2-ニトロ安息香酸メチルを固体として得た。
[0243] ステップ5: 2-アミノ-4-ブロモ-5-メトキシ安息香酸メチルの調製。
[0244] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、4-ブロモ-5-メトキシ-2-ニトロ安息香酸メチル(59.00g、203.4mmol)、エタノール、水、酢酸、及び亜鉛金属粉末(26.61g、406.8mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、60℃で3時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。得られた溶液を、60℃で3時間攪拌した。混合物の加熱をやめ、自然冷却させ、濾過した。得られた濾液を濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄し、次いでジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。有機層をまとめて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、固体に濃縮して、単離後、40g(75.61%)の2-アミノ-4-ブロモ-5-メトキシ安息香酸メチルを固体として得て、次の反応で直接使用した。
[0245] ステップ6: 7-ブロモ-6-メトキシ-3H-キナゾリン-4-オンの調製。
[0246] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、2-アミノ-4-ブロモ-5-メトキシ安息香酸メチル(34.00g、130.725mmol)、エタノール(340.00mL)、酢酸、及びホルムアミジン(13.61g、130.728mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、80℃で3時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。次いで、反応を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で慎重にクエンチした。得られた混合物を濃縮して、次いでジクロロメタン(3×200mL)で抽出した。有機層をまとめて、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、単離後、32g(95.97%)の7-ブロモ-6-メトキシ-3H-キナゾリン-4-オンを固体として得て、次の反応で直接使用した。
[0247] ステップ7: 7-ブロモ-6-メトキシ-3-メチルキナゾリン-4-オンの調製。
窒素の不活性雰囲気でパージして維持した250mLの3つ口丸底フラスコに、ジメチルホルムアミド(50mL)及び水素化ナトリウム(0.56g、23.523mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、続いて7-ブロモ-6-メトキシ-3H-キナゾリン-4-オン(5g、19.602mmol)をセ氏温度で加えた。混合物を30分間攪拌させ、続いてヨウ化メチル(2.78g、19.586mmol)を加えた。冷浴を外し、混合物を室温でさらに2時間撹拌した。反応を、氷/水(30mL)で慎重にクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。まとめた有機層を、飽和ブライン(3×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、単離後、4g(75.83%)の7-ブロモ-6-メトキシ-3-メチルキナゾリン-4-オンを固体として得て、次の反応で直接使用した。
[0248] ステップ8: 6-メトキシ-3-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キナゾリン-4-オンの調製。
[0249] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した40mLのバイアルに、7-ブロモ-6-メトキシ-3-メチルキナゾリン-4-オン(1.20g、4.459mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(1.36g、5.351mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(0.16g、0.219mmol)、酢酸カリウム(0.88g、8.919mmol)、及びジオキサン(10mL)を入れた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、100℃で12時間攪拌した。反応物の加熱をやめ、自然冷却させ、真空下で濃縮した。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(1:3))により精製し、単離後、400mg(28.37%)の6-メトキシ-3-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キナゾリン-4-オンを固体として得た。
[0250] ステップ9: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシ-3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシ-3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0251] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した8mLのバイアルに、異性体1(120mg、0.313mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(167.95mg、0.782mmol)、6-メトキシ-3-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キナゾリン-4-オン(197.86mg、0.626mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(18.08mg、0.016mmol)及びテトラヒドロフラン(1.20mL)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、窒素下、60℃で2時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC((IntelFlash-1):カラム、C18シリカゲル;移動相、ACN/5MMNHCO=0.2、15分以内でACN/5MMNHCO=1に増加;検出器、254nm)により精製し、単離後、120mg(72.96%)の中間体9A を固体として得た。
[0252] 上記の手順に従うが、異性体2(120mg、0.313mmol)から出発して、単離後、86mg(52.29%)の中間体9Bを黄色固体として得た。
[0253] ステップ10: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-3-メチルキナゾリン-4(3H)-オン(化合物3A及び3B)の調製。
[0254] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した25mLの丸底フラスコに、中間体9A(110.00mg、0.209mmol)、ジクロロメタン(2.00mL)を加え、ジクロロメタン(2.00mL)中の三臭化ホウ素を滴下して加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。その後、反応を、2mLのNaHCO水溶液を加えてクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×10mL)で抽出し、有機層をまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC((IntelFlash-1):カラム、C18シリカゲル;移動相、ACN/5MMNHCO=0.1、20分以内でACN/5MMNHCO=0.5に増加;検出器、254nm)により精製し、単離後、31.9mg(37.05%)の化合物3Aを、固体(ES,m/z):[M+H]=412、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ12.67(s,1H),8.87(s,1H),8.44(s,1H),8.24(s,1H),7.57(s,1H),4.91(d,J=30.9Hz,1H),4.69(d,J=52.3Hz,1H),3.54(s,2H),3.50(s,3H),3.17(d,J=1.7Hz,3H),2.28(t,J=11.3Hz,1H),1.85-1.51(m,6H)。
上記の手順に従うが、中間体9Bから出発して、29.3mg(43.52%)の化合物3Bを、黄色固体(ES,m/z):[M+H]=412、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ12.67(s,1H),8.87(s,1H),8.44(s,1H),8.24(s,1H),7.57(s,1H),4.91(d,J=30.9Hz,1H),4.69(d,J=52.3Hz,1H),3.54(s,2H),3.50(s,3H),3.17(d,J=1.7Hz,3H),2.28(t,J=11.3Hz,1H),1.91-1.50(m,6H)。
[0255] 実施例4: 6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン及び6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン(化合物4A及び4B)の調製。
[0256] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0257] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)、並びにn-ブタノール(360mL)を加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]=370、として得た。
[0258] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0259] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0260] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0261] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム:CHIRALPAK IG、2×25cm、5um;移動相A:CO、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;グラジエント:50%B;250nm;RT1:3.99分;RT2:6.19分;注入量:4ml;実行数:80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0262] ステップ4: 4-ブロモ-3-メトキシ-N-(ピバロイルオキシ)ベンズアミドの調製。
[0263] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、4-ブロモ-3-メトキシ安息香酸(20.00g、86.563mmol)、ジメチルホルムアミド(100.02mL)、ジイソプロピルエチルアミン(89.50g、692.506mmol)、プロパンホスホン酸無水物(41.31g、129.8mmol)、及びO-ピバロイルヒドロキシルアミン(15.21g、129.845mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応を、水でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(5×300mL)で抽出した。有機物をまとめ、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固させた。粗生成物を、分取HPLCにより精製し、単離後、9.7g(33.94%)の4-ブロモ-3-メトキシ-N-(ピバロイルオキシ)ベンズアミドを、褐色油(ES、m/z):[M+H]=330.1として得た。
[0264] ステップ5: 6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オンの調製。
[0265] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した250mLの3つ口丸底フラスコに、4-ブロモ-3-メトキシ-N-(ピバロイルオキシ)ベンズアミド(9.00g、27.258mmol)、メタノール(100.00mL)、ペンタメチルシクロペンタジエニルロジウムジクロリド(0.17g、0.273mmol)、酢酸ビニル(3.52g、40.887mmol)、及び酢酸セシウム(1.57g、8.177mmol)を加えた。得られた混合物を、45℃で、予熱した油浴に入れ、16時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。得られた混合物を真空下で濃縮して固体を得た。粗生成物をMTBEからの再結晶により精製した。固体を濾過により回収し、真空下で乾燥させて、5.3g(76.53%)の6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オンを、灰白色固体(ES,m/z):[M+H]+=254.0として得た。
[0266] ステップ6: 6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オンの調製。
[0267] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した100mLの3つ口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(30.00mL、370.290mmol)、及び6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オン(2.60g、10.233mmol)を加えた。混合物を、氷/水浴中で冷却し、続いて水素化ナトリウム(0.61g、25.419mmol)を加えた。次いでヨウ化メチル(2.18g、15.350mmol)を加え、得られた溶液を0℃でさらに1時間攪拌した。次いで、反応を、50mLの水/氷を加えることによりクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機物をまとめて、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固させた。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/石油エーテル)により精製し、単離後、2.2g(80.19%)の6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オンを白色固体として得た。
[0268] ステップ7: 7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イルボロン酸の調製。
[0269] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した100mLの3つ口丸底フラスコに、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.73g、10.742mmol)、6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(2.40g、8.952mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(0.33g、0.448mmol、0.05)、ジオキサン(30mL)、及び酢酸カリウム(1.76g、17.903mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、100℃で2時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。混合物を濃縮し、分取HPLCにより精製し、分離後、950mg(45.54%)の7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イルボロン酸を、灰白色固体として得た。
[0270] ステップ8: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(7-メトキシ-2-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(7-メトキシ-2-メチル-1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
窒素の不活性雰囲気でパージして維持した8mLのバイアルに、異性体1(120mg、0.313mmol)、7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イルボロン酸(145.84mg、0.626mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(147.79mg、0.689mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(18.08mg、0.016mmol)、テトラヒドロフラン(2mL)を加えた。得られた混合物を、70℃で、予熱した油浴に入れ、2時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。混合物を分取HPLCにより精製し、単離後、111mg(67.62%)の中間体8Aを、黄色固体(ES,m/z):[M+H]=525.3として得た。
[0271] 上記の手順に従うが、異性体2(120mg、0.313mmol)から出発して、単離後、112mg(68.23%)の中間体8Bを黄色固体として得た。
[0272] ステップ9: 6-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン及び6-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンの調製。
[0273] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した8mLのバイアルに、中間体8A(111.00mg、0.212mmol)、ジクロロメタン(1mL)、及び三臭化ホウ素(1.00mL、10.578mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。その後、反応を、水/氷を加えてクエンチした。溶液のpHを、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で8に調整した。得られた混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機物をまとめ、無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で残渣へと濃縮乾固させた。粗生成物を分取HPLCにより精製し、単離後、51.3mgの化合物4A(ES,m/z):[M+H]+=411.2を得た。H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ12.34(s,1H),8.49(s,1H),8.40(d,J=0.9Hz,1H),8.06(s,1H),6.98-6.90(m,1H),6.53(d,J=7.3Hz,1H),5.44-5.18(m,1H),4.74(d,J=51.9Hz,1H),3.77(s,2H),3.62(d,J=0.9Hz,3H),3.27-3.15(m,3H),2.36-2.21(m,1H),2.15-1.97(m,2H),1.92-1.81(m,2H)。
[0274] 上記の手順に従うが、中間体8B(112.00mg、0.213mmol)から出発して、29.3mgの化合物4Bを、黄色固体(ES,m/z):[M+H]=411.2、として得た。H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ12.34(s,1H),8.50(s,1H),8.40(s,1H),8.06(s,1H),6.94(d,J=7.3Hz,1H),6.53(d,J=7.4Hz,1H),5.32(d,J=37.0Hz,1H),4.74(d,J=51.6Hz,1H),3.77(s,2H),3.62(s,3H),3.22(d,J=1.6Hz,3H),2.36-2.21(m,1H),2.06(d,J=6.8Hz,2H),1.91-1.80(m,2H)。
[0275] 実施例5: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オール及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オール(化合物5A及び5B)の調製。
[0276] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0277] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)、並びにn-ブタノール(360mL)を加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]+=370、として得た。
[0278] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0279] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0280] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0281] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム:CHIRALPAK IG、2×25cm、5um;移動相A:CO、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;グラジエント:50%B;250nm;RT1:3.99分;RT2:6.19分;注入量:4ml;実行数:80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0282] ステップ4: 1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)-N-(2,2-ジメトキシエチル)メタンイミンの調製。
[0283] 500mLの3つ口丸底フラスコに、3-ブロモ-4-メトキシベンズアルデヒド(25g、116.000mmol)、トルエン(250mL)、及び2,2-ジメトキシエタン-1-アミン(19mL、174.1mmol、1.50)を加えた。反応フラスコにDean-Starkトラップを取り付け、混合物を、120℃で、予熱した油浴に入れ、6時間攪拌した、加熱をやめ、自然冷却させた。次いで、得られた混合物を、真空下で一定重量まで濃縮し、単離後、37gの1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)-N-(2,2-ジメトキシエチル)メタンイミンを得て、これを次のステップで直接使用した。m/z:302(M+H)。
[0284] ステップ5: 7-ブロモ-6-メトキシイソキノリンの調製。
[0285] 1000mLの1つ口丸底フラスコに、1-(3-ブロモ-4-メトキシフェニル)-N-(2,2-ジメトキシエチル)メタンイミン(37g、122.45mmol)、テトラヒドロフラン(370mL)を加えた。次いで、混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸イソプロピル(15.01g、122.45mmol)を滴下して加えた。5分間攪拌した後、亜リン酸トリエチル(24.42g、146.970mmol)を加え、混合物を20分間攪拌し、次いで冷浴を外した。次いで、得られた混合物を室温で18時間撹拌した。次いで溶媒を除去し、残りの残渣を100mlのトルエンと共沸させた。得られた混合物に、四塩化チタン(94.16g)及びクロロホルム(375mL)を加え、混合物を48時間加熱還流した。混合物の加熱をやめ、次いで氷/水に注いだ。次いで、pHを水酸化アンモニウムを用いて9に調整した。反応混合物を酢酸エチル(4×200mL)で抽出した。有機物をまとめ、減圧下で濃縮乾固し、これをシリカゲルカラム(酢酸エチル:石油エーテル3:7)により精製し、単離後、6.1gの7-ブロモ-6-メトキシイソキノリンを、固体として得た。m/z:238(M+H)。
[0286] ステップ6: 6-メトキシ-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリンの調製。
[0287] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した40mLのバイアルに、7-ブロモ-6-メトキシイソキノリン(1.50g、6.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.92g、7.561mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(0.51g、0.625mmol)、酢酸カリウム(1.24g、12.635mmol)及びジオキサン(30mL、354.123mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、100℃で4時間攪拌した後、加熱をやめ、自然冷却させた。得られた混合物を、酢酸エチル(200mL)で希釈し、セライトパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 9:1)により精製し、赤褐色固体を得て、これをさらに分取HPLC(C18;移動相:NHHCO(水溶液)/MeCN;グラジエント:30分で10%Bから50%B;検出器:254nm)により精製し、単離後、1.4gの6-メトキシ-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリンを、固体m/z:286(M+H)として得た。
[0288] ステップ7: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシイソキノリン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシイソキノリン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0289] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した40mLのバイアルに、異性体1(300mg、0.782mmol)、6-(メトキシ)-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン(670mg、2.35mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(135mg、0.117mmol、0.15)、3-メチルサリチル酸銅(I)(504mg、2.348mmol)、及びテトラヒドロフラン(7.50mL)を加えた。得られた混合物を、70℃で、予熱した油浴に入れ、12時間攪拌した後、加熱をやめ、自然冷却させた。得られた混合物をCHCl(100mL)で希釈した。得られた混合物を3×25mLの水酸化アンモニウム(10%)及び50mLのブラインで洗浄した。まとめた有機層を無水NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:100%)により精製し、単離後、278mgの中間体7Aを、淡黄色固体として得た。m/z:495(M+H)。
[0290] 上記の手順に従うが、異性体2(350mg、0.913mmol)から出発して、単離後、350mgの中間体7Bを、黄色固体、m/z:495(M+H)として得た。
[0291] ステップ8: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オール及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)イソキノリン-6-オール(化合物5A及び5B)の調製。
[0292] 100mLの丸底フラスコに、中間体7A(150mg、0.303mmol)、ジクロロメタン(5mL、78.65mmol)、及び三臭化ホウ素(759.82mg、3.033mmol)を入れた。得られた溶液を、室温で4時間攪拌し、その後炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチして、最終pHを9とした。混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、有機層をまとめ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC、(IntelFlash-1):カラム:C18;移動相:NHHCO(水溶液)/MeCN;グラジエント:30分で10%Bから50%B;検出器254nm、で精製し、単離後、30mgの化合物5Aを、黄色固体(ES,m/z):[M+1]=381.2として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δppm 12.96(s,1H),9.31(d,J=1.1Hz,1H),8.99(s,1H),8.87(s,1H),8.39(d,J=5.8Hz,1H),7.66(d,J=5.9Hz,1H),7.38(s,1H),4.94(d,J=24.8Hz,1H),4.70(d,J=52.0Hz,1H),3.55(s,2H),3.18(d,J=1.7Hz,3H),2.35-2.19(m,1H),1.87-1.52(m,5H)。
[0293] 上記の手順に従うが、中間体7B(150mg、0.303mmol)から出発して、25mgの化合物5Bを、黄色固体(ES,m/z):[M+1]=381.2として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δppm 12.96(s,1H),9.31(d,J=1.1Hz,1H),8.99(s,1H),8.87(s,1H),8.39(d,J=5.8Hz,1H),7.66(d,J=5.9Hz,1H),7.38(s,1H),4.94(d,J=24.8Hz,1H),4.70(d,J=52.0Hz,1H),3.55(s,2H),3.18(d,J=1.7Hz,3H),2.35-2.19(m,1H),1.87-1.52(m,5H)。
[0294] 実施例6: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン(化合物6A及び6B)の調製。
[0295] ステップ1: ラセミの(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0296] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、6-ブロモ-3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン(24.00g、116.5mmol)、(1S,2R,3R,5R)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-3-アミノ-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(43.0g、176mmol)、DIEA(60mL、344.5mmol)、並びにn-ブタノール(360mL)を加えた。得られた溶液を、予熱した油浴に入れ、窒素下、120℃で2時間攪拌した。反応混合物の加熱をやめ、室温に冷却し、水(700mL)で希釈し、次いで酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機層をまとめ、ブライン(250mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(4:1))により精製し、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物を、黄色固体(24g、55.8%)[M+H]=370、として得た。
[0297] ステップ2: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物の調製。
[0298] 1000mLの3つ口丸底フラスコに、窒素下で、(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g、56.84mmol)、並びにジメチルホルムアミド(420mL)を加えた。得られた混合物を0℃に冷却し、その後、窒素下で、内部温度を0℃に維持しながら、水素化ナトリウム(4.54g、113.51mmol、60%)をいくつかに分けて加えた。冷浴を外し、混合物をさらに0.5時間攪拌し、窒素下で室温に自然昇温させた。ヨウ化メチル(7.20mL、115.66mmol)を、攪拌しながら室温で滴下して加えた。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。次いで反応混合物を、0℃に冷却して水(1L)でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。まとめた有機層を、水(2×250mL)及び飽和ブライン(250mL)で洗浄し、次いで無水NaSO上で乾燥した。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc(19:1))により精製し、17g(78%)の(1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルを、ラセミの黄色固体、[M+H]=384、として得た。
[0299] ステップ3: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのキラル分離。
[0300] (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-(メチル(3-(メチルチオ)-1,2,4-トリアジン-6-イル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルのラセミ混合物(11.00g、28.684mmol)を、分取-SFCで個々の異性体へと精製した。以下の条件を使用し(カラム: CHIRALPAK IG、2×25cm、5μm;移動相A: CO、移動相B: EtOH--HPLC;流量: 40mL/分;グラジエント: 50%B;250nm;RT1: 3.99分;RT2: 6.19分;注入量: 4ml;実行数: 80)、異性体1(5.0g)を黄色固体として、異性体2(5.2g)を黄色固体として得た。
[0301] ステップ4: 1-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェニル)エタン-1-オンの調製。
[0302] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、2-ブロモ-1,4-ジメトキシベンゼン(60g、276.419mmol)、ジクロロメタン(500mL、7865.023mmol)、及び無水塩化アルミニウム(55.29g、414.628mmol)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、その後、10分間にわたって塩化アセチル(29.59mL、414.637mmol)を滴下して加えた。次いで冷浴を外し、得られた溶液を室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物に、200mLの水/氷をゆっくりと加えて、慎重にクエンチした。得られた混合物を、ジクロロメタン(3×300mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、単離後、45gの未精製1-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェニル)エタン-1-オンを、黄色固体(m/z:259(M+H))として得て、次のステップで直接使用した。
[0303] ステップ5: 1-(4-ブロモ-2,5-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オンの調製。
[0304] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した1000mLの3つ口丸底フラスコに、1-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェニル)エタノン(45g、173.679mmol)及びジクロロメタン(300mL)を入れ、次いで0℃に冷却し、続いて、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1M、694mL、694mmol)を、内部温度を0℃に維持しながら、撹拌しながら滴下して加えた。次いで、冷浴を外し、得られた溶液を室温で一晩攪拌した。その後、混合物を0℃に冷却し、次いで200mLの水/氷をゆっくりと加えて慎重にクエンチした。得られた混合物を、ジクロロメタン(3×300mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、16gの1-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェニル)エタン-1-オンを、黄色固体(m/z:231(M+H))として得て、次のステップで直接使用した。
[0305] ステップ6: 1-(4-ブロモ-2-ヒドロキシ-5-(メトキシメトキシ)フェニル)エタン-1-オンの調製。
[0306] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、1-(4-ブロモ-2,5-ジヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(16g、69.251mmol)、炭酸カリウム(19.14g、138.489mmol)、及びアセトン(150mL)を加えた。次いで、混合物を0℃に冷却し、続いてブロモ(メトキシ)メタン(8.65g、69.251mmol)を滴下して加えた。冷浴を外し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を、濾過し、真空下で濃縮して、単離後、15gの1-(4-ブロモ-2-ヒドロキシ-5-(メトキシメトキシ)フェニル)エタン-1-オンを、黄色固体、m/z:275(M+H)として得て、次のステップで直接使用した。
[0307] ステップ7: 7-ブロモ-2-ヒドロキシ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロマン-4-オンの調製。
[0308] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、1-(4-ブロモ-2-ヒドロキシ-5-(メトキシメトキシ)フェニル)エタン-1-オン(15g、54.526mmol)、テトラヒドロフラン(200mL、2468.598mmol)、及び水素化ナトリウム(5.23g、218.1mmol、4.00)を加えた。混合物を0℃に冷却し、続いて乾燥酢酸エチル(9.61g、109.074mmol)を滴下して加えた。冷浴を外し、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物を、50mLの水/氷で慎重にクエンチした。次いで、混合物を酢酸エチル(2×200mL)で抽出し、有機物をまとめて、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、12gの7-ブロモ-2-ヒドロキシ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロマン-4-オンを黄色固体、m/z:317(M+H+)として得て、次のステップで直接使用した。
[0309] ステップ8: 7-ブロモ-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンの調製。
[0310] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、7-ブロモ-2-ヒドロキシ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチルクロマン-4-オン(12g)、プロパン-2-オール(100mL)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、65℃で攪拌し、続いてAmberlyst-15(15g)を滴下して加えた。得られた混合物を、65℃でさらに2時間攪拌した後、加熱をやめ、自然冷却させた。混合物を濾過し、得られた濾液を真空下で濃縮して乾燥し、単離後、9gの7-ブロモ-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オンを黄色固体、m/z:255(M+H)として得て、次のステップで直接使用した。
[0311] ステップ9:7-ブロモ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-4H-クロメン-4-オンの調製。
[0312] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した500mLの3つ口丸底フラスコに、7-ブロモ-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン(9.00g、35.285mmol)、テトラヒドロフラン(100mL)を加えた。混合物を0℃に冷却し、続いて0℃で水素化ナトリウム(1.69g、70.423mmol)をいくつかに分けて添加した。この混合物に、メトキシメチルブロミド(8.82g、70.57mmol)を滴下して加え、その後、冷浴を外し、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。その後、反応を、50mLの水/氷を加えてクエンチした。得られた混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、7gの7-ブロモ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-4H-クロメン-4-オンを黄色固体、m/z:299(M+H)として得て、次のステップで直接使用した。
[0313] ステップ10: 6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4H-クロメン-4-オンの調製。
[0314] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した250mLの3つ口丸底フラスコに、7-ブロモ-6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-4H-クロメン-4-オン(5.00g、16.716mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(8.49g、33.433mmol)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1.22g、1.667mmol)、ジオキサン(100mL)、及び酢酸カリウム(3.28g、33.421mmol)を加えた。得られた混合物を、予熱した油浴に入れ、100℃で2時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。得られた溶液を、酢酸エチル(500mL)及び洗浄水(3×50)で希釈した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、次いで真空下で濃縮乾固した。残渣を、シリカゲルでのクロマトグラフィー[(酢酸エチル/ヘキサン:1:1)、フラッシュ-分取-HPLC(IntelFlash-1):カラム:C18;移動相:ACN(50%)、HO;検出器:254nm]にかけ、単離後、2gの6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4H-クロメン-4-オンを黄色固体、m/z:265(M+H)として得た。
[0315] ステップ11: (1S,2R,3R,5R)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシ-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル及び(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-((3-(6-メトキシ-2-メチル-4-オキソ-4H-クロメン-7-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル)(メチル)アミノ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0316] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した40mLの丸底フラスコに、異性体1(150mg、0.391mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(250.74mg、1.173mmol)、6-(メトキシメトキシ)-2-メチル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4H-クロメン-4-オン(309.83mg、1.173mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(45.20mg、0.039mmol)、及びテトラヒドロフラン(10mL)を入れた。得られた混合物を、70℃で、予熱した油浴に入れ、2時間攪拌し、次いで加熱をやめ、自然冷却させた。反応混合物を、酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(3×30)で洗浄した。混合物を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、分取HPLCにより精製し、単離後、60mgの中間体11Aを黄色固体、m/z:556(M+H)、として得た。
[0317] 上記の手順に従うが、異性体2(150mg、0.391mmol)から出発して、単離後、61mgの中間体11Bを、黄色固体、m/z:556(M+H+)、として得た。
[0318] ステップ12: 7-(6-(((1S,2S,3R,5R)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン及び7-(6-(((1R,2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)(メチル)アミノ)-1,2,4-トリアジン-3-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチル-4H-クロメン-4-オン(化合物6A及び6B)の調製。
[0319] 乾燥窒素でパージして維持した100mLの3つ口丸底フラスコに、中間体11A(100mg、0.180mmol)、ジクロロメタン(5mL)、及びHCl(1,4-ジオキサン中4M、5mL)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物のpHを、炭酸水素ナトリウム水溶液(1M)で9に調節した。得られた混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュ-分取-HPLC(IntelFlash-1):カラム:カラムC18;移動相:NHHCO(水溶液)/MeCN;グラジエント:30分で10%Bから50%B;検出器 254nm、で精製し、単離後、10.6mgの化合物6Aを、黄色固体(ES,m/z):[M+1]=412.2、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δppm 12.46(s,1H),8.86(s,1H),8.28(s,1H),7.43(s,1H),6.23(s,1H),5.03-4.80(m,1H),4.68(d,J=52.1Hz,1H),3.54(s,2H),3.17(d,J=1.7Hz,3H),2.41(d,J=0.7Hz,3H),2.28(d,J=25.2Hz,1H),1.87-1.50(m,5H)。
[0320] 上記の手順に従うが、中間体11B(100mg、0.180mmol)から出発して、29.3mgの化合物6Bを、黄色固体(ES,m/z):[M+H]=412.2、として得た。H NMR(300MHz,DMSO-d6)δppm 12.46(s,1H),8.86(s,1H),8.28(s,1H),7.43(s,1H),6.23(s,1H),5.03-4.80(m,1H),4.68(d,J=52.1Hz,1H),3.54(s,2H),3.17(d,J=1.7Hz,3H),2.41(d,J=0.7Hz,3H),2.28(d,J=25.2Hz,1H),1.87-1.50(m,5H)。
[0321] 実施例7: 4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物66)の調製。
[0323] ステップ1: (tert-ブトキシカルボニル)アミノ2,2-ジメチルプロパノアートの調製。
[0324] 10Lの4つ口丸底フラスコに、N-ヒドロキシカルバミン酸tert-ブチル(250.00g、1877.6mmol)及びACN(5L)を添加した。次いで、ピバル酸無水物(384.68g、2065.4mmol)を滴下して加え、得られた混合物を一晩加熱還流した。反応物を周囲温度に自然冷却させ、次いで真空下で濃縮した。残渣を、EtOAc(7L)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5L)との間で分配した。有機層を分液し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×2L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、350g(85.8%)の(tert-ブトキシカルボニル)アミノ 2,2-ジメチルプロパノアートを灰白色固体として得た。
[0325] ステップ2: [(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]アザニウムトリフラートの調製。
[0326] 10Lの4つ口丸底フラスコ中、0℃で、ジエチルエーテル(7.0L)中の(tert-ブトキシカルボニル)アミノ2,2-ジメチルプロパノアート(350.00g、1610.9mmol)に、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸(241.75g、1610.9mmol)を加えた(記載した気体が激しく発生)。反応混合物を、0℃で5分間攪拌し、次いで室温に加温させた。1時間後、ヘキサン(3L)を加え、混合物を10分間攪拌した。得られた固体を濾過し、ヘキサン(3×1L)で洗浄し、真空オーブンで乾燥し、300g(69.69%)の[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]アザニウムトリフラートを灰白色固体として得た。
[0327] ステップ3: 4-ブロモ-3-メトキシベンゾイルクロリドの調製。
[0328] 5Lの4つ口丸底フラスコ中、DCM(3L)中の4-ブロモ-3-メトキシ安息香酸(300g、1298.4mmol)及びDMF(30.15mL、389.5mmol)の攪拌懸濁液に、塩化オキサリル(197.77g、1558.1mmol)を、窒素雰囲気下、周囲温度で滴下して加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。これにより、4-ブロモ-3-メトキシベンゾイルクロリド(380g、未精製)を、灰白色固体として得て、次のステップで直接使用した。[M+H]=248.9。
[0329] ステップ4: ブロモ-3-メトキシフェニル)ホルムアミド 2,2-ジメチルプロパノアートの調製。
[0330] 3Lの4つ口丸底フラスコ中、EA(500mL)中の[(2,2-ジメチルプロパノイル)-オキシ]アザニウムトリフラート(152.00g、568.8mmol)に、水(500mL)中の炭酸水素ナトリウム(88.00g、1047.5mmol)水溶液を0℃で滴下して加えた。30分間攪拌した後、EA(1.20L)中の4-ブロモ-3-メトキシベンゾイルクロリド(120.00g、481mmol)の溶液を0℃で滴下して加えた。次いで、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。有機相を分液し、水相を酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。まとめた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を、PE/EA(5/1)を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、126g(79.6%)の(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)ホルムアミド2,2-ジメチルプロパノアートを白色固体として得た。[M+H]=331.02。
[0331] ステップ5: 6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オンの調製。
[0332] 3Lの4つ口丸底フラスコに、(4-ブロモ-3-メトキシフェニル)ホルムアミド2,2-ジメチルプロパノアート(250.00g、757.2mmol)、酢酸ビニル(99.73g、1158.5mmol)、酢酸セシウム(45.05g、234.7mmol)、ビス[(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロロジウム](4.68g、7.6mmol)及びMeOH(2.5L)を加えた。得られた混合物を、窒素雰囲気下、40℃で16時間攪拌した。混合物を室温に自然冷却させた。沈殿した固体を濾過により回収し、冷却したジエチルエーテル(3×1000mL)で洗浄した。これにより、6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オン(120g、62.38%)を灰白色固体として得た。[M+H]=254.97。
[0333] ステップ6: 6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オンの調製。
[0334] 1Lの3つ口丸底フラスコ中、THF(1.2L)及びDMF(0.5L)中の6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オン(120g、472.3mmol)の攪拌懸濁液に、鉱油中60%の懸濁液として水素化ナトリウム(28.71g、717.9mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で分割して加えた。得られた溶液を、0℃で30分間攪拌した。ヨウ化メチル(81.76g、524.2mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で滴下して加えた。得られた溶液を室温に加温した。1時間後、反応混合物を冷水(2L)中に注いで、15分間攪拌した。沈殿した固体を、濾過により回収し、冷水(3×1L)で洗浄した。残渣を、PE/EA(3:1)で溶離されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(102g、85.55%)を灰白色固体として得た。[M+H]=268。
[0335] ステップ7: 6-ブロモ-4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オンの調製。
[0336] 3つ口丸底フラスコ中、アセトニトリル(2L)中の6-ブロモ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(102g、380.4mmol)に、セレクトフルオル(134.77g、380.4mmol)を室温で加えた。得られた混合物を、窒素雰囲気下、80℃で1時間攪拌した。混合物を室温に自然冷却させた。反応を、水(1000ml)でクエンチした。得られた混合物を、ジクロロメタン(3×1000mL)で抽出した。まとめた有機層をブライン(1×1000mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で残渣に濃縮し、該残渣を、PE/EA(1:01)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、6-ブロモ-4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(30g、27.56%)を白色固体として得た。[M+H]=285.9。
[0337] ステップ8: 4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オンの調製。
[0338] ジオキサン(300mL)中、6-ブロモ-4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(30g、104.9mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(53.26g、209.7mmol)、Pd(dppf)Cl(3.84g、5.243mmol)、及び酢酸カリウム(15.44g、157.3mmol)の混合物を、100℃で2時間攪拌した。室温に冷却した後、得られた混合物を、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(20:01)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン(19g、54.39%)を、白色固体として得た。[M+H]=334.2。
[0339] ステップ9: (2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0340] 窒素の不活性雰囲気でパージして維持した40mLの3つ口丸底フラスコ中、(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-[メチル[3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン-6-イル]アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(1.00g、2.6mmol)、4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン(1.74g、5.2mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(1.40g、6.5mmol)、Pd(PPh(0.30g、0.3mmol)及びTHF(10.00mL)を入れた。得られた溶液を70℃で2時間撹拌した。反応を、30mLの10重量%のアンモニア水を加えてクエンチし、固体を濾過した。得られた溶液を3×50mLのジクロロメタンで抽出した。まとめた有機相を、50mlのブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を、以下の条件下の逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した:カラム、C18シリカゲル;移動相、ACN水溶液(0.5% NHHCO)、30分で25%から85%へのグラジエント;検出器、UV254nm。これにより、(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(800mg、56.54%)を淡黄色固体として得た。
[0341] この手順を並行して13回繰り返して、(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(12g)を黄色固体として得た。THF(240mL)中の、まとめた(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(12 )を、スルフヒドリル官能基化シリカPSB-20(1.2g)と室温で混合した。得られた混合物を窒素雰囲気下、50℃で0.5時間撹拌し、室温に冷却した。濾過、THF(3×100mL)による洗浄、濃縮により、生成物を得た。この手順を8回繰り返して、濾液を減圧下で濃縮して、(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(12g)を黄色固体として得た。[M+H]=543.1。
[0342] ステップ10: (2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0343] 3つ口丸底フラスコ中、DMF(120mL)中の(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-メトキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(12g、22.1mmol)に、ナトリウムメタンチオラート(7.75g、110.6mmol)を加えた。得られた混合物を、窒素雰囲気下、100Cで2時間攪拌した。反応をLCMSにより監視した。混合物を室温に自然冷却し、水(100ml)でクエンチした。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件を用いた逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した:カラム、C18シリカゲル;移動相、CH3CN水溶液、30分で25%から85%へのグラジエント;検出器、UV254nm。これにより、(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(8g、68.44%)を淡黄色固体として得た。[M+H]=529.4。
[0344] ステップ11: 4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物66)の調製。
[0345] 酢酸エチル(100mL)中の(2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-{[3-(4-フルオロ-7-ヒドロキシ-2-メチル-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(8g)の攪拌溶液に、酢酸エチル(80mL)中の飽和HClを、窒素雰囲気下、室温で滴下して加えた。得られた混合物を、窒素雰囲気下、室温で1.5時間攪拌した。得られた混合物を、減圧下で濃縮した。混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8~9に塩基性化した。水層を、酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、減圧下で濃縮した。これにより、4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1-オン(化合物66)(5.3g、80.18%)を淡黄色固体として得た。LC[M+H]+=429.2。H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ12.57(s,1H),8.68(s,1H),8.40(s,1H),8.03(d,J=2.2Hz,1H),6.90(d,J=6.1Hz,1H),5.29(dddd,J=34.3,12.8,5.8,2.8Hz,1H),4.74(dt,J=51.8,3.4Hz,1H),3.77(s,2H),3.58(s,3H),3.22(d,J=1.7Hz,3H),2.29(td,J=12.7,3.2Hz,1H),2.12-1.99(m,2H),1.92-1.79(m,2H),1.77-1.67(m,1H)。
[0346] 実施例8: 2-エチル-4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシイソキノリン-1-オン(化合物163)の調製。
[0347] ステップ1: 6-ブロモ-7-メトキシ-2-エチルイソキノリン-1-オンの調製。
[0348] 1Lの3つ口丸底フラスコ中、THF(2.5L)及びDMF(1L)中の6-ブロモ-7-メトキシ-2H-イソキノリン-1-オン(245.00g、964.6mmol)の攪拌懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%)(57.87g、1446.9mmol)を窒素下、0℃で分割して加えた。0℃で30分後、ヨウ化エチル(180.57g、1157.5mmol)を0℃で滴下して加えた。得られた溶液を周囲温度に加温させ、1時間撹拌した。反応混合物を、冷水(2L)中に注いで、15分間攪拌した。沈殿した固体を、濾過により回収し、冷水(3×1L)で洗浄した。残渣を、PE/EA(3:01)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、6-ブロモ-7-メトキシ-2-エチルイソキノリン-1-オン(230g、84.56%)を灰白色固体として得た。
[0349] ステップ2: 6-ブロモ-2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシイソキノリン-1-オンの調製。
[0350] アセトニトリル(4560ml)中の6-ブロモ-2-エチル-7-メトキシイソキノリン-1-オン(230g、815.2mmol)に、セレクトフルオル(288.80g、815.2mmol)を室温で加えた。得られた混合物を、窒素下、80℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応を、水(800ml)でクエンチした。得られた混合物を、ジクロロメタン(3×1000mL)で抽出した。まとめた有機層を、ブライン(1×1000mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過及び濃縮により残渣を得て、該残渣を、PE/EA(1:01)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、6-ブロモ-2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシイソキノリン-1-オン(120g、未精製)を得た。粗生成物を、以下の条件、カラム、C18シリカゲル;移動相、ACN水溶液(0.1%NH4HCO3)、30分で25%から85%へのグラジエント;検出器、UV254nm、での逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、6-ブロモ-2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシイソキノリン-1-オン(75g、30.65%)を白色固体として得た。[M+H]+=300。
[0351] ステップ3: 2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オンの調製。
[0352] ジオキサン(750mL)中の6-ブロモ-2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシイソキノリン-1-オン(75g、249.9mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(126.92g、499.8mmol)、Pd(dppf)Cl(9.14g、12.5mmol)、酢酸カリウム(36.79g、374.8mmol)の混合物を、100℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン(65g、74.92%)を黄色固体として得た。[M+H]=348。
[0353] ステップ4: (2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0354] THF(10mL)中の(1R,2S,3S,5S)-2-フルオロ-3-[メチル[3-(メチルスルファニル)-1,2,4-トリアジン-6-イル]アミノ]-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(1.00g、2.6mmol)、2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イソキノリン-1-オン(1.81g、5.2mmol)、3-メチルサリチル酸銅(I)(1.40g、6.5mmol)、Pd(PPh3)4(0.30g、0.26mmol)の混合物を、窒素(N)下、70℃で2時間攪拌した。反応を、30mLの10%アンモニア/水を加えることによりクエンチし、固体を濾過して除去した。得られた溶液を、3×50mLのジクロロメタンで抽出した。まとめた有機相を50mLのブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を、以下の条件:カラム、C18シリカゲル;移動相:ACN水溶液(0.5% NH4HCO3)、30分で25%から85%へのグラジエント;検出器、UV254nm、での逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。これにより、(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル、0.80 g(55.12%)、を淡黄色固体として得た。
[0355] この手順を並行して20回繰り返して、(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(22g)を黄色固体として得た。まとめた(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(22g、39.55mmol)を、THF(240mL)中で、スルフヒドリル官能基化シリカPSB-20(2.2g)と室温で混合した。得られた混合物を、窒素(N)下、50℃で0.5時間攪拌し、室温に冷却し、濾過し、濾過ケーキをTHF(3×10mL)で洗浄した。この手順を8回繰り返して、濾液を減圧下で濃縮して、(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(21g)を黄色固体として得た。[M+H]=556.26。
[0356] ステップ5: (2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-ヒドロキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチルの調製。
[0357] DMF(182mL)中の(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-メトキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(20g、35.931mmol)に、ナトリウムメタンチオラート(12.59g、179.7mmol)を加えた。得られた混合物を100℃で2時間撹拌した。反応をLCMSで観察した。混合物を室温に自然冷却し、水(200ml)でクエンチした。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。減圧留去により残渣を得て、該残渣を、以下の条件:カラム、C18シリカゲル;移動相:CH3CN水溶液、30分で25%から85%へのグラジエント;検出器、UV254nm、での逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。これにより、(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-ヒドロキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(15g、76.94%)を淡黄色固体として得た。[M+H]+=542.2。
[0358] ステップ6: 2-エチル-4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシイソキノリン-1-オン(化合物163)の調製。
[0359] 酢酸エチル(150mL)中の(2S,3S,5S)-3-{[3-(2-エチル-4-フルオロ-7-ヒドロキシ-1-オキソイソキノリン-6-イル)-1,2,4-トリアジン-6-イル](メチル)アミノ}-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(15g)の攪拌溶液に、EA(150mL)中のHCl(気体)を、窒素(N)下、室温で滴下により加えた。得られた混合物を、室温下で1.5時間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8~9に塩基性化した。水層を、酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、減圧下で濃縮した。これにより、2-エチル-4-フルオロ-6-(6-{[(2R,3S,5S)-2-フルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル](メチル)アミノ}-1,2,4-トリアジン-3-イル)-7-ヒドロキシイソキノリン-1-オン(化合物171)(11.6g)を淡黄色固体として得た。M+H]+=443.25。H-NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ 12.56(s,1H),8.71(s,1H),8.42(s,1H),8.06(d,J=2.2Hz,1H),6.91(d,J=6.2Hz,1H),5.31(dddd,J=34.3,12.8,5.8,2.8Hz,1H),4.86-4.61(m,1H),4.03(q,J=7.2Hz,2H),3.78(s,2H),3.22(d,J=1.6Hz,3H),2.30(td,J=12.7,3.2Hz,1H),2.06(s,3H),1.93-1.79(m,2H),1.71(dd,J=12.2,5.3Hz,1H),1.40(t,J=7.2Hz,3H)。
[0360] 実施例9: SMN定量スプライシングアッセイ.
[0361] 脊髄性筋萎縮症(SMA)患者の線維芽細胞(GM03813、Coriell社)を、96ウェルプレート中に50,000細胞/ウェルでプレーティングした。プレーティング直後に、細胞に、2.5μM~0.6nM(0.1%DMSO)の範囲の濃度で24時間にわたって化合物を投与した。処理細胞を溶解させ、cDNAを、製造業者の指示に従ってFast Advanced Cells-to-Ctキット(Thermofisher社A35378)を使用して合成した。2μLの各cDNAをqPCR反応で使用した。qPCR反応物を、以下の表4に示すプライマー及びプローブを用いて、TaqMan(商標)Fast Advanced Master Mix(ThermoFisher社;4444965)を使用して、10μL量で384ウェルプレート中で調製した。反応を、初期設定にしたQuant Studio 6 qPCR機器内で走査した。
[0363] 実施例10: SMNタンパク質アッセイ.
[0364]
脊髄性筋萎縮症(SMA)患者の線維芽細胞を、96ウェルプレート中に7,000細胞/ウェルでプレーティングした。化合物を、0.6nMから2.5μMの範囲の濃度で加えて、48時間インキュベートし、そして細胞を100μLの溶解バッファーで溶解させた。20μLの溶解産物を、PharmOptima社(ミシガン州)開発のMesoscale Discovery(MSD)アッセイによるSMNタンパク質測定に使用した。1μg/mL~19.5pg/mLの範囲のSMNタンパク質で調製した標準曲線を、各MSDプレートで使用して、各試料中のSMNタンパク質絶対量を計算した。
[0365] SMN定量的スプライシングアッセイ及びタンパク質アッセイの両方の結果を、以下の表5に示す。

Claims (42)

  1. 式(I)の化合物:
    であって、
    式中、
    Qは、置換若しくは非置換C~Cアルキレン、又は置換若しくは非置換C~Cヘテロアルキレンであり、
    Xは、水素、CH、又は置換若しくは非置換C~Cシクロアルキルであり、
    及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はCHであり、
    及びRはそれぞれ独立して、水素又はハロゲンであり、
    、A、A、及びAはそれぞれ独立して、N、-NRY1-、-O-、-S-、又はCRA1であり、
    はそれぞれ独立して、単結合又は2重結合であり、
    A1はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、=O、又は置換若しくは非置換C~Cアルキルであり、
    Y1はそれぞれ独立して、水素、又は置換若しくは非置換C~Cアルキルである、前記化合物。
  2. 前記化合物が、式(Ia):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化合物が、式(Ib):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記化合物が、式(Ic):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記化合物が、式(Id):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  6. 前記化合物が、式(Ie):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  7. 前記化合物が、式(If):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  8. 前記化合物が、式(Ig)
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  9. 前記化合物が、式(Ih):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  10. 前記化合物が、式(Ii):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  11. 前記化合物が、式(Ij):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  12. 前記化合物が、式(Ik):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  13. 前記化合物が、式(Il):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  14. 前記化合物が、式(Im):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  15. 前記化合物が、式(In):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  16. 前記化合物が、式(Iaa):
    の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
  17. 又はRのうちの少なくとも1つが、フッ素である、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
  18. がフッ素であり、またRが水素である、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
  19. が水素であり、またRがフッ素である、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
  20. がCH、CF、C(CH)、N、O、又はC(=O)である、請求項1、2、5、6、又は9のいずれか1項に記載の化合物。
  21. がCH、C(CH)、N、又はC(CH)である、請求項1~5、8、又は11~13のいずれか1項に記載の化合物。
  22. がCH、C(CH)、N、又はC(CH)である、請求項1~4、6、7、10、12、又は14のいずれか1項に記載の化合物。
  23. がCH、C(CH)、N、O、又はC(=O)である、請求項1、3、10、11、又は15のいずれか1項に記載の化合物。
  24. 前記化合物が、少なくとも20個の炭素原子、5個の窒素原子、及び1個のフッ素原子を含む、請求項1に記載の化合物。
  25. 、A、A、及びAのうちの1つがC(=O)である、請求項1に記載の化合物。
  26. が水素又はCHである、請求項1~25のいずれか1項に記載の化合物。
  27. が水素又はCHである、請求項1~26のいずれか1項に記載の化合物。
  28. Qが、置換又は非置換C~Cアルキレンである、請求項1~27のいずれか1項に記載の化合物。
  29. Qが、置換又は非置換C~Cアルキレンである、請求項28に記載の化合物。
  30. Qが-CHCH-である、請求項29に記載の化合物。
  31. Qが-CHCHCH-である、請求項29に記載の化合物。
  32. からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか1項に記載の化合物。
  33. Xが水素である、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
  34. Xが-CHである、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
  35. Xが、置換又は非置換C~Cシクロアルキルである、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
  36. Xがシクロプロピルである、請求項35に記載の化合物。
  37. 前記化合物が、表1又は表2から選択される、請求項1に記載の化合物。
  38. 請求項1~37のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容可能な塩又は溶媒和化合物。
  39. 請求項1~37のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩若しくは薬学的に許容可能な溶媒和化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体と、を含む、医薬組成物。
  40. スプライシングを調節する方法であって、請求項1~38のいずれか1項に記載の化合物又は請求項39の医薬組成物を細胞に施与することを含み、前記化合物が、mRNAをコードするプレmRNAのスプライス部位配列においてのスプライシングを調節し、前記mRNAが標的タンパク質又は機能性RNAをコードするものである、前記方法。
  41. 疾患又は状態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~38のいずれか1項に記載の化合物又は請求項39に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  42. 状態又は疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~38のいずれか1項に記載の化合物又は請求項39に記載の医薬組成物の使用。
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