JP2023536298A - L-アミノ酸を生産する組換え菌株、その構築方法及び使用 - Google Patents
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Abstract
コリネバクテリウム・グルタミカムYP97158を出発菌として、そのNCgl1089遺伝子コード領域、NCgl0761遺伝子コード領域、及び/又はptsS遺伝子コード領域に部位特異的変異を導入する及び/又は発現を増強することによって得られる変異遺伝子及び当該遺伝子を含む組換え菌株は、高いL-アミノ酸生産能を有し、L-アミノ酸の生産量を大幅に向上させ、菌株の安定性に優れ、L-アミノ酸生産菌株として利用すると、生産コストが削減される。【選択図】なし
Description
本願は2020年08月07日に中国国家知識産権局に提出された特許出願番号が2020107908681の先願の優先権、2020年10月15日に中国国家知識産権局に提出された特許出願番号が2020111050353の先願の優先権、及び2020年10月13日に中国国家知識産権局に提出された特許出願番号が2020110930801の先願の優先権を主張しており、上記先願の全文は引用により本願に組み込まれている。
本発明は遺伝子工学及び微生物の技術分野に属し、具体的には、増強されたL-アミノ酸生産能を有するコリネバクテリウム属の菌株、その構築方法及び使用である。
L-アミノ酸生産能を有する細菌などの微生物を用いて発酵することによって、L-アミノ酸を工業的に生産する。このような微生物として、例えば、自然界から分離された菌株、及びその変異体菌株を使用することができる。
発酵法によるL-アミノ酸の生産についての改良は、発酵技術例えば撹拌や酸素供給、栄養培地の組成例えば発酵中の糖濃度、発酵液の適切な形態への加工例えば発酵液の乾燥及び造粒やイオン交換クロマトグラフィー、又は関連微生物自体に固有の性能や性質に関し得る。これらの微生物の性能や性質を改善する方法には、変異誘発、変異体の選択及びスクリーニングが含まれる。このように得られた菌株は代謝拮抗物質に対して耐性を有するか、又は調整的に重要な代謝物に対して栄養要求性であってL-アミノ酸を生産する。現在、また、高収率でより経済的なL-アミノ酸生産方法の開発が期待される。
本発明はL-アミノ酸を生産する組換え菌株、その組換え構築方法、及びアミノ酸の発酵生産におけるその使用を提供する。
本発明において、コリネバクテリウム・グルタミカムYP97158を出発菌として、そのNCgl1089遺伝子コード領域、及び/又はNCgl0761遺伝子コード領域、及び/又はptsS遺伝子コード領域に部位特異的突然変異及び/又は改善した発現を導入することによって得られる変異遺伝子及び前記遺伝子を含む組換え菌株は、高いL-アミノ酸生産能を有し、L-アミノ酸の生産量を大幅に向上させ、菌株安定性に優れ、L-アミノ酸生産菌株として生産コストが削減される。
したがって、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
本発明は、L-アミノ酸を生産するコリネバクテリウム属に属する微生物を提供し、この微生物はSEQ ID NO:3、及び/又はSEQ ID NO:35、及び/又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの改善した発現を有する。本発明によれば、前記改善した発現とは、前記ポリヌクレオチドの発現増強、又は前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有すること、又は前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するとともに発現が増強されたことである。
本発明の第1態様によれば、
前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列は遺伝子NCgl1089によってコードされるタンパク質である。
前記SEQ ID NO:3のアミノ酸配列は遺伝子NCgl1089によってコードされるタンパク質である。
前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の配列相同性のアミノ酸配列をコードしてもよい。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の一実施形態では、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは点突然変異を有することによって、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列の170番目のグルタミン酸が異なるアミノ酸で置換される。
本発明によれば、好ましくは170番目のグルタミン酸がリジンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列において170番目のグルタミン酸(E)がリジン(K)で置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:4に示される。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基の、グアニン(G)からアデニン(A)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、本発明の前記ポリヌクレオチドの発現調節配列を修飾してもよい。発現調節配列はそれに作動可能に連結された前記ポリヌクレオチドの発現を制御する。前記調節配列は例えばプロモーター、ターミネーター、エンハンサー、サイレンサーなどであってもよい。
本発明の一実施形態では、前記プロモーターはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(NCgl1089遺伝子)のプロモーターである。
本発明はまた、ポリヌクレオチド配列、このポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター、前記ポリヌクレオチド配列を含有する組換え菌株を提供する。
本発明によれば、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、170番目のグルタミン酸が異なるアミノ酸で置換されたポリヌクレオチドを含む。
本発明によれば、好ましくは170番目のグルタミン酸がリジンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列において、170番目のグルタミン酸(E)がリジン(K)で置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:4に示される。
本発明によれば、好ましくは、前記SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基の、グアニン(G)からアデニン(A)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、前記アミノ酸配列はSEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を含む。
本発明によれば、前記組換えベクターは前記ポリヌクレオチド配列をプラスミドに導入することにより構築される。
本発明の一実施形態では、前記プラスミドはpK18mobsacBプラスミドである。
本発明の他の実施形態では、前記プラスミドはpXMJ19プラスミドである。
具体的には、前記ポリヌクレオチド配列と前記プラスミドからNEBuider組換えシステムにより組換えベクターを構築してもよい。
本発明によれば、前記組換え菌株は前記ポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌はYP97158である。
本発明はまた、コリネバクテリウム組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
宿主菌株中のSEQ ID NO:1で示される野生型NCgl1089のポリヌクレオチド配列を改変し、その508番目の塩基を変異させ、変異NCgl1089コード遺伝子を含むコリネバクテリウム組換え菌株を得るステップを含む。
宿主菌株中のSEQ ID NO:1で示される野生型NCgl1089のポリヌクレオチド配列を改変し、その508番目の塩基を変異させ、変異NCgl1089コード遺伝子を含むコリネバクテリウム組換え菌株を得るステップを含む。
本発明の構築方法によれば、前記改変は、変異誘発、PCR部位特異的変異法、及び/又は相同組換えなどの方法のうちの少なくとも1種を含む。
本発明の構築方法によれば、前記変異とは、SEQ ID NO:1における508番目の塩基がグアニン(G)からアデニン(A)に変異することを意味し、具体的には、前記変異NCgl1089コード遺伝子を含むポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2に示される。
さらに、前記構築方法は、
SEQ ID NO:1で示される野生型NCgl1089遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その508番目の塩基を変異させ、変異したNCgl1089遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
前記変異したポリヌクレオチド配列とプラスミドからNEBuider組換えシステムにより組換えベクターを構築するステップ(2)と、
前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、前記変異NCgl1089コード遺伝子を含むコリネバクテリウム組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
SEQ ID NO:1で示される野生型NCgl1089遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その508番目の塩基を変異させ、変異したNCgl1089遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
前記変異したポリヌクレオチド配列とプラスミドからNEBuider組換えシステムにより組換えベクターを構築するステップ(2)と、
前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、前記変異NCgl1089コード遺伝子を含むコリネバクテリウム組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(1)は点突然変異したNCgl1089遺伝子の構築であって、コリネバクテリウム・グルタミカムのゲノム配列に基づいて、NCgl1089遺伝子断片を増幅する2対のプライマーであるP1とP2及びP3とP4を合成し、PCR部位特異的突然変異法によって、野生型NCgl1089遺伝子SEQ ID NO:1に点突然変異を導入し、点突然変異したNCgl1089遺伝子ヌクレオチド配列SEQ ID NO:2を得て、NCgl1089G508Aとすることを含む。
本発明の一実施形態では、前記コリネバクテリウム・グルタミカムゲノムはATCC13032菌株に由来してもよく、そのゲノム配列はNCBIウェブサイトから得られてもよい。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(1)において、前記プライマーは以下のとおりである:
P1:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCGCGTGGGATCCACGCCAG 3’(SEQ ID NO:5)
P2:5’CAATGAGGGCTTTCGCCACCTCGCGGGC 3’(SEQ ID NO:6)
P3:5’GCCCGCGAGGTGGCGAAAGCCCTCATTG 3’(SEQ ID NO:7)
P4:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATGCGTTGGCGATCTTC 3’(SEQ ID NO:8)。
P1:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCGCGTGGGATCCACGCCAG 3’(SEQ ID NO:5)
P2:5’CAATGAGGGCTTTCGCCACCTCGCGGGC 3’(SEQ ID NO:6)
P3:5’GCCCGCGAGGTGGCGAAAGCCCTCATTG 3’(SEQ ID NO:7)
P4:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATGCGTTGGCGATCTTC 3’(SEQ ID NO:8)。
本発明の一実施形態では、前記PCR増幅は、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で40s伸長する(30サイクル)ように行われる。
本発明の一実施形態では、前記オーバーラップPCR増幅は、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長する(30サイクル)ように行われる。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(2)は、組換えプラスミドの構築であって、分離精製後のNCgl1089G508AとpK18mobsacBプラスミドを、NEBuider組換えシステムによって組み立て、組換えプラスミドpK18-NCgl1089G508Aを得ることを含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(3)は、組換え菌株の構築であって、組換えプラスミドpK18-NCgl1089G508Aを宿主菌株に形質転換し、組換え菌株を得ることを含む。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(3)の形質転換は電気形質転換法である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記組換えは相同組換えによって実現される。
本発明の第4態様はまた、コリネバクテリウム組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
NCgl1089遺伝子の上下流相同アーム断片、NCgl1089遺伝子コード領域、NCgl1089G508A遺伝子コード領域、及び前記遺伝子のプロモーター領域配列を増幅して、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を導入することで、前記菌株においてNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
NCgl1089遺伝子の上下流相同アーム断片、NCgl1089遺伝子コード領域、NCgl1089G508A遺伝子コード領域、及び前記遺伝子のプロモーター領域配列を増幅して、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を導入することで、前記菌株においてNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
本発明の一実施形態では、上流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P7:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:11)
P8:5’CATGAGTATA AAATCACTGT CGTGCACCGAG AACAGATG 3’(SEQ ID NO:12)。
P7:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:11)
P8:5’CATGAGTATA AAATCACTGT CGTGCACCGAG AACAGATG 3’(SEQ ID NO:12)。
本発明の一実施形態では、下流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P13:5’CGTGCCCACAGAAGAGGTGAGAT GGCGCAATTA AATCAAG 3’(SEQ ID NO:17)
P14:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGA TC 3’(SEQ ID NO:18)。
P13:5’CGTGCCCACAGAAGAGGTGAGAT GGCGCAATTA AATCAAG 3’(SEQ ID NO:17)
P14:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGA TC 3’(SEQ ID NO:18)。
本発明の一実施形態では、前記遺伝子のプロモーター領域配列を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P9:5’CATCTGTTCT CGGTGCACGACAGTGATT TTATACTCAT G 3’(SEQ ID NO:13)
P10:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:14)。
P9:5’CATCTGTTCT CGGTGCACGACAGTGATT TTATACTCAT G 3’(SEQ ID NO:13)
P10:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:14)。
本発明の一実施形態では、NCgl1089遺伝子コード領域又はNCgl1089G508A遺伝子コード領域を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P11:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:15)
P12:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTCACCTCTTC TGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:16)。
P11:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:15)
P12:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTCACCTCTTC TGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:16)。
本発明の一実施形態では、前述P9/P12をプライマー、増幅により得られたNCgl1089遺伝子プロモーター断片とNCgl1089又はNCgl1089G508Aをテンプレートとして増幅し、自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508A断片を得る。
本発明の一実施形態では、前述P7/P14をプライマー、増幅により得られた上流相同断片、下流相同断片及び自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508Aの3つの断片を混合してテンプレートとして増幅し、組み込み相同アーム断片を得る。
本発明の一実施形態では、使用されるPCRシステムは、10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。PCR増幅は、94℃で5min(分)予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30s(秒)アニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドPK18mobsacBと組み込み相同アーム断片を組み立て、組み込みプラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、組み込みプラスミドを宿主菌株にトランスフェクションし、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を導入する。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列を含む菌株である。
本発明はまた、コリネバクテリウム組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
NCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅して、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株でNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
NCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅して、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株でNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
本発明の一実施形態では、NCgl1089プロモーター断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P19:5’GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGACAGTGATTTTATACTCATG 3’(SEQ ID NO:23)
P20:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:24)。
P19:5’GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGACAGTGATTTTATACTCATG 3’(SEQ ID NO:23)
P20:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:24)。
本発明の一実施形態では、得られたNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P21:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:25)
P22:5’ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACTCACCTCTTCTGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:26)。
P21:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:25)
P22:5’ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACTCACCTCTTCTGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:26)。
本発明の一実施形態では、前述P19/P22をプライマー、以増幅により得られたNCgl1089遺伝子プロモーター断片及びNCgl1089又はNCgl1089G508Aをテンプレートとし、オーバーラップPCR増幅を行って、自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508A断片を得る。
本発明の一実施形態では、前記PCRシステムは10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドpXMJ19と自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508A断片とを組み立て、過剰発現プラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列を有する菌株である。
本発明で得られた組換え菌株は、単独してL-リジンの発酵生産に使用してもよく、L-リジンを生産する他の細菌と混合して発酵してL-リジンを生産してもよい。
本発明はまた、L-リジンを生産する方法を提供し、この方法は微生物を培養し、培養物からL-リジンを得ることを含む。
本発明の第2態様では、
本発明は、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されたL-アミノ酸を生産する細菌を提供する。本発明はまた、前記微生物を用いてL-アミノ酸を生産する方法を提供する。
本発明は、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されたL-アミノ酸を生産する細菌を提供する。本発明はまた、前記微生物を用いてL-アミノ酸を生産する方法を提供する。
前記SEQ ID NO:35のアミノ酸配列は遺伝子NCgl0761によってコードされるタンパク質である。
前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列と約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列をコードすることができる。
前記細菌は未修飾菌株と比べて増強されたL-アミノ酸生産能を有する。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:33のヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の一実施形態では、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの点突然変異により、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列の31番目のロイシンが異なるアミノ酸で置換される。
本発明によれば、好ましくは31番目のロイシンがアルギニンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:35で示されるアミノ酸配列において、31番目のロイシンがアルギニンで置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:36に示される。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基の、チミン(T)からグアニン(G)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:34で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、ポリヌクレオチドの発現調節配列を修飾してもよい。発現調節配列はこれに作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現を制御し、例えばプロモーター、ターミネーター、エンハンサー、サイレンサーなどを含んでもよい。ポリヌクレオチドは開始コドンの変化を有してもよい。
本発明の一実施形態では、前記プロモーターはSEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(NCgl0761遺伝子)のプロモーターである。
本発明の一実施形態では、前記コリネバクテリウム属の微生物はコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869である。
本発明はまた、ポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター、前記ポリヌクレオチド配列を含有する組換え菌株を提供する。
本発明によれば、前記ポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:35で示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、31番目のロイシンが異なるアミノ酸で置換されたポリヌクレオチドを含む。
本発明によれば、好ましくは31番目のロイシンがアルギニンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:35で示されるアミノ酸配列において、31番目のロイシンがアルギニンで置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:36に示される。
本発明によれば、好ましくは、前記SEQ ID NO:35で示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基の、チミン(T)からグアニン(G)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:34で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、前記アミノ酸配列はSEQ ID NO:36で示されるアミノ酸配列を含む。
本発明によれば、前記組換えベクターは前記ポリヌクレオチド配列をプラスミドに導入することにより構築される。
本発明の一実施形態では、前記プラスミドはpK18mobsacBプラスミドである。
本発明の他の実施形態では、前記プラスミドはpXMJ19プラスミドである。
具体的には、NEBuider組換えシステムによって、前記ポリヌクレオチド配列と前記プラスミドを組換えベクターに構築してもよい。
本発明によれば、前記組換え菌株は前記ポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌はYP97158である。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌はATCC 13869である。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
宿主菌株中のSEQ ID NO:33で示される野生型NCgl0761のポリヌクレオチド配列を改変し、その92番目の塩基を変異させ、変異NCgl0761コード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップを含む。
宿主菌株中のSEQ ID NO:33で示される野生型NCgl0761のポリヌクレオチド配列を改変し、その92番目の塩基を変異させ、変異NCgl0761コード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップを含む。
本発明の構築方法によれば、前記改変は、変異誘発、PCR部位特異的変異法、及び/又は相同組換えなどの方法のうちの少なくとも1種を含む。
本発明の構築方法によれば、前記変異は、SEQ ID NO:33の92番目の塩基がチミン(T)からグアニン(G)に変異することを意味し、具体的には、変異NCgl0761コード遺伝子を含む前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:34に示される。
さらに、前記構築方法は、
SEQ ID NO:33で示される野生型NCgl0761遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その92番目の塩基を変異させ、変異したNCgl0761遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
前記変異したポリヌクレオチド配列をプラスミドに連結し、組換えベクターを構築するステップ(2)と、
前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、変異NCgl0761コード遺伝子を含む前記組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
SEQ ID NO:33で示される野生型NCgl0761遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その92番目の塩基を変異させ、変異したNCgl0761遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
前記変異したポリヌクレオチド配列をプラスミドに連結し、組換えベクターを構築するステップ(2)と、
前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、変異NCgl0761コード遺伝子を含む前記組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(1)は、点突然変異したNCgl0761遺伝子の構築であって、未修飾菌株のゲノム配列に基づいて、NCgl0761遺伝子断片を増幅する2対のプライマーであるP1とP2及びP3とP4を合成し、PCR部位特異的変異法によって野生型NCgl0761遺伝子SEQ ID NO:33に点突然変異を導入し、点突然変異したNCgl0761遺伝子ヌクレオチド配列SEQ ID NO:34を得て、NCgl0761L31Rとすることを含む。
本発明の一実施形態では、前記未修飾菌株ゲノムはATCC13032菌株又はATCC13869に由来してもよく、そのゲノム配列はNCBIウェブサイトから得られ得る。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(1)において、前記プライマーは以下のとおりである:
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCTTGCAGCTAACCTATACCCC3’(SEQ ID NO:37)
P2:5’GCTTTTCAATATAATCACGTCCATCTGAGCCATC3’(SEQ ID NO:38)
P3:5’GATGGCTCAGATGGACGTGATTATATTGAAAAGC3’(SEQ ID NO:39)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTCCCAAATAATTGCCGC3’(SEQ ID NO:40)。
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCTTGCAGCTAACCTATACCCC3’(SEQ ID NO:37)
P2:5’GCTTTTCAATATAATCACGTCCATCTGAGCCATC3’(SEQ ID NO:38)
P3:5’GATGGCTCAGATGGACGTGATTATATTGAAAAGC3’(SEQ ID NO:39)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTCCCAAATAATTGCCGC3’(SEQ ID NO:40)。
本発明の一実施形態では、前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で40s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、前記オーバーラップPCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で60s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(2)は、組換えプラスミドの構築であって、分離精製後のNCgl0761L31RとpK18mobsacBプラスミドを、NEBuider組換えシステムによって組み立て、組換えプラスミドを得ることを含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(3)は、組換え菌株の構築であって、組換えプラスミドを宿主菌株に形質転換し、組換え菌株を得ることを含む。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(3)の形質転換は電気形質転換法である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はATCC 13869である。
本発明の一実施形態では、前記組換えは相同組換えによって実現される。
本発明の第4態様はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
NCgl0761遺伝子の上下流相同アーム断片、NCgl0761遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列、又は、NCgl0761L31R遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅して、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を導入することで、前記菌株においてNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
NCgl0761遺伝子の上下流相同アーム断片、NCgl0761遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列、又は、NCgl0761L31R遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅して、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を導入することで、前記菌株においてNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
本発明の一実施形態では、上流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:43)
P8:5’CCATCCATACCCCACTACATGTGCACCGAGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:44)。
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:43)
P8:5’CCATCCATACCCCACTACATGTGCACCGAGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:44)。
本発明の一実施形態では、下流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P11:5’CTGAGCCGGAAACCTCACCC AGAATCAGATGGCGCAATTAAATC 3’(SEQ ID NO:47)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:48)。
P11:5’CTGAGCCGGAAACCTCACCC AGAATCAGATGGCGCAATTAAATC 3’(SEQ ID NO:47)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:48)。
本発明の一実施形態では、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するは以下のとおりである:
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:45)
P10:5’GATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTGAGGTTTCCGGCTCAG3’(SEQ ID NO:46)。
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:45)
P10:5’GATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTGAGGTTTCCGGCTCAG3’(SEQ ID NO:46)。
本発明の一実施形態では、使用されるPCRシステムは、10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で60s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドPK18mobsacBと上下相同アーム断片、遺伝子コード領域及びプロモーター領域断片とを組み立て、組み込みプラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、組み込みプラスミドを宿主菌株にトランスフェクションし、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子を導入する。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はATCC 13869である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列を含む菌株である。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
NCgl0761遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列、又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅して、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株でNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
NCgl0761遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列、又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅して、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株でNCgl0761及びNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
本発明の一実施形態では、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:53)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAAC GTGAGGTTTC CGGCTCAG 3’(SEQ ID NO:54)。
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:53)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAAC GTGAGGTTTC CGGCTCAG 3’(SEQ ID NO:54)。
本発明の一実施形態では、前記PCRシステムは、10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で60s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドpXMJ19と自体のプロモータを備えるNCgl0761又はNCgl0761L31R断片とを組み立て、過剰発現プラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はATCC 13869である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:34で示されるポリヌクレオチド配列を含む菌株である。
本発明で得られた組換え菌株は、単独してL-アミノ酸の発酵生産に使用してもよく、L-アミノ酸を生産する他の細菌と混合して発酵してL-アミノ酸を生産してもよい。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する方法を提供し、この方法は前記細菌を培養し、培養物からL-アミノ酸を得ることを含む。
本発明の第3態様では、
本発明は、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されたL-アミノ酸を生産する細菌を提供する。本発明によれば、前記改善した発現は、前記ポリヌクレオチドの発現増強、又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するか、又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するとともに発現が増強されたことである。
本発明は、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現が改善されたL-アミノ酸を生産する細菌を提供する。本発明によれば、前記改善した発現は、前記ポリヌクレオチドの発現増強、又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するか、又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するとともに発現が増強されたことである。
前記SEQ ID NO:63のアミノ酸配列は遺伝子ptsSによってコードされるタンパク質である。
前記細菌は増強されたL-アミノ酸生産能を有する。
L-アミノ酸生産能を有する細菌は、培地において好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1.0g/L以上の量で目的のL-アミノ酸を蓄積できる細菌である。
前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列と約90%以上、約92%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列をコードすることができる。
本発明のいくつかの特定実施形態では、使用されるベクターはpK18mobsacBプラスミド、pXMJ19プラスミドである。
本発明の一特定実施形態では、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードする前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:61のヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の一実施形態では、前記発現改善とは、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有することによって、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列の162番目のメチオニンが異なるアミノ酸で置換されることを意味する。
本発明によれば、好ましくは162番目のメチオニンがスレオニンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:63で示されるアミノ酸配列において、162番目のメチオニンがスレオニンで置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:64に示される。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基の、チミン(T)からシトシン(C)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、前記ポリヌクレオチド配列は調節配列に作動可能に連結される。
本発明の一特定実施形態では、前記プロモーターはSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(ptsS遺伝子)のプロモーターである。
本発明の一実施形態では、前記コリネバクテリウム属に属する微生物はコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869である。本発明によれば、前記細菌は、L-アミノ酸の生産量の向上に関する他の改良を有してもよい。
本発明はまた、ポリヌクレオチド配列、該ポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列、前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えベクター、前記ポリヌクレオチド配列を含有する組換え菌株を提供する。
本発明によれば、前記ポリヌクレオチド配列は改善した発現を有し、前記改善は、SEQ ID NO:63で示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが点突然変異することによって、前記アミノ酸配列の162番目のメチオニンが異なるアミノ酸で置換されることを含む。
本発明によれば、好ましくは162番目のメチオニンがスレオニンで置換される。
本発明によれば、SEQ ID NO:63で示されるアミノ酸配列において、162番目のメチオニンがスレオニンで置換されたアミノ酸配列はSEQ ID NO:64に示される。
本発明によれば、前記SEQ ID NO:63で示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態では、本発明による変異後のポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基が変異したものである。
本発明によれば、前記変異は、SEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基の、チミン(T)からシトシン(C)への変異を含む。
本発明の一実施形態では、前記変異後のポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、前記置換後のアミノ酸配列はSEQ ID NO:64で示されるアミノ酸配列を含む。
本発明によれば、前記組換えベクターは前記ポリヌクレオチド配列をプラスミドに導入することにより構築される。
本発明の一実施形態では、前記プラスミドはpK18mobsacBプラスミドである。
本発明の他の実施形態では、前記プラスミドはpXMJ19プラスミドである。
具体的には、NEBuider組換えシステムによって、前記ポリヌクレオチド配列と前記プラスミドから組換えベクターを構築してもよい。
本発明によれば、前記組換え菌株は前記ポリヌクレオチド配列を含有する。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌はYP97158である。
本発明の一実施形態として、前記組換え菌株の出発菌はATCC 13869である。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
宿主菌株中のSEQ ID NO:61で示される野生型ptsSのポリヌクレオチド配列を改変し、その485番目の塩基を変異させ、変異ptsSコード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップを含む。
宿主菌株中のSEQ ID NO:61で示される野生型ptsSのポリヌクレオチド配列を改変し、その485番目の塩基を変異させ、変異ptsSコード遺伝子を含む組換え菌株を得るステップを含む。
本発明の構築方法によれば、前記改変は変異誘発、PCR部位特異的変異法、及び/又は相同組換えなどの方法のうちの少なくとも1種を含む。
本発明の構築方法によれば、前記変異とは、SEQ ID NO:61の485番目の塩基がチミン(T)からシトシン(C)に変異することを意味し、具体的には、変異ptsSコード遺伝子を含む前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:62に示される。
さらに、前記構築方法は、
SEQ ID NO:61で示される野生型ptsS遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その485番目の塩基を変異させ、変異したptsS遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
将前記変異したポリヌクレオチド配列とプラスミドを連結し、組換えベクターを構築するステップ(2)と、
将前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、変異ptsSコード遺伝子を含む前記組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
SEQ ID NO:61で示される野生型ptsS遺伝子のヌクレオチド配列を改変し、その485番目の塩基を変異させ、変異したptsS遺伝子ポリヌクレオチド配列を得るステップ(1)と、
将前記変異したポリヌクレオチド配列とプラスミドを連結し、組換えベクターを構築するステップ(2)と、
将前記組換えベクターを宿主菌株に導入し、変異ptsSコード遺伝子を含む前記組換え菌株を得るステップ(3)と、を含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(1)は、点突然変異したptsS遺伝子の構築であって、未修飾菌株のゲノム配列に基づいて、ptsS遺伝子断片を増幅する2対のプライマーであるP1とP2及びP3とP4を合成し、PCR部位特異的変異法によって、野生型ptsS遺伝子SEQ ID NO:61に点突然変異を導入し、点突然変異したptsS遺伝子ヌクレオチド配列SEQ ID NO:62を得て、ptsST485Cとすることを含む。
本発明の一実施形態では、前記未修飾菌株ゲノムはATCC13032菌株に由来してもよく、そのゲノム配列はNCBIウェブサイトから得られ得る。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(1)において、前記プライマーは以下のとおりである:
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACACCTGAAG CACCTGC 3’(SEQ ID NO:65)
P2:5’GAGATGATCAACCTCACGGCATCTGCGC 3’(SEQ ID NO:66)
P3:5’GCGCAGATGCCGTGAGGTTGATCATCTC 3’(SEQ ID NO:67)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGATGGACAGGTTTCATTCGC3’(SEQ ID NO:68)。
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACACCTGAAG CACCTGC 3’(SEQ ID NO:65)
P2:5’GAGATGATCAACCTCACGGCATCTGCGC 3’(SEQ ID NO:66)
P3:5’GCGCAGATGCCGTGAGGTTGATCATCTC 3’(SEQ ID NO:67)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGATGGACAGGTTTCATTCGC3’(SEQ ID NO:68)。
本発明の一実施形態では、前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で40s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、前記オーバーラップPCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(2)は、組換えプラスミドの構築であって、分離精製後のptsSM162TとpK18mobsacBプラスミドを、NEBuider組換えシステムによって組み立て、組換えプラスミドを得ることを含む。
本発明の構築方法によれば、前記ステップ(3)は、組換え菌株の構築であって、組換えプラスミドを宿主菌株に形質転換し、組換え菌株を得ることを含む。
本発明の一実施形態では、前記ステップ(3)の形質転換は電気形質転換法である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記組換えは相同組換えによって実現される。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
ptsS遺伝子の上下流相同アーム断片、ptsS遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列、又は、PtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅し、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにPtsS又はPtsSM162T遺伝子を導入することで、前記菌株においてPtsS又はPtsSM162T遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
ptsS遺伝子の上下流相同アーム断片、ptsS遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列、又は、PtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅し、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにPtsS又はPtsSM162T遺伝子を導入することで、前記菌株においてPtsS又はPtsSM162T遺伝子を過剰発現させるステップを含む。
本発明の一実施形態では、上流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである。
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:71)
P8:5’GTGACTCTACGCATCTTTGACAGTGCACCG AGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:72)。
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:71)
P8:5’GTGACTCTACGCATCTTTGACAGTGCACCG AGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:72)。
本発明の一実施形態では、下流相同アーム断片を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P11:5’CACCACCACGATCCACAGACCCAGAATCAGATGGCGCAATTAAAT CAAG 3’(SEQ ID NO:75)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:76)。
P11:5’CACCACCACGATCCACAGACCCAGAATCAGATGGCGCAATTAAAT CAAG 3’(SEQ ID NO:75)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:76)。
本発明の一実施形態では、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACTGTCAAAGATGCGTA GAGTCAC 3’(SEQ ID NO:73)
P10:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTCTGTGGATCGTGG TGGTG 3’(SEQ ID NO:74)。
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACTGTCAAAGATGCGTA GAGTCAC 3’(SEQ ID NO:73)
P10:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTCTGTGGATCGTGG TGGTG 3’(SEQ ID NO:74)。
本発明の一実施形態では、前述P7-P12をプライマー、増幅により得られた上流相同断片、下流相同断片及び自体のプロモーターを備えるPtsS又はPtsSM162Tの3つの断片を混合してテンプレートとして増幅し、組み込み相同アーム断片を得る。
本発明の一実施形態では、使用されるPCRシステムは、10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で60s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドPK18mobsacBと上下相同アーム断片、遺伝子コード領域及びプロモーター領域断片とを組み立て、組み込みプラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、組み込みプラスミドを宿主菌株にトランスフェクションし、相同組換えによって宿主菌株のゲノムにPtsS又はPtsSM162T遺伝子を導入する。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列を含む菌株である。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する組換え菌株の構築方法を提供する。
本発明によれば、前記構築方法は、
PtsS遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列、又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅し、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株においてPtsS及びPtsSM162T遺伝子を過剰発現させるステップをさらに含む。
PtsS遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列、又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅し、過剰発現プラスミドベクターを構築し、前記ベクターを宿主菌株に導入することで、前記菌株においてPtsS及びPtsSM162T遺伝子を過剰発現させるステップをさらに含む。
本発明の一実施形態では、前記遺伝子コード領域及びそのプロモーター領域配列を増幅するプライマーは以下のとおりである:
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCTGTCA AAGATG CGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:81)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACGTCTGTGGATCGTGGTGGTG3’(SEQ ID NO:82)。
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCTGTCA AAGATG CGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:81)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACGTCTGTGGATCGTGGTGGTG3’(SEQ ID NO:82)。
本発明の一実施形態では、前記PCRシステムは、10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μLであり、総体積を50μLとする。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で60s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われる。
本発明の一実施形態では、NEBuider組換えシステムを用いて、シャトルプラスミドpXMJ19と自体のプロモーターを備えるPtsS又はPtsSM162T断片とを組み立て、過剰発現プラスミドを得る。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はYP97158である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はATCC 13869である。
本発明の一実施形態では、前記宿主菌株はSEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列を含む菌株である。
本発明で得られた組換え菌株は、単独してL-アミノ酸の発酵生産に使用してもよく、L-アミノ酸を生産する他の細菌と混合して発酵してL-アミノ酸を生産してもよい。
本発明はまた、L-アミノ酸を生産する方法を提供し、該方法は、前記細菌を培養し、培養物からL-アミノ酸を得ることを含む。
以下、本発明について詳細に説明する。
用語「L-アミノ酸生産能を有する細菌」とは、培地及び/又は細菌の細胞において、細菌を培地にて培養するときにL-アミノ酸を収集できるほど目的のL-アミノ酸を生産して蓄積する能力を有する細菌を指す。L-アミノ酸生産能を有する細菌は、未修飾菌株で得られる量よりも大量で培地及び/又は細菌の細胞において目的のL-アミノ酸を蓄積できる細菌である。
用語「未修飾菌株」とは、特定の特徴を持たせるように修飾していない対照菌株を指す。すなわち、未修飾菌株の例として野生型菌株と親菌株が含まれる。
L-アミノ酸生産能を有する細菌とは、培地にて好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1.0g/L以上の量で目的のL-アミノ酸を蓄積できる細菌であってもよい。
L-アミノ酸の例としては、塩基性アミノ酸、例えばL-リジン、L-オルニチン、L-アルギニン、L-ヒスチジン及びL-シトルリン;脂肪族アミノ酸、例えばL-イソロイシン、L-アラニン、L-バリン、L-ロイシン及びグリシン;ヒドロキシモノアミノカルボン酸であるアミノ酸、例えばL-スレオニン及びL-セリン;環状アミノ酸、例えばL-プロリン;芳香族アミノ酸、例えばL-フェニルアラニン、L-チロシン及びL-トリプトファン;硫黄含有アミノ酸、例えばL-システイン、L-シスチン及びL-メチオニン;酸性アミノ酸、例えばL-グルタミン酸及びL-アスパラギン酸;及び側鎖にアミド基を有するアミノ酸、例えばL-グルタミン及びL-アスパラギンが含まれる。
L-アミノ酸の具体例としては、L-グルタミン酸、L-リジン、L-スレオニン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-バリン、L-ロイシン、L-フェニルアラニン、L-チロシン、L-トリプトファン及びL-システインが含まれる。
L-アミノ酸のより具体的な例としては、L-グルタミン酸、L-リジン、L-スレオニン及びL-トリプトファンが含まれる。L-アミノ酸のより具体的な例としては、L-グルタミン酸、L-リジンが含まれる。
本発明では、特に断らない限り、用語「アミノ酸」とはL-アミノ酸を指す。本発明では、特に断らない限り、用語「L-アミノ酸」とは、遊離形態のL-アミノ酸、その塩又はこれらの混合物である。
用語「相同性」とは、2種のポリヌクレオチド又は2種のポリペプチドモジュールの間の百分率同一性を指す。1種のモジュールと他のモジュールとの間の配列相同性は本分野に公知の方法によって測定されてもよい。例えば、このような配列相同性はBLASTアルゴリズムによって測定されてもよい。
本発明では、前記ポリヌクレオチドの発現増強とは、発現調節配列の置換又は変異によってポリヌクレオチド配列に変異を導入すること、染色体を介して挿入又はベクターを介して導入されたポリヌクレオチドコピー数の増加、又はこれらの組み合わせなどを意味する。
本発明によれば、前記変異とは、前記部位での塩基/ヌクレオチドが変化したことを意味し、前記変異方法は、変異誘発、PCR部位特異的変異法、及び/又は相同組換えなどの方法から選ばれる少なくとも1種であってもよい。本発明では、好ましくはPCR部位特異的変異法及び/又は相同組換えが使用される。
本発明は、ポリヌクレオチドの発現調節配列を修飾することができる。発現調節配列はこれに作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現を制御し、例えばプロモーター、ターミネーター、エンハンサー、サイレンサーなどを含んでもよい。ポリヌクレオチドは開始コドンの変化を有してもよい。ポリヌクレオチドを染色体の特定部位に組み込むことによって、コピー数を増加してもよい。本明細書では、特定の部位は、例えばトランスポゾン部位又は遺伝子間部位を含んでもよい。また、ポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込み、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、コピー数を増加してもよい。
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチド又は点突然変異を有するポリヌクレオチドを微生物染色体の特定部位に組み込むことによって、コピー数を増加する。
本発明の一実施形態では、プロモーター配列を有するポリヌクレオチド又はプロモータ配列ーを有する、点突然変異を有するポリヌクレオチドを微生物染色体の特定部位に組み込むことによって、前記核酸配列を過剰発現させる。
本発明の一実施形態では、ポリヌクレオチド又は点突然変異を有するポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込み、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、コピー数を増加する。
本発明の一実施形態では、プロモーター配列を有するポリヌクレオチド又はプロモーター配列を有する、点突然変異を有するポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込み、前記発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、前記核酸配列を過剰発現させる。
用語「作動可能に連結される」とは、調節配列とポリヌクレオチド配列との間の機能性連結を指し、これによって、調節配列はポリヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を制御する。調節配列は、ポリヌクレオチドの発現レベルを向上させ得る強力なプロモーターであってもよい。調節配列はコリネバクテリウム属に属する微生物に由来するプロモーター又は他の微生物に由来するプロモーターであってもよい。例えば、プロモーターはtrcプロモーター、gapプロモーター、tacプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、araBADプロモーター又はcj7プロモーターであってもよい。
用語「ベクター」とは、遺伝子の調節配列と遺伝子配列を含有し、適切な宿主細胞において標的遺伝子を発現させるポリヌクレオチド構築体を指す。又は、ベクターは、相同組換えに利用可能な配列を含有することによって、宿主細胞に導入されることで、宿主細胞のゲノム中の内因性遺伝子の調節配列を変えるか、又は発現させ得る標的遺伝子を宿主のゲノムの特定部位に挿入することができるポリヌクレオチド構築体を指してもよい。この点では、本発明に使用されるベクターは、宿主細胞へのベクターの導入又は宿主細胞の染色体へのベクターの挿入を確認するために、選択マーカーをさらに含んでもよい。選択マーカーは、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性、又は表面タンパク質の発現などの選択可能な表現型を与えるマーカーを含んでもよい。このような選択剤で処理する環境では、選択マーカーを発現させる細胞しか生存せず、又は異なる表現型性状が示されるため、形質転換を受けた細胞を選択することが可能になる。
本発明のいくつかの特定実施形態では、使用されるベクターはpK18mobsacBプラスミド、pXMJ19プラスミドである。
用語「形質転換」とは、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することを指し、これによって、ポリヌクレオチドはゲノム外エレメントとなる、又は宿主細胞のゲノムに挿入されて複製することを可能にする。本発明に使用されるベクターを形質転換する方法は、核酸を細胞に導入する方法を含んでもよい。また、関連技術で開示されるように、宿主細胞によっては電気パルス方法を実施してもよい。
本発明では、コリネバクテリウム属に属する微生物はコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・ペキネンシス(Corynebacterium pekinense)であってもよい。
本発明の一実施形態では、寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355の前記コリネバクテリウム属に属する微生物はコリネバクテリウム・グルタミカムYP97158であり、該菌株は中国特許出願CN106367432A(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)に記載されている。
本発明では、前記細菌は、例えば、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、クエン酸シンターゼ、メチルクエン酸シンターゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホトリオースイソメラーゼ、フルクトース二リン酸アルドラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、2-ケト-3-デオキシ-6-ホスホグルコン酸アルドラーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコキナーゼ、アスパラギン酸キナーゼIII、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ホモセリンキナーゼ、トレオニンシンターゼ、ジヒドロジピコリン酸シンターゼ、ジヒドロジピコリン酸レダクターゼ、m-ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼなどの酵素の活性、遺伝子の発現の増強又は低下、又は外来遺伝子による遺伝子の置換など、L-アミノ酸の生産量の向上に関する他の改良を有してもよい。
さらに、前記微生物は、例えば、NADPH生成に関する遺伝子(例えばグルコース脱水素酵素をコードする遺伝子、グルコノキナーゼをコードする遺伝子、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、又は6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子)及び/又はL-リジンの生合成又は分泌に関連する他の遺伝子(例えばアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子、アスパラギン酸キナーゼをコードする遺伝子、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、ジヒドロジピコリン酸シンターゼをコードする遺伝子、ジヒドロジピコリン酸レダクターをコードする遺伝子、m-ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子、lysE)の発現の増強又は低下、又は外来遺伝子による遺伝子の置換など、L-リジンの生産量の向上に関する他の改良を有してもよい。
本発明では、前記変異とは、前記部位の塩基/ヌクレオチドが変化したことを意味し、前記変異方法は変異誘発、PCR部位特異的変異法、及び/又は相同組換えなどの方法から選択される少なくとも1種であってもよい。本発明では、好ましくはPCR部位特異的変異法及び/又は相同組換えが使用される。
本発明では、本分野に公知の培養の条件で、適切な培地にて細菌を培養してもよい。培地は、炭素源、窒素源、微量元素、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。培養においては、培養物のpHを調節してもよい。さらに、培養するときには、例えば消泡剤を使用して気泡の生成を防止するなど、気泡の生成を防止してもよい。さらに、培養するときには、ガスを培養物に注射することを含んでもよい。ガスは培養物の有酸素条件を維持し得る任意のガスを含んでもよい。培養においては、培養物の温度は20~45℃であってもよい。培養物から生成したL-アミノ酸を回収し、すなわち、硫酸や塩酸などで培養物を処理し、次に、例えば陰イオン交換クロマトグラフィー、濃縮、結晶化や等電点沈殿の方法の組み合わせを行ってもよい。
[発明の効果]
有利な効果
本発明では、コリネバクテリウム・グルタミカムYP97158を出発菌とし、その背景におけるNCgl1089遺伝子、NCgl0761遺伝子、ptsS遺伝子を弱化又はノックアウトした結果、該遺伝子コードの産物はL-アミノ酸生産能に影響することを見出し、コード配列に点突然変異を導入するか又は該遺伝子のコピー数を増加させるか、又は過剰発現させることにより組換え菌株が得られ、得られた菌株は明らかなL-アミノ酸生産能を有し、高濃度L-アミノ酸の生産に有利である。
有利な効果
本発明では、コリネバクテリウム・グルタミカムYP97158を出発菌とし、その背景におけるNCgl1089遺伝子、NCgl0761遺伝子、ptsS遺伝子を弱化又はノックアウトした結果、該遺伝子コードの産物はL-アミノ酸生産能に影響することを見出し、コード配列に点突然変異を導入するか又は該遺伝子のコピー数を増加させるか、又は過剰発現させることにより組換え菌株が得られ、得られた菌株は明らかなL-アミノ酸生産能を有し、高濃度L-アミノ酸の生産に有利である。
以下、本発明の実施例を説明することによって、本発明の上記及び他の特徴や利点をさらに解説、説明する。なお、以下の実施例は、本発明の技術的解決手段を例示的に説明することを目的とし、特許請求の範囲及びその等価手段による本発明の特許範囲を何ら限定するものではない。
特に断らない限り、以下の実施例に使用される原料及び試薬はすべて市販品であるか、又は既知の方法によって調製することができ、行われる操作はすべて分野に公知であるか、又は市販品のユーザーマニュアルに従って行われる。
以下の実施例において前記菌株を培養するために使用される基礎培地は組成が同じであり、この基礎培地の組成に加えて必要に応じてスクロース、カナマイシン又はクロラムフェニコールなどを添加し、基礎培地の組成は以下に示すとおりである。
実施例1
(1)点突然変異したNCgl1089遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-NCgl1089G508Aの構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl1089遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子置換によって菌株YP97158(寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432A(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)に記載)背景におけるNCgl1089遺伝子コード領域(SEQ ID NO:1)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:3であり、NCgl1089遺伝子のヌクレオチド配列の508番目のGはA(SEQ ID NO:2:NCgl1089G508A)に変化し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列の170番目のグルタミン酸はリジン(SEQ ID NO:4:NCgl1089E170K)に変化する。
(1)点突然変異したNCgl1089遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-NCgl1089G508Aの構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl1089遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子置換によって菌株YP97158(寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432A(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)に記載)背景におけるNCgl1089遺伝子コード領域(SEQ ID NO:1)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:3であり、NCgl1089遺伝子のヌクレオチド配列の508番目のGはA(SEQ ID NO:2:NCgl1089G508A)に変化し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列の170番目のグルタミン酸はリジン(SEQ ID NO:4:NCgl1089E170K)に変化する。
プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P1:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCGCGTGGGATCCACGCCAG 3’(SEQ ID NO:5)
P2:5’CAATGAGGGCTTTCGCCACCTCGCGGGC 3’(SEQ ID NO:6)
P3:5’GCCCGCGAGGTGGCGAAAGCCCTCATTG 3’(SEQ ID NO:7)
P4:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATGCGTTGGCGATCTTC 3’(SEQ ID NO:8)。
P1:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCGCGTGGGATCCACGCCAG 3’(SEQ ID NO:5)
P2:5’CAATGAGGGCTTTCGCCACCTCGCGGGC 3’(SEQ ID NO:6)
P3:5’GCCCGCGAGGTGGCGAAAGCCCTCATTG 3’(SEQ ID NO:7)
P4:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCATGCGTTGGCGATCTTC 3’(SEQ ID NO:8)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP1とP2、P3とP4をそれぞれ用いて、PCR増幅を行った。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で40s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われ、サイズがそれぞれ724bpと839bpで、NCgl1089遺伝子コード領域を含有する2本のDNA断片(NCgl1089UpとNCgl1089Down)が得られた。
上記2本のDNA断片についてアガロースゲル電気泳動により分離精製後、上記2本のDNA断片をテンプレート、P1とP4をプライマーとして、オーバーラップPCRによって長さが約1535bpの断片を増幅した。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
このDNA断片(NCgl1089G508A)によって、YP97158 NCgl1089遺伝子コード領域の508番目のグアニン(G)はアデニン(A)に変化し、その結果として、タンパク質をコードする170番目のアミノ酸はグルタミン酸(E)からリジン(K)に変化する。
pK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入)をXba I酵素で消化した後、アガロースゲル電気泳動により線状化pK18mobsacBプラスミドとNCgl1089G508Aを分離精製し、次に、NEBuider組換えシステムによって組み立て、ベクターpK18-NCgl1089G508Aを得た。該プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれている。ベクターpK18-NCgl1089G508Aをシークエンシング会社に送ってシークエンシングして同定し、正しい点突然変異(G-A)を含有するベクターpK18-NCgl1089G508Aを使用時まで保存した。
(2)点突然変異したNCgl1089G508Aを含む遺伝子工学菌株の構築
構築方法:アレル交換プラスミドpK18-NCgl1089G508Aを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のNCgl1089遺伝子コード領域が保持されている)に形質転換入し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1542bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養した単一コロニーをそれぞれ培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った:
P5:5’GGTGATTGATGCATTATGCGC 3’(SEQ ID NO:9)
P6:5’CCTAGCCTTTCACCTCTTCTGT 3’(SEQ ID NO:10)。
構築方法:アレル交換プラスミドpK18-NCgl1089G508Aを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のNCgl1089遺伝子コード領域が保持されている)に形質転換入し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1542bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養した単一コロニーをそれぞれ培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った:
P5:5’GGTGATTGATGCATTATGCGC 3’(SEQ ID NO:9)
P6:5’CCTAGCCTTTCACCTCTTCTGT 3’(SEQ ID NO:10)。
上記PCR増幅産物を高温で変性して、氷浴で処理した後、sscp電気泳動(プラスミドpK18-NCgl1089G508A増幅断片は陽性対照、YP97158増幅断片は陰性対照、水は空白対照)を行い、断片構造が異なり、電気泳動位置が異なるため、断片の電気泳動位置が陰性対照断片位置と一致せず、陽性対照断片位置と一致する菌株はアレル交換に成功した菌株である。プライマーP5とP6によってPCRによってアレル交換に成功した菌株の目的断片をさらに増幅し、PMD19-Tベクターに連結してシークエンシングを行い、配列アラインメントによれば塩基配列が突然変異した配列検証菌株はアレル交換に成功しており、YPL-4-017と命名した。
(3)ゲノムにおいてNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びNCgl1089遺伝子コード領域、NCgl1089G508A遺伝子コード領域、及び前記遺伝子プロモーター領域配列を増幅する4対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を導入した。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びNCgl1089遺伝子コード領域、NCgl1089G508A遺伝子コード領域、及び前記遺伝子プロモーター領域配列を増幅する4対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を導入した。
プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P7:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:11)
P8:5’CATGAGTATA AAATCACTGT CGTGCACCGAG AACAGATG 3’(SEQ ID NO:12)
P9:5’CATCTGTTCT CGGTGCACGACAGTGATT TTATACTCAT G 3’(SEQ ID NO:13)
P10:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:14)
P11:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:15)
P12:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTCACCTCTTC TGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:16)
P13:5’CGTGCCCACAGAAGAGGTGAGAT GGCGCAATTA AATCAAG 3’(SEQ ID NO:17)
P14:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGA TC 3’(SEQ ID NO:18)。
P7:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:11)
P8:5’CATGAGTATA AAATCACTGT CGTGCACCGAG AACAGATG 3’(SEQ ID NO:12)
P9:5’CATCTGTTCT CGGTGCACGACAGTGATT TTATACTCAT G 3’(SEQ ID NO:13)
P10:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:14)
P11:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:15)
P12:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTCACCTCTTC TGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:16)
P13:5’CGTGCCCACAGAAGAGGTGAGAT GGCGCAATTA AATCAAG 3’(SEQ ID NO:17)
P14:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGA TC 3’(SEQ ID NO:18)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP7/P8、P9/P10、P13/P14をそれぞれ用いてPCR増幅を行い、上流相同アーム断片805bp、NCgl1089遺伝子プロモーター断片318bp、及び下流相同アーム断片628bpを得た。次に、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032とYPL-4-017菌をそれぞれテンプレート、P11/P12をプライマーとして、PCR増幅を行い、NCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子断片694bpを得た。その後、P9/P12をプライマー、NCgl1089遺伝子プロモーター断片とNCgl1089又はNCgl1089G508Aをテンプレートとして、自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508A断片972bpを得た。さらに、P7/P14をプライマー、上流相同断片、下流相同断片及び自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508Aの3つの断片を混合したものをテンプレートとして増幅し、組み込み相同アーム断片を得た。
PCR反応終了後、増幅した産物に対して電気泳動により回収し、カラムDNA ゲル抽出キット(TIANGEN)を用いて、必要な2365bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換えシステムを用いてXba I酵素で消化して回収したシャトルプラスミドPK18mobsacBと組み立て、組み込みプラスミドPK18mobsacB-NCgl1089又はPK18mobsacB-NCgl1089G508Aを得た。プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれており、カナマイシンスクリーニングによってプラスミドがゲノムに組み込まれた組換え体が得られた。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
2つの組み込みプラスミドをそれぞれL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気形質転換入し、培養した単一コロニーをP15/P16プライマーによってPCR同定し、PCR増幅によりサイズ1332bpの断片を含むものは陽性菌株、増幅により断片が得られないものは原菌であった。陽性菌株を15%スクロース培地にてスクリーニングした後、カナマイシン含有とカナマイシン不含の培地にてそれぞれ培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株をP17/P18プライマーによってさらにPCR同定し、サイズ1187bpが増幅された菌は遺伝子がYP97158ゲノムに組み込まれた菌株であり、それぞれYPL-4-018(点突然変異不含)及びYPL-4-019(点突然変異含有)と命名した:
P15:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:19)
P16:5’CTGCGATTCC CAACGCATCT3’(SEQ ID NO:20)
P17:5’GAGCAGCCAA AACATGCAGC3’(SEQ ID NO:21)
P18:5’CGTTGGAATC TTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:22)。
P15:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:19)
P16:5’CTGCGATTCC CAACGCATCT3’(SEQ ID NO:20)
P17:5’GAGCAGCCAA AACATGCAGC3’(SEQ ID NO:21)
P18:5’CGTTGGAATC TTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:22)。
(4)プラスミドにおいてNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社より合成):
P19:5’GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGACAGTGATTTTATACTCATG 3’(SEQ ID NO:23)
P20:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:24)
P21:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:25)
P22:5’ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACTCACCTCTTCTGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:26)。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社より合成):
P19:5’GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCGACAGTGATTTTATACTCATG 3’(SEQ ID NO:23)
P20:5’GACGTTTCCA GATGCTCATCACCGAACCC GCTGCACTGT 3’(SEQ ID NO:24)
P21:5’ACAGTGCAGC GGGTTCGGTGATGAGCATCT GGAAACGTC 3’(SEQ ID NO:25)
P22:5’ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACTCACCTCTTCTGTGGGCACG 3’(SEQ ID NO:26)。
構築方法:YPL-4-018をテンプレートとして、プライマーP19/P20PCRによってNCgl1089プロモーター断片378bpを得た。次に、野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032とYPL-4-017をそれぞれテンプレートとして、プライマーP21/P22PCRによってNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子断片708bpを得た。さらに、上記プロモーターと遺伝子断片をテンプレートとして、プライマーP19/P22によってオーバーラップPCRを行い、自体のプロモーターを備えるNCgl1089又はNCgl1089G508A遺伝子断片1066bpを得た。増幅産物を電気泳動により回収し、カラムDNAゲル抽出キットによって必要な1066bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換えシステムを用いてEcoR I酵素で消化して回収したシャトルプラスミドpXMJ19と組み立て、過剰発現プラスミドpXMJ19-NCgl1089又はpXMJ19-NCgl1089G508Aを得た。プラスミドにはクロラムフェニコール耐性マーカーが含まれており、クロラムフェニコールによってプラスミドが菌株に形質転換されたものをスクリーニングすることができる。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長90s(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
pXMJ19-NCgl1089又はpXMJ19-NCgl1089G508AをそれぞれL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気的に形質転換し、培養した単一コロニーをM13(-48)及びP22プライマーによってPCR同定し、PCR増幅によりサイズ1104bpの断片を含むものは導入菌株であり、それぞれYPL-4-020(点突然変異を含まない)又はYPL-4-021(点突然変異含有)と命名した。
(5)ゲノムにおいてNCgl1089遺伝子が欠損した遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、NCgl1089遺伝子コード領域の両端の断片を増幅する2対のプライマーを合成して、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P23:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCACCGCATTCCCTTCATGAT 3’(SEQ ID NO:27)
P24:5’ACGAATCCGCGCCTAGCCTTTTATCTACTTCCAAAAAACTGC 3’(SEQ ID NO:28)
P25:5’GCAGTTTTTTGGAAGTAGATAAAAGGCTAGGCGCGGATTCGT 3’(SEQ ID NO:29)
P26:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCGAGGGAAAGGATATCGA 3’(SEQ ID NO:30)。
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、NCgl1089遺伝子コード領域の両端の断片を増幅する2対のプライマーを合成して、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P23:5’CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCACCGCATTCCCTTCATGAT 3’(SEQ ID NO:27)
P24:5’ACGAATCCGCGCCTAGCCTTTTATCTACTTCCAAAAAACTGC 3’(SEQ ID NO:28)
P25:5’GCAGTTTTTTGGAAGTAGATAAAAGGCTAGGCGCGGATTCGT 3’(SEQ ID NO:29)
P26:5’CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCGAGGGAAAGGATATCGA 3’(SEQ ID NO:30)。
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP23/P24及びP25/P26のそれぞれによってPCR増幅を行い、上流相同アーム断片779bp及び下流相同アーム断片800bpを得て、次に、プライマーP23/P26によってオーバーラップPCRを行い、完全な相同アーム断片1539bpを得た。PCR反応終了後、増幅産物を電気泳動により回収し、カラムDNAゲル抽出キットによって必要な1539bpのDNA断片を回収し、NEBuider組換えシステムによって、Xba I酵素で消化して回収したシャトルプラスミドpk18mobsacBプラスミドに連結し、ノックアウトプラスミドを得た。該プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれている。
ノックアウトプラスミドをリジン生産特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーについて以下のプライマー(上海英俊社により合成)によってそれぞれPCR同定を行った:
P27:5’CACCGCATTCCCTTCATGAT 3’(SEQ ID NO:31)
P28:5’CGAGGGAAAGGATATCGA 3’(SEQ ID NO:32)。
P27:5’CACCGCATTCCCTTCATGAT 3’(SEQ ID NO:31)
P28:5’CGAGGGAAAGGATATCGA 3’(SEQ ID NO:32)。
上記PCR増幅によりサイズ1429bp及び2401bpのバンドが得られた菌株は陽性菌株、2401bpのバンドが増幅された菌株は原菌であった。陽性菌株を15%スクロース培地にてスクリーニングした後、カナマイシン含有とカナマイシン不含の培地にてそれぞれ培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株をP27/P28プライマーによってさらにPCR同定し、サイズ1429bpのバンドが増幅により得られた菌株はNCgl1089遺伝子コード領域がノックアウトされた遺伝子工学菌株であり、YPL-4-022と命名した。
(6)L-リジン発酵実験
実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表1で示される培地と表2で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表3に示す。
実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表1で示される培地と表2で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表3に示す。
表3に示す結果から、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてNCgl1089遺伝子を過剰発現させ、又はNCgl1089遺伝子コード領域について点突然変異NCgl1089G508A及び過剰発現を行うと、L-リジン生産量の向上に寄与し、一方、遺伝子の弱化又はノックアウトは、L-リジンの蓄積に不利である。
実施例2
(1)点突然変異したNCgl0761遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-NCgl0761L31Rの構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl0761遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子置換によって菌株YP97158(寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国科学院微生物研究所、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432A(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)に記載)背景におけるNCgl0761遺伝子コード領域(SEQ ID NO:33)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:35であり、NCgl0761遺伝子のヌクレオチド配列の92番目のTはG(SEQ ID NO:34)に変化し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列の31番目のロイシンはアルギニン(SEQ ID NO:36:NCgl0761L31R)に変化する。プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCTTGCAGCTAACCTATACCCC3’(SEQ ID NO:37)
P2:5’GCTTTTCAATATAATCACGTCCATCTGAGCCATC3’(SEQ ID NO:38)
P3:5’GATGGCTCAGATGGACGTGATTATATTGAAAAGC3’(SEQ ID NO:39)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTCCCAAATAATTGCCGC3’(SEQ ID NO:40)
(1)点突然変異したNCgl0761遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-NCgl0761L31Rの構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl0761遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子置換によって菌株YP97158(寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国科学院微生物研究所、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432A(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)に記載)背景におけるNCgl0761遺伝子コード領域(SEQ ID NO:33)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:35であり、NCgl0761遺伝子のヌクレオチド配列の92番目のTはG(SEQ ID NO:34)に変化し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列の31番目のロイシンはアルギニン(SEQ ID NO:36:NCgl0761L31R)に変化する。プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGCTTGCAGCTAACCTATACCCC3’(SEQ ID NO:37)
P2:5’GCTTTTCAATATAATCACGTCCATCTGAGCCATC3’(SEQ ID NO:38)
P3:5’GATGGCTCAGATGGACGTGATTATATTGAAAAGC3’(SEQ ID NO:39)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCTCCCAAATAATTGCCGC3’(SEQ ID NO:40)
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP1とP2、P3とP4をそれぞれ用いて、PCR増幅を行った。PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長40s、30サイクル、72℃で10min過剰伸長するように行われ、サイズがそれぞれ636bpと681bpで、NCgl0761遺伝子コード領域を含有するDNA断片(NCgl0761 UpとNCgl0761 Down)が得られた。上記2本のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離精製後、上記の2本のDNA断片をテンプレート、P1とP4をプライマーとして、オーバーラップPCRによって長さ1283bpの断片を増幅した。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長60s、30サイクル、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
このDNA断片によって、YP97158 NCgl0761遺伝子コード領域の92番目のチミン(T)はグアニン(G)に変化し、その結果として、コードされたタンパク質の31番目のアミノ酸はロイシン(L)からアルギニン(R)に変化する。このDNA断片をアガロースゲル電気泳動後に精製し、二重酵素消化を経て精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、Xbal I/BamH Iとの二つの酵素でそれぞれ消化)とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換した後に成長した単一クローンについてPCR同定により陽性ベクターpK18-NCgl0761L31Rが得られ、該プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれている。酵素消化の結果正しいベクターpK18-NCgl0761L31Rをシークエンシング会社に送ってシークエンシングして同定し、正しい点突然変異(T-G)を含むベクターpK18-NCgl0761L31Rを使用時まで保存した。
(2)点突然変異したpK18-NCgl0761L31Rを含む遺伝子工学菌株の構築
構築方法
アレル交換プラスミドpK18-NCgl0761L31Rを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のNCgl0761遺伝子コード領域が保持されている)に形質転換し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1369bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーを、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った:
P5:5’GAATGGAATAGGAGAATTGCG 3’(SEQ ID NO:41)
P6:5’CACCAGGCGTGGAAAGAG 3’(SEQ ID NO:42)。
構築方法
アレル交換プラスミドpK18-NCgl0761L31Rを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のNCgl0761遺伝子コード領域が保持されている)に形質転換し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1369bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーを、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った:
P5:5’GAATGGAATAGGAGAATTGCG 3’(SEQ ID NO:41)
P6:5’CACCAGGCGTGGAAAGAG 3’(SEQ ID NO:42)。
上記PCR増幅産物267bpを95℃の高温で10min変性して、氷浴で5min処理した後、SSCP電気泳動(プラスミドpK18-NCgl0761L31R増幅断片は陽性対照、YP97158増幅断片は陰性対照、水は空白対照)を行い、断片構造が異なり、電気泳動位置が異なるため、断片電気泳動位置が陰性対照断片位置と一致せず、陽性対照断片位置と一致する菌株はアレル交換に成功した菌株である。プライマーP5/P6 PCRによって陽性菌株NCgl0761断片をさらに増幅し、PMD19-Tベクターに連結してシークエンシングを行い、配列アラインメントによれば塩基配列が突然変異(T-G)した菌株はアレル交換に成功した陽性菌株であり、YPL-4-029と命名した。
(3)ゲノムにおいてNCgl0761とNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する3対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子を導入した。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する3対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子を導入した。
プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:43)
P8:5’CCATCCATACCCCACTACATGTGCACCGAGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:44)
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:45)
P10:5’GATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTGAGGTTTCCGGCTCAG3’(SEQ ID NO:46)
P11:5’CTGAGCCGGAAACCTCACCC AGAATCAGATGGCGCAATTAAATC 3’(SEQ ID NO:47)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:48)。
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:43)
P8:5’CCATCCATACCCCACTACATGTGCACCGAGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:44)
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:45)
P10:5’GATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTGAGGTTTCCGGCTCAG3’(SEQ ID NO:46)
P11:5’CTGAGCCGGAAACCTCACCC AGAATCAGATGGCGCAATTAAATC 3’(SEQ ID NO:47)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:48)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032又はYPL-4-029をそれぞれテンプレートとして、プライマーP7/P8、P9/P10、P11/P12のそれぞれによって用PCR増幅を行い、上流相同アーム断片802bp、NCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子及びそのプロモーター断片737bp及び下流相同アーム断片647bpを得た。PCR反応終了後、増幅した3つの断片をカラムDNAゲル抽出キット(TIANGEN)によりそれぞれ電気泳動して回収した。回収した3つの断片を、二重酵素で消化して精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、Xbal I/BamH Iの二重酵素でそれぞれ消化)とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンをM13プライマーによりPCR同定し、陽性組み込みプラスミド、pK18mobsacB-NCgl0761及びpK18mobsacB- NCgl0761L31Rを得た。プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれており、カナマイシンスクリーニングによってプラスミドがゲノムに組み込まれた組換え体が得られた。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長60s(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しい2つの組み込みプラスミドをそれぞれL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーについてP13/P14プライマーによりPCR同定を行い、PCRによりサイズ1325bpの断片を含むものが増幅されたのは陽性菌株であり、増幅により断片が得られないものは原菌である。15%スクロース含有培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーをP15/P16プライマーによりさらにPCR同定し、サイズ1002bpが増幅された菌はNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子がYP97158ゲノムに組み込まれた陽性菌株であり、YPL-4-030(突然変異点不含)及びYPL-4-031(突然変異点含有)と命名した:
P13:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:49)
P14:5’GCCTTGTTAATATCTTCCC 3’(SEQ ID NO:50)
P15:5’GGGAAGATATTAACAAGGC 3’(SEQ ID NO:51)
P16:5’CGTTGGAATCTTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:52)。
P13:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:49)
P14:5’GCCTTGTTAATATCTTCCC 3’(SEQ ID NO:50)
P15:5’GGGAAGATATTAACAAGGC 3’(SEQ ID NO:51)
P16:5’CGTTGGAATCTTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:52)。
(4)プラスミドにおいてNCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する1対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:53)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAAC GTGAGGTTTCCGGCTCAG 3’(SEQ ID NO:54)。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、NCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する1対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCATGTAGTGGGGTATGGATGG 3’(SEQ ID NO:53)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAAC GTGAGGTTTCCGGCTCAG 3’(SEQ ID NO:54)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032及びYPL-4-029をそれぞれテンプレートとして、プライマーP17/P18によってPCR増幅を行い、NCgl0761又はNCgl0761L31R遺伝子及びそのプロモーター断片737bpを得て、増幅産物を電気泳動により回収し、カラムDNAゲル抽出キットによって精製し、回収したDNA断片を、EcoR I酵素で消化して回収したシャトルプラスミドpXMJ19とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンをM13プライマーによりPCR同定し、陽性過剰発現プラスミドpXMJ19-NCgl0761及びpXMJ19-NCgl0761L31Rを得て、該プラスミドをシークエンシングに供した。プラスミドにはクロラムフェニコール耐性マーカーが含まれているので、クロラムフェニコールによってプラスミドが菌株に形質転換されているか否かを判断できる。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長60s(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しいpXMJ19-NCgl0761及びpXMJ19-NCgl0761L31RプラスミドをそれぞれL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーをプライマーM13/P18によってPCR同定し、PCRによりサイズ745bpの断片を含むものが増幅されたのは陽性菌株であり、YPL-4-032(突然変異点不含)及びYPL-4-033(突然変異点含有)と命名した。
(5)ゲノムにおいてNCgl0761遺伝子が欠損した遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、NCgl0761遺伝子コード領域の両末端の断片を増幅する2対のプライマーを合成し、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P19:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGTATCTGGAGAGAAGAAGGAGC 3’(SEQ ID NO:55)
P20:5’GCCTTGTTAATATCTTCCCGAATACATGCCGCAATTCTCCTATTC3’(SEQ ID NO:56)
P21:5’GAGAATTGCGGCATGTATTCGGGAAGATATTAACAAGGC 3’(SEQ ID NO:57)
P22:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCCGCAGATTACTAAGGCTG 3’(SEQ ID NO:58)。
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、NCgl0761遺伝子コード領域の両末端の断片を増幅する2対のプライマーを合成し、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P19:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGTATCTGGAGAGAAGAAGGAGC 3’(SEQ ID NO:55)
P20:5’GCCTTGTTAATATCTTCCCGAATACATGCCGCAATTCTCCTATTC3’(SEQ ID NO:56)
P21:5’GAGAATTGCGGCATGTATTCGGGAAGATATTAACAAGGC 3’(SEQ ID NO:57)
P22:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCCCGCAGATTACTAAGGCTG 3’(SEQ ID NO:58)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP19/P20及びP21/P22のそれぞれによってPCR増幅を行い、上流相同アーム断片658bp及び下流相同アーム断片716bpを得た。次に、プライマーP19/P22によってオーバーラップPCRを行い、完全な相同アーム断片1335bpを得た。増幅産物を電気泳動して、カラムDNAゲル抽出キットによって精製し、回収したDNA断片を、二重酵素で消化して精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、それぞれXbal I/BamH Iとの二つの酵素で消化)とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンをM13プライマーによりPCR同定し、陽性ノックアウトベクターpK18-ΔNCgl0761を得て、該プラスミドをシークエンシングに供した。該プラスミドにはカナマイシン耐性がスクリーニングマーカーとして含まれている。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しいノックアウトプラスミドpK18-ΔNCgl0761をリジン生産特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーを以下のプライマー(上海英俊社により合成)によってPCR同定した:
P23:5’GTATCTGGAGAGAAGAAGGAGC 3’(SEQ ID NO:59)
P24:5’CCGCAGATTACTAAGGCTG 3’(SEQ ID NO:60)。
P23:5’GTATCTGGAGAGAAGAAGGAGC 3’(SEQ ID NO:59)
P24:5’CCGCAGATTACTAAGGCTG 3’(SEQ ID NO:60)。
上記PCRによってサイズ1374bp及び1520bpのバンドの両方が増幅された菌株は陽性菌株であり、1520bpバンドしか増幅されていない菌株は原菌である。陽性菌株を15%スクロース培地にてスクリーニングした後、それぞれカナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株をP23/P24プライマーによってさらにPCR同定し、サイズ1374bpのバンドが増幅された菌株はNCgl0761遺伝子コード領域がノックアウトされた陽性菌株であった。さらにP23/P24プライマーによって陽性菌株NCgl0761断片にPCR増幅を行い、PMD19-Tベクターに連結してシークエンシングを行い、シークエンシングの結果正しい菌株をYPL-4-034と命名した。
(6)L-リジン発酵実験
実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表4で示される培地と表5で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表6に示す。
実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表4で示される培地と表5で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表6に示す。
表6に示す結果から、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてNCgl0761遺伝子を過剰発現させ、又はNCgl0761遺伝子コード領域について点突然変異NCgl0761L31R及び過剰発現を行うと、L-リジンの生産量及び転化率の向上に寄与し、一方、遺伝子の弱化又はノックアウトは、L-リジンの蓄積に不利であり、転化率も低下させる。
(7)グルタミン酸生産菌株にNCgl0761遺伝子を導入して過剰発現させ、又はNCgl0761遺伝子コード領域について点突然変異NCgl0761L31R及び過剰発現を行い、かつ発酵実験を行った。
実施例(1)~(5)の方法に従って、同様なプライマー及び実験条件を用いて、コリネバクテリウムATCC13869を出発菌、ATCC 13869菌を発現菌として、点突然変異したpK18-NCgl0761L31Rを含むグルタミン酸生産遺伝子工学菌株(YPG-001)、ゲノムにおいてNCgl0761(YPG-002)又はNCgl0761L31R(YPG-003)遺伝子を過剰発現させたグルタミン酸生産遺伝子工学菌株、プラスミドにおいてNCgl0761(YPG-004)又はNCgl0761L31R(YPG-005)遺伝子を過剰発現させたグルタミン酸生産遺伝子工学菌株、及びゲノムにおいてNCgl0761遺伝子が欠損したグルタミン酸生産遺伝子工学菌株(YPG-006)を得た。
実施例で構築した菌株と原菌株ATCC 13869をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表7で示される培地と表8で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表9に示す。
表9に示す結果から、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてNCgl0761遺伝子を過剰発現させ、又はNCgl0761遺伝子コード領域について点突然変異NCgl0761L31R及び過剰発現を行うと、L-グルタミン酸生産量及び転化率の向上に寄与し、一方、遺伝子の弱化又はノックアウトは、L-グルタミン酸の蓄積に不利であり、転化率も低下させる。
実施例3
(1)点突然変異したptsS遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-ptsSM162Tの構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、ptsS遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子(アレル)置換によって菌株YP97158[寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国科学院微生物研究所、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432Aに記載(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)]背景におけるptsS遺伝子コード領域(SEQ ID NO:61)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:63であり、ptsS遺伝子のヌクレオチド配列の485番目のチミンTはシトシンC(SEQ ID NO:62)に変化し、この場合、コードタンパク質に対応するアミノ酸配列の162番目のメチオニンはスレオニン(SEQ ID NO:64:ptsSM162T)に変化する。プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACACCTGAAGCACCTGC 3’(SEQ ID NO:65)
P2:5’GAGATGATCAACCTCACGGCATCTGCGC 3’(SEQ ID NO:66)
P3:5’GCGCAGATGCCGTGAGGTTGATCATCTC 3’(SEQ ID NO:67)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGATGGACAGGTTTCATTCGC3’(SEQ ID NO:68)。
(1)点突然変異したptsS遺伝子コード領域を含む形質転換ベクターpK18-ptsSM162Tの構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、ptsS遺伝子コード領域配列を増幅する2対のプライマーを設計して合成し、対立遺伝子(アレル)置換によって菌株YP97158[寄託番号:CGMCC No.12856、寄託日:2016年8月16日、寄託機関:中国科学院微生物研究所、北京市朝陽区北辰西路1号院3号、電話番号:010-64807355、中国特許出願CN106367432Aに記載(出願日2016年9月1日、公開日2017年2月1日)]背景におけるptsS遺伝子コード領域(SEQ ID NO:61)に点突然変異を導入し、この場合、コードされたタンパク質に対応するアミノ酸配列はSEQ ID NO:63であり、ptsS遺伝子のヌクレオチド配列の485番目のチミンTはシトシンC(SEQ ID NO:62)に変化し、この場合、コードタンパク質に対応するアミノ酸配列の162番目のメチオニンはスレオニン(SEQ ID NO:64:ptsSM162T)に変化する。プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P1:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGACACCTGAAGCACCTGC 3’(SEQ ID NO:65)
P2:5’GAGATGATCAACCTCACGGCATCTGCGC 3’(SEQ ID NO:66)
P3:5’GCGCAGATGCCGTGAGGTTGATCATCTC 3’(SEQ ID NO:67)
P4:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGATGGACAGGTTTCATTCGC3’(SEQ ID NO:68)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP1とP2、P3とP4のそれぞれによって、PCR増幅を行った。PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μLである。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、(94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長40s、30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われ、サイズがそれぞれ666bpと703bpで、ptsS遺伝子コード領域を含有する2本のDNA断片(ptsS UpとptsS Down)が得られた。上記の2本のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離精製後、上記の2本のDNA断片をテンプレート、P1とP4をプライマーとして、Overlap PCR増幅によって長さ1341bpの断片を得た。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、(94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し、30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
このDNA断片によって、YP97158ptsS遺伝子コード領域の485番目のチミン(T)はシトシン(C)に変化し、その結果として、タンパク質をコードする162番目のアミノ酸はメチオニン(M)からスレオニン(T)に変化する。このDNA断片をアガロースゲル電気泳動後に精製し、二重酵素で消化して精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、Xbal I/BamH Iとの二つの酵素でそれぞれ消化)とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換した後、単一クローンについてpcr同定によりベクターpK18-ptsSM162Tが得られ、該プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれている。酵素消化の結果正しいベクターpK18-ptsSM162Tをシークエンシング会社に送ってシークエンシングして同定し、正しい点突然変異(T-C)を含むベクターpK18-ptsSM162Tを使用時まで保存した。
(2)点突然変異したptsSM162Tを含む遺伝子工学菌株の構築
構築方法:アレル交換プラスミドpK18-ptsSM162Tを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のptsS遺伝子コード領域)に形質転換し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1393bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーを、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った。
P5:5’CCACATTGGCATTTCGCC 3’(SEQ ID NO:69)
P6:5’CGCTGATTCCAATCTTGG 3’(SEQ ID NO:70)
構築方法:アレル交換プラスミドpK18-ptsSM162Tを電気ショックによりL-リジン生産菌である特許菌株YP97158(構築方法はWO2014121669A1を参照。シークエンシングの結果、該菌株染色体には野生型のptsS遺伝子コード領域)に形質転換し、培養した単一コロニーについてプライマーP1とユニバーサルプライマーM13Rによってそれぞれ同定した結果、サイズ1393bpのバンドを増幅し得る菌株は陽性菌株であった。15%スクロースを含む培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーを、カナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株について以下のプライマー(上海invitrogen社により合成)を用いて、さらにPCR同定を行った。
P5:5’CCACATTGGCATTTCGCC 3’(SEQ ID NO:69)
P6:5’CGCTGATTCCAATCTTGG 3’(SEQ ID NO:70)
上記PCR増幅産物311bpを95℃の高温で10min変性して、氷浴で5min処理した後、sscp電気泳動(プラスミドpK18-ptsSM162T増幅断片は陽性対照、YP97158増幅断片は陰性対照、水は空白対照)を行い、断片構造が異なり、電気泳動位置が異なるため、断片電気泳動位置が陰性対照断片位置と一致せず、陽性対照断片位置と一致する菌株はアレル交換に成功した菌株である。プライマーP5/P6PCRによって陽性菌株ptsS断片をさらに増幅し、PMD19-Tベクターに連結してシークエンシングを行い、配列アラインメントによれば塩基配列が突然変異(A-G)した菌株はアレル交換に成功した陽性菌株であり、YPL-4-035と命名した。
(3)ゲノムにおいてPtsS又はPtsSM162T遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びPtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する3対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にPtsSM162T遺伝子を導入した。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、上下流相同アーム断片及びPtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する3対のプライマーを設計して合成し、相同組換えによって菌株YP97158にPtsSM162T遺伝子を導入した。
プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:71)
P8:5’GTGACTCTACGCATCTTTGACAGTGCACCG AGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:72)
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACTGTCAAAGATGCGTA GAGTCAC 3’(SEQ ID NO:73)
P10:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTCTGTGGATCGTGG TGGTG 3’(SEQ ID NO:74)
P11:5’CACCACCACGATCCACAGACCCAGAATCAGATGGCGCAATTAAAT CAAG 3’(SEQ ID NO:75)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:76)。
P7:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAATGCGTTCTGGACTGAGG 3’(SEQ ID NO:71)
P8:5’GTGACTCTACGCATCTTTGACAGTGCACCG AGAACAGATG 3’(SEQ ID NO:72)
P9:5’CATCTGTTCTCGGTGCACTGTCAAAGATGCGTA GAGTCAC 3’(SEQ ID NO:73)
P10:5’CTTGATTTAATTGCGCCATCTGATTCTGGGTCTGTGGATCGTGG TGGTG 3’(SEQ ID NO:74)
P11:5’CACCACCACGATCCACAGACCCAGAATCAGATGGCGCAATTAAAT CAAG 3’(SEQ ID NO:75)
P12:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCTATGACACCTTCAACGGATC 3’(SEQ ID NO:76)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032又はYPL-4-035をそれぞれテンプレートとして、プライマーP7/P8、P9/P10、P11/P12のそれぞれによって、PCR増幅を行い、上流相同アーム断片802bp、PtsS又はPtsSM162T遺伝子及びそのプロモーター断片2354bp及び下流相同アーム断片647bpを得た。PCR反応終了後、増幅した3つの断片をカラムDNAゲル抽出キットによりそれぞれ電気泳動して回収した。回収した3つの断片を、二重酵素で消化して精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、Xbal I/BamH Iとの二つの酵素でそれぞれ消化)とNEBuilder酵素(より購入NEB公司)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンについてpcr同定により陽性組み込みプラスミド、pK18mobsacB-PtsS又はPtsSM162T及びpK18mobsacB-PtsSM162Tを得た。該プラスミドにはカナマイシン耐性マーカーが含まれており、カナマイシンスクリーニングによってプラスミドがゲノムに組み込まれた組換え体が得られる。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長60s(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しい2つの組み込みプラスミドをL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーについてP13/P14プライマーによりPCR同定を行い、PCR増幅によりサイズ1298bpの断片を含むものは陽性菌株であり、増幅により断片が得られないものは原菌である。15%スクロース含有培地にて陽性菌株を培養し、培養した単一コロニーをP15/P16プライマーによりさらにPCR同定し、サイズ1133bpが増幅された菌はPtsS又はPtsSM162T遺伝子がYP97158ゲノムに組み込まれた陽性菌株であり、YPL-4-036(突然変異点不含)及びYPL-4-037(突然変異点含有)と命名した:
P13:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:77)
P14:5’GTGGAAAGATTGTGGTGGC 3’(SEQ ID NO:78)
P15:5’CATCCAGACTTTGGCGATC 3’(SEQ ID NO:79)
P16:5’CGTTGGAATCTTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:80)。
P13:5’TCCAAGGAAGATACACGCC 3’(SEQ ID NO:77)
P14:5’GTGGAAAGATTGTGGTGGC 3’(SEQ ID NO:78)
P15:5’CATCCAGACTTTGGCGATC 3’(SEQ ID NO:79)
P16:5’CGTTGGAATCTTGCGTTG 3’(SEQ ID NO:80)。
(4)プラスミドにおいてPtsS又はPtsSM162T遺伝子を過剰発現させた遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、PtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する1対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCTGTCA AAGATG CGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:81)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACGTCTGTGGATCGTGGTGGTG3’(SEQ ID NO:82)。
NCBIが公開した野生型コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032ゲノム配列に従って、PtsS又はPtsSM162T遺伝子コード領域及びプロモーター領域配列を増幅する1対のプライマーを設計して合成し、プライマー設計は以下のとおりである(上海invitrogen社により合成):
P17:5’ GCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGAGGATCCCCTGTCA AAGATG CGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:81)
P18:5’ ATCAGGCTGAAAATCTTCTCTCATCCGCCAAAACGTCTGTGGATCGTGGTGGTG3’(SEQ ID NO:82)。
構築方法:ATCC13032及びYPL-4-035をテンプレートとして、プライマーP17/P18によってPCR増幅を行い、PtsS又はPtsSM162T遺伝子及びプロモーター断片2354bpを得て、増幅産物を電気泳動して、カラムDNAゲル抽出キットによって精製し、回収したDNA断片をEcoR I酵素で消化して回収したシャトルプラスミドpXMJ19とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンをM13プライマーによりpcr同定し、陽性過剰発現プラスミドpXMJ19-PtsS及びpXMJ19-PtsSM162Tを得て、該プラスミドをシークエンシングに供した。プラスミドにはクロラムフェニコール耐性マーカーが含まれているため、クロラムフェニコールによってプラスミドが菌株に形質転換されているか否かを判断できる。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。
前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃伸長60s(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しいpXMJ19-PtsS及びpXMJ19-PtsSM162TプラスミドをL-リジン生産菌である特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーをプライマーM13/P18によってPCR同定し、PCR増幅によりサイズ2362bp断片を含むものは陽性菌株であり、YPL-4-038(突然変異点不含)及びYPL-4-039(突然変異点含有)と命名した。
(5)ゲノムにおいてPtsS遺伝子が欠損した遺伝子工学菌株の構築
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、PtsS遺伝子コード領域の両末端の断片を増幅する2対のプライマーを合成し、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P19:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGCCGTTAT C AAT CAAGCGC3’(SEQ ID NO:83)
P20:5’CGCCAAAGTCTGGATGATGGTGGAAAGATTGTGGTGGC 3’(SEQ ID NO:84)
P21:5’GCCACCACAATCTTTCCACCATCATCCAGACTTTGGCGATCC 3’(SEQ ID NO:85)
P22:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCAGTA AA CGGTTCTGATGC3’(SEQ ID NO:86)。
NCBIが公開したコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032のゲノム配列に従って、PtsS遺伝子コード領域の両末端の断片を増幅する2対のプライマーを合成し、上下流相同アーム断片とした。プライマー設計は以下のとおりである(上海英俊社により合成):
P19:5’ CAGTGCCAAGCTTGCATGCCTGCAGGTCGACTCTAGGCCGTTAT C AAT CAAGCGC3’(SEQ ID NO:83)
P20:5’CGCCAAAGTCTGGATGATGGTGGAAAGATTGTGGTGGC 3’(SEQ ID NO:84)
P21:5’GCCACCACAATCTTTCCACCATCATCCAGACTTTGGCGATCC 3’(SEQ ID NO:85)
P22:5’ CAGCTATGACCATGATTACGAATTCGAGCTCGGTACCCGCAGTA AA CGGTTCTGATGC3’(SEQ ID NO:86)。
構築方法:コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032をテンプレートとして、プライマーP19/P20及びP21/P22のそれぞれによってPCR増幅を行い、上流相同アーム断片794bp及び下流相同アーム断片703bpを得た。次に、プライマーP19/P22によってOVERLAP PCRを行い、完全な相同アーム断片1459bpを得た。増幅産物を電気泳動させて、カラムDNAゲル抽出キットによって精製し、回収したDNA断片を、二重酵素で消化して精製したpK18mobsacBプラスミド(Addgene社より購入、Xbal I/BamH Iとの二つの酵素でそれぞれ消化)とNEBuilder酵素(NEB社より購入)により50℃で30min連結し、連結産物を形質転換して成長した単一クローンをM13プライマーによりpcr同定し、陽性ノックアウトベクターpK18-ΔPtsSを得て、該プラスミドをシークエンシングに供した。該プラスミドにはカナマイシン耐性がスクリーニングマーカーとして含まれている。
PCRシステム:10×Ex Taq Buffer 5μL、dNTP Mixture(それぞれ2.5mM)4μL、Mg2+(25mM)4μL、プライマー(10pM)それぞれ2μL、Ex Taq(5U/μL)0.25μL、総体積50μL。前記PCR増幅は、94℃で5min予備変性し、94℃で30s変性し、52℃で30sアニーリングし、72℃で90s伸長し(30サイクル)、72℃で10min過剰伸長するように行われた。
シークエンシングの結果正しいノックアウトプラスミドpK18-ΔPtsSをリジン生産特許菌株YP97158に電気形質転換し、培養した単一コロニーを以下のプライマー(上海英俊社により合成)によりPCR同定した:
P23:5’TGTCAAAGATGCGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:87)
P24:5’GGTTTCATTCGCTTTCCG 3’(SEQ ID NO:88)。
P23:5’TGTCAAAGATGCGTAGAGTCAC 3’(SEQ ID NO:87)
P24:5’GGTTTCATTCGCTTTCCG 3’(SEQ ID NO:88)。
上記PCRによってサイズ758bp及び2249bpのバンドの両方が増幅された菌株は陽性菌株であり、2249bpバンドしか増幅されていない菌株は原菌である。陽性菌株を15%スクロース培地にてスクリーニングした後、それぞれカナマイシン含有及びカナマイシン不含の培地にて培養し、カナマイシン不含の培地にて成長するが、カナマイシン含有の培地にて成長しない菌株をP23/P24プライマーによってさらにPCR同定し、サイズ758bpのバンドが増幅された菌株はPtsS遺伝子コード領域がノックアウトされた陽性菌株であった。さらにP23/P24プライマーによって陽性菌株PtsS断片にPCR増幅を行い、PMD19-Tベクターに連結してシークエンシングを行い、シークエンシングの結果正しい菌株をYPL-4-040と命名した。
(6)L-リジン発酵実験
将実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表10で示される培地と表11で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表12に示す。
将実施例で構築した菌株と原菌株YP97158をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表10で示される培地と表11で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表12に示す。
表12に示す結果から、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてPtsS遺伝子コード領域に対して点突然変異PtsSM162T及び過剰発現を行うと、L-リジン生産量及び転化率の向上に寄与し、一方、遺伝子の弱化又はノックアウトはL-リジンの蓄積に不利であり、転化率も低下させる。
(7)グルタミン酸生産菌株にPtsS遺伝子過剰発現を導入するか、又はPtsS遺伝子コード領域に対して点突然変異ptsSM162T及び過剰発現を行い、発酵実験を行った。
本実施例(1)~(5)の方法に従って、同様なプライマー及び実験条件を用いて、コリネバクテリウムATCC13869を出発菌、ATCC 13869菌を発現菌として、点突然変異したptsSM162Tを含むグルタミン酸生産遺伝子工学菌株、ゲノムにおいてptsS及びptsSM162T遺伝子を過剰発現させたグルタミン酸生産遺伝子工学菌株、プラスミドにおいてptsS及びptsSM162T遺伝子を過剰発現させたグルタミン酸生産遺伝子工学菌株、及びゲノムにおいてptsS遺伝子が欠損したグルタミン酸生産遺伝子工学菌株を得た。
実施例で構築した菌株と原菌株ATCC 13869をBLBIO-5GC-4-H型番の発酵タンク(上海百崙生物科技有限公司より購入)において、表13で示される培地と表14で示される制御プロセスによって発酵実験を行った。菌株ごとに3回繰り返し、その結果を表15に示す。
表15に示す結果から、コリネバクテリウム・グルタミカムにおいてPtsS遺伝子コード領域に対して点突然変異PtsSM162T及び/又は過剰発現を行うと、L-グルタミン酸生産量及び転化率の向上に寄与し、一方、遺伝子の弱化又はノックアウトは、L-グルタミン酸の蓄積に不利であり、転化率も低下させる。
以上は本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の思想及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、同等置換や改良などは本発明の特許範囲に含まれるものとする。
Claims (10)
- L-アミノ酸を生産する微生物又は細菌であって、
SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの改善した発現、及び/又はSEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの改善した発現、及び/又はSEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの改善した発現を有し、
好ましくは、前記改善した発現とは、前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現増強、又は前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有すること、又は前記アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドが点突然変異を有するとともに発現が増強されたことであることを特徴とする、微生物又は細菌。 - SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの点突然変異により、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列の170番目のグルタミン酸が異なるアミノ酸で置換され、好ましくは170番目のグルタミン酸がリジンで置換され、
SEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの点突然変異により、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列の第31位のロイシンが異なるアミノ酸で置換され、好ましくは第31位のロイシンがアルギニンで置換され、
SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの点突然変異により、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列の第162位のメチオニンが異なるアミノ酸で置換され、好ましくは第162位のメチオニンがスレオニンで置換されることを特徴とする、請求項1に記載の微生物又は細菌。 - SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドはSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列からなり、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドはSEQ ID NO:33のヌクレオチド配列からなり、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドはSEQ ID NO:61のヌクレオチド配列からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の微生物又は細菌。
- 点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基のグアニン(G)からアデニン(A)への変異を含み、好ましくは、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列からなり、
点突然変異を有する前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異は、SEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基のチミン(T)からグアニン(G)への変異を含み、好ましくは、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:34で示されるポリヌクレオチド配列からなり、
点突然変異を有する前記ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異はSEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基のチミン(T)からシトシン(C)への変異を含み、好ましくは、点突然変異を有する前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列からなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の微生物又は細菌。 - 前記微生物はコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、好ましくはYP97158又はATCC 13869であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の微生物又は細菌。
- SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、170番目のグルタミン酸が異なるアミノ酸で置換され、好ましくは170番目のグルタミン酸がリジンで置換されたポリヌクレオチドからなり;好ましくは、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドからなり;好ましくは、SEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異はSEQ ID NO:1で示されるポリヌクレオチド配列の508番目の塩基の、グアニン(G)からアデニン(A)への変異であり;好ましくは、SEQ ID NO:2で示されるポリヌクレオチド配列からなり、
及び/又は、
SEQ ID NO:35で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、31番目のロイシンが異なるアミノ酸で置換され、好ましくは31番目のロイシンがアルギニンで置換されたポリヌクレオチドからなり;好ましくは、SEQ ID NO:36で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドからなり;好ましくは、前記ポリヌクレオチド配列はSEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異はSEQ ID NO:33で示されるポリヌクレオチド配列の92番目の塩基の、チミン(T)からグアニン(G)への変異であり;好ましくは、SEQ ID NO:34で示されるポリヌクレオチド配列からなり、
及び/又は、
SEQ ID NO:63で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであって、162番目のメチオニンが異なるアミノ酸で置換され、好ましくは162番目のメチオニンがスレオニンで置換されたポリヌクレオチドを含み;好ましくは、SEQ ID NO:64で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドからなり;好ましくは、SEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基が変異したものであり、好ましくは、前記変異はSEQ ID NO:61で示されるポリヌクレオチド配列の485番目の塩基の、チミン(T)からシトシン(C)への変異を含み;好ましくは、SEQ ID NO:62で示されるポリヌクレオチド配列からなることを特徴とする、ポリヌクレオチド配列。 - SEQ ID NO:4又はSEQ ID NO:36又はSEQ ID NO:64で示されることを特徴とする、アミノ酸配列。
- 請求項6に記載のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、組換えベクター。
- 請求項6に記載のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、組換え菌株。
- L-アミノ酸を生産する方法であって、
請求項1~5のいずれか1項に記載の微生物又は細菌又は請求項9に記載の組換え菌株を培養し、培養したものからL-アミノ酸を回収することを含み、好ましくは、前記L-アミノ酸はL-グルタミン酸又はL-リジンである、方法。
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