JP2023528928A - 皮膚充填剤 - Google Patents

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Abstract

脱細胞化された植物又は真菌の組織を含み、かかる組織の細胞物質及び核酸が除去されている皮膚充填剤;並びに美容及び/又は再建用途のための方法及びそれらの使用が、本明細書で提供される。また、そのような皮膚充填剤を調製するための方法、及び皮膚充填剤キットも提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月8日に出願された米国仮特許出願第63/036,126号の利益及び優先権を主張し、これはその全体が参照により本出願に組み込まれる。
本発明は一般に、皮膚充填剤に関する。より具体的には、本発明は、脱細胞化された植物又は真菌の組織を含む皮膚充填剤に関する。
皮下注射用の種々の皮膚充填剤製品が、主に美容用途のために開発されている。注射の位置は、特定の美容用途によって異なり得る;表在性の皺は皮内注射によって治療され、一方、体積増強術式ではしばしば真皮深部への注射が行われる。一般に、皮下脂肪内への注射は典型的には避けられる。
皮膚充填剤製品は一般に、一時的なもの及び永続的なものという2つの異なるカテゴリーに分けられる。一時的な皮膚充填剤はしばしば、ハイドロゲル、例えば、コラーゲン又はヒアルロン酸で構成され、時間の経過と共にゆっくりと体内に吸収される。これに対して、現在FDAが承認している永続的な皮膚充填剤は、BellaFill(商標)のみである。Bellafill(商標)は、3.5%ウシコラーゲンI(w/v)が80%(v/v)、及び30~40μmポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)ミクロスフェアが20%(v/v)で構成される。このミクロスフェアは、石油化学ポリマーで構成される硬い非吸収性粒子である。このミクロスフェアの目的は、組織内の物理的な空間を満たし、細胞がその上で増殖するための永続的な支持構造を提供すると共に、吸収性ウシコラーゲンに徐々に置き換わる天然の細胞外マトリックスタンパク質を沈着させることである。Bellafill(商標)は長期間持続し、典型的には1~2回の治療のみで経過観察がほとんど又は全く必要ないため、患者に対して普及している選択肢となっている。
残念ながら、この分野における永続的な皮膚充填剤は、しばしば、体内に永続的に残存する可能性のある合成物質を含んでおり、ある特定のリスク、例えば、潜在的なアレルギー反応、肉芽腫の可能性、及び/又は異物反応を伴う可能性がある。
代替的な、追加的な、及び/又は改善された皮膚充填剤、その方法及び使用、並びにその生産のための方法が望ましい。
脱細胞化された植物又は真菌の組織を含み、組織の細胞物質(cellular material)及び核酸が除去されている皮膚充填剤;並びに美容及び/又は再建用途のための方法及びその使用が本明細書で提供される。また、そのような皮膚充填剤を調製するための方法、及び皮膚充填剤キットも提供される。
本明細書に記載されるように、本発明者は今回、脱細胞化された植物又は真菌の組織を含む皮膚充填剤製品を開発した。本明細書に提供されるデータは、皮膚充填剤が良好な生体適合性を有し、実質的に非吸収性であったことを示している。そのような皮膚充填剤製品を調製するための方法が記載され、これにより、サイズの制御、及びサイズが20μm未満の小さな望ましくない粒子の回避を含む、他の様々な有益な特性が可能になる。小ゲージの針を通した良好な注射針通過性/注射可能性を有する製剤、並びに分散媒(carrier fluid)、例えば、ハイドロゲルに適合し、及び麻酔薬に適合する製剤が開発されている。滅菌手法及び滅菌された製品についても記載される。細胞の浸潤/増殖を助長する、及び/又は対象において天然組織と皮膚充填剤との良好な比を提供する、望ましい形状及び表面積/体積/充填特性を有する皮膚充填剤製品用の粒子が記載される。
一実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織を含み、組織の細胞物質及び核酸が除去されている非吸収性皮膚充填剤が本明細書で提供される。
上記の皮膚充填剤の別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系であってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、植物の葉状構造、根、果肉、花托筒又はパルプ構造に由来してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、レタス、ニンジン、リンゴ若しくはセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、ホモジナイズされていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化した植物又は真菌組織は、乾燥させられ、粉砕に供され、かつ任意で復元又は再水和されてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、単一の構造細胞のサイズ又はより小さい粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、脱細胞化された植物又は真菌の組織用のハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒は、PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤は、乾燥されているか又は水和されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、リドカイン又は他の麻酔剤を含んでもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、不規則な3D形状を有する、及び/又は非球形の薄い薄片様構造である粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、薄片様構造は、約0.01μm~約100μm、例えば、約0.1μmの厚みを有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、1又は2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズの粒子に分解されていてもよく;好ましくは、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約20μm~約1000μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約200μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約30μm~約100μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約300μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、約200~約3000μmの範囲内、若しくは約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子に分解されていてもよく;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、表面積対体積比が0.1~100μm-1の粒子に分解されており;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されており;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、1又は2以上の皮膚充填剤は約500,000cp未満の粘度を有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、1又は2以上の皮膚充填剤は、約100,000cp~約200,000cpの範囲内の粘度を有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は滅菌されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤を滅菌してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、殺菌はガンマ線滅菌によってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、滅菌はオートクレーブ処理によってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織はマーセル加工されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、マーセル加工は、水酸化ナトリウム及び過酸化水素と共に加熱することによって行ってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのために製剤化されていてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤は、シリンジ又は注射器具の中に提供されてもよい。
なお別の実施形態では、軟部組織充填剤としての、又は再建手術のための、又はその両方のための、本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの使用がここに提供される。
別の実施形態では、美容的外観の改善を必要とする対象の美容的外観を改善するための、本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの使用が本明細書で提供される。
さらに別の実施形態では、組織体積を増加させるため、皺を伸ばすため、又はその両方のための、それを必要とする対象における、本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの使用が本明細書で提供される。
なお別の実施形態では、美容的外観を改善するため、組織体積を増加させるため、皺を伸ばすため、又はそれらの任意の組合せのための、それを必要とする対象における方法であって、
本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかを、それを必要とする領域に投与又は注射するステップ;
を含み、それによって、対象の美容的外観を改善する、組織体積を増加させる、皺を伸ばす、又はそれらの任意の組合せを行う方法が、本明細書で提供される。
上記の1若しくは2以上の使用又は1若しくは2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、対象のネイティブ細胞が皮膚充填剤に浸潤してもよい。
上記の1若しくは2以上の使用又は1若しくは2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤は、脱細胞化された植物又は真菌の組織が対象の内部で実質的に無傷に保たれる程度に非吸収性であってもよい。
上記の1若しくは2以上の使用又は1若しくは2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤は、1又は2以上の酵素の添加を通じて分解可能であってもよい。
上記の1若しくは2以上の使用又は1若しくは2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、植物又は真菌の組織はセルロース系であってもよく、1又は2以上の酵素はセルラーゼを含む。
上記の1若しくは2以上の使用又は1若しくは2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、セルラーゼは、トリコデルマ属(Trichoderma sp.)由来のセルラーゼであってもよい。
なお別の実施形態では、非吸収性皮膚充填剤を調製するための方法であって、
植物又は真菌の組織を提供するステップ;
植物又は真菌の組織の脱細胞化及びサイズ縮小を行って、組織の細胞物質及び核酸が除去された粒子を提供するステップ;並びに
任意で粒子を殺菌するステップ;
を含み、それによって、非吸収性の皮膚充填剤を提供する方法が、本明細書で提供される。
上記の方法の別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、植物の葉状構造、根、果肉、花托筒又はパルプ構造に由来してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、レタス、ニンジン、リンゴ、又はセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小は、機械的サイズ縮小を行って粒子を提供するステップを含んでもよく、機械的サイズ縮小は、乾燥された、凍結乾燥された、又は冷凍乾燥された材料に対して行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、機械的サイズ縮小は、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織の粉砕、押出し、粉砕、摩砕、超音波処理、エレクトロスピニング、化学的溶解、酵素的分解、又は剪断を行って粒子を提供するステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織を乾燥させるステップ;乾燥された植物又は真菌の組織を機械的サイズ縮小に供して粒子を提供するステップ;及び任意で粒子の復元、再懸濁、又は再水和を行うステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、単一の構造細胞のサイズ又はそれより小さい粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス又は分散媒は、PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋又は非架橋)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、乾燥された又は水和された形態で提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、リドカイン又は他の麻酔薬と共に製剤化するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、不規則な3D形状を有し、及び/又は非球形で薄い薄片様構造である粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、薄片様構造は、約0.01~約100μm、例えば、約0.1μmの厚みを有してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小は、押出し、濾過、遠心法、又は他のサイズ分離を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小により、約20μm~約1000μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、1又は2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズを有する粒子が提供されてもよく;好ましくは、サイズ縮小により、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約200μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小により、約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、約30μm~約100μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約300μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小により、約200~約3000μmの範囲内、若しくは約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子が提供されてもよく;ここで、脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、表面積対体積比が約0.1~100μm-1の粒子に分解されており;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されており;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、粉砕を行うと同時に、その結果得られた粒子をフィルターに通して、上限閾値サイズ未満の粒子を得るステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、本方法は、濾過、分画遠心法若しくは平衡遠心法、又は篩い分けを行って下限閾値サイズ未満の粒子を除去し、下限閾値サイズを上回る粒子を得るステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、濾過又は篩い分けは、自動化湿式篩を使用して行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、分画遠心法又は平衡遠心法を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、本方法は、第1のシリンジ又はベッセルに、流体、例えば、水又は緩衝液(例えば、生理食塩水)中にある粒子をロードし、第2のシリンジ又はベッセルにハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をロードすることによって、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップであって、第1及び第2のシリンジ又はベッセルが流体連結下にあるステップ;並びにシリンジ又はベッセルの内容物を第1及び第2のシリンジ又はベッセルの間で行き来させて通すことによって混合するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、本方法は、サイズ排除ミキサーを使用して粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と混合することによって、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ排除ミキサーは静的ミキサーであってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、植物又は真菌の組織を、脱細胞化の前又は後に滅菌するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、本方法は、皮膚充填剤を滅菌するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、滅菌はガンマ線滅菌によってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、滅菌はオートクレーブ処理によってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、滅菌は複数の滅菌ステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、第1の滅菌ステップは熱処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、植物又は真菌の組織をマーセル加工するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、マーセル加工は脱細胞化の後に行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工は、脱細胞化された植物又は真菌の組織の塩基及び過酸化物による処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、塩基は水酸化物塩基であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、過酸化物は過酸化水素であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、マーセル加工は、脱細胞化された植物又は真菌の組織の、水酸化ナトリウム水溶液及び過酸化水素による加熱しながらの処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌組織を、第1の期間にわたり水酸化ナトリウム水溶液により処理し、その後に過酸化水素を反応に添加してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、過酸化物は30%~50%過酸化水素水溶液の予製液であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、過酸化水素水溶液の予製液は、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり少なくとも約75mLの量で使用されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、過酸化水素水溶液の予製液の添加後に、脱細胞化された植物又は真菌の組織、塩基及び過酸化水素水溶液の予製液の混合物中の過酸化物の濃度は約1%~約5%であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、塩基は1M水酸化ナトリウム溶液であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、1M水酸化ナトリウム溶液が、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり約2500mLの量で使用されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、本方法は、1又は2以上の中和処理によりpHを中和するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、1又は2以上の中和ステップは、HCl水溶液による処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工は、約80℃への加熱によって行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、マーセル加工は、少なくとも約30分間にわたり行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、皮膚充填剤を、真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのために製剤化するステップをさらに含んでもよい。
なお別の実施形態では、本明細書に記載される1又は2以上の方法のうちのいずれかによって調製された皮膚充填剤が本明細書で提供される。
上記の皮膚充填剤の別の実施形態では、皮膚充填剤は、本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれであってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.1%~約5%又はそれ未満は、約20μm未満のフェレット径又は最小フェレット径を有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.5%未満は、20μm未満のフェレット径、又は最小フェレット径を有することができる。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.1%未満~約5%未満(例えば、約0.5%未満)、又はそれ未満は、対象の1又は2以上の細胞に貪食される程度に十分に小さいサイズを有してもよい。
別の実施形態では、以下のうちのいずれか1又は2以上を含むキットが本明細書で提供される:
本明細書に記載される1若しくは2以上の皮膚充填剤のうちのいずれか;
ハイドロゲル、マトリックス、若しくは分散媒;
PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、若しくはそれらの任意の組合せ;
リドカイン若しくは他の麻酔薬;
1若しくは2以上のシリンジ、若しくは別の注射デバイス;
2若しくは3以上のシリンジのためのルアーロック継手若しくは連結器;
本明細書に記載される1若しくは2以上の使用若しくは1若しくは2以上の方法のうちのいずれかを行うための説明書;
1若しくは2以上の脱細胞化試薬;
1若しくは2以上の容器、パッケージ若しくはベッセル;
注射のための1若しくは2以上の緩衝液、水、若しくは生理食塩水;
望ましくない領域又は位置で皮膚充填剤を溶解させるための試薬若しくは酵素(例えば、セルラーゼ);又は
それらの任意の組合せ。
これら及び他の特徴は、以下の図面に関してさらに理解されるようになるであろう。
実施例1に記載される押し出された脱細胞化されたセルロースペースト(左パネル)を示す図であり、18G針でペーストをロードした後の1mLシリンジも示されている(右パネル); 実施例1に記載されている、3つの異なる部位に皮下注射したセルロース系の皮膚充填剤ペーストを示している図であり、(A)は側面図、(B)は拡大像を示している。4週時点でインプラント周囲に血管新生が存在し(C)、切除後もインプラントはその形状を保っていた(D); 実施例1に記載されるように、動物の体内で8週間後に細胞浸潤及びマトリックス沈着が観察されたことを示している図である。セルロース充填剤は生体適合性があるように思われ、時間が経過してもおおむね球状を維持していた。皮下注射から8週時点のマッソン三色染色(図3(A)(C)に示す)及びヘマトキシリン・エオシン染色(図3(B)(D)に示す)を示している((A、B)はスケールバー=2mm;(C、D)はスケールバー=200μm); 実施例1に記載されるように、ノギスを利用して動物の外部からインプラント部位を手動で測定した結果を示している図である。8週間の試験期間を通じて、インプラント面積の減少が観察された。しかし、アスペクト比(x方向及びy方向での幅の比)は大きく変化しなかった; 実施例1に記載されるように、ノギスを使用して動物の外側で測定したところ、8週間の試験期間でインプラントの高さが約75%有意に減少したことを示している図である。これは、上記で観察された注射部位の面積の減少と相関している; 実施例2に記載されているように、粉砕された乾燥生体材料(左)及び再水和された押し出された皮膚充填剤(右)を示している図である; 実施例2に記載される通りの針方法により、完全に形状があり、崩壊していないように見える単一の無傷の構造細胞(例えば、分離された細胞壁ポケット)が少なくとも一部は得られる程度に、生体材料が十分に剪断されたことを示している図である; 実施例2に記載されるように、インプラントの高さを時間の関数として示している図である。様々な製剤間で統計的有意差は認められなかった。しかし、HA及びコラーゲンの濃度の点では市販製品とは約10倍の大きな差があることが認められた。低w/v濃度のコラーゲン/HAハイドロゲルと一致して、この結果は、高さが約50%減少する生理食塩水を基にした充填剤と同様の挙動であるように思われる; 実施例2に記載されるように、ノギスで動物の外部から測定したインプラント塊の算出体積を時間の関数として示している図である。高さ、x幅及びy幅を使用して、半楕円体を仮定して、インプラント体積を算出した。様々な製剤間で統計的有意差は認められず、高さの減少と一致する傾向を示した; 植込みから3カ月後の30~50umのPMMAミクロスフェア(白丸印)を示している図である。インプラントの周囲に天然の組織が増殖しているものの、組織中のPMMAの体積比率は非常に高い。このことは、組織が天然の細胞及びタンパク質ではなく、主として合成材料で構成されることを示している; 無菌試料処理を示している図である。実施例3に記載されるように、GLPバージョンの脱細胞化プロセスを、無菌材料及び無菌手法を用いて行った; 実施例3に記載されるように、リンゴ由来の脱細胞化セルロース足場の凍結乾燥のプロセスを示している図である。(A)脱細胞化された材料を収集してFalconチューブに入れて、水蒸気を蒸発/昇華させて逃がすためにチャネルを加圧して材料の中に入れた。(B)材料を凍結乾燥器に取り付けた。(C)冷凍乾燥を-46C、0.05mbarで48時間行った。(D)は冷凍乾燥された最終製品を示している; 実施例3に記載されるように、乾燥されたセルロース生体材料を18000、12000、及び6000rpmで粉砕して粉末にし、同時に80umフィルターを通過させたことを示している図である。処理後の収集トレイが示されている。処理時間を短縮するために、最も速いRPM設定を使用した。粉砕速度が粒子サイズの分布に及ぼす影響は観察されなかった(実施例3に示されるデータ); 実施例3に記載されている濾過プロセスを示している図である。(A)(A)は、80μmフィルターで材料を粉砕して得られた粉末を、(B)45μm及び25μmの篩(B)に通して湿式篩い分けに供し(B)、粉末のサイズ範囲を制限した(C)。粒子の狭いサイズ範囲を、遠心法によって濃縮した(D)。自動化湿式篩により、処理時間及び効率が劇的に改善され、現在はこれを使用している; 実施例3に記載される通りのコンゴーレッドで染色した粒子を示している図である。粒子を0.1%コンゴーレッドで染色して、2.5倍(A、B)及び10倍(C、D)で撮像した。(A、C)濾過していない粒子。(B、D)濾過した粒子。画像されたそれらの画像を収集して、粒子サイズの分布を定量化する。典型的には、2.5倍の画像10枚から約1000個の粒子が得られるが、これは統計的に有意なサンプルサイズである; 実施例3に記載される通りの粒子サイズ分析を示している図である。粒子は、Fiji(ImageJ社)を使用して閾値処理及びセグメント化された。(A、B)濾過した粒子。(C、D)濾過していない粒子。(A、C)閾値処理された画像。(B、D)サイズ分析による粒子の輪郭; 濾過した及び濾過していない脱細胞化されたリンゴ粒子の粒子サイズ分析を示している図である。粒子サイズの定量にはフェレット径を使用した。各条件についてN=15の画像を、コンゴーレッドで染色した粒子の蛍光顕微鏡画像から分析した。濾過なしN=2292、濾過ありN=1595。平均値には統計的に有意差があった(P=7.4×10-55); 実施例3に記載されるように、脱細胞化されたリンゴ粉末をSEM顕微鏡写真を、拡大率を増加させながら示している図である(A~D); 実施例3に記載される通りの、薄片の直径を決定するための手作業による画像処理を示している図である。薄片は不規則な形状をしており、単一の長さの記述子ではこの複雑さを捉えることができない(出典:脱細胞化されたリンゴ); 実施例3に記載されるように、脱細胞化されたリンゴのSEMによる粒子サイズ分布を示している図である。分布から、47.11±1.11um(薄片のN=133枚)のピークが明らかになった。SEM画像分析から得られた分布は、光学的方法よりもはるかに狭かった。しかし、この方法には、手作業のアプローチで粒子を一度に1つずつ測定するためにN値が小さくなる、粒子の角度の向きの影響、及び辺縁を確実に検出する能力などの点で欠点がある。これらの問題のために、この方法は粒子サイズの特性評価には望ましくないものであった; 実施例3に記載されるように、自動湿式篩い分け濾過の前に測定した、種々の速度で脱細胞化されたリンゴの粉砕後の粒子サイズ分布を示している図である。粒子は、篩い分けの前に6000RPM(黒)及び18000RPM(グレー)で粉砕することによって生成させた。2つの分布は類似していた。平均粒子サイズは6000RPMでは73.07±0.58μm、18000RPMでは73.50±0.56μmであった。値は平均値及び平均値の標準誤差である。6000RPMについてはN=2579、18000RPMについてはN=2354。平均粒子サイズには有意差はなかった(P=0.58)。 実施例3に記載されているように、表示ステッカー付きのガンマ線照射用の密封Nalgeneボトル内の粒子懸濁液の試料を示している図である; Keyence電子顕微鏡検査から得られた試料画像を示している図である。明るい赤色のオーバーレイは、分析に使用した粒子を示している; 実施例3に記載されるように、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射しなかった粒子(N=4692)について粒子面積を示している図である; 実施例3に記載されるように、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射しなかった粒子(N=4692)の粒子最大径ヒストグラムを示している図である; 実施例3に記載されるように、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射していない粒子(N=4692)の最小直径ヒストグラムを示している図である; 実施例3に記載されるように、分画遠心法を介して得られたリンゴ由来粒子の粒子サイズ分布を示している図である。(A)は、手作業による篩い分け(45μm)により最初に大きな粒子サイズを除外した後の濾過していない粒子の粒子サイズ分布を示しており、(B)は、1000rpmで1分間の遠心法を5回繰り返した後の分布を示している。すべての材料を収集するために、5000rpmで7分間の遠心法を使用した; 実施例3に記載されるように、AA(リンゴ)粒子を使用したインビトロ細胞培養試験を示している図である。青色=3T3細胞核。場合によっては、Hoechst 33342染色の結果として大きな粒子の薄片も視認し得る。赤色=遊離性の粒子を洗い流した後に残った、0.01%コンゴーレッドで染色された粒子。図28(A、B)は対照を示している。図28(C、D)=対照及び染色。図28(E、F)=濾過:25~45μm。図28(G、H)=濾過:25~45μm及び染色。図28(I、J)=濾過なし。図28(K、L)=濾過なし及び染色。スケール=250μm; 実施例3に記載されるように、アルギネートを有する注射用皮膚充填剤を示している図である。粒子は体積の20%を占めた。2つの混合方法を試験した。(A)は、粉末を水及びアルギネート溶液の中に混合することを示している。(B)は粉末をまず水構成要素に混合し、続いてアルギネートをゆっくりと添加することを示している。最初の方法では十分に混ざらず、針が詰まった。第2の方法では十分に混ざり合ったが、濾過していない粒子が針を詰まらせた。濾過していない粒子を濾過した粒子に置き換えると、混合物は容易に押し出すことができた; 実施例3に記載されているように、シリンジルアーロック連結器による皮膚充填剤構成要素の混合を示している図である。(A)は、個々のシリンジにロードされた2つの構成要素を示している。透明な液体は1%アルギネートであり、赤い液体は0.9%生理食塩水及びリドカインの中に懸濁化された粒子である(最終濃度=0.3%)。コンゴーレッドは可視化のために添加した(最終濃度0.1%)。(B)はルアーロック連結器を示している。(C)は構成要素の混合を示している(合計60回の行き来を行った)。(D)は、ルアーロックを外して、押出し用の針に換えたことを示している。溶液が27G針を塞いでいないことに注目されたい; 実施例3に記載されるように、記載されているコラーゲン充填剤を示している図である。(A)は、BellaFillにおけるPMMAビーズの粒子サイズ分布を示している。(B)は、現在開発中の皮膚充填剤に使用されるコンゴーレッド染色されたコラーゲンを示しており、二次的な非特異的染色はごくわずかしか見られない。(C)は、BellaFillのPMMAビーズを示している。(D)は、コンゴーレッドで染色されたコラーゲン皮膚充填剤に使用される現在開発中のセルロース粒子を示している。注:コラーゲンのバックグラウンド染色は、セルロース粒子からの信号に比べて弱い。スケール=250um; 実施例3に記載されるように、皮膚充填剤の注射の結果を示している図である。(A)は注射前、(B)は注射後の隆起境界の輪郭を示している; 実施例3に記載されるように、20%の脱細胞化されたリンゴ由来の濾過した粒子及び0.3%リドカインと組み合わせた、生理食塩水、ヒアルロン酸(HA)及びコラーゲンを基にした充填剤の切除を示している図である; 実施例3に記載されるように、インプラントのサイズを示している図である。AAS(青)、AAHA(赤)、AAC(黒)、BellaFill(紫)インプラントの高さ。すべてのインプラントが、分散媒/ハイドロゲルの再吸収が原因で、時間と共に縮小した。AAS製剤は急速に吸収された; 実施例3に記載されるように、インプラント体積を示している。AAS(青)、AAHA(赤)、AAC(黒)、BellaFill(紫)インプラントの体積。すべてのインプラントが、分散媒/ハイドロゲルの再吸収が原因で、時間と共に縮小した。AAS製剤は急速に吸収された; 実施例6に記載されるように、得られたリンゴ由来粒子の粒子サイズ分布を示している; 実施例7に記載されるように、20% v/vリンゴ由来の粒子溶液及びC1C12細胞を使用したインビトロ細胞培養試験の顕微鏡画像を示している図であり、図37Aは対照の顕微鏡画像を示し、図37Bは、20%の濾過した粒子試料の細胞の顕微鏡画像を示し、図37Cは、20%の濾過していない粒子試料の細胞の顕微鏡画像を示している; 実施例7に記載されるように、20%の濾過したリンゴ由来の粒子試料及び濾過していないリンゴ由来の粒子試料の細胞濃度(個/mm)を示している図である; 実施例7に記載されるように、対照試料並びに濾過した及び濾過していない低濃度の試料の細胞の表面積被覆度を示している図である。 実施例8の試料を使用して作成した標準吸光度-濃度曲線を示している図である; 実施例8に記載された試料の450nm、475nm、500nm、及び525nmの吸光度での吸光度-濃度曲線を示している図である; 実施例8に記載されるように、20%セイヨウナシ由来の粒子予製液及び2Mスクロース対照液の波長掃引を示している図である; 実施例8に記載されるように、試料の320nmでの吸光度-濃度曲線を示している図である; 実施例10に記載されるように、リンゴ由来の粒子(HAAA)試料を使用したHyStem HAの力-変位曲線を示している図である; 実施例10に記載されるように、BellaFIll皮膚充填剤の力-変位曲線を示している図である; 実施例10に記載されるように、希釈したHAAA試料の力-変位曲線を示している図である; 実施例10に記載されるように、ゼラチン(GE;粒子なし)試料について力-変位曲線を示している図であり、図47Aは、27G針を通してのGE押出しに関する力-変位曲線を示し、図47Bは、30G針を通してのGE押出しに関する力-変位曲線を示している; 実施例10に記載されるように、ゼラチン及びリンゴ由来粒子(GEAA)試料の力-変位曲線を示している図である; 実施例10に記載されるように、希釈したGE試料の力-変位曲線を示している図であり、図49Aは押出し前に温められた希釈したGEの力-変位曲線を示し、図47Bは押出し前に室温に保った希釈したGE試料の力-変位曲線を示している。 実施例10に記載されるように、アルギネート(AL;粒子なし)試料の力-変位曲線を示している図である; 実施例13に記載されるように、水又はPBS中で遠心処理した後のマーセル加工したリンゴ(AA)試料の乾燥質量%を示している図である; 実施例14に記載される試料の顕微鏡画像を示している図であり、図52AはAA:NaOHが1:5の試料であり、図52BはAA:NaOHが1:2の試料であり、図52CはAA:NaOHが1:1の試料である; 実施例14に記載され、図52に画像化されている試料の粒子サイズ分布を示している図である; 実施例15に記載されるように、マーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末の混合物(遠心処理前)の顕微鏡画像を示している図であり、図54Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図54Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している; 実施例15に記載されるように、マーセル加工したAA及びセイヨウナシの粉末混合物を遠心処理して収集した上清の顕微鏡画像を示している図であり、図55Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図55Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している; 実施例15に記載されるマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末混合物により形成されたペレットの顕微鏡画像を示している図であり、図56Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図56Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している; 実施例15に記載されるように、篩い分け後のマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末ペレットの試料の顕微鏡画像を示している図であり、図57Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図57Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している; 実施例15に記載されるように、最終遠心処理の後のマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末ペレットの試料の顕微鏡画像を示している図であり、図58Aは500μmのスケールの顕微鏡画像を示し、図58Bは100μmのスケールの顕微鏡画像を示している; 図54から図58に示された、2.5倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれのある特定の粒子直径の相対頻度を示している図である; 図54から図58に示された、2.5倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子分布を示している図であり、図60Aは最終遠心処理の後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図60Bは篩い分けされたペレットの粒子サイズ分布を示し、図60Cは最初の遠心処理の後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図60Dは上清の粒子サイズ分布を示し、図60Eは最初にマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末混合物の粒子サイズ分布を示している; 図54から図58に示された、10倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれのある特定の粒子直径の相対頻度を示している図である; 図54から図58に示された、10倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子分布を示している図であり、図62Aは最終遠心後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Bは篩い分けしたペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Cは最初の遠心後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Dは上清の粒子サイズ分布を示し、図62Eは最初にマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末混合物の粒子サイズ分布を示している; 実施例16に記載されるように、押出し前後のマーセル加工したAA試料の粒子サイズ分布を示している図である; 実施例17に記載されるように、水試料20%(v/v)、0.9%生理食塩水で希釈した脱細胞化されたAA(Mer20Sal80)製剤、及びマーセル加工したAA(Mer100)製剤の押出しに関する力-変位曲線を示している図であり、図64Aは水試料の力-変位曲線を示し、図64BはMer20Sal80製剤の力-変位曲線を示し、図64CはMer100製剤の力-変位曲線を示している; 図64に示された力-変位曲線の最大押出し力を示している図である; 図64に示された力-変位曲線の平均(プラトー)押出し力を示している図である; 実施例17に記載されるように、27G針及び30G針を介して押し出されたMer100製剤の力-変位曲線を示している図である; 標準的な1ccシリンジ及びBellaFillシリンジから27G針を介して押し出されたMer100製剤の力-変位曲線を示している図である; 図67及び図68に示された力-変位曲線の最大押出し力を示している図である; 実施例17に記載されるように、1mm/s、2.5mm/s、及び5.0mm/sのクロスヘッド速度で押し出された27G針を通してMer100製剤の力-押出し曲線を示している図である; 図70に示された力-変位曲線の最大押出し力を示している図である; 実施例18に記載されるように、GE製剤及びマーセル加工したAA製剤の力-変位曲線を示している図であり、図72Aは5% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Bは2.5% GEの力-変位曲線を示し、図72Cは1% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Dは0.5% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Eは0.25% GE製剤の力-変位曲線を示している; 図72に示された力-変位曲線の最大押出し力を示している図である; 実施例19に記載されるように、マーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示している図であり、図74Aは希釈していないマーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示し、図74Bは希釈したマーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示している; 実施例19に記載されるように、マーセル加工したAA試料の貯蔵弾性率、損失弾性率、及び損失係数曲線を示している図であり、図75Aは希釈していないマーセル加工したAA試料の貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を示し、図75Bは希釈していないマーセル加工したAA試料の損失係数曲線を示し、図75Cは希釈したマーセル加工したAA試料の貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を示し、図75Dは希釈したマーセル加工したAA試料の損失係数曲線を示している; 実施例20に記載されているマーセル加工したAA試料の顕微鏡画像を示している図であり、図76Aは4℃で保存したマーセル加工したAA試料の顕微鏡画像を示し、図76Bは振盪培養器に維持したマーセル加工したAA試料の顕微鏡画像を示している; 実施例20に記載され、図76に画像化されている、マーセル加工したAA試料の粒子サイズ分布を示している図である; 実施例20に記載され、図76に画像化されている、マーセル加工したAA試料の粒子の円状率及び真円度の分布を示している図であり、図78Aはマーセル加工したAA試料の円状率の分布を示し、図78Bはマーセル加工したAA試料の真円度の分布を示している; 実施例26に記載されるように、セルロース系の皮膚充填剤に対する酵素活性から生成されるD-グルコースの波長540nm及び570nmでの標準吸光度濃度曲線を示している図である; 実施例26に記載されるように、37℃の異なる緩衝液中に希釈された酵素溶液を使用して生成されるD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例26に記載されるように、37℃の異なる緩衝液中に希釈されたペクチナーゼ:セルラーゼ比を使用して生成されたD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例26に記載されるように、37℃で種々の酵素濃度を使用して生成されるD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例26に記載されるように、種々の酵素濃度での48時間のインキュベーション後のセルロース由来粒子の顕微鏡画像を示している図である; 実施例26に記載されるように、37℃で種々の濃度のペクチナーゼ:セルラーゼ比を使用して生成されたD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例26に記載されるように、種々のペクチナーゼ:セルラーゼ比での48時間のインキュベーション後のセルロース由来粒子の顕微鏡画像を示している図である; 実施例26に記載されるように、種々の濃度の新鮮な酵素溶液を使用して生成されるD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例26に記載されるように、種々の新鮮な酵素溶液中での48時間のインキュベーション後のセルロース由来粒子の顕微鏡画像を示している図である; 実施例26に記載されるように、種々の濃度のあらかじめ作製した酵素溶液を使用して生成されるD-グルコースの濃度を示している図である; 実施例27に記載されるように、本開示の一部の実施形態に従って皮膚充填剤を注射したラットから採取した切除部の写真を示している図であり、図89Bはヒアルロン酸(HA)皮膚充填剤製剤を注射したラットの切除部を示し、図89Cはコラーゲン皮膚充填剤製剤を注射したラットの切除部を示している; 実施例27に記載されるように、注射した生理食塩水製剤の12週後の顕微鏡画像を示している図であり、図90Aは、マッソン三色染色(MT)で染色した注射した生理食塩水製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図90Bは、MTで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率10倍での顕微鏡画像、図90Cは、MTで染色した注射した生理食塩水製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示し、図90Dは、ヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色した注射した生理食塩水製剤の倍率1倍での顕微鏡画像、図90Eは、HEで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図90Fは、HEで染色した注射した生理食塩水製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示している。 実施例27に記載されるように、注射したHA皮膚充填剤製剤の12週間後の顕微鏡画像を示している図であり、図91Aは、MTで染色した注射したHA製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図91Bは、MTで染色した注射したHA製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図91Cは、MTで染色した注射したHA製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像、図91Dは、HEで染色した注射したHA製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図91Eは、HEで染色した注射したHA製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図91Fは、HEで染色した注射したHA製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示している; 実施例27に記載されるように、注射したコラーゲン皮膚充填剤製剤の12週間後の顕微鏡画像を示している図であり、図92Aは、MTで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図92Bは、MTで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図92Cは、MTで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率20倍での顕微鏡画像を示し、図92Dは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図92Eは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図92Fは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率20倍での顕微鏡画像を示している; 実施例27に記載されるように、注射した皮膚充填剤製剤の、12週後にコンゴーレッドで染色した顕微鏡画像を倍率10倍で示している図であり、図93Aは注射した生理食塩水製剤を示し、図93Bは注射したHA製剤を示し、図93Cは注射したコラーゲン製剤を示している; 実施例27に記載されるように、注射した皮膚充填剤製剤の、12週間後にCD31、CD45、又はVerhoefff Van Gienson(Verhoeff)色素で染色された顕微鏡画像を示す図である; 実施例27に記載されている皮膚充填剤製剤の注射によって形成される隆起の高さの経時的変化を示している図である; 実施例27及び28に記載されている皮膚充填剤製剤の注射によって形成される隆起の高さの経時的変化を示している図である;並びに 実施例28に記載されるように、注射した皮膚充填剤製剤の、12週間後にCD31、CD45、又はVerhoefff色素で染色された顕微鏡画像を示している図である。
皮膚充填剤、美容及び/又は再建用途のための方法及びその使用、並びにそのような皮膚充填剤を調製するための方法及びそれに関連する皮膚充填剤キットが、本明細書に記載される。実施形態及び例は、当業者を意図した例示の目的のために提供されるものであり、いかなる点でも制限を意図したものではないことが理解されるであろう。
脱細胞化された植物又は真菌の組織を含み、組織の細胞物質及び核酸が除去されている皮膚充填剤;並びに美容及び/又は再建用途のための方法及びその使用が本明細書で提供される。また、そのような皮膚充填剤を調製するための方法、及び皮膚充填剤キットも提供される。
本明細書に記載されるように、本発明者は今回、脱細胞化された植物又は真菌の組織を含む皮膚充填剤製品を開発した。本明細書に提供されるデータは、皮膚充填剤が良好な生体適合性を有し、実質的に非吸収性であり、すなわち「永続的」であったことを示している。そのような皮膚充填剤製品を調製するための方法が記載され、これにより、サイズの制御、及びサイズが20μm未満の小さな望ましくない粒子の回避を含む、他の様々な有益な特性が可能になる。小ゲージの針を通した良好な注射針通過性/注射可能性を有する製剤、並びに分散媒、例えば、ハイドロゲルに適合し、及び麻酔薬に適合する製剤が開発されている。滅菌手法及び滅菌された製品についても記載される。細胞の浸潤/増殖を助長する、及び/又は対象において天然組織と皮膚充填剤との良好な比を提供する、望ましい形状及び表面積/体積/充填特性を有する皮膚充填剤製品用の粒子が記載される。
皮膚充填剤は、美容及び/又は審美的用途、例えば、皺の充填、外観の変更、又は疾患若しくは損傷による軟部組織障害への対処に一般的に採用される材料である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮膚充填剤製品は、そのような用途のために長期的で、自然で、生体適合性のある解決策を提供するという点で「永続的」であるとみなすことができる。この分野における多くの皮膚充填剤は一時的なものである。ある一定の時間が経過すると、従来の皮膚充填剤は身体によって吸収される。合成粒子、例えば、PMMAを使用して、より長期的な溶液を提供するものもある。ある特定の実施形態では、今回記載されるアプローチにより、皮膚充填剤の標的サイズ範囲へと加工されたセルロース系の材料が提供されてもよい。これらは天然の植物ポリマーから生産されてもよく、ヒトがセルロースを分解する酵素を有しないことから永続的である可能性がある。本明細書で詳細に記載されるように、そのような粒子は首尾良く生産されており、粒子は目標の望ましいサイズ範囲内にある。これらの粒子を様々な皮膚充填剤製剤に使用し、ラットモデルに注射した。これらの粒子は望ましいSA:V比を有し、血管新生を促進してもよく、生体適合性があってもよく、及び合成材料ではなく患者自身の組織でより多く構成される組織を提供してもよい。
一実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織を含み、組織の細胞物質及び核酸が除去されている非吸収性皮膚充填剤が、本明細書で提供される。
理解されるであろうが、対象への植込み後に実質的に非吸収性又は持続性である(例えば、分解に対する抵抗性がある)少なくとも1つの充填剤又は粒子構成要素を含む場合、皮膚充填剤は非吸収性であるとみなすことができる。一例として、ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮膚充填剤は、脱細胞化された植物組織をセルロース系又はセルロース含有粒子の形態で含んでもよく、人体にはセルロースを分解するための酵素がないため、これは実質的に非吸収性であるとみなすことができる。ある特定の実施形態では、非吸収性皮膚充填剤は、例えば、注射又は植込みの後に、体内で永続的、半永続的、又は持続性である1又は2以上の充填剤又は粒子構成要素を含んでもよい。
理解されるであろうが、特に指示がない限り、本明細書で使用される植物界及び真菌界の意味/定義は、Cavalier-Smithの分類(1998)に基づく。
ある特定の実施形態では、植物又は真菌の組織は、一般に、特定の用途に適する好適な足場構造を含有する任意の好適な植物又は真菌の組織又は部分を含んでもよい。
ある特定の実施形態では、植物又は真菌の組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ(Malus pumila))組織、シダ(シダ類(Monilophytes))組織、カブ(ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa))根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ(equisetum))組織、ワスレグサ属(hermocallis)交雑葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea))茎組織、針葉樹ベイマツ(アメリカトガサワラ(Pseudotsuga menziesii))組織、サボテンの実(ピタヤ)の果肉組織、マキュラータ・ビンカ(Maculata Vinca)組織、水生ハス(ハス(Nelumbo nucifera))組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ(Tulipa gesneriana))花弁組織、オオバコ(バナナ(Musa paradisiaca))組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(セイヨウカジカエデ(Acer psuedoplatanus))茎組織、ビート(テンサイ(Beta vulgaris))一次根組織、ネギ(タマネギ(Allium cepa))組織、ラン(ラン科(Orchidaceae))組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ(Allium ampeloprasum))組織、カエデ(カエデ属(Acer))木枝組織、セロリ(オランダミツバ(Apium graveolens))組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエ・ベラ組織、スイカ(シトルラス・ラナタス変種ラナタス(Citrullus lanatus var. lanatus))組織、クリーピングジェニー(コバンコナスビ(Lysimachia nummularia))組織、サボテン(cactae)組織、リクニス・アルピナ(Lychnis Alpina)組織、ルバーブ(レウム・ラバルバルム(Rheum rhabarbarum))組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ(Cucurbita pepo))組織、ドラセナ(キジカクシ科(Asparagaceae))茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ(Tradescantia virginiana))茎組織、アスパラガス(アスパラガス・オフィシナリス(Asparagus officinalis))茎組織、キノコ(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ(Foeniculum vulgare))組織、バラ(バラ属(Rosa))組織、ニンジン(ダウクス・カロタ(Daucus carota))組織、又はセイヨウナシ(仁果類(Pomaceous))組織を含んでもよい。植物及び真菌の組織の追加の例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットの実施例18に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、セルロース系、キチン系、キトサン系、リグニン系、リグナン系、ヘミセルロース系、ペクチン系、又はそれらの任意の組合せであってもよい。ある特定の実施形態では、植物又は真菌の組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ)組織、シダ(シダ類)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ)組織、ワスレグサ属交雑葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、針葉樹ベイマツ(アメリカトガサワラ)組織、サボテンの実(ピタヤ)の果肉組織、マキュラータ・ビンカ組織、水生ハス(ハス)組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ)花弁組織、オオバコ(バナナ)組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(セイヨウカジカエデ)茎組織、ビート(テンサイ)一次根組織、ネギ(タマネギ)組織、ラン(ラン科)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ)組織、カエデ(カエデ属)木枝組織、セロリ(オランダミツバ)組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエ・ベラ組織、スイカ(シトルラス・ラナタス変種ラナタス)組織、クリーピングジェニー(コバンコナスビ)組織、サボテン組織、リクニス・アルピナ組織、ルバーブ(レウム・ラバルバルム)組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ)組織、ドラセナ(キジカクシ科)茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ)茎組織、アスパラガス(アスパラガス・オフィシナリス)茎組織、キノコ(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ)組織、バラ(バラ属)組織、ニンジン(ダウクス・カロタ)組織、若しくはセイヨウナシ(仁果類)組織、又は直接ゲノム改変を介して、若しくは選択的育種を通して作製された遺伝子改変組織、又はそれらの任意の組合せに由来する組織を含んでもよい。
同じく理解されるであろうが、植物又は真菌の組織の細胞物質及び核酸は、細胞内内容物、例えば、細胞オルガネラ(例えば、葉緑体、ミトコンドリア)、細胞核、細胞核酸及び/又は細胞タンパク質を含んでもよい。これらは、植物又は真菌の組織から、及び/又は足場生体材料から実質的に除去されているか、部分的に除去されているか、又は完全に除去されていてもよい。微量のそのような構成要素は、本明細書に記載される脱細胞化された植物又は真菌の組織中に依然として存在する場合があることは認識されるであろう。同じく理解されるであろうが、本明細書における脱細胞化された植物又は真菌の組織への言及は、植物又は真菌の組織の供給源において見出されるそのような細胞物質が、実質的に除去されていることを反映することを意図しているが、これは、脱細胞化された植物又は真菌の組織が、ある特定の実施形態では、一般に任意の種類の、その後に導入される、又は再導入される、細胞、細胞物質及び/又は核酸、例えば、動物又はヒト細胞を含有してもよい、又は含んでもよいという可能性を除外しない。
本明細書に記載される脱細胞化された植物又は真菌の組織を生産するために、様々な方法が使用され得る。一例として、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、熱ショック、界面活性剤(例えば、SDS、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤)による処理、浸透圧ショック、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、静水圧)、電気的破壊(例えば、非熱的不可逆エレクトロポレーション)、若しくは酵素的消化、又はそれらの任意の組合せによって脱細胞化された植物又は真菌の組織を含んでもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される生体材料は、熱ショック(例えば、急速凍結融解)、化学処理(例えば、界面活性剤)、浸透圧ショック(例えば、蒸留水)、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、加圧処理)、電気的破壊及び/又は酵素的消化を含むがこれらに限定されない、いくつかのアプローチのいずれかを(個々で、又は組合せで)含み得る脱細胞化プロセスを採用することによって、植物及び/又は真菌から得ることができる。
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、界面活性剤又は表面活性剤による処理によって脱細胞化された植物又は真菌の組織を含んでもよい。界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
別のさらなる実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、SDSによる処理によって脱細胞化された植物又は真菌の組織を含んでもよい。さらに別の実施形態では、残留SDSを、植物又は真菌の組織から、二価塩水溶液で洗浄することによって除去してもよい。二価塩水溶液は、SDSミセルを含有する塩残渣を溶液/足場から沈殿/沈下させるために使用してもよく、dHO、酢酸若しくはジメチルスルホキシド(DMSO)処理、又は超音波処理を使用して、塩残渣又はSDSミセルを除去してもよい。ある特定の実施形態では、二価塩水溶液の二価塩は、例えば、MgCl又はCaClを含んでもよい。
別の実施形態では、植物又は真菌の組織は、溶媒中、例えば、水、エタノール、又は別の好適な有機溶媒中で、0.01~10%、例えば、約0.1%~約1%、又は例えば、約0.1%のSDS又は約1%のSDSのSDS溶液による処理によって脱細胞化されてもよく、残留SDSを約100mMの濃度のCaCl水溶液を使用して除去した後に、dHO中でインキュベートしてもよい。ある特定の実施形態では、SDS溶液は、脱細胞化を促進し得る0.1%よりも高濃度であってもよく、残留SDSを除去するために増やした洗浄を伴ってもよい。特定の実施形態では、植物又は真菌の組織は、水中に約0.1% SDSを有するSDS溶液による処理によって脱細胞化されてもよく、残留SDSを約100mMの濃度のCaCl水溶液を使用して除去した後に、dHO中でインキュベートしてもよい。
本明細書に記載される脱細胞化された植物又は真菌の組織を生産するために適合化され得る脱細胞化プロトコールのさらなる例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットに見出すことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系であってもよい。さらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、植物の葉状構造、根、果肉、花托筒又はパルプ構造に由来してもよい。なお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、レタス、ニンジン、リンゴ、若しくはセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、ホモジナイズされていてもよい。さらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、乾燥させられ、粉砕に供され、かつ任意で復元又は再水和されてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、単一の構造細胞のサイズ又はより小さい粒子に分解されていてもよい。ある特定の実施形態では、単一の構造細胞は、植物又は真菌の組織の拡張3D構造に由来してもよく、単離された構造細胞を含んでもよく、構造細胞は、図7に示されているように、典型的には中空細胞又はポケットに類似した3次元構造を有する。理解されるであろうが、そのような構造は、典型的には、リグノセルロース系材料、例えば、セルロース及び/又はリグニン系構造を含んでもよい。ある特定の実施形態では、そのような構造は、他の構成単位、例えば、キチン及び/又はペクチンを含んでもよいことが理解されるであろう。ある特定の実施形態では、図18及び19に示されているように、単一の構造細胞を分解(例えば、粉砕)して、より小さい粒子、例えば、薄片にしてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、脱細胞化された植物又は真菌の組織用のハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒は、PBS(生理食塩水)、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
本明細書で使用される場合、用語「溶解再生セルロース」は、溶媒交換、及び植物又は真菌の組織との混合を介して、溶解されてその後に「再生」されたセルロースを指すことに留意されたい。セルロースを溶解させるには、任意の好適な溶媒を使用してもよい。例えば、一実施形態では、LiCl及びジメチルアセトアミド(DMAc)の溶液を使用して、セルロースを溶解させてもよい。
ある特定の実施形態では、そのようなハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒は、例えば、生物起源(例えば、天然タンパク質)、合成ポリマー、又は天然に存在するポリマーの合成類似体であってもよい。
ハイドロゲル、マトリックス、及び/又は分散媒に関するさらなる議論及び例は、Nguyen et al. "Cosmetic Medicine: Facial Resurfacing and Injectables", Plast Reconstr Surg. 129, 142e (2012);及びLuebberding et al. "Critical Appraisal of the Safety of Dermal Fillers: A Primer for Clinicians", Curr Derm Rep. 2, 150 (2013)に見出すことができ、これらはそれぞれその全体が参照により組み込まれる。
ある特定の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒は、実質的に均一な分散を得ると共に、例えば、小ゲージの針を通しての注入を可能にする目的で、皮膚充填剤粒子を再懸濁させるために使用してもよい。
ある特定の実施形態では、皮膚充填剤の粘度を、要望に応じて調整してもよい。ある特定の実施形態では、例えば、低粘度では注入がより容易になり、一方、高粘度では、均一な粒子配置が維持され、及び/又はより長い期間にわたって体積を維持することができる。ある特定の実施形態では、粘度の値はある範囲にわたるか、又は変化してもよく、例えば、ある特定の例では、生理食塩水担体により約1cPが得られ、一方、より粘度の高い分散媒により、より高い粘度、例えば、約3×10cP(市販の製品、例えば、Bellafillにおけるように)又はそれ以上が得られてもよい。
さらなる実施形態では、皮膚充填剤は、約500,000cp未満の粘度を有してもよい。ある特定の実施形態では、皮膚充填剤は、約100,000cp~約500,000cpの範囲内の粘度を有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤は、乾燥されているか又は水和されていてもよい。ある特定の実施形態では、皮膚充填剤は、乾燥又は凍結乾燥された形態で提供されてもよく、これは例えば、使用前の水、ハイドロゲル、又は他の分散媒中での復元のためであってもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、リドカイン又は他の麻酔薬を含んでもよい。
本明細書に記載される皮膚充填剤のある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、任意の好適な形状、例えば、規則的又は不規則な3D又は2D形状、例えば、不規則、正方形、又は円形の形状を有し得る薄片様構造を一般に有し得る粒子へと分解されてもよい。所与の形状は、典型的には、最小径及び最大径又はフェレット径を有し得るが、場合によっては(円形構造の場合など)、これらは等しいか又はほぼ等しいことがある。好ましくは、ある特定の実施形態では、粒子、又は粒子の少なくとも大部分は、細胞による細胞取込み又は貪食が回避又は防止される程度に十分に大きいサイズ/形状であってもよい。したがって、ある特定の実施形態では、細胞取込み及び/又は貪食が望まれない場合に、直径(それが通常の直径、最小フェレット径、及び/又は最大フェレット径のいずれに関するかにかかわらず)20μm未満の粒子の分布を回避してもよい。
本明細書に記載される皮膚充填剤のある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、不規則な3D形状を有する、及び/又は非球形の薄い薄片様構造である粒子に分解されていてもよい。ある特定の実施形態では、薄片様構造は、約0.01μm~約100μm、例えば、約0.1μmの厚みを有してもよい。
本明細書に記載される皮膚充填剤の一部の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約20μm~約500μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されていてもよい。
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、1若しくは2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズの粒子に分解されていてもよく(好ましくは、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子に分解されていてもよい);約200μm未満のサイズ、直径、若しくは最大フェレット径を有する粒子に分解されていてもよく;約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよく;約30μm~約100μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよく;約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径を有する粒子に分解されていてもよく;又はそれらの任意の組合せである。
別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、約300μm未満のサイズ、直径、若しくは最大フェレット径を有する粒子に分解されていてもよく;約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよく;約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子に分解されていてもよく;約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径を有する粒子に分解されていてもよく;又はそれらの任意の組合せである。
本明細書に記載される皮膚充填剤のなお別の実施形態では、脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、約200~約3000μmの範囲内、若しくは約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子に分解されていてもよく;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、表面積対体積比が約0.1~100μm-1の粒子に分解されていてもよく;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されていてもよく;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は滅菌されてもよい。上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、皮膚充填剤は滅菌されてもよい。ある特定の実施形態では、滅菌は、放射線照射、例えば、ガンマ線滅菌によってもよい。
別の実施形態では、植物又は真菌の組織は、マーセル加工されてもよい。理解されるであろうが、植物又は真菌の組織のマーセル加工により、植物又は真菌の組織は、組織/細胞構成要素(単一の構造細胞、構造細胞の群、又はその両方を含む)に分解される。ある特定の実施形態では、マーセル加工には、アルカリ/塩基溶液及び過酸化物を使用してもよい。ある特定の実施形態では、2以上の処理又は溶液を、同時に又は逐次的に使用してもよい。
ある特定の実施形態では、マーセル加工は、塩基溶液による少なくとも1つの処理を含んでもよい。理解されるであろうが、塩基溶液は、任意の好適な塩基、例えば、浸透圧ショック並びに/又は水素結合及び/若しくはポリマー結晶構造の破壊を行って、無傷の組織構造を抽出することができる任意の好適な塩基を一般に含んでもよい。理解されるであろうが、特に皮膚充填剤の用途では、塩基は、例えば、生理的に発生するもの、容易に洗い流されるもの、無害なもの、又はそれらの組合せであるように、要望に応じて選択してもよい。ある特定の実施形態では、塩基は、NaOH、KOH、又はそれらの組合せを含んでもよい。一実施形態では、塩基を好適な溶媒中に溶解/混合させて、塩基溶液を形成させてもよい。典型的には、溶媒は水を含んでよいが、他の溶媒、又は溶媒の組合せ(例えば、水とエタノールの混合物)も想定される。塩基溶液は、約0.1~10Mの塩基濃度、又はその間の任意の濃度(最も近い0.1単位に丸められてもよい)、又はこれらの濃度のいずれか2つの間にまたがる任意の部分範囲を含んでもよい。ある特定の実施形態では、塩基濃度は、約0.5M~3M、又はその間の任意の値(最も近い0.1単位に丸められてもよい)、又はこれらの濃度のいずれか2つの間にまたがる任意の部分範囲であってもよい。一例として、ある特定の実施形態では、塩基溶液は、約0.5M~3Mの濃度のNaOH水溶液を含んでもよい。理解されるであろうが、塩基溶液は、処理条件(すなわち、加熱、攪拌)と同様に、要望に応じて、抽出される望ましい構造、使用される植物又は真菌の組織などに合わせて調整してもよい。
ある特定の実施形態では、塩基は、以下からなる群から選択される塩基を含んでもよい:
炭酸塩;硝酸塩;リン酸塩;硫酸塩;アンモニア;水酸化ナトリウム;水酸化カルシウム;水酸化マグネシウム;水酸化カリウム;水酸化リチウム;水酸化亜鉛;炭酸ナトリウム;炭酸水素ナトリウム;ブチルリチウム;アジ化ナトリウム;ナトリウムアミド;水素化ナトリウム;水素化ホウ素ナトリウム;又はリチウムジイソプロピルアミン。塩基によっては、例えば、望ましくない混入を防ぐために、残留塩基及び他の試薬を除去するために中和及び/又は洗浄を行ってもよい。
好ましい実施形態では、マーセル加工は、加熱と共に水酸化ナトリウム及び過酸化水素を使用する、植物又は真菌の組織(好ましくは脱細胞化された植物又は真菌の組織)の処理を含んでもよい。
しかし、他の抽出手法を使用してもよく、それが想定されていることに留意されたい。例えば、別の実施形態では、植物及び/又は真菌の組織は浸軟されてもよい。理解されるであろうが、マーセル加工と同様に、植物又は真菌の組織の浸軟により、植物又は真菌の組織は、組織/細胞構成要素(単一の構造細胞、構造細胞のグループ、又はその両方を含む)に分解される。しかし、マーセル加工とは異なり、浸軟は一般に塩基性溶液ではなく酸性溶液の使用を伴う。したがって、浸軟により、塩基可溶性リグニン構成要素ではなく、ある特定の酸可溶性リグニン構成成分が除去されてもよく、そのため、例えば、異なるリグニン含有量を有する構造細胞が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのために製剤化されてもよい。さらに別の実施形態では、皮膚充填剤は、シリンジ又は注射デバイスの中に、又はそれと共に提供されてもよい。
さらに別の実施形態では、軟部組織充填剤としての、再建手術のための、若しくはその両方のための;美容的外観の改善を必要とする対象の美容的外観を改善するための;それを必要とする対象において組織体積を増加させるため、皺を伸ばすため、若しくはその両方のための;又はそれらの任意の組合せのための、本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの使用が本明細書で提供される。
なお別の実施形態では、美容的外観を改善するため、組織体積を増加させるため、皺を伸ばすため、又はそれらの任意の組合せのための、それを必要とする対象における方法であって、
本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかを、それを必要とする領域に投与又は注射するステップを含み;
それによって、対象の美容的外観を改善する、組織体積を増加させる、皺を伸ばす、又はそれらの任意の組合せを行う方法が、本明細書で提供される。
ある特定の実施形態では、対象のネイティブ細胞は、投与/注射/植込みの後に皮膚充填剤に浸潤してもよい。
さらに別の実施形態では、皮膚充填剤は、例えば、脱細胞化された植物又は真菌の組織が、少なくとも約3カ月間、少なくとも約4カ月間、少なくとも約5カ月間、又は少なくとも約6カ月間にわたって、対象内で実質的に無傷に保たれる程度に非吸収性であってもよい。
なお別の実施形態では、皮膚充填剤は、それに対する1又は2以上の酵素の添加を通じて分解可能であってもよい。上記のように、本開示の皮膚充填剤は、脱細胞化された植物又は真菌の組織が、対象の内部である期間にわたって実質的に無傷に保たれ、場合によっては永続的であると考えられる程度に非吸収性であってもよい。しかし、状況によっては、皮膚充填剤を除去することが望ましい場合があることは理解されるであろう。したがって、そのような実施形態では、皮膚充填剤は、投与又は注射される対象によっては産生されない1又は2以上の酵素を使用して、その脱細胞化された植物又は真菌の組織を分解することによって、除去可能であってもよい。
ある特定の実施形態では、皮膚充填剤を分解するために使用される1又は2以上の酵素は、その脱細胞化された植物又は真菌の組織に基づいて選択されてもよい。例えば、本明細書で既に記載されたように、皮膚充填剤は、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系の脱細胞化された植物又は真菌の組織を含んでもよい。このため、1又は2以上の酵素を選択して、キチン、キトサン、リグノセルロース、又はセルロースを分解することができる。さらなる一例として、植物又は真菌の組織がセルロース系である場合、1又は2以上の酵素はセルラーゼを含んでもよい。
ある特定の実施形態では、1又は2以上の酵素は、異なる供給源からの同じタイプの酵素であってもよい。例えば、1又は2以上の酵素は、クロコウジカビ(Aspergillus niger)由来のセルラーゼ及びトリコデルマ属(Trichoderma sp.)由来のセルラーゼを含んでもよい。ある特定の実施形態では、1又は2以上の酵素は、異なる酵素を含んでもよい。例えば、1又は2以上の酵素は、セルラーゼ及びペクチナーゼ(例えば、クロコウジカビ由来)を含んでもよい。皮膚充填剤に使用される脱細胞化された植物又は真菌の組織に基づいて、異なるタイプの酵素を選択してもよい。さらに、皮膚充填剤に使用される脱細胞化された植物又は真菌の組織のタイプは、その分解に使用される異なる供給源に由来する酵素及び/又は異なるタイプの酵素の比に影響を及ぼしてもよい。例えば、異なる供給源及び/又は異なるタイプの酵素に由来する2つの酵素が選択される、ある特定の実施形態では、酵素は約25:75~約50:50の比で使用されてもよい。
ある特定の実施形態では、1又は2以上の酵素は、溶液中、例えば、緩衝液中で提供されてもよい。緩衝液は、PBS緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、又は他の任意の好適な緩衝液であってもよい。1又は2以上の酵素は、緩衝液中に、酵素:緩衝液比が約25:75~約75:25になるように提供されてもよい。
1又は2以上の酵素を投与して、任意の好適な手法を使用して皮膚充填剤を分解してもよい。例えば、1又は2以上の酵素の溶液を、以前に対象に投与された皮膚充填剤に注射してもよい。
なお別の実施形態では、非吸収性皮膚充填剤を調製するための方法であって、
植物又は真菌の組織を提供するステップ;
植物又は真菌の組織の脱細胞化及びサイズ縮小を行って、組織の細胞物質及び核酸が除去された粒子を提供するステップ;並びに
任意で粒子を滅菌するステップを含み、
それによって、非吸収性皮膚充填剤を提供する方法が、本明細書で提供される。
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系であってもよい。別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、植物の葉構造、根、肉、花托筒又はパルプ構造に由来してもよい。なお別の実施形態では、脱細胞化された植物又は真菌の組織は、レタス、ニンジン、リンゴ、若しくはセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小は、機械的サイズ縮小を行って粒子を提供するステップを含んでもよく、機械的サイズ縮小は、乾燥された、凍結乾燥された、又は冷凍乾燥された材料に対して行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、機械的サイズ縮小は、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織の粉砕、押出し、粉砕、摩砕、超音波処理、エレクトロスピニング、化学的溶解、酵素的分解、又は剪断を行って粒子を提供するステップを含んでもよい。
ある特定の実施形態では、機械的サイズ縮小は、復元/再生され得る溶解された材料からの粒子の成形及び造形(例えば、球形化及び/又はエマルション)を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織を乾燥させるステップ;乾燥された植物又は真菌の組織を機械的サイズ縮小に供して粒子を提供するステップ;及び任意で粒子の復元、再懸濁、又は再水和を行うステップを含んでもよい。ある特定の実施形態では、復元、再懸濁、又は再水和は、水、生理食塩水、ハイドロゲル、又は他の分散媒を導入すること又はそれと混合することを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、サイズ縮小により、単一の構造細胞のサイズ又はそれより小さい粒子が提供されてもよい。
ある特定の実施形態では、サイズ縮小は、浸軟、例えば、化学的浸軟を行って、粒子を提供すること、又はさらなる処理に供されて粒子を提供してもよい単一の構造細胞を提供することを含んでもよい。浸軟アプローチの例は、2020年5月14日に出願された「Composite Biomaterials」と題されたPCT特許出願第PCT/CA2020/050655号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、粒子を、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップをさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒は、PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤は、乾燥された又は水和された形態で提供されてもよい。上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、リドカイン又は他の麻酔薬と共に製剤化するステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、不規則な3D形状を有し、及び/又は非球形で薄い薄片様構造である粒子が提供されてもよい。さらに別の実施形態では、薄片様構造は、約0.01~約100μm、例えば、約0.1μmの厚みを有してもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小は、押出し、濾過、遠心法、又は他のサイズ分離を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップをさらに含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、サイズ縮小により、約20μm~約1000μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、1若しくは2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズを有する粒子が提供されてもよく(好ましくは、サイズ縮小により、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子が提供されてもよい);約200μm未満のサイズ、直径、若しくは最大フェレット径を有する粒子が提供されてもよく;約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよく;約30μm~約100μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよく;約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径を有する粒子が提供されてもよく;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小により、約300μm未満のサイズ、直径、若しくは最大フェレット径を有する粒子が提供されてもよく;約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよく;約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径の分布を有する粒子が提供されてもよく;約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、若しくはフェレット径を有する粒子が提供されてもよく;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、サイズ縮小により、約200~約3000μmの範囲内、若しくは約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子が提供されてもよく;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、表面積対体積比が0.1~100μm-1の粒子に分解されており;脱細胞化された植物若しくは真菌の組織は、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されており;又はそれらの任意の組合せである。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、粉砕を行うと同時に、その結果得られた粒子をフィルターに通して、上限閾値サイズ未満の粒子を得るステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、本方法は、濾過、分画遠心法若しくは平衡遠心法、又は篩い分けを行って下限閾値サイズ未満の粒子を除去し、下限閾値サイズを上回る粒子を得るステップをさらに含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、濾過又は篩い分けは、自動化湿式篩を使用して行われてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、サイズ縮小は、分画遠心法若しくは平衡遠心法を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップを含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、本方法は、第1のシリンジ又はベッセルに、流体、例えば、水又は緩衝液(例えば、生理食塩水)中にある粒子をロードし、第2のシリンジ又はベッセルにハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をロードすることによって、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップであって、第1及び第2のシリンジ又はベッセルが流体連結下にあるステップ;並びにシリンジ又はベッセルの内容物を第1及び第2のシリンジ又はベッセルの間で行き来させて通すことによって混合するステップをさらに含んでもよい。
別の実施形態では、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化することは、遊星型ミキサー、ディスペンサー、高剪断ミキサー、混練機、多軸ミキサー、リボンパドルブレンダー、静的ミキサー、ロールミル、ホモジナイザー、アグロメレーションなど、又はそれらの任意の組合せを使用して、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と混合することを含んでもよい。
一部の実施形態では、ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と混合する前、その最中、又は後に、アグロメレーションを受けた材料を除去することが有用な場合がある。例えば、一実施形態では、サイズ排除ミキサー、例えば、静的クロスハッチミキサー又はメッシュを使用して、粒子を、ハイドロゲル、マトリックス又は分散媒と混合してもよい。そのような実施形態では、アグロメレーションを受けた材料(例えば、アグロメレーションを受けた粒子)を除去、排除、又は分解しながら、粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と混合することが可能になってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織を滅菌することをさらに含んでもよい。さらに別の実施形態では、本方法は、皮膚充填剤の滅菌を含んでもよい。ある特定の実施形態では、滅菌は、ガンマ線滅菌によってもよい。他の実施形態では、滅菌はオートクレーブ処理によってもよい。
一部の実施形態では、複数の滅菌を行ってもよい。例えば、滅菌は、第1の滅菌及び第2の滅菌を含んでもよい。第1の滅菌は、熱処理(例えば、オートクレーブ処理)であってもよく、第2の滅菌はガンマ線照射、オートクレーブ処理などによる滅菌であってもよい。材料の生物汚染度レベルを低下させるために、複数の滅菌が有用であってもよい。同様に、熱処理である第1の滅菌を採用することにより、材料の水和プラトーレベルが調節されてもよい。理解されるであろうが、水和プラトーレベルの調節により、本開示の皮膚充填剤の粒子によって保持される溶媒の量を調節及び/又は安定化することが可能になってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法は、植物又は真菌の組織をマーセル加工することをさらに含んでもよい。本明細書に記載される場合、植物又は真菌の組織(好ましくは脱細胞化された植物又は真菌の組織)のマーセル加工により、植物又は真菌の組織は、組織/細胞構成要素(単一の構造細胞、構造細胞の群、又はその両方を含む)に分解される。ある特定の実施形態では、マーセル加工には、アルカリ/塩基溶液及び過酸化物を使用してもよい。ある特定の実施形態では、2以上の処理又は溶液を、同時に又は逐次的に使用してもよい。ある特定の実施形態では、マーセル加工を植物又は真菌の組織に対して行って、その後に脱細胞化を行ってもよく、又はマーセル加工を植物又は真菌の組織に対して行って、同時に脱細胞化が提供されるようにマーセル加工条件を選択してもよい。しかし、本明細書に記載されるように、マーセル加工は、既に脱細胞化された植物又は真菌の組織に対して行うことが好ましい。
ある特定の実施形態では、マーセル加工は、塩基溶液による少なくとも1つの処理を含んでもよい。理解されるであろうが、塩基溶液は、任意の好適な塩基、例えば、浸透圧ショック並びに/又は水素結合及び/若しくはポリマー結晶構造の破壊を行って、無傷の組織構造を抽出することができる任意の好適な塩基を一般に含んでもよい。理解されるであろうが、特に皮膚充填剤の用途では、塩基は、例えば、生理的に発生するもの、容易に洗い流されるもの、無害なもの、又はそれらの任意の組合せであるように、要望に応じて選択してもよい。ある特定の実施形態では、塩基はNaOH、KOH、又はそれらの組合せを含んでもよい。一実施形態では、塩基を好適な溶媒中に溶解/混合させて、塩基溶液を形成させてもよい。典型的には、溶媒は水を含んでもよいが、他の溶媒、又は溶媒の組合せ(例えば、水とエタノールの混合物)も想定される。典型的には、塩基溶液は、約0.1~10Mの塩基濃度、又はその間の任意の濃度(最も近い0.1単位に丸められてもよい)、又はこれらの濃度のいずれか2つの間にまたがる任意の部分範囲を含んでもよい。ある特定の実施形態では、塩基濃度は、約0.5M~3M、又はその間の任意の値(最も近い0.1単位に丸められてもよい)、又はこれらの濃度のいずれか2つの間にまたがる任意の部分範囲であってもよい。一例として、ある特定の実施形態では、塩基溶液は、約0.5M~3Mの濃度のNaOH水溶液を含んでもよい。理解されるであろうが、塩基溶液は、処理条件(すなわち、加熱、攪拌)と同様に、要望に応じて、抽出される望ましい構造、使用される植物又は真菌の組織などに合わせて調整してもよい。
ある特定の実施形態では、塩基は、以下からなる群から選択される塩基を含んでもよい:炭酸塩;硝酸塩;リン酸塩;硫酸塩;アンモニア;水酸化ナトリウム;水酸化カルシウム;水酸化マグネシウム;水酸化カリウム;水酸化リチウム;水酸化亜鉛;炭酸ナトリウム;炭酸水素ナトリウム;ブチルリチウム;アジ化ナトリウム;ナトリウムアミド;水素化ナトリウム;水素化ホウ素ナトリウム;又はリチウムジイソプロピルアミン。塩基によっては、例えば、望ましくない混入を防ぐために、残留塩基及び他の試薬を除去するために中和や洗浄を行ってもよい。
好ましい実施形態では、マーセル加工は、加熱と共に水酸化ナトリウム及び過酸化水素を使用する、植物又は真菌の組織(好ましくは脱細胞化された植物又は真菌の組織)の処理を含んでもよい。
上記の方法のある特定の実施形態では、マーセル加工は、塩基及び過酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム又は別の水酸化塩基を塩基として、過酸化水素を過酸化物としての、脱細胞化された植物又は真菌の組織の処理を含んでもよい。マーセル加工により、脱細胞化された植物又は真菌の組織を、そのリグノセルロース構造を破壊することなく、単一の構造細胞、構造細胞の群、又はその両方に化学的に分解されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工は、加熱を行いながらの水酸化ナトリウム水溶液及び過酸化水素による脱細胞化された植物又は真菌の組織の処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工は、約80℃への加熱と共に行ってもよい。ある特定の実施形態では、そのような加熱により、特に例えば、水酸化ナトリウムを使用する場合に、反応時間の短縮が可能になってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、過酸化水素を反応物に添加する前に、脱細胞化された植物又は真菌の組織を、水酸化ナトリウム水溶液により第1の期間にわたって処理してもよい。ある特定の実施形態では、第1の期間は、約1分間~約24時間、又はその間の任意の時点、又はそのような任意の2つの時点の間の任意の部分範囲であってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、過酸化水素は、30%~50%の過酸化水素水溶液の予製液として添加されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工のための過酸化水素は、以下の比で使用してもよい:
約20mL~約5mLの30%過酸化水素水:約100gの脱細胞化された植物又は真菌の組織:約500mLの1M NaOH溶液;
例えば:
約20mLの30%過酸化水素水:約100gの脱細胞化された植物又は真菌の組織:約500mLの1M NaOH溶液;
約10mLの30%過酸化水素水:約100gの脱細胞化された植物又は真菌の組織:約500mLの1M NaOH溶液;又は
約5mLの30%過酸化水素水:約100gの脱細胞化された植物又は真菌の組織:約500mLの1M NaOH溶液。
理解されるであろうが、これらの比は、要望に応じて、特定の構成要素に適切であるようにスケールアップ又はスケールダウンしてもよく、列挙された量は、絶対的数量ではなく相対比を示すために提供される。例えば、ある特定の実施形態では、30%過酸化水素水溶液は、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり少なくとも約75mLの量で使用される。ある特定の実施形態では、1M水酸化ナトリウム溶液は、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり約2500mLの量で使用される。一般に、過酸化水素水溶液は、脱細胞化された植物又は真菌の組織、水酸化ナトリウム溶液、及び過酸化水素水溶液の混合物の全容積の約1%~約5%の最終過酸化水素濃度となるように添加されてもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、本方法は、1又は2以上の中和処理によりpHを中和するステップをさらに含んでもよい。上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかの別の実施形態では、中和処理は、酸溶液、好ましくはHCl水溶液による処理を含んでもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのなお別の実施形態では、マーセル加工は、脱細胞化された植物又は真菌の組織:水酸化ナトリウム水溶液の比(m:v、単位はg:L)として、1M水酸化ナトリウム水溶液について約1:5を、又は別の水酸化ナトリウム水溶液濃度について同等の比を使用して行ってもよい。理解されるであろうが、これらの比は、要望に応じて、特定の構成要素に適切であるようにスケールアップ又はスケールダウンしてもよく、列挙された量は、絶対的な数量ではなく相対比を示すために提供される。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、マーセル加工は、少なくとも約30分間、好ましくは約1時間にわたって行ってもよい。
上記の1又は2以上の方法のうちのいずれかのさらに別の実施形態では、本方法はさらに、真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのための皮膚充填剤を製剤化することを含んでもよい。
別の実施形態では、本明細書に記載される1又は2以上の方法のうちのいずれかによって調製される皮膚充填剤が、本明細書で提供される。
本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかの別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.1%から約5%以下又はそれ未満は、約20μm未満のフェレット径又は最小フェレット径を有してもよい。本明細書に記載される1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.5%未満は、20μm未満のフェレット径、又は最小フェレット径を有してもよい。
上記の1又は2以上の皮膚充填剤のうちのいずれかのなお別の実施形態では、皮膚充填剤の粒子の約0.1%未満~約5%未満(例えば、約0.5%未満)、又はそれ未満は、対象の1又は2以上の細胞に貪食される程度に十分に小さいサイズを有してもよい。
別の実施形態では、以下のうちのいずれか1つ又は2以上を含むキットが本明細書で提供される:
本明細書に記載される1若しくは2以上の皮膚充填剤のうちのいずれか;
ハイドロゲル、マトリックス、若しくは分散媒;
PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、若しくはそれらの任意の組合せ;
リドカイン又は他の麻酔薬;
1若しくは2以上のシリンジ、若しくは別の注射デバイス;
2若しくは3以上のシリンジのためのルアーロック継手又は連結器;
本明細書に記載される1若しくは2以上の使用若しくは1若しくは2以上の方法のうちのいずれかを行うための説明書;
1若しくは2以上の脱細胞化試薬;
1若しくは2以上の容器、パッケージ若しくはベッセル;
注射のための1若しくは2以上の緩衝液、水、若しくは生理食塩水;
望ましくない領域又は位置で皮膚充填剤を溶解させるための試薬若しくは酵素(例えば、セルラーゼ);
又はそれらの任意の組合せ。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮膚充填剤は、皺、にきび瘢痕を改善するための美容用途に使用するため、又は再建手術のためであってもよい。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮膚充填剤は、要望に応じて、造形してもよく(機械的又は化学的に、球形にであってもよい)、官能化してもよく、及び/又は、送達ビヒクル、例えば、セルロース由来ゲル製剤若しくはセルロース系ハイドロゲル(一時的な送達ビヒクルであってもよい)と組み合わせてもよい。
ある特定の実施形態では、皮膚充填剤粒子は、球形又は特定のサイズ/形状に復元された溶解した材料から調製してもよいことが想定される。一例として、ある特定の実施形態では、セルロース系生体材料、例えば、脱細胞化された植物又は真菌の組織を、DMAc及びLiCl、又はセルラーゼ(及び/又は、類似のそのような酵素、例えば、エンドグルカナーゼ(EG、エンド-1,4-D-グルカノヒドロラーゼ、又はEC 3.2.1.4.)、エクソグルカナーゼ、若しくはセロビオヒドロラーゼ(CBH、1,4-β-D-グルカンセロビオヒドロラーゼ、又はEC 3.2.1.91.)、β-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21))と共に溶解させて、続いて、例えば、セルロースの再生時に球形化してもよいことが想定される。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される皮膚充填剤は、例えば、骨再建のための骨充填剤ペーストとして、又は食品用途における充填材料(例えば、食感及び/又は口当たりのための足場を提供するための食品工学のため)又はフォーム(例えば、骨、軟骨、軟部組織の再建、食品、断熱材、包装などのため)として使用するために適合化されてもよいことが想定される。
ある特定の実施形態では、例えば、望ましくない材料、例えば、望ましくない位置又は血管に不注意に注射された物質を分解するために、注射後の粒子の溶解のために、セルロースを提供又は使用してもよいことが想定される。
以下の実施例では、非吸収性の天然由来植物系ポリマーが、合成粒子、例えば、PMMAミクロスフェアの魅力的な代替物として、開発され、試験される。
[実施例]
リンゴを基にした皮膚充填剤ペースト
本実施例では、セルロース系の皮膚充填剤を開発するために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットに記載されている脱細胞化プロトコールを使用して、リンゴ花托筒組織をまず脱細胞化した。手短に述べると、リンゴ組織をマンドリンスライサー上で1.2mm厚の薄片にした。10mmの生検パンチを使用して、リンゴ組織の円筒形円板を作製した。この円板を0.1% SDS中で脱細胞化した(国際公開第2017/136950号パンフレットに記載されているように)。
脱細胞化された10mmのリンゴ円板を得た後に、注射用ペーストを作製した。数枚の円板を50mL falconチューブに入れて遠心沈降させ、残りの液体をすべて除去した。無菌条件下で、次いで1mLシリンジのプランジャーを使用して円板を破砕し、ホモジナイズして粘度の高いペーストにした。次いでペーストを新しい1mLシリンジ(針なし)中に吸引した。シリンジに滅菌18G針を装着した後に、ペーストを押し出し得ることが見出された。より高ゲージの針を通してペーストを押し出そうとすると困難に直面し、18Gが使用した最小内径の針であった。18Gは実際に特定の皮膚充填剤の用途では許容されるかもしれないが、例えば、美容分野における特定の用途には26~27Gのサイズがしばしば望ましい。
図1は、本実施例に記載される押し出された脱細胞されたセルロースペースト(左パネル)であり、18G針でペーストをロードした後の1mLシリンジも示されている(右パネル)。
生体適合性を試験するために、パイロット動物試験を行った。手短に述べると、雌性Sprague-Dawleyラット(400~700g)の背部に、18Gシリンジを通して1mLの皮膚充填剤ペーストを3つの部位(3×1mL)に皮下注射した。セルロースは3つの異なる部位に皮下注射した(側面図(A)及び拡大像(B)については図2を参照)。4週時点でインプラント周囲に血管新生が存在し(図2(C)参照)、切除後もインプラントはその形状を保っていた(図2(D)参照)。
注射された材料は周囲組織と一体化しているように見え、このことは注射された材料の周囲の細胞浸潤及びマトリックス沈着を示す。注射部位は容易に視認ができ、ノギスで毎週測定して(高さ、x及びy幅)、インプラントがその形状を時間の経過と共にどの程度保持しているかの測定値を得た。動物をモニタリングし、注射後第4週及び第8週の時点で屠殺した。図3は、動物の体内で8週間後に細胞浸潤及びマトリックス沈着が観察されたことを示している。セルロース充填剤は生体適合性があるように思われ、時間が経過してもおおむね球状を維持していた。皮下注射から8週時点のマッソン三色染色(図3(A)(C)に示す)及びヘマトキシリン・エオシン染色(図3(B)(D)に示す)を示している((A、B)はスケールバー=2mm;(C、D)はスケールバー=200μm)。図4にノギスを利用して動物の外部からインプラント部位を手動で測定した結果を示す。8週間の試験期間を通じて、インプラント面積の減少が観察された。しかし、アスペクト比(x方向及びy方向での幅の比)は大きく変化しなかった。図5は、ノギスを使用して動物の外側で測定したところ、8週間の試験期間でインプラントの高さが約75%有意に減少したことを示している。これは、上記で観察された注射部位の面積の減少と相関している。
本試験により、有望なデータ(注射可能な生体適合性セルロースの生成)が明らかになった。しかし、本実施例では、その作製の性質上、セルロース充填剤は無定形であり、可変的で輪郭が不明確な粒子の集合体及び破砕されたセルロース構造で構成されている可能性が高かった。これは、ある特定の美容用途には特に望ましい26~27G針を通して押し出そうとすることの困難さを招く可能性がある。ほとんどの市販の皮膚充填剤製品は、本実施例では使用しなかった担体ハイドロゲル(HA又はコラーゲンが最も一般的である)中にある材料で構成されている。制御可能なサイズ特性を有する粉砕セルロースのさらなる微細な粒子の作製、及び担体ハイドロゲルとの制御可能に混合される能力について、以下でさらに詳細に記載する。
制御されたサイズの皮膚充填剤
上記の実施例1の結果に基づいて、本実施例では、皮膚充填剤として使用するためのセルロース粒子を製造するより制御された方法を開発した。より小さいゲージ針を介して注射することに適合する皮膚充填剤を開発するため、並びに制御性及び再現性の高い様式での皮膚充填剤の生産のための方法を開発するために、脱細胞化アプローチを使用して生体材料を破砕又は粉砕するいくつかの方法を試験した。
本実施例では、以下の方法に従って乾燥粉末を作製するためのプロトコールを開発して、記載する。リンゴセルロース生体材料を、以前に記載されている通りに(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットを参照のこと)、まず脱細胞化した。脱細胞されたリンゴの生体材料を得た後に、乾燥ラックの上で空気中で24時間乾燥させた。乾燥したところで、調整可能なバー粉砕機を利用して材料を微粒子に分解し、これらの粒子を数回繰り返し粉砕して粒子の集合体を作製し、次いで篩い分けて所望のサイズ及び形状にすることができた(粉砕された乾燥生体材料(左パネル)及び再水和された押し出された皮膚充填剤(右パネル)を示している図6を参照)。乾燥粉末が得られたところで、次いで粒子を乾燥生体材料の10~15倍の重量である容積のDPBS中に再懸濁させて、ペースト又は充填剤材料を作製した(図6参照)。
粉砕粒子のサイズを微細化(及び縮小)する良い方法は、それを過剰に希釈して、針のサイズを徐々に小さくしながらそれを複数回通過させることであることが見出された。この方法により、充填剤を押し出すために使用し得る最小ゲージ針は、この試験では22.5G針であった。これは、ある特定の用途に望まれるよりもまだ大きく、例えば、ある特定の用途では、皮膚充填剤は、ゲージ26~31サイズの針で注射されることが望ましい。
顕微鏡観察の結果、この粉末を作製する方法は、材料の大きな塊のほかに、単一の無傷の構造細胞をもたらすことが見出された。これらの細胞は典型的には直径が200μmを超えるため、これは充填剤材料を微細なゲージ針を通して通過させる際の制限要因となる。注目すべきことは、使用した粉砕方法により、1~20μm領域にあるように見える非常に微細な粒子も生成されたことである。このサイズの粒子は、ある特定の用途では、移植後に有害作用を及ぼすおそれがあり、炎症、肉芽腫、及び/又は慢性/持続性の異物反応につながる可能性がある。
図7は、上記の針方法により、完全に形状があり、崩壊していないように見える単一の無傷の構造細胞(例えば、分離された細胞壁ポケット)が少なくとも一部は得られる程度に、生体材料が十分に剪断されたことを示している。
本実施例で調製された粉末サイズが比較的小さかったため、皮膚充填剤の製剤を3つ作製した。いずれの場合も、皮膚充填剤は、4%セルロース粒子(w/v)及び0.3%のリドカイン(w/v)を、生理食塩水、ヒアルロン酸、又はウシコラーゲンの分散媒中に含有した。製剤は以下の通りに作製した:
PBS皮膚充填剤中に懸濁させたセルロース:
セルロース粉末0.2943mgを以下の中に溶解させた:
・6.54mLのdH
・0.73mLの10×PBS
・0.145mLの15%リドカイン(w/v、dHO中に溶解)
ヒアルロン酸皮膚充填剤中に懸濁させたセルロース:
セルロース粉末0.2031mgを以下の中に溶解させた:
・5.078mLの0.2%非架橋性ヒアルロン酸(m/v、PBS中に溶解)
・0.102mLの15%リドカイン(w/v、dHOに溶解)
コラーゲン皮膚充填剤中に懸濁させたセルロース:
セルロース粉末0.1835mgを以下の中に溶解させた:
3.6mLの0.3%(m/v)Corning(登録商標)コラーゲンI、ウシ
0.45mLの10×PBS
0.36mLの0.1N NaOH
0.09mLの15%リドカイン(w/v、dHO中に溶解)
上記のように、生体適合性を調べるために、小規模の動物実験を行った。手短に述べると、雌性Sprague-Dawleyラット(300~700g)の背部に22.5Gシリンジを通して、0.4mLの各皮膚充填剤を3つの部位(3×0.4mL)に皮下注射した。いずれの場合も、植込み4週間後に動物を屠殺し、組織切片を収集した。
4週間の試験期間の間、注射部位は容易に視認ができ、ノギスで毎週測定して(高さ、x及びy幅)(図8参照)、インプラントがその形状を時間の経過と共にどの程度保持しているかの測定値を得た。
図8は、インプラントの高さを時間の関数として示している。様々な製剤間で統計的有意差は認められなかった。しかし、HA及びコラーゲンの濃度の点では市販製品とは約10倍の差があることが認められた。低w/v濃度のコラーゲン/HAハイドロゲルと一致して、この結果は、高さが約50%減少する生理食塩水を基にした充填剤と同様の挙動であるように思われる。
図9は、ノギスで動物の外部から測定したインプラント塊の算出体積を時間の関数として示している。高さ、x幅及びy幅を使用して、半楕円体を仮定して、インプラント体積を算出した。様々な製剤間で統計的有意差は認められず、高さの減少と一致する傾向を示した。
実施例1と同様に、このアプローチには、ラット動物モデルに皮下注射し得るセルロース粉末を用意した。しかし、粒子の寸法を細かく制御しないと、結果としてサイズの広い分布が起こる可能性があり、それは望ましくない影響を及ぼす可能性のある望ましくない小さな粒子(20um未満)を含むこともあれば、及び/又は針詰まりにつながり得る粒子の大きな塊(200umを上回る)を含むこともある。このため、以下に記載するように、粒子サイズ制御の強化のためのさらなる試験及び開発を行った。
高度に制御された粒子径を有する皮膚充填剤
本実施例に記載される開発及び試験は、以下を提供することを目的とした:
1.脱細胞化された植物から、制御可能な平均直径、例えば、100μm未満の平均直径を有するセルロース粉末を製造する;
2.その結果得られた粒子を15kGyのレベルのガンマ線照射により滅菌し得るか否かを決定する;
3.20%の粒子(v/v)、0.3%のリドカイン(v/v)、及び79.3%の分散媒(生理食塩水、3.5%ウシコラーゲン(w/v)又は1%架橋ヒアルロン酸(w/v))で構成される3種類の皮膚充填剤製剤を作製して、他の皮膚充填剤製品の製剤と比較する;
4.動物生体適合性試験を複数の動物で行う;並びに
5.インビトロ細胞培養試験を行う。
粒子寸法
PMMA粒子は、永続的な皮膚充填剤のゴールドスタンダードとなっている。それらは簡単に生産することができ、サイズも正確に制御される。しかし、それらの球が硬質で不透過性であることを考慮すると、体内に組み込まれた後に結果的に生じる組織は、ヒトの組織とは異なり、主として合成ミクロスフェアで構成されたままである。図10は、植込みから3カ月後の30~50umのPMMAミクロスフェア(白丸印)を示している。インプラントの周囲に天然の組織が増殖しているものの、組織中のPMMAの体積比率は非常に高い。このことは、組織が天然の細胞及びタンパク質ではなく、主として合成材料で構成されることを示している。
直径30μmの球を考えると、この場合には、球の表面積は2827μm、体積は14137μmである。この体積は、注射を受けた領域で増殖し得る天然組織の総排除体積を表す。表面積対体積比(SA:V)は0.2である。これは、細胞及びマトリックスタンパク質は球の表面に沈着し得るが、硬質の粒子自体によって排除される総体積に比べると非常に少量であることを意味する。
一方で、直径60μm、又は半径30μmのほぼ円形の薄い粒子、又は薄片(約0.1μm)を考えてみる。この場合には、表面積2846μm(30μmの球とほぼ同じ)、排除体積283μmとなる。したがって、SA:Vは約10である。これは、排除される体積に対して利用可能な表面積が50倍に増加することを表す。換言すれば、直径60μmの薄片は、細胞増殖及びマトリックス沈着を支持するのに同程度の量の表面積を提供するが、増殖する天然組織に対する相対体積に比して排除ははるかに少ない。
本発明者らが多くの試験で観察したように、植物組織の薄い壁(約0.1μm)は、その上で細胞及び組織が増殖して浸潤し得る優れた支持構造を提供する一方で、血管、マトリックス沈着、組織集積のための十分な空間も残している。
したがって、本実施例では、他の皮膚充填剤製品と比較して、永続的な充填剤粒子に対して天然組織のSA:V比がより優れる永続的な皮膚充填剤を生産することを目指した。このため、以下に記載する取り組みでは、球形粒子でなく、植物由来の天然の薄片を開発することを目指した。さらに、直径100μm未満の薄片は、上記の以前の製剤とは異なり、26~27Gシリンジを通して注射することができる。これにより、天然物、非吸収性の永続的な構造、高い生体適合性、及び天然組織の大幅な増加という利益が結果として得られる可能性がある。皮膚充填剤処置では、患者自身の身体が、欠損部をできる限り多くの天然の組織に置き換え得ることが望ましい。本戦略は、これらの目標を念頭に置いて設計されている。
セルロース薄片の製作
本実施例において天然粒子の代替物を作製する最初のステップは、植物材料を脱細胞化することであった。このプロセスは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hickey, R. et al., Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds. ACS Biomater. Sci. Eng., 4, 3726 (2018)に概説されている、確立されたプロトコールを使用して達成された。最終製品は患者に使用し得ることを目的としたため、標準化されたGLP及びGMPの方法を確立することが重要であった。今回は、材料をGLPに準拠した様式で生産した。図11は、無菌試料処理を示しており、GLPバージョンの脱細胞化プロセスを、無菌材料及び無菌手法を用いて行った。
軟質材料を処理してセルロース薄片を作製するために、足場を凍結乾燥機(48時間、-46C、0.05mbar)で冷凍乾燥させた。材料が乾いたところで、それを直ちにRetschグラインダーに入れた。バルク粉砕は18000rpm、12000rpm、及び6000rpmで行った。高速化により処理時間が短縮された。粉末のサイズを80μm未満に制限するために80μmフィルターを使用した。フィルターを設置した状態では、本発明者らには、最終的な粒子サイズ、寸法、又は収率の粉砕速度に対する依存性は観察されなかった。このため、高速粉砕を利用して加工時間を短縮した。
図12は、記載されているようなリンゴ由来の脱細胞化セルロース足場の凍結乾燥のプロセスを示している。図12(A)は、脱細胞化された材料を収集してFalconチューブに入れて、水蒸気を蒸発/昇華させて逃がすためにチャネルを加圧して材料の中に入れたことを示している。図12(B)は材料を凍結乾燥器に取り付けたことを示し、図12(C)は冷凍乾燥を-46C、0.05mbarで48時間行ったことを示している。図12(D)は冷凍乾燥された最終製品を示している。図13は、記載されているように、乾燥されたセルロース生体材料を18000、12000、及び6000rpmで粉砕して粉末にし、同時に80umフィルターを通過させたことを示している。処理後の収集トレイが示されている。処理時間を短縮するために、最も速いRPM設定を使用した。粉砕速度が粒子サイズの分布に及ぼす影響は観察されなかった(以下に示すデータ)。
図14は、濾過プロセスをさらに詳細に示している。図14(A)は、80μmフィルターで材料を粉砕して得られた粉末を、(B)45μm及び25μmの篩(B)に通して湿式篩い分けに供し(B)、粉末のサイズ範囲を制限したこと(C)を示している。粒子の狭いサイズ範囲を、遠心法によって濃縮した(図14(D)参照)。自動化湿式篩により、処理時間及び効率が劇的に改善され、以後はこれを慣行的に使用した。
プロセスはまず以下の通りに行った:5mLの緩く充填された粉末をdHO中に再懸濁させて最終容積45mLとし、篩に注いだ。粒子を3分間連続して洗浄した。3分後に上の篩(45μm)を除去し、第2の篩(25μm)を攪拌して、さらに3分間洗浄した。この材料をFalconチューブに収集して遠心処理した:収率はおよそ20%であった(体積25mLの乾燥粉末から体積5mLの湿潤粉末が単離された)。
自動湿式篩い分けは、ISO 565 BS 410 ISO 3310-1 25及び50μmステンレス鋼8インチ篩を装着したGilson SS 23湿式/乾式篩振動機並びにノッチ付き収集バケットを使用して行った。5mLの乾燥粉末を45mLのdHO中に希釈した。篩を、大きいメッシュを上に乗せた振動機の上に置いた。振動機を作動させ、粒子を50μmメッシュの上から注いだ。150mLのdHOによる粒子の3分間のすすぎ洗いを3回行った。次に振動機を停止させて、上の篩を取り外した。振動機を再び作動させ、下の篩を50mLのアリコート中でdHOにより3分間ずつ3回洗浄した。次に、メッシュの表面を、角度をつけてdHOで洗浄して、濾過された材料を収集した。篩い分けされた材料を、遠心法を介して濃縮した。収率はおよそ20%であった(体積25mLの乾燥粉末から体積5mLの湿潤粉末が単離された)。
粉末の収率を評価するために、プロセスにおける重要な段階で質量を記録した。最初の質量はリンゴに何らかの操作を行う前に記録した。質量はリンゴによって異なるため、リンゴの数は出発材料含有量の十分な尺度とはならなかった。リンゴの数と一組のリンゴの総質量を一緒に合わせることにより、収率決定の基準点が得られる。脱細胞化の後に、材料を凍結乾燥させて、上記に概説したような乾燥され脱細胞化された塊を得た。次いで、乾燥材料を粉砕して粒子状形態にした。処理中に試料のある程度の損失があった;このため、粉砕プロセス中の損失を評価するために粉砕質量を算出した。次のステップは、50μm及び25μmの篩を使用する自動化篩により粒子を濾過してサイズ分布を制限することを伴った。最終収率を定量するために、篩い分けされた粒子を凍結乾燥して水分を除去した。
Figure 2023528928000002

Retschトレイからチューブへの粉末の移行は、手袋、チューブ、及び空気による静電気帯電を避けるために、薬匙を使用してドラフト内で簡単に行われた。市販されている既存のある特定の製品では、20μm未満の粒子サイズが、貪食及び/又は免疫応答増大につながり得ることが示されている。このため、粒子のサイズを制限することを目指した。粒子を湿式濾過プロセスで2つの篩(45及び25μm)に通した。
粒子サイズの特性評価
蛍光顕微鏡検査及び走査電子顕微鏡検査(SEM)を使用して、粒子サイズの特性評価を行った。蛍光顕微鏡検査のために、粒子を0.22μmフィルター処理済みの0.1%コンゴーレッド色素により染色した。撮像は2.5倍及び10倍で行った。SEM試料は、凍結乾燥を使用して乾燥標本として撮像した。伝導が可能になるように、金スパッタリングを行って、5~10nmの金の層で粒子をコーティングした。図15は、コンゴーレッドで染色された粒子を示している。粒子を0.1%コンゴーレッドで染色して、2.5倍(A、B)及び10倍(C、D)で撮像した。(A、C)濾過していない粒子。(B、D)濾過した粒子。画像されたそれらの画像を収集して、粒子サイズの分布を定量化する。典型的には、2.5倍の画像10枚から約1000個の粒子が得られるが、これは統計的に有意なサンプルサイズである。
顕微鏡画像を使用して、粒子サイズの分布を分析した。画像処理にはFiji(ImageJ社)を使用し、結果の分析にはOrigin 2020を使用した。画像のバッチ処理のために、生の画像をFiji(ImageJ社)でスタックにアセンブルした。画像をまずグレースケールに変換し、次いで自動閾値設定機能を使用して閾値処理した。適正な制限が適用されていることを確認するために、閾値処理について目視で検証した。次に、分析用の粒子関数を適用して、面積、形状記述子、重心、適合楕円、及びフェレット径を算出した。粒子分析にサイズ制限又は形状制限は課さなかった。分布の偏りを避けるため、視野の端にある粒子を除いた上で、すべての粒子を分析した。分析した粒子輪郭の出力画像ファイルを元の画像と比較して、セグメント化が確実に適正であるようにした。
図16は、記載されているような粒子サイズ分析を示す。粒子は、Fiji(ImageJ社)を使用して閾値処理及びセグメント化された。図16(A、B)は濾過した粒子を示し、図16(C、D)は濾過していない粒子を示している。図16(A、C)は閾値処理された画像を示し、図16(B、D)はサイズ分析による粒子の輪郭を示す。
光学顕微鏡検査及び蛍光顕微鏡検査により、粉砕されたセルロース粉末は球形粒子ではなく薄片を形成しているように見えることが明らかになる。不規則な形状の物体を調べるために計算することができる定量的記述子には、真円度、円状率、アスペクト比、最小及び最大フェレット径など多くの種類がある。材料が不規則な薄片の集合体であることから、最も有用な形状記述子は、粒子形態を記載するための最大及び最小フェレット径、厚み、並びに投影2D面積であると判断した。
これらの分析手法を粉末に適用することにより、篩い分けの前には試料は非常に大きいサイズ分布を示すが、篩い分け後には試料はより狭いサイズ分布を示すことが明らかになった。特に、小さい粒子は濾過によって除去される。濾過していない粒子の広いサイズ分布は、投影粒子面積でも明らかである。濾過していない試料の平均投影粒子面積は2036.42±242.53μmであったが、一方、濾過した粒子の平均面積は236.92±38.18μmであった。平均最大フェレット径には有意差があった(P=7.4×10-55)(濾過なし=47.34±1.04μm、濾過あり=68.84±0.63μm)。最大フェレット径を使用した場合、20μm未満の粒子のパーセンテージは、濾過した場合で1.6%、濾過していない場合で29.5%であった。同様に、平均最小フェレット径にも有意差があった(P=6.67×10-56)。濾過していない粒子の平均最小フェレット径は31.73±0.72μmであり、濾過した粒子のサイズは46.51±0.37μmであった。すべての値は平均値及び平均値の標準誤差である。濾過なしN=2292、濾過ありN=1595。
図17は、濾過した及び濾過していない脱細胞化されたリンゴ粒子の粒子サイズ分析を示している。粒子サイズの定量にはフェレット径を使用した。各条件についてN=15の画像を、コンゴーレッドで染色した粒子の蛍光顕微鏡画像から分析した。濾過なしN=2292、濾過ありN=1595。平均値には統計的に有意差があった(P=7.4×10-55)。
光学顕微鏡検査の結果を確認し、セルロース粉末中の粒子の形態をより良く理解するために、走査電子顕微鏡検査(SEM)を使用した。強力な撮像手法であるにもかかわらず、SEM用の粉末の調製には、乾燥、粉砕及び金コーティングがさらに必要であった。これにより、薄片が撮像方向に対して種々の角度に配向すること、サイズの変化、及びアーティファクトの導入のおそれがある。
図18は、脱細胞化されたリンゴ粉末をSEM顕微鏡写真を、拡大率を増加させながら示している(A~D)。図19は、薄片の直径を決定するための手作業による画像処理を示している。薄片は不規則な形状をしており、単一の長さの記述子ではこの複雑さを捉えることができない(出典:脱細胞化されたリンゴ)。図20は、脱細胞化されたリンゴのSEMによる粒子サイズ分布を示している。分布から、47.11±1.11um(薄片のN=133枚)のピークが明らかになった。SEM画像分析から得られた分布は、光学的方法よりもはるかに狭かった。しかし、この方法には、手作業のアプローチで粒子を一度に1つずつ測定するためにN値が小さくなる、粒子の角度の向きの影響、及び辺縁を確実に検出する能力などの点で欠点がある。これらの問題のために、この方法は粒子サイズの特性評価には望ましくないものであった。
種々の粒子製剤に対する粉砕速度の影響
粉砕速度はセルロース薄片の製作時に重要な変数であった。本試験において、速度は粒子サイズ特性(自動化光学分析によって決定された)に影響を与えず、植物種のタイプによっても変化しなかったこと(リンゴとセイヨウナシを比較)を示すデータを以下に提示する。
図21は、自動湿式篩い分け濾過の前に測定した、種々の速度で脱細胞化されたリンゴの粉砕後のサイズ分布を示している。粒子は、篩い分けの前に6000RPM(黒)及び18000RPM(グレー)で粉砕することによって生成させた。2つの分布は類似していた。平均粒子サイズは6000RPMでは73.07±0.58μm、18000RPMでは73.50±0.56μmであった。値は平均値及び平均値の標準誤差である。6000RPMについてはN=2579、18000RPMについてはN=2354。平均粒子サイズには有意差はなかった(P=0.58)。
Figure 2023528928000003
Figure 2023528928000004
ガンマ線滅菌
ガンマ線照射は、臨床現場で使用するための生体材料を滅菌するための重要なステップである。15kGyレベルのガンマ線照射は、植物を基にした無菌の生体材料を生産するために十分であることが明らかにされている。以下に示す結果は、ガンマ線を照射した試料と非照射試料の間で粒子サイズに有意差は認められないことを示している。
上記のように、Canada Fancy社のマッキントッシュ種リンゴを地域のスーパーマーケットで購入して、翌日に使用した。脱細胞化された原材料を調製するには、SOPに従った。手短に述べると、リンゴの皮を剥いてから、マンドリンスライサー上で1mm厚の薄片にした。次いで薄片を0.1% SDS溶液に移し、120RPMの振盪機に3日間置いた。溶液を毎日1回交換した。次に、薄片を滅菌dHOで3回洗浄し、100mM CaCl溶液に移して、振盪機に戻して24時間置いた。次いで生体材料を滅菌dHOで3回洗浄し、70%エタノールにより30分間滅菌した。次いで試料を滅菌dHOで3回洗浄し、滅菌dHO中で翌日まで保存した。次いで水を除去し、試料を-46℃、0.050mbarで2日間凍結乾燥させた。乾燥したところで、脱細胞化された材料を、80μmフィルターを備える速度18000RPMに設定したRetsch粉砕機で粉砕した。
セルロース粉末のサイズを、45μm及び25μm篩により、湿式篩い分けを使用してさらに制限した。粉末を1000RPMの速度で3分間遠心処理して濃縮した。次いで粒子を、10mLの滅菌dHOに対して粒子1mLの濃度でNalgeneボトルに保存した。出発材料の別々のバッチから各条件により3つずつの試料を調製した。
図22は、表示ステッカー付きのガンマ線照射用の密封Nalgeneボトル内の粒子懸濁液の試料を示している。
Nalgeneボトルは、改竄されない環境を提供するために収縮包装で密封した。ボトルにはガンマ線照射用の変色指示薬のラベルを貼った;これはガンマ線照射への曝露後に色調がオレンジ色から赤に変わる。試料には最低でも15kGyを照射した。次いで試料を、検査するまで4℃で保管した。
照射試料及び非照射試料を分析した。粒子サイズの評価には、Keyence電子顕微鏡検査を使用した。記録したパラメーターは、粒子面積、最大面積、最小面積、及び周囲長であった。粒子をコンゴーレッドで染色して、粒子の可視化を可能にした。自動化マイクロピペットを使用して、1mLバイアルに試料500μL及び三重フィルター処理(0.22μm)済みの0.2%コンゴーレッド150μLを添加した。バイアルを混合して、冷蔵庫で一晩保存した。染色された懸濁液の少量アリコートをスライドガラスとカバーガラスとの間に置いた。各標本は、蒸発による干渉を避けるために撮像の直前に調製した。上記のようにして調製した標本を、Z20Tレンズを装着したKeyence VHX-5000デジタル顕微鏡検査システムを使用して、SGS PSI Method ID 27940 Revision 3に従って検査した。撮像は、元の倍率である200倍で偏光透過光により行った。各試料懸濁液から調製した標本を、二次元ステッチの特徴を使用して撮像した。標本の領域は、集中した切片又は気泡を避けて、粒子がよりランダムに分散するように選択した。Keyence社のソフトウェアのオートエリア機能を使用して、各画像における「グレインサイズ」を測定した。粒子に対する色素の優先的な結合の色調を選択した後に、測定する物体のリストを、接触した又は重なり合った粒子の塊から個々の粒子への移行時のおおよその最大直径について検討した。次いで、より大きなグレイン及び画像の端で中断されたものに対して除外を適用した。分析は、試料あたり最低1,000個の粒子が測定されるまで繰り返した。図23は、Keyence電子顕微鏡検査から得られた試料画像を示している。明るい赤色のオーバーレイは、分析に使用した粒子を示している。
粒子の平均面積は、ガンマ線を照射した粒子及び照射しなかった粒子について有意差はなかった(P=0.91、試料N=3)。平均粒子面積はそれぞれ1885.3±1144.6μm及び1705.4±984.9μmであった。面積のヒストグラムは図24に表示されている。分析した粒子の総数は、照射試料については3800個、非照射試料については4692個であった。図24は、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射しなかった粒子(N=4692)について粒子面積を示している。
粒子は純粋な球形ではなかったため、最大フェレット径(又は最大径)は、不規則な形状の粒子サイズを評価するのに有用な量であった。この測定は、粉末及び粒子の分析において一般的に実施されるものである。粒子の最大直径は、ガンマ線照射粒子及び非照射粒子について有意差はなかった(P=0.97、試料N=3)。平均粒子サイズはそれぞれ62.0±20.1μm及び61.0±18.4μmであった。直径のヒストグラムは図25に表示されている。図25は、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射しなかった粒子(N=4692)の粒子最大径ヒストグラムを示している。
最大直径とは対照的に、最小粒子サイズを評価することも重要である。最小直径についても、ガンマ線を照射した粒子及び照射しなかった粒子で有意差はなかった(P=0.90、試料N=3)。平均最小粒子サイズはそれぞれ46.5±15.0μm及び44.4±13.2μmであった。直径のヒストグラムは図26に表示されている。分析した粒子の総数は、照射試料については3800個、非照射試料については4692個であった。図26は、ガンマ線を照射した粒子(N=3800)及び照射していない粒子(N=4692)の粒子最小直径ヒストグラムを示している。
以上を総合すると、これらの結果は、ガンマ線照射によって粒子サイズが大きくは変化しないことを示している。データのさらなる吟味により、湿式篩い分けを利用する現行の製造方法では、粒子の0.32%未満が最大直径20μm未満であることが示された。20μm未満の粒子は貪食される及び/又は免疫反応を誘発する可能性があるため、この結果は、インビボでの使用において特に興味深い。これに対して、市販されているBellaFill皮膚充填剤粒子は、その材料の1%未満が直径20μm未満であると報告している。
粒子は本質的に球形ではない;それ故に、上記に提示したようないくつかの形状記述子を使用して、その形状を記載してもよい。重要なこととして、これらの特性はいずれも15kGyのガンマ線照射後に変化しなかった。
サイズ制限の代替的アプローチ
湿式篩い分けに加えて、粒子を分離するために分画遠心法を使用してもよい。また、分別遠心法は、処理時間及び水使用量を減少させ得る閉鎖的生産プロセスである場合もある。分画遠心法は、粒子サイズに基づいて粒子を分離するために使用され得る手法である。遠心法は沈降プロセスを加速するために使用される。分離の速度は、有効重力、流体の粘度、経路長、及び時間に依存する。以下の式は、前述の変数の間の関係をまとめている。これらの式は、粒子が均一で球形であることを前提としており、今回の粒子の場合はそうではない。にもかかわらず、これらの考慮事項は変数の構成の出発点となる。
Figure 2023528928000005
図27は、分画遠心法を介して得られたリンゴ由来粒子の粒子サイズ分布を示している。(A)は、手作業による篩い分け(45μm)により最初に大きな粒子サイズを除外した後の濾過していない粒子のサイズ分布を示しており、(B)は、1000rpmで1分間の遠心法を5回繰り返した後の分布を示している。すべての材料を収集するために、5000rpmで7分間の遠心法を使用した。
インビトロ生体適合性
細胞生存率に対する粉末の影響を評価するために、インビトロ生体適合性試験を実施した。この試験は、モデル系統としてしばしば使用されるNIH3T3マウス細胞に対する濾過した粒子及び濾過していない粒子の影響を比較するために実施した。アッセイには滅菌粉末を使用した。DMEM培地中に3T3細胞を含有する6枚のプレートを、以下の条件で使用した:
・対照-粒子又は色素は使用せず、細胞のみを使用
・CRにより前染色した濾過した粒子;
・濾過した粒子-色素なし;
・CRにより前染色した濾過していない粒子;
・濾過していない粒子-色素なし;
・色素対照-色素のみを有する細胞。
濾過した粒子を有する試料を調製するために、濾過した生体材料(粉砕及びその後の湿式篩い分けを介して上記のように作製されたリンゴ粒子)を使用した。20mLの容積(2mLの粒子を含む)を2本のチューブに分け、5000RPMで7分間遠心した。ペレットを蒸留水に再懸濁させて最終容積3.5mLとした。0.2% CRの175μLを試料の1つに添加した(チューブ内のCR濃度は0.01%)。粒子を10分間染色した。チューブの内容物を、対応するプレートにピペットで移した(各プレートに1mLの湿潤粒子に相当する量を入れた)。
濾過していない粒子を有する試料を調製するために、濾過していない生体材料(粉砕及びその後の湿式篩い分けを介して上記のように作製されたリンゴ粒子)を使用した。2mLの粉末を蒸留水に再懸濁させて最終容積7mLとした。この溶液を2つのチューブに分け、175μLの0.2% CRを一方の試料に添加した(チューブ内のCR濃度は0.01%)。チューブの内容物を、対応するプレートにピペットで移した(各プレートに1mLの湿潤粒子に相当する量を入れた)。
色素対照を調製するために、175μLの0.2% CRを、粒子を有しない3T3細胞を含有するプレートに添加した。
すべてのプレートを37℃、5% COで48時間培養し、その後に観察した。
図28は、AA(リンゴ)粒子を使用したインビトロ細胞培養試験を示している。青色=3T3細胞核。場合によっては、Hoechst 33342染色の結果として大きな粒子の薄片も視認し得る。赤色=遊離性の粒子を洗い流した後に残った、0.01%コンゴーレッドで染色された粒子。図28(A、B)は対照を示している。図28(C、D)=対照及び染色。図28(E、F)=濾過:25~45μm。図28(G、H)=濾過:25~45μm及び染色。図28(I、J)=濾過なし。図28(K、L)=濾過なし及び染色。スケール=250μm。
これらの結果により、濾過していない粉末は細胞の生存率に有害な影響を与えることが示される。48時間後には、かなりの数の細胞が死滅し、培養プレート内で明らかに壊死性であり、及び/又は浮遊していた。対照的に、濾過した粒子を有するプレートでは、細胞密度が高く、対照と同程度である。細胞は正常で生存可能である外観である。粉末によって誘導される細胞死の正確な機構はあまり詳細には研究されていないが、これらの結果は、直径20μm未満の粒子が細胞毒性を有することと一致する。この場合、濾過していない溶液は、20μm閾値以下の粒子を多数含有しており、細胞死の増加の原因となる可能性がある。細胞死の原因はあまり詳細には調べられていないが、浸透圧の影響及び小粒子の貪食によるアポトーシスの両方が仮説として立てられている。浸透圧ショックの過酷さを変化させるために粒子懸濁液の濃度を低くした結果から、それが観察された細胞死の主要な要因であることが示唆されている。予備試験では、濾過していない粒子及び50倍に希釈した濾過した粒子のいずれについても、それと共に培養した細胞は生存可能であった。
濾過した粒子では優れた結果が得られ、濾過した粒子を有する場合に細胞密度は高く、対照と同等であることが示された。細胞は正常で生存可能である外観であった。
皮膚充填剤の製剤化及び製作
粒子は、皮膚充填剤及び皮膚充填剤用途に使用される可能性があるため、シリンジ及び針による送達への適用性について試験した。粒子の粘性混合にはアルギネートを使用した。
製剤は、アルギネートを体積比で0.5%、粒子を20%含有した。製剤を作る最初の試みでは、1%アルギネート5mLを水5mLに入れて混合することによって液体構成要素を作製した。この溶液は幾分粘性があった;しかし、それは従来のピペッティング手法によって容易に混合することができた。次に、液体構成要素(上記のように調製したもの)に、濾過していない粉末2mLを添加した。従来のピペッティング及び攪拌では、粒子の均一な溶液は得られなかった。同様に、ボルテックス処理では均一な懸濁液が生成されなかった。
別のアプローチでは、まず、濾過していない粉末2mLを水5mLと組み合わせた。この混合物を1%アルギネート5mLに500μLアリコートとして徐々に導入した。このアプローチにより、溶液の混合は非常に容易になり、より均一な最終組成物が得られた。
次いで、これら2つの製剤を使用して針閉塞試験を行った。27G針を使用した。どちらの製剤も針を塞いで詰まった;第1の方法では直ちに詰まった。
調製した3番目の製剤は、第2のプロトタイプと同じであるが、ただし、濾過していない粒子の代わりに25~45μmの粒子を使用した。同じ針閉塞試験を適用したところ、粒子混合物は針を塞がなかった。
図29は、アルギネートを有する注射用皮膚充填剤を示している。粒子は体積の20%を占めた。2つの混合方法を試験した。(A)は、粉末を水及びアルギネート溶液の中に混合することを示している。(B)は粉末をまず水構成要素に混合し、続いてアルギネートをゆっくりと添加することを示している。最初の方法では十分に混ざらず、針が詰まった。第2の方法では十分に混ざり合ったが、濾過していない粒子が針を詰まらせた。濾過していない粒子を濾過した粒子に置き換えると、混合物は容易に押し出すことができた。
これらの結果は、プロトタイプに使用した混合プロセスをさらに最適化し得ることを示している。第1の構成要素を別の構成要素にゆっくりと添加することには時間がかかり、材料の移行が複雑になると、混入のリスク、さらには誤差伝播も高くなる。
このため、ルアーロック(F/F)シリンジ連結器を使用して、充填剤の構成要素を混合した。1本のシリンジに、0.9%生理食塩水、及び混合プロセスを可視化するための0.1%コンゴーレッド色素と混合した粒子をロードした。第2のシリンジには1%アルギネートをロードした。2本のシリンジをルアーロック(F/F)で接続した。これらの溶液を、一方のシリンジからもう一方に材料を60回行き来させることによって混合した。混合が完了した後に、材料を一方のシリンジに移した。空のシリンジを外し、代わりに1ccのシリンジを取り付けた。所望の容積(この場合は400μL)をシリンジにロードした。1ccのシリンジを外して、適切なサイズの針を装着した。
図30は、シリンジルアーロック連結器による皮膚充填剤構成要素の混合を示している。(A)は、個々のシリンジにロードされた2つの構成要素を示している。透明な液体は1%アルギネートであり、赤い液体は0.9%生理食塩水及びリドカインの中に懸濁化された粒子である(最終濃度=0.3%)。コンゴーレッドは可視化のために添加した(最終濃度0.1%)。(B)はルアーロック連結器を示している。(C)は構成要素の混合を示している(合計60回の行き来を行った)。(D)は、ルアーロックを外して、押出し用の針に換えたことを示している。溶液が27G針を塞いでいないことに注目されたい。
本実施例において使用される皮膚充填剤製剤並びにその調製のためのアプローチ/手順のさらなる例は、以下の通りである:
生理食塩水分散媒を有する皮膚充填剤製剤
重要な設備
1.安全キャビネット
2.遠心機(50mL Falconチューブ及び微小遠心機の両方の能力)
3.ピペットガン
4.マイクロピペット
溶液
1.70%エタノール
2.滅菌水
3.滅菌生理食塩水(0.9%)
4.リドカイン2%
手順
段取り
1.安全キャビネット(BSC)の電源を入れる。
2.AccelワイプでBSCを清拭する。
3.70%エタノールを使用して50mL Falconチューブ及びラックに噴霧して、BSCに設置する。1本のFalconチューブを使用して粒子を収集した;別の1本を廃棄物容器として使用した。
4.Accelワイプを使用してピペットガンを清拭して、BSCに移す。
5.未開封の収縮包装したボトルに入ったガンマ線を照射した粒子の写真を、放射線表示ステッカーが見える状態で撮影する。
6.粒子ボトルをAccelワイプで清拭して、BSCの中に入れる。
7.容器を振盪して粒子を再懸濁させる。
8.滅菌済みの0.9%生理食塩水の新しいボトルを清拭して、BSCに移す。
粒子の調製
1.材料移行のステップはすべて、BSC内で無菌法を使用して遂行した。滅菌手袋を使用した。
2.50mL Falconチューブに、ガンマ線照射ボトルの内容物の全体(20mL)を注ぎ入れる。
3.粒子を1000rpmで3分間、室温で遠心処理する。
4.FalconチューブをAccelワイプで清拭して、それをBSCに戻す。
5.ピペットガンを用いて上清を廃棄する。一部の粒子が溶液中で再懸濁化する可能性があるため、バイアルを傾けて移すこと、又は激しく動かすことはしてはならない。
6.6.8mLの滅菌0.9%生理食塩水中にペレットを再懸濁させる。十分に混合する。
7.1.2mLの2%リドカインを添加する。十分に混合する。
8.オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管に、溶液の500μLアリコートを移す。注:オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管のパッケージはフード内で開封した。外側の包装はフードの表面に触れないようにし、開いた容器の上も通過させなかった。
シリンジのローディング
1.BSC内に、BSCの一方の側に滅菌済みのハックタオルを置くことによって無菌野を作製する。
2.1人の研究者がオープン法を使用して滅菌手袋を装着した。この研究者は無菌研究者と特定される。
3.非無菌研究者が滅菌1ccシリンジをBSCに運び入れた。パッケージはどの表面にも触れなかった。パッケージを開封して、無菌野に落とすか、又は無菌研究者によってそこに置かれる。
4.針についてステップ3を繰り返した。針ゲージは26Gとした。
5.非無菌研究者が、皮膚充填剤を含有する微量遠心管を45度の角度で保持し、その間に無菌研究者が400μLをシリンジ内に吸い込む。
6.ロードしたシリンジに緩くリキャップをした。注:キャップを無菌野の上に置き、針を片手でキャップに挿入した。針が触れられるか又はプラスチックキャップに貫通した場合に備えて、両手を使うことは避けた。
7.ロードしたシリンジを、ラットの手術場所に隣接する無菌野に移す。
ヒアルロン酸担体ハイドロゲルを有する皮膚充填剤製剤
重要な設備
1.安全キャビネット
2.遠心機(50mL Falconチューブ及び微小遠心機の両方の能力)
3.ピペットガン
4.マイクロピペット
ヒアルロン酸キット
1.HyStemキット-Advanced BioMatrix社-Cat GS311
溶液
1.70%エタノール
2.滅菌水
3.滅菌生理食塩水(0.9%)
4.リドカイン2%
手順
段取り
1.安全キャビネット(BSC)の電源を入れる。
2.AccelワイプでBSCを清拭する。
3.冷凍庫/アイスパックからHyStemパッケージを取り出す。HyStemパッケージを開封し、バイアルを室温まで温める。
4.70%エタノールを使用して50mL Falconチューブ及びラックに噴霧して、BSCに設置する。1本のFalconチューブを使用して粒子を収集した;別の1本を廃棄物容器として使用した。
5.Accelワイプでピペットガンを清拭して、BSCに移す。
6.未開封の収縮包装したボトルに入ったガンマ線を照射した粒子の写真を、放射線表示ステッカーが見える状態で撮影する。
7.粒子ボトルをAccelワイプで清拭して、BSCの中に入れる。
8.容器を振盪して粒子を再懸濁させる。
9.滅菌済みの0.9%生理食塩水の新しいボトルを清拭して、BSCに移す。
粒子の調製
1.材料移行のステップはすべて、BSC内で無菌法を使用して遂行しなければならない。滅菌手袋を使用した。
2.50mL Falconチューブに、ガンマ線照射ボトルの粒子溶液の内容物の全体(20mL)を注ぎ入れる。
3.粒子を1000rpmで3分間、室温で遠心処理する。
4.FalconチューブをAccelワイプで清拭して、それをBSCに戻す。
5.ピペットガンを用いて上清を廃棄する。一部の粒子が溶液中で再懸濁化する可能性があるため、バイアルを傾けて移すこと、又は激しく動かすことはしてはならない。
6.10mLの滅菌0.9%生理食塩水中にペレットを再懸濁させる。十分に混合する。
7.オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管に、溶液の500μLアリコートを移す。注:オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管のパッケージはフード内で開封した。外側の包装はフードの表面に触れないようにし、開いた容器の上も通過させなかった。
8.微量遠心管を1000rpmで3分間、室温で遠心処理する。
9.バイアルをAccelワイプで清拭して、それをBSCに戻す。
10.マイクロピペットを使用して上清を廃棄する。
ヒアルロン酸製剤
1.すべてのバイアルをAccelワイプで清拭する。調製プロセスを通じて無菌法を使用した。
2.シリンジ及び針を使用して、1mLの脱気(DG)水をGlycosilバイアルに添加する。注:Glycosilは酸素の存在下で架橋する;キャップを外さないこと。
3.バイアルを横向きにして、固体が完全に溶けるまで振盪する。
4.シリンジ及び針を使用して、0.5mLのDG水をExtralink-Liteバイアルに添加する。数回上下を入れ替えて溶解させる。
5.Glycosilが溶解したところで、粒子のペレットを、シリンジ及び針を使用して260μLのGlycosil溶液中で再懸濁させる。
6.粒子-Glycosil混合物に、Extralink-Lite液65μLを添加する。
7.この混合物に75μLの2%リドカイン溶液を添加し、滅菌1mLピペットにより十分に混合する。
シリンジのローディング
1.BSC内に、BSCの一方の側に滅菌済みのハックタオルを置くことによって無菌野を作製する。
2.1人の研究者がオープン法を使用して滅菌手袋を装着した。この研究者は無菌研究者と特定された。
3.非無菌研究者が滅菌1ccシリンジをBSCに運び入れた。パッケージはどの表面にも触れなかった。パッケージを開封して、無菌野に落とすか、又は無菌研究者によってそこに置かれた。
4.針についてステップ3を繰り返した。針ゲージは26Gとした。
5.非無菌研究者が、皮膚充填剤を含有する微量遠心管を45度の角度で保持し、その間に無菌研究者が400μLをシリンジ内に吸い込む。
6.ロードしたシリンジに緩くリキャップをした。注:キャップを無菌野の上に置き、針を片手でキャップに挿入した。針が触れられるか又はプラスチックキャップに貫通した場合に備えて、両手を使うことは避けた。
7.ロードしたシリンジを、ラットの手術場所に隣接する無菌野に移す。
8.注射は、Extralink-Lite溶液の添加から30分以内に行った。Glycosilを調製して微量遠心管に最長4時間放置した後に、Extralink-Liteを添加することが可能であった。
コラーゲン担体ハイドロゲルを有する皮膚充填剤製剤
重要な設備
1.安全キャビネット
2.遠心機(50mL Falconチューブ及び微小遠心機の両方の能力)
3.ピペットガン
4.マイクロピペット
5.ルアーロックシリンジ連結器
コラーゲン
1.65mg/mLの線維性アテロコラーゲン
溶液
1.70%エタノール
2.滅菌水
3.滅菌生理食塩水(0.9%)
4.リドカイン2%-CDMV Cat:123683
手順
段取り
1.安全キャビネット(BSC)の電源を入れる。
2.AccelワイプでBSCを清拭する。
3.冷凍庫/アイスパックからHyStemパッケージを取り出す。HyStemパッケージを開封し、バイアルを室温まで温める。
4.70%エタノールを使用して50mL Falconチューブ及びラックに噴霧して、BSCに設置する。1本のFalconチューブを使用して粒子を収集した;別の1本を廃棄物容器として使用した。
5.Accelワイプでピペットガンを清拭して、BSCに移す。
6.未開封の収縮包装したボトルに入ったガンマ線を照射した粒子の写真を、放射線表示ステッカーが見える状態で撮影する。
7.粒子ボトルをAccelワイプで清拭して、BSCの中に入れる。
8.容器を振盪して粒子を再懸濁させる。
9.滅菌済みの0.9%生理食塩水の新しいボトルを清拭して、BSCに移す。
粒子の調製
1.材料移行のステップはすべて、BSC内で無菌法を使用して遂行した。滅菌手袋を使用した。
2.2本の50mL Falconチューブに、2本のガンマ線照射ボトルの内容物の全体(20mL)を注ぎ入れる。
3.粒子を1000rpmで3分間、室温で遠心処理する。
4.FalconチューブをAccelワイプで清拭して、それをBSCに戻す。
5.ピペットガンで上清を廃棄する。一部の粒子が溶液中で再懸濁化する可能性があるため、バイアルを傾けて移すこと、又は激しく動かすことはしてはならない。
6.8.5mLの滅菌0.9%生理食塩水中にペレットを再懸濁し合わせる。十分に混合する。
7.オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管に、溶液の1000μLアリコートを移す。注:オートクレーブ処理して滅菌した微量遠心管パッケージはフード内で開封した。外側の包装はフードの表面に触れないようにし、開いた容器の上も通過させなかった。
8.微量遠心管を1000rpmで3分間、室温で遠心処理する。
9.バイアルをAccelワイプで清拭して、BSCに戻す。
10.マイクロピペットを使用して上清を廃棄する。
粒子とコラーゲンの混合
1.BSC内に、BSCの一方の側に滅菌済みのハックタオルを置くことによって無菌野を作製する。
2.1人の研究者がオープン法を使用して滅菌手袋を装着した。この研究者は無菌研究者と特定される。
3.非無菌研究者が滅菌3ccシリンジをBSCに運び入れた。パッケージはどの表面にも触れなかった。パッケージを開封して、無菌野に落とすか、又は無菌研究者によってそこに置かれた。
4.非無菌研究者が、BSCに滅菌ルアーロックF/Fシリンジ連結器を運び入れた。パッケージはどの表面にも触れないようにした。パッケージを開封し、無菌野に落とすか、又は無菌研究者によってそこに置かれた。
5.非無菌研究者が、冷蔵庫からコラーゲンシリンジを取り出し、Accelワイプで清拭した。コラーゲンシリンジを無菌野に移した。
6.滅菌したシリンジ及び針を使用して、粒子を含有する微小遠心管に0.58mLの生理食塩水を添加する。
7.滅菌したシリンジ及び針を使用して、0.28mLの2%リドカインを添加する。
8.無菌研究者が、3ccシリンジ及び針で粒子溶液を吸い込む。
9.粒子溶液シリンジを、1mLの65mg/mLコラーゲンを含有する3ccコラーゲンシリンジに接続する。気泡が発生しないようにする。ルアーロックと接続する前に、できるだけ多くの空気を排出させる。これは無菌研究者によって行われた。
10.一方のシリンジの内容物をもう一方のシリンジに注射して、内容物を40回混合する。粒子をコラーゲンシリンジに添加することから始める。
シリンジのローディング
1.非無菌研究者が、滅菌した1ccシリンジをBSCに運び入れた。パッケージはどの表面にも触れないようにした。パッケージを開封し、無菌野に落とすか、又は無菌研究者によってそこに置かれた。これらのシリンジは、最後の注射用であった。
2.針についてステップ1を繰り返した。針ゲージは21Gとした。
3.この時点では材料はすべて無菌研究者のみが扱った。
4.混合系の1本のシリンジに2.33mLの皮膚充填剤をすべて移行させる。ルアーロックから空のシリンジを外す。
5.1ccシリンジをルアーロックに取り付ける。
6.1ccシリンジに400μLの皮膚充填剤をロードする。注:この1ccシリンジはルアーロックをロックしない;ロード時にルアーロックに対する圧力を維持すると、ロード圧によって1ccシリンジが排出されることはない。
7.ロードしたシリンジに緩くリキャップをした。注:キャップを無菌野の上に置き、針を片手でキャップに挿入した。針が触れられるか又はプラスチックキャップに貫通した場合に備えて、両手を使うことは避けた。
8.ロードしたシリンジを、ラットの手術場所に隣接する無菌野に移す。
Figure 2023528928000006
比較として、市販のBellaFillを購入し、これを使用して、上記のようにコラーゲン中に懸濁化した現在開発中のセルロース粒子と比較して粒子サイズ分布を評価した。PMMAビーズの測定された粒子サイズ分布により、BellaFillにおける出発平均粒子サイズが確かめられる。PMMA球は顕微鏡画像で容易に識別でき、球形に見える。現在開発中のセルロース粒子を可視化するために、以前に記載されたように、コラーゲンとの混合の前にコンゴーレッド(0.1%)で染色した(コンゴーレッドによるコラーゲンの非特異的染色はないことが確認された)。現在開発中の製剤では、セルロース粒子はコラーゲンゲルの全体に十分に分布している。
図31は、記載されているコラーゲン充填剤を示している。図31(A)は、BellaFillにおけるPMMAビーズの粒子サイズ分布を示している。図31(B)は、現在開発中の皮膚充填剤に使用されるコンゴーレッド染色されたコラーゲンを示しており、二次的な非特異的染色はごくわずかしか見られない。図31(C)は、BellaFillのPMMAビーズを示している。図31(D)は、コンゴーレッドで染色されたコラーゲン皮膚充填剤に使用される現在開発中のセルロース粒子を示している。注:コラーゲンのバックグラウンド染色は、セルロース粒子からの信号に比べて弱い。スケール=250um。
インビボ生体適合性
現在開発中の皮膚充填剤製剤の重要な性能特性を、皮下動物モデルで評価することができる。各製剤(上記のように生産されたAAS、AAHA、AAC)を、N=9匹の背部の4か所に注射することができる。インプラント部位を毎週測定し(高さ、x及びy幅)、4週時点でN=3匹を屠殺してインプラントを切除することができる。第12週に、製剤コホートにおける3匹のうち2匹のみを屠殺し、残りの1匹を縦断試験(例えば、6~12カ月)のために維持することができる。これは、各製剤(AAS、AAHA、AAC)について、より長期の時点でデータを得て、4種のインプラントのそれぞれから、製剤あたり1匹ずつのデータが得られることを意味する。市販のBellaFillを付随試験に使用してもよい。データは3匹の動物(それぞれを400uL、2回注射)の試験で収集し得る。これらの試験により、例えば、類似の製剤をより多くの動物に使用する試験に情報を提供するために使用され得るGLPデータを得ることができる。想定される外科的処置について以下に説明する。
植込み手術
術前のチェック
1.処置を開始する前に、すべての材料及び供給用品が利用可能であることを確かめる。以下の項目を確かめる:
a.酸素タンクレベル
b.イソフルランレベル
c.滅菌パック
d.縫合材料
e.滅菌生理食塩水
f.滅菌水
g.ティアゲル(tear gel)
h.ブプレノルフィン
i.麻酔ステーション用のヒーター
2.必ず動物の体重を測定して、対応する量のブプレノルフィン:0.05mg/kgを投与すること。
3.投与する生理食塩水の量を計算する:5mL/kg。
4.酸素供給を開始する。レベル2に設定する。
5.イソフルラン投与を開始する。供給路を麻酔ボックスに接続する。レベル3に設定する。
動物の準備
1.ラットを麻酔ボックスに移す。
2.ラットが意識を失ったところで、準備ステーションに移す。イソフルランを準備ステーションに接続する。
3.イソフルランのレベルを2に下げる。
4.ティアゲルをラットの目に適用する。
5.ラットの背部の片側を剃毛する。
6.毛に吸引除去する。
7.水に浸した綿棒で肌を清拭して、抜け毛をすべて取り除く。
8.乾いた綿棒を使用して皮膚の水分を取り除き、残った毛を払い落とす。
9.生理食塩水を注射して、ラットの非剃毛側への水分補給を維持する。
10.ラットを手術場所に移す。
11.綿棒をクロルヘキシジン(4%)に浸すことによって皮膚を滅菌する。一方向に清拭する。皮膚をすべて確実に清拭する。
注射
1.1人の研究者がガウンを着用して滅菌手袋を装着する。この研究者が新しいガウンを着用するかどうかに応じて、適切なグローブ法(クローズド/オープン)を使用する。
2.4回分の400μL注射を、動物に隣接する無菌野に運び入れる。
3.非無菌研究者が、注射前の注射部位を撮影する。
4.無菌研究者が、シリンジの内容物を、ラットの滅菌され剃毛された背部の4つの別々の場所に注射する。
5.非無菌研究者が、注射部位を撮影する。
6.ラットを測定ステーションに移す。
7.次いでラットを回復ステーションに移し、動物IDカードを回復ケージの上に置く。
毎週のサイズ測定
インプラントのサイズを評価するために、以下の手順を注射日に開始し、その後はすべての動物に対して毎週適用する。
動物の麻酔
1.酸素ボンベを開ける。
2.イソフルランのラインを麻酔ボックスに接続する。
3.イソフルランを3に上げる。
4.動物を麻酔ボックスに移す。
5.動物が意識を失って深呼吸(3秒に1回の呼吸)に入ったところで、ラットを測定ステーションに移す。測定ステーションのイソフルランは2に設定する。
測定
1.測定値の信頼性をできるだけ高くするために、インプラント部位からは剃毛してもよい。
2.Vernierノギスを使用して、皮膚充填剤の注射によって引き起こされた皮下の隆起のサイズを測定する。一連の各測定を開始する前に、ノギスをゼロに合わせる必要がある。
3.サイズの測定値を収集して記録する(例えば、直径X、直径Y、高さ)。
4.終了した時点で、インプラント部位を囲む円を描く。
5.部位の順序は、頭側から尾側への向きとする;例えば、部位1はラットの頭部に最も近い。
6.X方向は内側-外側方向であり、一方、Y方向は尾側-頭側方向である。
7.直径X及び直径Yの測定値は、ノギスの前端を用いて取得してもよい。
8.高さはノギスの一番下にある突起で測定する。
9.測定値が取得されて記録されたところで、動物をケージ及び動物室に戻してもよい。
10.すべての水ボトルが正しい向きに戻されていることを確認する。
屠殺及び組織収集
1.動物を安楽死ボックスに移す。
2.一度に2匹のラットに行う場合は(2つのボックスを接続)、COの初期流量を6に設定し、次いでラットが意識を失った場合に12に増加させる。
3.動物の呼吸パターンを観察する。少なくとも5分間待つ。
4.呼吸が1分間停止していることを確認する。
5.COを停止する。
6.安楽死ボックスからラットを取り出し、背部に乗せる。
7.剣状突起の位置を確認し、皮膚を切開する。
8.横隔膜に穴を開ける。心臓が見えるようにする。
9.心臓を切開し、血液がたまり始めるのを確認する。
10.動物を腹臥位にして背部を露出させる。
11.腰から背骨の中央に沿って肩まで皮膚を切開する。皮膚を剥がして結合組織を切除する。皮弁はインプラント/注射された材料を含有しているはずである。
12.目盛り用の定規と共に皮弁の写真を撮影する。
13.インプラントは個々に切り抜く。皮膚が材料の下にあることを確認する。これは、組織学的検査中に試料の方向を決めるのに役立ち、ネイティブ組織との直接比較をもたらす。
14.試料を速やかにホルマリン(4%)に移す。
15.インプラントのサイズ及び行う染色に応じて、48時間又は72時間のホルマリン固定後に試料を70%エタノールに移す。
組織学検査
試料を組織学検査に回し、パラフィンブロックへの包埋後に切片化する。インプラントの断面を観察するために、ブロックを皮膚の面に対して垂直に切片化してもよい。インプラントは、端から約500μmの1つのレベルで切片化され、組織内へさらに約1.5mmの第2のレベルで切片化される。これにより、インプラントの外縁及びおよそ中央の両方を調べることができる。H&E及びマッソン三色染色をオーダーし、数枚のスライドは染色しないようにオーダーする。
以下のインビボ生体適合性の結果が得られている。
インビボ生体適合性の収集された結果
調べた皮膚充填剤は、本明細書における上記の濾過したガンマ線滅菌セルロース系の粒子を含む、生理食塩水(AAS)、ヒアルロン酸(AAHA)、及びコラーゲン(AAC)を基にした充填剤であった。3種類の皮膚充填剤をすべて、ラットモデルに注射した。
図32は、皮膚充填剤の注射の結果を示している。図32(A)は注射前、(B)は注射後の隆起境界の輪郭を示している。図33は、20%の脱細胞化されたリンゴ由来の濾過した粒子及び0.3%リドカインと組み合わせた、生理食塩水、ヒアルロン酸(HA)及びコラーゲンを基にした充填剤の切除を示している。
上記のように、すべての動物及びすべての製剤について、インプラント部位を毎週測定した。インプラントのサイズ特性は、図34と図35に示されている通りであった。図34は、インプラントのサイズを示している。AAS(青)、AAHA(赤)、AAC(黒)、BellaFill(紫)インプラントの高さ。すべてのインプラントが、分散媒/ハイドロゲルの再吸収が原因で、時間と共に縮小した。AAS製剤は急速に吸収された。図35は、インプラント体積を示している。AAS(青)、AAHA(赤)、AAC(黒)、BellaFill(紫)インプラントの体積。すべてのインプラントが、分散媒/ハイドロゲルの再吸収が原因で、時間と共に縮小した。AAS製剤は急速に吸収された。
このデータは、生理食塩水が動物の体内に再吸収されるために、AAS充填剤が急速に縮小することを裏付けている。コラーゲン、HA及びBellaFillの場合には、インプラントは緩徐にサイズが縮小するが、最初の注射から数カ月後にも視認し得る状態が維持される。動物数は少ないが、定性的にはBellaFill及び現在開発中の皮膚充填剤のインプラントサイズ特性はほぼ同じである。潜在的には、現在開発中の充填剤はBellaFill製品よりも急速に縮小しない可能性があるが、同様のベースラインサイズに達しているように思われる。
適切な動物を4、8、及び12週後に屠殺して、インプラント組織を収集した。AASの場合、生理食塩水が動物の体内に急速に吸収されるため、皮膚の下には充填剤粒子のみが見える(測定されたサイズデータと一致する)。したがって、皮膚充填剤は実際に非吸収性であったが、皮膚充填剤製剤に使用された分散媒は吸収された。
改変された皮膚充填剤
本実施例では、改変された皮膚充填剤について考慮される。材料の形状及びサイズ分布のより大きな制御を与えるために、セルロース系の材料を溶解させて、それを特定の形状及び/又はサイズへと架橋させることが想定される。いくつかの架橋法が、ある特定の実施形態では想定されており、これには例えば、コハク酸による化学的架橋、水酸化ナトリウム及び尿素による処理、アルギネート及び塩化カルシウムとの複合材料がある。想定される試料溶解プロトコールの概要を以下に示す:
比:50gの脱細胞化されたリンゴ=1.568gのセルロース材料
溶媒の調製:
・DMAC:115℃で15分間
・LiCl:180℃で48時間
プロトコール:
・50gの脱細胞化された材料を秤量する
・アセトンに浸す(超音波浴で15分間)
・遠心処理によりアセトンを除去する
・前の2つのステップを2回繰り返す
・DMAcに浸す(超音波浴で15分間)
・遠心処理によりアセトンを除去する
・前の2つのステップを2回繰り返す
・LiClを、50mLのDMACあたり6gの比で添加する
・100℃に1時間維持する
・温度を72時間かけて50℃に下げる(攪拌しながら)
・水交換によりセルロースを再生させる
セルロース粒子生産の効率
本実施例に記載される試験では、リンゴを出発材料として使用したセルロース系粒子の生産の潜在的な収率に関する洞察を得ることを目指した。
リンゴ試料の脱細胞化
Canada Fancy社のマッキントッシュ種リンゴを、3つの別々のバッチに分けて、3つのバッチのそれぞれを秤量した。各バッチの重量を以下の表5に示す。
Figure 2023528928000007
各バッチのリンゴを、70%エタノール及びAccel TB消毒剤で洗浄し、その後に皮を剥いた。皮剥きの後に、各バッチの試料を1mm厚に切片化した。リンゴの芯は取り除き、切片を4等分した。
試料を脱細胞化するために、次いでそれを0.1% SDS中に72時間入れ、溶液を1日1回交換した。次いで各バッチの試料を蒸留水で3回洗浄し、その後24時間、100M CaCl溶液に浸した。脱細胞化プロセスの間、試料は120RPMで振盪した。
次いで各バッチの試料を蒸留水でさらに3回洗浄し、70%エタノール中で30分間滅菌した。次いで試料をさらに使用するまで4℃の蒸留水中で保存した。
脱細胞化された試料の冷凍乾燥
脱細胞化された試料から、できるだけ多くの蒸留水を除去するために排水させ、次いで50mL Falcon試験管に入れた。次いで試料を-20℃で冷凍し、その後にガラス容器に入れ、ガラス容器あたり3~4本の試験管を入れてLabconco冷凍乾燥機に装填した。試料を55mbar及び-47℃で48時間冷凍乾燥させた。乾燥後に試料を秤量し、その結果を以下の表6に示している。
乾燥試料の粉砕
各バッチの脱細胞化された冷凍乾燥試料を、80μmの篩を付けたRetsch Mill ZM-200により、18,000RPMで粉砕した。粒子を50mLチューブに収集し、以下の表6に示されているように秤量した。次いで試料を、さらに使用するまで4℃で保存した。
粉砕された試料の篩い分け
各バッチの粉砕試料を、連続篩い分けを可能にするGilson振動篩振盪機(SS-23)システムで篩い分けした。上の篩は50μmメッシュを有し、下の篩は25μmメッシュを有した。50μm篩は50μm超の粒子を保持した。25μm未満の粒子は25μm篩を通過した。濾過した粒子(サイズ25μm~50μm)を25μm篩から収集して、秤量した。
粉砕後に、各バッチからの粉砕試料の5mLを蒸留水中に再懸濁させて、最終容積45mLとした。再懸濁液を50μm篩に注ぎ入れ、2分後に蒸留水150mLを添加した。1分後に、さらに150mLの水を上の篩に添加した(このステップを2回繰り返した)。次いで50μm篩を取り外し、25μm篩に蒸留水50mLを添加した。1分後に、さらに50mLの水を篩に添加した(このステップを2回繰り返した)。25μm篩の上の粉砕試料の湿潤粒子を収集して、遠心管に入れた。このプロセスを、すべての粉砕試料を濾過するまで繰り返した。濾過した試料を次いで5000RPMで7分間遠心処理して粒子をペレット化し、4℃で保存した。
濾過してペレット化された試料を、次いで上記と同じ条件下で冷凍乾燥し、その後に以下の表6に示されているように秤量した。
Figure 2023528928000008
第2の冷凍乾燥は、試料の乾燥質量を測定することのみを目的として行われたものであり、皮膚充填剤試料の生産には必要ないことに留意されたい。
粒子収率の決定
上記の手順で収集されたデータを使用して、3つの異なる粒子収率、すなわち、開始バッチ質量(リンゴ全体)、冷凍乾燥バッチ質量、及び粉砕バッチ質量からのものを算出した。その結果は表7に示されている。
Figure 2023528928000009
収率の平均値を求め、表8に示している。
Figure 2023528928000010

結果
乾燥した25~50μm粒子の質量及びバッチ開始質量を使用して、バッチ開始質量からの収率を算出した。バッチ開始質量からの収率は0.119%±0.018%であり、これは100gの出発材料から0.119gの乾燥粒子が得られること、又は100gの乾燥粒子を生産するためには83,843.38gのリンゴが必要であることを意味する。
冷凍乾燥バッチ質量からの収率は、乾燥した25~50μm粒子の質量及び冷凍乾燥バッチ質量を使用して算出した。冷凍乾燥バッチ質量からの収率は13.9%±1.6%であり、これは100gの冷凍乾燥試料から13.9gの乾燥粒子が得られること、又は100gの乾燥粒子を生産するためには721.7gの冷凍乾燥バッチ試料が必要であることを意味する。
粉砕バッチ質量からの収率は、乾燥した25~50μm粒子の質量及び粉砕バッチ質量を使用して算出した。粉砕バッチ質量からの収率は15.2%±1.5%であり、これは100gの粉砕試料から15.2gの乾燥粒子が得られること、又は100gの乾燥粒子を生産するためには658.0gの粉砕試料が必要であることを意味する。
バッチからの収率のばらつきは、一部には試料の調製に起因する可能性がある。特定の理論に縛られることはないが、リンゴのサイズ、リンゴの芯に残る果肉の量、粉砕時の粉末の損失、篩い分け時の分離の程度のばらつきが、個々に、又は一緒になって収率に影響を与えると仮定されている。
にもかかわらず、これらの試験により、本開示の方法をスケールアップする際に必要とされる可能性のある材料に関する洞察が得られる。
セルロース粒子の密度
本実施例に記載される試験では、本開示のセルロース粒子の数密度(体積あたりの粒子数)を決定することを目指した。一般に、標準的な業界慣行では、皮膚充填剤の粒子濃度を質量/体積濃度で記載する。しかし、場合によっては、充填剤の粒子濃度を数密度で記載することが便利なことがある。
密度の決定
上記の実施例5で記載されるように、生産された脱細胞化された無菌の(濾過していない)リンゴ粒子を、同じく実施例5で記載されるようにGilson振動篩振盪機を使用して濾過した。濾過した粒子を15mL Falconチューブに収集し、5000RPMで7分間遠心処理することによってペレット化した。このプロセスを、2.5mLの湿潤25~50μm粒子が得られるまで繰り返した。
粒子を15mLの水に再懸濁化させ、次いで3本のチューブに均等に分けた(各チューブに0.833mLの粒子)。Multisizer 4を使用する粒子数分析のために、198μLの水に懸濁化させた33μLの粒子の等価物(16.7% v/vの再懸濁液)を各チューブから取り出した。
各チューブ内の残りの濾過した粒子0.800mLをペレット化し、冷凍し、Labconco冷凍乾燥機で55mbar、-46℃で4日間冷凍乾燥させ、次いで秤量して、表8に示されているように粒子質量密度を算出した。
Figure 2023528928000011
次いで、湿潤体積あたりの乾燥粒子の平均密度を算出し、これは表9に示されている。
Figure 2023528928000012
乾燥粒子の密度は0.118g/mL±0.00168g/mLであり、これは湿潤粒子1mLあたり乾燥粒子が0.118g存在すること、又は湿潤粒子8.47mLを乾燥させると1gの重さになることを意味する。
標準的な400μLという皮膚充填剤の注射容積では、容積の20%が粒子によって占められるため、1回の注射あたりは80μLの粒子となる。したがって、上記の濃度及び密度の結果に基づくと、400μLの注射あたりの粒子の乾燥質量は9.4mgとなった。
粒子数分析
3種の試料のそれぞれから2つの試料を調製した:(4)10μLの16.7% v/v粒子懸濁液を10mLのISOTONと混合させたもの、及び(5)20μLの16.7% v/v粒子懸濁液を10mLのISOTONと混合させたもの。各試料について、Multisizer 4 Coulter Counterを100μmの開口部及び200μLの分析体積で使用して粒子数分析を行ったが、このことは、試料(4)では0.0336μLの粒子を分析し、試料(5)では0.0673μLの粒子を分析したことを意味する。第1の実行では2~60μmの粒子を分析し、第2の実行では10~60μmの粒子を分析した。
各実行の間に、Coulter Counterによって計数される泡の数を定量するために、ISOTON(ブランク)試料も同じ設定で分析した。これらの値を使用して、試料(4)及び(5)について得られた値を調整した。ブランク値は表10に示されている。
Figure 2023528928000013
各試料(4)及び試料(5)の粒子数分析による結果を表11に示している。
Figure 2023528928000014
例示を目的として、試料(4)の粒子サイズ分布を図36に示す。試料1~3のそれぞれからの試料(4)及び試料(5)の粒子数を平均した結果を表12に示している。
Figure 2023528928000015
上記に考察されているように、使用した開口部は100μmであった。この開口部は直径2μm~60μmの粒子を計数することができる。2~60μmの分析によれば、湿潤粒子1mLあたりの粒子は123,834,101±2,919,049個、10~60μm分析によれば、湿潤粒子1mLあたりの粒子は76,302,909±1,279,872個であった。
このことは、400μLの皮膚充填剤注射あたりに9,906,728個の粒子(2~60μm分析)又は6,104,233個の粒子(10~60μm分析)があったことを意味する。
半径15μm及び厚み1μmの円筒状という粒子形状仮定に基づく粒子の数濃度の単純化された理論的推定値を以下に示す。厚みを0.1μmと仮定すると、粒子の数は10倍に増えると考えられる。
V薄片=π(15μm)2(1μm)
V薄片=706.5um3
粒子の数=V粒子/V薄片
粒子の数=(80μL(1×109μm3/μL))/(706.5um3)
粒子の数=1.13×108
理論値と観測値の不一致は、Coulter Counter分析の不正確さ(例えば、泡、懸濁液から沈殿する粒子)、粒子サイズのばらつき、及び充填パラメーター(空隙容積は計算に考慮されない)を含む、いくつかの要因に起因する可能性がある。
これらの不一致にもかかわらず、粒子約1×10個/400μL注射という数密度、9.4mg/400μL注射という乾燥粒子の質量密度、及び706.5μmという単一粒子(又は薄片)の体積推定値を総合すると、単一粒子密度は1.33g/cmとなり、これはセルロース密度に関する文献値(1.5g/cm)とほぼ同じである。
インビトロでのセルロース粒子に対する細胞応答
本試験では、本開示の濾過した及び濾過していないセルロース粒子に対するインビトロ細胞応答を評価することを目指した。
粒子の調製
濾過した粒子を調製するために、滅菌された濾過していない脱細胞化された粉砕リンゴ粒子を、以下の手順を使用して、滅菌水を使用してGilson振動篩振盪機(SS-23)システムにより篩い分けした。
5mLの粒子を滅菌蒸留水中に再懸濁させて、最終容積45mLとした。この再懸濁液を50μm篩に注ぎ入れ、2分後に蒸留水150mLを添加した。1分後に、さらに150mLの水を上の篩に添加した(このステップを2回繰り返した)。50μm篩を取り外し、25μm篩に蒸留水50mLを添加した。1分後に、さらに50mLの水を篩に添加した(このステップを2回繰り返した)。25μm篩の上の湿潤粒子を収集して、50mL Falconチューブに入れた。十分な量の濾過した粒子が収集されるまで、この篩い分けプロセスを繰り返した。
濾過した粒子及び濾過していない粒子の両方を5000RPMで7分間遠心処理して、粒子をペレット化した。ペレット化された濾過した粒子及び濾過していない粒子の体積を使用して、異なる試行の間にプレートに添加された体積を算出した。
アッセイ
プレートに添加する前に、粒子を予熱したDMEM中に再懸濁させて最終体積2.5mLにした。50,000個のC2C12細胞を、実験の24時間前に6ウェルプレート(9.6cm)の各ウェルにプレーティングした。細胞を粒子溶液と共に37℃、5% COで48時間インキュベートした。次いで、各ウェルに2.5mLの粒子溶液を添加した。
試験に使用した条件は、細胞培地に関する粒子の体積:容積パーセンテージであった。使用したパーセンテージは、1%、2%、3%、20%であった。換言すれば、1%濃度では、培地の総容積2.5mL中に25μLの粒子を有していた。
20%の濃度は、本明細書で以前に使用されたインビボ濃度を再現するために選択された。しかし、理解されるであろうが、インビトロ及びインビボの条件は大きく異なり、細胞の形態を乱さない濃度を選択する必要があった。例えば、インビトロ系は、ガス交換を調節し、等張条件を維持する能力を欠いており、その結果、細胞の形態に影響を与えないために濃度の低下、例えば、約1%の低下を必要とすることがある。したがって、インビトロの結果は、インビボの毒性結果に直接は反映されない可能性がある。
細胞培養、固定、染色、及び画像化
培地及びそこに含有される粒子を、画像化のためにプレートから取り除いた。粒子濃度が比較的高く、細胞の下の層が観察しにくいことから、粒子を除去した後に固定した。
細胞を5mLのPBSを使用して3回洗浄し、3mLの3.5% PFAを各プレートに添加した。10分間のインキュベーション後に、細胞を5mLのPBSで再び洗浄した。次いで、細胞に5mLのPBSを添加し、パラフィルムでプレートを密封して4℃で保存した。5mLのPBSを含有する各プレートにHoechst 33342 5μLを添加した。プレートを暗所で室温で30分間インキュベートし、次いでパラフィルムで密封して4℃で保存した。
次いで、プレートをOlympus SZX16顕微鏡で撮像した。
結果
C2C12細胞への20% v/vの粒子の添加は、37℃、5% COで48時間インキュベートした後のプレート内の細胞密度に明らかな影響を及ぼした。濾過した粒子及び濾過していない粒子のいずれについても、プレートに付着した細胞が一部あったものの、細胞形態は萎縮して見えるように変化した。粒子を含有するプレートは対照よりも有意に細胞数が少なく、対照細胞は正常な筋芽細胞の形態を示した。濾過した粒子を入れたプレートでは、濾過していない粒子を入れたプレートよりも集密度が高くなる。特定の理論には縛られないが、インビトロ環境では、小さい粒子は、浸透圧効果による細胞死、化学的浸出による壊死、並びに/又は貪食及びアポトーシスを引き起こす可能性があるとの仮説が立てられている。
20%試料では、ディッシュ内の粒子の濃度が高いことから、プレートに付着した細胞を観察することが困難であり、その結果、浮遊細胞のみが観察された。粒子を伴わない細胞を画像化することにより、画像化の際にシグナルを遮断する粒子が存在しないため、より正確な細胞密度の定量が可能になった。
図37は20%試料の顕微鏡画像を示し、図37Aは対照の顕微鏡画像を示し、図37Bは、20%の濾過した粒子試料の細胞の顕微鏡画像を示し、図37Cは、20%の濾過していない粒子試料の細胞の顕微鏡画像を示している。倍率は10倍とし、スケールバーは500μmである。
図38は、20%の濾過した粒子試料及び濾過していない粒子試料の細胞濃度(個/mm)を示している。
上記のように、20%試料はインビトロ条件下で細胞の形態に影響を与え得ることが予想された。上記に考察されているように、インビトロ及びインビボの条件は大きく異なる。その結果、20%の粒子濃度は、インビボでは細胞形態の変化を招かないと予想される。
培地中の粒子の濃度が高いと、溶液の浸透圧が変化し、その結果、エントロピー因子のために細胞から水が引き出される可能性がある。さらに、細胞の上に粒子の層があるため、効率的なガス交換が妨げられて、ひいては細胞死につながる可能性がある。インビボ条件下では、ガス交換を調節し、溶質濃度及び浸透圧の勾配又は圧力の変化を代償する天然の系が存在する。
このため、正常な細胞形態が観察される場合の粒子濃度の影響を評価するために、以下で考察するより低い濃度を選択した。濾過した試料及び濾過していない試料の両方について、1%、2%、及び3%という低い粒子濃度での粒子懸濁液を使用した。
図39は、対照試料並びに濾過した及び濾過していない低濃度の試料の細胞の表面積被覆度を示している。示されているように、2%の濃度では、濾過した粒子と濾過していない粒子との間に有意差があった。
この結果は、粒子濃度が細胞の生存能力に影響を及ぼし得ることを示唆しており、培地中の粒子の量が増えると、細胞死の割合が高くなる可能性がある。さらに、濾過は付着細胞の量にも影響を与えるように思われた。濾過していない粒子は一般に、細胞増殖/細胞面積被覆度が低く、細胞死が多かった。
ここでも同じく、上記に考察されているように、浸透圧調節、ガス交換のプロセス、免疫細胞などがあることから、厳密な粒子濃度がインビトロ系からインビボ系に直接に反映されるわけではない。
例えば、インビトロ系とインビボ系の間には酸素の拡散に大きな違いがある。より詳細には、インビトロ系は細胞培地を介した酸素の拡散に依存している。酸素が拡散しなければならない距離は、哺乳動物の組織で典型的に必要とされる距離よりも一般にはるかに大きい。さらに、標準的な細胞培養条件下での酸素消費速度は、細胞培地を介した酸素の拡散速度をしばしば上回り、セルロース粒子の存在は拡散速度をさらに低下させる可能性がある。
インビトロ系とインビボ系との間で異なる別の変数は、細胞にとっての浸透圧、特に膨圧の維持である。静水圧(HP)の生理的な値は組織によって大きく異なる(例えば、約0.5kPa~約6MPa)。溶液中の溶質の数は、浸透圧、ひいては細胞容積に影響を及ぼす可能性がある。したがって、インビトロ系では、セルロース粒子の添加は浸透圧に影響を及ぼして、細胞死につながる可能性がある。
さらに、細胞培養系における細胞のタイプは、インビボの細胞とは異なる。免疫適格動物では、免疫細胞が異物に応答するように誘発される。しかし、インビトロでは、起こりうるプロセスが限られている(例えば、貪食)。
にもかかわらず、上記の試験は、粒子の濃度の増加が細胞に及ぼす影響を総体的に例示している可能性がある。
セルロース粒子濃度を評価するためのUV-VIS分光法の使用
本試験では、UV-VIS分光法が、セルロース粒子の濃度を測定するための、目盛り付きシリンダー、目盛り付きFalconチューブ、及び微量遠心チューブに代わる実行可能な選択肢となるかどうかを決定することを目指した。
より詳細には、本試験は、試料を通過する光の吸光度又は透過率が、その中のセルロース粒子の濃度をより正確に測定するのに適しているかどうかを決定することを目的とした。
いかなる特定の理論にも縛られることはないが、この実験の背後にある原理は、セルロース粒子が入射光を散乱させて、散乱の量が試料中の粒子の濃度を示す可能性があるということである。吸光度は、透過率の負の対数、又は言い換えると、以下に示されるように、入射放射束と透過放射束との比の対数である。
A=-log10T
A=log(Φi/Φt)
式中、A=吸光度、T=透過率、Φi=入射放射束、Φt=透過放射束である。
試料の調製
粉砕され脱細胞化されたセイヨウナシ由来の粒子を、2Mスクロース溶液中に懸濁させた。スクロース溶液を使用した理由は、水のみでは粒子が懸濁化されたままに保たれないためである。調製した溶液の概要を表12に示している。
Figure 2023528928000016
分光法
Cary 1Eモデル及びSynergyモデルのUV-Vis分光光度計を使用した。Careyモデルについては、波長を500nm、平均時間を0.1s、SBWを1.5nmに設定した。標準的な1cmキュベットを使用した。Careyモデルはデュアルビームモデルである;このため、2つの2Mスクロース溶液をブランクとして使用した。機械をゼロに合わせ、次いで使用者の最も近くにあるキュベットを試料読取り用に変更した。
図40に示されているように、試料を使用して、吸光度-濃度標準曲線を作成した。しかし、示されているように、高濃度レジメン(5~20%)の切片は0に近くなく、このことは測定値が正しくないか、又は分析した曲線の部分が低濃度で発生する非線形性の後であったことを示唆する。
SynergyモデルUV-VIS分光計を使用して、より低い濃度範囲を試験した。20%予製液を連続希釈して、450nm、475nm、500nm、及び525nmで吸光度を測定した。その結果は図41に示されている。
SynergyモデルUV-VIS分光計を使用して、20%予製液及び2Mスクロース対照溶液の波長掃引も行った。その結果は図42に示されており、ここで黒線はスクロースを表し、赤線はセイヨウナシ由来粒子を表す。示されているように、試験した範囲ではピーク吸収は見出されず、粒子及びスクロースの両方がより小さい波長でより高度の吸収を示した。
320nmの吸光度が高いことから、320nmの光で上記の連続希釈物の吸光度を分析した。その結果は図43に示されている。示されているように、より緩やかな非線形偏差が発生した。粉末濃度5%まで線形適合させたところ、R2 0.99、傾き0.2、及びy切片0.05が得られた。
結論
これらの予備的結果は、5%までの粒子濃度を使用して、試料中のセルロース粒子の濃度を決定するための標準曲線を作成し得ることを示している。
セルロース粒子を含有する様々な担体の押出し力
本試験では、本開示の皮膚充填剤の押出し力に対する担体及び他の変数の影響を検討することを目指した。
試験用に4種の製剤を調製し、以下の表13に詳細を示している。製剤に使用した冷凍乾燥した脱細胞化されたリンゴ粒子は、Retsch粉砕機及び80μmフィルターにより薄片様に粉砕した。次いで、45μm及び25μmの受注仕様ではんだ付けされたGilson篩及びGilson Test Vibratorを使用して、薄片の湿式篩い分けを行った。濾過した粒子を、5000rpmで7分間の遠心処理によって濃縮した。
Figure 2023528928000017
ゼラチン製剤及びアルギネート製剤は、使用前に水浴中で37℃に加熱して融解させたことに留意されたい。
試験のために、5mmの押出し距離を選択した。使用するシリンジについて初期ロード容積は0.3mLとしたが、これはプランジャーのクロスヘッド変位の距離5mmに相当する。製剤は粘弾性流体であるため、圧縮速度又は押出し速度は、測定される押出し力に影響を及ぼす。1mm/s、2.5mm/s、5mm/sの押出し速度(クロスヘッド速度とも称される)について、異なるサイズの針、すなわち27G針及び30G針の影響と共に調べた。
結果
HAAA製剤の押出し力を、クロスヘッド速度1mm/sで測定した。N=14回の押出しに関する力-変位曲線を図44に示している。針のサイズは27Gとした。
押出し速度は見かけの力に影響を及ぼすため、本明細書に記載される皮膚充填剤と従来の皮膚充填剤との比較を容易にするために、押出し速度を定義することは有用と考えられる。BellaFillの押出し特性は、以下の表14に含まれている。
Figure 2023528928000018
26Gを0.48mm/sで通す場合のBellaFill押出し力の補完的な力-変位プロットを図45に示している。
HAAA製剤についても同様の結果が観察された。HAAAを使用する別の実行を図46に示している。この実行では、架橋剤及び粒子を添加したことにより、HA濃度が4.8%、粒子濃度が28%となったため、HAAAは上記とは異なった。クロスヘッド速度は、1mm/s(実線)、2.5mm/s(破線)、及び5mm/s(点線)に設定した。示されているように、高速になるほど力が大きくなり、最高速度ではプラトーは観測されなかった。さらに、中程度の速度で観察された初期の力のピークは、低速での押出しには存在しなかった。いかなる特定の理論にも縛られないが、ピークの欠如は、シリンジ及び針の剪断中の速度応答流体に起因する可能性がある。
GE試料について押出し力を1mm/sのクロスヘッド速度で測定し、27G針及び30G針で比較した。その結果は図47に示されており、図47Aは、27G針を通してのGE押出し力、図47Bは、30G針を通してのGE押出し力を示している。測定された最大押出し力を表15に示している。
Figure 2023528928000019
針が小さいほど、最大押出し力は有意に高くなった。
GEAA試料について、押出し力を、27G針を通しての1mm/sの押出し速度で測定した。結果は図48に示されている。測定された最大押出し力は以下の表16に示されている。示されているように、粒子を含めることにより、GE製剤の押出し力は有意に増加した。また、GEAA製剤の結果は、HAAAの結果と有意差がないことにも留意されたい。
GE製剤及びGEAA製剤の結果を直接比較するために、GE製剤を20%(m/v)に希釈した。希釈したGE製剤は、37℃の水浴中に製剤を維持することにより、押出し前に温かく保った。押出し時の温度は約24.5℃であり、希釈GE押出しの結果は図49Aに示されている。示されているように、希釈したGEは、初期ピークの後にプラトーが続く「古典的な」押出し力曲線を示した。
ゼラチンのゲル化は温度に依存することから、同じ操作パラメーターを使用して、希釈したGE製剤の押出し力を、室温(約21℃)でも測定した。その結果は図49Bに示されている。示されているように、粒子を含有しない室温の希釈GE製剤は、加温した希釈GE製剤及びGEAA製剤の両方よりも押出し力が高かった。最大押出し力の比較を表16に示している。
Figure 2023528928000020
AL製剤の押出し力を、27G針及び1mm/sの押出し速度を使用して測定した。その結果は図50に示されている。
したがって、本明細書に記載される皮膚充填剤の押出し力は、使用する担体、担体の濃度、及び押出し速度によって影響される可能性がある。
マーセル加工した脱細胞化された組織の湿潤質量及び乾燥質量の比較
脱細胞化されたリンゴを、1M NaOHに1:5(m/v)の比で添加することによって、マーセル加工したリンゴ(AA)を生産した。マーセル加工は80℃で1時間攪拌しながら行い、過酸化水素(予製液30%)を添加して色調を薄くした。反応が完了した後に、ビーカーを熱源から取り外して、HClで中和した。この材料をSorvall ST 16 R遠心機又はAvanti J-26XPI高性能遠心機で遠心処理して濃縮した。その後に上清を除去し、マーセル加工したAA材料のペレットを水中に再懸濁させた。中和及び遠心処理のプロセスを、連続サイクルでpHが6.8~7.2の間に保たれるまで繰り返した。中和されたところで、最終的な遠心処理を行い、50mL Falconチューブに材料を収集して、その後に冷蔵庫で保存した。
湿潤質量と乾燥質量の比較
マーセル加工したAA材料の3つの異なるバッチの約1gを秤量した。秤量した試料を-20℃で冷凍した後、LabConco冷凍乾燥機を使用して、55mbar及び-46℃で24時間冷凍乾燥させた。試料が乾燥したところで再び秤量した。その結果を以下の表17にまとめている。
Figure 2023528928000021
マーセル加工したAA材料について湿潤質量は同じであったにもかかわらず、最終的な乾燥質量は異なった。平均乾燥質量は0.052±0.005g(平均値±平均値の標準誤差)であった。乾燥質量収率のばらつきは、出発材料の湿潤度のばらつき、異なる遠心機の使用、及び/又はペレット上で試料材料を採取した場所による結果である可能性がある。
マーセル加工したリンゴの密度に対する遠心法の影響
マーセル加工したAAの2つのバッチを、実施例10で概説したのと同じプロセスを使用して調製したが、ただし、両方のバッチの0.75L容積を1LのAvanti遠心ボトルに入れて、Avanti遠心機を使用して遠心処理した(8000rpm、15分間)。遠心処理中は、充填力をできるだけ規格化するために容積を一定に保った。その後に、50mLチューブに全容積50mLを入れて、Sorvall Benchtop Centrifugeを使用して1つのバッチを遠心処理した(5000rpm、15分間)。
調製後に、さらに遠心処理したバッチ(バッチ1)からは、50mLチューブ、約3.5本分の材料が生産され、一方、さらに遠心処理を行わなかったバッチ(バッチ2)からは50mLチューブ、約2.5本分が生産された。したがって、密度は異なった。
密度の変化を定量化するために、1ccシリンジで測定した0.5mLの試料容積を、あらかじめ秤量した15mL Falconチューブに押し出した。その後に質量を記録した(湿潤質量)。次いで、チューブを-20℃の冷凍庫に入れた。凍結されたところで、試料をBuchi冷凍乾燥機に装填し、0.1mbar、-55℃で一晩放置した。翌日、乾燥した材料の入ったチューブの質量を記録した。記録した質量及び算出した質量を、以下の表18に示している。
Figure 2023528928000022
したがって、遠心機のパラメーターを変化させると、生産されるマーセル加工したAA材料の密度に影響を及ぼす可能性がある。そのような変化は、マーセル加工したAA材料の混合能力、レオロジー特性、及び押出し力に影響を及ぼす可能性がある。
設定した遠心処理条件下でのマーセル加工したリンゴの質量密度及び乾燥質量パーセンテージ
マーセル加工したAA試料を、実施例10に概説されている手順に従って調製した。マーセル加工したAA材料は、Avanti遠心機のみを使用して8000RPMで15分間濃縮(ペレット化)されたことに留意されたい。
マーセル加工したAA材料の湿潤質量を、各試料について記録した。次いで材料を15mL Falconチューブに移した。チューブ、蓋、及びマーセル加工したAA材の重量を記録した。
次いで試料を-20℃で冷凍し、0.1mbar及び-55℃のBuchi冷凍乾燥機に装填して、24時間後に試料を取り出した。チューブ、蓋、及び試料の質量は減算可能な質量を有することが記録されており、チューブから乾燥AA材料を取り出した際に材料損失が起こった場合に、マーセル加工した乾燥AA材料を算出することが可能であった。
最後に、マーセル加工した乾燥AA材料を取り出して秤量した。質量測定値は以下の表19に示されている。
Figure 2023528928000023
乾燥質量を使用して、湿潤質量の乾燥質量パーセンテージを算出した。その結果は表20に示されている。
Figure 2023528928000024
したがって、平均乾燥質量パーセントは3.78であり、標準偏差は1.20、標準誤差は0.54であった。
乾燥質量パーセントに加えて、試料の質量密度も算出した。質量密度を算出するために、各試料から1mLのマーセル加工した湿潤AA材料をシリンジにロードして押し出した。その結果は表21に示されている。
Figure 2023528928000025

したがって、平均密度は0.92であり、標準偏差は0.03、標準誤差は0.02であった。
算出された密度は、マーセル加工したAA材料の調製中に行った半定量的な観察と一致し、50mL Falconチューブは約50gの材料を含有していた。これは、マーセル加工した湿潤AA材料の質量密度が水の質量密度と同程度であることを意味する。そのため、湿潤密度の測定だけでは、マーセル加工したAA材料の濃度を計測するには不十分な場合がある。凍結乾燥した乾燥質量を、湿潤質量の代わりに使用するか、又は湿潤質量と組み合わせて使用することができる。
結論
本実施例の結果は、本開示の方法をアップスケールする場合に品質保証のために使用することができる。このデータを使用して、例えば、特定の製品に含まれるマーセル加工した材料の量を標準化することができる。
同様に、この結果は、本明細書に記載される方法をアップスケールする場合に、将来作られ得る標準操作手順(SOP)に影響を及ぼす可能性もある。例えば、SOPは、シリンジ内の「デッド」ヘッド空間、又はチューブへの、チューブからの、又はチューブ間での質量の移動によって生じる、手順全体を通しての質量のばらつきを減らすために実装される可能性がある。
マーセル加工したリンゴの質量密度及び希釈
本試験では、マーセル加工したAAの乾燥質量含有量を、ストック材料の質量密度を算出し、それに応じて希釈することによって調整し得るか否かを決定することを目指した。
実施例10及び実施例12で概説された手順に従って、マーセル加工した湿潤及び乾燥AA試料を調製した。試料を調製した後に希釈した。調製中及び希釈前後の試料の質量を、以下の表22に示している。
Figure 2023528928000026
次いで、表22に示されているように、試料の密度を、元の湿潤質量の乾燥質量%として算出した。このように、本明細書に記載されるマーセル加工したセルロース材料の密度を、希釈を介して調整し得ることは明らかである。
さらに、上記に示されているように、水による洗浄及び蒸留水中での遠心処理を増やすことによる希釈により、遠心処理の後に密度の低いマーセル加工したAA材料が生成された。しかし、最終的な遠心法の前に試料とPBSとのインキュベーションを行うと、試料の当初観察された密度が回復する可能性があることも見出された。マーセル加工したAA試料の密度に対するPBSの影響を図51に示している。
定性的には、約4%~約5%又はそれ以上の密度が、皮膚充填剤での使用に適すると思われた。
マーセル加工中のNaOHとリンゴの関係
本試験では、AAマーセル加工のためのAA材料とNaOH溶液との適切な質量/体積比を調べることを目指した。より詳細には、一般に、マーセル加工の手順には、脱細胞化されたAA対1M NaOHの比として1:5が使用される。本試験は、皮膚充填剤における使用に適した十分に小さい粒子サイズのマーセル加工したAAが得られるAA材料対NaOH溶液の最小比を決定することを目的とした。
実験プロトコールは以下の通りである:
1.脱細胞化されたAAを3つの部分に分けて秤量した:20g、50g、100g。AA材料はすべて加圧して余分な水分を除去した。
2.3つの1Lビーカーを100mLの1M NaOHで満たして、磁気攪拌プレート上に置いた。
3.すべての溶液を80℃に加熱した;次いで、それぞれに攪拌子及び脱細胞化されたAAの一部を添加し、添加したAAの重量に応じて適切にラベル表示した。
4.各ビーカーに30%過酸化水素(H)5mLを添加した。
5.3つの溶液すべてを80℃で1時間攪拌した。
6.マーセル加工した後、すべてのビーカーをそれぞれホットプレートから取り出して放置し、室温まで完全に冷却させた。
7.ひとたび冷却されたところで、3つの溶液すべてを中和し、中性の安定なpHが得られるまで別々に遠心処理した(pH範囲:6.8~7.2)。
8.試験した3つの条件(すなわち、AA 20gをNaOH 100mL中に、AA 50gをNaOH 100mL中に、AA 100gをNaOH 100mL中に)について、その後の顕微鏡検査のために50mL Falconチューブに別々に冷蔵庫で保存した。
9.粒子分析のために、AAとNaOHとに関する3つの条件のそれぞれを蒸留水に再懸濁させ、コンゴーレッドで10分間染色し、顕微鏡検査スライドにマウントした。
10.SZX 16 Olympus顕微鏡を使用し、蛍光顕微鏡検査(BV光フィルター)を使用してスライドを2.5倍の倍率で撮像した。
顕微鏡画像は図52に示されており、図52AはAA:NaOHが1:5、図52BはAA:NaOHが1:2、図52CはAA:NaOHが1:1である。示されているように、AA対NaOHの比が1:1であれば、十分なマーセル加工を達成し得る。同様に、AA:NaOHの比が1:1及び1:2の場合には大きい粒子を一部有していたが、大きい粒子は画像全体を通して一般に稀であった。
顕微鏡画像を、Fiji ImageJを使用して閾値処理及びセグメント化した。バイナリに変換した後に、画像にwatershedを適用した。フェレット径は、Analyze Particlesプラグインを使用して算出した。その結果は図53に示されている。示されているように、粒子サイズのヒストグラムは、AA:NaOHの3つの異なる比を通じて類似していた。
また、ANOVA分析も、Tukey post-hoc解析を有意水準0.05で使用して行った。結果は表23及び表24に示されている。
Figure 2023528928000027
Figure 2023528928000028
このように、サイズ分布は定性的には類似していたが、3つの分布の平均値は統計的に互いに異なっていた。分散検定では有意差は示されず、その結果、平均値の差は、実際の差、限られたサンプルサイズ、AA試料の高濃度での凝集、又は出発リンゴ材料のばらつきの結果である可能性がある。
上記の観点から、マーセル加工のためには、AA:NaOHについて1:1及び1:2の比を使用してもよいが、少なくとも一部には、溶液の粘度が最も低いため、1:5の比が最適である可能性がある。高濃度のAAでも同様の結果が得られる可能性があるが、混合はより困難である可能性があることに留意されたい。
マーセル加工したリンゴからの小さい粒子の除去
本試験では、マーセル加工した材料の粒子濾過中に、より小さい粒子(例えば、20μm未満)を除去することを調べることを目指した。
本試験では、濾過していない粉砕した脱細胞化されたセイヨウナシの粒子を、マーセル加工した脱細胞化されたAA材料と混合したが、これは、一般にセイヨウナシの粒子はリンゴ粒子よりも20μm未満のサイズの粒子を多く含むためである。
マーセル加工したAA 10mLに、濾過していない脱細胞化されたセイヨウナシ粉末10mLを添加した。試料を蒸留水で希釈して、最終容積を750mLとした。
試験は以下の手順に従って実施した。
1.混合物を作製する。
2.染色及び画像化のためにアリコートを収集する。
3.材料をAvanti遠心機で遠心処理して(8000RPMで15分間)、ペレットを形成させる。
4.染色及び画像化のために上清からアリコートを収集する。
5.上清を取り出す。
6.染色及び画像化のためにペレットからアリコートを収集する。
7.ペレットを、オートクレーブ処理可能な45μmのGilson篩により、篩い分け振動機で篩い分けして、材料を濾過し、150mLのdHOで3回洗浄する。
8.染色及び画像化のために、篩い分けした材料のアリコートを収集する。
9.再び遠心処理によって材料を濃縮する。
10.上清を廃棄する。
11.染色及び画像化のために最終的な材料から試料を収集する。
試料に等量の0.2%コンゴーレッド(0.5mL)を添加することによって染色を完了した。濃度のばらつきのため、試料を必要に応じて希釈した。染色した粒子を、SZX16実体顕微鏡により、BVフィルターを通して2.5倍及び10倍の倍率で撮像した。画像は、Fiji ImageJを使用して分析した。
条件あたりN=20の画像をスタックに集めた。スタックをバイナリに変換し、輝度及びコントラストの設定を適切に調整した。擬似ノイズを伴わずに画像をセグメント化するために、ガウスフィルターを適用した(2.5倍については2px、10倍については5px)。Analyze Particlesプラグインを使用した。2.5倍の画像には、1ピクセルのサイズが小さいため、粒子サイズの制限は適用しなかった。10倍画像については、下限を単一ピクセルノイズ(0.8μm)に設定した。粒子サイズの尺度としてフェレット径を使用した。
結果
図54は、最初にマーセル加工したAA及びセイヨウナシ粉末の混合物(遠心処理前)をコンゴーレッドで染色した顕微鏡画像を示しており、図54Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図54Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している。示されているように、20μm未満のサイズを有する粒子が観察された。上記に考察されたように、これは、セイヨウナシ粉末を添加したことから予想されたことであった。
図55は、混合物の最初の遠心処理の後に収集した、コンゴーレッドで染色された上清の顕微鏡画像を示しており、図55Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図55Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している。示されているように、上清は、ペレット中に濃縮されていない小さい粒子を有していた。
図56は、混合物の最初の遠心処理の後に形成されたペレットの、コンゴーレッドで染色された顕微鏡画像を示しており、図56Aは500μmスケールの顕微鏡画像を示し、図56Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している。示されているように、最初の混合物と同様に、20μm未満のサイズを有する粒子が観察された。
図57は、試料の篩い分け後のペレットの、コンゴーレッドで染色された顕微鏡画像を示しており、図57Aは500μmのスケールの顕微鏡画像を示し、図57Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している。示されているように、20μm未満のサイズを有する粒子はわずかしか観察されなかった。
図58は、最終遠心処理の後のペレット試料の、コンゴーレッドで染色された顕微鏡画像を示しており、図58Aは500μmのスケールの顕微鏡画像を示し、図58Bは100μmスケールの顕微鏡画像を示している。示されているように、20μm未満のサイズを有する粒子はわずかしか観察されなかった。混合物中に2種類の材料が存在するため、粒子サイズ分布が大きいことに注目されたい。
図59は、粒子のフェレット径の相対頻度として提示された、2.5倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子分布を示している。図60は、2.5倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子サイズ分布を示しており、図60Aは最終遠心処理の後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図60Bは篩い分けされたペレットの粒子サイズ分布を示し、図60Cは最初の遠心処理の後の粒子の粒子サイズ分布を示し、図60Dは上清の粒子サイズ分布を示し、図60Eは初期混合物の粒子サイズ分布を示している。
図61は、粒子のフェレット径の相対頻度として提示された、10倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子分布を示している。図62は、10倍で取得された顕微鏡画像のそれぞれの粒子分布を示しており、図62Aは最終遠心処理の後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Bは篩い分けされたペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Cは最初の遠心処理の後のペレットの粒子サイズ分布を示し、図62Dは上清の粒子サイズ分布を示し、図62Eは初期混合物の粒子サイズ分布を示している。
示されているように、20μm未満のサイズを有する粒子の存在は、篩い分けの後に著しく減少した。篩い分け後の遠心処理では、小さい粒子は多くは生成されないように思われる。さらに、上清試料は小さい粒子を含有していた。したがって、遠心処理は、分画遠心法によって小さい粒子を除去するのに役立ち得る。この結論は、少なくとも一部には、10倍の画像によって裏付けられる。2.5倍の画像の方がN値は大きい;しかし、2.5倍画像の単一ピクセルサイズは12.25μmであるため、10倍画像の補完は有用である。
さらに、この分布は純粋な材料の分布とは一致しないことに注意する必要がある。本試験では2つの構成要素の混合物を含めたため、二峰性分布が予想された。
20μm未満のサイズを有する粒子のパーセンテージも算出し、表24に示している。
Figure 2023528928000029
このように、本開示の方法は、皮膚充填剤における使用に適さない可能性のあるより小さいサイズの粒子を除去するために有効であり得ることは明らかである。
マーセル加工した材料の押出し後の粒子サイズ
本試験では、マーセル加工した脱細胞化された植物組織の粒子サイズを、シリンジを通しての押出しの前後で検討することを目指した。
実施例10で概説された手順を使用して調製した、希釈されていないマーセル加工したAA材料を、プランジャー軸を取り外した後に材料を逆充填することによって、シリンジにロードした。材料を移行したところでプランジャーを挿入し、27G針をシリンジに固定した。次に、第2のシリンジからプランジャーを取り外し、第1のシリンジを使用して27G針を通して材料を押し出した。このステップは、針を詰まらせるおそれのある大きな材料を除去するために行った。
AA材料を、最終濃度0.1%のコンゴーレッドで染色した。染色を行うために、1mLのAA材料を、F/Fルアーロック連結器を使用して、1mLの0.22μmフィルター処理済み0.2%コンゴーレッドと組み合わせた。30回行き来させて溶液を混合した。染色された溶液を放置し、室温で10分間インキュベートした。得られた溶液は粒子分析用の画像化のためには濃度が高すぎたため、洗浄用の滅菌水による1/64希釈を使用した。対照試料については、AA材料を27G針を通して全く押し出さなかった。
SZX16実体顕微鏡を使用して、2ピクセルのガウスぼかしフィルターを通して試料を2.5倍で撮像した。対照(前)及び押出し後の試料の両方について、代表的な領域の10枚の個々の画像を収集した。
粒子分析のために、画像をFiji ImageJにインポートし、スタックにまとめた。輝度及びコントラストの予備的な設定を調整した。画像を8ビットファイルに変換し、次いで粒子が確実にキャプチャされるようにそれに対して閾値設定を行った。画像をバイナリに変換し、watershedプラグインを適用した。得られたスタックを、Analyzeプラグインにより分析した。粒子サイズパラメーターとして、フェレット径を使用した。
図63は、押出し前後のAA材料の粒子サイズ分布を示している。粒子サイズ分布の記述統計量を表26に示している。
Figure 2023528928000030
このように、27G針を通しての押出しが、20μm未満のサイズを有する粒子の増加を引き起こさないことは明らかである。
また、20μm未満の粒子のパーセンテージは、押出し前と押出し後の集団でそれぞれ1%及び0.85%であり、これは従来の皮膚充填剤製剤と一致することが見出された。
マーセル加工した粒子の濃度の押出し力に対する影響
本試験では、マーセル加工した粒子の濃度が皮膚充填剤の押出し力に及ぼす影響を調べることを目指した。
3種の製剤を試験した。製剤は5mlシリンジで作製し、0.3ml容積を1ccシリンジに移行させた。インターロック連結器を使用して、シリンジ間で製剤を十分に混合した。シリンジ間を30回行き来させて製剤を混合した。試験した製剤の概要は表27に示されている。
Figure 2023528928000031
Cell Scale Univertデバイスを使用して、製剤の押出し力を試験した。製剤のうちの1つを含有する1ccシリンジの一方を、隣接する2つのレトルトスタンドに固定した2つのクランプを使用してデバイス内に配置した。
針のサイズ、シリンジのタイプ、押出し速度の影響についても調べた。針のサイズについては、1ccシリンジに27G針及び30G針を装着して比較した。シリンジのタイプの比較では、標準的な1ccシリンジ及びBellaFillシリンジを使用して試験を完了した。押出し速度については、27G針を装着した1ccシリンジから、1mm/s、2.5mm/s、5mm/sの押出し速度で製剤を押し出した。これらの試験はMer100製剤のみを使用して完了した。
結果
図64は、押出し力試験の結果を示しており、図64Aは1ccシリンジからの水の押出しN=10に関する力-変位曲線を示し、図64Bは1ccシリンジからのMer20Sal80製剤のN=10押出しに関する力-変位曲線を示し、図64Cは1ccシリンジからのMer100製剤のN=10の押出し力-変位曲線を示している。
図65は、製剤のそれぞれについて記録された最大押出し力を示している。最大押出し力の統計量を表28に示している。
Figure 2023528928000032
記録された最大押出し力についてANOVA分析を行い、その結果を表29に示している。
Figure 2023528928000033
製剤のプラトー押出し力も分析した。プラトー押出し力は、製剤の平均押出しを表しており、このため、押出し力の立ち上がりのほか、押出しが完了した後の押出し力の緩みも除外される。記録された力-変位曲線について、プラトー押出し力は約1mmから約8mmの変位範囲に対応する。
プラトー押出し力の比較は図66に示されている。プラトー押出し力の記述統計量は表29に示されており、そのANOVA分析は表30に示されている。
Figure 2023528928000034
Figure 2023528928000035
したがって、上記を考慮すると、希釈していないマーセル加工した材料(すなわち、Mer100)は、Mer20Sal80製剤及び水製剤よりも有意に大きい押出し力を有する。その上、Mer20Sal80製剤及び水製剤の押出し力に有意差はない。このことは、Mer20Sal80製剤及び水製剤の粘度はわずかに異なるものの、本実施例で概説された実験によってはその違いは識別できなかったことを意味する。
図67は、1mm/sのクロスヘッド速度で27G針(青線)及び30G針(赤線)を通して押し出されたMer100製剤の力-変位曲線を示している。
図68は、標準的な1ccシリンジ(青線)及びBellaFillシリンジ(黒線)から1mm/sのクロスヘッド速度で27G針を通して押し出されたMer100製剤の力-変位曲線を示している。
図67及び図68で行われた実行の最大押出し力は図69に示されており、ここで「BDシリンジ」は標準的な1ccシリンジを指し、「BFシリンジ」はBellaFillシリンジを指す。最大押出し力の記述統計量は表31に示されており、そのANOVA分析は表32に示されている。
Figure 2023528928000036
Figure 2023528928000037

一方向ANOVAでは、2つのシリンジのタイプの間で最大押出し力に有意差は示されなかった。しかし、30G針の押出し力は27G針よりも有意に高かった。
図70は、1mm/s(黒線)、2.5mm/s(青線)、及び5.0mm/s(赤線)のクロスヘッド速度で27G針を通して押し出されたMer100製剤の力-押出し曲線を示している。クロスヘッド速度のそれぞれについて最大押出し力が図71に示されている。クロスヘッド速度のそれぞれについて最大押出し力の記述統計量は表33に示されており、そのANOVA分析は表34に示されている。
Figure 2023528928000038
Figure 2023528928000039
示されているように、5mm/sのクロスヘッド速度では、押出し力は1mm/s及び2.5mm/sの力よりも有意に高かった。
皮膚充填剤製剤の押出し力に対する担体の影響
本試験では、皮膚充填剤製剤の押出し力に対するゼラチンの影響を調べることを目指した。
マーセル加工したAAを、実施例10で概説された手順を使用して調製した。次いで、マーセル加工したAA材料を3mLのHSWシリンジにロードし、F/Fルアーロック連結器を使用して1ccのシリンジに移行させた。次いで、マーセル加工したAA材料を、30Gの針を通して清潔な3mLシリンジに、27G針を通して押し出した。
1gの結晶性ゼラチン(GE)粉末を非滅菌水1.25mLに添加して、40%(m/v)予製液を調製した。予製液にさらに水1.25mLを添加した。この溶液を室温で1時間置いて膨潤させた。溶液を膨潤させた後に、温度を60℃に上ると、ゼラチンは数分間のうちに溶解した。得られたゼラチンは4℃で流動性を保ったが、一方、標準的なKnoxゼラチンでは約30℃未満の温度でゲル化する粘性溶液が生成された。
マーセル加工したAA及びゼラチンを使用して、様々な製剤を調製した。製剤の概要は以下の表34に示されている。製剤は、3mLシリンジにロードしたゼラチン溶液(ピペットを介して調製)を使用して調製した。マーセル加工したAA材料をルアーロック連結器を介して3mLシリンジに移行させた。マーセル加工したAA材料が移行したところで、そのシリンジは廃棄し、新しい3mLシリンジをルアーロック連結器に接続した。次いで溶液を3mLシリンジの間で30回通過させて製剤を生成させた。
Figure 2023528928000040

CellScale UniVertデバイスを使用して、製剤の押出し力をクロスヘッド速度1mm/sで試験した。2つのスタンドの間に支持バーを固定したことを除き、設定は実施例17に記載されたものと同じにした。12mmの圧縮を使用して5回の実行を完了した。6回目の実行は15mmの圧縮を使用して完了した。
BellaFill皮膚充填剤も対照として試験した。対照を、被検ゼラチン製剤と視覚的及び質感的に比較した。一般に、BellaFill及び本開示の製剤の両方を操作して、その形状を保持する小さい球を形成させることができる。その上、本開示の製剤は、より水和された感触であり、より半透明であった。
結果
図72は、27G針を通してクロスヘッド速度1mm/sで押し出した製剤の力-変位曲線を示しており、図72Aは5% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Bは2.5% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Cは1% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Dは0.5% GE製剤の力-変位曲線を示し、図72Eは0.25% GE製剤の力-変位曲線を示している。各製剤の最大押出し力を図73に示している。なお、2.5% GE製剤を使用した実行は4回のみであったことに留意されたい。
試験したBellaFill皮膚充填剤は、UniVertデバイスの10Nロードセルを上回った。
結論
示されているように、ゼラチンの濃度は製剤の押出し力に対して有意な影響を及ぼさなかった。その上、製剤は対照として使用したBellaFill皮膚充填剤よりも低い最大押出し力を示した。
観察された力-変位曲線は、全体として以前の試験よりもノイズが多かった。特定の理論には縛られないが、よりしっかりと固定される機器構成(支持バーの使用による)がノイズの原因である可能性があり、曲線を滑らかにするか又は減衰させる機器構成の曲げ又は屈曲が支持バーによって妨げられたためであるとの仮説を立てている。
本開示の皮膚充填剤のレオロジー
本試験では、本開示の皮膚充填剤のレオロジー特性を調べることを目指した。
マーセル加工したAA材料を、実施例10で概説された手順に従って調製した。調製した後に、マーセル加工したAA材料の一部を水で50%希釈した。
1Nロードセルを装着したCellScale UniVertデバイスを使用して、振動機械試験を行った。クランプを使用して、試料をUniVertデバイス内に配置されたビーカーに配置した。
マーセル加工したAA試料に、周期的圧縮を使用して正弦波歪み(5%)を適用した。振動運動により応力と歪みとの間の位相角を算出することが可能になった。歪みは振動関数であるため、動的弾性率を測定した。材料の貯蔵弾性率及び損失弾性率を算出するために、ヤング率を位相差と共に使用した。
結果
図74は、マーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示しており、図74Aは、希釈していないマーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示し、図74Bは、希釈したマーセル加工したAA試料の応力及び歪み対時間のチャートを示している。黒の曲線は歪みの測定値を表し、赤の曲線は応力の測定値を表している。
示されているように、応力及び歪みのピークオフセットは、希釈した試料の方が大きかった。その上、応力振幅は希釈していないマーセル加工したAA試料の方が大きかった。
位相角は、ピーク間の時間差を2πラジアンに対応する各サイクルの周期で除算することによって算出した。複素動的弾性率(各周波数に関する応力振幅)の値にcos(δ)又はsin(δ)を乗じて、それぞれ実数成分(貯蔵弾性率又は弾性率)及び虚数成分(損失弾性率)を得た。損失係数も位相シフトからtan(δ)として算出した。
図75は、試料のそれぞれについて貯蔵弾性率、損失弾性率、及び損失係数曲線を示しており、図75Aは希釈していないマーセル加工したAA試料の貯蔵弾性率(E’;黒線)及び損失弾性率(E’’;グレーの線)を示し、図75Bは希釈していないマーセル加工したAA試料の損失係数曲線を示し、図75Cは希釈したマーセル加工したAA試料の貯蔵弾性率(E’;黒線)及び損失弾性率(E’’;グレーの線)を示し、図75Dは希釈したマーセル加工したAA試料の損失係数曲線を示している。
示されているように、貯蔵係数及び損失係数は、希釈していない試料の低周波領域では線形であり、これは測定が線形粘弾性領域(LVR)で行われたことを示すと考えられ、この材料は主に弾性固体として特徴付けられる可能性がある。希釈した試料については、低周波周波数による貯蔵弾性率及び損失弾性率のわずかな増加が見られた。
さらに、希釈していないマーセル加工したAA試料及び希釈したものの両方が、試験した周波数及び歪みで主として弾性を示したのに対し、希釈した試料の方が流体寄与は大きかった。
加えて、ヘリカルパスt-バースピンドル粘度計を使用して、試料の粘度を試験した。試料のそれぞれは、約100,000cp~約200,000cpの範囲にある粘度を有することが見出された。
マーセル加工した組織材料の安定性
本試験では、マーセル加工した組織材料の経時的な安定性を調べることを目指した。
マーセル加工した脱細胞化されたAAを、上記の実施例10で概説された手順に従って調製したが、ただし、材料を27G針を通して押し出した後に、オートクレーブ処理可能なはんだ付けされた45μm篩による篩い分けを、Gilson SS 23 Test Sieve Vibratorを使用して行い、蒸留水150mLで3回洗浄した。0.5mLのマーセル加工したAA材料及び0.5mLの0.2%コンゴーレッドを、F/Fルアーロック連結器を介して接続された2本の3mLシリンジの間を30回行き来させて混合した。得られた混合物を水7mLで希釈し、相互接続された20mLのシリンジ間でさらに30回混合した。
次いで、混合物の内容物を2本の15mL Falconチューブに等量に分割した。一方のチューブは4℃の冷蔵庫に保存し(対照)、もう一方のチューブは40℃、120RPMのThermo Scientific社の振盪培養器に置いて、試料のエイジングを促進した。2本のチューブには5日間触れないようにした。
各チューブに含有される試料のアリコートを取り出して、2.5倍及び10倍の倍率のSZX16実体顕微鏡での画像化に使用した。次いで画像をFiji ImageJで分析した。2.5倍画像をスタックにまとめて、8ビットに変換した。画像の初期の輝度及びコントラストの設定を調整し、2pxのガウスぼかしを画像に適用した。次いで画像に閾値設定を行い、そこにwatershedを適用した。画像内の粒子は、サイズ制限なしでAnalyze Particlesプラグインを使用して分析した。
結果
図76は、分析した試料の顕微鏡画像を示しており、図76Aは4℃で保存した試料の顕微鏡画像を示し、図76Bは振盪培養器に維持した試料の顕微鏡画像を示している。試料の粒子サイズ分布を決定して図77に示しており、ここでグレーのバーは4℃で保存した試料の粒子サイズ分布を表し、黒のバーは振盪培養器に維持した試料の粒子サイズ分布を表している。
示されているように、分布は類似していた。振盪培養器で維持した試料では30~50μm粒子の小さなショルダーピークが観察されたが、20μm未満の粒子のパーセンテージは低いままであった(1.62%)。
粒子の円状率も分析した。円状率パラメーターCは、C=4πA/Pと定義され、ここでAは面積であり、Pは周長である。Cの値が1の場合は完全な円を表し、0に近い値は形状の伸びの増加を表す。また、粒子の真円度R=4A/(πR )も評価し、ここでRは適合楕円の主軸である。円状率と同様に、値の範囲は0~1であり、1の値は完全な丸である。その結果は図78に示されており、図78Aは、4℃で保存した試料(グレーのバー)及び振盪培養器で維持した試料(黒のバー)の粒子の円状率分布を示し、図78Bは、4℃で保存した試料(グレーのバー)及び振盪培養器に維持した試料(黒のバー)の粒子の真円度分布を示している。
示されているように、両方の試料の粒子はかなり円形であり、かなり丸い。
したがって、両方の試料の粒子は同程度の粒子サイズ及び形状の分布を有し、これは粒子が時間の経過と共に膨張することも又は形状が変化することもないことを意味する。
本開示の皮膚充填剤の微生物検査
本試験では、本開示の皮膚充填剤を生産する方法の滅菌サイクルを調べることを目指した。
マーセル加工した脱細胞化されたAA材料を、実施例10で概説された手順に従って調製した。マーセル加工したAA材料の一部を、本明細書に以前に記載されたようにリドカイン及びゼラチンと混合して皮膚充填剤を形成させ、15分間脱気した後、ルアーロック連結器を使用して市販の1ccシリンジに前からロードし、シリンジを130℃又は135℃の湿潤サイクルで3分間オートクレーブ処理した。
2つの寒天培地、すなわち、Sabouraud Dextrose Agar(SDA)及びTryptic Soy Agar(TSA)を使用した。100mm×16mmのディッシュに必要な容積(最終容積200ml)の培地内容を計算して調整することによって、各培地のプレートを5枚用意した。各培地の組成を表35に示している。
Figure 2023528928000041
培地を121℃で1時間オートクレーブ処理した後、60℃の水浴で冷却し、安全キャビネット内でプレートに約15mL~約30mLの培地を注ぎ入れた。培地で満たしたプレートを、蓋を半分開けたまま固まるまでキャビネット内に放置した。培地が固まったところで、プレートをパラフィンで封止し、4℃の無菌冷蔵庫に入れた。
次いで、寒天プレートを、5つの条件下で調製した:未開封の対照プレート、130℃でオートクレーブ処理した皮膚充填剤で画線したもの、135℃でオートクレーブ処理した皮膚充填剤で画線したもの、マーセル加工したAA材料(オートクレーブ処理していない)で画線したもの、及び画線した対照。使用する画線パターンは、標準的な4象限手法とした。
調製した後に、TSAプレートを32.5℃で5日間、SDAプレートを22.5℃で7日間インキュベートした。
結果
オートクレーブ処理していないマーセル加工したAA材料で画線したプレートでのみ、コロニー及び増殖が観察された。
したがって、130℃と135℃での3分間のオートクレーブ処理サイクルは、シリンジを滅菌するのに十分であった。未開封の対照では、注ぎ入れ手法が無菌であることが確認された。画線対照により、何らかの混入が発生した場合、それは環境又は注ぎ入れ手法ではなく、マーセル加工したAA材料又は皮膚充填剤によると考えられることが検証された。
また、マーセル加工したAA材のオートクレーブ滅菌は、材料のわずかに黄変を引き起こすことが観察された。いかなる特定の理論にも縛られないが、黄変はマーセル加工したAA材料に存在する還元糖のカラメル化の結果である可能性があるとの仮説を立てている。
本開示の皮膚充填剤におけるSDS定量
本試験では、本開示の皮膚充填剤における残留SDSの量を決定することを目指した。
Bio Basic Residual SDS Detection Kitを使用して、残留SDS含有量を決定した。このキットは0.002%~0.014% SDSの動作範囲を有する。分析は分光光度法に基づく分析とした。
実験プロトコールの概要を以下に示す。
標準曲線
SDSの実験値は、既知の濃度のSDSから作成された標準曲線を参照とする:
1.SDS粉末0.1gを秤量して10mLのdHOに入れて、標準品作製用の0.1%溶液とする。
2.SDSの推定には、表36に示されているように、0.002%~0.014%の範囲の既知のSDS濃度で較正プロットを作成する。
Figure 2023528928000042
3.SDS溶液のそれぞれから50μLを8本の新しい2mL微量遠心チューブに移す。
4.A液(キットからの)50μLを手順3のチューブに添加する。十分に混合する。
5.手順3の各チューブにB液(キットからの)1.5mLを添加し、30s-1分間、ボルテックス処理によって激しく混合する。
6.室温で5分間静置する。5000rpm(2000×g)で5分間遠心する。
7.上清150μLを96ウェルプレートに移す。
8.マイクロプレートリーダーをブランクにして、続いてOD 499nmで光学密度を測定する。
9.x軸を% SDS濃度、y軸をOD 499nmの読取り値として標準曲線を描く。
試料中のSDSの検出
1.SDSの推定値が標準曲線の範囲内に収まるように試料を適宜希釈する。
2.2mLの微量遠心チューブを3本用意する。希釈した試料50μLをチューブ1及びチューブ2に添加する。ブランク対照としてdHO 50μLを第3のチューブに添加する。
3.A液50μLをステップ2のチューブに添加する。十分に混合する。
4.各チューブにB液(キットから)1.5mLを添加し、30s-1分、ボルテックス処理で激しく混合する。
5.室温で5分間静置する。5000rpm(2000×g)で5分間遠心する。
6.上清150μLを96ウェルプレートに移す。
7.マイクロプレートリーダーをブランクにし、続いてOD 499nmで光学密度を測定する。
8.標準曲線を使用して、希釈した試料におけるSDSの%を得る。試料中のSDS濃度は、以下の式を使用して得る。
試料中のSDSの%=(希釈した試料の%)(希釈係数)
脱細胞化された材料の調製
いかなる特定の理論にも縛られないが、SDS定量は、マーセル加工した脱細胞化された材料ではなく、脱細胞化された材料に最も適していると仮定している。
実施例5で概説された手順に従って、脱細胞化されたAA材料を調製した。SDS含有量を、手順の全体を通して様々な時点で分析した。
結果
標準曲線を、既知のSDS溶液から得られた以下のデータを使用して作成した。
Figure 2023528928000043
標準曲線の線形適合はR2=0.997であった。線形適合式はy=23.952x-0.0067であった。
この曲線を使用して、脱細胞化されたAA試料中のSDS含有量を検出した。
・脱細胞化に使用するSDS溶液の1:10希釈物=0.10±0.01、N=3の反復試験及び3つの試料。
・CaClインキュベーション並びにその後の洗浄及び72時間のインキュベーション後の脱細胞化されたAA材料の液相からの1:10希釈物=検出不能。
・CaClインキュベーション並びにその後の洗浄及び72時間のインキュベーション後の脱細胞化された材料の希釈していない液相=0.008%又は80ppm。
このように、脱細胞化された試料のSDS含有量は十分に低かった。その上、SDSの含有量は、遠心処理及び洗浄のステップが複数あることから、マーセル加工の手順の間にさらに減少すると考えられる。
本開示の皮膚充填剤における過酸化物の定量
本試験では、本開示の皮膚充填剤に残存する過酸化物の量を決定することを目指した。
過酸化物含有量を試験するために、Bartovation試験ストリップ(0~100ppm)を、実施例10で概説された手順に従って生成されたマーセル加工したリンゴ材料に浸した。一般的には、試験ストリップを材料に1秒間浸して、余分な材料を振って落とす。10秒後に、ストリップの色調を、0ppm、1ppm、3ppm、10ppm、50ppm、及び100ppmの較正された色調標識として較正された試験パッドと比較する。
マーセル加工したAAの4つのバッチを生産して試験した。第1のバッチの過酸化物含有量は1ppm~3ppmであり、第2のバッチの過酸化物含有量は約3ppmであり、第3のバッチの過酸化物含有量は約0ppmであり、第4のバッチの過酸化物含有量は約0ppmであった。全体として、過酸化物含有量は洗浄及び遠心処理のサイクルによって減少することが見出された。
上記の結果を検証するためにスパイク試験も行った。スパイク試験では、マーセル加工したAAのバッチの1つに約10ppmの過酸化水素をスパイク投与することを伴う。スパイク投与した試料の過酸化物含有量は約10ppmであり、これは試験が成功し、結果が妥当であったことを示している。
漂白に適する過酸化物の濃度
本試験では、脱細胞化された材料の漂白に適する過酸化物濃度の範囲を決定することを目指した。
上記の実施例10で概説された手順を使用して、脱細胞化されたAA材料をマーセル加工した。本試験では過酸化水素の容積を25mLに変更した。
第1の試行では、マーセル加工したAAを生産する際に、50mLの過酸化水素を漂白に使用した。AA材料の色は薄くなったが、完全には漂白されなかった。
第2の試行では、マーセル加工したAAを生産する際に、漂白に過酸化水素75mLを使用したところ、AA材料は十分に漂白された。
第3の試行では、マーセル加工したAAを生産する際に、150mLの過酸化水素を漂白に使用した。AA材料は十分に漂白されたものの、AA材料の過酸化物含有量を10ppm未満に下げるためにはさらなる遠心サイクルが必要であった。
皮膚充填剤の構成要素のpH
本試験では、本開示の皮膚充填剤の個々の構成要素のpHを、皮膚充填剤の全体的なpHに対するその影響を評価するために決定することを目指した。
表38は、本開示の皮膚充填剤の構成要素のpHレベルを示す:
Figure 2023528928000044
一部の実施形態では、皮膚充填剤の目標範囲は約6.5~約7.5である。いかなる特定の理論にも縛られないが、PBSはマーセル加工したAAのpHをそのような範囲内に維持している可能性があるとの仮説を立てている。
本開示の皮膚充填剤の酵素的分解
本試験では、本開示の皮膚充填剤を分解することができる酵素を調べることを目指した。上記のように、本開示の皮膚充填剤は、充填剤を分解する能力を有する酵素を人体が天然に産生しないという点で、永続的であると考えられる。しかし、場合によっては、永続的な皮膚充填剤を除去することが望ましいことは認識されるであろう。永続的な皮膚充填剤を除去する方法の1つは、人体で産生されない酵素を使用する酵素的分解によると考えられる。
化学物質及び機器
3,5-ジニトロサリチル酸(DNSA)及びD-(+)-グルコースは、Alfa Aesar社(カナダ)から入手した。亜硫酸ナトリウムは、ANKOM technologies社(米国)から入手した。酢酸、コンゴーレッド、酢酸ナトリウム三水和物、水酸化ナトリウム、及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、Fisher Scientific社(カナダ)から入手した。酒石酸カリウムナトリウム四水和物は、Acros Organics社(カナダ)から入手した。使用した酵素は、TCI America社(米国)のクロコウジカビ(Aspergillus niger)由来のセルラーゼ及びペクチナーゼ、Sigma社(カナダ)のトリコデルマ属(Trichoderma sp.)由来のセルラーゼ、Plantmedia社(米国)のリゾプス属(Rhizopus sp.)由来のMacerozyme R-10であった。ベンチトップpHメーター(Sartorius社)、Synergy Mx分光計(BioTek社)、MaxQ攪拌インキュベーター(Thermo Scientific社)、蛍光フィルター付きSZX16実体顕微鏡(Olympus社)を使用して調査を実施した。
試薬及び溶液の調製
ジニトロサリチル酸試薬1%(DNSA試薬)は、DNSA 10g、亜硫酸ナトリウム500mg、及び水酸化ナトリウム(NaOH)10gを蒸留水1Lに溶かして調製し、室温で保存した。40%酒石酸カリウムナトリウム溶液(ロッシェル塩)は、酒石酸カリウムナトリウム四水和物40gを蒸留水100mLに溶かして調製し、室温で保存した。クエン酸ナトリウム緩衝液(50mM)は、50mLの100mMクエン酸ナトリウムを蒸留水で最終容積100mLに希釈し、pHを6に調整して調製し、室温で保存した。酢酸ナトリウム緩衝液(100mM)は、酢酸ナトリウム1.3g及び酢酸5mgを蒸留水100mLに溶かし、pHを6に調整して調製し、室温で保存した。PBS緩衝液1Xは、10mLの10×PBSを蒸留水で最終容積100mLに希釈して調製し、室温で保存した。酵素予製液は、1mg/mLという同じ酵素濃度で各種緩衝液中で調製し、4℃で保存した。0.1%コンゴーレッド染色溶液は、蒸留水に溶解させて調製し;溶液を0.45μmシリンジフィルターで濾過して沈殿物を除去して、4℃で保存した。
グルコース標準曲線
DNSA法では、溶液中で生成されるグルコースの量を比色分析によって定量する。この方法は、グルコースなどの還元糖によって引き起こされる遊離カルボキシル基(C=0)の存在を確認するために使用される。グルコースに存在するアルデヒド官能基が酸化されるとDNSAと反応し、3-アミノ-S-ニトロサリチル酸(ANSA)に還元されて溶液が赤褐色になる。蒸留水中のD-グルコース10mg/mlの予製液を使用して、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10mg/mlの標準曲線を作成した。DNSA試薬の方法及びHIMEDIAのプロトコールを使用して、セルロース系の皮膚充填剤の分解によるグルコース生成の標準曲線を確立することができる。D-グルコース予製液を0.1mg/mL~10mg/mLの濃度に希釈して、標準品200μLを分注した。DNSA試薬0.5mLを標準品に添加し、試料を15分間沸騰(95℃)させた。完了後に、酒石酸カリウムナトリウム(40%)0.5mLを試料に加え、ボルテックス処理して混合した。各標準品の150μLを96ウェルプレートに添加し、Synergy Mx分光計を使用して540nmでの吸光度を取得した。
種々の緩衝液における希釈酵素アッセイ
このアッセイを使用して、より小規模なセルロース系の皮膚充填剤の分解に最適な緩衝液及び酵素を決定した。酵素の予製液(1mg/mL)を異なる緩衝液(PBS、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム)で調製し、予製液50μLを同じ緩衝液950μLで希釈した。24ウェルプレートのウェルにセルロース系の皮膚充填剤1mLを添加した後、希釈した酵素溶液をウェルに添加した。プレートは、1時間、24時間、48時間の3つの異なる時間枠で、攪拌せずに37℃のインキュベーターに置いた。時間枠ごとに200μLのアリコートを収集し、DNSA分析まで酵素活性を阻害するために4℃で保存した。グルコース生成量の推定はDNSA法によって行われた。
種々の緩衝液における希釈ペクチナーゼ/セルラーゼ比アッセイ
このアッセイを使用して、異なる比のペクチナーゼ及びセルラーゼによるセルロース系の皮膚充填剤の分解に最適な緩衝液を決定した。異なる緩衝液(PBS、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム)にペクチナーゼの予製液(1mg/mL)及びセルラーゼの予製液(1mg/mL)を使用して、最終容積50μLで、ペクチナーゼ:セルラーゼの比を100:0、75:25、50:50、25:75とした。次いで、この溶液を対応する緩衝液950μLで希釈した。24ウェルプレートのウェルにセルロース系の皮膚充填剤1mLを添加し、ペクチナーゼ及びセルラーゼの希釈混合物をウェルに添加した。プレートを37℃のインキュベーター内に1時間、24時間、及び48時間、攪拌せずに置いた。時間枠ごとに200μLのアリコートを収集し、4℃で保存し、DNSA法によってグルコース生成量を推定した。
種々の酵素濃度アッセイ
このアッセイを使用して、上記で試験した最適な緩衝液中でセルロース系の皮膚充填剤を完全に分解するための最適な濃度を決定した。酢酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウム中の酵素予製液(1mg/mL)を使用して、対応する緩衝液で最終容積1.2mLに希釈することにより、100:0、75:25、50:50、25:75、0:100(酵素:緩衝液)の比とした。セルロース系の皮膚充填剤0.5mLを24ウェルプレートに加え、異なる酵素濃度溶液を適切なウェルに添加した。プレートを37℃のインキュベーター内に1時間、24時間、及び48時間、攪拌せずに置いた。指定されたインキュベーション時間後に各ウェルから200μLのアリコートを収集し、DNSA分析まで酵素活性を阻害するために4℃で保存した。グルコース生成量の推定はDNSA法で行い、Blue-Violetフィルターを使用したSZX16実体顕微鏡を使用した2.5倍の倍率の蛍光顕微鏡画像化で、皮膚充填剤粒子の分解をコンゴーレッド染色により可視化した。
種々のペクチナーゼ及びセルラーゼの比の濃度アッセイ
このアッセイを使用して、セルロース系の皮膚充填剤を完全に分解するためのペクチナーゼ及びセルラーゼの混合物の最適な比を決定し、ペクチナーゼの添加によって変化が生じたかどうかを可視化した。本アッセイで使用する緩衝液の選択は、セクション2.4の方法を使用した実験の結果に基づいた。ペクチナーゼの予製液(1mg/mL)及びセルラーゼの酢酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウム予製液(1mg/mL)を使用して、それぞれの予製液の必要量を合わせて最終容積1.2mLとし、100:0、75:25、50:50、25:75、0:100の比(ペクチナーゼ:セルラーゼ)とした。24ウェルプレートのウェルに0.5mLのセルロース系の皮膚充填剤を添加し、ペクチナーゼ-セルラーゼ溶液を適切なウェルに添加した。プレートを37℃のインキュベーター内に1時間、24時間、及び48時間、攪拌せずに置いた。指定されたインキュベーション時間後に各ウェルから200μLのアリコートを収集し、DNSA分析まで酵素活性を阻害するために4℃で保存した。グルコース生成量の推定はDNSA法で行い、Blue-Violetフィルター付SZX16実体顕微鏡を使用した2.5倍の倍率の蛍光顕微鏡画像化で、皮膚充填剤粒子の分解をコンゴーレッド染色で可視化した。
種々の時点及び種々の濃度での酵素的分解の有効性
このアッセイを使用して、酵素溶液を事前に作製して異なる温度で保存すると、新鮮な酵素と比較して効率が変化するかどうかを決定した。また、1、1.5、2、2.5、3mg/mLという高濃度の酵素も試験した。上記のアッセイでは、溶液を2時間の期間で作製し、酵素溶液を新鮮に保つために氷浴に入れた。逆に、4℃に1週間保った溶液でも実験を繰り返した。使用する酵素は、トリコデルマ属由来のセルラーゼ、及びトリコデルマ属由来のセルラーゼとクロコウジカビ由来のペクチナーゼの、酢酸ナトリウム緩衝液中で25:75(ペクチナーゼ:セルラーゼ)の比で混合した混合物である。24ウェルプレートのウェルに1mLのセルロース系の皮膚充填剤を添加し、酵素溶液を適切なウェルに添加した。プレートを37℃のインキュベーター内に1時間、24時間、及び48時間、攪拌せずに置いた。指定されたインキュベーション時間後に各ウェルから200μLのアリコートを収集し、DNSA分析まで酵素活性を阻害するために4℃で保存した。グルコース生成量の推定はDNSA法で行い、Blue-Violetフィルター付きSZX16実体顕微鏡を使用した2.5倍の倍率の蛍光顕微鏡画像化で、皮膚充填剤粒子の分解をコンゴーレッド染色で可視化した。
顕微鏡検査の画像化
酵素消化後の残りの試料を0.1%コンゴーレッド溶液で染色し、これを使用して、粒子が分解されたかどうかを評価した。画像分析では、単一粒子を可視化するために1/64希釈を行った。各試料の1mLを24ウェルプレートに添加し、Blue-Violetフィルター付きSZX16実体顕微鏡を使用して2.5倍の倍率で撮像した。
統計分析
得られた値の統計分析は、Origin 2021ソフトウェアを使用して二方向ANOVAで行った。提示されている値はすべて、平均値±標準誤差(SE)である。統計的に有意に異なると考えられる値はp<0.05とした。
結果
セルロースは、D-グルコースの複数のサブユニットがβ-1,4-グリコシド結合によって結合した直鎖状の多糖である。セルラーゼ酵素はこの結合を切断してD-グルコースサブユニットを放出する。このため、DNSA法を使用して、セルロース系の皮膚充填剤の酵素活性から生成されるD-グルコースの標準曲線を取得した。図79に示されている標準曲線を使用して、セルロース系粒子のD-グルコースへの分解を定量した。直線曲線から得られる式により、生成されたD-グルコースの濃度を算出することができる:波長540nmについては[D-グルコース]=(吸光度+0.05185)/0.36664、波長575nmについては[D-グルコース]=(吸光度+0.01969)/0.11256。
図80を参照すると、トリコデルマ属由来のセルラーゼ(T)は、クロコウジカビ由来のセルラーゼ(A)及びマセロザイムR-10(M)と比較して、37℃のインキュベーション温度でセルロースからグルコースへの変換に最も優れることが見てとれる。これは酵素の至適温度によって説明することができ、マセロザイムR-10の至適温度は40℃~50℃の間であり;クロコウジカビ由来のセルラーゼの至適温度は30℃であり、その酵素活性を大幅に低下させる可能性がある;及びトリコデルマ属由来のセルラーゼの至適温度は40℃であり、これはトリコデルマ属がグルコースの生成量が多かった唯一の酵素である理由を示す可能性がある。セルラーゼTは、酢酸ナトリウム(ACE)及びクエン酸ナトリウム(CIT)緩衝液でより良好に機能した。図80に表されている対照値は、緩衝液のみで、セルロース系の皮膚充填剤から少量のD-グルコースが存在したことを示している。これは、リンゴ細胞壁の構成要素、例えば、リグニン、セルロース、及びヘミセルロースをグルコースに分解する可能性のあるマーセル加工プロセスによって引き起こされる可能性がある。
次に、ペクチナーゼとセルラーゼとの様々な比を評価した。図81は、種々の緩衝液における種々のペクチナーゼ:セルラーゼ比の分析を示している。示されているように、100:0の比のペクチナーゼのみでは、粒子の分解はあまり起こらなかった。ペクチナーゼをセルラーゼに25:75の比でT ACEと共に添加すると、他の試料と比較して最適な分解が得られた。いかなる特定の理論にも縛られないが、ペクチナーゼの添加は、セルロースミクロフィブリルと結合したヘミセルロースポリマーを分解するのに役立ち得ると考えられており、その結果、より多くのセルロースが遊離して、セルラーゼの加水分解に利用可能になる可能性がある。
図82を参照すると、セルラーゼTは25%濃度でも高いグルコース生成を示し、最適な緩衝液はACEであることが示されている。他の酵素(A及びM)については、異なる培養時間で比較した場合、グルコースはほとんど生成されなかった。図83は、100%から50%の濃度ではT CIT及びT ACEの両方でセルロース粒子が完全に分解され、25%の濃度では部分的に分解されたことを示している。これは、1.2mLの酵素溶液が、0.5mLのセルロース系の皮膚充填剤のセルロース粒子を、100~50%の濃度から完全に分解し得る可能性があることを意味する。
異なるペクチナーゼ:セルラーゼ比の分析の結果を図84に示している。示されているように、セルラーゼTは使用する緩衝液によって最適な比が異なった。T ACEではペクチナーゼ:セルラーゼの最適比は25:75であり、T CITでは75:25であった。図85に示されている染色顕微鏡画像は、T ACEについて50:50、25:75及び0:100のペクチナーゼ:セルラーゼの比での全分解を示している。セルラーゼ酵素が混合物に添加されていないため、ペクチナーゼを有するT CITの画像は考慮しなかった。
図86に示されているように、新鮮な酵素溶液の濃度が異なる場合、ペクチナーゼの存在下及び非存在下ともに、48時間後にすべての異なるセルラーゼ濃度に対して生成されるD-グルコースの濃度は12mg/mL~16mg/mLの間でプラトーを形成することが示された。プラトーは、利用可能な基質の量に対して十分な酵素がなかったことを示す可能性がある。ペクチナーゼの存在下及び非存在下ともに、2.5mg/mL及び3mg/mLの濃度でのセルロース粒子の全分解が観察され、これは図87に示されている。また、ペクチナーゼによるT ACEでの濃度1.5及び2mg/ml、T ACEでの濃度1、1.5及び2mg/mLでも粒子の部分的な分解が認められた。
図88に示されているように、あらかじめ作製した酵素溶液の濃度の違いは、濃度が高くなるにつれて緩やかなピークを示し、プラトーを示した新鮮酵素溶液とは対照的であった。D-グルコース生成は、ペクチナーゼを添加した場合の12.5mg/mL~15mg/mLと比較して、T ACEのみでは12.5mg/mL~20mg/mLと高かった。新鮮な酵素溶液の結果を比較することにより、4℃で1週間保存しても酵素活性に影響がないことが明らかになった。セルラーゼは酵素活性が低下することなく4℃で7.5カ月保存し得るため、この結果は予想された通りであった。
したがって、試験した酵素の中で、本明細書で評価された様々な組合せのうち、本開示のセルロース系の皮膚充填剤を分解する最適な酵素は、ペクチナーゼの存在下及び非存在下ともに、トリコデルマ属由来のセルラーゼである。
本開示の皮膚充填剤のインビボ注射
本試験では、実施例3で得られた結果を拡張することを目指した。さらに、本開示の皮膚充填剤を使用してインビボ注射を行った。
3種の皮膚充填剤を調製した。生理食塩水担体を使用したもの、ヒアルロン酸(HA)担体を使用したもの、及びコラーゲン担体を使用したものである。製剤は、実施例3で概説された手順を使用して調製した。
3つの製剤のそれぞれを、3匹のラットに皮下注射した。ここでも、実施例3で概説された注射手順に従った。ラットのそれぞれに第4週及び第8週に切除を行った。12週後に各製剤のラットのうちの2匹を安楽死させて、そこから組織を収集した。1年後に残るラットを安楽死させて、そこから組織を収集した。
結果
製剤試験のそれぞれからのラットのうちの1匹から採取した切除部の例を図89に示しており、図89Aは生理食塩水製剤を注射したラットから採取した切除部であり、図89BはHA製剤を注射したラットから採取した切除部であり、図89Cはコラーゲン製剤を注射したラットから採取した切除部である。
注射した製剤を、切除後に視覚的に評価した。一般に、生理食塩水製剤は色調が褐色であった。HA製剤は生理食塩水製剤と色が似ていたが、HA注射の形態は、生理食塩水製剤と比較して「でこぼこ」又は「断片化」状に見えた。コラーゲン充填剤は密な楕円形のままであり、最初の4週間は白色で、後の時点では褐色であったが、これはラットの体内でのコラーゲン再吸収の時間枠に対応する可能性がある。
それぞれの注射後の様々な時点で試料を採取し、マッソン三色染色(MT)又はヘマトキシリン及びエオジン(HE)で染色して顕微鏡検査下で撮像した。各製剤の12週時点の顕微鏡画像を図90から図92に示している。
図90は、12週時点での生理食塩水製剤注射の顕微鏡画像を示しており、図90Aは、MTで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図90Bは、MTで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率10倍での顕微鏡画像、図90Cは、MTで染色した注射した生理食塩水製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示し、図90Dは、HEで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率1倍での顕微鏡画像、図90Eは、HEで染色した注射した生理食塩水製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図90Fは、HEで染色した注射した生理食塩水製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示している。
図91は、12週時点でのHA製剤注射の顕微鏡画像を示しており、図91Aは、MT染色した注射したHA製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図91Bは、MT染色した注射したHA製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図91Cは、MT染色した注射したHA製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像、図91Dは、HE染色した注射したHA製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図91Eは、HE染色した注射したHA製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図91Fは、HE染色した注射したHA製剤の20倍の倍率での顕微鏡画像を示している。
図92は、12週時点でのコラーゲン製剤注射の顕微鏡画像を示しており、図92Aは、MTで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図92Bは、MRで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図92Cは、MTで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率20倍での顕微鏡画像を示し、図92Dは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率1倍での顕微鏡画像を示し、図92Eは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率10倍での顕微鏡画像を示し、図92Fは、HEで染色した注射したコラーゲン製剤の倍率20倍での顕微鏡画像を示している。
注射した製剤のそれぞれの試料をコンゴーレッドでも染色し、ラット細胞が皮膚充填剤にどの程度侵入したかを調べるために顕微鏡下で検討した。侵入したラット細胞をHoechst 33342で標識した。その結果は図93に示されており、図93Aは、注射した生理食塩水製剤を倍率10倍で示し、図93Bは、注射したHA製剤を倍率10倍で示し、図93Cは、注射したコラーゲン製剤を倍率10倍で示している。示されているように、3種の製剤には12週時点でラット細胞による侵入がかなり生じた。
注射された製剤のそれぞれに血管及び赤血球が見られることが見出された。ラットと皮膚充填剤製剤との間の血管新生相互作用を調べるために、12週時点で注射製剤のCD31染色を行った。同様に、CD45染色を使用してラットの免疫応答を評価し、Verhoefff Van Gienson(Verhoeff)染色を使用してエラスチンを同定した。それぞれの染色結果は図94に示されている。示されているように、CD31染色では血管壁(褐色のループ構造)の形成が確認され、CD45染色では注射した異物(褐色細胞質と青色核)に対して予想される免疫応答が示された。Verhoeff染色では大量のエラスチン線維(黒)は認められなかったが、コラーゲン線維(赤/ピンク)は予想通り存在していた。
組織学的分析
注射した皮膚充填剤及び市販のBellafill皮膚充填剤について、12週時点での組織学的分析も行った。注射した製剤はISO 10993-6ガイドラインに従って評価し、それは以下の表39に示されている。
Figure 2023528928000045
表40は、ISO 10993-6での評価のために選択した試料の詳細である。
Figure 2023528928000046
表40で特定したグループのそれぞれに関するISO 10993-6による評価の結果を、表41から表43に示している。
Figure 2023528928000047

Figure 2023528928000048
Figure 2023528928000049
Figure 2023528928000050
各試料グループの様々なパラメーターの平均値の概要を、表45に示している。
Figure 2023528928000051
示されているように、グループ1、2、3、4のインプラント部位では、多形核細胞、壊死、脂肪浸潤、線維性滲出液、石灰化、肉芽腫、出血、及び異物デブリはいずれも認められなかった。
グループ1、グループ2、及びグループ3の試験インプラントに対する組織反応は、高出力視野あたりで、リンパ球及びマクロファージの6個から重度の浸潤、1~5個の形質細胞、並びに密に充填された巨細胞の重度の浸潤、並びに最小限から軽度のコラーゲン沈着/線維結合組織によって特徴付けられた。
試験グループでは、試験製剤粒子の吸収/分解が、巨細胞内に、又はマクロファージに囲まれて観察されたが、リンパ球及び形質細胞はほとんどインプラントの周辺に見られた。
グループ1、2、3の試験インプラント部位の周囲には、線維性結合組織の細いバンドによって特徴付けられる最小限の線維性被包が観察された。
グループ4の対照インプラント部位の組織反応は、高出力視野あたりで、リンパ球の6個から重度の浸潤、1~5個の形質細胞、6~10個のマクロファージ、及び3~5個の巨細胞の浸潤、並びに最小限から軽度のコラーゲン沈着/線維結合組織によって特徴付けられた。対照群では、対照物ミクロスフェアの周囲に炎症細胞が見られた。
グループ2の試験及びグループ4の対照インプラント部位では、支持性線維芽細胞構造を有する4~7本の毛細血管の群によって特徴付けられる血管新生が見られ、グループ1及び3の試験インプラント部位では、支持組織を有する幅広い毛細血管のバンドが観察された。
炎症反応は、グループ2の試験インプラント及びグループ4の対照インプラントよりもグループ1及び3の試験インプラントの方がわずかに高度のように見えた。ISO 10993-6スコア化に基づく炎症反応は顕著であったが、グループ4の対照と比較した場合、グループ2の試験インプラントは非刺激性とみなされ、グループ1及び3の試験インプラントは軽度の刺激性とみなされた。製剤の刺激性の概要を表46に示している。
Figure 2023528928000052
総合すると、すべてのグループで炎症反応(主として巨細胞、リンパ球、及びマクロファージで構成される)が認められ、壊死、脂肪浸潤、線維性滲出物、石灰化、肉芽腫、出血、及び異物デブリは認められなかった。ISO 10993-6スコア化に基づいて、グループ4の対照インプラントと比較した場合、グループ2の試験インプラントは非刺激性であるとみなされ、グループ1及び3の試験インプラントは軽度の刺激性であるとみなされた。
注射物サイズの測定
注射した皮膚充填剤の容積によって形成される隆起のサイズを、市販のBellaFill皮膚充填剤を使用した試験と同様に、各製剤についてモニタリングした。概ね楕円形の注射物を、ノギスを使用して2つの垂直な直径の長さと高さ(皮膚に垂直)を記録することによってモニタリングした。測定値は、面内面積の算出及び楕円体の体積の推定に使用した。
時間の経過に伴う製剤の正規化パーセンテージの減少として表される各注射隆起の高さの変化は図95に示されており、ここでコラーゲン製剤は黒線、HA製剤は赤線、生理食塩水製剤は青線、BellaFill製剤は紫線である。
示されているように、コラーゲン製剤及びHA製剤はサイズが徐々に減少し、最終的にはプラトーになったが、生理食塩水製剤は予想通り高さが急速に減少した。BellaFill皮膚充填剤注射剤の高さは徐々に低下し、コラーゲン製剤及びHA製剤と同様にプラトーに達した。
注射隆起のサイズの減少は、粒子の劣化を示すものではないことに留意されたい。上記の組織学的評価は、粒子が無傷のまま保たれることを示している。そうではなくて、サイズの減少は、担体の再吸収、材料の圧縮、横方向への製剤の膨張、及び/又はラットの経時的な質量の増加に起因する可能性がある。
本開示の皮膚充填剤のさらなるインビボ試験
さらなるインビボ試験を、マーセル加工したリンゴ材料を含む本開示の皮膚充填剤製剤を使用して行った。
4つの製剤を試験した。すなわち、マーセル加工したリンゴのみを含む第1の製剤(Mer100)、0.9%の生理食塩水中にマーセル加工したリンゴを20%として含む第2の製剤(20Mer80Sal)、3.5%のコラーゲン溶液中にマーセル加工したリンゴを20%として含む第3の製剤(20Mer80Col)、溶解再生セルロース中にマーセル加工したリンゴを20%として含む第4の製剤(20Mer80Reg)である。各製剤は0.3%リドカインも含んだ。
溶解再生セルロースは、脱細胞化されたリンゴ材料をLiClとジメチルアセトアミド(DMAc)の溶液で溶解させることによる。次いで、溶解セルロースを溶媒交換し、マーセル加工したリンゴと混合することを介して「再生」させる。
製剤のそれぞれを2匹のラットに4回注射した。各製剤について、12週後に1匹を、1年後にもう1匹を切除した。注射容積はそれぞれ製剤600μLであった。製剤の注射後に形成された隆起を、12週間にわたり毎週測定し、その後は毎月測定した。隆起サイズは、ノギスを使用して、本明細書に以前に記載されたようにして測定した。
結果
観察に基づき、20Mer80Sal及び20Mer80Colの注射による隆起は、Mer100製剤のものよりも小さいことが注目された。その上、20Mer80Regの注射による隆起は、試験した製剤の中で最も剛性が高かった。
製剤のそれぞれの注射による隆起の高さの経時的変化を図96に示している。比較のために、実施例27の高さ変化の結果を含めており、ここでDFAACは実施例27のコラーゲン製剤を指し、DFAAHAは実施例27のHA製剤を指し、DFAASは実施例27の生理食塩水製剤を指し、DFBFはBellaFill皮膚充填剤を指す。
示されているように、マーセル加工したリンゴを含む製剤はそれぞれ、最終的にプラトーになるまで、一般に高さの減少を示した。
注射された製剤を組織学的にも分析した。注射された製剤を、上記の実施例27で記載されたようにHE、MT、CD45、CD31、及びVerhoeff染色で染色し、顕微鏡下で分析した。200μmスケールでの結果を図97に示している。組織学的分析の実施者による注記を、表47に示している。
Figure 2023528928000053

Figure 2023528928000054
全体として、組織学的分析により、マーセル加工したリンゴを使用した製剤は、実施例27で調べた製剤と比較して炎症反応が減少したことが示された。その上、マーセル加工したリンゴを使用した製剤は、生体適合性であることが証明され、血管形成を呈し、細胞外マトリックス沈着を有した。
さらに、20Mer80Reg製剤は、その周辺部に局在する細胞浸潤を有していたことが注目される。特定の理論には縛られないが、20Mer80Reg製剤の周辺部への細胞浸潤の局在は、溶解及び再生された絡み合ったセルロースポリマーの小さい孔径サイズに起因する可能性があると考えられる。
本開示の皮膚充填剤におけるSDS含有量のさらなる定量
本試験では、実施例22の結果に基づき、本開示の皮膚充填剤における残留SDSの量をさらに特徴付けることを試みた。
実施例22で概説された標準曲線及びプロセスを使用して、さらなる試料を分光光度法を使用して分析した。使用した試料には、リンゴ5個分の材料(5AA)、リンゴ10個分の材料(10AA)、又はリンゴ15個分の材料(15AA)が含まれた。
表48は、0.1% SDS中で72時間インキュベートした後の5AA、10AA、及び15AA試料からのビーカー溶液(希釈1:10)のSDS定量の結果を示している。
Figure 2023528928000055
表49は、脱細胞化プロセスの後の5AA、10AA、及び15AA試料からの液相(非希釈)のSDS定量を示している。
Figure 2023528928000056
したがって、示されているように、試料のSDS含有量は十分に低く、これは実施例22の結果を裏付ける。その上、SDSの含有量は、マーセル加工のプロセスに遠心及び洗浄のステップが複数あることから、さらに減少する。
1又は2以上の例示的な実施形態を例として記載してきた。特許請求の範囲において定義される発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形及び修正を加えることができることは、当業者には理解されるであろう。
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本明細書及び本明細書の他の箇所において引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (104)

  1. 脱細胞化された植物又は真菌の組織を含む、非吸収性皮膚充填剤であって、前記組織の細胞物質及び核酸が除去されている、前記皮膚充填剤。
  2. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系である、請求項1に記載の皮膚充填剤。
  3. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、植物の葉状構造、根、果肉、花托筒又はパルプ構造に由来する、請求項1又は2に記載の皮膚充填剤。
  4. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、レタス、ニンジン、リンゴ、若しくはセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来する、請求項1~3のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  5. 脱細胞化された植物又は真菌の組織がホモジナイズされている、請求項1~4のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  6. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、乾燥させられ、粉砕に供され、かつ任意で復元又は再水和されている、請求項1~5のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  7. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、単一の構造細胞のサイズ又はより小さいサイズの粒子に分解されている、請求項1~6のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  8. 脱細胞化された植物又は真菌の組織用のハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  9. ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒が、PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項8に記載の皮膚充填剤。
  10. 乾燥されている、又は水和されている、請求項1~9のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  11. リドカイン又は他の麻酔薬を含む、請求項1~10のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  12. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、不規則な3D形状を有する、及び/又は非球形の薄い薄片様構造である粒子に分解されている、請求項1~11のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  13. 薄片様構造が、約0.01~約100μm、例えば、約0.1μmの厚みを有する、請求項12に記載の皮膚充填剤。
  14. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、1又は2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズを有する粒子に分解されており;好ましくは、前記脱細胞化された植物又は真菌の組織が、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子に分解されてもよい、請求項1~13のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  15. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約20μm~約1000μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されている、請求項1~14のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  16. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約200μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子に分解されている、請求項1~15のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  17. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されている、請求項1~16のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  18. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約30μm~約100μ以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されている、請求項1~17のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  19. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されている、請求項1~18のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  20. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約300μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子に分解されている、請求項1~15のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  21. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されている、請求項1~15及び20のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  22. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子に分解されている、請求項1~15、20及び21のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  23. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子に分解されている、請求項1~15及び20~22のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  24. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約200~約3000μmの範囲内、又は約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子に分解されているか;脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約0.1~100μm-1の表面積対体積比を有する粒子に分解されているか;脱細胞化された植物又は真菌の組織が、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されているか;あるいは、それらの任意の組合せである;請求項1~23のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  25. 約500,000cp未満の粘度を有する、請求項1~23のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  26. 約100,000cp~約200,000cpの範囲内の粘度を有する、請求項25に記載の皮膚充填剤。
  27. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が滅菌されている、請求項1~26のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  28. 滅菌されている、請求項1~27のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  29. 滅菌がガンマ線滅菌によるものである、請求項27又は請求項28に記載の皮膚充填剤。
  30. 脱細胞化された植物又は真菌の組織がマーセル加工されている、請求項1~29のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  31. マーセル加工が、水酸化ナトリウム及び過酸化水素による加熱による、請求項30に記載の皮膚充填剤。
  32. 真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのために製剤化されている、請求項1~31のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  33. シリンジ又は注射器具の中に提供される、請求項1~32のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  34. 軟部組織充填剤としての、再建手術のための、又はその両方のための、請求項1~33のいずれかに記載の皮膚充填剤の使用。
  35. 美容的外観を改善するための、それを必要とする対象における、請求項1~33のいずれかに記載の皮膚充填剤の使用。
  36. 組織体積を増加させるための、皺を伸ばすための、又はその両方のための、それを必要とする対象における、請求項1~33のいずれかに記載の皮膚充填剤の使用。
  37. 美容的外観を改善するための、組織体積を増加させるための、皺を伸ばすための、又はそれらの任意の組合せのための、それを必要とする対象における方法であって、
    請求項1~33のいずれかに定義される皮膚充填剤を、それを必要とする領域に投与又は注射するステップを含み;
    それによって、前記対象の美容的外観を改善する、前記対象の組織体積を増加させる、前記対象の皺を伸ばす、又はそれらの任意の組合せを行う、前記方法。
  38. 対象のネイティブ細胞が皮膚充填剤に浸潤する、請求項34~36のいずれかに記載の使用、又は請求項37に記載の方法。
  39. 皮膚充填剤が、脱細胞化された植物又は真菌の組織が対象の内部で実質的に無傷に保たれる程度に非吸収性である、請求項34~36若しくは38のいずれかに記載の使用、又は請求項37若しくは38に記載の方法。
  40. 皮膚充填剤が、それに対する1又は2以上の酵素の添加を通じて分解可能である、請求項34~36、38若しくは39のいずれかに記載の使用、又は請求項37~39のいずれかに記載の方法。
  41. 植物又は真菌の組織がセルロース系であり、1又は2以上の酵素がセルラーゼを含む、請求項40に記載の使用、又は請求項40に記載の方法。
  42. セルラーゼが、トリコデルマ属(Trichoderma sp)由来のセルラーゼである、請求項41に記載の使用、又は請求項41に記載の方法。
  43. 非吸収性皮膚充填剤を調製するための方法であって、
    植物又は真菌の組織を提供するステップ;
    前記植物又は真菌の組織の脱細胞化及びサイズ縮小を行って、組織の細胞物質及び核酸が除去された粒子を提供するステップ;並びに
    任意で前記粒子を滅菌するステップ;
    を含み、それによって非吸収性皮膚充填剤を提供する、前記方法。
  44. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、キチン系、キトサン系、リグノセルロース系、又はセルロース系である、請求項43に記載の方法。
  45. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、植物の葉状構造、根、果肉、花托筒又はパルプ構造に由来する、請求項43又は44に記載の方法。
  46. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、レタス、ニンジン、リンゴ、若しくはセイヨウナシ、又はそれらの任意の組合せに由来する、請求項43~45のいずれかに記載の方法。
  47. サイズ縮小が、機械的サイズ縮小を行って粒子を提供するステップを含み、前記機械的サイズ縮小が、乾燥された、凍結乾燥された、又は冷凍乾燥された材料に対して行われてもよい、請求項43~46のいずれかに記載の方法。
  48. 機械的サイズ縮小が、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織の破砕、押出し、粉砕、摩砕、超音波処理、エレクトロスピニング、化学的溶解、酵素的分解、又は剪断を行って粒子を提供するステップを含む、請求項47に記載の方法。
  49. サイズ縮小が、脱細胞化の前又は後に、植物又は真菌の組織を乾燥させるステップ;乾燥された前記植物又は真菌の組織を機械的サイズ縮小に供して粒子を提供するステップ;及び、任意で粒子の復元、再懸濁、又は再水和を行うステップ;を含む、請求項43~48のいずれかに記載の方法。
  50. サイズ縮小により、単一の構造細胞のサイズ又はより小さいサイズの粒子が提供される、請求項43~49のいずれかに記載の方法。
  51. 粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップをさらに含む、請求項43~50のいずれかに記載の方法。
  52. ハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒が、PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、再生セルロース、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項51に記載の方法。
  53. 皮膚充填剤が、乾燥された又は水和された形態で提供される、請求項43~52のいずれかに記載の方法。
  54. リドカイン又は他の麻酔薬と共に製剤化するステップをさらに含む、請求項43~53のいずれかに記載の方法。
  55. サイズ縮小により、不規則な3D形状を有し、及び/又は非球形で薄い薄片様構造である粒子が提供される、請求項43~54のいずれかに記載の方法。
  56. 薄片様構造が、約0.01~約100μm、例えば約0.1μmの厚みを有する、請求項55に記載の方法。
  57. サイズ縮小が、押出し、濾過、遠心法、又は他のサイズ分離を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップをさらに含む、請求項43~56のいずれかに記載の方法。
  58. サイズ縮小により、1又は2以上の細胞によって貪食されない程度に十分に大きいサイズを有する粒子が提供され;好ましくは、前記サイズ縮小により、少なくとも約20μmのサイズ、直径、又は最小フェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~57のいずれかに記載の方法。
  59. サイズ縮小により、約20μm~約1000μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~58のいずれかに記載の方法。
  60. サイズ縮小により、約200μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~59のいずれかに記載の方法。
  61. サイズ縮小により、約20μm~約200μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供される、請求項43~60のいずれかに記載の方法。
  62. サイズ縮小により、約30μm~約100μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供される、請求項43~61のいずれかに記載の方法。
  63. サイズ縮小により、約30μm~約100μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~62のいずれかに記載の方法。
  64. サイズ縮小により、約300μm未満のサイズ、直径、又は最大フェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~59のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  65. サイズ縮小により、約100μm~約300μmの範囲内のサイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供される、請求項43~59及び64のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  66. サイズ縮小により、約100μm~約300μm以内にピークを有する粒子サイズ、直径、又はフェレット径の分布を有する粒子が提供される、請求項43~59、64及び65のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  67. サイズ縮小により、約100μm~約300μmの範囲内の平均粒子サイズ、直径、又はフェレット径を有する粒子が提供される、請求項43~59及び64~66のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  68. サイズ縮小により、約200~約3000μmの範囲内、又は約200~約300μmの範囲内の平均投影粒子面積を有する粒子が提供されるか;脱細胞化された植物又は真菌の組織が、約0.1~100μm-1の表面積対体積比を有する粒子に分解されているか;脱細胞化された植物又は真菌の組織が、粒子約4×10個/mL~粒子約7×10個/mLの充填密度を有する粒子に分解されているか;又はそれらの任意の組合せである;請求項43~67のいずれかに記載の方法。
  69. サイズ縮小が、粉砕を行うと同時に、その結果得られた粒子をフィルターに通して、上限閾値サイズ未満の粒子を得るステップを含む、請求項43~68のいずれかに記載の方法。
  70. 濾過、分画遠心法若しくは平衡遠心法、又は篩い分けを行って下限閾値サイズ未満の粒子を除去し、下限閾値サイズを上回る粒子を得るステップをさらに含む、請求項69に記載の方法。
  71. 濾過又は篩い分けが、自動化湿式篩を使用して行われる、請求項69又は70に記載の方法。
  72. サイズ縮小が、分画遠心法又は平衡遠心法を行って、標的サイズを有する粒子、標的サイズ範囲内の粒子、又は標的サイズ分布を有する粒子を得るステップを含む、請求項43~71のいずれかに記載の方法。
  73. 第1のシリンジ又はベッセルに、流体、例えば、水又は緩衝液(例えば、生理食塩水)中にある粒子をロードし、第2のシリンジ又はベッセルにハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒をロードすることによって、前記粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップであって、前記第1及び第2のシリンジ又はベッセルが流体連結下にあるステップ;並びに前記シリンジ又はベッセルの内容物を前記第1及び第2のシリンジ又はベッセルの間で行き来させて通すことによって混合するステップをさらに含む、請求項43~72のいずれかに記載の方法。
  74. サイズ排除ミキサーを使用して粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と混合することによって、前記粒子をハイドロゲル、マトリックス、又は分散媒と共に製剤化するステップをさらに含む、請求項43~72のいずれかに記載の方法。
  75. サイズ排除ミキサーが静的ミキサーである、請求項74に記載の方法。
  76. 植物又は真菌の組織を、脱細胞化の前又は後に滅菌するステップをさらに含む、請求項43~75のいずれかに記載の方法。
  77. 皮膚充填剤を滅菌するステップをさらに含む、請求項43~76のいずれかに記載の方法。
  78. 滅菌がガンマ線滅菌による、請求項76又は請求項77に記載の方法。
  79. 滅菌がオートクレーブ処理によるものである、請求項76又は請求項77に記載の方法。
  80. 滅菌が複数の滅菌ステップを含む、請求項76又は請求項77に記載の方法。
  81. 第1の滅菌ステップが熱処理を含む、請求項80に記載の方法。
  82. 植物又は真菌の組織をマーセル加工するステップをさらに含む、請求項43~81のいずれかに記載の方法。
  83. マーセル加工が、脱細胞化の後に行われる、請求項82に記載の方法。
  84. マーセル加工が、脱細胞化された植物又は真菌の組織を、塩基及び過酸化物により処理することを含む、請求項82又は請求項83に記載の方法。
  85. 塩基が水酸化物塩基である、請求項84に記載の方法。
  86. 過酸化物が過酸化水素である、請求項84又は請求項85に記載の方法。
  87. マーセル加工が、脱細胞化された植物又は真菌の組織を、水酸化ナトリウム水溶液及び過酸化水素により加熱しながら処理することを含む、請求項84~86のいずれかに記載の方法。
  88. 脱細胞化された植物又は真菌の組織が、過酸化水素が反応に添加される前に、第1の期間にわたり水酸化ナトリウム水溶液により処理される、請求項87に記載の方法。
  89. 過酸化物が、30%~50%過酸化水素水溶液の予製液である、請求項84~88のいずれかに記載の方法。
  90. 過酸化水素水溶液の予製液が、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり少なくとも約75mLの量で使用される、請求項89に記載の方法。
  91. 過酸化水素水溶液の予製液の添加後に、脱細胞化された植物又は真菌の組織、塩基及び前記過酸化水素水溶液の予製液の混合物中の過酸化物の濃度が約1%~約5%である、請求項89に記載の方法。
  92. 塩基が1M水酸化ナトリウム溶液である、請求項84~91のいずれかに記載の方法。
  93. 1M水酸化ナトリウム溶液が、脱細胞化された植物又は真菌の組織500gあたり約2500mLの量で使用される、請求項92に記載の方法。
  94. 1又は2以上の中和処理によりpHを中和するステップをさらに含む、請求項84~93のいずれかに記載の方法。
  95. 1又は2以上の中和ステップが、HCl水溶液による処理を含む、請求項94に記載の方法。
  96. マーセル加工が、約80℃に加熱して行われる、請求項82~95のいずれかに記載の方法。
  97. マーセル加工が、少なくとも約30分間にわたり行われる、請求項82~96のいずれかに記載の方法。
  98. 皮膚充填剤を、真皮下注射、真皮深層注射、皮下注射(例えば、皮下脂肪注射)、又はそれらの任意の組合せのために製剤化するステップをさらに含む、請求項43~97のいずれかに記載の方法。
  99. 請求項43~98のいずれかに記載の方法によって調製される皮膚充填剤。
  100. 請求項1~33のいずれかに定義される皮膚充填剤である、請求項99に記載の皮膚充填剤。
  101. 皮膚充填剤の粒子の約0.1%~約5%又はそれ未満が、約20μm未満のフェレット径又は最小フェレット径を有する、請求項99又は100に記載の皮膚充填剤。
  102. 皮膚充填剤の粒子の約0.5%未満が、20μm未満のフェレット径又は最小フェレット径を有する、請求項99~101のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  103. 皮膚充填剤の粒子の約0.1%~約5%未満(例えば、約0.5%未満)、又はそれ未満が、対象の1又は2以上の細胞によって貪食される程度に十分に小さいサイズを有する、請求項99~102のいずれかに記載の皮膚充填剤。
  104. 以下のうちのいずれか1又は2以上を含むキット。
    請求項1~33及び94~103のいずれかに定義される皮膚充填剤;
    ハイドロゲル、マトリックス、若しくは分散媒;
    PBS、生理食塩水、ヒアルロン酸(架橋性又は非架橋性)、アルギネート、コラーゲン、プルロニック酸(例えば、プルロニックF 127)、寒天、アガロース、フィブリン、カルシウムハイドロキシアパタイト、ポリ-L-乳酸、自家脂肪、シリコーン、デキストラン、メチルセルロース、溶解再生セルロース、若しくはそれらの任意の組合せ;
    リドカイン若しくは他の麻酔薬;
    1若しくは2以上のシリンジ、若しくは別の注射器具;
    2若しくは3以上のシリンジのためのルアーロック継手若しくは連結器;
    請求項34~42のいずれかに定義される使用若しくは方法を行うための説明書;
    1若しくは2以上の脱細胞化試薬;
    1若しくは2以上の容器、パッケージ、若しくはベッセル;
    注射のための1若しくは2以上の緩衝液、水、若しくは生理食塩水;
    望ましくない領域又は位置の皮膚充填剤を溶解させるための試薬若しくは酵素(例えば、セルラーゼ);又は
    それらの任意の組合せ;
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