JP2023524291A - 異種間適合性アデノ随伴ウイルス組成物およびその使用方法 - Google Patents

異種間適合性アデノ随伴ウイルス組成物およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、共進化したカプシドバリアントタンパク質を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、医薬組成物、作製方法、およびそのようなものを対象に送達するための方法を提供する。本開示は、アデノ随伴ウイルス(AAV)からの改変カプシドタンパク質、ならびにそれを含むウイルスカプシドおよびウイルスベクターに関する。特に、本開示は、哺乳動物対象の任意の細胞または組織型における発現を可能にするようにウイルスベクターに組み込むことができる改変AAVカプシドタンパク質およびそれを含むカプシドに関する。

Description

米国連邦政府による資金提供に関する説明文
本発明は、米国連邦政府補助金番号R01HL089221およびUG3AR075336の下で政府支援を受けて行ったものであり、補助金番号は、両方とも、米国国立衛生研究所により付与されたものである。米国連邦政府は、本発明に一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本願は、2020年5月5日に出願した米国仮出願第63/020,062号の優先権を主張するものであり、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
開示分野
本開示は、アデノ随伴ウイルス(AAV)からの改変カプシドタンパク質、ならびにそれを含むウイルスカプシドおよびウイルスベクターに関する。特に、本開示は、哺乳動物対象の任意の細胞または組織型における発現を可能にするようにウイルスベクターに組み込むことができる改変AAVカプシドタンパク質およびそれを含むカプシドに関する。
電子的に提出する配列表の参照による組込み
電子版の配列表を本明細書とともに提出する。その内容は、それら全体が参照により組み込まれる。電子ファイルは、サイズが611キロバイトであり、ファイル名が21-2006-WO_SequenceListing_ST25.txtである。
背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、様々な疾患の処置のための遺伝子治療剤の主要なプラットフォームになってきた。AAVに基づく遺伝子治療剤を使用することは、臨床的に成功しているが、この遺伝子送達プラットフォームの使用に伴う制限および課題が依然としてある。例えば、ベクター(ウイルス性または非ウイルス性)を用いる遺伝子治療剤の有効性は、遺伝子を運ぶベクターに対する対象の免疫応答のせいで低下されることもある。加えて、対象の1つまたは複数の標的組織に確実に送達するために投与経路を最適化しなければならない。これは、特に、中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)の障害を処置することに当てはまる。血液脳関門によって、全身投与されたときのAAVに基づく治療剤のCNSへの到達が妨げられ得、CNS組織への直接投与は、侵襲的手術を必要とし得る。さらに、標的CNSおよびPNS組織に対する十分な形質導入を生じさせるために必要な高用量のAAVに基づく治療剤は、副作用のリスク、および/または望ましくない免疫応答を増加させる。加えて、高用量のAAVを生産する要求は、製造負担を課す。
公知のAAV血清型は、各々が特異的組織親和性を有するが、これらのAAVを使用して容易に標的とすることができないいくつかの組織(例えば、腎臓)がある。加えて、心臓、肝臓または肺などの全身臓器におけるAAV形質導入は、所与の用量について、臨床開発中に使用される様々なモデル生物(例えば、イヌ、ブタ、非ヒト霊長類)の中で、およびヒト対象の中で、かなり異なり得る。このことからヒトへの使用の前に動物モデルでAAVに基づく治療剤を正確に試験することができないことも、問題である。
AAV遺伝子導入の応用の範囲が、CNSおよび/またはPNS障害への遺伝子治療剤の進展を含めて拡大するにつれて、異なる種にわたるAAVの親和性の差に対処することへの要求が当技術分野には依然としてある。これらの差は、多くの場合、小型動物モデルから大型動物モデルへ拡大した場合、非線形のベクター用量・生体内分布関係を生じさせる結果となる-その後、臨床解釈に影響を及ぼすことになる。しかるが故に、複数の種にわたってより幅広く解釈できるAAV遺伝子送達プラットフォームを開発することへの満たされていない要求が当技術分野にはある。加えて、目的の組織を、公知のAAV血清型を使用して標的とすることが困難とされてきた組織を含めて、選択的かつ特異的に標的とすることができる、AAVに基づく遺伝子治療剤を開発することへの要求がある。
本開示の簡単な概要
本開示は、少なくとも一部は、1つまたは複数のアミノ酸置換を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質を含む方法および組成物であって、置換が、これらの改変カプシドタンパク質を含むAAVベクターに、1つまたは複数の改善された機能性、例えば、これらに限定されないが、宿主抗体から逃れる能力、選択的親和性、および/またはより高い形質導入効率を導入する、方法および組成物を提供する。
本開示の態様は、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターを提供する。一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み得、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む。一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸は、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている。一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み得、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸は、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている。
一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸は、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されており、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸は、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている。
一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み得、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有する。一部の実施形態では、本明細書における組換えAAVベクターは、AAVカプシドタンパク質バリアントを含み、カプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有する。
本開示の別の態様は、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを提供する。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸は、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸は、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し得、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸は、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されていることがあり、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸は、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されていることがある。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有し得る。
本開示の別の態様は、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントおよび/またはAAVベクターのいずれかを含む、医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本明細書における医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含み得る。
本開示の別の態様は、組換えAAVベクターを標的細胞に導入する方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書における、組換えAAVベクターを標的細胞に導入する方法は、標的細胞を、本明細書で開示される組換えAAVベクター(例えば、ccAAV)および/または医薬組成物のいずれかと接触させるステップを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、1つまたは複数の治療用異種分子を対象における標的細胞に送達することができ、方法は、本明細書で開示される組換えAAVベクター(例えば、ccAAV)および/または医薬組成物のいずれかを、対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で開示される組換えAAVベクター(例えば、ccAAV)および/または医薬組成物のいずれかを、筋肉内注射、静脈内注射、冠動脈内注射、動脈内注射、またはこれらの任意の組合せにより、対象に投与することができる。
本開示の別の態様は、新規アデノ随伴ウイルス株を進化させる方法であって、複数の哺乳動物種にわたってAAVカプシドライブラリーを継代するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書における方法は、変異を起こしたカプシド遺伝子配列をコードする異なるゲノムをパッケージングするAAVカプシドを含むAAVカプシドライブラリーを利用し得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書におけるAAVカプシドライブラリーを、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)、およびこれらの任意の組合せまたは反復サイクルに投与することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書で開示される方法に従ってAAVカプシドライブラリーを継代することにより、本明細書におけるアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質配列を富化することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せからなる群から収集されたまたはそれらに由来する細胞からAAVカプシドタンパク質バリアントを抽出することにより、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントをコードする配列を富化することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)、およびこれらの任意の組合せまたは反復サイクルからなる群から選択される任意の哺乳動物種において、改善された遺伝子導入効率で、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、細胞型または組織;脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せからなる群、のいずれかにおいて、改善された遺伝子導入効率で、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、細胞型または組織;脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せからなる群、のいずれかにおいて、改善された免疫応答で、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法は、細胞型または組織;脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せからなる群、のいずれかにおいて、改善された親和性で、本明細書で開示されるようなAAVカプシドタンパク質バリアントを産生することができる。
本開示の態様は、本明細書で開示される組成物またはAAVベクターのいずれかと、少なくとも1つの容器とを含み得るキットを提供する。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本明細書で提示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによってよりよく理解され得る本開示のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。
図1Aおよび1Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って新規ペプチド置換を有するカプシドタンパク質を含むAAVのライブラリー多様性、定向進化および富化についての分析を示すバブルプロットを例示する。親ライブラリー(図1A)および3サイクルからの進化ライブラリー(図1B)を、Illumina MiSeqプラットフォームを使用するハイスループットシークエンシングに供した。カスタムPerlスクリプトでの分析後、富化されたアミノ酸配列をプロットした。各バブルは、明確に異なるカプシドタンパク質アミノ酸配列を表し、バブルの半径は、それぞれのライブラリー内のそのバリアントのリード数に比例する。y軸は、シークエンシング実行からの全リードのパーセンテージを表す。データは、可視化を容易にするためにx軸に沿って広がっている。特有のクローンの低減パーセント(96.5%)は、多数の「適合しない」配列が第1および/または第2の進化ラウンド後に除去されたことを直接示す。主要な単離物をさらなる分析に選択した。図1Bに示されているように、次世代シークエンシングは、AAVcc47のカプシドタンパク質が、AAV VR4ライブラリーにおいて3つの異なる種での3サイクルの進化後に最も富化されたアミノ酸配列(すなわち、クローン)であったことを明示した。 図1Aおよび1Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って新規ペプチド置換を有するカプシドタンパク質を含むAAVのライブラリー多様性、定向進化および富化についての分析を示すバブルプロットを例示する。親ライブラリー(図1A)および3サイクルからの進化ライブラリー(図1B)を、Illumina MiSeqプラットフォームを使用するハイスループットシークエンシングに供した。カスタムPerlスクリプトでの分析後、富化されたアミノ酸配列をプロットした。各バブルは、明確に異なるカプシドタンパク質アミノ酸配列を表し、バブルの半径は、それぞれのライブラリー内のそのバリアントのリード数に比例する。y軸は、シークエンシング実行からの全リードのパーセンテージを表す。データは、可視化を容易にするためにx軸に沿って広がっている。特有のクローンの低減パーセント(96.5%)は、多数の「適合しない」配列が第1および/または第2の進化ラウンド後に除去されたことを直接示す。主要な単離物をさらなる分析に選択した。図1Bに示されているように、次世代シークエンシングは、AAVcc47のカプシドタンパク質が、AAV VR4ライブラリーにおいて3つの異なる種での3サイクルの進化後に最も富化されたアミノ酸配列(すなわち、クローン)であったことを明示した。
図2A~2Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの心臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図2A)またはAAV.cc47(図2B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の心臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図2Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。図2Dは、感染マウスの心臓におけるベクターの生体内分布を描示するグラフを示す。
図3A~3Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの骨格筋におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図3A)またはAAV.cc47(図3B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の骨格筋ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図3Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図4A~4Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの肝臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図4A)またはAAV.cc47(図4B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の肝臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図4Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。図4Dは、感染マウスの肝臓におけるベクターの生体内分布を描示するグラフを示す。
図5A~5Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの腎臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図5A)またはAAV.cc47(図5B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の腎臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図5Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図6A~6Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの心臓におけるGFPレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図6A)またはAAV.cc81(図6B)またはAAV.cc84(図6C)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の心臓ビブラトーム切片におけるGFP発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図6Dは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図7A~7Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの骨格筋におけるGFPレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図7A)またはAAV.cc81(図7B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の骨格筋ビブラトーム切片におけるGFP発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図7Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図8A~8Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの肝臓におけるGFPレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図8A)、AAV.cc481(図8B)またはAAV.cc84(図8C)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の肝臓ビブラトーム切片におけるGFP発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図8Dは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図9A~9Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの腎臓におけるGFPレポーター遺伝子発現を例示する。AAV9(図9A)またはAAV.cc81(図9B)に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の腎臓ビブラトーム切片におけるGFP発現を示す代表蛍光顕微鏡画像。図9Cは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図10A~10Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの脳領域における免疫組織化学検査(IHC)により評定したときの蛍光レポーター発現を例示する。図10Aは、偽感染したマウスからの脳領域を描示し、その一方で、図10Bは、AAV9ベクターに感染したマウスからの脳領域を描示し、図10Cは、AAV.cc47に感染したマウスからの脳領域を描示し、図10Dは、AAV.cc81に感染したマウスからの脳領域を描示し、図10Eは、AAV.cc84に感染したマウスからの脳領域を描示する。示されている脳領域は、Ctx=大脳皮質、Hc=海馬、Cb=小脳、Th=視床、Str=線条体、およびmb=キノコ体を含む。
図11A~11Gは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってブタの脳領域における免疫組織化学検査(IHC)により評定したAVV.cc47形質導入を例示する。図11Aは、ブタの前頭皮質におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Bは、ブタの頭頂皮質におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Cは、ブタの頭頂視床におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Dは、ブタの後頭皮質におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Eは、ブタの脳幹におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Fは、ブタの小脳におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。図11Gは、ブタの中脳におけるmCherryについてのIHC染色を描示する。
図12A~12Gは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってブタの脳領域における免疫組織化学検査(IHC)により評定したAVV.cc84形質導入を例示する。図12Aは、ブタの前頭皮質におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Bは、ブタの頭頂皮質におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Cは、ブタの頭頂視床におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Dは、ブタの後頭皮質におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Eは、ブタの脳幹におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Fは、ブタの小脳におけるGFPについてのIHC染色を描示する。図12Gは、ブタの中脳におけるGFPについてのIHC染色を描示する。
図13A~13Fは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってブタの脊髄におけるAAV.cc47およびAVV.cc84形質導入を例示する。ブタの脊髄の切片を、組織内のAVV.cc47(図13A)およびAVV.cc84(図13B)についてのIHC染色に供した。mCherry蛍光を白質(図13C)および灰白質(図13E)において測定してAVV.cc47について評定した。GFP蛍光を白質(図13D)および灰白質(図13FE)において測定してAVV.cc84の存在について評定した。
図14A~14Fは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってブタの心臓および肝臓におけるAAV.cc47およびAVV.cc84形質導入を例示する。AVV.cc47形質導入を、ブタの心臓左室(図14A)、ブタの心臓右室(図14B)、および肝臓(図14C)においてmCherryについてのIHC染色により評定した。AVV.cc84形質導入を、ブタの心臓左室(図14D)、ブタの心臓右室(図14E)、および肝臓(図14F)においてGFPについてのIHC染色により評定した。
図15A~15Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って非ヒト霊長類の心臓および肝臓におけるAAV9およびAAV.cc47形質導入を例示する。AVV9形質導入を、非ヒト霊長類の肝臓(図15A)および心臓(図15C)においてmCherryについてのIHC染色により評定した。AVV.cc47形質導入を、非ヒト霊長類の肝臓(図15B)および心臓(図15D)においてmCherryについてのIHC染色により評定した。図15Eは、非ヒト霊長類における組換えAAVの生体内分布を示す。
図16A~16Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って非ヒト霊長類の脳におけるAAV9、AAV.cc47、およびAAV.cc84形質導入を例示する。非ヒト霊長類の脳において、AVV9形質導入をmCherryについてのIHC染色により評定し(図16B)、AAV.cc47形質導入をmCherryについてのIHC染色により評定し(図16C)、AAV.cc84形質導入をGFPについてのIHC染色により評定した(図16D)。図16Aは、偽注射した対照非ヒト霊長類からの脳スライスを示す。
図17A~17Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVcc47心臓形質導入の検証を例示する。図17Aは、Cbhプロモーターにより駆動されるGFPをパッケージングしているAAV9またはcc47で形質導入されたヒトiPSC心筋細胞を示す。図17Bは、(図17A)の複数の画像におけるGFP面積パーセントの定量化を示す。図17Cは、ヒト心臓パッチマウスモデルにおけるIV注射されたCBh:GFPをパッケージングしているAAV9またはAAVcc47を示す。図17Dは、心臓パッチの蛍光イメージングを示す。図17Eは、心筋梗塞後に傷害誘導性プロモーターの制御下でGFPを送達するi.v.投与されたAAV9およびAAVcc47を示す。トロポニンT(赤色)およびGFP(緑色)についての免疫蛍光。
図18A~18Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って模擬処置(図18A)、AAV9(図18B)、AVV.cc47(図18C)、およびAVV.cc84(図18D)のi.v.投与後のマウスの心臓における固有tdTomato蛍光の代表画像を例示する。図18Eは、マウスの心臓における組換えAAVの生体内分布を示す。
図19A~19Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って模擬処置(図19A)、AAV9(図19B)、AVV.cc47(図19C)、およびAVV.cc84(図19D)のi.v.投与後のマウスの肝臓における固有tdTomato蛍光の代表画像を例示する。図19Eは、マウスの肝臓における組換えAAVの生体内分布を示す。
図20A~20Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って模擬処置(図20A)、AAV9(図20B)、AVV.cc47(図20C)、およびAVV.cc84(図20D)のi.v.投与後のマウスの肺における固有tdTomato蛍光の代表画像を例示する。図20Eは、マウスの肝臓における組換えAAVの生体内分布を示す。
図21A~21Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってccAAVベクターでのCRISPR/Cas9遺伝子編集を例示する。図21Aは、SaCas9を駆動する短縮型CBプロモーターと1つのsgRNAを駆動するU6プロモーターとを有する1つのベクター、および第2のsgRNAを有する同じ設計の第2のベクターを使用する、本明細書において用いられる二重ベクター戦略を示す。図21Bは、AAV9またはcc47の2e12vg/kgの用量での投与後のAi9マウスの肝臓および心臓における固有tdTomato蛍光を示す。図21Cは、tdTomato細胞の総数を計数し、DAPI細胞の総数で割ることにより決定された、遺伝子編集効率を示す。図21Dは、PCR編集アッセイを示し、未編集バンド(**1160bp)および編集バンド(*270bp)が記されている。p**<0.01。
図22A~22Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってccAAVベクターでのCRISPR/Cas9遺伝子編集の検証を例示する。図22Aは、切片を作製してネイティブTdTomato発現についてイメージングした、Ai9肝臓を示す。図22Bは、TdTomato細胞の総数を計数し、Dapi細胞の総数に正規化することによる、遺伝子編集効率の定量化を描示するグラフを示す。図22Cは、Ai9心臓の切片を作製し、ネイティブTdTomato発現についてイメージングしたことを示す。両方の組織の凍結切片を作製して14μm厚の切片にした。
図23A~23Fは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って蛍光強度を測定することによる、CRISPR/Cas9の定量化を例示する。蛍光強度を複数の画像から測定して、AAV9ベクターまたはAAV.cc47ベクターのいずれかを注射したAi9マウスにおけるネイティブTdTomato発現を定量化した。図23Aは、注射した全てのAi9マウスの肝臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。図23Bは、注射した全ての雌Ai9マウスの肝臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。図23Cは、注射した全てのAi9マウスの心臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。図23Dは、注射した全ての雌Ai9マウスの心臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。図23Eは、注射した全ての雄Ai9マウスの肝臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。図23Fは、注射した全ての雄Ai9マウスの心臓における補正された全細胞蛍光のグラフを示す。P値*<0.05;ns=非有意
図24Aおよび24Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って相対PCRバンド強度を測定することによる、CRISPR/Cas9の定量化を例示する。図24Aは、AAV9ベクターまたはAAV.cc47ベクターのいずれかを注射したAi9マウスからの肝臓組織のPCR編集アッセイの結果として生じたPCRバンドについてのPCRバンド強度(模擬の未編集バンドに対する)のグラフを示す。図24Bは、AAV9ベクターまたはAAV.cc47ベクターのいずれかを注射したAi9マウスからの心臓組織のPCR編集アッセイの結果として生じたPCRバンドについてのPCRバンド強度(模擬の未編集バンドに対する)のグラフを示す。
図25Aおよび25Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って肝臓および心臓におけるCRISPR/Cas9遺伝子編集効率の定量化を例示する。図25Aは、AAV9ベクターまたはAAV.cc47ベクターのいずれかを注射したAi9マウスからの肝臓組織の遺伝子編集効率のパーセンテージのグラフを示す。図25Bは、AAV9ベクターまたはAAV.cc47ベクターのいずれかを注射したAi9マウスからの心臓組織の遺伝子編集効率のパーセンテージのグラフを示す。
図26Aおよび26Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの心臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。図26Aは、AAV9またはAAV.cc44に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の心臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す、代表蛍光顕微鏡画像を示す。図26Bは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。図26Cおよび26Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの骨格筋におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。図26Cは、AAV9またはAAV.cc44に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の骨格筋ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す、代表蛍光顕微鏡画像を示す。図26Dは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図27Aおよび27Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの肝臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。図27Aは、AAV9またはAAV.cc44に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の肝臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す、代表蛍光顕微鏡画像を示す。図27Bは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。図27Cおよび27Dは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの腎臓におけるmCherryレポーター遺伝子発現を例示する。図27Cは、AAV9またはAAV.cc44に感染したマウスにおける4%PFAでの固定の24時間後の腎臓ビブラトーム切片におけるmCherry発現を示す、代表蛍光顕微鏡画像を示す。図27Dは、一連の複数の画像の補正された全細胞蛍光を描示するグラフを示す。
図28A~28Cは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってC57/B6マウスの脳領域における免疫組織化学検査(IHC)により評定したときの蛍光レポーター発現を例示する。図28Aは、偽感染したマウスからの脳領域を描示し、その一方で、図28Bは、AAV9ベクターに感染したマウスからの脳領域を描示し、図28Cは、AAV.cc44に感染したマウスからの脳領域を描示する。示されている脳領域は、Ctx=大脳皮質、Hc=海馬、Cb=小脳、Th=視床、Str=線条体、およびmb=キノコ体を含む。
図29Aおよび29Bは、本明細書におけるある特定の実施形態に従って投与に使用したAAVベクターの概要図を例示する。図29Aは、強調されているカプシド表面に可変領域4(VR4)を有する完全カプシド(上のパネル)およびCBh-mCherryをパッケージングしているベクター(AAV.cc47およびAAV.cc44)として産生された組換えカプシドタンパク質(下のパネル)を描示する。図29Bは、強調されているカプシド表面に可変領域8(VR8)を有する完全カプシド(上のパネル)およびCBh-eGFPをパッケージングしているベクター(AAV.cc81およびAAV.cc84)として産生された組換えカプシドタンパク質(下のパネル)を描示する。
図30A~30Fは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVベクターの脳室内(ICV)注射時にマウスの脳に発現されたmCherryまたはeGFPの代表画像を例示する。図30Aは、AAV9ベクター(mCherry)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。図30Bは、AAV.cc44ベクター(mCherry)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。図30Cは、AAV.cc47ベクター(mCherry)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。図30Dは、AAV9ベクター(eGFP)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。図30Eは、AAV.cc81ベクター(eGFP)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。図30Fは、AAV.cc84ベクター(eGFP)のICV注射後のマウスの全脳、および選択された脳領域を描示する。示されている脳領域は、Ctx=大脳皮質、Hc=海馬、およびCb=小脳を含む。
図31A~31Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVベクターの脳室内(ICV)注射時にマウスの脳に発現されたeGFPの代表画像およびグラフを例示する。図31Aは、AAV9ベクター(eGFP)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。図31Bは、AAV.cc84ベクター(eGFP)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。eGFPおよびNeurN両方の染色を有するニューロンの数を、小脳(CB、図31C)、海馬(HC、図31D)および大脳皮質(CTX、図31E)において定量化した。
図31A~31Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVベクターの脳室内(ICV)注射時にマウスの脳に発現されたeGFPの代表画像およびグラフを例示する。図31Aは、AAV9ベクター(eGFP)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。図31Bは、AAV.cc84ベクター(eGFP)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。eGFPおよびNeurN両方の染色を有するニューロンの数を、小脳(CB、図31C)、海馬(HC、図31D)および大脳皮質(CTX、図31E)において定量化した。
図32A~32Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVベクターの脳室内(ICV)注射時にマウスの脳に発現されたmCherryの代表画像およびグラフを例示する。図32Aは、AAV9ベクター(mCherry)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、mCherryおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。図32Bは、AAV.cc47ベクター(mCherry)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。mCherryおよびNeurN両方の染色を有するニューロンの数を、小脳(CB、図32C)、海馬(HC、図32D)および大脳皮質(CTX、図32E)において定量化した。
図32A~32Eは、本明細書におけるある特定の実施形態に従ってAAVベクターの脳室内(ICV)注射時にマウスの脳に発現されたmCherryの代表画像およびグラフを例示する。図32Aは、AAV9ベクター(mCherry)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、mCherryおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。図32Bは、AAV.cc47ベクター(mCherry)のICV注射後に採取され処理された脳組織におけるDAPI、eGFPおよびNeurNについての免疫蛍光(IF)染色後の選択された脳領域からの画像を描示する。3つ全ての染色からの画像を、共局在化を示すために統合した。mCherryおよびNeurN両方の染色を有するニューロンの数を、小脳(CB、図32C)、海馬(HC、図32D)および大脳皮質(CTX、図32E)において定量化した。
詳細な説明
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、治療用遺伝子の送達のための主要なプラットフォームになってきた。残念なことに、AAVに基づく遺伝子治療剤は、例えば、目的の細胞または組織を標的とするための投与経路および治療用遺伝子(例えば、目的の導入遺伝子)を運ぶベクターに対する対象の免疫応答の最適化が困難であるため、所望される効果に満たないことがある。AAVまたは組換えAAVベクターの自然な遭遇時に生成される宿主由来の既存の抗体は、ワクチンとしてのおよび/または遺伝子治療剤のためのAAVベクターの初回および反復投与を妨げる。血清学的研究は、人々の約67%がAAV1に対する、72%がAAV2に対する、約40%がAAV5からAAV9までに対する抗体を有する、世界中のヒト個体群における高い抗体保有率を明らかにする。遺伝子治療剤では、遺伝子サイレンシングまたは組織変性を伴うある特定の臨床シナリオは、導入遺伝子の長期発現を持続するために複数のAAVベクター投与を必要とするため、対象における既存の抗体が問題を引き起こす。
公知のAAV血清型は、各々が特異的な組織親和性を有するが、これらのAAVを使用して容易に標的とすることができないいくつかの組織(例えば、腎臓)がある。中枢神経系(CNS)および末梢神経系(PNS)の障害を処置するためにAAVベクターを使用する治療用遺伝子の送達は、血液脳関門がAAVに基づく治療剤の所望の標的への到達を妨げ得るので、特に困難である。心臓、肝臓または肺などの全身臓器におけるAAV形質導入は、所与の用量について、臨床開発中に使用される様々なモデル生物(例えば、イヌ、ブタ、非ヒト霊長類)の中で、およびヒト対象の中で、かなり異なり得る。
これらの問題を回避するには、抗体認識から逃れるおよび/またはCNSの組織を選択的に標的とする組換えAAVベクターが必要である。本開示で提供される態様は、a)AAVに基づく遺伝子治療剤に好適な患者の適格なコホートを拡大するのに、およびb)AAVに基づく遺伝子治療用ベクターの複数の反復投与を可能にするのに、役立つことになる。加えて、目的の組織を、腎臓などの公知のAAV血清型を使用して標的とすることが困難である/困難とされている組織を含めて、選択的かつ特異的に標的とすることができる、AAVに基づく遺伝子治療剤を開発する必要がある。
本開示は、AAVカプシドおよびカプシドタンパク質のカプシド抗原性および機能特性、例えば、親和性および形質導入が、構造的状況の点でオーバーラップしており、それらを改変して改善された機能性を付与することができるという新規発見に、少なくとも一部は基づく。本開示に基づいて、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質、およびAAVカプシドタンパク質を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを、異種間適合性を誘導するように共進化させることができ、これは、非ヒト疾患モデル(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類)からの所与のAAVをヒトに使用する上での信頼性のある解釈を可能にする潜在的に有用な特質である。それに基づいて、本開示は、異種間適合性AAVカプシドタンパク質および本明細書におけるAAVカプシドタンパク質を含むAAVベクター、それらの作製方法および使用方法を提供する。本明細書で使用される場合、「異種間適合性AAV」は、異種間適合性のために共進化される、変異したおよび/または置換されたアミノ酸配列を有するAAVカプシドタンパク質バリアントを含むAAVベクターを指すことができる。
I.定義
本開示の原理の理解を促す目的で、好ましい実施形態を次に参照し、特定の言葉を使用してそれを説明することとする。とは言うものの、それによって本開示の範囲が制限されることを意図しておらず、本明細書で例証されるような本開示についての、本開示が関連する技術分野の当業者が普通に思い付くような、変更およびさらなる改変を企図していることは、理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書では使用される。例として、「エレメント(an element)」は、少なくとも1つのエレメントを意味し、1つより多くのエレメントを含み得る。
「約」は、所望の結果に影響を与えることなく所与の値が終点より「わずかに上」または「わずかに下」であり得ることを規定することによって数値範囲の終点に自由度を与えるために使用される。数値に付随している用語「約」は、数値にその数値のプラスまたはマイナス5%またはそれ未満の幅があり得ることを意味する。
本明細書を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、語「含む(comprise)」および「含む(include)」および語尾変化形(例えば、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」)は、述べられている構成要素、特色、エレメントもしくはステップ、または構成要素、特色、エレメントもしくはステップの群の包含を含意するが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群の除外を含意しないように解されることになる。
本明細書で使用される場合、「および/または」は、付随する列挙されている事柄の1つまたは複数についての任意のおよび全ての可能な組合せはもちろん、選択的に(「または」)と解釈される場合には組合せの欠如も指し、それらを包含する。
さらに、本開示は、一部の実施形態では、本明細書で示される任意の特色または特色の組合せが除外または削除され得ることも企図している。例を挙げて説明すると、本明細書で複合体が構成要素A、BおよびCを含むと述べられている場合、具体的には、A、BもしくはCのいずれかまたはこれらの組合せが単独でまたは任意の組合せで削除および放棄され得ることが意図されている。
本明細書における値の範囲の記述は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に含まれる各別々の値に個々に言及する省略表現方法として役立つことを目的としたものに過ぎず、各別々の値は、それがあたかも本明細書において個々に挙げられたかのように本明細書に組み込まれる。例えば、濃度範囲が、1%~50%と述べられている場合、例えば、2%~40%、10%~30%、または1%~3%などの値が本明細書に明確に列挙されていることが意図されている。これらは、具体的に意図されているものの単なる例であり、列挙されている最低値と最高値の間の、これらの値を含む、数値の全ての可能な組合せが、本開示で明確に述べられているとみなされるべきである。
本明細書で使用される場合、用語「アデノ随伴ウイルス」(AAV)は、AAV 1型、AAV 2型、AAV 3型(3Aおよび3B型を含む)、AAV 4型、AAV 5型、AAV 6型、AAV 7型、AAV 8型、AAV 9型、AAV 10型、AAV 11型、AAV 12型、AAV 13型、AAV rh32.33型、AAV rh8型、AAV rh10型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、および現在公知のまたは後に発見される任意の他のAAVを含むが、これらに限定されない。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69(4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。いくつかのAAV血清型およびクレードが同定されている(例えば、Gao et al, (2004) J. Virology 78:6381 -6388;Moris et al, (2004) Virology 33-:375-383;および表1を参照されたい)。
AAVおよび自律的パルボウイルスの様々な血清型のゲノム配列、ならびにネイティブ末端反復(TR)、Repタンパク質、およびカプシドサブユニットの配列は、当技術分野において公知である。そのような配列は、文献において、またはGenBankなどの公開データベースにおいて見つけることができる。例えば、GenBank受託番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、AY530579を参照されたく、これらの開示は、パルボウイルスおよびAAVの核酸およびアミノ酸配列の教示について参照により本明細書に組み込まれる。表1も参照されたい。
Figure 2023524291000001
Figure 2023524291000002
Figure 2023524291000003
用語「異種ヌクレオチド配列」および「異種核酸」は、本明細書では同義で使用され、ウイルスに天然に存在しない配列を指す。一般に、異種核酸は、目的の(例えば、細胞または対象への送達のための)ポリペプチドまたは非翻訳RNAをコードする、オープンリーディングフレームを含む。
「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、ヌクレオチド塩基の配列を指し、RNA、DNA、またはDNA-RNAハイブリッド配列(天然に存在するヌクレオチドと天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む)であり得るが、代表的な実施形態では、一本鎖DNA配列または二本鎖DNA配列のどちらかである。
本明細書で使用される場合、用語「ペプチド」は、短いアミノ酸配列を指す。ペプチドという用語は、AAVカプシドアミノ酸配列の一部分または領域を指すために使用され得る。ペプチドは、ネイティブAAVカプシドに天然に存在するペプチドでも、ネイティブAAVカプシドに天然に存在しないペプチドであってもよい。AAVカプシド内の天然に存在するAAVペプチドを、天然に存在しないペプチドによって置換することができる。例えば、天然に存在するペプチドが天然に存在しないペプチドに置き換えられるように、天然に存在しないペプチドをAAVカプシドに置換により組み込んで、改変カプシドを得ることができる。本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、別段の指示がない限り、ペプチドとタンパク質の両方を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、任意の天然に存在するアミノ酸、その改変形態、および合成アミノ酸を包含する。あるいは、本明細書におけるアミノ酸は、改変アミノ酸残基であり得、および/または翻訳後改変(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化または硫酸化)により改変されるアミノ酸であり得る。天然に存在する左旋性(L-)アミノ酸が、表2で示される。
Figure 2023524291000004
あるいは、アミノ酸は、改変アミノ酸残基であり得(非限定的な例は、表3で示される)、および/または翻訳後改変(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化または硫酸化)により改変されるアミノ酸であり得る。
Figure 2023524291000005
Figure 2023524291000006
さらに、天然に存在しないアミノ酸は、Wang et al., Annu Rev Biophys Biomol Struct. 35:225-49 (2006)により記載されているような「非天然」アミノ酸であり得る。これらの非天然アミノ酸は、目的の分子をAAVカプシドタンパク質に化学的に連結させるために有利に使用され得る。
本明細書で使用される場合、用語「ウイルスベクター」、「ベクター」、または「遺伝子送達ベクター」は、核酸送達ビヒクルとして機能し、ビリオン内にパッケージングされたベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を含む、ウイルス(例えば、AAV)粒子を指す。あるいは、一部の文脈では、用語「ベクター」は、単独でのベクターゲノム/vDNAを指すために使用され得る。
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の異種核酸配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、一般に、ウイルスを生成するためにシスでの末端反復(TR)のみを必要とする。全ての他のウイルス配列は、重要でなく、トランスで供給されることもある(Muzyczka, (1992) Curr. Topics Microbiol. Immunol. 158:97)。典型的には、rAAVベクターゲノムは、ベクターによって効率的にパッケージングされ得る導入遺伝子のサイズを最大にするために1つまたは複数のTR配列のみを保持することになる。構造および非構造タンパク質コード配列は、トランスで(例えば、プラスミドなどのベクターから、または配列をパッケージング細胞に安定的に組み込むことにより)提供されることもある。本発明の実施形態では、rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列)を、必要に応じて、2つのTR(例えば、2つのAAV TR)を含み、これら2つのTRは、典型的には、ベクターゲノムの5’および3’末端にあり、異種核酸に隣接することになるが、異種核酸と連続している必要はない。TRは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
用語「末端反復」または「TR」は、ヘアピン構造を形成し、逆方向末端反復として機能する(すなわち、複製、ウイルスパッケージング、組込み、および/またはプロウイルスレスキューなどの、所望の機能を媒介する)、任意のウイルス末端反復または合成配列を含む。TRは、AAV TR、または非AAV TRであり得る。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB-19)のもの、または任意の他の好適なウイルス配列(例えば、SV40複製起点としての機能を果たすSV40ヘアピン)などの、非AAV TR配列を、TRとして使用することができ、それを、短縮、置換、欠失、挿入および/または付加によってさらに改変することができる。さらに、TRは、部分的にまたは完全に合成のもの、例えば、Samulskiらの米国特許第5,478,745号に記載されているような「二重D配列」であることもある。
「AAV末端反復」または「AAV TR」は、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または現在公知のもしくは後に発見される任意の他のAAVを含むがこれらに限定されない、任意のAAVからのものであり得る(例えば、表1を参照されたい)。AAV末端反復は、所望の機能、例えば、複製、ウイルスパッケージング、組込み、および/またはプロウイルスレスキューなどを媒介するのであれば、ネイティブ末端反復配列を有する必要はない(例えば、ネイティブAAV TR配列が、挿入、欠失、短縮および/またはミスセンス変異により変更されていてもよい)。
AAVベクターは、典型的には、タンパク質に基づくカプシド、およびカプシドに包まれている核酸を含む。核酸は、例えば、逆方向末端反復と隣接している導入遺伝子を含むベクターゲノムであり得る。AAV「カプシド」は、個々の「カプシドタンパク質」または「サブユニット」を含む、ほぼ球形のタンパク質シェルである。AAVカプシドは、会合しており、T=1の正二十面体対称で配置されている、約60のカプシドタンパク質サブユニットを典型的に含む。AAVベクターが、AAVカプシドタンパク質を含むと本明細書に記載される場合、AAVベクターがカプシドを含み、カプシドが1つまたは複数のAAVカプシドタンパク質(すなわち、サブユニット)を含むと解されることになる。導入遺伝子を含むいずれのベクターゲノムも核酸も含まないカプシドを指す、「ウイルス性粒子」または「ウイスル様粒子」も、本明細書に記載される。
本開示のウイルスベクターは、さらに、国際特許公開WO00/28004およびChao et al., (2000) Molecular Therapy 2:619に記載されているような「標的化」ウイルスベクター(例えば、方向付けられた親和性を有する)および/または「ハイブリッド」パルボウイルス(すなわち、ウイルスTRとウイルスカプシドが、異なるパルボウイルスからのものである)であり得る。
本開示のウイルスベクターは、さらに、国際特許公開WO01/92551(この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような二重パルボウイルス粒子であり得る。したがって、一部の実施形態では、二本鎖(二重鎖)ゲノムを本発明のウイルスカプシドにパッケージングすることができる。さらに、ウイルスカプシドまたはゲノムエレメントは、挿入、欠失および/または置換を含めた他の改変を含有し得る。
用語「自己相補的AAV」または「scAAV」は、自発的にアニールする二量体逆方向反復DNA分子を形成し、その結果、従来の一本鎖(ss)AAVゲノムと比較して、より早く、よりロバストな導入遺伝子発現を生じさせることになる、組換えAAVベクターを指す。例えば、McCarty, D.M., et al., Gene Therapy 8, 1248- 1254 (2001)を参照されたい。従来のssAAVとは異なり、scAAVは、遺伝子発現の律速段階である第2鎖合成を回避することができる。さらに、二本鎖scAAVは、ウイルス形質導入後にDNAが分解する傾向が低く、それによって、安定なエピソームのコピー数が増加する。注目すべきことに、scAAVは、典型的には、従来のAAVベクターのサイズの半分の約2.4kbであるゲノムのみを保持し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるAAVベクターは、自己相補的AAVである。
「治療用ポリペプチド」または「治療用タンパク質」は、細胞もしくは対象におけるタンパク質の非存在もしくは欠損の結果として生じる症状を緩和、軽減、予防、遅延および/もしくは安定化することができるポリペプチドもしくはタンパク質であり、ならびに/または別様に対象に恩恵、例えば、抗がん効果、もしくは移植片の生存率の向上、をもたらすポリペプチドである。
用語「処置する」、「処置すること」、または「の処置」(およびこれらの文法的変化形)とは、対象の状態の重症度を低下させる、少なくとも部分的に改善するもしくは安定化すること、および/または少なくとも1つの臨床症状の何らかの緩和、軽減、減少もしくは安定化を達成すること、および/または疾患もしくは障害の進行の遅延があることを意味する。
用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」(およびこれらの文法的変化形)は、本発明の方法の非存在下で起こるものと比べて、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症の予防および/もしくはその遅延、ならびに/または疾患、障害および/もしくは臨床症状の発症の重症度の低下を指す。予防は、完全な予防、例えば、疾患、障害および/または臨床症状の全くの非存在、であることがある。予防は、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の出現、ならびに/または発症の重症度が、本発明の非存在下で起こるものに満たないような、部分的な予防であることもある。
本明細書で使用される場合、用語「対象」および「患者」は、本明細書では同義で使用され、ヒトと非ヒト動物の両方を指す。本開示の用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。一部の実施形態では、対象は、ヒトを含む。他の実施形態では、対象は、1つまたは複数の遺伝子治療剤を必要とするヒトを含む。
「処置有効」量は、本明細書で使用される場合、対象に何らかの改善または恩恵をもたらすのに十分である量である。別の言い方をすれば、「処置有効」量は、対象における少なくとも1つの臨床症状の何らかの緩和、軽減、減少または安定化をもたらすことになる量である。何らかの恩恵が対象にもたらされるのであれば、治療効果が完全である必要も、治癒的である必要もないことは、当業者には理解されるであろう。
「予防有効」量は、本明細書で使用される場合、本発明の方法の非存在下で起こるものと比べて、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発症を予防するおよび/もしくは遅延させるのに、ならびに/または対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発症の重症度を低下および/もしくは遅延させるのに、十分である量である。何らかの恩恵が対象にもたらされるのであれば、予防レベルが完全である必要がないことは、当業者には理解されるであろう。
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
II.異種間適合性AAV
パルボウイルスファミリーのメンバーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、小さい、エンベロープを有さないウイルスである。野生型AAVは、一本鎖DNAゲノムを封入する正二十面体タンパク質カプシドで構成されている。野生型AAVでは、逆方向末端反復(ITR)は、非構造タンパク質(Rep遺伝子によりコードされる)および構造タンパク質(カプシド遺伝子またはCap遺伝子によりコードされる)についてのコードヌクレオチド配列(例えば、ポリヌクレオチド)に隣接する。Rep遺伝子は、AAVゲノムの複製を含む機能を調節する非構造タンパク質をコードする。Cap遺伝子は、集合してカプシドを形成する構造タンパク質であるVP1、VP2および/またはVP3をコードする。
本開示は、野生型カプシドタンパク質と比べてアミノ酸配列の改変(例えば、置換)を含む組換えAAVカプシドタンパク質(VP1、VP2、および/またはVP3)、ならびに改変AAVカプシドタンパク質を含むAAVカプシドおよびAAVベクターを提供する。本発明者らは、本明細書で開示される改変が、本明細書における改変AAVカプシドタンパク質バリアントを含むウイルスベクターに、中和抗体から逃れる能力および/または目的の細胞もしくは組織を特異的かつ選択的に標的とする能力を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の望ましい特性を付与することができることを発見した。したがって、本開示は、従来のAAVベクターに付随する制限の一部に対処する。
ある特定の実施形態では、本明細書におけるAAVベクターを、1つまたは複数のカプシドタンパク質バリアントを含むように操作することができる。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクターは、異種間適合性ベクター、すなわち「ccAAV」であり得る。一部の実施形態では、AAVベクター(例えば、ccAAV)を、少なくとも1つまたは複数のアミノ酸置換を含むように操作することができ、1つまたは複数の置換によってAAVカプシドタンパク質上の1つまたは複数の抗原部位が改変され得る。1つまたは複数抗原部位の改変は、1つもしくは複数の抗原部位への抗体による結合の阻害、および/または本明細書における前記カプシドタンパク質バリアントを含むウイルス粒子の感染力の中和の阻害をもたらすことができる。
したがって、本明細書における一部の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換および/または欠失)を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドタンパク質バリアントであって、1つまたは複数の改変によってAAVカプシドタンパク質上の1つまたは複数の抗原部位が改変されている、AAVカプシドタンパク質バリアントを提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数抗原部位の改変は、1つもしくは複数の抗原部位への抗体による結合の阻害、および/または前記AAVカプシドタンパク質を含むウイルス粒子の感染力の中和の阻害をもたらすことができる。一部の実施形態では、改変された抗原部位は、抗体によるAAVカプシドの結合または認識または中和を防止することができる。一部の実施形態では、抗体は、IgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3を含む)、IgM、IgEまたはIgAであり得る。一部の実施形態では、改変された抗原部位は、異なる動物種からの抗体によるAAVカプシドの結合、認識または中和を防止することができ、動物は、ヒト、イヌ、ブタ、ウシ、非ヒト霊長類、げっ歯類、ネコまたはウマである。
一部の実施形態では、1つまたは複数の抗原部位の改変は、1つもしくは複数の細胞型、1つもしくは複数の組織型、またはこれらの任意の組合せへの、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)の親和性を生じさせる結果となり得る。本明細書で使用される場合、「親和性」は、ある特定の細胞または組織へのウイルスの優先的侵入を指し、必要に応じてその後、細胞においてウイルスゲノムにより運ばれた配列の発現(例えば、転写、および必要に応じて翻訳)、例えば、組換えウイルスの場合は目的の異種核酸の発現が生じる。一部の実施形態では、1つまたは複数の抗原部位の改変は、対象の全身の1つまたは複数の細胞型および/または組織に対する親和性を示し得る本明細書におけるAAVベクターを生じさせる結果となり得る。一部の態様では、1つまたは複数の抗原部位の改変は、脳組織、肺組織、骨格筋組織、心臓組織、肝臓組織、腎臓組織および/または膵臓組織への親和性を示し得る本明細書におけるAAVベクターを生じさせる結果となり得る。一部の態様では、1つまたは複数の抗原部位の改変は、1つもしくは複数の脳細胞、1つもしくは複数の肺細胞、1つもしくは複数の骨格筋細胞、1つもしくは複数の心臓細胞、1つもしくは複数の肝臓細胞、1つもしくは複数の腎臓細胞および/または1つもしくは複数の膵臓細胞への親和性を示し得る本明細書におけるAAVベクターを生じさせる結果となり得る。一部の態様では、1つまたは複数の抗原部位の改変は、腎臓への親和性を示し得る本明細書におけるAAVベクターを生じさせる結果となり得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアント内の1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換および/または欠失)は、AAVカプシドタンパク質を含有するAAV-抗体複合体のペプチドエピトープマッピングおよび/または低温電子顕微鏡法研究により同定される1つまたは複数の抗原フットプリントに存在し得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸改変を受け得る本明細書における1つまたは複数の抗原部位は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2017/058892に記載されているような共通抗原モチーフ(CAM)であり得る。
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸改変を受け得る本明細書における1つまたは複数の抗原部位は、AAVカプシドタンパク質の可変領域(VR)に存在し得る。AAVカプシドは、3つのVP(VP1、VP2、VP3)の60コピー(合計で)を含有し、これらのVPは、cap遺伝子によりコードされており、オーバーラップ配列を有する。各VPは、自律的パルボウイルスカプシドに保存された8本鎖βバレルモチーフ(βB~βI)および/またはαヘリックス(αA)を含有し得る。構造可変領域(VR)は、β鎖を接続する表面ループ内に存在し得、これらがクラスター化してカプシド表面に局所的なばらつきを生じさせる。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアント内の1つまたは複数の抗原部位を改変する、本明細書における1つまたは複数のアミノ酸改変は、VR-I、VR-II、VR-III、VR-IV、VR-V、VR-VI、VR-VII、VR-VI II、VR-IX、またはこれらの任意の組合せにおいてであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数の抗原部位は、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントのHIループ内に存在し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得る。これらの実施形態に従って、本明細書に記載されるAAVカプシドタンパク質バリアントを含むAAVベクター(例えば、ccAAV)は、中和抗体の回避、形質導入効率の向上または維持、1つまたは複数の細胞型および/または組織型への選択的親和性、ならびにこれらの任意の組合せ、の表現型を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、心臓、骨格筋、腎臓および脳ニューロンにおいて、親AAV9と比較して少なくとも約2倍(例えば、約4倍、約5倍、約7倍、約10倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、約20倍、約25倍、または約30倍、これらの間にある全ての値および部分範囲を含む)多い形質導入を示す。一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、一部の組織型(例えば、心臓、骨格筋、腎臓、脳ニューロンなど)では親AAV9よりも高い形質導入効率を、一部の細胞型(例えば、グリア細胞)では親AAV9と比べて同様のまたは減少した形質導入効率を示す。
本開示は、心臓、骨格筋、腎臓においてAAV9と比較して約15倍~約18倍多い形質導入を明示したAAVcc.47を提供する。ニューロンにおけるAAVcc.47の形質導入は、脳ではAAV9と比較してより多かったが、グリア細胞形質導入は、相対的に変わらないままであった。AAVcc.81およびAAVcc.84は、心臓および骨格筋では形質導入を4倍増加させたが、いずれのccAAVについてもAAV9と比較して肝臓形質導入の大幅な増加は観察されなかった。グリア細胞の形質導入は、ccAAVを用いるとAAV9と比較して大幅に減少したが、ニューロン親和性はわずかに増加した。ccAAVによる形質導入効率の増加は、治療用ベクターのより低い投薬レジメンをもたらし得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、少なくとも1つまたは複数のアミノ酸置換を含み得、約1個のアミノ酸残基~約50個のアミノ酸残基(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50)は、天然に存在するカプシドタンパク質のアミノ酸配列を構成するアミノ酸残基から置換されていることがある。本明細書における一部の実施形態に従って、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントは、天然に存在するカプシドタンパク質のアミノ酸配列を構成するアミノ酸残基から置換された約7個のアミノ酸残基を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、天然に存在するカプシドタンパク質に対して約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、100%)の類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。本明細書で使用される場合、「天然に存在する」または「野生型」は、人間による改変を伴わずに自然界に存在することを意味する。一部の実施形態では、本明細書における天然に存在するカプシドタンパク質は、単一の種に由来し得る。本明細書における天然に存在するカプシドタンパク質の起源となり得る種の非限定的な例としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、または非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、ゴリラ)、トリ、爬虫類、蠕虫、魚類などの、一般的な生物からのものが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書における天然に存在するカプシドタンパク質の起源となり得る種は、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、Homo sapiens(ヒト)、およびこれらの任意の組合せであり得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるような少なくとも1つのアミノ酸置換を有するAAVカプシドタンパク質バリアントは、GenBank受託番号:NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、AY530579、およびこれらの任意の組合せにより参照されるアミノ酸配列を有する天然に存在するカプシドタンパク質に対して約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、100%)の類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。
2つまたはそれより多くのアミノ酸配列間の配列類似性または同一性を決定する方法は、当技術分野において公知である。配列類似性または同一性は、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2, 482 (1981)の局所配列同一性アルゴリズムを含むがこれに限定されない標準的な技法を使用して、Needleman & Wunsch, J Mol. Biol. 48,443 (1970)の配列同一性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 2444 (1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピュータによるインプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、Devereux et al., Nucl. Acid Res. 12, 387-395 (1984)により記載されたBest Fit配列プログラムにより、または検査により、決定することができる。[0115]別の好適なアルゴリズムは、Altschul et al., J Mol. Biol. 215, 403-410, (1990)およびKarlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 5873- 5787 (1993)に記載されている、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al., Methods in Enzymology, 266, 460-480 (1996)から得られたWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、必要に応じてデフォルト値に設定される、いくつかの検索パラメーターを使用する。パラメーターは、動的値であり、プログラム自体によって、特定の配列の組成、および目的の配列が検索される特定のデータベースの組成に依存して確立されるが、値を、感度を高めるように調整することができる。さらに、追加の有用なアルゴリズムは、Altschul et al, (1997) Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402により報告されているようなギャップ付きBLASTである。本開示では、別段の指示がない限り、同一性パーセントは、オンラインでblast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiにおいて入手可能なBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)を使用して算出される。他のアルゴリズムを適宜代用することができることは、当業者には理解されるであろう。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、次の血清型:AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh8、AAVrh10、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh32.22、ウシAAV、トリAAV、および/または現在公知のもしくは後に同定される任意の他のAAV、のうちのいずれか1つからのAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくともアミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、1つまたは複数の所望の細胞および/または組織型への公知の親和性を有する血清型からのAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、1つまたは複数の所望のヒト細胞および/または組織型への公知の親和性を有する血清型からのAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。
これらの実施形態に従って、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、CNSおよび/またはPNSに対する親和性を有する血清型からのAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。AAVは、ニューロン、星状膠細胞、乏突起膠細胞、ミクログリア、ミュラーグリア、シュワン細胞、およびサテライト細胞を含むがこれらに限定されない、CNSおよびPNS内のいくつかの異なる組織型および細胞型を首尾よく標的とすることができる。一部の例では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、星状膠細胞に対する親和性を有する任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9)のAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。一部の他の例では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、乏突起膠細胞に対する親和性を有する任意のAAV血清型(例えば、AAV8、AAV9)のAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。一部の例では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、ミクログリアに対する親和性を有する任意のAAV血清型(例えば、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9)のAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。一部の他の例では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、ミュラーグリアに対する親和性を有する任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV4、AAV6、AAV8、AAV9)のAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。一部の例では、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントは、シュワン細胞/サテライトグリアに対する親和性を有する任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9)のAAVカプシドタンパク質における任意の7つのアミノ酸を置き換えることができる、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVカプシドタンパク質バリアントまたはそれらの断片は、天然に存在するVP1カプシドタンパク質またはその断片に対して約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、100%)の類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基262~268(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基370~379(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基451~459(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、AAV1のアミノ酸残基472~473(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基493~500(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基528~534(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基547~552(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV1、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基588~597(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、AAV1のアミノ酸残基709~710(VP1番号付け)の1つまたは複数(例えば、2つ)に、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のアミノ酸残基716~722(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、AAV1のアミノ酸残基262~268(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基370~379(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基451~459(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、アミノ酸置換を;AAV1のアミノ酸残基472~473(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基493~500(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基528~534(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基547~552(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基588~597(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)に、AAV1のアミノ酸残基709~710(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2つ)に、AAV1のアミノ酸残基716~722(VP1番号付け)の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、または任意の組合せでのこれらの任意の組合せ、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を、含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面の可変ループ領域IV(VR4)内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面の可変ループ領域VIII(VR8)内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面の可変ループ領域IV(VR4)内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基にアミノ酸置換を、および任意の組合せでAAV1のカプシド表面の可変ループ領域VIII(VR8)内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基にアミノ酸置換を、含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、AAV9カプシドのネイティブ配列(配列番号1)に対して少なくとも90%(例えば、約90%、95%、99%、100%)の配列同一性を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面の可変ループ領域IV(VR4)内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面のVR4(452-NGSGQNQ-458(VP1番号付け;配列番号38))内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面のVR4(452-NGSGQNQ-458(VP1番号付け;配列番号38))内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)に置換を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面の可変ループ領域VIII(VR8)内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面のVR8(586-SAQAQAQ-592(VP1番号付け);配列番号39)内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基に、アミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面のVR8(586-SAQAQAQ-592(VP1番号付け;配列番号39))内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面の可変ループ領域IV(VR4)内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)にアミノ酸置換を、および可変ループ領域VIII(VR8)内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)にアミノ酸置換を含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV1のカプシド表面のVR4(452-NGSGQNQ-458(VP1番号付け;配列番号38))内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基にアミノ酸置換を、および任意の組合せでAAV1のカプシド表面のVR8(586-SAQAQAQ-592(VP1番号付け;配列番号39))内のアミノ酸残基の1つもしくは複数(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7つ)、またはAAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVもしくはトリAAVにおける等価のアミノ酸残基にアミノ酸置換を、含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せでAAV9のカプシド表面のVR4(452-NGSGQNQ-458(VP1番号付け;配列番号38))内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)に置換を、および任意の組合せでAAV9のカプシド表面のVR8(586-SAQAQAQ-592(VP1番号付け;配列番号39))内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を、含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、本明細書に記載される血清型のいずれか1つからの天然に存在するVP2カプシドタンパク質またはその断片に対して約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、100%)の類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、本明細書に記載される血清型のいずれか1つからの天然に存在するVP2カプシドタンパク質またはその断片内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を任意の組合せで含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、本明細書に記載される血清型のいずれか1つからの天然に存在するVP3カプシドタンパク質またはその断片に対して約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、100%)の類似性を有するアミノ酸配列を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、本明細書に記載される血清型のいずれか1つからの天然に存在するVP3カプシドタンパク質またはその断片内のアミノ酸残基の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、または7つ)にアミノ酸置換を任意の組合せで含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)AAV9カプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得る。これらの実施形態に従って、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)AAV9カプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得、カプシドタンパク質は、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458(VP1番号付け)に配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号40)を有するペプチドを含み、ペプチドは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質配列には存在しない。一部の態様では、本明細書におけるAAVベクターは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458(VP1番号付け)に配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号40)を有するペプチドを含むAAV9カプシドタンパク質バリアントを含み得、ここで、Xは、N以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、G以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、S以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、G以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、N以外の任意のアミノ酸であり得、および/またはXは、Q以外の任意のアミノ酸であり得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、EGGTVHA(配列番号20)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、FYGTDSA(配列番号21)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、HGQSASR(配列番号22)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、DTPTNQA(配列番号23)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、ITRQAYQ(配列番号24)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、RMFKSNQ(配列番号25)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、GVSLGGG(配列番号26)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、KHFLQGE(配列番号27)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、MGRERAG(配列番号28)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~10で示される配列のいずれか1つと少なくとも約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、または100%)のアミノ酸配列類似性を共有し得る。本明細書における一部の実施形態に従って、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号2~10で示される配列のいずれか1つを含む。ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)および配列番号2~10のアミノ酸配列は、下の表4で提供される。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)AAV9カプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得、カプシドタンパク質は、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592(VP1番号付け)に配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号125)を有するペプチドを含み、ペプチドは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質配列には存在しない。一部の態様では、本明細書におけるAAVベクターは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592(VP1番号付け)に配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号125)を有するペプチドを含むAAV9カプシドタンパク質バリアントを含み得、ここで、Xは、S以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、および/またはXは、Q以外の任意のアミノ酸であり得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、LNSSVPS(配列番号29)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、YMDHQVS(配列番号30)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、TSDSLVS(配列番号31)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、NAVGALS(配列番号32)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、MPISHHE(配列番号33)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、DSGARGA(配列番号34)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、NVALALG(配列番号35)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、GALRMGM(配列番号36)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、LSGEGAV(配列番号37)に対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号11~19で示される配列のいずれか1つと少なくとも約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、または100%)のアミノ酸配列類似性を共有し得る。本明細書における一部の実施形態に従って、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号11~19で示される配列のいずれか1つを含む。ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)および配列番号11~19のアミノ酸配列は、下の表4で提供される。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)AAV9カプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得、カプシドタンパク質は、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に、およびアミノ酸586~592(VP1番号付け)に、配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号40)を有するペプチドを含み、ペプチドは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質配列には存在しない。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、(i)AAV9カプシドタンパク質バリアントと、(ii)カプシドタンパク質によってカプシドに包まれているカーゴ核酸とを含み得、カプシドタンパク質は、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に、およびアミノ酸586~592(VP1番号付け)に、配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号125)を有するペプチドを含み、ペプチドは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質配列には存在しない。
一部の態様では、本明細書におけるAAVベクターは、(1)ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458(VP1番号付け)に、配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号40)(配列中、Xは、N以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、G以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、S以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、G以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、N以外の任意のアミノ酸であり得、および/またはXは、Q以外の任意のアミノ酸であり得ると、(2)ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592(VP1番号付け)に、配列X-X-X-X-X-X-X(配列番号125)(配列中、Xは、S以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、Q以外の任意のアミノ酸であり得、Xは、A以外の任意のアミノ酸であり得、および/またはXは、Q以外の任意のアミノ酸であり得る)とを有するペプチドを含む、AAV9カプシドタンパク質バリアントを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸452~458位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つに対応するアミノ酸で置換されていることがあり、ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)のアミノ酸586~592位(VP1番号付け)に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つに対応するアミノ酸で置換されていることがある、ペプチドを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号46~123で示される配列のいずれか1つと少なくとも約85%(例えば、約85%、90%、95%、99%、または100%)のアミノ酸配列類似性を共有し得る。本明細書における一部の実施形態に従って、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、配列番号46~123で示される配列のいずれか1つを含む。ネイティブAAV9カプシドタンパク質、(配列番号1)および配列番号46~123のアミノ酸配列は、下の表4で提供される。
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からXまでとして同定されるいずれのアミノ酸残基も置換されていない実施形態では、非置換位置におけるアミノ酸残基は、参照アミノ酸配列(例えば、AAV9(配列番号1))の野生型アミノ酸残基であり得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せで配列番号1(AAV9カプシドタンパク質;VP1番号付け)の残基452N、453G、454S、455G、456Q、457N、および/または458Qにアミノ酸置換を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるカプシドタンパク質バリアントは、任意の組合せで配列番号1(AAV9カプシドタンパク質;VP1番号付け)の残基586S、587A、588Q、589A、590Q、591A、および/または592Qにアミノ酸置換を有し得る。
一部の実施形態では、本開示のカプシドタンパク質バリアントを、現在公知のまたは後に発見される任意のAAVカプシドタンパク質のカプシドタンパク質を改変することにより産生することができる。さらに、本開示に従って改変されることになるAAVカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVカプシドタンパク質(例えば、AAV2、AAV3aもしくは3b、AAV4、AAV5、AAV8、AAV9、AAV10もしくはAAV11カプシドタンパク質、または表1に示されているAAVのいずれか)であり得るが、そのように限定されない。AAVカプシドタンパク質に対する様々な操作が当技術分野において公知であり、本発明が、天然に存在するAAVカプシドタンパク質の改変に限定されないことは、当業者には理解されるであろう。例えば、改変されることになるカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVと比較して1つまたは複数の変更を既に有することもある(例えば、天然に存在するAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV2、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、または現在公知のもしくは後に発見される任意の他のAAVから誘導される)。そのようなAAVカプシドタンパク質も、本開示の範囲内である。
本開示の一部の態様は、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントのいずれかの1つまたは複数を有し得るウイルスカプシドを提供する。一部の実施形態では、本明細書におけるウイルスカプシドは、パルボウイスルカプシドであり得、パルボウイスルカプシドは、さらに、自律的パルボウイルスカプシドまたはデペンドウイルスカプシドであり得る。必要に応じて、本明細書におけるウイルスカプシドは、AAVカプシドであり得る。一部の実施形態では、本開示のAAVカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh10、AAVrh32.33、ウシAAVカプシド、トリAAVカプシド、および/または現在公知のもしくは後に同定される任意の他のAAVであり得る。
一部の実施形態では、本明細書における改変ウイルスカプシドをカプシドビヒクルとして使用することができる。一部の実施形態では、分子を本明細書における改変ウイルスカプシドによりパッケージングし、細胞に移入することができ、分子は、異種DNA、RNA、ポリペプチド、小有機分子、金属、またはこれらの組合せを含み得る。異種分子は、AAV感染の際に自然に見られないもの、例えば、野生型AAVゲノムによりコードされていないものと、本明細書では定義される。さらに、本明細書における使用のための治療に有用な分子を、1つまたは複数の宿主標的細胞への分子の移入のためにキメラウイスルカプシドの外側と会合させることができる。そのような会合分子は、DNA、RNA、小有機分子、金属、炭水化物、脂質および/またはポリペプチドを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における治療に有用な分子をカプシドタンパク質に共有結合で連結させる(すなわち、コンジュゲートさせる、または化学的にカップリングさせる)ことができる。分子を共有結合で連結させる方法は、当業者には公知である。
一部の実施形態では、本明細書における改変ウイルスカプシドを、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントに対する抗体を生じさせるために使用することができる。さらなる代替案として、外来性アミノ酸配列を、細胞に対する抗原提示のために、例えば、外来性アミノ酸配列に対する免疫応答を生じさせるための対象への投与のために、改変ウイルスカプシドに挿入することができる。
一部の実施形態では、本明細書における改変ウイルスカプシドは、ウイルスカプシドを所望の標的組織上に存在する細胞表面分子と相互作用するように方向付けることができる標的化配列(例えば、ウイルスカプシド内に置換または挿入された)を含む、標的化されたウイルスカプシドであり得る(例えば、国際特許公開WO00/28004およびHauck et al., (2003) J. Virology 77:2768-2774);Shi et al., Human Gene Therapy 17:353-361 (2006)[AAVカプシドサブユニットの520および/または584位におけるインテグリン受容体結合モチーフRGDの挿入を記載している];ならびに米国特許第7,314,912号[AAV2カプシドサブユニットのアミノ酸447、534、573および587位の後にRGDモチーフを含有するP1ペプチドの挿入を記載している]を参照されたい)。挿入を許容するAAVカプシドサブユニット内の他の位置は、当技術分野において公知である(例えば、Grifman et al., Molecular Therapy 3:964-975 (2001)により記載されている449および588位)。
一例として、本開示のウイルスカプシドは、目的の、ある特定の標的組織(例えば、肝臓、骨格筋、心臓、横隔膜筋、腎臓、脳、胃、腸、皮膚、内皮細胞、および/または肺)に対して比較的非効率的な親和性を有し得る。標的化配列を、これらの低形質導入ベクターに有利に組み込んで、それによって所望の親和性、および必要に応じて特定の組織に対する選択的親和性をウイルスカプシドに付与することができる。標的化配列を含むAAVカプシドタンパク質、カプシドおよびベクターは、例えば、国際特許公開WO00/28004に記載されている。別の例として、Wang et al., Annu Rev Biophys Biomol Struct. 35:225-49 (2006)により記載されているような1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸を、本発明のAAVカプシドサブユニットの直交部位に、低形質導入ベクターを所望の標的組織に向け直す手段として組み込むことができる。これらの非天然アミノ酸を有利に使用して、目的の分子を、グリカン(マンノース-樹状細胞標的化);特定のがん細胞型への標的送達のためのRGD、ボンベシンまたは神経ペプチド;例えば、増殖因子受容体、インテグリンなどの、特定の細胞表面受容体に標的化されたファージディスプレイから選択されるRNAアプタマーまたはペプチドを含むがこれらに限定されない、AAVカプシドタンパク質に化学的に連結させることができる。アミノ酸を化学的に改変する方法は、当技術分野において公知である(例えば、Greg T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, 1st edition, Academic Press, 1996を参照されたい)。
一部の実施形態では、標的化配列は、特定の細胞型に感染を方向付けるウイルスカプシド配列(例えば、自律的パルボウイルスカプシド配列、AAVカプシド配列、または任意の他のウイルスカプシド配列)であり得る。
別の非限定的な例として、ヘパリン結合ドメイン(例えば、呼吸器合胞体ウイルスヘパリン結合ドメイン)を、HS受容体を通常は結合しないカプシドサブユニット(例えば、AAV9)に挿入してまたは置換により組み込んで、結果として生じる変異体にヘパリン結合を付与することができる。別の非限定的な例では、B19カプシドのグロボシド受容体結合ドメインを本発明のAAVカプシドタンパク質に置換により組み込んで、それを含むウイルスカプシドまたはウイルスベクターを、赤血球系細胞に標的化することができる。
一部の実施形態では、本明細書における使用のための外来性標的化配列は、改変AAVカプシドタンパク質を含むウイルスカプシドまたはウイルスベクターの親和性を変更するペプチドをコードする任意のアミノ酸配列であり得る。一部の実施形態では、標的化ペプチドまたはタンパク質は、天然に存在するか、または代替的に、完全に、もしくは部分的に合成のものであり得る。一部の例では、標的化配列は、細胞表面受容体および糖タンパク質に結合するリガンドおよび他のペプチド、例えば、RGDペプチド配列、ブラジキニン、ホルモン、ペプチド増殖因子(例えば、上皮増殖因子、神経増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来の増殖因子、インスリン様増殖因子IおよびIIなど)、サイトカイン、メラニン細胞刺激ホルモン(例えば、α、βまたはγ)、神経ペプチドおよびエンドルフィンなど、ならびにそれらの同族受容体に細胞を標的化する能力を保持するそれらの断片を含み得る。他の説明に役立つペプチドおよびタンパク質としては、サブスタンスP、ケラチノサイト増殖因子、神経ペプチドY、ガストリン放出ペプチド、インターロイキン2、ニワトリ卵白リゾチーム、エリスロポエチン、ゴナドリベリン、コルチコスタチン、β-エンドルフィン、ロイシンエンケファリン、リモルフィン、α-ネオ-エンケファリン、アンジオテンシン、ニューマジン、血管作動性腸管ペプチド、ニューロテンシン、モチリン、および上で記載されたようなこれらの断片が挙げられる。さらに、さらなる代替案として、毒素(例えば、破傷風毒素またはヘビ毒、例えばα-ブンガロトキシンなど)からの結合ドメインを、カプシドタンパク質に標的化配列として置換により組み込むことができる。一部の他の実施形態では、Cleves(Current Biology 7:R318 (1997))により記載されたような「非古典的」インポート/エクスポートシグナルペプチド(例えば、線維芽細胞増殖因子-1および-2、インターロイキン1、HIV-1 Tatタンパク質、ヘルペスウイルスVP22タンパク質など)の置換によるAAVカプシドタンパク質への組込みによって、AAVカプシドタンパク質を改変することができる。特定の細胞による取込みを指示するペプチドモチーフも包含され、例えば、FVFLP(配列番号41)ペプチドモチーフは、肝臓細胞による取込みを誘発する。一部の実施形態では、本明細書における使用のための標的化配列は、細胞への侵入を標的とする別の分子への化学的カップリングに使用することができる(例えば、それらのR基によって化学的にカップリングされ得るアルギニンおよび/またはリシン残基を含み得る)ペプチドであり得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはAAVベクター(例えば、ccAVV)は、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型の形質導入効率と比べて同等のまたは向上した形質導入効率を有することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクター(例えば、ccAVV)は、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型の形質導入効率と比べて低下した形質導入効率を有することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクター(例えば、ccAVV)は、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型の親和性と比べて同等のまたは向上した親和性を有することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクター(例えば、ccAVV)は、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型の親和性と比べて変更されたまたは異なる親和性を有することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクター(例えば、ccAVV)は、脳組織に対する親和性を有するか、または有するようにそれらを操作することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはAAVベクター(例えば、ccAVV)は、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型の免疫学的応答と比べて減弱された免疫学的応答を生じさせることができる。一部の実施形態では、対象に、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはAAVベクター(例えば、ccAVV)を、カプシドタンパク質バリアント、ウイルスカプシドおよび/またはベクターが得られたAAV血清型を使用して投与され得る投与回数と比べて、複数回の投薬で(例えば、約2回、約3回、約4回、約5回、約10回、約15回、約20回、約40回、1つまたは複数の所望の応答を観察するために必要に応じて何回でも)投与することができる。
(A)カプシドおよびccAAVの操作
一部の実施形態では、合理的な操作および/または変異方法を使用して、本明細書で開示されるAAVベクター(例えば、ccAAV)のカプシドタンパク質バリアントを同定することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法を使用して、中和抗体から逃れるAAVベクターを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法を使用して、改善された遺伝子導入効率を有するAAVベクターを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法を使用して、1つより多くの哺乳動物種において改善された遺伝子導入効率を有するAAVベクターを産生することができる。一部の実施形態では、本明細書における方法を使用して、目的の細胞または組織(例えば、腎臓細胞)を特異的に標的とするAAVベクターを産生することができる。
一部実施形態では、本明細書に記載される組換えAAVは、1つまたは複数の哺乳動物種において、1つまたは複数のアミノ酸置換を欠いていることを除いて他の点では同一であるカプシドタンパク質を有する組換えAAVと比べて、改善された遺伝子導入効率を有する。一部の実施形態では、改善された遺伝子導入効率は、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)のもう1つにおいて存在する/生じる。一部の実施形態では、改善された遺伝子導入効率は、次の細胞型または組織:脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓の、1つまたは複数において生じる。一部の実施形態では、改善された遺伝子導入効率は、腎臓細胞または腎臓組織において生じる。
本開示の態様は、本明細書で開示されるようなAAVベクターを産生する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、以下のステップの1つまたは複数を含み得る:a)AAVカプシドタンパク質上に三次元抗原フットプリントを形成する接触アミノ酸残基を同定するステップ;b)(a)で同定された接触アミノ酸残基のアミノ酸置換を含むAAVカプシドタンパク質のライブラリーを生成するステップ;c)(b)のAAVカプシドタンパク質のライブラリーからのカプシドタンパク質を含むAAV粒子を産生するステップ;d)(c)のAAV粒子を細胞と、感染および複製が起こり得る条件下で接触させるステップ;e)少なくとも1つの感染サイクルを完了し、対照AAV粒子と同様の力価に複製することができる、AAV粒子を選択するステップ;f)(e)で選択されたAAV粒子を中和抗体および細胞と、感染および複製が起こり得る条件下で接触させるステップ;ならびにg)(f)の中和抗体により中和されないAAV粒子を選択するステップ。接触アミノ酸残基を同定するための方法の非限定的な例としては、ペプチドエピトープマッピングおよび/または低温電子顕微鏡法が挙げられる。AAVカプシドタンパク質のライブラリーを生成するために使用することができる、絶え間なく進化し続ける様々な方法およびプロトコール(例えば、合理的設計、バーコーディング、直接進化、コンピュータでの発見)があることは、当業者には理解されるであろう。本明細書における使用に好適である、当分野で公知のまたは発見されることになる、AAVカプシドタンパク質のライブラリーを生成する任意の方法を、本明細書で開示される方法に従って使用する、および/または使用のために最適化することができる。
一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質において同定された接触アミノ酸残基のアミノ酸置換を含むAAVカプシドタンパク質のライブラリーを生成するステップは、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを生じさせることができる。一部の実施形態では、本明細書におけるccAAVベクターを産生する方法は、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを哺乳動物に投与するステップを含み得る。一部の実施形態では、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを哺乳動物に投与するステップは、哺乳動物への全身投与であり得る。一部の実施形態では、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを、Mus Musculus(マウス)種、Sus scrofa(ブタ)種、Canis Familiaris(イヌ)種、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)種、またはHomo sapiens(ヒト)種を有する哺乳動物に投与することができる。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物からの細胞および/または組織から収集することにより、富化することができる。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物からの細胞および/または組織から収集することにより、富化することができ、細胞および/または組織は、脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後、約1日~約1カ月(例えば、約1日、5日、1週間、2週間、3週間、1カ月)後に哺乳動物から収集することができる。一部の実施形態では、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物から収集されたカプシドタンパク質を使用して、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーと呼ばれる別のAAVカプシドタンパク質ライブラリーを生成することができる。
一部の実施形態では、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを、Mus Musculus(マウス)種、Sus scrofa(ブタ)種、Canis Familiaris(イヌ)種、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)種、またはHomo sapiens(ヒト)種を有する哺乳動物に投与することができるが、ただし、これらの種が、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じでないことを条件とする。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物からの細胞および/または組織から収集することにより、富化することができる。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物からの細胞および/または組織から収集することにより、富化することができ、細胞および/または組織は、脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物から収集し、同定することができる。一部の実施形態では、カプシドタンパク質を、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後、約1日~約1カ月(例えば、約1日、5日、1週間、2週間、3週間、1カ月)後に哺乳動物から収集し、同定することができる。一部の実施形態では、進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーの投与後に哺乳動物から収集され、同定されたカプシドタンパク質を使用して、追加の、第2の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを生成することができる。一部の実施形態では、第2の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを、Mus Musculus(マウス)種、Sus scrofa(ブタ)種、Canis Familiaris(イヌ)種、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)種、またはHomo sapiens(ヒト)種を有する哺乳動物に投与することができるが、ただし、これらの種が、第1の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じでないことを条件とする。一部の実施形態では、第2の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを、Mus Musculus(マウス)種、Sus scrofa(ブタ)種、Canis Familiaris(イヌ)種、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)種、またはHomo sapiens(ヒト)種を有する哺乳動物に投与することができるが、ただし、これらの種が、第1の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じでないこと、およびこれらの種が、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じであることを条件とする。一部の実施形態では、第2の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを、Mus Musculus(マウス)種、Sus scrofa(ブタ)種、Canis Familiaris(イヌ)種、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)種、またはHomo sapiens(ヒト)種を有する哺乳動物に投与することができるが、ただし、これらの種が、第1の進化したAAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じでないこと、およびこれらの種が、親AAVカプシドタンパク質ライブラリーを投与した種と同じでないことを条件とする。
一部の実施形態では、進化したライブラリーの各世代を、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる「サイクル」と呼ぶことができる。一部の実施形態では、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる本明細書における方法は、約1~約10(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)サイクルを含み得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるような各サイクルを、先行するサイクルとは異なる種で行うことができる。一部の例では、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる本明細書における方法は、マウスにおける1つのサイクル、ブタにおける第2のサイクル、マウスにおける第3のサイクル、ブタにおける第4のサイクルなどを含み得る。一部の例では、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる本明細書における方法は、マウスにおける1つのサイクル、非ヒト霊長類における第2のサイクル、マウスにおける第3のサイクル、非ヒト霊長類における第4のサイクルなどを含み得る。一部の例では、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる本明細書における方法は、マウスにおける1つのサイクル、ブタにおける第2のサイクル、非ヒト霊長類における第3のサイクル、マウスにおける第4のサイクルなどを含み得る。一部の例では、AAVカプシドタンパク質ライブラリーを共進化させる本明細書における方法は、ブタにおける1つのサイクル、マウスにおける第2のサイクル、非ヒト霊長類(例えば、サル)における第3のサイクルなどを含み得る。
一部の実施形態では、新規アデノ随伴ウイルス株を進化させる方法であって、複数の哺乳動物種にわたってAAVライブラリーを継代するステップを含み、AAVライブラリーが、複数の組換えAAVベクターを含み、各組換えAAVベクターが、野生型AAVカプシドタンパク質と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含むカプシドタンパク質バリアントを含む、方法。一部の実施形態では、AAVライブラリー内の各組換えAAVベクターは、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸変異は、配列番号1のアミノ酸452~458、もしくは配列番号1の586~592に対応する領域にあるか、または変異は、配列番号1のアミノ酸452~458および586~592に対応する両方の領域に見られる。
一部の実施形態では、新規AAV株を進化させる方法は、第1のAAVライブラリーを第1の哺乳動物種に投与するステップを含む。次いで、第1の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する第1のAAVライブラリーからのAAVをシークエンシングし、第2のAAVライブラリーを生成するために使用することができる。その後、第2のAAVライブラリーを第2の哺乳動物種に投与することができ、第1の哺乳動物種と前記第2の哺乳動物種は異なる。次いで、第2の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する第2のAAVライブラリーからのAAVをシークエンシングすることができる。一部の実施形態では、第1の哺乳動物種および第2の哺乳動物種は、各々独立して、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、およびHomo sapiens(ヒト)からなる群から選択される。次いでこれらのステップを、第3、第4、第5、第6などの種で、反復することができる。一部の実施形態では、第1の哺乳動物種、第2の哺乳動物種(または任意の後続の種)の1つまたは複数の標的組織は、脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せから選択される。
(B)AAVベクター
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントの1つまたは複数を含むAAVベクターを提供する。本明細書で使用される場合、「ベクター」は、異種分子を輸送する、形質導入する、またはその担体として別様に作用する、任意の分子または部分を指す。「ウイルスベクター」は、目的のペイロード分子、例えば、導入遺伝子、ポリペプチドもしくは複数ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または調節核酸、をコードするかまたは含む1つまたは複数のポリヌクレオチド領域を含む、ベクターである。本発明のウイルスベクターは、当技術分野において公知の方法を使用して組換えにより産生することができる。そのような技法は、文献で、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition (Sambrook, et al., 1989) Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed. 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press;およびCell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, ed., 1989) Academic Pressで、十分に説明されている。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVウイルス粒子は、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントの1つまたは複数を発現するためのベクターゲノムを有することができる。AAVベクターのベクターゲノムは、一部の実施形態では、分子法を使用してウイルス(例えば、AAV)から野生型ゲノムを除去し、非ネイティブ核酸、例えば、異種ポリヌクレオチド配列(例えば、目的の導入遺伝子のコード配列)で置き換えることにより、AAVなどのウイルスの野生型ゲノムから誘導することができる。典型的には、AAVベクターの場合、野生型AAVゲノムの一方または両方の逆方向末端反復(ITR)配列は、AAVベクター内に保持されるが、保持されたITRの間の野生型ウイルスゲノムの他の部分は、異種ポリヌクレオチド配列などの非ネイティブ配列と置き換えられる。本明細書で開示されるベクターゲノムは、AAVゲノム由来の骨格エレメントと、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントのコード配列と、コード配列に作動可能に連結されている好適なプロモーターとを包含し得る。一部の例では、本明細書で開示されるベクターゲノムは、コードされたタンパク質の発現および/または分泌を調節する調節配列をさらに含み得る。例としては、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル部位、内部リボソーム侵入部位(IRES)、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)をコードする配列、マイクロRNA-標的部位、またはこれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
一部の例では、本明細書に記載されるベクターゲノムは、一本鎖状であり得る。他の例では、本明細書に開示されるベクターゲノムは、二本鎖状であり得る。例えば、本明細書に記載されるベクターゲノムは、その中に二本鎖部分を含むことができる自己相補的AAVベクターゲノムであり得る。
(1)AAV-骨格エレメント
一部の実施形態では、本明細書で開示されるベクターゲノムは、1つまたは複数のAAV-ゲノム由来の骨格エレメントを有することができ、このエレメントは、AAVベクターの生物活性に必要な最小限のAAVゲノムエレメントを指す。例えば、AAV-ゲノム由来の骨格エレメントは、ベクターをAAVウイルス粒子に組み立てるためのパッケージング部位と、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントの1つまたは複数と、ベクターの複製に必要なおよび/またはその中に含まれている導入遺伝子コード配列の宿主細胞における発現に必要なエレメントとを含み得る。
一部の例では、本明細書で開示されるベクターゲノム骨格は、少なくとも1つの逆方向末端反復(ITR)配列を含み得る。一部の例では、本明細書におけるベクターゲノム骨格は、2つのITR配列を含み得る。一部の例では、1つのITR配列は、導入遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列の5’であり得る。一部の例では、1つのITR配列は、導入遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列の3’であり得る。一部の例では、本明細書における導入遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列は、両側にITR配列が隣接していることもある。したがって、一部の実施形態では、ベクターゲノムは、第1のITRと第2のITRの間に位置する導入遺伝子を含む。
一部の実施形態では、本明細書におけるベクターゲノムは、少なくとも1つの明確に異なるAAV血清型に由来する配列または構成要素を含み得る。一部の例では、本明細書で開示されるAAVベクターゲノム骨格は、1つの明確に異なるAAV血清型からのITR配列を少なくとも含み得る。一部の例では、本明細書で開示されるAAVベクターゲノム骨格は、1つの明確に異なるヒトAAV血清型からのITR配列を少なくとも含み得る。そのようなヒトAAVは、任意の公知の血清型に、例えば、血清型1~11のいずれか1つに、由来し得る。一部の例では、本明細書で使用されるAAV血清型は、中枢神経系(CNS)、心臓組織、骨格筋、および/または肝臓組織に対する親和性を有する。一部の例では、本明細書で開示されるAAVベクターゲノム骨格は、血清型AAV9のITR配列を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクターは、シュードタイプ化AAVベクターであり得る(すなわち、少なくとも2つの明確に異なるAAV血清型に由来する配列または構成要素を含む)。一部の実施形態では、本明細書におけるシュードタイプ化AAVベクターは、1つのAAV血清型に由来するAAVゲノム骨格と、明確に異なるAAV血清型に少なくとも一部は由来するカプシドタンパク質とを含み得る。一部の例では、本明細書におけるシュードタイプ化AAVベクターは、AAV2ベクターゲノム骨格と、心臓組織に対して親和性を有するAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV8、またはAAV9)に由来するカプシドタンパク質とを有し得る。
ウイルスベクター媒介遺伝子導入の成功を分析するためには、ベクターの分布とベクター媒介遺伝子発現の有効性の両方をモニターすることができることが重要であり得る。これは、レポーター遺伝子をベクターゲノム骨格にサブクローニングすることにより達成することができる。一部の例では、本明細書で開示されるAAVベクターゲノム骨格は、レポーター遺伝子を含有し得る。いくつかのレポーター遺伝子は、このために一般に使用されており、様々な色の蛍光タンパク質(緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)を含む)、E.coli β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、および様々な形態のルシフェラーゼ(Luc)を含むが、これらに限定されない。一部の例では、本明細書で開示されるAAVベクター骨格は、GFPを含有し得る。
本明細書で開示されるベクター構築物は、公知の技法を使用して調製することができる。(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel., F. et al., eds, Wiley and Sons, New York 1995を参照されたい)。組換えゲノムがAAV粒子のパッケージング能力を超えないように、断片長を選ぶことができる。必要に応じて、「スタッファー」DNA配列を構築物に付加させて、比較のための標準的なAAVゲノムサイズを維持することができる。そのような断片は、そのような非ウイルス源、例えば、lacZ、または当業者に公知であり、利用可能である他の遺伝子、に由来し得る。
(2)自己相補的AAVウイルスベクター
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、自己相補的AAV(scAAV)ベクターであり得る。自己相補的AAV(scAAV)ベクターは、相補配列を含有し、これらの相補配列は、感染細胞への侵入時に自発的にアニールする(折り重なって二本鎖ゲノムを形成する)ことができ、したがって、細胞のDNA複製機構を使用して一本鎖DNAベクターを変換する必要をなくすことができる。自己相補ゲノムを有する本明細書におけるAAVは、その部分相補配列(例えば、導入遺伝子コード配列の相補コードおよび非コード鎖)によって二本鎖DNA分子を迅速に形成することができる。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるscAAVウイルスベクターは、鎖内塩基対を形成することができる、第1の異種ポリヌクレオチド配列および第2の異種ポリヌクレオチド配列を含み得る。一部の例では、第1の異種ポリヌクレオチド配列と第2の異種ポリヌクレオチド配列は、鎖内塩基対合を助長する配列により、例えば、ヘアピンDNA構造を形成するように、連結されている。一部の例では、細胞に侵入するとscAAVベクターの二量体構造は、2つの末端分解部位(trs)の一方の変異または欠失により安定化され得る。trsは、各ITR内に含有されるRep結合部位であるので、そのようなtrsの変異または欠失は、単量体を形成するようなAAV Repタンパク質によるscAAVベクターの二量体構造の切断を防止することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるscAAVウイルスベクターは、短縮型5’逆方向末端反復(ITR)、短縮型3’ITR、または両方を含み得る。一部の例では、本明細書で開示されるscAAVベクターは、D領域またはその一部分(例えば、その中の末端分解配列)が欠失され得る短縮型3’ITRを含み得る。そのような短縮型3’ITRは、上述の第1の異種ポリヌクレオチド配列と第2の異種ポリヌクレオチド配列の間に位置し得る。
(3)プロモーター
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、発現に必要なさらなるエレメント、例えば、導入遺伝子コード配列の発現を制御する少なくとも1つの好適なプロモーターを含む。そのようなプロモーターは、感染組織におけるタンパク質の効率的かつ好適な産生を可能にするために、普遍的、組織特異的、強い、弱い、調節されている、キメラなどであり得る。プロモーターは、コードされたタンパク質と同種であっても、異種であってもよく、細胞、ウイルス、真菌、植物または合成プロモーターを含む。本明細書における使用に最も好ましいプロモーターは、ヒト細胞において機能性であり得る。普遍的プロモーターの非限定的な例としては、ウイルスプロモーター、特に、CMVプロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーターなど、および細胞プロモーター、例えば、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーターが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書におけるウイルスプロモーターは、CMVプロモーター、SV40プロモーター、またはこれらの任意の組合せであり得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、発現に必要なさらなるエレメント、例えば、適切な細胞の感染後の導入遺伝子コード配列の発現を制御する少なくとも1つの好適なプロモーターを含み得る。本明細書における使用に好適なプロモーターは、AAVプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはニワトリベータアクチン/サイトメガロウイルスハイブリッドプロモーター(CAG)に加えて、内皮細胞特異的プロモーター、例えば、VE-カドヘリンプロモーター、ならびにステロイドプロモーターおよびメタロチオネインプロモーターを含む。一部の実施形態では、本明細書で開示されるベクターにおいて使用されるプロモーターは、CAGプロモーターであり得る。
一部の実施形態では、本発明による導入遺伝子コード配列は、発現されることになる導入遺伝子コード配列に機能的に連結されている組織特異的プロモーターを含む。したがって、組織(例えば、脳、心臓、筋肉、肝臓)に対する本開示によるベクターの特異性をさらに増加させることができる。一部の例では、本明細書で開示されるベクターは、特異的組織における活性が、特異的組織でない組織におけるよりも少なくとも約2倍、5倍、10倍、20倍、50倍または100倍高い、組織特異的プロモーターを有し得る。一部の例では、本明細書における組織特異的プロモーターは、ヒト組織特異的プロモーターである。一部の例では、発現カセットは、発現されることになる外来性タンパク質の発現レベルを上昇させるためのエンハンサーエレメントも含み得る。さらに、発現カセットは、ポリアデニル化配列、例えば、SV40ポリアデニル化配列、またはウシ成長ホルモンのポリアデニル化配列をさらに含み得る。
(4)遺伝子発現のための他の調節エレメント
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、プラスミドベクターがトランスフェクトされた細胞または本発明により産生されたウイルスに感染した細胞においてその転写、翻訳および/または発現を可能にするように導入遺伝子コード配列に作動可能に連結されている、1つまたは複数の従来の制御エレメントを含み得る。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結されている」配列は、導入遺伝子コード配列と連続している発現制御配列、および導入遺伝子コード配列を制御するためにトランスでまたは少し離れて作用する発現制御配列の両方を含み得る。発現制御配列は、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えば、スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(例えば、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を向上させる配列;ならびに所望される場合、コードされた産物の分泌を増進する配列を、さらに含み得る。ネイティブ、構成的、誘導性および/または組織特異的であるプロモーターを含む、多数の発現制御配列が、当技術分野において公知であり、本明細書で利用され得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターは、ベクターの親和性を変更するために、非ウイルス由来のまたは構造的に改変されたタンパク質またはペプチドを含む、改変カプシドを含み得る。例えば、カプシドは、特定の受容体のリガンド、または特定のリガンドの受容体を、前記受容体またはリガンドをそれぞれ発現する細胞型にベクターを標的化するために含み得る。
(C)AAVウイルス粒子の血清型
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターを、様々な血清型のAAVから調製または誘導することができる。用語「血清型」は、他のAAV血清型とは血清学的に明確に異なるカプシドを有するAAVについての明確な差異である。血清学的な明確な差異は、他のAAVと比較したときのそのAAVに対する抗体間の交差反応性の欠如に基づいて決定される。交差反応性は、当技術分野において公知の方法を使用して測定することができる。例えば、本明細書における交差反応性を、中和抗体アッセイを使用して測定することができる。このアッセイのために、アデノ随伴ウイルスを使用して、ウサギまたは他の好適な動物モデルにおいて、特定のAAVに対するポリクローナル血清が生成される。このアッセイでは、次いで、特定のAAVに対して生成された血清が、同じ(同種)AAVまたは異種AAVのいずれかを中和するその能力に関して試験される。50%中和を達成する希釈度が中和抗体力価とみなされる。2つのAAVについて、異種の力価を同種の力価で割った商が相反的に16未満である場合、それら2つのベクターは、同じ血清型とみなされる。逆に言えば、異種の力価の同種の力価に対する比が相反的に16またはそれより大きい場合、2つのAAVは、明確に異なる血清型とみなされる。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクターは、AAVの少なくとも2つの血清型が混合されるか、またはキメラ(例えば、シュードタイプ化)AAVウイルスを産生するために他のタイプのウイルスと混合されたものであり得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクターは、ヒト血清型AAVベクターであり得る。そのようなヒトAAVは、任意の公知の血清型に、例えば、血清型1~11のいずれか1つに、由来し得る。
(D)AAV粒子を作製する方法
一部の実施形態では、本明細書に記載されるAAVベクターゲノムをウイルス粒子にパッケージングすることができ、これらのウイルス粒子を使用して、標的細胞における導入遺伝子コード配列の発現のためにゲノムを送達することができる。一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクターゲノムを、一過性トランスフェクション、産生細胞系の使用、Ad-AAVハイブリッドへのウイルスの特色の統合、ヘルペスウイルス系の使用、またはバキュロウイルスを使用する昆虫細胞における産生により、粒子にパッケージングすることができる。
本明細書における使用のためのパッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子の産生に必要な構成要素の全てを安定的に発現する細胞系を作出するステップを含み得る。例えば、AAV repおよびcap遺伝子を欠いているrAAVゲノムを含むプラスミド(または複数のプラスミド)、rAAVゲノムとは別のAAV repおよびcap遺伝子、ならびに選択可能なマーカー、例えばネオマイシン耐性遺伝子を、細胞のゲノムに組み込む。AAVゲノムは、GCテーリング、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する合成リンカーの付加などの手順により、または直接、平滑末端ライゲーションにより、細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞系をアデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点は、細胞が、選択可能であり、rAAVの大量生産に好適であることである。本明細書における好適な方法の例は、プラスミドではなくアデノウイルスまたはバキュロウイルスを用いて、rAAVゲノムならびに/またはrepおよびcap遺伝子をパッケージング細胞に導入する。
(E)AAVベクターおよびAAV粒子の特徴
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して1つまたは複数の改善を有し得る。本明細書で使用される場合、「天然単離AAVベクター」は、本明細書で開示されるカプシドタンパク質バリアントの1つまたは複数を含まないベクターを指す。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して細胞における遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して細胞における遺伝子導入効率の少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)の増加を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、1つまたは複数の哺乳動物種の細胞および/または組織において遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)、およびこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数の細胞および/または組織において遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、哺乳動物の脊髄(例えば、グリア細胞、ニューロン、内皮細胞)、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、肝臓組織、およびこれらの任意の組合せの細胞および/または組織において遺伝子導入効率の増加を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較してより高いベクター力価を有し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)高いベクター力価を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して、抗体媒介中和を受けにくい可能性がある。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して、抗体媒介中和を約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)受けにくい可能性がある。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、天然単離AAVベクターと比較して、対象への投与後少なくとも約1時間~約24時間(例えば、約1、2、4、8、12、16、20、24時間)、抗体媒介中和を受けにくい可能性がある。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、本明細書における対象への少なくとも1回の投与後に、天然単離AAVベクターと比較してより低いレベルの抗AAV抗体を生じさせ得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、本明細書における対象への少なくとも1回の投与後に、天然単離AAVベクターと比較して約2分の1~約50分の1(例えば、約2分の1、4分の1、6分の1、8分の1、10分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1)の抗AAV抗体を生じさせ得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子を含む遺伝子治療剤を、本明細書における対象に、抗体媒介中和を受けやすくなることなく、約2回~約10回(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10)、投与することができる。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、1種より多くの哺乳動物の任意の細胞または組織型に発現し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、または非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、ゴリラ)を含む1種より多くの哺乳動物の任意の細胞または組織型に発現し得る。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)および/またはAAV粒子は、ヒト、マウス、イヌおよび非ヒト霊長類の任意の細胞または組織型に発現し得る。
III.医薬組成物
一部の実施形態では、本明細書で開示されるAAVベクター(例えば、ccAAV)、ウイルスカプシド、および/またはAAVウイルス粒子のいずれかを製剤化して、医薬組成物を形成することができる。一部の例では、本明細書における医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含み得る。本方法で使用されることになる医薬組成物のいずれかは、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤を凍結乾燥製剤または水溶液の形態で含み得る。
医薬組成物中の担体は、それが組成物の活性成分と相溶性であり、好ましくは、活性成分を安定化することができ、処置されることになる対象に対して有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。例えば、「薬学的に許容される」は、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されたときに生理学的に許容され、不都合な反応を概して生じさせないようなものを含む組成物の分子実体および他の成分を指し得る。一部の例では、本明細書で開示される医薬組成物において使用される「薬学的に許容される」担体は、哺乳動物における、とりわけ、ヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の監督機関により認可された、または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に列挙されているものであり得る。
緩衝剤を含む、薬学的に許容される担体は、当技術分野において周知であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存薬;低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;アミノ酸;疎水性ポリマー;単糖類;二糖類;ならびに他の炭水化物;金属錯体;ならびに/または非イオン性界面活性剤を含み得る。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hooverを参照されたい。
一部の実施形態では、医薬組成物または製剤は、非経口投与、例えば、静脈内、脳室内注射、大槽内注射、実質内注射、またはこれらの組合せのためのものである。そのような薬学的に許容される担体は、滅菌液、例えば、水および油であり得、この油には、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油などが含まれる。食塩溶液、ならびにデキストロース、ポリエチレングリコール(PEG)およびグリセロール水溶液も、液体担体として、特に注射用溶液に、用いることができる。本明細書で開示される医薬組成物は、追加の成分、例えば、保存薬、緩衝剤、等張剤、抗酸化剤および安定剤、非イオン性湿潤または清澄剤、粘度上昇剤などをさらに含み得る。本明細書に記載される医薬組成物を、単回単位投薬量でまたは複数剤形で包装することができる。
非経口投与に好適な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を所期のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性滅菌懸濁液を含む。水溶液は、好適に(好ましくは、3~9のpHに)緩衝され得る。滅菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技法によって容易に果たされる。
in vivo投与に使用される医薬組成物は、無菌であるべきである。これは、例えば滅菌濾過膜による濾過によって、容易に果たされる。滅菌注射用溶液は、一般に、必要量の活性物質(例えば、AAVベクター(例えばccAAV)、ウイルスカプシド、および/またはAAVウイルス粒子)を、上に列挙されている様々な他の成分を必要に応じて有する適切な溶媒に添合し、続いて濾過滅菌することにより、調製される。一般に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙されたものからの他の必要成分とを含有する滅菌ビヒクルに滅菌活性成分を添合することにより、調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、任意の追加の所望成分を加えた活性成分の粉末を、事前に滅菌濾過されたその溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥技法である。
本明細書で開示される医薬組成物は、希釈剤およびアジュバントなどの、他の成分も含み得る。許容される担体、希釈剤およびアジュバントは、レシピエントに対して非毒性であり、好ましくは、用いられる投薬量および濃度で不活性であり、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、もしくは他の有機酸;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸;低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシン;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)、プルロニック(登録商標)もしくはポリエチレングリコールを含む。
IV.使用方法
本明細書に記載される組成物(例えば、AAVベクター(例えば、ccAAV)、ウイルスカプシド、および/またはAAVウイルス粒子)のいずれかを、疾患または状態を緩和および/または処置するために使用することができる。したがって、一部の態様では、本開示は、本明細書で開示される組成物により、処置を必要とする対象における、1つもしくは複数の症状を緩和するためのおよび/または疾患もしくは状態を処置するための方法、ならびにそのような組成物を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本明細書における方法の対象は、ヒト対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、以前に野生型AAVまたは組換え(rAAV)ベクターに曝露されたことがない対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、以前にrAAVベクターを投与されたことがない対象であり得る。一部の実施形態では、対象は、以前にrAAVベクター、例えば、本明細書に記載されるrAAVベクターを投与されたことがある対象である。AAVもしくはrAAVに曝露されたことがあるまたはそれを投与されたことがある対象は、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、ウイルスDNAのPCR検出により、またはカプシドもしくは導入遺伝子のどちらかであるAAVもしくはrAAVに対する抗体力価を測定することにより、同定することができる。一部の実施形態では、対象は、酵素補充療法(例えば、酵素タンパク質の投与による)を投与されたことがない対象であり得る。酵素補充療法を投与されたことがある対象は、当技術分野において公知の方法を使用して、例えば、酵素に対する抗体力価を測定することにより、同定することができる。しかし、一部の実施形態では、対象は、以前に酵素補充療法で処置されたことがある。一部の実施形態では、対象は、中和抗体(NAb)を取り除くための1つまたは複数の手法(例えば、プラスマフェレーシス、免疫抑制、酵素分解)を受けたことがある対象である。一部の実施形態では、本明細書における使用方法の好適な対象は、本明細書に記載される組成物(例えば、AAVベクター(例えば、ccAAV)、ウイルスカプシド、および/またはAAVウイルス粒子)のいずれかの投与の前に中和抗体(NAb)を取り除く必要がない場合がある。
一部の実施形態では、対象は、遺伝子治療剤で処置され得る疾患を有するか、または有する疑いがある。本明細書で開示される方法を使用して処置され得る説明に役立つ疾患または状態としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されない:嚢胞性線維症(嚢胞性線維症性膜貫通調節タンパク質)および他の肺疾患、血友病A(第VIII因子)、血友病B(第IX因子)、サラセミア(β-グロビン)、貧血(エリスロポエチン)および他の血液障害、アルツハイマー病(GDF;ネプリライシン)、多発性硬化症(β-インターフェロン)、パーキンソン病(グリア細胞系由来神経栄養因子[GDNF])、ハンチントン病(反復配列を除去するためのRNAi)、筋萎縮性側索硬化症、てんかん(ガラニン、神経栄養因子)、および他の神経障害、がん(エンドスタチン、アンギオスタチン、TRAIL、FAS-リガンド;インターフェロンを含む、サイトカイン;VEGFもしくは多剤耐性遺伝子産物、mir-26aに対する[例えば、肝細胞癌のための]RNAiを含む、RNAi)、糖尿病(インスリン)、デュシェンヌ型を含む筋ジストロフィー(ジストロフィン、ミニジストロフィン、インスリン様増殖因子I、サルコグリカン[例えば、a、β、γ]、ミオスタチンに対するRNAi、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、抗炎症性ポリペプチド、例えば、IカッパB優性変異体、サルコスパン、ユートロフィン、ミニユートロフィン、エクソンスキッピングを誘導するためのジストロフィン遺伝子におけるスプライス部位に対するアンチセンスまたはRNAi(例えば、WO/2003/095647を参照されたい)、エクソンスキッピングを誘導するためのU7 snRNAに対するアンチセンス(例えば、WO/2006/021724を参照されたい)、およびミオスタチンまたはミオスタチンプロペプチドに対する抗体または抗体断片)およびベーカー、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、ハーラー病(a-L-イズロニダーゼ)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(アデノシンデアミナーゼ)、糖原病(例えば、ファブリー病[a-ガラクトシダーゼ]およびポンペ病[リソソーム酸性a-グルコシダーゼ])および他の代謝障害、先天性肺気腫(アルアンチトリプシン)、レッシュ・ナイハン症候群(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)、ニーマン・ピック病(スフィンゴミエリナーゼ)、テイ・サックス病(リソソームヘキソサミニダーゼA)、メープルシロップ尿症(分岐鎖ケト酸脱水素酵素)、網膜変性疾患(ならびに眼および網膜の他の疾患;例えば、黄斑変性のためのPDGF、および/または例えばI型糖尿病の際の、網膜障害を処置/予防するためのバソヒビンもしくは他のVEGF阻害剤もしくは他の血管新生阻害剤)、脳などの固形臓器の疾患(パーキンソン病[GDNF]、星状細胞種[エンドスタチン、アンギオスタチン、および/またはVEGFに対するRNAi]、膠芽細胞腫[エンドスタチン、アンギオスタチン、および/またはVEGFに対するRNAi]を含む)、肝臓、腎臓、心臓(うっ血性心不全または末梢動脈疾患(PAD)を含む)(例えば、プロテインホスファターゼ阻害剤I(I-l)およびその断片(例えば、IIC)、serca2a、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、Barkct、P2-アドレナリン受容体、p2-アドレナリン受容体キナーゼ(BARK)、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3キナーゼ)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、Gタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンを生じさせる分子、例えば、短縮型の構成的に活性なbARKct;カルサルシン(calsarcin)、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバン阻害分子またはドミナントネガティブ分子、例えば、ホスホランバンS16Eなどを送達することによる)、関節炎(インスリン様増殖因子)、関節障害(インスリン様増殖因子1および/または2)、内膜過形成(例えば、内皮型NO合成酵素、誘導型NO合成酵素を送達することによる)、移植心の生存率を向上させる(スーパーオキシドジスムターゼ)、AIDS(可溶性CD4)、筋消耗(インスリン様増殖因子I)、腎臓欠損症(エリスロポエチン)、貧血(エリスロポエチン)、関節炎(抗炎症因子、例えば、IRAPおよびTNFa可溶性受容体)、肝炎(a-インターフェロン)、LDL受容体欠損症(LDL受容体)、高アンモニア血症(オルニチントランスカルバミラーゼ)、クラッベ病(ガラクトセレブロシダーゼ)、バッテン病;SCA1、SCA2およびSCA3を含む脊髄性大脳性運動失調症;フェニルケトン尿症(フェニルアラニンヒドロキシラーゼ)、自己免疫疾患など。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるAAVベクター、組成物および方法を使用して、腎臓疾患もしくは腎臓障害、例えば、アルポート症候群、良性家族性血尿、多発性嚢胞腎(例えば、1型もしくは2型)、フォンヒッペル(VonLippel)・リンドウ病、腎性尿崩症(diabetes insipidius)、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症、腎結石症(nephrolithiasais)、低リン血症性くる病、ファブリー病、ネフロン癆(nephronophytis)、またはステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を処置することができる。
本明細書で開示される方法を行うために、組成物(例えば、AAVベクター(例えば、ccAAV)、ウイルスカプシド、および/またはAAVウイルス粒子)またはそのような組成物を含む医薬組成物の有効量を、処置を必要とする対象に、好適な経路(例えば、筋肉内、静脈内、脳室内注射、大槽内注射、硝子体内、網膜下、結膜下、球後、前房内、上脈絡膜、冠動脈内注射、動脈内注射、および/または実質内注射)によって、本明細書で開示されるような好適な量で投与することができる。
ある特定の実施形態では、本開示は、1つまたは複数のAAVベクター(例えば、ccAAV)を細胞に導入する方法であって、細胞を本明細書で開示される組成物と接触させるステップを含む方法も提供する。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書における1つまたは複数のAAVベクター(例えば、ccAAV)を細胞に送達するステップであって、細胞または層をウイルスベクターと接触させることを含み、ウイルスベクターが、本明細書で開示されるAAVカプシドタンパク質バリアントを含む、ステップを含み得る。この方法の一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、1つまたは複数の異種分子を細胞に送達することができる。これらの実施形態に従って、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、1つまたは複数の治療用異種分子を細胞に送達することができる。一部の例では、本明細書における方法を使用して細胞に送達される1つまたは複数の治療用異種分子は、治療用タンパク質、治療用DNA、および/または治療用RNAであり得る。一部の実施形態では、治療用タンパク質は、モノクローナル抗体または融合タンパク質であり得る。一部の実施形態では、治療用DNAおよび/またはRNAは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、mRNA、DNAオリゴヌクレオチドなどであり得る。
ある特定の実施形態では、本開示は、AAVベクター(例えば、ccAAV)をCNS組織、心臓組織、腎臓組織、肝臓組織、骨格筋組織、またはこれらの任意の組合せに導入する方法であって、細胞を本明細書で開示されるウイルスベクターおよび/または組成物と接触させるステップを含む方法も提供する。一部の実施形態では、CNS組織、心臓組織、腎臓組織、肝臓組織、骨格筋組織またはこれらの任意の組合せへの親和性が増強された本明細書で開示される1つまたは複数のAAVカプシドタンパク質バリアントを有するAAV粒子を投与することにより、本明細書におけるAAVベクターを特定の組織に送達することができる。
一部の実施形態では、本明細書における1つまたは複数の核酸分子を有する少なくとも1つのAAVベクター(例えば、ccAAV)、ウイスルカプシドおよび/またはAAVウイルス粒子を組織に投与する方法は、ベースラインと比較して少なくとも1つのタンパク質および/または遺伝子の発現を実質的にモジュレートする。本明細書で使用される場合、「ベースライン」は、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)が投与される前の少なくとも1つの導入遺伝子(および導入遺伝子のコード産物)の発現を指す。本明細書で使用される場合、「発現を実質的にモジュレートする」は、ベースラインと比較して発現の少なくとも1倍の変化(例えば、発現増加、発現減少)を指す。一部の実施形態では、本明細書で開示される1つまたは複数のAAVカプシドタンパク質バリアントを有する少なくとも1つのAAV粒子またはAAVベクター(例えば、ccAAV)を組織に投与する方法は、少なくとも1つのタンパク質および/または遺伝子の発現をベースラインと比較して少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)モジュレートする。一部の実施形態では、本明細書で開示される1つまたは複数のAAVカプシドタンパク質バリアントを有する少なくとも1つのAAV粒子またはAAVベクターを組織に投与する方法は、少なくとも1つのAAV粒子またはAAVベクター(例えば、ccAAV)が、CNS組織、腎臓組織、心臓組織、肝臓組織、骨格筋組織、またはこれらの任意の組合せに送達されるとき、少なくとも1つのタンパク質および/または遺伝子の発現をベースラインと比較して少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)モジュレートする。
本明細書で開示される方法のいずれかにおいて、本明細書に記載される組成物(例えば、AAVベクター、ウイルスカプシド、AAV粒子、AAVゲノム、ccAAV)の有効量を、疾患およびまたは状態に関連する1つまたは複数の症状を緩和するために、それを必要とする対象に与えることができる。「有効量」は、本明細書で使用される場合、疾患およびまたは状態を有する対象に対する治療効果を付与するのに十分である開示組成物の用量を指す。一部の実施形態では、有効量は、対象における疾患または状態の少なくとも1つの症状を低減させる量であり得る。
一部の実施形態では、本明細書で開示されとおりの少なくとも1つのAAVベクター(例えば、ccAAV)を投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して細胞における遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つのAAVベクターを投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して細胞における遺伝子導入効率の少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つのAAVベクターを投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して組織における遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つのAAVベクターを投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して組織における遺伝子導入効率の少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つのAAVベクターを投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して対象における遺伝子導入効率の増加を有し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示されるとおりの少なくとも1つのAAVベクターを投与する方法は、天然単離AAVベクターと比較して対象における遺伝子導入効率の少なくとも約2倍~約50倍(例えば、約2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍)の増加を有し得る。
一部の実施形態では、本明細書における方法は、少なくとも1つのAAVベクター(例えば、ccAAV)を対象に少なくとも1回投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、少なくとも1つのAAV粒子および/または少なくとも1つのAAVベクターを対象に1回より多く投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書における少なくとも1つのAAVベクターを、対象に、少なくとも1回~少なくとも10回の間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回)投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書における少なくとも1つのAAVベクターを、対象に、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書における少なくとも1つのAAVベクターを、対象に、1日1回、隔日、週1回、2週間に1回、3週間に1回、月1回、隔月、3カ月に1回、4カ月に1回、年1回、または年2回、投与することを含み得る。一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書における少なくとも1つのAAVベクターを、対象に、所望の応答が見られるまで必要に応じて何度も投与することを含み得る。一部の例では、所望の応答は、本明細書におけるAAVベクターの用量の投与後の対象における疾患および/または状態の少なくとも1つの症状についてのAAVベクターの投与前と比較しての減弱であり得る。疾患/状態、疾患/状態の重症度、対象の特徴(例えば、年齢、性別、体重)などに従って、投薬レジメンを最適化することができることは、当業者には理解されるであろう。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)をcre-リコンビナーゼの送達に使用することができる。一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)をcre-リコンビナーゼの送達に使用して、細胞、組織および/または対象における1つまたは複数の遺伝子の条件付き活性化、条件付き不活性化、活性化、不活性化、またはこれらの任意の組合せをもたらすことができる。これらの実施形態の一部に従って、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)は、1つまたは複数の特定の細胞および/または組織型にcre-リコンビナーゼを送達する。
一部の実施形態では、本明細書におけるAAVベクター(例えば、ccAAV)をCRISPR-Cas系の送達に使用することができる。「CRISPR/Cas9」系または「CRISPR/Cas9媒介遺伝子編集」は、ゲノム編集/操作用に改変されたII型CRISPR/Cas系を指す。この系は、典型的には、「ガイド」RNA(gRNA)および非特異的CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(Cas9)から構成される。「ガイドRNA(gRNA)」は、本明細書では「短鎖ガイドRNA(sgRNA)」または「一本鎖ガイドRNA(sgRNA)」と同義で使用される。sgRNAは、Cas9結合に必要な「足場」配列と、改変されることになるゲノム標的を定義するユーザー定義の約20ヌクレオチド「スペーサー」または「標的化」配列とで構成されている、短鎖合成RNAである。sgRNA中に存在する標的化配列を変えることにより、Cas9のゲノム標的を変えることができる。
一部の実施形態では、AAVベクターは、ベクターゲノムを含み、ベクターゲノムは、遺伝子編集分子をコードする。一部の実施形態では、遺伝子編集分子は、ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、Cas12aヌクレアーゼである。一部の実施形態では、遺伝子編集分子は、sgRNAである。
V.キット
本開示は、本明細書に記載の組成物(例えば、AAVベクター、AAV粒子、AAVゲノム、ウイルスカプシド、ccAAV)のいずれか1つの調製における使用のためのキット、および本明細書に記載の1つまたは複数の治療上の使用を有するキットも提供する。本明細書に記載の使用のためのキットは、医薬組成物に配合される、本明細書に記載の組成物(例えば、AAVベクター、AAV粒子、AAVゲノム、ウイルスカプシド、ccAAV)をさらに含む1つまたは複数の容器を含み得る。
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかにおける組成物(例えば、AAVベクター、AAV粒子、AAVゲノム、ウイルスカプシド、ccAAV)の使用説明書をさらに含み得る。含まれる説明書は、対象において所期の活性を実現するための対象への組成物またはそのような組成物を含む医薬組成物の投与についての記述を含み得る。キットは、対象が処置を必要としているかどうかを特定することに基づく処置に好適な対象を選択することについての記述をさらに含み得る。本明細書に記載の組成物の使用に関する説明書は、一般に、所期の処置のための投薬量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。
容器は、単位用量、大量包装(例えば、複数用量包装)、または部分単位用量であり得る。本開示のキットに供給される説明書は、典型的には、ラベルまたは添付文書に書かれた説明書である。ラベルまたは添付文書は、医薬組成物が対象における疾患もしくは障害を処置する、その発症を遅延する、および/またはそれを緩和するために使用されることを示す。
本明細書で提供されるキットは、好適な包装材の中に存在する。好適な包装材としては、バイアル、ビン、ジャー、可撓性包装材などが挙げられるが、それらに限定されない。吸入器、経鼻投与デバイスまたは注入デバイスなどの、特定のデバイスと組み合わせて使用するための、包装材も企図される。キットは、無菌取出口を有し得る(例えば、容器は、皮下注射針により穴を空けることが可能なストッパーを有する静脈内注射用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。容器も無菌取出口を有し得る。
キットは、必要に応じて、追加の構成要素、例えば、緩衝剤および解釈情報を提供し得る。通常、キットは、容器と、容器上にまたは容器に付随するラベルまたは添付文書とを含む。一部の実施形態では、本開示は、上記のキットの内容物を含む製造物品を提供する。
本開示を、その具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本開示の真の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な変更を加えることができ、同等のものを代用することができることを当業者は理解されたい。加えて、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、プロセスのステップ(単数または複数)を本開示の目的、趣旨および範囲に適応させるために、多くの改変を加えることができる。そのような改変形態は全て、本開示の範囲内であることが意図される。
(実施例1)
AAVカプシドの異種間進化
共進化AAVカプシドタンパク質バリアントを生成するための方法は、以下のとおりである。第1のステップは、低温電子顕微鏡法を使用するAAV9カプシド表面の立体構造3D抗原エピトープの同定を含んだ。次いで、表面ループ内の同定されたアミノ酸残基の飽和変異誘発によってAAV9ライブラリーを操作した。具体的には、可変領域IV(452-NGSGQNQ-458;配列番号38)内および可変領域VIII(586-SAQAQAQ-592;配列番号39)内のアミノ酸残基を、飽和変異誘発、および2つの異なるAAVライブラリー-可変領域IV(VR4)AAV親ライブラリーおよび可変領域VIII(VR8)親ライブラリー-の生成に選択した。抗原モチーフ内の選択された残基を、縮重プライマーを使用する変異誘発に供し、各コドンをヌクレオチドNNKにより置換し、遺伝子断片をギブソンアセンブリー(配列オーバーラップに基づく方法)により互いに結合させた。具体的には、AAV VR4(可変領域IV)およびVR8(可変領域VIII)ライブラリーを生成するための、21-mer(NNRNNRNNRNNRNNRNNRNNR;配列番号124)を含有するオリゴヌクレオチド、およびAAV9 Cap遺伝子に対する相同アームは、Integrated DNA Technologiesによって合成されたものであり、この場合、「N」は、任意のヌクレオチド(A、T、G、C)に対応し、「R」は、カプシドライブラリーにおける未成熟停止コドン生成を防止するためにGまたはCのどちらかに対応する。
変異抗原モチーフの縮重ライブラリーを含有する得られたカプシドコード遺伝子を野生型AAVゲノムにクローニングして元のCapコードDNA配列を置き換え、プラスミドライブラリーを得た。具体的には、プラスミドは、AAV2 ITRが隣接しているAAV2 RepおよびAAV9 Capをコードする遺伝子を含有し、AAV9 Cap中のアミノ酸を停止コドンに変異させて野生型AAV9プラスミドの夾雑を低減させた。
次いで、VR4およびVR8親プラスミドライブラリーをアデノウイルスヘルパープラスミドとともにHEK293産生細胞系にトランスフェクトして、AAV VR4カプシドおよびAAV VR8カプシド親ライブラリーを生成した。手短に言えば、HEK293細胞に、ポリエチレンイミンおよび当モル比のpTR-AAV9-ライブラリーとアデノウイルスヘルパープラスミドpXX680を、70~80%コンフルエンスでトランスフェクトした。HuH7(ヒト肝細胞癌)細胞を約75%コンフルエンスまで培養し、一晩、細胞あたり5,000ウイルスゲノムでAAV9ライブラリーに感染させた。翌日、培養培地を、0.5の感染多重度(MOI)でAd5を含有する培地と交換した。50%~75%細胞変性効果で、上清を収集し、55℃で30分間インキュベートしてAd5を不活性化した。培地中のデオキシリボヌクレアーゼI耐性ウイルスゲノムを定量化し、後続の感染ラウンドの接種材料として役立てた。
異種間in vivo AAVカプシドスクリーニング。中和抗体(NAb)を逃避すること、中枢神経系(CNS)を標的とすること、および/または天然に存在するAAV9よりも強力に作用することができる、新しいAAV9株を選択するために、上で説明したように調製したAAVライブラリーを、3つの異なる哺乳動物種における複数の感染ラウンドまたは「サイクル」に供した。第1のサイクルでは、上で説明したように調製したAAV VR4カプシド親ライブラリーまたはAAV VR8カプシド親ライブラリーを、4週齢の仔ブタに、約3×1013~5×1013vg/kg(ウイルスゲノム/キログラム)で静脈内(i.v.)注射した。注射の6日後にブタを屠殺し、様々な脳領域(小脳、前頭、側頭、頭頂、後頭皮質、海馬、視床、および中脳)から抽出したゲノムDNAからウイルスDNAを、DNA配列に隣接するVR4またはVR8を標的とするオリゴヌクレオチドを使用してPCRによって増幅し、それを使用してAAVライブラリー配列を増幅した。手短に言えば、この第1のサイクルからの進化AAVライブラリーを増幅するために、採取したブタ脳組織からデオキシリボヌクレアーゼI耐性ウイルスゲノムを単離し、プライマー5’-CCCTACACGACGCTCTTCCGATCTNNNNNGTACCTGTACTACTTGTCTCG-3’(配列番号42)および5’-GACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTNNNNNAGACCATACCGGGTAAG-3’(配列番号43)を使用してQ5ポリメラーゼにより可変領域IVおよびVIIIについて10~18サイクル増幅した。
第2のPCRラウンドで、プライマーとともにQ5ポリメラーゼを使用して、多重化用のIllumina MiSeqシークエンシングアダプターを付加させた。各PCRラウンド後に、PureLink PCR Microキット(Invitrogen)を使用して産物を精製した。Bioanalyzer(Agilent)を使用してアンプリコンの品質を検証し、Qubit分光計(Invitrogen)を使用して濃度を定量化した。次いで、サンガーシークエンシングにより決定したVR4またはVR8ライブラリーを含有するPCRアンプリコンを一緒にプールし、次のライブラリー調製物を生成するために使用した。
次いで、得られたアンプリコンをベクターにクローニングして戻して、ギブソンアセンブリーを使用する代わりに多重オーバーラップ伸長PCRを使用してアンプリコンを構築したことを除いて親プラスミドライブラリーを生成したのと同じ方法を使用して、進化プラスミドライブラリーを生成した。次いで、VR4およびVR8親プラスミドライブラリーをアデノウイルスヘルパープラスミドとともにHEK293産生細胞系にトランスフェクトして、上で説明したのと同じ方法を使用してAAV VR4カプシドおよびAAV VR8カプシド進化ライブラリーを生成した。培地中のデオキシリボヌクレアーゼI耐性ウイルスゲノムを定量化し、後続の感染ラウンドの接種材料として役立てた。
第2のサイクルでは、ブタでの進化後、上で説明したように調製したAAV VR4カプシド親ライブラリーまたはAAV VR8カプシド進化ライブラリーを、8週C57/B6マウスに、約3×1013~5×1013vg/kgで静脈内(i.v.)注射した。注射の6日後にマウスを屠殺し、様々な脳領域(小脳、前頭、側頭、頭頂、後頭皮質、海馬、視床、および中脳)から抽出したゲノムDNAからウイルスDNAを、DNA配列に隣接するVR4またはVR8を標的とするオリゴヌクレオチドを使用してPCRによって増幅し、それを使用して、上で説明したようにAAVライブラリー配列を増幅した。次いで、得られたアンプリコンをベクターにクローニングして戻して、上記の第1の進化プラスミドライブラリーを生成したのと同じ方法を使用して別の進化プラスミドライブラリーを生成した。今回は、培地中のウイルスゲノムを定量化し、第3のサイクルのための接種材料として役立てた。
ブタおよびマウスでの進化後、進化VR4およびVR8ライブラリーを、2歳の非ヒト霊長類(NHP)に、約1×1013~3×1013vg/kgで静脈内(i.v.)注射した。上で説明したようにNHPの様々な脳領域から抽出したゲノムDNAからウイルスDNAを増幅した。増幅されたウイルスDNAを、Illumina MiSeqプラットフォームを使用するハイスループットシークエンシングに供し、得られたデータを以下のように分析した。
逆多重化リードを、FastQC(v.0.11.5)を使用する品質管理チェックに供し、低品質のフラグの付いた配列を用いずに、その開示が、その全体が本明細書に組み込まれる、Tse et al., PNAS, 2017 Jun 13;114(24):E4812-E4821に記載されたものに類似した方法を使用するカスタムPerlスクリプトによって分析した。手短に言えば、生シークエンシングファイルを目的の変異誘発領域について探索し、この領域内の異なるヌクレオチド配列の頻度を計数し、ライブラリーごとにランク付けした。ヌクレオチド配列も翻訳し、これらのアミノ酸配列を同様に計数し、ランク付けした。次いで、ライブラリーにわたってのアミノ酸配列頻度をRグラフィックスパッケージv3.5.2でプロットした。第2のPerlスクリプトを使用して、ライブラリーにおける各変異体の寄与を考慮に入れて各ライブラリー内の各位置におけるアミノ酸提示を算出した。
これらのライブラリーを3種(ブタ、マウスおよびNHP(すなわち、サル))間での複数の進化ラウンドに付すことによって、いくつかのAAV9カプシドバリアントを得た。異種間in vivoスクリーニングから得られた、最高頻度を有するAAV9カプシドバリアントを、シークエンシングした。バブルプロットは、親ライブラリー(図1A)と3つの異なる種間の3サイクル後の進化ライブラリー(図1B)との間で、ライブラリー多様性、定向進化、ならびにVR8領域およびVR4領域における新規抗原フットプリントの富化を示した。これらのAAVの領域IV(452-NGSGQNQ-458;配列番号38)または領域VIII(586-SAQAQAQ-592;配列番号39)のどちらかに存在する置換を表5に示す。
Figure 2023524291000031
Figure 2023524291000032
(実施例2)
マウスにおける組換えAAVのin vivo特徴付け
3つの組換えカプシドタンパク質、AAV.cc47(配列番号8)、AAV.cc44(配列番号5)、AAV.cc81(配列番号11)、およびAAV.cc84(配列番号14)-本実施例では、まとめて「ccAAVベクター」と呼ぶ-を、マウスにおけるin vivo特徴付けに選択した。次に、これらのカプシドタンパク質を含む組換えAAVまたはネイティブAAV9、および蛍光導入遺伝子のパッケージングを生じさせた。手短に言えば、組換えカプシドタンパク質は、CBh-GFP(AAV.cc81およびAAV.cc84)またはCBh-mCherry(AAV.cc47およびAAV.cc44)のどちらかをパッケージングしているベクターとして産生した。手短に言えば、ポリエチレンイミンを、トリプルプラスミドトランスフェクションプロトコールを使用して、HEK293細胞に70~80%コンフルエンスでトランスフェクトすることにより、組換えAAVベクターを産生した。ハイブリッドニワトリβ-アクチンプロモーターにより駆動される緑色蛍光タンパク質(CBh-eGFP)、ハイブリッドニワトリβ-アクチンプロモーターにより駆動されるチェリー(赤色)蛍光タンパク質(CBh-mCherry)、またはCBh-eGFPもしくはCBh-mCherryのどちらかにより駆動される自己相補的AAV9、をコードする一本鎖ゲノムをパッケージングしている組換えベクターを、この方法を使用して生成した。一般に、図29A~29Bを参照されたい。組換えAAVベクターの回収および下流の精製を含む後続のステップを行った。手短に言えば、イオジキサノール勾配超遠心プロトコール、緩衝液交換、およびvivaspin2 100kDa分子量カットオフ(MWCO)遠心分離カラム(F-2731-100 Bioexpress)を使用する濃縮を使用して、ベクター精製を行った。AAV2逆方向末端反復領域(ITR)5’-AACATGCTACGCAGAGAGGGAGTGG-3’(配列番号44)および5’-CATGAGACAAGGAACCCCTAGTGATGGAG-3’(配列番号45)を増幅するプライマーを用いる定量的PCRにより、組換えAAVベクターの力価を決定した。
自己相補的AAV9、またはccAAVベクターのうちの1つの、いずれかを、マウスあたり5×1013vg/kgの用量で、C57/BL6マウスに静脈内注射した。注射の4週間後にマウスを屠殺し、複数の臓器を採取し、形質導入を固有蛍光または免疫組織化学検査(IHC)により評価した。図2A~2Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の心臓のビブラトーム切片におけるAAV9(図2A)およびAAV.cc47(図2B)のmCherry発現を示す代表画像を提供する。図2Cは、AAV.cc47に感染したマウスが、AVV9ベクターに感染したマウスと比較して心臓組織におけるmCherryのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図2Dは、マウスの心臓組織におけるAAV9およびAAV.cc47のベクターの生体内分布を提供する。図6A~6Cは、4%PFAでの固定後、24時間後の心臓のビブラトーム切片におけるAAV9(図6A)、AAV.cc81(図6B)、およびAAV.cc84(図6C)のGFP発現を示す代表画像を提供する。図6Dは、AAV.cc84に感染したマウスが、AAV.cc81またはAVV9ベクターに感染したマウスと比較して心臓組織におけるGFPのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図26Aは、4%PFAでの固定後、24時間後の心臓のビブラトーム切片におけるAAV9およびAAV.cc44のmCherry発現を示す代表画像を提供し、図26Bは、補正された全蛍光の定量分析を提供する。
図3A~3Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の骨格筋のビブラトーム切片におけるAAV9(図3A)およびAAV.cc47(図3B)のmCherry発現を示す代表画像を提供する。図3Cは、AAV.cc47に感染したマウスが、AVV9ベクターに感染したマウスと比較して骨格筋におけるmCherryのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図7A~7Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の骨格筋のビブラトーム切片におけるAAV9(図7A)およびAAV.cc81(図7B)のGFP発現を示す代表画像を提供する。図7Cは、AAV.cc81に感染したマウスが、AVV9ベクターに感染したマウスと比較して骨格筋におけるGFPのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図26Cは、4%PFAでの固定後、24時間後の骨格筋のビブラトーム切片におけるAAV9およびAAV.cc44のmCherry発現を示す代表画像を提供し、図26Dは、補正された全蛍光の定量分析を提供する。
図4A~4Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の肝臓のビブラトーム切片におけるAAV9(図4A)およびAAV.cc47(図4B)のmCherry発現を示す代表画像を提供する。図4Cは、AAV.cc47およびAVV9ベクターに感染したマウスの肝臓における補正された全蛍光の定量分析を提供する。図4Dは、マウスの肝臓組織におけるAAV9およびAAV.cc47のベクターの生体内分布を提供する。図8A~8Cは、4%PFAでの固定後、24時間後の肝臓のビブラトーム切片におけるAAV9(図8A)、AAV.cc81(図8B)、およびAAV.cc84(図8C)のGFP発現を示す代表画像を提供する。図8Dは、AAV.cc84、AAV.cc81またはAVV9ベクターのいずれかに感染したマウスが肝臓におけるGFPのロバストな発現を示さなかった、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図27Aは、4%PFAでの固定後、24時間後の肝臓のビブラトーム切片におけるAAV9およびAAV.cc44のmCherry発現を示す代表画像を提供し、図27Bは、補正された全蛍光の定量分析を提供する。
図5A~5Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の腎臓組織のビブラトーム切片におけるAAV9(図5A)およびAAV.cc47(図5B)のmCherry発現を示す代表画像を提供する。図5Cは、AAV.cc47に感染したマウスが、AVV9ベクターに感染したマウスと比較して腎臓におけるmCherryのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図9A~9Bは、4%PFAでの固定後、24時間後の骨格筋のビブラトーム切片におけるAAV9(図9A)およびAAV.cc81(図9B)のGFP発現を示す代表画像を提供する。図9Cは、AAV.cc81に感染したマウスが、AVV9ベクターに感染したマウスと比較して骨格筋におけるGFPのよりロバストな発現を有した、補正された全蛍光の定量分析を提供する。図27Cは、4%PFAでの固定後、24時間後の腎臓組織のビブラトーム切片におけるAAV9およびAAV.cc47のmCherry発現を示す代表画像を提供し、図27Dは、補正された全蛍光の定量分析を提供する。
マウスから、自己相補的AAV9、またはccAAVベクターのうちの1つの、いずれかを、マウスあたり5×1013vg/kgの用量で静脈内注射した4週間後に脳スライスを採取し、免疫組織化学検査を使用して脳の特定の切片におけるAAVベクター発現を調査してmCherryまたはGFPのいずれかを検出した。図10A~10E、および図28A~28Cに示されているように、全てのベクターは、脳組織における局在化を示したが、ccAAVベクター発現のロバスト性は、バリアント型に依存して脳領域によって異なった。
まとめると、本明細書における本実施例におけるデータは、CNS組織に富化された進化カプシドバリアントタンパク質が、マウスへの全身注射後であっても、脳への改善された親和性を有することを示した。加えて、進化ccAAVベクターは、心臓、骨格筋、およびある程度、肝臓を含む、他の非CNS組織において強い発現を示した。驚くべき発見は、VR4のみにアミノ酸置換を有する進化AVV.cc47ベクターが、腎臓において高いレベルのmCherryの形質導入発現を示したことであった。これまでのところ、腎臓において高い形質導入効率を有することができるAAVベクターは知られておらず、試験したccAAVベクターのうち、AAV.cc47のみがこの表現型を示した(AAV.cc81およびAAVcc.84-両方ともVR8内にアミノ酸置換を有する-は、腎臓における発現を形質導入することができなかった)。
(実施例3)
ブタにおける組換えAAVのin vivo特徴付け
本明細書における実施例2で使用した蛍光レポーター遺伝子をパッケージングしているccAAVベクターを、実施例3でも使用した。ここでは、3週齢で、体重おおよそ7kgの、乳離れしたばかりの仔ブタに、自己相補的AAV9またはccAAVベクターを、約7kgのブタあたり3×1013vgの用量で(2mlで)髄腔内注入により注射した。仔ブタを注射の4週間後に屠殺し、脳、脊髄、心臓および肝臓を採取した。固有蛍光により、または本明細書で説明するように行ったIHCにより、形質導入を評価した。
ブタの脳切片を切除し、4%PFA中で保管した後、組織をIHCに供して、前頭皮質、頭頂皮質、視床、後頭皮質、脳幹、小脳および中脳におけるAVV.cc47(図11A~11G)およびAVV.cc84(図12A~12G)の形質導入効率を評定した。ブタの脊髄の切片も採取し、IHCに供して、組織におけるAVV.cc47(図13A)およびAVV.cc84(図13B)の形質導入効率を評定した。精密検査のために、ブタの脊髄の白質および灰白質も、AVV.cc47(図13Cおよび13E)およびAVV.cc84(図13Dおよび13F)形質導入効率について、今回はmCherryまたはGFP蛍光のどちらかをそれぞれ拡大して観察することにより、調査した。
ブタの心臓および肝臓組織も屠殺時に採取し、IHCに供してAVV.cc47(図14A~14C)およびAVV.cc84(図14D~14F)の形質導入効率を評定した。
(実施例4)
非ヒト霊長類(NHP)における組換えAAVのin vivo特徴付け
本明細書における実施例2および3で使用した蛍光レポーター遺伝子をパッケージングしているccAAVベクターを、実施例4でも使用した。本明細書では、体重おおよそ3kgの2歳のアカゲザル(NHP)の大槽内に自己相補的AAV9、AAV.cc47、またはAAV.cc84ベクターを3.5×1012vg/kgの用量で注射した。NHPを注射の2週間後にサックし、脳、肝臓、心臓および脊髄を採取した。肝臓(図15A)および心臓(図15C)におけるAAV9について、ならびに肝臓(図15B)および心臓(図15D)におけるAAV.cc47について、mCherryのIHC分析を行った。図15Eは、AAV9およびAAV.cc47ベクターについての、肝臓および心臓におけるベクターの生体内分布を示す。
次に、NHPの脳におけるAAV9およびAAV.cc47についてのmCherryならびにAAV.cc84についてのGFPのIHC分析を評定した。偽処置された脳スライス(図16A)と比較して、AAV9、AAV.cc47およびAAV.cc84は全て、脳組織における形質導入をある程度示した(図16B~16D)。データは、(1)異種間カプシドが、特有の生体内分布プロファイルを有し、AAV9とは異なること;(2)AAV.cc47が、脳組織のより深部に拡散し、より多くの細胞に形質導入するように見えること;および(3)AAV.cc84も組織に十分に拡散するが、より少ない(より特異的な)細胞に形質導入することを示唆した。
(実施例5)
AAVcc47心臓形質導入
AAVcc47心臓形質導入を検証するために、ヒトiPSC心筋細胞に、Cbhプロモーターにより駆動されるGFPをパッケージングしているAAV9またはAAV.cc47を形質導入した(図17A)。次に、複数の画像内の面積におけるGFP細胞のパーセントを定量化した(図17B)。CBh:GFPをパッケージングしているAAV9またはAAVcc47をヒト心臓パッチマウスモデルにi.v.注射し(図17C)、心臓パッチの蛍光イメージングを行った(図17D)。AAV9およびAAV.cc47をヒト心臓パッチマウスモデルに再度i.v.により投与し、今回は、心筋梗塞後に傷害誘導性プロモーターの制御下でGFPを送達した。トロポニンT(赤色)およびGFP(緑色)についての免疫蛍光を、注射後のマウスから採取した心臓組織において行った(図17E)。
(実施例6)
ccAAVベクターでのCre組換え
Ai9雄および雌マウスに、一本鎖AAV9またはccAAVベクターを1×1012vg/kgの用量(N=3)で静脈内注射した。注射の4週間後に動物を屠殺し、複数の臓器を採取し、形質導入を固有蛍光またはIFにより評価した。図18A~18Dは、マウスの心臓におけるAAV9またはccAAVベクターのi.v.投与後の固有tdTomato蛍光の代表画像を示し、図18Eは、心臓組織におけるAAV9、AAV.cc47およびAAV.cc84ベクターの生体内分布を示す。図19A~19Dは、マウスの肝臓におけるAAV9またはccAAVベクターのi.v.投与後の固有tdTomato蛍光の代表画像を示し、図19Eは、肝臓組織におけるAAV9、AAV.cc47およびAAV.cc84ベクターの生体内分布を示す。図20A~20Dは、マウスの肺におけるAAV9またはccAAVベクターのi.v.投与後の、DAPI(核マーカー)およびSPCで共染色された固有tdTomato蛍光の代表画像を示し、図20Eは、肺組織におけるAAV9、AAV.cc47およびAAV.cc84ベクターの生体内分布を示す。
(実施例7)
ccAAVベクターでのCRISPR/Cas9遺伝子編集
SaCas9を駆動する短縮型CBプロモーターと1つのsgRNAを駆動するU6プロモーターとを有する1つのベクター、および第2のsgRNAを有する同じ設計の第2のベクターを使用する、二重ベクター戦略を用いた(図21A)。AAV9またはccAAVと50:50で混合されたsgRNA1およびsgRNA2からなる二重一本鎖ベクターを、2×1012vgの用量(N=6)で、雄および雌Ai9マウスに静脈内注射した。注射の4週間後に動物を屠殺し、複数の臓器を採取し、形質導入を固有蛍光または免疫蛍光(IF)により評価した。
AAV9またはAAV.cc47の投与後にAi9マウスの肝臓および心臓において固有tdTomato蛍光を評定した(図21B)。tdTomato細胞の総数を計数してDAPI細胞の総数で割ることにより、遺伝子編集効率を決定した(図21C)。PCR編集アッセイを肝臓および心臓組織に関して行った(図21D)。
図21A~21Dにおける結果を、SaCas9発現を駆動するCBプロモーターを用いる同じ二重ベクター戦略を使用して検証した。各ベクターは、Rosa26遺伝子座に標的化された1つのガイドを有する。これらのベクターを等量で混合し、Ai9マウスに1×1014vg/kgの用量でi.v.注射した。Ai9の肝臓の切片を作製し、ネイティブTdTomato発現についてイメージングした(図22A)。TdTomato細胞の総数を計数し、Dapi細胞の総数に正規化することにより、遺伝子編集効率の定量化を行った(図22B)。Ai9の心臓の切片を作製し、ネイティブTdTomato発現についてイメージングした(図22C)。
CRISPR/Cas9 CBを定量化するための手段として、複数の画像から蛍光強度を測定して雄および雌Ai9マウスの心臓および肝臓組織におけるネイティブTdTomato発現を定量化した。(図23A~23F)。さらに、図24Aおよび24Bでは相対PCRバンド強度(編集された実験試料に対する未編集の模擬試料)を測定した。そして、図25Aおよび25Bでは、次の式を使用して編集効率を定量化した:編集効率(%)=赤色細胞の数(image jを用いて計数した(肝臓)または手作業で計数した(心臓))/DAPI染色核の数。
(実施例8)
脳室内(ICV)注射によるccAAVの投与
p0 C57/BL6マウス新生仔に、自己相補的AAV9またはccAAVベクター(これらの構築物を図29Aおよび図29Bに描示する)を1×1010vgの用量(N=4)で脳室内(ICV)注射した。動物を注射の4週間後に屠殺した。
レポーター発現を固有蛍光により検出した。図30A~30Fは、AAV9 mCherry(図30A)、AAV.cc44(図30B)、AAV.cc47(図30C)、AAV9 eGFP(図30D)、AAV.cc81(図30E)、またはAAV.cc84(図30F)のICV注射後にマウスの脳に発現されたmCherryまたはeGFPの代表画像を示す。
免疫蛍光(IF)を、感染の4週間後のマウスから採取した脳組織に関しても行った。核DNAを可視化するDAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール);ニューロン核を特異的に可視化する抗NeurN抗体(α-NeurN);および注射されたAAVベクターのレポーター発現を可視化する抗mCherry(α-mCherry)または抗eGFP(α-GFP)抗体のどちらかを用いて、組織を染色した。抗体ごとに得られたIFについての画像を収集し、統合して共局在化を検出した。図31A~31Bおよび図32A~32Bは、AAV9 eGFP(図31A)、AAV.cc84(図31B)、AAV9 mCherry(図32A)、またはAAV.cc47(図32B)のいずれかの注射の4週間後に採取したマウスの脳組織に関してIFを行った後の、脳の小脳、海馬および大脳皮質領域の代表画像を示す。eGFPおよびNeurNについて陽性染色であったニューロンの数を、AAV9(eGFP)またはAAV.cc84のどちらかを注射したマウスの小脳(図31C)、海馬(図31D)および大脳皮質(図31E)において定量化した。mCherryおよびNeurNについて陽性染色であったニューロンの数を、AAV9(mCherry)またはAAV.cc47のどちらかを注射したマウスの小脳(図32C)、海馬(図32D)および大脳皮質(図32E)において定量化した。
本開示が、述べた目的を実行すること、結果および利点を獲得すること、ならびにこれらについてまわることに、よく適応していることは、当業者には容易に理解されるであろう。本明細書に記載する本開示は、好ましい実施形態を現在代表するものであり、好例であり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。特許請求の範囲により定義されるような本開示の趣旨に包含される、それらの変更および他の使用が、当業者の心に浮かぶであろう。
本明細書に引用する一切の非特許または特許文献を含むいずれの参考文献も先行技術を構成することを認めない。特に、別段の記述がない限り、本明細書におけるいずれの文献への言及も、これらの文献のいずれかが米国または任意の他の国の当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めることを構成するものではないことが理解される。参考文献のいずれの論述も、それらの著者が強く主張していることを述べるものであり、本出願人は、本明細書に引用するいずれの文献についてもその正確さおよび適切性に対して異議を申し立てる権利を留保する。本明細書に引用する全ての参考文献は、別段の明確な指示がない限り、参照により完全に組み込まれる。
引用参考文献に見られるいずれかの定義および/または記述の間に何らかの相違点がある場合には、本開示が優先されるものとする。
番号付き実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、以下の番号付き実施形態も、本明細書で企図され、本開示の一部を形成する。
1.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、カプシドタンパク質バリアントが、配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、組換えAAVベクター。
2.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、組換えAAVベクター。
3.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、組換えAAVベクター。
4.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されており、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、組換えAAVベクター。
5.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、AAVカプシドバリアントが、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有する、組換えAAVベクター。
6.AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、AAVカプシドバリアントが、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有する、組換えAAVベクター。
7.ベクターゲノムを含む、実施形態1~6のいずれか1つの組換えAAVベクター。
8.ベクターゲノムが、AAVカプシドタンパク質バリアントを含むAAVカプシドに包まれている、実施形態7の組換えAAVベクター。
9.ベクターゲノムが、第1の逆方向末端反復(ITR)および第2のITRを含む、実施形態7または8の組換えAAVベクター。
10.ベクターゲノムが、第1のITRと第2のITRの間に位置する導入遺伝子を含む、実施形態9の組換えAAVベクター。
11.導入遺伝子が、治療用RNAをコードする、実施形態10の組換えAAVベクター。
12.導入遺伝子が、治療用タンパク質をコードする、実施形態10の組換えAAVベクター。
13.導入遺伝子が、遺伝子編集分子をコードする、実施形態10の組換えAAVベクター。
14.遺伝子編集分子が、ヌクレアーゼである、実施形態13の組換えAAVベクター。
15.ヌクレアーゼが、Cas9ヌクレアーゼである、実施形態14の組換えAAVベクター。
16.ヌクレアーゼが、Cas12aヌクレアーゼである、実施形態14の組換えAAVベクター。
17.遺伝子編集分子が、一本鎖ガイドRNA(sgRNA)である、実施形態13の組換えAAVベクター。
18.配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、AAVカプシドタンパク質バリアント。
19.配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、AAVカプシドタンパク質バリアント。
20.配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、AAVカプシドタンパク質バリアント。
21.配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されており、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、AAVカプシドタンパク質バリアント。
22.配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有する、AAVカプシドタンパク質バリアント。
23.配列番号2 19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有する、AAVカプシドタンパク質バリアント。
24.実施形態18~23のいずれか1つのAAVカプシドタンパク質バリアントを含む、AAVカプシド。
25.AAVカプシドタンパク質バリアントまたはその断片の約60コピーを含む、実施形態24のAAVカプシド。
26.AAVカプシドタンパク質バリアントが、T=1の正二十面体対称で配置されている、実施形態25のAAVカプシド。
27.実施形態18~23のいずれか1つのAAVカプシドバリアント、または実施形態24~26のいずれか1つのAAVカプシドを含む、組換えAAVベクター。
28.実施形態1~17、および27のいずれか1つの組換えAAVベクターと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
29.組換えAAVベクターを標的細胞に導入する方法であって、標的細胞を、実施形態1~17、および27のいずれか1つの組換えAAVベクター、または実施形態28の医薬組成物と接触させるステップを含む方法。
30.対象における標的細胞に導入遺伝子を送達する方法であって、実施形態1~17、および27のいずれか1つの組換えAAVベクター、または実施形態28の医薬組成物を、対象に投与するステップを含む方法。
31.標的細胞が腎臓細胞である、実施形態29および30のいずれか1つの方法。
32.新規アデノ随伴ウイルス株を進化させる方法であって、複数の哺乳動物種にわたってAAVライブラリーを継代するステップを含む方法。
33.前記AAVライブラリーが、複数の組換えAAVベクターを含み、各組換えAAVベクターが、野生型AAVカプシドタンパク質と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含むカプシドタンパク質バリアントを含む、実施形態32による方法。
34.AAVライブラリー内の各組換えAAVベクターが、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含む、実施形態33による方法。
35.1つまたは複数のアミノ酸変異が、配列番号1のアミノ酸452~458、もしくは配列番号1の586~592に対応する領域にあるか、または変異が、配列番号1のアミノ酸452~458および586~592に対応する両方の領域に見られる、実施形態34による方法。
36.第1のAAVライブラリーを第1の哺乳動物種に投与するステップを含む、実施形態31~35のいずれか1つによる方法。
37.第1の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する第1のAAVライブラリーからのAAVが、シークエンシングされ、第2のAAVライブラリーを生成するために使用される、実施形態36による方法。
38.第2のAAVライブラリーが、第2の哺乳動物種に投与され、第1の哺乳動物種と第2の哺乳動物種が異なる、実施形態37による方法。
39.第2の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する第2のAAVライブラリーからのAAVが、シークエンシングされる、実施形態38による方法。
40.第1の哺乳動物種および第2の哺乳動物種が、各々独立して、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、およびHomo sapiens(ヒト)からなる群から選択される、実施形態36~39のいずれか1つによる方法。
41.第1の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織が、脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せから選択される、実施形態40による方法。
42.第2の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織が、脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せから選択される、実施形態40による方法。
43.実施形態31~42のいずれか1つの方法を使用して進化されたカプシドタンパク質バリアントを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
44.1つまたは複数の哺乳動物種において、1つまたは複数のアミノ酸置換を欠いていることを除いて他の点では同一であるカプシドタンパク質を有する組換えAAVと比べて、改善された遺伝子導入効率を有する、実施形態43による組換えAAV。
45.改善された遺伝子導入効率が、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)のもう1つにおいて存在する/生じる、実施形態44の組換えAAV。
46.改善された遺伝子導入効率が、次の細胞型または組織:脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓の、1つまたは複数において生じる、実施形態43~45の組換えAAV。
47.改善された遺伝子導入効率が、腎臓細胞または腎臓組織において生じる、実施形態46の組換えAAV。
48.それを必要とする対象を処置する方法であって、実施形態1~17、27、および43~47のいずれか1つの組換えAAVベクターまたは実施形態28の医薬組成物の有効量を、対象に投与するステップを含む方法。
49.対象が、腎疾患または腎障害を有する、実施形態48の方法。

Claims (49)

  1. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記カプシドタンパク質バリアントが、配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、組換えAAVベクター。
  2. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、組換えAAVベクター。
  3. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、組換えAAVベクター。
  4. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記AAVカプシドバリアントが、配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有し、
    a.配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されており、
    b.配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、
    組換えAAVベクター。
  5. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記AAVカプシドバリアントが、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有する、組換えAAVベクター。
  6. AAVカプシドタンパク質バリアントを含む組換えAAVベクターであって、前記AAVカプシドバリアントが、配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有する、組換えAAVベクター。
  7. ベクターゲノムを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター。
  8. 前記ベクターゲノムが、前記AAVカプシドタンパク質バリアントを含むAAVカプシドに包まれている、請求項7に記載の組換えAAVベクター。
  9. 前記ベクターゲノムが、第1の逆方向末端反復(ITR)および第2のITRを含む、請求項7または8に記載の組換えAAVベクター。
  10. 前記ベクターゲノムが、前記第1のITRと前記第2のITRの間に位置する導入遺伝子を含む、請求項9に記載の組換えAAVベクター。
  11. 前記導入遺伝子が、治療用RNAをコードする、請求項10に記載の組換えAAVベクター。
  12. 前記導入遺伝子が、治療用タンパク質をコードする、請求項10に記載の組換えAAVベクター。
  13. 前記導入遺伝子が、遺伝子編集分子をコードする、請求項10に記載の組換えAAVベクター。
  14. 前記遺伝子編集分子が、ヌクレアーゼである、請求項13に記載の組換えAAVベクター。
  15. 前記ヌクレアーゼが、Cas9ヌクレアーゼである、請求項14に記載の組換えAAVベクター。
  16. 前記ヌクレアーゼが、Cas12aヌクレアーゼである、請求項14に記載の組換えAAVベクター。
  17. 前記遺伝子編集分子が、一本鎖ガイドRNA(sgRNA)である、請求項13に記載の組換えAAVベクター。
  18. 配列番号2~19のいずれか1つの配列を有するペプチドを含む、AAVカプシドタンパク質バリアント。
  19. 配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、AAVカプシドタンパク質バリアント。
  20. 配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、AAVカプシドタンパク質バリアント。
  21. 配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有するAAVカプシドタンパク質バリアントであって、
    a.配列番号1のアミノ酸452~458に対応するアミノ酸が、配列番号20~28のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されており、
    b.配列番号1のアミノ酸586~592に対応するアミノ酸が、配列番号29~37のいずれか1つの配列を有するペプチドで置換されている、
    AAVカプシドタンパク質バリアント。
  22. 配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%の同一性を有する配列を有する、AAVカプシドタンパク質バリアント。
  23. 配列番号2~19、46~123のいずれか1つの配列、またはそれに対して1~10、11~20、20~30、もしくは30~50のアミノ酸置換を有する配列を有する、AAVカプシドタンパク質バリアント。
  24. 請求項18から23のいずれか一項に記載のAAVカプシドタンパク質バリアントを含む、AAVカプシド。
  25. 前記AAVカプシドタンパク質バリアントまたはその断片の約60コピーを含む、請求項24に記載のAAVカプシド。
  26. 前記AAVカプシドタンパク質バリアントが、T=1の正二十面体対称で配置されている、請求項25に記載のAAVカプシド。
  27. 請求項18から23のいずれか一項に記載のAAVカプシドバリアント、または請求項24から26のいずれか一項に記載のAAVカプシドを含む、組換えAAVベクター。
  28. 請求項1~17、および27のいずれか一項に記載の組換えAAVベクターと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  29. 組換えAAVベクターを標的細胞に導入する方法であって、標的細胞を、請求項1から17、および27のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、または請求項28に記載の医薬組成物と接触させるステップを含む方法。
  30. 対象における標的細胞に導入遺伝子を送達する方法であって、請求項1から17、および27のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター、または請求項28に記載の医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む方法。
  31. 前記標的細胞が、腎臓細胞である、請求項29および30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 新規アデノ随伴ウイルス株を進化させる方法であって、複数の哺乳動物種にわたってAAVライブラリーを継代するステップを含む方法。
  33. 前記AAVライブラリーが、複数の組換えAAVベクターを含み、各組換えAAVベクターが、野生型AAVカプシドタンパク質と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含むカプシドタンパク質バリアントを含む、請求項32に記載の方法。
  34. 前記AAVライブラリー内の各組換えAAVベクターが、野生型AAV9カプシドタンパク質(配列番号1)と比べて1つまたは複数のアミノ酸変異を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記1つまたは複数のアミノ酸変異が、配列番号1のアミノ酸452~458、もしくは配列番号1の586~592に対応する領域にあるか、または前記変異が、配列番号1のアミノ酸452~458および586~592に対応する両方の領域に見られる、請求項34に記載の方法。
  36. 第1のAAVライブラリーを第1の哺乳動物種に投与するステップを含む、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記第1の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する前記第1のAAVライブラリーからのAAVが、シークエンシングされ、第2のAAVライブラリーを生成するために使用される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記第2のAAVライブラリーが、第2の哺乳動物種に投与され、前記第1の哺乳動物種と前記第2の哺乳動物種が異なる、請求項37に記載の方法。
  39. 前記第2の哺乳動物種の1つまたは複数の標的組織に存在する前記第2のAAVライブラリーからのAAVが、シークエンシングされる、請求項38に記載の方法。
  40. 前記第1の哺乳動物種および前記第2の哺乳動物種が、各々独立して、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、およびHomo sapiens(ヒト)からなる群から選択される、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記第1の哺乳動物種の前記1つまたは複数の標的組織が、脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せから選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記第2の哺乳動物種の前記1つまたは複数の標的組織が、脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓組織、およびこれらの任意の組合せから選択される、請求項40に記載の方法。
  43. 請求項31から42のいずれか一項に記載の方法を使用して進化されたカプシドタンパク質バリアントを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
  44. 1つまたは複数の哺乳動物種において、1つまたは複数のアミノ酸置換を欠いていることを除いて他の点では同一であるカプシドタンパク質を有する組換えAAVと比べて、改善された遺伝子導入効率を有する、請求項43に記載の組換えAAV。
  45. 前記改善された遺伝子導入効率が、Mus Musculus(マウス)、Sus scrofa(ブタ)、Canis Familiaris(イヌ)、非ヒト霊長類(Macaca、マカク)、またはHomo sapiens(ヒト)の1つまたは複数において生じる、請求項44に記載の組換えAAV。
  46. 前記改善された遺伝子導入効率が、次の細胞型または組織:脊髄、後根神経節、脳、心臓、肺、腎臓、骨格筋、脾臓、膵臓、小腸、大腸、または肝臓の、1つまたは複数において生じる、請求項43から45のいずれか一項に記載の組換えAAV。
  47. 前記改善された遺伝子導入効率が、腎臓細胞または腎臓組織において生じる、請求項46に記載の組換えAAV。
  48. それを必要とする対象を処置する方法であって、請求項1から17、27、および43から47のいずれか一項に記載の組換えAAVベクターまたは請求項28に記載の医薬組成物の有効量を、前記対象に投与するステップを含む方法。
  49. 前記対象が、腎疾患または腎障害を有する、請求項48に記載の方法。
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