JP2023523736A - 電池の負極に使用するための粉末及びかかる粉末を含む電池 - Google Patents

電池の負極に使用するための粉末及びかかる粉末を含む電池 Download PDF

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Abstract

電池の負極に使用するための粉末であって、炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子の第1の数基準フラクションと、26°と27°との間の2θCuにおいてその最大を有する強度ICを有するC(002)に帰属する粉末のX線回折ピークに対して適用したシェラー方程式によって決定された、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む、粒子の第2の数基準フラクションと、を含む、粉末。

Description

背景技術
本発明は、電池の負極に使用するための粉末及びかかる粉末を含む電池に関する。
リチウムイオン(Liイオン)電池は、現在、最も高性能の電池であり、既に携帯型電子デバイスの標準となっている。加えて、これらの電池は、自動車及び蓄電などの他の産業において既に浸透しかつ急激に普及している。かかる電池の実現可能な利点は、良好な電力性能と組み合された高エネルギー密度である。
Liイオン電池は、典型的には、いくつかのいわゆるLiイオンセルを含み、そのセルは、カソードとも称される正極と、アノードとも称される負極と、セパレータとを含み、それらは電解質に浸漬されている。携帯用途に最も頻繁に使用されるLiイオンセルは、カソードにリチウムコバルト酸化物又はリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物などの電気化学的活物質を使用し、アノードに天然又は人工のグラファイトを使用して、開発されている。
電池の性能、特に、電池のエネルギー密度に影響を与える重要な制限要因のうちの1つは、アノード中の活物質であることが知られている。そのため、エネルギー密度を改善するために、負極にケイ素を含む電気化学的活物質を使用することが長年にわたって研究されてきた。
当該技術分野では、Si系の電気化学的に活性な粉末を含む電池の性能は、概ね、いわゆるフルセルのサイクル寿命で定量化され、これは、そのような材料を含むセルが初期放電容量の80%に達するまで充放電できる回数又はサイクル数として定義される。そのため、ケイ素系の電気化学的に活性な粉末に関するほとんどの研究が、当該サイクル寿命の改善に焦点を当てている。
アノードにケイ素系の電気化学的活物質を使用することの欠点は、充電中のその大きな体積膨張であり、例えば、合金化又は挿入によって、リチウムイオンが、アノードの活物質中に完全に組み込まれる(リチオ化と呼ばれることが多いプロセス)とき、体積膨張は300%にもなる。リチウム組み込み中のケイ素系材料の大きな体積膨張によって、ケイ素系粒子中に応力を誘発することがあり、それによりケイ素材料の機械的な劣化が生じる場合がある。Liイオン電池の充電及び放電中に周期的に繰り返されることで、ケイ素系電気化学的活物質の繰り返される機械的な劣化により、電池の寿命は、許容できないレベルにまで低下し得る。
更に、ケイ素と関連のある悪影響は、厚いSEI、すなわち固体電解質界面が、アノード上に形成され得ることである。SEIは、電解質とリチウムの複雑な反応生成物であり、それは、電気化学反応のためのリチウムの利用可能性を喪失させるため、サイクル性能が悪化し、充電-放電サイクルに応じて容量が失われる。更に、厚いSEIは、電池の電気抵抗を更に大きくしてしまう可能性があり、それによって、高電流で放電及び充電する能力が制限される。
原理的に、SEI形成は、「不動態化層」がケイ素系材料の表面上に形成されるとすぐに停止する自己終結プロセスである。
しかし、ケイ素系粒子の体積膨張のため、放電(リチオ化)及び充電(脱リチオ化)の際にケイ素系粒子とSEIの両方が損傷を受ける場合があり、それによって、新しいケイ素表面があらわになり、新しいSEI生成が始まる。
上記の欠点を解決するために、通常、複合粉末が使用される。これらの複合粉末では、電解質の分解からケイ素系粒子を保護し、体積変化に対応するのに好適な少なくとも1つの成分と、ナノサイズのケイ素系粒子が混合される。このような成分は、炭素系材料であり得、好ましくはマトリックスを形成する。
複合粉末は、比容量を500mAh/g~1500mAh/gの実用的なレベルに調整するために、通常は、グラファイト粒子を更に含有している。
かかる複合粉末は、例えば、欧州特許第3238296(B1)号において言及されており、マトリックスに埋め込まれたケイ素ドメインと、マトリックスに埋め込まれていないグラファイト粒子との混合物が開示されている。欧州特許第2523241(A1)号では、炭素質コアと、その表面上に連続的に形成された非晶質炭素層と、金属粒子とを含む粉末が開示されている。X.Yangらによる(ECS Solid State Letters,1(2)M5-M7(2012))では、グラファイトフレーク及び熱分解炭素から構成されている炭素マトリックス中に分散されたナノサイズのSi粒子の混合物を含む粉末が開示されている。国際公開第2019/218503(A1)号では、複合炭素材料中にナノケイ素が分散された複合炭素材料であって、当該複合炭素材料は、グラファイト結晶相及び非晶質炭素相を含む、複合炭素材料が開示されている。米国特許出願公開第2020/006753(A1)号では、ナノケイ素含有物質、多層グラフェン、グラファイト材料及び結合剤を含有する電極が開示されている。米国特許出願公開第2016/043384(A1)号では、ケイ素などのアノード活物質が、固体グラフェン発泡体の細孔内に収容されているアノード層組成物が開示されている。
このような複合粉末を使用しているにもかかわらず、Si系の電気化学的に活性な粉末を含む電池の性能にはまだ改善の余地がある。特に、既存の複合粉末は、長いサイクル寿命と,例えば、電動ビークル(electric vehicle)の高速充電に不可欠な電池において一度使用された高レート能力との両方を達成することはできない。
本発明の目的は、ケイ素系粒子とグラファイト粒子との混合物を含む安定な電気化学的に活性な粉末を提供することであり、Liイオン電池の負極に一度使用された粉末が、高レート能力を兼ね備えた長いサイクル寿命を達成できる点において有利である。
この目的は、実施形態1による粉末を提供することによって達成され、Liイオン電池のアノードに一度使用された当該粉末は、比較例1~3と比較して、実施例1~3で実証されているように、長いサイクル寿命と高レート能力を達成することができる。
本発明は、以下の実施形態に関する。
実施形態1
第1の態様では、本発明は、電池の負極に使用するのに好適な粉末であって、
炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子の第1の数基準フラクション(number-based fraction)と、
グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む粒子の第2の数基準フラクションと、の混合物を含み、
当該粉末は、
Si非含有炭素質粒子に含まれる当該グラファイトドメインは、C(002)に帰属する粉末のX線回折ピークに適用したシェラー方程式によって決定された、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有し、26°と27°との間の2θCuにおいて最大強度Iを有し、また
炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む当該粒子は、5nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインを含まず、好ましくは2nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインを含まない、ことを特徴とする、粉末に関する。
電池の負極に使用するのに好適な粉末とは、電池の負極のリチオ化及び脱リチオ化の際にそれぞれリチウムイオンを貯蔵及び放出することができる、電気化学的に活性な粒子を含む電気化学的に活性な粉末を意味している。このような粉末は、同等に「活性粉末」と呼ばれることがある。
第1のフラクションと第2のフラクションとの混合物とは、粉末が、2つのタイプの粒子の混合物を含み、第1のフラクションからの粒子及び第2のフラクションからの粒子は異なることを意味している。フラクションの両方ともゼロではない。
更に、本発明による粉末では、1つのフラクションからの粒子を、他のフラクションからの粒子に含めることはない。特に、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、炭素質マトリックス材料を含む粒子中に存在することはない。しかしながら、それらの外表面に位置する両方のフラクションからの粒子の間にいくらかの接触が存在し得る。これは、粉末の良好な電子伝導率を、したがって粉末を含む電池の高レート能力を、確保するために、更に好ましい。
粒子の数基準フラクションとは、粉末中に含まれる粒子の最小数に関する視覚的分析(画像分析プログラムの支援を伴う又は伴わない)に基づく粒子のフラクションを意味している。粒子のこの最小数は、少なくとも100個の粒子である。粒子の数基準フラクションの決定の例は、「分析方法」セクションで示す。
ケイ素系粒子は、任意の形状、例えば、実質的に球状であり得るが、不規則な形状、棒状、板状などでもあり得る。
ケイ素系粒子では、ケイ素はその大部分がケイ素金属として存在し、それに対して、特性を改善するために少量の他の元素が添加されている場合があり、又は酸素や微量の金属などのいくらかの不純物を含有している場合がある。
酸素以外の全ての元素を考慮すると、かかるケイ素系粒子における平均ケイ素含有量は、ケイ素系粒子の総重量に対して、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子とは、ケイ素系粒子が、1μm未満のサイズの凝集物を形成するか、又は凝集物をまったく形成しないかのいずれかであり、マトリックス材料によって、ケイ素系粒子の大部分、好ましくは全体が覆われている、ことを意味している。したがって、実施形態1による粉末において、ケイ素系粒子は、好ましくは互いに接触している、及び/又はマトリックス材料と接触しているのみである。
粒子中のSiの存在又は非存在は、例えば、粉末の断面のエネルギー分散X線(Scanning Electron Microscopy with Energy Dispersive X-Ray、SEM-EDX)分析を伴う走査型電子顕微鏡法に基づいて、決定することができる。不随意の混入は決して除外できないため、Si非含有粒子は、ここでは、0.5原子%未満のSi含有量を有する粒子として理解される。
粒子中における5nmより大きい、好ましくは2nmよりも大きいサイズを有するグラファイトドメインの存在又は非存在は、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy、TEM)分析に基づいて、判定することができる。かかる分析の例は、「分析方法」セクションで提供する。
非晶質炭素質マトリックス材料であっても、5nm未満、好ましくは2nm未満のサイズを有する非常に小さいグラファイトドメインを含有し得る。マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子と、そのような非常に小さいグラファイトドメインと、を有するマトリックス材料を含む粒子、を含む粉末は、本発明の一部から除外されない。
更に、粉末中に含まれる、炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む少なくとも100個の粒子の代表的な試料からの一定数の粒子において、1%以下で、5nmより大きいサイズ、好ましくは2nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインの存在は、偶発的であると見なされるべきであり、かかる粉末が本発明の一部であることを除外しない。
ケイ素系粒子を含む炭素質マトリックスは、非晶質であるため、粉末のX線回折図で観察されたC(002)ピークは、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子にのみ帰属し得ることに注目すべきである。炭素質マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子と、炭素質マトリックス材料と、を含む粒子のいくつか、又は更に全てが、5nm未満、好ましくは2nm未満のサイズを有するグラファイトドメインも含む場合、粉末のX線回折図で観察されたC(002)ピークへのグラファイトドメインの寄与は、強度及びFWHMの両方について無視できると考えられる。
誤解を避けるために、この文書では、「ケイ素」という用語は金属の(ゼロ価)の状態の元素Siを指し、記号「Si」はその酸化状態に関係なく元素ケイ素を指すことは明確にしておく。
シェラー方程式(P.Scherrer、Gottinger Nachricheten 2,98(1918))は、X線回折データから規則性のある(結晶性)ドメインのサイズを計算するための周知の方程式である。装置間のバラツキを回避するために、標準化試料を使用して較正を行うことができる。
少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインは、シェラー方程式を適用すると、少なくとも0.26°(2θCu)及び最大で0.89°(2θCu)の半値全幅(full width at half maximum、FWHM)を有するX線回折(X-Ray Diffraction、XRD)のC(002)ピークに等しい。
2つの異なるタイプの粒子の混合物(少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、ケイ素系粒子を含むマトリックス材料の粒子とは異なる)は、以下の2つの理由で有利である、すなわち、
少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を有するマトリックス材料を含む粒子との間に良好な電子接触を確保し、それにより、粉末の高い電子伝導率がもたらされる、また、
少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を有するマトリックス材料を含む粒子との間でスペーサとして作用し、それにより、高い体積膨張、アノードの破損、電池のサイクル寿命の低下及び低いレート能力をもたらすケイ素系粒子の凝集を防止する。
グラファイト材料は、グラフェン平面又はシートから構成され、グラフェン平面に垂直な特定の方向(通常はc方向、したがってXRDでは002ピークの使用)に沿って多かれ少なかれ規則正しく配列されている。グラファイトドメインのサイズは、グラフェン平面に垂直な平均距離として理解され、その上にグラフェン平面が規則正しく配列され、すなわち、その上にグラファイトの配列が維持される。
Si非含有炭素質粒子に含まれるグラファイトドメインが45nmよりも大きいと、グラフェン平面は規則正しく配列され、Si非含有炭素質粒子は高度に結晶性であり、それらの比表面積(specific surface、BET)は低い。これは、マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を有するマトリックス材料を含む粒子間でスペーサとして機能する能力、及び既に開示した否定的な結果をもたらすケイ素系粒子の凝集を防止する能力を低下させる。グラファイトは、45nmより大きいグラファイトドメインを有する炭素質材料の例である。
Si非含有炭素質粒子に含まれるグラファイトドメインが10nmよりも小さいと、グラフェン平面は大部分無秩序であり、Si非含有炭素質粒子は結晶性が低く、それらの比表面積(BET)は高い。これにより、電解質との反応の表面が増加し、したがってSEI層の形成が増強されるため、かかる粉末を含有する電池の初期の不可逆容量損失が、一般に受け入れられているものを超えて増加する。純粋なグラフェン粉末は、10nmより小さいグラファイトドメインを有する炭素質材料の例である。
本発明による粉末では、粒子の第1の数基準フラクションと第2の数基準フラクションとの合計は、1を超えることができない。この合計は、粉末が3以上のフラクションの粒子を含む場合、1未満であり得る。
実施形態2
実施形態1による第2の実施形態では、Si非含有炭素質粒子に含まれるグラファイトドメインの平均サイズは、少なくとも12nm及び最大で39nmである。
実施形態3
実施形態1又は2による第3の実施形態では、粉末は、X線回折(XRD)によって分析すると、XRD回折図が、C(002)に帰属する、26°と27°との間の2θCuで最大強度Iを有するピークと、Si(III)に帰属する、28°と29°との間の2θCuで最大強度Isを有するピークとを有し、比I/Iは、0.2以上かつ2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下である。
比I/Iが、2.0より高い、好ましくは1.5より高い、より好ましくは1.0より高いとき、グラフェン平面は規則正しく配列しており、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、高度に結晶性であり、それらの比表面積(BET)は低く、場合により、スペーサとして作用するそれらの能力を低下させる。これは、前述の理由により不利である。
比I/Iが0.2よりも低く、グラフェン平面はほとんど不規則であり、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、結晶性が低く、それらの比表面積(BET)は高い。これは、前述の理由により不利である。
実施形態4
実施形態1~3のいずれかに記載の第4の実施形態では、グラファイトを含むSi非含有炭素質粒子は、d50の数基準粒径分布を特徴とし、d50は、25μm以下かつ6μm以上であり、好ましくは8μm以上である。
数基準粒径分布は、粉末に含まれるグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の最小数に関する視覚的分析(画像分析プログラムの支援を伴う又は伴わない)に基づく。グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子のこの最小数は、少なくとも100個の粒子である。粒子の数基準フラクションの測定例は、「分析方法」セクションで示す。
6μmより小さい、好ましくは8μmより小さいd50を有する数基準粒径分布を有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、高過ぎる比表面積を有し得るため、電解質との反応の表面を増加させ、これは前述の理由で不利である。25μmを超えるd50を有する数基準粒径分布を有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を含むマトリックス材料を含む粒子間に良好な電子接触を確保することができないため、粉末の電子伝導率は低下し、また、かかる粉末を含む電池のレート能力は低下する。
実施形態5
実施形態1~4のいずれか1つによる第5の実施形態では、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子は、次の材料、すなわち、剥離グラファイト、膨張グラファイト、グラフェンナノプレートレットのうちの少なくとも1つから作製されている。
グラファイトは、グラフェンシートに垂直な方向に沿って規則正しく配列されたグラフェンシート又は平面の大きなスタックからなる三次元材料である。グラファイトの規則正しい配列が維持される平均距離は、大きい(>45nm)。したがって、グラファイトは、少なくとも10nm及び最大45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子としては好適ではない。
剥離グラファイト又は膨張グラファイトは、その後に気化された物質(例えば、硫酸)でインターカレートされたグラファイトであり、グラフェンシート中間層距離の突然の膨張をもたらす。これにより、グラフェンシートの配列の部分的な不規則化が生じるため、グラフェンシート及びグラファイトドメインのスタックのサイズが低減される(<45nm)。
グラフェンナノプレートレットは、カーボンナノチューブの壁に見られるものと同一であるが平面形態であるプレートレット形状を有するグラフェンシートの小さなスタックからなるナノ粒子である。グラフェンシートのスタックのサイズは、剥離グラファイトのサイズと同じ範囲である。
最後に、グラファイトが完全に剥離すると、グラフェンが生成し、グラフェンは、ランダムに配列されたグラフェンシートで構成され、グラファイトの規則正しい配列がないかほとんどないため、グラファイトドメインは小さい(<10nm)。
これらの異なるカテゴリの材料の概略図を図1に示す。
実施形態6
実施形態1~5のいずれか1つによる第6の実施形態では、ケイ素系粒子は、d50を有する数基準粒径分布を特徴とし、d50は20nm以上及び150nm以下である。
数基準粒径分布は、粉末に含まれるケイ素系粒子の最小数に関する視覚的分析(画像分析プログラムの支援を伴う又は伴わない)に基づく。ケイ素系粒子のこの最小数は、少なくとも100個の粒子である。粒子の数基準フラクションの測定例は、「分析方法」セクションで提供する。
20nm未満のd50を有する数基準粒径分布を有するケイ素系粒子は、マトリックス材料中で効率的に分散することが非常に困難であり、これは粉末の電子伝導率を低下させ得る。
150nmを超えるd50を有する数基準粒径分布を有するケイ素系粒子は、それらのリチオ化中に破損しやすく、かかる粉末を含有する電池のサイクル寿命の劇的な低下を引き起こす。
実施形態7
実施形態1~6による第7の実施形態では、粉末は、重量パーセント(重量%)で表されるケイ素含有量Cを有し、10重量%≦C≦60重量%である。
実施形態8
実施形態1~7のいずれか1つによる第8の実施形態では、粉末は、ケイ素含有量C及び酸素含有量Dを有し、両方とも重量パーセント(重量%)で表され、D≦0.15Cである。
酸素含有量が高過ぎると、粉末の最初のリチオ化中に酸化リチウム(LiO)が形成されることによって、追加の不可逆的なリチウムの消費が発生し、それによって場合によりかかる粉末を含有する電池の初期の不可逆的な容量損失が増加する。
実施形態9
実施形態1~8のいずれか1つによる第9の実施形態では、粒子の第1の数基準フラクションは、粉末に含まれる100個の粒子の最小数に関して、少なくとも0.2及び最大で0.8である。
言い換えれば、粉末中で観察された少なくとも100個の粒子の20%~80%は、マトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を有するマトリックス材料を含む粒子である。
実施形態10
実施形態1~9のいずれか1つによる第10の実施形態では、粒子の第2の数基準フラクションは、粉末に含まれる100個の粒子の最小数に関して、少なくとも0.2及び最大で0.8である。
言い換えれば、粉末中で観察された少なくとも100個の粒子の20%~80%は、26°と27°との間の2θCuにおいてその最大の強度Iを有するC(002)に帰属する粉末のX線回折ピークに対して適用したシェラー方程式によって決定された、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子である。
実施形態11
実施形態1~10のいずれか1つによる第11の実施形態では、粉末は細孔を含む。細孔は、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子及び/又はマトリックス材料中に分散されたケイ素系粒子を有するマトリックス材料を含む粒子中に位置し得る。
細孔は、後者のリチオ化/脱リチオ化中の粉末の粒子の体積膨張を緩衝することができ、それによって、誘発される応力及び粉末の粒子に見られることのある亀裂が低減され、それによって、サイクル寿命が延びる。
細孔は、粉末の断面のSEM分析によって可視化され得る。
実施形態12
実施形態1~11のいずれか1つによる第12の実施形態では、粉末は、D10、D50及びD90を有する体積基準粒径分布を有する粒子を含み、1μm≦D10≦10μm、8μm≦D50≦25μm及び10μm≦D90≦40μmである。
実施形態13
実施形態1~12のいずれか1つによる第13の実施形態では、粉末は、最大で10m/g、好ましくは最大で5m/gのBET表面積を有する。
リチウムを消費する固体電解質界面(Solid Electrolyte Interphase、SEI)の形成を制限して、粉末を含有する電池の容量の不可逆的な損失を制限するために、低いBET比表面積を粉末が有して、電解質と接触する電気化学的に活性な粒子の表面を減少させることは、重要である。
実施形態14
実施形態1~13のいずれか1つによる第14の実施形態では、マトリックス材料は、以下の材料、すなわち、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、スクロース、コールタールピッチ、石油ピッチ、リグニン、及び樹脂のうちの少なくとも1つの熱分解の生成物である。
これらの材料のうちの少なくとも1つの熱組成物の生成物は、非晶質炭素であり、したがって、XRD分析中に得られた粉末のX線回折図において観察されたC(002)ピークに寄与しない。
実施形態15
第15の実施形態では、本発明は、最終的に、実施形態1~14のいずれか1つの粉末を含む電池に関する。
グラファイト(A)、剥離/膨張グラファイト及びグラフェンナノプレートレット(B)並びにグラフェン(C)におけるグラファイトドメインの概略図である。dA、dB及びdCは、それぞれのグラファイトドメインのサイズを示す。 実施例1(A)、比較例1(B)及び比較例3(C)による粉末の概略図である。1:グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子、2:マトリックス材料及びその中に分散されたケイ素系粒子を含む粒子、3:ケイ素系粒子。dA、dB及びdCは、それぞれのグラファイトドメインのサイズを示す。
以下の詳細な説明では、本発明の実施を実現するために、好ましい実施形態を詳細に説明している。本発明は、これらの特定の好ましい実施形態を参照して説明されているが、本発明は、これらの好ましい実施形態に限定されないことが理解されよう。それとは対照的に、本発明は、以下の発明を実施するための形態を考慮すれば明らかになるように、多数の代替物、変形物及び均等物を含む。
使用した分析方法
Si含有量の測定
実施例及び比較例の粉末のSi含有量は、エネルギー分散型分光器を用いた蛍光X線(X-Ray Fluorescence、XRF)によって測定される。この方法のSiの確率的実験誤差は、±0.3重量%である。
酸素含有量の測定
実施例及び比較例における粉末の酸素含有量は、LECO TC600酸素-窒素分析装置を用い、以下の方法によって測定される。粉末の試料を閉じたスズ製カプセルに入れ、これそのものをニッケル製バスケットに入れる。そのバスケットをグラファイト製るつぼに入れ、キャリアガスとしてのヘリウム下で、2000℃超まで加熱する。これにより試料は溶融し、酸素がるつぼからのグラファイトと反応して、COガス又はCOガスになる。これらのガスを赤外測定セルに導く。観察されたシグナルを再計算し酸素含有量を得る。
比表面積(BET)の測定
比表面積を測定するには、Micromeritics Tristar3000を使用し、ブルナウアー-エメット-テラー(BET)法による。最初に、分析対象の粉末2gを120℃のオーブン内で2時間乾燥させた後、Nパージする。次いで、吸着種を除去するために、粉末を120℃にて真空下で1時間脱気した後、測定する。
電気化学的性能の測定
実施例及び比較例における粉末の電気化学的性能は、以下の方法で測定される。
評価する粉末を、45μmのふるいを用いてふるい分けし、カーボンブラック、炭素繊維及び水中のナトリウムカルボメチルセルロースバインダー(2.5重量%)と混合した。使用した比率は、活物質粉末89重量部/カーボンブラック(C65)1重量部/炭素繊維(VGCF)2重量部及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)8重量部である。これらの成分を、250rpmで30分間、Pulverisette7遊星ボールミル内で混合する。
エタノールで洗浄した銅箔を負極の集電体として使用する。混合成分の厚さ200μmの層を銅箔上にコーティングする。コーティングを70℃にて真空中で45分間乾燥させる。乾燥させたコーティング銅箔から13.86cmの長方形の電極を打ち抜き、110℃にて真空下で一晩乾燥させ、パウチセルの負極として使用する。
正極は、次のようにして作製する:市販のLiNi3/5Mn1/5Co1/5(NMC 622)粉末を、カーボンブラック(C65)、炭素繊維(VGCF)及びN-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)中8重量%のポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)のバインダーの溶液と混合する。使用した比率は、市販のNMC 622粉末92重量部/カーボンブラック1重量部/炭素繊維3重量部/PVDF4重量部である。これらの成分をPulverisette 7遊星ボールミル内で、250rpmで30分間混合する。エタノールで洗浄したアルミ箔を正極の集電体として使用する。混合成分の層を、正極容量に対する負極容量の比が1.1になるような厚さで、アルミ箔上にコーティングする。コーティングを70℃にて真空中で45分間乾燥させる。乾燥させたコーティングアルミ箔から11.02cmの長方形の電極を打ち抜き、真空下110℃で一晩乾燥させ、パウチセルの正極として使用する。
使用した電解質は、EC/DEC溶媒(体積比で1/1)に溶解させた1MのLiPFと、2重量%のVCと、10重量%のFEC添加剤とである。
次に、組み立てたパウチセルを、以下の手順で試験する。第1のサイクルは電池のコンディショニングに相当し、「CC」は「定電流(constant current)」を表し、「CCCV」は「定電流定電圧(constant current constant voltage)」を表す。
●サイクル1(コンディショニング)
○理論上のセル容量の15%に達するまで0.025CでCC充電
○12時間休止
○4.2Vまで0.05CでCC充電
○休止5分
○2.7Vまで0.05CでCC放電
●高速充電試験サイクル2(参照サイクル)
○休止5分
○4.2Vまで0.1CでCC充電
○休止5分
○2.7Vまで0.1CでCC放電
●高速充電試験サイクル3
○休止5分
○4.2Vまで0.2CでCC充電
○休止5分
○2.7Vまで0.2CでCC放電
●高速充電試験サイクル4、5、6、7及び8
○休止5分
○4.2Vまで、0.5C(サイクル4)-1C(サイクル5)-2C(サイクル6)-3C(サイクル7)-5C(サイクル8)でCC充電
○休止5分
○全てのサイクルで、2.7Vまで0.1CでCC放電
●サイクル9以降
○休止5分
○4.2Vまで0.5CでCC充電、次いでC/20までCV充電
○休止5分
○2.7Vまで0.5CでCC放電。
レート能力は、0.1Cにおけるレートのパーセンテージとして表される、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2C、3C及び5Cのレートにおける充電容量として測定される。0.1Cは、理論上、定電流によって10時間でセルを充電できる電流に相当する。例えば、1Cは、0.1C電流よりも10倍高い電流であり、理論上、1時間でセルを充電することができる。
パウチセルのクーロン効率(coulombic efficiency、CE)は、所与のサイクルにおける放電時の容量の、充電時の容量に対する比であり、初期サイクルについて計算する。SEI形成の反応がCEに大きな影響を与えるため、クーロン効率の観点からは初期サイクルが最も重要である。
更に、商業用途を考慮すると、約1300mAh/gの比容量を有するアノード材料には、かかるパウチセルで少なくとも150サイクルのサイクル寿命が必要であることが十分に認識されている。これらの高容量の粉末は、負極調製中に、例えば、グラファイトで600~700mAh/gの容量に更に希釈されて、300サイクルを超えるサイクル寿命を達成し得る。
粉末中の粒子の数基準フラクションの決定
粉末中の粒子の数基準フラクションは、画像分析と組み合わせた、好ましくは画像分析プログラムによって支援された、粉末の断面の電子顕微鏡分析(SEM又はTEM)によって、測定される。
これを行うために、両方のフラクションからの粒子の複数の断面を含む、分析される粉末の断面(すなわち、マトリックス材料及びその中に分散されたケイ素系粒子を含む粒子の断面と、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の断面)を、以下に記載した手順に従って調製する。その場合、粒子のサイズは、その粒子の個別の断面の周囲の2点間の最大直線距離に等しいとみなされ、dmaxとも呼ばれる。
SEM機器を使用して分析を実行するために、試料調製を次のように行う。分析対象の粉末500mgを、エポキシ樹脂(20-3430-128)4部とエポキシ硬化剤(20-3432-032)1部との混合物からなる樹脂(Buehler EpoxiCure 2)7gに埋め込む。得られた直径1インチの試料を、少なくとも8時間乾燥させる。次いで、それを、最大5mmの厚さに達するまでStruers Tegramin-30を使用して最初に機械的に研磨し、次いで、6kVで約6時間、イオンビーム研磨(Cross Section Polisher Jeol SM-09010)によって更に研磨して、研磨面を得る。最後に、この研磨面上に、12秒間、Cressington 208カーボンコーターを使用してカーボンスパッタリングすることによって、カーボンコーティングを適用して、SEMで分析される「断面」とも呼ばれる試料を得る。
断面を、Bruker製のEDS検出器Xflash 5030-127(30mm、127eV)を備えたJEOL製のFEG-SEM JSM-7600Fを使用して分析する。
この検出器からのシグナルを、Bruker製のQuantax 800 EDSシステムで処理する。
15kVの電圧を数ミリメートルの作動距離で印加することにより、拡大画像を生成する。光学顕微鏡の画像に値をつける場合、後方散乱電子の画像を報告する。
TEM分析の場合、分析される粉末10mgを、集束イオンビーム走査型電極顕微鏡(focused ion beam scanning electrode microscope、FIB-SEM)機器に入れる。白金層を、活物質粉末の表面の上部に堆積させる。FIBを使用して、活物質粉末のラメラを抜き出す。このラメラを、TEM試料ホルダー上に更に配置し、以下に記載した手順に従って分析する。
粉末中の粒子の数基準フラクションの測定を非限定的に説明するために、TEMに基づく手順を以下に示す。
1.粒子の両方のフラクションを含む粉末の断面の複数のTEM画像を取得する。
2.画像のコントラスト及び輝度設定は、異なるタイプの粒子の断面、すなわち、マトリックス材料及びその中に分散されたケイ素系粒子を含む粒子と、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の断面を容易に視覚化するために調整する。それらの化学組成が異なるため、輝度の違いにより、異なるタイプの粒子及びマトリックスを簡単に区別することができる。
3.好適な画像分析プログラムを使用して、取得したTEM画像の1つ以上から、粒子の別の断面と重ならない、粒子の少なくとも100個の個別の断面を選択する。これらの個別の断面は、粒子を含む粉末の1つ以上の断面から選択することができる。
4.粒子の少なくとも100個の選択された個別の断面の各々について、それが、炭素質マトリックス材料とその中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子の断面、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の断面、又は別のタイプの粒子の断面であるか否かを判定する。次いで、炭素質マトリックス材料とその中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子のフラクション及びグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子のフラクションを最終的に計算する。
前述のTEM分析により、各粒子について、Si非含有炭素質粒子が実際にグラファイトドメインを含有するか否かを確認することができ、またグラファイトドメインのサイズを測定できる、ことに留意されたい。各粒子のグラファイトドメインのサイズを測定するのが複雑で手間がかかる場合は、次のセクションで詳しく説明しているように、XRD分析によって粉末の全試料について、グラファイトドメインの平均サイズを測定し、Si非含有炭素質粒子に含まれる全てのグラファイトドメインは、この平均サイズを有する、と考えるだけで十分であり得る。そのように、炭素質マトリックス材料とその中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子と、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子とを区別することを可能にするSEM分析は、十分であり得る。
数基準粒径分布の測定
本発明による粉末に含まれる、ケイ素系粒子の数基準粒径分布及び/又はグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の数基準粒径分布は、画像分析と組み合わせた、好ましくは画像分析プログラムによって支援された、粉末の断面の電子顕微鏡分析(SEM又はTEM)によって、測定する。分析される試料の調製は、先に詳述したものと同じである。
粉末中に含まれる、ケイ素系粒子の粒径分布の測定及び/又はグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の測定を、非限定的な方法で説明するために、TEMに基づく手順を以下に示す。
1.ケイ素系粒子の複数の断面を含む粉末の断面に関する複数のTEM画像及びグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子に関する複数のTEM画像を取得する。
2.画像のコントラスト及び輝度設定は、異なるタイプの粒子の断面、すなわち、ケイ素系粒子を含むマトリックス材料の粒子及びグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の断面を容易に視覚化するために調整する。それらの化学組成が異なるため、輝度の違いにより、異なるタイプの粒子及びマトリックスを簡単に区別することができる。
3.粒子の別の断面と重ならない、ケイ素系粒子の少なくとも100個の個別の断面及び/又はグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の少なくとも100個の個別の断面を、好適な画像分析プログラムを使用して、取得したTEM画像の1つ以上から選択する。これらの個別の断面は、粒子を含む粉末の1つ以上の断面から選択することができる。
4.ケイ素系粒子の少なくとも100個の個別の断面に関するdmax値及び/又はグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の少なくとも100個の個別の断面に関するdmax値を、好ましくは好適な画像分析プログラムを使用して測定する。
次いで、上述の方法を使用して測定された、ケイ素系粒子の数基準粒径分布及び/又はグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の数基準粒径分布に関するd10、d50及びd90値を計算する。これらの数基準粒径分布は、周知の数式により重量基準粒径分布又は体積基準粒径分布に容易に変換することができる。
体積基準粒径分布の測定
ケイ素系粉末の体積基準粒径分布は、Centrifugal Photosedimentometer DC20000(CPS Instruments,Inc,USA)を用いた遠心沈降法により測定する。
機器には、内径4.74cmの中空のポリカーボネートディスクが装備されている。回転速度は、遠心加速力約1.9×10m/sに相当する20000rpmに設定されている。
ディスクは、2-ブトキシエチルアセテート(casrnll2-07-2)中16mLの線形密度勾配(10~5%)のハロカーボン1.8(クロロトリフルオロエチレン-PCTFE)で満たされている。
沈降定数を計算するための参照材料として、平均直径0.52μm、比重3.515g/cmのダイヤモンド粒子を使用する。試料調製:
超音波(Branson音波発生器550W)を用いて、分析対象のケイ素系粉末のイソプロパノール中10重量%の懸濁液を調製する。懸濁液をブトキシエチルアセテートで希釈し、最終濃度を0.05重量%ケイ素とする。
得られた試料0.050mLをディスクに注入し、波長470nmの光の吸光度を時間の関数として記録する。
得られた時間-吸光度曲線は、組み込みアルゴリズム(DCCSソフトウェア)により、以下のパラメータを用いて、粒径分布(質量又は体積)に変換される。
●スピン流体密度:2.33g/cm
●スピン流体屈折率:1.482
●ケイ素密度:2.33g/cm
●ケイ素屈折率:4.49
●ケイ素吸着係数:17.2K
D10、D50及びD90値を特定する、ケイ素系粉末の体積基準粒径分布を、上述の方法を使用して測定した。
本発明による又は本発明によらない粉末の体積基準粒径分布を、ユーザー説明書に従って、レーザー回折Sympatec(Sympatec-Helos/BFS-Magic 1812)によって、測定する。測定には以下の設定を使用する。
Dispergenシステム:Sympatec-Rodos-M
分散機:Sympatec-Vibri 1227
レンズ:R2(0.45~87.5μmの範囲)
分散:3バールの加圧空気
光学濃度:3~12%
開始/停止:2%
時間ベース:100ms
供給率:80%
開口:1.0mm
供給率及び開口の設定は、光学濃度によって変化し得ることに留意されたい。
次いで、上述の方法を使用して測定された、本発明による又は本発明によらない粉末の体積基準粒径分布のD10、D50及びD90値を計算する。
グラファイトドメインのサイズの測定
グラファイトドメインのサイズは、既に説明したように、粉末の断面のTEM分析によって測定され得る。
しかしながら、好ましい方法は、粉末のX線回折(XRD)分析である。以下の方法を使用する。
この化合物を識別するために、CuKα1及びCuKα2放射線、λ=0.15418nm、ステップサイズ0.017°の2θ、走査速度34分(2064秒)を用いて、ICDDデータベース、PDF-4+を使用して、少なくとも約2cmの粉末材料の平面上で5°~90°の2θで測定し、Panalytical’X Pert Proシステム上でXRD測定を行う。
26°と27°との間の2θCuにおいて最大を有するXRDピークは、平面間グラフェン層からのX線の回折から生じるグラファイト炭素の(002)反射に相当するものである。バックグラウンドを最初に生のXRDデータから差し引く。次いで、C(002)ピークの左側及び右側の半値強度(half maximum intensity)における2θCu値を測定する。半値全幅(Full Width at Half Maximum、FWHM)値は、これら2つの2θCu値の差である。FWHM値は、通常は、X線回折計に備えられているプログラムを使用して測定される。手動での計算も使用することができる。
Si非含有炭素質粒子に含まれるグラファイトドメインの平均サイズは、最終的には、まさに測定されたFWHM値、機器のX線波長及びC(002)ピークの位置を使用して、C(002)ピークに対してシェラー方程式を適用することによって、計算される。
/I比の決定
前述のX線回折法を使用して、粉末を分析する。生のXRDデータからバックグラウンドを差し引いた後、26°と27°との間の2θCuにおいてC(002)に帰属するピークの最大強度I及び28°と29°との間の2θCuにおいてSi(111)に帰属するピークの最大強度Iを、プログラム又は手動のいずれかで測定する。次いで、I/I比を計算する。
比較例及び実施例の実験的調製
本発明による実施例1(E1)
実施例1の粉末を製造するために、最初に、プラズマガスとしてアルゴンを使用して60kW高周波(RF)誘導結合プラズマ(ICP)を適用することによって、ケイ素系粉末を得て、それに対して、マイクロメートルサイズのケイ素粉末前駆体を約50g/時の速度で注入し、2000Kを超える行きわたった(すなわち、反応ゾーンにおける)温度を得る。この第1のプロセス工程において、前駆体は、完全に気化する。第2のプロセス工程において、気体の温度を1600K未満まで下げるために、18Nm/時のアルゴン流を、反応ゾーンのすぐ下流でクエンチガスとして使用し、核生成させて金属性でサブミクロンのケイ素粉末とする。最後に、1モル%の酸素を含有するN/O混合物を100L/時で添加することによって、100℃の温度で5分間、不動態化工程を行う。
得られたケイ素粉末の比表面積(BET)を測定すると、83m/gである。得られたケイ素粉末の酸素含有量を測定すると、8.6重量%である。ケイ素粉末の体積基準粒径分布を測定すると、D10=62nm、D50=112nm及びD90=198nmである。
次いで、26gの得られたケイ素系粉末及び38gの石油系ピッチ粉末からブレンドを作製する。
このブレンドを、N下で450℃まで加熱し、その結果、ピッチは溶融し、60分間の待ち時間の後、1000rpmで作動するCowles溶解器型ミキサーによって、高剪断下で30分間混合する。
このようにして得られたピッチ中のケイ素系粉末の混合物を、N下で室温まで冷却し、固化してから、粉砕し、400メッシュのふるいでふるい分けて、中間物粉末を製造する。
次いで、20gの中間物粉末を、グラフェンナノプレートレット(XG Sciences xGnP(登録商標)グラフェンナノプレートレット-グレードH)である、グラファイトドメインを含む7gのSi非含有炭素質粒子と、ローラーベンチ上で3時間混合し、その後で、得られた混合物をミルに通して、脱凝集させる。これらの条件では、良好な混合が得られるが、グラフェンナノプレートレット(すなわち、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子)は、ピッチに埋め込まれない。
中間物粉末とグラフェンナノプレートレットとの得られた混合物に更に熱後処理を以下のように施す:すなわち、生成物を管状炉内の石英るつぼに入れ、3℃/分の加熱速度で1000℃まで加熱し、その温度で2時間保持し、次いで冷却する。これらは全てアルゴン雰囲気下で行われる。
焼成された生成物を、最後に乳鉢で手粉砕し、325メッシュのふるいでふるいにかけ、最終粉末を形成する。
この粉末の総Si含有量は、XRFにより34.6重量%と測定され、実験誤差は±0.3重量%である。これは、加熱時のピッチの重量損失約35重量%及び他の成分の加熱時のわずかな重量損失に基づいて計算された値に対応している。この粉末の酸素含有量を測定すると、3.4重量%であった。得られた粉末の比表面積(BET)を測定すると、4.1m/gである。粉末の体積基準粒径分布は、4.1μmに等しいD10、13.3μmに等しいD50、及び28.8μmに等しいD90を有する。
シェラー方程式を使用して、XRDによって測定されたグラファイトドメインの平均サイズは、13nmに等しい。26°と27°との間の2θCuで最大を有するC(002)に帰属するXRDピークの強度と、28°と29°との間の2θCuで最大を有するSi(111)に帰属するピークの強度の比I/Iは、0.29に等しい。
TEMによって観察された実施例1の粉末の粒子の156の断面に関する視覚的分析に基づいて、それらのうちの50は、マトリックス材料中に分散されたSi系粒子と共に、いくらかのマトリックス材料のみを含有する粒子であり、106は、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子であり、それは、マトリックス材料中に分散されたケイ素系ドメインを有するマトリックス材料を含む粒子の0.32のフラクションに相当していて、また13nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の0.68のフラクションに相当しており、したがってフラクションの合計1に相当している。粉末中におけるグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子の数基準粒径分布は、6.2μmのd50を有する。更に、粉末の粒子において細孔を観察することができる。
本発明による実施例2及び3(E2及びE3)
実施例2(E2)及び実施例3(E3)の粉末を製造するために、グラファイトドメインを含む異なるタイプのSi非含有炭素質粒子を中間物粉末と混合することを除いて、実施例1と同じ手順を使用する。E2及びE3を、異なるサイズの粒子を有しまた異なるサイズのグラファイトドメインを含む、2つの異なるタイプの膨張グラファイト粉末を使用して調製する。E2及びE3からの粉末について実施された分析の結果を表1に示す。
両方の粉末は、実施例1の粉末のものに匹敵するSi含有量及びO含有量を有する。E2及びE3からの粉末に関するBET値は、それぞれ3.9m/g及び3.6m/gである。E2からの粉末の体積基準粒径分布は、4.8μmに等しいD10、14.3μmに等しいD50及び29.8μmに等しいD90を有する。E3からの粉末の体積基準粒径分布は、5.2μmに等しいD10、14.9μmに等しいD50及び30.8μmに等しいD90を有する。
本発明によらない比較例1及び2(CE1及びCE2)
比較例1(CE1)及び比較例2(CE2)の粉末を製造するために、グラファイトドメインを含む異なるタイプのSi非含有炭素質粒子を中間物粉末と混合することを除いて、実施例1と同じ手順を使用する。CE1は、大きなグラファイトドメイン(>100nm)を有するグラファイト粒子を使用して調製する。CE2は、非常に小さいグラファイトドメインを有するグラフェン粒子を使用して調製する(<2nm)。
比較例1の粉末は、先行技術文献欧州特許第3238296(B1)号の教示に従って製造することに注目することができる。
CE1及びCE2からの粉末について実施された分析の結果を表1に示す。
CE1及びCE2からの両方の粉末の場合、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む粒子のフラクションはゼロに等しい。その理由は、CE1の場合、グラファイトドメインの平均サイズは180nmに等しく、CE2の場合、グラファイトドメインの平均サイズは2nmより小さいためであり、両方とも、C(002)に帰属するそれぞれの粉末のX線回折ピークに適用されるシェラー方程式によって決定され、26°と27°との間の2θCuにおいて最大強度Iを有する。
両方の粉末は、E1、E2及びE3からの粉末のものに匹敵するSi含有量、O含有量及び粒径分布を有する。CE1及びCE2からの粉末に関するBET値は、それぞれ3.6m/g及び5.8m/gに等しい。
本発明によらない比較例3(CE3)
比較例3(CE3)の粉末を製造するために、実施例1と同じケイ素系粉末を使用する。
ブレンドを、ケイ素系粉末26g、石油系ピッチ粉末38g及び5μm未満のD50を有する体積基準粒径分布を有する膨張グラファイト粉末17、7gで作製する。このブレンドを、N下で450℃まで加熱し、その結果、ピッチは溶融し、60分間の待ち時間の後、1000rpmで作動するCowles溶解器型ミキサーによって、高剪断下で30分間混合する。これらの条件で、膨張グラファイトの粒子(すなわち、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子)をピッチに埋め込む。
ケイ素系粉末と、このようにして得られたピッチ中の膨張グラファイトとの混合物を、N下で室温まで冷却し、固化してから、粉砕し、400メッシュのふるいでふるい分けして、中間物粉末を製造する。
この27gの中間物粉末に次のような熱後処理を更に施す、すなわち、生成物を管状炉内の石英るつぼに入れ、3℃/分の加熱速度で1000℃まで加熱し、その温度で2時間保持した後、冷却する。これらは全てアルゴン雰囲気下で行われる。
焼成された生成物は、最後に乳鉢で手粉砕し、325メッシュのふるいでふるいにかけ、最終粉末を形成する。
CE3からの粉末について実施した分析の結果を表1に示す。シェラー方程式を使用して、XRDによって測定されたグラファイトドメインの平均サイズは、26nmに等しい。
TEMによって観察された比較例3の粉末の粒子に関する128の断面に関する視覚的分析によると、1つのタイプのみの粒子が存在する、すなわち、マトリックス材料中に分散された、ケイ素系粒子と、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子との両方、を有するマトリックス材料を含む粒子が存在する。粉末の全ての粒子は、26nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むため、マトリックス材料中に分散されたケイ素系ドメインを有するマトリックス材料を含み、5nmより大きいサイズ、好ましくは2nmよりも大きいサイズを有するグラファイトドメインを含んでいない粒子のフラクションは、0に等しく、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む粒子のフラクションは、1に等しい。
粉末は、E1、E2及びE3からの粉末の含有量に匹敵するSi含有量及びO含有量を有する。CE3からの粉末のBETは5.2m/gに等しい。粉末の体積基準粒径分布は、6.5μmに等しいD10、17.8μmに等しいD50及び35.6μmに等しいD90を有する。
表1:粉末E1~E3及びCE1~CE3の物理的特性。フラクション(1):マトリックス材料と、その中に分散された、5nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインを含まないケイ素系粒子とを含む粒子のフラクション。フラクション(2):少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有するグラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む粒子のフラクション。
Figure 2023523736000002
粉末の電気化学的評価
製造した粉末を、上で規定した手順に従ってフルパウチセルで試験する。試験した全ての粉末が、1300mAh/g±10mAh/gの比容量を有する。全てのパウチセルは、60mAh±2mAhの理論的初期充電容量を有する。初期クーロン効率及びサイクル寿命について得られた結果を表2に示し、レート能力について得られた結果を表3に示す。
サイクル寿命に関して、本発明によるE1、E2及びE3からの粉末の結果を、CE1からの粉末と比較すると、E1、E2及びE3では、グラファイトドメインのサイズの減少及びI/I比の減少と共に、サイクル寿命の増加を認めることができ、その理由としては、これまで述べてきたような理由があり得る。非常に小さいグラファイトドメイン(CE2)と組み合わされた、グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子に関する低いd50を有する数基準粒径分布は、サイクル寿命の減少と、初期クーロン効率の低下との両方をもたらす。1つのタイプの粒子のみが存在する場合、同じことが観察される(CE3)。
レート能力に関して、本発明によるE1、E2及びE3からの粉末の結果を、CE1からの粉末と比較すると、E1、E2及びE3では、グラファイトドメインのサイズの減少及びI/I比の減少と共に、高電流(すなわち、高Cレート)で充電される容量の増加を認めることができ、その理由としては、これまで述べてきたような理由、特に、粉末の電子伝導率の増加によるもの理由があり得る。
1つのタイプの粒子のみが存在する場合、高電流で充電される容量は減少する。これは粉末CE3の電子伝導率の低下に起因している可能性がある。
Figure 2023523736000003
Figure 2023523736000004

Claims (15)

  1. 電池の負極に使用するための粉末であって、
    炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む粒子の第1の数基準フラクションと、
    グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子を含む粒子の第2の数基準フラクションと、の混合物を含み、
    前記粉末は、
    前記Si非含有炭素質粒子に含まれる前記グラファイトドメインは、C(002)に帰属する粉末のX線回折ピークに適用したシェラー方程式によって決定された、少なくとも10nm及び最大で45nmの平均サイズを有し、26°と27°との間の2θCuにおいて最大強度Iを有し、また
    前記炭素質マトリックス材料と、その中に分散されたケイ素系粒子とを含む前記粒子は、5nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインを含まず、好ましくは2nmより大きいサイズを有するグラファイトドメインを含まない、ことを特徴とする、粉末。
  2. 前記グラファイトドメインの前記平均サイズが、少なくとも12nm及び最大で39nmである、請求項1に記載の粉末。
  3. 前記粉末のX線回折図が、26°と27°との間の2θCuにおいて最大強度Iを有する、C(002)に帰属するピークと、28°と29°との間の2θCuにおいて最大強度Iを有する、Si(111)に帰属するピークとを有し、I/I比は、0.2以上及び2.0以下である、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉末。
  4. 前記グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子が、d50を有する数基準粒径分布を特徴とし、前記d50は、25μm以下及び6μm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末。
  5. 前記グラファイトドメインを含むSi非含有炭素質粒子が、次の材料、すなわち、剥離グラファイト、膨張グラファイト、グラフェンナノプレートレットのうちの少なくとも1つから作製されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉末。
  6. 前記ケイ素系粒子が、d50を有する数基準粒径分布を特徴とし、前記d50が、20nm以上及び150nm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉末。
  7. 重量パーセント(重量%)で表されるケイ素含有量Cを有し、10重量%≦C≦60重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粉末。
  8. ケイ素含有量C及び酸素含有量Dを有し、両方とも重量パーセント(重量%)で表され、D≦0.15Cである、請求項1~7のいずれか一項に記載の粉末。
  9. 粒子の前記第1の数基準フラクションが、前記粉末に含まれる100個の粒子の最小数に関して、少なくとも0.2及び最大で0.8である、請求項1~8のいずれか一項に記載の粉末。
  10. 粒子の前記第2の数基準フラクションが、前記粉末に含まれる100個の粒子の最小数に関して、少なくとも0.2及び最大で0.8である、請求項1~9のいずれか一項に記載の粉末。
  11. 細孔を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の粉末。
  12. 前記粉末の前記粒子が、D10、D50及びD90を有する体積基準粒径分布を有し、1μm≦D10≦10μm、8μm≦D50≦25μm及び10μm≦D90≦40μmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の粉末。
  13. 最大で10m/g、好ましくは最大で5m/gのBET表面積を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の粉末。
  14. 前記マトリックス材料が、以下の材料、すなわち、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、スクロース、コールタールピッチ、石油ピッチ、リグニン、樹脂のうちの少なくとも1つの熱分解の生成物であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の粉末。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載の粉末を含む電池。
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