JP2023523652A - ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防のための組成物並びに方法を提供する。本発明はさらに、そのような治療に対する対象の感受性を決定する方法及び有効な治療に必要な前記組成物の量を決定する方法に関する。

Description

本発明は、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防のための組成物並びに方法を提供する。本発明はさらに、そのような治療に対する対象の感受性を決定する方法及び有効な治療に必要な前記組成物の量を決定する方法に関する。
例えばコロナウイルスなどのウイルスは、世界中の動物及びヒトに疾患を引き起こす。コロナウイルスはRNAウイルスである。
ヒトコロナウイルス(HCoV)は、主に上気道及び下気道の感染症を引き起こすことが知られている。ヒトコロナウイルスの例には、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすβコロナウイルス(MERS-CoVと命名)、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすβコロナウイルス(SARS-CoV又はSARS-CoV-1と命名)、コロナウイルス病2019又はCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2と命名)、αコロナウイルス299E、αコロナウイルスNL63、βコロナウイルスOC43、及びβコロナウイルスHKU1が挙げられる。
SARS-CoV-2感染によって引き起こされる疾患又は症候群は、COVID-19とも称される。SARS-CoV-2感染は、無症候性であるか、軽度又は重度の症状に関連する疾患又は症候群に至る場合がある。SARS-CoV-2(SARS-CoV-19とも称される)感染に関連する疾患又は症候群の最も一般的な症状は、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化である。その他の症状には、食欲不振、体重減少、胃痛、結膜炎、皮膚発疹、リンパ腫、無関心、及び傾眠が挙げられる。
重症患者は、肺炎を発症する場合がある。かなりの数の肺炎患者が受動的酸素療法を必要とする。非侵襲的換気及び高流量鼻酸素療法は、軽度及び中等度の非高二酸化炭素血症性肺炎の症例に適用され得る。重症急性呼吸器症候群又は急性呼吸窮迫症候群(SARS/ARDS)及び人工呼吸器を使用している患者では、肺における省力換気戦略を実施する必要がある。
コロナウイルス病2019(COVID-19)の主な合併症は呼吸不全であるが、かなりの数の患者が、末梢神経系(PNS)及び中枢神経系(CNS)の両方に影響を及ぼす神経学的症状を呈していると報告されている(Niazkar, Zibaee et al. 2020 Neurol Sci 41(7):1667-1671; Nordvig, Fong et al. 2021, Neurol Clin Pract 11(2):e135-e146)。造血経路、末梢神経に沿った逆行性輸送/順行性輸送、及び稀な直接侵入は、SARS-CoV-2を含む神経向性ウイルスの潜在的な神経侵入メカニズムと考えられている(Barrantes 2021 Brain Behav Immun Health 14:100251; Tavcar, Potokar et al. 2021, Front Cell Neurosci 15:662578)。SARS-CoV-2の重症例は、サイトカイン、ケモカイン、及び炎症性キュー(pro-inflammatory cue)の全身性のアップレギュレーションを含む、不均衡かつ異常な炎症反応を示すことがよくある(Najjar, Najjar et al. 2020, J Neuroinflammation 17(1):231)。このような全身性過炎症は、神経血管内皮機能を損ない、血液脳関門(BBB)を損傷し、最終的にCNS免疫系を活性化し、CNS合併症に寄与する可能性がある(Amruta, Chastain et al., 2021, Cytokine Growth Factor Rev 58:1-15)。
COVID-19パンデミックが最近注目を集めてはいるが、他のいくつかのウイルスは、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症などの主要な脳障害に関連している。ウイルス感染に関連する疾患又は症候群には、さらに炎症性疾患などの広範な疾患又は症候群が含まれ、社会にとって大きな負担となっている。したがって、ウイルスに関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を改善する必要がある。
上記の技術的問題は、本明細書に開示され、特許請求の範囲で定義される態様によって解決される。
本発明は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物を提供する。α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、特に、ヒト血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得る。あるいは、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、好ましくは、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。コロナウイルス感染などのウイルス感染は、SARS-CoV-2感染であることが好ましい。ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする目的の対象が、i)より低いレベルの内因性α-アンチトリプシン(AAT)、ii)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、iii)より高いレベルのアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体、及び/又はiv)無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、より高いレベルのインターフェロンγ(IFN-γ)を有し得る。
本発明はまた、本発明の使用のための組成物を使用して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群を効果的に治療及び/又は予防するための目的の対象の感受性を決定する方法に関する。
本発明はさらに、本発明の使用のための組成物を使用して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群を効果的に治療及び/又は予防するためのα1-アンチトリプシン(AAT)の治療有効量を決定する方法を提供する。
ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象における治療及び/又は予防方法であって、α1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を投与することを含む、方法も提供される。α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、特に、ヒト血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得る。あるいは、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、好ましくは、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。
したがって、本発明は、とりわけ、以下の態様に関する。
1.ウイルス感染症に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物。
2.前記必要とする対象が、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染症中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染症前又はウイルス感染症中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベル、
からなる群から選択される少なくとも1つを有する、態様1に記載の使用のための組成物。
3.前記ウイルス感染前又はウイルス感染中の内因性AATのより低いレベルが、AAT欠乏によって引き起こされる、態様2に記載の使用のための組成物。
4.前記スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼが、膜貫通プロテアーゼセリンサブタイプ2(TMPRSS2)、膜貫通プロテアーゼサブタイプ6(TMPRSS6)、カテプシンL、カテプシンB、プロプロテインコンバターゼ1(PC1)、トリプシン、エラスターゼ、好中球エラスターゼ、マトリプターゼ、及びフーリン、好ましくはカテプシンL及びフーリン、からなる群から選択される少なくとも1つである、態様2又は3に記載の使用のための組成物。
5.前記少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベルが、年齢及び/又は遺伝的素因によって引き起こされる、態様2~4のいずれかに記載の使用のための組成物。
6.前記ACE2受容体のより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、態様2~5のいずれかに記載の使用のための組成物。
7.前記IFN-γのより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、態様2~6のいずれかに記載の使用のための組成物。
8.前記必要とする対象が、
i)より低いレベルの内因性AAT、及び
ii)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼを有する、態様2~7のいずれかに記載の使用のための組成物。
9.前記必要とする対象が、
i)より低いレベルの内因性AAT及び
iii)より高いレベルのACE2受容体を有する、態様2~8のいずれかに記載の使用のための組成物。
10.前記必要とする対象が、
i)より低いレベルの内因性AAT及び
iv)より高いレベルのIFN-γを有する、態様2~9のいずれかに記載の使用のための組成物。
11.前記より高いレベルのIFN-γが、AAT欠乏症、非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患、糖尿病、肥満、及び心血管疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患又は状態によって引き起こされる、態様10に記載の使用のための組成物。
12.前記必要とする対象が、
i)より低いレベルの内因性AAT、
ii)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、並びに
iii)より高いレベルのACE2受容体を有する、及び/又はiv)より高いレベルのIFN-γを有する、態様2~11のいずれかに記載の使用のための組成物。
13.前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、ヒト血漿抽出物である、態様1~12のいずれかに記載の使用のための組成物。
14.前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である、態様1~12のいずれかに記載の使用のための組成物。
15.前記α1-アンチトリプシンタンパク質が、配列番号1に記載されている、態様14に記載の使用のための組成物
16.前記α1-アンチトリプシン断片が、C末端配列フラグメント又はその任意の組み合わせである、態様14に記載の使用のための組成物。
17.前記α1-アンチトリプシンバリアントが、配列番号2に記載のC末端配列に由来する短環状ペプチドを含む群から選択される、態様14に記載の使用のための組成物。
18.α1-アンチトリプシンの前記C末端配列に由来する短環状ペプチドが、シクロ-(CPFVFLM)-SH、シクロ-(CPFVFLE)-SH、シクロ-(CPFVFLR)-SH、及びシクロ-(CPEVFLM)-SH、又はそれら任意の組み合わせを含む群から選択される、態様17に記載の使用のための組成物。
19.前記組成物が、薬学的に許容される賦形剤又は担体をさらに含む、態様1~18のいずれかに記載の使用のための組成物。
20.前記組成物が、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、免疫抑制剤(例えば、サリルマブ又はトシリズマブ)、抗生物質、ウイルスの構造成分に対する抗体又はその断片(例えば、受動免疫療法)、インターフェロンβ(例えば、インターフェロンβ-1a)、及び/又はワクチンをさらに含む、態様1~19のいずれかに記載の使用のための組成物。
21.前記組成物が、静脈内注射、静脈内注入、Dosator型ポンプによる注入、吸入鼻スプレー、点眼薬、皮膚パッチ、徐放製剤、又はエクスビボ遺伝子治療若しくはエクスビボ細胞治療によって、好ましくは静脈内注射によって投与される、態様1~20のいずれかに記載の使用のための組成物。
22.態様1~21のいずれかにおいて定義されるα1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む組成物を用いて、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防のための目的の対象の感受性を測定するための方法であって、
a)ウイルス感染前又はウイルス感染中の前記目的の対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γを含む群の少なくとも1つのレベルを測定すること、
b)ウイルス感染中の少なくとも1人の参照対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γを含む群の少なくとも1つのレベルを測定することであって、前記参照対象は無症候性であるか軽度の症状を有すること、並びに
c)工程a)で測定された目的のレベルを、工程b)で測定された参照レベルと比較する工程であって、
前記目的の対象が、
1.内因性AATの参照レベルと比較して、内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低い目的のレベル、
2.少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼの参照レベルと比較して、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高い目的のレベル、
3.ACE2受容体の参照レベルと比較して、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高い目的のレベル、及び
4.IFN-γの参照レベルと比較して、インターフェロン-γ(IFN-γ)のより高い目的のレベル
からなる群から選択される少なくとも1つを有する場合、前記目的の対象は、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防に対する感受性があること、を含む、方法。
23.態様1~21のいずれか一項に記載の組成物を使用して、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群を効果的に治療及び/又は予防するためのα1-アンチトリプシン(AAT及び/又はrhAAT)の治療有効量を決定する方法であって、
a)ウイルス感染前又はウイルス感染中の目的の対象における内因性α1-アンチトリプシンのレベルを決定すること、及び
b)前記対象において少なくとも10μM、好ましくは少なくとも20μM、より好ましくは少なくとも50μM、さらにより好ましくは少なくとも100μM、最も好ましくは少なくとも200μMであるAATレベルを達成するために必要である、前記組成物中のAATの量を決定する工程を含む、方法。
24.前記ウイルスがコロナウイルスである、態様1~21のいずれかに記載の組成物、又は態様22及び23に記載の使用のための方法。
25.前記ウイルスがSARS-CoV-2である、態様24に記載の使用のための組成物、又は態様24に記載の方法。
26.前記疾患又は症候群が、呼吸器症候群又は重症急性呼吸器症候群である、態様1~25のいずれかに記載の使用のための組成物、又は態様22~25のいずれかに記載の方法。
27.前記疾患又は症候群が、神経系の炎症性疾患又は症候群である、請求項1~25のいずれかに記載の使用のための組成物、又は態様22~25のいずれかに記載の方法。
28.前記神経系の炎症性疾患又は症候群が、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病の群から選択される疾患又は症候群である、態様1~27のいずれかに記載の使用のための組成物、又は態様27に記載の方法。
本明細書に記載のものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、適切な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。本明細書で論じる刊行物及び出願は、単にこれらの開示が本出願の出願日より以前であるために提供される。本明細書のいかなる内容も、先行発明であるとの理由で本発明がそのような公開に先行する権利を有しないことの承認と解釈されるべきではない。また、材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的としており、限定を意図するものではない。
矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、発明の内容が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用されるように、以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。
用語「含む(備える)/含むこと(備えること)(comprise/comprising)」は、概して、含む/含むこと(include/including)、すなわち、1又は複数の特徴又は構成要素の存在を許容するという意味で使用される。
明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1(つ)(a/an)」及び「前記(the)」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」は、「1つ以上」、「2つ以上」、「3つ以上」などを意味する。
本明細書で使用される「対象」/「必要とする対象」、又は「患者」/「(それを)必要とする患者」という用語は、当技術分野で充分に認識されており、本明細書では互換的に使用され、イヌ、ネコ、ラット、マウス、サル、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラクダ、そして最も好ましくはヒトを含む哺乳動物を指す。場合によっては、前記対象は、治療を必要とする対象又は疾患若しくは障害を有する対象である。しかしながら、他の態様において、前記対象は正常な対象であり得る。この用語は、特定の年齢や性別を示すものではない。したがって、成人、小児、新生児の対象は、男性か女性かを問わず包含される。好ましくは、前記対象はヒトである。最も好ましくは、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患又は症候群を患っているヒトである。
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ポリペプチド性」、及び「ペプチド性」という用語は、隣接する残基のα-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合によって互いに連結された一連のアミノ酸残基を示すために交換可能に使用される。
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、及び「オリゴヌクレオチド」という用語は互換的に使用され、線状又は環状コンフォメーション及び一本鎖又は二本鎖のいずれかである、任意の種類のデオキシリボヌクレオチド(例えば、DNA、cDNA)若しくはリボヌクレオチド(例えば、RNA、mRNA)ポリマー又はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチド(例えば、DNA/RNA)ポリマーとの組み合わせを指す。これらの用語は、ポリマーの長さに関して限定するものと解釈されるべきではなく、天然のヌクレオチドの公知の類似体、並びに塩基、糖、及び/又はリン酸部分(例えば、ホスホロチオエート骨格)が修飾されたヌクレオチドを包含し得る。概して、特定のヌクレオチドの類似体は同じ塩基対特異性を有する、すなわち、Aの類似体はTと塩基対を形成する。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、本発明の1又は複数の異種核酸配列を含み、及び好ましくは、異なる宿主細胞間の転移のために設計される、ウイルスベクター又はプラスミド若しくは他のビヒクルなどの核酸(DNA/RNA)分子を指す。「発現ベクター」、「遺伝子送達ベクター」、及び「遺伝子治療ベクター」という用語は、細胞内で、好ましくはプロモーターの制御下で、本発明の1又は複数の核酸を細胞に組み込み、発現させるのに有効な任意のベクターを指す。クローニング又は発現ベクターは、プロモーターに加えて、追加の要素、例えば、調節要素及び/又は転写後調節要素を含んでいてもよい。
「約」という用語は、特に所与の量に関して、±10パーセント、好ましくは5パーセント、さらにより好ましくは2パーセント、最も好ましくは1パーセントの偏差を包含することを意味する。
本発明は、任意のウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物に関する。
前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、特に、ヒト血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得る。あるいは、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、好ましくは、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。前記ウイルス感染は、DNAウイルス(二本鎖又は一本鎖)、RNAウイルス(一本鎖又は二本鎖、陽性か陰性かに関わらず)、逆転写ウイルス、又は任意の新興ウイルス(エンベロープ化又は非エンベロープ化に関わらず)が原因となり得る。
本発明のいくつかの態様において、前記組成物は、呼吸器ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防において使用される。いくつかの態様では、本明細書に記載の呼吸器ウイルスは、ライノウイルス、RSV、パラインフルエンザ、メタニューモウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ボカウイルス、ポリオーマウイルス、単純ヘルペスウイルス、及びサイトメガロウイルスの群から選択されるウイルスである。
本発明のいくつかの態様では、前記組成物は、DNAウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防において使用される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のDNAウイルスは、アデノウイルス、ライノウイルス、RSV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ボカウイルス、ポリオーマウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ボカウイルス、ポリオーマウイルス、及びサイトメガロウイルスからなる群から選択される。
本発明のいくつかの態様において、前記組成物は、RNAウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防において使用される。前記RNAウイルスは、エンベロープ化若しくはコーティングされたウイルス、又は非エンベロープ化若しくは裸のRNAウイルスであり得る。前記RNAウイルスは、一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス又は二本鎖RNA(dsRNA)ウイルスであり得る。前記一本鎖RNAウイルスは、ポジティブセンス(プラス鎖)ssRNAウイルス又はネガティブコントロールセンス(マイナス鎖)ssRNAウイルスであり得る。
いくつかの態様では、本明細書に記載のRNAウイルスは、ライノウイルス、RSV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ボカウイルス、ポリオーマウイルス、単純ヘルペスウイルス、及びサイトメガロウイルスからなる群から選択される。
本発明のいくつかの態様において、前記組成物は、コロナウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象におけるでの治療及び/又は予防において使用される。いくつかの態様では、本明細書に記載のコロナウイルスは、α-CoV、β-CoV、γ-CoV、又はδ-CoVの群から選択される属のコロナウイルスである。別の特定の態様では、本明細書に記載のコロナウイルスは、α-CoV又はβ-CoV属である。いくつかの態様では、本明細書に記載のコロナウイルスは、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウイルスHKU1(HCoV-HKU1)、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)、ヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63、ニューヘブン(New Haven)コロナウイルス)、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV又は「新規コロナウイルス2012」)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV又は「SARS-Classic」)、及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2又は「新規コロナウイルス2019」)からなる群から選択される。好ましくは、ウイルス感染は、RNAウイルス感染であり、最も好ましくは、MERS-CoV、SARS-CoV、及びSARS-CoV-2を含む非限定的な群から選択されるコロナウイルスによるコロナウイルス感染である。最も好ましくは、ウイルス感染はSARS-CoV-2感染である。
本発明は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する全ての疾患又は症候群を含むことを理解されたい。SARS-CoV-2-感染症に関連する疾患又は症候群は、COVID-19とも称される。一態様では、ウイルス感染に関連する疾患又は症候群は、例えば、全身の血管の炎症(例えば、川崎病)、免疫疾患(例えば、グレーブス病(バセドウ病))、及び/又は呼吸器症候群、特に重度の急性呼吸器症候群である。前記疾患又は症候群は、ウイルス感染が、疾患又は症候群の前に、疾患又は症候群に関連し、疾患又は症候群に寄与し、及び/又は疾患若しくは症候群を引き起こすという点で、ウイルス感染に関連し得る。例えば、ウイルス感染は、疾患又は症候群を直接的若しくは間接的に誘発する炎症を誘発し得る。ウイルス感染に関連する炎症は、急性又は慢性の炎症であり得る。ウイルス感染に関連する炎症は、その後、全身性及び/又は特定の臓器、例えば、脳において持続し、及び/又は永続的な損傷を誘発し得る。本発明のいくつかの態様において、前記組成物は、ウイルス感染に関連する神経系の炎症性疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防において使用される。
本明細書で使用される「神経系の炎症性疾患又は(若しくは)症候群」という用語は、健康な参照対象と比較して神経系における炎症の増加を特徴とする疾患、症候群、及び/又は状態を指す。神経系の疾患又は症候群を含む本明細書に記載の疾患又は症候群は、ウイルスに関連する。炎症は、炎症マーカーの調節不全によって、及び/又は血液及び/又は脳における免疫細胞の浸潤、活性化、増殖、及び/又は分化の増加によって特徴付けられる。炎症マーカーは、対象における炎症を示すマーカーである。特定の態様では、本明細書に記載の炎症マーカーは、CRP、赤血球沈降速度(ESR)、プロカルシトニン(PCT)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-33、IL-32、IL-33、IL-35、又はIL-36)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα、TNFβ)、インターフェロン(例えば、インターフェロンγ)、MIP-I、MCP-I、RANTES、その他のケモカイン、及び/又はその他のサイトカインの群から選択されるマーカーである。炎症マーカーはまた、例えば、炎症マーカーの阻害因子(例えば、結合因子及び/又はアンタゴニスト)の検出によって、間接的に検出可能であり得る。いくつかの態様では、炎症マーカーは、炎症に関与する細胞、炎症に関与する細胞によって影響を受ける細胞、脳脊髄液、及び/又は血液で測定される。いくつかの態様では、炎症マーカーは、免疫細胞の浸潤、活性化、増殖、及び/又は分化を示す。炎症マーカーが検出される又は2つ以上の炎症マーカーの比率が正常範囲外で検出される。炎症マーカーの正常範囲、及び炎症を示すためにマーカー(比率)が閾値を下回るか上回る必要があるかどうかは、当業者に公知である。いくつかの態様では、少なくとも1つの炎症マーカーの遺伝子発現レベル、RNA転写レベル、タンパク質発現レベル、タンパク質活性レベル、及び/又は酵素活性レベルが検出される。いくつかの態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象における神経系の炎症性疾患又は症候群を決定するために、少なくとも1つの炎症マーカーが定量的及び/又は定性的に検出される。
いくつかの態様では、本明細書に記載の神経系の炎症性疾患又は症候群は、典型的には約数分(例えば、2分、5分、10分、15分、30分、又は45分)~数日(例えば、2日、3日、5日、7日、10日、又は14日)分かかる炎症症状の持続時間である急性炎症を特徴とする。急性炎症は典型的には、ウイルス感染などの刺激の直接的な結果として発生する。いくつかの態様では、神経系の炎症性疾患又は症候群は慢性炎症を特徴とし、炎症の症状の持続期間は典型的には、少なくとも約数日(例えば、2日、3日、5日、7日、10日、又は14日)かかり、炎症の症状が少なくとも1回再発する(例えば、1回以上、2回以上、又は3回以上)。いくつかの態様では、神経系の炎症性疾患又は症候群は、慢性の軽度の炎症を特徴としている。慢性の軽度の炎症は、臨床症状がなくても発生する場合がある。
特定の態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象は、ウイルス感染の病歴を有する。したがって、治療及び/又は予防を必要とする対象は、少なくとも1回ウイルスに感染したことがある。特定の態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象は、少なくとも1回ウイルスに感染したことがある。特定の態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象は、幼少期に少なくとも1回ウイルスに感染したことがある。特定の態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象は、少なくとも1回ウイルスに感染していた。特定の態様では、治療及び/又は予防を必要とする対象は、過去30年、29年、28年、27年、26年、25年、24年、23年、22年、21年、20年、19年、18年、17年、16年、15年、14年、13年、12年、11年、10年、9年、8年、7年、6年、5年、4年、3年、2年、1年、又は0.5年の間に少なくとも1回ウイルスに感染したことがある。特定の態様では、ウイルス感染は、治療及び/又は予防を必要とする対象における神経系の炎症性疾患又は症候群の診断の時点で活動的である(例えば、検出可能である)。
ウイルス感染を検出する方法は、当業者に公知である。いくつかの態様では、本発明は、ウイルス単離、核酸に基づく方法、顕微鏡に基づく方法、宿主抗体検出、電子顕微鏡、及びび宿主細胞表現型の群から選択されるウイルスを検出する方法に関する。
いくつかの態様では、本明細書に記載のウイルス感染は、鼻咽頭スワブ、血液、組織(例えば、皮膚)、喀痰、うがい液、気管支洗浄液、尿、精液、糞便、脳脊髄液、乾燥血斑、鼻粘液の群から選択される試料などの試料で検出される。
いくつかの態様では、本明細書に記載のウイルス感染は、患者の病歴から検索された情報として得られる。
(以前の)SARS-CoV-2感染の検出の例には、ヒトIFN-γ SARS-CoV-2 ELISpotPLUSキット(ALP)、ストリッププレート(Mabtech社、3420-4AST-P1-1)、又はT細胞応答測定が挙げられる(Zuo, J., Dowell, A.C., Pearce, H. et al., 2021, Nat Immunol)。
いくつかの態様では、本明細書に記載の神経系の炎症性疾患又は症候群は、交感神経系の炎症性疾患又は症候群である。いくつかの態様では、本明細書に記載の神経系の炎症性疾患又は症候群は、副交感神経系の炎症性疾患又は症候群である。いくつかの態様では、本明細書に記載の神経系の炎症性疾患又は症候群は、中枢神経系の炎症性疾患又は症候群である。いくつかの態様では、本明細書に記載の神経系の炎症性疾患又は症候群は、末梢神経系の炎症性疾患又は症候群である。
特定の態様では、ウイルスに関連する神経系の炎症性疾患又は症候群は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病の群から選択される。
本明細書で使用される「多発性硬化症」という用語は、炎症、脱髄、オリゴデンドロサイト死、膜損傷及び軸索死によって特徴付けられる疾患又は障害を指す。いくつかの態様では、本明細書に記載の多発性硬化症は、再発/寛解する多発性硬化症又は進行性多発性硬化症を指す。いくつかの態様では、多発性硬化症は、神経科医の国際調査で定義された4つの主要な多発性硬化症の種類の少なくとも1つであり(Lublin and Reingold, 1996, Neurology 46(4):907-11)、すなわち、再発性/寛解性多発性硬化症、二次進行性多発性硬化症、進行性/再発性多発性硬化症、又は原発性進行性多発性硬化症(PPMS)である。
いくつかの態様では、本明細書に記載の多発性硬化症は、視覚障害、めまい、回転性めまい、感覚障害、衰弱、協調障害、平衡感覚の喪失、疲労、痛み、神経認知障害、精神障害、膀胱機能障害、腸機能障害、性機能障害、熱過敏を含む多発性硬化症の症状を指す。
本明細書で使用される「ハンチントン病」という用語は、病原性突然変異ハンチンチンタンパク質(HTT又はmHTT)の産生をもたらす、HTT遺伝子におけるトリヌクレオチド反復伸長(例えば、ポリグルタミンに翻訳されるCAG、又はポリQトラクト)によって引き起こされる神経変性疾患を指す。いくつかの態様では、変異ハンチンチンタンパク質は、脳の特定の領域で神経細胞死の速度を速める。いくつかの態様では、本明細書に記載のハンチントン病は、ハンチントン病の症状を指し、運動機能障害、認知障害、うつ病、不安、運動障害、舞踏病、硬直、筋拘縮(ジストニア)、眼球運動の遅延又は異常眼球運動、歩行障害、姿勢の変化、バランス障害、意図しない体重減少、睡眠リズムの乱れ、概日リズムの乱れ、及び自律神経系の機能障害を含む。
本明細書で使用される「筋萎縮性側索硬化症」という用語は、上位運動ニューロン(脳内の運動ニューロン)及び/又は下位運動ニューロン(脊髄内の運動ニューロン)に影響を及ぼし、運動ニューロン死をもたらす進行性神経変性疾患を指す。いくつかの態様では、筋萎縮性側索硬化症には、当技術分野で公知の筋萎縮性側索硬化症の全ての分類が含まれ、古典的筋萎縮性側索硬化症(典型的には下部及び上部運動ニューロンの両方に影響を与える)、原発性側索硬化症(PLS、典型的には上部運動ニューロンのみに影響を与える)、進行性球麻痺(PBP又は延髄発症(Bulbar Onset)、典型的には嚥下、咀嚼、及び発話の困難から始まる筋萎縮性側索硬化症のバージョン)、進行性筋萎縮症(PMA、典型的には下位運動ニューロンのみに影響を与える)、及び家族性筋萎縮性側索硬化症(筋萎縮性側索硬化症の遺伝的バージョン)が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの態様では、「筋萎縮性側索硬化症」という用語は、筋萎縮性側索硬化症の症状を指し、進行性衰弱、萎縮、線維束性攣縮、反射亢進、構音障害、嚥下障害、及び/又は呼吸機能の麻痺が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「アルツハイマー病」(AD)という用語は、特定の変性脳疾患は、老人斑、神経突起のもつれ、及び進行性の神経細胞の喪失を特徴とし、進行性の記憶障害、混乱、行動上の問題、自分で身の回りのことができないこと、及び/又は徐々に身体が悪化することで臨床的に現れる、特定の変性脳疾患に関連する精神的悪化を指す。
いくつかの態様では、アルツハイマー病に罹患している対象は、NINCDS-ADRDA(アメリカ国立神経障害・脳卒中研究所(NINDS)及びアルツハイマー病・関連障害協会(ADRDA))基準を使用して特定される。
1)臨床認知症評価(CDR)=1、-16~24ポイントのミニメンタルステート検査(MMSE)及び内側側頭萎縮(磁気共鳴画像法、MRIによって決定)>シェルテンススケールで3ポイント。いくつかの態様では、アルツハイマー病という用語には、1984年にNINCDS-ADRDAアルツハイマー病診断基準によって定義された以下の段階を含む、疾患の全ての段階が含まれる。
2)確実なアルツハイマー病患者はおそらくアルツハイマー病の基準を満たし、剖検又は生検によるADの組織病理学的エビデンスを有する。
確からしい又は前駆アルツハイマー病認知症は、臨床的及び神経心理学的検査によって確立されている。認知障害も進行性で、2つ以上の認知領域に存在する必要がある。認知欠損の発症は40歳~90歳の間であり、そして認知症症候群を引き起こし得る他の病気が存在しなくなる。
3)可能性のある又は非前駆期のアルツハイマー病:非定型を発症又は呈する認知症症候群があり、既知の病因なしに、認知症を引き起こし得る併存疾患が、その起源にあるとは考えられていない。いくつかの態様では、アルツハイマー病という用語は、アルツハイマー病の1つの段階を指す。いくつかの態様では、アルツハイマー病という用語は、アルツハイマー病の2つの段階を指す。いくつかの態様では、「アルツハイマー病」という用語は、記憶喪失、混乱、思考困難、言語の変化、行動の変化、及び/又は性格の変化を含むがこれらに限定されないアルツハイマー病の症状を指す。
本明細書で使用される「パーキンソン病」という用語は、黒質の大脳基底核における退行性、血管性、又は炎症性変化に起因するドーパミン欠乏を特徴とする神経学的症候群を指す。パーキンソン病の症状には、以下が含まれるが、これらに限定されない:安静時振戦、歯車様強剛、運動緩慢、姿勢反射障害、1-ドーパ治療に対する良好な反応、顕著な動眼神経麻痺の欠如、小脳又は錐体徴候、筋萎縮、運動障害、及び/又は失語症。特定の態様では、本発明は、ドーパミン作動性機能障害関連症候群の治療に利用される。いくつかの態様では、パーキンソン病には、パーキンソン病のあらゆる段階が含まれる。いくつかの態様では、パーキンソン病という用語には、パーキンソン病の初期段階が含まれ、パーキンソン病の初期段階を広く指し、この疾患に罹患した人は、体の片側のみに影響を及ぼす、一方の手足(例えば、手)の一時的な振戦などの障害をもたらさない軽度の症状を呈する。
いくつかの態様では、パーキンソン病という用語には、パーキンソン病のより進行した段階を指すパーキンソン病の進行期が含まれ、この疾患に罹患した人は、典型的には重度で、何らかの障害につながる可能性のある症状を示す(例えば、身体の両側にわたる振戦、バランスの問題など)。進行期のパーキンソン病に関連する症状は、人によって大きく異なる場合があり、病気の最初の出現から顕著になるまでに数年かかる場合がある。
いくつかの態様では、「パーキンソン病」という用語は、パーキンソン病の症状を指し、振戦(例えば、安静時に最も顕著になる振戦)、震え(例えば、手、腕、脚、顎、及び顔の震え)、筋肉のこわばり、姿勢反射の欠如、随意運動の鈍化、後退、仮面様表情、前屈姿勢、バランスの悪さ、調整の悪さ、運動緩慢、姿勢の不安定さ、及び/又は歩行異常を含むが、これらに限定されない。
神経系の炎症性疾患又は症候群とウイルス感染との確立された関連の例:
Figure 2023523652000001
前記疾患又は症候群は、好ましくは、コロナウイルス感染に関連し、より好ましくは、前記疾患又は症候群は、SARS-CoV-2感染に関連する。SARS-CoV-2疾患又は症候群に関連する症候群又は疾患は、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化、食欲不振、体重減少、胃痛、結膜炎、皮膚発疹、リンパ腫、無関心、及び傾眠、好ましくは、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物に関する。コロナウイルスは、好ましくはSARS-CoV-2である。
本発明者らは、AAT及びrhAATがいくつかのウイルスのウイルス侵入を阻害し(図11、図21、図22を参照)、特に神経系のミクログリアにおける炎症を軽減することを見出した(図19、図20)。さらに、神経起源であり、パーキンソン病を含む神経変性疾患の研究に頻繁に使用されるSH-SY5Y細胞(Xicoy, H., Wieringa, B. & Martens, G.J. The SH-SY5Y cell line in Parkinson’s disease research:a systematic review. Mol Neurodegeneration 12, 10, 2017)は、スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼmRNA、すなわちトリプシン及びカテプシンBの非常に高いコピー数を示す(図15e)。SH-SY5Yにおける比較的高レベルのACE2発現と相まって(図3a)、これらの神経組織(Bielarz V, Willemart K, Avalosse N, et al. Susceptibility of neuroblastoma and glioblastoma cell lines to SARS-CoV-2 infection. Brain Res. 2021 May 1)及び同様の起源の細胞は、SARS-CoV-2ウイルス感染に対して感受性になる。
本発明の使用のための組成物を脳を含む神経系に送達し、血液脳関門を通過させるために、様々な戦略を使用することができる(Salameh, T. S., & Banks, W. A., 2014, Advances in pharmacology, 71, 277-299; Tashima, T., 2020, Receptor-Mediated Transcytosis. Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 68(4), 316-32; Pardridge, W. M., 2020, Frontiers in aging neuroscience, 11, 373; Upadhyay, R. K., 2014, BioMed research international)。
いくつかの態様では、本発明の使用のための組成物は、血液脳関門増強タンパク質に融合される。いくつかの態様では、本明細書に記載の血液脳関門増強タンパク質は、トランスフェリン、インスリン、インスリン様増殖因子、及び低密度リポタンパク質の群から選択されるタンパク質の少なくとも1つの完全なタンパク質、バリアント、アイソフォーム、及び/又は断片である。
トロイの木馬戦略を使用してもよい(例えば、Pardridge, W.M., 2017, BioDrugs 31, 503-519を参照)。いくつかの態様では、本発明の使用のための組成物は、インスリン受容体又はトランスフェリン受容体などの内因性BBB受容体トランスポーターに結合する抗体又はその断片に連結される。
本発明の使用のための組成物はまた、親油性を増加させ、続いてBBB交差特性を改善するために改変され得る(例えば、Upadhyay, R. K., 2014,. BioMed research international, Article ID 869269, 37 pages参照)。いくつかの態様では、本発明の使用のための組成物は、親油性を増加させる改変を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の親油性を増加させる改変は、少なくとも1つの親水性ペプチドの付加、少なくとも1つの親水性ペプチドによる配列部分の置換、脂質部分の付加、及び/又は脂質部分による非脂質部分の置換を含む。
したがって、本発明は、ウイルス感染に関連する疾患又は症候群に対するAATの広範な効果に少なくとも部分的に基づく。
特定の対象は、AAT及び/又はrhAATタンパク質による治療及び/又は予防に特に適している可能性がある。
よって、本発明はまた、ウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、より好ましくはSARS-CoV-2感染症に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物であって、前記必要とする対象は、少なくとも1人の参照対象と比較して、i)内因性α-アンチトリプシン(AAT)、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)、及びインターフェロン-γ(IFN-γ)から選択される少なくとも1つのレベルの変化を有する、組成物に関する。前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、特に、ヒト血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得、あるいは、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、好ましくは、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。
前記「必要とする対象」は、目的の対象とも称される。前記必要とする対象は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の又はそれらを有する対象であり得る対象(すなわち、罹患対象)であり、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患又は症候群を有する。罹患対象は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とし得る。スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼを阻害することにより、AAT及び/又はrhAATによる治療は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2ウイルスの細胞への侵入を阻害又は減少させ、体内のウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2ウイルスの伝播を減少させる、及び/又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染への応答として炎症を減少させることができる。治療及び/又は予防を必要とする対象は、呼吸器症候群、より好ましくは急性呼吸器症候群、さらにより好ましくは重度の急性呼吸器症候群を有する可能性がある。前記治療及び/又は予防を必要とする対象は、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化、食欲不振、体重減少、胃痛、結膜炎、皮膚発疹、リンパ腫、無関心、及び傾眠からなる群から選択される、好ましくは、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化からなる群から選択される少なくとも1つの症状を有し得る。治療及び/又は予防を必要とする対象は、集中治療及び/又は人工換気を必要とする場合がある。治療及び/又は予防を必要とする対象は、上記の定義の1又はそれらの任意の組み合わせによって定義することができる。
前記必要とする対象は、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前の、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染の後に疾患又は症候群を発症しやすい対象でもあり得る。そのような対象は、感染前に、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び又は予防を必要とし得る。
少なくとも1人の参照対象は、参照対象の群であり得る。好ましくは、参照対象は、無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の又はそれらを有する対象(すなわち、感染対象)であり、より好ましくは、無症候性である、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の又はそれらを有する対象である。
本発明にかかる無症候性とは、前記(参照)対象が症状を有さない、好ましくは発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化、食欲不振、体重減少、胃痛、結膜炎、皮膚発疹、リンパ腫、無関心、及び傾眠からなる群から選択される症状を有さず、より好ましくは、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化を有さない。無症候性の(参照)対象は、呼吸器症候群、より好ましくは急性呼吸器症候群、さらにより好ましくは重度の急性呼吸器症候群を有さない。無症候性の(参照)対象は、集中治療及び/又は人工換気を必要としない。無症候性の(参照)対象は、上記の定義の1つ又はそれらの任意の組み合わせによって定義することができる。
本発明にかかる軽度の症状を有する(参照)対象は、呼吸器症候群、より好ましくは急性呼吸器症候群、さらにより好ましくは重度の急性呼吸器症候群を有さない。軽度の症状を有する(参照)対象は、集中治療及び/又は人工呼吸を必要としないことが好ましい。軽度の症状を有する(参照)対象は、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化、食欲不振、体重減少、胃痛、結膜炎、皮膚発疹、リンパ腫、無関心、及び傾眠からなる群から選択される少なくとも1つの症状を有していてもよく、より好ましくは、発熱、咳嗽、倦怠感、呼吸困難(difficulty breathing)、悪寒、関節痛又は筋肉痛、喀痰、痰、呼吸困難(dyspnea)、筋肉痛、関節痛又は喉の痛み、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、副鼻腔痛、鼻閉、嗅覚又は味覚の低下又は変化を有さず、前記軽度の症状を有する(参照)対象は、集中治療及び/又は人工呼吸を必要としない。軽度の症状を有する(参照)対象は、上記の定義の1つ又はそれらの任意の組み合わせによって定義することができる。
参照対象は子供、特に10歳未満、好ましくは5歳未満の子供であり得る。参照対象は、1~10歳、好ましくは2~5歳の年齢であり得る。
ウイルス感染、特にコロナウイルス感染、より詳細にはSARS-CoV-2感染中又はそれらを有する(参照)対象は、好ましくはウイルス、特にコロナウイルス、より詳細にはSARS-CoV-2に感染した(参照)対象である。感染(参照)対象とは、ウイルス、特にコロナウイルス、より詳細にはSARS-CoV-2ウイルスが(参照)対象の体の細胞に侵入し、好ましくはその(参照)対象の身体の細胞内で増殖していることを意味する。
ウイルス、特にコロナウイルス、より詳細にはSARS-CoV-2に感染した後、感染対象のインターフェロン-γレベルが上昇する。インターフェロン-γレベルの上昇は、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2 受容体)のレベル上昇に至る。アンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のレベルの増加は、プロテアーゼによるスパイクタンパク質の活性及びプライミングの増加を刺激する。次いで、AATの内因性レベルは、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼの活性レベルの増加に応答して減少する。その後、AATが活性スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼに結合(及び阻害)するにつれて、AATの内因性レベルはさらに枯渇する。以下の群から選択される少なくとも1つを有する対象は、ウイルス、特にコロナウイルス、より詳細にはSARS-CoV-2感染に応答して疾患又は症候群を発症する可能性が特に高くなる:i)より低いレベルの内因性α-アンチトリプシン(AAT)、ii)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、iii)より高いレベルのアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体)、及びiv)少なくとも1人の参照対象と比較して、より高いレベルのインターフェロンγ(IFN-γ)。よって、これらの目的の対象は、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む組成物を用いた、治療及び/又は予防に特に関連性があり、それらを受けるのに適している。前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、特に、ヒト血漿抽出AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得、あるいは、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、好ましくは、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。最も好ましくは、AATタンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及び/又はヒト胎児腎臓(HEK)細胞で産生される組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質である。
本発明はまた、ウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、より好ましくはSARS-CoV-2感染症に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質及び/又は組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物であって、前記必要とする対象が、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はSARS-CoV-2感染中の内因性αアンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルからなる群から選択される少なくとも1つを有する、組成物に関する。
無症候性であるか軽度の症状を有する、少なくとも1人の対象は、少なくとも1人の参照対象とも称される。前記参照対象は、本明細書に記載されるように定義される。
前記「必要とする対象」は、目的の対象とも称される。ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象は、本明細書に記載されるように定義される。
i)~iv)で定義されるレベルは、タンパク質レベル及び/又はmRNAレベル、好ましくはタンパク質又はmRNAレベルであり得る。タンパク質レベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの抗体ベースのアッセイ、及び/又は光ファイバーバイオセンサー(ForteBio Octet(登録商標))に基づくバイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して測定される。
スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのレベルは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質由来の蛍光発生ペプチドを使用してスパイクタンパク質プロテアーゼの活性を測定することによって決定され得る。この方法は、Jaimes et. al(Javier A. Jaimes, Jean K. Millet, Gary R. Whittaker Proteolytic Cleavage of the SARS-CoV-2 Spike Protein and the Role of the Novel S1/S2 Site, CELL, iScience 23, 101212, June 26, 2020)に記載されている。透過的方法におけるペプチド:それぞれHTVSLLRSTSQ配列(配列番号11)及びTNSPRRARSVA配列(配列番号12)で構成され、(7-メトキシクマリン-4-イル)アセチル/2,4-ジニトロフェニル(MCA/DNP)FRET対を含むSARS-CoV-2スパイク(S)S1/S2部位に由来する蛍光性ペプチドは、Biomatik社(米国デラウェア州ウィルミントン)により合成された。組換えフーリンは、New England Biolabs社(米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)から購入可能である。組換えL-1-トシルアミド-2-フェニルエチルクロロメチルケトン(TPCK)処理トリプシンは、Sigma-Aldrich社(米国ミズーリ州セントルイス)から入手可能である。組換えPC1、マトリプターゼ、カテプシンB、及びカテプシンLは、R&D Systems社(米国ミネソタ州ミネアポリス)から購入可能である。蛍光ペプチドアッセイ:各蛍光ペプチドに対して、それぞれ以下から構成される100μL容量の緩衝液及び50μMに希釈した各ペプチドで反応を行った:フーリンの場合は、100mM HEPES、0.5%Triton(商標)X-100、1mM塩化カルシウム(CaCl)、及び1mM 2-メルカプトエタノール(pH7.5)(10U/mLに希釈)、PC1の場合は、25mM MES、5mM塩化カルシウム(CaCl)、及び1%(w/v)Brij-35(pH 6.0)(2.2ng/μLに希釈)、トリプシンの場合は、PBS(8nMに希釈)、マトリプターゼの場合は、50mMトリス、50mM塩化ナトリウム(NaCl)、及び0.01%(v/v)Tween(登録商標)20(pH9.0)(2.2ng/μLに希釈)、カテプシンBの場合は、25mM MES(pH5.0)(2.2ng/μLに希釈)、カテプシンLの場合は、50mM MES、5mM DTT、1mM EDTA、及び0.005%(w/v)Brij-35(pH6.0)(2.2ng/μLに希釈)。反応は30℃で3連で実行し、蛍光発光は、SpectraMax(登録商標)蛍光光度計(Molecular Devices社、米国カリフォルニア州サニーベール)を使用して45分間毎分測定し、λex330nm及びλem390nmの波長設定で、経時的な蛍光強度の追跡及び反応の最大反応速度(Vmax)の計算が可能となる。アッセイは、3回の独立した実験からのVmaxの平均を表す結果で3連で実行する必要がある。
IFN-γタンパク質のレベルは、フローサイトメトリー、粒子ベースのイムノアッセイを使用して測定できる。この方法は、BD Human Th1/Th2サイトカイン又はケモカインビーズアレイ(CBA)キットを使用した、Huang et. al.(Huang KJ, Su IJ, Theron M, et al. An interferon-gamma-related cytokine storm in SARS patients. J Med Virol. 2005;75(2):185-194. doi:10.1002/jmv.20255)からの出典であってもよい。BD Human Th1/Th2サイトカインCBAキット(BD PharMingen社、カリフォルニア州サンディエゴ)は、粒子ベースのイムノアッセイでフローサイトメトリーによりIFN-γレベルを測定するものである。このキットで、50mLの患者血清試料から6つのサイトカインを同時に測定することができた。これらのイムノアッセイの検出限界は、IFN-γで7.1pg/mLである。
好ましくは、本明細書に記載のAATの内因性レベルはタンパク質レベルである。本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プロテアーゼのレベルは、好ましくはmRNAレベルである。本明細書に記載のACE2受容体のレベルは、好ましくはmRNAレベルである。本明細書に記載のIFN-γのレベルは、好ましくはタンパク質レベルである。タンパク質及び/又はmRNAレベルは、血液、尿、又は唾液中、好ましくは血液中、より好ましくは血漿中、最も好ましくはヒト血漿中において測定することができる。
ウイルス、特にコロナウイルス、より詳細にはSARS-CoV-2ウイルスの細胞への侵入及び細胞内での増殖のいくつかの要因はすでに理解されているが、他の要因はまだ調査中である。SARS-CoV-2ウイルスの侵入は、スパイクタンパク質、スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、及びACE2受容体によって媒介される。SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、スパイクタンパク質Sとも称される。スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を切断し、それによってSARS-CoV-2が細胞に侵入するようにプライミングする。SARS-CoV-2は、プライミングされたスパイクタンパク質とACE受容体との相互作用によって細胞に侵入する。したがって、少なくとも1又は複数のプライミングプロテアーゼが目的の対象に存在する場合、SARS-CoV-2ウイルスの細胞への侵入がより容易かつ迅速になる。また、ACE2受容体が多いほど、SARS-CoV-2の細胞への侵入がより容易かつ迅速になる。SARS-CoV-2の感染は炎症を引き起こし、したがってIFN-γ発現が上昇する。SARS-CoV-2感染に応答したIFN-γ発現は、ACE2受容体の発現増加につながる可能性がある。SARS-CoV-2の増殖中、IFN-γレベルがさらに上昇し、スパイクタンパク質とのACE2相互作用の増加を刺激し、その後スパイクタンパク質のプライミングが促進され、AATレベルが低下し、ウイルスが細胞に侵入すると、炎症が増加する。これはより高いレベルのIFN-γに至る。SARS-CoV-2感染後、まずIFN-γレベルが上昇し、次にAATレベルが低下し、カテプシンLのレベルが上昇し、及び/又は他のスパイクタンパク質プライミング(Sプライミング)プロテアーゼが増加する。図1を参照。
よって、本発明は、AAT及びrhAATは、ウイルスの侵入(例えば、図6、図7、図8、図11、図12、図21、図22を参照)及びウイルス関連の炎症(例えば、図19、図20を参照)、特に高IFNーγレベルによるウイルス関連の炎症を同時に低減させるという知見に少なくとも部分的に基づいている。この併用効果は、本明細書に記載の患者集団において特に有用である。
特定の態様では、本発明は、本発明にかかる使用のための組成物であって、前記スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼが、膜貫通プロテアーゼセリンサブタイプ2(TMPRSS2)、膜貫通プロテアーゼサブタイプ6(TMPRSS6)、カテプシンL、カテプシンB、プロプロテインコンバターゼ1(PC1)、トリプシン、エラスターゼ、好中球エラスターゼ、マトリプターゼ、及びフーリンからなる群から選択される少なくとも1つである、組成物に関する。
特定の態様では、本発明は、本発明にかかる使用のための組成物であって、前記スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼが、カテプシンL及び/又はフーリンである、組成物に関する。
AATは人体で内因的に発現する。AATは、α-1-プロテイナーゼ阻害剤とも称される。AATは、プロテアーゼ、特にスパイクタンパク質プロテアーゼ、例えば、膜貫通プロテアーゼセリンサブタイプ2(TMPRSS2)、膜貫通プロテアーゼサブタイプ6(TMPRSS6/マトリプターゼ-2)、カテプシンL、カテプシンB、プロプロテインコンバターゼ1(PC1)、トリプシン、エラスターゼ、好中球エラスターゼ、マトリプターゼ、及びフーリンを阻害することができる。目的の感染対象における本発明の4つのプレーヤー(AAT、スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びIFN-γ)のレベルが、参照対象と比較して対象の感染対象において変化する場合、目的の感染対象は、特にSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防から恩恵を受け得る。内因性AATレベルが低いと、目的の対象がSARS-CoV-2に関連する疾患又は症候群を発症する可能性が高くなり、特にCOVID-19を発症する可能性がある。
特定の態様では、本発明は、前記ウイルス感染前又はウイルス感染中の内因性AATのより低いレベルが、AAT欠乏によって引き起こされる、本発明にかかる使用のための組成物に関する。
α1-アンチトリプシン(以下、「AAT」)は、人体に自然に存在するタンパク質であり、肝臓、好ましくは肝細胞で産生される。Janciauskiene et. al.,(Janciauskiene SM, Bals R, Koczulla R, Vogelmeier C, Kohnlein T, Welte T. The discovery of α1-antitrypsin and its role in health and disease. Respir Med. 2011;105(8):1129-1139. doi:10.1016/j.rmed.2011.02.002)によると、AATの正常な血漿濃度は、0.9~1.75g/Lの範囲内である。分子量(MW)が52,000(Brantly M, Nukiwa T, Crystal RG. Molecular basis of alpha-1-antitrypsin deficiency. Am J Med. 1988;84(6A):13-31. doi:10.1016/0002-9343(88)90154-4)であることを考慮すると、これは、16~32μMの正常な血漿濃度に相当する。Crystal 1990(Crystal RG. Alpha 1-antitrypsin deficiency, emphysema, and liver disease. Genetic basis and strategies for therapy. J Clin Invest. 1990 May;85(5):1343-52. doi:10.1172/JCI114578. PMID:2185272; PMCID:PMC296579)には、11μMが、AAT欠乏症の臨床症状の閾値レベルであることが記載されている。ほとんどの健康な個人の場合、肝臓でのAATの2g/日の発現は、この11μMの重要な血清レベルに到達するのに充分であり、次に内因性AATレベルは、好中球エラスターゼ(NE)による破壊から下気道を保護し、肺気腫に至る肺胞の進行性破壊を阻害するのに充分である。Crystal 1990はさらに、健康な個人のAATの正常な内因性レベルは、20~53μMの間で異なることを指摘している。ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前の健康なヒト対象の血漿中のAATタンパク質の内因性レベルは、5~60μM、好ましくは10~40μM、より好ましくは25~30μM、さらにより好ましくは16~32μMの範囲内である。あるいは、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前の健康なヒト対象の血漿中のAATタンパク質の内因性レベルは、好ましくは30μMより高く、より好ましくは40μMより高く、最も好ましくは50μMより高い。AATタンパク質は、血漿AATタンパク質又は組換えAAT(rhAAT)タンパク質であり得る。いくつかの態様では、血漿AATタンパク質は血漿に由来する。いくつかの態様では、組換えAATタンパク質は、例えば、HEK細胞、CHO細胞、又は大腸菌細胞において組換え的に産生される。世界中の製薬会社は、遺伝性疾患であるAAT欠乏症の治療のために、ヒト血漿からAATタンパク質を抽出している。血漿由来AATは、米国及びEUで、それぞれ食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によって承認されている。好ましくは、本発明のAATタンパク質はヒトアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する(表1を参照)。
本発明の図6a及び図6cに示されるように、10μMのAATは、ACE2受容体を過剰発現するA549細胞における偽型ウイルス侵入を20%~30%減少させる。
Azouz et. al.(Nurit P. Azouz, Andrea M. Klingler and Marc E. Rothenbergによると、α1-アンチトリプシン(AAT)は、SARS-CoV-2プライミングプロテアーゼTMPRSS2の阻害剤であり(bioRxiv preprint online, https://doi.org/10.1101/2020.05.04.077826, posted on May 5, 2020)、濃度1~100μMのAATは、TMPRSS2タンパク質分解活性の用量依存的阻害を達成する。
本発明の図7に示されるように、100μMのAATは、ACE2受容体のみを過剰発現するA549細胞における偽型ウイルス侵入を50%~75%減少させる。
本発明の図8に示されるように、100μMのAATは、ACE2受容体及びスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼTMPRSS2の両方を過剰発現するA549細胞においてのみ、偽型ウイルス侵入を最大45%減少させる。
本発明の図6及び図7の両方において、ウイルスの侵入がTMPRSS2とは無関係に観察されることに注意することが重要である。フーリン及び/又はカテプシンLなどのプライミングプロテアーゼが、おそらく特にTMPRSS2を置換できることを示している。この点で、AAT及びrhAATは、カテプシンB、カテプシンL、トリプシン、フーリン、PC1、マトリプターゼ、エラスターゼ、及び好中球エラスターゼのプロテアーゼの活性を低下させる(図16)。
よって、ウイルス侵入に対するAAT及びrhAATの阻害効果は、他のTMPRSS2阻害剤の効果を超えていることから(図7、図8、図11、図12、図21、図22)、AAT及びrhAATは、いくつかのプライミングプロテアーゼ(図16)(例えば、TMPRSS2機能を置換できるプロテアーゼ)及びその後のACE2媒介ウイルス侵入(図7、図8、図11、図12、図21、図22)を効果的に阻害する。
よって、AAT及びrhAATは、プライミングプロテアーゼ活性を低下させることによって、特にプライミングプロテアーゼ活性を広範かつ効率的に低下させることによってウイルス侵入を低下させる。
したがって、本発明は、AAT及び/又はrhAAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片を含む組成物が、特に、本明細書に記載の前提条件の1又は複数を有する対象におけるウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防に特に有効であるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づいている。
本発明において、i)による内因性AATのより低いレベルは、好ましくは、ヒト血漿中のタンパク質レベルである。i)によるヒト血漿中の内因性AATタンパク質のレベルは、好ましくは200μM未満、好ましくは150μM未満、好ましくは100μM未満、90μM未満、好ましくは80μM未満、好ましくは70μM、60μM、50μM未満、好ましくは40μM未満、好ましくは30μM未満、好ましくは25μM未満、好ましくは20μM未満、好ましくは15μM未満、好ましくは11μM未満、又は10μM未満である。より好ましくは、200μM未満、100μM未満、25μM未満、15μM未満、又は11μM未満である。低レベルのAATは、スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼを問題なく阻害するのに充分ではない。したがって、低レベルの内因性AATは、ウイルスの増殖、特にコロナウイルスの増殖、特にSARS-CoV-2の増殖及び/又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する症候群の疾患の発症を促進する可能性がある。ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前、又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性AATのより低いレベルは、AAT欠乏症によって引き起こされる可能性があり、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前の内因性AATのより低いレベルは、AAT欠乏症によって引き起こされることが好ましい。AAT欠乏症は、常染色体共優性形式で遺伝する状態である。共優性とは、遺伝子の2つの異なるバージョンが活性(発現される)であり得、両方のバージョンが遺伝形質に寄与することを意味する。「M」と呼ばれるSERPINA1遺伝子の最も一般的なバージョン(対立遺伝子)は、正常なレベルのα-1アンチトリプシンを産生する。通常の集団のほとんどの人は、各細胞にM対立遺伝子(MM)のコピーを2つ有する。SERPINA1遺伝子の他のバージョンは、α-1アンチトリプシンのレベルを低下させる。例えば、S対立遺伝子はこのタンパク質を適度に低レベルで産生し、Z対立遺伝子はα-1アンチトリプシンをほとんど産生しない。各細胞にZ対立遺伝子(ZZ)のコピーを2つ有する人は、α-1アンチトリプシン欠乏症である可能性がある。SZの組み合わせを有する人は、特に喫煙する場合、肺疾患(肺気腫など)を発症するリスクが高くなる。世界中で、1億6,100万人が各細胞(MS又はMZ)にS又はZ対立遺伝子の1つのコピーとM対立遺伝子の1つのコピーとを有していると推定される。MS(又はSS)の組み合わせを有する個人は、通常、肺を保護するのに充分なα-1アンチトリプシンを産生する。ただし、MZ対立遺伝子を有する人は、肺又は肝機能障害のリスクがわずかに高くなる。本発明におけるAAT欠乏症の対象は、好ましくは、SERPINA1遺伝子のZZ変異、SZ変異、MS変異、MZ変異、又はSS変異、好ましくはZZ変異を有する。SERPINA1遺伝子のZZ変異におけるAAT分泌のより低いレベルは、AATのミスフォールディング及びそれに続く肝細胞の小胞体(ER)への蓄積によるものであり(Crystal 1990)、ミスフォールディングされたAATの蓄積は、肝細胞の健康に悪影響を及ぼし、肝細胞の最終的な死に至るため、結果として進行性肝疾患となる。
ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性AATのより低いレベルは、それぞれウイルス感染、コロナウイルス感染、又はSARS-CoV-2感染によっても引き起こされる可能性がある。すなわち、健康な肝細胞は、内因性AATレベルの低下を過剰に補おうとするため、参照対象の内因性AATのレベルは、ウイルス感染中に一時的に増加し得るが、遺伝的AAT欠乏症の対象における内因性AATのレベルは、ウイルス感染による増加の欠如又は不完全さ(健康な肝細胞の欠如)により低くなる。
内因性AATのより低いレベルは、非アルコール性脂肪肝疾患、1型又は2型糖尿病(好ましくは1型)、肥満、及び心血管疾患などの肝疾患によっても引き起こされ得る。肝臓に脂肪酸が蓄積すると、ストレスの増加(IFN-γの増加)、組織の炎症、及びその後の肝細胞への損傷につながり、AATの健康な分泌レベルが低下する。他のタイプの肝疾患と同様に、肝細胞の小胞体(ER)にミスフォールディングされたAATが蓄積すると最終的に肝不全を引き起こすため、AAT欠乏症は時間経過とともに肝疾患に至ることに注意することが重要である。
本発明において、スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、ウイルス、好ましくはコロナウイルス、より好ましくはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をプライミングできる任意のプロテアーゼであり得る。このましくは、前記スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、膜貫通プロテアーゼセリンサブタイプ2(TMPRSS2)、膜貫通プロテアーゼサブタイプ6(TMPRSS6)、カテプシンL、カテプシンB、プロプロテインコンバターゼ1(PC1)、トリプシン、エラスターゼ、好中球エラスターゼ、マトリプターゼ、及びフーリン、より好ましくはTMPRSS2、カテプシンL、及びフーリン、さらにより好ましくはカテプシンL又はフーリンからなる群から選択される少なくとも1つである。スパイクタンパク質のプライミングプロテアーゼであるフーリンは、対塩基性アミノ酸切断(PACE)酵素とも称される。
本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、好ましくはカテプシンLのより高いレベルは、好ましくは、ヒト血漿中のmRNAレベル、又はヒト血漿中のタンパク質レベルである。健康な対象におけるカテプシンLの血漿中濃度は、0.2~1ng/mLである(すなわち、分子量約23~24kDaの場合、10~50pM)(Kirschke 1977 https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1432-1033.1977.tb11393.x)。さらに、免疫細胞は、脳を含む炎症における細胞外システインカテプシンの主要な供給源であることが公知である(Hayashi et al., 2013, von Bernhardi et al., 2015, Wendt et al., 2008, Wendt et al., 2007)。本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼタンパク質のレベルは、好ましくは、ヒト血漿中で0.2、0.5、又は1ng/mLより高い。本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングタンパク質プロテアーゼのレベルは、好ましくは10、20、30、40、50、75、又は100pMより高く、好ましくは10又は50pMより高く、さらにより好ましくは50pMより高い。本態様では、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、好ましくはカテプシンLである。特定の態様では、本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、又は少なくとも9つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼである。特定の態様では、本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、TMPRSS2、カテプシンB、カテプシンL、トリプシン、フーリン、PC1、マトリプターゼ、エラスターゼ、及び好中球エラスターゼからなる群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼである。特定の態様では、本明細書に記載の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼは、TMPRSS2、カテプシンB、カテプシンL、トリプシン、フーリン、PC1、及びマトリプターゼからなる群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼである。
特定の態様では、本発明は、本発明にかかる使用のための組成物であって、前記少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベルが、年齢及び/又は遺伝的素因によって引き起こされる、組成物に関する。
少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベルが、年齢及び/又は遺伝的素因によって引き起こされ得る。特に、カテプシンB及びカテプシンL、好ましくはカテプシンBのより高いレベルは、年齢によって引き起こされ得る。より高いレベルのスパイクプロテアーゼタンパク質、特にカテプシンB及びカテプシンL、より好ましくはカテプシンBがリソソームに蓄積する可能性がある。スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのレベルは、目的の対象でより高く、年齢は、好ましくは50歳超、好ましくは60歳超、より好ましくは70歳超、さらに好ましくは80歳超、最も好ましくは90歳超である。アフリカ系アメリカ人の対象は、高レベルのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、特にフフーリンに対する遺伝的素因を有する場合がある。図2(a)に示すように、HeLa細胞は、A549細胞と比較して、フーリン及びカテプシンLの相対的なmRNA速度が異なる。HeLa細胞はアフリカ系アメリカ人起源である。A549細胞は白色人種由来の気道上皮細胞である。図2(b)に示すように、HeLa細胞はA549細胞よりもSARS-CoV-2の侵入を受けやすく(図6)、AAT処理に対する反応性が低くなる。遺伝的素因は、目的の個々の対象の遺伝子プロファイリングによって決定され得る。
特定の態様では、本発明は、前記ACE2受容体のより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、本発明にかかる使用のための組成物に関する。
本明細書に記載のACE2受容体のより高いレベルは、好ましくは、ヒト血漿中のmRNAレベルである。ACE2受容体のより高いレベルは、感染、炎症(例えば、IFN-γ)、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされ得る。感染は、ウイルス感染及び/又は細菌感染、好ましくはウイルス感染、より好ましくはコロナウイルス感染、さらにより好ましくはSARS又はSARS-CoV-2感染であり得る。感染のさらなる例は、リーシュマニア症である。図4及び図5に示すように、ACE2受容体の発現は、より高いレベルのIFN-γに応答してアップレギュレートされ、炎症に対する免疫応答としてレベルが上昇します。炎症は、例えば、細菌及び/又はウイルス感染、癌、遅発型過敏症、自己免疫疾患(自己免疫性脳脊髄炎、関節リウマチ、自己免疫性インスリン炎(1型糖尿病とも称される)など)、同種移植拒絶及び移植片対宿主反応、並びに非特異的炎症及びサイトカイン放出によって引き起こされ得る。年齢は、好ましくは50歳超、好ましくは60歳超、より好ましくは70歳超、さらに好ましくは80歳超、最も好ましくは90歳超である。高レベルのIFN-γに対する遺伝的素因の例は、家族性地中海熱である。遺伝的素因は、目的の個々の対象の遺伝子プロファイリングによって決定され得る。本明細書に記載のより高いレベルのACE2受容体は、qPCRによって確認され、本発明の図3aに示されているように、肺(Calu3)、結腸(CaCo2)、肝臓(HEPG2)、腎臓(HEK-293T)、及び脳(SH-SY5Y)からなる群から選択される組織にも存在し得る。
特定の態様では、本発明は、前記IFN-γのより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、本発明にかかる使用のための組成物に関する。
iv)によるインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)のより高いレベルは、好ましくはヒト血漿中のタンパク質又はmRNAレベルであり、より好ましくはヒト血漿中のタンパク質レベルである。健康なヒトでは、前記IFN-γレベルはアッセイの検出限界より低い又はその付近である(例えば、30~50pg/mLより低い)(Billau 1996; Kimura 2001)。IFN-γは、ほぼ独占的にナチュラルキラー(NK)細胞、CD4+リンパ球、及び一部のCD8+リンパ球によって産生される。NK細胞又はT細胞のいずれかによるIFN-γの産生には、補助細胞、主に単核食細胞の協力が必要であり、これらの細胞も何らかの活性化状態にある必要がある(Billiau A. Interferon-gamma:biology and role in pathogenesis. Adv Immunol. 1996;62:61-130. doi:10.1016/s0065-2776(08)60428-9)。したがって、NK細胞の活性化及びT細胞の活性化につながる炎症状態は、IFN-γレベルの増加につながる。NK細胞又はT細胞の循環が関与する炎症状態(感染症や癌)は、より高い血漿レベルにつながると予想される。
以下の表は、いくつかの状態におけるIFN-γの血漿レベルの値を示している。
Figure 2023523652000002
iv)によるヒト血漿中のIFN-γタンパク質のレベルは、好ましくは、1、5、10、15、20、25、30、40、50、75、100、125、150、200、300、400、又は500pg/mLより高い。前記IFN-γのより高いレベルが、好ましくは、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つ、より好ましくは、炎症によって引き起こされる。感染は、ウイルス感染及び/又は細菌感染、好ましくはウイルス感染、より好ましくはコロナウイルス感染、さらにより好ましくはSARS又はSARS-CoV-2感染であり得る。感染のさらなる例は、リーシュマニア症である。炎症は、例えば、細菌及び/又はウイルス感染、癌、遅発型過敏症、自己免疫疾患(自己免疫性脳脊髄炎、関節リウマチ、自己免疫性インスリン炎(1型糖尿病とも称される)など)、同種移植拒絶及び移植片対宿主反応、並びに非特異的炎症及びサイトカイン放出によって引き起こされ得る。年齢は、好ましくは50歳超、好ましくは60歳超、より好ましくは70歳超、さらに好ましくは80歳超、最も好ましくは90歳超である。高レベルのIFN-γに対する遺伝的素因の例は、家族性地中海熱である。遺伝的素因は、目的の個々の対象の遺伝子プロファイリングによって決定され得る。
したがって、本発明は、AAT並びにrhAAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片を含む組成物が、ウイルス増殖及び炎症、特にIFN-γ関連炎症の両方を低減するという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づく。
一態様では、前記「必要とする対象」、すなわち、目的の対象が、以下からなる群から選択される2つを有する:
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性αアンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベル。
よって、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性α―アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベルを有し得る。
好ましくは、本態様では、本明細書に記載のヒト血漿中のAATタンパク質レベルは52μMより低く、ヒト血漿中のカテプシンLタンパク質レベルは10pMより高い。
別の態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はSARS-CoV-2感染中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性αアンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有し得る。
これらの態様では、1及び4は、AAT欠乏症、非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患、糖尿病、肥満、及び心血管疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患又は状態であり得る。いくつかの態様では、本発明は、前記より高いレベルのIFN-γが、AAT欠乏症、非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患、糖尿病、肥満、及び心血管疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患又は状態によって引き起こされる、本発明にかかる使用のための組成物に関する。いくつかの態様では、本発明は、前記より低いレベルのAATが、AAT欠乏症、非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患、糖尿病、肥満、及び心血管疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患又は状態によって引き起こされる、本発明にかかる使用のための組成物。糖尿病は、1型糖尿病又は2型糖尿病であり得る。肝疾患は、アセトアミノフェン誘発性肝障害、重度の慢性肝炎、アルコール性肝疾患(ALD)である場合があり、単純脂肪症、脂肪性肝炎、肝線維症、及び肝硬変、さらにはHCC(肝細胞癌)を含む幅広い表現型を含み得る。心血管疾患は、急性心筋梗塞の患者にも見られる、心臓への血流の突然の減少又は遮断、心筋梗塞、急性冠症候群(ACS)によって引き起こされる任意の状態であり、それによって左心室駆出率は、血清中のAAT濃度と逆相関しており、収縮機能障害が炎症反応に関連していることを示唆している。
好ましくは、本態様では、本明細書に記載のヒト血漿中のAATタンパク質レベルは52μMより低く、本明細書に記載のヒト血漿中のIFN-γタンパク質レベルは0.19pMより高い。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」、すなわち、目的の対象が、以下からなる群から選択される2つを有する:
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベル。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」、すなわち、目的の対象が、以下からなる群から選択される3つを有する:
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベル。
よって、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性αアンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、及び
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、及び
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有し得る。
好ましくは、本態様では、本明細書に記載のヒト血漿中のAATタンパク質レベルは36μMより低く、本明細書に記載のヒト血漿中のカテプシンLタンパク質レベルは10pMよりも高く、本明細書に記載のヒト血漿中のIFN-γタンパク質レベルは0.19mMより高い。
さらに好ましくは、本態様では、本明細書に記載のヒト血漿中のAATタンパク質レベルは52μMより低く、本明細書に記載のヒト血漿中のカテプシンLタンパク質レベルは10pMよりも高く、本明細書に記載のヒト血漿中のIFN-γタンパク質レベルは0.19mMより高い。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有し得る。
さらなる態様では、前記「必要とする対象」、すなわち、目的の対象は、
1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベルを有する。
本発明の使用のための組成物中のAATタンパク質は、血漿AATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、あるいは組換えAATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片であり得る。好ましくは、前記AATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えAATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。血漿AATタンパク質は、好ましくは血漿AATタンパク質に由来し、より好ましくはヒト血漿(ヒト血漿抽出AATとも称される)に由来する。特定の態様では、本発明は、本発明にかかる使用のための組成物に関し、前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、組換えα1-アンチトリプシン(rhAATとも称される)、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である。
組換えAATタンパク質は、例えば、CHO細胞、HEK細胞(HEK293及び/又はHEK293T)又は大腸菌細胞において組換え的に産生される。世界中の製薬会社は、遺伝性疾患であるAAT欠乏症の治療のために、ヒト血漿からAATタンパク質を抽出している。血漿由来AATは、FDA及びEMAの承認を受けている。好ましくは、本発明のAATタンパク質はヒトアミノ酸配列、最も好ましくは配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する(表1を参照)。組換えAATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、好ましくは、Fcドメイン及び/又はヒスチジンタグ(Hisタグ)を含まない。
本発明者らは、組換えAAT(CHOで産生されたrhAAT)が異なる親和性でAAT抗体に結合し(図17)、血漿由来AATよりも顕著な生物学的効果を有することを見出した。特に、組換えAAT(rhAAT)は、血漿由来AATよりも効果的にACE2/スパイクタンパク質媒介細胞融合(図14)を阻害し、異なる酵素阻害プロファイルを有する(図16)。
したがって、本発明は、CHO細胞で産生された組換えAAT(rhAAT)が、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防における使用に特に有効であるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づいている。
特定の態様では、本発明は、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、ヒト細胞(例えば、HEK293又はHEK293T細胞、実施例23を参照)において産生される組換えα1-アンチトリプシンである、本発明にかかる使用のための組成物に関する。
本発明者らは、ヒト細胞、特にHEK293(HisタグのないrhAAT)で産生された組換えAATが、CHO細胞で産生された組換えAAT(rhAAT)並びに血漿由来AATと比較と比較して、カテプシンL(図16b)、トリプシン(図16c)、フーリン(図16d)、及び好中球エラスターゼ(図16i)の酵素活性の低下に特に有効であることを見出した。
したがって、本発明は、ヒト細胞、特にHEK293で産生された組換えAATが、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防における使用に特に有効であるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づいている。
特定の態様では、本発明は、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、より多くの非ヒトグリカンプロファイルを有する組換えα1-アンチトリプシン(CHOで産生されたrhAAT)である、本発明にかかる使用のための組成物に関する。特定の態様では、本明細書に記載の非ヒトグリカンプロファイルは、哺乳動物細胞由来のグリカンプロファイル及び/又は糖操作されたグリカンプロファイルである。例えば、糖タンパク質のフコシル化を低減及び/又はシアリル化を増強するために使用される糖工学戦略は、当業者に公知である。特定の態様では、本明細書に記載の非ヒトグリカンプロファイルは、CHO細胞由来のグリカンプロファイルである。CHO 細胞は、ヒト細胞とは異なるグリコシル化機構を発現するため、組換えタンパク質の表面のグリカン組成が異なる結果となる(図24)(Lalonde, M. E., & Durocher, Y., 2017, Journal of biotechnology, 251, 128-140)。
特定の態様では、本発明は、本発明にかかる使用のための組成物に関し、前記AATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片は、pXC-17.4(GSシステム(登録商標)、Lonza社)によって産生される組換えAAT、バリアント、アイソフォーム、及び/又はその断片である。
本発明者らは、pXC-17.4(GSシステム(登録商標)、Lonza社)によってCHOで産生された組換えAAT(組換えAAT1)は、エラスターゼ(図16h)及び好中球エラスターゼ(図16i)の活性に対して、血漿由来α1-プロテイナーゼ阻害剤(血漿由来AAT)及びCHOでPL136/PL137(pCGS3、Merck社)によって産生された組換えAAT(組換えAAT2)と比較して、より顕著な阻害効果を誘導することを見出した。
したがって、本発明は、組換えAAT(rhAAT)の特定の形態が、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防における使用に特に有効であるという驚くべき知見に少なくとも部分的に基づいている。
本明細書で使用される場合、本発明のAATタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドの「断片」は、本発明のAATタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドよりも長さが少ないアミノ酸、特に、配列番号1に記載のAATの配列よりも少ないアミノ酸を含む配列を指す。前記断片は、好ましくは、機能的断片、例えば、配列番号1に記載のAATタンパク質と同じ生物学的活性を有する断片である。前記機能的断片は、好ましくは、配列番号1に記載のAATタンパク質に由来する。由来する天然のAAT配列と同じ特性を示す、すなわち生物学的に活性である限り、任意のAAT断片を使用することができる。
好ましくは、前記(機能的)断片は、shares about 配列番号1に記載の天然のヒトAATアミノ酸配列の5連続アミノ酸、少なくとも約7連続アミノ酸、少なくとも約15連続アミノ酸、少なくとも約20連続アミノ酸、少なくとも約25連続アミノ酸、少なくとも約20連続アミノ酸、少なくとも約30連続アミノ酸、少なくとも約35連続アミノ酸、少なくとも約40連続アミノ酸、 少なくとも約45連続アミノ酸、少なくとも約50連続アミノ酸、少なくとも約55連続アミノ酸、少なくとも約60連続アミノ酸、少なくとも約100連続アミノ酸、少なくとも約150連続アミノ酸、少なくとも約200連続アミノ酸、少なくとも約300連続アミノ酸、・・・など以上を共有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の(機能的)断片は、発現が最適化されたシグナルタンパク質を含む(例えば、実施例24)
前記機能的AAT断片は、配列番号2に記載のAATのC末端断片を含むか、又はそれからなり得る。配列番号2のC末端断片は、配列番号1のアミノ酸374~418からなる。
より好ましくは、前記AAT断片は、C末端AAT配列のアミノ酸374~418(配列番号2)よりも長さが少ないアミノ酸を含む断片である。あるいは、前記AAT断片は、本質的に配列番号2からなる。
Figure 2023523652000003
「変異体」という用語は、AAT天然配列ペプチドとはある程度異なるアミノ酸配列を有するタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドであって、アミノ酸置換によって1又は複数のアミノ酸が同じ特徴及び配座上の役割を有する別のアミノ酸に置換されている、AAT天然配列とは異なるアミノ酸配列を指す。好ましくは、本発明のバリアントは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、又は85%相同である。前記バリアントはまた、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、又は85%の配列同一性を有し得る。アミノ酸配列バリアントは、天然のアミノ酸配列のアミノ酸配列内の特定の位置で、例えば、N又はC末端配列において又はアミノ酸配列内において、置換、欠失、及び/又は挿入を有し得る。置換は保存的でもあり得、この場合、保存的アミノ酸置換は、本明細書において、以下の5つの群のうちの1つにおける交換として定義される。
I.小さな脂肪族の非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly
II.極性のある正荷電残基:His、Arg、Lys
III.極性のある負荷電残基及びそのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln
IV.大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp
V.大きな脂肪族の非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド部分の間のパーセント同一性を指す。2つの核酸又は2つのポリペプチド配列は、それらの配列が、規定された長さの分子にわたって少なくとも約50%の配列同一性、好ましくは少なくとも約75%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約80%又は少なくとも約85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも約95%~98%の配列同一性を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書で使用される場合、実質的に相同とは、特定の配列と完全な同一性を示す配列も指す。
概して、「同一性」は、それぞれ2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の正確なヌクレオチド対ヌクレオチド又はアミノ酸対アミノ酸の対応を指す。パーセント同一性は、配列を整列させ、2つの整列配列間の正確な一致数を数え、短い方の配列の長さで割り、結果を100倍することにより、2つの分子間の配列情報を直接比較することによって決定され得る。
あるいは、相同性は、容易に入手可能なコンピュータープログラムによって、又は相同領域間に安定した二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション後に一本鎖特異的ヌクレアーゼによる消化及び消化されたフラグメントのサイズ決定することによって決定され得る。実質的に相同なDNA配列は、例えばその特定の系について定義されたストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当業者の技術範囲内である。
いくつかの態様では、本発明は、前記α1-アンチトリプシン断片が、C末端配列フラグメント又はその任意の組み合わせである、本発明にかかる使用のための組成物に関する。
前記ペプチドバリアントは、線状ペプチド又は環状ペプチドであってもよく、配列番号2に記載のC末端配列に由来する短環状ペプチドを含む群から選択されてもよい。好ましくは、α1-アンチトリプシンの前記C末端配列に由来する短環状ペプチドが、シクロ-(CPFVFLM)-SH、シクロ-(CPFVFLE)-SH、シクロ-(CPFVFLR)-SH、及びシクロ-(CPEVFLM)-SH、又はそれら任意の組み合わせを含む非限定的な群から選択される。
本明細書で使用される場合、本発明のAATタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドの「アイソフォーム」は、AAT mRNAの選択的スプライシングから生じるスプライスバリアントを指す。
いくつかの態様では、本明細書に記載のAAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、又はその断片のアミノ酸配列は、配列番号1の対応するアミノ酸配列と少なくとも80%同一である。いくつかの態様では、AAT、そのバリアント、そのアイソフォーム、又はその断片のアミノ酸配列は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、配列番号1の対応するアミノ酸配列と同一である。
本発明のペプチド、そのアイソフォーム、その断片、又はそのバリアントは、好ましくは、標的細胞、好ましくは気道の細胞におけるペプチド、アイソフォーム、断片、又はバリアントの蓄積を増加させる薬剤にコンジュゲートされ得る。そのような薬剤は、例えば、治療薬に結合したトランスフェリンの膜トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスなどの受容体媒介エンドサイトーシスを誘導する化合物(Qian Z. M. et al., “Targeted drug delivery via the transferrin receptor-mediated endocytosis pathway” Pharmacological Reviews, 54, 561, 2002)又はプロテインキナーゼCのペプチド阻害剤の細胞内送達にすでに使用されている、例えば、デカン酸、ミリスチン酸、及びステアリン酸などの脂肪酸の群の中から選択され得る細胞膜透過性担体(Ioannides C.G. et al., “Inhibition of IL-2 receptor induction and IL-2 production in the human leukemic cell line Jurkat by a novel peptide inhibitor of protein kinase C” Cell Immunol., 131, 242, 1990)、及びタンパク質チロシンホスファターゼ(Kole H.K. et al., “A peptide-based protein-tyrosine phosphatase inhibitor specifically enhances insulin receptor function in intact cells” J. Biol. Chem. 271, 14302, 1996)、又はペプチドのいずれかであり得る。好ましくは、細胞膜透過性担体が使用される。より好ましくは、細胞膜透過性担体ペプチドが使用される。
細胞膜透過性担体がペプチドである場合、それは正荷電アミノ酸リッチペプチドであることが好ましい。
好ましくは、そのような正荷電アミノ酸リッチペプチドは、アルギニンリッチペプチドである。Futaki et al.(Futaki S. et al., “Arginine-rich peptides. An abundant source of membrane-permeable peptides having potential as carriers for intracellular protein delivery” J. Biol. Chem., 276, 5836, 2001)は、細胞膜透過性担体ペプチドのアルギニン残基の数は、内部移行の方法に大きな影響を与えること、並びに内部移行に最適な数のアルギニン残基があると考えられ、好ましくは6つ以上のアルギニンを含み、より好ましくは9つのアルギニンを含むことを示している。アルギニンリッチペプチドは、好ましくは少なくとも6個のアルギニン、より好ましくは少なくとも9個のアルギニンを含む。
ペプチド、そのアイソフォーム、断片、又はバリアントは、スペーサー(例えば、2つのグリシン残基)によって細胞膜透過性担体に結合され得る。この場合、細胞膜透過性担体はペプチドであることが好ましい。
通常、アルギニンリッチペプチドは、HIV-TAT(48-57)ペプチド(GRKKRRQRRR、配列番号7)、FHV-coat(35-49)ペプチド(RRRRNRTRRNRRRVR、配列番号8)、HTLV-II Rex(4-16)ペプチド(TRRQRTRRARRNR、配列番号9)、及びBMV gag(7-25)ペプチド(配列番号10)を含む非限定的な群から選択される。
当業者によって決定される任意の細胞膜透過性担体を使用することができる。
天然ペプチド(L型)に固有の問題は、天然プロテアーゼによる分解であるため、本発明のペプチド、そのアイソフォーム、その断片、又はその変異体、並びに細胞膜透過性ペプチドは、ペプチドのD型及び/又は「レトロインベルソ(retro-inverso)異性体」を含むように調製され得る。この場合、本発明のペプチド並びに細胞膜透過性ペプチドの断片及びバリアントのレトロインベルソ異性体が調製される。
細胞内でのペプチドの蓄積を増加させる薬剤に所望により結合される、本発明のペプチド、そのアイソフォーム、その断片、又はそのバリアントは、当技術分野で公知の様々な方法及び技術、例えば、Maniatis et al. 1982, Molecular Cloning, A laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratoryに記載されている化学合成又は組換え技術によって調製することができる。
本明細書に記載される細胞内でのペプチドの蓄積を増加させる薬剤に所望により結合される、本発明のペプチド、そのアイソフォーム、その断片、又はそのバリアントは、好ましくは、細胞発現系で組換え的に産生される。多種多様な単細胞宿主細胞が、本発明のDNA配列を発現するのに有用である。これらの宿主には、周知の真核生物及び原核生物の宿主、例えば、大腸菌、シュードモナス、バチルス、ストレプトマイセスの菌株、酵母などの菌類、並びに組織培養におけるCHO、YB/20、NSO、SP2/0、R1-1、B-W、及びL-M細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS 1、COS 7、BSC1、BSC40、及びBMT1O)、昆虫細胞(例えば、Sf9)、及びヒト細胞などの動物細胞、並びに植物細胞が含まれ得る。
本発明のα1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の「治療上有効な用量又は量」とは、投与された場合に、コロナウイルス感染に関連する疾患又は症候群の対象の治療に関する陽性の治療又は予防反応をもたらす量を意味する。
「コロナウイルス感染」という用語は、MERS-CoV、SARS-CoV、及びSARS-CoV-2、並びにその任意のバリアントを含む群から選択されるコロナウイルスによって引き起こされる感染を指し得る。いくつかの態様では、本明細書に記載されるSARS-CoV-2バリアントは、系統B.1.1.207、系統B.1.1.7、クラスター5, 501.V2バリアント、系統P.1、系統B.1.429/CAL.20C、系統B.1.427、系統B.1.526、系統B.1.525、系統B.1.1.317、系統B.1.1.318、系統B.1.351、系統B.1.617、及び系統P.3.の群から選択されるSARS-CoV-2バリアントである。いくつかの態様では、本明細書に記載されるSARS-CoV-2バリアントは、19A、20A、20C、20G、20H、20B、20D、20F、20I、及び20Eの群から選択されるネクストストレインクレード(Nextstrain clade)に記載のSARS-CoV-2バリアントである。いくつかの態様では、本明細書に記載されるSARS-CoV-2ウイルスは、D614G、E484K、N501Y、S477G/N、P681H、E484Q、L452R、及びP614Rの群から選択される少なくとも1つの変異を含むSARS-CoV-2バリアントである。いくつかの態様では、本明細書に記載されるSARS-CoV-2バリアントは、本明細書に記載されるバリアント由来のSARS-CoV-2バリアントである。いくつかの態様では、本明細書に記載されるSARS-CoV-2ウイルスは、本明細書に記載される少なくとも1つのSARS-CoV-2バリアントのウイルスゲノム配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%の配列同一性を有するSARS-CoV-2バリアントである。
コロナウイルス感染は、呼吸器症候群である疾患又は症候群を引き起こす気道感染症を引き起こす場合がある。呼吸器症候群は、重症急性呼吸器症候群(SARS)である場合がある。いくつかの態様では、SARS-CoV-2感染は、以下の感染症の3つの臨床経過のうち少なくとも1つとして区別され得る:(1)上気道症状を伴う軽症、(2)非致死性肺炎、(3)肺炎を伴う重篤な状態、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、重度の全身性炎症、臓器不全、心血管合併症。
本発明の使用のための組成物は、1又は複数の薬学的に許容される希釈剤又は担体をさらに含んでいてもよい。
「薬学的に許容される希釈剤又は担体」は、概して安全で、無毒で、望ましい薬学的組成物を調製するのに有用な担体又は希釈剤を意味し、ヒトの薬学的使用に許容される担体又は希釈剤を含む。
そのような薬学的に許容される担体には、水及び油などの無菌液体であり得、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、及び同種のものなどの石油、動物、植物、合成起源のものが挙げられる。医薬組成物が静脈内投与される場合、水は好ましい担体である。生理食塩水、水性デキストロース、及びグリセロール溶液も、液体担体として、特に注射用溶液として使用することができる。
薬学的に許容される希釈剤又は担体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び同種のものが挙げられる。
薬学的組成物は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩の1又は複数の薬学的に許容される塩をさらに含んでいてもよい。さらに、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質、ゲル又はゲル化材料、香料、着色剤、ミクロスフェア、ポリマー、懸濁剤などの補助物質も本明細書において存在し得る。また、剤形が再構成可能な形態である場合、防腐剤、湿潤剤、懸濁剤、界面活性剤、酸化防止剤、固化防止剤、充填剤、キレート剤、コーティング剤、化学安定剤などの1又は複数の他の従来の医薬成分も存在し得る。適切な例示的な成分には、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、フェニルエチルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、パラクロロフェノール、ゼラチン、アルブミン、及びそれらの組み合わせが含まれる。薬学的に許容される賦形剤の詳細な検討は、参照により本明細書に援用されるREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub. Co., N.J. 1991)で得られる。
あるいは、本発明の薬学的組成物は、1又は複数の追加の治療剤をさらに含む。好ましくは、1又は複数の治療剤は、治療有効量の1又は複数のヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、免疫抑制剤(例えば、サリルマブ又はトシリズマブ)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、抗生物質、ウイルスの構造成分に対する抗体又はその断片(例えば、受動免疫療法)、インターフェロンβ(例えば、インターフェロンβ-1a)、及び/又はワクチンを含む。
特定の他の態様において、本発明の薬学的組成物及び1又は複数の追加の治療剤は、実質的に同時に又は並行して投与される。例えば、対象は、1又は複数の追加の治療剤による一連の治療を受けている間に、本発明の使用のための薬学的組成物を与えられてもよい。さらに、前記対象は、他の形態の抗ウイルス療法をすでに受けているか、又は並行して受けていてもよいことが企図される。
いくつかの態様では、前記追加の治療剤は、本発明の抗体又はその抗原結合断片の投与に関連する可能性のある副作用を軽減するのに有用であり得る。
いくつかの態様では、前記追加の治療剤は、本発明の抗体又はその抗原結合断片の投与に関連する効果をサポートするのに有用であり得る。
いくつかの態様では、本発明のさらなる治療剤及び抗体又はその抗原結合断片の投与は、所望の効果及び/又は副作用に関する相乗効果をもたらす。
いくつかの態様では、本明細書に記載の追加の治療剤は、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、及び免疫抑制剤などの免疫調節剤の群から選択される少なくとも1つの薬剤である。
いくつかの態様では、本明細書に記載の追加の治療剤は、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、免疫抑制剤(例えば、サリルマブ又はトシリズマブ)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、抗生物質、ウイルスの構造成分に対する抗体又はその断片(例えば、受動免疫療法)、インターフェロンβ(例えば、インターフェロンβ-1a)、及び/又はワクチンの群から選択される。
ヌクレオシド類似体の非限定的な例には、リバビリン、レムデシビル、β-d-N4-ヒドロキシシチジン、BCX4430、ゲムシタビン塩酸塩、6-アザウリジン、ミゾリビン、アシクロビルフレキシマー、及びそれらの1又は複数の組み合わせが挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤の非限定的な例には、HIV及び/又はHCVプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
いくつかの態様では、本明細書に記載の免疫調節剤はインターフェロンβである。いくつかの態様では、本明細書に記載の免疫調節剤はインターフェロンβ-1aである。免疫抑制剤の非限定的な例には、インターロイキン阻害剤、例えばIL-6(例えば、サリルマブ又はトシリズマブ)、IL-1、IL-12、IL-18、及びTNF-α阻害剤が挙げられる。
前記追加の治療剤は、本明細書に記載の組成物及び方法の治療効果を改善又は補完することができる(例えば、図20及び図11dを参照)。
したがって、本発明は、特定の組み合わせ(AATとのIFN-β-1aなど)がウイルス侵入及び炎症に対するAATの効果を改善するという知見に少なくとも部分的に基づく。
本発明はまた、遺伝子送達ベクター及びそれを含む薬学的組成物を企図する。好ましくは、遺伝子送達ベクターは、本発明のAATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片をコード化する1又は複数の核酸を含むプラスミド又はベクターの形態である。前記遺伝子送達ベクターの例には、例えば、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、微粒子担体、及びリポソームが挙げられる。遺伝子送達は、好ましくはインビトロ又はエクスビボで実施される。
したがって、本発明は、AAT遺伝子送達(遺伝子治療)が炎症の影響を減少させるという知見に少なくとも部分的に基づく(例えば、図19bを参照)。
一態様では、前記ウイルスベクターは、エクスビボ及びインビボ遺伝子送達、好ましくはエクスビボ遺伝子送達に適したベクターである。さらに好ましくは、前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)及びレンチウイルス、例えば、第1世代、第2世代、第3世代のレンチウイルスを含む群であって、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクターなどの他のウイルスベクターを排除しない群から選択される。送達又はビヒクルの他の手段が公知であり(酵母系、マイクロベシクル、遺伝子銃/金ナノ粒子にベクターを付着させる手段など)、提供されている。いくつかの態様では、リポソーム、ナノ粒子、エキソソーム、マイクロベシクル、又は遺伝子銃を介してウイルスベクター又はプラスミドベクターの1又は複数を送達することができる。
本発明の他の態様では、本発明の医薬組成物は、持続放出製剤、又は持続放出デバイスを使用して投与される製剤である。このようなデバイスは、当技術分野で周知であり、例えば、非徐放性医薬組成物を含む、持続放出効果を達成するために様々な用量で連続的な定常状態の様式で経時的に薬物送達を提供できる、経皮パッチ及び小型の移植可能なポンプを含む。
本発明の薬学的組成物は、異なる経路によって対象に投与されてもよく、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内投与、又はそれらの組み合わせが挙げられる。ヒトでの使用のために、前記組成物は、通常のヒトでの実施に従って、適切に許容される製剤として投与され得る。当業者は、特定の患者に最も適した投与計画及び投与経路を容易に決定するであろう。本発明の組成物は、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、又はエレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学的方法」、若しくは超音波などの他の物理的方法によって投与されてもよい。前記組成物はまた、静脈内注射、静脈内注入、Dosator型ポンプによる注入、吸入鼻スプレー、点眼薬、皮膚パッチ、徐放製剤、又はエクスビボ遺伝子治療若しくはエクスビボ細胞治療によって、好ましくは静脈内注射によって投与され得る。
本発明の医薬組成物は、インビボエレクトロポレーションを伴う又は伴わない本発明のAATタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片をコード化する核酸のDNA注入(DNAワクチン接種とも称される)、並びに本明細書に記載の組換えレンチウイルス、組換えアデノウイルス、及び組換えアデノウイルス関連ウイルスなどのリポソーム媒介性、ナノ粒子促進性、組換えベクターを含むいくつかの技術によって患者に送達されてもよい。
前記組成物は、肺又は気道に静脈内注射又は局所注射するか、目的の組織にエレクトロポレーションしてもよい。
本発明はさらに、コロナウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防方法であって、i)本明細書に記載のα1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、又はii)本明細書に記載の本発明の使用のための医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
さらに、コロナウイルスに曝露された又は曝露が疑われる対象におけるコロナウイルス感染の発症を調節する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、i)本明細書に記載のα1-アンチトリプシンタンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片、又はii)本明細書に記載の本発明の使用のための医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、方法が提供される。
本発明はまた、本明細書において定義されるα1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む組成物を用いて、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防のための目的の対象の感受性を測定するための方法であって、
a)ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の目的の対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γからなる群の少なくとも1つのレベルを決定すること、
b)ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の少なくとも1人の参照対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γからなる群の少なくとも1つのレベルを測定することであって、前記参照対象は無症候性であるか軽度の症状を有すること、並びに
c)工程a)で測定された目的のレベルを、工程b)で測定された参照レベルと比較する工程であって、
前記目的の対象が、
1.内因性AATの参照レベルと比較して、内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低い目的のレベル、
2.少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼの参照レベルと比較して、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高い目的のレベル、
3.ACE2受容体の参照レベルと比較して、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高い目的のレベル、及び
4.IFN-γの参照レベルと比較して、インターフェロン-γ(IFN-γ)のより高い目的のレベル
からなる群から選択される少なくとも1つを有する場合、前記目的の対象は、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防に対する感受性があること、を含む、方法。
本明細書で提供される全ての定義及び組み合わせは、該当する場合、及び特に明記されていない限り、本態様に適用される。
本発明はさらに、本発明の使用のための組成物を使用して、ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染に関連する疾患若しくは症候群を効果的に治療及び/又は予防するためのα1-アンチトリプシン(AAT)の治療有効量を決定する方法であって、
a)ウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染前又はウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染、より好ましくはSARS-CoV-2感染中の目的の対象における内因性α1-アンチトリプシンのレベルを決定すること、及び
b)前記対象において少なくとも10μM、好ましくは少なくとも20μM、より好ましくは少なくとも50μM、さらにより好ましくは少なくとも100μM、最も好ましくは少なくとも200μMであるAATレベルを達成するために必要である、前記組成物中のAATの量を決定する工程を含む、方法に関する。
本明細書で提供される全ての定義及び組み合わせは、該当する場合、及び特に明記されていない限り、本態様に適用される。
いくつかの態様では、本発明は、前記ウイルスがコロナウイルスである、本発明にかかる方法に関する。いくつかの態様では、本発明は、前記ウイルスがSARS-CoV-2である、本発明にかかる方法に関する。いくつかの態様では、本発明は、前記疾患又は症候群が、呼吸器症候群又は重症急性呼吸器症候群である、本発明にかかる方法に関する。いくつかの態様では、本発明は、前記疾患又は症候群が、神経系の炎症性疾患又は症候群である、本発明にかかる方法に関する。いくつかの態様では、本発明は、前記神経系の炎症性疾患又は症候群が、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病の群から選択される疾患又は症候群である、本発明にかかる方法に関する。
本明細書で提供される全ての定義及び組み合わせは、該当する場合、及び特に明記されていない限り、これらの態様に適用される。
当業者は、本明細書に記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形及び変更を受け入れる余地があることを理解するであろう。本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、全てのそのような変形及び変更を含むことを理解されたい。本発明はまた、本明細書で個別に又は集合的に参照又は記載される工程、特徴、組成物、及び化合物の全て、並びに前記工程又は特徴の任意の及び全ての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。したがって、本開示は、例示された全ての態様において限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって示され、均等の意味及び範囲内にある全ての変更はそこに含まれることが意図されている。本明細書全体を通して様々な参考文献が引用されており、その各々は参照によりその全体が本明細書に援用される。上記の説明は、以下の実施例を参照してより完全に理解されるであろう。
図1は、SARS-CoV-2感染サイクル及び宿主細胞へのウイルス侵入をブロックするAATの役割の模式図。 図2aは、A549及びHeLa細胞におけるカテプシンL、フーリン、ACE2、及びTMPRSS2の内因性mRNAレベルは、HeLa細胞及びA549細胞のいずれも相当量のACE2 mRNA及びTMPRSS2のいずれも発現しないことを示す図である。どちらの細胞株もフーリン及びカテプシンL(SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2由来のスパイクタンパク質のプライミングプロテアーゼ)を発現している。 図2bは、SARS-CoV-2スパイクD614G偽型ウイルスバリアントは、感染性の増加を示していることを示す図である。ルシフェラーゼを発現し、SARS-CoV-2-スパイク野生型(D614)又はD614G変異体(G614)で偽型化されたレンチウイルスを使用して、ACE2及び/又はTMPRSS2を過剰発現するHeLa細胞に形質導入した。結果は、TMPRSS2を過剰発現するHeLa細胞ではSARS-CoV-2偽型ウイルス細胞侵入に対する10マイクロモル(10μM)濃度の血漿由来AATによる阻害効果はなく、ACE2のみを発現するHeLa細胞では最大25%であることを示している。 図3は、a)異なる細胞株におけるACE2遺伝子発現、b)異なる細胞株(組織)におけるTMPRSS2遺伝子発現。 図3は、a)異なる細胞株におけるACE2遺伝子発現、b)異なる細胞株(組織)におけるTMPRSS2遺伝子発現。 図4は、IFN-γによる処理に応答したA549でのACE2発現。 図4は、IFN-γによる処理に応答したA549でのACE2発現。 図4は、IFN-γによる処理に応答したA549でのACE2発現。 図4は、IFN-γによる処理に応答したA549でのACE2発現。 図5は、IFN-γによる処理に応答したHeLaでのACE2発現。 図6は、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイ。a)~b)A549細胞-野生型(WT)偽型ウイルス。a)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2細胞。b)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。c)~d)A549細胞-スパイクG416変異偽型ウイルス。c)変異体G416偽型ウイルスを含むA549 ACE2細胞。d)変異体G614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。Respikam(登録商標)=FDA承認の血漿由来AATであるGLASSIA(臨床グレード)、Sigma=Sigma社より購入した血漿由来AAT(非GMPグレード)。 図6は、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイ。a)~b)A549細胞-野生型(WT)偽型ウイルス。a)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2細胞。b)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。c)~d)A549細胞-スパイクG416変異偽型ウイルス。c)変異体G416偽型ウイルスを含むA549 ACE2細胞。d)変異体G614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。Respikam(登録商標)=FDA承認の血漿由来AATであるGLASSIA(臨床グレード)、Sigma=Sigma社より購入した血漿由来AAT(非GMPグレード)。 図6は、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイ。a)~b)A549細胞-野生型(WT)偽型ウイルス。a)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2細胞。b)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。c)~d)A549細胞-スパイクG416変異偽型ウイルス。c)変異体G416偽型ウイルスを含むA549 ACE2細胞。d)変異体G614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。Respikam(登録商標)=FDA承認の血漿由来AATであるGLASSIA(臨床グレード)、Sigma=Sigma社より購入した血漿由来AAT(非GMPグレード)。 図6は、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイ。a)~b)A549細胞-野生型(WT)偽型ウイルス。a)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2細胞。b)WT D614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。c)~d)A549細胞-スパイクG416変異偽型ウイルス。c)変異体G416偽型ウイルスを含むA549 ACE2細胞。d)変異体G614偽型ウイルスを含むA549-ACE2-TMPRSS2細胞。Respikam(登録商標)=FDA承認の血漿由来AATであるGLASSIA(臨床グレード)、Sigma=Sigma社より購入した血漿由来AAT(非GMPグレード)。 図7は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2増強A549細胞で50%~75%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図7は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2増強A549細胞で50%~75%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図7は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2増強A549細胞で50%~75%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図7は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2増強A549細胞で50%~75%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図8は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2+TMPRSS2増強A549細胞で最大で45%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図8は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2+TMPRSS2増強A549細胞で最大で45%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図8は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2+TMPRSS2増強A549細胞で最大で45%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図8は、SARS-CoV-2偽型ウイルスの侵入は、100及び200マイクロモル濃度のAATの両方で、ACE2+TMPRSS2増強A549細胞で最大で45%ブロックされることを示す図である(5×PBS中100μMのRespikam、5×PBS中100μMのSigma、2.5×PBS中200μMのSigma、5×PBS中100μMのPortland、5×PBS中のGenfaxon、0.2%DMSO中10μM及び100μMのカモスタット、0.2%DMSO中の10μM及び100μMのブロムヘキシン、0.2%DMSO中10μM及び100μMのベンゼンスルホニル)。 図9は、ACE-2が、コロナウイルス病2019(COVID-19)の原因となる新規コロナウイルスであるSARS-CoV-2による感染を媒介する宿主細胞受容体であることを示す図である。薬剤化合物(AAT)による治療は、ウイルスと受容体との間の相互作用を撹乱する。(出典:https://www.rndsystems.com/resources/articles/ace-2-sars-receptor-identified)。 図10は、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイプロトコル。 図11は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果であって、ベクターpXC17.4(Lonza Biologics PLC)を使用してCHO細胞で産生された組換えAAT1では、200μMで最も顕著な阻害効果(93.4%)が観察されること、c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果、並びにd)25μM血漿由来AAT及びCHO 細胞で産生された組換えAAT(組換えAAT1、組換えAAT2)と組み合わせた10ng/mLのIFN-β-1aは、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイで相加的な阻害効果を示すことを示す図である。 図11は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果であって、ベクターpXC17.4(Lonza Biologics PLC)を使用してCHO細胞で産生された組換えAAT1では、200μMで最も顕著な阻害効果(93.4%)が観察されること、c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果、並びにd)25μM血漿由来AAT及びCHO 細胞で産生された組換えAAT(組換えAAT1、組換えAAT2)と組み合わせた10ng/mLのIFN-β-1aは、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイで相加的な阻害効果を示すことを示す図である。 図11は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果であって、ベクターpXC17.4(Lonza Biologics PLC)を使用してCHO細胞で産生された組換えAAT1では、200μMで最も顕著な阻害効果(93.4%)が観察されること、c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果、並びにd)25μM血漿由来AAT及びCHO 細胞で産生された組換えAAT(組換えAAT1、組換えAAT2)と組み合わせた10ng/mLのIFN-β-1aは、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイで相加的な阻害効果を示すことを示す図である。 図11は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果であって、ベクターpXC17.4(Lonza Biologics PLC)を使用してCHO細胞で産生された組換えAAT1では、200μMで最も顕著な阻害効果(93.4%)が観察されること、c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果、並びにd)25μM血漿由来AAT及びCHO 細胞で産生された組換えAAT(組換えAAT1、組換えAAT2)と組み合わせた10ng/mLのIFN-β-1aは、SARS-CoV-2偽型ウイルス侵入アッセイで相加的な阻害効果を示すことを示す図である。 図12は、a)及びb)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果、並びにc)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図12は、a)及びb)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果、並びにc)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図12は、a)及びb)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果、並びにc)ACE2過剰発現HeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2偽型ウイルス侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図13は、SARS-CoV-2スパイク融合アッセイの模式図。 図14は、ACE2及びSmall BiT(SmBiT)ルシフェラーゼ、又はSARS-CoV-2スパイク及びLarge BiT(LgBiT)ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現するHeLaヒト子宮頸癌細胞におけるSARS-CoV-2スパイク融合アッセイ。CHO細胞で産生された組換えAAT(rhAAT)(組換えAAT1及び組換えAAT2)は、血漿由来AATと比較して、SARS-CoV-2スパイクを介した細胞融合に対してより優れた阻害効果を示す。 図15は、a)ヒト肺細胞株におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現のqPCR分析、b)ヒト肺細胞株(Calu3及びA549)におけるACE2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるACE2の内因性発現を示さないこと、c)ヒト肺細胞株(A549)対結腸直腸細胞株(Caco2)におけるTMPRSS2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるTMPRSS2の内因性発現を示さないこと、並びにd)及びe)様々なヒト細胞株(組織)におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現の相対定量的qPCR分析を示す図である。明らかに、肺に由来する細胞は、Calu3細胞及びA549細胞で、それぞれトリプシン及びカテプシンBの最大コピー数を示す。特に、神経組織由来の細胞(SH-SY5Y)も、トリプシン及びカテプシンBの両方で比較的高いコピー数を示す。 図15は、a)ヒト肺細胞株におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現のqPCR分析、b)ヒト肺細胞株(Calu3及びA549)におけるACE2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるACE2の内因性発現を示さないこと、c)ヒト肺細胞株(A549)対結腸直腸細胞株(Caco2)におけるTMPRSS2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるTMPRSS2の内因性発現を示さないこと、並びにd)及びe)様々なヒト細胞株(組織)におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現の相対定量的qPCR分析を示す図である。明らかに、肺に由来する細胞は、Calu3細胞及びA549細胞で、それぞれトリプシン及びカテプシンBの最大コピー数を示す。特に、神経組織由来の細胞(SH-SY5Y)も、トリプシン及びカテプシンBの両方で比較的高いコピー数を示す。 図15は、a)ヒト肺細胞株におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現のqPCR分析、b)ヒト肺細胞株(Calu3及びA549)におけるACE2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるACE2の内因性発現を示さないこと、c)ヒト肺細胞株(A549)対結腸直腸細胞株(Caco2)におけるTMPRSS2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるTMPRSS2の内因性発現を示さないこと、並びにd)及びe)様々なヒト細胞株(組織)におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現の相対定量的qPCR分析を示す図である。明らかに、肺に由来する細胞は、Calu3細胞及びA549細胞で、それぞれトリプシン及びカテプシンBの最大コピー数を示す。特に、神経組織由来の細胞(SH-SY5Y)も、トリプシン及びカテプシンBの両方で比較的高いコピー数を示す。 図15は、a)ヒト肺細胞株におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現のqPCR分析、b)ヒト肺細胞株(Calu3及びA549)におけるACE2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるACE2の内因性発現を示さないこと、c)ヒト肺細胞株(A549)対結腸直腸細胞株(Caco2)におけるTMPRSS2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるTMPRSS2の内因性発現を示さないこと、並びにd)及びe)様々なヒト細胞株(組織)におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現の相対定量的qPCR分析を示す図である。明らかに、肺に由来する細胞は、Calu3細胞及びA549細胞で、それぞれトリプシン及びカテプシンBの最大コピー数を示す。特に、神経組織由来の細胞(SH-SY5Y)も、トリプシン及びカテプシンBの両方で比較的高いコピー数を示す。 図15は、a)ヒト肺細胞株におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現のqPCR分析、b)ヒト肺細胞株(Calu3及びA549)におけるACE2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるACE2の内因性発現を示さないこと、c)ヒト肺細胞株(A549)対結腸直腸細胞株(Caco2)におけるTMPRSS2遺伝子発現のqPCR分析は、A549細胞株におけるTMPRSS2の内因性発現を示さないこと、並びにd)及びe)様々なヒト細胞株(組織)におけるスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ遺伝子発現の相対定量的qPCR分析を示す図である。明らかに、肺に由来する細胞は、Calu3細胞及びA549細胞で、それぞれトリプシン及びカテプシンBの最大コピー数を示す。特に、神経組織由来の細胞(SH-SY5Y)も、トリプシン及びカテプシンBの両方で比較的高いコピー数を示す。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図16は、a)AAT及びrhAATはカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害すること、b)AAT及びrhAATはカテプシンLプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、 c)AAT及びrhAATはトリプシンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を用いてHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、d)AAT及びrhAATはフーリンプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、e)AAT及びrhAATはPC1プロテアーゼ活性を阻害すること、f)AAT及びrhAATはマトリプターゼプロテアーゼ活性を阻害すること、g)AAT及びrhAATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害すること、h)AAT及びrhAATはエラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpXC17.4(組換えAAT1)を使用してCHO細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたこと、並びにi)AAT及びrhAATは、好中球エラスターゼプロテアーゼ活性を阻害し、ベクターpcDNA3.1(+)(組換えAAT4)を使用してHEK293細胞で産生された組換えAATで最も顕著な阻害効果が観察されたことを示す図である。 図17は、a)血漿由来AAT及びb)Octet(登録商標)法を使用して測定した組換えAATの結合の標準曲線。血漿由来AATとベクターPL136及びベクター137を用いてCHO細胞で産生された組換えAATとの間には、異なる結合親和性が観察される。 図17は、a)血漿由来AAT及びb)Octet(登録商標)法を使用して測定した組換えAATの結合の標準曲線。血漿由来AATとベクターPL136及びベクター137を用いてCHO細胞で産生された組換えAATとの間には、異なる結合親和性が観察される。 図18は、a)実験タイムラインの模式図及びb)IFNγを介したミクログリアの活性化(炎症)。 図18は、a)実験タイムラインの模式図及びb)IFNγを介したミクログリアの活性化(炎症)。 図19は、a)実験タイムラインの模式図及びb)AATによるIFNγを介したミクログリアの活性化(炎症)の低下。効果は、血漿由来AAT、組換えAAT(rhAA)、及びAATを発現する遺伝子で形質導入された細胞(遺伝子治療)で観察される。 図19は、a)実験タイムラインの模式図及びb)AATによるIFNγを介したミクログリアの活性化(炎症)の低下。効果は、血漿由来AAT、組換えAAT(rhAA)、及びAATを発現する遺伝子で形質導入された細胞(遺伝子治療)で観察される。 図20は、a)実験タイムラインの模式図及びb)IFNβによるAATで得られる抗炎症効果の向上。 図20は、a)実験タイムラインの模式図及びb)IFNβによるAATで得られる抗炎症効果の向上。 図21は、a)及びb)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図21は、a)及びb)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図21は、a)及びb)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)Caco2ヒト結腸直腸腺癌細胞におけるMERS-CoV偽型ウイルスの侵入に対する他のセリンプロテアーゼ阻害剤の効果。 図22は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する他のプロテアーゼ阻害剤の効果。 図22は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する他のプロテアーゼ阻害剤の効果。 図22は、a)及びb)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する血漿由来AAT及び組換えAATの効果。c)ACE2過剰発現A549ヒト肺胞基底上皮細胞におけるSARS-CoV偽型ウイルス侵入に対する他のプロテアーゼ阻害剤の効果。 図23は、a)ADAM17活性化及びタンパク質排出に対するAATの影響並びにb)スパイクタンパク質/IgG免疫複合体による単球/マクロファージの活性化に対するAATの影響。 図23は、a)ADAM17活性化及びタンパク質排出に対するAATの影響並びにb)スパイクタンパク質/IgG免疫複合体による単球/マクロファージの活性化に対するAATの影響。 図24は、異なる供給源由来のAATの分子量の違い。 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図25は、a)pXC-17.4(Lonza Biologics社)のベクターマップb)pJ201_AAT_native_SP(Merck社)のベクターマップc)pJ201_AAT_SP5(Merck社)のベクターマップd)PL136(Merck社)のベクターマップe)PL137(Merck社)のベクターマップf)空のpCGS3ベクターのベクターマップg)pcDNA3.1(+)(GenScript社)のベクターマップ 図26は、AATアフィニティーの検出のために開発されたOctet(登録商標)法。
全図:「Respikam」(登録商標)は、血漿由来AAT(臨床グレード)を指し、「Sigma」は、血漿由来AATを指し、「組換えAAT1」は、pXC-17.4(GSシステム(登録商標)、Lonza社)によってCHOで産生されたAATを指し、「組換えAAT2」は、PL136/PL137(Merck社)によってCHOで産生されたAATを指し、「組換えAAT3」は、HEK293Tで生成されたAATを指し、「組換えAAT4」は、pcDNA3.1(+)(GenScript社)によってHEK293で産生されたAATを指す。
材料及び方法
α1-アンチトリプシン(AAT)によるSARS-CoV-2感染の治療
SARS-CoV-2感染に対するAATの影響は、2つのレベルで示される。
1.第一に、SARS-CoV-2のプロテアーゼ依存性の細胞への侵入。
2.第二に、重症SARS-CoV-2疾患におけるオーバーシュート炎症。
重要なことに、これはCOVID-19(すなわち、SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患)の3つの段階を表している。
1.第1段階のCOVID-19(SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患、インフルエンザ様症状、通常は1週間以内に消失)は治療を必要としない。
2.典型的にはウイルス性肺炎を特徴とする第2段階の疾患は入院を必要とし、抗ウイルス治療(すなわち、SARS-CoV-2の細胞への侵入の阻害)は、さらなる進行を防ぐためにこの段階で大きな関心となる。
3.第3段階のCOVID疾患は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び重度の全身性炎症を特徴としている。この段階では、抗炎症治療及び抗ウイルス治療が必要である。
本発明者らの分析によると、AATはステージII及びステージIIIのCOVID-19の治療に有用であるが、ステージIからステージII及びステージIIIへの進行を防ぐためにAATの予防的投与が想定される。
実施例1―SARS-CoV-2の細胞への侵入
SARS-CoV-2の侵入は、ウイルスのスパイクタンパク質と宿主細胞のアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との結合によって媒介される。インビトロでこの生物学的事象を再現するために、レポーター(GFP又はルシフェラーゼ)をコード化し、その表面にスパイクタンパク質を発現するレンチベクターが生成される。レンチベクターの細胞への侵入は、SARS-CoV-2メカニズムによって媒介され、その有効性は、標的細胞におけるレポーター(GFP又はルシフェラーゼ)の発現によって測定される(Ou, X., Liu, Y., Lei, X. et al. Characterization of spike glycoprotein of SARS-CoV-2 on virus entry and its immune cross-reactivity with SARS-CoV. Nat Commun 11, 1620, 2020)。AATは、GFPシグナル及び/又はルシフェラーゼシグナルを読み取ることによってウイルス侵入の阻害を定量化するために添加される。
膜貫通型セリンプロテアーゼ TMPRSS2 は、SARS-CoV-2感染(Toshio Hirano, Masaaki Murakami COVID-19:A New Virus, but a Familiar Receptor and Cytokine Release Syndrome Immunity, 22 April 2020)及びC型肝炎感染(Esumi M, Ishibashi M, Yamaguchi H, Nakajima S, Tai Y, Kikuta S, Sugitani M, Takayama T, Tahara M, Takeda M, WakitaT- Trans-membrane serine protease TMPRSS2 activates hepatitis C virus infection. Hepatology. 2015 Feb; 61(2):437-46)に不可欠である。C型肝炎感染はAAT(おそらくTMPRSS2阻害を介して - Esumi et al., 2020)でブロックされ得る。SARS-CoV-2(及び一部の高病原性インフルエンザウイルス)は、プロテアーゼフーリンによる切断を可能にする配列を有する。この切断部位はSARSコロナウイルス及びMERSコロナウイルスには存在せず、SARS-CoV-2の病原性にとって重要であることを示唆している(B. Coutard, C. Valle, X. de Lamballerie, B. Canard, N.G. Seidah, E. Decroly, The spike glycoprotein of the new coronavirus 2019-nCoV contains a furin-like cleavage site absent in CoV of the same clade, Antiviral Research,Volume 176, 2020)。α1-アンチトリプシンポートランドは、フーリンに対して強力かつ選択的な活性を有する(Jean F, Stella K, Thomas L, et al. alpha1-Antitrypsin Portland, a bioengineered serpin highly selective for furin:application as an antipathogenic agent. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998;95(13):7293-7298. doi:10.1073/pnas.95.13.7293)。したがって、野生型AAT(血漿由来)並びに組換え体(哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞及び/又はHEK細胞で産生される)はフーリン活性を示すと考えられる。
実験
1.1. 組換えスパイクタンパク質の細胞切断に対するAATの影響
組換えスパイクタンパク質を、関連する細胞型(当技術分野で公知の任意のACE2発現細胞)に添加し、ウエスタンブロッティングによってタンパク質分解切断を評価する。任意のACE2発現細胞株を使用可能である。複数の標的細胞株は、様々な量のACE2受容体を発現する。Calu-3、SH-SY5Y、HEK、HT1080、A549、MRC5、Huh7、Vero81、VeroE6、HeLa、RS、及びLLCMK2が挙げられるが、これらに限定されない
1.2.偽型ウイルスの侵入に対するAATの影響
SARS-CoV-2スパイクタンパク質をウイルス付着/融合タンパク質として使用する偽型ウイルス(すなわち、偽型化したウイルスベクター)は、SARS-CoV-2の細胞へのメカニズムを正しく表現する。この侵入は、プロテアーゼ阻害剤AATによって阻害される2つのタンパク質分解ステップに依存している。したがって、種々の異なる細胞株、好ましくはACE2発現細胞株における偽型ウイルスの侵入を検討する。
1.3.活性SARS-CoV-2による細胞感染に対するAATの影響(生ウイルス試験):
AATを、スイス連邦政府保健庁(OFSP)の推奨に従って、バイオセキュリティレベル3で操作された生SARS-CoV-2ウイルスで試験する。ウイルスは、AAT又はその任意の断片、バリアント、及びアイソフォームで処理された細胞にインビトロで接種され、細胞毒性及びウイルス力価の低下を含む効率を評価するために複数のパラメーターが測定される。より具体的には、SARS-CoV-2による細胞感染は、ウイルスタンパク質による免疫蛍光法及び細胞死の定量化によって評価される。SARS-CoV-2は神経組織に感染する(Helms J, Kremer S, Merdji H, et al. Neurologic Features in Severe SARS-CoV-2 Infection [published online ahead of print, 2020 Apr 15]. N Engl J Med. 2020; Pleasure SJ, Green AJ, Josephson SA. The Spectrum of Neurologic Disease in the Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Pandemic Infection: Neurologists Move to the Frontlines. JAMA Neurol. Published online April 10, 2020)ことから、神経組織(例えば、Minibrain(商標))及び神経芽細胞腫細胞(SH-SY5Y)の感染は、AATを用いた併用治療として実施され、ウイルスの細胞毒性又は向性を改変すると予想される。
実施例2―「サイトカインストーム」としても知られる重度のSARS-CoV-2疾患におけるオーバーシュート炎症(Fu Y, Cheng Y, Wu Y. Understanding SARS-CoV-2-Mediated Inflammatory Responses:From Mechanisms to Potential Therapeutic Tools [published online ahead of print, 2020 Mar 3]. Virol Sin. 2020;1-6. doi:10.1007/s12250-020-00207-4):
Figure 2023523652000004
実験
2.1.ADAM17(TACE)のSARS-CoV-2活性化:SARS-CoV-2病理のADAM17活性化部分(例えば、Vanesa Palau, Marta Riera, Maria Jose Soler, ADAM17 inhibition may exert a protective effect on COVID-19, Nephrology Dialysis Transplantation, , gfaa093, https://doi.org/10.1093/ndt/gfaa093; https://clinicalaffairs.umn.edu/umn-research/regulation-sars-cov-2-receptor-ace2-adam17; Haga S, Yamamoto N, Nakai-Murakami C, et al. Modulation of TNF-alpha-converting enzyme by the spike protein of SARS-CoV and ACE2 induces TNF-alpha production and facilitates viral entry. Proc Natl Acad Sci U S A. 2008;105(22):7809-7814. doi:10.1073/pnas.0711241105を参照)。AATはADAM17を阻害する(例えば、Bergin DA, Reeves EP, Meleady P, et al. α-1 Antitrypsin regulates human neutrophil chemotaxis induced by soluble immune complexes and IL-8. J Clin Invest. 2010;120(12):4236-4250. doi:10.1172/JCI41196; Serban KA, Petrusca DN, Mikosz A, et al. Alpha-1 antitrypsin supplementation improves alveolar macrophages efferocytosis and phagocytosis following cigarette smoke exposure. PLoS One. 2017;12(4):e0176073. Published 2017 Apr 27. doi:10.1371/journal.pone.0176073を参照)。
細胞を曝露した後のADAM17活性化及びタンパク質排出(特にACE2)に対するAATの影響を検討する(図23a):
i)スパイクタンパク質
ii)偽型ウイルス
iii)SARS-CoV-2(生ウイルス)。
使用される最も関連性の高い細胞は、任意のACE2発現細胞である(上記のとおり)。
2.2.SARS-CoV-2/IgG免疫複合体によるFc受容体の活性化(抗体依存性増強、例えば、F. Negro, Swiss Med Wkly. 2020;150:w20249 “Is antibody-dependent enhancement playing a role in COVID-19 pathogenesis?”を参照)。トリプシン様プロテアーゼによるタンパク質分解は、TNF放出の誘導など、単球のFcγRJIを介した機能を強化する(J M Debets, J G Van de Winkel, J L Ceuppens, I E Dieteren, W A Buurman in The Journal of Immunology February 15, 1990, 144 (4) 1304-1310)。
スパイクタンパク質/IgG免疫複合体による単球/マクロファージの活性化に対するAATの影響を検討する(図23b)。
実施例3―ウイルス増殖の減少におけるAATの有効性を裏付ける追加の実験
3.ウイルスポリメラーゼアッセイ
SARS-CoV-2ウイルスポリメラーゼは、ウイルスの遺伝物質の複製における重要な要素である。マルチサブユニットウイルスポリメラーゼ(少なくとも3つのコアサブユニットNSP7、NSP8、及びNSP12で構成される)を発現する細胞株をトランスフェクトして、ウイルスポリメラーゼ活性によってのみ活性化できるルシフェラーゼレポーターも過剰発現させる。
ルシフェラーゼレポーターシグナルは、ウイルスのポリメラーゼ活性に比例する。AATを、ウイルスのポリメラーゼ阻害活性を評価するために試験する。
宿主細胞に侵入すると、SARS-CoV-2は宿主細胞機構を使用して自身の複製を強化する。これは、本質的にNSP1ウイルスタンパク質によって媒介される、宿主細胞に対する毒性反応を誘発する。
この生物学的事象を模倣するために、テトラサイクリン誘導性プロモーターによって制御されるウイルスNSP1タンパク質を発現する細胞株が生成される。細胞をテトラサイクリンで処理すると、毒性のあるNSP1タンパク質が発現される。AATの添加は、ウイルスタンパク質によって媒介されるこの毒性効果を阻害すると推定される。
実験4
序論
新たに出現したSARS-CoV-2コロナウイルスによって引き起こされた最近のパンデミックは、世界を驚愕させた。SARS及びMERSなどの以前のコロナウイルスの発生とは対照的に、この新しいウイルスは、特に高い致死率ではなく、前例のない疫学的達成によって特徴付けられる。実際、世界中の多くの国で厳格な対策が講じられているにもかかわらず、前記ウイルスはこれまで根絶のあらゆる試みにほとんど抵抗してきた。
SARS-CoV-2はRNAウイルスであるが、コロナウイルスはいくつかの点で他のRNAウイルスとは異なる。それらは、まだ充分に理解されていない大きなゲノム及び高度なライフサイクルを有する。また、コロナウイルスには、他のタイプのRNAウイルスと比較して、比較的安定したゲノムを付与するプルーフリーディング(校正)機構がある。実際、パンデミックの規模を考えると、これまでのところ、アミノ酸の変化につながる変異は比較的少数しか報告されていない。
スパイクとしても知られるコロナウイルスSタンパク質は、ウイルスエンベロープの主要なタンパク質である。これは、宿主細胞表面受容体へのウイルスの付着及びその後のウイルス膜と宿主細胞膜との融合を媒介して、宿主細胞へのウイルスの侵入を促進する。これは、2つの主要なサブユニット、すなわちS1及びS2に分割された準安定な融合前コンフォメーションで存在する三量体のクラスI融合タンパク質である。宿主細胞表面受容体に結合するために、S1ドメイン内に含まれる受容体結合ドメイン(RBD)はヒンジ様のコンフォメーション変化を起こし、2つの異なる状態を定義する[1]。このコンフォメーション変化は、タンパク質分解プロセシング及び/又は宿主細胞膜とのS2ドメインの融合に必要である。現在、プロテアーゼのPCファミリー、トリプシン様プロテアーゼ、及びカテプシンを含む様々なプロテアーゼがスパイクタンパク質を切断できると考えられている[2]。
スパイクタンパク質D614G変異は、ウイルスの付着、融合性、及び/又は免疫原性を潜在的に変化させる可能性があるため、注目されている。D614G変異は、感染性(参照)、伝染性[3]、及び/又は致死率を増加させることが示唆されている[4]。最近の研究では、G614バリアントが実際に細胞へのウイルスの侵入を促進することが直接実証されている[5及び6]。
SARS-CoV-2は、マルチサブユニットの複製/転写機構を採用している[7]。ORF1aウイルスポリタンパク質及びORF1bウイルスポリタンパク質の切断産物として生成される一連の非構造タンパク質(nsp)が集合してウイルスの複製及び転写を促進するため、この機構はCOVID-19ウイルス感染に対する治療的介入の潜在的な標的となる[8]。RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp、nsp12としても公知)は、ウイルスRNAの合成における重要な役割を果たす。最近解明されたSARS-CoV-2 nsp12の結晶構造は、そのnsp7補因子及びnsp8補因子と複合体を形成しており、これらの非構造タンパク質がCOVID-19ウイルスの複製及び転写サイクルにおいて中心的な役割を果たしていることが強調されている[8及び9]。RdRpのP314L変異はあまり注目されていないが、この変異がウイルスのプルーフリーディングを変化させ、それによって下流の変異率の増加につながる可能性があることが示唆されている[10]。
本研究では、Sタンパク質及びRdRポリメラーゼにおいて付随する変異を伴うSARS-CoV-2バリアントの出現を調べる。両方の変異は、それぞれのタンパク質の戦略的に関連する部位にあるため、ウイルスの生態を変化させる候補である。G624/L323バリアントは、個々のG624又はL323変異体ではなく、疫学的に非常に成功しており、過去数か月で元のD624/P323 バリアントの大部分が置換された。
方法:
細胞株及び培養
本研究で使用したヒト細胞株は、HEK293T/17細胞(ヒト腎臓、ATC C#CRL-11268)、A549細胞、HeLa細胞、及びHMC3-MHCIILuc細胞であった。主要組織適合遺伝子複合体IIプロモーター(MHCII)の下でルシフェラーゼレポーターをコード化するHMC3-MHCIILuc細胞株は、ヒトミクログリアの活性化を研究するための貴重なツールとして記載されており、ジュネーヴ大学(University of Geneva)のKarl-Heinz Krause教授から入手した。HMC3-MHCIILuc細胞をレンチウイルスベクターで形質導入して、AAT産生HMC3-MHCIILuc;UbiAAT細胞株を得た(レンチウイルス産生を参照)。細胞は、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、100μg/mLのペニシリン及びストレプトマイシン、2mMのl-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、及び1%非必須アミノ酸を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持した。HMC3細胞株には、非必須アミノ酸を添加しなかった。培養物を、5%CO雰囲気で37℃に維持した。
スパイク融合アッセイ
処理の適切な濃度は、培養培地で事前に希釈した。この混合物上に、ヒトACE2受容体とSmall BiT(SmBiT)スプリットルシフェラーゼ断片とを安定的に過剰発現するHeLa細胞株を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質とLarge BiT(LgBiT)スプリットルシフェラーゼ断片とを安定的に過剰発現するHeLa細胞株と共に加えて、27℃で24時間培養した。ACE2及びSARS-CoV-2スパイク間の相互作用は、両方の細胞株の融合を媒介し、それにより機能性ルシフェラーゼに至るLgBiT及びSmBiTのスプリットルシフェラーゼ断片間の相互作用を媒介する。発光は、Nano-Glo(登録商標)キット(Promega社)を使用して製造元の指示に従って測定した。
ACE2及びTMPRSS2を発現する細胞株の生成。
HeLa細胞及びA549細胞を、12ウェルプレートにウェルあたり2E05細胞の密度で播種した。細胞をACE2/ピューロマイシン及び/又はTMPRSS2/ブラストサイジンレンチウイルスのいずれかで共形質導入した翌日。形質導入の4日後、5μg/mLでブラストサイジン及びピューロマイシンを用いて細胞を選択した。細胞はポリクローナル集団として維持された。
プラスミド
ACE2及びTMPRSS2のcDNAのORFをGenSript社から購入し、標準的なクローニング方法を使用して、pCDH-CMV-MCS-EF1α-Puro(配列番号13)レンチベクター及びpCDH-CMV-MCS-EF1α-Blast(配列番号14)レンチベクターにそれぞれクローニングした。SARS-CoV-2-Spikeタンパク質をコード化するpCG1_SCoV2-Sプラスミド(配列番号15)は、Stefan Pohlmann教授(ゲッティンゲン大学(University Gottingen)、ゲッティンゲン、ドイツ)から提供された。G614スパイクを、部位特異的突然変異誘発を使用して、以下のプライマーでクローニングした:5’-GCGTGAACTGTACCGAAGTG-3’(配列番号16)及び5’-CCTGGTACAGCACTGCC-3’(配列番号17)。SARS-CoV-2-SpikeのC末端19アミノ酸切断バージョンは、5’-AGCGAATTCGGATCCGCC-3’(配列番号18)及び5’-ACAGTCGACTCTAGATTAGCAGCAGCTGCCACAG-3’(配列番号19)のプライマーを使用したPCR増幅によって生成し、pCG1プラスミドへクローニングした。
HEK293T細胞で産生されたAATの精製
ヒトAAT-Hisタグ付きタンパク質を過剰発現するHEK293T細胞からの上清をサンプリングし、Ni Sepharose(登録商標)Excelヒスチジンタグ付きタンパク質精製樹脂(Cytiva社)と共に振盪しながら4℃で一晩インキュベートした。上清:樹脂の体積比は200:1である。その後、上清を廃棄し、ビーズをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄した。ビーズを、10%(v/v)溶出緩衝液を添加したPBS(500mMイミダゾールを補充したPBS、pH7.5)で1回、20%溶出緩衝液を添加したPBSで1回洗浄した。そして精製されたAAT-Hisタグ付きタンパク質を、100%溶出緩衝液で溶出した。イミダゾールを透析により除去して、PBS緩衝液中にAAT-Hisを得た。
レンチウイルス産生
組換えレンチウイルス産生のために、プラスミドをリン酸カルシウム法を用いてHEK293T細胞にトランスフェクトした。簡潔には、4.5×10細胞10cmディッシュに播種し、16時間後に15μgのACE2、TMPRSS2、AAT、又は空の発現レンチウイルスベクターのいずれか、10μgのパッケージングプラスミド(Didier Trono氏から供与されたpsPAX2[Addgeneプラスミド12260])、及び5μgのエンベロープ(Didier Trono氏から供与されたpMD2G[Addgeneプラスミド12259])を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの8時間後に培地を交換した。48時間後、ウイルス上清を回収し、45μmのPVDFフィルターを使用してろ過し、-80℃で保存した。
コロナウイルススパイク偽型レンチウイルス産生
スパイク偽型レンチウイルスは、上記のリン酸カルシウム法を使用して、293T細胞と、psPAX2、pCDH-CMV-Gluc-EF1α-GFP、並びにSARS-CoV-2スパイクD614全長(FL)(配列番号15)、スパイクG614全長(FL)(配列番号20)、スパイクD614DeltaCter(配列番号21)、スパイクG614DeltaCter(配列番号22)、SARS-CoVスパイク(Sino Biological Europe GmbH社、カタログ番号VG40150-G-N)、MERS-CoVスパイク(Sino Biological Europe GmbH社、カタログ番号VG40069-G-N)、又は空のベクター(配列番号23)のいずれかをコード化するプラスミドとの同時トランスフェクションによって産生した。
コロナウイルススパイク偽型レンチウイルス感染性アッセイ
ヒトACE2受容体を安定して過剰発現するHeLa細胞、ヒトACE2受容体を安定して過剰発現するA549細胞、又はCaco2細胞を96ウェルプレートに播種した。プレーティングの3時間後、化合物処理を行うか、実験の設定に応じて省略した。24時間後、細胞にコロナウイルス偽型ウイルスを6時間形質導入した。その後、培地を交換し、細胞を37℃に維持した。3日間のインキュベーション後、ガウシア(Gaussia)ルシフェラーゼ活性は、10μLの細胞上清を4μMセレンテラジンを添加した50μLのリン酸緩衝生理食塩水[PBS]に添加し、直ちにルミノメーター(Glomax、Promega社)で発光を測定することによって測定した。並行して、細胞をトリプシン処理し、10%FBSを添加したPBSに再懸濁し、Attune(商標)NxT Flow Cytometer(Thermo Fisher Scientific社)を使用してフローサイトメトリーで分析した。FlowJo 11(FlowJo,LLC社、オレゴン州アシュランド)を使用してデータを分析した。
無細胞アッセイ(スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ阻害)
反応は、トリプシン(Sigma-Aldrich)に対して100μL、カテプシンB(R&D Systems社)に対して75μL、並びにPC1(R&D Systems社)、マトリプターゼ(R&D Systems社)、フーリン(NEB社)、カテプシンL(R&D Systems社)、及びTMPRSS2(Creative BioMart社)に対して50μLで行った。緩衝液は、トリプシンの場合はPBS(pH7.4)(6.4nMに希釈)、カテプシンBの場合は25mMのMES(pH5)(1.76ng/μLに希釈)、PC1の場合は25mMのMES、5mM塩化カルシウム(CaCl)、及び1%Brij-35(pH6)(1.76ng/μLに希釈)、マトリプターゼの場合は50mMトリス、50mM塩化ナトリウム(NaCl)、及び0.01%Tween20(pH9)(1.76ng/μLに希釈)、フーリンの場合は100mMのHEPES、1mM塩化カルシウム(CaCl)、0.5%Triton×100、及び1mMの2-メルカプトエタノール(pH7.5)(10U/mLに希釈)、カテプシンLの場合は0.005%Brij-35、1mMのEDTA、5mMのDTT、及び50mMのMES(pH6)(1.76ng/μLに希釈)、TMPRSS2の場合は50mMのトリスHCl、150mMの塩化ナトリウム(NaCl)、及び0.01%Tween20(pH8)(0.5μMに希釈)から構成される。特に明記しない限り、全ての試薬はSigma Aldrich社から提供された。トリプシン、カテプシンB、PC1、マトリプターゼ、フーリン、及びカテプシンLアッセイでは、修飾MCA/Lys(DNP)FRET対(Biomatik社)を有するTNSPRRARSVA配列で構成されるSARS-CoV-2ペプチドを使用した。TMPRSS2アッセイでは、Boc-QAR-AMC配列(R&D Systems社)から構成されるペプチドを使用した。ブタ膵臓由来エラスターゼELA1には、アッセイキット(E-12056)は分子プローブをSigma-Aldrich社から購入し、好中球エラスターゼELA2には、アッセイキット(BML-AK497)はEnzo社から購入し、製造元の指示に従って試験を実施した。蛍光又は吸光度をプレートリーダーで45分間毎分測定した。Vmaxは各条件について1分当たりの蛍光単位として決定され、酵素活性は未処理条件の百分率(%)で表される。
遺伝子発現解析
製造元の指示に従って、RNeasy Micro Kit(QIAGEN社)を使用して全RNAを単離した。各試料からの500ngの全RNAを、TaKaRa社のPrimeScript(商標)キットを使用して、総量10μLで37℃で15分間逆転写した。相対mRNAレベルは、2ΔCt法によるSYBR Green PCRキット(Applied Biosystems社)を使用した定量的RT-qPCRによって評価した。内部対照としてGAPDHを使用した。
遺伝子コピー数推定
コピー数については、制限酵素消化を使用して各特定のプラスミドの線形化を実施した。製造業者の指示に従って、PCRクリーンアップキット(GeneJET社)を使用して、消化産物を洗浄した。次に、光学密度を測定し、コピー数を決定した。消化されたプラスミドからの1/10連続希釈をqPCRに使用した。
フーリン、カテプシンL、マトリプターゼ(stl4)、トリプシン(PRSS1)、PC1(PCSK1)のプラスミドはGenScript社から提供され、カテプシンBのプラスミドはSino Biological社から提供された。
Figure 2023523652000005
結果:Sタンパク質D614G変異が偽型レンチベクターによる細胞形質導入に与える影響
本発明者らの目的は、ウイルス受容体ACE2を一貫して発現する細胞株と、スパイクタンパク質を切断できる関連プロテアーゼとを確立することであった。図3A及び図3Bに見られるように、HeLa細胞もA549細胞も相当量のACE2 mRNAを発現しなかった。同様に、TMPRSS2のmRNAレベルはほとんど検出されなかった。両方の細胞型は、フーリンの低~中程度の遺伝子発現を示すが、カテプシンL(SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2両方からスパイクタンパク質を切断できるプロテアーゼ)の比較的高レベルの遺伝子発現を示している。したがって、スパイクタンパク質偽型レンチベクターを許容する細胞株を確立するために、HeLa細胞及びA549細胞の両方を個別に、又はACE2(配列番号24)及びTMPRSS2(配列番号25)と組み合わせて形質導入した。
予想どおり、野生型(模擬形質導入)HeLa細胞又はA549細胞を上記のレンチベクターに曝露しても、GFP又はルシフェラーゼの発現には至らなかった(図3c~図3f)。同様に、TMPRSS2自体の過剰発現は有意な形質導入率には至らなかった。上記D614偽型レンチベクターを使用すると、ACE2及びACE2/TMPRSS2を発現するHeLa細胞のわずかではあるが明らかに検出可能な形質導入があったが、A549細胞の形質導入は非常にわずかであった。これは、G614偽型ベクターが使用された場合に著しく変化した。両方のACE2発現系統で、はるかに強い形質導入があった。但し、ACE2発現HeLa細胞の形質導入は、ACE2発現A549細胞の形質導入よりもはるかに強力であった。一方、ACE2に加えてTMRPSS2の過剰発現は、HeLa細胞には当てはまらない形質導入の強力なさらなる増強に至る。したがって、ほとんどの場合、HeLa細胞は既にスパイク切断プロテアーゼを強く発現しており、効率的な形質導入にはTMRPSS2の過剰発現は必要ない。対照的に、A549細胞では、タンパク質分解による切断が律速段階であるように思われるため、TMRPSS2の過剰発現は形質導入を促進する。
検討(ウイルス感染に対するHeLa細胞株及びA549細胞株の感受性)
ある細胞株(HeLa、子宮頸部、女性、アフリカ系アメリカ人由来)のSARS-CoV-2偽型ウイルス感染に対する感受性の増加は、別の細胞株(A549、肺、男性、白人由来)と比較して特に興味深い観察結果であり、それは、患者集団の特徴付けが、COVID-19と診断された患者又は予防目的で患者に最大の影響を与えるように調整された治療戦略を決定するための鍵であるという概念の根底にある。人種自体は、考慮すべき二次的な役割を呈する可能性があるが、例えば、低内因性AAT又は高レベルの慢性炎症(より高いIFN-γ及び/又はカテプシンL)のいずれかに対する遺伝的素因は、活性治療物質(AAT)のより高い用量及び/又はより定期的な投与を必要とする。
実験4
異なる細胞株におけるACE2及びTMPRSS2遺伝子発現の内因性レベルを検出することを目的とした。
方法:RNeasy Micro Kit(QIAGEN社)を使用して、Calu3、CaCo2、VeroE6、HepG2、A549、SH-SY5Y、HEK293-117T、及びHeLaの細胞株から全RNAを抽出した。PrimeScript(商標)RT Reagent Kit(TaKaRa社)を使用して、全RNAから相補的DNAを合成した。PowerUp SYBR(商標)Green Master Mix(Applied Biosystems社)を使用して、cDNAのリアルタイムPCR測定を行い、コントロールのハウスキーピング遺伝子としてGAPDHの発現に対して正規化した。プライマーを以下に挙げる:
ACE2フォワード:cattggagcaagtgttggatctt(配列番号26)
ACE2リバース:gagctaatgcatgccattctca(配列番号27)
TMPRSS2フォワード:cacggactggatttatcgacaa(配列番号28)
TMPRSS2リバース:cgtcaaggacgaagaccatgt(配列番号29)
GAPDHフォワード:gcacaagaggaagagagagacc(配列番号30)
GAPDHリバース:aggggagattcagtgtggtg(配列番号31)
結果を図3に示す。
実験5
インターフェロンγ治療がA549細胞株でACE2発現を誘導するかどうかを判断することを目的とした。
プロトコル:A549細胞を12ウェルプレートに播種し、インターフェロンγの添加を細胞分裂の24時間後に行った。処理を48時間続け、前述のようにRNA抽出、逆転写酵素反応、及びqPCRを実行した(実験4の方法セクションを参照)。
結果を図4に示す。
実験6
インターフェロンγ治療が、SARS-CoV-2融合タンパク質を発現するHeLa細胞でACE2発現を誘導するかどうかを判断することを目的とした。
プロトコル:HeLaスパイク細胞を12ウェルプレートに播種し、インターフェロンγの添加を細胞分裂の24時間後に行った。処理を48時間続け、前述のようにRNA抽出、逆転写酵素反応、及びqPCRを実行した(実験4の方法セクションを参照)。
結果を図5に示す。
実験7:SARS-CoV-2ウイルス侵入アッセイ
結果を図7及び図8に示す。ルシフェラーゼレポーターをコード化する、D614G変異を含む表面タンパク質SARS-CoV-2スパイクを発現する偽型レンチベクターでアッセイを行った(図7及び図8)。
ACE2受容体(図7)又はACE2及びTMPRSS2の両方(図8)を構成的に過剰発現するA549細胞に偽型レンチベクターを添加する。化合物処理は、偽型レンチベクターの添加の24時間前(パネルA及びパネルB)又は1時間前(パネルC及びパネルD)に行う。偽型ウイルスアッセイプロトコルに関する詳細な概略情報は、図9及び図10に記載されている。
実施例4
ACE2を過剰発現するA549ヒト肺胞基底上皮細胞(図11及び図22)又はCaco2ヒト結腸直腸腺癌(図21)を用いたウイルス侵入阻害試験を、複数の供給源からのAAT(図11a、図11b、図21a、図21b、図22a、及び図22b)又は阻害剤化合物(図11c、図21c、及び図22c)で24時間処理した。次に、ルシフェラーゼレポーターをコード化し、D614G変異を有するSARS-CoV-2スパイクタンパク質(図11)、SARS-CoVスパイクタンパク質(図22)、又はMERS-CoVスパイクタンパク質(図21)を発現するレンチベクターを6時間かけて添加した。そして、培地を交換し、細胞を測定前にさらに3日間インキュベートした。ウイルス侵入は、レンチウイルス媒介ルシフェラーゼシグナル(図11、図21、及び図22の濃い灰色)によって測定し、薄い灰色で表示されたWST8細胞の生存率で正規化した。全ての条件について、DMSO/PBSの濃度を正規化した(緩衝液)。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例5
ACE2を過剰発現するHeLaヒト子宮頸癌を用いたウイルス侵入阻害試験を、複数の供給源からのAAT(図12a及び図12b)又は阻害剤化合物(図12c)で24時間処理した。次に、ルシフェラーゼレポーターをコード化し、D614G変異を有するSARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現するレンチベクターを6時間かけて添加した。そして、培地を交換し、細胞を測定前にさらに3日間インキュベートした。ウイルス侵入は、レンチウイルス媒介ルシフェラーゼシグナル(濃い灰色)によって測定し、薄い灰色で表示されたWST8細胞の生存率で正規化した。全ての条件について、DMSO/PBSの濃度を正規化した(緩衝液)。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例6
SARS-CoV-2スパイク融合アッセイ試験の原理を図13に示す。ACE2及びSmall BiT(SmBiT)ルシフェラーゼ、又はSARS-CoV-2スパイク及びLarge BiT(LgBiT)ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現するHeLaヒト子宮頸癌細胞を、適切な濃度の処理と同数で混合した。24時間後、細胞融合をルシフェラーゼレポーターシグナルの量によって測定した。ルシフェラーゼシグナルは、対照緩衝液の機能で観察される。血清は1/16の最終濃度で希釈した。全ての条件について、Sera/PBSの濃度を正規化した(緩衝液)。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す(図14)。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例7
A549細胞におけるプロテアーゼの遺伝子コピー数を決定するために、定量的PCR分析を行った。コピー数は、対照として各遺伝子の線形プラスミドを使用して計算した(図15a)。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例8
A549細胞におけるプロテアーゼACE2(図15b)及びTMPRSS2(図15c)の相対的遺伝子発現を決定するために、定量的PCR分析を実施した。Calu3細胞株及びCaco2細胞株は、それぞれACE2発現及びTMPRSS2発現の参照として使用した。Gapdh遺伝子を使用して正規化した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例9
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、1.76ng/μLのカテプシンB組換えタンパク質、及び1μMのAATを共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16a)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例10
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、1.76ng/μLのカテプシンL組換えタンパク質、及び10μMのAATを共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16b)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例11
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、6.4nMのトリプシン組換えタンパク質、及び2つの濃度のAAT(0.1μM及び1μM)を共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16c)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例12
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、10U/mLのフーリン組換えタンパク質、及び1μMのAATを共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16d)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例13
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、1.76ng/μLのPCI組換えタンパク質、及びいくつかの濃度のAAT(1μM、10μM、40μM、及び100μM)を共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16e)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例14
50μMのSARS-CoV-2ペプチド、1.76ng/μLのマトリプターゼ組換えタンパク質、及びいくつかの濃度のAAT(1μM、10μM、40μM、及び100μM)を共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(330nmで励起、390nmで発光検出)で毎分測定した(図16f)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例15
AATはTMPRSS2プロテアーゼ活性を阻害する。30μMのBoc-QAR-AMCペプチド、0.5μMのTMPRSS2組換えタンパク質、及び5μMのAATを共に45分間インキュベートした。蛍光をUV分光光度計(380nmで励起、460nmで発光検出)で毎分測定した(図16g)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例16
25μg/mLのDQ(商標)エラスチン基質、0.25U/mLのブタ膵臓由来エラスターゼ(ELA1)、及びいくつかの濃度のAAT(10nM、50nM、及び100nM)を共に45分間インキュベートした。蛍光を蛍光リーダー(485nmで励起、530nmで発光検出)で毎分測定した(図16h)。Vmax値は、傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例17
100μMのMeOSuc-AAPV-pNA基質、2.2μU/μLの精製ヒト好中球エラスターゼ(ELA2)、及びいくつかの濃度のAAT(1nM及び10nM)を共に45 分間インキュベートした。吸光度を分光光度計リーダー(A405nm)で毎分測定した(図16i)。Vmax値は、20分間の傾向線の傾きで決定した。実験は2連で実施した。エラーバーは標準偏差を示す。技術情報については、材料及び方法のセクションを参照。
実施例18
図26に示されるように、Octet(登録商標)RED(Sartorius社、Octet RED96)法、Protein A Biosensors(Sartorius社、参照番号18-5010及び18-5012)、Mouse Mc anti hAAT IgG2A(abcam社、ab116604)、中和緩衝液(MBD、0,02%Tween20、150mM塩化ナトリウム(NaCl)、1mg/mL BSA、1×PBS)、及び再生緩衝液(MBD、10mMグリシン塩酸塩(pH2))結合を用いて力価測定を行った血漿由来AAT(Sigma-Aldrich社、SRP6312)とPL136/PL137プールによってCHOで産生された組換えAATとの比較(図17)。
Figure 2023523652000006
実施例19
ヒトミクログリア細胞(HMC3-MHCIILuc細胞)を0日目にプレーティングし、1日目から2日目までIFNγで活性化し、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率の測定を4日目に行った(図18a)。活性化は、MHCII駆動ルシフェラーゼの活性によって測定し、細胞生存率に対して正規化した。全ての条件でのルシフェラーゼ活性は、未処理の対照細胞の倍数として表される(図18b)。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す。
実施例20
ヒトミクログリア細胞(HMC3-MHCIILuc細胞及びHMC3-MHCIILuc細胞)及びUbiAAT細胞を0日目にプレーティングし、1日目から2日目までIFNγで活性化し、ルシフェラーゼ活性及び細胞生存率の測定を4日目に行った。血漿由来のAATは、HMC3-MHCIILuc細胞に0日目から4日目まで適用した(図19a)。活性化は、MHCII駆動ルシフェラーゼの活性によって測定し、細胞生存率に対して正規化した。全ての条件のルシフェラーゼ活性は、IFNγ活性化対照の百分率(%)で表される(図19b)。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す。
実施例21
ヒトミクログリアHMC3-MHCIILuc細胞を0日目に播種し、1日目から2日目までIFNγ及び/又はIFNβに曝露し、4日目にルシフェラーゼ活性及び細胞生存率の測定を行った。血漿由来のAATは、0日目から4日目まで適用した(図20a)。活性化は、MHCII駆動ルシフェラーゼの活性によって測定し、細胞生存率に対して正規化した。全ての条件のルシフェラーゼ活性は、IFNγ活性化対照の百分率(%)で表される(図20b)。血漿由来AAT(1μM、10μM、25μM)のバーは、比較目的で実施例20を繰り返したものである。全ての条件は3連で行われ、エラーバーは標準偏差を表す。
実施例22
クマシー染色図の凡例:複数の供給源由来AATのSDS-PAGEクマシー染色。NuPage 4×LDS試料緩衝液(Life Technologies社)及びNuPage 10×試料還元剤(Life Technologies社)と混合することにより、還元試料を分析用に調製し、70℃で10分間インキュベートした。非還元試料の場合、還元剤及び熱インキュベーションは省略した。レーンあたり5μgのタンパク質をロードした。試料は、TGS緩衝液を含む4~20%Mini-PROTEAN(登録商標)プレキャストゲル(BioRad社)上で電気泳動した。次いで、ゲルを固定緩衝液(50%メタノール+10%酢酸+40%水(HO))中で室温で30分間固定した。クマシーブルー(Sigma Aldrich社)を最終濃度0.25%で添加し、さらに15分間インキュベートした。そして、固定緩衝液で複数回洗浄してゲルを一晩脱色し、G:Box イメージャー(Syngene社)で画像化した(図24)。
実施例23
HEK293細胞における組換えヒトAATの発現。HEK293については配列番号46、又はHEK293Tについては配列番号47に基づく。HEK293については、SERPINA1_OHu22141C_pcDNA3.1(+)プラスミドを含むrhAAT発現クローンを図25gのベクターから生成した。プラスミドを含むクローンの配列を確認し、HEK293細胞(ATCC、カタログ番号CRL-1573)のトランスフェクションに充分な量のプラスミドを調製した。HEK293細胞にプラスミドをトランスフェクトし、rhAATの発現及び6ウェルプレートの3セットの培養液への分泌を、市販のELISAキット(Thermo Fischer Scientific社、カタログ番号EH411RBX5)を使用して確認した。模擬(Mock)トランスフェクト細胞並びにpCMV-Td Tomato蛍光マーカー及びEGFP蛍光マーカーでトランスフェクトした細胞を対照として使用した。
Figure 2023523652000007
手順
HEK293細胞でのrhAATの産生は、以下の2段階で実行された。
1.rhAAT発現細胞の調製。
2.rhAATの産生。
rhAAT発現細胞の調製
rhAAT発現細胞の調製には、以下の作業が含まれた。
―発現可能な状態の(expression-ready)プラスミドの構築及び検証
―宿主細胞のトランスフェクション
―rhAAT発現(安定)プールの生成
―クローン選択
発現可能な状態の(expression-ready)プラスミドの構築及び検証
配列番号46に示される配列に基づいて、SERPINA1_OHu22141C_pcDNA3.1(+)プラスミドを含むrhAAT発現クローンは、Genscript Biotech Corporation社(Piscataway、NJ)によって調製された。
プラスミドを含むクローンは、配列の検証及びHEK293細胞のトランスフェクションに充分な量のプラスミドの調製のために、RTI International社(Research Triangle Park社、ノースカロライナ州)に発送された。
宿主細胞の一過性トランスフェクション
HEK293細胞に SERPINA1_OHu22141C_pcDNA3.1(+)プラスミドをトランスフェクトし、rhAATの発現及び6ウェルプレートの3セットの培養液への分泌を、市販のELISAキットを使用して確認した。模擬(Mock)トランスフェクト細胞並びにpCMV-Td Tomato蛍光マーカー及びEGFP蛍光マーカーでトランスフェクトした細胞を対照として使用した。
Figure 2023523652000008
rhAAT発現(安定)プールの生成
一過性トランスフェクションの成功を確認して、抗生物質選択によりT-150で安定したプールの生成を行った。細胞を抗生物質選択下で最大2週間維持して、プラスミドのない細胞を排除した。その後、ELISAを用いて培養上清のタンパク質発現を試験した。
プールした細胞を、さらなる細胞増殖及び振盪フラスコ内でのrhAAT産生のために移す前に、-80℃で凍結した。
クローン選択
細胞を希釈して回収し、単一クローンを単離するために10cmディッシュに移した。導入遺伝子の挙動に応じて、50個~96個のコロニーから3個~6個のクローンを同定し、その後のELISAによるrhAAT発現の確認を行った。
rhAATの産生
rhAATの産生には、セルスタックでの細胞増殖及びrhAAT産生、アフィニティークロマトグラフィーによるrhAATの精製、Amicon(登録商標)Ultra 15(10kDa)チューブを利用した製品の濃縮及び製剤化(緩衝液交換)が含まれる。
セルスタックでの細胞増殖及びrhAAT産生
組換え足場依存性HEK-293細胞を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、HyClone(商標))を含み、10%ウシ胎児血清(FBS、Gibco(商標))、ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco(商標))、及びジェネティシン選択的抗生物質G418硫酸塩(Gibco(商標))を添加した、培養処理済みTフラスコ及びセルスタックボトルで増殖させた。培養物を、37.0℃及び5%COの加湿培養器で培養し、2.5rpmで回転させながらローラーボトルで培養し、その後回収した。
アフィニティークロマトグラフィーによるrhAATの精製
清澄化培養上清のpH及び導電率を試験し、必要に応じて、1Mトリス(pH 7.4及び±5mS/cm)の平衡化緩衝液を使用して、それぞれ1M塩化ナトリウム(NaCl)を使用して7.4±0.1に滴定した。pH及び導電率の調整後、清澄化上清を0.2μmフィルターでろ過した後で精製した。
アフィニティークロマトグラフィー
rhAAT Select Resinを充填したアフィニティークロマトグラフィーカラムを3CVの精製水でリンスし、3CV(流量係数)の0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)で消毒した(2CV後30分保持)後、3CVの精製水で再度リンスし、10CVの20mMトリス-150mM塩化ナトリウム(NaCl)(pH7.4)緩衝液で平衡化した。rhAAT Selectカラムに、振盪フラスコ培養終了時のrhAAT力価、清澄化上清の容量、及び10mg/mL樹脂の最大カラムロード容量に基づいて計算された清澄化上清の最大容量をロードした。必要に応じて、樹脂のオーバーローディングを避けるために、清澄化上清をrhAAT Selectカラムで複数回処理した。ロードしたタンパク質を4CVの20mMトリス-150mM塩化ナトリウム(pH7.4)緩衝液で洗浄し、rhAATを4CVの20mMトリス-2M塩化マグネシウム(MgCl)(pH7.4)緩衝液で溶出してPETG回収ボトルに入れた。カラムを4CVのPBS(pH2.0)緩衝液でストリッピングし、必要に応じて3CVの20mMトリス-150mM塩化ナトリウム(7.4)緩衝液で平衡化して、追加のサイクルを実施した。
実施例24
ベクターPL136(pCGS3_AAT_native_SP、図25d)(元のシグナルペプチドをHindIII/XhoI制限部位に挿入(LC MCS))及びベクターPL137(pCGS3_AAT_SP5、図25e)(配列番号1のシグナルペプチドは、アミノ酸1~アミノ酸24をATUM社(カリフォルニア州ニューアーク)の最適化シグナルペプチドで置換することにより最適化した)の構築
コード化配列は、DNA2.0独自のアルゴリズム(GeneGPS(登録商標)Expression OptimizationTechnology、https://www.dna20.com/services/genegps)を使用して、チャイニーズハムスター卵巣細胞での発現用に最適化されたコドンであった。開始コドンの前に標準的なコザック配列(GCCGCCACC)を追加した。HindIII制限部位及びXhoI制限部位は、合成されたコード化配列の5’及び3’に追加した。
得られたDNA断片をベクターpJ201にクローニングした。クローンpJ201_AAT_native_SP(図25b)及びpJ201_AAT_SP5(図25c)の完全なプラスミドマップ及び配列を提示する。
pCGS3_AAT_native_SP及びpCGS3_AAT_SP5は、以下のクローニングスキームに従って得た(空のpCGS3ベクター、1図25f)。
Figure 2023523652000009
Figure 2023523652000010
Figure 2023523652000011
Figure 2023523652000012
全ての消化物を、37℃2時間インキュベートした。目的の断片を、アガロースゲル電気泳動(1.2%アガロースゲル)によって分離した。予想されるサイズの断片を切り出し、ゲル精製し、以下のライゲーションに使用した。
Figure 2023523652000013
ライゲーション混合物(1μL)を、Invitrogen社からの大腸菌Stbl2(商標)細胞に形質転換した。形質転換された大腸菌細胞を、50mg/Lカルベニシリンを含むアニマルフリーのLB寒天培地レノックス(Lennox)上で培養した。大腸菌コロニーを、50mg/Lアンピシリンを含むアニマルフリーの4mLのLBブロスレノックスに移し、振盪培養器で33℃及び300rpmで一晩インキュベートした。プラスミドDNAは、Qiagen BioRobot 9600及びMACHEREY-NAGEL社のNucleo Spin(登録商標)Robot-8プラスミドキットを使用して大腸菌培養物から単離した。次いで、クローニング部位をカバーする鎖特異的配列決定プライマーを使用して、DNAを配列決定した。
以下のクローン配列は、予想されるものであるPL136(pCGS3_AAT_native_SP、図25d)及びPL137(pCGS3_AAT_SP5、図25e)と同一であることが確認された。CHO中のPL136及びCHO中のPL137から得られたAATをプールした。
実施例25
遺伝子合成及び単一遺伝子構築
遺伝子産物をベクターpXC-17.4(Lonza社)にサブクローニングすることにより、rhAAT単一遺伝子ベクターを構築した(図25a)。
DNA増幅
1μLのベクターDNAを使用して、One Shot(登録商標)Stbl3ケミカルコンピテント大腸菌細胞(Life Technologies社、C7373-03)を製造元の指示に従ってヒートショック法で形質転換した。細胞をアンピシリン含有(50μg/mL)LB寒天プレート(LBブロス(Broth Base)、Select APS(商標)及びBacto-Agar、それぞれ292438及び214010、Becton Dickinson社)に広げ、細菌コロニーが明らかになるまで37℃で一晩インキュベートした。
ギガプレップ(Gigaprep)では、単一細菌培養物を使用してスターター培養物を接種し、その後、50μgのアンピシリンを含む1.0LのPlasmid Plus培地(Thomson社、446300)に接種し、振盪しながら37℃で一晩インキュベートした。ベクターDNAは、QIAGENギガプレップ(Gigaprep)(Qiagen社、12291)を使用して単離した。全ての場合において、NanoDrop(商標)1000分光光度計(Thermo-Scientific社)を使用してDNA濃度を測定し、1mg/mLに調整した。260nm及び280nmでの吸光度比を測定することにより、DNAの品質を評価した。
CHOK1SV GS-KO細胞の定期培養
CHOK1SV GS-KO細胞は、6mMのL-グルタミン(Life Technologies社、25030-123)を添加したCD-CHO培地(Life Technologies社、10743-029)で培養した。細胞を、36.5℃、5%CO、85%湿度、及び140rpmの条件で振盪培養器で培養した。細胞を定期的に3~4日ごとに継代培養し、0.2×10細胞/mLで播種し、トランスフェクションに利用可能な細胞を充分得るために増殖させた。細胞は継代20回目までに廃棄した。
安定化組換えCHOK1SV GS-KO細胞を、50μMのMSX(L-メチオニンスルホキシミン、Sigma-Aldrich社、M5379)及びSP4を添加したCD-CHO培地で培養した。細胞を、36.5℃、5%CO、85%湿度、及び140rpmの条件で振盪培養器で培養した。細胞を定期的に3~4日ごとに継代培養し、0.2×10細胞/mLで播種し、大規模な流加培養による過増殖に利用可能な細胞を充分得るために増殖させた。
CHOK1SV GS-KO細胞の安定したプールのトランスフェクション
単一遺伝子ベクターDNAプラスミドを、トランスフェクションのために、PvuIで線状化した後、エタノール沈殿及びEB緩衝液に再懸濁することによって最終濃度400μg/mLに調製した。Gene Pulse XCell(商標)を用いたエレクトロポレーションによりトランスフェクションを行った。各トランスフェクションについて、生細胞を予熱したCD-CHO培地に再懸濁して1.43×10細胞/mLにした。400μg/mLの濃度の100μLの線状化DNAを0.4cmギャップのエレクトロポレーションキュベットに等分し、700μLの細胞懸濁液を加えた。細胞及びDNAの3つのキュベットを、300V及び900μFでエレクトロポレーションし、直ちに10mL/LのSP4(Lonza社、BESP1076E)を添加した30mLの予熱したCD-CHOに回収して、安定したプールを生成した。トランスフェクタントを、36.5℃、5%CO、85%湿度、及び140rpmの条件で振盪培養器で培養した。
合計3つの安定したプールトランスフェクタントを確立した。トランスフェクションの24時間後、培養物を遠心分離し、50μMのMSX及び10mL/LのSP4を添加した予熱したCD-CHOに再懸濁した。トランスフェクション後、細胞増殖及び生存率を定期的に確認した。
生細胞密度が>0.6×10細胞/mLの場合、トランスフェクタント培養は進行に適していた。細胞を、500mLの通気三角フラスコ(Fisher Scientific社(Corning(登録商標))、10352742)に50μMのMSX/10ml/LのSP4を添加したCD-CHO培地に、最終容量100mLで0.2×10細胞/mLで播種し、36.5℃、5%CO、湿度85%、及び140rpmの条件で振盪培養器で培養した。細胞培養物をモニタリングし、培養物が指数関数的増殖に順応したら増殖させた。培養物を、50μMのMSX/10mL/LのSP4を添加したCD-CHOで0.2×10細胞/mLの濃度で、500mLの通気三角フラスコにおいて、200mLの培養容積に拡大し、上記の条件下でインキュベートした(セクション0を参照)。次に、培養物を適切な産生量に拡大した。
流加培養による過増殖の要約
細胞を、確立した安定したプールから4mL/LのSPEを添加したLonza社のCM42基本培地に0.2×10細胞/mLの適切な培養量を播種することにより、産物あたり2Lの産生量まで増殖させた。産生量は、5L(Generon社、931116)振盪フラスコで確立し、36.5℃、5%CO、85%湿度、及び140rpmの条件で振盪培養器で培養した。細胞数及び生存率は、4日目にフィード培地投与を開始する前にモニタリングし、11日目に培養物を回収するまで定期的にモニタリングした。4日目及び8日目に、Lonza社独自のフィード培地の混合物からなるボーラスのフィード培地を投与した。
産生培養物の回収及び濃縮
3000rpmで10分間の遠心分離によって培養物を回収し、0.22μmのPES膜を使用して濾過して、清澄な上清を得た。
α1-アンチトリプシンアフィニティークロマトグラフィー
清澄化細胞上清を、自家充填した50mLのα1-アンチトリプシンセレクトカラム(GE Healthcare社)を使用して精製した。産物適用前及び適用後に、カラムを20mMトリス及び150mM塩化ナトリウム(pH7.4)で平衡化し、20mMトリス及び2M塩化マグネシウム(pH7.4)で溶出を行った。この手順は、AKTA精製装置で10mL/分で実施した。アフィニティークロマトグラフィー溶出液からの産物含有画分をプールし、10kDaのMWCO(D02-E010-05-N)を含むSpectrum KrosFlo(登録商標)TFFシステムを使用したタンジェンシャルフローろ過(TFF)により、50mMトリス及び75mM塩化ナトリウム(pH8.0)に緩衝液を交換した。
陰イオン交換クロマトグラフィー
プールした緩衝液交換画分を、10mL/分でAKTA精製装置で25mLのCapto(商標)Qカラム(タンデム接続した5×5mLカラム)(GE Healthcare社)を使用してさらに精製した。前記カラムは、50mMトリス及び75mM塩化ナトリウム(pH8.0)を使用して、産物適用前及び適用後に平衡化した。前記産物を10CVの直線勾配で50mMトリス及び1M塩化ナトリウム(pH8.0)で溶出した。陰イオン交換クロマトグラフィー溶出液からの産物含有画分をプールし、1mg/mLに希釈し、品質を分析した。
SE-HPLC
内径9.4mM×25cmのZorbax(登録商標)GF-250カラム(Agilent社)を使用して、Agilent 1200シリーズHPLCシステムでサイズ排除クロマトグラフィー(SE-HPLC)により複製試料を分析した。1mg/mL試料(試料が<1mg/mLの場合は原液濃度)の80μLアリコートを注入し、50mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、及び500mMアルギニン(pH6.0)で1mL/分で15分間分析を実行した。Empower(商標)ソフトウェアを使用して、可溶性凝集体レベルを分析した。緩衝液成分から生じるシグナルは、ブランク緩衝液注入によって分析され、特に明記されていない限り、データ分析では省略されている。
産物濃度
精製産物を、Vivaspin(登録商標)Turbo-15遠心ろ過ユニット(30KDa分子量カットオフ)(Sartorius社、VS15T02)を使用して、25mg/mLの目標値まで濃縮した。
参考文献
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Claims (28)

  1. ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防を必要とする対象での治療及び/又は予防における使用のための組成物であって、α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む、組成物。
  2. 前記必要とする対象が、
    1.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低いレベル、
    2.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベル、
    3.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の対象におけるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高いレベル、及び
    4.無症候性であるか軽度の症状を有する、ウイルス感染中の少なくとも1人の対象と比較して、ウイルス感染前又はウイルス感染中の対象におけるインターフェロン-γ(IFN-γ)のより高いレベル、
    からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1に記載の使用のための組成物。
  3. 前記ウイルス感染前又はウイルス感染中の内因性AATのより低いレベルが、AAT欠乏によって引き起こされる、請求項2に記載の使用のための組成物。
  4. 前記スパイクタンパク質プライミングプロテアーゼが、膜貫通プロテアーゼセリンサブタイプ2(TMPRSS2)、膜貫通プロテアーゼサブタイプ6(TMPRSS6)、カテプシンL、カテプシンB、プロプロテインコンバターゼ1(PC1)、トリプシン、エラスターゼ、好中球エラスターゼ、マトリプターゼ、及びフーリン、好ましくはカテプシンL及びフーリン、からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2又は3に記載の使用のための組成物。
  5. 前記少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高いレベルが、年齢及び/又は遺伝的素因によって引き起こされる、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  6. 前記ACE2受容体のより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、請求項2~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  7. 前記IFN-γのより高いレベルが、感染症、炎症、年齢、及び遺伝的素因の群から選択される少なくとも1つによって引き起こされる、請求項2~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 前記必要とする対象が、
    iii)より低いレベルの内因性AAT、及び
    iv)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼを有する、請求項2~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  9. 前記必要とする対象が、
    ii)より低いレベルの内因性AAT及び
    iii)より高いレベルのACE2受容体を有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  10. 前記必要とする対象が、
    ii)より低いレベルの内因性AAT及び
    iv)より高いレベルのIFN-γを有する、請求項2~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  11. 前記より高いレベルのIFN-γが、AAT欠乏症、非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患、糖尿病、肥満、及び心血管疾患からなる群から選択される少なくとも1つの疾患又は状態によって引き起こされる、請求項10に記載の使用のための組成物。
  12. 前記必要とする対象が、
    i)より低いレベルの内因性AAT、
    ii)より高いレベルの少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、並びに
    iii)より高いレベルのACE2受容体を有する、及び/又はiv)より高いレベルのIFN-γを有する、請求項2~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  13. 前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、ヒト血漿抽出物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  14. 前記α1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片が、組換えα1-アンチトリプシン(rhAAT)、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片である、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  15. 前記α1-アンチトリプシンタンパク質が、配列番号1に記載されている、請求項14に記載の使用のための組成物。
  16. 前記α1-アンチトリプシン断片が、C末端配列フラグメント又はその任意の組み合わせである、請求項14に記載の使用のための組成物。
  17. 前記α1-アンチトリプシンバリアントが、配列番号2に記載のC末端配列に由来する短環状ペプチドを含む群から選択される、請求項14に記載の使用のための組成物。
  18. α1-アンチトリプシンの前記C末端配列に由来する短環状ペプチドが、シクロ-(CPFVFLM)-SH、シクロ-(CPFVFLE)-SH、シクロ-(CPFVFLR)-SH、及びシクロ-(CPEVFLM)-SH、又はそれら任意の組み合わせを含む群から選択される、請求項17に記載の使用のための組成物。
  19. 前記組成物が、薬学的に許容される賦形剤又は担体をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  20. 前記組成物が、ヌクレオシド類似体、プロテアーゼ阻害剤、免疫抑制剤(例えば、サリルマブ又はトシリズマブ)、抗生物質、ウイルスの構造成分に対する抗体又はその断片(例えば、受動免疫療法)、インターフェロンβ(例えば、インターフェロンβ-1a)、及び/又はワクチンをさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  21. 前記組成物が、静脈内注射、静脈内注入、Dosator型ポンプによる注入、吸入鼻スプレー、点眼薬、皮膚パッチ、徐放製剤、又はエクスビボ遺伝子治療若しくはエクスビボ細胞治療によって、好ましくは静脈内注射によって投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  22. 請求項1~21のいずれか一項において定義されるα1-アンチトリプシン(AAT)タンパク質、そのバリアント、そのアイソフォーム、及び/又はその断片の治療有効量を含む組成物を用いて、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防のための目的の対象の感受性を測定するための方法であって、
    a)ウイルス感染前又はウイルス感染中の前記目的の対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γを含む群の少なくとも1つのレベルを測定すること、
    b)ウイルス感染中の少なくとも1人の参照対象における、内因性α1-アンチトリプシン、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼ、ACE2受容体、及びインターフェロン-γを含む群の少なくとも1つのレベルを測定することであって、前記参照対象は無症候性であるか軽度の症状を有すること、並びに
    c)工程a)で測定された目的のレベルを、工程b)で測定された参照レベルと比較する工程であって、
    前記目的の対象が、
    1.内因性AATの参照レベルと比較して、内因性α-アンチトリプシン(AAT)のより低い目的のレベル、
    2.少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼの参照レベルと比較して、少なくとも1つのスパイクタンパク質プライミングプロテアーゼのより高い目的のレベル、
    3.ACE2受容体の参照レベルと比較して、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2受容体)のより高い目的のレベル、及び
    4.IFN-γの参照レベルと比較して、インターフェロン-γ(IFN-γ)のより高い目的のレベル
    からなる群から選択される少なくとも1つを有する場合、前記目的の対象は、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群の治療及び/又は予防に対する感受性があること、を含む、方法。
  23. 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物を使用して、ウイルス感染に関連する疾患若しくは症候群を効果的に治療及び/又は予防するためのα1-アンチトリプシン(AAT)の治療有効量を決定する方法であって、
    a)ウイルス感染前又はウイルス感染中の目的の対象における内因性α1-アンチトリプシンのレベルを決定すること、及び
    b)前記対象において少なくとも10μM、好ましくは少なくとも20μM、より好ましくは少なくとも50μM、さらにより好ましくは少なくとも100μM、最も好ましくは少なくとも200μMであるAATレベルを達成するために必要である、前記組成物中のAATの量を決定する工程を含む、方法。
  24. 前記ウイルスがコロナウイルスである、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のための組成物、又は請求項22及び23に記載の方法。
  25. 前記ウイルスがSARS-CoV-2である、請求項24に記載の使用のための組成物、又は請求項24に記載の方法。
  26. 前記疾患又は症候群が、呼吸器症候群又は重症急性呼吸器症候群である、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のための組成物、又は請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記疾患又は症候群が、神経系の炎症性疾患又は症候群である、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のための組成物、又は請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記神経系の炎症性疾患又は症候群が、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病の群から選択される疾患又は症候群である、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用のための組成物、又は請求項27に記載の方法。
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