JP2023523506A - 連続鋳造製品の微細構造改良のための超音波処理 - Google Patents

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Abstract

本明細書では、連続鋳造された金属製品に鋳造領域の下流の位置で超音波エネルギーを印加し、超音波エネルギーが金属製品を通って凝固領域まで伝播できるようにすることによって、金属製品の粒状構造を改良するための技術について説明している。凝固領域において、超音波エネルギーは、成長している金属粒子と相互作用して、たとえば、核形成粒子を解凝集及び分散させ、デンドライトが成長するときにそれを破壊及び断片化することができる。その結果、さらなる核形成を促進して、より小さい粒径を得ることができる。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第62/977,067号(2020年2月14日に出願)の利益及びそれに対する優先権を主張する。なおこの文献はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
本開示は全般的に、冶金に関し、より具体的には、超音波処理を用いて連続鋳造製品の微細構造を制御するための技術に関する。
超音波エネルギーを金属製品に印加して、構造的及び機械的特性を変更することができる。たとえば、超音波衝撃処理を用いて、たとえば溶接継手におけるまたはそれに隣接する金属製品(特に、高温に露出することによってその強度が低下するもの)を強化することができる。金属製品または継ぎ手に、たとえば超音波周波数における機械的衝撃処理を用いて超音波エネルギーを施すことによって、機械的特性、強度、疲労、及び耐食性が高まるように材料内の残留応力を操作することができる。また凝固中に微細構造を細かくするために金属製品を鋳造するときにも、超音波処理を用いることができる。
用語実施形態及び同様の用語は、本開示の主題すべて及び以下の請求項を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明する主題を限定することも、以下の請求項の意味または範囲を限定することもしていないと理解すべきである。本明細書で扱う本開示の実施形態は、この概要ではなく、以下の請求項によって規定される。この概要は、本開示の種々の態様の大まかな概略であり、以下の詳細な説明セクションでさらに説明するコンセプトのいくつかを導入する。この概要は、特許請求の範囲に記載された主題の主要または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を決定するために単独で用いることも意図していない。主題は、本開示の明細書全体、図面の一部または全部、及び各請求項の適切な部分を参照することにより理解すべきである。
凝固溶融物内に超音波キャビテーションを導入することによって、微粒化が、湿潤、核形成粒子の解凝集及び分散、ならびにデンドライト断片化による基材の活性化を介して生じる可能性がある。大直径オープントップビレットまたはインゴットを特徴とする鋳造技術、たとえば、直接チル(DC)鋳造の場合、溶融金属内に超音波トランスデューサまたはソノトロードを直接挿入することによって、超音波エネルギーを印加することができる。
しかし、このような構成によっていくつかの不利点が生じ得る。たとえば、ソノトロードまたは超音波トランスデューサは、高温への露出に耐えられる材料、さらにソノトロードまたは超音波トランスデューサの破壊及び溶融金属の汚染を抑制する不活性材料で形成しなければならない。使用する不活性材料例としては、ニオブ、タングステン、サイアロン、グラファイトなどを挙げてもよい。これらの材料は、いくつかの金属(たとえば、鋼鉄)において不活性であり得るが、必ずしもすべての溶融金属において不活性であるわけではない。さらに、これらの材料は、溶融金属内に置かれている間にやはり腐食を受け得る。たとえば、不活性材料は1~10μm/時間の速度で腐食し得る。このような腐食速度では、鋳造材料内の所望の場所に超音波エネルギーを効率的に結合することは難しい場合がある。たとえば、ソノトロードまたは超音波トランスデューサをある位置に配置して、超音波の最大値または節を鋳造金属内の凝固領域に位置させる超音波周波数を使用し、ソノトロードまたは超音波トランスデューサ材料の熱膨張を考慮する必要があり得る。さらに、不活性材料は時間とともに腐食するため、最適な周波数または位置が時間とともに変わり得る。また、腐食のために、ソノトロードまたは超音波トランスデューサを交換する必要がある場合があり、これは全般的に、著しい運転コスト及び複雑さ(たとえば、除去及び交換に付随するダウンタイム及びコスト)を伴う。
超音波エネルギーを連続鋳造機(たとえば、双ロール鋳造機、ブロック鋳造機、及びベルト鋳造機)に印加する場合、溶融金属を連続鋳造領域内に送出するために用いる樋、タンディッシュ、及びノーズチップ(nosetip)のゲージが狭いために、溶融金属へのアクセスが制限される場合がある。したがって、連続鋳造システム内の溶融金属内にソノトロードまたは超音波トランスデューサを直接配置することは、難しいかまたは非現実的であり得る。またこのような構成では、材料及び腐食に関連して前述した不利点も打開されない。
ソノトロードまたは超音波トランスデューサを、溶融金属内に直接ではなく、樋、タンディッシュ、またはノーズチップと接触させて配置することは有用であり得るが、樋、タンディッシュ、またはノーズチップからの超音波エネルギーを、溶融金属を通して凝固領域に結合することは、非効率的であり得る。さらに、このような構成へのアクセスは、使用するプロセスまたは機器に応じて、やはり制限される場合がある。
連続鋳造システムでは、鋳造スラブを鋳造機の下流の一対のピンチロールに供給して、たとえば、不適切な供給または裂けに対処するために負の張力を与えることがある。ピンチロールにおいて、鋳造スラブに圧力を直接印加して、鋳造スラブ内に超音波エネルギーを結合する機会を得る場合がある。ピンチロールによって印加される圧力のために、超音波エネルギーをピンチロールから鋳造スラブ内に伝達することは、非常に効率的である可能性があり、超音波エネルギーを凝固領域に伝達することができ、超音波エネルギーが微粒化に寄与する可能性がある。
凝固領域に超音波エネルギーを与える別のアプローチは、たとえば外部印加の磁界及び電界と金属との相互作用によって起こる電磁流体力の発生によって、凝固領域において鋳造金属または溶融金属内に直接力を発生させることであり得る。一例では、電磁流体力は、静磁界源(たとえば、永久磁石または電磁石)と可変電界源(たとえば、交流(AC)電圧源)とを用いて発生させ得る。別の例では、電磁流体力を、可変磁界源(たとえば、可変電流によって駆動される電磁石)と静電界源(たとえば、直流(DC)電圧源)と用いて発生させ得る。
他の目的及び利点は、非限定的な例の以下の詳細な説明から明らかである。
本明細書では以下の添付図を参照する。図では、異なる図において同様の参照符号を用いた場合、同様または類似のコンポーネントを例示することを意図している。
鋳造金属スラブに超音波エネルギーを印加する連続鋳造処理例の概略図である。 連続鋳造処理例における凝固領域の拡大図を示す概略図である。 鋳造金属スラブに超音波周波数の機械的振動を印加する連続鋳造処理例の概略図である。 鋳造金属スラブに超音波周波数の電磁流体力を印加する連続鋳造処理例の概略図である。
本明細書では、連続鋳造された金属製品に鋳造領域のすぐ下流の位置で超音波エネルギーを印加し、超音波エネルギーが金属スラブを通って凝固領域に伝播できるようにすることによって、金属製品の粒状構造を改良するための技術について説明する。凝固領域において、超音波エネルギーは、成長している金属粒子と相互作用して、たとえば、核形成粒子を解凝集及び分散させ、デンドライトが成長するときにそれを破壊及び断片化することができる。その結果、さらなる核形成を促進して、より小さい粒径を得ることができる。
定義及び説明
本明細書で用いる場合、用語「発明」「本発明」「この発明」及び「現発明」は、この特許出願の主題すべて及び以下の請求項を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明する主題を限定することも、以下の特許請求項の意味または範囲を限定することもしていないと理解すべきである。
この説明では、AA数及び他の関連する指定(たとえば、「シリーズ」または「7xxx」)によって特定される合金に言及する場合がある。アルミニウム及びその合金を命名及び特定する際に最も一般的に用いられる数指定システムを理解するために、以下の文献を参照されたい。「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」両方ともThe Aluminum Associationによって発表されている。
本明細書で用いる場合、「鋳造金属製品」「鋳造製品」「鋳造合金製品」などの用語は交換可能であり、直接チル鋳造(直接チル共鋳造を含む)または半連続鋳造、連続鋳造(たとえば、双ベルト鋳造機、双ロール鋳造機、ブロック鋳造機、または任意の他の連続鋳造機を用いることによるものを含む)、電磁鋳造、ホットトップ鋳造、または任意の他の鋳造法によって製造された製品を指す。
本明細書で開示したすべての範囲は、そこに包含されるすべての部分範囲を包含すると理解するべきである。たとえば、提示範囲「1~10」は、最小値が1と最大値が10との間のすべての部分範囲(及び両端を含む)を含むと考えるべきである。すなわち、すべての部分範囲は、最小値が1以上から始まり(たとえば1~6.1)、最大値が10以下で終わる(たとえば、5.5~10)。
本明細書で用いる場合、意味「a」「an」及び「the」は、文脈上明らかに別の意味が示される場合を除き、単数形及び複数形への言及を含む。
金属製品を製造する方法
図1に、連続鋳造システム例100の概略図を示す。ここで、溶融金属105は、樋110からタンディッシュ115へ移され、ツインベルト鋳造機125のノーズチップまたはノズル120内に移される。ここで、溶融金属105は凝固及び冷却されて、鋳造スラブ130を形成する。ツインベルト鋳造機125の下流で、ピンチロール135は鋳造スラブ130に圧力を印加し、鋳造スラブ130をツインベルト鋳造機125から離すように引く。図1では鋳造スラブ130を製造すると説明しているが、開示した技術によって他の鋳造金属製品を調製することもできる、たとえば、鋳造金属ロッド、鋳造金属ビレット、鋳造金属シート、鋳造金属プレートなどである。図1に例示した連続鋳造システム100はツインベルト鋳造機125を示しているが、このような構成は限定ではなく、他の連続鋳造システム(たとえば、双ロール鋳造機及びブロック鋳造機)を用いてもよい。さらに、タンディッシュまたは樋を用いない他の構成を用いてもよい。垂直鋳造配向を用いてもよい。
図1では、ピンチロール135は超音波トランスデューサ140(超音波145を発生させる)に結合されていると示している。超音波145をピンチロール135によって鋳造スラブ130内に移す。鋳造スラブ130内の上流の超音波145をノーズチップまたはノズル120に向けて結合するように、超音波トランスデューサ140をピンチロール135に対して配列または構成してもよい。たとえば、超音波145を主に上流方向に結合し、鋳造スラブ130内を下流方向に進む超音波145の量または大きさを限定するように、超音波トランスデューサ140の向き及び/または位置を随意的に構成してもよい。それに加えてまたはその代わりに、超音波145をツインベルト鋳造機125に向けて指向的にガイドするように、超音波トランスデューサ140の間に位相シフトが存在してもよい。このようにして、超音波145からのエネルギーを、ノーズチップまたはノズル120に隣接するツインベルト鋳造機125内の凝固領域に結合して、鋳造スラブ130の粒子の改良を実現することができる。
鋳造スラブ130を支持及び/または冷却するときのツインベルト鋳造機125の構成は、超音波145が鋳造スラブ130からツインベルト鋳造機125のベルト内に効率的に結合しないようなものであってもよい。たとえば、鋳造スラブ130及びツインベルト鋳造機125を、超音波エネルギーの効率的な伝達を可能にするように強く機械的に結合することはしなくてもよい。
超音波トランスデューサ140は、たとえば、使用する構成及び材料に応じて、約10kHz~70kHzまたは最大で約3MHzの周波数で超音波145を発生させてもよい。超音波トランスデューサ140は、超音波145の伝達に指向的に影響し及び/または凝固領域内の超音波145の最小及び最大の場所を変えて、発生する微粒化を制御するように、制御可能または可変の周波数出力を有していてもよい。
図2に、凝固領域を示す連続鋳造システム100の拡大図を示す。凝固領域内では、溶融金属105は、液相線温度と固相線温度との間の部分的に固体の領域を通って移行して、最終的に、ノーズチップまたはノズル120の出力においてツインベルト鋳造機125内で凝固する。液相線等温線例106を示す。これは、金属の温度が液相線温度に達する位置を特定している。コヒーレンシー等温線例107も示す。これは、金属の温度がコヒーレンシー温度に達する位置を特定している。固相線等温線例108も示す。これは、金属の温度が固相線温度に達し、それを超えると金属が完全に固体になる位置を特定している。当然のことながら、図2に示した液相線等温線106、コヒーレンシー等温線107、及び固相線等温線108は典型的であり、凝固領域の構造を例示するのに有用である。等温線の実際の位置及び形状は、連続鋳造システム100が用いる構成、幾何学的配置、材料、温度、冷却速度などに応じて異なり得る。
液相線等温線106とコヒーレンシー等温線107との間では、金属の温度は液相線温度とコヒーレンシー温度との間である。ここで、金属には、溶融金属及び浮遊した固体金属粒子(一般に互いに接触するほど十分には大きくない)が含まれる。コヒーレンシー温度に向かって温度が下がると、金属粒子は成長してデンドライトを形成する。これは、コヒーレンシー等温線に達するまで続き、その時点で、金属粒子は互いとの接触が避けられないほど十分に大きい。コヒーレンシー等温線107と固相線等温線108との間では、金属の温度はコヒーレンシー温度と固相線温度との間であり、金属は固体金属粒子の間に溶融金属を含んでいる。固相線温度に向かって温度が下がると、金属粒子は続けて成長する。これは、凝固によってすべての溶融金属を完全に取り込むまで続く。
図2に超音波145を示し、鋳造スラブ130の長さに沿って凝固領域内に伝達されていると示している。超音波145は、たとえば、高周波の縦圧力波に対応する場合があり、たとえば、デンドライトを断片化する、小さい粒子または核形成部位を分散及び解凝集する等により、成長している金属粒子と物理的に相互作用して、粒径を細かくして小さくし得る。固相線等温線108の下流の位置では鋳造スラブ130は固体であるため、鋳造金属スラブ130を通る超音波145の伝達は効率的であり得る。超音波145が凝固ゾーンに到達すると、そのエネルギーは、溶融金属105を通して吸収及び分散され始め得る。
図1に戻って、ノーズチップまたはノズル120の上流に1つ以上の音響受信部150を位置させてもよい。音響受信部150を用いて、たとえば、溶融金属105を通って樋110またはタンディッシュ115まで伝達する残存する超音波エネルギーを検出してもよい。音響受信部150が検出した情報を、超音波トランスデューサ140に対するフィードバック制御を行うために用いて、たとえば、超音波トランスデューサ140が発生させる超音波145の振幅、周波数、位相シフトなどを制御してもよい。鋳造スラブ130の粒状構造の検査によって、さらなるフィードバックを与えてもよい。これによって、超音波トランスデューサが、鋳造スラブ130の粒状構造を効率的に細かくするように動作しているか否かを示すことができる。
図3に、別の連続鋳造システム例300の概略図を示す。ここで、溶融金属305は、樋310からタンディッシュ315へ移され、ツインベルト鋳造機325のノーズチップまたはノズル320内に移される。ここで、溶融金属305は凝固及び冷却されて、鋳造スラブ330を形成する。ツインベルト鋳造機325の下流で、ピンチロール335から鋳造スラブ330に圧力を印加し、鋳造スラブ330をツインベルト鋳造機325から離すように引く。図3では、鋳造スラブ330を製造すると説明しているが、開示した技術によって他の鋳造金属製品を調製することもできる、たとえば、鋳造金属ロッド、鋳造金属ビレット、鋳造金属シート、鋳造金属プレートなどである。図3に例示した連続鋳造システム300はツインベルト鋳造機325を示しているが、このような構成は限定ではなく、他の連続鋳造システム(たとえば、双ロール鋳造機及びブロック鋳造機)を用いてもよい。さらに、タンディッシュまたは樋を用いない他の構成を用いてもよい。垂直鋳造配向を用いてもよい。
図3では、ピンチロール335は、移動可能な支持体340に結合されていると示している。ここで、ピンチロール335が垂直方向に並進すると、鋳造スラブ330の振動運動を形成することができる。図3では垂直並進を示しているが、図3に示す視界または平面の内外への横方向並進もまたは代替的に可能である。並進は、ピンチロール335または支持体340に結合された機械式または電気機械式アクチュエータによって誘起され得る。並進によって鋳造スラブ330内に横波345が発生され得る。図3に示す横波345は、例示を目的として、誇張された振幅及び波長を示しており、周波数及び振幅に応じて視覚的に認知できない場合がある。
横波345の周波数例は、たとえば、使用する構成及び材料に応じて、約10kHz~約100kHz、たとえば、10kHz~20kHz、20kHz~30kHz、30kHz~40kHz、40kHz~50kHz、50kHz~60kHz、60kHz~70kHz、70kHz~80kHz、80kHz~90kHz、または90kHz~100kHzの周波数であり得る。ピンチロール335の動きの駆動は、凝固領域内の横波345の最小及び最大の場所を変えて、発生する微粒化を制御するように、制御可能または可変の周波数及び制御可能または可変の振幅を有していてもよい。またピンチロール335は、横波345の最小及び最大の場所を制御するために水平方向に沿って並進可能であってもよい。下流方向への横波の伝搬を制限するために、副ピンチロール336を用いてもよい。
鋳造スラブ330を支持及び/または冷却する際のツインベルト鋳造機325の構成は、横波345が鋳造スラブ330からツインベルト鋳造機325のベルト内へと効率的に結合しないようなものであってもよい。たとえば、鋳造スラブ330とツインベルト鋳造機325とは機械的に強く結合されていなくてもよい。
1つ以上の高周波センサ350を、ノーズチップまたはノズル320の上流に位置させてもよい。高周波センサ350を用いて、たとえば、溶融金属305を通って樋310またはタンディッシュ315まで伝達する残存する振動エネルギーを検出してもよい。高周波センサ350が検出した情報を、横波345を発生させるピンチロール335の位置を調整する機械式または電気機械式アクチュエータに対するフィードバック制御を行うために用いて、たとえば、横波345の振幅及び周波数を制御してもよい。鋳造スラブ330の粒状構造の検査によって、さらなるフィードバックを与えてもよい。これによって、振動エネルギーが鋳造スラブ330の粒状構造に影響しているか否かを示すことができる。
図4に、別の連続鋳造システム例400の概略図を示す。ここで、溶融金属405は、樋410からタンディッシュ415へ移され、ツインベルト鋳造機425のノーズチップまたはノズル420内に移される。ここで、溶融金属405は凝固及び冷却されて、鋳造スラブ430を形成する。ツインベルト鋳造機425の下流で、ピンチロール435から鋳造スラブ430に圧力を印加し、鋳造スラブ430をツインベルト鋳造機425から離すように引く。図4では、鋳造スラブ430を製造すると説明しているが、開示した技術によって他の鋳造金属製品を調製することもできる、たとえば、鋳造金属ロッド、鋳造金属ビレット、鋳造金属シート、鋳造金属プレートなどである。図4に例示した連続鋳造システム400はツインベルト鋳造機425を示しているが、このような構成は限定ではなく、他の連続鋳造システム(たとえば、双ロール鋳造機及びブロック鋳造機)を用いてもよい。さらに、タンディッシュまたは樋を用いない他の構成を用いてもよい。垂直鋳造配向を用いてもよい。
発生する微粒化を制御するために、凝固領域内に音響または機械的な超音波エネルギーを印加する代わりに、図4に示す構成は、電磁流体力を介して超音波エネルギーを印加するように配列されている。電磁流体力は、溶融または凝固金属に静磁界及び交番電界を同時に印加することによって発生させることができる。電磁流体力に関するさらなる詳細は、Vives,Journal of Crystal Grown173,541-549,1997に説明されている。なおこの文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
図4では、ピンチロール435がAC(交流)電圧源440に電気的に結合されていると示している。またタンディッシュ415も、AC電圧源440に電気的に結合されていると例示している。この構成では、AC電圧源を用いてAC電流及び/または電圧を溶融金属405に、それが鋳造されて鋳造スラブ430として凝固するときに印加して、凝固領域内に交番電界を発生させる。AC電圧源のAC周波数例は、超音波周波数から、たとえば10kHz~100kHzであってもよい。AC電圧または電流を印加する他の構成を用いてもよい。たとえば、ツインベルト鋳造機425またはノズル420をAC電圧源440に電気的に結合する。
ツインベルト鋳造機425において静磁界445を印加する。図4では静磁界445の下向き方向を示しているが、他の方向を用いてもよい。たとえば、図4に示す視界の上向き、または、内向き、または外向きである。磁界445を、たとえば、永久磁界源または電磁石を用いて発生させてもよい。電磁流体力を発生させるとき、この力を凝固領域内に直接発生させてもよいし、または鋳造スラブ430の動きによって凝固領域に結合してもよい。
1つ以上の高周波センサ450をノーズチップまたはノズル420の上流に位置させてもよい。高周波センサ450を用いて、たとえば、溶融金属405を通って樋410またはタンディッシュ415まで伝達する残存する振動エネルギーを検出してもよい。高周波センサ450が検出した情報を、AC電圧源440に対するフィードバック制御のために用いてもよい。鋳造スラブ430の粒状構造の検査によってさらなるフィードバックを与えてもよい。これによって、電磁流体の超音波エネルギーが鋳造スラブ430の粒状構造に影響しているか否かを示すことができる。
図4に対する前述の説明では、静磁界445及びAC電圧源440を用いることを説明しているが、本明細書で説明する態様は、その代わりに、可変磁界(たとえば、可変電流によって駆動される電磁石源)とDC電圧源とを用いて、電磁流体力を、凝固領域内の可変磁界及び静電界の相互作用によって発生させることによって実施してもよい。
任意の好適な連続鋳造方法を本開示の技術とともに用いてもよい。連続鋳造システムは、一対の移動する対向する鋳造面(たとえば、移動する対向するベルト、ロール、またはブロック)、一対の移動する対向する鋳造面間の鋳造キャビティ、及び溶融金属噴射器(本明細書では、ノーズチップまたはノズルとも言う)を含むことができる。溶融金属噴射器は、端部開口部を有することができる。ここから、溶融金属が溶融金属噴射器を出て、鋳造キャビティ内に噴射されることができる。
鋳造スラブ、鋳造ビレット、鋳造ロッド、または他の鋳造製品を、任意の好適な手段によって処理することができる。このような処理ステップとしては、限定することなく、均質化、熱間圧延、冷間圧延、溶体化熱処理、及び任意的なプリエージングステップを挙げることができる。本明細書で説明する鋳造製品を用いて、たとえば、シート、プレート、ロッド、ビレットの形態の製品、または他の好適な製品を作ることができる。
たとえば、均質化ステップでは、鋳造製品を約400℃~約500℃の範囲の温度、または任意の好適な温度に加熱してもよい。たとえば、鋳造製品を約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、約450℃、約460℃、約470℃、約480℃、約490℃、または約500℃の温度に加熱することができる。製品を次に、ある時間の間、浸漬させて(すなわち、示した温度に保持して)、均質化された製品を形成することができる。いくつかの例では、均質化ステップ(加熱及び浸漬フェーズを含む)に対する合計時間を、最大で24時間とすることができる。たとえば、均質化ステップに対して、製品を最大で500℃に加熱して、合計時間として最大で18時間、浸漬することができる。随意的に、均質化ステップに対して、製品を490℃未満に加熱して、合計時間として18時間超、浸漬することができる。場合によっては、均質化ステップには複数のプロセスが含まれる。いくつかの非限定的な例では、均質化ステップは、鋳造製品を第1の温度に第1の時間の間、加熱し、それに続いて、第2の温度に第2の時間の間、加熱することを含む。たとえば、鋳造製品を約465℃に約3.5時間、加熱し、そして約480℃に約6時間、加熱することができる。
均質化ステップに続いて、熱間圧延ステップを行うことができる。熱間圧延を開始する前に、均質化された製品を温度300℃~450℃または他の好適な温度に放冷することができる。たとえば、均質化された製品を温度325℃~425℃または350℃~400℃に放冷することができる。均質化された製品を次に、好適な温度(たとえば、300℃~450℃)で熱間圧延して、熱間圧延プレート、熱間圧延シート、または熱間圧延シートであってゲージが3mm~200mm(たとえば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、110mm、120mm、130mm、140mm、150mm、160mm、170mm、180mm、190mm、200mm、またはその間のどこか)であるものを形成することができる。
鋳造され、均質化され、または熱間圧延された製品を、冷間圧延ミルを用いて冷間圧延して、もっと薄い製品(たとえば、冷間圧延シート)にすることができる。冷間圧延製品のゲージを約0.5~10mm、たとえば、約0.7~6.5mmとすることができる。随意的に、冷間圧延製品はゲージが0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、9.5mm、または10.0mmとすることができる。冷間圧延を行って、ゲージ減少を表す最終ゲージ厚を得ることができる、たとえば、冷間圧延を開始する前のゲージと比べて、最大で85%(たとえば、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、または最大で85%の減少)である。随意的に、冷間圧延ステップの間に中間アニーリングステップを行うことができる、たとえば、第1の冷間圧延処理を適用し、それに続いてアニーリング処理(中間アニーリング)、それに続いて第2の冷間圧延処理を適用する。中間アニーリングステップは、好適な温度、たとえば約300℃~約450℃(たとえば、約310℃、約320℃、約330℃、約340℃、約350℃、約360℃、約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約410℃、約420℃、約430℃、約440℃、または約450℃)で行うことができる。場合によっては、中間アニーリングステップには複数のプロセスが含まれる。いくつかの非限定的な例では、中間アニーリングステップは、部分的な冷間圧延製品を第1の温度に第1の時間、加熱し、それに続いて第2の温度に第2の時間、加熱することを含む。たとえば、部分的な冷間圧延製品を約410℃に約1時間、加熱し、そして、及び約330℃に約2時間、加熱することができる。
その後、場合によっては、鋳造され、均質化され、または圧延された製品は、溶体化熱処理ステップ及び/またはプリエージングステップを受けることができる。
開示した金属製品を使用する方法
本明細書で説明した金属製品を、自動車用途及び他の輸送用途(たとえば、航空機及び鉄道用途)で用いることができる。たとえば、開示した金属製品を用いて自動車の構造部品を調製することができる。たとえば、バンパ、サイドビーム、ルーフビーム、クロスビーム、ピラー補強(たとえば、Aピラー、Bピラー、及びCピラー)、内部パネル、外部パネル、サイドパネル、内部フード、外部フード、またはトランクリッドパネルである。また本明細書で説明した金属製品及び方法を、航空機または鉄道車両用途で用いて、たとえば、外部及び内部パネルを調整することができる。
また本明細書で説明した金属製品及び方法を、電子用途、または任意の他の所望の用途で用いることができる。たとえば、本明細書で説明した金属製品及び方法を用いて、電子デバイス(たとえば、携帯電話及びタブレットコンピュータ)に対するハウジングを調製することができる。いくつかの例では、金属製品を用いて、携帯電話(たとえば、スマートフォン)、タブレットボトムシャーシ、及び他のポータブルエレクトロニクスの外部ケーシングに対するハウジングを調製することができる。
金属及び金属合金
本明細書では、金属及び金属合金製品(たとえば、とりわけ、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、マグネシウム複合材料、及び鋼鉄を含むもの)を調製する方法について説明している。いくつかの例では、本明細書で説明する方法で用いる金属には、アルミニウム合金、たとえば、1xxxシリーズアルミニウム合金、2xxxシリーズアルミニウム合金、3xxxシリーズアルミニウム合金、4xxxシリーズアルミニウム合金、5xxxシリーズアルミニウム合金、6xxxシリーズアルミニウム合金、7xxxシリーズアルミニウム合金、または8xxxシリーズアルミニウム合金が含まれる。いくつかの例では、本明細書で説明する方法で用いる材料には、非鉄材料、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム系材料、マグネシウム合金、マグネシウム複合材料、チタン、チタン系材料、チタン合金、銅、銅系材料、複合材料、複合材料において用いられるシート、または任意の他の好適な金属、非金属、または材料の組み合わせが含まれる。いくつかの例では、鉄を含有するアルミニウム合金が、本明細書で説明する方法とともに有用である。
非限定的な例として、本明細書で説明する方法で用いる典型的な1xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA1100、AA1100A、AA1200、AA1200A、AA1300、AA1110、AA1120、AA1230、AA1230A、AA1235、AA1435、AA1145、AA1345、AA1445、AA1150、AA1350、AA1350A、AA1450、AA1370、AA1275、AA1185、AA1285、AA1385、AA1188、AA1190、AA1290、AA1193、AA1198、またはAA1199。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な2xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA2001、A2002、AA2004、AA2005、AA2006、AA2007、AA2007A、AA2007B、AA2008、AA2009、AA2010、AA2011、AA2011A、AA2111、AA2111A、AA2111B、AA2012、AA2013、AA2014、AA2014A、AA2214、AA2015、AA2016、AA2017、AA2017A、AA2117、AA2018、AA2218、AA2618、AA2618A、AA2219、AA2319、AA2419、AA2519、AA2021、AA2022、AA2023、AA2024、AA2024A、AA2124、AA2224、AA2224A、AA2324、AA2424、AA2524、AA2624、AA2724、AA2824、AA2025、AA2026、AA2027、AA2028、AA2028A、AA2028B、AA2028C、AA2029、AA2030、AA2031、AA2032、AA2034、AA2036、AA2037、AA2038、AA2039、AA2139、AA2040、AA2041、AA2044、AA2045、AA2050、AA2055、AA2056、AA2060、AA2065、AA2070、AA2076、AA2090、AA2091、AA2094、AA2095、AA2195、AA2295、AA2196、AA2296、AA2097、AA2197、AA2297、AA2397、AA2098、AA2198、AA2099、またはAA2199。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な3xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA3002、AA3102、AA3003、AA3103、AA3103A、AA3103B、AA3203、AA3403、AA3004、AA3004A、AA3104、AA3204、AA3304、AA3005、AA3005A、AA3105、AA3105A、AA3105B、AA3007、AA3107、AA3207、AA3207A、AA3307、AA3009、AA3010、AA3110、AA3011、AA3012、AA3012A、AA3013、AA3014、AA3015、AA3016、AA3017、AA3019、AA3020、AA3021、AA3025、AA3026、AA3030、AA3130、またはAA3065。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な4xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA4004、AA4104、AA4006、AA4007、AA4008、AA4009、AA4010、AA4013、AA4014、AA4015、AA4015A、AA4115、AA4016、AA4017、AA4018、AA4019、AA4020、AA4021、AA4026、AA4032、AA4043、AA4043A、AA4143、AA4343、AA4643、AA4943、AA4044、AA4045、AA4145、AA4145A、AA4046、AA4047、AA4047A、またはAA4147。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な5xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA5182、AA5183、AA5005、AA5005A、AA5205、AA5305、AA5505、AA5605、AA5006、AA5106、AA5010、AA5110、AA5110A、AA5210、AA5310、AA5016、AA5017、AA5018、AA5018A、AA5019、AA5019A、AA5119、AA5119A、AA5021、AA5022、AA5023、AA5024、AA5026、AA5027、AA5028、AA5040、AA5140、AA5041、AA5042、AA5043、AA5049、AA5149、AA5249、AA5349、AA5449、AA5449A、AA5050、AA5050A、AA5050C、AA5150、AA5051、AA5051A、AA5151、AA5251、AA5251A、AA5351、AA5451、AA5052、AA5252、AA5352、AA5154、AA5154A、AA5154B、AA5154C、AA5254、AA5354、AA5454、AA5554、AA5654、AA5654A、AA5754、AA5854、AA5954、AA5056、AA5356、AA5356A、AA5456、AA5456A、AA5456B、AA5556、AA5556A、AA5556B、AA5556C、AA5257、AA5457、AA5557、AA5657、AA5058、AA5059、AA5070、AA5180、AA5180A、AA5082、AA5182、AA5083、AA5183、AA5183A、AA5283、AA5283A、AA5283B、AA5383、AA5483、AA5086、AA5186、AA5087、AA5187、またはAA5088。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な6xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA6101、AA6101A、AA6101B、AA6201、AA6201A、AA6401、AA6501、AA6002、AA6003、AA6103、AA6005、AA6005A、AA6005B、AA6005C、AA6105、AA6205、AA6305、AA6006、AA6106、AA6206、AA6306、AA6008、AA6009、AA6010、AA6110、AA6110A、AA6011、AA6111、AA6012、AA6012A、AA6013、AA6113、AA6014、AA6015、AA6016、AA6016A、AA6116、AA6018、AA6019、AA6020、AA6021、AA6022、AA6023、AA6024、AA6025、AA6026、AA6027、AA6028、AA6031、AA6032、AA6033、AA6040、AA6041、AA6042、AA6043、AA6151、AA6351、AA6351A、AA6451、AA6951、AA6053、AA6055、AA6056、AA6156、AA6060、AA6160、AA6260、AA6360、AA6460、AA6460B、AA6560、AA6660、AA6061、AA6061A、AA6261、AA6361、AA6162、AA6262、AA6262A、AA6063、AA6063A、AA6463、AA6463A、AA6763、6963、AA6064、AA6064A、AA6065、AA6066、AA6068、AA6069、AA6070、AA6081、AA6181、AA6181A、AA6082、AA6082A、AA6182、AA6091、またはAA6092。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な7xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA7011、AA7019、AA7020、AA7021、AA7039、AA7072、AA7075、AA7085、AA7108、AA7108A、AA7015、AA7017、AA7018、AA7019A、AA7024、AA7025、AA7028、AA7030、AA7031、AA7033、AA7035、AA7035A、AA7046、AA7046A、AA7003、AA7004、AA7005、AA7009、AA7010、AA7011、AA7012、AA7014、AA7016、AA7116、AA7122、AA7023、AA7026、AA7029、AA7129、AA7229、AA7032、AA7033、AA7034、AA7036、AA7136、AA7037、AA7040、AA7140、AA7041、AA7049、AA7049A、AA7149、7204、AA7249、AA7349、AA7449、AA7050、AA7050A、AA7150、AA7250、AA7055、AA7155、AA7255、AA7056、AA7060、AA7064、AA7065、AA7068、AA7168、AA7175、AA7475、AA7076、AA7178、AA7278、AA7278A、AA7081、AA7181、AA7185、AA7090、AA7093、AA7095、またはAA7099。
本明細書で説明する方法で用いる非限定の典型的な8xxxシリーズアルミニウム合金としては以下を挙げることができる。AA8005、AA8006、AA8007、AA8008、AA8010、AA8011、AA8011A、AA8111、AA8211、AA8112、AA8014、AA8015、AA8016、AA8017、AA8018、AA8019、AA8021、AA8021A、AA8021B、AA8022、AA8023、AA8024、AA8025、AA8026、AA8030、AA8130、AA8040、AA8050、AA8150、AA8076、AA8076A、AA8176、AA8077、AA8177、AA8079、AA8090、AA8091、またはAA8093。
例示的な態様
以下で用いるように、一連の態様へのどんな言及も、これらの態様それぞれへの分離した言及と理解すべきである(たとえば、「態様1~4」は「態様1、2、3、または4」と理解すべきである)。
態様1は、金属製品を製造する方法であって、連続鋳造機内で溶融金属を連続鋳造して鋳造製品を作製することと、連続鋳造機の下流の位置で鋳造製品に超音波周波数エネルギーを印加することであって、超音波周波数エネルギーは、鋳造製品を通って連続鋳造機内の鋳造製品の凝固領域まで伝播する、印加することと、を含む方法である。
態様2は、超音波周波数エネルギーが、連続鋳造機の下流の位置に配置されたピンチロールに結合されたソノトロードまたは超音波トランスデューサによって発生される超音波縦波に対応する、いずれかの以前または以後の態様の方法である。
態様3は、超音波周波数エネルギーが、機械式または電気機械式アクチュエータによって発生される超音波横波であって、連続鋳造機の下流の位置に配置されたピンチロールによって印加される超音波横波に対応する、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様4は、超音波周波数エネルギーが、静磁界及び超音波周波数電界を用いて発生させる超音波周波数電磁流体力に対応する、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様5は、超音波周波数電界が交流電圧源を用いて発生される、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様6は、永久磁石または電磁石を用いて静磁界を発生させる、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様7は、超音波周波数エネルギーが、超音波周波数磁界及び静電界を用いて発生される超音波周波数電磁流体力に対応する、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様8は、超音波周波数磁界が、交流源によって駆動される電磁石を用いて発生される、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様9は、直流電圧源を用いて静電界を発生させる、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様10は、超音波周波数エネルギーの周波数が約10kHz~約100kHzである、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様11は、凝固領域の上流の位置に配置される音響センサまたは受信器を用いて超音波周波数エネルギーを検出することをさらに含む、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様12は、音響センサまたは受信器を用いて検出した超音波周波数エネルギーから得られた信号を用いて、超音波周波数エネルギーの振幅、周波数、または位相のうちの1つ以上を制御することをさらに含む、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様13は、音響センサまたは受信器を用いて検出した超音波周波数エネルギーから得られた信号を用いて、超音波周波数エネルギーの周波数または位相の位置を変更する(または修正する、modify)ことをさらに含む、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様14は、音響センサまたは受信器が、連続鋳造機に溶融金属を与える(または供する、provide)樋またはタンディッシュに結合(または連結、coupled to)されている、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様15は、超音波周波数エネルギーが、凝固領域内で成長している金属粒子と物理的に相互作用する、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様16は、超音波周波数エネルギーが、凝固領域内のデンドライトを断片化するかまたは核形成部位を分散もしくは解凝集する、いずれかの以前または以後の態様に記載の方法である。
態様17は、金属製品がアルミニウム合金を含む、いずれかの以前の態様に記載の方法である。
態様18は、いずれかの以前の態様に記載の方法によって、またはそれを用いて製造された金属製品である。
前述で引用した特許、刊行物、及び要約はすべて、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。前述した実施形態の説明は、例示した実施形態も含めて、単に例示及び説明を目的として示しており、網羅的であることも開示した正確な形態に限定することも意図していない。多くの変更、適応、及びそれらを用いることが当業者には明らかである。

Claims (18)

  1. 金属製品を製造する方法であって、
    連続鋳造機内で溶融金属を連続鋳造して鋳造製品を作製することと、
    前記連続鋳造機の下流の位置で前記鋳造製品に超音波周波数エネルギーを印加することであって、前記超音波周波数エネルギーは、前記鋳造製品を通って前記連続鋳造機内の前記鋳造製品の凝固領域まで伝播する、前記印加することと、を含む前記方法。
  2. 前記超音波周波数エネルギーは、前記連続鋳造機の前記下流の位置に配置されるピンチロールに結合されるソノトロードまたは超音波トランスデューサによって発生させる超音波縦波に対応する請求項1に記載の方法。
  3. 前記超音波周波数エネルギーは、機械式または電気機械式アクチュエータによって発生させる超音波横波であって前記連続鋳造機の前記下流の位置に配置されたピンチロールによって印加される前記超音波横波に対応する請求項1に記載の方法。
  4. 前記超音波周波数エネルギーは、静磁界及び超音波周波数電界を用いて発生させる超音波周波数電磁流体力に対応する請求項1に記載の方法。
  5. 交流電圧源を用いて前記超音波周波数電界を発生させる請求項4に記載の方法。
  6. 永久磁石または電磁石を用いて前記静磁界を発生させる請求項4に記載の方法。
  7. 前記超音波周波数エネルギーは、超音波周波数磁界及び静電界を用いて発生させる超音波周波数電磁流体力に対応する請求項1に記載の方法。
  8. 交流源によって駆動される電磁石を用いて、前記超音波周波数磁界を発生させる請求項7に記載の方法。
  9. 直流電圧源を用いて前記静電界を発生させる請求項7に記載の方法。
  10. 前記超音波周波数エネルギーの周波数は約10kHz~約100kHzである請求項1に記載の方法。
  11. 前記凝固領域の上流の位置に配置される音響センサまたは受信器を用いて超音波周波数エネルギーを検出することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  12. 前記音響センサまたは受信器を用いて検出した前記超音波周波数エネルギーから得られた信号を用いて、前記超音波周波数エネルギーの振幅、周波数、または位相のうちの1つ以上を制御することをさらに含む請求項11に記載の方法。
  13. 前記音響センサまたは受信器を用いて検出した前記超音波周波数エネルギーから得られた信号を用いて、前記超音波周波数エネルギーの周波数または位相の位置を変更することをさらに含む請求項11に記載の方法。
  14. 前記音響センサまたは受信器は、前記連続鋳造機に前記溶融金属を与える樋またはタンディッシュに結合されている請求項11に記載の方法。
  15. 前記超音波周波数エネルギーは、前記凝固領域内で成長している金属粒子と物理的に相互作用する請求項1に記載の方法。
  16. 前記超音波周波数エネルギーは、前記凝固領域内のデンドライトを断片化するかまたは核形成部位を分散もしくは解凝集する請求項1に記載の方法。
  17. 前記金属製品はアルミニウム合金を含む請求項1に記載の方法。
  18. 請求項1~17のいずれかに記載の方法によってまたはそれを用いて製造された金属製品。
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