JP2023518777A - シクロフィリン阻害剤およびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、シクロスポリン類似体、および虚血または虚血再灌流傷害、毒素、感染または機械的外傷などのいくつかの異なる理由によって引き起こされ得る疾患または障害、特に細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状を処置または予防するためのそれらの使用に関する。特に、本発明は、強力なシクロフィリンD阻害剤として提供され得る化合物に関する。
急性炎症は、PAMP(病原体活性化分子パターン)およびDAMP(細胞障害活性化分子パターン)シグナルに応答して作用して、起点となる傷害を解消する様々な細胞性(好中球、マクロファージ)および細胞外(補体、ヒスタミン)因子の複雑な相互作用を伴うことが十分に認識されている。シクロフィリンAは、炎症応答を支援するように白血球遊走を促進するケモカインとして機能することが実証されており、シクロフィリンAの遮断は、急性炎症の動物モデルにおいて有益であることが示されている。より最近では、細胞死および組織壊死を伴う重度の形態の炎症が記載されている。現在では、多数の証拠が、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)と呼ばれるミトコンドリア膜の孔の開口をこの壊死性炎症の発症および維持にとって極めて重要であるものとして支持している。このMPTP開口の鍵となる調節因子はシクロフィリンD(CypD)であり、CypDの阻害剤は壊死性炎症に関連する組織損傷の予防において優れた活性を示した。MPTPの開口およびその後の壊死性細胞死の開始は、過剰な生理学的シグナル(例えば、騒音外傷、興奮毒性)、酸化ストレス、低酸素、胆汁酸塩毒素などを含む様々な因子に起因する上昇した細胞内カルシウムレベルによって引き起こされる。注目すべきことに、CypDの遺伝子破壊または薬理学的阻害は、心臓組織の虚血-再灌流傷害に起因する組織分解に対して保護的であることが見出され、CypD阻害がより一般的に虚血-再灌流傷害のための実行可能な薬物標的であることを示唆している。
マウスモデルにおいて、シクロフィリンD欠失は、重度の虚血-再灌流傷害によって腎臓に引き起こされる損傷に対して有意な保護効果を有することが示された(Am J Physiol Renal Physiol 297:F749-F759,2009)。この保護効果は、血清クレアチニンレベルによって測定される改善された腎機能において、および野生型対照と比較したシクロフィリンDノックアウト動物での組織損傷(組織学によって測定)において明らかであった。同様に、腎毒性薬物(Am J Physiol Renal Physiol.2019 Sep 1;317(3):F683-F694)の投与によって引き起こされる腎臓損傷のマウスモデルでは、シクロフィリンDがノックアウトされた動物は、酸化ストレスおよび低メチル化に対してより耐性が高く、野生型動物より腎毒性の徴候が低かった。
シクロフィリンDノックアウトマウスおよびシクロフィリン阻害剤を用いた薬理学的戦略を使用して行われた研究では、ミトコンドリア内膜の非特異的チャネルであるミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)の開口が、様々な傷害に起因する細胞死での基本的事象であることが明確に実証された。さらに、シクロフィリンDの阻害は、mPTPの開口を防止することができ、これはミトコンドリア機能に対して保護的であり、細胞の生存を保全する。
シクロスポリンAの生物学的に活性な誘導体も作製されている。例えば、米国特許第6,583,265号、欧州特許第0484281号、欧州特許第0194972号は、免疫抑制、抗寄生虫および抗ウイルス特性を含む様々な特性を有するシクロスポリン誘導体を記載している。米国特許第6,583,265号は、シクロスポリン大環状分子の3位で行われた修飾を有するシクロスポリン誘導体を記載している。特に、米国特許第6,583,265号は化合物1を開示している。
国際公開第2019/016572号も、急性または慢性炎症性障害の処置または予防において使用するための化合物1を記載している。
本発明の目的は、さらなるシクロスポリン類似体、特にシクロフィリン、例えばシクロフィリンA、BおよびD、ならびにシクロフィリンに関連する疾患および症状の阻害に有用であり得る類似体を提供することである。本発明のさらなる目的は、本発明の以下の説明、実施例および特許請求の範囲に基づいて明らかになるであろう。
(非特許文献1)Am J Physiol Renal Physiol 297:F749-F759,2009
(非特許文献2)Am J Physiol Renal Physiol.2019 Sep 1;317(3):F683-F694
(非特許文献2)Am J Physiol Renal Physiol.2019 Sep 1;317(3):F683-F694
第1の局面において、本発明は、詳細な説明において定義される化合物、すなわち式1、式2もしくは式3、または式4の化合物に関する。
さらなる局面において、本発明は、シクロフィリン阻害剤としての前記化合物の使用を提供する。なおさらなる局面において、本発明は、臓器傷害または臓器不全などの細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状を予防および/または処置する方法における前記化合物の使用を提供する。さらに別の局面において、本発明は、腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象での前記腎臓症状または疾患の予防および/または処置における前記化合物の使用であって、前記腎毒素が腎毒性原薬または内因性腎毒素である使用を提供し得る。
さらなる局面において、本発明は、シクロフィリン阻害剤としての前記化合物の使用を提供する。なおさらなる局面において、本発明は、臓器傷害または臓器不全などの細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状を予防および/または処置する方法における前記化合物の使用を提供する。さらに別の局面において、本発明は、腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象での前記腎臓症状または疾患の予防および/または処置における前記化合物の使用であって、前記腎毒素が腎毒性原薬または内因性腎毒素である使用を提供し得る。
第1の局面において、本開示は、式1の化合物またはその薬学的に許容され得る塩:
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関する。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関する。
一態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、または一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成する、式1の化合物に関する。さらなる態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHである場合、またはR1がメチルであり、R2がHであり;R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、または一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成する、式1の化合物に関する。別の態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHである場合、またはR1がC1~C6アルキルであり、R2がHであり;R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、または一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成する、式1の化合物に関する。別の態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aである場合、AがNR3R4ではない、式1の化合物に関する。さらなる態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHである場合、またはR1がC1~C6アルキルであり、R2がHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aである場合、AがNR3R4ではない、式1の化合物に関する。
さらに別の態様において、本開示は、R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチルから選択される場合、AはNR3R4ではないことを条件とする式1に対して定義されている化合物;または、R1およびR2がいずれもHである場合、もしくはR1がHであり、R2がC1~C6アルキルであり、R8がエチルから選択され、R9が式1aである場合、AはNR3R4ではないことを条件とする式1に対して定義されている化合物に関する。特に、式1の化合物は、上に示される化合物1を含まない。式1の化合物はまた、3-[2-(アミノプロポキシ)]シクロスポリンを含まない。
関連する局面において、本開示はまた、式2の化合物またはその薬学的に許容され得る塩:
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R8は、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関し得る。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R8は、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関し得る。
関連する局面において、本開示はまた、式3の化合物またはその薬学的に許容され得る塩:
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関し得る。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である、
に関し得る。
特に、式1、2および3および式4の化合物は、シクロスポリンA、C、DまたはGのシクロスポリン類似体に関する。
一態様において、本開示によるシクロスポリン化合物は、本明細書に記載される化合物および式1、2または3のサルコシン置換基について本明細書に記載される態様の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるような、大環状環の3位のサルコシン残基に置換基を含むシクロスポリンA化合物(例えば、R9残基は式1aであり、R8はエチルである)である。他の態様において、本開示によるシクロスポリン化合物は、3位、すなわち式1、2または3、または式4の化合物について本明細書において記載されている態様の任意の1つまたは組み合わせに対して定義されるサルコシン残基に置換基を含む、シクロスポリンC化合物(例えば、R9残基は式1aであり、R8は1-ヒドロキシエチルである)、シクロスポリンD化合物(例えば、R9残基は式1aであり、R8はイソプロピルである)、またはシクロスポリンG化合物(例えば、R9残基は式1aであり、R8はn-プロピルである)である。
本明細書で使用される位置の付番は、シクロスポリンのコアに含まれる11のアミノ酸残基の一般的に使用される命名法および番号割り当てを参照する。シクロスポリンAを基本として、アミノ酸残基は以下のように付番され得る:MeBmt(1)と略され得るメチル-ブテニル-トレオニン、アミノ酪酸(2))、Sar(3)と略され得るサルコシン、N-メチルロイシン(4)、バリン(5)、N-メチルロイシン(6)、アラニン(7)、D-アラニン(8)、N-メチルロイシン(9)、N-メチルロイシン(10)、N-メチルバリン(11)。
本明細書で使用される「H」という用語は、水素を指す。本明細書で使用される「C1~C6アルキル」という用語は、任意の異性体配置で1~6個の炭素原子を含む飽和または不飽和アルキル炭化水素部分として定義される。メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、1-ペンチル、n-ヘキシルなどの、直鎖の直線状アルキルが含まれる。イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-ペンチル、3-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルの異性体などの分岐アルキル(すなわち、分岐C3~C6アルキル)も含まれる。「C1~C6アルキル」の定義内にさらに含まれるのは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの環状異性体である。不飽和C1~C6アルキルの例としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル、ならびに例えば1つまたは複数の二重結合を含むその他のアルケニルまたはアルキレン部分、例えばペンタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。「C3~C6」という用語は、同様に理解されるべきであるが、3~6個の炭素原子の範囲を含む部分を表す。
好ましい態様において、C1~C6アルキルは、上で定義したような置換されていない炭化水素部分を指す。任意である態様において、C1~C6アルキルは、1つまたは複数の置換基で置換され得、1つまたは複数の水素原子が、前記置換基または水素以外の部分への結合で置き換えられる。
置換されたアルキル(例えば、置換されたC1~C6アルキル)などの「置換された」という用語は、1つまたは複数の水素が、独立して、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル(-OH)、C1~C6アルコキシル、アミノ(-NH2)、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオアルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールおよびヘテロアリールなどの少なくとも1つまたは複数の(例えば、2つ、3つまたはそれより多くの)置換基で置換されている部分または基を指し得る。
「ハロゲン」という用語は「ハロ」と交換可能であり、クロロ、ブロモ、ヨードまたはフルオロ原子を指し得る。「ハロアルキル」は、1つまたは複数の水素原子が1つまたは複数のハロゲン原子によって置き換えられているアルキル置換基を指す。ハロアルキルの例は、トリフルオロメチルなどのトリフルオロアルキルである。
「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を指す。いくつかの態様において、水素は、例えば当技術分野内のヒドロキシ保護基で置換され得る。「アルコキシル」などの用語は、アルキル化されたヒドロキシル置換基、すなわち、水素がアルキル基によって置き換えられていることを意味する。「C1~C6アルコキシ」は、ヒドロキシ水素を上記で定義したようなC1~C6アルキルで置き換えることを指す。例としては、メトキシ、イソプロポキシ、フェノキシまたはt-ブトキシが挙げられる。
「アミノ」という用語は、-NH2基を指し得る。いくつかの態様において、水素は、例えば保護基、またはアルキルなどの1つもしくは複数のさらなる置換基で置換され得る。「モノアルキルアミノ」という用語は、水素の1つがアルキル、例えば上記で定義されたようなC1~C6アルキルで置き換えられているアミノ基(すなわち、-NHR、Rはアルキルである)を指す。「ジアルキルアミノ」は、両方の水素が独立してアルキルで置き換えられているアミノ基(すなわち、-NRR’、ここで、RおよびR’はアルキルであり、同じ(例えば、ジメチルアミノ)であり得る、または異なり得る。)を指す。
「チオアルキル」は、基-SR’’を指し得、R’’は、アルキル、例えば上記で定義されるようなC1~C6アルキルである。本明細書で使用される「カルボキシル」という用語は、基-C(O)-Raを指し、Raは、水素、アルキル、アリール、ヘタリール、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、-OCH3)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオアルキルなどから選択され得る。用語「アルコキシカルボニル」は、基-OC(O)-Raを指し得、Raは、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)、アリール、ヘタリール、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオアルキルなどから選択される。
一態様において、本明細書に記載される化合物、例えば式1、式2、または式3、または式4のR1またはR2の少なくとも一方または両方は水素(H)である。一態様において、R1またはR2の少なくとも一方は、C1~C6アルキルである。別の態様において、R1およびR2の一方または両方は、-CH3(メチル)である。
いくつかの態様において、2つの隣接するR1およびR2置換基は、一緒に環、例えばC3~C6シクロアルキル環を形成するように一緒に結合され得る。本明細書で使用される「シクロアルキル」は、飽和または不飽和の非芳香族炭化水素環である。一緒に結合して、環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを形成する隣接するR1およびR2置換基によって形成される部分の例。一態様において、2つの隣接するR1およびR2置換基は、シクロプロピル環を形成するために結合され得る。
「ヘテロ」という用語は、化合物または置換基を記述するために使用される場合、1つまたは複数の炭素原子が酸素、窒素または硫黄原子によって置き換えられていることを意味する。本開示のさらなる態様において、置換基R1およびR2は、ヘテロシクロアルキル環、例えばC3~C6ヘテロシクロアルキル環を形成するために一緒に結合され得る。別段示されない限り、「ヘテロシクロアルキル」は、環構造の少なくとも一部を形成し、少なくとも1つまたは複数の炭素原子が酸素、窒素または硫黄原子によって置き換えられている(およびC3~C6ヘテロシクロアルキルの場合には、3~6個の炭素原子を含む)飽和または不飽和の非芳香環を指す。例えば、置換基R1およびR2は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む4員、5員または6員の飽和非芳香環を形成するために一緒に結合され得る。ヘテロシクロアルキル環は、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る。
式1、2または3または4の化合物の置換基R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され得る。一態様において、R8は、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルおよびn-プロピルからなる群から選択される。別の態様において、R8はエチルであり、R9は式1bである。
本開示のシクロスポリン化合物の1位の置換基R9は、式1aに対応し得る、すなわち、化合物の1位は、アミノ酸残基N-メチル-ブテニルトレオニンまたはMeBmtに対応し得る。あるいは、R9は、式1bに示されるようなその酸化された形態に対応し得る。
一態様において、本開示による化合物の置換基Aは、アミノ基NR3R4から選択され得、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する。一態様において、R3およびR4は、いずれも-CH3(メチル)である。別の態様において、R3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する。例えば、置換基R3およびR4は、4員、5員または6員の飽和非芳香環を形成するために一緒に結合され得る。本式の化合物の文脈において一緒に結合する隣接するR3およびR4置換基によって形成されるシクロアルキル環は、例えば、アゼチジン、ピロリジンまたはピペリジンを含み得る。ヘテロシクロアルキル環は、環構造の少なくとも一部を形成する飽和または不飽和の非芳香環であり得、少なくとも1つまたは複数の炭素原子は、例えば式1または2において特徴付けられるように、R3およびR4が結合している窒素に加えて、酸素、窒素または硫黄原子によって置き換えられている。置換基R3およびR4は、置換基R3およびR4が結合している窒素原子に対する少なくとも1つのさらなるヘテロ原子、例えば、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのさらなるヘテロ原子を含む4員、5員または6員の飽和非芳香環を形成するために一緒に結合され得る。1つの特定の態様において、R3およびR4は、モルホリン残基を形成するように一緒に結合される。任意である態様において、R3およびR4によって形成されるシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル部分は、1つまたは複数の水素原子が前記置換基への結合で置き換えられている上で定義したような1つまたは複数の置換基で置換され得る。
別の態様において、本開示による化合物は、置換基Aを含み、Aはアミジン、特に式-N=C(R5)NR6R7によって定義されるアミジン置換基であり、R5、R6およびR7は、H、C1~C6アルキルおよび任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される。
その一態様において、R5は、HおよびCH3(メチル)から選択される。アミノ基NR6R7は、アルキルアミノ基、例えばモノアルキルアミノ(R6またはR7の一方が水素であり、他方はC1~C6アルキルアルキル)、またはR6もしくはR7が同一のもしくは異なるC1~C6アルキル基であるジアルキルアミノ基であり得る。別の態様において、R6およびR7はいずれもメチルであり得る。式1、または式3、または式4の化合物の一態様において、Aは-N=C(R5)NR6R7であり、R8はエチルである。
別の局面において、本開示はまた、式4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩:
式中、XおよびZは、独立して選択される置換基、例えば、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)および置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C6アルキルから選択される置換基であり、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2、R8およびR9は、本明細書に記載されている態様の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである、にも関し得る。式4は、式Iの化合物も含む。
式中、XおよびZは、独立して選択される置換基、例えば、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)および置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C6アルキルから選択される置換基であり、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2、R8およびR9は、本明細書に記載されている態様の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである、にも関し得る。式4は、式Iの化合物も含む。
一態様において、XおよびZはいずれもHである。別の態様において、XおよびZはいずれもアルキル、例えばメチルであり得る。さらに別の態様において、XはHであり、Zはメチルである。式4の態様はまた、以下のものを含み得る。
1.1 R1およびR2がいずれも水素である、式4に記載の化合物。
1.2 R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキル、例えば、メチルである、1.1に記載の化合物。
1.3 R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環、または好ましくは、C3~C6シクロアルキル環、例えば、シクロプロピルを形成する、1.1または1.2に記載の化合物。
1.4 R8がエチルである、1.1~1.3に記載の化合物。
1.5 R8がイソプロピルである、1.1~1.4のいずれか1つに記載の化合物。
1.6 R8がn-プロピルである、1.1~1.5のいずれか1つに記載の化合物。
1.7 R8が1-ヒドロキシエチルである、1.1~1.6のいずれか1つに記載の化合物。
1.8 Aが-N=C(R5)NR6R7である、1.1~1.7のいずれか1つに記載の化合物。
1.9 R5、R6およびR7が、H、C1~C6アルキルおよび任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される、1.8に記載の化合物。
1.10 R5がHまたはCH3であり、R6およびR7がCH3である、1.9に記載の化合物。
1.11 R9が式1aである、1.8~1.10に記載の化合物。
1.12 R9が式1bである、1.1~1.11のいずれか1つに記載の化合物。
1.13 AがNR3R4である、1.1~1.7または1.11~1.12のいずれか1つに記載の化合物。
1.14 R3およびR4がいずれも-CH3である、項目1.13に記載の化合物。
1.15 R3およびR4が一緒に結合されてモルホリニル残基を形成する、項目1.12~1.14に記載の化合物。
1.16 XおよびZがいずれもHである、1.1~1.15に記載の化合物。
1.17 Xがアルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えばメチル)であり、ZがHである、1.1~1.16に記載の化合物。
1.18 R8がエチルであり、R9が式1aである、1.17に記載の化合物。
本明細書に記載される式4のある特定の態様において、式Iについて記載されるAの選択に対して定義される条件も適用され得る。
さらに別の局面において、本開示はまた、式1、2、3および4に記載の化合物を調製する方法に関する。一態様において、化合物は、化合物形成反応を含む方法または過程によって調製され得、反応は、銅トリフラートおよびアミノアルコールを含む。アミノアルコールは、式5の化合物:
式中、置換基、XおよびZは、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)、置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択され得、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2は、本明細書に記載されている態様の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである、であり得る。いくつかの態様において、式Iについて記載されたAの選択に対して定義される条件も適用され得る。一態様において、式5のXおよびZはHであり、A、R1、R2は、本明細書に記載される態様の任意の1つまたは組み合わせで定義されるとおりである。別の態様において、AはNR3R4であり、R3およびR4は本明細書の態様または実施例の任意の1つに従って定義される。式5のさらに別の態様において、XおよびZはいずれもHであり;R1およびR2はいずれもHであり、AはNR3R4であり、R3およびR4はいずれもアルキル、例えば、例えばC1~C6アルキル、例えばメチル)である。
式中、置換基、XおよびZは、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)、置換されたアルキル、例えば、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択され得、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2は、本明細書に記載されている態様の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである、であり得る。いくつかの態様において、式Iについて記載されたAの選択に対して定義される条件も適用され得る。一態様において、式5のXおよびZはHであり、A、R1、R2は、本明細書に記載される態様の任意の1つまたは組み合わせで定義されるとおりである。別の態様において、AはNR3R4であり、R3およびR4は本明細書の態様または実施例の任意の1つに従って定義される。式5のさらに別の態様において、XおよびZはいずれもHであり;R1およびR2はいずれもHであり、AはNR3R4であり、R3およびR4はいずれもアルキル、例えば、例えばC1~C6アルキル、例えばメチル)である。
一態様において、本開示による化合物は、3位またはサルコシン位に脱離基を含むシクロスポリン化合物(例えば、シクロスポリンA、C、D、Gなど)中間体を、式5の化合物などのアミノアルコール化合物と反応させることを含む過程によって調製または取得され得る。別の態様において、本明細書に記載される化合物は、a)シクロスポリン化合物、例えばシクロスポリンA、C、D、Gなど)をジピリジルジスルフィドと反応させて、チオピリジルシクロスポリン中間体(例えば、[(2’-(2-チオピリジル)-Sar]3-シクロスポリンAまたはC、またはD、またはGなど)を形成させること、およびb)銅トリフラートの存在下で前記中間体をアミノアルコール化合物と反応させることを含む過程または方法に従って取得可能であり得る。アミノアルコールは、上記の式5に従って定義される化合物であり得る。使用され得るアミノアルコール化合物の例としては、限定されないが、モルホリノエタノールまたはジメチルアミノエタノールが挙げられる。
本開示および本発明の化合物は、様々な立体異性体形態および混合物で存在し得る。本開示は、式に指定または示される立体中心に加えて、それらのすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体またはその他の混合物の他、多形、溶媒和物、水和物、錯体、遊離形態または塩形態を含み得ることが理解され得る。別段示されない限り、式に指定もしくは示されていない、または具体的に名称が与えられていない/記載されていない1つまたは複数の不斉中心を含む本開示の範囲内の化合物も、すべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物、そのラセミ体またはその他を含み得る。本開示における二重結合の表現は、図示されている異性体を指すが、他のZ(またはE)異性体も含むと考えられ得る。当技術分野で周知の方法によって決定または調製される、任意の光学的に純粋なまたは立体化学的に純粋な立体異性体、および立体異性体の任意の組み合わせの使用も含まれる。任意で、本発明の化合物は、それらの同位体、すなわち、水素を重水素で、または炭素を炭素-13でなど原子が同位体で置き換えられている化合物も含み得る。
本明細書で定義されるとおり、薬学的に許容され得る化合物は、一般に安全で、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものではなく、許容され、ヒトにおける薬学的使用に適合する化合物である。薬学的に許容され得る塩は、その生物学的特性を保持し、非毒性であり、薬学的使用に適合する、本明細書で提供されるような化合物の塩である。
本開示による塩は、式1、式2、式3、式4の化合物または本明細書に記載される特定の化合物の任意の1つへの酸の添加から生じ得る。得られる酸付加塩としては、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、グリコール酸、アジピン酸、アルギン酸、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン、グルコン酸(例えば、D-グルコン酸)、グルクロン酸(例えば、D-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素(hydriodic)酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸および(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば、(-)-L-リンゴ酸)、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸および吉草酸とともに形成されたものを含み得る。特に、酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの鉱酸から;酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸などの有機酸から誘導されるものを含み得る。
本開示の化合物は、疾患もしくは医学的症状の予防および/もしくは処置にとって、または疾患もしくは医学的症状を予防および/もしくは処置するための医薬品の製造において有用であり得る。
本明細書で使用される場合、「処置」という用語と同義に使用され得る「治療」という用語は、疾患、症状または前記疾患もしくは症状に関連する症候の治癒、改善、寛解、制御、進行の制御、進行の予防、再発の予防をもたらすことができる治療的介入に関する。
本明細書で理解されるように、用語「予防(prophylaxis)」と互換的に使用され得る用語「予防(prevention)」は、疾患、症状もしくは症候の発生を予防するための、または疾患、症状もしくは症候の発生の可能性を有意に低下させるための化合物または組成物の使用、および例えば、疾患、症状もしくは関連する症候のさらなる再発の予防を指す。また、この用語の意味の範囲内には、最初の改善後または疾患、症状もしくは症候の原因の最初の除去後の、前記疾患、症状または関連する症候の進行の予防も含まれる。
特に、本発明による化合物は、シクロフィリン媒介性疾患または症状の予防および処置のために使用され得る。
特に、本明細書に記載される化合物は、シクロフィリン、特にシクロフィリンA(CypA)および/またはシクロフィリンD(CypD)の阻害剤として使用され得る。一態様において、化合物は、シクロフィリンDの阻害剤として使用される、例えば、シクロフィリンDの阻害のために治療上適切な量で提供または投与される。本明細書で一般的に理解されるように、「治療有効量」という用語は、例えば、疾患または症状を処置および/または予防するために対象(例えば、ヒト対象)に投与された場合に、そのようなその処置および/または予防をもたらすのに十分である化合物の量である。
これらのシクロフィリンの過剰発現は、様々な疾患および症状、特にヒトにおける炎症性疾患と関連付けられ、または相関してきた。例えば、シクロフィリンAは、炎症応答を支援するように白血球遊走を促進するケモカインとして機能することが実証されており、シクロフィリンAの遮断は、急性炎症の動物モデルにおいて有益であることが示されている。現在では、多数の証拠も、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)と呼ばれるミトコンドリア膜の孔の開口を炎症の重傷形態である壊死性炎症の発症および維持にとって極めて重要であるものとして支持している。このMPTP開口の鍵となる調節因子はシクロフィリンDであり、CypDの阻害は壊死性炎症に関連する組織損傷の予防において優れた活性を示した。MPTPの開口およびその後の壊死性細胞死の開始は、酸化ストレス、低酸素、胆汁酸塩毒素などを含む様々な因子に起因する上昇した細胞内カルシウムレベルによって引き起こされる。したがって、CypDの薬理学的阻害は、臓器組織の虚血-再灌流傷害に起因する組織分解に対して保護的であり得る。
本開示による化合物は、実施例で証明されるように、シクロフィリン、特にシクロフィリンDの阻害剤として驚くほど有効であることが明らかとなった。化合物は、疾患または症状の処置または予防に有用であり得、ここで、シクロフィリンの上昇したレベルまたは活性は、前記疾患もしくは症状に関連するか、前記疾患もしくは症状に寄与するか、または前記疾患もしくは症状をもたらす。特に、本発明に従って処置または予防され得るシクロフィリン媒介性疾患または症状は、シクロフィリン-D媒介性疾患または症状であり得る。前記疾患または症状は、例えば、MPTPの上方制御された開口に起因するミトコンドリア機能不全の結果であり得る。
一態様において、(例えば、細胞損傷または細胞死の予防または軽減のための)細胞保護剤として、または(例えば、ミトコンドリア機能不全または損傷の予防または軽減のための)ミトコンドリア保護剤として本開示による化合物が使用され得る。
シクロフィリン媒介性疾患または症状は、典型的には、炎症応答、細胞損傷、障害および/または細胞死(例えば、壊死)に関連する疾患および症状であり、以下にさらに記載されるような疾患および症状を含み得るが、これらに限定されない。
一態様において、細胞傷害または細胞死、例えば細胞壊死(細胞膜の完全性の喪失および細胞外マトリックスへの細胞成分の放出に関連するプログラムされていない細胞死)に関連する疾患または症状の処置および/または予防において、本発明による化合物が使用され得る。細胞傷害および細胞死は、結果であり得るか、または誘導され得る、例えば、傷害、感染、梗塞、炎症、虚血、毒素への曝露、温度外傷、身体的外傷など)。
本明細書で理解されるように、「細胞」または「細胞の」という用語は、細胞の集合物または凝集物、すなわち細胞組織も指し得る。前記組織は、処置されるべき対象において典型的に見られる腎臓、肝臓、心臓、肺およびその他の臓器などの特定の臓器に関連し得るか、または位置し得る。
一態様において、本発明による化合物は、臓器不全または臓器傷害の処置または予防において使用され得、前記臓器は、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織から選択され得る。神経組織の例は、例えば、中枢神経組織または末梢神経組織である。一態様において、臓器は腎臓である。本明細書で理解されるように、臓器不全または臓器傷害は、対象中の1つ、2つ、または複数の臓器の不全または損傷を指し得る。例えば、腎不全または腎損傷は、対象または患者の1つの腎臓の症状を指し得るが、任意で2つまたは両方の腎臓の症状も指し得る。一態様において、化合物は、多臓器不全(例えば、腎臓、肺および肝不全)を処置および/または予防するために使用され得る。
別の態様において、腎臓の疾患または症状、すなわち腎臓の疾患または症状の予防および/または処置のために、本発明による化合物が使用され得る。腎臓の疾患または症状は、例えば、腎臓または腎組織の異常なまたは損なわれた機能によって特徴付けられ得る。異常なまたは損なわれた腎機能は、当技術分野における標準的な臨床診断方法、例えば、限定されないが、血中尿素窒素および/または血清クレアチニンなどの腎機能マーカーの測定に従って決定され得る。
さらなる態様において、虚血、すなわち本明細書に記載されるような組織または臓器中の虚血の予防および/または処置のために、本発明による化合物が使用され得る。虚血または虚血傷害は、一般に、組織の領域への血液供給が遮断または中断されると起こり、要因の中でもとりわけ、酸素の不足または組織への酸素の不十分な供給をもたらす。虚血傷害の発生率は、例えば、限定されないが、心筋梗塞、脳卒中およびその他の血栓性事象に起因し得るおよび/またはその結果であり得る。組織が酸素欠乏を生き延びることができる時間の長さは様々であるが、最終的に虚血性組織は壊死状態になり得る。一態様において、化合物は、心筋虚血、腎虚血、脳虚血、または肝虚血の処置のために使用され得る。
虚血傷害は、血管が交差クランプされている手術の間、移植用臓器中で起こり得る。虚血-再灌流(再酸素化)傷害は、一定期間の虚血または酸素欠乏(無酸素症、低酸素症)後に血液供給が組織に復帰する際に引き起こされる組織損傷である。理論に束縛されるものではないが、虚血期間中の血液からの酸素および栄養素の欠如は、循環の回復が炎症および酸化的損傷をもたらす症状を作り出すと考えられる。
一態様において、本発明による化合物は、虚血-再灌流傷害の予防または処置において使用され得る。虚血-再灌流傷害は、外科的処置に関連し得るか、または外科的処置の結果であり得る。
外科的処置は移植処置であり得る。虚血-再灌流傷害は、レシピエント対象においてまたはドナー対象において起こり得る。臓器移植または臓器組織移植では、ドナーの血液供給から臓器または組織を除去してから、臓器または組織をドナーレシピエントの血液供給に再接続するまでの間に期間が存在する。いくつかの事例では、臓器を手術の場所まで長距離輸送する必要があることがあり得、臓器損傷の可能性が高まる。一態様において、本発明は、臓器移植に関連する、または臓器移植の結果としての虚血-再灌流傷害の予防および/または処置のための本明細書に記載される化合物の使用に関する。
一態様において、本発明の化合物は、臓器移植レシピエント(例えば、腎臓移植レシピエント)に投与される。
なおさらなる態様において、虚血-再灌流傷害は腎虚血-再灌流傷害であり、これは例えば、腎臓に供給する血管が腎移植などの外科的処置の少なくとも一部の期間にわたってクランプされる外科的処置から生じ得る。一態様において、本明細書に記載される化合物は、急性腎障害の予防または処置の処置のために使用される。
腎移植処置は、腎虚血および腎虚血-再灌流傷害によって誘発されまたは引き起こされ得る急性腎障害などの症状のリスクを伴う。腎虚血は、動脈閉塞、ショックおよび腎移植から生じ得、腎細胞死および腎不全をもたらし得る。さらなる態様において、本明細書に記載される化合物は、腎移植処置に関連するまたは腎移植処置の結果生じる急性腎障害の予防または処置のために使用される。例えば、ドナー腎臓の取り出し後、血流の喪失(虚血)の結果として、腎組織は酸素欠乏を受け得、虚血性腎組織への損傷は、流れの再開時にさらに生じ得る(再灌流傷害)。シクロフィリンDの強力な阻害によって保護剤として使用され得る化合物の投与による、このような損傷の予防および虚血ストレス後のMPTP開口の予防は、移植された臓器の生存能力を改善するのに役立ち得る。
他の態様において、本発明は、任意で前記臓器もしくは臓器組織の移植の結果であってもよいまたは前記臓器もしくは臓器組織の移植に関連してもよい、肝臓のまたは心臓の虚血-再灌流傷害の予防または処置のための本明細書に記載される化合物の使用に関し得る。
本開示によれば、上記で定義される化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、移植手術中などに、臓器を保全するためのおよび/または臓器を臓器傷害から保護するための医薬品の製造において使用され得る。
(例えば、前記化合物を含む医薬品の製造における)化合物の使用の状況において、さらに移植手術の状況において、化合物または医薬品は、臓器ドナーから臓器レシピエントへの臓器の移植の前、その間および/またはその後に、臓器ドナーにおよび/または臓器レシピエントに投与され得る。
一態様において、本発明の化合物は、ドナー臓器の取り出しの前に、例えば全身投与、例えば注射または注入によってドナー対象に投与され得る。これに代えてまたはこれに加えて、本開示による化合物は、個体から臓器を取り出した後および移植または再付着の前に臓器に投与され得る。例えば、化合物は、その中に臓器が配置されている流体に添加され(またはその中に含まれ)得る、ならびに/または本明細書に記載される化合物は、臓器内および/もしくは臓器を通って再循環される流体に添加され(またはその中に含まれ)得る。
別の態様において、本開示による化合物は、手術の開始前に対象に、例えば移植手術の開始前に臓器移植レシピエントに投与され得る。なおさらなる態様において、化合物は、手術中および/または手術後にも、例えば移植レシピエントの場合には、臓器または臓器組織の移植中および/または移植後に投与され得る。なおさらなる態様において、化合物は、移植過程および/または回復期間の期間を通じて、ドナーに(または任意で切除された臓器に)およびレシピエントにも投与され得る。一態様において、化合物は、移植過程の前に移植レシピエントに投与される。別の態様において、化合物は、移植の前および後に移植レシピエントに、または臓器に投与される。
本明細書で使用される「ドナー」または「臓器ドナー」という用語は、臓器(または臓器の組織)がそこから取り出される対象を指す。前記ドナーは、生きたまたは生きているドナーであり得る。あるいは、ドナーは、臨床的に死亡したドナーであり得、「臨床的に死亡した」という用語は、当業者によって一般に理解され、例えばヒト対象に適用される、当技術分野における標準的な臨床的および/または法的ガイドラインによって定義される。
さらに、「対象」または「患者」という用語は互換的に使用され得、一態様において、ヒト対象を指す。好ましくは、対象または患者はヒトである。同様に、本明細書で使用される「臓器ドナー」または「臓器レシピエント」などの用語は、ヒト対象を指し得る。これらの用語はまた、他の哺乳動物などの他の動物を指し得る。本発明は、さらなる態様において、例えば、家畜またはその他の獣医学的対象、特に、ネコ、イヌ、霊長類、ウマ、ウシおよびブタなどの哺乳動物にも適用され得る。本発明はまた、そのような動物がヒト移植に適した臓器を有するトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックブタ)にも適用され得る。
臓器の取り出し前に臓器ドナーに本発明の化合物の全身用量を投与することができる。これにより、取り出し前に臓器が保護用量の化合物を受けることが可能になり、それにより、除去中、およびドナーレシピエントへの移植の過程までおよびその間に臓器を損傷から保護することによって臓器が保全される。2つ以上の臓器がドナーから取り出されている場合、この全身用量は、各臓器が化合物の用量を確実に受け取るようにする。全身用量はまた、移植されるべき臓器組織に化合物の均一な用量を提供する可能性がより高い。ドナーが法的に死亡している場合、用量は、生きている対象に通常与えられるよりも大きくすることができる。
化合物は、臓器摘出手術の直前または臓器摘出手術中に投与することができる。例えば、本発明の化合物は、手術の8、7、6、5、4、3、2または1時間前まで投与され得る。
これらに代えてまたはこれらに加えて、臓器レシピエントは、その血液供給が本発明の化合物の保護用量を含有し、それによって移植された臓器または身体部分を手術後に損傷から保全するように、臓器を受け入れる直前に本発明の化合物の用量を受けることができる。
本明細書で上述した化合物(または方法または使用)の態様において、臓器は任意の移植可能な臓器であり、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織であり得る。
上記のように、本開示は、臓器に対する損傷を予防し、処置し、改善し、および/または低減するためのシクロフィリン阻害剤として作用する化合物の投与を提供する。任意で、処置はまた、四肢、手、足、手指または足指などの身体部分への損傷の予防および処置に適用され得る。例えば、四肢の切断を伴う事故では、血液供給からの身体部分の切断から血液供給への身体部分の再接続までに期間が存在する。この期間中、虚血再灌流傷害の可能性も存在し得る。いくつかの事例では、身体部分および患者を手術の場所まで長距離輸送する必要があることがあり得、再付着前、再付着中および再付着後の損傷の可能性を増大させる。身体部分の場合、これらは、同じ個体から切断され、同じ個体に再付着され得るか、または第2の個体に移植片として与えられ得る。身体部分が対象から切断される場合、切断は完全または部分的であり得る。部分的な切断は、例えば血液供給の切断であり得るが、身体部分は、例えば皮膚、骨または筋肉組織を介して付着したままである。化合物は、(i)切断された身体部分に;および/または(ii)身体部分の再付着の前に対象に;および/または(iii)身体部分の再付着中もしくは再付着後に対象に投与され得る。
本開示の化合物は、任意で、1つまたは複数のさらなる活性物質とともに投与され得る。
さらなる局面において、本開示は、腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象における前記腎臓症状または疾患の予防または処置において使用するための本明細書に記載される化合物(すなわち、式1、2、3、4の化合物またはその特定の態様)であって、前記腎毒素は腎毒性原薬または内因性腎毒素である、化合物を提供する。
腎毒素は、対象の腎臓およびその関連組織の機能を破壊し、または損なうことができる化合物または物質である。本開示の一態様において、腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素は腎毒性原薬である。
本明細書で使用される場合、「腎毒性原薬」という用語は、症状、障害または疾患の予防、診断、安定化、処置または管理における医学的または治療的用途に有用であり、腎機能を破壊し、障害し、または低下させることができる、有効活性成分または薬理学的もしくは診断的に活性な化合物もしくは化合物の混合物であり得る。腎毒性原薬は、前記腎毒性原薬または腎毒性物質の混合物と、1つまたは複数の非薬理学的に活性な賦形剤または担体とを含む医薬品または薬学的剤形として対象に提供または投与され得る。特に、腎毒性原薬は、その指示された治療または診断用途のための投与が、腎毒性副作用の可能性のために単一および/または累積用量で与えられる閾値用量量に関して制限される用量制限された原薬であり得る。腎毒性原薬はまた、その処方情報によると腎毒性が副作用としてもしくは有害作用として列記されている原薬として、ならびに/またはその意図される治療/診断用途のためのその所定の使用が、腎毒性原薬が投与される対象における腎毒性原薬の用量濃度(例えば、その血清濃度)および/もしくは例えば、腎毒性に関連する徴候およびマーカーに対するレシピエント対象の腎機能を監視するための助言を含む原薬としてさらに定義され得る。
本明細書で理解されるように、「腎毒素への曝露」または類似の語句は、症状、症候または疾患に対する処置の過程における腎毒素への対象の曝露を表し得、対象は、治療または診断目的のために、本明細書の様々な態様において定義されている腎毒性原薬の任意の1つまたは組み合わせなどの腎毒素の1つまたは複数の用量を投与される。本明細書で使用される「腎毒素への曝露」という語句はまた、腎毒素への対象の任意の意図しない曝露、例えば、限定されないが、針刺し損傷などからの偶発的曝露、または内因性腎毒素の放出および/もしくは蓄積を引き起こし得る身体的外傷もしくは長期の身体的ストレスなどの状況により生じた/不測の出来事を含む。
本明細書で理解されるように、「原薬」という用語、およびその属、科または種は、原薬自体、およびその任意の薬学的に許容され得る塩、水和物、誘導体またはプロドラッグを指し得る。例えば、「ゲンタマイシン」という用語は、その一般的な市販形態である硫酸ゲンタマイシンも含み得る。同様に、「アミノグリコシド」という用語は、例えば「アミノグリコシド系抗生物質」という用語と交換可能であり、当技術分野におけるその一般的な定義または分類内に入る任意の化合物を指す。
本開示の別の態様において、腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素は、内因性腎毒素である。本明細書で定義されるように、内因性腎毒素は、外因性毒素と考えられ得る上記の腎毒性原薬とは対照的に、対象によって内因的に産生される分子または物質(例えば、タンパク質)であり、外部から投与されない。内因性腎毒素は、正常な生理学的および恒常的状態の間には、非腎毒性濃度または量で対象または対象の血液もしくは血清中に存在し得るが、上昇したレベル、すなわち閾値またはベースライン濃度を超えると、腎毒性になり、腎毒性成分に分解もしくは崩壊し、ならびに/または腎毒性の発現および腎組織傷害につながる細胞性または炎症性応答事象を誘発し得る。
一態様において、内因性腎毒素はミオグロビンであり、任意で、ミオグロビンに関連する任意の崩壊もしくは分解生成物または放出された成分であってもよい。ミオグロビンは、筋肉組織に見られる酸素および鉄結合タンパク質である。高レベルのミオグロビンおよびその関連成分は、腎尿細管細胞に対して直接毒性であり得、病態の中でも特に、腎血管収縮、尿細管内円柱の形成ももたらし得る。
横紋筋融解症は、骨格筋組織の損傷または分解を特徴とする症状であり、組織の内容物が循環中に放出される。高レベルのミオグロビンの放出は、ミオグロビン尿症の関連症状にも関連する。内因性細胞成分が腎毒性になり得る他の症状としては、限定されないが、溶血(損傷を受けた赤血球の内容物、例えばヘムが循環中に放出される赤血球溶解)および腫瘍溶解または骨髄腫などの症状が挙げられる。癌患者中の腫瘍は、(例えば、化学療法の過程で)溶解し、腫瘍細胞内容物を循環中および腎臓に放出し得る。
一態様において、本開示による化合物またはその薬学的に許容され得る塩が投与され得る対象は、上昇した血清および/または尿ミオグロブリンレベル、すなわち、血清中および/または尿中のミオグロビンの上昇した濃度を有し得る。これらに代えて、またはこれらに加えて、前記対象はまた、上昇した血清レベル、すなわち、上昇した血清濃度のクレアチンホスホキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、カルシウム、カリウム、ホスファートの任意の1つまたは組み合わせを有し得、筋肉損傷の存在を示す。さらなる関連する態様において、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が与えられる対象は、ベースラインより少なくとも5倍高い血清クレアチンホスホキナーゼレベルを有する。
本明細書で定義されるように、クレアチンホスホキナーゼの血清濃度レベルに関連して使用される「ベースライン」という用語は、例えば腎毒素にまだ曝露されていない個体についての臨床的に適用可能なまたは予想される血清クレアチンホスホキナーゼレベルもしくは範囲、または年齢群、性別、既存の併存症などの、但しこれらに限定されない基準の任意の1つまたは組み合わせに起因し得る変動性を考慮に入れる内因性腎毒素、例えばミオグロビンの腎毒性レベルもしくは濃度を指す。血清クレアチンホスホキナーゼまたは任意の他のマーカーのベースライン値またはベースライン範囲は、当業者の知識の範囲内であり得、または当技術分野の一般的な方法に基づいて決定され得る。
本明細書で定義されるように、クレアチニンの血清レベル、すなわち血清濃度および/または血中尿素窒素(BUN)レベル、すなわち血中尿素窒素濃度に関連して使用される用語「ベースライン」は、例えば腎毒性原薬への曝露の開始前に(例えば、腎毒性原薬の投与を含む処置レジメンの前に)対象について決定されたこれらの腎機能マーカーのベースライン値を指し得る。対象が腎毒素への曝露前および低下した腎機能の開始前に測定された血清クレアチニンまたはBUNレベルを有していない状況では、「ベースライン」という用語は、年齢群、性別、既存の併存症などの、但しこれらに限定されない基準に起因し得る変動性を考慮に入れた、腎毒素にまだ曝露されていない個体の臨床的に適用可能なまたは予想される血清クレアチニンおよび/または血中尿素窒素の値または値の範囲を指し得る。これらのベースライン値または値の範囲は、当業者の知識の範囲内であり得、および/または当技術分野の一般的な方法の範囲内で決定され得る。
式1、もしくは式2もしくは式3、もしくは式4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、一態様において、腎毒性原薬への対象の曝露前に対象に投与され得る。本明細書で理解されるように、曝露前の式1、2または3または4の化合物の投与は、腎毒性薬物の第1の用量が投与される前の前記化合物の第1の用量の投与を指す。
さらに、いくつかの態様において、本開示による化合物またはその薬学的に許容され得る塩の用量は、例えば、腎毒性原薬がその定められた処置過程の間に繰り返して、例えば2回以上投与されれば、腎毒性原薬の任意の用量が投与される前に投与され得る。したがって、化合物の用量は、腎毒性原薬の連続用量の間の期間に投与され得る。任意で、腎毒性原薬の連続する用量の間の期間に、本開示による化合物の2つ以上の用量が投与され得る。
一態様において、本開示は、腎毒性原薬(例えば、急性腎障害)によって誘発される腎臓症状または疾患の予防または処置において使用するための式1、2もしくは3、もしくは4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、該化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、対象が腎毒性原薬に繰り返して曝露されるかまたは腎毒性原薬を投与される第2の期間の前に開始し、第2の期間と重複する第1の期間中に対象に繰り返して投与される。本明細書で使用される場合、「繰り返して」とは、少なくとも2回、すなわち2回以上の投与または曝露を指す。期間は、例えば、症状、障害または疾患の予防、安定化、処置または管理における意図された薬理学的効果に関して治療的に適切と臨床的に決定される処置の経過または期間として理解され得る。
一態様において、本明細書中に記載される、例えば、式1もしくは式2もしくは式3もしくは4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、低下した腎機能の開始後に対象に投与され得る。低下した腎機能の開始は、生理学的マーカーの中でも特に、血清クレアチニンおよび/もしくは血中尿素窒素(BUN)の上昇したレベルならびに/または乏尿によって特徴付けられ得る。一態様において、前記低下した腎機能の開始は、ベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血中尿素窒素レベルおよび/またはベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血清クレアチニンレベルおよび/または乏尿によって特徴付けられ得る。一態様において、対象は、ベースラインより少なくとも2倍高い血清クレアチニンおよびBUNレベルを特徴とする低下した腎機能を有する。
低下した腎機能の開始は、1つの特定の態様では、腎毒性原薬への曝露に起因し得る。例えば、対象は、腎毒性原薬での処置の過程中に、腎毒性原薬の蓄積(例えば、血中濃度または特定の腎臓細胞または組織への局在化)、すなわち腎毒性原薬の累積用量への曝露に起因する腎臓の機能障害または機能不全を突然発症し得る。腎毒性原薬での処置の過程中に生じるまたは悪化する疾患または症状に対する併存症も、低下した腎機能の開始に寄与し得、急性腎障害をもたらす。他の態様において、低下した腎機能の開始は、内因性腎毒素への曝露に起因し得る。
本明細書で使用される場合、時間、時間間隔の指示または量の指示が前置または後置されていなければ、用語「用量」または「投与量」それ自体は、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容され得る塩または原薬の単回用量または単位用量を表す。例えば、「1日用量」または「1日投与量」は、1日(24時間)の間に投与される本明細書に記載される化合物、または原薬の総用量量を指す。1日用量は、1用量のみが1日当たり1回投与される場合には、1用量のみを含み得るが、例えば、1日の間に、2つ以上の時間を設定された間隔で2つ以上の単位用量が投与される場合には、1日の間に投与された複数の単位用量の合計に基づく総量でもあり得る。用量間の間隔は、例えば、およそ12時間ごとに投与される2用量、またはおよそ8時間ごとに投与される3用量であり得る。本明細書で使用される場合、化合物の用量は、式1、2、3、4などの化合物またはその薬学的に許容され得る塩の単位用量を指し得るが、化合物またはその薬学的に許容され得る塩の前記単位用量を含む医薬品、または組成物または剤形に対しても適用可能であり得る。
一態様において、本開示による化合物またはその薬学的に許容され得る塩の用量は、腎毒性原薬の用量が対象に投与される前の24時間以内に対象に投与され得る。別の態様において、化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、アミノグリコシド、例えばゲンタマイシンの用量が対象に投与される前の24時間以内に対象に投与され得る。
本明細書で使用される場合、用量量などの属性または値に関連する「約」などの用語は、正確な属性または正確な値に加えて、当技術分野および前記属性または値を測定または決定する方法に関連する通常のまたは受容された変動に含まれると通例考えられる任意の属性または値も含む。本用語は、一般的な実施において、評価されている製品が、特許請求される製品の記載された強度または用量と哺乳動物中で生物学的に同等であると考えられることを許容する任意の変動を許容する。
式1、式2、もしくは式3、もしくは式4の化合物、もしくはその薬学的に許容され得る塩の使用、または本明細書に記載される態様の任意の1つもしくは態様の組み合わせに記載される疾患もしくは症状の予防および/もしくは処置の方法におけるそれらの使用は、前記使用または処置および/もしくは予防の方法に対して適合されたおよび指定された医薬品または医薬の製造または調製も提供し得ることを理解されたい。
本開示による化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、対象に経腸的または非経口的に投与され得る。一態様において、式1、もしくは式2、もしくは式3、もしくは式4の化合物、または前記化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物または医薬品は、投与に対して適合され得るか、または非経口的に、例えば、静脈内注射によって、または皮下注射によって、または筋肉内注射によって、または静脈内もしくは皮下注入によって投与され得る。代替の態様において、化合物、または化合物を含む組成物もしくは医薬品は、投与に対して適合され得るか、または対象に経腸的に、例えば経口的に投与され得る。
本開示は、本明細書で上記された態様の任意の1つまたは組み合わせによる化合物、例えば、式1、式2、式3、式4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬品または薬学的組成物にも関し得る。医薬品または組成物は、治療有効量または単位用量の前記化合物を含み得る。
前記化合物を含む医薬品または薬学的組成物は、上記の投与方法のいずれかによる注射または注入に適したまたは適合された剤形で製剤化され得る。あるいは、経口投与のために、本開示による化合物を含む医薬品または薬学的組成物は、経口投与に適したまたは適合された剤形、例えば、限定されないが、錠剤、カプセル、ジェルキャップまたはフィルムなどで提供され得る。前記医薬品または薬学的組成物は、本明細書に記載される処置もしくは予防の方法または使用のいずれかに従って使用され得る。
以下の付番された項目のリストは、本開示による態様を含む。
1.式1の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
ならびに
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
ならびに
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
2.R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、もしくは一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成することを条件とする項目1に記載の化合物;または、R1およびR2がいずれもHである場合、もしくはR1がメチルであり、R2がHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、もしくは一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成することを条件とする項目1に記載の化合物。
3.R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aである場合、AはNR3R4ではないことを条件とする項目1に記載の化合物;または、R1およびR2がいずれもHである場合、もしくはR1がC1~C6アルキルであり、R2がHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aである場合、AはNR3R4ではないことを条件とする項目1に記載の化合物。
4.R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチルから選択される場合、AはNR3R4ではないことを条件とする項目1に記載の化合物;または、R1およびR2がいずれもHである場合、もしくはR1がC1~C6アルキルであり、R2がHであり、R8がエチルから選択される場合、AはNR3R4ではないことを条件とする項目1に記載の化合物。
5.R1およびR2がいずれも水素である、項目1に記載の化合物。
6.R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキル、例えば、メチルである、項目1に記載の化合物。
7.R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環、または好ましくは、C3~C6シクロアルキル環、例えば、シクロプロピルを形成する、項目1に記載の化合物。
8.R8がエチルである、項目1~7のいずれか1つに記載の化合物。
9.R8が、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択される、項目1~7のいずれか1つに記載の化合物。
10.R8がn-プロピルである、項目1~7のいずれか1つに記載の化合物。
11.R8がイソプロピルである、項目1~7のいずれか1つに記載の化合物。
12.R8が1-ヒドロキシエチルである、項目1~7のいずれか1つに記載の化合物。
13.R9が式1aである、項目1~12のいずれか1つに記載の化合物。
14.R9が式1bである、項目1~13のいずれか1つに記載の化合物。
15.AがNR3R4である、項目1~14のいずれか1つに記載の化合物。
16.R3およびR4がいずれも-CH3である、項目15に記載の化合物。
17.R3およびR4が一緒に結合されてモルホリニル残基を形成する、項目15に記載の化合物。
18.R8が1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルである、項目15~17のいずれか1つに記載の化合物。
19.Aが-N=C(R5)NR6R7である、項目1~14のいずれか1つに記載の化合物。
20.R5、R6およびR7が、H、C1~C6アルキルおよび任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される、項目19に記載の化合物。
21.R5がHまたはCH3であり、R6およびR7がCH3である、項目20に記載の化合物。
22.R8がエチルである、項目19~20に記載の化合物。
23.前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩が式2のものである、項目1に記載の化合物:
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R8は、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R8は、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
24.R1およびR2がいずれも水素である、項目23に記載の化合物。
25.R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキルである、項目23に記載の化合物。
26.R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環、または好ましくは、C3~C6シクロアルキル環、例えば、シクロプロピルを形成する、項目23に記載の化合物。
27.R8がイソプロピルである、項目23~26のいずれか1つに記載の化合物。
28.R8がn-プロピルである、項目23~26のいずれか1つに記載の化合物。
29.R8が1-ヒドロキシエチルである、項目23~26のいずれか1つに記載の化合物。
30.R3およびR4がいずれも-CH3である、項目23~29のいずれか1つに記載の化合物。
31.R3およびR4が一緒に結合されてモルホリニル残基を形成する、項目23~29のいずれか1つに記載の化合物。
32.R9が式1aである、項目23~31のいずれか1つに記載の化合物。
33.R9が式1bである、項目23~31のいずれか1つに記載の化合物。
34.前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩が式3のものである、項目1に記載の化合物:
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成してもよく;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
である。
35.R1およびR2がいずれも水素である、項目34に記載の化合物。
36.R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキル、例えば、メチルである、項目34に記載の化合物。
37.R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環、または好ましくは、C3~C6シクロアルキル環、例えば、シクロプロピルを形成する、項目34に記載の化合物。
38.R8がエチルである、項目34~37のいずれか1つに記載の化合物。
39.R8がイソプロピルである、項目34~37のいずれか1つに記載の化合物。
40.R8がn-プロピルである、項目34~37のいずれか1つに記載の化合物。
41.R8が1-ヒドロキシエチルである、項目34~37のいずれか1つに記載の化合物。
42.R5、R6およびR7が、H、C1~C6アルキルおよび任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される、項目34~41のいずれか1つに記載の化合物。
43.R5がHまたはCH3であり、R6およびR7がCH3である、項目42に記載の化合物。
44.R9が式1aである、項目34~43のいずれか1つに記載の化合物。
45.R9が式1bである、項目34~43のいずれか1つに記載の化合物。
46.上記表1に示される化合物の群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または項目1に記載の化合物であって、前記化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩が表A中の化合物からなる群から選択されるか、
;または前記化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩は、表Aの化合物2、5、6、9、10、11、12および13からなる群から選択される、上記表1に示される化合物の群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または項目1に記載の化合物
;または前記化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩は、表Aの化合物2、5、6、9、10、11、12および13からなる群から選択される、上記表1に示される化合物の群から選択される化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または項目1に記載の化合物
47.疾患または症状、例えば腎臓の疾患または症状の予防および/または処置のための医薬品の製造における、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
48.シクロフィリン媒介性疾患または症状(例えば、シクロフィリンAおよび/またはシクロフィリンD)の予防および/または処置するための;腎臓のシクロフィリン媒介性疾患または症状の予防および/または処置のための医薬品の製造における、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
49.細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状、例えば細胞傷害または細胞死に関連する腎臓の疾患または症状の予防および/または処置のための医薬品の製造における、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
50.前記細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状が臓器不全または臓器傷害である、項目49に記載の使用。
51.前記臓器が、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織からなる群から選択される、項目50に記載の使用。
52.前記疾患または症状が虚血-再灌流傷害である、項目47~51のいずれか1つに記載の使用。
53.前記虚血-再灌流傷害が腎虚血-再灌流傷害である、項目52に記載の使用。
54.前記疾患または症状が急性腎障害である、項目47~51のいずれか1つに記載の使用。
55.前記急性腎障害が腎移植に関連するか、または腎移植の結果である、項目54に記載の使用。
56.前記医薬品が臓器移植レシピエントに投与される、項目47~55のいずれか1つに記載の使用。
57.前記医薬品が経口投与に対して適合されているか、または静脈内注射もしくは注入による投与に対して適合されている、項目47~56のいずれか1つに記載の使用。
58.前記医薬品が、臓器ドナーから臓器レシピエントへの臓器の移植の前、移植の間および/または移植の後に、前記臓器ドナーにおよび/または前記臓器レシピエントに投与される、項目47~57のいずれか1つに記載の使用。
59.臓器傷害から臓器を保全するためのおよび/または臓器を保護するための医薬品の製造における項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用であって、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または前記臓器の移植の前、移植の間もしくは移植の後に臓器レシピエントに前記化合物を投与することを含む、使用。
60.臓器傷害から臓器を保全するためのおよび/または臓器を保護するための項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用であって、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または臓器に前記化合物を投与することを含む、使用。
61.臓器傷害から臓器を保全または保護する方法であって、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または臓器に投与する工程を含む、方法。
62.前記臓器が、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織からなる群から選択される、項目59~61のいずれか1つに記載の使用または方法。
63.前記ドナーが生きたドナーであるか、または前記ドナーが臨床的に死亡したドナーである、項目59~62のいずれか1つに記載の使用または方法。
64.前記化合物が、静脈内注射または注入によって前記ドナーおよび/またはレシピエントに投与される、項目59~64のいずれか1つに記載の使用または方法。
65.腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象における前記腎臓症状または疾患の予防および/または処置のための医薬品の製造における項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用であって、前記腎毒素が腎毒性原薬または内因性腎毒素である使用。
66.前記腎毒性原薬が、抗菌剤、癌化学療法剤、ACE阻害剤およびアンジオテンシン受容体遮断薬を含む血圧薬、マクロラクトン免疫抑制剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、消化性潰瘍薬、非ステロイド系抗炎症薬、プロトンポンプ阻害剤、緩下剤および造影剤からなる群から選択される、項目65に記載の使用。
67.前記腎毒性原薬が、プラチン(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンまたはネダプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン)、ブレオマイシン、マイトマイシン、アクチノマイシン、シクロホスファミド、シタラビン、カペシタビン、ゲムシタビン、イホスファミド、インターロイキン-2、ストレプトゾシン、ゲムツズマブオゾガマイシン、メルファラン、メトトレキサート、ペメトレキセド、プリカマイシンおよびトリメトレキセートからなる群から選択される化学療法剤である、項目66に記載の使用。
68.前記対象が癌処置を受けており、前記癌処置が対象への化学療法剤の投与を含む、項目65~67に記載の使用。
69.前記腎毒性原薬が、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、アプラマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、シソマイシン)、β-ラクタム(例えば、タゾバクタム、またはピペラシリン/タゾバクタム)、ポリペプチド抗生物質(例えば、ポリミキシンA、B、C、D、E(コリスチン)などのポリミキシン、糖ペプチド抗生物質(例えば、バンコマイシン)、外膜タンパク質を標的とする抗生物質(例えば、ムレパバジン)、抗真菌剤(例えば、アムホテリシンB)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される抗菌剤である、項目65~66に記載の使用。
70.前記対象が感染症に罹患しており、前記感染症が前記抗菌剤を前記対象に投与することによって処置される、項目66または69のいずれか1つに記載の使用。
71.前記血圧薬が、任意で、カプトプリル、ベナゼプリル、エナラプリル、フォシノプリルおよびラミプリルからなる群から選択されてもよいACE阻害剤であるか、または任意で、カンデサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、エプロサルタンおよびロサルタンからなる群から選択されてもよいアンジオテンシン受容体遮断薬である、項目66に記載の使用。
72.前記HIVプロテアーゼ阻害剤が、インジナビルおよびリトナビルからなる群から選択される、項目66に記載の使用。
73.前記消化性潰瘍薬が、シメチジン、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾールおよびラベプラゾールからなる群から選択される、項目66に記載の使用。
74.前記非ステロイド系抗炎症薬が、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナクおよびアスピリンからなる群から選択される、項目66に記載の使用。
75.前記緩下剤がリン酸ナトリウムから選択される、項目66に記載の使用。
76.前記腎毒性原薬が造影剤である、任意で、ヨウ素化された造影剤(例えば、イオタラメート、またはイオジキサノール、またはイオヘキソール)であってもよい、項目66に記載の使用。
77.前記内因性腎毒素がミオグロビンであり、任意で、前記対象がベースラインより少なくとも5倍高いクレアチンホスホキナーゼ血清レベルを有してもよい、項目65に記載の使用。
78.前記対象が、身体的外傷または挫滅創、電流への曝露、極端な身体的労作または活動、および極端な温度を経験したか、または患っている、項目77のいずれか1つに記載の使用。
79.横紋筋融解症の発症に関連するまたは発症のリスクがある活動(例えば、極端な身体的活動)への曝露または関与の前に、前記医薬品が前記対象に投与される、項目77または78のいずれか1つに記載の使用。
80.前記腎毒性原薬が前記対象に繰り返し投与される、任意で、前記腎毒性原薬が、少なくとも2回、任意で、少なくとも3日または7日の期間にわたって少なくとも1日1回投与されてもよい、項目65~76のいずれか1つに記載の使用。
81.前記腎臓症状または疾患が腎毒素誘発性急性腎障害または腎不全である、項目65~80のいずれか1つに記載の使用。
82.前記腎臓症状または疾患が、横紋筋融解症、溶血、ミオグロビン尿症から選択され、または任意で腫瘍融解もしくは骨髄腫誘発性急性腎障害から選択されてもよい、項目65~80のいずれか1つに記載の使用。
83.前記対象が、腎毒素に曝露された場合に腎臓症状または疾患を発症する対象のリスクを増加させる既存の症状または疾患を有し、任意で、前記既存の腎症状が慢性腎疾患であってもよく、さらに任意で、前記対象が腎機能障害の病歴を有するか、または透析を必要としてもよい、項目65~83のいずれか1つに記載の使用。
84.前記対象が低下した腎機能を有し、任意で、前記対象がベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血中尿素窒素レベル、および/またはベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血清クレアチニンレベル、および/または乏尿を有する、項目83に記載の使用。
85.前記医薬品が、前記腎毒性原薬への前記対象の曝露前に前記対象に投与され、任意で、前記医薬の用量が、前記腎毒性原薬の用量が前記対象に投与される前の24時間以内に前記対象に投与され、さらに任意で、前記医薬の用量が、前記腎毒性原薬が前記対象に投与される前の約6時間以内、任意で約2時間以内に前記対象に投与される、項目65~84のいずれか1つに記載の使用。
86.前記医薬品が、ベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血中尿素窒素レベル、ベースラインより少なくとも1.5~3倍高い血清クレアチニンレベルおよび乏尿の任意の1つまたは組み合わせによって特徴付けられる低下した腎機能の発症後に前記対象に投与される、項目65~85のいずれか1つに記載の使用。
87.前記医薬品の用量が低下した腎機能の発症の1~24時間後に前記対象に投与される、項目65~86に記載の使用。
88.対象が前記腎毒性原薬に繰り返し曝露される第2の期間の前に開始し、前記第2の期間と重複する第1の期間の間、前記医薬品が前記対象に繰り返し投与される、項目65~87のいずれか1つに記載の使用。
89.前記レシピエント、ドナーおよび/または対象がヒトである、項目1~88のいずれか1つに記載の使用。
90.前記医薬品が、注入によるまたは注射による、好ましくは皮下、筋肉内もしくは静脈内注射、もしくは静脈内もしくは皮下注入による投与に対して適合されているもしくは製剤化されている、または経口投与に対して適合されているもしくは製剤化されている、項目1~89のいずれか1つに記載の使用。
91.医薬として使用するための、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
92.疾患または症状、例えば腎臓またはその臓器もしくは組織の予防および/または処置において使用するための、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
93.シクロフィリン阻害剤(例えば、シクロフィリンAおよび/またはシクロフィリンD阻害剤)として使用するための、好ましくは、シクロフィリン媒介性疾患または症状、例えば、腎臓のシクロフィリン(例えば、シクロフィリンAおよび/またはD)媒介性疾患または症状の予防または処置において使用するための、項目91に記載の化合物。
94.前記使用が項目50~58に記載の特徴の任意の1つまたは組み合わせを含む、項目91~93に記載の使用のための化合物。
95.臓器傷害からの臓器の保全および/または臓器の保護において使用するための項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であって、前記使用が、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または前記臓器の移植の前、移植の間もしくは移植の後に臓器レシピエントに前記化合物を投与することを含む、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
96.前記使用が、62~64に記載の特徴の任意の1つまたは組み合わせを含む、項目95に記載の使用のための化合物。
97.腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象における前記腎臓症状または疾患の予防および/または処置において使用するための項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩であって、前記腎毒素が腎毒性原薬または内因性腎毒素である、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
98.項目66~90において定義された特徴の任意の1つまたは任意の組み合わせをさらに含む、項目97に記載の使用のための化合物。
99.化合物または医薬がヒト対象、ドナーまたはレシピエントに投与される、項目91~98のいずれか1つに記載の使用のための化合物。
100.項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、これを投与することを必要とする対象に投与することを含み、好ましくは、前記対象がヒト対象である、疾患または症状を予防および/または処置するための方法。
101.前記疾患または症状が腎臓の疾患または症状である、項目100に記載の方法。
102.シクロフィリンを阻害する方法、またはシクロフィリンの阻害によってシクロフィリン媒介性疾患もしくは症状を予防および/もしくは処置するための方法であって、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、これを必要とする(ヒト)対象に投与することを含み、任意で、前記シクロフィリンがシクロフィリンAまたはシクロフィリンDであり、さらに任意で、前記シクロフィリン媒介性疾患または症状が腎臓疾患または症状である、方法。
103.前記方法が、50~58において定義された特徴の任意の1つまたは組み合わせを含む、項目100~101に記載の方法。
104.臓器傷害から臓器を保全するおよび/または臓器を保護するための方法であって、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、前記臓器を臓器ドナーから取り出す前に前記ドナーに、および/または前記臓器の移植前、移植中または移植後に、臓器レシピエントに投与することを含む、方法。
105.前記方法が、項目62~64において定義された特徴の任意の1つまたは組み合わせを含む、項目104に記載の方法。
106.腎臓症状または疾患を誘導することができる腎毒素に曝露された対象における前記腎臓症状または疾患を予防および/または処置するための方法であって、前記腎毒素が腎毒性原薬または内因性腎毒素であり、前記方法が、項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記対象に投与することを含む、方法。
107.前記方法が、項目60~90において定義された特徴の任意の1つまたは組み合わせを含む、項目106に記載の方法。
108.項目1~46のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む薬学的組成物。
109.式4の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
式中、XおよびZは、独立して選択される置換基、例えば、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)および置換されたアルキル(例えば、置換されたC1~C6アルキル)から選択される置換基であり、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2、R8およびR9は、項目1~22に記載されている特徴の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである。
式中、XおよびZは、独立して選択される置換基、例えば、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えば、メチル)および置換されたアルキル(例えば、置換されたC1~C6アルキル)から選択される置換基であり、またはXおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;式中、A、R1、R2、R8およびR9は、項目1~22に記載されている特徴の任意の1つまたは組み合わせにおいて定義されるとおりである。
110.XおよびZがいずれもHであるか、またはXおよびZがいずれもアルキル、例えばメチルである、または、XもしくはZの一方がアルキル、例えばC1~C6アルキル(例えば、メチル)である、項目109に記載の化合物。
111.AがNR3R4であり、例えば、R3およびR4がいずれもアルキル、例えばC1~C6アルキル、例えばメチルである、項目109または110に記載の化合物。
112.項目47~90において定義される特徴の任意の1つまたは組み合わせによる医薬品を製造するための項目109~111のいずれか1つに記載の化合物の使用。
113.項目1~46または109~111において定義される式1、2、3または4の化合物の任意の1つを調製するための方法であって、シクロスポリン中間体(例えば、シクロスポリンA、C、D、Gなどの中間体)、例えばチオピリジル中間体を、アミノアルコール化合物、および任意で銅トリフラートと反応させる工程を含む、方法。
114.前記アミノアルコールが、式5の化合物:
式中、XおよびZは、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えばメチル)、置換されたアルキル(例えば、置換されたC1~C6アルキル)から独立して選択され;または式中、XおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;または、XおよびZは項目110~111に記載されているとおりであり;A、R1およびR2は、項目1~22に記載されている特徴の任意の1つまたはその組み合わせに従って定義されているとおりである、項目113の方法。
式中、XおよびZは、H、アルキル(例えば、C1~C6アルキル、例えばメチル)、置換されたアルキル(例えば、置換されたC1~C6アルキル)から独立して選択され;または式中、XおよびZは一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;または、XおよびZは項目110~111に記載されているとおりであり;A、R1およびR2は、項目1~22に記載されている特徴の任意の1つまたはその組み合わせに従って定義されているとおりである、項目113の方法。
以下の実施例は、本発明を例示する役割を果たすが、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
実施例1-化合物の調製
本明細書に記載されている化合物は、以下に示す一般的な合成経路に従って得ることができ、シクロスポリン化合物(例えば、シクロスポリンA、C、D、Gなど)をジピリジルジスルフィドと反応させてチオピリジル中間体([(2’-(2-チオピリジル)-Sar]3-シクロスポリンAまたはC、またはD、またはGなど)、例えば以下に示す式Iの化合物を形成させる第1の工程、その後、銅トリフラートの存在下でこの中間体をアミノアルコール化合物と反応させることを含む第2の工程を含む。使用されるアミノアルコール化合物の例には、モルホリノエタノールまたはジメチルアミノエタノールなどのアミノエタノール化合物が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されている化合物は、以下に示す一般的な合成経路に従って得ることができ、シクロスポリン化合物(例えば、シクロスポリンA、C、D、Gなど)をジピリジルジスルフィドと反応させてチオピリジル中間体([(2’-(2-チオピリジル)-Sar]3-シクロスポリンAまたはC、またはD、またはGなど)、例えば以下に示す式Iの化合物を形成させる第1の工程、その後、銅トリフラートの存在下でこの中間体をアミノアルコール化合物と反応させることを含む第2の工程を含む。使用されるアミノアルコール化合物の例には、モルホリノエタノールまたはジメチルアミノエタノールなどのアミノエタノール化合物が含まれるが、これらに限定されない。
当業者は、例えば、アミノアルコール上のN-アミノ置換基を変更してさらなる類似体(N-アミノ置換基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。)を与えることもできる第2の工程において、異なるアミノアルコール試薬を使用して異なる類似体が調製され得ることを理解するであろう。
化合物2(表1、上記表A参照)の調製について記載される以下の手順は、シクロスポリンの3位に類似の置換を有する化合物を調製するための一般的な手順として適用され得る。
化合物2の調製
工程I:1.5mLのTHF中のシクロスポリンC(100mg、0.082mmol)の溶液を三つ口フラスコ中に添加した。次いで、106mgのLiClを添加した。混合物をN2下で0℃に冷却した。混合物にLDA溶液(THF中2M溶液、1.6mmol)を滴加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。0.5mLのTHF中のジピリジルジスルフィド(55mg、0.25mmol)の溶液を混合物に滴加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、1mLのMeOHを混合物に添加した。次いで、混合物を-5℃でさらに16時間撹拌した。
工程I:1.5mLのTHF中のシクロスポリンC(100mg、0.082mmol)の溶液を三つ口フラスコ中に添加した。次いで、106mgのLiClを添加した。混合物をN2下で0℃に冷却した。混合物にLDA溶液(THF中2M溶液、1.6mmol)を滴加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。0.5mLのTHF中のジピリジルジスルフィド(55mg、0.25mmol)の溶液を混合物に滴加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、1mLのMeOHを混合物に添加した。次いで、混合物を-5℃でさらに16時間撹拌した。
5mLのNaH2PO4飽和溶液で混合物をクエンチし、次いで、それぞれ5mLのMBTEで3回抽出した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して200mgの粗生成物を得た。チオピリジル中間体はカラムクロマトグラフィーを用いた精製により得た。
工程II:Cu(OTf)2(40.0mg、0.11mmol)および4A分子篩(40mg)を、1.0mLのTHFを含有する反応フラスコ中に添加した。混合物をN2下、40℃で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去した後、0.5mLのTHF中の中間体Ia(20.0mg、0.015mmol)の溶液を残渣に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。ジメチルアミノエタノール(12.6mg,0.14)を混合物に滴加した後、TMSCl(20.0mg、0.18mmol)を滴加した。得られた混合物を30℃で16時間撹拌した。次いで、混合物を5mLの水でクエンチし、iPrOAcで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィーにかけて、所望の生成物である化合物2を得た(1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.18、サルコシン残基;HRMSエレクトロスプレー(M+1)1306.10;1307.10);同位体分布による質量:1304.90(100%);1305.91(71.4%))。
化合物3、4、7および8の調製
シクロスポリンDおよびシクロスポリンGをベースとするシクロスポリン誘導体は、化合物2の調製について記載したのと同様の方法を用いて調製され得る;第1の工程においてチオピリジル中間体を得た後、第2の工程でそれぞれのエタノール誘導体(例えば、モルホリノエタノールまたはジメチルアミノエタノール)と反応させて、クロマトグラフィー精製後に、化合物3((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.96、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1304.15;1305.10;同位体分布による質量1302.93(100%)1303.93(72.5%))、化合物4((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.01、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1346.25;1347.45;同位体分布による質量1344.94(100%)、1345.94(74.6%))、化合物7((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.76、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1304.10;1305.15;同位体分布による質量1302.93(100%)、1303.93(72.5%))および化合物8((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.80、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1346.25;1346.75;同位体分布による質量1344.94(100%)、1345.94(74.6%))を得る。
シクロスポリンDおよびシクロスポリンGをベースとするシクロスポリン誘導体は、化合物2の調製について記載したのと同様の方法を用いて調製され得る;第1の工程においてチオピリジル中間体を得た後、第2の工程でそれぞれのエタノール誘導体(例えば、モルホリノエタノールまたはジメチルアミノエタノール)と反応させて、クロマトグラフィー精製後に、化合物3((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.96、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1304.15;1305.10;同位体分布による質量1302.93(100%)1303.93(72.5%))、化合物4((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.01、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1346.25;1347.45;同位体分布による質量1344.94(100%)、1345.94(74.6%))、化合物7((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.76、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1304.10;1305.15;同位体分布による質量1302.93(100%)、1303.93(72.5%))および化合物8((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.80、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1346.25;1346.75;同位体分布による質量1344.94(100%)、1345.94(74.6%))を得る。
化合物5および化合物6の調製
2.4mLのDMSO中の化合物3(6.0mg、0.0046mmol)の溶液を10mLの反応容器中に添加した後、2-ヨードオキシ安息香酸(デス-マーチン試薬、120.0mg、0.43mmol)を溶液に添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、混合物を12mLの水でクエンチし、iPrOAcで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィーによって精製すると、所望の生成物である3.0mgの化合物5が得られた((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.98、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1302.30;1303.60;同位体分布による質量1300.91(100%)、1301.91(72.5%))。
2.4mLのDMSO中の化合物3(6.0mg、0.0046mmol)の溶液を10mLの反応容器中に添加した後、2-ヨードオキシ安息香酸(デス-マーチン試薬、120.0mg、0.43mmol)を溶液に添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、混合物を12mLの水でクエンチし、iPrOAcで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮した。粗生成物をクロマトグラフィーによって精製すると、所望の生成物である3.0mgの化合物5が得られた((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.98、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1302.30;1303.60;同位体分布による質量1300.91(100%)、1301.91(72.5%))。
同様に、デス・マーチン試薬と同様の反応条件下で化合物4を酸化して、化合物6((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.01、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1344.30;1345.00;同位体分布による質量1342.92(100%)、1343.92(74.6%))を得ることができる。
化合物9および化合物10の調製
国際公開第2019/016572号に記載される方法に従って調製され得る中間体II(2’-(2-アミノエトキシ)-Sar]3-シクロスポリンA)から化合物9および10を調製した。
国際公開第2019/016572号に記載される方法に従って調製され得る中間体II(2’-(2-アミノエトキシ)-Sar]3-シクロスポリンA)から化合物9および10を調製した。
化合物II(10.0mg、0.0079mmol)をN2下で、5mLのMeOH中に溶解した。ジメチルアセトアミド、ジメチルアセタール(E1 3.2mg、0.024mmol)を溶液に添加した。混合物を70℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮乾固し、所望の化合物9をクロマトグラフィーによって得た。((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.90、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1331.15;1332.30;同位体分布による質量1329.94(100%);1330.94(73.5%))。
化合物IIのジメチルホルムアミドジメチルアセタール(E2)との反応によって、化合物10を同様に調製した。化合物10((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.91、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1317.15;1318.05;同位体分布による質量1315.92(100%)、1316.92(72.5%))。
Cu(OTf)2触媒(5.0g、16.39mmol)を15mLのTHF中に入れ、0℃に冷却した。35mLのTHF中のIII(5.0g、3.81mmol)およびG25(1.9g、16.39mmol)の溶液をフラスコに加えた。TMSCl(1.0g、9.15mmol)を最後に混合物に滴加した。次いで、混合物を20~25℃で撹拌した。16時間後、反応混合物を150mLの水に注ぎ入れた。K2CO3水溶液を添加してpHを10に調整した。i-PrOAc(50ml)を混合物に添加し、不溶性物を濾別した。濾液をi-PrOAc(50mL×2)で抽出した。有機相をリンゴ酸水溶液で2回洗浄した。水相を合わせ、pH値を8に調整し、i-PrOAcで再度抽出した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、1.4gの化合物11を得た。生成物をクロマトグラフィーによってさらに精製した。化合物11((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.90、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1317.80;1318.70;同位体分布による質量1316.94(100%)、1317.94(73.5%))。
IIIのH25との反応によって類似の条件下で化合物12を調製した。化合物12((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.82、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1315.70;1316.60;同位体分布による質量:1314.93(100%)、1315.93(73.5%))。
化合物13の調製
工程1:N2下、0℃で50mLのTHF中のIII(5g)およびH25-1(3.1g)の撹拌溶液に、まずCu(OTf)2(5g)、続いてTMSCl(99mg)を添加した。得られた混合物をN2下、室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水50mL中に注ぎ、次いで、50mLのi-PrOAcを添加した。K2CO3水溶液の添加によって水相をpH8.0に調整した。水相を分離し、i-PrOAcの別の一部によって抽出した。合わせた有機相をリンゴ酸水溶液(50mLの水中の2.1gのリンゴ酸)で2回洗浄した。相の分離後、K2CO3水溶液を添加して水相のpHを8.0のpHに調整した。次いで、2回、50mLのi-PrOAcによって水溶液を抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して4.7gの未精製のIVを得、これを次の工程で直接使用した。
工程1:N2下、0℃で50mLのTHF中のIII(5g)およびH25-1(3.1g)の撹拌溶液に、まずCu(OTf)2(5g)、続いてTMSCl(99mg)を添加した。得られた混合物をN2下、室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水50mL中に注ぎ、次いで、50mLのi-PrOAcを添加した。K2CO3水溶液の添加によって水相をpH8.0に調整した。水相を分離し、i-PrOAcの別の一部によって抽出した。合わせた有機相をリンゴ酸水溶液(50mLの水中の2.1gのリンゴ酸)で2回洗浄した。相の分離後、K2CO3水溶液を添加して水相のpHを8.0のpHに調整した。次いで、2回、50mLのi-PrOAcによって水溶液を抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して4.7gの未精製のIVを得、これを次の工程で直接使用した。
工程2:工程1から得られた化合物IV(4.7g)を25mLのDCM中に溶解した。TFA(25mL)をN2下、0℃で添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物を真空下で濃縮した。50mLのEtOAc中に残渣を溶解し、50mLの飽和NaHCO3で2回洗浄した。有機相を乾燥させ、濃縮して、3.9gの未精製中間体Vを得た。粗生成物をクロマトグラフィーにより精製して、1.7gの化合物V1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.02、サルコシン残基;HRMS(エレクトロスプレーM+1)の実測値:1287.8/1289.0;同位体分布による計算された質量:1286.89(100%)、1287.9(71.4%))を得た。
工程3:V(200mg)およびE1(103mg)を2mLのMeOHに溶解し、この撹拌溶液にMgSO4(2g)を添加した。得られた混合物を室温で撹拌した。16時間後、混合物を10mLのDCMで希釈し、濾過した。濾液を真空中で濃縮して、180mgの粗生成物を得、これをクロマトグラフィーによりさらに精製して、化合物13((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):5.91、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1356.8;1357.7;同位体分布による質量:1355.95(100%)、1356.96(75.7%))を得た。
化合物14および15の調製
化合物14:20mLのTHF中のIII(1g)およびR1(338.2mg)の撹拌溶液に、まずフラスコにCu(OTf)2(1g)をN2下、0℃で添加した後、TMSCl(198mg)を添加した。次いで、混合物をN2下、室温で16時間撹拌した。得られた混合物を20mLの水に注ぎ、次いで、20mLのi-PrOAcを添加した。K2CO3水溶液の添加によって水相をpH8.0に調整した。水相を分離し、i-PrOAcの別の一部によって抽出した。合わせた有機相をリンゴ酸水溶液(20mLの水中840mgのリンゴ酸)で2回洗浄した。相の分離後、K2CO3水溶液を添加して水相をpH8.0に調整した。次いで、水溶液を20mLのi-PrOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、340mgの所望の化合物14を得た。化合物14:((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.08、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1303.7;1304.6;同位体分布による質量:1302.93(100%)、1303.93(72.5%))。
化合物14:20mLのTHF中のIII(1g)およびR1(338.2mg)の撹拌溶液に、まずフラスコにCu(OTf)2(1g)をN2下、0℃で添加した後、TMSCl(198mg)を添加した。次いで、混合物をN2下、室温で16時間撹拌した。得られた混合物を20mLの水に注ぎ、次いで、20mLのi-PrOAcを添加した。K2CO3水溶液の添加によって水相をpH8.0に調整した。水相を分離し、i-PrOAcの別の一部によって抽出した。合わせた有機相をリンゴ酸水溶液(20mLの水中840mgのリンゴ酸)で2回洗浄した。相の分離後、K2CO3水溶液を添加して水相をpH8.0に調整した。次いで、水溶液を20mLのi-PrOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮して、340mgの所望の化合物14を得た。化合物14:((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.08、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1303.7;1304.6;同位体分布による質量:1302.93(100%)、1303.93(72.5%))。
化合物15は、化合物14について上に記載される一般的な方法に従って化合物IIIおよびR2から同様に調製され、クロマトグラフィーによるさらなる精製後に得られた。化合物15((1H-NMR(400MHz CDCl3,δ(ppm)):6.31、サルコシン残基);HRMSエレクトロスプレー(M+1)1303.4、1304.6;同位体分布による質量:1302.93(100%);1303.93(72.5%))。
実施例2-機能および阻害アッセイ
ヒト組換え酵素を使用したシクロフィリンAおよびDペプチジル-プロリルイソメラーゼ機能アッセイ(PPIaseアッセイ)、ならびにシクロフィリンAありおよびなしのカルシニューリン阻害アッセイにおいて、実施例1で調製した化合物を試験した。これらの化合物は、透過処理されたHepG2におけるカルシウム保持能(CRC)アッセイにおいても試験された。すべてのアッセイにおいてシクロスポリンAを対照として使用した。
ヒト組換え酵素を使用したシクロフィリンAおよびDペプチジル-プロリルイソメラーゼ機能アッセイ(PPIaseアッセイ)、ならびにシクロフィリンAありおよびなしのカルシニューリン阻害アッセイにおいて、実施例1で調製した化合物を試験した。これらの化合物は、透過処理されたHepG2におけるカルシウム保持能(CRC)アッセイにおいても試験された。すべてのアッセイにおいてシクロスポリンAを対照として使用した。
化合物は乾燥粉末または油として供給され、100%DMSO中の10mMストック溶液として作られた。その後の希釈は、すべてのアッセイでの使用について100%DMSO中で行った。
シクロフィリンペプチジル-プロリルイソメラーゼ機能アッセイ
Agilent 8453分光光度計を使用して測定を行った。アッセイ緩衝液を精密ガラスキュベット中で(撹拌しながら)10℃に冷却し、DMSOストック溶液から阻害剤を添加して、1%未満のDMSOの最終濃度を得た。ブランクスペクトルを得、次いで、酵素および基質を添加し、5分間にわたって吸光度の変化を測定した。一次速度を吸光度データに適合させて、速度定数を得た(混合のために、最初の10秒~15秒は除外された)。酵素速度からバックグラウンド速度を差し引いて触媒速度を計算した。各阻害剤濃度において2つ組で決定された酵素速度定数を阻害剤濃度に対してプロットし、SigmaPlotによる非線形フィットによりKiを得た。
Agilent 8453分光光度計を使用して測定を行った。アッセイ緩衝液を精密ガラスキュベット中で(撹拌しながら)10℃に冷却し、DMSOストック溶液から阻害剤を添加して、1%未満のDMSOの最終濃度を得た。ブランクスペクトルを得、次いで、酵素および基質を添加し、5分間にわたって吸光度の変化を測定した。一次速度を吸光度データに適合させて、速度定数を得た(混合のために、最初の10秒~15秒は除外された)。酵素速度からバックグラウンド速度を差し引いて触媒速度を計算した。各阻害剤濃度において2つ組で決定された酵素速度定数を阻害剤濃度に対してプロットし、SigmaPlotによる非線形フィットによりKiを得た。
シクロフィリンAありおよびなしのカルシニューリンホスファターゼ阻害アッセイ
この比色96ウェルアッセイは、組換えカルシニューリン(CaN)の阻害剤スクリーニング用に設計されている。カルシニューリンについて知られている最も効率的かつ選択的なペプチドであるRIIホスホペプチド基質を使用して活性を決定し、放出された遊離リン酸の検出は古典的なマラカイトグリーンアッセイに基づく。CypAおよびCsAは、RIIペプチドの脱リン酸化を阻害するCaN/カルモジュリンを結合する複合体を形成する。組換えCypAの存在下で、シクロスポリン様シクロフィリン阻害剤をアッセイにおいてスクリーニングして、カルシニューリンホスファターゼ活性の阻害を決定した。96ウェルプレートにおいて、一方がシクロフィリンA酵素を含み(7点)、もう一方はシクロフィリンA酵素を含まない(4点)2つの希釈系列を調製した。アッセイ緩衝液/カルシニューリン/カルモジュリンマスターミックスを添加した後、ホスホペプチド基質(RII)を添加した。30℃でのインキュベーション後、マラカイトグリーン/モリブダート試薬の添加によって反応を停止させた。遊離したホスファートとともに形成された着色した複合体を、620nmでの吸光度を読み取ることによって定量した。ブランクを補正したデータを阻害剤濃度に対してプロットして、IC50値を決定した。
この比色96ウェルアッセイは、組換えカルシニューリン(CaN)の阻害剤スクリーニング用に設計されている。カルシニューリンについて知られている最も効率的かつ選択的なペプチドであるRIIホスホペプチド基質を使用して活性を決定し、放出された遊離リン酸の検出は古典的なマラカイトグリーンアッセイに基づく。CypAおよびCsAは、RIIペプチドの脱リン酸化を阻害するCaN/カルモジュリンを結合する複合体を形成する。組換えCypAの存在下で、シクロスポリン様シクロフィリン阻害剤をアッセイにおいてスクリーニングして、カルシニューリンホスファターゼ活性の阻害を決定した。96ウェルプレートにおいて、一方がシクロフィリンA酵素を含み(7点)、もう一方はシクロフィリンA酵素を含まない(4点)2つの希釈系列を調製した。アッセイ緩衝液/カルシニューリン/カルモジュリンマスターミックスを添加した後、ホスホペプチド基質(RII)を添加した。30℃でのインキュベーション後、マラカイトグリーン/モリブダート試薬の添加によって反応を停止させた。遊離したホスファートとともに形成された着色した複合体を、620nmでの吸光度を読み取ることによって定量した。ブランクを補正したデータを阻害剤濃度に対してプロットして、IC50値を決定した。
透過処理されたHepG2におけるカルシウム保持能(CRC)アッセイ
1mM EGTAを含有する氷冷緩衝液中で10分間、100μMジギトニンでHepG2細胞を透過処理した。ジギトニンを除去するための2回の洗浄工程の後、0.5μMのカルシウムグリーン5Nを含有する180μLのアッセイ緩衝液中、ウェルあたり1e6細胞で、96ウェル黒および透明プレート中に細胞を蒔いた。最終濃度の1000倍になるように化合物の希釈液をDMSO中に作製し、アッセイ緩衝液中で1:100に希釈し、ウェルあたり20μLとしてアッセイに添加した。アッセイ緩衝液は、5mMグルタマートおよび2.5mMマラートを含有した。3秒ごとにプレートを読み取りながら5μLの200μM(5μM)塩化カルシウムを5分ごとに添加したFLIPR Tetra(商標)上で、細胞プレートを直ちに走行させた。化合物の各濃度における曲線下面積を計算した。EC50値を計算した。緩衝が失われる前のカルシウム添加の数ではなく曲線下面積(ALIC)の使用が、データを分析するより正確な方法であると決定された。
1mM EGTAを含有する氷冷緩衝液中で10分間、100μMジギトニンでHepG2細胞を透過処理した。ジギトニンを除去するための2回の洗浄工程の後、0.5μMのカルシウムグリーン5Nを含有する180μLのアッセイ緩衝液中、ウェルあたり1e6細胞で、96ウェル黒および透明プレート中に細胞を蒔いた。最終濃度の1000倍になるように化合物の希釈液をDMSO中に作製し、アッセイ緩衝液中で1:100に希釈し、ウェルあたり20μLとしてアッセイに添加した。アッセイ緩衝液は、5mMグルタマートおよび2.5mMマラートを含有した。3秒ごとにプレートを読み取りながら5μLの200μM(5μM)塩化カルシウムを5分ごとに添加したFLIPR Tetra(商標)上で、細胞プレートを直ちに走行させた。化合物の各濃度における曲線下面積を計算した。EC50値を計算した。緩衝が失われる前のカルシウム添加の数ではなく曲線下面積(ALIC)の使用が、データを分析するより正確な方法であると決定された。
試験された化合物は、シクロスポリンA対照と比較して予想外に高レベルの、また基準化合物1に匹敵するレベルでのヒトシクロフィリン阻害、特にヒトシクロフィリンDの阻害を有することが観察された(表2参照)。シクロフィリンAの存在下での試験された化合物のカルシニューリン阻害活性は、シクロスポリンA対照、いくつかの事例では基準化合物1と比較してより低いことがさらに観察された(表3参照)。
シクロフィリンAへの結合およびカルシニューリンの阻害は、免疫抑制と密接に関連している。理論に拘束されることを望むものではないが、炎症過程によって引き起こされる細胞傷害または細胞死、例えば細胞壊死および関連する疾患または症状の予防または処置は、強力な抗炎症活性を有するが、シクロフィリンAおよびカルシニューリンへの結合に対する減少した親和性によって特徴付けられるなど、より低い免疫抑制活性を有する化合物によってより良好に達成され得ると考えられる。
特に、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(PTP)の開口を調節する特にシクロフィリンDのより高いレベルの阻害は、細胞傷害または細胞死の改善された予防および/または処置に、したがってミトコンドリア機能不全に関連する症状または疾患の予防または処置につながり得ると考えられる。
カルシウム保持能(CRC)アッセイは、ミトコンドリア膜透過性遷移孔の開口の阻害に基づいた、ミトコンドリア機能のモデルである。長時間にわたるCa++過負荷は、延長されたPTP開口およびミトコンドリア機能障害を誘発し、細胞死を引き起こすと理解されている。上記のアッセイは、アッセイで使用されるカルシウム結合色素の蛍光報告の増加された強度によって決定されるカルシウムの放出に基づいて阻害の喪失を測定する。試験した化合物のいくつかは、シクロスポリンA対照と比較して有意に増加したカルシウム保持能を有し、基準化合物1と同等であるか、またはいくつかの事例では、基準化合物1より改善された能力を有することが実証されることが観察された。
Claims (50)
- 式4に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
XおよびZは、独立して、H、アルキルおよび置換されたアルキルから選択されるか、またはXおよびZは一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
ならびに
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
であり、
但し、R1およびR2がいずれもHであるか、またはR1がメチルであり、R2がHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、または一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成する。 - 前記化合物またはその薬学的に許容され得る塩が式1の化合物である、式4に記載の化合物、
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
ならびに
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
であり、
但し、R1およびR2がいずれもHであるか、またはR1がメチルであり、R2がHであり、R8がエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4である場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルではないか、または一緒に結合されてアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはフタロイル残基を形成する。 - R1およびR2がいずれも水素である、請求項1または2に記載の化合物。
- R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキルである、請求項1または2に記載の化合物。
- R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項1または2に記載の化合物。
- R8がエチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
- R8が、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルおよびn-プロピルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
- R8がn-プロピルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
- R8がイソプロピルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
- R8が1-ヒドロキシエチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
- R9が式1aである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
- R9が式1bである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
- AがNR3R4である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
- R3およびR4がいずれも-CH3である、請求項13に記載の化合物。
- R3およびR4が一緒に結合されてモルホリニル残基を形成する、請求項13に記載の化合物。
- R8が1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルである、請求項13~15のいずれか1項に記載の化合物。
- Aが-N=C(R5)NR6R7である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
- R5、R6およびR7が、H、C1~C6アルキルまたは任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される、請求項17に記載の化合物。
- R5がHまたはCH3であり、R6およびR7がCH3である、請求項18に記載の化合物。
- R8がエチルである、請求項17~19に記載の化合物。
- XがC1~C6アルキル(例えば、メチル)であり、ZがHである、請求項1または請求項3~20に記載の化合物。
- R1およびR2がいずれも水素である、請求項22に記載の化合物。
- R1またはR2の少なくとも1つが、C1~C6アルキルである、請求項22に記載の化合物。
- R1およびR2が一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、請求項22に記載の化合物。
- R8がエチルである、請求項22~25のいずれか一項に記載の化合物。
- R8がイソプロピルである、請求項22~25のいずれか一項に記載の化合物。
- R8がn-プロピルである、請求項22~25のいずれか一項に記載の化合物。
- R8が1-ヒドロキシエチルである、請求項22~25のいずれか一項に記載の化合物。
- R5、R6およびR7が、H、C1~C6アルキルおよび任意で、置換されたC1~C6アルキルから独立して選択される、請求項22~29のいずれか一項に記載の化合物。
- R5がHまたはCH3であり、R6およびR7がCH3である、請求項30に記載の化合物。
- 疾患または症状、例えば腎臓の疾患または症状の予防および/または処置のための医薬品の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
- シクロフィリン媒介性疾患または症状、例えば、シクロフィリンAおよび/またはD;例えば、腎臓のシクロフィリン媒介性疾患または症状の予防および/または処置のための医薬品の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
- 細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状、例えば、臓器中の細胞傷害または細胞死の予防および/または処置のための医薬品の製造における、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
- 前記細胞傷害または細胞死に関連する疾患または症状が臓器傷害または臓器不全である、請求項35に記載の使用。
- 前記臓器が、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織からなる群から選択される、請求項35~36に記載の使用。
- 前記疾患または症状が虚血-再灌流傷害である、請求項33~37のいずれか一項に記載の使用。
- 前記虚血-再灌流傷害が腎虚血-再灌流傷害である、請求項38に記載の使用。
- 前記疾患または症状が急性腎障害である、請求項33~39のいずれか一項に記載の使用。
- 臓器不全;任意で、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳もしくは神経組織の不全の予防もしくは処置のための;または腎虚血-再灌流傷害もしくは急性腎障害の予防もしくは処置のための医薬品の製造における、式1の化合物またはその薬学的に許容され得る塩
式中:
R1およびR2は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR1およびR2は一緒に結合されて、C3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成し得;
Aは、
- NR3R4、式中、R3およびR4は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択されるか、またはR3およびR4は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
ならびに
- N=C(R5)NR6R7、式中、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1~C6アルキルから選択され、任意で、R6およびR7は、一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成してもよい;
から選択され;
R8は、エチル、1-ヒドロキシエチル、イソプロピルまたはn-プロピルであり;
R9は、式1aまたは1b
であり、
但し、R1およびR2がいずれもHであり、R8がエチルから選択され、R9が式1aであり、AがNR3R4から選択される場合、R3およびR4はH、C1~C4アルキルから選択されないか、または一緒に結合されてC3~C6シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキル環を形成する;
または前記化合物は、表1の化合物2~15から選択される。 - 前記急性腎障害が腎移植に関連するか、または腎移植の結果である、請求項40または41に記載の使用。
- 前記医薬品が臓器移植レシピエントまたはドナーに投与され、任意で、前記医薬品が、臓器ドナーから臓器レシピエントへの臓器の移植の前、移植の間および/または移植の後に、前記臓器ドナーにおよび/または前記臓器レシピエントに投与されてもよい、請求項33~42のいずれか一項に記載の使用。
- 前記医薬品が経口投与に対して適合されているか、または静脈内注射もしくは注入による投与に対して適合されている、請求項33~43のいずれか一項に記載の使用。
- 臓器傷害から臓器を保全するためのおよび/または臓器を保護するための医薬品の製造における請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項41に記載の化合物の使用であって、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または前記臓器の移植の前、移植の間もしくは移植の後に臓器レシピエントに前記化合物を投与することを含む、使用。
- 臓器傷害から臓器を保全するためのおよび/または臓器を保護するための請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項41に記載の化合物の使用であって、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または臓器に前記化合物を投与することを含む、使用。
- 臓器傷害から臓器を保全または保護する方法であって、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩または請求項41に記載の化合物を、臓器ドナーからの前記臓器の取り出しの前に前記ドナーに、および/または臓器に投与する工程を含む、方法。
- 前記臓器が、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、腸、角膜、皮膚、脳および神経組織からなる群から選択される、請求項43~47のいずれか一項に記載の使用または方法。
- 前記ドナーが生きたドナーであるか、または前記ドナーが臨床的に死亡したドナーである、請求項43~48のいずれか一項に記載の使用または方法。
- 前記化合物が、静脈内注射または注入によって前記ドナーおよび/またはレシピエントに投与される、請求項43~49のいずれか一項に記載の使用または方法。
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