JP2023515493A - 一体化された液体金属軸受外殻を有するx線回転陽極 - Google Patents

一体化された液体金属軸受外殻を有するx線回転陽極 Download PDF

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Abstract

本発明は、Mo又はMo基合金からなり、回転軸線(4)の領域の中央に形成され軸方向に前記陽極円板(5)の少なくとも一部を貫通して延びている孔(12)を有する陽極円板(5)と、Mo又はMo基合金からなる軸受ブッシュ(20)とを有する、一体化された液体金属軸受外殻を備えるX線回転陽極に関する。前記軸受ブッシュ(20)は、材料的結合による接続部(21)を介して、前記軸受ブッシュ(20)の内壁(22)が前記陽極円板(5)の前記孔(12)を継続するように、且つ、前記陽極円板(5)の前記孔(12)の内壁(14)の少なくとも1つの軸方向セクション及び前記軸受ブッシュ(20)の前記内壁(22)の少なくとも1つの軸方向セクションが周方向に液体金属軸受走行面として形成され、液体金属軸受外殻の少なくとも一部を形成するように、前記陽極円板(5)に接続されている。更に、本発明は、対応する製造方法に関する。

Description

本発明は、請求項1記載のプリアンブルに係る一体化された液体金属軸受外殻を有するX線回転陽極、一体化された液体金属軸受外殻とその内部に挿入された液体金属軸受内殻とを有するX線回転陽極を有するX線回転陽極システム、及びこのようなX線回転陽極の製造方法に関する。
X線回転陽極は、X線を発生させるためにX線管で使用される。使用時には、電子がX線管の陰極から放出され、集束電子ビームの形で、回転するX線回転陽極に向かって加速される。X線回転陽極の回転運動に基づいて、電子ビームによって、環状の軌道(焦点軌道)が走査される。電子ビームのエネルギーの大部分は、X線回転陽極において熱に変換されるが、ごく一部はX線として放射される。局所的に放出された熱量は、X線回転陽極の強い加熱につながる。X線回転陽極の回転は、陽極材料の過熱に対抗する。
特に、高出力領域では、高い放射線出力(又は線量出力)が必要であるが、これは、対応して高エネルギーの強く集束された電子ビームを使用することによって、発生させることができる。高い温度及び高い温度勾配による材料の疲労を避けるために、X線回転陽極は、高い回転周波数及び効果的且つ均一な熱放散のために設計されなければならない。これらの要件を考慮すると、X線回転陽極の支持のために液体金属軸受を使用することが有利である。
X線回転陽極システムは、特許文献1及び特許文献2のそれぞれから知られており、そこでは、X線回転陽極の中央貫通孔内のインサートとして液体金属軸受外殻が使用されている。更に、特許文献1には、溶接ゾーンに導入される中間部品を用いた摩擦溶接方法が開示されている。他のX線回転陽極システムが特許文献3及び特許文献4から公知である。
米国特許出願公開第2016/0086760A1号明細書 米国特許出願公開第2017/0125199A1号明細書 米国特許第5204890A号明細書 米国特許第6198805B1号明細書 独国特許出願公開第102015215306A1号明細書 特開2012-084400号公報 独国特許出願公開第102015204488A1号明細書 米国特許出願公開第2017/0169984A1号明細書
本発明の課題は、高回転周波数における良好な支持と均一且つ効果的な放熱とに関して、X線回転陽極を改良することにある。更に、X線回転陽極の費用対効果が高くプロセスの安定した製造を可能にすべきである。
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載のX線回転陽極によって、請求項10に記載のX線回転陽極システムによって、そして、請求項15に記載のX線回転陽極の製造方法によって解決される。本発明の有利な発展形態は従属請求項に記載されている。
本発明によれば、一体化された液体金属軸受外殻を有するX線回転陽極が提供される。X線回転陽極は、Mo(Mo:モリブデン)又はMo基合金からなる陽極円板と、Mo又はMo基合金からなる軸受ブッシュとを有し、前記陽極円板は、回転軸の領域の中央に形成されていて陽極円板の少なくとも一部を貫通して軸方向に延びる孔を有する。軸受ブッシュの内壁は、少なくともその軸方向セクション全体に亘って(即ち、回転軸に対して円周方向に)液体金属軸受走行面として形成されており、液体金属軸受外殻の第1のサブセクションを形成している。特に、軸受ブッシュの(典型的には円筒形の)内壁全体を、液体金属軸受走行面として形成することができる。しかし、代わりに、同様に典型的には円筒状に形成されている軸受ブッシュ内壁の軸方向セクションのみを流体金属軸受走行面として形成することもでき、一方、別の軸方向セクションは、例えば、機械的制限要素及び/又はコーティングを有することもでき、それによって、使用中に液体金属が液体金属軸受内に保持される。液体金属軸受外殻は、第1のサブセクション及びそれに隣接する第2のサブセクションによって形成されていて、連続した液体金属軸受走行面を有する。軸受ブッシュは、軸受ブッシュの内壁が陽極円板の孔に続くような方法で、材料的結合による接続を介して陽極円板に接続されている。更に、陽極円板の孔の内壁の少なくとも1つの軸方向セクションは、周囲を取り巻くように(即ち、回転軸線に対して円周方向に)液体金属軸受の走行面として形成されており、液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの少なくとも一部を形成している。ここでも、(典型的には円筒状に形成された)孔の内壁全体は、全体を取り巻くように液体軸受のための走行面として形成することができる。非貫通孔の場合、孔の底部は、液体金属軸受走行面を形成することもある。しかしながら、代わりに、同様に通常は円筒形に形成されている孔の内壁の軸方向セクションのみを円周方向に液体金属軸受走行面として形成することができる。
液体金属軸受の場合には、液体金属軸受外殻と液体金属軸受内殻との間に規定の軸受ギャップが形成され、両殻は互いに適合させられており、両殻のうち、1つは静止部品上に形成され、もう1つは回転部品上に形成されている。ここでは、液体金属軸受外殻は、X線回転陽極と一体に、従って、回転部品として形成されている。液体金属軸受内殻は、例えば、液体金属軸受外殻内に挿入されたピン(Zapfen)(静止部品)上に一体形成することができる。使用時には、軸受ギャップに液体金属(例えば、ガリウム、共晶ガリウム-インジウム-スズ合金のようなガリウム合金、など)が充填されている。ギャップ幅は、典型的には、数マイクロメートルから500μm(少なくとも≦1mm)までであり、特に、5~500μm、好ましくは7~40μmであり、ギャップ幅は、軸受ギャップの長さに亘って変化することができる。特に、液体金属軸受外殻及び/又は液体金属軸受内殻に、少なくとも1つの円周方向の凹部及び/又は段差又はリブを設けることもでき、それらの領域内においてギャップ幅も軸受ギャップの残りの部分に対して異なって形成されていてよい(例えば、特許文献5参照)。特に、一方の構成要素に設けられた少なくとも1つの円周リブは、他方の構成要素に対応するように設けられた(少なくとも)1つの溝と共に、2つの構成要素を軸方向に互いに固定することができる。液体金属軸受走行面と称せられるのは、使用中に液体金属軸受外殻及び液体金属軸受内殻の両方において液体金属で濡らされていて、それにより摩擦のない回転を可能にする液体金属軸受外殻及び液体金属軸受内殻のセクションのことである。液体金属は、液体金属軸受外殻と液体金属軸受内殻との間の直接接触を防ぐと同時に潤滑剤として作用し、それによって優れた走行性をもたらす。X線回転陽極を駆動するために、液体金属軸受外殻は、ロータを装備しているか又はロータに(機械的に)連結されており、ステータと協働して公知の方法で回転させられる。
液体金属軸受は、高負荷及び高回転数のために設計され、同時に高いレベルの作動信頼性及び長い耐用年数を有するので、X線回転陽極を支持するために液体金属軸受を使用することは有利である。(例えば、玉軸受と比較して)一つの利点は、軸受ギャップ内の液体金属の増加した圧力が、より大きな表面セクション(特に軸方向の広がり)に亘って形成され、従って機械的安定性が増大することにある。特に、液体金属軸受では300Hz(ヘルツ)までの回転周波数が可能であるが、玉軸受は、例えば、一般に200Hzを大幅に下回る回転周波数(例えば、140Hz)に対して設計されている。更に、液体金属軸受は、玉軸受と比較して静かで、(液体金属で満たされた軸受ギャップを介して)接触面積の増加により広い面積に亘って効果的な放熱を可能にする。このようにして、熱は静止部品(例えば、液体金属軸受の外殻の内側に挿入されたピン)に効果的に放散される。次に、熱は、(少なくとも1つの冷却チャネルに導かれる冷却剤による)内部冷却を介して、静止部品から効果的に放散できるので、熱管理(温度管理)が非常に効果的であり、従って、高出力領域に適している。一方、玉軸受は、感熱コーティングが使用されているため、軸受を介した効果的な熱放散を行なうようには設計されていない。これは、それぞれのコーティングを損傷する可能性があるためである。
Mo又はMo基合金は、(高い使用温度でも)高い強度を有し、良好な放熱を可能にすることから、陽極円板の材料及び軸受ブッシュの材料として、特に有利である。更に、Mo又はMo基合金は、典型的に使用される液体金属に対して良好な濡れ性を有する。従って、既に基材により良好な濡れ性が与えられているので、更に陽極円板の孔の内壁及び軸受ブッシュの内壁が液体金属軸受走行面として形成されていることが有利である。場合によっては、コーティング(典型的には、厚さ10μm未満)を、軸受ブッシュの内壁及び/又は孔の内壁に、それぞれ完全に又は部分的にのみ、設けることができる。しかしながら、陽極円板の孔に挿入され、それに接続されなければならないであろう内側の液体金属軸受外殻を有する別個の挿入物が設けられることは、ない。それは製造がより複雑になり、熱放散の障壁となる可能性がある。更に、高いレベルの機械的安定性が、陽極円板と液体金属軸受外殻との間で達成され、このことは走行特性にとって有利である。軸受ブッシュの内壁が陽極円板の孔の内壁に続き、対応する長い軸方向延長長さを有する液体金属軸受走行面が提供されるので、これにより、陽極円板の回転時に、機械的に安定で正確な案内が確保される。
ここでは、Mo基合金は、50重量%を超えるMoを含む合金を意味すると理解される。特に、Mo基合金は、80重量%以上、より好ましくは98重量%以上、のMoを含有し、このことは、上述したMoの特性の観点から格別に有利である。この場合、陽極円板及び軸受ブッシュは、完全にMo又はMo基合金から形成されている必要はないが、ここでは特に基材について言及する。特に、基材は、コーティング(例えば、放射熱出力を増加させるための黒化層)、蓄熱器として陽極円板に取り付けられた炭素系の物体(例えば、グラファイト物体)、軸受ブッシュに設けられたフランジなどの取付部品、或いは、例えば焦点軌道の領域に被着された周方向焦点軌道被膜のようなコーティングを備えていてよい。最初に説明したように、「焦点軌道」とは、回転軸線の周りを環状に取り巻く陽極円板のセクションを指し、このセクションは使用中に電子ビームによって走査される。典型的には、焦点軌道被膜は、(或る半径方向の広がりを有する)焦点軌道の領域において陽極円板上に被着される。焦点軌道被膜は、特に、W又はRe含有量が1~15重量%、特に5~10重量%、であるW-Re合金によって形成される(W:タングステン、Re:レニウム)。更に、陽極円板は、焦点軌道の領域に、典型的には、傾斜した焦点軌道表面を有し、これは、好ましくは、円錐台の外周面を形成する。特に、焦点軌道面は、回転軸線に対して垂直に延びる基準平面に対して角度が付けられ、これにより、発生したX線放射の出射は、それぞれのX線装置の側方出射窓を介して可能になる。例えば、この基準平面に対して、2°~16.25°、特に7°~13°、の範囲の焦点軌道角度が形成される。
参照される「回転軸線」は、X線回転陽極及び液体金属軸受外殻の回転対称の基本形状によって与えられる。この回転軸線は、同時に、(これに対して平行に走る)「軸方向」と、(これに対して垂直に走る)「半径方向」とを指定する。X線回転陽極の(典型的にはその主延長面も形成する)「基準面」は、特に回転軸に対して垂直に延びる。注意すべきことであるが、X線回転陽極は、全ての細部にまで回転対称になるように設計される必要はなく、その結果、例えば、周方向に形成されたスロット、周期的に配列された突起、窪み、取付部品などは、正確な回転対称性を破ることができる。軸受ブッシュは、ここでは、少なくとも部分的に液体金属軸受走行面として形成されている内壁を有する(貫通)孔を備えた部品をいい、軸受ブッシュは、様々な(特に外側の)輪郭及び取付部品を有することができる。好ましい変形例では、軸受ブッシュ(及び対応するX線用回転陽極の機械的ホルダ)は、陽極円板の、焦点軌道とは反対の側に配置される。或いは、軸受ブッシュ(及び対応するX線用回転陽極の機械的ホルダ)は、陽極円板の、焦点軌道が設けられている側に配置することができる。
本発明によれば、液体金属軸受外殻の第1のサブセクションは、軸受ブッシュとモノリシックに形成され、液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの少なくとも一部は、陽極円板とモノリシックに形成される。「モノリシック」とは、当該構成要素が、冶金製造(好ましくは粉末冶金又はこれに代えて溶融冶金による製造)で一片に製造され、その後における、例えば孔及び/又は表面構造を形成するための機械的加工及び/又は少なくとも1つの層の形成が可能であることを意味する。モノリシック形成は、(Mo又はMo基合金からなる基材の)均一で連続的なミクロ構造から専門家に認識され得る。陽極円板及び/又は軸受ブッシュの粉末冶金製造が好ましく、これは、対応する出発粉末の圧縮及び焼結の工程、並びに、好ましくは、得られた造形品の後続の賦形工程(例えば、圧延、鍛造、押出しなど)を含む。粉末冶金製造は、典型的で専門家が認識することができるミクロ構造をもたらし、これは、例えば、(溶融冶金製造で得られる)溶融構造とは明確に区別できる。従って、軸受ブッシュの内壁は、少なくとも液体金属軸受走行面の領域では、軸受ブッシュの基材(Mo又はMo基合金)から形成されており、陽極円板の孔の内壁は、少なくとも液体金属軸受走行面の領域では、陽極円板の基材(Mo又はMo基合金)から形成されている。更に、軸受ブッシュの内壁及び/又は陽極円板の孔の内壁に、(典型的には厚さ10μm未満の)コーティング及び/又は表面構造を設けることができる。
材料的結合による接続とは、連続した材料的結合が生成されることを意味すると理解されるが、しかし、(例えば、ねじ又はクランプによる接続、機械的固定要素などを介した)機械的な接続のみが存在することを意味するわけではない。特に、軸受ブッシュと陽極円板との材料的結合による接続は、溶接によって、はんだ付けによって、又は拡散接合(拡散接続)によって、生成される。接続ゾーンを研磨面において顕微鏡的に検査すると、専門家により、溶接接合は対応する溶接ゾーン(溶融され又は少なくとも可塑化された基材)を介して、はんだ接続は対応するはんだゾーン(はんだの溶融構造)を介して、拡散接続は対応する拡散ゾーン(相互に接合された基材の拡散領域)を介して、識別することができる。
液体金属軸受外殻としての構造は、その形状、特に、内部で回転軸線に対して回転対称に構成された液体金属軸受走行面及び対応する液体金属軸受内殻を有するピン(又は他の構成要素)の導入を可能にする内側の輪郭、により、専門家が認識することができる。更に、(液体金属軸受の走行面に原理的に段差を設けることができる場合及び/又はリブ又は凹部を設けることができる場合であっても)内側輪郭には玉軸受用の走行溝は設けられていない。液体金属軸受外殻及び/又は液体金属軸受内殻の端部の領域に、液体金属を液体金属軸受の領域に保持するための表面構造、コーティング及び/又は機械的制限要素が設けられていてもよい。
一発展形態によれば、材料的結合による接続は、拡散接合により生成された接続、摩擦溶接接続又は(レーザー又は電子ビームによる)ビーム溶接接続である。上述した接続技術の利点は、高い使用温度においても、高強度の材料的結合による接続が達成できることにある。特に、接続ゾーンの領域では、液体金属軸受の領域において(例えば液体金属中に)厄介な不純物を形成する可能性があり、真空安定性にとって危険である可能性があり(使用は高真空で行なわれる。)、及び/又は、(接続された構成要素の基材と比較して)より低い融点を有する可能性がある追加材料(はんだ、溶接追加材料など)なしで済ませることが可能である。これは、典型的には、低い融点と少なくとも高温時に(接続された構成要素の)基材よりも低い強度とを有するはんだを使用したはんだ接続と比較して格別に有利である。
拡散接合では、接続される部品の(典型的には適切に準備された)表面が互いに接合され、圧力及び温度の印加により、接続ゾーンの領域内の原子の拡散が引き起こされ、その結果、材料的結合による接続(拡散接続)が生じる。ここで使用される拡散接合の(より詳細な)理解によれば、接続ゾーンの領域では、接続される部品の基材の溶融は、発生しない。既に上で説明したように、拡散接合は、溶融構造が生じない対応する拡散ゾーン(互いに接合された基材の拡散領域)に基づいて、顕微鏡写真における接続領域の顕微鏡検査を通して、専門家が認識することができる。同じ材料からなる部品が拡散接合によって互いに接続されている場合、拡散接続は顕微鏡写真では認識できない場合がある。これは、接続ゾーンの領域において、各基材に達する均一な構造が得られるからである。これらの場合には、拡散接続の存在は、接続された部品(ここでは、陽極円板及び軸受ブッシュ)の外側の幾何学的形状のみから推論することができる。それは、例えば、それらの部品がそれぞれの全体的な形を持ったまま1つのピースで(例えば、粉末冶金により)製造することができないであろうためである。ビーム溶接接続は、(基材及び場合によっては追加的に使用された溶接追加材料の)対応する溶融構造が現われる溶接ゾーンに基づいて顕微鏡写真における接続ゾーンの顕微鏡検査と溶融ゾーンの根元及び位置とに基づいて、専門家が認識することができる。ビーム溶接接続(特に、電子ビーム溶接によるビーム溶接接続)は、熱影響部が小さいため有利である。更に、ビーム溶接プロセスは、純モリブデンに対してよりもMo基合金に対して適している。
摩擦溶接では、1つの部品が、接合されるべき他の部品と接触して、当該他の部品に対して相対的に移動(例えば、回転)され、それにより、当接面に熱が発生させられる。溶接は、相対運動(例えば回転運動)中に又は運動停止後に、力を加えることによって完成されるが、いくつかの形態のエネルギー供給及び相対運動が存在する。この場合には、ほとんど回転対称である部品の接続が重要であり、その理由は、摩擦熱を発生させるために、好ましくは一方の部品(例えば、軸受ブッシュ又は切断片)が回転させられてから他方の部品(例えば、陽極円板)と接触させられるからである。また、より厚い壁(特に20~130mm)を有する部品の接続を可能にする摩擦溶接は、接合断面において比較的低い接合温度しか必要とせず、従って、多くの場合、他の方法では溶接が困難な材料及び材料の組合せに適している(これについて、DIN EN ISO 15620も参照)。これは、特に純Moに当てはまるが、Mo基合金にも当てはまる。摩擦溶接接続は、典型的なミクロ構造に基づいて、顕微鏡写真における接続ゾーンの顕微鏡検査から、専門家によって認識され得る。特に、基材は摩擦溶接中にのみ可塑化状態になるため、溶融構造は認識できない。典型的には、溶接部は比較的狭く、微細結晶粒組織を有する。具体的には、各々がMo及び/又はMo基合金からなる軸受ブッシュと陽極円板との摩擦溶接接続の場合、溶接ゾーンの領域内には、(軸受ブッシュ及び陽極円板の基材間に)若干異なる組織を有するいくつかのサブゾーンを認識することができる。これは、特に粒度分布と結晶粒方位に該当する。典型的には、粒子は、材料の流れの方向に延伸され、これは、特に溶接ビードが形成されるときに生じる。異なる結晶粒アスペクト比の(軸受ブッシュ近傍で高い結晶粒アスペクト比を有し、陽極円板近傍で低い結晶粒アスペクト比を有する)ゾーンは、特に軸受ブッシュが高い結晶粒アスペクト比を有し陽極円板がより低い結晶粒アスペクト比を有する場合に発生するが、これは、これらの部品に、それぞれの製造プロセスによってもたらされる。巨視的には、摩擦溶接中に圧縮期の間の材料の流れによる)溶接ビードを形成できるようにするために、陽極円板上に突出した接続部品が使用されている場合、摩擦溶接接続を示す。これは、特に、陽極円板から離れた、接続部品と軸受ブッシュとの間の溶接ゾーンにおいて認識することができる。
一発展形態によれば、(陽極円板及び/又は軸受ブッシュの)Mo基合金は、MHC及び/又はTZMである。特に、軸受ブッシュの基材(即ち、コーティング、取付部品などを除く)は、MHC及び/又はTZMから(好ましくは、MHCのみから又はTZMのみから)作られる。特に、陽極円板の基材(即ち、コーティング、取付部品などを除いて)は、MHC及び/又はTZMから(好ましくは、MHCのみから又はTZMのみから)作製される。両合金(MHC、TZM)は、高強度と硬度を有する。それらの機械的特性は、大部分が高温で保持され、このことは、製造中のより高いプロセス温度及びX線回転陽極のより高い使用温度が可能であることを意味する。これは、MHCでは1,250℃までの温度に当てはまり、TZMでは1,100℃までの温度に当てはまる。従って、MHCは、特に高出力領域及び高い使用温度に格別に好適である。
MHCは、本出願人プランゼー エスエー社が提供するMo基合金であり、以下の組成を有する:
- 1.00~1.30重量%(重量%:重量パーセント)のHf含有量、
- 500~1,200μg/g(μg:マイクログラム)のC含有量、
- 残部Mo(典型的には、97.0重量%以上、好ましくは98.0重量%以上のMo含有量、不純物の割合が低い場合には、対応して98.5重量%以上であってもよい)。
TZMは、ASTM B387(364)規格に規定され、本出願人プランゼー エスエー社から提供されるMo基合金であり、ここでの使用のために以下の組成を有する:
- 0.40~0.55重量%のTi含有量、
- 0.06~0.12重量%のZr含有量、
- 50~500μg/gのC含有量(特にX線回転陽極の適用領域に非常によく適したこの範囲は、ASTM B387(364)規格で指定された100~400μg/gの範囲よりもいくらか広い)、
残部Mo(典型的には98.0重量%以上、好ましくは99.0重量%以上のMo含有量、不純物の割合が低い場合には、対応して、更に、99.3重量%以上であってもよい)。
存在し得る不純物の可能な又は許容される含有量は、典型的には、全ての元素に対して特定されるものではなく、特に、典型的に存在し及び/又は高すぎる含有量が合金の有利な特性にとって重要であろうものに対して、特定されるものである。この背景に対して、不純物の以下の許容範囲が特に有利である:特に、MHC及びTZM中の金属不純物の総含有量は5,000μg/g以下である。特に、MHC及びTZMのAl(アルミニウム)及びNi(ニッケル)含有量は、プランゼー エスエー社の特に有利な仕様によれば、10μg/g以下であり、Cr(クロム)、Cu(銅)、Fe(鉄)、K(カリウム)及びSi(シリコン)の含有量は、それぞれ、20μg/g以下であり、W(タングステン)の含有量は300μg/g以下、Cd(カドミウム)及びPb(鉛)の含有量は、それぞれ、5μg/g以下であり、そしてHg(水銀)の含有量は1μg/g以下である。MHC中に存在するH(水素)、N(窒素)及びO(酸素)による不純物の総含有量は1,000μg/g以下である。特に、プランゼー エスエー社の仕様によれば、MHCのH及びN含有量は10μg/g以下であり、O含有量は600μg/g以下である。TZM中に存在し得るH、N、O及びC(炭素)からの任意の不純物の総含有量は、1,500μg/g以下である。特に、プランゼー エスエー社の仕様によれば、TZMのH及びN含有量はそれぞれ10μg/g以下であり、O含有量は500μg/g以下である。製造工程によっては、Cr(VI)による汚染及び有機汚染が可能であり、それぞれ最大1,000μg/g以下まで許容可能であるが、プランゼー エスエー社が提供する合金では通常検出不可能である。すべての不純物の総和Sは、MHC及びTZMの両方に対して、有利には、0≦S≦6,000μg/gの範囲であり、典型的な不純物としてのW(タングステン)は、好ましくは300μg/g以下の比率を有する。
原則的に、陽極円板と軸受ブッシュとは、異なる材料で作ることができる。一発展形態によれば、陽極円板及び軸受ブッシュは、両方とも、モリブデン製であるか又は同じモリブデン基合金製である。これは、両方の部品(例えば、両方ともMHC製、又は両方ともTZM製)の材料特性が同じであるため、材料的結合による接続(特に、摩擦溶接接続又はビーム溶接接続の場合)に特に有利である。専門家にとって明らかなように、組成に僅かな違いがある場合にも、なおも「同一の」モリブデン基合金という用語が使用される。両方の組成が問題のMo基合金の仕様内にある場合(例えば、上に示したようなTZM又はMHCの場合)、特に「僅かな違い」のみが与えられる。当該合金の規格がない場合でも、Mo含有量の差が≦2重量%であれば、非金属合金成分(例えばC、N)が合計0.2重量%以下であり、金属合金成分の合計が1重量%以下であり、Wが0.05重量%以下であれば(不純物に関しては、特にTZM及びMHCについて上述した範囲が適用される。)、通常、「軽微な差」しかない。
一発展形態によれば、材料的結合による接続部は、摩擦溶接された接続部である。これは、接続部の高強度及び耐熱性の達成に関して有利である。更に、摩擦溶接技術は再現性が高く、自動化の度合いも高い。摩擦溶接の間、(例えば、溶接追加材料、接続される部品の間に挿入されるインサートなどのような)追加材料を使用しないこと、即ち、特に材料的結合による接続の領域において、接続された部品の基材とは異なる異物又は異なる組成が検出されないことが好ましい。摩擦溶接には、純MoよりMo基合金が好ましい。2つの構成要素(陽極円板、軸受ブッシュ)が、同じMo基合金から(例えば、両方ともMHCから、両方ともTZMから、等)形成されるのが更に好ましい。なぜなら、これにより、摩擦溶接接続の特に高い安定性及び品質が達成され得るからである。摩擦溶接の特別な利点は(例えば、ビーム溶接プロセスと比較して)、接続ゾーンでは溶融物が形成されず、接続される部品の基材は可塑化されるにすぎないことである。その結果、有利な組織が接続ゾーンの領域に設定され、含有される元素/化合物(例えば、Mo基合金)の均質な分布が保持される。
一発展形態によれば、陽極円板は、軸受ブッシュ側に接続片を有し、その接続片の内壁は、陽極円板の孔を延長し、かつ陽極円板の外側を囲む表面から突出する。接続片の内壁の少なくとも1つの軸方向セクションは、周方向に液体金属軸受の走行面として形成されており、(陽極円板の孔の内壁及び場合によっては他のセクションに沿って)液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの一部を形成している。更に、陽極円板の突出した接続片と軸受ブッシュとの間には材料的結合による接続部が形成されている。特に管状又は中空円筒状の基本形状を有することができる、突出した接続片によって、陽極円板と軸受ブッシュとの間の材料的結合による接続部は、より容易に製造することができる。これは、特に摩擦溶接された接続部の場合(但し、ビーム溶接された接続部の場合も同様)に当てはまる。なぜなら、これは、本質的に、互いに接続される同様に設計された2つのセクション(特に周壁及び環状端面)を提供するからである。更に、材料的結合による接続部は、このようにして陽極円板の外側を囲む表面から、例えば2~50mm、好ましくは5~30mm、だけ離間して配置される(範囲は完成した材料接続部に適用される)。これにより、特に摩擦溶接接続の場合に圧縮段階での材料の流れによって形成される溶接ビードを形成するための十分な空間が形成される(溶接ビードはその後再加工によって除去される)。接続片の元の(材料的結合による接続がなされる前の)軸方向長さは、特に摩擦溶接プロセスを用いる場合、摩擦溶接の際に圧縮が生じるため、材料的結合による接続部の後の所望の位置よりも、例えば3~8mmだけ長く選ぶべきである。接続片は、好ましくは、陽極円板とモノリシックに形成され、これは安定性及び走行特性の点で有利である。接続片は、好ましくは、鍛造工程の一部として陽極円板の材料からモノリシックに形成される。或いは、接続片は、陽極円板と材料的結合により接続することもできる。
一発展形態によれば、陽極円板の孔は貫通孔として設計され、陽極円板は、軸受ブッシュとは反対側に延長片を有し、この延長片は、その内壁により、陽極円板の貫通孔を延長し、陽極円板の外側を囲む表面から前へ突出している。延長片の内壁の少なくとも1つの軸方向セクションが、液体金属軸受のための走行面として周方向に形成されており、(陽極円板、場合によっては接続片及び場合によっては他のセクションの孔の内壁に隣接して)液体金属軸受の外殻の第2のサブセクションの一部を形成している。このような延長片を設けることは、液体金属軸受の外殻の安定性及び走行特性に関して有利である(というのは、特に、液体金属軸受の走行面の延長部が陽極円板の両側に設けられているからである)。それに応じて、接続片におけると同様に、延長片も、好ましくは陽極円板とモノリシックに形成すること(例えば、鍛造によって形成すること)ができるし、或いはそれに代えて、材料的結合による接続で陽極円板に接続することもできる。好ましくは、延長片と、場合によっては存在する他の構成要素とが、その後で、液体金属軸受の外殻の閉鎖体を形成する。或いは、液体金属軸受の構造に応じて、軸受ブッシュに、もう一度、延長片を材料的結合により接続し、それにより液体金属軸受の外殻を更に延長することもでき、ここでは、接続片の軸受ブッシュへの接続について説明した変形例も可能である。
一発展形態によれば、(軸方向に測定された)陽極円板の厚さは、回転軸線に向かって半径方向に増加する。この厚さの増加は、連続的に(一定の勾配で若しくは厚さプロファイルを変化させて)、又は1つまたは複数の段階で、発生する可能性がある。このようにして、焦点軌道の領域で発生した熱は、回転軸線に向かって、ますます大きくなる材料断面積に亘って分配され、次いで、液体金属軸受外殻の大きな面積に亘って(軸受ギャップ内に配置された液体金属を介して、次いで、液体金属内殻及びそれに隣接する、例えば冷却剤冷却を伴うピンのような、部品を介して)効果的に放出され得る。液体金属軸受の領域で局所的に発生する温度ピーク及び高すぎる温度は、液体金属軸受に損傷を与え且つ陽極円板に応力をもたらす可能性があるが、半径方向内向きに増加するこの材料断面積によって、回避される。一発展形態によれば、傾斜した焦点軌道面の領域内の半径方向中心において測定された基準厚さから、孔の領域内の厚さまでの厚さの増加は、30~300%、特に50~260%、更に好ましくは70~230%、である(100%の厚さの増加は、厚さの倍増に相当する)。これは、液体金属軸受の放熱性並びに外殻の安定性及び走行特性に関して格別に有利である。「孔の領域内の厚さ」と称せられるのは、ちょうど孔の内壁の領域における陽極円板の厚さのことであり、この厚さ測定に際しては、例えばモノリシックに形成された接続片及び/又はモノリシックに形成された延長片のような、場合によっては陽極円板と共にモノリシックに形成されたセクションも含まれるが、しかし、陽極円板と材料結合により接続される部品(例えば、軸受ブッシュ)のみが含まれるというわけではない。しかしながら、陽極円板も、その厚さが、場合によってはモノリシックに形成される接続片及び/又は延長片を含めずに、半径方向に内側に向かって増加することが好ましい。特に、後者の厚さの増加は20~150%、好ましくは30~100%、であり、モノリシック接続片及び/又は延長片を設ける場合には、前記「孔の領域」の代わりに、この接続片及び/又は延長片の直接(半径方向)外側に位置する基準領域が使用される。
一発展形態によれば、陽極円板は、円周方向に均一に配置されて陽極円板の厚さを貫通する複数のスリットを有し、これらのスリットのそれぞれは、陽極円板の外周と陽極円板の孔との間の領域内のそれぞれ1つの半径方向セクションに亘って延在している。このようなスリットは、使用中に発生する高温において、陽極円板の材料の陽極円板が塑性変形されることなく、陽極円板の材料が延伸されることを可能にし、その結果、材料内の応力、ひいては材料疲労又は材料破壊が回避される。このようなスリットは、正確に半径方向に延在することができる。或いは、スリットは、半径方向に対して僅かに斜めに(例えば、0°を超え5°までの角度をつけて)走ることもできる。半径方向に対する経路、軸方向に対する経路(ここでは、それらも軸方向に対して僅かな角度だけ、例えば、1°~10°の範囲内の角度だけ傾斜させることができる。)、且つ/又はスリットの幅は、所定の輪郭に従って変化させることができる。更に、スリットの少なくとも一端(好ましくは半径方向内端)には、好ましくは陽極円板の厚さを貫通して延びていて、各々が開口スリットの幅よりも大きな直径を有する端部孔と、円周方向通路とのうち、少なくともいずれか一方を設けることができる。好ましくは、スリットは、完全に外周部まで延びている。即ち外周に開口しているが、陽極円板の孔の半径方向外側で終っている。好ましくは、全てのスリットは、回転軸に関して互いに対称に形成される。このようなスリットを設けることは、陽極円板の厚さが回転軸に向かって増大する場合に特に有利である。
また、本発明は、場合によっては上記の発展形態の1つ又は複数に従っても構成することができる、一体化された液体金属軸受外殻を有する本発明によるX線回転陽極と、この液体金属軸受外殻に組み込まれ、液体金属軸受走行面を有する液体金属軸受内殻とを有し、ここで、液体金属軸受外殻と液体金属軸受内殻とが、それらの間に規定の軸受ギャップ(特に上記で規定したギャップ幅)が形成されているように、互いに調整されている、X線回転陽極システムに関する。
一発展形態によれば、液体金属軸受外殻上の液体金属軸受走行面の及び/又は液体金属軸受内殻上の液体金属軸受走行面の少なくとも1つの軸方向端部の領域(軸方向:回転軸線に対して)に、少なくとも1つの円周方向の機械的制限要素が設けられ、この機械的制限要素は、使用中に、軸受ギャップ内にある液体金属の軸方向の流れを制限する。従って、機械的制限要素は、滑走効果を達成するために液体金属が必要とされる液体金属軸受の(軸方向)内側領域内に、液体金属を保持する役割を果たす。機械的制限要素は、特に、以下の変形例の1つ以上によって形成することができる:
- ラビリンスシールを形成するために幾つかの段階によって形成される軸受ギャップの連続(例えば特許文献6参照);
- 液体金属軸受の、一方の(例えば、静止側の、内側の)部品上の1つ又は複数の(連続する又は円周方向に短いセクションにわたり中断される)周方向リブ及び他方の(例えば、回転側の、外側の)部品上の対応する溝。これらにより、液体金属軸受の軸方向固定も同時に提供される。複数個のリブの場合には、これらは、また、一方の部品上及び他方の部品上に交互に設けることができる;
- 軸受ギャップ内にある液体金属(例:特許文献7)と相互作用する材料(例:鉄、ニッケル、コバルトを含む合金)で作られたシーリングリング。
一発展形態によれば、液体金属軸受外殻上の液体金属軸受走行面及び/又は液体金属軸受内殻上の液体金属軸受走行面の少なくとも1つの軸方向端部の領域に円周方向コーティングが設けられ、このコーティングは、使用中に軸受ギャップ内に位置する液体金属による濡れを抑制する。その結果、液体金属は、滑走効果を達成することが要求される液体金属軸受の(軸方向)内側領域に保持される。適切なコーティングは、なかんずく、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化チタン及びこれらの混合物、特にCrN(窒化クロム)、CrN(窒化二クロム)、Cr(酸化クロム(III))、TiAlN(窒化チタンアルミニウム)(例えば、特許文献8参照)である。コーティングは、液体金属軸受の内殻及び液体金属軸受の外殻の両方に設けることができる。但し、必要に応じて、1つだけ(例えば、液体金属軸受の内殻のみ)に設けることもできる。更に、少なくとも1つの機械的制限要素の領域内に設けることもできる。
一発展形態によれば、液体金属軸受の内殻はピン上に形成され、ピンは、軸受ブッシュを貫通して少なくとも陽極円板の孔に導かれる。ピンは、冷却剤を案内するための少なくとも1つの冷却剤流路を有することが好ましい。孔が貫通孔として形成されている場合、ピンは、この貫通孔を同様に完全に貫通して延在することが好ましい。ピンは、好ましくは、1つの部品から(一体的に)形成するとよい。なぜならば、これは、その安定性及び冷却剤流路の堅固さに関して有利であるからである。或いは、形状的結合及び/又は材料的結合により互いに接続されている幾つかの構成要素から形成することもでき、これは、特に液体金属軸受の複雑な構造の場合に有利であり得る。好ましくはピンの長さの少なくとも80%に亘って延在する少なくとも1つの冷却剤流路は、使用中に熱を効果的に消散させることができる。
一発展形態によれば、液体金属軸受外殻上の液体金属軸受走行面及び/又は液体金属軸受内殻上の液体金属軸受走行面は、少なくとも2つの表面構造化された円周方向の走行部分を有し、これらは軸方向に互いに離間されている。少なくとも2つの表面構造化された走行セクションの間に、少なくとも1つの表面構造化されていないセクションが設けられていることが好ましい。使用中の回転部品の回転時には、表面構造化された走行セクションの領域において、液体金属が集まって増加した圧力を形成する。これにより、特に良好な滑走効果が得られる。同時に、回転部品と静止部品とは、半径方向に互いに相対的に固定される。また、少なくとも2つのこのような走行セクションを設けることにより、使用中のX線回転陽極の傾斜及び振動を防止することができる。表面構造化された走行セクションが、完全に陽極円板内に配置された領域に形成されているか、又は少なくともこの領域と重なるように形成されているならば、特に有利である。表面構造化は、例えば、(例えば、1つ以上の部分領域を有し、各々が平行な溝を有する)溝パターンとして形成することができる。表面構造化された走行セクションは、原則として、液体金属軸受の内殻と外殻の両方に設けることができる。また、原則として、表面構造化された走行セクションを互いに(軸受ギャップに対して)対向させて形成することもできる。しかしながら、一方の構成要素(例えば、液体金属軸受内殻上)の表面構造化された走行セクションの領域において、その反対側の領域の他方の構成要素は、表面パターンされた走行セクションを有さないことが好ましい。
本発明は、また、本発明によるX線回転陽極を製造する方法にも関し、この方法は、上記で説明した発展形態及び変形例の1つまたは複数に従って設計することもできる。ここで、この方法は、次のステップを有する。
・Mo又はMo基合金からなる陽極円板を準備するステップ、
・Mo又はMo基合金からなる切断片を準備するステップ、
・切断片が陽極円板の回転軸線に対して中央に配置されるように、切断片を陽極円板に材料的結合により接続するステップ、及び
・一体化された液体金属軸受外殻を有するX線回転陽極を形成するために、陽極円板と切断片とを機械的に加工するステップであって、切断片が、液体金属軸受走行面を有する軸受ブッシュを形成し、陽極円板が孔を有し、このとき、内壁の軸方向の少なくとも一部が周方向に液体金属走行面として形成されている、ステップ。
この方法は、本発明の回転X線陽極を製造するための費用対効果が高く、プロセス信頼性のある製造手段を提供する。更に、上述した発展形態及び実施形態は、適切な方法ステップを提供することによって、本発明による方法においても可能であり、上述した利点が達成される。
陽極円板及び/又は切断片は、好ましくは、粉末冶金製造の一部として提供される。これには、特に、対応する出発粉末のプレス及び焼結、好ましくは成形(例えば圧延、鍛造、丸圧延、丸鍛造等)も含まれる。陽極円板内の孔及び/又は軸受ブッシュ内の貫通孔は、材料的結合による接続の前に既に予備成形することができ、その結果、機械的な後処理はあまり複雑ではない。或いは、それらは、機械的加工の一部として解決することもできる(即ち、陽極円板及び/又は切断片は、材料的結合による接続の前には、まだ孔又は貫通孔を有していない)。材料的結合による接続は、摩擦溶接により行うことが好ましい。焦点軌道コーティングは、材料的結合による接続の前に(例えば、複合材料における粉末冶金製造の一部として)すでに陽極円板に被着することができるが、その後、例えば溶射(例えば、真空プラズマ溶射)、化学蒸着(CVD)又は物理蒸着(PVD)によって、被着することもできる。初めに説明した他の取付部品、コーティング、ライニングなども製造中に加えることができる。
以下において、添付された図面を参照しながら実施例を説明することによって、本発明の他の利点及び有用性を明らかにする。
図1は、第1実施形態に係る本発明によるX線回転陽極の断面斜視図である。 図2Aは、製造を例示するために図1からのX線回転陽極の断面図である。 図2Bは、製造を例示するために図1からのX線回転陽極の断面図である。 図3は、第2実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図4は、第3実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図5は、第4実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図6は、第5実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図7は、第6実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図8は、第7実施形態による本発明に係るX線回転陽極の断面図である。 図9は、ピンが挿入された本発明に係るX線回転陽極システムの断面図であって、ピンの2つの変形例A及びBが断面図の上方に示されており、1つは平面図であり、1つは断面図である。
図1~図9は概略図であり、これらの図においては寸法比率が正確に再現されておらず、液体金属軸受外殻又は液体金属軸受の軸方向端部側の終端の詳細が示されていない。液体金属軸受の軸方向端部側の終端については、専門分野において知られているように、様々の構成が可能であり、その例が、とりわけ特許文献7、特許文献1、特許文献3、特許文献6及び特許文献8に示されている。即ち、図1~図9の図では、軸受ブッシュ、陽極円板及びピンは、場合によっては相違する経過又は相違する構成を伴って、軸方向に更に延び及び/又は他の部品に接続することができる。
以下において、図1及び図2A、図2Bを用いて、本発明に係るX線回転陽極2の第1実施形態を説明する。この第1実施形態は、その基本形状において、回転軸線4(軸方向)に対して回転対称に形成されたMHC製の陽極円板5を有する。陽極円板5の片側には、W-Re合金(W:95重量%;Re:5重量%)からなる焦点軌道コーティングを有する円周焦点軌道6がある。焦点軌道6の領域において、陽極円板5は、回転軸線4に対して垂直に延びる基準平面8に対して角度(角度α)をつけられて傾斜させられた周方向焦点軌道面10を有する。陽極円板5を貫通して孔12が延びており、その孔の内壁14は液体金属軸受のための走行面として形成されている。陽極円板は、焦点軌道6の反対側に、モノリシックに形成されかつ陽極円板5の材料から鍛造された管状接続片16を有し、その接続片は、外側を取り囲む陽極円板5の表面に対して突き出ている。その内壁18は、陽極円板5の孔12を延長しており、液体金属軸受走行面としても設計されている。同じくMHC製の管状軸受ブッシュ20は、それの軸方向(環状)端面が、対応して形成された接続片16の軸方向(環状)端面に、材料的結合による接続部21を介して、接続されている。軸受ブッシュ20の内壁22は、周方向に液体金属軸受走行面として設計されている。陽極円板5、接続片16及び軸受ブッシュ20の液体金属軸受走行面は、一緒になって連続した液体金属軸受走行面を形成し、この走行面は、ここでは、円筒外周面の形で直線的に延在し、液体金属軸受外殻の一部を形成している。軸受ブッシュ20及び陽極円板5は、図2Aでは、依然として別個の構成要素として示されており、図2Bでは、最終的に材料的結合による接続部21が摩擦溶接(及び機械的後処理)によって製造された後に示されている。説明したように、軸方向の摩擦溶接は、接続ゾーンの領域において、接続片16と軸受ブッシュ20の短縮をもたらす。
以下の他の実施形態の説明では、同一又はほぼ同一の構成要素が関係しているという意味で、同一の参照記号が使用され、第1の実施形態に対する相違が主に検討される。
図3に示す第2実施形態では、陽極円板5’の(軸方向に測定された)厚さが、半径方向内側に向かって連続的に増加する。特に、その厚さは、基準厚さd(傾斜した焦点軌道面10の領域内の半径方向中心において測定される)から出発して、孔12の領域内の最大厚さdII(陽極円板5’にモノリシックに接続された全ての構成要素を含む、即ち、本ケースでは接続片16を含む)まで、30~300%増加する。更に、基準厚さdから出発して、厚さは、モノリシック接続片16を含まなくても半径方向内側に20~150%増加し、次いで、内部領域における関連厚さdは、接続片16の(半径方向)外側で直接測定される。
図4に示されている第3実施形態では、第1実施形態に比べて、陽極円板5が、軸受ブッシュ20とは反対の側に延長片24を持ち、その内壁26が陽極円板5の(貫通)孔12を延長し、陽極円板5の外側の面から前へ突出している。延長片24の内壁26も、また、液体金属軸受走行面として周囲に形成され、従って、液体金属軸受の外殻の一部を形成する。更に、図4には、基準厚さdから出発して最大厚さdII(陽極円板5にモノリシックに接続された全ての構成要素を含む、即ち、この場合には、接続片16及び延長片24を含む)までの厚さの増加が示されている。図5に示す第4実施形態では、陽極円板5”は、第1の実施形態に比べて、接続片を有しておらず、むしろ、軸受ブッシュ20は、拡散接合を介して陽極円板5”の平面に直接接続されている。
図6~図9に示す実施形態では、軸受ブッシュ20が、焦点軌道6と同じ側に配置されている。第1実施形態と比較して、図6に示す第5実施形態では、陽極円板5”’上の接続片16’も焦点軌道6の側に配置されている。図7に示す第6実施形態では、陽極円板5”は、第4実施形態(図5)と同様に、接続片を有さない。むしろ、軸受ブッシュ20は、拡散接合を介して陽極円板5”の平らな表面に直接接続されており、図8に示す第7実施形態は、陽極円板5””の厚さが半径方向内側に向かって連続的に増加する点で第6実施形態と異なる。
図9には、X線回転陽極システム27が示されており、このシステムでは、陽極円板5”’、接続片16’及び軸受ブッシュ20を有するX線回転陽極2が、第5実施形態(図6参照)に従って構成されている。更に、内側に挿入されたピン28が示されており、そのピンの上に液体金属軸受内殻が形成されている。ピン28の液体金属軸受内殻と液体金属軸受外殻との間に軸受ギャップ30が形成され、使用中にはその軸受ギャップに液体金属(図示せず)が充填されている。ピン28の設計のための2つの変形例が回転X線陽極の上方に示されている。第1の変形例A(図9の上方に、左側には平面図で、右側にはX線回転陽極2の内部を断面図で示す)によれば、ピン28は、管状の基本形状を有し、かつ外側に滑らかな表面を有している。第2の変形例B(図9の上方に、第3の図として、その左側には平面図で、右側には断面図で示す。)によれば、ピン28’は、軸方向に互いに離間した2つの表面構造化された走行セクション32、34を有している。更に、ピン28’は、内側に走る冷却剤流路36を有し、この流路は、非貫通孔38に挿入された冷却剤チューブ40を有し、冷却剤チューブ40の直径は、非貫通孔38の直径よりもそれに応じて小さくなるように選択されるので、例えば、冷却剤チューブ40を介して冷却剤を流入させることができ、冷却剤チューブ40と非貫通孔38との間に形成された環状流路を介して外側に逆流させることができる。
製造例:
実施例1:
陽極円板と軸受ブッシュとが、MHC製であり摩擦溶接によって互いに接続されている、本発明に係るX線回転陽極の製造方法について、以下に説明する。最初に、陽極円板と円筒形の基本形状を有する切断片とを粉末冶金によって製造する。これは、(MHCのための)適切な出発粉末を供給する工程、プレス及び焼結の工程、ならびにその後の成形(陽極円板の鍛造;切断片の半径方向鍛造)を含む。切断片は、後の軸受ブッシュを形成するために、管状の基本形状を有するように機械加工される。更に、成形(鍛造)の一部として、(40mmの軸方向長さを有する)突出した管状の接続片を、陽極円板の一方の側の中央に鍛造する、即ち、接続片を陽極円板の材料からモノリシックに形成する。管状の切断片の端面及び接続片の端面は、いずれも溶接される面積が2,000mm、内径が44mm(外径はこれによって決まる)である。ここでは、直接主軸駆動の摩擦溶接機が使用されている。管状切断片は摩擦溶接機の(回転しない)固定具にクランプされ、陽極円板は(回転する)スピンドル固定具にクランプされる。次いで、陽極円板を回転させ(毎分2,000回転)、30barの摩擦圧力で切断片に押しつける。次いで、陽極円板の駆動を停止し、押圧力を65barまで上昇させる。陽極円板と切断片との間の相対的な回転運動が起こる総摩擦時間は3秒である。次いで、なおも、最終的な幾何学的形状を生成するための機械的処理が行われ、その際に管状の切断片が軸受ブッシュを形成する。他の取付部品、コーティング、被覆などは、最初に説明したように、まだ追加することができる。部品の形状及び工程に応じて、(例えば、1,100℃~1,300℃の範囲の温度での)応力除去焼鈍を製造工程中に1回又は数回挿入することができる。
実施例2:陽極円板と軸受ブッシュとがTZM製であり、摩擦溶接によって互いに接続される、本発明に係るX線回転陽極の製造方法について、以下に説明する。実施例1の場合と同じステップとパラメータとが、以下の相違を除いて適用される:陽極円板及び切断片をTZMから(そしてMHCからではない)製造するための出発粉末が準備される。加えられた摩擦圧力はわずか25barであり、押圧力は陽極円板の駆動終了後わずか60barまで増加する。
実施例3:陽極円板と軸受ブッシュとがTZM製であり、互いに拡散接合を介して接続される、本発明に係るX線回転陽極の製造方法について、以下に説明する。最初に、実施例2の場合と同じように、陽極円板及び管状の切断片がTZMから製造される。管状の切断片の(接合される)端面及び接続片の(接合される)端面の両方が、機械加工され、次いで、滑らかな平面を提供するために、研削及び/又は研磨される。次いで、2つの構成要素の接触している端面の拡散接合が、1,700℃の温度、10MPaの圧力及び少なくとも5分の持続時間(好ましくは6~15分の範囲)で実施される。
本発明は、図に示す実施例に限定されるものではない。特に、液体金属軸受外殻の液体金属軸受走行面は、必ずしも円筒状の側面の形の直線輪郭を有する必要はなく、最初に説明したように、段付きの輪郭、円周リブなどを有することもできる。この場合、液体金属軸受は、典型的には、内殻は、対応して適合した輪郭を有する。
2 X線回転陽極
4 回転軸線
5 陽極円板
6 焦点軌道
8 基準平面
10 焦点軌道面
12 陽極円板の孔
14 陽極円板の孔の内壁
16 接続片
18 接続片の内壁
20 軸受ブッシュ
21 材料的結合による接続部
22 軸受ブッシュの内壁
24 延長片
26 延長片の内壁
27 X線回転陽極システム
28 ピン
30 軸受ギャップ
32 走行セクション
34 走行セクション
36 冷却剤流路
38 非貫通孔
40 冷却剤チューブ

Claims (15)

  1. Mo又はMo基合金からなる陽極円板(5)と、Mo又はMo基合金からなる軸受ブッシュ(20)とを有する、一体化された液体金属軸受外殻を備え、
    前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)が、回転軸線(4)の領域の中央に形成されている孔(12)を有し、その孔が、軸方向に前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の少なくとも一部を貫通して延びており、
    前記軸受ブッシュ(20)の内壁(22)が、少なくともその1つの軸方向セクションに亘って、周方向に液体金属軸受走行面として形成されていると共に、前記液体金属軸受外殻の第1のサブセクションを形成しており、
    前記液体金属軸受外殻が、第1のサブセクションと該第1のサブセクションに隣接する第2のサブセクションとによって形成されていると共に、連続した液体金属軸受走行面を有する、X線回転陽極であって、
    前記軸受ブッシュ(20)の内壁(22)が前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の孔(12)を継続するように、前記軸受ブッシュ(20)が、材料的結合による接続部(21)を介して、前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)に接続されており、且つ、
    前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の孔(12)の内壁(14)の少なくとも1つの軸方向セクションが、周方向に液体金属軸受走行面として形成されていると共に、液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの少なくとも一部を形成している
    ことを特徴とする、X線回転陽極。
  2. 前記材料的結合による接続部(21)が、拡散接合により作製された接続部、摩擦溶接接続部又はビーム溶接接続部であることを特徴とする請求項1に記載のX線回転陽極。
  3. 前記Mo基合金がMHC及び/又はTZMであって、
    MHCが次の組成、
    - 1.00~1.30重量%のHf含有量、
    - 500~1,200μg/gのC含有量、
    - 残部Mo
    を有し、場合によっては存在する金属不純物の含有量が5,000μg/g以下であり、場合によっては存在する、H、N及びOによる不純物の含有量が合計で1,000μg/g以下であり、且つ、
    TZMが次の組成、
    - 0.40~0.55重量%のTi含有量、
    - 0.06~0.12重量%のZr含有量、
    - 50~500μg/gのC含有量
    - 残部Mo
    を有し、場合によっては存在する金属不純物の含有量が5,000μg/g以下であり、場合によっては存在する、H、C、N及びOによる不純物の含有量が合計で1,500μg/g以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線回転陽極。
  4. 前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)及び前記軸受ブッシュ(20)が、いずれもモリブデンから又はいずれもモリブデン基合金から形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  5. 前記材料的結合による接続部(21)が摩擦溶接接続部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  6. 前記陽極円板(5;5’;5”)が、前記軸受ブッシュ(20)の側に接続片(16;16’)を有し、該接続片が、それの内壁(18)により前記陽極円板(5;5’;5”)の孔(12)を延長すると共に、前記陽極円板(5;5’;5”)の外側包囲面に対して外部に突出していること、前記接続片(16;16’)の内壁(18)の少なくとも1つの軸方向セクションが、周方向に液体金属軸受走行面として形成されていると共に、液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの一部を成していること、及び、前記陽極円板(5;5’;5”)の突出している接続片(16;16’)と前記軸受ブッシュ(20)との間に、材料的結合による接続部(21)が形成されていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  7. 前記陽極円板(5)の孔(12)が貫通孔として形成されていること、前記陽極円板(5)が前記軸受ブッシュ(20)とは反対側の面に延長片(24)を有し、該延長片(24)が、それの内壁(26)により前記陽極円板(5)の貫通孔(12)を延長すると共に前記陽極円板(5)の外側包囲面に対して外部に突出すること、及び、少なくとも前記延長片(24)の内壁(26)の少なくとも1つの軸方向セクションが、周方向に液体金属軸受走行面として形成されていると共に液体金属軸受外殻の第2のサブセクションの一部を成していること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  8. 前記陽極円板(5’;5””)の厚さが半径方向に回転軸線(4)に向かって増加しており、ここで、傾斜させられた焦点軌道面(10)の領域内の半径方向中央で測定された基準厚さ(d)から出発して前記孔(12)の領域内の厚さ(dII)までの厚さの増加が30~300%である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  9. 前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)が、円周方向に均一に配置され、前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の厚さを貫通する複数の貫通スリットを有し、該貫通スリットのそれぞれが、前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の外周と前記陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)の孔(12)との間の領域内の半径方向セクションに亘って延びていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のX線回転陽極。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の一体化された液体金属軸受外殻を備えたX線回転陽極と、液体金属軸受外殻に挿入された、液体金属軸受走行面を有する、液体金属軸受内殻とを備え、ここで、前記液体金属軸受外殻と前記液体金属軸受内殻とが、それらの間に規定された軸受ギャップ(30)が形成されるように、互いに調整されていることを特徴とするX線回転陽極システム。
  11. 前記液体金属軸受外殻上の前記液体金属軸受走行面及び/又は前記液体金属軸受内殻上の前記液体金属軸受走行面の少なくとも1つの軸方向端部セクションの領域に、少なくとも1つの周方向の機械的制限要素が設けられており、該制限要素が使用時に軸受ギャップ(30)内にある液体金属の軸方向の流れを制限することを特徴とする請求項10に記載のX線回転陽極システム。
  12. 前記液体金属軸受外殻上の前記液体金属軸受走行面及び/又は前記液体金属軸受内殻上の前記液体金属軸受走行面の少なくとも1つの軸方向端部セクションの領域に、使用時に前記軸受ギャップ(30)内にある液体金属による濡れを抑制する周方向のコーティングが設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載のX線回転陽極システム。
  13. 前記液体金属軸受内殻が、前記軸受ブッシュ(20)を貫通して少なくとも前記陽極円板(5”’)の孔(12)にまで案内されているピン(28’)上に形成されていることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のX線回転陽極システム。
  14. 前記液体金属軸受外殻上の液体金属軸受走行面及び/又は前記液体金属軸受内殻上の液体金属軸受走行面が、軸方向に互いに離間して設けられた少なくとも2つの周方向の表面構造化された走行セクション(32、34)を有することを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のX線回転陽極システム。
  15. 以下のステップを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のX線回転陽極の製造方法。
    - Mo又はMo基合金からなる陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)を準備するステップ、
    - Mo又はMo基合金から切断片を準備するステップ、
    - 切断片が陽極円板(5;5’;5”’;5””)の回転軸線(4)に対して中央に配置されるように、切断片を、陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)に材料的結合により接続するステップ、及び
    - 一体化された液体金属軸受外殻を有するX線回転陽極(2)を形成するために、陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)と切断片とを機械的に加工するステップであって、その際に切断片が、液体金属軸受走行面を有する軸受ブッシュ(20)を形成し、陽極円板(5;5’;5”;5”’;5””)が孔(12)を有し、その孔において内壁(14)の少なくとも1つの軸方向セクションが周方向に液体金属軸受走行面として形成されるステップ。
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