JP2023510938A - ポリ(エチレン-アクリラート)コポリマーを含むコーティング組成物および基材塗装方法 - Google Patents

ポリ(エチレン-アクリラート)コポリマーを含むコーティング組成物および基材塗装方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、バインダーとしての少なくとも1種の特定のエチレンコポリマーおよび少なくとも1種の架橋剤およびを含むコーティング組成物、特にクリアコート組成物、そのようなコーティング組成物で基材を塗装する方法、ならびに前記方法によって得られる塗装基材に関する。さらに、本発明は、コーティング層、特にクリアコート層の伸びおよび耐引掻性を向上させるための、そのようなコーティング組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、バインダーとしての少なくとも1種の特定のエチレンコポリマーおよび少なくとも1種の架橋剤を含むコーティング組成物、特にクリアコート組成物、そのようなコーティング組成物で基材を塗装する方法、ならびに前記方法によって得られる塗装基材に関する。さらに、本発明は、コーティング層、特にクリアコート層の伸びおよび耐引掻性を向上させるためにそのようなコーティング組成物を使用する方法に関する。
現在、自動車およびトラックといった車両にベースコート/クリアコート(クリアコート層で覆われた色素コーティング)仕上げが広く使用されている。典型的には、そのような仕上げはウェットオンウェット法によってもたらされる。ベースコート/クリアコート仕上げを施す方法においては、着色顔料および/または特殊効果付与顔料を含有するベースコート(一般的にカラーコートと称される)を塗布して短時間気流乾燥させるが、硬化はさせない。次いで、カラーコートを保護し、かつ仕上がりの光沢、像の鮮映性、および全体の見栄えを向上させるクリアコーティング組成物をその上に塗布し、カラーコートおよびクリアコートの両方を同時に硬化させる。クリアコート塗布前に、ベースコートは、任意に乾燥させ、硬化させることができる。
クリアコート仕上げの掻き傷および損傷は、車両の仕上げにとって依然として問題である。自動車車両上のクリアコート仕上げは、通常の使用中に、様々な出来事に起因する機械的損傷を受けることが多い。例えば、路上での通常の使用時にクリアコートと接触する、石、砂、金属製の物体などといった物質は、クリアコート仕上げのチッピングの原因となる。車両のドアを施錠および開錠するために使用される鍵、自動洗車装置およびブラシ、ならびにトランクの頂部またはボンネットといった自動車車両表面へ摺動する物体を設置することは、掻き傷および損傷の原因となる。また、クリアコート仕上げは、例えば酸性雨およびUV光への曝露によって引き起こされる環境被害を受ける。
典型的には、より硬度の高い高架橋フィルムは、向上した耐引掻性を示しうるが、可撓性が低く、かつ高い架橋密度に起因するフィルムの脆化により、チッピングまたは熱分解の影響をより一層受けやすい。より軟質な低架橋フィルムは、チッピングまたは熱分解を起こしにくいものの、硬化膜の低い架橋密度により、引掻き、ウォータースポット、および酸腐食の影響を受けやすい。
さらに、エラストマー自動車部品および付属品、例えばエラストマーバンパーおよびボンネットは、典型的には、「オフサイト」で塗装され、自動車組立工場へ輸送される。典型的には、そのようなエラストマー基材に塗布されるコーティング組成物は、割れることなくコーティングが基材と共に撓んだり、曲がったりできるよう、非常に可撓性であるよう配合される。必要な可撓性を達成するため、エラストマー基材上に使用されるコーティング組成物の多くは、架橋密度のより低いコーティングを生じるよう配合されるか、またはそのようなコーティング組成物は、膜全体のガラス転移温度(T)を下げる可撓性付与補助剤を含む。これらの配合技術によって基準を満たす可撓性特性を達成することができるが、引掻きがつきやすい、より軟質な膜となる可能性もある。その結果、自動車組立工場への輸送中に塗装表面の引掻きを防ぐため、塗装部品の梱包に多大な費用と注意が必要とされる。
近年のクリアコートシステムにおける耐引掻性の向上にもかかわらず、自動車塗装分野において、高い架橋密度によって膜が脆化することなく、初期の耐引掻性が良好であるだけでなく、耐候後(「保持」)耐引掻性が向上したクリアコートに対する需要がいまだに存在する。さらに、自動車産業において利用されるエラストマー基材用の、可撓性と耐引掻性を併せ持つクリアコートを提供することが有益である。
したがって、本発明の目的は、OEM仕上げおよび自動車補修におけるクリアコーティング組成物として適切なコーティング組成物であって、全体の外観を良好に維持すると同時に、向上した洗車耐引掻性、耐湿性、耐溶剤(すなわち、ガソリン)性、および高い可撓性を有するコーティング層をもたらすコーティング組成物を提供することである。したがって、高度な耐候安定性とのネットワーク形成を可能にすると同時に、高い耐引掻性および耐溶剤性だけでなく高い可撓性を確保するコーティング組成物を提供することを目的とする。加えて、コーティング組成物は、熱硬化直後に既に高度な耐引掻性を有し、特に、掻き傷に曝された後に高い水準で光沢を保持するコーティング層を形成する。加えて、コーティングおよびコーティングシステム、特にクリアコートシステムを、40μmを超える膜厚であっても、応力割れを生じさせることなく形成可能である。これは、技術的および美学的な要求が高い自動車のOEM仕上げおよび補修分野においてコーティングおよびコーティングシステム、特にクリアコートシステムを使用するための重要な要件である。さらに、新規のコーティング組成物は、非常に良好な再現性で容易に製造されるべきであり、かつ高い保存安定性を有するべきである。
上記の目的は、特許請求の範囲で請求される主題、および以下の記載に説明される主題の好ましい実施形態によって達成される。
したがって、本発明の第一の主題は、コーティング組成物であって、
a)エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーBであり、前記エチレンコポリマーが、エチレンコポリマーの総量に対して、重合形態で
i.エチレンを10から80質量%、
ii.少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%および/または少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、ならびに
iii.化合物C1およびC2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%
含む、少なくとも1種のバインダーBと、
b)少なくとも1種のバインダーB中に存在する相補的な反応性官能基と架橋反応を起こすことができる少なくとも1個の反応性官能基を含む少なくとも1種の架橋剤CAと
を含む、コーティング組成物である。
以下、上記で特定されたコーティング組成物は、本発明のコーティング組成物とも称され、したがって本発明の主題である。本発明のコーティング組成物の好ましい実施形態は、以下の記載および従属項からも明らかである。
先行技術を踏まえると、コーティング組成物において、適切な相補的反応性基を有する架橋剤と併せて特定のエチレンコポリマーをバインダーとして使用することによって本発明の基礎となる目的が達成できたことは、当業者が予期できない驚くべきことである。特定のエチレンコポリマーを使用することにより、(メタ)アクリル樹脂を含むコーティング組成物から製造されたコーティング層と比較し、向上した洗車耐引掻性、耐湿性、耐溶剤(すなわち、ガソリン)性、および可撓性を有するコーティング層をもたらすコーティング組成物が生じる。加えて、コーティング組成物は、応力割れを生じさせることなく膜厚が40μmより厚いコーティング層を製造することができ、そのためOEM自動車仕上げ用途に特に適する。さらに、本発明のコーティング組成物は、容易に製造され、かつ高い保存安定性を示すことができる。
本発明のさらなる主題は、基材上に少なくとも1層のコーティングを製造する方法であって、
(1)任意に色素ベースコート組成物を基材に塗布し、前記ベースコート組成物からコーティング膜を形成し、任意に前記ベースコート膜を硬化させる工程と、
(2)本発明のコーティング組成物を基材または工程(1)の後に得られる塗装基材に塗布する工程と、
(3)工程(2)で塗布された組成物からコーティング膜を形成する工程と、
(4)工程(1)および/または(3)の後に得られるコーティング膜を硬化させる工程と
を含む、方法である。
本発明の別の主題は、本発明の方法によって得られるコーティングである。
本発明の最後の主題は、コーティング層、特にクリアコート層の伸びおよび耐引掻性を向上させるために本発明のコーティング組成物を使用する方法である。
本発明との関連において、特定の可変特性を決定するために用いられる測定方法は、実施例の節に示される。別段の明示的な記載がない限り、それらの測定方法は、それぞれの可変特性を決定するために用いられる。本発明との関連において、公式な有効期間を示すことなく公定基準に言及する場合、出願日に有効な版の基準、またはその時点で有効な版が存在しない場合は最後に有効であった版を黙示的に参照する。
「エチレンコポリマー」という用語は、エチレンおよび適切な反応条件下でエチレンと重合することができる少なくとも1種のさらなるモノマーに由来するポリマーを意味する。したがって、前記少なくとも1種のさらなるモノマーは、好ましくは、少なくとも1つの不飽和部分を含有する。その結果、化合物C1からC3に関連する「重合性化合物」という用語は、適切な反応条件下でエチレンと重合することができる化合物、好ましくはモノマーを意味する。したがって、前記化合物C1からC3は、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの不飽和部分を含有する。
「架橋剤」という用語は、適切な反応条件下でバインダーB中に存在する官能基、好ましくは水酸基またはエポキシ基と化学反応して、その結果バインダーを架橋させることができる、少なくとも1個の官能基、好ましくはイソシアナート基を有する化合物を意味する。
「(メタ)アクリラート」という用語は、アクリラートおよびメタクリラートの両方を意味する。したがって、(メタ)アクリラートは、アクリラートおよび/またはメタクリラートから構成されてよく、例えばスチレンまたはアクリル酸といったエチレン性不飽和モノマーをさらに含みうる。
本発明との関連において記載される全ての膜厚は、乾燥膜厚であると理解されるべきである。したがって、それは、いずれの場合にも硬化膜の厚さである。よって、コーティング材料が特定の膜厚で塗布されると記載される場合、示された膜厚が硬化後にもたらされるようコーティング材料が塗布されることを意味する。
本発明との関連において説明される温度は、基材または塗装基材が置かれる部屋の温度であると理解されるべきである。したがって、基材そのものが問題となる温度を有する必要があることを意味しない。以下、室温と表記される場合、20から25℃の範囲の温度であると理解されるべきである。
本発明のコーティング組成物
バインダーB
本発明のコーティング組成物は、第1の必須成分(a)として、少なくとも1種の特定のエチレンコポリマーを含む少なくとも1種のバインダーBを含む。好ましくは、少なくとも1種のバインダーBは、エチレンコポリマーからなる。DIN EN ISO4618(ドイツ版、年月:2007年3月)に従う、本発明の意味における「バインダー」という用語は、好ましくは、本発明におけるあらゆる顔料およびフィラーを除く、膜の形成に関与する本発明の組成物の不揮発性分を意味し、より特定すると、膜の形成に関与するポリマー樹脂を意味する。
前記エチレンコポリマーは、重合形態で、
i.エチレンを10から80質量%、
ii.少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%および/または少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、ならびに
iii.化合物C1およびC2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%含む。
本発明との関連において、エチレンコポリマーが、重合形態で成分i、ii、および任意にiiiを含むと記載される場合、このことは問題となるエチレンコポリマーを製造するための出発化合物としてこれらの特定の成分が使用されることを意味する。エチレンは、不飽和部分を含むさらなるモノマーと重合することができるため、エチレンコポリマーは、エチレンおよびさらなるモノマー中に既に存在する不飽和部分を、好ましくはC-C単結合の形態、すなわちエチレンおよびさらなるモノマーが相応に反応した形態で含む。したがって、明瞭化のため、各コポリマーは、いずれの場合にも重合形態で、それらの成分を含むと記載される。したがって、「エチレンコポリマーは、重合形態で成分(X)を含む」という表現の意味は、「成分(X)は、エチレンコポリマーの製造中にモノマー化合物として使用された」という表現の意味と同一であると考えることができる。
エチレンコポリマーは、好ましくは、連続高圧重合プロセスで製造される。本発明との関連において、「高圧連続重合プロセス」という用語は、1,000から4,000バールにおける、出発原料i、ii、任意にiii、ならびに任意に、以下に示される少なくとも1種の連鎖移動剤および/または溶媒の連続供給(以下、モノマー供給とも呼ばれる)、および製造されたエチレンコポリマーの連続生産を含む重合プロセスを意味する。重合プロセスは、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも24時間、特に少なくとも72時間継続しうる。
重合プロセスは、以下高圧オートクレーブとも称される攪拌高圧オートクレーブ中、または以下管型反応器とも称される高圧管型反応器中で行われてよい。5:1から30:1、好ましくは10:1から20:1の範囲の長さ/直径比を有しうる高圧オートクレーブが好ましい。
重合プロセスは、1,000から4,000バール、好ましくは1,200から2,500バール、特に1,500から2,200バールの範囲の圧力で行われてよい。重合中に圧力を徐々にまたは急に変更することが可能である。圧力が変更される場合であっても、圧力は前述の範囲内に保持される。
重合プロセスは、150から300℃、好ましくは170から250℃、特に190から230℃の範囲の反応温度で行われてよい。
モノマー供給は、エチレン、少なくとも1種の重合性化合物C1および/またはC2、ならびに任意に少なくとも1種の重合性化合物C3を含む。エチレン、化合物C1および/またはC2、任意に化合物C3、ならびに以下に示されるさらなる化合物および溶媒は、高圧オートクレーブまたは高圧管型反応器に投入される前、投入中、または投入された後に混合されうる。好ましくは、エチレン、化合物C1および/またはC2、任意に化合物C3、ならびに以下に示される連鎖移動剤は、高圧オートクレーブに投入される前に混合される。典型的には、重合プロセスは、高圧オートクレーブまたは高圧管型反応器の内部に通常ある重合域中で行われる。高圧オートクレーブまたは反応器に投入する前の前述の化合物および溶媒の混合は、200から300バールの中間圧力域で行うことができ、圧縮機内混合と呼ばれる。圧縮機内混合によって、得られる混合物の均一性が向上する。代わりに、全ての液体化合物(すなわち、液化エチレン、化合物C1および/またはC2、任意に化合物C3、連鎖移動剤、ならびに溶媒)は、1,000から4,000バールの高圧領域に直接添加されうる(圧縮機外混合と呼ばれる)。加えて、液体成分を加える両方法を同時に使用することができる。
好ましくは、モノマー供給は、開始剤を含まず、好ましくは以下に示されるラジカル重合に適する開始剤を含まない。
モノマー供給は、エチレンコポリマーに関連して先に示された量に到達するのに適する量のエチレン、化合物C1および/またはC2、ならびに任意にC3を含む。
通常、モノマー供給は、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に少なくとも50質量%のエチレンを含む。別の形態において、モノマー供給は、モノマー供給の総質量に対して、30から95質量%、好ましくは40から90質量%、特に50から70質量%または70から85質量%のエチレンを含む。
通常、モノマー供給は、少なくとも1個の水酸基を含む重合性化合物C1を、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に少なくとも35質量%含み、ここで百分率は、モノマー供給の総質量を基準とする。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個の水酸基を含む重合性化合物C1を、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%、特に少なくとも12質量%含み、ここで百分率は、モノマー供給の総質量を基準とする。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個の水酸基を含む重合性化合物C1を、10から70質量%、好ましくは20から60質量%、特に36から55質量%含む。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個の水酸基を含む重合性化合物C1を、5から60質量%、好ましくは8から45質量%、特に12から35質量%含む。
通常、モノマー供給は、少なくとも1個のエポキシ基を含む重合性化合物C2を、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、特に少なくとも35質量%含み、ここで百分率は、モノマー供給の総質量を基準とする。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個のエポキシ基を含む重合性化合物C2を、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも8質量%、特に少なくとも12質量%含み、ここで百分率は、モノマー供給の総質量を基準とする。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個のエポキシ基を含む重合性化合物C2を、10から70質量%、好ましくは20から60質量%、特に30から50質量%含む。別の形態において、モノマー供給は、少なくとも1個のエポキシ基を含む重合性化合物C2を、5から60質量%、好ましくは8から45質量%、特に12から35質量%含む。
モノマー供給は、最大で10質量%、好ましくは最大で20質量%、より好ましくは最大で30質量%、非常に好ましくは最大で40質量%の重合性化合物C3を含んでよく、ここで百分率は、モノマー供給の総質量を基準とする。別の形態において、モノマー供給は、5から70質量%、好ましくは10から60質量%、特に15から55質量%の重合性化合物C3を含む。
通常、エチレンの転換は、いずれの場合にもエチレン供給および反応温度を基準として、約10から50質量%、好ましくは25から45質量%、特に30から45質量である。
エチレン、化合物C1および/またはC2、ならびに任意にC3を含むモノマー供給の重合は、通常、少なくとも1種の連鎖移動剤の存在中で行われる。本発明の意味における適切な連鎖移動剤は、コポリマー鎖の末端として組み込まれることによって重合反応を停止させる化合物である。適切な連鎖移動剤は、飽和もしくは不飽和炭化水素、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、水素、またはそれらの混合物から選択される。本明細書で使用される「脂肪族」という用語は、「脂環式」という用語を含み、非芳香族基、部分、および化合物をそれぞれ意味する。
飽和および不飽和炭化水素の中で、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、イソドデカン、プロペン、ブテン、ペンテン、シクロヘキセン、ヘキセン、オクテン、デセン、およびドデセンから、ならびにトルエン、キシロール、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、それらの混合物といった芳香族炭化水素から連鎖移動剤を選択することができる。
連鎖移動剤として適切なケトンまたはアルデヒドは、一般式(I)
-C(O)-R (I)
(式中、RおよびRは、互いに独立して
- 水素、
- メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、およびsec-ヘキシル基といったC~Cアルキル基、より好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチル基といったC~Cアルキル基、または
- シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシル基といったC~C12シクロアルキル基、より好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル基から選択される)
で表される化合物といった脂肪族アルデヒドまたは脂肪族ケトンである。
およびR残基は、互いに共有結合して4から13員環を形成しうる。例えば、RおよびRは、以下のアルキレン基を形成しうる:-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-CH(CH)-CH-CH-CH(CH)-、または-CH(CH)-CH-CH-CH-CH(CH)-。
連鎖移動剤として好ましいケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、およびジアミルケトンである。連鎖移動剤として好ましいアルデヒドは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、およびペンタナールである。
アルコールの中で、連鎖移動剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびペンタノールからなる群から選択される。
チオールの中で、連鎖移動剤は、メルカプトエタノールからテトラデカンチオールから選択されてよい。別の形態において、適切なチオールは、エタンチオール、n-プロパンチオール、2-プロパンチオール、n-ブタンチオール、tert-ブタンチオール、2-ブタンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、n-ペンタンチオール、2-ペンタンチオール、3-ペンタンチオール、2-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-2-ブタンチオール、n-ヘキサンチオール、2-ヘキサンチオール、3-ヘキサンチオール、2-メチル-2-ペンタンチオール、3-メチル-2-ペンタンチオール、4-メチル-2-ペンタンチオール、2-メチル-3-ペンタンチオール、3-メチル-3-ペンタンチオール、2-エチルブタンチオール、2-エチル-2-ブタンチオール、n-ヘプタンチオールおよびその異性体化合物、n-オクタンチオールおよびその異性体化合物、n-ノナンチオールおよびその異性体化合物、n-デカンチオールおよびその異性体化合物、n-ウンデカンチオールおよびその異性体化合物、n-ドデカンチオールおよびその異性体化合物、n-トリデカンチオールおよびその異性体化合物といった1級、2級、または3級脂肪族チオール、2-ヒドロキシエタンチオールといった置換チオール、ベンゼンチオール、オルト、メタ、またはパラメチルベンゼンチオールといった芳香族チオール、3-メルカプトプロピオン酸6-メチルヘプチルまたは2-メルカプトエタン酸2-エチルヘキシルといったメルカプトアルカン酸およびその誘導体などの有機チオ化合物である。
アミンの中で、連鎖移動剤は、ジアルキルアミンまたはトリアルキルアミンといった1級、2級、または3級アミンから選択される。アミンの例は、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミンである。
好ましい連鎖移動剤は、脂肪族アルデヒドおよび/または脂肪族ケトンおよび/または水素である。特に好ましい連鎖移動剤は、プロピオンアルデヒドおよび/またはメチルエチルケトンおよび/または水素である。
メチルエチルケトンに対するプロピオンアルデヒドの質量比は、4:1から1:4、好ましくは3.5:1から1:3.0、特に2.8:1から1:2.5の範囲であってよい。
別の形態において、エチレンならびに化合物C1および/またはC2、ならびに任意にC3を含むモノマー供給は、モノマー供給の総質量に対して少なくとも2質量%の連鎖移動剤の存在中で重合されてよい。連鎖移動剤は、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して、4から28質量%、好ましくは6から23質量%、特に9から13質量%または13から20質量%の量で使用されてよい。
適切な溶媒(例えば、炭化水素)で連鎖移動剤を希釈することができ、好ましくは、連鎖移動剤は追加の溶媒を用いずに使用される。
通常、重合プロセスはフリーラジカル重合であり、したがって、開始剤によって開始される。適切な開始剤は、有機過酸化物、酸素、またはアゾ化合物である。複数のフリーラジカル開始剤の混合物も適切である。
適切な過酸化物は、過酸化ジデカノイル、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、ペルオキシピバル酸tert-アミル、2-エチルペルオキシヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジベンゾイル、2-エチルペルオキシヘキサン酸tert-ブチル、ジエチルペルオキシ酢酸tert-ブチル、ジエチルペルオキシ酪酸tert-ブチル、異性体混合物としての1,4-ジ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)シクロヘキサン、3,5,5-トリメチルペルオキシヘキサン酸tert-ブチル、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、メチルイソブチルケトンペルオキシド、過炭酸tert-ブチルイソプロピル、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンまたは過酢酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、ジ-tert-過酸化アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン異性体、2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルペルオキシヘキサン、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、1,3-ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、クミンヒドロペルオキシドまたはtert-ブチルヒドロペルオキシド、または二量体または三量体ケトンペルオキシドである。
アゾ化合物として、アゾジカルボン酸エステル、アゾジカルボン酸ジニトリルが適切であり、例としてアゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」)が挙げられる。
好ましい開始剤は、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシピバル酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシソノナノアート、2-エチルペルオキシヘキサン酸tert-ブチル、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、ペルオキシピバル酸tert-アミルが開始剤として使用される。
開始剤、例えば有機過酸化物は、その取り扱いを容易にするために溶媒と混合されることが多い。好ましい形態において、開始剤は、室温で液体である1種または複数種のケトンまたは炭化水素(特にオレフィン)に溶解している形態で導入される。開始剤は、好ましくは、0.1から50質量%の濃度の溶液、好ましくは0.5から20質量%の濃度の溶液として、室温で液体である1種もしくは複数種の炭化水素または1種もしくは複数種のケトン、炭化水素(例えば、オレフィンまたはトルエン、エチルベンゼン、オルトキシレン、メタキシレン、およびパラキシレンといった芳香族炭化水素、また、シクロヘキサンといった脂環式炭化水素および分岐または非分岐の脂肪族C~C16炭化水素、例えばn-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-デカン、n-ドデカン、および特にイソドデカン)またはケトン(例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルメチルケトン)の混合物中に供給される。開始剤用の溶媒が連鎖移動剤としても機能する場合(例えばケトン)、モノマー供給中の連鎖移動剤の量を計算する際に前記溶媒の量を考慮する。
開始剤の量は、開始剤の化学的性質によって決まり、慣例の実験によって調整されうる。典型的には、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して0.001から0.1質量%、好ましくは0.01から0.05質量%の開始剤が存在する。
本明細書で用いられる開始剤は、任意の適切な方法で、例えば適切な溶媒中に開始剤を溶解させ、開始剤溶液を直接重合域中に投入することによって重合域中に導入されうる。代わりに、開始剤は、重合域中に導入する前に、エチレン供給流、または化合物C1および/もしくはC2ならびに任意にC3を含有する供給流中に投入されてよい。例えば、開始剤は、管型反応器の最初、中間、または後ろ3分の1に供給されうる。開始剤は、管型反応器の複数箇所にも供給されうる。開始剤は、オートクレーブの中間部の1箇所、またはオートクレーブの上部および中間部もしくは底部のいずれかに供給されうる。加えて、3箇所以上への投入も可能である。
重合プロセスの後に、水素化といった重合後反応が続いてもよい。水素化は、均一系または不均一系接触水素化であってよい。通常、水素化は、溶媒中に溶解していても、または無機支持体に支持されていてもよい(例えば、Rh、Co、Ni、Pd、またはPt系の)遷移金属触媒の存在中で水素分子を用いて達成される。
通常、エチレンコポリマーは結晶でなく、一般にT>15℃において示差走査熱量測定で結晶化開始温度(Tcc)を測定することはできない。通常、エチレンコポリマーについてメルトフローインデックスを決定することはできない。
ASTM D97-05に従って決定されるエチレンコポリマーの流動点は、25℃未満、好ましくは20℃未満、特に15℃未満でありうる。このように流動点が低いため、エチレンコポリマーは、室温で液体であり、したがって好ましくは(JIS Z8803:2011に従い、67.4μN・mのフルスケールトルクで東京計器株式会社が提供するBM型ブルックフィールド粘度計を用いて決定される)粘度が23℃で1,000mPa・s未満である、例えば室温(すなわち、20から25℃)で液体であるコーティング組成物に前記エチレンコポリマーをバインダーとして容易に組み込むことが可能である。
エチレンコポリマーが少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の化合物C1を含有する場合、エチレンコポリマーは、50mgKOH/固体gを超える水酸基価を有することが好ましい。この高い水酸基価によって、結果として得られるコーティング層の高い可撓性に悪影響をもたらすことなく、架橋剤CAを用いて十分な架橋度および耐引掻性を達成することが可能となる。好ましくは、JIS K0070:1992に従って決定されるエチレンコポリマーの水酸基価は、50から250mgKOH/固体g、好ましくは50から200mgKOH/固体g、非常に好ましくは100から200mgKOH/固体gである。
好ましくは、標準ポリスチレンを用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されるエチレンコポリマーの質量平均分子量Mは、1,000から30,000g/mol、より好ましくは1,500から15,000g/mol、非常に好ましくは3,000から10,000g/molである。好ましくは、エチレンコポリマーの数平均分子量Mは、1,000から12,000g/mol、好ましくは1,200から9,000g/mol、より好ましくは1,500から7,000g/mol、非常に好ましくは1,700から5,000g/molの範囲内である。Mに関連して先に記載されたようにMを測定することができる。
通常、エチレンコポリマーは、1.5から3、好ましくは1.7から2.5の多分散度PD(M/M)を有する。別の形態において、エチレンコポリマーは、通常、2.7から4.5、より好ましくは3.0から4.0、最も好ましくは3.2から3.8の範囲の多分散度PDを有する。
好ましくは、ASTM D445-2018に従って決定されるエチレンコポリマーの120℃における動粘度(V120)は、10から6,000mm/s(cst)、好ましくは40から4,000mm/g(cst)、非常に好ましくは70から2,300mm/g(cst)である。
エチレンコポリマーは、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、20から70質量%、好ましくは25から65質量%、より好ましくは30から60質量%のエチレンを含みうる。
好ましくは、少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1は、水酸基含有(メタ)アクリラートから、より好ましくはC1~C12ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリラートから、さらにより好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリラート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリラート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラートから、非常に好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートから選択される。
エチレンコポリマーは、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートを1から70質量%、好ましくは3から60質量%、より好ましくは7から50質量%含みうる。
好ましくは、少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2は、グリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートから選択される。
エチレンコポリマーは、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個のエポキシ基、好ましくはグリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートを含む少なくとも1種の重合性化合物C2を5から70質量%、好ましくは10から60質量%、より好ましくは15から55質量%含みうる。
好ましくは、少なくとも1種の重合性化合物C3は、アルキル(メタ)アクリラートから、より好ましくはC~C22アルキル(メタ)アクリラートから、さらにより好ましくはCアルキル(メタ)アクリラート、Cアルキル(メタ)アクリラート、Cアルキル(メタ)アクリラート、Cアルキル(メタ)アクリラート、Cアルキル(メタ)アクリラート、およびCアルキル(メタ)アクリラートといったC~C12アルキル(メタ)アクリラートから、非常に好ましくはメチル(メタ)アクリラートおよび/またはn-ブチル(メタ)アクリラートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートから選択される。
エチレンコポリマーは、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1種の重合性化合物C3、好ましくはメチル(メタ)アクリラート、および/またはn-ブチル(メタ)アクリラート、および/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートを5から75質量%、好ましくは10から70質量%、より好ましくは15から60質量%含みうる。
下記の特に好ましいバインダーが、本発明のコーティング組成物に使用される。
いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、
i.エチレンを10から80質量%、好ましくは30から60質量%、
ii.少なくとも1種の化合物C1、特に2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートを1から90質量%、好ましくは7から50質量%、ならびに
iii.少なくとも1種の化合物C3、特にメチル(メタ)アクリラートおよび/またはn-ブチル(メタ)アクリラート、および/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートを0から80質量%、好ましくは15から60質量%
含むエチレンコポリマーを含む、好ましくはそのようなエチレンコポリマーからなる、バインダーB-1a。
いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、
i.エチレンを10から80質量%、好ましくは30から60質量%、
ii.少なくとも1種の化合物C2、特にグリシジル(メタ)アクリラートを1から80質量%、好ましくは15から55質量%、ならびに
iii.少なくとも1種の化合物C3、特にメチル(メタ)アクリラートおよび/またはn-ブチル(メタ)アクリラート、および/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートを0から80質量%、好ましくは15から60質量%
含むエチレンコポリマーを含む、好ましくはそのようなエチレンコポリマーからなる、バインダーB-2a。
本発明のコーティング組成物は、1種のバインダーB、好ましくは前述のバインダーB-1aもしくはB-2aそのものを含むことができ、または異なるバインダーBの混合物を含むことができる。この場合、少なくとも1種のバインダーBは、
- エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーB-1であって、前記エチレンコポリマーは、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、エチレンを10から80質量%、少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%、および化合物C1と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%含む、少なくとも1種のバインダーB-1、ならびに
- エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーB-2であって、前記エチレンコポリマーは、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、エチレンを10から80質量%、少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、および化合物C2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%含む、少なくとも1種のバインダーB-2
を含むことが好ましい。
本発明のコーティング組成物中に存在する、少なくとも1種のバインダーB、特に先に挙げた特定のバインダーBの総量は、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、10から60質量%、好ましくは15から50質量%、より好ましくは25から45質量%、非常に好ましくは30から40質量%である。1種を超えるバインダーBが存在する場合、前述の量は、本発明のコーティング組成物中に存在する全てのバインダーBの合計を意味する。
架橋剤CA
本発明のコーティング組成物の第2の必須成分は、架橋剤CAである。前記架橋剤CAは、少なくとも1種のバインダーB中に存在する相補的な反応性官能基と架橋反応を起こすことができる少なくとも1種の反応性官能基を含む。少なくとも1種のバインダーBは、水酸基またはエポキシ基の形態の反応性官能基を含有するため、そのような水酸基またはエポキシ基と架橋反応を起こすことができる好ましい反応性官能基は、イソシアナート基、アミノ基、水酸基、またはカルボジイミド基である。したがって、官能基の好ましい組み合わせは、
- バイダB中の水酸官能基と架橋剤CA中のイソシアナート基またはカルボジイミド基、
- バイダB中のエポキシ官能基と架橋剤CA中のアミノ基または水酸基
から選択される。
好ましくは、少なくとも1種の架橋剤CAは、ブロックポリイソシアナートおよび/または非ブロックポリイソシアナート、メラミン樹脂、ポリカルボジイミド、トリアジン、好ましくはトリアルコキシカルバマートトリアジン、多官能性酸樹脂、ならびにそれらの混合物、より好ましくはブロックポリイソシアナートおよび/または非ブロックポリイソシアナートから選択される。
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、少なくとも1種のバインダーB中に存在する相補的な反応性官能基に対し、少なくとも1種の架橋剤CA中に存在する全ての反応性官能基を特定の当量値で含む。これにより、十分な架橋が確実となり、形成されるコーティング層の光学的および機械的性質に悪影響をもたらす可能性がある、架橋剤の官能基と空気中の水分との反応が低減される。好ましくは、組成物に含まれる少なくとも1種の架橋剤CA中に存在する全ての反応性官能基の当量値は、少なくとも1種のバインダーB中に存在する全ての相補的な反応性官能基に対し、0.5から2.0、より好ましくは0.5から1.5、非常に好ましくは0.8から1.2である。
好ましくは、存在する少なくとも1種の架橋剤CAの総量は、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、4から40質量%、より好ましくは5から35質量%、さらにより好ましくは10から30質量%、非常に好ましくは12から25質量%である。
さらなる原料
本発明によるコーティング組成物は、コーティング組成物中に通常使用される追加の原料を含有しうる。
バインダーBと架橋剤CAの間の架橋を容易にするため、少なくとも1種の架橋触媒CATがコーティング組成物に含有されてよい。少なくとも1種の架橋触媒の存在は、ブロックまたは非ブロックイソシアナート基を含有する架橋剤CAが本発明のコーティング組成物中に存在する場合、特に好ましい。
原則として、全ての一般的に公知の架橋触媒を使用することができる。しかし、少なくとも1種の架橋触媒CATは、スズ含有触媒、ビスマス含有触媒、ジルコニウム含有触媒、リチウム含有触媒、およびそれらの混合物から、好ましくは、ジブチルスズジラウラート、ビスマスカルボキシラート、ジルコニウムカルボキシラート、リチウムカルボキシラート、およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。
好ましくは、少なくとも1種の架橋触媒CATは、ジブチルスズジラウラート、ビスマスカルボキシラート、ジルコニウムカルボキシラート、リチウムカルボキシラート、およびそれらの混合物であり、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、好ましくは0.005から1質量%、より好ましくは0.08から0.2質量%の総量で存在する。
先に詳細に説明したバインダーBとは別に、本発明のコーティング組成物は、バインダーBと異なるさらなるバインダーBFも含むことができる。適切なバインダーは、当業者に一般的に公知の、物理および/または熱および/または化学硬化性バインダーを含む。本発明との関連において、「物理硬化性」または「物理硬化」という用語は、ポリマー溶液またはポリマー分散液から溶媒が蒸発することによる硬化コーティング膜の形成を意味し、ポリマー鎖のインターループによって硬化が達成される。「熱および化学硬化性」という用語は、熱エネルギーを通して開始される反応性官能基の化学反応による塗料膜の架橋(硬化コーティング膜の形成)を意味する。これは、相補的な官能基の反応および/または自己反応性基、すなわち同種の官能基間で反応する官能基の反応を含む。適切な相補的反応性官能基および自己反応性官能基の例は、例えば、独国特許出願DE19930665A1、7頁、28行目から9頁、24行目から公知である。化学硬化は、例えば、任意に少なくとも1種の光開始剤と組み合わせて不飽和結合を含むバインダーを使用する放射線による硬化も含む。
架橋は、自己架橋および/または外部架橋であってよい。例えば、相補的な反応性官能基がバインダーとして使用される有機ポリマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、またはポリ(メタ)アクリラート中に既に存在する場合、自己架橋が進行する。外部架橋は、例えば特定の官能基、例えば水酸基を含有する(第1の)有機ポリマーが、それ自体が既知の架橋剤、例えばポリイソシアナートおよび/またはメラミン樹脂と反応する場合に進行する。しがたって、架橋剤は、バインダーとして使用される(第1の)有機ポリマー中に存在する反応性官能基に対して相補的な反応性官能基を含有する。
好ましいさらなるバインダーは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ(メタ)アクリラート、ポリウレタン、ポリウレタンポリ(メタ)アクリラートコポリマー、ポリウレタンポリウレアコポリマー、それらの混合物、および記載したポリマーのコポリマーといった水酸官能性ポリマーから選択される。本発明との関連において、コポリマーは、異なるポリマーから形成されるポリマー粒子を意味する。これは、互いに共有結合するポリマー、および異なるポリマーが接着によって互いに結合するものの両方を明示的に含む。2種の結合の組み合わせも、この定義に含まれる。本発明の好ましい実施形態によると、コーティング組成物は、バインダーBとは別のさらなるバインダーを含まず、すなわち、バインダーBと異なるさらなるバインダーBFの量は、コーティング組成物の総質量に対して0質量%である。
本発明のコーティング組成物は、慣習的に知られる少なくとも1種のコーティング添加剤を、通常の量で、すなわち、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、好ましくは0から20質量%、より好ましくは0.005から15質量%、特に好ましくは0.01から10質量%の量でさらに含みうる。前述の質量パーセントの範囲は、全ての添加剤の合計に同様に適用される。
前記添加剤は、(i)UV吸収剤、(ii)HALS化合物、ベンゾトリアゾール、またはシュウ酸アニリドといった光安定剤、(iii)液垂れ制御剤(尿素結晶変性樹脂)、有機増粘剤、および無機増粘剤といったレオロジー調節剤、(iv)フリーラジカル捕捉剤、(v)スリップ添加剤、(vi)重合抑制剤、(vii)消泡剤、(viii)湿潤剤、(ix)フッ素化合物、(x)接着促進剤、(xi)レベリング剤、(xii)セルロース誘導体といった膜形成補助剤、(xiii)シリカ、アルミナ、または酸化ジルコニウム系のナノ粒子といったフィラー、(xiv)難燃剤、ならびに(xv)それらの混合物からなる群から選択されうる。
特に好ましい添加剤は、UV吸収剤、光安定剤、およびレベリング剤である。適切なUV吸収剤および光安定剤は、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、立体障害アミン、シュウ酸ジアミン、トリアジン、およびそれらの混合物から選択される。特に適切なレベリング剤は、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンから選択される。
コーティング組成物中に存在する個別の架橋剤CAに応じて、前記組成物は、一成分系として構成されるか、または2種(二成分系)またはそれ以上(多成分系)の成分を混合することによって得ることが可能である。熱化学硬化性の一成分系において、架橋される成分、すなわちバインダーおよび架橋剤は、互いに並存、すなわち1成分で存在する。そのためには、例えば保存中の早期の熱化学的硬化を防ぐよう、100℃を超える比較的高い温度でのみ、架橋される成分が互いに効率的に反応することが条件となる。そのような組み合わせとして、水酸官能性ポリエステルおよび/またはポリウレタンと、架橋剤としてメラミン樹脂および/またはブロックポリイソシアナートが例示されうる。
熱化学硬化性二成分系または多成分系において、架橋される成分、すなわちバインダーおよび架橋剤は、塗布する直前に混ぜ合わされる少なくとも2つの成分に互いに分離して存在する。この形態は、大気温度または例えば40から90℃のやや高い温度であっても架橋される成分が互いに効率的に反応する場合に選択される。そのような組み合わせとして、水酸官能性ポリエステルおよび/またはポリウレタンおよび/またはポリ(メタ)アクリラートと、架橋剤として遊離ポリイソシアナートが例示されうる。特に好ましい組成は、基材への塗布前に混合される必要があり、好ましくはバインダーBおよび架橋剤CAを個別の容器中に含む二成分組成である。2種以上の成分を混合することによって組成物が得ることが可能な場合、架橋剤含有成分に対するバインダー含有成分の質量比は、好ましくは85:15から55:45である。
混合は手動で行われてよく、適量の第1の成分が容器に導入され、対応する分量の第2の成分と混合される。しかし、2種以上の成分の混合は、自動混合システムを用いて自動で行うこともできる。そのような自動混合システムは、混合部、より特定すると静的混合機、ならびにバインダー含有第1の成分および架橋剤含有第2の成分を供給するための少なくとも2個の装置、より特定するとギアポンプおよび/または圧力弁を含むことができる。
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、クリアコートまたは着色クリアコート組成物である。着色クリアコート組成物は、基材に塗布された際、クリアコーティングのように完全に透明で無色でもなく、典型的な色素コーティングのように完全に不透明でもない。したがって、着色クリアコーティングは、透明であり、かつ着色しているか、または半透明であり、かつ着色している。コーティング組成物に一般的に使用される顔料および/または染料を少なくとも1種添加することによって色を得ることができる。適切な顔料は、例えば、有機および無機の着色顔料、効果顔料、およびそれらの混合物である。そのような着色顔料および効果顔料は、当業者に公知であり、例えばRoempp-Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、ニューヨーク州、1998年、176および451頁に記載される。「着色顔料」および「色顔料」という用語は置き換えることができ、「視覚効果顔料」および「効果顔料」という用語も同様である。適切な無機着色顔料は、(i)二酸化チタン、ジンクホワイト、着色酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンといった白色顔料、(ii)酸化鉄ブラック、鉄マンガンブラック、スピネルブラック、カーボンブラックといった黒色顔料、(iii)ウルトラマリングリーン、ウルトラマリンブルー、マンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット、マンガンバイオレット、酸化鉄赤、モリブデン赤、ウルトラマリンレッド、酸化鉄ブラウン、混合ブラウン、スピネルおよびコランダム相、酸化鉄イエロー、バナジン酸ビスマスといった色顔料、(iv)二酸化ケイ素、石英紛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然マイカ、天然および沈降炭酸石灰、硫酸バリウムといったフィラー顔料、ならびに(vi)それらの混合物から選択される。
適切な有機着色顔料は、(i)C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントオレンジ5、36、および67、C.I.ピグメントオレンジ5、36、および67、C.I.ピグメントレッド3、48:2、48:3、48:4、52:2、63、112、および170、C.I.ピグメントイエロー3、74、151、および183といったモノアゾ顔料、(ii)C.I.ピグメントレッド144、166、214、および242、C.I.ピグメントレッド144、166、214、および242、ならびにC.I.ピグメントイエロー83といったジアゾ顔料、(iii)C.I.ピグメントイエロー147および177、ならびにC.I.ピグメントバイオレット31といったアントラキノン顔料、(iv)C.I.ピグメントオレンジ64といったベンズイミダゾール顔料、(v)C.I.ピグメントオレンジ48および49、C.I.ピグメントレッド122、202、および206、ならびにC.I.ピグメントバイオレット19といったキナクリドン顔料、(vi)C.I.ピグメントイエロー138といったキノフタロン顔料、(vii)C.I.ピグメントオレンジ71および73、ならびにC.I.ピグメントレッド254、255、264、および270といったジケトピロロピロール顔料、(viii)C.I.ピグメントバイオレット23および37といったジオキサジン顔料、(ix)C.I.ピグメントブルー60といったインダントロン顔料、(x)C.I.ピグメントイエロー139および185といったイソインドリン顔料、(xi)C.I.ピグメントオレンジ61ならびにC.I.ピグメントイエロー109および110といったイソインドリノン顔料、(xii)C.I.ピグメントイエロー153といった金属錯体顔料、(xiii)C.I.ピグメントオレンジ43といったペリノン顔料、(xiv))C.I.ピグメントブラック32、C.I.ピグメントレッド149、178、および179、ならびにC.I.ピグメントバイオレット29といったペリレン顔料、(xv)C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、および16、ならびにC.I.ピグメントグリーン7および36といったフタロシアニン顔料、(xvi)C.I.ピグメントブラック1といったアニリンブラック、(xvii)アゾメチン顔料、ならびに(xviii)それらの混合物から選択される。
適切な効果顔料は、(i)板状アルミニウム顔料、金青銅、火炎色青銅、酸化鉄-アルミニウム顔料といった板状金属効果顔料、(ii)金属酸化物マイカ顔料といった真珠光沢顔料、(iii)板状グラファイト顔料、(iv)板状酸化鉄顔料、(v)PVDフィルム由来の多層効果顔料、(vi)液晶ポリマー顔料、および(vii)それらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、着色クリアコーティング組成物は、少なくとも1種の色および/または効果顔料を、コーティング組成物の総質量に対して0.1から10質量%、好ましくは1から4質量%の総量で含む。
一方、クリアコート組成物は、通常、着色および/または効果顔料を含まない、すなわち、着色および/または効果顔料の量は、コーティング組成物の総質量に対して好ましくは0質量%である。しかし、クリアコート材料の光沢を調整するために、フィラー材料および艶消し剤を添加することも同様に可能である。
本発明によるコーティング組成物は、溶剤系組成物または水性組成物であってよく、好ましくは溶剤系組成物である。溶剤系組成物の場合、主な構成要素として、すなわちコーティング組成物の総質量に対して20質量%を超える、より好ましくは少なくとも30質量%の量で有機溶媒が含まれる。有機溶媒は、組成物の揮発性成分を構成し、乾燥またはフラッシングによって完全にまたは部分的に気化する。適切な有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、またはジイソブチルケトンといったケトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、二酢酸エチレングリコール、ブチロラクトン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、酢酸2-メトキシプロピル(MPA)、およびエトキシプロピオン酸エチルといったエステル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、およびN-エチルピロリドンといったアミド、メチラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン、グリセロールホルマールである。特に好ましい有機溶媒は、酢酸n-ブチルおよび酢酸1-メトキシプロピルである。
好ましくは、そのような溶剤系組成物は、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、0から20質量%、好ましくは0から10質量%、より好ましくは0から5質量%、非常に好ましくは1から5質量%の総量で水を含む。
少なくとも1種の溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、好ましくは、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、10から60質量%、好ましくは20から50質量%、非常に好ましくは30から40質量%の総量で存在する。
好ましくは、コーティング組成物の固形分は、コーティング組成物の総質量に対して、40から60質量%、非常に好ましくは50質量%である。本発明のコーティング組成物は固形分が多いため、乾燥および硬化中に放出される有機溶媒の量は著しく低減され、その結果、より低いVOC値が可能となり、コーティング組成物は環境に優しいものとなる。
本発明の方法
本発明は、本発明のコーティング組成物で基材を塗装する方法であって、ベースコート膜または層で任意に被覆された基材上に本発明のコーティング組成物を塗布し、本発明のコーティング組成物からコーティング膜を形成し、その後に前記コーティング膜を硬化させる、にも関する。
好ましくは、基材は、金属基材、硬化電着および/または硬化フィラーによって被覆された金属基材、プラスチック基材、ならびに金属およびプラスチック成分を含む基材から、特に好ましくは金属基材から選択される。金属およびプラスチック基材、または金属およびプラスチック成分を含む基材の場合、前記基材は、本発明の方法の任意の工程(1)または工程(2)の前に、任意の従来の方法で前処理されてよく、すなわち、例えば(例えば、機械的および/または化学的に)洗浄され、および/または公知の従来のコーティングを(例えば、リン酸処理および/またはクロメート処理によって)備えられ、または(例えば、火炎処理、プラズマ処理、およびコロナ放電によって)表面活性化前処理されてよい。
この点に関し、好ましい金属基材は、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、およびそれらの合金、ならびに鋼から選択される。好ましい基材は、鉄および鋼製の基材であり、その例は、自動車産業部門で使用されるような、典型的な鉄および鋼基材である。基材自体はどのような形状でもよく、すなわち、例えば単純な金属パネルでよく、または特に自動車の車体および部品といった複雑な要素でもよい。
基本的に、好ましいプラスチック基材は、(i)極性プラスチック、例えば、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、およびそれらのプラスチックのブレンド、(ii)合成樹脂、例えば、ポリウレタンRIM、SMC、BMC、ABS、ならびに(iii)ゴム含有量が多いポリエチレンおよびポリプロピレン型のポリオレフィン基材、例えば、PP-EPDM、ならびに表面活性化ポリオレフィン基材を含むか、またはそれらからなる基材である。プラスチックは、特に炭素繊維および/または金属繊維を使用し、さらに繊維強化されてよい。
さらに、基材として、金属およびプラスチック画分を両方含有するものを使用することも可能である。この種の基材は、例えばプラスチック部品を含有する車体である。
硬化電着コーティングを含む金属基材は、金属基材上に電着材料を電気泳動で塗布し、前記塗布された材料を100から250℃、好ましくは140から220℃の温度で5から60分、好ましくは10から45分間硬化させることによって得ることができる。硬化前、前記材料は、例えば15から35℃で、例えば0.5から30分間フラッシュオフされ、かつ/または40から90℃で、例えば1から60分間、中程度に乾燥されうる。適切な電着材料およびその硬化は、WO2017/088988A1に記載され、バインダーとして水酸官能性ポリエーテルアミンおよび架橋剤としてブロックポリイソシアナートを含む。電着材料を塗布する前に、金属基材にリン酸亜鉛コートといった化成コーティングを施すことができる。硬化電着コートの膜厚は、例えば10から40マイクロメートル、好ましくは15から25マイクロメートルである。
硬化電着コーティングおよび/または硬化フィラーを含む金属基材は、硬化電着コーティングを任意に含む金属基材(S)、または金属および/またはプラスチック基材(S)にフィラー組成物を塗布し、前記フィラー組成物を40から100℃、好ましくは60から80℃の温度で5から60分、好ましくは3から8分間硬化させることによって得ることができる。適切なフィラー組成物は、当業者に周知であり、例えばBASF Coatings GmbHからGlasuritのブランド名で市販されている。硬化フィラーの膜厚は、例えば30から100マイクロメートル、好ましくは50から70マイクロメートルである。
任意の工程(1)
本発明の方法の任意の工程(1)において、少なくとも1種の色素ベースコート組成物を基材に塗布し、前記組成物から膜を形成し、任意に前記膜を硬化させる。好ましくは、塗布されたベースコート組成物は、その後の工程(2)において本発明のコーティング組成物が塗布される前に、短時間だけ乾燥される。次いで、本発明の方法の任意の工程(4)においてベースコート膜および本発明のコーティング組成物から形成される膜の共同硬化が行われる。基材へのコーティング組成物の塗布は、下記のように理解される。問題となるコーティング組成物は、前記コーティング組成物から生じるコーティング膜が基材上に配置されるよう塗布されるが、コーティング膜は必ずしも基材に直接接する必要はない。例えば、他の被膜がコーティング膜と基材の間に配置されてもよい。好ましくは、工程(1)においてコーティング組成物は基材に直接塗布され、生じるコーティング膜は、基材に直接接することを意味する。
色素ベースコート組成物は、当業者に公知の液体コーティング材料を塗布する方法によって、例えばディッピング、ナイフコーティング、噴霧、ローリングなどによって塗布されてよい。スプレー塗布法、例えば、圧縮空気噴霧(空気圧塗布)、無気噴霧、高速回転、静電スプレー塗布(ESTA)などを、任意に高温スプレー塗布、例えば、熱風(高温噴霧)と組み合わせて用いることが好ましい。色素ベースコート組成物は、空気圧スプレー塗布または静電スプレー塗布を介して塗布されることが特に好ましい。色素ベースコート組成物は、好ましくはベースコート層の膜厚が5から35μm、好ましくは10から30μmとなるよう塗布される。
塗布後、基材上にベースコート膜を形成させるためにベースコート組成物をフラッシュオフする、かつ/または乾燥させる。「フラッシング」または「フラッシュオフ」は、好ましくは15から35℃で0.5から30分間、色素ベースコート組成物から溶媒を消極的または積極的に蒸発させることであると理解される。一方、乾燥は、フラッシングよりも高い温度、例えば40から90℃で1から60分間、溶媒を消極的または積極的に蒸発させることであると理解される。しかし、フラッシュオフも乾燥も、硬化コーティング層を生じさせない。
フラッシュオフおよび/または乾燥後に形成されるベースコート膜の硬化は、好ましくは、50から200℃、好ましくは120から160℃の温度で、20から40分間行われる。したがって、コーティング膜または組成物の硬化は、そのような膜または組成物を使用可能な状態へ、すなわち問題となるコーティング膜を備える基材を、意図される方法で輸送、保存、および使用可能な状態へ変換させることであると理解される。この時、硬化コーティング膜は、もはや特に柔軟でなく、むしろ、後述される硬化条件にさらに曝されたとしても、硬度または基材への接着性といったその特性に実質的な変化が見られない固体膜の状態となっている。
しかし、本発明において、ベースコート膜は個別に硬化されるのではなく、続いて塗布される本発明のコーティング組成物と共に硬化されることが好ましい。
適切なベースコート組成物は、全て、当業者に公知の水性の溶剤型色素ベースコート組成物である。好ましくは、水性の色素ベースコート組成物が使用される。
工程(1)において、工程(1)を繰り返すことによって2枚以上のベースコート膜またはベースコート層を塗布することが可能である。工程(1)が繰り返される場合に使用されるベースコート組成物は、同一でありうるか、または互いに異なりうる。例えば、第1のベースコート組成物は、色顔料のみを含有することができ、第2のベースコート組成物は、効果顔料のみを含有することができる。
工程(2)
本発明の方法の工程(2)において、本発明のコーティング組成物は、任意の工程(1)で形成されたベースコート膜もしくは硬化ベースコート層、または基材に塗布される。本発明のコーティング組成物は、当業者に知られる液体コーティング材料を塗布する方法によって、例えばディッピング、ナイフコーティング、噴霧、ローリングなどによって塗布されてよい。コーティング組成物は、空気圧スプレー塗布または静電スプレー塗布を介して塗布されることが特に好ましい。
工程(3)
本発明の方法の工程(3)において、工程(2)で塗布されたコーティング組成物からコーティング膜が形成される。塗布されたコーティング組成物からの膜の形成は、任意の工程(1)に関連して先に説明されたように、例えば、塗布されたコーティング組成物をフラッシュオフする、かつ/または乾燥させることによって達成されうる。
工程(3)におけるコーティング膜の形成は、20から60℃の温度で、5から40分間行われ、好ましくは、20から35℃の温度で、5から15分間行われる。
工程(4)
本発明の工程(4)において、工程(1)および/または(3)で製造されたコーティング膜が硬化される。任意の工程(1)が行われ、工程(1)で生じたベースコート膜を硬化させていない場合、工程(3)で形成されたコーティング膜の硬化と共に少なくともベースコート層の硬化が行われる。
原則として、硬化は40から200℃、例えば、特に120から160℃の温度で、5から80分、好ましくは20から40分間行われる。
典型的には、工程(4)の後に得られる層の厚さは、15μmから80μm、好ましくは20μmから70μm、または30μmから65μm、例えば40μmから60μmなどの範囲である。
本発明のコーティング組成物から製造されるコーティング層は、掻き傷に対し向上した抵抗性を有し、アクリル樹脂から製造されるコーティング層と比較し、より高い可撓性を示す。しかし、光学特性は悪影響を受けない、すなわち、本発明のコーティング組成物から製造されるコーティング層は、高光沢であり、黄変せず、割れることなく40μmを超える厚い層として製造することができる。その高い可撓性により、前記コーティング層は、可撓性プラスチック部品または金属およびプラスチック成分を含む部品のコーティングに特に適する。
本発明のコーティング組成物について説明された内容は、本発明の方法のさらなる好ましい実施形態に関しても準用される。
本発明の使用方法
最後に、本発明は、コーティング層の、特にクリアコート層の伸びおよび耐引掻性を向上させるための本発明のコーティング組成物を使用する方法であって、前記向上が、エチレンコポリマーを含むバインダーBを含有しないコーティング組成物に関して得られる、方法に関する。
本発明のコーティング組成物および本発明の方法について説明された内容は、本発明の使用方法のさらなる好ましい実施形態に関しても準用される。
本発明は、特に、以下の実施形態によって説明される。
実施形態1:コーティング組成物であって、
a)エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーBであり、前記エチレンコポリマーが、エチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で
i.エチレンを10から80質量%、
ii.少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%および/または少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、ならびに
iii.化合物C1およびC2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%
含む、少なくとも1種のバインダーBと、
b)少なくとも1種のバインダーB中に存在する相補的な反応性官能基と架橋反応を起こすことができる少なくとも1個の反応性官能基を含む少なくとも1種の架橋剤CAと
を含む、コーティング組成物。
実施形態2:エチレンコポリマーが、連続高圧重合プロセスで製造される、実施形態1に記載のコーティング組成物。
実施形態3:重合プロセスが、1,000から4,000バール、好ましくは1,200から2,500バール、非常に好ましくは1,500から2,200バールの範囲の圧力で行われる、実施形態2に記載のコーティング組成物。
実施形態4:反応温度が、150から300℃、好ましくは170から250℃、特に190から230℃の範囲である、実施形態2または3に記載のコーティング組成物。
実施形態5:重合プロセスが、エチレン、少なくとも1種の重合性化合物C1および/またはC2、ならびに任意に少なくとも1種の重合性化合物C3を含むモノマー供給を使用して行われる、実施形態2から4のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態6:モノマー供給が、モノマー供給の総質量に対して、30から95質量%、好ましくは40から90質量%、特に50から70質量%または70から85質量%の総量でエチレンを含む、実施形態5に記載のコーティング組成物。
実施形態7:モノマー供給が、少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1を、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して、5から70質量%、好ましくは8から60質量%、特に36から55質量%または12から35質量%の総量で含む、実施形態5または6に記載のコーティング組成物。
実施形態8:モノマー供給が、少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2を、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して、5から70質量%、好ましくは8から60質量%、特に36から55質量%または12から35質量%の総量で含む、実施形態5から7のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態9:モノマー供給が、少なくとも1種の重合性化合物C3を、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して、5から70質量%、好ましくは10から60質量%、特に15から55質量%の総量で含む、実施形態5から8のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態10:重合プロセスが、少なくとも1種の連鎖移動剤の存在中で行われ、前記連鎖移動剤が、好ましくは飽和もしくは不飽和炭化水素、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、水素、またはそれらの混合物、より好ましくは脂肪族アルデヒド、および/または脂肪族ケトン、および/または水素、非常に好ましくはプロピオンアルデヒド、および/またはメチルエチルケトン、および/または水素から選択される、実施形態2から9のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態11:連鎖移動剤が、質量比が4:1から1:4、好ましくは3.5:1から1:3.0、特に2.8:1から1:2.5の、プロピオンアルデヒドとメチルエチルケトンの混合物である、実施形態10に記載のコーティング組成物。
実施形態12:少なくとも1種の連鎖移動剤が、モノマー供給の総質量に対して、少なくとも2質量%、好ましくは4から28質量%、より好ましくは6から23質量%、非常に好ましくは9から13質量%または13から20質量%の総量で存在する、実施形態10または11に記載のコーティング組成物。
実施形態13:重合プロセスが、少なくとも1種の開始剤の存在中で行われ、前記開始剤が、好ましくはジ-tert-ブチルペルオキシド、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシピバル酸tert-ブチル、tert-ブチルペルオキシソノナノアート、2-エチルペルオキシヘキサン酸tert-ブチル、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、およびそれらの混合物から選択され、非常に好ましくはペルオキシピバル酸tert-アミルである、実施形態2から12のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態14:開始剤が、いずれの場合にもモノマー供給の総質量に対して0.001から0.1質量%、好ましくは0.01から0.05質量%の総量で存在する、実施形態13に記載のコーティング組成物。
実施形態15:重合プロセスの後に水素化が続く、実施形態2から14のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態16:ASTM D97-05に従って決定されるエチレンコポリマーの流動点が、25℃未満、好ましくは20℃未満、特に15℃未満である、実施形態1から15のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態17:JIS K0070:1992に従って決定されるエチレンコポリマーの水酸基価が、50から250mgKOH/固体g、好ましくは50から200mgKOH/固体g、非常に好ましくは100から200mgKOH/固体gである、実施形態1から16のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態18:標準ポリスチレンを用いるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されるエチレンコポリマーの質量平均分子量Mが、1,000から30,000g/mol、好ましくは1,500から15,000g/mol、非常に好ましくは3,000から10,000g/molである、実施形態1から17のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態19:エチレンコポリマーが、1.5から3、好ましくは1.7から2.5の多分散度PD(M/M)を有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態20:ASTM D445-2018に従って決定されるエチレンコポリマーの120℃における動粘度(V120)が、10から6,000mm/s、好ましくは40から4,000mm/g、非常に好ましくは70から2,300mm/gである、実施形態1から19のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態21:エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、20から70質量%、好ましくは25から65質量%、より好ましくは30から60質量%のエチレンを含む、実施形態1から20のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態22:少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1が、水酸基含有(メタ)アクリラートから、好ましくはC~C12ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリラートから、より好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリラート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリラート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラートから選択され、非常に好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートである、実施形態1から21のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態23:エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートを1から70質量%、好ましくは3から60質量%、より好ましくは7から50質量%含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態24:少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2が、グリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートから選択される、実施形態1から23のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態25:エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2、好ましくはグリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートを5から70質量%、好ましくは10から60質量%、より好ましくは15から55質量%含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態26:少なくとも1種の重合性化合物C3が、アルキル(メタ)アクリラートから、好ましくはC~C22アルキル(メタ)アクリラートから、より好ましくはC~C12アルキル(メタ)アクリラートから、非常に好ましくはメチル(メタ)アクリラートおよび/またはn-ブチル(メタ)アクリラートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートから選択される、実施形態1から25のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態27:エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1種の重合性化合物C3、好ましくはメチル(メタ)アクリラート、および/またはn-ブチル(メタ)アクリラート、および/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートを5から75質量%、好ましくは10から70質量%、より好ましくは15から60質量%含む、実施形態1から26のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態28:少なくとも1種のバインダーBが、
- エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーB-1であって、前記エチレンコポリマーは、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、エチレンを10から80質量%、少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%、および化合物C1と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%含む、少なくとも1種のバインダーB-1、ならびに
- エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーB-2であって、前記エチレンコポリマーは、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、エチレンを10から80質量%、少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、および化合物C2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%含む、少なくとも1種のバインダーB-2
を含む、実施形態1から27のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態29:いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、10から60質量%、好ましくは15から50質量%、より好ましくは25から45質量%、非常に好ましくは30から40質量%の総量で少なくとも1種のバインダーBを含む、実施形態1から28のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態30:少なくとも1種の架橋剤CAが、ブロックポリイソシアナートおよび/または非ブロックポリイソシアナート、メラミン樹脂、ポリカルボジイミド、トリアジン、好ましくはトリアルコキシカルバマートトリアジン、多官能性酸樹脂、ならびにそれらの混合物、好ましくはブロックポリイソシアナートおよび/または非ブロックポリイソシアナートから選択される、実施形態1から29のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態31:組成物に含まれる少なくとも1種の架橋剤(CA)中に存在する全ての反応性官能基の当量値が、少なくとも1種のバインダーB中に存在する全ての相補的な反応性官能基に対し、0.5から2.0、好ましくは0.5から1.5、より好ましくは0.8から1.2である、実施形態1から30のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態32:存在する少なくとも1種の架橋剤CAの総量が、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、4から40質量%、好ましくは5から35質量%、より好ましくは10から30質量%、非常に好ましくは12から25質量%である、実施形態1から31のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態33:少なくとも1種の架橋触媒CATをさらに含む、実施形態1から32のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態34:少なくとも1種の架橋触媒CATが、スズ含有触媒、ビスマス含有触媒、ジルコニウム含有触媒、リチウム含有触媒、およびそれらの混合物から、好ましくは、ジブチルスズジラウラート、ビスマスカルボキシラート、ジルコニウムカルボキシラート、リチウムカルボキシラート、およびそれらの混合物から選択される、実施形態33に記載のコーティング組成物。
実施形態35:少なくとも1種の架橋触媒CAT、好ましくはジブチルスズジラウラート、ビスマスカルボキシラート、ジルコニウムカルボキシラート、リチウムカルボキシラート、およびそれらの混合物が、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、0.005から1質量%、好ましくは0.08から0.2質量%の総量で存在する、実施形態33または34に記載のコーティング組成物。
実施形態36:少なくとも1種のバインダーB1をさらに含み、前記バインダーB1が、バインダーBと異なる、実施形態1から35のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態37:(i)UV吸収剤、(ii)HALS化合物、ベンゾトリアゾール、またはシュウ酸アニリドといった光安定剤、(iii)液垂れ制御剤(尿素結晶変性樹脂)、有機増粘剤、および無機増粘剤といったレオロジー調節剤、(iv)フリーラジカル捕捉剤、(v)スリップ添加剤、(vi)重合抑制剤、(vii)消泡剤、(viii)湿潤剤、(ix)フッ素化合物、(x)接着促進剤、(xi)レベリング剤、(xii)セルロース誘導体といった膜形成補助剤、(xiii)シリカ、アルミナ、または酸化ジルコニウム系のナノ粒子といったフィラー、(xiv)難燃剤、ならびに(xv)それらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、実施形態1から36のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態38:一成分系または二成分系コーティング組成物である、実施形態1から37のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態39:クリアコート組成物また着色クリアコート組成物である、実施形態1から38のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態40:いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、0から20質量%、好ましくは0から10質量%、より好ましくは0から5質量%、非常に好ましくは1から5質量%の水を含む、実施形態1から39のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態41:コーティング組成物の固形分が、いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、40から60質量%、好ましくは50質量%である、実施形態1から40のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
実施形態42:基材上に少なくとも1層のコーティングを製造する方法であって、
(1)任意に色素ベースコート組成物を基材に塗布し、前記ベースコート組成物からコーティング膜を形成し、前記ベースコート膜を任意に硬化させる工程と、
(2)実施形態1から41のいずれか1つに記載のコーティング組成物を基材または工程(1)の後に得られる塗装基材に塗布する工程と、
(3)工程(2)で塗布された組成物からコーティング膜を形成する工程と、
(4)工程(1)および/または(3)の後に得られるコーティング膜を硬化させる工程と
を含む、方法。
実施形態43:自動車OEM仕上げおよび/または自動車に設置される部品の仕上げおよび/または市販の車両の仕上げおよび/または自動車補修のために、少なくとも1層のコーティング層、より特定するとクリアコートコーティング層を製造するために使用される、実施形態42に記載の方法。
実施形態44:基材が、金属基材、硬化電着および/または硬化フィラーで被覆された金属基材、プラスチック基材、ならびに金属およびプラスチック成分を含む基材から、好ましくは金属基材から選択されることを特徴とする、実施形態42または43に記載の方法。
実施形態45:金属基材が、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、およびそれらの合金、ならびに鋼からなる群から選択されることを特徴とする、実施形態44に記載の方法。
実施形態46:実施形態42から45のいずれか1つに記載の方法によって得られるコーティング。
実施形態47:コーティング層、特にクリアコーティング層の伸びおよび耐引掻性を向上させるための、実施形態1から41のいずれか1つに記載のコーティング組成物を使用する方法。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は決してこれらの実施例に限定されない。さらに、実施例における「部」、「%」、および「比」という用語は、別段の指示がない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」、および「質量比」を意味する。
1.測定方法
1.1 数平均分子量(M)、質量平均分子量(M)、および多分散指数(PDI)
別段の指示がない限り、GPCによって数平均分子量分布(M)および質量平均分子量分布(M)を決定した。多分散度(PDI)は、PDI=(M/M)として計算された。RI(屈折率)検出器を用い、カラム温度35℃で、0.1%のトリフルオロ酢酸を含むTHFを溶出媒体として用いてGPC分析を行った。Polymer Laboratoriesが提供する、分子量Mが580から6,870,000g/molまでの、分布が非常に狭い標準ポリスチレンを用いて較正を行った。
1.2 エチレンコポリマー中に重合形態で存在するエチレンおよび化合物C1~C3
エチレンコポリマー中に重合形態で存在するエチレンおよび重合性化合物C1および/またはC2、ならびに任意にC3の量を、当業者に公知の方法であるH-NMRによって決定した。
1.3 動粘度
ASTM D445-2018に従って120℃における動粘度(V120)を決定した。
1.4 流動点(PP)
ASTM D97-05に従って流動点PPを決定した。
1.5 固形分(固体分率、不揮発性分率)
別段の指示がない限り、以下、固体分率または不揮発性分率とも称される固形分を、DIN EN ISO3251-2008-06に従い、130℃、60分、初期質量1.0gで決定した。
1.6 水酸基価(OH基価)
JIS K0070:1992に従って水酸基価を測定した。
1.7 ガラス転移温度(T
ポリマーのガラス転移温度(T)を、動的粘弾性測定(DMA:dynamic mechanical analysis)を用いて決定した。硬化ポリマー膜のTは、強制伸縮振動型粘弾性測定装置(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名:RHEOVIBRON DDV-01 GP)を用い、110Hzの周波数および1分当たり2℃の温度上昇で測定される最高tanδの温度に相当する。
1.8 曇り点(CP)
DIN EN ISO3015:2018-04に従って曇り点を決定した。
2.各種バインダーの合成
成分の略称
E:エチレン
NBA:アクリル酸n-ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸ヒドロキシエチル
PA:プロピオンアルデヒド
MEK:メチルエチルケトン
2.1 エチレンコポリマーB-I1およびB-I2の合成
文献(M.Bubackら、Chem.Ing.25Tech、1994年、第66巻、510~513ページ)に記載される種類の高圧オートクレーブを、連続共重合に使用した。
約250バールになるまで、エチレンを連続して第1の圧縮機に供給した。これとは別に、HEMAおよび(メタ)アクリル酸アルキル(NBAまたはMMA)も、各量、250バールの中程度の圧力まで連続して圧縮し、エチレン供給と混合した。第2の圧縮機を使用し、エチレン/アクリラート混合物をさらに圧縮した。表1に示される圧力および温度の1リットルのオートクレーブに反応混合物を供給した。モノマー供給(約1,000から1,500ml/h)とは別にオートクレーブに導入される、イソデカン中のペルオキシピバル酸tert-アミル開始剤の量を調整することによって所望の温度を維持する。
これとは別に、まず、分量の連鎖移動剤(表1「調節剤供給」参照)を250バールの中程度の圧力まで圧縮し、次いで、高圧オートクレーブへ連続的に供給する前に、さらなる圧縮機を用いて反応圧力まで圧縮した。
表1に示される各重合反応の生産量は、大抵、約5から6kg/hであり、転換率は、(エチレン供給に対して)30から45質量%であった。反応条件の詳細は、表1にまとめられる。製造されたエチレンコポリマーの分析データは、表2にまとめられる。
Figure 2023510938000001
Figure 2023510938000002
エチレンコポリマーB-I1およびB-I2の流動点(PP)は、いずれも25℃未満であるため、室温(すなわち、20から25℃)で液体であるコーティング組成物に容易に組み込むことができる。
2.2 比較アクリル樹脂B-C1およびB-C2の合成
プロピレングリコールモノメトキシエーテルアセタート22.5部およびメチルアミルケトン7.5部を、温度計、還流冷却器、撹拌機、および滴下漏斗が装着された4ツ口フラスコに入れ、窒素フロー下で攪拌しながらこの混合物を140℃の温度まで加熱した。次いで、表3に示される各量のHEMAおよびEHAまたはNBAを、重合開始剤としての2-エチルペルオキシヘキサン酸t-ブチル3.0部と共に140℃の温度で均一に混合し、一定速度で3時間かけて滴下漏斗から滴加した。滴加完了後、1時間温度を140℃に維持し、次いで反応温度を110℃まで下げた。次いで、追加の触媒として2-エチルペルオキシヘキサン酸t-ブチル0.1部を重合開始剤として添加し、さらに2時間温度を110℃に維持した。次いで、プロピレングリコールモノメトキシエーテルアセタート8.9部を添加することによって反応混合物を希釈し、冷却した。
Figure 2023510938000003
得られた比較アクリル樹脂B-C1およびB-C2の特性を表4に示す。
Figure 2023510938000004
3.コーティング組成物の製造
均一な混合物が得られるまで「ベースワニス(A)」に示される原料を混合することによって表5-1および5-2に示されるクリアコート組成物を製造した。この混合物に「硬化剤(B)」に示される予混合原料を添加し、均一なクリアコート組成物が得られるまで混合物を攪拌した。
Figure 2023510938000005
Figure 2023510938000006
4.コーティング膜の物理特性の評価
4.1 コーティング膜の製造
乾燥膜厚が35μmになるよう、エアスプレーを用いてポリプロピレン製プレート(基材)上に塗布することによってコーティング組成物CC-I1~CC-I9(発明)およびCC-C1~CC-C9(比較)からコーティング膜を得た。140℃で30分加熱し、その後、コーティング膜をポリプロピレン製プレートから手で剥がし、各コーティング膜を得た。
4.1 動的粘弾性測定
上記のように製造されたコーティング膜の試験片を5mm×20mmの大きさの断片に切断し、動的粘弾性測定装置による測定に使用した。動的粘弾性測定装置として、自動動的粘弾性測定器(株式会社エー・アンド・デイ製)を使用し、昇温時に生じる振動ひずみと応力の間に生じる位相差からtanδが決定される。ガラス転移温度は、tanδが最大値に達する温度で得られる。本明細書において、測定周波数は11Hzであり、昇温速度は2℃/分である。
4.2 引張特性
上記と同じ方法で製造されたコーティング膜の別の試験片を10mm×70mmの大きさの断片に切断した。引張強度測定装置(島津製作所製、オートグラフAG-IS)を用いて試料を測定した。20℃の温度、4mm/分の引張速度、および40mmの測定長で引張強度測定を行い、破断時に加えられた荷重を記録する。ヤング率、破断点における伸び%、膜の引張強度、および破断エネルギーを記録した。
5.塗装基材の製造およびクリアコート層の評価
5.1 塗装基材の製造
亜鉛めっき鋼プレート(厚さ0.8mm、長さ150mm、および幅70mm)をリン酸亜鉛で化学処理し、乾燥膜厚が25μmとなるようカチオン電着塗料Cathoguard(登録商標)500(BASFジャパン株式会社)を用いて電着し、170℃で30分焼成した。乾燥膜厚が30μmとなるよう下塗材HS-H300 Dark Gray(商品名、BASFジャパン株式会社)をスプレー塗布し、140℃で30分焼成した。次いで、乾燥膜厚が15μmとなるようポリウレタンポリエステル-メラミン樹脂水性ベースコート塗料Aqua BC-3 Black(商品名、BASFジャパン株式会社)をスプレー塗装し、80℃で5分乾燥させた。試験プレートを室温まで冷却した後、表5-1および表5-2に従うコーティング組成物CC-I1~CC-I9およびCC-C1~CC-C9のベースワニス(A)および硬化剤(B)を均一に混合し、乾燥膜厚が35μmとなるよう、スプレー塗装によってウェットインウェット法でベースコート膜に塗布した。パネルを室温で10分維持した後、試料を140℃で30分焼成し、多層コーティングで塗装された基材を得た。その後、各クリアコート層の特性を以下に説明される方法で決定した。
5.2 クリアコート層の評価
5.2.1 耐湿潤引掻性
AMTEC-Kistlerが提供する実験用洗車システムを用い、DIN EN ISO20566:2013-06に従って各クリアコート層の耐湿潤引掻性を試験した。実験用洗車システムでの10回サイクルとそれに続く、イソプロパノールを浸した綿製パッドでの拭き取りの後に試料に残存する光沢を、Byk-Gardenerが提供する光沢計を用いて測定することによって耐性を決定した。
5.2.2 耐乾燥引掻性
耐乾燥引掻性は、クロックメーター(Atlas CM5、ATLAS Electronic devices Co.)を用いて行われた。パネルの長さに対して垂直(引掻き方向でもある)に試料の初期光沢(20°)を測定した。光沢は、光沢計(micro-tri-glosss、BYK-CARDENER)で測定された。紙やすり(3M 281 Q WET/DRYTM PRODUCTIONTM 研磨紙シート/粒子 9μm ID60-0600-0213-0、3M社)を5×5cmの正方形に切断した。研磨紙とワイパーパッドの間にフェルトを挟んで、研磨紙をサークリップ(14995600、ATLAS Electronic devices Co.)でワイパーパッドに固定した。クロックメーターを用い、直径16mmの摩擦シューに9.4±0.1Nの力を加えた。装置上にパネルを正確に保持しながらクロックメーターで10回の往復運動を行った。各パネル上に2本の新しい擦り傷を付けた。80℃で30分パネルを加熱した。室温(23℃)まで冷却した後、光沢計で最終光沢を測定した。
5.3 結果
4.1に従って製造されたクリアコート膜および5.1に従って製造されたクリアコート層について得られた結果を表6-1および表6-2に示す。
Figure 2023510938000007
Figure 2023510938000008
6.結果の考察
当業者に公知のように、コーティングのガラス転移温度の低下は、通常、耐湿潤引掻性の向上をもたらす。この知識と対照的に、実施例CC-I1~CC-I5から得られたコーティング層と比較例CC-C1~CC-C5から得られたコーティング層の比較は、コーティング層のガラス転移温度(T)がほぼ同一であるにもかかわらず著しく向上した耐湿潤引掻性が得られることを実証する。実施例CC-I1~CC-I5から得られたコーティング層と比較例CC-C1~CC-C5から得られたコーティング層のさらなる特性比較は、耐乾燥引掻性および破断エネルギーも向上されうることを示す。耐引掻性の向上にもかかわらず、実施例CC-I5~CC-I5から得られたコーティング層は、著しく高い破断点伸びを有し、したがって比較例CC-C5~CC-C5から得られたコーティング層よりも高い可撓性を有する。
実施例CC-I6~CC-I9において、ガラス転移温度が-63℃とやや低いエチレンコポリマーB-I2が使用される。アクリル樹脂B-C2は、エチレンコポリマーB-I2と比較しはるかに高いガラス転移温度を有するため、実施例CC-I6~CC-I9から得られたコーティング層と比較例CC-C6~CC-C9から得られたコーティング層の比較を可能とするよう、実施例から得られたクリアコート層のガラス転移温度は、前記アクリル樹脂B-C2を含有する比較例から得られたコーティング層のガラス転移温度に調整される必要があった。硬化剤成分のHDI/IPDI比を調整することによって、それぞれのコーティング層のガラス転移温度を一致させた。
また、実施例CC-I6~CC-I9と比較例CC-C6~CC-C9の比較は、コーティング層のガラス転移温度(T)がほぼ同一であるにもかかわらず耐湿潤引掻性を著しく向上させうることを実証する。さらに、実施例CC-I6~C-I9から得られたコーティング層は、比較例CC-C6~CC-C9から得られたコーティング層と比較し、向上した耐乾燥引掻性および破断エネルギーを有する。耐引掻性の向上にもかかわらず、実施例CC-I6~CC-I9から得られたコーティング層は、著しく高い破断点伸びを有し、したがって比較例CC-C6~CC-C9から得られたコーティング層よりも高い可撓性を有する。

Claims (15)

  1. コーティング組成物であって、
    a)エチレンコポリマーを含有する少なくとも1種のバインダーBであり、前記エチレンコポリマーが、エチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で
    i.エチレンを10から80質量%、
    ii.少なくとも1個の水酸基を有する少なくとも1種の重合性化合物C1を1から90質量%および/または少なくとも1個のエポキシ基を有する少なくとも1種の重合性化合物C2を1から80質量%、ならびに
    iii.化合物C1およびC2と異なる少なくとも1種のさらなる重合性化合物C3を0から80質量%
    含む、少なくとも1種のバインダーBと、
    b)少なくとも1種のバインダーB中に存在する相補的な反応性官能基と架橋反応を起こすことができる少なくとも1個の反応性官能基を含む少なくとも1種の架橋剤CAと
    を含む、コーティング組成物。
  2. エチレンコポリマーが、連続高圧重合プロセスで製造される、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、20から70質量%、好ましくは25から65質量%、より好ましくは30から60質量%のエチレンを含む、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
  4. 少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1が、水酸基含有(メタ)アクリラート、好ましくはC~C12ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリラート、より好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリラート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリラート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラートから選択され、非常に好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  5. エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個の水酸基を含む少なくとも1種の重合性化合物C1、好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートを1から70質量%、好ましくは3から60質量%、より好ましくは7から50質量%含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  6. 少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2が、グリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  7. エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1個のエポキシ基を含む少なくとも1種の重合性化合物C2、好ましくはグリシジルアクリラートおよび/またはグリシジルメタクリラートを5から70質量%、好ましくは10から60質量%、より好ましくは15から55質量%含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  8. 少なくとも1種の重合性化合物C3が、アルキル(メタ)アクリラート、好ましくはC~C22アルキル(メタ)アクリラート、より好ましくはC~C12アルキル(メタ)アクリラート、非常に好ましくはメチル(メタ)アクリラートおよび/またはn-ブチル(メタ)アクリラートおよび/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  9. エチレンコポリマーが、H-NMRによって測定された際、いずれの場合にもエチレンコポリマーの総質量に対して、重合形態で、少なくとも1種の重合性化合物C3、好ましくはメチル(メタ)アクリラート、および/またはn-ブチル(メタ)アクリラート、および/または2-エチルヘキシル(メタ)アクリラートを5から75質量%、好ましくは10から70質量%、より好ましくは15から60質量%含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  10. いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、10から60質量%、好ましくは15から50質量%、より好ましくは25から45質量%、非常に好ましくは30から40質量%の総量で少なくとも1種のバインダーBを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  11. クリアコート組成物または着色クリアコート組成物である、請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  12. いずれの場合にもコーティング組成物の総質量に対して、0から20質量%、好ましくは0から10質量%、より好ましくは0から5質量%、非常に好ましくは1から5質量%の水を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  13. 基材上に少なくとも1層のコーティングを製造する方法であって、
    (1)任意に色素ベースコート組成物を基材に塗布し、前記ベースコート組成物からコーティング膜を形成し、前記ベースコート膜を任意に硬化させる工程と、
    (2)請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を基材または工程(1)の後に得られる塗装基材に塗布する工程と、
    (3)工程(2)で塗布された組成物からコーティング膜を形成する工程と、
    (4)工程(1)および/または(3)の後に得られるコーティング膜を硬化させる工程と
    を含む、方法。
  14. 請求項13に記載の方法によって得られるコーティング。
  15. コーティング層、特にクリアコーティング層の伸びおよび耐引掻性を向上させるための、請求項1から12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を使用する方法。
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