JP2023507891A - リパーゼ改変株 - Google Patents

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Abstract

本発明は、レチノイド産生宿主細胞(特に含油性酵母細胞)であって、そのような宿主細胞により産生された総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合が、炭素源として例えば植物油のようなトリグリセリド油を使用する発酵の最中に増加するように改変されており、レチノール又は酢酸レチノールの望ましくない変換に関与するある特定の内在性ヒドロラーゼ又はトランスフェラーゼの活性が、減少しているか、又は消失している、レチノイド産生宿主細胞に関する。特に、そのような改変宿主細胞は、ビタミンAの産生の生物学的プロセスにおいて有用であり得る。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、レチノイド産生宿主細胞(特に含油性酵母(oleaginous yeast))であって、そのような宿主細胞により産生された総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合が、炭素源として例えば植物油のようなトリグリセリド油を使用する発酵の最中に増加するように改変されており、レチノール又は酢酸レチノールの望ましくない変換に関与するある特定の内在性ヒドロラーゼ又はトランスフェラーゼの活性が、減少しているか、又は消失している、レチノイド産生宿主細胞に関する。特に、そのような改変宿主細胞は、ビタミンAの産生の生物学的プロセスにおいて有用であり得る。
ビタミンA等のレチノイドは、栄養摂取により補給されなければならない、人間にとって非常に重要で不可欠な栄養素の1つである。レチノイドは、とりわけ、視覚、免疫系、及び成長に関して、ヒトの健康を促進する。酢酸レチニルは、ビタミンA製造のプロセスにおける重要な中間体又は前駆体である。
ビタミンA等のレチノイド及びその前駆体の現在の化学的製造法には、いくつかの望ましくない特徴(例えば、高エネルギー消費、複雑な精製工程、及び/又は望ましくない副生成物等)がある。従って、過去数十年にわたり、より経済的なだけでなくビタミンA製造が環境にやさしいであろう、ビタミンA等のレチノイド及びその前駆物質を製造するための他のアプローチ(微生物変換工程を含む)が研究されている。
一般に、レチノイドを産生する生体系は、産業的に扱い難く、且つ/又は工業規模での単離が実用的ではないような低レベルで化合物を産生する。最も制限的な要因として、そのような生体系中での中間体の不安定性、及び/又は特に炭素源として植物油で増殖した含油性宿主細胞を使用した場合での、副生成物(例えばレチニル脂肪酸エステル)の比較的高い産生が挙げられる。
国際公開第2019/058000号パンフレットでは、トウモロコシ油で増殖したカロテノイド産生宿主細胞を使用する、ベータ-カロチンからレチノール及び酢酸レチニル(レチノールと比べて安定と見なされる中間体である)への新規の発酵プロセスが説明されており、前記宿主細胞は、異種ベータ-カロチンオキシダーゼ(BCO)、レチナールレダクターゼ(RDH)、及びアセチルトランスフェラーゼ(ATF)を発現する。しかしながら、そのような含油性宿主細胞により産生されたレチノールの比較的高い割合は、ビタミンAの産生のために「失われており」、即ち、この宿主細胞の内在性ヒドロラーゼ及び/又はトランスフェラーゼにより触媒される望ましくない副産物へと変換される。
そのため、レチノールの、ビタミンAの産生での安定な中間体である酢酸レチニルへの変換のための発酵プロセスの生成物特異性及び/又は生産性を改善することは、継続的な課題である。特に、好ましくは、宿主細胞の増殖を損なうことなく副産物の形成が制限され且つ酢酸レチニルの蓄積が最大化される植物油で増殖する含油性宿主細胞を使用する、発酵プロセスを開発することが望ましい。
驚くべきことに、本発明者らは、現在、宿主細胞(特に含油性酵母)の改変(即ち、植物油のグリセロール及び脂肪酸への前消化に関与するある特定の酵素の改変(特に遮断))により、酢酸レチニルの形成が増加され得、即ち、総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合が、それぞれの非改変宿主細胞を使用するプロセスと比較して、少なくとも約30%増加し得、例えば、約70~90%の範囲及びより多い割合まで増加し得ることを発見した。
特に、本発明は、酢酸レチニルの形成が可能なレチノイド産生宿主細胞(例えば真菌宿主細胞、好ましくは、ヤロウイア属(Yarrowia)等の含油性酵母細胞)であって、1つ又は複数の遺伝子改変を含み、即ち、ヒドロラーゼ又はトランスフェラーゼ酵素をコードするある特定の内在性遺伝子(特に、例えば、内在性リパーゼ及び/又はエステラーゼをコードする遺伝子)の減少又は消失(例えば、限定されないが、配列番号5に対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有する内在性遺伝子の活性の改変)を含み、好ましくは消失を含み、配列番号5は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるLIP8に対応する、レチノイド産生宿主細胞を対象とする。
一態様では、本発明は、本明細書で定義されているそのような改変宿主細胞を使用する発酵方法であって、前記宿主細胞が、炭素源として例えば植物油(例えばトウモロコシ油)のようなトリグリセリド油で増殖しており、レチノールの変換からの酢酸レチニルの形成が増加しており、その結果、酢酸レチニルの割合が、前記改変宿主細胞中に存在している/前記改変宿主細胞により産生された総レチノイドを基準として少なくとも約70%となり、例えば、約75、80、85、90、95、98%、又はより多く、例えば100%となる、発酵方法を対象とする。
本発明に従って改変すべき好適な内在性のヒドロラーゼ又はトランスフェラーゼは、リパーゼ及び/又はエステラーゼ活性を有する酵素から選択され得る。「リパーゼ」という用語は、本明細書では、「エステラーゼ」又は「リパーゼ及び/又はエステラーゼ活性を有する酵素」という用語と互換的に使用される。リパーゼは、通常は含油性宿主細胞中で発現されている、例えば植物油等のトリグリセリド油のグリセロール及び脂肪酸への前消化に関与する酵素を指す。本明細書で定義されている宿主細胞中で改変すべき好適な酵素は、ECクラス3.1.1.-に属する内在性酵素から選択され得、この内在性酵素として、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、LIP3、LIP8、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、又はLIP4活性に対応する活性を有する1種又は複数中の酵素が挙げられるが、こられに限定されない。
本明細書で使用される場合、ヤロウイア属(Yarrowia)におけるそれぞれのLIP活性に対応する活性を有する酵素として、ヤロウイア属(Yarrowia)(例えばヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))に由来する遺伝子、例えば、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、LIP3、LIP8、TGL-1、LIP16、LIP17、LIP18、LIP4、又はこれらの組み合わせが挙げられるだけでなく、同等の酵素活性を有するが別の生物源(特に、酢酸レチニルを産生する含油性宿主細胞)に由来する酵素であって、そのような同等の内在性遺伝子の改変により、本明細書で定義されているレチノールから酢酸レチニルへの変換が増加するであろう、酵素も挙げられる、
本発明は、本明細書で定義されているビタミンA発酵方法において酢酸レチニルの増加をもたらすある特定の内在性のヒドロラーゼ/トランスフェラーゼ活性が改変されている宿主細胞を対象とする。改変すべき好適な宿主細胞は、レチノイド産生宿主細胞(特に、酢酸レチニル産生宿主細胞(酢酸レチニルは、アセチル化酵素(ATF)により触媒されるレチノールの酵素的変換により形成される))から選択され、例えば、真菌宿主細胞、例えば含油性宿主細胞、例えば、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、リポマイセス属(Lipomyces)、又はヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、好ましくはヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、より好ましくはヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から選択され、レチノールの酢酸レチニルへの変換が増強されて、この細胞中の総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合が、本明細書で定義されている前記内在性酵素活性(例えば、リパーゼ及び/又はエステラーゼ活性)の改変により少なくとも約10%増加し、この改変は、遺伝子改変を含み、例えば、ある特定のヤロウイア属(Yarrowia)のリパーゼ/エステラーゼをコードするか又は本明細書で指定されている他の含油性宿主細胞からの対応する内在性酵素活性をコードする内在性遺伝子の活性の減少/消失(例えば、限定されないが、対応する遺伝子の欠失)を含む。
本明細書で定義される場合、「改変宿主細胞」は、「野生型宿主細胞」と比較され、即ち、定義された酵素活性においてそのような改変を有しない(即ち、前記対応する内在性酵素が(依然として)インビボで発現されており且つ活性である)それぞれの宿主細胞と比較される。
一実施形態では、本発明は、配列番号5に対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有するポリペプチド(例えば、限定されないが、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるLIP8)中に改変を含む改変宿主細胞(例えば、改変された酢酸レチニル産生含油性宿主細胞)であって、前記ポリペプチドの活性は、減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、例えば、遺伝子発現が減少しているか又は消失しており、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下での発酵中におけるそのような改変宿主の使用により、レチノールの変換からの酢酸レチニルの割合が増加している(例えば、本明細書で定義されているそれぞれの宿主細胞中に存在している総レチノイドを基準として少なくとも約70%の酢酸レチニル)、改変宿主細胞を提供する。特に、この宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、配列番号5に係るLIP8(例えば、配列番号6に係るポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド)の活性が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、そのため、この宿主細胞中の総レチノイドを基準として約30%以上の酢酸レチニルが得られる。配列番号5に係るLIP8は、RefSeq YALI0_B09361gに由来する。LIP8、又は本明細書で定義されている別の含油性酵母からの対応する酵素の減少又は消失は、さらなる内在性酵素(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、LIP3、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、又はLIP4活性と同等の活性を有する酵素、例えば、配列番号1、3、7、9、11、13、15、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素)の減少又は消失と組み合わされ得る。
一実施形態では、本発明は、配列番号1に対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有するポリペプチド(例えば、限定されないが、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるLIP2)中に改変を含む改変宿主細胞(例えば、改変された酢酸レチニル産生含油性宿主細胞)であって、前記ポリペプチドの活性は、減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、例えば、遺伝子発現が減少しているか又は消失しており、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下での発酵中におけるそのような改変宿主細胞の使用により、レチノールの変換からの酢酸レチニルの割合が増加している(例えば、本明細書で定義されているそれぞれの宿主細胞中に存在している総レチノイドを基準として少なくとも約70%の酢酸レチニル)、改変宿主細胞を提供する。特に、この宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、配列番号1に係るLIP2(例えば、配列番号2に係るポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド)の活性が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、そのため、この宿主細胞中の総レチノイドを基準として約30%以上の酢酸レチニルが得られる。配列番号1に係るLIP2は、RefSeq YALI0_A20350gに由来する。LIP2、又は本明細書で定義されている別の含油性酵母からの対応する酵素の減少又は消失は、さらなる内在性酵素(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、LIP3、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、又はLIP4活性と同等の活性を有する酵素、例えば、配列番号5、3、7、9、11、13、15、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素)の減少又は消失と組み合わされ得る。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号3に対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有するポリペプチド(例えば、限定されないが、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるLIP3)中に改変を含む改変宿主細胞(例えば、改変された酢酸レチニル産生含油性宿主細胞)であって、前記ポリペプチドの活性は、減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、例えば、遺伝子発現が減少しているか又は消失しており、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下での発酵中におけるそのような改変宿主細胞の使用により、レチノールの変換からの酢酸レチニルの割合が増加している(例えば、本明細書で定義されているそれぞれの宿主細胞中に存在している総レチノイドを基準として少なくとも約70%の酢酸レチニル)、改変宿主細胞を提供する。特に、この宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、配列番号3に係るLIP3(例えば、配列番号4に係るポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド)の活性が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、そのため、この宿主細胞中の総レチノイドを基準として約30%以上の酢酸レチニルが得られる。配列番号3に係るLIP3は、RefSeq YALI0_B08030gに由来する。LIP3、又は本明細書で定義されている別の含油性酵母からの対応する酵素の減少又は消失は、さらなる内在性酵素(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、LIP2、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、又はLIP4活性と同等の活性を有する酵素、例えば、配列番号5、1、7、9、11、13、15、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素)の減少又は消失と組み合わされ得る。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号15に対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有するポリペプチド(例えば、限定されないが、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるLIP4)中に改変を含む改変宿主細胞(例えば、改変された酢酸レチニル産生含油性宿主細胞)であって、前記ポリペプチドの活性は、減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、例えば、遺伝子発現が減少しているか又は消失しており、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下での発酵中におけるそのような改変宿主細胞の使用により、レチノールの変換からの酢酸レチニルの割合が増加している(例えば、本明細書で定義されているそれぞれの宿主細胞中に存在している総レチノイドを基準として少なくとも約70%の酢酸レチニル)、改変宿主細胞を提供する。特に、この宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、配列番号15に係るLIP4(例えば、配列番号16に係るポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド)の活性が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、そのため、この宿主細胞中の総レチノイドを基準として約30%以上の酢酸レチニルが得られる。配列番号15に係るLIP4は、RefSeq YALI0_ E08492gに由来する。LIP4、又は本明細書で定義されている別の含油性酵母からの対応する酵素の減少又は消失は、さらなる内在性酵素(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、LIP2、LIP3、TGL1、LIP16、LIP17、又はLIP18活性と同等の活性を有する酵素、例えば、配列番号5、1、3、7、9、11、13、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素)の減少又は消失と組み合わされ得る。
さらなる実施形態によれば、本発明は、配列番号7、9、11、13,及びこれらの組み合わせに対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチド(例えば、限定されないが、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られる酵素)中に改変を含む改変宿主細胞(例えば、改変された酢酸レチニル産生含油性宿主細胞)であって、前記ポリペプチドの活性は、減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、例えば、遺伝子発現が減少しているか又は消失しており、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下での発酵中におけるそのような改変宿主細胞の使用により、レチノールの変換からの酢酸レチニルの割合が増加している(例えば、本明細書で定義されているそれぞれの宿主細胞中に存在している総レチノイドを基準として少なくとも約70%の酢酸レチニル)、改変宿主細胞を提供する。特に、この宿主細胞は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、配列番号7、9、11、13に係るTGL1、LIP16、LIP17、LIP18、又はこれらの組み合わせから選択される酵素(例えば、配列番号8、10、12,14に係るポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド)の活性が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、そのため、この宿主細胞中の総レチノイドを基準として約30%以上の酢酸レチニルが得られる。配列番号7に係るTGL1は、RefSeq YALI0_E32035gに由来する。配列番号9に係るLIP16は、RefSeq YALI0_D18480gに由来する。配列番号11に係るLIP17は、RefSeq YALI0_F32131gに由来する。配列番号13に係るLIP18は、RefSeq YALI0_B20350gに由来する。TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素、又は本明細書で定義されている別の含油性酵母からの対応する酵素の減少又は消失は、さらなる内在性酵素(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、LIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4活性と同等の活性を有する酵素、例えば、配列番号5、1、3、15、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される配列に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素)の減少又は消失と組み合わされ得る。
好ましくは、本発明の係る改変宿主細胞は、例えばヤロウイア属(Yarrowia)から得られる配列番号5に係るLIP8、又は本明細書で定義されているヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8と同等の活性を有する別の宿主細胞由来の酵素に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素の活性を有する酵素中に改変を含み、例えば、この宿主細胞が、炭素源としての例えば植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下で増殖するプロセスにおいて、総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合が約70~90%の範囲であるか、又はより高い。酢酸レチニルの割合は、さらに、例えば、宿主細胞が炭素源としての植物トウモロコシ油等のトリグリセリド油の存在下で増殖するプロセスにおいて、この宿主細胞の内在性酵素活性におけるさらなる改変と組み合わせて、例えば総レチノイドを基準として少なくとも約10%増加し得る。特に好ましいのは、さらなる改変(例えば、例えばヤロウイア属(Yarrowia)から得られる配列番号1、若しくは3、若しくは15に係るLIP2、及び/若しくはLIP3、及び/若しくはLIP4、又はヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/若しくはLIP3、及び/若しくはLIP4と同等の活性を有する別の宿主細由来の酵素に対して少なくとも約50%の同一性を有する酵素の活性の改変)との組み合わせである。総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合のさらなる増加は、配列番号7、9、11、13に係るTGL1、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素、又はヤロウイア属(Yarrowia)のTGL1、LIP16、LIP17、及びLIP18からなる群から選択される酵素と同等の活性を有する別の宿主細胞からの酵素に対して少なくとも50%の同一性を有する1種又は複数種の酵素の活性の1つ又は複数の改変の導入により可能であり得る。
本明細書で使用される場合、酵素の「活性」、特にヒドロラーゼ又はトランスフェラーゼ活性(例えば、本明細書で定義されているリパーゼ又はエステラーゼの活性)は、「特異的活性」と定義されており、即ち、この酵素の触媒活性と定義されており、即ち、この触媒の、例えばレチニル脂肪酸エステルの形成等の所与の基質からの生成物の形成を触媒する能力と定義されている。酵素(例えばリパーゼ又はエステラーゼ)は、インビボで(即ち、本明細書で定義されている宿主細胞内で)又は好適な基質の存在下でのシステム内で、この酵素の触媒活性を実施する場合には、活性である。当業者には、酵素活性(特に、本明細書で定義されているリパーゼの活性)を測定する方法が既知であり、この酵素として、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP8、及び/又はTGL1、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18、及び/又はLIP4活性に対応する活性を有する酵素が挙げられるが、これに限定されない。レチニル脂肪酸エステルの形成に関与する、本明細書で定義されているリパーゼ/エステラーゼの能力を評価するための分析方法は、当該技術分野で既知であり、HPLC及び同類のものによる測定が挙げられる。本明細書で定義されているLIP2、LIP3、LIP4、LIP8、TGL1、LIP16、LIP17、及び/又はLIP18の活性に関して、当業者は、レチノールの変換からの酢酸レチニルの形成と比較して、レチノールの変換からのレチニル脂肪酸エステルの形成を測定し得、両方とも、改変宿主細胞及び野生型宿主細胞で測定する。
本明細書で使用される場合、活性が「減少しているか又は消失している」酵素(特に、本明細書で定義されているリパーゼ又はエステラーゼ)は、この酵素の特異的活性の減少を意味しており、即ち、発酵の最中でのトリグリセリド(例えば植物油、好ましくはトウモロコシ油)のグリセロール予及び脂肪酸への変換等の所与の基質からの生成物の形成を触媒する能力の減少/消失を意味しており、例えば、そのようなリパーゼ又はエステラーゼをコードするそれぞれの(内在性)遺伝子の活性の減少又は消失を意味する。100%の減少は、本明細書では、酵素活性の消失と称されており、例えば、前記酵素をコードする内在性遺伝子中での欠失、挿入、フレームシフト変異、ミスセンス変異、若しくは中途終止コドン、又は既知の方法による前記内在性遺伝子の発現及び/若しくは活性のブロッキングにより達成可能な酵素活性の消失と称されている。
本明細書で使用される場合、遺伝子活性の消失につながる遺伝子の「欠失」は、機能が低下した対立遺伝子を生じ得る核酸アミノ酸配列中での全ての変異(例えば、限定されないが、欠失、挿入、フレームシフト変異、ミスセンス変異、及び中途終止コドン)を含み、欠失は、対応する遺伝子/タンパク質活性(例えば特定の内在性リパーゼ活性)を宿主細胞中で(もはや)検出し得ないことを意味する。
特定の一実施形態では、本発明は、酢酸レチニルの形成が可能な本明細書で定義されている改変宿主細胞であって、酢酸レチニルの形成が、それぞれの非改変宿主細胞を使用する酢酸レチニルの形成と比較して発酵の最中に増加している、改変宿主細胞を対象とする。本明細書で使用される場合、酢酸レチニルの形成の増加は、前記改変宿主細胞中に存在している/前記改変宿主細胞により産生された総レチノイドを基準として少なくとも約30%の、例えば、約75、80、85、90、95、98%、又はより多くの、例えば100%の酢酸レチニルの割合を意味する。
そのため、本発明は、レチノイド産生改変宿主細胞(特に、酢酸レチニル産生真菌宿主細胞)であって、前記宿主細胞により産生されたレチノイドの総量を基準とする酢酸レチニルの割合が、それぞれの非改変宿主細胞と比較した場合に、少なくとも約70~90%の範囲であり、例えば少なくとも約70%、例えば、約75、80、85、90、95、98%、又はより多く、例えば100%であり、前記改変は、内在性のリパーゼ又はエステラーゼ活性(例えば、限定されないが、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8に対応する活性、及び任意選択的なさらなるヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4、及び/又はTGL1、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18に対応する活性)の減少又は消失を意味している、レチノイド産生改変宿主細胞を対象とする。
本発明に従って改変される宿主細胞は、国際公開第2019/058001号パンフレット又は同第2019/057999号パンフレットで開示されているヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であって、ベータ-カロチンからの酢酸レチニルの形成が、ベータ-カロチンオキシダーゼ(BCO)、レチノールデヒドロゲナーゼ(RDH)、及び/又はアセチル-トランスフェラーゼ(ATF)の異種発現により最適化されている、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から選択され得る。特に、本明細書で定義されている改変宿主細胞は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)に由来するBCO、フサリウム・フジクロイ(Fusarium fujikuroi)に由来するRDH、及び真菌のATF、例えば、ラカンシア(Lachancea)又はサッカロミセス(Saccharomyces)に由来するATFを発現している可能性がある。ベータ-カロチンから、この宿主細胞により産生されるレチナール、レチノール、酢酸レチニルへの変換を増強するために、前記酵素は、レチノールから酢酸レチニルへのアセチル化が改善される1つ又は複数の変異を含み得る。
産生される遺伝子及び/又はタンパク質(例えば、リパーゼ又はエステラーゼ、及び本明細書で定義されているそれぞれの遺伝子)のコピーをより少なくするか又は存在させないためのレチノイド産生宿主細胞での改変の導入(例えば、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8に対応する酵素の活性が減少しており/消失しており、任意選択的に、さらにはヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4、及び/又はTGL1、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18に対応する酵素の活性が減少している/消失している、本明細書で定義されている酢酸レチニルの形成が可能な改変された好適な宿主細胞の生成)は、弱いプロモーターの使用、又は前記酵素活性の減少/消失につながる(本明細書で説明されている)それぞれの酵素(の一部;特にその調節エレメント)の1つ若しくは複数の変異(例えば、挿入、欠失/ノックアウト、若しくは点/フレームシフト/ミスセンス変異、中途終止コドン)の導入(例えば、例えば触媒残基の変異によるか又は宿主細胞による分泌時にリパーゼ/エステラーゼを活性化させるのに必要なタンパク質の折り畳み又はプレ配列若しくはプロ配列開裂を妨げる変異又は欠失の形成によるインビボでの変異誘発による不活性化)を含み得る。そのような活性(例えば、本明細書で定義されているヒドロラーゼ/トランスフェラーゼ活性(例えば、リパーゼ又はエステラーゼ活性))の減少/消失が得られる、本明細書で定義されている宿主細胞を遺伝子学的に操作するか又は改変する方法は、当業者に既知である。この遺伝子操作として、例えば、プラスミド、ウイルス、又は他のベクターを使用する、遺伝子置換、遺伝子増幅、遺伝子破壊、トランスフェクション、形質転換が挙げられるが、これらに限定されない。そのような遺伝子操作の一例は、例えば、本明細書で定義されている酵素のN末端領域により媒介されるDNAとの相互作用、又は他のエフェクター分子との相互作用に影響を及ぼし得る。特に、特定の酵素活性の減少/消失につながる改変を、タンパク質の機能部分(例えば、触媒活性のための機能部分)で実行し得る。さらに、酵素の特定の活性の減少/消失は、前記酵素と、特定の阻害剤又はこの酵素と特異的に相互作用する他の物質とを接触させることにより達成され得る。そのような阻害剤を同定するために、それぞれの酵素(例えば、本明細書で定義されているある特定のリパーゼ)を、この酵素の活性を阻害すると思われる化合物の存在下で発現させて活性に関して試験し得る。
核酸又はアミノ酸への変異の生成(即ち変異誘発)を、様々な方法で実施し得、例えば、ランダム又は部位特異的変異誘発、因子(例えば、放射線、化学的処理、又は遺伝因子の挿入)により引き起こされる物理的損傷により実施し得る。変異を導入する方法は、当業者に既知である。
本発明に係る酢酸レチニルの産生が可能な改変宿主細胞は、そのような改変宿主の増殖を損なうことなく、本明細書で定義されている発酵中に産生された総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合の増加をもたらす限り、前記宿主細胞中に存在するさらなるリパーゼ又はエステラーゼ活性の減少又は消失等のさらなる改変を含み得る。
そのため、本発明は、さらに、例えば、特定の酵素活性(例えば、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、及び/又はLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4、及び/又はTGL、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18に対応する活性を有するリパーゼ/エステラーゼ)の減少又は消失による、改変すべき内在性ヒドロラーゼの同定方法であって、好適な宿主細胞(例えば、酢酸レチニル産生宿主細胞)中においてそれぞれの内在性遺伝子を1種ずつ過剰発現させて、この内在性遺伝子が、酢酸レチニルの割合の減少のようなマイナスの影響を増幅させるかどうかを確認する工程を含む。その後、この過剰発現により前記宿主細胞の発酵の最中に酢酸レチニルの減少がもたらされる酵素の活性を、減少させ得る/消失させ得(例えば、欠失等により対応する遺伝子を不活性化させ得)、酢酸レチニルの形成が増加しているクローンを選択する。
特定の実施形態は、本明細書で定義されており且つ本発明に従って改変すべき好適な内在性ヒドロラーゼ/トランスフェラーゼの同定方法であって、植物油のグリセロール及び脂肪酸への前消化の工程、
(2)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15に対する少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の配列相同性に基づく、内在性リパーゼ又はエステラーゼ酵素の選択の工程、
(3)選択された遺伝子の過剰発現、及び総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合の比較の工程、
(4)遺伝子の選択の工程であって、過剰発現が、レチノイドミックス中における酢酸レチニルの割合にマイナスの影響を及ぼしていた、遺伝子の選択の工程、
並びに
(5)過剰発現時に酢酸レチニルの形成にマイナスの影響を及ぼしていた、選択された遺伝子の、例えば欠失による、減少又は消失、例えば不活性化の工程
を含む方法を対象とする。本発明の特定の一態様によれば、本明細書で定義されている改変宿主細胞を、この宿主細胞により産生されたレチノイドミックス中に存在する酢酸レチニルの割合が増加しているビタミンA発酵方法における副産物の形成の低減方法で使用し得る。本明細書で定義されている改変宿主細胞は、宿主に最適化された異種ポリヌクレオチドの導入(及び発現)等のさらなる改変を含み得る。そのような改変ポリヌクレオチドを生成する方法は、当業者に既知である。そのような宿主に最適化された核酸分子、及びいわゆるサイレント変異を含む分子は、本明細書で定義されている改変リパーゼ/エステラーゼ活性を有する改変宿主細胞が依然として得られる限り、本発明に含まれることが理解される。
「配列同一性」、「同一性%」、又は「配列相同性」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本発明の目的のために、本明細書では、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の配列相同性又は配列同一性のパーセンテージを決定すべく、これらの配列が最適な比較の目的でアラインされることが定義される。2つの配列間のアラインメントを最適化するために、比較される2つの配列の内のいずれかにギャップが導入されてもよい。そのようなアラインメントを、比較される配列の全長にわたり実行し得る。或いは、アラインメントを、より短い長さにわたり実行し得、例えば、約20個、約50個、約100個、又はより多い核酸/塩基又はアミノ酸にわたり実行し得る。配列同一性とは、2つの配列間の、報告されたアラインメント領域にわたる完全な一致のパーセンテージのことである。2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の配列同一性パーセントを、2つの配列のアラインメントに関してNeedleman-Wunschアルゴリズムを使用して決定し得る(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443-453)。アミノ酸配列及びヌクレオチド配列の両方を、このアルゴリズムによりアラインし得る。Needleman-Wunschアルゴリズムは、コンピュータープログラムNEEDLEにおいて実行されている。本発明の目的のために、EMBOSSパッケージのNEEDLEプログラムを使用した(バージョン2.8.0以降、EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite(2000)Rice,Longden and Bleasby,Trends in Genetics 16,(6)pp276-277,http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列の場合には、置換マトリックスについてEBLOSUM62が使用される。ヌクレオチド配列の場合には、EDNAFULLが使用される。使用される任意選択のパラメーターは、10のギャップ開始ペナルティ、及び0.5のギャップ伸長ペナルティである。これらの異なるパラメーターは全て、わずかに異なる結果を生じさせるが、2つの配列の同一性の全体的なパーセンテージは、異なるアルゴリズムを使用する場合でも大きくは変わらないことを当業者は理解するであろう。
上記で説明されているプログラムNEEDLEによるアラインメントの後、問い合わせ配列と本発明の配列との間の配列同一性のパーセンテージを、下記のように算出する:[両配列中の同一のアミノ酸又は同一のヌクレオチドを示すアラインメント中の対応する位置の数]÷[アラインメント中のギャップの総数を減算した後のアラインメントの全長]。本明細書で定義されている同一性は、NOBRIEFオプションを使用することによりNEEDLEから取得され得、プログラムのアウトプットに「最長同一性」とラベルされる。比較される両方のアミノ酸配列が、これらのアミノ酸のいずれでも異ならない場合には、これらは、同一であるか、又は同一性100%を有する。植物に由来する酵素に関して、植物由来の酵素が、例えば葉緑体処理酵素(CPE)等の特定の酵素により開裂される葉緑体標的化シグナルを含み得ることが、当業者に既知である。
一実施形態では、本発明は、レチノール及び酢酸レチニルの製造のための発酵方法における、本明細書で定義されている改変宿主細胞の使用であって、この発酵方法は、例えば国際公開第2019/057998号パンフレットで例示されているような、好適なレチノールデヒドロゲナーゼ(RDH)の作用によるレチノールの酵素的変換(特に、トランス-レチナールの割合が、そのような宿主細胞により産生されたレチノイドの総量を基準として少なくとも約65~90%である)の工程を含む、使用を特徴とする。任意選択的に、発酵培地から、レチノールが単離されている、及び/又はさらに精製されている。そのような方法は、さらなる工程を含み得、例えば国際公開第2019/057999号パンフレットで例示されているような、例えば、好適なBCOの作用による、好ましくは、トランス-レチナールの形成に対する選択性を有するBCOの作用による、より好ましくは、前記宿主細胞により産生されたレチノイドの総量を基準として少なくとも約65~90%のトランス-アイソフォームがもたらされる作用による、ベータ-カロチンのレチナールへの酵素的変換を含み得る。そのため、本明細書で定義されている改変宿主細胞を使用するレチノール及び/又は酢酸レチニルの製造の好ましい方法は、(1)好適なBCOの作用によるベータ-カロチンのレチナールへの酵素的変換の工程、(2)好適なRDHの作用によるレチナールのレチノールへの酵素的変換の工程、並びに任意選択的な(3)発酵培地からのレチノールの単離及び/又は精製の工程を含む。
一実施形態では、本発明は、酢酸レチニルの製造のための発酵方法における、本明細書で定義されている改変宿主細胞の使用であって、この発酵方法は、例えば国際公開第2019/058001号パンフレットで例示されているような、好適なアセチルトランスフェラーゼ(ATF)の作用によるレチノールの酵素的変換の工程を含む、使用を特徴とする。任意選択的に、発酵培地から、酢酸レチニルが単離されている、及び/又はさらに精製されている。そのような方法は、さらなる工程を含み得、例えば国際公開第2019/057999号パンフレットで例示されているような、例えば、好適なBCOの作用による、好ましくは、トランス-レチナールの形成に対する選択性を有するBCOの作用による、より好ましくは、前記宿主細胞により産生されたレチノイドの総量を基準として少なくとも約65~90%のトランス-アイソフォームがもたらされる作用による、ベータ-カロチンのレチナールへの酵素的変換、並びに/又は例えば国際公開第2019/057998号パンフレットで例示されているような、好適なレチノールデヒドロゲナーゼ(RDH)の作用によるレチナールの酵素的変換(特に、トランス-レチナールの割合が、そのような宿主細胞により産生されたレチノイドの総量を基準として少なくとも約65~90%である)を含み得る。そのため、本明細書で定義されている改変宿主細胞を使用する酢酸レチニルの製造の好ましい方法は、(1)好適なBCOの作用によるベータ-カロチンのレチナールへの酵素的変換の工程、(2)好適なRDHの作用によるレチナールのレチノールへの酵素的変換の工程、(3)レチノールの酢酸レチニルへの酵素的変換の工程、並びに任意選択的な(4)発酵培地からの酢酸レチニルの単離及び/又は精製の工程を含む。
本明細書で開示されている方法により得られるレチノール及び/又は酢酸レチニルは、当該技術分野で既知の条件下で、ビタミンAへとさらに処理され/変換され得る。そのため、本発明は、本明細書で定義されている改変宿主細胞を使用するビタミンAの発酵産生の方法を対象とする。
そのため、特定の実施形態では、本発明は、レチトール、酢酸レチニル、ビタミンA、並びにレチノール、酢酸レチニル、及びビタミンAを含むミックスからなる群から選択される生成物の製造方法であって、前記ミックスは、総レチノイドを基準として少なくとも約30%の酢酸レチニルを含み、前記方法は、
(a)酢酸レチニルの形成が可能なレチノイド産生宿主細胞を準備する工程、
(b)前記宿主細胞のゲノムへの1つ又は複数の改変の導入、例えば、リパーゼ/エステラーゼを有する、ECクラス3.1.1.-に属する酵素への改変の導入、例えば、酵素活性の減少/消失、例えば、限定されないが、それぞれの遺伝子の欠失、特に、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8に対応するリパーゼ活性の消失の導入、並びに任意選択的な、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4、及び/又はTGL1、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18に対応する酵素活性のさらなる消失の導入の工程であって、改変宿主細胞は、依然として、炭素源としてトリグリセリド油(例えば植物トウモロコシ油)で増殖可能である、導入の工程、
(c)任意選択的な、当業者に既知の、レチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAの産生に関与する(異種)酵素の1つ又は複数のコピーの発現を含むさらなる改変の導入の工程、
(d)レチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAが形成される好適な条件下での、そのような改変宿主細胞の培養の工程であって、この改変宿主細胞は、炭素源として植物油で増殖する、培養の工程、
並びに
(e)任意選択的な、培養(発酵)培地からのレチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAの単離及び/又はさらなる精製の工程、
を含む、方法を対象とする。
そのような方法により得られる生成物(例えば、レチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンA)は、当該技術分野で使用される食品、飼料、又は製薬用途のための製剤でさらに使用され得る。
本明細書で定義されている改変宿主細胞を、好気性又は嫌気性の条件下にて且つ様々な宿主細胞に関して当業者に既知であるように、例えば、炭素源としてトリグリセリド油(例えば植物油)の存在下にて、適切な栄養素が補充されている水性培地中で培養し得る。宿主細胞の培養/増殖を、バッチ式、フェドバッチ式、半連続式、又は連続式で行い得る。宿主細胞に応じて、好ましくは、ビタミンA等のレチノイド、及び前駆体(例えば、レチナール、レチナール、酢酸レチニル)の産生は、当業者に既知であるように変化し得る。ベータカロチンと、ヤロウイア属(Yarrowia)から選択されるレチノイド産生宿主細胞との培養及び単離は、例えば国際公開第2008/042338号パンフレットで説明されている。
本発明に使用される炭素源は、全ての好適なトリグリセリド油であり、例えば、限定されないが、オレイン酸、パルミチン鎖、ステアリン酸、又はリノール酸のような遊離脂肪酸及びグリセロールを含む前加水分解油であり、例えば、植物油、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、キャノーラ、ベニバナ、ヒマワリ、トウモロコシ、ダイズ、又はラッカセイ油であり、好ましくはトウモロコシ油である。
「レチノイド」又は「レチノイドミックス」は、本明細書で使用される場合、ビタミンA、ビタミンAの前駆体及び/又は中間体、例えば、アポカロテノイドとしても既知であるベータ-カロチン開裂産物、例えば、限定されないが、レチナール、レチノイン酸、レチノール、レチノイン酸メトキシド(retinoic methoxide)、酢酸レチニル、レチニル脂肪酸エステル、4-ケト-レチノイド、3 ヒドロキシ-レチノイド、又はこれらの組み合わせを含む。レチノイドの生合成は、例えば国際公開第2008/042338号パンフレットで説明されている。例えば発酵プロセスでレチノイドの産生が可能な宿主細胞は、「レチノイド産生宿主細胞」として知られている。ビタミンA経路の遺伝子、及びレチノイド産生宿主細胞を生成する方法は、当該技術分で既知であり(例えば国際公開第2019/058000号パンフレットを参照されたい)、ベータ-カロチンオキシダーゼ、レチノールヒドロゲナーゼ、及び/又はアセチルトランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。レチノールの酢酸レチニルへのアセチル化が可能な好適なアセチルトランスフェラーゼ酵素(ATF)は、例えば国際公開第2019/058001号パンフレットで開示されている。トランス-レチナールの高い割合をもたらす好適なベータ-カロチンオキシダーゼは、例えば国際公開第2019/057999号パンフレットで説明されている。「酢酸レチニル産生宿主細胞」は、本明細書で使用される場合、レチノールの酢酸レチニルへの変換を触媒する好適なATFを発現している。
「レチニル脂肪酸エステル」は、本明細書で使用される場合、長鎖レチニルエステルも含む。この長鎖レチニルエステルは、少なくとも約8個(例えば、9、10、12、13,15、又は20個)の炭素原子及び最大約26個(例えば、25、22、21、又はより少ない)炭素原子からなる炭化水素エステルであって、好ましくは、最大約6個の不溶和結合(例えば、0、1、2、4、5、6個の不飽和結合)を有する炭化水素エステルを定義する。長鎖レチニルエステルとして、リノール酸、オレイン酸、又はパルミチン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
「ビタミンA」は、本明細書で使用される場合、水溶液中、固形物及び製剤中で見出されるビタミンAのいずれかの化学的形態であり得、レチノール、酢酸レチニル、及びレチニルエステルが挙げられる。例えば遊離酸形態で解離していないか又はアニオンとして解離しているレチノイン酸も含まれる。
「レチナール」は、本明細書で使用される場合、IUPAC名(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエナールで知られている。レチナールは、シス-アイソフォーム及びトランス-アイソフォームの両方を含み、例えば、11-シスレチナール、13-シスレチナール、トランス-レチナール、及び全てトランスのレチナールを含む。本発明の目的のために、トランス-レチナールの形成が好ましく、これは、例えば国際公開第2019/057999号パンフレットで説明されている立体選択的なベータ-カロチンオキシダーゼの使用により生成され得る。
「カロテノイド」は、本明細書で使用される場合、20個の炭素のゲラニルゲラニル二リン酸分子2つのライゲーションにより天然に形成されている長い40個の炭素の共役イソプレノイドポリエンを含む。これとして、フィトエン、リコピン、及びカロチン、例えばベータ-カロチンが挙げられるが、これらに限定されず、これらを4-ケト位置又は3-ヒドロキシ位置で酸化して、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、又はアスタキサンチンを得ることができる。カロテノイドの生合成は、例えば国際公開第2006/102342号パンフレットで説明されている。カロテノイド(特にベータ-カロチン)がもたらされる1つ又は複数の酵素的変換工程によるカロテノイド産生が可能な細胞(即ち、カロテノイドの産生に関与するそれぞれのポリペプチドが発現され且つインビボで活性である)は、本明細書では、カロテノイド産生宿主細胞と称される。カロテノイド産生細胞を生成するための遺伝子及び方法は、当該技術分野で既知であり、例えば国際公開第2006/102342号パンフレットを参照されたい。産生されるカロテノイドに応じて、様々な遺伝子が関与し得る。
本発明に係る変換は、特定の酵素活性と定義され、即ち、本明細書で説明されている酵素の触媒活性、例えば、限定されないが、リパーゼ又はエステラーゼの酵素活性、特に、レチノールのレチニル脂肪酸エステルへの変換に関与するECクラス3.1.1-に属する内在性酵素、ベータ-カロチンオキシダーゼ(BCO)、レチニルデヒドロゲナーゼ(RDH)、アセチルトランスフェラーゼ(ATF)の酵素活性と定義される。
本発明に関して、生物(例えば微生物、真菌、藻類、又は植物)はまた、国際原核生物命名規約(International Code of Nomenclature of Prokaryotes)又は国際藻類・菌類・植物命名規約(International Code of Nomenclature for algae,fungi,and plants)(メルボルン規約)により定義されている、同じ生理学的性質を有するそのような種のシノニム又はバソニムも含むと理解される。そのため、例えば、ラカンセア・ミランティナ(Lachancea mirantina)株は、日本に由来するチゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)種IFO 11066株のシノニムである。
下記の実施例は、実例となるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものでは一切ない。本出願全体を通して引用されている全ての参考文献、特許出願、特許、及び公開特許出願の内容、特に、国際公開第2019/058000号パンフレット、同第2019/058001号パンフレット、同第2008/042338号パンフレット、同第2019/057999号パンフレット、同第2006/102342号パンフレット、又は同第2019/057998号パンフレットの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
[実施例]
[実施例1:全体的な方法及び株]
本明細書で説明されている全ての基礎分子生物学及びDNA操作手順を、全体として、Sambrook et al.(eds.),Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York(1989)、又はAusubel et al.(eds).Current Protocols in Molecular Biology.Wiley:New York(1998)に従って実施する。例示されている全ての遺伝子操作を、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)で実施した。
振とうプレートアッセイ。典型的には、0.075%の酵母抽出物 800μl、0.25%のペプトン(0.25X YP)に、新たに増殖させたヤロウイア属(Yarrowia)10μlを接種し、ミネラル中の炭素源としていずれかの2%のオレイン酸を含むDrakeol 5(Penreco,Karns City,PA,USA)鉱物油200μlで覆った。形質転換体のクローン単離物を、4日にわたり、20%の鉱物油を含むYPD培地中において、24ウェルプレート(Multitron,30°C,800RPM)中で増殖させた。この振とうプレートウェルから鉱物油画分を取り出し、光ダイオードアレイ検出器と共に、順相カラムによるHPLCにより分析した。
DNA形質転換。株を、YPDプレート培地による一晩の増殖により形質転換させる。細胞50μlをプレートから掻き取り、40℃での60分にわたる、形質転換DNA(典型的には、組み込み形質転換用の直鎖DNA)1μg、40%のPEG 3550MW、100mMの酢酸リチウム、50mMのジチオスレイトール、5mMのTris-Cl pH8.0、0.5mMのEDTAを含む500μl中でのインキュベーションにより形質転換させ、選択培地に直接蒔くか、又はドミナントな抗菌性マーカー選択の場合には、細胞を、30℃で4時間にわたりYPD液体培地で増殖させた後に選択培地に蒔く。
DNA分子生物学。遺伝子を、pUC57ベクター中においてNheI及びMluI末端と共に合成した。典型的には、この遺伝子を、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)形質転換でのマーカー選択用のMB5082「URA3」ベクター(配列番号35)にサブクローニングした。この遺伝子及びマーカーHindIII/XbaI(MB5082)のランダムで非相同的な末端の連結によるクリーンな遺伝子の挿入のために、制限断片を、ゲル電気泳動及びQiagenゲル精製カラムにより精製した。ベータ-カロチン産生株から酢酸レチニル産生株を生成するために、この株を、プラスミドMB9232(表2を参照されたい)で形質転換させ、SfiIで切断し、HOM3及びURA3独立栄養用に二重選択した。Cas9、LIP2、LIP3、及びMB9287の場合にはLIP8、及びMB9953の場合にはLIP4を標的とするガイドRNA発現系を含むプラスミドMB9287及びMB9953を、Genscript(Piscataway,NJ,USA)で合成した。
プラスミドのリスト。使用されるプラスミド、株、ヌクレオチド、及びアミノ酸配列は、表1、2、3、及び配列表で列挙されている。概して、本明細書で言及されている全ての非改変配列は、参照株CLIB122のデータベースにおけるアクセッション配列と同一である(Dujon B,et al,Nature.2004 Jul 1;430(6995):35-44)。
Figure 2023507891000001
Figure 2023507891000002
Figure 2023507891000003
Figure 2023507891000004
Figure 2023507891000005
Figure 2023507891000006
Figure 2023507891000007
発酵条件。発酵は、鉱物油オーバーレイ及びベンチトップ反応器中の撹拌タンクを使用する上述した条件と同一であり、総体積は0.5L~5Lであった(国際公開第2016/172282号パンフレット、油が異なる実施例5及び6を参照されたい)が、オレイン酸を供給した。概して、フェドバッチ撹拌タンク反応器で同じ結果を観察し、生産性が増加しており、これにより、レチノイドを産生するシステムの有用性が実証された。好ましくは、発酵を、6%のグルコースでバッチし、溶存酸素が約20%未満に低下した後に20%の鉱物油を添加し、フィードを再開して、流加プログラム全体を通して20%の溶存酸素を達成した。138時間で、発酵物を採取して比較した。
UPLC逆相レチノール法。迅速スクリーニングのために、この方法では、シス異性体を分離せず、主要な官能基のみを分離する。オートサンプラーと共にPDA検出(又は類似のもの)を有するWaters Acquity UPLCを使用して、試料を注入した。Acquity UPLC HSS T3 1.8um P/N 186003539を使用して、レチノイドを分割した。移動相は、ヘキサン1000mL、イソプロパノール30mL、及びレチノイド関連化合物のための酢酸0.1mLのいずれかからなった。カラム温度は、20℃であった。注入体積は、5μLであった。検出器は、210~600nmを集める光ダイオードアレイ検出器であった。表4に従って、分析物を検出した。
Figure 2023507891000008
Figure 2023507891000009
方法の較正。方法を酢酸レチニルについて較正し、指定のレスポンスファクターを使用して、レチノール及びレチナールを酢酸レチニルに対して定量化する。メスフラスコを使用して、ストック溶液用に、約200μg/mlにて酢酸レチニルをTHFに溶解させる。メスフラスコを使用して、50/50のメタノール/MTBEでストック溶液の20倍、50倍、及び100倍希釈を行なった。酢酸レチニルのUV吸光度は、かなり急速に非線形となるため、線形範囲内にとどまるように注意しなければならない。結果として、濃度が低いほど、良くなり得る。パルミチン酸レチニルも、レチニルエステル較正として使用し得る。
試料の調製。条件に応じて、様々な方法により試料を調製した。全ブロス又は洗浄されたブロス試料の場合には、ブロスをPrecellys(登録商標)チューブに入れ、計量し、移動相を添加した。簡潔に説明すると、2ml Precellys(登録商標)チューブに、十分に混合されたブロス25μl及びTHF975μlを入れた。次いで、典型的には3回の反復×15分×7500rpmsにて、製造元の指示に従って最も高いセッティング3倍で、試料をPrecellys(登録商標)ホモジナイザー(Bertin Corp,Rockville,MD,USA)において処理した。洗浄されたペレットの場合には、試料を、1分にわたり10000rpmにて微量遠心機において1.7mlチューブ内で回転させ、ブロスをデカントし、水1mlを添加し、混合し、ペレット化し、デカントし、元の体積に戻した。この混合物を再びペレット化し、適量の移動相中に戻し、Precellys(登録商標)ビーズビーティングにより処理した。鉱物油画分の分析の場合には、試料を10分にわたり4000RPMで回転させ、油をデカントして容積式ピペット(エッペンドルフ(Eppendorf),Hauppauge,NY,USA)により上部を除去し、ボルテックスにより混合された移動相へと希釈し、UPLC分析によりレチノイド濃度を測定した。
[実施例2:ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)でのリパーゼ/エステラーゼ過剰発現]
好適なヤロウイア属(Yarrowia)の宿主でのレチノイドの産生に対する内在性リパーゼ及び/又はエステラーゼの影響を試験するために、一度に1種の遺伝子のみを過剰発現させる(2種以上の遺伝子を組み合わせない)過剰発現実験を実行した。
リパーゼを、上記で説明されているように過剰発現させた(実施例1)。天然のヤロウイア属(Yarrowia)リパーゼ遺伝子を合成し、配列をGenScriptにより検証し、次いで、MB5082のNheI及びMluI部位にクローニングした。この遺伝子は、ウラシル栄養素要求株(ura3)の相補性による選択を可能にするTEF1プロモーター駆動型である。
XbaI/HindIIIにより開裂されたそれぞれのリパーゼ/エステラーゼ遺伝子を含むプラスミドを、野生型lip8遺伝子(実施例1、表2を参照されたい)を有するレチノイド産生株ML18210-9に形質転換させ、ウラシル原栄養性に関して選択した。形質転換のクローン単離体を、標準的な振とうプレートアッセイにおいて、炭素源としての2%のトウモロコシ油及び20%の鉱物油オーバーレイを含む0.25X酵母/ペプトン(YP)中において4日にわたり増殖させ、既に説明されているUPLC分析方法によりアッセイした。形質転換されたヤロウイア属(Yarrowia)株の少なくとも2つの個々のクローン単離体を、振とうプレートにより試験し、UPLCアッセイにより、総レチノイドの質量当たりのレチニルエステル%及びレチノール%を測定した。結果を表5に示し、レチニル脂肪酸エステル及びレチノールの産生が示されている。LIP8の過剰発現により、レチニル脂肪酸エステルの蓄積及びレチノールの変換に対する最高の性能が達成され、LIP3の過剰発現によりわずかな効果が見られた。
Figure 2023507891000010
[実施例3:ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)でのリパーゼ遺伝子の欠失]
最新のCRISPR Cas9法を使用して、リパーゼ遺伝子を欠失させた。株を、ノウルセオトリシン(nourseothricin)選択下で、Cas9を発現するMB7452(配列番号34)で予め形質転換させ、後のガイドRNAが形質転換された場合に欠失頻度を増加させた。Geneious(登録商標)10.1.3ソフトウェア(Biomatters Ltd)を使用して、Cas9ガイドRNAを選択した。単一切断のためにオープンリーディングフレーム(ORF)の先頭に近い部位を選択したか、又は遺伝子の大部分を除去するために5’及び3’の部位を選択した。ベクターMB8388(配列番号33)のSapIクローニング部位にガイドを挿入し、合成し、GenScriptにより配列を検証した(配列に関しては表3を参照されたい)。株を形質転換させ、200μg/mlにてYPDハイグロマイシンで選択し、次いで複製物をYPDに蒔いた。プラスミドを、Nourseothricin 100μg/mlを含むYPDプレート上での増殖、ガイドRNA断片が失われているがPreCas9プラスミド、MB7452を依然として含むコロニーを同定するための200μg/mlでのYPDハイグロマイシンへの複製物の播種により、継代させる。次いで、このクローンを、100bp上流のプライマー及び100bp下流のプライマーを使用する遺伝子のPCR、ゲル移動度による欠失の同定、及び欠失の配列決定により、欠失に関してスクリーニングした。Cas9欠失のORFを正確に除去するために、テンプレートDNA(株CLIB122の場合にはORFの50bp 5’及びORFの50bp 3’を含む100bp)を、MB9282を使用してKu70遺伝子(YALI0C08701g)が既に欠失している株で使用した。ガイドRNA発現領域の配列は、表3で言及されている。配列中のガイドをコードするヌクレオチドがアニールしてSpI部位にライゲートし、その結果、オリゴヌクレオチド中に存在していたSapI部位が除去される。このガイドのアニーリングは、このガイド配列中の特定のオーバーハング(上部鎖(top strand)の5’から3’:ATG、GTT、CGT、TTT)により指示される。インサート配列には、アラインメントを明確にするために、SapI部位を含むガイドの最初の3つのヌクレチドが含まれており、アニールしたオーバーハングを、このオーバーハングを一致させることによりベクターMB8388(配列番号33)へと構築し得る。24個の塩基対のインサートが、ハンマーヘッド型リボザイム系(hh、hdv)により駆動されて処理されるガイドRNAに挿入されており、66個の塩基対のインサートが、ヤロウイア属(Yarrowia)SNR52プロモーターにより駆動される。一本鎖オリゴヌクレオチドは、上下のセットのアニーリング、及び適切なSapI部位へのライゲーションのためのこれらの使用により、ガイド配列を構築し得る。MB8388中にこれらのインサートを含むプラスミドは、DNA provider GenScript(Piscataway,NJ,USA.)で定期的に合成されている。これらの構築で使用されるオリゴヌクレオチドの例は、表3Bに含まれている。
[実施例4:酢酸レチニルの形成に対するリパーゼノックアウトの効果]
酢酸レチニルの産生への効果を調べるために、本発明者らは、アミノ酸置換S480Q_G409A V407I_H69A_I484Lを有する、ラカンセア・ミランティナ(Lachancea mirantina)に由来する高活性アセチルトランスフェラーゼ(即ちLmATF1(国際公開第2019058001号パンフレットを参照されたい:配列番号13))を発現する酢酸レチニル産生株ML18210-1においてリパーゼ欠失を構築した。前記株の系列は、表2から分かる。リパーゼ遺伝子のオープンリーディングフレームの除去を、CRISPR Cas9法を使用して実行した。このスキームを、MB9282を使用するku70変異の一次導入、続いてku70変異体の二本鎖切断を修復するためには相同組換えが必要となることからORFの正確な欠失を指示するテンプレートDNA(Genewiz.com,Cambridge,MA,USAからFragmentGENEとして発注されたORFの100個のヌクレオチド塩基対5’及び3’)によるリパーゼ欠失プラスミドの共形質転換により実施した。この技術により、1つのみか又はいくつかのリパーゼ遺伝子の欠失(即ち連続欠失)を実施した。表6に示すように、前記改変株を、純度(即ち、レチノイドの総量を基準とする酢酸レチニルの割合)、及び存在量(即ち、株ML18210-1(全ての内在性リパーゼ遺伝子に関する野生型株)による酢酸レチニル形成に対するリパーゼ欠失株による酢酸レチニル形成間の比較)に焦点を当てて、レチノイドの形成(特に、酢酸レチニルの形成)に関して試験した。株を、実施例1で説明されているように、0.25X酵母ペプトンが供給されている振とうプレート中において、2%のオレイン酸で増殖させ、振とうプレート中において30℃で4日にわたり20%の鉱物油のオーバーレイで発酵させた。LIP8のみの欠失に関する結果を表6に示し、総レチノイドを基準として、又はLIP2、及び/若しくはLIP3、及び/若しくはLIP4との組み合わせで、酢酸レチニルの割合が70%となり、この割合はある程度さらに増加する。TGL1、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18から選択されるさらなる欠失の追加により、酢酸レチニルの割合は少なくとも同一(即ち、総レチノイドを基準として少なくとも約70~90%の酢酸レチニルの範囲)となり、LIP8のみの欠失による酢酸レチニルの形成と比較して少なくとも約10%さらに増加し得る。
Figure 2023507891000011

Claims (14)

  1. 酢酸レチニルの形成が可能なレチノイド産生宿主細胞であって、特に、酢酸レチニル産生宿主細胞であって、例えば、真菌宿主細胞であって、好ましくは、ヤロウイア属(Yarrowia)等の含油性酵母細胞であって、1つ又は複数の遺伝子改変を含み、例えば、植物油のグリセロール及び脂肪酸への前消化に関与する内在性酵素の、好ましくはECクラス3.1.1.-に属する内在性酵素の、より好ましくはエステラーゼ又はリパーゼ活性を有する酵素の減少又は消失を含み、好ましくは、消失を含む宿主細胞。
  2. 内在性遺伝子の発現が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失しており、前記遺伝子は、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、LIP3、LIP4、LIP8、TGL1、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素活性に対応する活性を有する酵素をコードする、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 前記改変により、酢酸レチニルの割合が、宿主細胞と比較して、総レチノイドを基準として少なくとも約70%増加しており、例えば少なくとも約70~90%増加しており、前記それぞれの遺伝子が、依然として発現されており、且つ活性である、請求項1又は2に記載の宿主細胞。
  4. 配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の同一性を有する、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から得られるポリペプチド中に改変を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  5. ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8に対応する内在性酵素が減少しているか又は消失しており、好ましくは消失している、請求項1~4のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  6. 酢酸レチニルの形成が、それぞれの非改変宿主細胞を使用した酢酸レチニルの形成と比較して発酵の最中に増加しており、前記改変宿主細胞中に存在している/前記改変宿主細胞により産生された総レチノイドを基準として少なくとも約70%の、例えば、約75、80、85、90、95、98%、又はより多くの、例えば100%の酢酸レチニルの割合が得られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  7. 植物油を炭素源とするレチノイドの産生のための発酵方法で使用される請求項1~6のいずれか一項に記載の宿主細胞であって、レチノイドミックス中に存在している酢酸レチニルの割合が、前記宿主細胞中に存在しているか又は前記宿主細胞により産生された総レチノイドを基準として約70%以上の、好ましくは約75、80、85、90、95、98%、又はより多くの、例えば100%の酢酸レチニルである、宿主細胞。
  8. 前記宿主細胞が、ヤロウイア属(Yarrowia)から選択され、好ましくはヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から選択され、任意選択的に、LIP2、LIP3、LIP4、TGL、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子の不活性化、好ましくは欠失と組み合わせて、前記LIP8遺伝子が不活性化されており、好ましくは欠失している、請求項1~7のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  9. レチノール、酢酸レチニル、レチニル脂肪酸エステル、ビタミンA、又はこれらの混合物からなる群から選択されるレチノイドの製造方法における請求項1~8のいずれか一項に記載の宿主細胞の使用。
  10. 酢酸レチニルの割合が、レチノイドの総量を基準として約70%以上の範囲である、請求項9に記載の使用。
  11. 前記宿主細胞が、炭素源として植物油で増殖し、好ましくはトウモロコシ油で増殖する、請求項9又は10に記載の使用。
  12. 発酵方法で生成されるレチノイドミックス中の酢酸レチニル以外のレチノイドの割合を減少させるか又は消失させる方法であって、
    (1)レチノールの酢酸レチニルへの変換に関与する酵素をコードする異種遺伝子、及び任意選択的な、レチナールのレチノールへの変換及び/又はベータ-カロチンからレチナールへの変換に関与する酵素をコードする遺伝子を、レチノイド産生宿主細胞に導入する工程、
    (2)植物油のグリセロール及び脂肪酸への前消化に関与する内在性酵素活性に、好ましくは、ECクラス3.1.1.-に属する酵素に、より好ましくは、リパーゼ又はエステラーゼ活性を有する酵素に、最も好ましくは、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8、LIP2、LIP3、LIP4、TGL、LIP16、LIP17、LIP18、及びこれらの組み合わせに対応する活性を有する酵素に、1つ又は複数の改変を導入する工程であって、前記改変は、そのような酵素活性の減少又は消失であり、好ましくは、前記酵素活性の消失である、導入する工程
    を含む方法。
  13. レチノール、酢酸レチニル、ビタミンA、並びにレチノール、酢酸レチニル、及びビタミンAを含むミックスからなる群から選択される生成物の製造方法であって、
    (a)酢酸レチニルの形成が可能なレチノイド産生宿主細胞を準備する工程、
    (b)前記宿主細胞のゲノムへの1つ又は複数の改変の導入、例えば、リパーゼ活性を有するECクラス3.1.1.-に属する酵素への改変の導入、例えば、酵素活性の減少/消失、例えば、限定されないが、それぞれの遺伝子の欠失、特に、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP8に対応するリパーゼ活性の消失の導入、並びに任意選択的な、ヤロウイア属(Yarrowia)のLIP2、及び/又はLIP3、及び/又はLIP4、及び/又はTGL、及び/又はLIP16、及び/又はLIP17、及び/又はLIP18に対応する酵素活性のさらなる消失の導入の工程であって、前記改変宿主細胞は、依然として、炭素源として植物油で増殖可能である、導入の工程、
    (c)任意選択的な、当業者に既知の、レチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAの産生に関与する(異種)酵素の1つ又は複数のコピーの発現を含むさらなる改変の導入の工程、
    (d)レチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAが形成される好適な条件下での、そのような改変宿主細胞の培養の工程であって、前記改変宿主細胞は、炭素源として植物油で増殖する、培養の工程、
    並びに
    (e)任意選択的な、前記培養(発酵)培地からのレチノール、酢酸レチニル、及び/又はビタミンAの単離及び/又はさらなる精製の工程、
    を含む方法。
  14. 炭素源として植物油で増殖した酢酸レチニル産生宿主細胞の発酵における酢酸レチニルの割合を増加させるために改変すべき好適な内在性ヒドロラーゼの同定方法であって、植物油のグリセロール及び脂肪酸への前消化の工程、
    (2)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15に対する少なくとも約50%の、例えば、60、70、80、90、95、98、又は100%の配列相同性に基づく、内在性リパーゼ又は内在性エステラーゼ酵素の選択の工程、
    (3)選択された遺伝子の過剰発現、及び総レチノイドを基準とする酢酸レチニルの割合の比較の工程、
    (4)遺伝子の選択の工程であって、過剰発現が、レチノイドミックス中の酢酸レチニルの割合にマイナスの影響を及ぼしていた、遺伝子の選択の工程、
    並びに
    (5)レチノイドミックス中におけるレチニル酸の形成の富化のために選択された遺伝子の、例えば欠失による、減少又は消失、例えば不活性化の工程
    を含む方法。
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