JP2023183384A - 熱伝導性シリコーン組成物および該組成物を使用する熱伝導性部材の製造方法 - Google Patents

熱伝導性シリコーン組成物および該組成物を使用する熱伝導性部材の製造方法 Download PDF

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Kazuya Sakai
俊介 山田
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Abstract

【課題】、本発明は、柔軟性が高く、放熱特性に優れた熱伝導性部材を得るための熱伝導性シリコーン組成物であり、かつ貯蔵安定性及び耐熱性に優れた組成物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物は、(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(D) 付加反応触媒と、(E) BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、(F) 架橋剤と、を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、前記組成物中の、BET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性フィラーと所定のシラノール基含有ジメチルポリシロキサンを含有する硬化性熱伝導性シリコーン組成物及び該組成物を使用する熱伝導性部材の製造方法に関する。
電子部品の小型化、高性能化、高出力化に伴い、放出される熱エネルギーが増大し、電子部品の温度は上昇する傾向にある。また、近年は環境に配慮された電気自動車の普及に伴い、高性能バッテリーの開発が進められている。このような背景から、電子部品やバッテリー等の発熱体が発する熱をヒートシンクなどの放熱部材に伝えるための放熱性シリコーン製品(放熱シート、放熱グリース、放熱ギャップフィラー等)が多く開発されている。
放熱シートは硬化後の形状維持性に優れており、取り扱い性に優れる一方で、グリース、ギャップフィラーと比較し薄膜化が困難であり、硬化後の柔軟性が劣るため、放熱部材との接触熱抵抗が大きくなりやすい。放熱グリースは柔軟性に優れて、低熱抵抗を実現しやすいが、硬化しないため、耐ポンプアウト性能に課題がある。上記の観点から、硬化前の柔軟性に富み、硬化性をもつギャップフィラーは低熱抵抗を実現しながら、耐ポンプアウト性能も兼ね備える材料として注目されており、さらなる性能向上が求められている。
熱伝導性部材の1つであるギャップフィラーは、硬化性熱伝導性シリコーン組成物を硬化させることにより得られるものであり、該組成物に熱伝導性フィラーを配合することにより、硬化後に得られるギャップフィラーに高い放熱特性を付与することができる。特に比表面積の比較的小さい熱伝導性フィラー、(例えば球状の熱伝導性フィラーである)はポリマー中に多量に配合することが可能であるため、例えば2.0W/m・K以上の高い熱伝導性を有する熱伝導性部材を得るために重要な成分である。しかし、球状の熱伝導性フィラーは熱伝導性シリコーン組成物中で沈降しやすいため、長期の貯蔵安定性に問題があった。
一方で、熱伝導性部材として、良好な放熱特性だけでなく、車体に衝撃が加わった場合にも電子部品、バッテリー、放熱部材等へ加わる衝撃を軽減させることが求められる。そこで、柔軟性の高い熱伝導性部材が要望されている。
柔軟性が高い熱伝導性部材を得るためには、熱伝導性シリコーン組成物に低粘度ポリマーを配合することが考えられるが、熱伝導性シリコーン組成物中の熱伝導性フィラーが経時的に沈降しやすくなるという問題があった。熱伝導性フィラーが沈降すると、熱伝導性シリコーン組成物の組成が不均一となるため、得られる熱伝導性部材の品質も不均一となる。
そこで様々な熱伝導性フィラー沈降防止方法が開発されてきた。
例えば、特許文献1は70質量%以上が水酸化アルミニウムで占められている熱伝導性フィラーを配合することにより、熱伝導性フィラーの沈降を抑制させた熱伝導性シリコーン組成物を開示する。しかし得られる硬化物の柔軟性は不十分である。
特許文献2は液状シリコーンと、熱伝導性充填材や導電性充填材などの非溶解性機能付与充填材、非液状のセルロース系化合物や多糖類等の増粘抑制沈降防止材または非増粘沈降防止材と、を含むシリコーン組成物を開示する。しかし多糖類は高温で熱分解するため、高温に暴露した際に柔軟性や熱伝導率が低下するおそれがあり、高温暴露した際の耐熱性に課題がある。
特開2011-089079号公報 再表2016/103424号公報
以上の背景から、本発明は、柔軟性が高く、放熱特性に優れた熱伝導性部材を得るための熱伝導性シリコーン組成物であり、かつ貯蔵安定性及び耐熱性に優れた組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、オルガノポリシロキサンを含むシリコーン組成物において、所定のBET比表面積と所定の平均粒径を有する熱伝導性フィラーと、25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、本発明の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物は、
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
(F) 架橋剤と、
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
前記組成物中の、BET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下である。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物(以下、単に組成物ともいう)は、発熱体の基材表面等に配置される熱伝導性部材を形成するための組成物であればよく、熱伝導性部材の形態としては例えばギャップフィラーが挙げられる。
熱伝導性シリコーン組成物中の(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、 (B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有する有するオルガノポリシロキサンとは、(D)付加反応触媒存在下で架橋反応することにより硬化する。ここで、(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンはヒドロシリル基やアルケニル基を有さず架橋反応に寄与しないため、硬化物の柔軟性を向上させることが可能である。
さらに発明者らは、シラノール基を有しないオルガノポリシロキサンを配合した場合と比較して、(C)成分を配合した場合には熱伝導性フィラーの組成物中における沈降抑制効果が高いことを見出した。これは熱伝導性フィラー表面のOH基と、(C)成分のシラノール基とが水素結合し、かつ、(C)成分がオルガノポリシロキサン骨格を有することにより、(A)および(B)成分との相溶性が良好であることによるものと考えられる。
特に25℃で粘度500 mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、硬化物の柔軟性向上効果と、熱伝導性フィラーの沈降抑制効果が十分に高い組成物が得られる。より具体的には、JIS K6249で規定される針入度が10以上である極めて柔軟性が高いギャップフィラーが得られる熱伝導性シリコーン組成物であって、室温下で1,000時間貯蔵後も組成物の上部と下部の比重差が0.2以内である貯蔵安定性が高い組成物が得られる。
粘度が500 mPa・s以下と低いオルガノポリシロキサンは、すなわち重合度が小さいため、上記に説明した水素結合の密度が高まる。このため、粘度が高いシラノール基含有オルガノポリシロキサンよりも高い効果を発揮すると考えられる。
上述の通り、本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物は、貯蔵安定性が高く、硬化させて得られる熱伝導性部材は柔軟性に優れている。このため、長期にわたり安定した品質の熱伝導性部材を得ることができ、熱伝導性部材を車体に搭載されるバッテリー等の放熱部材に適用するギャップフィラーとして使用した場合に、放熱部材への外部からの衝撃を軽減させることができる。
以下に本発明に係る、熱伝導性シリコーン組成物、該組成物の製造方法、該組成物を使用する熱伝導性部材の製造方法の詳細を説明する。
本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物は
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
(F) 架橋剤と、
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
前記組成物中の、BET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下である。
上記(A)、(B)、(D)および(E)成分を含む組成物に(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、該組成物の硬化後に得られる熱伝導性部材の柔軟性を向上させることが可能になる。さらに、組成物の貯蔵中に熱伝導性フィラーが沈降する現象を抑制可能であり、組成物の貯蔵安定性を向上させることが可能になる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、熱伝導性部材を形成するための組成物であればよく、熱伝導性部材としては例えば車のバッテリー等の発熱体や、発熱体を被覆するフィルム上に適用されるギャップフィラーが挙げられる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、その硬化前に液体状態で基材に塗布され、塗布後に硬化させて熱伝導性部材を与えるものである。
(成分(A))
成分(A)は、熱伝導性シリコーン組成物の主剤であり、ケイ素原子に結合しているアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
成分(A)の粘度や重合度は特に限定されず、要求される熱伝導性シリコーン組成物の混合粘度等に応じて選択することができ、例えば25℃における粘度が10mPa・s以上10,000mPa・s以下であってもよい。
オルガノポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これは、熱伝導性シリコーン組成物の主剤であり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に平均して、少なくとも2個、好ましくは2~50個、より好ましくは2~20個有するものである。
(A)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、一部分岐を有する直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、分岐を有する環状構造であってもよい。(A)成分は、このうち、実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、分子鎖が主にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであってもよい。分子鎖末端の一部または全部、または側鎖の一部がシラノール基であってもよい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の位置は特に制限されず、(A)成分は、分子鎖両末端にケイ素原子に結合しているアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであってもよい。分子鎖両末端にアルケニル基を1つずつ有するジオルガノポリシロキサンであれば、架橋反応の反応点となるアルケニル基含有量が少なく、硬化後に得られるギャップフィラーの柔軟性が高められるという利点がある。
アルケニル基は分子鎖末端のケイ素原子又は分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子のどちらか一方にのみ結合していてもよいし、これら両者に結合していてもよい。
また、(A)成分は、単一のシロキサン単位からなる重合体であっても、2種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよい。
(A)成分の25℃における粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下であり、20mPa・s以上5,000mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以上2,000mPa・s以下がさらに好ましい。
上記粘度範囲であれば、(A)成分の粘度が低すぎることに起因して、得られる液状組成物において、(E)成分が沈降しやすくなる現象を抑制可能である。従って長期の保存性に優れた熱伝導性シリコーン組成物が得られる。また、上記粘度範囲であれば、得られる熱伝導性シリコーン組成物の適度な流動性が得られるため、吐出性が高く、生産性を高めることが可能になる。また、熱伝導性シリコーン組成物を硬化して得られる熱伝導性部材の柔軟性を高くすることが可能になる。
液状組成物を混合して得られる熱伝導性シリコーン組成物の硬化前の粘度(混合粘度)調整のため、粘度の異なる2種類以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを用いることもできる。
熱伝導性シリコーン組成物の適度な流動性と、該組成物を硬化して得られる熱伝導性部材の柔軟性を確保するためには、25℃における粘度100,000mPa・s以上のジオルガノポリシロキサンを含まないことがより好ましく、粘度 50,000mPa・s以上のジオルガノポリシロキサンを(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに0.1質量部以上含まないことがさらにより好ましい。
具体的には、成分(A)は、平均組成式が下記一般式(1)で表される。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
(ただし、式(1)中、R1は、互いに同一または異種の炭素数1~18の非置換のまたは置換された一価炭化水素基である。aは1.7~2.1である。また、aは好ましくは1.8~2.5、より好ましくは1.95~2.05である。)
一つの実施形態において、上記R1で示される一価炭化水素基のうち、少なくとも2個以上はビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基から選ばれ、それ以外の基は、炭素数1~18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基や、これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基などによって置換されたクロロメチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基、シアノエチル基などのハロゲン置換アルキル基やシアノ置換アルキル基などから選ばれる。
R1の選択にあたって、2個以上必要なアルケニル基としてはビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2ーメチルー1ープロペニル基、2ーメチルアリル基、2ーブテニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。アルケニル基以外のR1としてはメチル基およびフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、全R1中の70モル%以上がメチル基であることが、硬化物の物性および経済性などの点で好ましく、通常はメチル基が80モル%以上のものが用いられる。
成分(A)の分子構造としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、式:(CH3)2ViSiO1/2で示されるシロキサン単位、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位、式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン(式中のViは、ビニル基を表す)、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種類以上の混合物が例示されるが、分子鎖長の増長によって硬化物の切断時の伸びを高める観点から、直鎖状のジオルガノポリシロキサンで分子鎖両末端にビニル基を有するものが好ましい。
これらのオルガノポリシロキサンは市販のものを使用してもよく、また当業者に公知の方法で製造されたものを使用してもよい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物中、(A)成分および前記(B)成分の合計量を100質量部としたときの、(A)成分のオルガノポリシロキサンの含有量は、2質量部以上90質量部未満であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、熱伝導性シリコーン組成物全体の粘度が適切な範囲となり、より長期の保存安定性に優れ、ポンプアウトを抑制可能であり、適度な流動性を有することにより、得られる熱伝導性部材の熱伝導性を高く維持することが可能となる。
ここで、ポンプアウトとは、発熱体等の基材に塗布した熱伝導性シリコーン組成物、またはその硬化後の熱伝導性部材が、発熱体と放熱体との間から流出してしまい、亀裂やボイドが発生する現象である。熱伝導性シリコーン組成物の少なくとも一部が硬化前または硬化途中に流出する場合や、熱伝導性シリコーン組成物が硬化後に、振動や、熱により膨張、収縮し、流出する場合がある。いずれの場合も、結果的に熱伝導性部材の熱抵抗の増加を招き、放熱特性を低下させるというものである。
(成分(B))
成分(B)は、ケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有するオルガノポリシロキサンである。
成分(B)の粘度や重合度は特に限定されず、要求される熱伝導性シリコーン組成物の混合粘度等に応じて選択することができ、例えば25℃における粘度が10mPa・s以上10,000mPa・s以下であってもよい。
成分(B)は1分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個含有するオルガノポリシロキサンであり、本発明の熱伝導性シリコーン組成物を硬化させるための架橋剤の役割を果たす成分である。
ケイ素原子に結合している水素原子の数は2個以上であれば結合箇所は特に限定されず、2個以上4個以下であってもよい。直鎖状の成分(B)の分子鎖両末端に各1個のケイ素原子に結合している水素原子を有することが特に好ましく、分子中の1つのケイ素原子に結合している水素原子数が2個であってもよい。
成分(B)は、1分子中にケイ素原子と結合している水素原子(ヒドロシリル基)を2個含有するオルガノポリシロキサンであればいかなるものでもよく、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ単位とSiO4/2単位からなるコポリマーが用いられる。成分(B)は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
成分(B)の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、又は三次元網状構造のいずれのものであってもよいが、具体的には、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
R3 pHqSiO(4-p-q)/2 (2)
(式中、R3は脂肪族不飽和炭化水素基を除く、非置換又は置換の一価炭化水素基である。またpは0~3.0、好ましくは0.7~2.1、qは0.0001~3.0、好ましくは0.001~1.0で、かつp+qは0.5~3.0、好ましくは0.8~3.0を満足する正数である。)
式(2)中のR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の、脂肪族不飽和炭化水素基を除く、通常、炭素数1~10、好ましくは1~8程度の非置換又はハロゲン置換の1価炭化水素基等が例示され、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基であり、特に好ましくはメチル基である。
(B)成分としては、具体的には、例えば1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、H(CH3)2SiO1/2単位とSiO2単位との共重合体、H(CH3)2SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とSiO2単位との共重合体や、これらのオルガノハイドロジェンシロキサンの2種以上の混合物等が例示できる。
上記シリコーン組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のヒドロシリル基の個数の比が1/5~7となる範囲であることが好ましく、1/3~2となる範囲であることがより好ましく、2/5~5/4の範囲であることがさらにより好ましい。上記範囲内であれば熱伝導性シリコーン組成物が十分に硬化し、熱伝導性シリコーン組成物全体の硬さがより好適な範囲となり、熱伝導性シリコーン組成物を硬化させてギャップフィラーとして使用する場合に割れが生じにくくなるほか、縦型に基材を配置した場合にも熱伝導性シリコーン組成物が垂直保持性を維持できるという利点がある。
(B)成分中のヒドロシリル基は、分子鎖末端にあってもよく、側鎖にあってもよく、分子鎖末端と側鎖の両方にあってもよい。分子鎖末端にのみヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンと、分子鎖側鎖にのみヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンを混合して使用してもよい。
(B)成分は、分子鎖両末端にのみケイ素原子に結合している水素原子を有するオルガノポリシロキサンであってもよい。分子鎖両末端にヒドロシリル基を1つずつ有するオルガノポリシロキサンであれば、ヒドロシリル基含有量が少なく、硬化後に得られる熱伝導性部材の柔軟性が高まり、基材との密着性をより高められるという利点がある。
分子鎖末端にのみヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンは、立体障害が少ないことから反応性が高いという利点があり、側鎖にヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンは架橋反応によりネットワーク構築に寄与するため、熱伝導性部材とした際の強度を向上させるという利点がある。硬化後の熱伝導性部材に柔軟性を付与するためには、分子鎖末端にのみヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサンを使用するのが好ましい。
成分(B)は、接着性および耐熱性向上の観点からは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基を有するもので、分子中に芳香族の基を分子中に少なくとも1個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むこともできる。経済的な理由により芳香族の基としてはフェニル基であることがより好ましい。芳香族基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、芳香族基を含まないオルガノハイドロジェンポリシロキサンを混合して用いることもできる。
成分(B)の25℃における粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下であり、20mPa・s以上5,000mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以上2,000mPa・s以下がさらに好ましい。
最終的な生成物である熱伝導性シリコーン組成物の粘度調整のため、粘度の異なる2種類以上の、水素原子を有するオルガノポリシロキサンを用いることもできる。ギャップフィラー組成物の混合粘度は10 Pa・s以上1,000Pa・s以下の範囲であってもよく、20 Pa・s以上500Pa・s以下の範囲であればより好ましく、30 Pa・s以上250Pa・s以下の範囲であればさらにより好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物中、(A)成分および(B)成分の合計量を100質量部としたときの(B)成分のオルガノポリシロキサンの含有量は、10質量部以上98質量部未満であることが好ましく、20質量部以上90質量部未満であることがより好ましい。上記範囲内であれば、熱伝導性シリコーン組成物の硬化後の硬さが適切な範囲となり、硬化後の熱伝導性部材は柔軟性及び頑強性を有することができる。
(成分(C))
(C)成分の25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンは、熱伝導性シリコーン組成物の貯蔵安定性を向上させ、かつ、該組成物を硬化して得られる熱伝導性部材の柔軟性と耐ポンプアウト性を向上させるために配合される。
(C)成分は、アルケニル基またはケイ素原子に結合している水素原子(ヒドロシリル基)を有しない化合物であることができる。また、分子鎖両末端に少なくとも1つのシラノール基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンであってもよい。(C)成分がこのような構造であれば、(A)成分および(B)成分による架橋反応には関与せず、結果として熱伝導性部材の柔軟性を向上させる。
(C)成分はシラノール基(1分子中にケイ素原子に直接結合するヒドロキシ基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。ケイ素原子に直接結合するヒドロキシ基以外の一価の有機基については特に限定されるものではなく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ビニル基、プロペニル等のアルケニル基等の炭素数1~10の一価炭化水素基が挙げられるが、本発明においては、特にシラノール基以外の有機基の80モル%以上がメチル基であることが好ましい。また、アルケニル基を含まないものであることが、より好ましい。分子構造も特に限定されるものではなく、基本的には直鎖が工業的には好ましいが、分岐構造を有するものも同様に使用可能である。
(C)成分の25℃における粘度は、10mPa・s以上500mPa・s以下のものが好ましく、より好ましくは30 mPa・s以上500mPa・s以下である。
(C)成分のシラノール基の含有量は成分(C)全体を100質量%としたときに、1質量%以上10質量%以下であってもよい。シラノール基の含有量は1質量%以上8質量%以下がより好ましく、1質量%以上5%質量以下がさらにより好ましい。
ここで、シラノール基の含有量は、[分子中のシラノール基の質量]÷[(C)成分1分子当たり全体の質量]×100(質量%)の式に従って求められる量である。
上記範囲のシラノール基含有量であれば、熱伝導性フィラーの沈降抑制効果が特に高くなる。
(C)成分として、1種の化合物を使用してもよく、2種以上の混合物を使用することもできる。
(C)シラノール基含有オルガノポリシロキサンは、特に限定されず、公知のものを適宜利用することができる。このようなシラノール基含有オルガノポリシロキサンとしては市販品を適宜利用することができ、例えば、Wacker Chemie AGからは、アルケニル基非含有ジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンが入手可能である。
(C)成分のシラノール基は、後述する熱伝導性フィラー表面のOH基と相互作用する。また、(C)成分はシリコーン骨格を有するため、(A)成分、(B)成分との相溶性が良好である。これらの作用により、(C)成分は、熱伝導性シリコーン組成物中で経時的に熱伝導性フィラーが沈降する現象を抑制する。
したがって、(C)成分を配合しない場合と比較して、熱伝導性シリコーン組成物を長期間保管しても、組成物中での成分の偏りが少なく、長期にわたり安定した品質の熱伝導性部材を得ることが可能となる。
(C)成分の配合量は、(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以上100質量部以下となる範囲である。5質量部以上100質量部以下であればより好ましく、10質量部以上50質量部以下であれば、さらにより好ましい。上記範囲であれば、沈降抑制を行いつつ、柔軟性、密着性、低い混合粘度を有することができる。特に熱伝導性部材がギャップフィラーである場合には、熱伝導性シリコーン組成物を微細な空隙にも注入可能となり、押しつぶし性にも優れるという利点がある。さらに硬化後の熱伝導性部材の耐ポンプアウト性を維持しつつ、硬さを低く維持することが可能となり、硬化後も柔軟性をもった熱伝導性部材となる。なお、耐ポンプアウト性は、後述する測定方法により110%未満の値を示すものであれば良好であると判断される。
耐ポンプアウト性は、(C)成分の配合量が3質量部を超える場合に特に良好であり、5質量部を以上であればより良好であり、50質量部以上であればさらにより良好となる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物には、任意でシラノール基、アルケニル基、およびヒドロシリル基のいずれも有しないオルガノポリシロキサン (例えば、無官能ジメチルシロキサンである)を含むことができる。この場合、(A)成分と(B)成分との架橋反応に関与しないオルガノポリシロキサン (すなわち、アルケニル基、ヒドロシリル基のいずれも有しないオルガノポリシロキサン)の総量に占める、(C)成分の割合は50質量%以上であれば、より耐ポンプアウト性を高めることが可能である。
(C)成分の配合量を増加させると、柔軟性が増加するとともに、沈降抑制の効果が大きくなり、硬化後の押しつぶしをさらに容易に行うことができる。
(C)成分量をさらに増加させ、例えば(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、50質量部以上とすると、針入度をさらに高く、例えば23℃、24時間の条件で硬化後の針入度を10以上にすることができるため、より好ましい。
さらに、(C)成分は、低粘度であるにもかかわらず、シラノール基を含有しないポリシロキサンを配合する場合と比較して、熱伝導性シリコーン組成物を硬化させた後の基材への密着性を低下させにくい特性がある。このため、(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、(C)成分を50質量部以上配合した場合にも好適な密着性を維持することが可能である。
また、(C)成分は硬化前の熱伝導性シリコーン組成物をディスペンサー等の機器により基材に塗布する際の糸切れ性を向上させることが可能となる。
(成分(D))
成分(D)の付加反応触媒は、上述した成分(A)におけるケイ素原子に結合しているアルケニル基と、上述した成分(B)におけるケイ素原子に結合している水素原子との付加硬化反応を促進する付加反応触媒であって、当業者には公知の触媒である。成分(D)としては白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ルテニウムなどの白金族金属、または、これらを微粒子状の担体材料(例えば、活性炭、酸化アルミニウム、酸化ケイ素)に固定したものが挙げられる。
さらに、成分(D)としては、白金ハロゲン化物、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金-アルコラート錯体、白金-ビニルシロキサン錯体、ジシクロペンタジエン-白金ジクロライド、シクロオクタジエン-白金ジクロライド、シクロペンタジエン-白金ジクロライド等の白金化合物が挙げられる。
また、経済的な観点から、上述したような白金族金属以外の金属化合物触媒を(D)成分として用いてもよい。例えば、ヒドロシリル化鉄触媒としては、鉄-カルボニル錯体触媒、シクロペンタジエニル基を配位子として有する鉄触媒、ターピリジン系配位子や、ターピリジン系配位子とビストリメチルシリルメチル基を有する鉄触媒、ビスイミノピリジン配位子を有する鉄触媒、ビスイミノキノリン配位子を有する鉄触媒、アリール基を配位子として有する鉄触媒、不飽和基を有する環状または非環状のオレフィン基を有する鉄触媒、不飽和基を有する環状または非環状のオレフィニル基を有する鉄触媒である。その他、ヒドロシリル化のコバルト触媒、バナジウム触媒、ルテニウム触媒、イリジウム触媒、サマリウム触媒、ニッケル触媒、マンガン触媒などが例示される。
成分(D)の配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、熱伝導性シリコーン組成物の合計質量に対して、触媒金属元素の濃度として好ましくは0.5ppm以上1,000ppm以下、より好ましくは1ppm以上500ppm以下、より一層好ましくは1ppm以上100ppm以下の範囲である。配合量が0.5ppm未満の場合は、付加反応が著しく遅くなり、一方、配合量が1,000ppmを超えるとコストが上昇するため経済的に好ましくない。
(成分(E))
(E)成分の熱伝導性フィラーは、熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率を向上させるための充填材成分である。本発明で使用される熱伝導性フィラーは、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径が1~100μmである。これらの種類の熱伝導性フィラーの表面には、大気中の水分と反応することによりOH基が生成している。表面OH基は成分(C)との相互作用により熱伝導性シリコーン組成物中に均一に分散し、長期間貯蔵した場合にも沈降しにくいという特性を発揮する。これは成分(C)のシラノール基と、熱伝導性フィラー表面のOH基とで形成される水素結合と、成分(A)、(B)、および(C)がいずれもシロキサン骨格を有し相溶性が高いことに起因すると推定される。
熱伝導性フィラーは、熱伝導性部材の熱伝導性を高く(例えば2.0W/m・K以上である)するために必要となる量が配合されていればよく、例えば(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、 (E)成分の含有量は、300質量部以上2,000質量部以下が好ましく、400質量部以上1,900質量部以下がより好ましく、500質量部以上1,800質量部以下がさらにより好ましい。
上記範囲内であれば、熱伝導性シリコーン組成物全体として十分な熱伝導率を有し、配合時に混合しやすく、硬化後にも柔軟性が維持され、さらに比重も大きくなりすぎないことから、熱伝導性と軽量化が求められる熱伝導性部材を形成するための熱伝導性シリコーン組成物としてより好適である。(E)成分の含有量が少なすぎると、得られる熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の熱伝導率を十分に高めることが困難となり、一方、(E)成分の含有量が多すぎるとシリコーン組成物は高粘度になり、熱伝導性シリコーン組成物を均一に塗布することが困難となるおそれがあり、硬化後の組成物の熱抵抗値の上昇、柔軟性の低下といった問題が生じる場合がある。
熱伝導性フィラーの形状は、BET比表面積が30 m2/g以下であれば特に限定されず、例えば、球状、不定形、微粉末、繊維状、鱗片状等であってもよい。熱伝導性部材の熱伝導性を高くするために必要な量の熱伝導性フィラーを配合するためには、熱伝導性フィラーの形状は球状であることが好ましく、平均粒径は1~100μmであってもよい。ここでいう球状とは、真球状のみならず、丸み状であってもよい。
BET比表面積が30 m2/g以下である熱伝導性フィラーは、比表面積が大きい熱伝導性フィラーと比較して、(A)成分、(B)成分等のポリマーを含む液中では沈降しやすい性質がある。そこで本発明では(C)成分を配合することにより熱伝導性フィラーの沈降を抑制している。
熱伝導性フィラーは、熱伝導率が10 W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が10 W/m・K未満であると、熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率そのものが小さくなるおそれがある。
特に、熱伝導性部材に電気絶縁性が必要な場合は、非導電性の熱伝導性フィラーを選択することが考えられる。
(E)成分は、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、またはこれらの混合物であってもよく、両性水酸化物または両性酸化物であってもよく、具体的には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の中から選択される少なくとも1種又は2種以上を用いることが好ましく、水酸化アルミニウム及び酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。
なお、酸化アルミニウムは絶縁材料であり、成分(A)および(B)との相溶性が比較的良好であり、工業的に広範囲な粒径の品種が選択可能であり、資源的に入手が容易であり、比較的安価で入手可能であることから、熱伝導性無機充填材として好適である。
(E)成分として球状酸化アルミニウムを用いる場合には、高温溶射法あるいはアルミナ水和物の水熱処理により得られるα-アルミナを使用してもよい。
(E)成分の平均粒径は1μm以上100μm以下の範囲であり、2μm以上80μm以下がより好ましく、2μm以上70μm以下がさらにより好ましい。平均粒径が小さすぎると、シリコーン組成物の流動性が低下し、平均粒径が大きすぎるとディスペンス性が低下する上、塗布装置の摺動部分に挟まり、装置の削れなどの問題発生のおそれがある。なお、本発明において、(E)成分の平均粒径は、レーザー回折式粒度測定装置で測定された体積基準累積粒度分布における50%粒子径であるD50(又はメジアン径)である。
成分(E)として、球状の熱伝導性フィラーを使用してもよく、不定形、粉末状、繊維状、板状等の球状以外の熱伝導性フィラーを併用してもよい。形状が異なる少なくとも2種以上の熱伝導性フィラーを併用すると、最密充填に近い状態で充填でき、熱伝導性がより高くなる効果が得られる。球状と球状以外の熱伝導性フィラーを併用する場合、成分(E)全体を100質量%とした場合の、球状熱伝導性フィラーの割合は30質量%以上とすると、より熱伝導性を高めることが可能となる。
(E)成分のBET比表面積は30 m2/g以下であればよく、例えば球状のフィラーでは、1 m2/g以下が好ましく、0.5 m2/g以下がより好ましい。球状以外の熱伝導性フィラーを併用する場合、球状以外のフィラーのBET比表面積は、例えば、5 m2/g以下であってもよく、3 m2/g以下がより好ましい。
本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物には、(E)成分以外のフィラーをさらに配合することもできる。(E)成分以外のフィラーとしては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等の非熱伝導性を有するフィラーや、熱伝導性フィラーであるがBET比表面積が50m2/g以上の物が挙げられる。
ここで、BET比表面積が50m2/gを超えるフィラーを配合すると熱伝導性シリコーン組成物の粘度が高くなり、また硬化後の熱伝導性シリコーン組成物と基材との密着性が悪くなり、柔軟性も低下する傾向にある。その結果放熱性が低下するおそれがある。また、かさ高いフィラーの高充填は組成物内のシリコーンゴム分子の運動が妨げられるために復元性が悪くなる。よって、本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物では、BET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下とする必要がある。
なお、本発明において、(E)成分のBET比表面積は、粒子を低温状態にした時に粒子表面に物理吸着したガス量を測定し比表面積を計算した値である。
(成分(F))
(F)架橋剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサン使用することができる。(F)成分はアルケニル基と付加反応することにより硬化物を形成するものであり、分子中の側鎖に少なくとも1個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を有するものであってもよい。(F)架橋剤は、好ましくは1分子中のヒドロシリル基の数が3個以上であり、かつ、分子中の側鎖に少なくとも1個のヒドロシリル基を有するものである。
本発明の架橋剤としては、ヒドロシリル基を5個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがより好ましく、10個以上15個以下有するものであってもよい。架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その側鎖に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するものである。分子鎖末端のヒドロシリル基の数は0個以上2個以下であることができるが、2個であることが経済的には好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよい。水素原子が結合するケイ素原子の位置は特に制約はなく、分子鎖の末端でも非末端、側鎖でもよい。その他の条件、ヒドロシリル基以外の有機基、結合位置、重合度、構造等については特に限定されず、また2種以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用してもよい。
架橋剤(F)は、架橋により(A)成分および(B)成分を含むマトリックスを形成するために必要となる量が配合されていればよい。(F)成分の配合量は、例えば(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、1質量部以上10質量部以下であってもよく、1質量部以上6質量部以下がより好ましく、1質量部以上4質量部以下がさらにより好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに、上記成分(A)~(F)以外のさらなる任意成分として、シリコーンゴム、ゲルへの添加物として従来公知のものを使用することができる。このような添加物としては、加水分解によりシラノールを生成する有機機ケイ素化合物またはオルガノシロキサン(シランカップリング剤ともいう)、縮合触媒、接着助剤、顔料、染料、硬化抑制剤、耐熱付与剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、気密性向上剤、放射線遮蔽剤、電磁波遮蔽剤、防腐剤、安定剤、有機溶剤、可塑剤、防かび剤、あるいは、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子またはアルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサンや、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を含有しない無官能性のオルガノポリシロキサンが例示され、これらのさらなる任意成分は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シランカップリング剤としては、1分子中にエポキシ基、アルキル基、アリール基、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、酸無水物等の有機基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物またはオルガノシロキサンが挙げられる。シランカップリング剤の一例としてオクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、ヒドロシリル基を有しない化合物であってもよく、一種又は二種以上混合して使用することができる。前記シランカップリング剤で熱伝導性フィラーの表面を処理することにより、シリコーンポリマーとの親和性が良くなり、組成物の粘度を下げることができ、熱伝導性フィラーの充填性が向上することが可能となる。したがってより多くの熱伝導性フィラーを配合することで、熱伝導率を向上することが可能である。
加水分解により生成したシラノールは金属基材または有機樹脂基材の表面に存在する縮合性基(例えば、水酸基、アルコキシ基、酸基等)と反応・結合し得るものであり、後述する縮合触媒の触媒効果によりシラノールと縮合性基とが反応・結合することにより、熱伝導性部材の各種基材への接着を進行させる。
シランカップリング剤の熱伝導性フィラーに対する配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、熱伝導性フィラーに対して0.5wt%以上2wt%以下が一般的な最適量であるが、必要量の目安として次の式により計算され、1~3倍量配合してもよい。
シランカップリング剤の必要量(g)=熱伝導性フィラー質量(g)×熱伝導性フィラーの比表面積(m2/g)÷シランカップリング剤の固有の最小被覆面積(m2/g)
必要に応じて、上記シランカップリング剤と共に縮合触媒を使用してもよい。縮合触媒としては、マグネシウム、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、タングステン、ビスマスから選ばれる金属の化合物等が使用できる。アルミニウム三価、鉄三価、コバルト三価、亜鉛二価、ジルコニウム四価、ビスマス三価の有機酸塩、アルコキシド、キレート化合物等の金属化合物が好ましく挙げられる。例えば、オクチル酸、ラウリン酸、ステアリン酸等の有機酸、プロポキシド、ブトキシド等のアルコキシド、カテコール、クラウンエーテル、多価カルボン酸、ヒドロキシ酸、ジケトン、ケト酸等の多座配位子キレート化合物が挙げられ、一つの金属に複数種類の配位子が結合していてもよい。特に、配合や使用条件が多少異なっても安定した硬化性が得られ易いジルコニウム、アルミニウム、鉄の化合物が好ましく、更に望ましい構造は、ジルコニウムのブトキサイド、または、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、それらの置換誘導体等を多座配位子としたアルミニウム又は鉄の三価キレート化合物である。アルミニウム三価、鉄三価の金属化合物では更にオクチル酸等の炭素数5~20の有機酸も好ましく使用でき、上述の多座配位子と有機酸とが一つの金属に結合している構造でもよい。
上記置換誘導体としては、上記化合物中に含まれる水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、フルオロアルキル基、エステル基含有基、エーテル含有基、ケトン含有基、アミノ基含有基、アミド基含有基、カルボン酸含有基、ニトリル基含有基、エポキシ基含有基等で置換したものであって、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオーネ、ヘキサフルオロペンタンジオーネを挙げることができる。
接着助剤としては分子内にアルコキシ基を有するものが好ましく、具体的にはテトラエトキシシランが好ましい。他には3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのオリゴマー、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランのオリゴマー、あるいは有機官能基として、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基から選択されるいずれかひとつ、あるいは複数を含む化合物も好ましく、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランや3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシシランや、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、ジヒドロ-3-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-2,5-フランジオンなどのフランジオンなどが挙げられる。
有機官能基はアルキレン基などの他の基を介してケイ素原子に結合していてもよい。前記以外にも、1分子中にエポキシ基、アルキル基、アリール基などの有機基とケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物またはオルガノシロキサンを含むものが好ましく、少なくとも1個のエポキシ基、アルキル基、アリール基などの有機基と、少なくともケイ素原子結合のアルコキシ基を2個以上有する有機ケイ素化合物またはオルガノシロキサンがより好ましい。かかるエポキシ基としては、グリシドキシプロピル基などのグリシドキシアルキル基、2,3-エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基などのエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基などの形でケイ素原子に結合していること、または、炭素数1~20の直鎖状または分岐状のアルキル基、または芳香環をもつ有機基が好ましい。エポキシ基の場合、1分子中のエポキシ基は2~3個含むものを用いてもよい。また、ケイ素原子結合アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基のほか、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基などのアルキルジアルコキシシリル基などが好ましい。
また、前述以外の官能基としては、例えば、ビニル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロキシ基、ヒドロシリル基、イソシアネート基、から選択される官能基を用いてもよい。
顔料としては、酸化チタン、アルミナケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、希土類酸化物、酸化クロム、コバルト顔料、群青、セリウムシラノレート、アルミニウムオキシド、アルミニウムヒドロキシド、チタンイエロー、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム等、および、これらの混合物が例示される。
顔料の配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、熱伝導性シリコーン組成物の合計質量に対して、顔料成分の配合量は0.001%から5%の範囲が望ましい。好ましくは0.01%以上2%以下、より好ましくは0.05%以上1%以下、の範囲である。配合量が0.001%未満の場合は、着色が不十分であり、第1液と第2液を視覚的に区別することが困難となる。一方、配合量が5%を超えるとコストが上昇するため経済的に好ましくない。
硬化抑制剤としては、付加反応の硬化速度を調整する能力を有するものであり、アセチレン系化合物、ヒドラジン類、トリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類が例示され、硬化抑制効果を持つ化合物として当該技術分野で従来公知の硬化抑制剤はすべて使用することができる。かかる化合物としては、トリフェニルホスフィン等のリン含有化合物、トリブチルアミンやテトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の窒素含有化合物、硫黄含有化合物、アセチレン系化合物、アルケニル基を2個以上含有する化合物、ハイドロパーオキシ化合物、マレイン酸誘導体などが例示される。また、アミノ基を有する、シランおよびシリコーン化合物を使用してもよい。
硬化抑制剤の配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、(A)成分および(B)成分の合計量を100質量部としたとき、0.1質量部から15質量部の範囲が望ましい。好ましくは0.2質量部から10質量部の範囲、より好ましくは0.5質量部から5質量部の範囲である。0.1質量部未満であると付加反応が著しく速くなり、塗布作業中に硬化反応が進行し、作業性を悪化させるおそれがある。一方10質量部を超えると、付加反応が遅くなり、ポンプアウトの発生のおそれがある。
具体的には、3-メチル-3-ペンテンー1-イン、および3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インのような各種の「エン-イン」システム;3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、および2-フェニル-3-ブチン-2-オールのようなアセチレン性アルコール;周知のジアルキル、ジアルケニル、およびジアルコキシアルキルフマラートおよびマレアートのようなマレアートおよびフマラート;およびシクロビニルシロキサンを含有するものが例示される。
耐熱付与剤としては、水酸化セリウム、酸化セリウム、酸化鉄、ヒューム二酸化チタン等、および、これらの混合物が例示される。
気密性向上剤としては、硬化物の通気性を低下させる効果を有するものであればいかなるものでもよく、有機物、無機物を問わず、具体的にはウレタン、ポリビニルアルコール、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレン共重合体や、板状形状を有するタルク、マイカ、ガラスフレーク、ベーマイト、各種金属箔や金属酸化物の粉体、および、これらの混合物が例示される。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、1分子内にアルケニル基と、ケイ素原子に結合しているアルコキシ基をそれぞれ1つ以上有する有機ケイ素化合物を含まないものであってもよい。同一分子内にアルケニル基と、ケイ素原子に結合しているアルコキシ基を有する化合物が含まれると、当該化合物は基材とギャップフィラーとを接着させる成分として働く。このような成分を含まない本発明の組成物であれば、高温に暴露され、熱伝導性部材が基材からはがれるときに、バッテリー等の変形、破壊等をより軽減させることが可能となる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6) 、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、またはヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)のうちいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
上記(D4)、(D5)、(D6)、(D7)および(D8)のそれぞれの含有量合計は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、0.1質量部未満(すなわち1,000ppm未満)であってもよい。
熱伝導性シリコーン組成物中の(D4)~(D8)の含有量合計が上記範囲内であれば、該組成物全体としての引火点が高くなり、貯蔵中の安全性を向上させることが可能となる。また、該組成物を硬化させて得られる熱伝導性部材について、電子部品等への接点障害を起こしにくい熱伝導性部材を提供することが可能となる
上記(D4)~(D8)の含有量の合計が、(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、0.1質量部未満である熱伝導性シリコーン組成物は、(D4)~(D8)の含有量の合計が0.1質量部未満である成分(A)と、(D4)~(D8)の含有量の合計が0.1質量部未満である成分(B)と、(D4)~(D8)の含有量の合計が0.1質量部未満である成分(C)とを使用することにより製造することが可能である。
(D4)~(D8)の含有量はガスクロマトグラフィーにより測定される。ガスクロマトグラフィーの測定条件は従来公知の方法に従い適宜選択されればよい。
(D4)、(D5)、(D6)、(D7)、(D8)の含有量が少ない(A)成分、(B)成分、および(C)成分を使用することにより、(D4) ~(D8)のそれぞれの含有量を上記範囲とすることができる。(A)~(C)成分中の(D4)~(D8)の含有量を減らす手法としては、加熱及び減圧処理を行う方法が広く知られており、例えば、(A)~(C)の原料作製時に180℃、20mmHgにて8h程度の加熱減圧処理を行うことが望ましい。
本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物は、付加硬化型組成物であり、1液型組成物としてもよいが、2液型組成物としてもよい。1液型の場合には、加熱硬化により硬化させる組成物にする等の工夫により、貯蔵性を向上させることができる。
2液型組成物の場合には、これらの工夫なしに貯蔵安定性をさらに向上させることが可能になり、室温(例えば25℃)で硬化する組成物とすることが容易である。その場合、本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物を例えば次のように第1液と第2液とに分配することができる。第1液は(B)成分を含まず、(D)成分を含むことを特徴とし、第2液は(B)成分および(F)成分を含み、(D)成分を含まないことを特徴とする。
したがって、本発明の2液型熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10~500mPa・sのシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(D)付加反応触媒と、を混合して第1液を得る第一工程と、
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(F)架橋剤と、
を混合して第2液を得る第二工程と、
を含む方法であってもよい。
上記の熱伝導性シリコーン組成物は、熱伝導性フィラーの沈降が抑制されているため、貯蔵安定性が高い。
例えば、上記熱伝導性シリコーン組成物を室温で1,000時間保管したときの、熱伝導性シリコーン組成物の上部と下部の比重差は0.2以内である。
本発明はまた、上記2液型熱伝導性シリコーン組成物の第1液と第2液とを混合する混合工程と、混合工程で得られた第1液と第2液との混合物を基材に塗布する塗布工程と、塗布工程で塗布した未硬化の混合物を硬化させる硬化工程と、を含む、熱伝導性部材の製造方法である。
塗布工程において基材に塗布された熱伝導性シリコーン組成物は、塗布後概ね120分以内に非流動性の硬化物である熱伝導性部材を形成する。
基材に塗布後に硬化させる際の温度は特に限定されず、例えば15℃以上60℃以下の温度であってもよい。基材等への熱ダメージを軽減させるため、15℃以上40℃以下の温度としてもよい。特に、基材が耐熱性の低いポリカーボネートやPETである場合には、加熱を行わないことが好ましい。加熱硬化性組成物である場合、基材等に組成物を塗布したのちに加熱してもよく、放熱部材の放熱を利用して硬化させてもよい。加熱硬化させる場合の温度は、例えば熱伝導性フィラーが水酸化アルミニウムである場合には40℃以上150℃以下であってもよく、酸化アルミニウムである場合には40℃以上180℃以下であってもよい。
ギャップフィラーが適応される基材は特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリカーボネート等の樹脂、セラミックス、ガラス、及びアルミニウム等の金属が挙げられる。
上記方法で製造された熱伝導性部材は柔軟性が高く、かつ、放熱特性が高い。
本発明の熱伝導性部材の柔軟性は、JIS K6249で規定される針入度10以上50以下の範囲であり、微細な空隙(ギャップ)を埋めることが可能であることから、密着性、放熱特性が高く、また、外部から衝撃が加わった場合においても放熱部材の破壊・変形等を抑制することが可能である。
本発明の熱伝導性部材の熱伝導率は、特に限定されず、例えば2.0W/m・K以上である。
本発明はまた、
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
(F)架橋剤と、
を含む熱伝導性シリコーン組成物中に、
(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、
前記熱伝導性シリコーン組成物の硬化後の硬度を低減させる方法である。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、(A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、以下の組成を有することができる。
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサン 2質量部以上90質量部未満
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン10質量部以上98質量部未満
(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサン 3質量部以上100質量部以下
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラー 500質量部以上2,000質量部以下
(F) 架橋剤1質量部以上10質量部以下
ここで、(D)の配合量は、熱伝導性シリコーン組成物の合計質量に対して0.5ppm以上1,000ppm以下である。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。実施例および比較例の各成分の配合比と、評価結果を表1、表2に示す。表1、表2中に示す配合比の数値は質量部を示す。
なお、本明細書内において記載する粘度は、25℃、せん断速度:10/sで、回転粘度計(JIS K7117-2)により測定した値である。
<熱伝導性シリコーン組成物の硬化物(熱伝導性部材)の作製方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、各熱伝導性シリコーン組成物を作製した。これを、各評価項目に応じた試験片となるように、23℃、24時間で硬化させ、各硬化物である熱伝導性部材を作製した。
<針入度の測定方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、これを、円筒状で透明な容器に移し、23℃、24時間の条件にて硬化させ、円筒状の硬化物を作成した。
針入度の測定は、日本ゴム協会規格JIS K6253法に準拠し、針入度試験機を使用して、温度23℃の環境下で行った。具体的には、針入度試験機を得られた円筒状の硬化物の表面に真上から押し当てて、5秒間進入させ、指針の示度を整数で読み取る。上記針入度計を用いて3回測定し、測定結果の平均値を採用した。一般に、針入度が小さいほど柔軟性が低いことを示す。本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の針入度は10以上50以下の範囲であることが好ましい。針入度が50超では、硬化物の強度が不十分である。一方針入度が10を下回ると、硬化物の柔軟性が損なわれ、発熱体と放熱体の間隙に充填硬化後の振動に対する追従性が十分ではないと推察される。
<上側比重、下側比重測定方法および沈降防止性評価>
沈降防止性評価は、熱伝導性シリコーン組成物の貯蔵安定性を確認するために実施され、沈降防止性評価結果が良好であれば貯蔵安定性が良好であると判定する。
実施例と比較例にそれぞれ示した、第1液と第2液をそれぞれ別々の円筒状の1Lの金属缶に内袋を入れた容器に0.7L程度満たし、上部に0.05mm厚のポリエチレンフィルムを載せて、金属缶の蓋を閉めて、常温(23℃)で1,000時間静置させた。
1,000時間放置後に内容物を上から、上下が混ざらないように取り出し、3分の1ずつ分け、上から3分の1を上部、下から3分の1を下部とした。上部の第1液と第2液、下部の第1液と第2液、それぞれを1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、これを、縦約10cm×横約10cm×厚み2mmのシート状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、硬化物を作製した。 JIS K 6249に準拠し、実施例、比較例で得られた硬化物の比重(密度)(g/cm3)を測定した。
沈降防止性の評価としては、上部、下部の比重差が0.10未満ならA、比重差が0.10以上0.20未満であればB、比重差が0.20以上0.30未満であればC、 0.30以上ならばDとして評価した。
評価結果がB以上であることが好ましい。
<熱伝導率の測定方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、これを、直径30mm×高さ6mmの円柱状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、円柱状の硬化物を作製した。硬化物の熱伝導率はISO 22007-2に準拠したホットディスク法により測定する機械[TPS-500、京都電子工業(株)製]を用いて測定した。上記で作成した2個の円柱状の硬化物にセンサーを挟み、上記装置で熱伝導率を測定した。
熱伝導率は2.0W/m・k以上であることが好ましい。
<密着性の測定方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第一液、第二液を武蔵エンジニアリング製MPP-3でPET基板に0.25cc吐出し、基板を反転させ、5Hz、30秒の振動を与え、評価した。
評価結果は以下の通り判定した。判定結果はB以上であることが好ましい。
A:基板反転後に振動させても落下しない。
B:基板を反転させても落ちないが、振動させると落ちる。
C:基板を反転させると落ちる。
<耐ポンプアウト性の測定方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、70mm×70mmのアルミ基板に塗布する。アルミ基板の両端に2mm厚みのスペーサーを置き、70mm×70mmのPET基板を乗せ、上から押さえる。この時押しつぶされた混合物の外形をペンで型取り初期面積とする。
上記の試験片を40℃にて20min放置後、10Hz、変位0.15mm 3,000回の振動を与える。振動を印可させた後の外形を試験後面積として、試験後面積/初期面積をポンプアウト率とし、下記にて評価した。
A:100%以上105%未満、
B:105%以上110%未満、
C:110%以上115%未満、
D:115%以上
<耐熱性の試験方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、これを、直径30mm×高さ6mmの円柱状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、円柱状の硬化物を作製した。常温にて60分冷却後、200℃にて24時間放置し耐久試験を実施した。本明細書内では、200℃の温度下に24時間放置する条件を高温暴露または高温耐久試験ともいう。
耐久試験後の硬化物を室温にて1h放置後、ISO 22007-2に準拠したホットディスク法により測定する機械[TPS-500、京都電子工業(株)製]を用いて測定した。上記で作成した2個の円柱状の硬化物にセンサーを挟み、上記装置で熱伝導率を測定した。
耐久試験後の熱伝導率が2.0W/m・k以上であれば、所望の耐熱性を有すると評価する。
<糸切れ性の評価方法>
前記熱伝導性シリコーン組成物が充填され、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング製MPP3)からアルミ板上高さ2.5mmから幅10mm長さ20mmにビード塗布を行う。10mm 間隔を空け5か所に吐出を行い、4か所のビード間隔を測定し、その平均値が10mmに近いほど糸引き性は良好であり、0mmに近いほど糸切れ性は悪いと判断される。
評価結果は次の通りA=良い、B=普通、C=悪いの3段階とした。
A:6mm以上
B:2以上6mm未満
C:2mm未満
<低分子環状シロキサン量の評価方法>
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液を、1:1の割合で計量し、撹拌機で十分に混合し、さらに真空ポンプで脱気を行い、これを、100mm×100mm×高さ6mmの板状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、硬化物を作製した。この硬化物を0.3g秤量し、サンプルバイアル瓶にいれたアセトン溶液10ml中に入れ、密閉し、12時間かけて抽出を行う。この抽出溶液を使用し、ガスクロマトグラフを用いて、低分子環状体((D4)~(D8))を計量した。
<熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の作製方法>
(実施例1)
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液とを、表に示す組成に従い、それぞれ以下の手順により作成した。表に示す各成分の配合比の単位は質量部である。
[実施例1~3の第1液]
成分(A)として、アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン、成分(C)としてシラノール基を含有する、ポリジメチルシロキサン成分 (D)として、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、任意の成分のシランカップリング剤としてワッカー社製 SILANE 25013VPの半量、をそれぞれ計量し加え、プラネタリミキサーを用いて室温で30分間混練りした。
成分(A)は両末端にのみアルケニル基を有し、粘度が150mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサンである。
成分(C)は両末端に各1個のシラノール基を有し、粘度が50mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサンである。
その後、成分(E)として熱伝導性フィラーである(E-1)平均粒径45μmの球状アルミナおよび(E-2)平均粒径3μmの不定形アルミナそれぞれの半量を加えプラネタリミキサーを用いて室温で15分間混練りした。
その後、シランカップリング剤の半量、成分(E)として上記の球状である熱伝導性フィラーおよび不定形である熱伝導性フィラーの半量を加えプラネタリミキサーを用いて室温で15分間混練りし、第1液を作製した。
(E-1)球状アルミナとしてはデンカ株式会社製球状アルミナDAM―45(平均粒径45μm、BET比表面積は0.15 m2/g)を使用した。
(E-2)不定形アルミナとしては日本軽金属社製の微粒アルミナ SA34 (平均粒径3μm、BET比表面積は1.9 m2/gである)を使用した。
[実施例1~3の第2液]
成分(A)として、第1液と同じアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン、成分(B)として、両末端に水素原子2個を有する粘度が70mPa・sである直鎖状ジオルガノポリシロキサン、(F)架橋剤、任意の成分としてシランカップリング剤としてワッカー社製 SILANE 25013VP、をそれぞれ計量し加え、プラネタリミキサーを用いて室温で30分間混練りした。
(F)架橋剤は、側鎖にケイ素原子に結合する水素原子を12個有する、水素含有量0.17重量%の、粘度70mPa・sのジメチルポリシロキサンである。
その後、シランカップリング剤の半量、成分(E)として第1液と同じ、(E-1)球状である熱伝導性フィラーおよび(E-2)不定形である熱伝導性フィラーを加えプラネタリミキサーを用いて室温で15分間混練りし、第1液を作製した。
(実施例4)
不定形のアルミナの代わりに、(E-3)日本軽金属社製水酸化アルミニウム SBX73を用いた点以外は実施例2と同様に第1液及び第2液を作成した。
(E-3)水酸化アルミニウムとしては日本軽金属社製不定形水酸化アルミニウム SBX73(平均粒径10μm、BET比表面積1.5 m2/g)を使用した。
(実施例5)
(C)成分として両末端および側鎖にシラノール基を含有せず粘度が50mPa・sであり、両末端に各1個のトリメトキシシリル基を有し、直鎖状のジメチルポリシロキサンを加えた点以外は実施例2と同様に第1液及び第2液を作成した。
(実施例6)
(E)成分として不定形アルミナの混練り後に(E-4)EVONIK社製不定形シリカAEROSIL200を加え、15分混練りした点以外は実施例2と同様に第1液及び第2液を作成した。
(E-4)シリカとしてはEVONIK社製シリカ AEROSIL200(平均粒径20nm、BET比表面積200 m2/g)を使用した。
(実施例7)
(A)成分として両末端にのみ各1個のアルケニル基を有し、粘度が1,000mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサンを用いた点以外は実施例2と同様に第1液及び第2液を作成した。
(実施例8)
(C)成分として両末端に各1個のシラノール基を有し、粘度が150mPa・sポリメチルフェニルシロキサンを使用した以外は実施例の2と同様に第1液及び第2液を作成した。
(比較例1)
(C)成分を配合せず、実施例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例2)
(C)成分を1質量部まで減らし、実施例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例3)
(C)成分を150質量部まで増やし、実施例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例4)
(C)成分として実施例5で使用したものと同じ、両末端および側鎖にシラノール基を含有せず粘度が50mPa・sである両末端がトリメトキシ、かつ直鎖状のジメチルポリシロキサンを100質量部配合した点以外は、実施例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例5)
(C)成分として700mPa・sの両末端シラノール基を有するジメチルポリオルガシロキサンを50質量部配合した点以外は実施例2と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例6)
(E)成分として(E-1)球状アルミナおよび(E-2)不定形アルミナの混練り後に(E-4)EVONIK社製AEROSIL200を5質量部加え、15分混練りした点以外は実施例2と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例7)
(E)成分として(E-1)球状アルミナおよび、(E-2)不定形アルミナの混練り後に、(G)成分として和光純薬社製でんぷんを加え15分間混練りした点以外は比較例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例8)
(A)成分として両末端に各1個のシラノール基を有し、側鎖にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン (粘度150mPa・s)を使用し、(C)成分を加えない配合である点以外は実施例2と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例9)
(C)成分として、実施例5で使用したものと同じ、シラノール基を有さない、オルガノポリシロキサンのみを用いて、(E)成分として実施例6で使用したものと同じシリカを配合した以外は、実施例2と同様にして第1液と第2液を作製した。
(比較例10)
(C)成分を配合せず、(E)成分の(E-1)球状アルミナの配合量を250質量部、(E-2)不定形アルミナの配合量を200質量部とした点以外は、実施例1と同様にして第1液と第2液を作製した。
評価結果は表1、表2に示す通りであった。
実施例1から3では、(C)成分のシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを5から100質量部配合したが、いずれも針入度は10-50の範囲であり、耐ポンプアウト性にて良好な結果であった。これにより硬化後も十分な柔軟性を有しながら、良好な耐ポンプアウト性を有していることが確認された。また、いずれも熱伝導率は2.0W/m・k以上であり、熱伝導性は良好である。1,000時間放置後の上側、下側の比重差が1未満であり沈降防止性も良好であった。糸切れ性に関しても6mm以上を確保できており、良好であった。低分子環状体量も500ppm以下であり良好な結果であった。
実施例4は不定形アルミナを水酸化アルミニウムに置き換えた配合である。熱伝導率は実施例1~3よりも低いが、沈降防止性は、そのほかの配合物が同様の実施例2と比べて、より向上している。また水酸化アルミニウムを加えたことにより高温耐久試験後に熱伝導率が低下している。これは水酸化アルミニウムが高温にさらされた際に、脱水分解が発生していることによるものである。従って、耐熱性は許容範囲内であるが実施例2よりは劣る結果となった。また、針入度は10-50の範囲であり、良好な柔軟性を示した。
実施例5は(C)成分としてシラノール基を含有しないジメチルポリシロキサンを加えた配合である。柔軟性と貯蔵安定性は良好であるものの、(C)成分の総量が同様の実施例3と比較して耐ポンプアウト性能、糸切れ性が悪化している。シラノール基を含有しないオルガノポリシロキサンを配合する場合には、シラノール基を含有するオルガノポリシロキサンと同量以下の配合量とすることにより、耐ポンプアウト性、糸切れ性がB以上の評価となる熱伝導性シリコーン組成物が得られることが確認された。
実施例6は(C)成分としてシラノール基を有するオルガノポリシロキサンと、(E)成分としてシリカを加えた配合である。(C)成分の総量が同様の実施例2と比較して、同様の沈降防止性を有しているが、シリカを配合したことにより、針入度が低下している。また密着性に関しても実施例2よりも低下している。
実施例7は(A)成分として1,000mPa・sの両末端アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを用いた配合である。(A)成分以外が同様の配合である実施例2と比較して、沈降防止性が向上しているが、柔軟性がやや低下し、針入度が小さくなっている。
実施例8は(C)成分として150mPa・sの両末端シラノール基を有するメチルフェニルポリシロキサンを用いた配合である。(C)成分の総量が同様の実施例2と比較して、針入度が低下している。
比較例1は、(C)成分を加えていない配合である。これにより、柔軟性と沈降抑制効果が低下し、針入度が小さくなり、また耐ポンプアウト性、糸切れ性も悪化している。
比較例2は(C)の成分を1質量部まで減らした配合である。(C)成分を減らしたことにより、沈降防止性と耐ポンプアウト性、糸切れ性が低下している。
比較例4は(C)成分としてシラノール基を有しないジメチルポリシロキサンのみを用いた配合である。これにより柔軟性が高く、針入度が40まで大きくなっている。しかしながら(C)成分の総量が同じ実施例3と比べて、耐ポンプアウト性、沈降抑制効果、糸切れ性が大きく低下している。このことからシラノール基を有していないオルガノポリシロキサンのみでは上記3つの性能が維持できないことが確認された。
比較例5では(C)成分として700mPa・sの両末端シラノール基を有するジオルガノポリシロキサンを用いた配合である。(C)成分の総量が同様の実施例2と比較して、沈降防止性、耐ポンプアウト性が低下している。これは分子鎖の長い両末端シラノール基を有するジオルガノポリシロキサンを用いたことで水素結合の密度が小さく、沈降防止性、耐ポンプアウト性の効果が小さくなっていると考えられる。
比較例6は(C)成分を配合し、(E)成分としてシリカを5質量部加えた配合である。シリカにより、沈降防止性は良好であるが、シリカの配合量が多く、密着性が悪化し、針入度が低下して、しまっている。
比較例7は(G)成分としてでんぷんを加えた配合である。針入度、沈降防止性、密着性、耐ポンプアウト性、糸切れ性は許容内となっており、良好である。高温暴露前の熱伝導率は2.0W/m・K以上であり、良好である。高温暴露後の熱伝導率に関しては、でんぷんが分解されてしまい、熱伝導率が低下し、2.0W/m・Kを下回ってしまっている。
比較例8は(A)成分として両末端にシラノール基を有し、側鎖にアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを使用し、(C)成分を加えない配合である。沈降防止性、熱伝導率、密着性、耐ポンプアウト性、糸切れ性は許容内となっており、良好である。針入度に関しては、C成分が配合されないことにより、低下している。
比較例9は(C)成分にシラノール基を有さない、オルガノポリシロキサンのみを用いて、(E)成分としてシリカを加えた配合である。沈降防止性、熱伝導率、耐ポンプアウト性、糸切れ性は許容内となっているが、シリカの添加により針入度、密着性が悪化している。
比較例10は、実施例1と比較して(E)成分の熱伝導性フィラーの量を減らした配合である。熱伝導性フィラーを減らしたことにより、沈降防止性に関しては許容内に入っているが、熱伝導率が2.0W/m・K以下、糸切れ性がCとなってしまっている。
低分子環状シロキサン(D4)~(D8)含有量の合計は、上記実施例1~9いずれの場合も500ppm以下であった。これら全ケースにおいて、熱伝導性シリコーン組成物の引火点は100℃以上であった。また、低分子環状シロキサン含有量が低いため、過熱時(例えば、100℃以上に1分以上加熱された場合である)においても低分子環状シロキサンの揮発量が少なく、電子部品等において接点障害を起こしにくい。
Figure 2023183384000001
Figure 2023183384000002
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の記載には限定されない。
(付記1)
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
(F) 架橋剤と、
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(C)成分を3質量部以上含み、
前記組成物中におけるBET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下である熱伝導性シリコーン組成物。
(付記2)
前記(C)成分は、アルケニル基またはヒドロシリル基を含有せず、分子鎖両末端に少なくとも1つのシラノール基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンである、付記1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記3)
前記(C)成分のシラノール基の含有量は1質量%以上10質量%以下である、付記1または付記2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記4)
前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(C)成分の含有量は5質量部以上100質量部以下である、付記1~付記3のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記5)
前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(E)成分の含有量は500質量部以上2000質量部以下である、付記1~付記4のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記6)
前記(E)成分は酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の中から選択される少なくとも1種である、付記1~付記5のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記7)
前記(F)成分は、側鎖にケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を少なくとも1個有し、(F)成分1分子中のヒドロシリル基の数は3個以上である、付記1~付記6のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記8)
前記熱伝導性シリコーン組成物は、硬化後にJIS K6249で規定される針入度10以上50以下を有する、付記1~付記7のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記9)
前記熱伝導性シリコーン組成物は、硬化後に熱伝導率が2.0W/m・K以上を有する、付記1~付記8のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記10)
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、0.1質量部未満である、付記1~付記9のいずれか1つに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
(付記11)
付記1に記載の熱伝導性シリコーン組成物を製造する方法であって、
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10 mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(D)付加反応触媒と、を混合して第1液を得る第一工程と、
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(B)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(F)架橋剤と、
を混合して第2液を得る第二工程と、
を含む、2液型熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
(付記12)
付記11に記載の2液型熱伝導性シリコーン組成物の第1液と第2液とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた第1液と第2液との混合物を基材に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で塗布した未硬化の混合物を硬化させる硬化工程と、
を含む、熱伝導性部材の製造方法。
(付記13)
前記熱伝導性部材はギャップフィラーである、付記12に記載の熱伝導性部材の製造方法。
(付記14)
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(D) 付加反応触媒と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
(F)架橋剤と、
を含む熱伝導性シリコーン組成物中に、
(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、
前記熱伝導性シリコーン組成物の硬化後の硬度を低減させる方法。
(付記15)
付記1に記載の熱伝導性シリコーン組成物であって、
(A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサン (A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、2質量部以上90質量部未満と、
(B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン (A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、10質量部以上98質量部未満と、
(C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサン (A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以上100質量部以下と、
(D) 付加反応触媒 熱伝導性シリコーン組成物の合計質量に対して0.5ppm以上1,000ppm以下と、
(E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラー (A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、500質量部以上2,000質量部以下と、
(F) 架橋剤 (A)成分と(B)成分との合計量を100質量部としたときに、1質量部以上10質量部以下と、
を含む、熱伝導性シリコーン組成物。

Claims (14)

  1. (A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
    (B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
    (C) 25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、
    (D) 付加反応触媒と、
    (E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
    (F) 架橋剤と、
    を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
    前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(C)成分を3質量部以上含み、
    前記組成物中におけるBET比表面積が50 m2/g以上であるフィラーの含有量が、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、3質量部以下である熱伝導性シリコーン組成物。
  2. 前記(C)成分は、アルケニル基またはヒドロシリル基を含有せず、分子鎖両末端に少なくとも1つのシラノール基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  3. 前記(C)成分のシラノール基の含有量は1質量%以上10質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(C)成分の含有量は5質量部以上100質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  5. 前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、前記(E)成分の含有量は500質量部以上2,000質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  6. 前記(E)成分は酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の中から選択される少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  7. 前記(F)成分は、側鎖にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも1個有し、(F)成分1分子中のヒドロシリル基の数は3個以上である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  8. 前記熱伝導性シリコーン組成物は、硬化後にJIS K6249で規定される針入度10以上50以下を有する、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  9. 前記熱伝導性シリコーン組成物は、硬化後に熱伝導率が2.0W/m・K以上を有する、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  10. オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、およびヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)の含有量合計は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100質量部としたときに、0.1質量部未満である、請求項1または請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  11. 請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物を製造する方法であって、
    (A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10 mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(D)付加反応触媒と、を混合して第1液を得る第一工程と、
    (A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、(B)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンと、(E)熱伝導性フィラーと、(F)架橋剤と、
    を混合して第2液を得る第二工程と、
    を含む、2液型熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  12. 請求項11に記載の2液型熱伝導性シリコーン組成物の第1液と第2液とを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた第1液と第2液との混合物を基材に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で塗布した未硬化の混合物を硬化させる硬化工程と、
    を含む、熱伝導性部材の製造方法。
  13. 前記熱伝導性部材はギャップフィラーである、請求項12に記載の熱伝導性部材の製造方法。
  14. (A) アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、
    (B) 1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
    (D) 付加反応触媒と、
    (E) 金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上であって、BET比表面積が30 m2/g以下であり、平均粒径1~100μmの熱伝導性フィラーと、
    (F)架橋剤と、
    を含む熱伝導性シリコーン組成物中に、
    (C)25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを配合することにより、
    前記熱伝導性シリコーン組成物の硬化後の硬度を低減させる方法。

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