JP2023183307A - 非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】非水電解質がスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する場合において、充放電サイクル後の抵抗の増加を抑制できる非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、ケイ素系活物質を含有する負極と、正極と、非水電解質とを備え、上記非水電解質が、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有し、上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)が3μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間で電荷輸送イオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
このような非水電解質蓄電素子の負極活物質としては、黒鉛等の炭素材料が広く用いられている。これに対し、炭素材料以外の負極活物質として、ケイ素元素を含むケイ素系材料を用いることが検討されている。ケイ素系材料は炭素材料と比べて大きい電気容量を有することから、有望な負極活物質として期待されている。また、ケイ素元素を含む負極活物質を含有する非水電解質蓄電素子においては、非水電解質に含まれる電解質塩として、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩の混合塩が好適に用いられる場合がある(特許文献1参照)。
国際公開第2018/051675号
しかしながら、ケイ素元素を含む負極活物質を用い、かつ電解質塩として上述の混合塩を用いる非水電解質蓄電素子は、充放電サイクル後に抵抗が増大する場合がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、非水電解質がスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する場合において、充放電サイクル後の抵抗の増加を抑制できる非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、ケイ素系活物質を含有する負極と、正極と、非水電解質とを備え、上記非水電解質が、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有し、上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)が3μm以上である。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、非水電解質がスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する場合において、充放電サイクル後の抵抗の増加を抑制できる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、ケイ素系活物質を含有する負極と、正極と、非水電解質とを備え、上記非水電解質が、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有し、上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)が3μm以上である。
当該非水電解質蓄電素子は、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する非水電解質を備える。このような非水電解質を備えることによって、初期充電時に上記ケイ素系活物質の表面に良好な被膜が形成されやすい。従来のこのような非水電解質蓄電素子は、充放電サイクルに伴うケイ素系活物質の体積変化等によって、上記被膜を維持できなくなる場合があった。これに対し、当該非水電解質蓄電素子にあたっては、上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)が3μm以上である。このため、上記ケイ素系活物質の粒子と非水電解質との接触面積が小さく、被膜形成反応が抑制されるため、上記被膜を良好に維持しやすい。さらに、スルホニルイミド塩はイオン伝導性が高く、充放電サイクルに伴う負極の充放電反応及び膨張収縮が局所化し難い。これにより、充放電サイクル後に上記ケイ素系活物質の粒子が微細化することを抑制できるため、上記ケイ素系活物質の粒子の粒度分布が変化し難く、上記被膜を良好に維持しやすい。したがって、当該非水電解質蓄電素子は、非水電解質がスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有すること、及び上記ケイ素系活物質の粒度分布の特性が相乗的に作用することによって、充放電サイクル後の抵抗の増加を抑制できるものと推測される。
上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90(r2)に対する上記D10(r1)の比(r1/r2)としては、0.35以上が好ましい。このように上記D90に対する上記D10の比(r1/r2)が上記下限以上であることによって、上記ケイ素系活物質の粒径分布が上記ケイ素系活物質の最小粒径に比較的近い大きさの範囲内にある。これにより、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化が小さく、上記ケイ素系活物質の表面の被膜が破損し難い。このため、充放電サイクル後の抵抗の増加をさらに抑制しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。
上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50(r3)に対する上記D10(r1)の比(r1/r3)としては、0.6以上が好ましい。このように上記D50に対する上記D10の比(r1/r3)が上記下限以上であることによって、上記ケイ素系活物質の平均粒径が上記ケイ素系活物質の最小粒径に比較的近い大きさの範囲内にある。これにより、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化が小さく、上記ケイ素系活物質の表面の被膜が破損し難い。このため、充放電サイクル後の抵抗の増加をさらに抑制しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。
本発明において、「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、充放電前、即ち、原材料としてのケイ素系活物質の粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が10%となる粒径を意味し、同様に、「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90」とは、上記体積基準積算分布が90%となる粒径を意味し、「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50」とは、上記体積基準積算分布が50%となる粒径(メジアン径)を意味する。
なお、非水電解質蓄電素子を解体して取り出した負極から上記「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10」、「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90」、及び「ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50」を求める場合には、非水電解質蓄電素子を解体する前に、次の手順によって非水電解質蓄電素子を放電状態とする。まず、非水電解質蓄電素子を完全に充電した後、30分の休止後、0.1CmAの電流で、定格容量まで定電流放電を行い、放電状態とする。その後、非水電解質蓄電素子を解体し、取り出した負極について、ジメチルカーボネートにより負極に付着した成分(電解質等)を充分に洗浄した後、室温にて24時間減圧乾燥を行う。非水電解質蓄電素子の解体から測定対象とする負極の乾燥までの作業は、露点-40℃以下の乾燥空気雰囲気中で行う。測定対象とする負極を熱硬化性の樹脂で固定する。樹脂で固定された負極について、イオンミリング法で断面を露出させ、測定用試料を作製する。測定用試料の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて取得した反射電子像に基づき、画像解析により十分な数(50個以上)のケイ素系活物質粒子の粒径を測定することにより、負極におけるケイ素系活物質の粒度分布を見積もる。この場合、負極におけるケイ素系活物質の粒子は、原材料としてのケイ素系活物質の粒子に対して、粒径が10%増大していると仮定し、上記の手順で見積もられた負極におけるケイ素系活物質の粒度分布から、原材料としてのケイ素系活物質の上記D10、D90、及びD50を推定することにより求める。
[非水電解質蓄電素子]
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極、負極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して積層された積層型、又は、正極及び負極がセパレータを介した積層された状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極、負極及びセパレータに含まれた状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10-2Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上96質量%以下がさらに好ましく、90質量%以上95質量%以下がよりさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。CNTとしては、単層カーボンナノチューブ(CWCNT)及び多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上9質量%以下がより好ましく、3質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。本発明の一実施形態において、増粘剤は正極活物質層に含有されていないことが好ましい場合もある。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。本発明の一実施形態において、フィラーは正極活物質層に含有されていないことが好ましい場合もある。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質層は、ケイ素系活物質を含む。ケイ素系活物質とは、ケイ素元素を含む活物質である。ケイ素系活物質としては、ケイ素元素の単体、又はケイ素元素を含む化合物が挙げられる。ケイ素元素を含む化合物としては、酸化ケイ素(SiO:0<x<2、好ましくは0.8≦x≦1.2)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属ケイ素化合物などが挙げられる。金属ケイ素化合物としては、アルミニウム元素、スズ元素、亜鉛元素、ニッケル元素、銅元素、チタン元素、バナジウム元素、マグネシウム元素等とケイ素元素とを含む化合物を挙げることができる。その他、ケイ素系活物質としては、SiO/Si/SiO複合材料などの複合材料であってもよい。ケイ素系活物質は、プリドープされたものを用いることもできる。すなわち、例えばケイ素系活物質は、リチウム元素をさらに含んでいてもよい。ケイ素系活物質は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。ケイ素系活物質の中でも、酸化ケイ素が好ましい。
ケイ素系活物質は、表面が炭素質材料等の導電性物質で被覆されているものであってもよい。このような形態のケイ素系活物質を用いることで、負極活物質層の電子伝導性を高めることができる。ケイ素系活物質が導電性物質で被覆された粒子等の形態である場合、ケイ素系活物質とこれを被覆する導電性物質との総量に対する導電性物質の質量比率としては、例えば1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下がより好ましい。
ケイ素系活物質の形状は粒子状である。ケイ素系活物質を後述する所望の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び分級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。
ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)の下限としては、3μmであり、3.5μmが好ましく、4μmがより好ましい。一方、上記D10の上限としては、6μmが好ましく、5.5μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記D10が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の粒子と非水電解質との接触面積が小さく、被膜形成反応を抑制できる。このため、初期充電時にケイ素系活物質表面に形成される被膜が良好に維持できるため、負極の抵抗を低減できる。また、上記D10が3.5μm以上であると、ケイ素系活物質表面の上記被膜がより確実に維持されるため、当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。上記D10が上記上限以下であると、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化を抑制できる。このため、上記被膜が破損し難く、充放電サイクル後の負極の抵抗増加をより確実に抑制できる。
ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90(r2)の下限としては、8μmが好ましく、8.5μmがより好ましく、9μmがさらに好ましい。一方、上記D90の上限としては、13μmが好ましく、12.5μmがより好ましく、12μmがさらに好ましい。上記D90が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の粒子と非水電解質との接触面積が小さく、被膜形成反応を抑制できる。このため、初期充電時にケイ素系活物質表面に形成される被膜が良好に維持できるため、負極の抵抗を低減しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。また、上記D90が上記上限以下であると、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化を抑制できる。このため、上記被膜が破損し難く、充放電サイクル後の負極の抵抗増加をより確実に抑制できる。
ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50(r3)の下限としては、5μmが好ましく、5.5μmがより好ましく、6μmがさらに好ましい。一方、上記D50の上限としては、9μmが好ましく、8.5μmがより好ましく、8μmがさらに好ましい。上記D50が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の粒子と非水電解質との接触面積が小さく、被膜形成反応を抑制できる。このため、初期充電時にケイ素系活物質表面に形成される被膜が良好に維持できるため、負極の抵抗を低減しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。また、上記D50が上記上限以下であると、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化を抑制できる。このため、上記被膜が破損し難く、充放電サイクル後の負極の抵抗増加をより確実に抑制できる。
ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90(r2)に対する上記D10(r1)の比(r1/r2)の下限としては、0.35が好ましく、0.4がより好ましい。一方、上記比(r1/r2)の上限としては、0.6が好ましく、0.5がより好ましい。上記比(r1/r2)が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の粒径分布が上記ケイ素系活物質の最小粒径に比較的近い大きさの範囲内にある。これにより、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化が小さく、充放電サイクル後の負極の抵抗増加を抑制しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。また、上記比(r1/r2)が上記上限以下であると、上記ケイ素系活物質の粒径を過度に均一化するための製造コストを低減することができる。
ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50(r3)に対する上記D10(r1)の比(r1/r3)の下限としては、0.6が好ましく、0.62がより好ましい。一方、上記比(r1/r3)の上限としては、0.8が好ましく、0.7がより好ましい。上記比(r1/r3)が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の平均粒径が上記ケイ素系活物質の最小粒径に比較的近い大きさの範囲内にある。これにより、充放電サイクルに伴う上記ケイ素系活物質の体積変化が小さく、充放電サイクル後の負極の抵抗増加を抑制しつつ当該非水電解質蓄電素子の容量を維持しやすい。また、上記比(r1/r3)が上記上限以下であると、上記ケイ素系活物質の平均粒径を過度に均一化するための製造コストを低減することができる。
負極活物質層は、ケイ素系活物質以外の他の負極活物質を含んでいてもよい。他の負極活物質としては、例えば、Sn等の金属又は半金属;Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
負極活物質として、ケイ素系活物質及び炭素材料を併用することが好ましい。負極活物質層における負極活物質全体に対する炭素材料の含有量としては、10質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上97質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。また、負極活物質層における負極活物質である炭素材料の含有量としては、10質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上97質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。一方、負極活物質層における負極活物質全体に対するケイ素系活物質の含有量としては、1質量%以上90質量%以下が好ましく、3質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。また、負極活物質層におけるケイ素系活物質の含有量としては、1質量%以上90質量%以下が好ましく、3質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上98質量%以下がより好ましく、85質量%以上97質量%以下がさらに好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
負極活物質層に用いられる導電剤としては、正極において例示したものと同様であり、繊維状の導電剤が好ましい。繊維状の導電剤としては、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)、ピッチ系炭素繊維等の繊維状炭素材料が挙げられ、中でもCNTが好ましく、SWCNTがより好ましい。このような導電剤を用いることで、少量でも十分に良好な電子伝導性を発揮することができる。
負極活物質層における導電剤の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。この下限は、0.2質量%又は0.3質量%であってもよい。一方、上記上限は、5質量%が好ましく、1質量%又は0.5質量%がより好ましい場合もある。例えば上記のように繊維状の導電剤を用いることで、少量でも十分に良好な電子伝導性を発揮することができる。
負極活物質層におけるバインダの含有量は、0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、2質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質を安定して保持すること等ができる。
負極活物質層における増粘剤の含有量は、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.6質量%以上3質量%以下がより好ましい。
本発明の一実施形態において、フィラーは負極活物質層に含有されていないことが好ましい場合もある。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(非水電解質)
非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含有する。また、電解質塩としては、少なくともスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、上述の通りスルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有する。電解質塩として上記スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含むことによって、負極における上述のケイ素系活物質表面に良好な被膜が形成され、初期抵抗を低減すること等が可能となる。また、上記スルホニルイミド塩はイオン伝導性が高く、充放電サイクルに伴う負極の膨張収縮が局所化し難い。これにより、充放電サイクル後に上記ケイ素系活物質の粒子が微細化することを抑制できるため、上記ケイ素系活物質の粒子の粒度分布の変化を抑制しやすい。
上記スルホニルイミド塩としては、リチウムスルホニルイミド塩が好ましい。リチウスルホニルイミド塩としては、LiN(SOF)(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド:LiFSI)、LiN(CFSO(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:LiTFSI)、LiN(CSO(リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド:LiBETI)、LiN(CSO(リチウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド)、CF-SO-N-SO-N-SOCFLi、FSO-N-SO-CLi、CF-SO-N-SO-CF-SO-N-SO-CFLi、CF-SO-N-SO-CF-SOLi、CF-SO-N-SO-CF-SO-C(-SOCFLi等を挙げることができる。これらの中でもLiFSIがより好ましい。スルホニルイミド塩は、1種又は2種以上を用いることができる。
非水電解液における上記スルホニルイミド塩の含有量の下限としては、20℃1気圧下において、0.1mol/dmが好ましく、0.2mol/dmがより好ましい。一方、非水電解液における上記スルホニルイミド塩の含有量の上限としては、20℃1気圧下において、1.2mol/dmが好ましく、1.0mol/dmがより好ましく、0.8mol/dmがさらに好ましい。上記スルホニルイミド塩の含有量が上記下限以上であると、上記ケイ素系活物質の粒子の粒度分布が変化し難く、上記被膜を良好に維持しやすいため、充放電サイクル後の負極の抵抗の増加を抑制できる。
初期抵抗を低減する観点から、非水電解液における上記スルホニルイミド塩の含有量の下限としては、20℃1気圧下において、0.3mol/dmがさらに好ましく、0.4mol/dmがよりさらに好ましく、0.5mol/dmがよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記含有量の上限としては、1.2mol/dmが好ましく、1.0mol/dmがより好ましく、0.8mol/dmがさらに好ましい。
充放電サイクル後の負極の抵抗の増加を抑制する観点から、非水電解液における上記スルホニルイミド塩の含有量の上限としては、20℃1気圧下において、0.6mol/dmがさらに好ましく、0.4mol/dmがよりさらに好ましく、0.3mol/dmがよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記含有量の下限としては、0.1mol/dmが好ましく、0.2mol/dmがより好ましい。
ヘキサフルオロリン酸塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)が好ましい。
非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩の含有量の下限としては、20℃1気圧下において、0.2mol/dmが好ましく、0.4mol/dmがより好ましい。上記ヘキサフルオロリン酸塩の含有量が上記下限以上であると、正極基材がアルミニウムを含む場合等に上記スルホニルイミド塩による正極基材の腐食を抑制できる。一方、非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩の含有量の上限としては、20℃1気圧下において、1.4mol/dmが好ましく、1.2mol/dmがより好ましい。
初期抵抗を低減する観点から、非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩の含有量の上限としては、20℃1気圧下において、1.0mol/dmがさらに好ましく、0.8mol/dmがよりさらに好ましく、0.6mol/dmがよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記含有量の下限としては、0.2mol/dmが好ましく、0.4mol/dmがより好ましい。
充放電サイクル後の負極の抵抗の増加を抑制する観点から、非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩の含有量の下限としては、20℃1気圧下において、0.6mol/dmがさらに好ましく、0.8mol/dmがよりさらに好ましく、1.0mol/dmがよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記含有量の上限としては、1.4mol/dmが好ましく、1.2mol/dmがより好ましい。
非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩及び上記スルホニルイミド塩の合計含有量に対する上記スルホニルイミド塩の含有量の比の下限としては、20℃1気圧下において、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。一方、上記比の上限としては、0.9が好ましく、0.6がより好ましい。上記比が上記下限以上であると、上記スルホニルイミド塩が充放電サイクル後の負極の抵抗の増加を抑制する効果が顕著に奏される。また、上記比が上記上限以下であると、正極基材がアルミニウムを含む場合等に上記スルホニルイミド塩による正極基材の腐食を抑制できる。
初期抵抗を低減する観点から、非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩及び上記スルホニルイミド塩の合計含有量に対する上記スルホニルイミド塩の含有量の比の下限としては、20℃1気圧下において、0.3がさらに好ましく、0.4がよりさらに好ましく、0.5がよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記比の上限としては、0.9が好ましく、0.6がより好ましい。
充放電サイクル後の負極の抵抗の増加を抑制する観点から、非水電解液における上記ヘキサフルオロリン酸塩及び上記スルホニルイミド塩の合計含有量に対する上記スルホニルイミド塩の含有量の比の上限としては、20℃1気圧下において、0.5がさらに好ましく、0.4がよりさらに好ましく、0.3がよりさらに好ましい場合がある。この場合、上記比の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。
非水電解液における電解質塩として、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩以外の他の電解質塩をさらに含有してもよい。このような他の電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPO、LiBF、LiClO等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましい。
非水電解液における電解質塩の合計含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の合計含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
[蓄電装置]
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
[非水電解質蓄電素子の製造方法]
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
[その他の実施形態]
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体について説明したが、電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質として、α-NaFeO型結晶構造を有し、LiNi0.6Co0.2Mn0.2で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いた。
上記正極活物質と、導電剤であるアセチレンブラック(AB)と、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを93:4:3の質量比率(固形分換算)で含有し、分散媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を含有する正極合剤ペーストを調製した。正極基材であるアルミニウム箔に、上記正極合剤ペーストを塗布し、乾燥後プレスし、正極基材に正極活物質層が配置された正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質として、ケイ素系活物質である酸化ケイ素(SiO)と、黒鉛とを用いた。上記酸化ケイ素と、上記黒鉛と、導電剤である単層カーボンナノチューブ(SWCNT)とを10:89.95:0.05の質量比率(固形分換算)で混合した。上記ケイ素系活物質には予めリチウム元素をドープした。また、上記ケイ素系活物質は粒度分布におけるD10、D50及びD90がそれぞれ4.3μm、6.7μm及び10.3μmのものを使用した。
上記負極活物質及び導電剤の混合物と、バインダであるスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)とを97:2:1の質量比率(固形分換算)で含有し、分散媒として水を含有する負極合剤ペーストを調製した。負極基材である銅箔に、上記負極合剤ペーストを塗布し、乾燥し、負極基材に負極活物質層が配置された負極を作製した。
(非水電解液の調製)
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を30:35:35の体積比で混合した混合溶媒にLiFSI及びLiPFをそれぞれ0.2mol/dm、1.0mol/dmの濃度(20℃1気圧下)で溶解させ、非水電解液を調製した。
(非水電解液蓄電素子の作製)
セパレータであるポリオレフィン製微多孔膜を介して、上記正極と上記負極とを重ね合わせて電極体を作製した。この電極体を金属樹脂複合フィルム製の容器に収納し、内部に上記の非水電解液を注入した後、熱溶着により封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
[実施例2及び比較例1から6]
ケイ素系活物質の粒径(D10、D50及びD90)及び非水電解液における電解質塩(LiFSI及びLiPF)の濃度を表1に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2及び比較例1から6の各非水電解質蓄電素子を得た。
[比較例7から11]
ケイ素系活物質の粒径(D10、D50及びD90)及び非水電解液における電解質塩(LiFSI及びLiPF)の濃度を表2に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7及び8の各非水電解質蓄電素子を得た。
また、ケイ素系活物質にリチウム元素がドープされていない酸化ケイ素(SiO)を用い、かつケイ素系活物質の粒径(D10、D50及びD90)及び非水電解液における電解質塩(LiFSI及びLiPF)の濃度を表2に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例9から11の各非水電解質蓄電素子を得た。
(初期充放電)
各非水電解質蓄電素子について、25℃の下、以下の要領にて初期充放電を行った。充電電流0.2C、充電終止電圧4.25Vとして定電流定電圧充電を行った。充電の終了条件は、充電電流が0.02Cとなるまでとした。その後、10分間の休止時間を設けた。その後、放電電流0.2C、放電終止電圧2.75Vとして定電流放電を行った。
(初期の抵抗確認試験)
上記初期充放電の後、実施例1、2及び比較例1から6については、以下の要領にて初期の抵抗確認試験を行った。
始めに25℃の恒温槽内で、非水電解質蓄電素子をそれぞれSOC(State of Charge)50%となる電圧まで1.0Cの充電電流で定電流充電した後、定電圧充電した。充電の終止条件は、総充電時間が5時間になるまでとした。上記条件で非水電解質蓄電素子のSOCを50%にした後、非水電解質蓄電素子を-10℃の恒温槽に入れて5時間静置した。次に、0.1C、0.2C、及び0.3Cの放電電流で30秒間放電させた。各放電終了後には、1.0Cの充電電流で定電流充電を行い、SOCを50%にした。放電開始10秒後の電圧を縦軸とし、放電電流を横軸としてプロットして得た電流-電圧特性のグラフから、その勾配に相当する値であるDCR(直流抵抗)の値を求めた。この値を「初期抵抗」とした。結果を表1に示す。
(初期の容量確認試験)
上記初期の抵抗確認試験後、実施例1、2及び比較例1から6について、25℃の下、以下の要領にて初期の容量確認試験を行った。
充電電流0.2C、充電終止電圧4.25Vとして定電流定電圧充電を行った。充電の終了条件は、充電電流が0.02Cとなるまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流0.2C、放電終止電圧2.75Vとして定電流放電を行った。このときの放電容量を「初期容量」とした。
(充放電サイクル試験)
上記初期の容量確認試験後、実施例1、2及び比較例1から6について、45℃の下、以下の要領にて充放電サイクル試験を行った。充電電流1.0C、充電終止電圧4.25Vとして定電流充電を行った。その後、放電電流1.0C、放電終止電圧2.75Vとして定電流放電を行った。充電後及び放電後は、それぞれ10分間の休止時間を設けた。この充放電を150サイクル実施した。
(充放電サイクル試験後の抵抗確認試験)
上記充放電サイクル試験後、実施例1、2及び比較例1から6について、上記初期の抵抗確認試験と同様の方法にて充放電サイクル試験後の抵抗確認試験を行った。同様の方法にて求めたDCR(直流抵抗)の値を「充放電サイクル試験後の抵抗」とした。初期抵抗に対する充放電サイクル試験後の抵抗の増加分の比率を、抵抗増加率(%)として求めた。なお、負の抵抗増加率は充放電サイクル試験後に抵抗が減少したことを示している。また、比較例1に対する比較例5の抵抗増加率(%)の減少分、比較例2に対する実施例1の抵抗増加率(%)の減少分、比較例3に対する実施例2の抵抗増加率(%)の減少分、比較例4に対する比較例6の抵抗増加率(%)の減少分を「抵抗増加率の改善幅」として求めた。抵抗増加率及び抵抗増加率の改善幅を表1に示す。
(充放電サイクル試験後の容量確認試験)
上記充放電サイクル試験後の抵抗確認試験後、実施例1、2及び比較例1から6について、上記初期の容量確認試験と同様の方法にて充放電サイクル試験後の容量確認試験を行った。このときの放電容量を初期容量で除し、容量保持率(%)として求めた。結果を表1に示す。
比較例7から11については、上記初期充放電の後、充放電サイクル試験を500サイクル実施したことを除き、上述と同様の要領で初期の容量確認試験、充放電サイクル試験及び充放電サイクル試験後の容量確認試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023183307000002
Figure 2023183307000003
表1に示す通り、ケイ素系活物質の粒径分布(D10、D50及びD90)が等しくかつケイ素系活物質のD10が3μm以上の比較例5、6及び実施例1、2においては、非水電解液がLiFSIを含まない比較例5に比べ、非水電解液がLiFSIを含む実施例1、2及び比較例6の初期抵抗が低減されている。また、実施例1、2及び比較例6を、ケイ素系活物質のD10が3μm未満の比較例2から4と比較すると、非水電解液が同じ実施例1と比較例2とでは実施例1の抵抗増加率が、実施例2と比較例3とでは実施例2の抵抗増加率が、比較例6と比較例4とでは比較例6の抵抗増加率が低減されている。これは、3μm未満の小粒径のケイ素系活物質が少ないことによって、ケイ素系活物質表面の被膜が良好に維持されたためと考えられる。一方、比較例6は実施例1及び2に比べ、抵抗増加率が大きく、抵抗増加率の改善幅も小さい。これは、比較例6の非水電解液がLiFSIのみを含み、LiPFを含まないためにアルミニウム箔を用いた正極基材が腐食されたことが原因であると考えられる。したがって、ケイ素系活物質のD10が3μm以上であり、かつ非水電解液がLiFSI及びLiPFを含む実施例1及び2で充放電サイクル後の抵抗の増加が抑制された。
また、表2に示す通り、非水電解液が同じ比較例7から11で比較すると、ケイ素系活物質のD10が3.5μm以上の比較例8及び比較例11は、容量保持率が改善されている。これは、3μm未満の小粒径の負極活物質がより少ないことによって、負極活物質表面の被膜がより確実に維持されたためと考えられる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質蓄電素子などに適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (3)

  1. ケイ素系活物質を含有する負極と、正極と、非水電解質とを備え、
    上記非水電解質が、スルホニルイミド塩及びヘキサフルオロリン酸塩を含有し、
    上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD10(r1)が3μm以上である非水電解質蓄電素子。
  2. 上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD90(r2)に対する上記D10(r1)の比(r1/r2)が0.35以上である請求項1に記載の非水電解質蓄電素子。
  3. 上記ケイ素系活物質の粒度分布におけるD50(r3)に対する上記D10(r1)の比(r1/r3)が0.6以上である請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。


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