JP2023183011A - 建具 - Google Patents
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Abstract
【課題】外観品質と断熱性能を高めることができる建具を提供する。【解決手段】建具は、開口枠と、開口枠に支持される外障子及び内障子とを備える。開口枠は、全閉位置にある外障子の戸先框を支持する室外側縦レールが設けられた縦枠を備える。縦枠は、金属縦枠と、金属縦枠と連結される樹脂縦枠とを有し、樹脂縦枠は、金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠とねじで連結されるベース部と、ベース部の室内側に一体に設けられ、建物躯体に固定されるアングル部とを有する。建具は、さらに、ベース部の枠内側見込み面を覆うように樹脂縦枠に対して装着され、該樹脂縦枠との間に見込み方向に沿って延びた中空部を形成する樹脂製のカバー部材を備え、カバー部材は、アングル部と隣接する位置から前記全閉位置にある外障子の室内側表面に向かって延在し、ねじを隠している。【選択図】図4
Description
本発明は、開口枠を備える建具に関する。
住宅や店舗等の窓として、開口枠で左右の障子を互いにスライド可能に支持した引違い窓や、一方のみをスライド可能に支持した片引き窓等の建具がある。特許文献1には、引違い窓の建具において、開口枠をアルミニウムと樹脂との複合構造として断熱性を高めた構成が開示されている。
上記特許文献1の構成において、外障子の戸先側に配置される縦枠は、樹脂縦枠の枠内側見込み面に凹凸形状が設けられ、さらに樹脂縦枠を金属縦枠に固定するねじの頭部が室内側に露出している。このため、当該構成は、室内側から見た際の外観品質が低い。しかも、この縦枠は、見込み方向の大部分で板状の樹脂縦枠が金属縦枠の枠内側見込み面に当接している。このため、この構成では、断熱性能の向上効果が限定的であり、樹脂縦枠の表面に結露を生じる懸念もある。
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、外観品質と断熱性能を高めることができる建具を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る建具は、建物躯体に固定される開口枠と、前記開口枠に支持される外障子及び内障子と、を備え、前記内障子及び外障子の少なくとも一方が左右にスライド可能な建具であって、前記開口枠は、全閉位置にある前記外障子の戸先框を支持する室外側縦レールが設けられた縦枠を備え、前記縦枠は、前記建物躯体に固定される金属縦枠と、前記金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、を有し、前記樹脂縦枠は、前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠とねじで連結されるベース部と、前記ベース部の室内側に一体に設けられ、前記建物躯体に固定されるアングル部と、を有し、さらに、前記ベース部の枠内側見込み面を覆うように前記樹脂縦枠に対して装着され、該樹脂縦枠との間に見込み方向に沿って延びた中空部を形成する樹脂製のカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記アングル部と隣接する位置から前記全閉位置にある外障子の室内側表面に向かって延在し、前記ねじを隠している。
本発明の上記態様によれば、外観品質と断熱性能を高めることができる。
以下、本発明に係る建具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~図3に示すように、本実施形態に係る建具10は、建物躯体の開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の内側にスライド可能に配設された外障子14及び内障子15とを備える。本実施形態では、障子14,15を左右にスライドさせることにより開口枠12の内側に形成した開口16を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。障子14,15は、一方が開口枠12にはめ殺され、他方のみがスライドする片引き窓であってもよい。障子の設置枚数は3枚以上であってもよい。
開口枠12は、上枠12aと、下枠12bと、左右の縦枠12c,12dとを四周枠組みすることで矩形の開口16を形成したものである。
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、つまり室内側から室外側に向かう方向又はその逆方向(図中に矢印Zで示す方向)をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12c等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠12a等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。枠内側とは、枠状部材である開口枠12等の内側部分をいう。枠外側とは、枠状部材である開口枠12等の外側部分をいう。枠内方向とは、枠状部材の枠外側から枠内側に向かう方向をいう。枠外方向とは、枠状部材の枠内側から枠外側に向かう方向をいう。
先ず、建具10の全体構成を説明する。
開口枠12は、室外側に配設される金属枠材18と、室内側に配設される樹脂枠材20とを組み合わせた複合構造の窓枠である。金属枠材18は、アルミニウム等の金属材料の押出形材である。樹脂枠材20は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料の押出形材である。金属枠材18は、金属上枠18aと、金属下枠18bと、左右の金属縦枠18c,18dとを含む。樹脂枠材20は、樹脂上枠20aと、樹脂下枠20bと、左右の樹脂縦枠20c,20dとを含む。
図2に示すように、上枠12aは、建物躯体にねじ22で固定される金属上枠18aに対し、樹脂上枠20aを連結した構成である。
金属上枠18aは、室外側部材18a1と室内側部材18a2とを断熱材18a3で連結し、断熱性能を高めた構成である。室外側部材18a1は、開口枠12の水切り面を形成する。室外側部材18a1の枠内側見込み面には、レール片24aが突出形成されている。室内側部材18a2の枠内側見込み面には、レール片25aが突出形成されている。金属上枠18aは、断熱材18a3を用いず、1部材で構成してもよい。
樹脂上枠20aは、ベース部材20a1と、アングル部材20a2とを有する。ベース部材20a1は、見込み方向に並んだレール片24b,25bを枠内側見込み面に有し、全体として略クランク形状を有する。アングル部材20a2は、レール片25bから室内側へと連続するように設けられる。アングル部材20a2の室内側端部は、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
上枠12aの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール24,25が見込み方向に並んで設けられている。レール24は、外障子14をスライド可能に案内するガイドレールである。レール24は、金属上枠18aのレール片24aと、樹脂上枠20aのレール片24bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片24a,24bは、レール24の頂面(下面)24cで互いに係合している。レール25は、内障子15をスライド可能に案内するガイドレールである。レール25は、金属上枠18aのレール片25aと、樹脂上枠20aのレール片25bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片25aの突出端及びその付近には、屈曲部や突出片が形成されている。レール片25bは、レール片25aの屈曲部や突出片を包含するように屈曲したフック形状部を有する。レール片25a,25bは、レール25の室内側見付け面で互いに係合している。
図2に示すように、下枠12bは、建物躯体にねじ22で固定される金属下枠18bに対し、樹脂下枠20bを連結した構成である。
金属下枠18bは、室外側部材18b1と室内側部材18b2とを断熱材18b3で連結し、断熱性能を高めた構成である。室外側部材18b1の枠内側見込み面には、レール片26aが突出形成されている。室内側部材18b2の枠内側見込み面には、レール片27aが突出形成されている。金属下枠18bは、断熱材18b3を用いず、1部材で構成してもよい。
樹脂下枠20bは、室外側部材20b1と、室内側部材20b2とを有する。室外側部材20b1は、室外側端部に上方に突出したレール片26bを形成した横板に見込み方向で一対の脚部を設け、これら脚部を金属下枠18bの室外側部材18b1に係合させた構成である。室内側部材20b2は、室外側端部に上方に突出したレール片27bを形成した横板を有し、この横板の室内側端部に略L字に屈曲したアングル部28を形成した構成である。室内側部材20b2は、室外側部材20b1と同様に見込み方向で一対設けられた脚部により、金属縦枠18cの室内側部材18b2に係合している。アングル部28は、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
下枠12bの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール26,27が見込み方向に並んで設けられている。レール26は、外障子14をスライド可能に案内するガイドレールである。レール26は、金属下枠18bのレール片26aと、樹脂下枠20bのレール片26bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片26a,26bは、レール26の頂面(上面)26cで互いに係合している。レール27は、内障子15をスライド可能に案内するガイドレールである。レール27は、金属下枠18bのレール片27aと、樹脂下枠20bのレール片27bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片27a,27bは、レール27の頂面(上面)27cで互いに係合している。
図3に示すように、縦枠12cは、全閉位置にある外障子14の戸先側に配置される。縦枠12cは、建物躯体にねじ22で固定される金属縦枠18cに対し、樹脂縦枠20cを連結した構成である。
金属縦枠18cは、プレート部30と、レール片32aとを有する。プレート部30は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で建物躯体に固定される。レール片32aは、プレート部30の枠内側見込み面30aから枠内側に突出している。レール片32aは、枠内側見込み面30aの見込み方向で中央よりも室外側に寄った位置に設けられている。
樹脂縦枠20cは、ベース部34と、アングル部35とを有する。ベース部34は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で金属縦枠18cの枠内側見込み面30aに固定される。ベース部34の枠内側見込み面34aには、その室外側端部から枠内側に突出したレール片32bが形成されている。アングル部35は、ベース部34の室内側端部に一体的に形成され、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。ベース部34の枠内側見込み面34aには、カバー部材36が装着されるが、詳細は後述する。
縦枠12cの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール(室外側縦レール)32が設けられている。レール32は、全閉位置にある外障子14を支持する部分である。レール32は、金属縦枠18cのレール片32aと、樹脂縦枠20cのレール片32bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片32a,32bは、レール32の頂面32cで互いに係合している。
図3に示すように、縦枠12dは、全閉位置にある内障子15の戸先側に配置される。縦枠12dは、建物躯体にねじ22で固定される金属縦枠18dに対し、樹脂縦枠20dを連結した構成である。
金属縦枠18dは、プレート部38と、ヒレ部39と、レール片40aとを有する。プレート部38は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で建物躯体に固定される。ヒレ部39は、プレート部38の枠内側見込み面38aから枠内側に突出している。レール片40aは、枠内側見込み面38aの見込み方向でヒレ部39よりも室内側の位置で枠内側に突出している。
ヒレ部39は、全閉位置にある内障子15の室外側表面15aに対向する。ヒレ部39には、室外側表面15aを臨んで開口するポケット部39aが形成されている。ポケット部39aは、熱膨張性部材41を設置することができる。熱膨張性部材41は、加熱されると膨張する部材であり、例えば加熱によって発泡する黒鉛等の加熱発泡材である。建具10は、ポケット部39aに熱膨張性部材41を設けることで、火災時にヒレ部39と内障子15との間の隙間を膨張した熱膨張性部材41で埋めることができる。
樹脂縦枠20dは、レール片40bと、アングル部42とを有し、全体として略クランク形状を有する。レール片40bは、樹脂縦枠20dの室外側端部から枠内側に突出している。アングル部42は、樹脂縦枠20dの室内側端部に形成された略L字状の部分であり、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
縦枠12cの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール(室内側縦レール)40が設けられている。レール40は、全閉位置にある内障子15を支持する部分である。レール40は、金属縦枠18dのレール片40aと、樹脂縦枠20dのレール片40bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片40a,40bは、レール40の頂面40cで互いに係合している。
図1~図3に示すように、外障子14は、面材44と、面材44の四周を囲む上框45a、下框45b、戸先框45c及び召合せ框45dとを備える。
面材44は、例えば相互間にスペーサを挟んで一対の板ガラス44a,44bを対面させた2層の複層ガラスである。面材44は、1層でもよいし、3層以上の構造でもよい。
各框45a~45dは、それぞれPVC等の樹脂材料の押出形材である。各框45a~45dは、枠内側を向いて開口した開口溝46を有する。開口溝46は、面材44の外周縁部を保持するものである。召合せ框45d以外の各框45a~45cは、枠外側を向いて開口したガイド溝47を有する。上框45aのガイド溝47は、上枠12aのレール24がスライド可能に挿入される。下框45bのガイド溝47は、下枠12bのレール26がスライド可能に挿入される。戸先框45cのガイド溝47は、外障子14を全閉位置とした際に縦枠12cのレール32が挿入される。
図2に示すように、下框45bには、戸車48が配設されている。戸車48は、下框45bのガイド溝47内に配置されたローラであり、レール26の頂面26cに設けられた突起26d上を転動する。これにより外障子14は、上下の框45a,45bのガイド溝47がレール24,26によってガイドされつつ、開口16内を円滑にスライドする。この際、各レール24,26の室内外両側の見付け面には、各框45a,45bのガイド溝47内に設置された気密水密材49がそれぞれ摺接する。気密水密材49は、例えばモヘアやタイト材である。
全閉位置において、外障子14は、戸先框45cのガイド溝47が、対向する縦枠12cのレール32を呑み込むことで安定して保持される(図3及び図4参照)。この際、レール32の室内外両側の見付け面には、戸先框45cのガイド溝47内に設置された気密水密材49がそれぞれ接触する。
図1~図3に示すように、内障子15は、上枠12aのレール25と下枠12bのレール27との間でスライド可能にガイドされ、室外側の障子14に対して引違いに移動できる。内障子15は、召合せ框45dの構成が多少異なる以外は外障子14と略左右対称構造でよい。そこで、内障子15の各構成要素については外障子14の各構成要素と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。なお、全閉位置において、内障子15は、戸先框45cのガイド溝47が、対向する縦枠12dのレール40を呑み込むことで安定して保持される(図3参照)。
なお、障子14,15は、いずれも全閉位置とされた場合に、互いの召合せ框45d,45d同士が召し合う(図3参照)。この際、互いの召合せ框45d,45dに設けられた煙返し片50同士が噛合し、一方の召合せ框45dの見付け面に設けられた気密水密材49が他方の召合せ框45dの対向する見付け面に接触する。また、この際、内障子15の召合せ框45dに設けたクレセント52aを外障子14の召合せ框45dに設けたクレセント受け52bに係合させ、障子14,15を施錠することもできる。
次に、外障子14の戸先側に配置される縦枠12cの具体的な構成を説明する。
図4及び図5に示すように、縦枠12cは、金属縦枠18cの枠内側見込み面30aのうち、レール片32aよりも室内側の略全域を樹脂縦枠20cによって覆い隠した構成である。樹脂縦枠20cは、ベース部34とアングル部35とが1つの押出形材として一体成形されている。つまり樹脂縦枠20cは、1部材であり、高い生産性や施工性が得られる。樹脂縦枠20cは、ベース部34からアングル部35まで見込み方向に延在し、これにより金属縦枠18cの枠内側見込み面30aを覆っている。具体的には、樹脂縦枠20cは、枠内側見込み面30aのレール片32aよりも室内側の領域の全てを覆い隠している。
ベース部34は、室外側から室内側に向かって順に、レール片32bと、傾斜部34bと、中空部34cと、連結部34dとを有する。
傾斜部34bは、室内側に向かって次第に枠内側に傾斜しており、全閉位置にある外障子14の戸先框45cの角部を回り込むように設置される。これにより樹脂縦枠20cと戸先框45cとの間に形成される隙間Cが傾斜部34bによって狭小化され、建具10の外観品質が向上している。中空部34cは、略矩形状であり、見込み方向に沿って延びている。連結部34dは、見込み方向に沿う板部であり、中空部34cとアングル部35との間で金属縦枠18cの枠内側見込み面30aに当接する板部である。
このような樹脂縦枠20cは、ベース部34が係合部53~56とねじ22(以下、「ねじ22A」と呼ぶこともある。)とで金属縦枠18cに連結され、アングル部35がねじ22(以下、「ねじ22B」と呼ぶこともある。)で建物躯体に固定される。
係合部53は、金属縦枠18cのレール片32aの根本部分と、樹脂縦枠20cの室外側端部とが連結される。係合部53は、例えばレール片32aの根本部分に形成され、枠内側を向いて開口した溝部に、ベース部34の室外側端部を挿入した構成である。
係合部54は、金属縦枠18cのレール片32aと、樹脂縦枠20cのレール片32bとが連結される。係合部54は、例えばレール片32aに形成され、枠内側を向いて開口したフック状爪部に対し、レール片32bに形成され、枠外側を向いて開口したフック状爪部を引っ掛ける構成である。係合部54は、レール32の頂面32cに配置される。これにより外障子14は、戸先框45cのガイド溝47内に設置された一対の気密水密材49がレール32の室内外両側の見付け面、つまり各レール片32a,32bの表面に当接する。その結果、建具10は、気密水密材49が係合部54に当たって止水性が低下するような事態を抑制でき、高い気密水密性能が得られる。
係合部55は、縦枠12cの見込み方向で略中央に設けられている。係合部56は、ベース部34の室内側端部に設けられている。係合部55,56は、金属縦枠18cのプレート部30と樹脂縦枠20cのベース部34とが連結される。係合部55,56は、係合部54と同様に金属縦枠18cと樹脂縦枠20cにそれぞれ形成されたフック状爪部同士を係合させる構成でよい。
ベース部34を金属縦枠18cに連結するねじ22Aは、ベース部34の室内側端部に設けられた連結部34dを貫通する。ねじ22Aは、金属縦枠18cを建物躯体に固定するねじと兼用されている。アングル部35を建物躯体に固定するねじ22Bは、アングル部35の見込み面35aを貫通する。ねじ22Bは、片持ち状に配置されるアングル部35を押さえ、その浮き上がりやがたつきを防止する。
図4及び図5に示すように、樹脂縦枠20cには、樹脂製のカバー部材36が装着される。カバー部材36は、例えばPVC等の樹脂材料の押出形材である。
カバー部材36は、ベース部34の枠内側見込み面34aを覆うように樹脂縦枠20cに対して装着され、ねじ22Aの頭部を隠している。カバー部材36は、アングル部35の見込み面35aから連続するように配置され、見込み方向に沿って延在する見込み面36aを有する。見込み面36aは、アングル部35と隣接する位置から外障子14の室内側表面14aに近接する位置まで延びた略フラットな面である。
これにより樹脂縦枠20cは、アングル部35からカバー部材36までの見込み面35a,36aが略フラットに形成され、同時にカバー部材36と外障子14との間の隙間Cが狭小化され、建具10の外観品質を向上させる。さらに、カバー部材36は、ねじ22Aの頭部を隠すことで、建具10の外観品質を一層向上させる。特に、建具10は、外障子14の室内側で縦枠12cが室内に大きく露出する構造である。このため、建具10は、この部分にカバー部材36を設けて外観品質を向上させたことで、建具10の全体の美観を大幅に高めることができる。カバー部材36の見込み面36aは、フラットな形状ではなく、多少の凹凸程度が形成されてもよいし、見込み方向に対して多少傾斜していてもよい。また、見込み面36aは、アングル部35の見込み面35aとの間に多少の段差や隙間があってもよい。
なお、「見込み面36aが室内側表面14aに近接する位置まで延びている」とは、カバー部材36が外障子14の開閉動作に干渉することを回避しつつ、その見込み面36aが可能な限り外障子14の室内側表面14aに近い位置、つまり隙間Cを最小限に抑えることができる位置まで延在している、と言い換えることもできる。
カバー部材36は、樹脂縦枠20cとの間に2つの中空部58,59を形成する。中空部58は、樹脂縦枠20cの中空部34cの枠内側に積層されるように配置され、見込み方向に沿って延在する。中空部59は、樹脂縦枠20cの連結部34dを塞ぐように配置され、見付け方向に沿って延在する。中空部59は、中空部34c,58の積層高さと略同一の枠内外方向高さを有する。また、中空部34c,58は、その見込み方向の長さが中空部59よりも相当に大きい。
このように3つの中空部34c,58,59は、中空部58,59及び中空部34c,59がそれぞれ見込み方向に並んで配置され、中空部34c,58が見付け方向に並んで配置される。つまり縦枠12cは、金属縦枠18cと室内との間に、見込み方向及び見付け方向に並ぶ複数の中空部34c,58,59を有する。その結果、建具10は、外障子14の室内側で室内に大きく露出する縦枠12cの断熱性能が向上し、結露の発生も抑制される。
カバー部材36は、例えば係合部60,61を用いて樹脂縦枠20cに連結される。係合部60,61は、樹脂縦枠20cの中空部34cの枠内側を向いた角部にそれぞれ形成され、見込み方向に並んでいる。係合部60は、例えば樹脂縦枠20cに形成され、室外側を向いて開口したフック状爪部60aに対し、カバー部材36に形成され、室内側を向いて突出したフック状爪部60bを引っ掛ける構成である。係合部61は、例えば樹脂縦枠20cに形成され、室内側を向いて突出したフック状爪部61aに対し、カバー部材36に形成され、室外側を向いて開口したフック状爪部61bを引っ掛ける構成としている。
このように係合部60,61は、樹脂縦枠20cの枠内側見込み面34aよりも枠内側にオフセットした位置にある中空部34cを形成する板部の角部に設けられている。このため、樹脂縦枠20cは、傾斜部34bや中空部34cを有する構成にもかかわらず、カバー部材36を容易に装着できる。しかも係合部60,61はカバー部材36で隠されて建具10の外観上に露出せず、外観品質への影響もない。
縦枠12cは、上記のように3つの中空部34c,58,59を備える構成以外でもよい。図6に示すように、縦枠12cは、例えばカバー部材36との間に1つの中空部62のみを形成する構成としてもよい。勿論、樹脂縦枠20cやカバー部材36に形成する板片の設置数を適宜変更し、中空部の設置数を2又は4以上としてもよい。
次に、建具10の施工方法の一例について、特に縦枠12c及びその周辺部の構成に着目して説明する。
先ず、金属枠材18と樹脂枠材20とは、予め工場等で互いに連結され、枠組みされて開口枠12を構成している。ここで、図5に示すように、縦枠12cでは、金属縦枠18cに樹脂縦枠20cが係合部53~56を介して連結されている。
このような開口枠12は、施工現場にてねじ22を用いて建物躯体に固定される。図5に示すように、縦枠12cでは、金属縦枠18cがねじ22(図5中の「ねじ22C」)及びねじ22Aを用いて建物躯体に固定される。この際、ねじ22Aは、金属縦枠18c及び樹脂縦枠20cを共締めする。
次に、カバー部材36を縦枠12cに装着する。図5に示すように、カバー部材36は、先ず係合部60,61を介して樹脂縦枠20cに装着する。そうすると、カバー部材36がねじ22Aの頭部を覆い隠す。続いて、アングル部35をねじ22Bで建物躯体等に固定する。その結果、縦枠12cは、図4に示すように、その枠内側見込み面がアングル部35及びカバー部材36の見込み面35a,36aが連続した略フラットな形状に構成され、高い外観品質と断熱性能が得られる。
最後に、開口枠12の開口16に障子14,15をケンドン方式によって配置することで、建具10の施工が完了する。
以上のように、本発明の第1態様に係る建具は、建物躯体に固定される開口枠と、前記開口枠に支持される外障子及び内障子と、を備え、前記内障子及び外障子の少なくとも一方が左右にスライド可能な建具であって、前記開口枠は、全閉位置にある前記外障子の戸先框を支持する室外側縦レールが設けられた縦枠を備え、前記縦枠は、前記建物躯体に固定される金属縦枠と、前記金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、を有し、前記樹脂縦枠は、前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠とねじで連結されるベース部と、前記ベース部の室内側に一体に設けられ、前記建物躯体に固定されるアングル部と、を有し、さらに、前記ベース部の枠内側見込み面を覆うように前記樹脂縦枠に対して装着され、該樹脂縦枠との間に見込み方向に沿って延びた中空部を形成する樹脂製のカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記アングル部と隣接する位置から前記全閉位置にある外障子の室内側表面に向かって延在し、前記ねじを隠している。このような構成によれば、外障子の戸先側に配置される縦枠が金属縦枠と樹脂縦枠との複合構造で構成され、さらに樹脂縦枠の枠内側見込み面に樹脂製のカバー部材が装着される。これにより当該建具は、カバー部材によってねじ及び樹脂縦枠の凹凸形状等が隠されて高い外観品質が得られ、さらに樹脂縦枠とカバー部材との間に形成される中空部によって断熱性能が向上する。しかも樹脂縦枠は、ベース部からアングル部までが一体に形成されることで、施工性や生産性も向上する。
前記カバー部材は、前記アングル部の見込み面から連続するように配置され、見込み方向に沿って前記外障子の室内側表面に近接する位置まで延びた略フラットな見込み面を有する構成としてもよい。そうすると、外障子の室内側で室内に大きく露出する縦枠の見込み面が全体として略フラットに形成されるため、外観品質が一層向上する。
前記樹脂縦枠は、さらに、前記ベース部の室外側に一体に設けられ、前記室外側縦レールの一部を構成するレール片を有し、前記室外側縦レールは、その頂面が前記レール片と前記金属縦枠とで構成されてもよい。そうすると、アングル部から室外側縦レールまでが樹脂縦枠で形成されて断熱性能や外観品質が一層向上する。さらに室外側縦レールは、金属縦枠と樹脂縦枠との連結部(係合部)が頂面に配置されることで、その室内外両見付け面に対し、外障子に設けられた気密水密材を確実に当てることができ、高い気密水密性能も得られる。
前記中空部は、互いに並んで配置された第1及び第2の中空部を含む構成としてもよい。そうすると、縦枠での断熱性能が一層向上する。
前記樹脂縦枠の前記カバー部材で覆われる部分には、前記第1及び第2の中空部と隣接する第3の中空部が設けられ、前記第1及び第2の中空部は、互いに見込み方向に並んで配置され、前記第3の中空部は、前記第1の中空部に対して見込み方向に並んで配置され、前記第2の中空部に対しては見付け方向に並んで配置された構成としてもよい。そうすると、各中空部が見込み方向及び見付け方向に並ぶことで、縦枠での断熱性能がより一層向上する。
前記カバー部材を前記樹脂縦枠に装着する一対の係合部を備え、前記一対の係合部は、前記樹脂縦枠の前記第3の中空部の角部に設けられた構成としてもよい。そうすると、樹脂縦枠は、第3の中空部を有する構成にもかかわらず、カバー部材を容易に装着でき、しかも当該係合部はカバー部材で容易に隠すことができる。
前記開口枠は、さらに、全閉位置にある前記内障子の戸先框を支持する室内側縦レールが設けられた第2の縦枠を備え、前記第2の縦枠は、前記建物躯体に固定される第2の金属縦枠と、前記第2の金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該第2の金属縦枠と連結される第2の樹脂縦枠と、を有し、前記第2の金属縦枠は、その枠内側見込み面から枠内側へと突出し、前記全閉位置にある内障子の室外側表面と対向するヒレ部を有し、前記ヒレ部には、前記内障子の室外側表面を臨んで開口するポケット部が設けられた構成としてもよい。そうすると、当該建具を防火仕様とする際、ヒレ部のポケット部に熱膨張性部材を容易に且つ安定して配置できる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
10 建具、12 開口枠、12a 上枠、12b 下枠、12c,12d 縦枠、14 外障子、15 内障子、18c,18d 金属縦枠、20c,20d 樹脂縦枠、22(22A~22C) ねじ、24,25,26,27,32,40 レール、24a,24b,25a,25b,26a,26b,27a,27b,32a,32b,40a,40b レール片、28,35,42 アングル部、34 ベース部、34c,58,59,62 中空部、36 カバー部材、39 ヒレ部、39a ポケット部
Claims (7)
- 建物躯体に固定される開口枠と、前記開口枠に支持される外障子及び内障子と、を備え、前記内障子及び外障子の少なくとも一方が左右にスライド可能な建具であって、
前記開口枠は、全閉位置にある前記外障子の戸先框を支持する室外側縦レールが設けられた縦枠を備え、
前記縦枠は、
前記建物躯体に固定される金属縦枠と、
前記金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、
を有し、
前記樹脂縦枠は、
前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠とねじで連結されるベース部と、
前記ベース部の室内側に一体に設けられ、前記建物躯体に固定されるアングル部と、
を有し、
さらに、前記ベース部の枠内側見込み面を覆うように前記樹脂縦枠に対して装着され、該樹脂縦枠との間に見込み方向に沿って延びた中空部を形成する樹脂製のカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記アングル部と隣接する位置から前記全閉位置にある外障子の室内側表面に向かって延在し、前記ねじを隠している
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具であって、
前記カバー部材は、前記アングル部の見込み面から連続するように配置され、見込み方向に沿って前記外障子の室内側表面に近接する位置まで延びた略フラットな見込み面を有する
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具であって、
前記樹脂縦枠は、さらに、前記ベース部の室外側に一体に設けられ、前記室外側縦レールの一部を構成するレール片を有し、
前記室外側縦レールは、その頂面が前記レール片と前記金属縦枠とで構成されている
ことを特徴とする建具。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の建具であって、
前記中空部は、互いに並んで配置された第1及び第2の中空部を含む
ことを特徴とする建具。 - 請求項4に記載の建具であって、
前記樹脂縦枠の前記カバー部材で覆われる部分には、前記第1及び第2の中空部と隣接する第3の中空部が設けられ、
前記第1及び第2の中空部は、互いに見込み方向に並んで配置され、
前記第3の中空部は、前記第1の中空部に対して見込み方向に並んで配置され、前記第2の中空部に対しては見付け方向に並んで配置されている
ことを特徴とする建具。 - 請求項5に記載の建具であって、
前記カバー部材を前記樹脂縦枠に装着する一対の係合部を備え、
前記一対の係合部は、前記樹脂縦枠の前記第3の中空部の角部に設けられている
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具であって、
前記開口枠は、さらに、全閉位置にある前記内障子の戸先框を支持する室内側縦レールが設けられた第2の縦枠を備え、
前記第2の縦枠は、
前記建物躯体に固定される第2の金属縦枠と、
前記第2の金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該第2の金属縦枠と連結される第2の樹脂縦枠と、
を有し、
前記第2の金属縦枠は、その枠内側見込み面から枠内側へと突出し、前記全閉位置にある内障子の室外側表面と対向するヒレ部を有し、
前記ヒレ部には、前記内障子の室外側表面を臨んで開口するポケット部が設けられている
ことを特徴とする建具。
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JP2022096363A Pending JP2023183011A (ja) | 2022-06-15 | 2022-06-15 | 建具 |
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2022
- 2022-06-15 JP JP2022096363A patent/JP2023183011A/ja active Pending
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