JP2023182944A - 電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電子制御装置に関する。
エンジンルーム内に搭載される電子制御装置に対しては、例えば、防水性、耐熱性、耐食性、耐震性、EMC(Electromagnetic Compatibility)など多くの要求がある。また、車両に搭載される電子制御装置(車載電子制御装置)には、前述した要求に加えて、電子制御装置を密封構造にすることを求められる。エンジンルームの内部は車両の環境による影響を強く受けるため、エンジンルーム内に搭載される電子制御装置には、とりわけ高い密封構造が求められる。そうした場合、エンジンルーム内の電子制御装置に影響を与える大きな要素として、電子制御装置に加わる圧力の変動がある。
電子制御装置に加わる圧力は、車両の現在位置の高度が変化したり、エンジンルーム内部の温度が変化したりすることによって変動する。このような圧力変動に対応するために、例えば、電子制御装置の筐体に呼吸フィルタを取り付けることが考えられる。しかし、電子制御装置の筐体に呼吸フィルタを取り付けると、電子制御装置を密封構造にするという要求に応えることができなくなる。また、電子制御装置の筐体は、圧力変動によって筐体に加わる負荷に耐えられるように、金属製の筐体であることが求められている。
電子制御装置は、筐体の内部にプリント配線基板を収納した構造になっている。プリント配線基板には種々の電子部品が搭載される。また、プリント配線基板に搭載される電子部品の個数は、車両の高機能化に伴って増加している。このため、電子制御装置が大型化且つ高重量化している。
エンジンルーム内に搭載される電子制御装置に求められる性能のうち、特に防水性や耐食性に関する要求は厳しい。このため、電子制御装置には、防水性や耐食性を損なわない構造にすることが求められている。また、エンジンルームに電子制御装置を搭載する場合は、ブラケットが用いられる。その場合、エンジンルーム内の厳しい環境においても、大型化によって重量が増加した電子制御装置を装着できるように、ブラケットと電子制御装置の接触面積を大きく確保する必要がある。また、ブラケットと電子制御装置の接触面積を確保するために、電子制御装置の筐体の外周部にはフランジ部が設けられ、ブラケットは、このフランジ部を把持するように電子制御装置に取り付けられる。そうした場合、フランジ部を気密状態に封止するシール材が、ブラケットとの接触面に流出しないように、フランジ部の外側端面を面一(平坦)な形状にすることが求められる。
また、エンジンルーム内に搭載される電子制御装置では、筐体によって保護されるプリント配線基板も電気的要求を満足する必要がある。プリント配線基板は、金属製の筐体と電気的に接続(導通)されるグランド(GND)の配線を有する。その場合、プリント配線基板のグランドと筐体との間の電気的な抵抗値は、470kΩから1MΩである必要がある。さらに、外部から電子制御装置に印加される静電気や、電子制御装置の外部と内部で発生する放射ノイズから、電子制御装置のプリント配線基板を保護する必要がある。外部からのノイズが電子制御装置の内部に進入した場合は、そのノイズが筐体の内面で反射して電子制御装置に悪影響を与えることがある。
一方で、電子制御装置の内部で発生する放射ノイズへの対策としては、筐体に溜まった電荷を、プリント配線基板のグランドを経由して電子制御装置の外部に逃がす必要がある。上述した放射ノイズを電子制御装置の外部に逃がすためには、金属製の筐体とプリント配線基板のグランドとを、上述した低い電気抵抗で導通させることが求められる。電子制御装置の筐体は、筐体の内部にプリント配線基板を収納する空間を形成するために、2つの筐体部材を組み合わせて構成される。また、プリント配線基板は、一方の筐体部材に金属製のネジで取り付けられる。このため、一方の筐体部材とプリント配線基板については、ネジを介して導通させることができる。しかし、他方の筐体部材に対してはプリント配線基板を導通させる箇所がない。このため、金属製の筐体とプリント配線基板のグランドとを、上述した低い電気抵抗で導通させるには、2つの筐体部材を互いに導通させる必要がある。
そこで従来においては、一方の筐体部材の外周部と他方の筐体部材の外周部にそれぞれフランジ部を形成するとともに、各々のフランジ部に対向面を形成し、該対向面同士を接触させることで、2つの筐体部材を導通させる構成を採用している(例えば、特許文献1を参照)。
近年、車載用の電子制御装置のサイズは、例えば長辺と短辺の長さが260mm×240mmといった具合に、これまでの一般的な電子制御装置のサイズに比べて1.5倍ほど大型化している。このため、各々の筐体部材を製造する段階で、筐体部材に反りが生じやすく、その反りが原因でフランジ部の対向面同士を接触させることができないおそれがある。
本発明の目的は、金属製の筐体を構成する2つの筐体部材を、対向面同士の接触によって確実に導通させることができる電子制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、たとえば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、電子部品が搭載されるプリント配線基板と、プリント配線基板を収納する金属製の筐体とを備える電子制御装置である。筐体は、第1対向面が形成された第1フランジ部を有する第1筐体部材と、第1対向面に対向して配置される第2対向面が形成された第2フランジ部を有する第2筐体部材とを備え、第1対向面及び第2対向面のうち少なくともいずれか一方の対向面には、該対向面から突出する状態で凸部が形成され、第1対向面と第2対向面は、凸部と反対側で接触している。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、電子部品が搭載されるプリント配線基板と、プリント配線基板を収納する金属製の筐体とを備える電子制御装置である。筐体は、第1対向面が形成された第1フランジ部を有する第1筐体部材と、第1対向面に対向して配置される第2対向面が形成された第2フランジ部を有する第2筐体部材とを備え、第1対向面及び第2対向面のうち少なくともいずれか一方の対向面には、該対向面から突出する状態で凸部が形成され、第1対向面と第2対向面は、凸部と反対側で接触している。
本発明によれば、金属製の筐体を構成する2つの筐体部材を、対向面同士の接触によって確実に導通させることができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。以下に述べる電子制御装置は、例えば、車両に搭載されてエンジン、変速機などを制御する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る電子制御装置を斜め上方から見た分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る電子制御装置を斜め下方から見た分解斜視図である。図3は、第1実施形態に係る電子制御装置の部分断面図である。
図1は、第1実施形態に係る電子制御装置を斜め上方から見た分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る電子制御装置を斜め下方から見た分解斜視図である。図3は、第1実施形態に係る電子制御装置の部分断面図である。
図1~図3に示すように、電子制御装置1は、ハウジング2と、プリント配線基板3と、ベース4と、シール材5と、複数(図例では3つ)のコネクタ6と、コネクタシール材51とを備えている。
ハウジング2及びベース4は、金属製の筐体10を構成する部材である。ハウジング2及びベース4は、好ましくはアルミニウムによって構成される。ハウジング2は、金型を用いたアルミダイカスト成形法によって成形することが好ましい。この点は、ベース4についても同様である。ハウジング2は、第1筐体部材の一例として設けられ、ベース4は、第2筐体部材の一例として設けられている。ハウジング2には、コネクタ6と同数の開口部9が形成されている。
筐体10は、プリント配線基板3を水や異物などから保護する。また、筐体10は、プリント配線基板3に搭載される電子部品が発生する熱を外部に放出したり、筐体10内で発生するノイズあるいは外来ノイズをシールドしたりする機能を果たす。このため、仮に筐体10をPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂によって構成した場合は、放熱機能が不十分となり、ノイズのシールド機能も得られない。よって、筐体10は金属製である必要がある。また、高性能が求められるエンジン用の電子制御装置は、外来ノイズだけでなく、プリント配線基板3上の特定の電子部品(例えば、高い周波数で動作するCPUなどを有する電子部品)が発生するノイズ、すなわち内部ノイズからも電子部品を保護する必要がある。このため、樹脂製の筐体を採用した場合は、ノイズに対するシールド効果が得られず、電子部品の誤動作などを招くおそれがある。
筐体10は、平面視四角形に形成されている。本実施形態においては、一例として、筐体10が平面視長方形に形成されている。筐体10の長辺と短辺の長さは、例えば、260mm×240mmである。このサイズは、エンジンルール内に配置される電子制御装置1としては大型のサイズである。筐体10は、ハウジング2とベース4を互いに組み付けることにより、プリント配線基板3を収納可能な空間(以下、「基板収納空間」ともいう。)を形成する。
ハウジング2は、第1フランジ部11を有し、ベース4は、第2フランジ部12を有する。第1フランジ部11は、ハウジング2の外周部に、ハウジング2の全周(4辺)にわたって形成されている。第2フランジ部12は、ベース4の外周部に、ベース4の全周にわたって形成されている。図3に示すように、第1フランジ部11と第2フランジ部12は、ハウジング2とベース4を組み付けたときに、互いに対向する状態に配置される。
また、ハウジング2は第1周壁部14を有し、ベース4は第2周壁部15を有する。第1周壁部14は、第1フランジ部11と一体に形成され、第2周壁部15は、第2フランジ部12と一体に形成されている。第1フランジ部11は、第1周壁部14の外面から外側に突き出して配置され、第2フランジ部12は、第2周壁部15の外面から外側に突き出して配置されている。第1周壁部14と第2周壁部15は、ハウジング2とベース4を組み付けたときに基板収納空間を形成する。その際、第1周壁部14は、第2周壁部15の外側に配置される。第1周壁部14の下端部14aは、第1フランジ部11よりも下方に突き出して配置されている。
第2周壁部15の外側には、第1溝部41と第2溝部42が形成されている。第1溝部41は、シール材5を充填するための溝である。第1溝部41は、第2周壁部15と隣接する位置に形成されている。第2周壁部15は、電子制御装置1の製造工程において、第1溝部41にシール材5を塗布する場合に、シール材5を堰き止める役目を果たす。第2溝部42は、電子制御装置1の製造工程において、第1溝部41からシール材5が漏れた場合に、漏れたシール材5を収容するための溝である。第1溝部41は、基板収納空間を取り囲むように第2フランジ部12の全周に形成され、第2溝部42は、第1溝部41を取り囲むように第2フランジ部12の全周に形成されている。第1溝部41と第2溝部42は、第2フランジ部12の上面側に形成されている。第2溝部42は、第1溝部41よりも第2フランジ部12の外周側に形成されている。第1溝部41は、第2溝部42よりも幅広に形成されている。また、第1溝部41は、第2溝部42よりも深く形成されている。
第1フランジ部11は、電子制御装置1を上方から見た場合に、第2フランジ部12と重なり合うように配置される。また、図3に示すように、第1フランジ部11には第1対向面31が形成され、第2フランジ部12には第2対向面32が形成されている。第1対向面31と第2対向面32は、互いに対向する状態に配置されている。第2溝部42は、第2対向面32に凹状に形成されている。第2周壁部15の上端部15aは、第2対向面32よりも高い位置に配置されている。
プリント配線基板3は、筐体10の内部に収納される。プリント配線基板3は、図示しない金属製のネジによってハウジング2に取り付けられる。プリント配線基板3の少なくとも四隅には、ネジ止めのための孔3aが形成されている。プリント配線基板3の孔3aは、プリント配線基板3のグランドライン(図示せず)と電気的に接続される。具体的には、プリント配線基板3に設けられる複数の孔3aのうち、少なくとも1つの孔3aの周囲には、上記のグランドラインにつながる電極パッドが形成され、この電極パッドの形成領域に孔3aが形成されている。一方、ハウジング2には、プリント配線基板3を取り付けるための基板取付部16(図2)が形成され、この基板取付部16にネジ孔17に形成されている。そして、金属製のネジは、プリント配線基板3の孔3aを通してハウジング2のネジ孔17に噛み合い、この状態で締め付けられる。その際、ネジの頭部は、ネジ自身の締め付け力によって上記電極パッドに押し当てられる。このため、プリント配線基板3のグランドラインは、ネジを介してハウジング2に電気的に接続される。
プリント配線基板3には、上述したコネクタ6の他に、図示しない電子部品が搭載される。また、プリント配線基板3には、放熱用パッド7が形成されている。放熱用パッド7は、プリント配線基板3に搭載される電子部品が発生する熱をハウジング2に逃がすためのパッドである。一方、ハウジング2には、放熱用パッド7に対応付けて放熱用台座18(図2)が形成されている。放熱用パッド7は、図示しない熱伝導性接着剤によってハウジング2の放熱用台座18に接着される。これにより、電子部品が発生する熱は、放熱用パッド7及び放熱用台座18を通じてハウジング2に伝えられ、ハウジング2の外面から放出される。
シール材5は、ハウジング2とベース4の嵌合部分を封止する。シール材5としては、例えば、シリコーン接着剤が好ましい。シリコーン樹脂には、金属に対する接着性に優れる、塩水や水などに対して耐性がある、エンジンルームなどの高温に晒される厳しい環境でも耐えられる程度の耐熱性及び耐候性を有する、などの有利な点がある。ただし、シール材5は、シリコーン樹脂に限らず、例えば、エポキシ樹脂であってもよい。
電子制御装置1の製造工程においては、まず、コネクタ6を含む電子部品が搭載されたプリント配線基板3をハウジング2にネジ止めによって取り付ける。次に、ベース4の第1溝部41にシール材5を塗布する。
次に、ハウジング2とベース4を組み付ける。その際、ハウジング2の第1対向面31とベース4の第2対向面32とを対向させた状態で、第1周壁部14の下端部14aを第2溝部42内のシール材5に埋没させる。このとき、シール材5の塗布量によって第1溝部41からシール材5が溢れる場合がある。第1溝部41から溢れたシール材5は、第2溝部42に収容される。このようにハウジング2とベース4を組み付けることにより、筐体10の外周部は、全周にわたってシール材5により封止された状態になる。したがって、電子制御装置1を密封構造にすることができる。
本実施形態に係る電子制御装置1は、エンジンルーム内に搭載されることを想定している。このため、塩水や異物などからプリント配線基板3を保護するために、上述のように筐体10を密封構造にする必要がある。ただし、筐体10を密封構造にすると、温度変化等によって筐体10内の圧力が変動する。このため、電子制御装置1の内圧が外圧よりも高くなった場合は、筐体10を構成しているハウジング2やベース4を外側に湾曲させようとする力が働き、この力に押されてハウジング2やベース4が変形する。その際、ハウジング2やベース4の変形量は、電子制御装置1の長辺の中心が最も多くなる。このため、シール材5は、ハウジング2やベース4の変形に耐え得る接着力を持つ必要がある。また、シール材5は、硬化時にガスを発生するため、このガスを電子制御装置1の外部へ排出させる必要がある。
本実施形態に係る電子制御装置1は、一般的な電子制御装置に比べて、装置の平面サイズが1.5倍、つまり非常に大型のサイズを想定している。また、電子制御装置1は、図示しないブラケットを用いて、車両のエンジンルームなどに搭載される。その場合、電子制御装置1の外周部をブラケットによって把持するには、第1フランジ部11及び第2フランジ部12が重なり合う寸法L(図3)を10mm以上確保する必要がある。
また、電子制御装置1の質量は、サイズの大型化によって大きくなる。このように大型で質量の大きな電子制御装置1は、外周サイズが大きくなる分、第1周壁部14の第1対向面31の面積や、第2周壁部15の第2対向面32の面積が広くなる。このため、ハウジング2やベース4を製造する場合に、第1対向面31の平面度や第2対向面32の平面度が大きくなる。したがって、第1対向面31や第2対向面32は、図4に示すように、微小な凹凸を有する面になっている。また、前述のように電子制御装置1が大型化すると、ハウジング2やベース4に反りが生じやすくなる。その結果、ハウジング2とベース4を組み付けたときに、図4に示すように、第1対向面31と第2対向面32との間に隙間が生じ、対向面同士の接触によってハウジング2とベース4を電気的に接続(導通)させることが難しくなる。ハウジング2とベース4は、プリント配線基板3上の電子部品をノイズや静電気などから保護する役割があるが、第1対向面31と第2対向面32が接触していない場合は、ノイズや静電気などから電子部品を十分に保護できない可能性がある。また、ハウジング2とベース4の外周部を封止しているシール材5は、絶縁性の材料であるため、ハウジング2とベース4の電気的な接続には寄与しない。
コネクタ6は、プリント配線基板3の配線パターンに電気的に接続された状態で、プリント配線基板3に搭載される。また、コネクタ6は、ハウジング2にプリント配線基板3を取り付ける場合に、コネクタシール材51を介してハウジング2の開口部9に嵌め込まれる。コネクタシール材51は、ハウジング2の開口部9とコネクタ6との嵌合部分を封止することにより、防水機能を果たす。コネクタ6は、図1に示すX方向において、プリント配線基板3の中心位置よりもx1方向にずれた位置に搭載される。また、コネクタ6は、プリント配線基板3に搭載される他の電子部品に比べて質量が大きい。このため、3つのコネクタ6が取り付けられたプリント配線基板3の重心の位置は、X方向においてx1方向の側に偏ることになる。
図5は、第1実施形態に係る電子制御装置の側面図である。図6は、第1実施形態に係る電子制御装置が備えるベースの一部を拡大した平面図である。図7は、図6におけるA-A断面図であり、図8は、図6におけるB-B断面図である。
図5~図8に示すように、ハウジング2の第1フランジ部11とベース4の第2フランジ部12との間には、凸部8が介在している。ハウジング2とベース4は、この凸部8の介在によって相対的に角度θで傾斜している。なお、図5においては、説明の便宜上、凸部8の突き出しを強調し、ハウジング2とベース4の傾斜角度θを大きく表示している。
凸部8は、ベース4の第2フランジ部12の第2対向面32に設けられている。また、凸部8は、ベース4の四隅のうち、対角の位置関係にならない2つの隅部に1つずつ設けられている。言い換えると、凸部8は、筐体10を構成するベース4の一辺の両端部に配置されている。凸部8は、第2周壁部15、第1溝部41、第2溝部42と同様に、ベース4に一体に形成されている。凸部8は、例えばベース4をアルミダイカスト成形によって製造する場合に、凸部8に対応する凹部を成形用の金型に形成することにより、ベース4と一体構造で形成することができる。
凸部8は、第2フランジ部12の第2対向面32から突出する状態で、円柱形に形成されている。第2対向面32を基準とする凸部8の突出寸法Lh(図7)は、第2対向面32の平面度よりも大きい。このため、第2対向面32に微小な凹凸が存在する場合でも、この凹凸の寸法より大きな突出寸法Lhで凸部8が突出した状態になる。凸部8の突出寸法Lhは、好ましくは、0.2mm以上0.7mm以下である。
凸部8の両側にはガイド溝43(図6)が形成されている。ガイド溝43は、第2溝部42につながっている。また、第2溝部42のコーナー部には補助溝44(図6)が形成されている。ガイド溝43は、第1溝部41から溢れたシール材5を第2溝部42へと案内する。第2対向面32は、第2溝部42、ガイド溝43及び補助溝44の部分を除いて、同一平面を形成している。
凸部8は、図5に示すX方向において、ハウジング2の重心の位置から遠い側にあたるx2方向の側に配置されている。具体的には、凸部8は、X方向において、ベース4のx2方向の端辺部に配置されている。ハウジング2の重心の位置は、前述したとおり、コネクタ6が搭載されたプリント配線基板3をハウジング2に取り付けた状態で規定される位置である。コネクタ6が搭載されたプリント配線基板3をハウジング2に取り付けた状態において、X方向のハウジング2の質量バランスは、x1方向の側の質量割合がx2方向の側の質量割合よりも大きくなる。このため、ベース4の上からハウジング2を被せて組み付ける場合、プリント配線基板3及びコネクタ6を含めたハウジング2全体の質量によってハウジング2からベース4に加わる荷重は、x1方向の側がx2方向の側よりも大きくなる。
したがって、図5に示すように、水平に置かれたベース4に対して、凸部8によりハウジング2を角度θで傾斜させると、凸部8と反対側の筐体10の端辺部20では、ハウジング2からベース4に加わる荷重が大きくなる。つまり、筐体10の端辺部20においては、ベース4の第2フランジ部12に対して、ハウジング2の第1フランジ部11が強い力で押し付けられる。
以上説明した第1実施形態に係る電子制御装置1においては、ベース4の第2対向面32に凸部8が設けられているため、ハウジング2とベース4を組み付ける場合に、凸部8の突端にハウジング2の第2対向面32が突き当たる。したがって、ハウジング2は、ベース4に対して角度θで傾いた状態になる。このため、X方向において凸部8と反対側に位置する筐体10の端辺部20では、第1フランジ部11の第1対向面31と第2フランジ部12の第2対向面32とが接触した状態になる。これにより、筐体10を構成するハウジング2とベース4を、対向面31,32同士の接触によって確実に導通させることができる。したがって、筐体10内に収納されるプリント配線基板3上の電子部品を、ノイズや静電気などから保護する機能を高めることができる。
また、凸部8は、ベース4に一体に形成されている。このため、筐体10に凸部8を設ける場合に、部品点数の増加や製造工数の増加などを招くことがない。また、凸部8は、ベース4の他の部分と同様に金属で形成される。このため、ハウジング2とベース4を、凸部8を介して導通させることができる。
また、凸部8の突出寸法Lhは、第2フランジ部12の第2対向面32の平面度よりも大きい。このため、ハウジング2とベース4を組み付けるときに、凸部8の突端をハウジング2の第2対向面32に確実に接触(突き当て)させることができる。
また、凸部8は、プリント配線基板3が取り付けられたハウジング2の重心の位置から遠い側に配置されている。このため、筐体10の端辺部20においては、ハウジング2の質量バランスの偏りを利用して、ベース4の第2フランジ部12を強い力でハウジング2の第1フランジ部11に押し付けることができる。これにより、筐体10の端辺部20においては、第1対向面31と第2対向面32とを接触圧を高めて、より安定した接触状態を得ることができる。
また、凸部8は、筐体10の一辺の両端部に配置されている。このため、凸部8と反対側に位置する筐体10の端辺部20では、端辺部20の長さ方向の全域で第1対向面31と第2対向面32を接触させることができる。
また、凸部8を備えた構成を採用すると、上述したハウジング2とベース4の相対的な傾きによって、第1フランジ部11の第1対向面31と第2フランジ部12の第2対向面32との間に隙間が形成される。このため、シール材5の硬化時に発生するガスを電子制御装置1の外部に逃がしやすくなる。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第2実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、金属筐体の構成要素の1つであるベース(第2筐体部材)の構成が異なる。
続いて、第2実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第2実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、金属筐体の構成要素の1つであるベース(第2筐体部材)の構成が異なる。
図9は、第2実施形態に係る電子制御装置が備えるベースの一部を拡大した図である。図10は、図9におけるC-C断面図である。
図9及び図10に示すように、ベース4の長辺に沿う第2対向面32aは、これ以外の第2対向面32よりも上方に所定の突出寸法Lhで突出している。つまり、第2対向面32aは、第2対向面32から突出する凸部を構成している。第2対向面32aは、筐体10(ベース4)の一辺に沿って連続するように形成されている。
図9及び図10に示すように、ベース4の長辺に沿う第2対向面32aは、これ以外の第2対向面32よりも上方に所定の突出寸法Lhで突出している。つまり、第2対向面32aは、第2対向面32から突出する凸部を構成している。第2対向面32aは、筐体10(ベース4)の一辺に沿って連続するように形成されている。
また、第2対向面32aは、上記第1実施形態における凸部8と同様に、ベース4に一体に形成されている。第2対向面32aは、ベース4と同じ金属(例えば、アルミニウム)によって形成されることから、導電性を有する。第2対向面32aの突出寸法Lhは、上記第1実施形態における凸部8の突出寸法Lhと同様に設定される。
第2実施形態においては、ベース4の第2対向面32aを他の第2対向面32よりも突出させて凸部を形成している。このため、上記第1実施形態と同様の理由により、ハウジング2とベース4を、対向面31,32同士の接触によって確実に導通させることができる。また、第2対向面32aは、筐体10の一辺に沿って連続するように形成されている。このため、凸部としての第2対向面32aが形成された側では、第2対向面32aの長手方向の全域で第1対向面31と第2対向面32との電気的な接続箇所を確保することができる。また、第2対向面32aは、ベース4に一体に形成されている。このため、上記第1実施形態と同様に、部品点数の増加や製造工数の増加などを招くことなく、ハウジング2とベース4を導通させることができる。その他の効果については、第1実施形態と重複するため説明を省略する。
なお、第2実施形態においては、ベース4の長辺に沿う第2対向面32aを他の第2対向面32よりも突出させて凸部を形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、図9におけるC-C断面図の他の例として、図11に示すように、ベース4の短辺に沿う第2対向面32bを他の第2対向面32よりも突出させて凸部を形成してもよい。また、図示はしないが、2つのガイド溝43に挟まれる第2対向面32を他の第2対向面32よりも突出させて凸部を形成してもよい。
また、ベース4の長辺又は短辺に沿う第2対向面32の両端部に凸部を形成してもよい。また、ベース4の長辺又は短辺に沿う第2対向面32の1箇所(好ましくは中間部)だけに凸部を形成してもよい。この点は、上記第1実施形態における凸部8についても同様であり、後述する実施形態でも同様である。
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第3実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、金属筐体の構成要素の1つであるベース(第2筐体部材)の構成が異なる。
続いて、第3実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第3実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、金属筐体の構成要素の1つであるベース(第2筐体部材)の構成が異なる。
図12は、第3実施形態に係る電子制御装置が備えるベースの一部を拡大した図である。図13は、図12におけるD-D断面図である。
図12及び図13に示すように、ベース4のコーナー部には、凸部としてのテープ材85が設けられている。テープ材85は、2つのガイド溝43によって挟まれた第2対向面32に貼付されている。テープ材85は、ハウジング2とベース4を組み付けた状態では、ハウジング2の第1対向面31に貼り付けられる。
図12及び図13に示すように、ベース4のコーナー部には、凸部としてのテープ材85が設けられている。テープ材85は、2つのガイド溝43によって挟まれた第2対向面32に貼付されている。テープ材85は、ハウジング2とベース4を組み付けた状態では、ハウジング2の第1対向面31に貼り付けられる。
テープ材85は、導電性を有するテープ、例えば、導電性両面テープによって構成される。導電性両面テープは、例えば、カーボン粉末などの導電フィラーを含んだ粘着剤を使用した両面テープである。第2対向面32にテープ材85を貼付した構成では、第2対向面32を基準としたテープ材85の突出寸法Lh(図13)が、テープ材85の厚み寸法に相当する。
第3実施形態においては、ベース4の第2対向面32に貼付されたテープ材85によって凸部を形成している。このため、上記第1実施形態と同様の理由により、ハウジング2とベース4を、対向面31,32同士の接触によって確実に導通させることができる。
また、テープ材85は、ベース4と別個の部材である。このため、凸部が設けられていない既存(従来)のベース4を流用して、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、テープ材85は導電性を有するため、テープ材85を介してハウジング2とベース4を導通させることができる。また、テープ材85を両面テープによって構成しているため、シール材5が硬化するまでの間、ハウジング2とベース4を一時的に仮固定することができる。
その他の効果については、第1実施形態と重複するため説明を省略する。
その他の効果については、第1実施形態と重複するため説明を省略する。
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第4実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、凸部を形成するための具体的な手段が異なる。
図14は、第4実施形態に係る電子制御装置の要部を拡大した縦断面図である。
図14に示すように、ハウジング2の第1対向面31とベース4の第2対向面32との間には、シール材5の一部5aがはみ出している。シール材5の一部5aは、例えば、第1対向面31を基準にすると、この第1対向面31から突出する状態で形成されている。つまり、第4実施形態においては、凸部がシール材5の一部5aによって形成されている。
続いて、第4実施形態に係る電子制御装置について説明する。
第4実施形態に係る電子制御装置は、上記第1実施形態に係る電子制御装置と比較して、凸部を形成するための具体的な手段が異なる。
図14は、第4実施形態に係る電子制御装置の要部を拡大した縦断面図である。
図14に示すように、ハウジング2の第1対向面31とベース4の第2対向面32との間には、シール材5の一部5aがはみ出している。シール材5の一部5aは、例えば、第1対向面31を基準にすると、この第1対向面31から突出する状態で形成されている。つまり、第4実施形態においては、凸部がシール材5の一部5aによって形成されている。
シール材5の一部5aによって凸部を形成する方法としては、例えば、ベース4の第1溝部41にシール材5を塗布する場合に、凸部の形成が予定されている部分には第1溝部41から溢れる程度にシール材5を多く塗布すればよい。これにより、シール材5を多く塗布した部分では、第1周壁部14の下端部14aを第2周壁部15に埋没させたときに、第1溝部41からシール材5の一部5aが溢れる。このとき、シール材5の一部5aの厚み寸法tは、凸部の突出寸法を決める要素になるため、第1対向面31と第2対向面32との間に適度な厚み寸法tでシール材5の一部5aが残るよう、例えば、ベース4に対するハウジング2の押し付け力を調整する。その後、シール材5を硬化すれば、シール材5の一部5aによって凸部を形成することができる。
第4実施形態においては、シール材5の一部5aによって凸部を形成している。このため、上記第1実施形態と同様の理由により、ハウジング2とベース4を、対向面31,32同士の接触によって確実に導通させることができる。また、シール材5は、ベース4と別個の部材である。このため、凸部が設けられていない既存(従来)のベース4を流用して、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
その他の効果については、第1実施形態と重複するため説明を省略する。
その他の効果については、第1実施形態と重複するため説明を省略する。
<変形例等>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
たとえば、上述した各実施形態においては、ベース4の第2対向面32に凸部を形成しているが、本発明はこれに限らず、ハウジング2の第1対向面31に凸部を形成してもよい。また、第1対向面31と第2対向面32の両方に凸部を形成してもよい。また、凸部については、筐体10の任意の一辺の1箇所(好ましくは、中間部)のみに設けてもよいし、任意の一辺に沿って複数箇所に設けてもよいし、任意の一辺に沿って連続的(線状)に形成してもよい。
1…電子制御装置、2…ハウジング(第1筐体部材)、3…プリント配線基板、4…ベース(第2筐体部材)、5…シール材、5a…一部(凸部)、8…凸部、10…筐体、11…第1フランジ部、12…第2フランジ部、31…第1対向面、32…第2対向面、32a,32b…第2対向面(凸部)、85…テープ材(凸部)
Claims (10)
- 電子部品が搭載されるプリント配線基板と、前記プリント配線基板を収納する金属製の筐体とを備える電子制御装置であって、
前記筐体は、第1対向面が形成された第1フランジ部を有する第1筐体部材と、前記第1対向面に対向して配置される第2対向面が形成された第2フランジ部を有する第2筐体部材とを備え、
前記第1対向面及び前記第2対向面のうち少なくともいずれか一方の対向面には、該対向面から突出する状態で凸部が形成され、
前記第1対向面と前記第2対向面は、前記凸部と反対側で接触している
電子制御装置。 - 前記凸部は、前記第1筐体部材、及び/又は、前記第2筐体部材に一体に形成されている
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記凸部の突出寸法は、前記第1対向面の平面度、及び/又は、前記第2対向面の平面度よりも大きい
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記プリント配線基板は、前記第1筐体部材に取り付けられ、
前記プリント配線基板が取り付けられた前記第1筐体部材の重心の位置は、所定の方向において一方側に偏っており、
前記凸部は、前記所定の方向において前記第1筐体部材の重心の位置から遠い側に配置されている
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記筐体は、平面視四角形に形成され、
前記凸部は、前記筐体の一辺の両端部に配置されている
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記凸部は、前記第1筐体部材、及び/又は、前記第2筐体部材に貼付されている
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記凸部は、導電性を有する
請求項6に記載の電子制御装置。 - 前記凸部は、両面テープによって構成されている
請求項6又は7に記載の電子制御装置。 - 前記第1筐体部材と前記第2筐体部材との嵌合部分を封止するシール材を備え、
前記凸部は、前記シール材の一部によって形成されている
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記筐体は、平面視四角形に形成され、
前記凸部は、前記筐体の一辺に沿って連続するように形成されている
請求項1に記載の電子制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022096236A JP2023182944A (ja) | 2022-06-15 | 2022-06-15 | 電子制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022096236A JP2023182944A (ja) | 2022-06-15 | 2022-06-15 | 電子制御装置 |
Publications (1)
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ID=89321317
Family Applications (1)
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JP2022096236A Pending JP2023182944A (ja) | 2022-06-15 | 2022-06-15 | 電子制御装置 |
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2022
- 2022-06-15 JP JP2022096236A patent/JP2023182944A/ja active Pending
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