JP2023182649A - コドン拡張のための変異tRNA - Google Patents

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Kaori Nishimura
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Abstract

【課題】NNAおよびNNGのコドンの読み分けを可能とする新たな手段を提供する。【解決手段】本開示は、アンチコドンの1文字目がライシジンまたはアグマチジンに置換された変異tRNA、および当該変異tRNAを含む翻訳系に関する。特定の態様において、本開示は、NNAのコドンを選択的に翻訳することが可能な変異tRNAを提供する。別の態様において、本開示は、一つのコドンボックスから2種類または3種類のアミノ酸を翻訳することが可能な翻訳系を提供する。別の態様において、本開示は、ライシジン二リン酸、アグマチジン二リン酸およびこれらの誘導体の新規な合成方法を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、tRNAおよび翻訳系、ならびにその使用方法に関する。
ディスプレイライブラリーは、標的タンパク質に結合する分子を進化工学的に効率よく取得できる、大変有用な技術である。ディスプレイライブラリーを用いて、任意の標的分子に対し高結合能を示す分子を取得したり、あるいは複数のエピトープに対してそれぞれ結合する分子を多種類取得したりするためには、高い多様性をもつライブラリーからのパニングが必要である。多様性の高いライブラリーを構築するためには、その構成単位(building block)の数を増やす、あるいは種類を増やすことが考えられるが、膜透過性の観点から分子量に制限がある場合、building blockの数にも制限がかかる。よって、ライブラリーの多様性を高めるためにbuilding blockの種類を増やすという手段は重要な意味を持つ。
PURESYSTEM(非特許文献1)のような再構成された無細胞翻訳系は、アミノ酸、tRNA、アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase; ARS)等の構成成分の濃度調整が可能であるため、天然のコドン-アミノ酸の対応付けを変更できる。このような翻訳系を用いることにより、任意のbuilding blockを20種類以上導入したディスプレイライブラリーを構築することも可能となっているが、3塩基コドンを用いた大腸菌の翻訳系においては、ウォブル(wobble)則の存在により、原理上は32種類が導入できるbuilding blockの上限であると考えられる。より具体的に説明すると、コドンの3文字目とアンチコドンの1文字目の対合には、“遊び”が存在し、ワトソン-クリック(Watson-Crick)塩基対以外にも、wobble塩基対と呼ばれるG・U間の対合が可能となっている。そのため、アンチコドンGNNはNNUおよびNNCのコドンを、アンチコドンUNNはNNAおよびNNGのコドンを解読(decode)してしまうため、これらのコドンを読み分けることができず、1つのコドンボックスに導入できるアミノ酸の種類は最大2アミノ酸に制限されてしまう(非特許文献2)。
一方、自然界では、AUAおよびAUGのコドンの読み分けを可能にする手段が存在する。大腸菌のtRNA Ile2の34位(アンチコドン1文字目)に導入されているライシジン(Lysidine)修飾がその一例であり、この修飾によりtRNA Ile2はAUAコドンのみを解読し、AUGコドンは解読しないことが分かっている(非特許文献3)。この修飾は、イソロイシンtRNA-ライシジン合成酵素(tRNAIle-lysidine synthetase;TilS)によって導入されるが(非特許文献4)、その基質となるtRNAはtRNA Ile2に限定されるため、それ以外のtRNAにライシジンを導入することは容易ではない(非特許文献5)。
Shimizu et al.,Nat Biotechnol.,2001 Aug;19(8):751-755. Iwane et al.,Nat Chem.,2016 Apr;8(4):317-325. Grosjean et al.,Trends Biochem Sci.,2004 Apr;29(4):165-168. Suzuki T et al.,FEBS Lett.,2010 Jan 21;584(2):272-277. Lajoie et al.,J Mol Biol.,2016 Feb 27;428(5 Pt B):1004-1021.
上述の通り、tRNA Ile2では34位(アンチコドン1文字目)にライシジンが導入されることによって、AUAおよびAUGのコドンが読み分けられているが、天然において、それ以外のtRNAにライシジン修飾が行われている例は見出されていない。また、何らかの人工的な手段によって、NNAおよびNNGのコドンが読み分けられた例も報告されていない。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、NNAおよびNNGのコドンの読み分けを可能とする新たな手段を提供することを本開示の目的の一つとする。
今回本発明者らは、化学合成したtRNA断片とライシジン(別名2-リシルシチジン)を酵素反応により連結させることで、34位にライシジンが導入され、なおかつ35位および36位(アンチコドン2文字目および3文字目)に様々な配列を有するtRNAを調製した。それらのtRNAを含む翻訳系を再構成して、アミノ酸の翻訳を行ったところ、いずれの翻訳系においてもNNAおよびNNGコドンの読み分けが可能であることが見出された。また、これらの検討過程において、UNNのアンチコドンを有するtRNAは、NNAやNNGのコドンだけでなくNNUのコドンも解読してしまうことが見出されたが、ライシジン導入tRNAの使用により、このNNUコドンのミスリードも大幅に低減された。
本開示はこのような知見に基づくものであり、具体的には以下に例示的に記載する実施態様を包含するものである。
〔1〕tRNAを改変することにより作製されている変異tRNAであって、当該改変が、Nで表されるアンチコドンの改変後の1文字目のヌクレオシドNがライシジン(k2C)、ライシジン誘導体、アグマチジン(agm2C)、またはアグマチジン誘導体のいずれかである改変を含み、NおよびNはそれぞれ、該アンチコドンの2文字目および3文字目の任意のヌクレオシドである、変異tRNA。
〔2〕改変前のNがシチジン(C)であって、かつ当該シチジン(C)からライシジン(k2C)への改変が、配列番号:51のアミノ酸配列を有するライシジン合成酵素(tRNAIle-lysidine synthetase;TilS)では触媒され得ない、〔1〕に記載の変異tRNA。
〔3〕改変前のNがシチジン(C)であって、かつ当該シチジン(C)からアグマチジン(agm2C)への改変が、配列番号:52のアミノ酸配列を有するアグマチジン合成酵素(tRNAIle-agmatidine synthetase;TiaS)では触媒され得ない、〔1〕に記載の変異tRNA。
〔4〕MAで表されるコドン(ここで、MおよびMはそれぞれコドンの1文字目および2文字目のヌクレオシドを表し、MおよびMはそれぞれアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)のいずれかから選択され、3文字目のヌクレオシドはアデノシンである)に相補的なアンチコドンを有する、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔5〕アンチコドンがk2CNまたはagm2CN(ここで、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドはライシジン(k2C)またはアグマチジン(agm2C)であり、2文字目のヌクレオシド(N)、3文字目のヌクレオシド(N)はそれぞれM、Mに相補的である)で表される、〔4〕に記載の変異tRNA。
〔6〕NおよびNがそれぞれアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)のいずれかから選択される、〔5〕に記載の変異tRNA。
〔7〕tRNAが開始tRNAまたは伸長tRNAである、〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔8〕tRNAが原核または真核生物由来のtRNAである、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔9〕天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがAであるコドンとGであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔10〕天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがUであるコドンとAであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔11〕天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがUであるコドン、Cであるコドン、Aであるコドン、およびGであるコドンがいずれも同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔12〕天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがAであるコドンとGであるコドンが互いに異なるアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔13〕天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがAであるコドンおよび/またはGであるコドンが終止コドンであるコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔14〕Mがウリジン(U)であり、Mがシチジン(C)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔15〕Mがシチジン(C)であり、Mがウリジン(U)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔16〕Mがシチジン(C)であり、Mがシチジン(C)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔17〕Mがシチジン(C)であり、Mがグアノシン(G)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔18〕Mがアデノシン(A)であり、Mがウリジン(U)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔19〕Mがグアノシン(G)であり、Mがウリジン(U)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔20〕Mがグアノシン(G)であり、Mがシチジン(C)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔21〕Mがグアノシン(G)であり、Mがグアノシン(G)である、〔4〕から〔8〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔22〕Nがグアノシン(G)であり、Nがアデノシン(A)である、〔14〕に記載の変異tRNA。
〔23〕Nがアデノシン(A)であり、Nがグアノシン(G)である、〔15〕に記載の変異tRNA。
〔24〕Nがグアノシン(G)であり、Nがグアノシン(G)である、〔16〕に記載の変異tRNA。
〔25〕Nがシチジン(C)であり、Nがグアノシン(G)である、〔17〕に記載の変異tRNA。
〔26〕Nがアデノシン(A)であり、Nがウリジン(U)である、〔18〕に記載の変異tRNA。
〔27〕Nがアデノシン(A)であり、Nがシチジン(C)である、〔19〕に記載の変異tRNA。
〔28〕Nがグアノシン(G)であり、Nがシチジン(C)である、〔20〕に記載の変異tRNA。
〔29〕Nがシチジン(C)であり、Nがシチジン(C)である、〔21〕に記載の変異tRNA。
〔30〕3’末端にアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している、〔1〕から〔29〕のいずれかに記載の変異tRNA。
〔31〕アミノ酸が、天然アミノ酸または非天然アミノ酸である、〔30〕に記載の変異tRNA。
〔32〕天然アミノ酸が、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、ヒスチジン(His)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、プロリン(Pro)からなる群より選択される、〔31〕に記載の変異tRNA。
〔33〕天然アミノ酸が、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、ヒスチジン(His)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、プロリン(Pro)からなる群より選択される、〔32〕に記載の変異tRNA。
〔34〕複数の異なる種類のtRNAを含む翻訳系であって、〔1〕から〔33〕のいずれかに記載の変異tRNAを含む、翻訳系。
〔35〕変異tRNAが、MAで表されるコドンとは異なるコドンに比べて、MAで表されるコドンを選択的に翻訳することが可能であり、かつMAで表されるコドンが、前記変異tRNAとは異なるtRNAと比較して、前記変異tRNAによって選択的に翻訳され得る、〔34〕に記載の翻訳系。
〔36〕(a)〔1〕から〔33〕のいずれかに記載の変異tRNA、および(b)MGで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAを含む、〔34〕または〔35〕に記載の翻訳系。
〔37〕〔36〕(b)に記載のtRNAのアンチコドンがCN、ac4CN、またはCmN(ここで、ac4CはN4-アセチルシチジン、Cmは2’-O-メチルシチジンを表す)である、〔36〕に記載の翻訳系。
〔38〕〔36〕(b)に記載のtRNAが、MGで表されるコドンとは異なるコドンに比べて、MGで表されるコドンを選択的に翻訳することが可能であり、かつMGで表されるコドンが、〔36〕(b)に記載のtRNAとは異なるtRNAと比較して、〔36〕(b)に記載のtRNAによって選択的に翻訳され得る、〔36〕または〔37〕に記載の翻訳系。
〔39〕〔36〕(a)および〔36〕(b)に記載のtRNAに結合しているアミノ酸またはアミノ酸類縁体が互いに異なる、〔36〕から〔38〕のいずれかに記載の翻訳系。
〔40〕MAおよびMGのコドンから、2種類のアミノ酸が翻訳可能である、〔39〕に記載の翻訳系。
〔41〕MAおよびMGのコドンが、互いに異なるアミノ酸またはアミノ酸類縁体をコードし得る、〔39〕に記載の翻訳系。
〔42〕さらに、(c)MUまたはMCで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAを含む、〔34〕から〔41〕に記載の翻訳系。
〔43〕〔42〕(c)に記載のtRNAのアンチコドンがAN、GN、QN、およびGluQN(ここでQはキューオシン(queuosine)、GluQはグルタミルキューオシン(glutamyl-queuosine)を表す)からなる群より選択される、〔42〕に記載の翻訳系。
〔44〕〔42〕(c)に記載のtRNAが、MUまたはMCで表されるコドンとは異なるコドンに比べて、MUまたはMCで表されるコドンを選択的に翻訳することが可能であり、かつMUまたはMCで表されるコドンが、〔42〕(c)に記載のtRNAとは異なるtRNAと比較して、〔42〕(c)に記載のtRNAによって選択的に翻訳され得る、〔42〕または〔43〕に記載の翻訳系。
〔45〕〔36〕(a)、〔36〕(b)、および〔42〕(c)に記載のtRNAに結合しているアミノ酸またはアミノ酸類縁体がいずれも互いに異なる、〔42〕から〔44〕のいずれかに記載の翻訳系。
〔46〕MU、MC、MA、およびMGによって構成されるコドンボックスから、3種類のアミノ酸が翻訳可能である、〔45〕に記載の翻訳系。
〔47〕MU、MC、MA、およびMGによって構成されるコドンボックスにおいて、
(i)MA、MGおよびMUが互いに異なるアミノ酸またはアミノ酸類縁体をコードし得る、または
(ii)MA、MGおよびMCが互いに異なるアミノ酸またはアミノ酸類縁体をコードし得る、
〔45〕に記載の翻訳系。
〔48〕〔36〕(a)、〔36〕(b)、および〔42〕(c)に記載のtRNAのうち、少なくとも一つに非天然アミノ酸が結合している、〔45〕から〔47〕のいずれかに記載の翻訳系。
〔49〕20種類より多くのアミノ酸を翻訳可能である、〔34〕から〔48〕のいずれかに記載の翻訳系。
〔50〕無細胞翻訳系である、〔34〕から〔49〕のいずれかに記載の翻訳系。
〔51〕再構成型の無細胞翻訳系である、〔50〕に記載の翻訳系。
〔52〕大腸菌由来のリボソームを含む、〔50〕または〔51〕に記載の翻訳系。
〔53〕〔34〕から〔52〕のいずれかに記載の翻訳系を用いて核酸を翻訳することを含む、ペプチドの製造方法。
〔54〕ペプチドが環状部を有するペプチドである、〔53〕に記載の方法。
〔55〕〔53〕または〔54〕に記載の方法により製造されたペプチド。
〔56〕〔34〕から〔52〕のいずれかに記載の翻訳系を用いて核酸ライブラリーを翻訳することを含む、ペプチドライブラリーの製造方法。
〔57〕〔56〕に記載の方法により製造されたペプチドライブラリー。
〔58〕〔57〕に記載のペプチドライブラリーに標的分子を接触させることを含む、当該標的分子に対して結合活性を有するペプチドの同定方法。
〔59〕ペプチドおよび該ペプチドをコードする核酸を含む核酸-ペプチド複合体であって、前記ペプチドをコードする核酸は以下の(A)または(B)のいずれかに記載の3種類のコドンを含み:
(A)MU、MA、およびMG;
(B)MC、MA、およびMG、
前記ペプチド上において、前記3種類のコドンに対応するアミノ酸の種類がいずれも異なる、前記核酸-ペプチド複合体。
〔60〕〔59〕に記載の核酸-ペプチド複合体を含むライブラリー。
〔61〕以下の化合物またはその塩。
Figure 2023182649000001

〔62〕〔61〕に記載の化合物とtRNAを構成する核酸断片とを酵素反応によって連結する工程を含む、ライシジンをtRNAナンバリング則の34位に有する変異tRNAの製造方法。
〔63〕〔61〕に記載の化合物、tRNAを構成する1または複数の核酸断片、およびアミノ酸またはアミノ酸類縁体とを酵素反応によって連結する工程を含む、ライシジンをtRNAナンバリング則の34位に有する変異tRNAであって、3’末端にアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している変異tRNAの製造方法。
〔64〕以下の化合物またはその塩。
Figure 2023182649000002

〔65〕〔64〕に記載の化合物とtRNAを構成する核酸断片とを酵素反応によって連結する工程を含む、アグマチジンをtRNAナンバリング則の34位に有する変異tRNAの製造方法。
〔66〕〔64〕に記載の化合物、tRNAを構成する1または複数の核酸断片、およびアミノ酸またはアミノ酸類縁体とを酵素反応によって連結する工程を含む、アグマチジンをtRNAナンバリング則の34位に有する変異tRNAであって、3’末端にアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している変異tRNAの製造方法。
〔67〕アミノ酸がメチオニン(Met)およびイソロシン(Ile)以外のアミノ酸である、〔63〕または〔66〕に記載の方法。
〔68〕〔62〕または〔65〕に記載の方法により製造される、変異tRNA。
〔69〕〔63〕、〔66〕、または〔67〕に記載の方法により製造される、3’末端にアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している変異tRNA。
〔70〕〔68〕および/または〔69〕に記載の変異tRNAを含む、翻訳系。
〔71〕〔70〕に記載の翻訳系を用いて核酸を翻訳することを含む、ペプチドの製造方法。
〔72〕以下の工程を含む、下記式A:
Figure 2023182649000003

(式中、
およびRは、それぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、
Lは、ヒドロキシおよびC-Cアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンであり、該C-C直鎖アルキレンの炭素原子は、1個の酸素原子または硫黄原子によって置換されていてもよく、
Mは、単結合、
Figure 2023182649000004

であり、波線は炭素原子との結合点を示し、*は、水素原子との結合点を示し、**は窒素原子との結合点を示し、ただしMが単結合である場合、Mに結合したHは存在しない。)
で表されるライシジン二リン酸もしくはその誘導体、またはアグマチジン二リン酸もしくはその誘導体の製造方法:
下記式B1:
Figure 2023182649000005

(式中、PG11は、アミノ基の保護基である。)
で表される化合物を分子内で環化して、下記式C1:
Figure 2023182649000006

(式中、PG11は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式C1で表される化合物に、下記式D1:
Figure 2023182649000007

(式中、R、R、L、およびMは上記と同じである。)
で表されるアミンまたはその塩を導入して、下記式E1:
Figure 2023182649000008

(式中、R、R、L、M、およびPG11は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式E1で表される化合物にPG12および/またはPG13を導入して、下記式F1Aまたは式F1B:
Figure 2023182649000009

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG12は、アミノ基の保護基であり、
PG13は、カルボキシル基またはイミノ基の保護基であり、
、L、M、およびPG11は上記と同じであり、
但し、Mが単結合である場合、PG13は存在しない。)
で表される化合物を得る工程、
式F1AまたはF1Bで表される化合物からアセトニドを除去し、PG14およびPG15を導入して、下記式G1AまたはG1B:
Figure 2023182649000010

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG14は、水酸基の保護基であり、
PG15は、水酸基の保護基であり、
、L、M、PG11、PG12、およびPG13は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式G1AまたはG1Bで表される化合物にPG16を導入して、下記式H1AまたはH1B
Figure 2023182649000011

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG16は、水酸基および/またはアミノ基の保護基であり、
、L、M、PG11、PG12、PG13、PG14、およびPG15は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式H1AまたはH1Bで表される化合物からPG14およびPG15を除去して、下記式I1Aまたは式I1B:
Figure 2023182649000012

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
、L、M、PG11、PG12、PG13、およびPG16は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式I1AまたはI1Bで表される化合物を亜リン酸エステル化し、次いで酸化して、下記式J1AまたはJ1B:
Figure 2023182649000013

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG17は、水酸基の保護基であり、
、L、M、PG11、PG12、PG13、およびPG16は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式J1Aで表される化合物からPG11、PG12、PG13、およびPG17を除去して、あるいは式J1Bで表される化合物からPG11、PG13、およびPG17を除去して、下記式K1:
Figure 2023182649000014

(式中、
は、HまたはC-Cアルキルであり、
、R、L、M、およびPG16は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、および
式K1で表される化合物からPG16を除去して、式Aで表される化合物を得る工程。
〔73〕式Aで表される化合物が、ライシジン二リン酸:
Figure 2023182649000015

またはアグマチジン二リン酸:
Figure 2023182649000016

である、〔72〕記載の方法。
〔74〕PG11が、p-ブロモベンゾイル、置換されていてもよいベンゾイル、ピリジンカルボニル、またはアセチルである、〔72〕記載の方法。
〔75〕PG12が、Fmocである、〔72〕記載の方法。
〔76〕PG13が、Mが
Figure 2023182649000017

の場合にはメチル、エチル、または置換されていてもよいベンジルであり、Mが
Figure 2023182649000018

の場合には置換されていてもよいベンジル、Cbzまたは置換されていてもよいベンジルオキシカルボニルである、〔72〕記載の方法。
〔77〕PG14およびPG15は一緒になって、ジ-tert-ブチルシリルを形成する、〔72〕記載の方法。
〔78〕PG16が、TOMである、〔72〕記載の方法。
〔79〕PG17が、シアノエチルである、〔72〕記載の方法。
〔80〕分子内環化がアゾジカルボン酸ジイソプロピルおよびトリフェニルホスフィンの存在下で行われる、〔72〕記載の方法。
〔81〕式D1で表されるアミンまたはその塩の導入が塩化リチウムおよびDBUの存在下で行われる、〔72〕記載の方法。
〔82〕PG12がFmocであり、PG12の導入に用いられる試薬が、炭酸(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(9H-フルオレン-9-イル)メチルおよび炭酸ナトリウムである、〔72〕記載の方法。
〔83〕PG13がメチルであり、PG13の導入に用いられる試薬が、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、メタノール、およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジンである、〔72〕記載の方法。
〔84〕アセトニドの除去に用いられる試薬が、TFAである、〔72〕記載の方法。
〔85〕PG14およびPG15が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成し、ジ-tert-ブチルシリルの導入に用いられる試薬が、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリルである、〔72〕記載の方法。
〔86〕PG16がTOMであり、PG16の導入に用いられる試薬が、DIPEA、および塩化(トリイソプロピルシロキシ)メチルである、〔72〕記載の方法。
〔87〕PG14およびPG15の除去に用いられる試薬が、フッ化水素ピリジンコンプレックスである、〔72〕記載の方法。
〔88〕亜リン酸エステル化に用いられる試薬が、ビス(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルアミノホスホルアミジットである、〔72〕記載の方法。
〔89〕酸化に用いられる試薬が、tert-ブチルヒドロペルオキシドである、〔72〕記載の方法。
〔90〕PG11、PG12、PG13、およびPG17の除去に用いられる試薬が、ビス-(トリメチルシリル)アセトアミドおよびDBUである、〔72〕記載の方法。
〔91〕PG16の除去に用いられる試薬が、フッ化アンモニウムである、〔72〕記載の方法。
〔92〕RがHである、〔72〕記載の方法。
〔93〕RがHである、〔72〕記載の方法。
〔94〕C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンが、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンである、〔72〕記載の方法。
〔95〕Lが-(CH-、-(CH-、-(CH、-(CH-O-CH-、-(CH-S-CH-、-CHCH(OH)(CH-、または-CHCH=CH-(シスまたはトランス)である、〔72〕記載の方法。
〔96〕以下の工程を含む、下記式A:
Figure 2023182649000019

(式中、
およびRは、それぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、
Lは、ヒドロキシおよびC-Cアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンであり、該C-C直鎖アルキレンの炭素原子は、1個の酸素原子または硫黄原子によって置換されていてもよく、
Mは、単結合、
Figure 2023182649000020

であり、波線は炭素原子との結合点を示し、*は、水素原子との結合点を示し、**は窒素原子との結合点を示し、ただしMが単結合である場合、Mに結合したHは存在しない)
で表されるライシジン二リン酸もしくはその誘導体、またはアグマチジン二リン酸もしくはその誘導体の製造方法:
下記式B2:
Figure 2023182649000021

(式中、PG21は、アミノ基の保護基である。)
で表される化合物を分子内で環化して、下記式C2:
Figure 2023182649000022

(式中、PG21は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式C2で表される化合物に、下記式D2AまたはD2B:
Figure 2023182649000023

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG22は、アミノ基の保護基であり、
PG23は、カルボキシル基またはイミノ基の保護基であり、
、L、およびMは上記と同じであり、
但し、Mが単結合である場合、PG23は存在しない。)
で表されるアミンまたはその塩を導入して、下記式E2AまたはE2B:
Figure 2023182649000024

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
、L、M、PG21、PG22、およびPG23は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式E2AまたはE2Bで表される化合物からアセトニドを除去し、PG24およびPG25を導入して、下記式F2AまたはF2B:
Figure 2023182649000025

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG24は、水酸基の保護基であり、
PG25は、水酸基の保護基であり、
、R、L、M、PG21、PG22、およびPG23は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式F2AまたはF2Bで表される化合物にPG26を導入して、下記式G2AまたはG2B
Figure 2023182649000026

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG26は、水酸基の保護基であり、
、R、L、M、PG21、PG22、PG23、PG24、およびPG25は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式G2AまたはG2Bで表される化合物からPG24およびPG25を除去して、下記式H2AまたはH2B:
Figure 2023182649000027

で表される化合物を得る工程、
(式中、
は、C-Cアルキルであり、
、L、M、PG21、PG22、PG23、およびPG26は上記と同じである。)
式H2AまたはH2Bで表される化合物を亜リン酸エステル化し、次いで酸化して、下記式I2AまたはI2B:
Figure 2023182649000028

(式中、
は、C-Cアルキルであり、
PG27は、水酸基の保護基であり、
、L、M、PG21、PG22、PG23、およびPG26は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、
式I2Aで表される化合物からPG21、PG22、PG23、およびPG27を除去して、あるいは式I2Bで表される化合物からPG21、PG23、およびPG27を除去して、下記式J2:
Figure 2023182649000029

(式中、
は、HまたはC-Cアルキルであり、
、L、M、およびPG26は上記と同じである。)
で表される化合物を得る工程、および
式J2で表される化合物からPG26を除去して、式Aで表される化合物を得る工程。
〔97〕式Aで表される化合物が、ライシジン二リン酸:
Figure 2023182649000030

またはアグマチジン二リン酸:
Figure 2023182649000031

である、〔96〕記載の方法。
〔98〕PG21が、Cbz、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル、または置換されていてもよいベンジルである、〔96〕記載の方法。
〔99〕PG22が、Cbz、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル、または置換されていてもよいベンジルである、〔96〕記載の方法。
〔100〕PG23が、Mが
Figure 2023182649000032

の場合には置換されていてもよいベンジルであり、Mが
Figure 2023182649000033

の場合には置換されていてもよいベンジル、Cbz、または置換されていてもよいベンジルオキシカルボニルである、〔96〕記載の方法。
〔101〕PG24およびPG25は一緒になって、ジ-tert-ブチルシリルを形成する、〔96〕記載の方法。
〔102〕PG26が、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、またはメトキシメチルである、〔96〕記載の方法。
〔103〕PG27が、ベンジルである、〔96〕記載の方法。
〔104〕分子内環化がアゾジカルボン酸ジイソプロピルおよびトリフェニルホスフィンの存在下で行われる、〔96〕記載の方法。
〔105〕式D2で表されるアミンまたはその塩の導入が塩化リチウムおよびDBUの存在下で行われる、〔96〕記載の方法。
〔106〕アセトニドの除去に用いられる試薬が、TFAである、〔96〕記載の方法。
〔107〕PG24およびPG25が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成し、ジ-tert-ブチルシリルの導入に用いられる試薬が、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリルである、〔96〕記載の方法。
〔108〕PG26がテトラヒドロピラニルであり、PG26の導入に用いられる試薬が、TFA、および3,4-ジヒドロ-2H-ピランである、〔96〕記載の方法。
〔109〕PG24およびPG25の除去に用いられる試薬が、テトラブチルアンモニウムフルオリドである、〔96〕記載の方法。
〔110〕亜リン酸エステル化に用いられる試薬が、ジベンジル N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトである、〔96〕記載の方法。
〔111〕酸化に用いられる試薬が、デス-マーチンペルヨージナンである、〔96〕記載の方法。
〔112〕PG21、PG22、PG23、およびPG27が、接触水素化によって除去される、〔96〕記載の方法。
〔113〕PG26の除去に用いられる試薬が、塩酸である、〔96〕記載の方法。
〔114〕RがHである、〔96〕記載の方法。
〔115〕RがHである、〔96〕記載の方法。
〔116〕C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンが、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンである、〔96〕記載の方法。
〔117〕Lが-(CH-、-(CH-、-(CH、-(CH-O-CH-、-(CH-S-CH-、-CHCH(OH)(CH-、または-CHCH=CH-(シスまたはトランス)である、〔96〕記載の方法。
図1は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)uga-CA(UR-1)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCUUGpの配列を有する断片、下段はCCCUGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図2は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lga-CA(LR-1)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULGpの配列を有する断片、中段はCCCUGpの配列を有する断片、下段はCCCUUGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図3は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lag-CA(LR-2)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULAGpの配列を有する断片、中段はCCCUAGpの配列を有する断片、下段はCCCUUAGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図4は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lac-CA(LR-3)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULACACGp(配列番号:197)の配列を有する断片、中段はCCCUACACGpの配列を有する断片、下段はCCCUUACACGp(配列番号:198)の配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図5は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lcc-CA(LR-4)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULCCACGp(配列番号:199)の配列を有する断片、中段はCCCUCCACGpの配列を有する断片、下段はCCCUUCCACGp(配列番号:200)の配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図6は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Asp)Lag-CA(LR-5)のマスクロマトグラムを示す図である。上段はpGGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUULAGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC(配列番号:134)の配列を有する核酸(目的物)、中段はpGGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUAGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC(配列番号:201)の配列を有する核酸(pLpがライゲーションされなかった場合の副生成物)、下段はpGGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUUAGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC(配列番号:154)の配列を有する核酸(pLpの代わりにpUpがライゲーションされた場合の副生成物)の結果をそれぞれ示す。 図7は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(AsnE2)Lag-CA(LR-6)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はAUULAGpの配列を有する断片、中段はAUUAGpの配列を有する断片、下段はAUUUAGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図8は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lcg-CA(LR-7)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULCGpの配列を有する断片、中段はCCCUCGpの配列を有する断片、下段はCCCUUCGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図9は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)Lau-CA(LR-8)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCULAUACGp(配列番号:202)の配列を有する断片、中段はCCCUAUACGpの配列を有する断片、下段はCCCUUAUACGp(配列番号:203)の配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図10は、実施例10に記載されるように、ライゲーション反応を利用して調製されたtRNA(Glu)(Agm)ag-CA(AR-1)をRNaseで断片化したもののマスクロマトグラムを示す図である。上段はCCCU(Agm)AGpの配列を有する断片、中段はCCCUAGpの配列を有する断片、下段はCCCUUAGpの配列を有する断片の結果をそれぞれ示す。 図11は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはUCU、UCA、UCGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表12を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-1(アンチコドン:aga、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-2(アンチコドン:uga、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-5(アンチコドン:cga、アミノ酸:nBuG)mRNA:mR-1(UCUのコドンを含む) mR-2(UCAのコドンを含む) mR-3(UCGのコドンを含む)(図中)tRNA:化合物AAtR-1(アンチコドン:aga、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-3(アンチコドン:uga、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-5(アンチコドン:cga、アミノ酸:nBuG)mRNA:mR-1(UCUのコドンを含む) mR-2(UCAのコドンを含む) mR-3(UCGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-1(アンチコドン:aga、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-4(アンチコドン:Lga、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-5(アンチコドン:cga、アミノ酸:nBuG)mRNA:mR-1(UCUのコドンを含む) mR-2(UCAのコドンを含む) mR-3(UCGのコドンを含む) 図12は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表13を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-7(アンチコドン:uag、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-8(アンチコドン:Lag、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図13は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはGUU、GUA、GUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表14を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-10(アンチコドン:aac、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-11(アンチコドン:uac、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-13(アンチコドン:cac、アミノ酸:dA)mRNA:mR-7(GUUのコドンを含む) mR-8(GUAのコドンを含む) mR-9(GUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-10(アンチコドン:aac、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-12(アンチコドン:Lac、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-13(アンチコドン:cac、アミノ酸:dA)mRNA:mR-7(GUUのコドンを含む) mR-8(GUAのコドンを含む) mR-9(GUGのコドンを含む) 図14は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはGGU、GGA、GGGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表15を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-14(アンチコドン:gcc、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-15(アンチコドン:ucc、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-17(アンチコドン:ccc、アミノ酸:MeHph)mRNA:mR-10(GGUのコドンを含む) mR-11(GGAのコドンを含む) mR-12(GGGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-14(アンチコドン:gcc、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-16(アンチコドン:Lcc、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-17(アンチコドン:ccc、アミノ酸:MeHph)mRNA:mR-10(GGUのコドンを含む) mR-11(GGAのコドンを含む) mR-12(GGGのコドンを含む) 図15は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表16を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-19(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-20(アンチコドン:uag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-22(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-19(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-21(アンチコドン:Lag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-22(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図16は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表17を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-23(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-24(アンチコドン:uag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-26(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-23(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-25(アンチコドン:Lag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-26(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図17は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表18を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-27(アンチコドン:uag、アミノ酸:MeHph) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-28(アンチコドン:Lag、アミノ酸:MeHph) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図18は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表19を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-29(アンチコドン:uag、アミノ酸:F3Cl) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-30(アンチコドン:Lag、アミノ酸:F3Cl) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図19は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表20を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-31(アンチコドン:uag、アミノ酸:SiPen) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-32(アンチコドン:Lag、アミノ酸:SiPen) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む) 図20は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCGU、CGA、CGGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表21を参照)。tRNA:化合物AAtR-33(アンチコドン:gcg、アミノ酸:dA) 化合物AAtR-34(アンチコドン:Lcg、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-35(アンチコドン:ccg、アミノ酸:nBuG)mRNA:mR-13(CGUのコドンを含む) mR-14(CGAのコドンを含む) mR-15(CGGのコドンを含む) 図21は、実施例12~13に記載されるように、Lysidine修飾による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはAUU、AUA、AUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表22を参照)。tRNA:化合物AAtR-36(アンチコドン:aau、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-37(アンチコドン:Lau、アミノ酸:Pic2) 化合物AAtR-38(アンチコドン:cau、アミノ酸:dA)mRNA:mR-16(AUUのコドンを含む) mR-17(AUAのコドンを含む) mR-18(AUGのコドンを含む) 図22は、実施例12~13に記載されるように、Agmatidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価の結果を示す図である。評価したコドンはCUU、CUA、CUGである。以下に記載のtRNAおよびmRNAのそれぞれの組合せで翻訳を行った場合に得られるペプチドの翻訳量をグラフの縦軸に示す(具体的な測定値は表23を参照)。(図左)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-39(アンチコドン:uag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)(図右)tRNA:化合物AAtR-6(アンチコドン:aag、アミノ酸:nBuG) 化合物AAtR-40(アンチコドン:(Agm)ag、アミノ酸:SPh2Cl) 化合物AAtR-9(アンチコドン:cag、アミノ酸:dA)mRNA:mR-4(CUUのコドンを含む) mR-5(CUAのコドンを含む) mR-6(CUGのコドンを含む)
I.定義
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義が適用され、該当する場合はいつでも、単数形で使用された用語は複数形をも含み、その逆もまた同様である。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではないことが、理解されるべきである。下記の定義のいずれかが、参照により本明細書に組み入れられた任意の文書と矛盾する場合には、下記の定義が優先するものとする。
「コドン」とは、生体内の遺伝情報がタンパク質に翻訳される際の、各アミノ酸に対応する3つのヌクレオシドの組合せ(トリプレット)のことである。DNAの場合は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびチミン(T)の4種類の塩基が用いられ、mRNAの場合は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびウラシル(U)の4種類の塩基が用いられる。各コドンとアミノ酸の対応関係を示した表は遺伝暗号表あるいはコドン表と呼ばれ、終止コドンを除く61種類のコドンに、20種類のアミノ酸が割り当てられている(表1)。表1に記載の遺伝暗号表は、真核生物および原核生物(真正細菌および古細菌)におけるほとんどすべての生物で共通して使用されていることから、標準遺伝暗号表あるいは普遍遺伝暗号表とも呼ばれる。本開示においては、天然に存在する生物で使用されている遺伝暗号表を天然の遺伝暗号表と称し、人工的にリプログラミングされた(コドンとアミノ酸の対応関係が改変された)遺伝暗号表とは区別する。遺伝暗号表においては、通常、1文字目と2文字目が共通で3文字目のみが異なる4つのコドンが一つのボックスにまとめられており、これらをコドンボックスと呼ぶ。
Figure 2023182649000034
本開示において、mRNAにおけるコドンは「M」で表されることがある。ここで、M、M、およびMはそれぞれコドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドを表す。
「アンチコドン」とは、mRNA上のコドンに対応する、tRNA上の3つの連続したヌクレオシドのことである。mRNAと同様に、アンチコドンには、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびウラシル(U)の4種類の塩基が用いられる。さらに、それらを修飾して得られる修飾塩基が用いられることもある。コドンがアンチコドンによって特異的に認識されることによって、mRNA上の遺伝情報が読み取られ、タンパク質に翻訳される。mRNA上の5’から3’方向のコドン配列とtRNA上の5’から3’方向のアンチコドン配列は相補的に結合するため、コドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドと、アンチコドンの3文字目、2文字目、および1文字目のヌクレオシドとの間でそれぞれ相補的な塩基対が形成される。
本開示において、tRNAにおけるアンチコドンは「N」で表されることがある。ここで、N、N、およびNはそれぞれアンチコドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドを表す。後述のtRNAナンバリング則に従うと、N、N、およびNはそれぞれtRNAの34位、35位、および36位に番号付けされる。
本開示においては、熱力学的に安定な塩基対を形成し得るような核酸の組合せを互いに「相補的」であるという。アデノシンとウリジン(A-U)、グアノシンとシチジン(G-C)といったワトソン-クリック型塩基対に加えて、グアノシンとウリジン(G-U)、イノシンとウリジン(I-U)、イノシンとアデノシン(I-A)、イノシンとシチジン(I-C)などの非ワトソン-クリック型塩基対を形成する核酸の組合せも、本開示における「相補的」な核酸の組合せに含まれる。特に、コドンの1文字目とアンチコドンの3文字目、コドンの2文字目とアンチコドンの2文字目の間にはワトソン-クリック型塩基対の形成のみが許容されるのに対し、コドンの3文字目とアンチコドンの1文字目の間には空間的なゆらぎ(wobble)が存在するため、上記のような非ワトソン-クリック型塩基対の形成も許容されると考えられている(ゆらぎ仮説)。
「伝令RNA(messenger RNA;mRNA)」とは、タンパク質に翻訳され得る遺伝情報を持ったRNAのことである。遺伝情報はコドンとしてmRNA上にコードされており、それらが全20種類のアミノ酸にそれぞれ対応している。タンパク質の翻訳は開始コドンから始まり、終止コドンで終了する。真核生物における開始コドンは原則としてAUGであるが、原核生物(真正細菌および古細菌)ではAUGの他にGUGやUUGなども開始コドンとして使用されることがある。AUGはメチオニン(Met)をコードするコドンであり、真核生物および古細菌ではそのままメチオニンから翻訳が開始される。一方、真正細菌では、開始コドンのAUGのみN-ホルミルメチオニン(fMet)に対応しているため、ホルミルメチオニンから翻訳が開始される。終止コドンには、UAA(オーカー)・UAG(アンバー)・UGA(オパール)の3種がある。終止コドンが翻訳終結因子(release factor;RF)と呼ばれるタンパク質によって認識されると、それまでに合成されたペプチド鎖がtRNAから解離し、翻訳工程は終了する。
「転移RNA(transfer RNA;tRNA)」とは、mRNAを鋳型にしたペプチド合成を仲介する100塩基以下の短いRNAのことである。二次構造上は、3つのステムループ(Dアーム、アンチコドンアーム、Tアーム)と1つのステム(アクセプターステム)からなる、クローバー葉状の構造を有している。tRNAによっては、さらに1つの可変ループが含まれることがある。アンチコドンアームには、アンチコドンと呼ばれる3つの連続したヌクレオシドからなる領域が存在し、アンチコドンがmRNA上のコドンと塩基対を形成することによってコドンが認識される。一方、tRNAの3’末端には、シチジン-シチジン-アデノシンからなる核酸配列(CCA配列)が存在し、その末端のアデノシン残基にアミノ酸が付加される(具体的には、アデノシン残基のリボースの2位または3位のヒドロキシル基と、アミノ酸のカルボキシル基がエステル結合する)。アミノ酸が付加したtRNAはアミノアシルtRNAと呼ばれる。本開示においては、アミノアシルtRNAもtRNAの定義に含まれる。また、後述のように、tRNAのCCA配列から末端の2残基(CおよびA)を除去し、それをアミノアシルtRNAの合成に用いる方法が知られている。そのような3’末端のCA配列が除去されたtRNAも、本開示におけるtRNAの定義に含まれる。生体内において、tRNAへのアミノ酸の付加は、アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase;aaRSまたはARS)という酵素によって行われる。通常、アミノ酸ごとに1種類のアミノアシルtRNA合成酵素が存在していて、なおかつそれぞれのアミノアシルtRNA合成酵素が複数のtRNAの中から特定のtRNAのみを基質として特異的に認識することから、tRNAとアミノ酸との対応関係は厳密に制御されている。
tRNAにおける各ヌクレオシドは、tRNAナンバリング則に従って番号付けがなされている(Sprinzl et al.,Nucleic Acids Res(1998)26:148-153)。例えば、アンチコドンは34位~36位に、CCA配列は74~76位にそれぞれ番号付けされている。
「開始tRNA(initiator tRNA)」とは、mRNAの翻訳の開始時に使用される特定のtRNAのことである。開始アミノ酸を結合した開始tRNAが、翻訳開始因子(initiation factor;IF)に触媒されてリボソームに導入され、mRNA上の開始コドンに結合することで、翻訳が始まる。開始コドンとして、一般的にはメチオニンのコドンであるAUGが用いられるため、開始tRNAはAUGに対応するアンチコドンを有しており、また、開始アミノ酸としてメチオニン(原核生物ではホルミルメチオニン)を結合している。開始tRNAの例として、tRNA fMet(配列番号:10、11)を挙げることができる。
「伸長tRNA(elongator tRNA)」とは、翻訳工程におけるペプチド鎖の伸長反応において使用されるtRNAのことである。ペプチド合成においては、アミノ酸を結合した伸長tRNAが、GTP化された翻訳伸長因子(elongation factor;EF)EF-Tu/eEF-1によりリボソームに順次運ばれることによって、ペプチド鎖の伸長反応が進行する。伸長tRNAの例として、各種アミノ酸に対応したtRNA(配列番号:1~9、12~50)を挙げることができる。
「ライシジン(lysidine)」は修飾ヌクレオシドの一種で、2-リジルシチジン(2-lysylcytidine;k2CあるいはL)とも表記される。ライシジンは、真正細菌におけるイソロイシンに対応したtRNA(tRNA Ile2)において、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドとして用いられている。tRNA Ile2は、CAUのアンチコドンをもった前駆体の状態で合成された後、tRNA Ile-ライシジン合成酵素(tRNA Ile-lysidine synthetase;TilS)と呼ばれる酵素の作用により、アンチコドンの1文字目のシチジン(C)がライシジン(k2C)に改変(変換)される。その結果、k2CAUのアンチコドンをもったtRNA Ile2が完成する(Muramatsu et al.,J Biol Chem(1988)263:9261-9267、Suzuki et al.,FEBS Lett(2010)584:272-277)。k2CAUのアンチコドンは、イソロイシンのコドンAUAのみを特異的に認識することが知られている。また、アンチコドンがk2CAUに改変されることによって初めて、イソロイシルtRNA合成酵素によりtRNA Ile2が基質として認識され、tRNA Ile2のアミノアシル化(イソロイシンの付加)が起きると考えられている。大腸菌のTilSのアミノ酸配列を配列番号:51に示す。
「アグマチジン(agmatidine)」は修飾ヌクレオシドの一種で、2-アグマチニルシチジン(2-agmatinylcytidine;agm2CあるいはAgm)とも表記される。アグマチジンは、古細菌におけるイソロイシンに対応したtRNA(tRNA Ile2)において、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドとして用いられている。tRNA Ile2は、CAUのアンチコドンをもった前駆体の状態で合成された後、tRNA Ile-アグマチジン合成酵素(tRNA Ile-agmatidine synthetase;TiaS)と呼ばれる酵素の作用により、アンチコドンの1文字目のシチジン(C)がアグマチジン(agm2C)に改変(変換)される。その結果、agm2CAUのアンチコドンをもったtRNA Ile2が完成する(Ikeuchi et al.,Nat Chem Biol(2010)6(4):277-282)。agm2CAUのアンチコドンは、イソロイシンのコドンAUAのみを特異的に認識することが知られている。また、アンチコドンがagm2CAUに改変されることによって初めて、イソロイシルtRNA合成酵素によりtRNA Ile2が基質として認識され、tRNA Ile2のアミノアシル化(イソロイシンの付加)が起きると考えられている。古細菌Methanosarcina acetivoransのTiaSのアミノ酸配列を配列番号:52に示す。
<置換基等の定義>
本開示において「アルキル」とは、脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される1価の基であり、骨格中にヘテロ原子または不飽和の炭素-炭素結合を含有せず、水素および炭素原子を含有するヒドロカルビルまたは炭化水素基構造の部分集合を有する。炭素鎖の長さnは1~20個の範囲であり、アルキルとしては、例えばC-C10アルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキルなどが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、t-ブチル、sec-ブチル、1-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、イソペンチル、ネオペンチルなどが挙げられる。
本開示において「シクロアルキル」とは、飽和または部分的に飽和した環状の1価の脂肪族炭化水素基を意味し、単環、ビシクロ環、スピロ環を含む。シクロアルキルとしては、例えばC-C10シクロアルキルが挙げられ、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどが挙げられる。
本開示において「アルケニル」とは、少なくとも1個の二重結合(2個の隣接SP2炭素原子)を有する1価の基である。二重結合および置換分(存在する場合)の配置によって、二重結合の幾何学的形態は、エントゲーゲン(E)またはツザンメン(Z)、シスまたはトランス配置をとることができる。直鎖状または分枝鎖状のアルケニルが挙げられ、内部オレフィンを含む直鎖などを含む。アルケニルとしては、例えばC-C10アルケニル、C-Cアルケニルなどが挙げられ、具体的には、ビニル、アリル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル(シス、トランスを含む)、3-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
本開示において「アルキニル」とは、少なくとも1個の三重結合(2個の隣接SP炭素原子)を有する、1価の基である。直鎖状または分枝鎖状のアルキニルが挙げられ、内部アルキレンを含む。アルキニルとしては、例えばC-C10アルキニル、C-Cアルキニルなどが挙げられ、具体的には、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、3-フェニル-2-プロピニル、3-(2’-フルオロフェニル)-2-プロピニル、2-ヒドロキシ-2-プロピニル、3-(3-フルオロフェニル)-2-プロピニル、3-メチル-(5-フェニル)-4-ペンチニルなどが挙げられる。
本開示において「アリール」とは、1価の芳香族炭化水素環を意味する。アリールとしては、例えばC-C10アリールが挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル(例えば、1-ナフチル、2-ナフチル)などが挙げられる。
本開示において「ヘテロアリール」とは、環を構成する原子中にヘテロ原子を含有する芳香族性の環の1価の基を意味し、部分的に飽和されていてもよい。環は単環、または2個の縮合環(例えば、ベンゼンまたは単環へテロアリールと縮合した2環式ヘテロアリール)であってもよい。環を構成する原子の数は例えば5-10個である(5員-10員ヘテロアリール)。環を構成する原子中に含まれるヘテロ原子の数は例えば1-5個である。ヘテロアリールとしては、具体的には、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、インドリジニル、イミダゾピリジルなどが挙げられる。
本開示において「アリールアルキル(アラルキル)」とは、アリールとアルキルを共に含む基であり、例えば、前記アルキルの少なくとも一つの水素原子がアリールで置換された基を意味する。アラルキルとしては、例えばC-C10アリールC-Cアルキル」が挙げられ、具体的には、ベンジルなどが挙げられる。
本開示において「アルキレン」とは、前記「アルキル」からさらに任意の水素原子を1個除いて誘導される二価の基を意味し、直鎖状のものでも分枝鎖状のものでもよい。直鎖アルキレンとしては、C-C直鎖アルキレン、C-C直鎖アルキレンなどが挙げられ、具体的には、-CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-などが挙げられる。分岐アルキレンとしては、C-C分岐アルキレン、C-C分岐アルキレンなどが挙げられ、具体的には、-CH(CH)CH-、-C(CH-、-CH(CH)CHCH-、-C(CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHC(CH-、-CHCHCH(CH)-などが挙げられる。
本開示において「アルケニレン」は、前記「アルケニル」からさらに任意の水素原子を1個除いて誘導される二価の基を意味し、直鎖状のものでも分枝鎖状のものでもよい。二重結合および置換基(存在する場合)の配置によって、エントゲーゲン(E)またはツザンメン(Z)、シスまたはトランス配置をとることができる。直鎖アルケニレンとしては、C-C直鎖アルケニレン、C-C直鎖アルケニレンなどが挙げられ、具体的には、-CH=CH-、-CH=CHCH-、-CHCH=CH-、-CH=CHCHCH-、-CHCH=CHCH-、-CHCHCH=CH-、-CH=CHCHCHCH-、-CHCH=CHCHCH-、-CHCHCH=CHCH-、-CHCHCHCH=CH-などが挙げられる。
本開示において「アリーレン」とは、前記アリールからさらに任意の水素原子を1個除いて誘導される2価の基を意味する。環は単環でも縮合環でもよい。環を構成する原子の数は特に限定されないが、例えば6-10個である(C-C10アリーレン)。アリーレンとしては、具体的には、フェニレン、ナフチレンなどが挙げられる。
本開示において「ヘテロアリーレン」とは、前記ヘテロアリールからさらに任意の水素原子を1個除いて誘導される2価の基を意味する。環は単環でも縮合環でもよい。環を構成する原子の数は特に限定されないが、例えば5-10個である(5員~10員ヘテロアリーレン)。ヘテロアリーレンとしては、具体的には、ピロールジイル、イミダゾールジイル、ピラゾールジイル、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、トリアゾールジイル、トリアジンジイル、イソオキサゾールジイル、オキサゾールジイル、オキサジアゾールジイル、イソチアゾールジイル、チアゾールジイル、チアジアゾールジイル、フランジイル、チオフェンジイルなどが挙げられる。
本開示における「翻訳系」とは、ペプチドを翻訳するための方法およびペプチドを翻訳するためのキットの両方を含む概念として定義される。翻訳系には、通常、リボソーム、翻訳因子、tRNA、アミノ酸、アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)、及びATPやGTPなどのペプチドの翻訳反応に必要な因子が構成成分として含まれる。翻訳系の主な種類としては、生細胞を利用した翻訳系や、細胞抽出液を利用した翻訳系(無細胞翻訳系)がある。生細胞を利用した翻訳系としては、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞や哺乳動物細胞などの生細胞に、所望のアミノアシルtRNAおよびmRNAをマイクロインジェクション法やリポフェクション法により導入してペプチド翻訳を行う系が知られている(Nowak et al.,Science(1995)268:439-442)。無細胞翻訳系の例としては、大腸菌(Chen et al.,Methods Enzymol(1983)101:674-690)、酵母(Gasior et al.,J Biol Chem(1979)254:3965-3969)、小麦胚芽(Erickson et al.,Methods Enzymol(1983)96:38-50)、ウサギ網状赤血球(Jackson et al.,Methods Enzymol(1983)96:50-74)、HeLa細胞(Barton et al.,Methods Enzymol(1996)275:35-57)、あるいは昆虫細胞(Swerdel et al.,Comp Biochem Physiol B(1989)93:803-806)などからの抽出液を利用した翻訳系が知られている。このような翻訳系は、当業者に公知の方法またはそれに準ずる方法によって適宜調製することができる。無細胞翻訳系には、ペプチド翻訳に必要な因子をそれぞれ単離・精製して、それらを再構成して構築された翻訳系(再構成型の無細胞翻訳系)も含まれる(Shimizu et al.,Nat Biotech(2001)19:751-755)。再構成型の無細胞翻訳系には、通常、リボソーム、アミノ酸、tRNA、アミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)、翻訳開始因子(例えば、IF1、IF2、IF3)、翻訳伸長因子(例えばEF-Tu、EF-Ts、EF-G)、翻訳終結因子(例えばRF1、RF2、RF3)、リボソーム再生因子(ribosome recycling factor;RRF)、エネルギー源としてのNTP類、エネルギー再生系、および翻訳に必要なその他の因子などが含まれ得る。DNAからの転写反応を併せて行う場合は、さらにRNAポリメラーゼなどが含まれ得る。無細胞翻訳系に含まれる種々の因子は、当業者に周知の方法によって単離・精製することが可能であり、それらを用いて再構成型の無細胞翻訳系を適宜構築することができる。あるいは、ジーンフロンティア社のPUREfrex(登録商標)や、New England BioLabs社のPURExpress(登録商標)などの市販されている再構成型の無細胞翻訳系を利用することもできる。再構成型の無細胞翻訳系の場合、翻訳系の構成成分のうち必要な成分だけを再構成して、所望の翻訳系を構築することができる。
アミノ酸・tRNA・アミノアシルtRNA合成酵素の特異的な組合せにより、アミノアシルtRNAが合成され、それがペプチドの翻訳に用いられる。上記の組合せの代わりに、アミノアシルtRNAをそのまま翻訳系の構成成分として用いることもできる。特に、非天然アミノ酸など、アミノアシルtRNA合成酵素でアミノアシル化することが困難なアミノ酸が翻訳に用いられる場合は、あらかじめ非天然アミノ酸でアミノアシル化されたtRNAを構成成分として用いることが望ましい。
翻訳系にmRNAを加えることによって、その翻訳が開始される。mRNAには、通常、目的のペプチドをコードする配列が含まれており、さらに、翻訳反応の効率を上昇させるための配列(例えば、原核生物におけるシャイン・ダルガーノ(Shine-Dalgarno;SD)配列、真核生物におけるコザック(Kozac)配列など)が含まれていてもよい。あらかじめ転写されたmRNAを系に直接加えてもよいし、mRNAの代わりに、プロモーターを含む鋳型DNAとそれに適したRNAポリメラーゼ(例えばT7プロモーターとT7 RNAポリメラーゼなど)を系に加えることによって、mRNAが鋳型DNAから転写されるようにしてもよい。
II.組成物および方法
<変異tRNA>
一局面において、本開示は、改変されたtRNAを提供する。具体的には、本発明は、tRNAを改変することにより作製されている変異tRNAを提供する。改変されるtRNAは、任意の生物(例えば大腸菌など)に由来する天然tRNAであってもよいし、または天然tRNAとは異なる配列を人工的に合成した非天然tRNAであってもよい。あるいは、天然tRNAと同じ配列を人工的に合成したtRNAであってもよい。本開示においてtRNAに導入される改変はいずれも人工的な改変であって、当該改変により作製される変異tRNAはいずれも天然には存在しない核酸配列を有していることを特徴とする。
いくつかの態様において、本開示におけるtRNAの改変とは、tRNAを構成する1つ以上のヌクレオシドに対して、以下の群から選択される少なくとも1種類以上の改変を導入することを意味する:(i)付加(既存のtRNAに任意の新たなヌクレオシドを付け足すこと)、(ii)欠失(既存のtRNAから任意のヌクレオシドを削除すること)、(iii)置換(既存のtRNAにおける任意のヌクレオシドを別の任意のヌクレオシドに置き換えること)、(iv)挿入(既存のtRNAにおける任意の2つのヌクレオシドの間に新たな任意のヌクレオシドを追加すること)、(v)修飾(既存のtRNAにおける任意のヌクレオシドの構造の一部(例えば塩基部分や糖部分)を別の構造に変化させること)。改変はtRNAのどの構造(例えばDアーム、アンチコドンアーム、Tアーム、アクセプターステム、可変ループなど)に対して行われてもよい。特定の態様において、本開示におけるtRNAの改変は、アンチコドンアームに含まれるアンチコドンに対して行われる。さらなる態様において、本開示におけるtRNAの改変は、アンチコドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドのうちの少なくとも1つに対して行われる。tRNAにおけるヌクレオシドのナンバリング則に従うと、アンチコドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドは、それぞれtRNAの34位、35位、および36位に該当する。本明細書においては、アンチコドンの1文字目、2文字目、および3文字目のヌクレオシドをそれぞれN、N、およびNと表現することがある。特定の態様において、本開示におけるtRNAの改変は、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドに対して行われる改変を含む。本開示のtRNAにおいて改変されるヌクレオシドの数は1以上の任意の数であることができる。いくつかの態様において、本開示のtRNAにおいて改変されるヌクレオシドの数は、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、あるいは1である。別の態様において、改変後のtRNAの核酸配列は、改変前の核酸配列と比べて、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、あるいは99%以上同一である。
特定の態様において、本開示におけるtRNAの改変とは、tRNAを構成する1つ以上のヌクレオシドを置換することを意味する。ヌクレオシドの種類に関して、置換された後のヌクレオシドは、天然tRNA中に存在するいずれかのヌクレオシドであってもよいし、天然tRNA中には存在しない任意のヌクレオシド(人工的に合成されたヌクレオシド)であってもよい。天然tRNA中には、4つの典型的なヌクレオシドであるアデノシン、グアノシン、シチジンおよびウリジンの他に、それらを修飾して得られる改変体(修飾ヌクレオシド)も含まれている。いくつかの態様において、天然tRNA中に存在するヌクレオシドは、以下のヌクレオシドの中から選択され得る:アデノシン(adenosine;A)、シチジン(cytidine;C)、グアノシン(guanosine;G)、ウリジン(uridine;U)、1-メチルアデノシン(1-methyladenosine;m1A)、2-メチルアデノシン(2-methyladenisine;m2A)、N6-イソペンテニルアデノシン(N6-isopentenyladenosine;i6A)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン(2-methylthio-N6-isopentenyladenosine;ms2i6A)、N6-メチルアデノシン(N6-methyladenosine;m6A)、N6-トレオニルカルバモイルアデノシン(N6-threonylcarbamoyladenosine;t6A)、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン(N6-methyl-N6-threonylcarbamoyladenosine;m6t6A)、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン(2-methylthio-N6-threonylcarbamoyladenosine;ms2t6A)、2’-O-メチルアデノシン(2’-O-methyladenosine;Am)、イノシン(inosine;I)、1-メチルイノシン(1-methylinosine;m1I)、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸塩)(2’-O-ribosyladenosine(phosphate);Ar(p))、N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(N6-(cis-hydroxyisopentenyl)adenosine;io6A)、2-チオシチジン(2-thiocytidine;s2C)、2’-O-メチルシチジン(2’-O-methylcytidine;Cm)、N4-アセチルシチジン(N4-acetylcytidine;ac4C)、5-メチルシチジン(5-methylcytidine;m5C)、3-メチルシチジン(3-methylcytidine;m3C)、ライシジン(lysidine;k2C)、5-ホルミルシチジン(5-formylcytidine;f5C)、2’-O-メチル-5-ホルミルシチジン(2’-O-methyl-5-formylcytidine;f5Cm)、アグマチジン(agmatidine;agm2C)、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸塩)(2’-O-ribosylguanosine(phosphate);Gr(p))、1-メチルグアノシン(1-methylguanosine;m1G)、N2-メチルグアノシン(N2-methylguanosine;m2G)、2’-O-メチルグアノシン(2’-O-methylguanosine;Gm)、N2,N2-ジメチルグアノシン(N2,N2-dimethylguanosine;m22G)、N2,N2,2’-O-トリメチルグアノシン(N2,N2,2’-O-trimethylguanosine;m22Gm)、7-メチルグアノシン(7-methylguanosine;m7G)、アーキオシン(archaeosine;G*)、キューオシン(queuosine;Q)、マンノシルキューオシン(mannosylqueuosine;manQ)、ガラクトシルキューオシン(galactosylqueuosine;galQ)、ワイブトシン(wybutosine;yW)、ペルオキシワイブトシン(peroxywybutosine;o2yW)、5-メチルアミノメチルウリジン(5-methylaminomethyluridine;mnm5U)、2-チオウリジン(2-thiouridine;s2U)、2’-O-メチルウリジン(2’-O-methyluridine;Um)、4-チオウリジン(4-thiouridine;s4U)、5-カルバモイルメチルウリジン(5-carbamoylmethyluridine;ncm5U)、5-メトキシカルボニルメチルウリジン(5-methoxycarbonylmethyluridine;mcm5U)、5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン(5-methylaminomethyl-2-thiouridine;mnm5s2U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン(5-methoxycarbonylmethyl-2-thiouridine;mcm5s2U)、ウリジン5-オキシ酢酸(uridine 5-oxyacetic acid;cmo5U)、5-メトキシウリジン(5-methoxyuridine;mo5U)、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン(5-carboxymethylaminomethyluridine;cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン(5-carboxymethylaminomethyl-2-thiouridine;cmnm5s2U)、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(3-(3-amino-3-carboxypropyl)uridine;acp3U)、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル(5-(carboxyhydroxymethyl)uridinemethyl ester;mchm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチルウリジン(5-carboxymethylaminomethyl-2’-O-methyluridine;cmnm5Um)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチルウリジン(5-carbamoylmethyl-2’-O-methyluridine;ncm5Um)、ジヒドロウリジン(dihydrouridine;D)、シュードウリジン(pseudouridine;Ψ)、1-メチルシュードウリジン(1-methylpseudouridine;m1Ψ)、2’-O-メチルシュードウリジン(2’-O-methylpseudouridine;Ψm)、5-メチルウリジン(5-methyluridine;m5U)、5-メチル-2-チオウリジン(5-methyl-2-thiouridine;m5s2U)、5,2’-O-ジメチルウリジン(5,2’-O-dimethyluridine;m5Um)。特定の態様において、本開示のtRNAを構成する1つ以上のヌクレオシドが、ライシジンまたはアグマチジンに置換される。上述の天然tRNA中に存在するヌクレオシドの構造の一部(例えば塩基部分)を修飾して得られたヌクレオシド誘導体も置換に用いることができる。特定の態様において、本開示のtRNAを構成する1つ以上のヌクレオシドが、ライシジン誘導体またはアグマチジン誘導体に置換される。
本開示において改変されるtRNAは、任意の核酸配列を有するtRNAの中から適宜選択することができる。いくつかの態様において、tRNAはtRNA Ala、tRNA Arg、tRNA Asn、tRNA Asp、tRNA Cys、tRNA Gln、tRNA Glu、tRNA Gly、tRNA His、tRNA Ile、tRNA Leu、tRNA Lys、tRNA Met、tRNA Phe、tRNA Pro、tRNA Ser、tRNA Thr、tRNA Trp、tRNA Tyr、tRNA Valのいずれかである。上記の20種類のtRNA以外もに、tRNA fMetやtRNA Sec(セレノシステイン)、tRNA Pyl(ピロリシン)、tRNA AsnE2なども用い得る。特定の態様において、tRNAはtRNA Glu、tRNA Asp、tRNA AsnE2のいずれかである。いくつかのtRNAについて、例示的な核酸配列を配列番号:1~50に示す。tRNAの本体部分(核酸で構成された主要な構造部分)を指してtRNA bodyとの用語が用いられることもある。
なお、本開示において、tRNAは以下のように表記されることがある。
・「tRNA Xxx」あるいは「tRNA(Xxx)」・・・アミノ酸Xxxに対応したtRNA(全長)を示す(例えばtRNA GluやtRNA(Glu)など)。
・「tRNA(Xxx)nnn」・・・アミノ酸Xxxに対応したtRNAであって、アンチコドン配列がnnnであるtRNA(全長)を示す(例えばtRNA(Glu)ugaやtRNA(Glu)Lgaなど)。
・「tRNA(Xxx)nnn-CA」・・・アミノ酸Xxxに対応したtRNAであって、アンチコドン配列がnnnであるtRNA(3’末端のCA配列が除去されたもの)を示す(例えばtRNA(Glu)uga-CAやtRNA(Glu)Lga-CAなど)。
特定の態様において、本開示におけるtRNAの改変は、アンチコドンの1文字目のヌクレオシド(N)をライシジン、ライシジン誘導体、アグマチジン、またはアグマチジン誘導体のいずれかに置換する改変を含む。ここで、ライシジン誘導体とは、ライシジンの構造の一部(例えば塩基部分)に修飾を加えて作製されている分子であって、アンチコドンの一部として用いられた場合に、ライシジンと同等のコドン識別能(相補的塩基対の形成能)を有している分子を意味する。また、アグマチジン誘導体とは、アグマチジンの構造の一部(例えば塩基部分)に修飾を加えて作製されている分子であって、アンチコドンの一部として用いられた場合に、アグマチジンと同等のコドン識別能(相補的塩基対の形成能)を有している分子を意味する。
天然tRNAにおけるライシジンは、tRNA Ile-ライシジン合成酵素(tRNA Ile-lysidine synthetase;TilS)と呼ばれる酵素の作用により合成される。TilSは、イソロイシンに対応したtRNA(tRNA Ile2)を基質として特異的に認識し、そのアンチコドンの1文字目(N)におけるシチジン(C)をライシジン(k2C)に改変(変換)する活性を有している。本開示のtRNAにおけるライシジンは、TilSを介して合成されたものであってもよいし、TilSを介さずに合成されたものであってもよい。
前者の場合(ライシジンがTilSを介して合成されたものである場合)、本開示のtRNAは、TilSによって基質として認識され得る。すなわち、当該tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンはTilSによってライシジンに改変され得る。あるtRNAのNにおけるシチジンがTilSによってライシジンに改変され得るか否かは、例えば遺伝子組み換え手法によりTilSを調製し、または生物学的材料からTilSを抽出し、それをNがシチジンであるtRNAと適切な条件下で反応させた後、反応産物中におけるライシジンを検出することで確認することができる(例えば、Suzuki et al.,FEBS Lett(2010)584:272-277などを参照のこと)。あるいは、TilSを内在的に発現する細胞に、またはTilSを遺伝子組み換え手法により発現させた細胞に、NがシチジンであるtRNAを導入して、細胞内のTilSと適切な条件下で反応させた後、当該tRNAに含まれるライシジンを検出することでも確認することができる。本開示の一態様において、tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンからライシジンへの改変がTilSによって触媒され得る。
一方、後者の場合(ライシジンがTilSを介さずに合成されたものである場合)、本開示のtRNAは、TilSによって基質として認識され得ない。すなわち、当該tRNAにおける改変前のNがシチジンであったとしても、当該シチジンはTilSによってライシジンに改変され得ない。その場合、ライシジンおよびそれを含むtRNAは、TilSを用いない方法(例えば、化学的な合成法)によって合成することができる。後述の実施例には、そのような合成法の一例が示されている。本開示の一態様において、tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンからライシジンへの改変がTilSでは触媒され得ない。シチジンからライシジンへの改変がTilSでは触媒され得ない状態とは、例えば、100mM Hepes-KOH(pH8.0),10mM KCl,10mM MgCl,2mM DTT,2mM ATP,100μM Lysine中で10μg/mL TilSと1μMのtRNAを37℃で2時間反応させたときに、天然の基質であるtRNA Ile2のシチジンをライシジンに改変する活性を1とした場合、TilSが対象tRNAのシチジンをライシジンに改変する活性がそれより10倍以上、20倍以上、40倍以上、100倍以上、200倍以上、あるいは400倍以上低下している状態として表現することができる。TilSによる触媒活性が低下している場合、結果的にNがシチジンのままの未改変tRNAを多く含むような低純度の目的物しか得られないため、TilSを用いた方法でライシジンを合成するよりも、TilSを用いない方法(例えば、化学的な合成法)でライシジンを合成する方が有利であると考えられる。特定の態様において、TilSは大腸菌由来のTilSである。さらなる態様において、TilSは配列番号:51のアミノ酸配列を有する大腸菌由来の野生型のTilSである。
また、TilSは、tRNA Ile2における一部のヌクレオシドが他のヌクレオシドに改変された後のtRNAに対しても、ある程度のライシジン合成能を維持していることが報告されている(Ikeuchi et al.,Mol Cell(2005)19:235-246)。
天然tRNAにおけるアグマチジンは、tRNA Ile-アグマチジン合成酵素(tRNA Ile-agmatidine synthetase;TiaS)と呼ばれる酵素の作用により合成される。TiaSは、イソロイシンに対応したtRNA(tRNA Ile2)を基質として特異的に認識し、そのアンチコドンの1文字目(N)におけるシチジン(C)をアグマチジン(agm2C)に改変(変換)する活性を有している。本開示のtRNAにおけるアグマチジンは、TiaSを介して合成されたものであってもよいし、TiaSを介さずに合成されたものであってもよい。
前者の場合(アグマチジンがTiaSを介して合成されたものである場合)、本開示のtRNAは、TiaSによって基質として認識され得る。すなわち、当該tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンはTiaSによってアグマチジンに改変され得る。あるtRNAのNにおけるシチジンがTiaSによってアグマチジンに改変され得るか否かは、例えば遺伝子組み換え手法によりTiaSを調製し、または生物学的材料からTiaSを抽出し、それをNがシチジンであるtRNAと適切な条件下で反応させた後、反応産物中におけるアグマチジンを検出することで確認することができる(例えば、Ikeuchi et al.,Nat Chem Biol(2010)6(4):277-282などを参照のこと)。あるいは、TiaSを内在的に発現する細胞に、またはTiaSを遺伝子組み換え手法により発現させた細胞に、NがシチジンであるtRNAを導入して、細胞内のTiaSと適切な条件下で反応させた後、当該tRNAに含まれるアグマチジンを検出することでも確認することができる。本開示の一態様において、tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンからアグマチジンへの改変がTiaSによって触媒され得る。
一方、後者の場合(アグマチジンがTiaSを介さずに合成されたものである場合)、本開示のtRNAは、TiaSによって基質として認識され得ない。すなわち、当該tRNAにおける改変前のNがシチジンであったとしても、当該シチジンはTiaSによってアグマチジンに改変され得ない。その場合、アグマチジンおよびそれを含むtRNAは、TiaSを用いない方法(例えば、化学的な合成法)によって合成することができる。本開示の一態様において、tRNAにおける改変前のNがシチジンであった場合、当該シチジンからアグマチジンへの改変がTiaSでは触媒され得ない。シチジンからアグマチジンへの改変がTiaSでは触媒され得ない状態とは、例えば、TiaSが天然の基質であるtRNA Ile2のシチジンをアグマチジンに改変する活性を1とした場合、TiaSが対象tRNAのシチジンをアグマチジンに改変する活性がそれより10倍以上、20倍以上、40倍以上、100倍以上、200倍以上、あるいは400倍以上低下している状態として表現することができる。TiaSによる触媒活性が低下している場合、結果的にNがシチジンのままの未改変tRNAを多く含むような低純度の目的物しか得られないため、TiaSを用いた方法でアグマチジンを合成するよりも、TiaSを用いない方法(例えば、化学的な合成法)でアグマチジンを合成する方が有利であると考えられる。特定の態様において、TiaSは古細菌由来のTiaSである。さらなる態様において、TiaSは配列番号:52のアミノ酸配列を有する古細菌Methanosarcina acetivorans由来の野生型のTiaSである。
また、TiaSは、tRNA Ile2における一部のヌクレオシドが他のヌクレオシドに改変された後のtRNAに対しても、ある程度のアグマチジン合成能を維持していることが報告されている(Osawa et al.,Nat Struct Mol Biol(2011)18:1275-1280)。
いくつかの態様において、本開示の変異tRNAは、開始tRNAまたは伸長tRNAである。開始tRNAまたは伸長tRNAを改変することによって変異tRNAを作製してもよいし、改変により作製された変異tRNAが開始tRNAまたは伸長tRNAとしての機能を有していてもよい。あるtRNAが開始tRNAとしての機能を有しているか否かは、当該tRNAを翻訳系で用いた場合に、(i)IF2を介してリボソームに導入され、なおかつ(ii)当該tRNAに結合しているアミノ酸を開始アミノ酸として用いて、ペプチド翻訳を開始させることができるか否かによって判断することができる。また、あるtRNAが伸長tRNAとしての機能を有しているか否かは、当該tRNAを翻訳系で用いた場合に、(i)EF-Tuを介してリボソームに導入され、なおかつ(ii)当該tRNAに結合しているアミノ酸をペプチド鎖に取り込ませて、ペプチド鎖を伸長させることができるか否かによって判断することができる。
いくつかの態様において、本開示の変異tRNAは、原核生物由来のtRNAまたは真核生物由来のtRNAである。原核生物由来のtRNAまたは真核生物由来のtRNAを改変することによって変異tRNAを作製してもよいし、改変により作製された変異tRNAが、原核生物由来のtRNAまたは真核生物由来のtRNAと最も高い核酸配列同一性を有していてもよい。真核生物はさらに動物、植物、菌類および原生生物に分類される。本開示の変異tRNAは、例えばヒト由来のtRNAであってもよい。原核生物は、さらに真正細菌と古細菌に分類される。真正細菌としては、例えば大腸菌、枯草菌、乳酸菌、またはDesulfitobacterium hafnienseなどを挙げることができる。古細菌としては、例えば高度好塩菌、好熱菌、またはメタン菌(例えばMethanosarcina mazei,Methanosarcina barkeri,Methanocaldococcus jannaschii)などを挙げることができる。本開示の変異tRNAは、例えば大腸菌やDesulfitobacterium hafniense、Methanosarcina mazei由来のtRNAであってもよい。
いくつかの態様において、本開示の変異tRNAは、MAで表されるコドンを翻訳することができる。ここで、コドンの1文字目のヌクレオシド(M)および2文字目のヌクレオシド(M)は、それぞれ独立にアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)のいずれかから選択され、なおかつ3文字目のヌクレオシドはアデノシンである。別の態様において、本開示の変異tRNAは、MAで表される特定のコドンに相補的なアンチコドンを有する。特定の態様において、本開示の変異tRNAは、k2CNまたはagm2CNで表されるアンチコドンを有する。ここで、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドはライシジン(k2C)またはアグマチジン(agm2C)であり、なおかつ2文字目のヌクレオシド(N)および3文字目のヌクレオシド(N)はそれぞれ上述のMおよびMに相補的なヌクレオシドである。ライシジンおよびアグマチジンは、いずれもアデノシンに相補的に結合するヌクレオシドとして知られている。さらなる態様において、NおよびNは、それぞれ独立にアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)のいずれかから選択され得る。具体的には、M(またはM)がアデノシンのとき、N(またはN)はウリジンである。M(またはM)がグアノシンのとき、N(またはN)はシチジンである。M(またはM)がシチジンのとき、N(またはN)はグアノシンである。M(またはM)がウリジンのとき、N(またはN)はアデノシンである。
本開示の文脈において、「あるtRNAが特定のコドンを翻訳可能である」との態様は、「あるtRNAが特定のコドンに相補的なアンチコドンを有している」との態様を本質的に内包するものであり、当該tRNA上のアンチコドンの配列について言及する限りにおいて、これらの表現は置き換えが可能である。
本開示の変異tRNAが翻訳可能なコドンの1文字目のヌクレオシド(M)および2文字目のヌクレオシド(M)は、遺伝暗号表における特定のコドンボックスを構成するコドンの1文字目のヌクレオシド(M)および2文字目のヌクレオシド(M)からそれぞれ選択することができる。特定の態様において、遺伝暗号表は標準遺伝暗号表である。別の態様において、遺伝暗号表は天然の遺伝暗号表である。
一態様において、MおよびMは、3文字目がAであるコドンとGであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。一例として、コドンがUUNで表されるコドンボックスにおいては、3文字目がAであるコドン(UUA)とGであるコドン(UUG)がともに同じアミノ酸(Leu)をコードしているので、同コドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
一態様において、MおよびMは、3文字目がUであるコドンとAであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。一例として、コドンがAUNで表されるコドンボックスにおいては、3文字目がUであるコドン(AUU)とAであるコドン(AUA)がともに同じアミノ酸(Ile)をコードしているので、同コドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
一態様において、MおよびMは、3文字目がUであるコドン、Cであるコドン、Aであるコドン、およびGであるコドンがいずれも同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。一例として、コドンがUCNで表されるコドンボックスにおいては、3文字目がUであるコドン(UCU)、Cであるコドン(UCC)、Aであるコドン(UCA)、およびGであるコドン(UCG)がいずれも同じアミノ酸(Ser)をコードしているので、同コドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(C)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
一態様において、MおよびMは、3文字目がAであるコドンとGであるコドンが互いに異なるアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。一例として、コドンがAUNで表されるコドンボックスにおいては、3文字目がAであるコドン(AUA)とGであるコドン(AUG)が互いに異なるアミノ酸(IleとMet)をコードしているので、同コドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
一態様において、MおよびMは、3文字目がAであるコドンおよび/またはGであるコドンが終止コドンであるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。一例として、コドンがUGNで表されるコドンボックスにおいては、3文字目がAであるコドン(UGA)が終止コドン(オパール)であるので、同コドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(G)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがUUNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがUCNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(C)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがUANで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(A)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがUGNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(G)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがCUNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがCCNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(C)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがCANで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(A)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがCGNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(G)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがAUNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがACNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(C)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがAANで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(A)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがAGNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(G)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがGUNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(U)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがGCNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(C)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがGANで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(A)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
さらなる態様において、MおよびMは、コドンがGGNで表されるコドンボックスを構成するコドンのMおよびMからそれぞれ選択され得る。具体的には、当該コドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(G)をそれぞれMおよびMとして選択することができる。
本開示の変異tRNAにおけるアンチコドンの3文字目のヌクレオシド(N)および2文字目のヌクレオシド(N)は、MおよびMとそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがUUNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(U)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてAを、NとしてAをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがUCNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(C)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてAを、NとしてGをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがUANで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(A)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてAを、NとしてUをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがUGNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(U)および2文字目のヌクレオシド(G)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてAを、NとしてCをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがCUNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(U)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてGを、NとしてAをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがCCNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(C)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてGを、NとしてGをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがCANで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(A)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてGを、NとしてUをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがCGNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(C)および2文字目のヌクレオシド(G)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてGを、NとしてCをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがAUNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(U)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてUを、NとしてAをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがACNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(C)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてUを、NとしてGをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがAANで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(A)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてUを、NとしてUをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがAGNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(A)および2文字目のヌクレオシド(G)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてUを、NとしてCをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがGUNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(U)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてCを、NとしてAをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがGCNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(C)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてCを、NとしてGをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがGANで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(A)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてCを、NとしてUをそれぞれ選択することができる。
一態様において、NおよびNは、コドンがGGNで表されるコドンボックスを構成するコドンにおける1文字目のヌクレオシド(G)および2文字目のヌクレオシド(G)とそれぞれ相補的なヌクレオシドとして選択され得る。具体的には、NとしてCを、NとしてCをそれぞれ選択することができる。
いくつかの態様において、本開示の変異tRNAにはアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している。アミノ酸またはアミノ酸類縁体は、通常、tRNAの3’末端に、より具体的には、3’末端のCCA配列のアデノシン残基に結合している。変異tRNAに結合しているアミノ酸またはアミノ酸類縁体の具体的な種類は、以下の記載のアミノ酸またはアミノ酸類縁体の中からそれぞれ適宜選択することができる、
本開示におけるアミノ酸には、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸などが含まれる。立体構造としては、L型アミノ酸、D型アミノ酸のいずれも含まれる。また、本開示におけるアミノ酸は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸を含む。特定の態様において、天然アミノ酸は、以下の20種類のα-アミノ酸:グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、ヒスチジン(His)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、およびプロリン(Pro)からなる。あるいは、上述の20種類のアミノ酸から、任意の1種類以上のアミノ酸を除いたものを、本開示における天然アミノ酸としてもよい。一態様において、天然アミノ酸は、イソロイシンを除く19種類のアミノ酸からなる。一態様において、天然アミノ酸は、メチオニンを除く19種類のアミノ酸からなる。さらなる態様において、天然アミノ酸は、イソロイシンおよびメチオニンを除く18種類のアミノ酸からなる。天然アミノ酸は通常、L型アミノ酸である。
本開示において、非天然アミノ酸とは、上記の20種類のα-アミノ酸からなる天然アミノ酸を除く全てのアミノ酸を表す。非天然アミノ酸の例として、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、D型アミノ酸、天然アミノ酸とは側鎖が異なるα-アミノ酸、α,α-二置換アミノ酸、主鎖のアミノ基が置換基を有するアミノ酸(N置換アミノ酸)などを挙げることができる。非天然アミノ酸の側鎖は、特に限定されないが、水素原子の他に、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキルなどを有していてもよい。また、α,α-二置換アミノ酸の場合、2つの側鎖が環を形成していてもよい。さらに、これらの側鎖は、1つ以上の置換基を有していてもよい。特定の態様において、置換基は、ハロゲン原子、O原子、S原子、N原子、B原子、Si原子、またはP原子を含む任意の官能基の中から選択することができる。例えば、本開示において「ハロゲンを置換基に有するC-Cアルキル」とは、アルキルにおける少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換された「C-Cアルキル」を意味し、具体的には、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、フルオロエチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、ペンタクロロエチル、テトラクロロエチル、トリクロロエチル、ジクロロエチル、クロロエチルなどを含む。また、例えば「置換基を有するC-C10アリールC-Cアルキル」とは、アリールおよび/またはアルキルにおける少なくとも一つの水素原子が置換基により置換された「C-C10アリールC-Cアルキル」を意味する。さらに、「置換基を2つ以上有している」とは、ある官能基(例えばS原子を含む官能基)を置換基として有し、さらにその官能基が別の置換基(例えばアミノやハロゲンなどの置換基)を有していることも含む。非天然アミノ酸の具体的な例としては、WO2013/100132やWO2018/143145なども参照することができる。
非天然アミノ酸の主鎖のアミノ基は、非置換のアミノ基(NH基)でもよく、置換されたアミノ基(NHR基)であってもよい。ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキルを示す。また、プロリンのように主鎖のアミノ基のN原子に結合した炭素鎖とα位の炭素原子とが環を形成していてもよい。置換基は、ハロゲン原子、O原子、S原子、N原子、B原子、Si原子、またはP原子を含む任意の官能基の中から選択することができる。アミノ基のアルキル置換の例としては、N-メチル化、N-エチル化、N-プロピル化、N-ブチル化などが、アラルキル置換の例としては、N-ベンジル化などが挙げられる。N-メチルアミノ酸の具体的な例としては、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルフェニルアラニン、N-メチルチロシン、N-メチル-3-クロロフェニルアラニン、N-メチル-4-クロロフェニルアラニン、N-メチル-4-メトキシフェニルアラニン、N-メチル-4-チアゾールアラニン、N-メチルヒスチジン、N-メチルセリン、N-メチルアスパラギン酸などを挙げることができる。
ハロゲン原子を含む置換基の例としては、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、ヨード(-I)などが挙げられる。
O原子を含む置換基の例としては、ヒドロキシル(-OH)、オキシ(-OR)、カルボニル(-C=O-R)、カルボキシル(-COH)、オキシカルボニル(-C=O-OR)、カルボニルオキシ(-O-C=O-R)、チオカルボニル(-C=O-SR)、カルボニルチオ(-S-C=O-R)、アミノカルボニル(-C=O-NHR)、カルボニルアミノ(-NH-C=O-R)、オキシカルボニルアミノ(-NH-C=O-OR)、スルホニルアミノ(-NH-SO-R)、アミノスルホニル(-SO-NHR)、スルファモイルアミノ(-NH-SO-NHR)、チオカルボキシル(-C(=O)-SH)、カルボキシルカルボニル(-C(=O)-COH)などが挙げられる。
オキシ(-OR)の例としては、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシなどが挙げられる。
カルボニル(-C=O-R)の例としては、ホルミル(-C=O-H)、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アラルキルカルボニルなどが挙げられる。
オキシカルボニル(-C=O-OR)の例としては、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルボニルオキシ(-O-C=O-R)の例としては、アルキルカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシなどが挙げられる。
チオカルボニル(-C=O-SR)の例としては、アルキルチオカルボニル、シクロアルキルチオカルボニル、アルケニルチオカルボニル、アルキニルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、ヘテロアリールチオカルボニル、アラルキルチオカルボニルなどが挙げられる。
カルボニルチオ(-S-C=O-R)の例としては、アルキルカルボニルチオ、シクロアルキルカルボニルチオ、アルケニルカルボニルチオ、アルキニルカルボニルチオ、アリールカルボニルチオ、ヘテロアリールカルボニルチオ、アラルキルカルボニルチオなどが挙げられる。
アミノカルボニル(-C=O-NHR)の例としては、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキニルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニルなどが挙げられる。さらに、-C=O-NHR中のN原子と結合したH原子は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。
カルボニルアミノ(-NH-C=O-R)の例としては、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノなどが挙げられる。さらに、-NH-C=O-R中のN原子と結合したH原子は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。
オキシカルボニルアミノ(-NH-C=O-OR)の例としては、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシカルボニルアミノ、アラルキルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。さらに、-NH-C=O-OR中のN原子と結合したH原子は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。
スルホニルアミノ(-NH-SO-R)の例としては、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルキニルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アラルキルスルホニルアミノなどが挙げられる。さらに、-NH-SO-R中のN原子と結合したH原子は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。
アミノスルホニル(-SO-NHR)の例としては、アルキルアミノスルホニル、シクロアルキルアミノスルホニル、アルケニルアミノスルホニル、アルキニルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アラルキルアミノスルホニルなどが挙げられる。さらに、-SO-NHR中のN原子と結合したH原子は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。
スルファモイルアミノ(-NH-SO-NHR)の例としては、アルキルスルファモイルアミノ、シクロアルキルスルファモイルアミノ、アルケニルスルファモイルアミノ、アルキニルスルファモイルアミノ、アリールスルファモイルアミノ、ヘテロアリールスルファモイルアミノ、アラルキルスルファモイルアミノなどが挙げられる。さらに、-NH-SO-NHR中のN原子と結合した2つのH原子のうちの少なくとも1つは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群より選択される置換基で置換されていてもよい。2つのH原子がともに置換されている場合は、それぞれ独立して置換基を選択してもよく、また、これらの2つの置換基は環を形成していてもよい。
S原子を含む置換基の例としては、チオール(-SH)、チオ(-S-R)、スルフィニル(-S=O-R)、スルホニル(-S(O)-R)、スルホ(-SOH)などが挙げられる。
チオ(-S-R)の例としては、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオなどが挙げられる。
スルフィニル(-S=O-R)の例としては、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アラルキルスルフィニルなどが挙げられる。
スルホニル(-S(O)-R)の例としては、アルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アラルキルスルホニルなどが挙げられる。
N原子を含む置換基の例としては、アジド(-N)、シアノ(-CN)、1級アミノ(-NH)、2級アミノ(-NH-R)、3級アミノ(-NR(R’))、アミジノ(-C(=NH)-NH)、置換アミジノ(-C(=NR)-NR’R’’)、グアニジノ(-NH-C(=NH)-NH)、置換グアニジノ(-NR-C(=NR’’’)-NR’R’’)、アミノカルボニルアミノ(-NR-CO-NR’R’’)などが挙げられる。
2級アミノ(-NH-R)の例としては、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、アラルキルアミノなどが挙げられる。
3級アミノ(-NR(R’))におけるN原子上の2つの置換基RおよびR’は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択することができる。3級アミノの例としては、例えばアルキル(アラルキル)アミノなどが挙げられる。これらの2つの置換基は環を形成していてもよい。
置換アミジノ(-C(=NR)-NR’R’’)におけるN原子上の3つの置換基R、R’、およびR’’は、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択することができる。置換アミジノの例としては、例えばアルキル(アラルキル)(アリール)アミジノなどが挙げられる。これらの置換基は互いに環を形成していてもよい。
置換グアニジノ(-NR-C(=NR’’’)-NR’R’’)におけるN原子上の4つの置換基R、R’、R’’、およびR’’’は、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択することができる。これらの置換基は互いに環を形成していてもよい。
アミノカルボニルアミノ(-NR-CO-NR’R’’)におけるN原子上の3つの置換基R、R’、およびR’’は、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択することができる。これらの置換基は互いに環を形成していてもよい。
B原子を含む置換基の例としては、ボリル(-BR(R’))やジオキシボリル(-B(OR)(OR’))などが挙げられる。B原子上の2つの置換基RおよびR’は、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキルからなる群よりそれぞれ独立に選択することができる。これらの置換基は互いに環を形成していてもよい。
本開示におけるアミノ酸類縁体の例として、例えばヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ酸)を挙げることができる。ヒドロキシカルボン酸には、α-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロキシカルボン酸、γ-ヒドロキシカルボン酸などが含まれる。ヒドロキシカルボン酸におけるα位の炭素には、アミノ酸と同様に、水素原子以外の側鎖が結合していてもよい。立体構造としては、L型およびD型のいずれも含まれ得る。側鎖の構造は、上述の天然アミノ酸または非天然アミノ酸の側鎖と同様に定義することができる。ヒドロキシカルボン酸の例として、ヒドロキシ酢酸、乳酸、フェニル乳酸などを挙げることができる。
本開示におけるアミノ酸は、翻訳可能なアミノ酸であってもよく、アミノ酸類縁体は、翻訳可能なアミノ酸類縁体であってもよい。本明細書において「翻訳可能な」アミノ酸またはアミノ酸類縁体(まとめてアミノ酸等と呼ぶことがある)とは、翻訳合成により(例えば、本開示に記載の翻訳系を用いて)ペプチドに組み込むことが可能なアミノ酸等を意味する。あるアミノ酸等が翻訳可能か否かは、当該アミノ酸等を結合させたtRNAを用いた翻訳合成実験により確認することができる。翻訳合成実験には再構成の無細胞翻訳系を用いてもよい(例えば、WO2013100132を参照のこと)。
本開示における非天然アミノ酸やアミノ酸類縁体は、従来公知の化学的な合成法や、後述の実施例に記載の合成法、それらに準ずる合成法によって調製することができる。
<tRNAの調製>
tRNAは、例えば、所望のtRNA遺伝子をコードするDNAを用意し、その上流にT7、T3、あるいはSP6などの適切なプロモーターを配置して、当該DNAを鋳型に各プロモーターに適応したRNAポリメラーゼを用いて転写反応を行うことによって合成することができる。また、tRNAは生物学的材料からの精製によっても調製することができる。例えば、細胞などのtRNAを含む材料から抽出液を調製して、そこにtRNAの核酸配列に相補的な配列を含むプローブを添加することによってtRNAを回収することができる。この際、所望のtRNAを発現可能な発現ベクターを用意して、当該発現ベクターで形質転換した細胞を材料に調製を行うこともできる。in vitroの転写によって合成されたtRNAには、通常、4つの典型的なヌクレオシドであるアデノシン、グアノシン、シチジン、およびウリジンのみが含まれている。一方、細胞内で合成されたtRNAには、それらを修飾して得られた修飾ヌクレオシドなども含まれていることがある。天然tRNAにおける修飾ヌクレオシド(例えばライシジンなど)は、tRNAが転写により合成された後に、その修飾を行うための酵素(例えばTilSなど)の作用によって、当該tRNAに特異的に導入されると考えられている。あるいは、転写によって合成された断片もしくは、後述の実施例に記載のように、化学合成された断片等を酵素反応によって連結する手法によってもtRNAを調製することができる。
アミノアシルtRNAも化学的および/または生物学的な合成法によって調製することができる。例えば、アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)を用いて、tRNAにアミノ酸を結合させることによってアミノアシルtRNAを合成することができる。アミノ酸はARSの基質となり得るものであれば、天然アミノ酸であっても、非天然アミノ酸であってもよい。あるいは、天然アミノ酸をtRNAに結合させた後に、アミノ酸に化学的な修飾を加えてもよい。また、ARSにアミノ酸変異を導入することによって、非天然アミノ酸に対する作用が高められた例も多数報告されており(例えばWO2006/135096、WO2007/061136、WO2007/103307、WO2008/001947、WO2010/141851、WO2015/120287などを参照)、そのような変異ARSを用いて、tRNAにアミノ酸を結合させてもよい。ARSを用いる方法以外にも、例えば、tRNAの3’末端からCA配列を除去し、そこにアミノアシル化されたpdCpA(デオキシシチジンおよびアデノシンから構成されるジヌクレオチド)をRNAリガーゼを用いて結合させることによってアミノアシルtRNAを合成することができる(pdCpA法;Hecht et al.,J Biol Chem(1978)253:4517-4520)。pdCpAの代わりにpCpA(シチジンおよびアデノシンから構成されるジヌクレオチド)を用いる方法も知られている(pCpA法;Wang et al.,ACS Chem Biol(2015)10:2187-2192)。また、あらかじめエステル化により活性化した非天然型アミノ酸を人工RNA触媒(フレキシザイム)を用いてtRNAに結合させることによってもアミノアシルtRNAを合成することができる(WO2007/066627)。
<翻訳系>
一局面において、本開示は、ペプチド翻訳に適した一揃いのtRNAを提供する。一揃いのtRNAには、複数の異なる種類のtRNAが含まれ、それらのtRNAから複数の異なる種類のアミノ酸を翻訳することができる。一局面において、本開示は、ペプチド翻訳に適した複数の異なる種類のtRNAを含む組成物を提供する。別の局面において、本開示は、ペプチド翻訳に適した複数の異なる種類のtRNAを提供することを含む、ペプチドの翻訳方法を提供する。一局面において、本開示は、ペプチド翻訳に適した複数の異なる種類のtRNAを含む翻訳系を提供する。特定の局面において、前記の複数の異なる種類のtRNAの中に、本開示の変異tRNAが含まれる。以下の記載は、これらのペプチド翻訳に適したtRNA、組成物、翻訳方法、および翻訳系に関するものである。
一態様において、本開示における変異tRNAは、アンチコドンの1文字目(N)にライシジン(k2C)、ライシジン誘導体、アグマチジン(agm2C)、またはアグマチジン誘導体のいずれかを有している。ライシジンやアグマチジンは、アデノシン(A)と相補的な塩基対を形成することから、コドンにおける役割はウリジン(U)に相当するものと考えられる。いくつかの態様において、本開示の変異tRNAは、他のコドンに比べて、MAで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。他のコドンとは、MAで表されるコドンとは異なるコドン、例えばMU、MC、またはMGで表されるコドンのいずれかであることができる。特定の態様において、本開示の変異tRNAは、MU、MC、およびMGで表されるいずれのコドンと比べても、MAで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。
本開示の一態様において、ある変異tRNAが、MAのコドンを選択的に翻訳することができるとは、〔当該tRNAによるMAのコドンの翻訳量〕が、〔当該tRNAによる他のコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、ある変異tRNAがCUAで表されるコドンを選択的に翻訳することができるか否かは、〔当該tRNAによるCUAのコドンの翻訳量〕が〔当該tRNAによるCUGのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
ある特定のコドン(例えばMA)が翻訳される量と、それ以外のコドン(例えばMG)が翻訳される量とを比較する際には、例えば、あるペプチドをコードするmRNAであって、MAのコドンが含まれているmRNAと、MAのコドンがMGのコドンに置き換えられている以外は全て前記mRNAと同じ核酸配列を有する別のmRNAを用意して、同じ条件下でそれらの2つのmRNAを翻訳し、その結果得られた2つのペプチドの合成量を比較することによって行うことができる。
本開示の別の態様において、ある変異tRNAが、MAのコドンを選択的に翻訳することができるとは、〔当該tRNAによるMA以外のコドンの翻訳量〕が、〔UNのアンチコドンを有するtRNAによるMA以外のコドンの翻訳量〕よりも少ない、例えば1/2以下、1/3以下、1/4以下、1/5以下、1/6以下、1/7以下、1/8以下、1/9以下、1/10以下、1/15以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、1/60以下、1/70以下、1/80以下、1/90以下、あるいは1/100以下に低下していることを意味する。ここで、UNのアンチコドンとは、アンチコドンの1文字目(N)がウリジンで、アンチコドンの2文字目(N)および3文字目(N)がそれぞれMおよびMと相補的なヌクレオシドを表す。アンチコドンにおけるライシジンやアグマチジンの役割はウリジンに相当することから、ここではウリジンが比較の対象として選択されている。また、MA以外のコドンとは、MU、MC、またはMGで表されるコドンのいずれかであることができる。一例として、ある変異tRNAがCUAで表されるコドンを選択的に翻訳することができるか否かは、〔当該tRNAによるCUGのコドンの翻訳量〕が、〔UNのアンチコドンを有するtRNAによるCUGのコドンの翻訳量〕よりも少ない、例えば1/2以下、1/3以下、1/4以下、1/5以下、1/6以下、1/7以下、1/8以下、1/9以下、1/10以下、1/15以下、1/20以下、1/30以下、1/40以下、1/50以下、1/60以下、1/70以下、1/80以下、1/90以下、あるいは1/100以下に低下しているか否かによって判断することができる。
別の態様において、MAで表されるコドンは、他のtRNAよりも、本開示の変異tRNAによって選択的に翻訳され得る。他のtRNAとは、MAで表されるコドンとは異なるコドンを翻訳し得るtRNA、例えばMU、MC、またはMGのいずれかのコドンを翻訳し得るtRNAであることができる。特定の態様において、MAで表されるコドンは、MUのコドンを翻訳し得るtRNA、MCのコドンを翻訳し得るtRNA、およびMGのコドンを翻訳し得るtRNAのいずれのtRNAよりも、本開示の変異tRNAによって選択的に翻訳され得る。
本開示の一態様において、MAで表されるコドンが、ある変異tRNAによって選択的に翻訳され得るとは、〔当該tRNAによるMAのコドンの翻訳量〕が、〔他のtRNAによるMAのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、CUAで表されるコドンが、ある変異tRNAによって選択的に翻訳され得るか否かは、〔当該tRNAによるCUAのコドンの翻訳量〕が〔CUGのコドンを翻訳し得るtRNA(例えばCAGのアンチコドンを有するtRNA)によるCUAのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
本開示の変異tRNAを含む翻訳系は、前記の2つの特徴を併せ持っていてもよい。すなわち、特定の態様において、本開示の翻訳系においては、(i)変異tRNAが、他のコドンに比べて、MAで表されるコドンを選択的に翻訳することができ、なおかつ、(ii)MAで表されるコドンが、他のtRNAよりも、本開示の変異tRNAによって選択的に翻訳され得る。このような関係が成立している場合、本開示の翻訳系においては、本開示の変異tRNAを用いたペプチド翻訳と、それ以外のtRNAを用いたペプチド翻訳とが、互いに相互作用を起こさない独立した関係、すなわち直交性を有する(オルソゴナルな)関係にあるということができる。天然に存在する生物の翻訳系においては、本来、コドンとアミノ酸との間に厳密な対応関係が確立されているため、直交性のない変異tRNAがそこに加わることによって、その対応関係が崩れ、翻訳系の機能に致命的な影響が出るおそれがある。よって、本開示の翻訳系において、本開示の変異tRNAとそれ以外のtRNAとの間に直交性が確立されていることは、重要な特徴の一つになり得る。
一態様において、本開示における翻訳系は、MGで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNA(以後、本tRNAを“tRNA-G”とも表記する)をさらに含む。いくつかの態様において、本開示における翻訳系は、(a)本開示に記載の変異tRNA、および(b)本開示に記載のtRNA-Gの少なくとも2つのtRNAを含む。特定の態様において、MGで表されるコドンに相補的なアンチコドンとしては、例えばCN、ac4CN、またはCmNなどが挙げられる。ここで、各アンチコドンの1文字目のヌクレオシドは、シチジン(C)、N4-アセチルシチジン(ac4C)、または2’-O-メチルシチジン(Cm)であり、なおかつ2文字目のヌクレオシド(N)および3文字目のヌクレオシド(N)はそれぞれ上述のMおよびMに相補的なヌクレオシドである。本開示に記載の変異tRNAおよびtRNA-Gは、アンチコドン以外の核酸配列がともに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。アンチコドン以外の核酸配列が同一である場合、これら2つのtRNAの物理化学的性質が互いに類似したものになり得るため、反応性がより均質で安定した翻訳系を構築できる可能性がある。
いくつかの態様において、本開示におけるtRNA-Gは、他のコドンに比べて、MGで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。他のコドンとは、MGで表されるコドンとは異なるコドン、例えばMU、MC、またはMAで表されるコドンのいずれかであることができる。特定の態様において、本開示のtRNA-Gは、MU、MC、およびMAで表されるいずれのコドンと比べても、MGで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。
本開示の一態様において、あるtRNAが、MGのコドンを選択的に翻訳することができるとは、〔当該tRNAによるMGのコドンの翻訳量〕が、〔当該tRNAによる他のコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、ある変異tRNAがCUGで表されるコドンを選択的に翻訳することができるか否かは、〔当該tRNAによるCUGのコドンの翻訳量〕が〔当該tRNAによるCUAのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
別の態様において、MGで表されるコドンは、他のtRNAよりも、本開示におけるtRNA-Gによって選択的に翻訳され得る。他のtRNAとは、MGで表されるコドンとは異なるコドンを翻訳し得るtRNA、例えばMU、MC、またはMAのいずれかのコドンを翻訳し得るtRNAであることができる。特定の態様において、MGで表されるコドンは、MUのコドンを翻訳し得るtRNA、MCのコドンを翻訳し得るtRNA、およびMAのコドンを翻訳し得るtRNAのいずれのtRNAよりも、本開示におけるtRNA-Gによって選択的に翻訳され得る。
本開示の一態様において、MGで表されるコドンが、あるtRNAによって選択的に翻訳され得るとは、〔当該tRNAによるMGのコドンの翻訳量〕が、〔他のtRNAによるMGのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、CUGで表されるコドンが、あるtRNAによって選択的に翻訳され得るか否かは、〔当該tRNAによるCUGのコドンの翻訳量〕が〔CUAのコドンを翻訳し得るtRNA(例えばk2CAGのアンチコドンを有するtRNA)によるCUGのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
本開示におけるtRNA-Gを含む翻訳系は、前記の2つの特徴を併せ持っていてもよい。すなわち、特定の態様において、本開示の翻訳系においては、(i)tRNA-Gが、他のコドンに比べて、MGで表されるコドンを選択的に翻訳することができ、なおかつ、(ii)MGで表されるコドンが、他のtRNAよりも、本開示のtRNA-Gによって選択的に翻訳され得る。このような関係が成立している場合、本開示の翻訳系においては、tRNA-Gを用いたペプチド翻訳と、それ以外のtRNAを用いたペプチド翻訳とが、互いに相互作用を起こさない独立した関係、すなわち直交性を有する(オルソゴナルな)関係にあるということができる。本開示の翻訳系において、tRNA-Gとそれ以外のtRNAとの間に直交性が確立されていることは、重要な特徴の一つになり得る。
さらなる態様において、本開示における変異tRNAに結合しているアミノ酸(以後、本アミノ酸を“アミノ酸-A”とも表記する)と、tRNA-Gに結合しているアミノ酸(以後、本アミノ酸を“アミノ酸-G”とも表記する)とは、アミノ酸の種類が互いに異なっていてもよい。本開示における変異tRNAとtRNA-Gに関して、上述のようなオルソゴナルな関係が成立している場合、本翻訳系においては、MAのコドンとアミノ酸-A、およびMGのコドンとアミノ酸-Gはいずれも一対一の対応関係にある。すなわち、本開示の翻訳系においては、同じコドンボックス内に存在する(i)MAおよび(ii)MGの2つのコドンから、2種類の異なるアミノ酸を翻訳することが可能である。
一態様において、本開示における翻訳系は、MUまたはMCで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNA(以後、本tRNAを“tRNA-U/C”とも表記する)をさらに含む。いくつかの態様において、本開示における翻訳系は、(a)本開示に記載の変異tRNA、(b)本開示に記載のtRNA-G、および(c)本開示に記載のtRNA-U/Cの少なくとも3つのtRNAを含む。特定の態様において、MUで表されるコドンに相補的なアンチコドンとしては、例えばAN、GN、QN、またはGluQNなどが挙げられる。ここで、各アンチコドンの1文字目のヌクレオシドは、アデノシン(A)、グアノシン(G)、キューオシン(Q)、またはグルタミルキューオシン(GluQ)であり、なおかつ2文字目のヌクレオシド(N)および3文字目のヌクレオシド(N)はそれぞれ上述のMおよびMに相補的なヌクレオシドである。別の態様において、MCで表されるコドンに相補的なアンチコドンとしては、例えばGN、QN、またはGluQNなどが挙げられる。MUおよびMCのコドンに相補的なアンチコドンは、互いに重複するものが多いため、本開示においては、これら2つのコドンを1つのコドンとみなして扱うことも可能である。特定の態様において、MUまたはMCで表されるコドンに相補的なアンチコドンとしては、AN、GN、QN、またはGluQNなどが挙げられる。本開示に記載の変異tRNA、tRNA-G、およびtRNA-U/Cは、アンチコドン以外の核酸配列が全て同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。アンチコドン以外の核酸配列が同一である場合、これら3つのtRNAの物理化学的性質が互いに類似したものになり得るため、反応性がより均質で安定した翻訳系を構築できる可能性がある。
いくつかの態様において、本開示におけるtRNA-U/Cは、他のコドンに比べて、MUまたはMCで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。他のコドンとは、MUまたはMCで表されるコドンとは異なるコドン、例えばMAまたはMGで表されるコドンのいずれかであることができる。特定の態様において、本開示におけるtRNA-U/Cは、MAおよびMGで表されるいずれのコドンと比べても、MUまたはMCで表されるコドンを選択的に翻訳することができる。
本開示の一態様において、あるtRNAが、MUまたはMCのコドンを選択的に翻訳することができるとは、〔当該tRNAによるMUまたはMCのコドンの翻訳量〕が、〔当該tRNAによる他のコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、あるtRNAがCUUまたはCUCで表されるコドンを選択的に翻訳することができるか否かは、〔当該tRNAによるCUUまたはCUCのコドンの翻訳量〕が〔当該tRNAによるCUAのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
別の態様において、MUまたはMCで表されるコドンは、他のtRNAよりも、本開示におけるtRNA-U/Cによって選択的に翻訳され得る。他のtRNAとは、MUまたはMCで表されるコドンとは異なるコドンを翻訳し得るtRNA、例えばMAまたはMGのいずれかのコドンを翻訳し得るtRNAであることができる。特定の態様において、MUまたはMCで表されるコドンは、MAのコドンを翻訳し得るtRNAおよびMGのコドンを翻訳し得るtRNAのいずれのtRNAよりも、本開示におけるtRNA-U/Cによって選択的に翻訳され得る。
本開示の一態様において、MUまたはMCで表されるコドンが、あるtRNAによって選択的に翻訳され得るとは、〔当該tRNAによるMUまたはMCのコドンの翻訳量〕が、〔他のtRNAによるMUまたはMCのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いことを意味する。一例として、CUUまたはCUCで表されるコドンが、あるtRNAによって選択的に翻訳され得るか否かは、〔当該tRNAによるCUUまたはCUCのコドンの翻訳量〕が〔CUAのコドンを翻訳し得るtRNA(例えばk2CAGのアンチコドンを有するtRNA)によるCUUまたはCUCのコドンの翻訳量〕よりも、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、あるいは100倍以上多いか否かによって判断することができる。
本開示におけるtRNA-U/Cを含む翻訳系は、前記の2つの特徴を併せ持っていてもよい。すなわち、特定の態様において、本開示の翻訳系においては、(i)tRNA-U/Cが、他のコドンに比べて、MUまたはMCで表されるコドンを選択的に翻訳することができ、なおかつ、(ii)MUまたはMCで表されるコドンが、他のtRNAよりも、本開示のtRNA-U/Cによって選択的に翻訳され得る。このような関係が成立している場合、本開示の翻訳系においては、tRNA-U/Cを用いたペプチド翻訳と、それ以外のtRNAを用いたペプチド翻訳とが、互いに相互作用を起こさない独立した関係、すなわち直交性を有する(オルソゴナルな)関係にあるということができる。本開示の翻訳系において、tRNA-U/Cとそれ以外のtRNAとの間に直交性が確立されていることは、重要な特徴の一つになり得る。
さらなる態様において、本開示における変異tRNAに結合しているアミノ酸(“アミノ酸-A”)、tRNA-Gに結合しているアミノ酸(“アミノ酸-G”)、およびtRNA-U/Cに結合しているアミノ酸(以後、本アミノ酸を“アミノ酸-U/C”とも表記する)は、アミノ酸の種類がいずれも互いに異なっていてもよい。本開示における変異tRNA、tRNA-G、およびtRNA-U/Cに関して、上述のようなオルソゴナルな関係が成立している場合、本翻訳系においては、MAのコドンとアミノ酸-A、MGのコドンとアミノ酸-G、およびMUまたはMCのコドンとアミノ酸-U/Cはいずれも一対一の対応関係にある。すなわち、本開示の翻訳系においては、同じコドンボックス内に存在する(i)MA、(ii)MG、および(iii)MUまたはMCの3つのコドンから、3種類の異なるアミノ酸を翻訳することが可能である。あるいは、本開示の翻訳系においては、MU、MC、MA、およびMGによって構成されるコドンボックスから、3種類の異なるアミノ酸を翻訳することが可能である。
いくつかの態様において、本開示における変異tRNA、tRNA-G、およびtRNA-U/Cのうち、少なくとも一つに非天然アミノ酸が結合していてもよい。
いくつかの態様において、遺伝暗号表における少なくとも1つのコドンボックスを構成するコドンに、本開示の変異tRNAが割り当てられていてもよい。さらなる態様において、遺伝暗号表における複数のコドンボックスを構成するコドンに、本開示の変異tRNAが割り当てられていてもよい。複数のコドンボックスとしては、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個のコドンボックスであることができる。変異tRNAに加えて、tRNA-Gが同じコドンボックスを構成する他のコドン(変異tRNAが割り当てられるコドンとは異なるコドン)に割り当てられていてもよく、あるいは、さらにtRNA-U/Cが同じコドンボックスを構成する他のコドン(変異tRNAが割り当てられるコドンおよびtRNA-Gが割り当てられるコドンとは異なるコドン)に割り当てられていてもよい。それぞれのtRNAがどのコドンボックスを構成するコドンに割り当てられるかは、当該tRNAが有するアンチコドンの2文字目のヌクレオシド(N)および3文字目のヌクレオシド(N)によって決定される。異なるコドンボックスを構成するコドンに割り当てられるtRNAどうしであれば、互いに異なるNおよびNを有している。また、異なるコドンボックスを構成するコドンに割り当てられるtRNAどうしは、アンチコドン以外の核酸配列が同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。アンチコドン以外の核酸配列が同一である場合、これらのtRNAの物理化学的性質が互いに類似したものになり得るため、反応性がより均質で安定した翻訳系を構築できる可能性がある。
いくつかの態様において、本開示の翻訳系から、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、10種類、11種類、12種類、13種類、14種類、15種類、16種類、17種類、18種類、19種類、または20種類のアミノ酸を翻訳することができる。あるいは、本開示の変異tRNAを用いて、1つのコドンボックスにおけるMAとMGのコドンの読み分けを行えば、20種類より多くのアミノ酸を翻訳することも可能である。さらなる態様において、本開示の翻訳系から、例えば21種類、22種類、23種類、24種類、25種類、26種類、27種類、28種類、29種類、30種類、31種類、32種類、33種類、34種類、35種類、36種類、37種類、38種類、39種類、40種類、41種類、42種類、43種類、44種類、45種類、46種類、47種類、または48種類のアミノ酸を翻訳することが可能である。
いくつかの態様において、本開示の翻訳系は、無細胞翻訳系である。さらなる態様において、本開示の翻訳系は、再構成型の無細胞翻訳系である。無細胞翻訳系における細胞抽出液やペプチド翻訳に必要な因子(例えばリボソームなど)は、種々の生物材料に由来するものを利用することができる。そのような生物材料として、例えば、大腸菌、酵母、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、HeLa細胞、あるいは昆虫細胞などを挙げることができる。
一局面において、本開示は、ペプチドの製造方法であって、本開示に記載の翻訳系を用いて核酸を翻訳することを含む方法を提供する。2つ以上のアミノ酸がアミド結合によって結合した化合物が、本開示のペプチドに含まれ得る。また、アミノ酸の代わりにヒドロキシカルボン酸などのアミノ酸類縁体がエステル結合によって結合した化合物も、本開示のペプチドに含まれ得る。ペプチドに含まれるアミノ酸またはアミノ酸類縁体の数は2個以上であれば特に限定されないが、例えば2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上などが挙げられ、また、100個以下、80個以下、50個以下、30個以下、25個以下、20個以下、19個以下、18個以下、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下などが挙げられる。あるいは、9個、10個、11個、12個の中から選択することもできる。
一態様において、本開示のペプチドは、N置換アミノ酸を含んでいてもよく、ペプチドに含まれるN置換アミノ酸の数は、例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個などであることができる。また、別の態様において、本開示のペプチドは、N置換されていないアミノ酸を含んでいてもよく、N置換されていないアミノ酸の数は、例えば1個、2個、3個、4個などであることができる。さらなる態様において、本開示のペプチドは、N置換アミノ酸とN置換されていないアミノ酸の両方を含んでいてもよい。
いくつかの態様において、本開示のペプチドは、直鎖状のペプチドであってもよいし、環状部を有するペプチドであってもよい。環状部を有するペプチドとは、ペプチド鎖上に存在するあるアミノ酸またはアミノ酸類縁体の主鎖あるいは側鎖が、同じペプチド鎖上に存在する別のアミノ酸またはアミノ酸類縁体の主鎖あるいは側鎖と結合することによって、分子内に環状構造が形成されたペプチドを意味する。環状部を有するペプチドは、環状部のみから構成されていてもよいし、環状部と直鎖部をともに含んでいてもよい。環状部に含まれるアミノ酸またはアミノ酸類縁体の数は、例えば4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上などであり、また、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下などであることができる。あるいは、9個、10個、11個の中から選択することもできる。また、直鎖部に含まれるアミノ酸またはアミノ酸類縁体の数は、例えば0個以上であり、また、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下などであることができる。あるいは、0個、1個、2個、3個の中から選択することもできる。
環状部を形成するための結合としては、例えば、アミノ基とカルボキシル基から形成されるペプチド結合を利用することができる。それ以外にも、適切な官能基の組合せから形成されるアミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、炭素-炭素結合、アルキル結合、アルケニル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、アミン結合、C=N-C結合、ラクタム架橋、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、チオアミド結合、スルフィニル結合、スルホニル結合、トリアゾール結合、ベンゾオキサゾール結合などを利用することができる。炭素-炭素結合は、鈴木(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、薗頭(Sonogashira)反応などの遷移金属を触媒とした反応によって形成することができる。一態様において、本開示のペプチドは、分子内において上記の結合を形成することが可能な少なくとも1組の官能基を含んでいる。環状部の形成は、本開示の翻訳系を用いて直鎖状のペプチドが製造された後に、上記の官能基どうしを結合させるための反応を別途行うことによってなされてもよい。環状部を有するペプチドの合成については、WO2013/100132、WO2012/026566、WO2012/033154、WO2012/074130、WO2015/030014、WO2018/052002、Comb Chem High Throughput Screen(2010)13:75-87、Nat Chem Biol(2009)5:502-507、Nat Chem Biol(2009)5:888-90、Bioconjug Chem(2007)18:469-476、ChemBioChem(2009)10:787-798、Chem Commun(Camb)(2011)47:9946-9958なども参照することができる。
いくつかの態様において、本開示の翻訳系において翻訳される核酸はmRNAである。mRNAには、所望のアミノ酸配列を有するペプチドがコードされていてもよい。mRNAを本開示の翻訳系に添加することによって、当該mRNAのペプチドへの翻訳を行うことができる。一方、DNAをmRNAに転写するためのRNAポリメラーゼが翻訳系に含まれている場合、DNAを本開示の翻訳系に添加することによって、当該DNAのmRNAへの転写、および当該mRNAのペプチドへの翻訳を併せて行うことができる。
翻訳されるペプチドのN末端には通常、開始アミノ酸としてメチオニンが存在しているが、メチオニン以外のアミノ酸をN末端に導入するための方法もいくつか報告されている。それらを本開示に記載のペプチドの製造方法と組み合わせて用いてもよい。そのような方法として、例えば、メチオニン以外のアミノ酸でアミノアシル化された開始tRNAを用いて、所望のアミノ酸から開始されるペプチドを翻訳する方法が挙げられる(Initiation suppression)。特に、外来性のアミノ酸を許容し得る程度としては、ペプチド鎖の伸長時よりも翻訳開始時の方が高いことから、N末端では、天然アミノ酸と大きく構造の異なるアミノ酸であっても利用できる可能性がある(Goto & Suga,J Am Chem Soc(2009)131(14):5040-5041)。他の方法として、翻訳系から開始メチオニルtRNAを除去することにより、あるいは、開始アミノ酸をメチオニン以外の翻訳効率の低いアミノ酸に置き換えることにより、2番目以降のコドンから翻訳を開始する方法が挙げられる(Initiation read-through;開始コドンの読み飛ばし)。さらに別法として、ペプチドデホルミラーゼ(peptide deformylase)およびメチオニンアミノペプチダーゼ(Methionine aminopeptidase)などの酵素を作用させることによって、ペプチドのN末端のメチオニンを削除する方法を挙げることもできる(Meinnel et al.,Biochimie(1993)75:1061-1075)。メチオニンから開始されるペプチドライブラリーを用意し、これに上記の酵素を作用させることによって、N末端がランダムなアミノ酸から開始されるペプチドライブラリーを調製することができる。
別の局面において、本開示は、本開示に記載のペプチドの製造方法によって製造されたペプチドを提供する。本開示に記載の方法により製造されたペプチドに対して、さらに化学修飾を行うなどして得られたペプチドもまた、本開示が提供するペプチドに含まれる。
一局面において、本開示は、ペプチドライブラリーの製造方法であって、本開示に記載の翻訳系を用いて核酸ライブラリーを翻訳することを含む方法を提供する。ペプチドをそれぞれコードする核酸分子であって、核酸配列の多様性に富んだ複数の核酸分子を用意し、それらをそれぞれペプチドに翻訳することによって、アミノ酸配列の多様性に富んだ複数のペプチド分子を製造することができる。ライブラリーのサイズは特に限定されないが、例えば、10以上、10以上、10以上、10以上、1010以上、1011以上、1012以上、1013以上、1014以上などであることができる。核酸はDNAであってもよいし、RNAであってもよい。RNAは通常mRNAである。DNAはmRNAへの転写を介してペプチドへの翻訳が行われる。そのような核酸ライブラリーは、当業者に公知の方法またはそれに準ずる方法によって調製することができる。核酸ライブラリーを合成する際、所望の位置に混合塩基を用いることによって、核酸配列の多様性に富んだ複数の核酸分子を容易に調製することができる。混合塩基を用いたコドンの例として、例えばNNN(ここで、NはA、T、G、Cの4塩基の混合を表す)やNNW(ここで、WはA、Tの2塩基の混合を表す)、NNM(ここで、WはA、Cの2塩基の混合を表す)、NNK(ここで、KはG、Tの2塩基の混合を表す)、NNS(ここで、SはC、Gの2塩基の混合を表す)などを挙げることができる。あるいは、コドンの3文字目で用いられる塩基を、A、T、G、Cのうちのいずれか1種類に限定することで、一部の特定のアミノ酸のみがコードされた核酸ライブラリーを合成することも可能である。さらに、混合塩基を含むコドンを作成する際、複数の塩基を等比ではなく異なる比率で混合することによって、そのコドンから得られるアミノ酸の出現頻度を任意に調節することも可能である。上記のようなコドンを1単位(ユニット)として、種類の異なるコドンユニットを複数用意し、それらを所望の順序で連結すれば、含まれるアミノ酸の出現位置や出現頻度が制御されたライブラリーをデザインすることも可能となる。
いくつかの態様において、本開示に記載のペプチドライブラリーは、ペプチドが核酸上に提示されたライブラリー(核酸ディスプレイライブラリー、あるいは単にディスプレイライブラリー)である。ディスプレイライブラリーは、ペプチドとそれをコードする核酸が結合して1つの複合体を形成することによって、表現型と遺伝子型が対応付けられていることを特徴とするライブラリーである。主なディスプレイライブラリーの例として、mRNAディスプレイ法(Roberts and Szostak,Proc Natl Acad Sci USA(1997)94:12297-12302)、in vitroウィルス法(Nemoto et al.,FEBS Lett(1997)414:405-408)、cDNAディスプレイ法(Yamaguchi et al.,Nucleic Acids Res(2009)37:e108)、リボソームディスプレイ法(Mattheakis et al,Proc Natl Acad Sci USA(1994)91:9022-9026)、covalentディスプレイ法(Reiersen et al.,Nucleic Acids Res(2005)33:e10)、CISディスプレイ法(Odegrip et al.,Proc Natl Acad Sci USA(2004)101:2806-2810)などで作製されたライブラリーを挙げることができる。あるいは、in vitro compartmentalization法(Tawfik and Griffiths,Nat Biotechnol(1998)16:652-656)を用いて作製されたライブラリーも、ディスプレイライブラリーの一態様として挙げることができる。
別の局面において、本開示は、本開示に記載のペプチドライブラリーの製造方法によって製造されたペプチドライブラリーを提供する。
一局面において、本開示は、標的分子に対して結合活性を有するペプチドの同定方法であって、本開示に記載のペプチドライブラリーに標的分子を接触させることを含む方法を提供する。標的分子は特に限定されず、例えば低分子化合物、高分子化合物、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質などの中から適宜選択することができる。標的分子は細胞外に存在する分子であってもよく、細胞内に存在する分子であってもよい。あるいは細胞膜に存在する分子であってもよく、その場合、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインのいずれが標的となってもよい。ペプチドライブラリーと標的分子を接触させる工程において、通常、標的分子は何らかの固相担体(例えばマイクロタイタープレートやマイクロビーズなど)に固定される。その後、標的分子に結合していないペプチドを除去して、標的分子に結合しているペプチドのみを回収することによって、標的分子に対して結合活性を有するペプチドを選択的に濃縮することができる(パニング法)。用いたペプチドライブラリーが核酸ディスプレイライブラリーの場合、回収されたペプチドにその遺伝情報がコードされた核酸が結合しているので、それらを単離し解析することによって、回収されたペプチドをコードする核酸配列およびアミノ酸配列を容易に同定することができる。さらに、得られた核酸配列あるいはアミノ酸配列をもとに、化学合成あるいは遺伝子組み換え手法などにより、同定されたペプチドを個別に製造することもできる。
一局面において、本開示は、ペプチドおよび該ペプチドをコードする核酸を含む核酸-ペプチド複合体であって、以下の特徴を有する複合体を提供する:
(i)ペプチドをコードする核酸配列の中に、MAおよびMGの2つのコドンが含まれていて、かつ、
(ii)ペプチドのアミノ酸配列において、MAのコドンに対応するアミノ酸およびMGのコドンに対応するアミノ酸の種類が互いに異なる。
ここで、MおよびMは、ある特定のコドンの1文字目および2文字目をそれぞれ表す(ただし、MがAであり、かつMがUであるコドンは除く)。
さらなる局面において、本開示は、ペプチドおよび該ペプチドをコードする核酸を含む核酸-ペプチド複合体であって、以下の特徴を有する複合体を提供する:
(i)ペプチドをコードする核酸配列の中に、MU、MAおよびMGの3つのコドンが含まれていて、かつ、
(ii)ペプチドのアミノ酸配列において、MUのコドンに対応するアミノ酸、MAのコドンに対応するアミノ酸、およびMGのコドンに対応するアミノ酸の種類がいずれも互いに異なる。
ここで、MおよびMは、ある特定のコドンの1文字目および2文字目をそれぞれ表す。
別の局面において、本開示は、ペプチドおよび該ペプチドをコードする核酸を含む核酸-ペプチド複合体であって、以下の特徴を有する複合体を提供する:
(i)ペプチドをコードする核酸配列の中に、MC、MAおよびMGの3つのコドンが含まれていて、かつ、
(ii)ペプチドのアミノ酸配列において、MCのコドンに対応するアミノ酸、MAのコドンに対応するアミノ酸、およびMGのコドンに対応するアミノ酸の種類がいずれも互いに異なる。
ここで、MおよびMは、ある特定のコドンの1文字目および2文字目をそれぞれ表す。
いくつかの態様において、上述の核酸-ペプチド複合体は、ペプチドライブラリー(特に核酸ディスプレイライブラリー)を構成する要素の1つとしてそこに含まれ得る。一態様において、本開示は、本開示に記載の核酸-ペプチド複合体を含むライブラリー(ペプチドライブラリーあるいは核酸ディスプレイライブラリー)を提供する。特定の態様において、上述の核酸-ペプチド複合体およびライブラリーは、本開示に記載の変異tRNA、あるいは本開示に記載の翻訳系を用いて作製され得る。
一局面において、本開示は以下の化合物、即ちライシジン-ジホスフェート(pLp)、またはその塩を提供する。
Figure 2023182649000035

このような化合物は、ライシジンが導入された変異tRNAの調製に用いることができる。したがって本開示は、ライシジン‐ジホスフェートを用いて、ライシジンが導入された変異tRNAを製造する方法、および当該方法によって製造される変異tRNAに関する。また本開示は、ライシジン‐ジホスフェートを用いて、ライシジンが導入された変異tRNAであって、アミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している変異tRNA(アミノアシル変異tRNA)を製造する方法、および当該方法によって製造されるアミノアシル変異tRNAに関する。このような変異tRNAおよび/またはアミノアシル変異tRNAは、本開示における翻訳系において使用することができる。したがって本開示は、このような変異tRNAおよび/またはアミノアシル変異tRNAを含む翻訳系に関する。さらに本開示は、当該翻訳系を使用してペプチドまたはペプチドライブラリーを製造する方法をも提供する。また本開示は、当該方法によって製造されるペプチドまたはペプチドライブラリーをも提供する。
本開示においては、ライシジンはtRNAの34位(tRNAナンバリング則に基づく)に導入されていてもよい。一態様において、tRNAナンバリング則の34位にライシジンが導入された変異tRNAは、1または複数(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)のtRNAの核酸断片とライシジン‐ジホスフェートを調製し、これらを当業者に公知の手法によりライゲーションすることにより取得することができる。具体的には、一例として、tRNAの1位から33位の塩基からなる核酸断片、ライシジン‐ジホスフェート、tRNAの35位から76位(またはtRNAの35位から75位、tRNAの35位から74位)の塩基からなる核酸断片を、5’側からこれらの順にライゲーションすることが挙げられる。3’末端のCA配列は除去されていてもよい。
一局面において、本開示は以下の化合物、即ちアグマチジン‐ジホスフェート(p(Agm)p)、またはその塩を提供する。
Figure 2023182649000036

このような化合物は、アグマチジンが導入された変異tRNAの調製に用いることができる。したがって本開示は、アグマチジン‐ジホスフェートを用いて、アグマチジンが導入された変異tRNAを製造する方法、および当該方法によって製造される変異tRNAに関する。また本開示は、アグマチジン‐ジホスフェートを用いて、アグマチジンが導入された変異tRNAであって、アミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している変異tRNA(アミノアシル変異tRNA)を製造する方法、および当該方法によって製造されるアミノアシル変異tRNAに関する。このような変異tRNAおよび/またはアミノアシル変異tRNAは、本開示における翻訳系において使用することができる。したがって本開示は、このような変異tRNAおよび/またはアミノアシル変異tRNAを含む翻訳系に関する。さらに本開示は、当該翻訳系を使用してペプチドまたはペプチドライブラリーを製造する方法をも提供する。また本開示は、当該方法によって製造されるペプチドまたはペプチドライブラリーをも提供する。
本開示においては、アグマチジンはtRNAの34位(tRNAナンバリング則に基づく)に導入されていてもよい。一態様において、tRNAナンバリング則の34位にアグマチジンが導入された変異tRNAは、1または複数(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上)のtRNAの核酸断片とアグマチジン‐ジホスフェートを調製し、これらを当業者に公知の手法によりライゲーションすることにより取得することができる。具体的には、一例として、tRNAの1位から33位の塩基からなる核酸断片、アグマチジン‐ジホスフェート、tRNAの35位から76位(またはtRNAの35位から75位、tRNAの35位から74位)の塩基からなる核酸断片を、5’側からこれらの順にライゲーションすることが挙げられる。3’末端のCA配列は除去されていてもよい。
本開示の化合物は、遊離体であることも塩であることもできる。本開示の化合物の塩としては、例えば、塩酸塩;臭化水素酸塩;ヨウ化水素酸塩;リン酸塩;ホスホン酸塩;硫酸塩;メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩などのカルボン酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などのアンモニウム塩などが挙げられる。本開示の化合物の塩は、例えば、本開示の化合物を酸や塩基と接触させることにより製造される。本開示の化合物は、水和物となる場合があり、そのような水和物も本開示の化合物の塩に含まれる。また本開示の化合物は、溶媒和物となる場合があり、そのような溶媒和物も、本開示の化合物の塩に含まれる。
一局面において、本発明は、下記式Aで表されるライシジン二リン酸もしくはその誘導体、またはアグマチジン二リン酸もしくはその誘導体の製造方法に関する。
Figure 2023182649000037
式A中、RおよびRは、それぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、RおよびRが共にHであることが好ましい。
式A中、Lは、ヒドロキシおよびC-Cアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンであり、該C-C直鎖アルキレンの炭素原子は、1個の酸素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい。C-C直鎖アルキレンはC-C直鎖アルキレンであることが好ましく、またC-C直鎖アルケニレンは、C-C直鎖アルケニレンであることが好ましい。このようなLとして具体的には、たとえば、-(CH-、-(CH-、-(CH、-(CH-O-CH-、-(CH-S-CH-、-CHCH(OH)(CH-、または-CHCH=CH-(シスまたはトランス)などが挙げられる。
式A中、Mは、単結合、
Figure 2023182649000038

である。波線は炭素原子との結合点を示し、*は、水素原子との結合点を示し、**は窒素原子との結合点を示す。Mが単結合である場合、Mに結合したHは存在しない。たとえば、Mが
Figure 2023182649000039

である場合、式Aの化合物は、以下:
Figure 2023182649000040

のとおりに表すことができ、Mが
Figure 2023182649000041

である場合、式Aの化合物は、以下:
Figure 2023182649000042

のとおりに表すことができ、Mが単結合である場合、式Aの化合物は以下:
Figure 2023182649000043

のとおりに表すことができる。
式Aで表される化合物として好ましくは、ライシジン二リン酸、アグマチジン二リン酸、またはこれらの塩である。
ある態様において、式Aで表される化合物は、以下のスキーム1に沿って製造することができる。
スキーム1:
Figure 2023182649000044

Figure 2023182649000045

Figure 2023182649000046

Figure 2023182649000047
スキーム1の工程1は、式B1で表される化合物を分子内で環化して、式C1で表される化合物を得る工程である。この工程は、分子内環化試薬の存在下、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
式B1で表される化合物は、商業的供給業者から入手するか、あるいは文献既知の方法を用いて製造することができる。式B1中のPG11は、アミノ基の保護基であり、上記スキーム1に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、たとえば、酸やフッ化物イオンによって脱保護されない保護基が好ましい。PG11として具体的には、たとえば、p-ブロモベンゾイル、置換されていてもよいベンゾイル、ピリジンカルボニル、アセチルなどが例示される。
分子内環化試薬は、特に限定されないが、アゾジカルボン酸ジイソプロピルおよびトリフェニルホスフィンを好ましく用いることができる。
溶媒としては、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒を挙げることができ、ジクロロメタンを好ましく用いることができる。
スキーム1の工程2は、式C1で表される化合物に式D1で表されるアミンを導入して、式E1で表される化合物を得る工程である。この工程は、アミン導入試薬の存在下、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
アミン導入試薬は、特に限定されないが、塩化リチウムおよびDBUを好ましく用いることができる。
溶媒としては、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒を挙げることができ、本工程ではテトラヒドロフランが好ましく用いられる。
スキーム1の工程3Aおよび工程3Bは、式E1で表される化合物にPG12および/またはPG13を導入して、式F1Aまたは式F1Bで表される化合物を得る工程である。式E1のRがアルキルである場合には、PG13のみが導入されて式F1Aとなり、式E1のRが水素である場合には、PG12およびPG13が導入されて、式F1Bとなる。この工程は、保護基導入試薬の存在下、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
PG12はアミノ基の保護基であり、PG13はカルボキシル基またはイミノ基の保護基である。これらの保護基は、上記スキーム1に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、たとえば、酸やフッ化物イオンによって脱保護されない保護基が好ましい。PG12としてはFmocが好ましく用いられ、PG13としてはMが
Figure 2023182649000048

の場合にはメチル、エチル、または置換されていてもよいベンジルが、Mが
Figure 2023182649000049

の場合には置換されていてもよいベンジル、Cbzまたは置換されていてもよいベンジルオキシカルボニルが好ましく用いられる。PG12とPG13は同時に導入してもよく、順番に導入してもよい。順番に導入する場合には、PG12とPG13のどちらを先に導入してもよいが、PG12を導入し、次いでPG13を導入することが好ましい。保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができるが、PG12がFmocである場合には、その導入に、炭酸(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(9H-フルオレン-9-イル)メチルおよび炭酸ナトリウムを用いることが好ましく、PG13がメチルである場合には、その導入にN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、メタノール、およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジンを用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒を挙げることができ、Fmocの導入にはジオキサンが、メチルの導入にはジクロロメタンがそれぞれ好ましく用いられる。
スキーム1の工程4Aおよび工程4Bは、式F1Aまたは式F1Bで表される化合物からアセトニドを除去し、PG14およびPG15を導入して式G1Aまたは式G1Bで表される化合物を得る工程である。アセトニドの除去は酸の存在下で、保護基の導入は保護基導入試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
PG14およびPG15はそれぞれ独立して水酸基の保護基であり、上記スキーム1に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、例えばフッ化物イオンによって脱保護されるシリル系の保護基を好ましく用いることができる。PG14およびPG15としてはこれらが一緒になって二価の保護基を形成することが好ましく、そのような保護基として具体的には、たとえば、ジ-tert-ブチルシリルが挙げられる。アセトニドの除去、および保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができるが、アセトニドの除去に用いる酸としてはTFAが好ましい。またPG14およびPG15が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成する場合には、その導入には、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリルを用いることが好ましい。
アセトニドの除去に用いる溶媒としては、水、カルボン酸系溶媒を挙げることができ、水とTFAの混合溶媒を好ましく用いることができる。また、PG14およびPG15の導入には、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、DMFが好ましく用いられる。
スキーム1の工程5Aおよび工程5Bは、式G1Aまたは式G1Bで表される化合物にPG16を導入して式H1Aまたは式H1Bで表される化合物を得る工程である。PG16の導入は保護基導入試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
PG16は、水酸基および/またはアミノ基の保護基であり、上記スキーム1に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、たとえば、フッ化物イオンによって脱保護されない保護基が好ましい。PG16としてはTOMが好ましい。保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができるが、PG16がTOMである場合には、その導入に、DIPEA、および塩化(トリイソプロピルシロキシ)メチルを用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、ジクロロメタンが好ましく用いられる。
スキーム1の工程6Aおよび工程6Bは、式G1Aまたは式G1Bで表される化合物からPG14およびPG15を除去して式I1Aまたは式I1Bで表される化合物を得る工程である。PG14およびPG15の除去は脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
脱保護試薬は、PG14およびPG15のみを選択的に除去することができれば、任意の試薬を用いることができるが、PG14およびPG15が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成する場合には、その除去にフッ化物イオンを生じる試薬、具体的には、たとえばフッ化水素ピリジンコンプレックスを用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、THFが好ましく用いられる。
スキーム1の工程7Aおよび工程7Bは、式I1AまたはI1Bで表される化合物を亜リン酸エステル化し、次いで酸化して、式J1AまたはJ1Bで表される化合物を得る工程である。亜リン酸エステル化は、亜リン酸エステル化試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。酸化は、酸化試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。亜リン酸エステル化後に化合物を単離してもよいが、亜リン酸エステル化反応と酸化反応をワンポットで行うことが好ましい。
式J1AまたはJ1B中、PG17は、水酸基の保護基であり、上記スキーム1に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、PG11、PG12、PG13と同時に脱保護できる保護基が好ましい。PG17としては具体的には、たとえば、シアノエチルが挙げられる。水酸基が保護基で保護された亜リン酸エステル化試薬を用いてもよく、無保護の亜リン酸エステル化試薬を用いたのちに、水酸基に保護基を導入してもよい。保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができる。水酸基がシアノエチル基で保護された亜リン酸エステル化試薬を用いる場合、亜リン酸エステル化試薬としては、ビス(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルアミノホスホルアミジットが好ましく用いられる。亜リン酸エステル化に続く酸化に用いる酸化剤は、特に限定されないが、tert-ブチルヒドロペルオキシドを好ましく用いることができる。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒を挙げることができ、アセトニトリルが好ましく用いられる。
スキーム1の工程8Aおよび工程8Bは、式J1Aで表される化合物からPG11、PG12、PG13、およびPG17を除去して、あるいは式J1Bで表される化合物からPG11、PG13、およびPG17を除去して、式K1で表される化合物を得る工程である。これら保護基の除去は、脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
脱保護試薬は、上記の保護基が選択的に除去することができれば任意の試薬を使用することができる。このような試薬として、具体的には、たとえば、ビス-(トリメチルシリル)アセトアミドおよびDBUを組み合わせて用いることが挙げられる。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミン系溶媒を挙げることができ、ピリジンが好ましく用いられる。
スキーム1の工程9は、式K1で表される化合物からPG16を除去して、式Aで表される化合物を得る工程である。PG16の除去は、脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
脱保護試薬は、PG16が選択的に除去することができれば任意の試薬を使用することができ、フッ化アンモニウムを好ましく用いることができる。
溶媒としては、例えば、水、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒を挙げることができ、水とアセトニトリルの混合溶媒を好ましく用いることができる。
ある態様において、式Aで表される化合物は、以下のスキーム2に沿って製造することができる。
スキーム2:
Figure 2023182649000050

Figure 2023182649000051

Figure 2023182649000052

Figure 2023182649000053
スキーム2の工程1は、式B2で表される化合物を分子内で環化して、式C2で表される化合物を得る工程である。この工程は、分子内環化試薬の存在下、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
式B2で表される化合物は、商業的供給業者から入手するか、あるいは文献既知の方法を用いて製造することができる。式B2中のPG21は、アミノ基の保護基であり、上記スキーム2に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、たとえば、酸やフッ化物イオンによって脱保護されない保護基が好ましい。PG21として具体的には、たとえば、Cbz、置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル、または置換されていてもよいベンジルなどが例示される。
分子内環化試薬は、特に限定されないが、アゾジカルボン酸ジイソプロピルおよびトリフェニルホスフィンを好ましく用いることができる。
溶媒としては、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒を挙げることができ、ジクロロメタンを好ましく用いることができる。
スキーム2の工程2は、式C2で表される化合物に式D2AまたはD2Bで表されるアミンを導入して、式E2AまたはE2Bで表される化合物を得る工程である。この工程は、アミン導入試薬の存在下、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
アミン導入試薬は、特に限定されないが、塩化リチウムおよびDBUを好ましく用いることができる。
溶媒としては、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒を挙げることができ、本工程ではTHFが好ましく用いられる。
スキーム2の工程3Aおよび工程3Bは、式E2AまたはE2Bで表される化合物からアセトニドを除去し、PG24およびPG25を導入して、式F2AまたはF2Bで表される化合物を得る工程である。アセトニドの除去は酸の存在下で、保護基の導入は保護基導入試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
PG24およびPG25はそれぞれ独立して水酸基の保護基であり、上記スキーム2に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、例えばフッ化物イオンによって脱保護されるシリル系の保護基を好ましく用いることができる。PG24およびPG25としてはこれらが一緒になって二価の保護基を形成することが好ましく、そのような保護基として具体的には、たとえば、ジ-tert-ブチルシリルが挙げられる。アセトニドの除去、および保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができるが、アセトニドの除去に用いる酸としてはTFAが好ましい。またPG24およびPG25が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成する場合には、その導入には、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリルを用いることが好ましい。
アセトニドの除去に用いる溶媒としては、水、カルボン酸系溶媒を挙げることができ、水とTFAの混合溶媒を好ましく用いることができ、PG24およびPG25の導入には、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、DMFが好ましく用いられる。
スキーム2の工程4Aおよび工程4Bは、式F2AまたはF2Bで表される化合物にPG26を導入して、式G2AまたはG2Bで表される化合物を得る工程である。PG26の導入は保護基導入試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
PG26は、水酸基の保護基であり、上記スキーム2に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、たとえば、フッ化物イオンによって脱保護されない保護基が好ましい。PG26としてはテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、またはメトキシメチルが好ましい。保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができるが、PG16がテトラヒドロピラニルである場合には、その導入に、TFA、および3,4-ジヒドロ-2H-ピランを用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、ジクロロメタンが好ましく用いられる。
スキーム2の工程5Aおよび工程5Bは、式G2AまたはG2Bで表される化合物からPG24およびPG25を除去して、式H2AまたはH2Bで表される化合物を得る工程である。PG24およびPG25の除去は脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
脱保護試薬は、PG24およびPG25のみを選択的に除去することができれば、任意の試薬を用いることができるが、PG24およびPG25が一緒になってジ-tert-ブチルシリルを形成する場合には、その除去にフッ化物イオンを生じる試薬、具体的には、たとえばテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒を挙げることができ、THFが好ましく用いられる。
スキーム2の工程6Aおよび工程6Bは、式H2AまたはH2Bで表される化合物を亜リン酸エステル化し、次いで酸化して、式I2AまたはI2Bで表される化合物を得る工程である。亜リン酸エステル化は、亜リン酸エステル化試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。酸化は、酸化試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。亜リン酸エステル化後に化合物を単離してもよいが、亜リン酸エステル化反応と酸化反応をワンポットで行うことが好ましい。
式I2AまたはI2B中、PG27は、水酸基の保護基であり、上記スキーム2に沿った反応の進行に支障がないかぎり、任意の保護基を使用することができ、PG21、PG22、PG23と同時に脱保護できる保護基が好ましい。PG27としては具体的には、たとえば、ベンジルが挙げられる。水酸基が保護基で保護された亜リン酸エステル化試薬を用いてもよく、無保護の亜リン酸エステル化試薬を用いたのちに、水酸基に保護基を導入してもよい。保護基の導入には、例えば、「Greene’s,“Protective Groups in Organic Synthesis”(第5版,John Wiley & Sons 2014)」に記載の方法を利用することができる。水酸基がベンジルで保護された亜リン酸エステル化試薬を用いる場合、亜リン酸エステル化試薬としては、ジベンジルN,N-ジイソプロピルホスホロアミダイトが好ましく用いられる。亜リン酸エステル化に続く酸化に用いる酸化剤は、特に限定されないが、デス-マーチンペルヨージナンを好ましく用いることができる。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒を挙げることができ、アセトニトリルが好ましく用いられる。
スキーム2の工程7Aおよび工程7Bは、I2Aで表される化合物からPG21、PG22、PG23、およびPG27を除去して、あるいは式I2Bで表される化合物からPG21、PG23、およびPG27を除去して、式J2で表される化合物を得る工程である。これら保護基の除去は、脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
上記の保護基を選択的に除去することができれば、脱保護には任意の方法を使用することができる。このような方法として具体的には、たとえば、接触水素化が挙げられる。接触水素化には、Pd系触媒、例えばパラジウム/炭素を好ましく用いることができる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミン系溶媒を挙げることができ、水とメタノールの混合溶媒を好ましく用いることができる。
スキーム2の工程8は、式J2で表される化合物からPG26を除去して、式Aで表される化合物を得る工程である。PG26の除去は、脱保護試薬の存在下で、溶媒中、-20℃~溶媒の沸点付近の温度、好ましくは0℃~180℃の温度で、反応混合物を15分~48時間攪拌することで行うことができる。
脱保護試薬は、PG26が選択的に除去することができれば任意の試薬を使用することができ、塩酸を好ましく用いることができる。
溶媒としては、例えば、水、ハロゲン化溶媒、エーテル系溶媒、ベンゼン系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒を挙げることができ、水を好ましく用いることができる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中では以下の略号を使用した。
AA 酢酸アンモニウム
CHCN シアノメチル基
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DCM ジクロロメタン
DIC N,N-ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
FA ギ酸
Fmoc 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基
F-Pnaz 4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジルオキシカルボニル基:
Figure 2023182649000054

HFIP 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール
MeCN アセトニトリル
NMP N-メチル-2-ピロリドン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
TFE 2,2,2-トリフルオロエタノール
THF テトラヒドロフラン
また、本実施例では、以下の略号を用いた。GlyまたはG(グリシン)、IleまたはI(イソロイシン)、LeuまたはL(ロイシン)、PheまたはF(フェニルアラニン)、ProまたはP(プロリン)、ThrまたはT(トレオニン)。これらに加えて、表2に記載の略号を用いた。
Figure 2023182649000055
また、LCMSの分析条件を、下記の表3及び表3-1に示す。
Figure 2023182649000056

Figure 2023182649000057
実施例1.ligation法によりtRNA断片の3’末端にUridineユニットを導入するためのUridine-diphosphateの合成
tRNA断片の3’末端にUridineユニットをligation法により導入するために、文献(Nucleic Acids Research 2003,31(22),e145)記載の方法を参考にしUridine-diphosphate(SS01、pUp)を合成した。
リン酸二水素((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-3-(ホスホノオキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物SS02)とリン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-ヒドロキシ-4-(ホスホノオキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物SS03)の混合物(化合物SS01、pUp)の合成
Figure 2023182649000058
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(10mg、0.041mmol)およびピロリン酸テトラクロリド(56.6μL、0.409mmol)を氷浴下で混合した。反応混合物を0℃で5時間撹拌後、氷冷した純水(38mL)および重炭酸トリエチルアンモニウムバッファー(1M、2mL)を氷冷下で加えた。混合物をDEAEーSephadex A-25カラムクロマトグラフィー(0.05M重炭酸トリエチルアンモニウムバッファー⇒1M重炭酸トリエチルアンモニウムバッファー)にて精製し、集めた溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15mM TEAと400mM HFIPの水溶液/15mM TEAと400mM HFIPのメタノール溶液)にて精製し、リン酸二水素((2R,3S,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-3-(ホスホノオキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物SS02)とリン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-3-ヒドロキシ-4-(ホスホノオキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物SS03)の混合物(化合物SS01、pUp)の水溶液(100μL、40.30mM)を得た。
LCMS(ESI) m/z=403(M-H)-
保持時間:1.79分、1.89分(分析条件LTQTEA/HFIP05_01)
実施例2.ligation法によりtRNA断片の3’末端にLysidineユニットを導入するためのLysidine-diphosphateの合成
tRNA断片の3’末端にLysidineユニットをligation法により導入するために、Lysidineのdiphosphateを合成した。すなわち、以下のスキームに従い、Lysidine-diphosphate(SS04、pLp)を合成した。
Figure 2023182649000059
N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS05)の合成
Figure 2023182649000060
窒素雰囲気下、(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-L-リシン 塩酸塩(813mg、2.01mmol)、塩化リチウム(213mg、5.02mmol)および文献(Org. Lett.2012,14(16),4118-4121)記載の方法で合成したN4-p-ブロモベンゾイル-2’,3’-O-イソプロピリデン-O2,5’-シクロシチジン(300mg、0.67mmol)の混合物に室温にてTHF(6.7mL)を添加した。混合物を氷浴で冷却後、DBU(1.50mL、10.04mmol)を添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%FA水溶液/0.1%FAアセトニトリル溶液)にて精製し、N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS05)(335.6mg、71%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=594(M+H)+
保持時間:0.41分(分析条件SQDFA05_01)
N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS06)の合成
Figure 2023182649000061
N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS05)(311.12mg、0.44mmol)および炭酸(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(9H-フルオレン-9-イル)メチル(148.09mg、0.44mmol)を1,4-ジオキサン(2.75ml)と超純水(1.65ml)の混合溶媒に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後炭酸ナトリウム(186.22mg、1.76mmol)を加えて室温に昇温後室温で2時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS06)(328.78mg、80%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=816(M+H)+
保持時間:0.68分(分析条件SQDFA05_01)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS07)の合成
Figure 2023182649000062
窒素雰囲気下、N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン化合物 2,2,2-トリフルオロ酢酸塩(化合物SS06)(438.60mg、0.47mmol)をDCM(4.71ml)に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(221.40μl、1.41mmol)、メタノール(382.07μl、9.42mmol)およびN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(11.51mg、0.09mmol)を加えて室温に昇温後室温で2時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS07)(405.00mg、91%)を得た。
LCMS(ESI) m/z 828(M-H)-
保持時間:0.76分(分析条件SQDFA05_02)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS08)の合成
Figure 2023182649000063
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS07)(308.70mg、0.33mmol)をTFA(8.71ml)と超純水(4.36ml)の混合溶媒に氷浴で冷却しながら溶解し、混合物を室温で45分間攪拌した。反応液を濃縮し、粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS08)(296.00mg)を得た。得られた粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS08)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=790(M+H)+
保持時間:0.70分(分析条件SQDFA05_02)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-ヒドロキシテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS09)の合成
Figure 2023182649000064
窒素雰囲気下、前工程にて得られた粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート 2,2,2-トリフルオロアセタート(化合物SS08)(296.00mg、0.33mmol)をDMF(3.27ml)に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(211.80μl、0.65mmol)を加えて氷浴下で1時間攪拌した。さらにビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(158.85μl、0.49mmol)を加え、氷浴下で30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、DCMで得られた混合物の抽出操作を行い有機層を飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル、ジクロロメタン/メタノール)にて精製し、メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-ヒドロキシテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS09)(273.80mg、90%、2steps)を得た。
LCMS(ESI) m/z=928.5(M-H)-
保持時間:0.92分(分析条件SQDFA05_02)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS10)の合成
Figure 2023182649000065
窒素雰囲気下、メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-ヒドロキシテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS09)(386.15mg、0.42mmol)をDCM(8.30ml)に室温にて溶解し、DIPEA(722.88μl、4.15mmol)および塩化(トリイソプロピルシロキシ)メチル(481.40μl、2.07mmol)を加えた。反応混合物を45℃で3時間撹拌後、室温に戻しDIPEA(722.88μl、4.15mmol)および塩化(トリイソプロピルシロキシ)メチル(481.40μl、2.07mmol)を加え、反応混合物を45℃で4時間攪拌した。室温に戻し、DMSOを加えた後に窒素を吹き付けDCMを除き、得られたDMSO溶液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製した。得られたフラクションを飽和炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで目的化合物の抽出操作を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧濃縮し、メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS10)(291.55mg、54%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1303(M+H)+
保持時間:0.84分(分析条件SQDFA50)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS11)の合成
Figure 2023182649000066
窒素雰囲気下、メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジ-tert-ブチル-7-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS10)(141.55mg、0.11mmol)をTHF(2.17ml)に室温にて溶解し、―80℃に冷却した。フッ化水素ピリジンコンプレックス(~30%ピリジン、~70%フッ化水素)(9.85μl)をピリジン(134.41μl)で希釈したものを―80℃で加え、反応混合物を―15℃で15分間撹拌した。―80℃に冷却後、メトキシトリメチルシラン(7.0ml)を加え、得られた混合物を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製した。得られたフラクションを飽和炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで目的化合物の抽出操作を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、トルエンを加えて減圧濃縮し、粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS11)(61.53mg)を得た。得られた粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS11)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=1162.8(M+H)+
保持時間:3.69分(分析条件SQDFA05long)
メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)-5-(((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS12)の合成
Figure 2023182649000067
窒素雰囲気下、粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)-1-((2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS11)(61.53mg、0.053mmol)および1H―テトラゾール(44.48mg、0.64mmol)をアセトニトリル(3.53ml)に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後ビス(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルアミノ ホスホルアミジット(82.77μl、0.32mmol)を加えて室温に昇温後室温で3時間攪拌した。tert-ブチル ヒドロペルオキシド,5-6M in デカン(303.92μl、3.17mmol)を加えて室温で10分間攪拌した後に、反応液を濃縮し、得られた残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ノルマルヘキサン/酢酸エチル、ジクロロメタン/メタノール)にて精製し、粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)-5-(((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS12)(54.33mg)を得た。得られた粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)-5-(((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS12)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=1534.9(M+H)+
保持時間:3.62分(分析条件SQDFA05long)
N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-((((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)アミノ)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS13)の合成
Figure 2023182649000068
窒素雰囲気下、粗生成物メチル N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)-5-(((ビス(2-シアノエトキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-(4-ブロモ-N-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)ベンズアミド)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシナート(化合物SS12)(54.33mg、0.035mmol)をピリジン(2.36ml)に室温にて溶解し、ビス-(トリメチルシリル)アセトアミド(345.98μl、1.42mmol)およびDBU(84.64μl、0.57mmol)を加えて室温で45分間攪拌した。反応液に超純水を加え、ジエチルエーテルおよびノルマルヘキサンで洗浄した。得られた水層にトルエンおよびアセトニトリルを加えて減圧濃縮し、粗生成物N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-((((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)アミノ)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS13)を得た。得られた粗生成物N6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-((((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)アミノ)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS13)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=904.7(M+H)+
保持時間:0.79分(分析条件SQDFA05_02)
N6-(4-アミノ-1-((2R,3R,4S,5R)-3-ヒドロキシ-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS04、pLp)の合成
Figure 2023182649000069
粗生成物メチルN6-(1-((2R,3R,4R,5R)-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)-3-(((トリイソプロピルシリル)オキシ)メトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-4-((((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル)アミノ)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS13)をアセトニトリル(885μl)と超純水(885μl)の混合溶媒に室温にて溶解し、フッ化アンモニウム(15.73mg、0.43mmol)を加えて60℃で2.5時間攪拌した。室温に戻し、フッ化アンモニウム(15.73mg、0.43mmol)を追加し60℃で1時間攪拌した。室温に戻し、窒素を吹き付けアセトニトリルを除き、得られた水溶液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(15mM TEAと400mM HFIPの水溶液/15mM TEAと400mM HFIPのメタノール溶液)にて精製し、N6-(4-アミノ-1-((2R,3R,4S,5R)-3-ヒドロキシ-4-(ホスホノオキシ)-5-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2(1H)-イリデン)-L-リシン(化合物SS04、pLp)の水溶液(100μl、17.20mM)を得た。
LCMS(ESI) m/z=530(M-H)-
保持時間:1.64分(分析条件LTQTEA/HFIP05_02)
実施例3.ligation法によりtRNA断片の3’末端にLysidineユニットを導入するためのLysidine-diphosphateの合成 別法
tRNA断片の3’末端にLysidineユニットをligation法により導入するために用いるLysidineのdiphosphateの合成法を改良した。すなわち、以下のスキームに従い、Lysidine-diphosphate(SS04、pLp)を合成した。
Figure 2023182649000070
((3aR,4R,12R,12aR)-2,2-ジメチル-3a,4,12,12a-テトラヒドロ-5H,8H-4,12-エポキシ[1,3]ジオキソロ[4,5-e]ピリミド[2,1-b][1,3]オキサゾシン-8-イリデン)カルバミン酸ベンジル(化合物SS24)の合成
Figure 2023182649000071
窒素雰囲気下、文献(Antiviral Chemistry & Chemotherapy,2003,14(4),183-194)既知化合物2’,3’-O-イソプロピリデン-4-N-(ベンジル-オキシ-カルボニル)-シチジン(718.2mg、1.72mmol)およびトリフェニルホスフィン(474mg、1.81mmol)の混合物に室温にてDCM(17.2mL)を添加した。混合物を氷浴で冷却後、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(385μL、1.98mmol)を加えて室温に昇温後室温で1.5時間攪拌した。反応液を濃縮し、トルエン(20mL)を加えたのち、生じた沈殿物をろ過により回収した。トルエンを用いて得られた固体を3回洗浄し、((3aR,4R,12R,12aR)-2,2-ジメチル-3a,4,12,12a-テトラヒドロ-5H,8H-4,12-エポキシ[1,3]ジオキソロ[4,5-e]ピリミド[2,1-b][1,3]オキサゾシン-8-イリデン)カルバミン酸ベンジル(化合物SS24)(525.7mg、76%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=400.3(M+H)+
保持時間:0.48分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル (2S)-6-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS25)の合成
Figure 2023182649000072
窒素雰囲気下、((3aR,4R,12R,12aR)-2,2-ジメチル-3a,4,12,12a-テトラヒドロ-5H,8H-4,12-エポキシ[1,3]ジオキソロ[4,5-e]ピリミド[2,1-b][1,3]オキサゾシン-8-イリデン)カルバミン酸ベンジル(化合物SS24)(300mg、0.75mmol)および塩化リチウム(159mg、3.76mmol)の混合物に室温にてTHF(7.5mL)を添加し氷浴で冷却した。その混合物に、ベンジル((ベンジルオキシ)カルボニル)-L-リシナート ベンゼンスルホナート(813mg、2.01mmol)およびDBU(673μL、4.51mmol)の混合物にTHF(7.5mL)を加えたものを氷浴下で添加し、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応液に氷浴下でDMSOを加え、室温に昇温後反応液を濃縮しTHFを留去した。残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、ベンジル (2S)-6-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS25)(726.6mg)を定量的に得た。
LCMS(ESI) m/z=768.6(M-H)-
保持時間:0.74分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル (2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS26)の合成
Figure 2023182649000073
ベンジル (2S)-6-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS25)(281.1mg、0.318mmol)をTFA(4.24mL)と超純水(2.12mL)の混合溶媒に氷浴で冷却しながら溶解し、混合物を室温で50分間攪拌した。トルエンおよびアセトニトリルを加え反応液を濃縮した。この操作を数回繰り返して水およびTFAを留去し、粗生成物ベンジル (2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS26)(272.6mg)を得た。得られた粗生成物ベンジル (2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS26)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=728.5(M-H)-
保持時間:0.69分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS27)の合成
Figure 2023182649000074
窒素雰囲気下、前工程にて得られた粗生成物ベンジル (2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS26)(258mg、0.306mmol)をDMF(3.06mL)に溶解し、混合物を氷浴で冷却後ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(396μl、1.22mmol)を加えて氷浴下で2時間攪拌した。反応液に氷浴下で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、得られた混合物を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS27)(234.0mg、78%、2steps)を得た。
LCMS(ESI) m/z=868.8(M-H)-
保持時間:0.88分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS28)の合成
Figure 2023182649000075
窒素雰囲気下、ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS27)(30mg、0.03mmol)およびTFA(6.98μL、0.09mmol)をDCM(610μL)に室温にて溶解し、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(83μL、0.915mmol)を加えた。反応混合物を室温で13時間撹拌後、トルエンを加え反応液を濃縮し、粗生成物ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS28)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。得られた粗生成物ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS28)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=952.8(M-H)-
保持時間:3.17分、3.38分(分析条件SQDAA50long)
(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS29)の合成
Figure 2023182649000076
窒素雰囲気下、前工程にて得られた粗生成物ベンジル (2S)-6-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ヘキサノアート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS28)をTHF(610μL)に室温にて溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(~1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(305μL、~0.305mmol)を室温で加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応液にDMSOを加えて濃縮しTHFを留去した。残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10mM AA水溶液/10mM AAアセトニトリル溶液)にて精製し、(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS29)(21.51mg、87%、2steps)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。
LCMS(ESI) m/z=812.7(M-H)-
保持時間:1.74分(分析条件SQDAA50long)
(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS30)の合成
Figure 2023182649000077
窒素雰囲気下、(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS29)(21.51mg、0.026mmol)および1H―テトラゾール(22.22mg、0.317mmol)をアセトニトリル(1.06mL)に室温にて溶解し、ジベンジル N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(53.2μl、0.159mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。デス-マーチンペルヨージナン(135mg、0.317mmol)を加えて室温で15分間攪拌した後に、反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10mM AA水溶液/10mM AAアセトニトリル溶液)にて精製し、(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS30)(36.59mg、2steps)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として定量的に得た。
LCMS(ESI) m/z=1332.8(M-H)-
保持時間:3.08分、3.11分(分析条件SQDAA50long)
(2S)-2-アミノ-6-[[4-アミノ-1-[(2R,3R,4S,5R)-3-ヒドロキシ-4-ホスホノオキシ-5-(ホスホノオキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸(化合物SS04、pLp)の合成
Figure 2023182649000078
(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸ベンジル(化合物SS30)(36.59mg、0.027mmol)をメタノール(649μL)と超純水(152μL)の混合溶媒に室温にて溶解し、窒素雰囲気下でパラジウム/炭素(Pd10%)(5.84mg、5.48μmol)を加えた。水素雰囲気下、室温で18時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、超純水を用いて数回洗浄した。得られたろ液(24.66mL)に1mol/L塩酸(2.74mL、2.74mmol)を加え、室温にて1時間静置した。反応液をセライトろ過し、超純水を用いて数回洗浄した。ろ液を凍結乾燥したのち得られた粉体を再度超純水(1.52mL)を用いて溶解し、遠心分離を行い上澄みを回収することで(2S)-2-アミノ-6-[[4-アミノ-1-[(2R,3R,4S,5R)-3-ヒドロキシ-4-ホスホノオキシ-5-(ホスホノオキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ヘキサン酸(化合物SS04、pLp)の水溶液(1.37mL、17.47mM、87%、2steps)を得た。
LCMS(ESI) m/z=530.1(M-H)-
保持時間:1.60分(分析条件LTQTEA/HFIP05_02)
実施例2にて合成した化合物SS04を分析してから実施例3にて合成した化合物SS04を分析するまでの間にカラムの交換を実施している。実施例2にて合成した化合物SS04をカラム交換後に再分析し、実施例3にて合成した化合物SS04と同一であることを確認した。その結果を以下に示す。
LCMS(ESI) m/z=530.1(M-H)-
保持時間:1.60分(分析条件LTQTEA/HFIP05_02)
実施例4.ligation法によりtRNA断片の3’末端にAgmatidineユニットを導入するためのAgmatidine-diphosphateの合成
tRNA断片の3’末端にAgmatidineユニットをligation法により導入するために、Agmatidineのdiphosphateを合成した。すなわち、以下のスキームに従い、Agmatidine-diphosphate(SS31、p(Agm)p)を合成した。
Figure 2023182649000079
ベンジル N-[(4-アミノブチルアミノ)-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;塩酸塩(化合物SS32)の合成
Figure 2023182649000080
窒素雰囲気下、文献(Chemistry A European Journal,2015,21(26),9370-9379)既知化合物N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(241mg、0.483mmol)に氷浴下にて4N-HCl/1,4-Dioxane(3.63mL)を添加し、室温に昇温後20分間攪拌した。n-ヘキサンを加えたのち、反応液を濃縮しベンジル N-[(4-アミノブチルアミノ)-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;塩酸塩(化合物SS32)(256.5mg)を定量的に得た。
LCMS(ESI) m/z=399.4(M+H)+
保持時間:0.61分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル N-[[4-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS33)の合成
Figure 2023182649000081
窒素雰囲気下、ベンジル N-[(4-アミノブチルアミノ)-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;塩酸塩(SS32)(65.1mg、0.150mmol)およびDBU(112μL、0.748mmol)の混合物に室温にてTHF(0.998mL)を添加し氷浴で冷却した。その混合物に、((3aR,4R,12R,12aR)-2,2-ジメチル-3a,4,12,12a-テトラヒドロ-5H,8H-4,12-エポキシ[1,3]ジオキソロ[4,5-e]ピリミド[2,1-b][1,3]オキサゾシン-8-イリデン)カルバミン酸ベンジル(化合物SS24)(49.8mg、0.125mmol)および塩化リチウム(26.4mg、0.624mmol)の混合物にTHF(1.497mL)を加えたものを氷浴下で添加し、反応混合物を超音波洗浄機で粉砕後氷浴下で60分間撹拌した。反応液に氷浴下でDMSOを加え、室温に昇温後反応液を濃縮しTHFを留去した。残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、ベンジル N-[[4-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS33)(74.0mg、65%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=796.6(M-H)-
保持時間:0.78分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS34)の合成
Figure 2023182649000082
ベンジル N-[[4-[[1-[(3aR,4R,6R,6aR)-6-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-3a,4,6,6a-テトラヒドロフロ[3,4-d][1,3]ジオキソール-4-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS33)(109.5mg、0.120mmol)をTFA(1.60mL)と超純水(0.80mL)の混合溶媒に氷浴で冷却しながら溶解し、混合物を室温で45分間攪拌した。トルエンを加え反応液を濃縮する操作を数回繰り返して水およびTFAを留去し、粗生成物ベンジル N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS34)(105mg)を得た。得られた粗生成物ベンジル N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS34)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=756.5(M-H)-
保持時間:0.71分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS35)の合成
Figure 2023182649000083
窒素雰囲気下、前工程にて得られた粗生成物ベンジル N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS34)(105mg、0.120mmol)をDMF(1.20mL)に溶解し、混合物を氷浴で冷却後ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(78μL、0.241mmol)を加えて氷浴下で1時間攪拌した。さらにビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(78μL、0.241mmol)を加え、氷浴下で30分間攪拌した。さらにビス(トリフルオロメタンスルホン酸)ジ-tert-ブチルシリル(19.5μL、0.060mmol)を加え、氷浴下で15分間攪拌した。反応液に氷浴下で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、得られた混合物を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%TFA水溶液/0.05%TFAアセトニトリル溶液)にて精製し、ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS35)(108.02mg、89%、2steps)を得た。
LCMS(ESI) m/z=896.7(M-H)-
保持時間:0.91分(分析条件SQDFA05_02)
ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS36)の合成
Figure 2023182649000084
窒素雰囲気下、ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aS)-2,2-ジテルト-ブチル-7-ヒドロキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS35)(64.51mg、0.064mmol)および3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(173μL、1.912mmol)をDCM(1.28mL)に溶解し、混合物を氷浴で冷却後TFA(14.60μL、0.191mmol)を加えた。反応混合物を室温に昇温し22.5時間撹拌後、トルエンを加え反応液を濃縮し、粗生成物ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS36)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。得られた粗生成物ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS36)をそのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=980.9(M-H)-
保持時間:3.51分、3.72分(分析条件SQDAA50long)
N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS37)の合成
Figure 2023182649000085
窒素雰囲気下、前工程にて得られた粗生成物ベンジル N-[[4-[[1-[(4aR,6R,7R,7aR)-2,2-ジテルト-ブチル-7-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-4a,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-6-イル]-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチレン]カルバマート;2,2,2-トリフルオロ酢酸(化合物SS36)をTHF(1.28mL)に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後テトラブチルアンモニウムフルオリド(~1mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(638μL、~0.638mmol)を加えた。反応混合物を室温に昇温し30分間撹拌後、反応液にDMSOを加えて濃縮しTHFを留去した。残渣を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10mM AA水溶液/10mM AAアセトニトリル溶液)にて精製し、N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS37)(40.62mg、76%、2steps)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。
LCMS(ESI) m/z=840.7(M-H)-
保持時間:2.27分(分析条件SQDAA50long)
N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS38)の合成
Figure 2023182649000086
窒素雰囲気下、N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS37)(40.62mg、0.048mmol)および1H―テトラゾール(40.6mg、0.579mmol)をトルエンに溶解し濃縮した。その残渣をアセトニトリル(1.93mL)に室温にて溶解し、混合物を氷浴で冷却後ジベンジル N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(97μl、0.289mmol)を加えて反応混合物を室温に昇温し2.5時間撹拌した。デス-マーチンペルヨージナン(246mg、0.579mmol)を加えて室温で15分間攪拌した後に、反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10mM AA水溶液/10mM AAアセトニトリル溶液)にて精製し、N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS38)(59.66mg、91%、2steps)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。
LCMS(ESI) m/z=1363.0(M+H)+
保持時間:4.11分、4.14分(分析条件SQDAA05long)
リン酸二水素 [(2R,3S,4R,5R)-5-[4-アミノ-2-(4-グアニジノブチルイミノ)ピリミジン-1-イル]-4-ヒドロキシ-2-(ホスホノオキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル](化合物SS31、p(Agm)p)の合成
Figure 2023182649000087
N-[ベンジルオキシカルボニルアミノ-[4-[[4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-1-[(2R,3R,4R,5R)-4-ジベンジルオキシホスホリルオキシ-5-(ジベンジルオキシホスホリルオキシメチル)-3-テトラヒドロピラン-2-イルオキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2-イリデン]アミノ]ブチルアミノ]メチレン]カルバミン酸ベンジル(化合物SS38)(30.59mg、0.022mmol)をメタノール(727μL)と超純水(171μL)の混合溶媒に室温にて溶解し、窒素雰囲気下でパラジウム/炭素(Pd10%)(4.78mg、4.49μmol)を加えた。水素雰囲気下、室温で7時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、超純水を用いて数回洗浄した。得られたろ液(25mL)に1mol/L塩酸(2.78mL、2.78mmol)を加え、室温にて45分間静置した。反応液を凍結乾燥したのちに得られた粉体を超純水を用いて溶解し、セライトろ過し超純水を用いて数回洗浄した。ろ液を凍結乾燥したのちに得られた粉体を超純水(1.7mL)を用いて溶解し、遠心分離を行い上澄みを回収することでリン酸二水素[(2R,3S,4R,5R)-5-[4-アミノ-2-(4-グアニジノブチルイミノ)ピリミジン-1-イル]-4-ヒドロキシ-2-(ホスホノオキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル](化合物SS31、p(Agm)p)の水溶液(1.61mL、12.11mM、87%、2steps)を得た。
LCMS(ESI) m/z=514.1(M-H)-
保持時間:1.58分(分析条件LTQTEA/HFIP05_02)
実施例5.無細胞翻訳系に用いるpCpA-アミノ酸の合成
以下のスキームに従い、アミノアシル化pCpA(SS14、SS15、SS16、SS39、SS40)を合成した。
Figure 2023182649000088
(S)-1-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(化合物SS17、F-Pnaz-Pic2-OH)の合成
Figure 2023182649000089
窒素雰囲気下、(S)-ピペリジン-2-カルボン酸(42.6mg、0.33mmol)、特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した炭酸-(4-ニトロフェニル)-4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル(化合物ts11)(140mg、0.44mmol)の混合物に室温にてDMF(330μL)を添加した。室温で5分撹拌した後、トリエチルアミン(105.6μL、2.25mmol)を0℃にて添加した。反応混合物を室温において30分間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、(S)-1-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(化合物SS17、F-Pnaz-Pic2-OH)(92mg、67%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=413(M-H)-
保持時間:0.70分(分析条件SQDFA05_01)
(S)-ピペリジン-1,2-ジカルボン酸 1-(4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル) 2-(シアノメチル)(化合物SS18、F-Pnaz-Pic2-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000090
窒素雰囲気下、((S)-1-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(化合物SS17、F-Pnaz-Pic2-OH)(30mg、0.072mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(20.23μL、0.116mmol)をアセトニトリル(90μL)に溶解し、2-ブロモアセトニトリル(5.34μL、0.080mmol)を0℃において加え、室温で2時間撹拌した。反応液を濃縮し、粗生成物(S)-ピペリジン-1,2-ジカルボン酸 1-(4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル) 2-(シアノメチル)(化合物SS18、F-Pnaz-Pic2-OCHCN)を得た。得られた粗生成物をアセトニトリル(2.00mL)に溶解し、そのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=452(M-H)-
保持時間:0.79分(分析条件SQDFA05_01)
(2S)-ピペリジン-1,2-ジカルボン酸 1-(4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル) 2-((2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル)(化合物SS14、F-Pnaz-Pic2-pCpA)の合成
Figure 2023182649000091
緩衝液A(40mL)に、文献(Helv. Chim. Acta,90,297-310)記載の方法で合成したリン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(113mg、0.156mmol)を溶解させ、(S)-ピペリジン-1,2-ジカルボン酸 1-(4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル) 2-(シアノメチル)(化合物SS18、F-Pnaz-Pic2-OCHCN)(35.4mg、0.078mmol)のアセトニトリル溶液(2.00mL)を投与し、室温で150分撹拌した。反応液を0℃に冷却した後に、トリフルオロ酢酸(2.00mL)を加えた。反応液を0℃で45分撹拌したのちに、反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル)にて精製し、表題化合物(化合物SS14、F-Pnaz-Pic2-pCpA)(6.0mg、7.3%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1047.5(M-H)-
保持時間:0.50分(分析条件SQDFA05_01)
なお、緩衝液Aは以下のように調製した。
N,N,N-トリメチルヘキサデカン-1-アミニウム 塩化物(6.40g、20mmol)とイミダゾール(6.81g、100mmol)の水溶液に酢酸を添加し、pH8、20mM N,N,N-トリメチルヘキサデカン-1-アミニウム、100mMイミダゾールの緩衝液A(1L)を得た。
O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリン(化合物SS19、F-Pnaz-SPh2Cl-OH)の合成
Figure 2023182649000092
窒素雰囲気下、特許文献(WO2018225864)記載の方法で合成したO-(2-クロロフェニル)-L-セリン(化合物aa63)(1.25g、5.80mmol)、特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した炭酸-(4-ニトロフェニル)-4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル(化合物ts11)(2g、4.71mmol)の混合物に室温にてDMSO(15mL)、トリエチルアミン(0.95g、9.42mmol)を添加した。反応混合物を室温において16時間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリン(化合物SS19、F-Pnaz-SPh2Cl-OH)(1.8g、73%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=523(M+Na)+
保持時間:1.26分(分析条件SMD method1)
シアノメチル O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリナート(化合物SS20、F-Pnaz-SPh2Cl-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000093
窒素雰囲気下、O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリン(化合物SS19、F-Pnaz-SPh2Cl-OH)(800mg、1.60mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(0.412g、3.19mmol)をDCM(15mL)に溶解し、2-ブロモアセトニトリル(760mg、6.34mmol)を室温において加え、室温で16時間撹拌した。反応液を濃縮し、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、シアノメチル O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリナート(化合物SS20、F-Pnaz-SPh2Cl-OCHCN)(220mg、26%)を得た。得られた生成物をアセトニトリル(5mL)に溶解し、次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=562(M+Na)+
保持時間:1.15分(分析条件SMD method2)
(2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリナート(化合物SS15、F-Pnaz-SPh2Cl-pCpA)の合成
Figure 2023182649000094
緩衝液A(100mL)に、リン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(400mg、0.55mmol)を溶解させ、シアノメチル O-(2-クロロフェニル)-N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-L-セリナート(化合物SS20、F-Pnaz-SPh2Cl-OCHCN)(220mg、0.41mmol)のアセトニトリル溶液(5mL)をシリンジポンプを使い15分以上かけて滴下し、室温で5分撹拌した。続いて、反応液にトリフルオロ酢酸(2.3mL)を加えた。反応液を凍結乾燥した後に、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル)にて精製し、表題化合物(化合物SS15、F-Pnaz-SPh2Cl-pCpA)(20.7mg、2%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1133.4(M-H)-
保持時間:0.55分(分析条件SQDFA05_01)
((S)-2-(メチルアミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS21、MeHph-OH)の合成
Figure 2023182649000095
特許文献(WO2018225864)記載の方法で合成した(S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物aa11)(150mg、0.361mmol)に室温にてDCM(903μL)、水(903μL)およびピペリジン(178μL、1.805mmol)を室温にて添加した。反応混合物を室温において30分間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、((S)-2-(メチルアミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS21、MeHph-OH)(55mg、79%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=192(M-H)-
保持時間:0.15分(分析条件SQDFA05_02)
(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS22、F-Pnaz-MeHph-OH)の合成
Figure 2023182649000096
窒素雰囲気下、((S)-2-(メチルアミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS21、MeHph-OH)(35.1mg、0.182mmol)、特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した炭酸-(4-ニトロフェニル)-4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル(化合物ts11)(85mg、0.20mmol)の混合物に室温にてDMSO(727μL)を添加した。トリエチルアミン(76μL、0.545mmol)を50℃にて添加した。反応混合物を40℃において16時間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS22、F-Pnaz-MeHph-OH)(80mg、92%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=477(M-H)-
保持時間:0.85分(分析条件SQDFA05_02)
(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸シアノメチル(化合物SS23、F-Pnaz-MeHph-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000097
窒素雰囲気下、(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸(化合物SS22、F-Pnaz-MeHph-OH)(77mg、0.16mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(31μL、0.176mmol)の混合物にアセトニトリル(533μL)を室温にて加えた。その後、2-ブロモアセトニトリル(86μL、1.280mmol)を室温において加え、反応混合物を40℃において1時間撹拌した。反応液を濃縮し、粗生成物(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸シアノメチル(化合物SS23、F-Pnaz-MeHph-OCHCN)を得た。得られた粗生成物をアセトニトリル(5.00mL)に溶解し、そのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=516(M-H)-
保持時間:0.92分(分析条件SQDFA05_02)
(2S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸 (2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(化合物SS16、F-Pnaz-MeHph-pCpA)の合成
Figure 2023182649000098
緩衝液A(100mL)に、リン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(127mg、0.176mmol)を溶解させ、(S)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-4-フェニルブタン酸シアノメチル(化合物SS23、F-Pnaz-MeHph-OCHCN)(83mg、0.16mmol)のアセトニトリル溶液(5.00mL)を投与し、室温で1時間撹拌した。反応液を0℃に冷却した後に、トリフルオロ酢酸(5.00mL)を加えた。反応液を0℃で1時間撹拌したのちに、反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル)にて精製し、その後さらに逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、表題化合物(化合物SS16、F-Pnaz-MeHph-pCpA)(26mg、14.6%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1111.5(M-H)-
保持時間:0.64分(分析条件SQDFA05_02)
(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(化合物SS41、F-Pnaz-F3Cl-OH)の合成
Figure 2023182649000099
窒素雰囲気下、特許文献(WO2018225864)記載の方法で合成した(S)-2-アミノ-3-(3-クロロフェニル)プロパン酸(H-Phe(3-Cl)-OH)(2.17g、10.87mmol)、特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した炭酸-(4-ニトロフェニル)-4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル(化合物ts11)(3.0g、7.07mmol)の混合物に室温にてDMSO(15mL)、トリエチルアミン(1.43g、14.13mmol)を添加した。反応混合物を室温において16時間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(化合物SS41、F-Pnaz-F3Cl-OH)(0.7g、20%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=507(M+Na)+
保持時間:1.06分(分析条件SMD method3)
(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸シアノメチル(化合物SS42、F-Pnaz-F3Cl-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000100
窒素雰囲気下、(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(化合物SS41、F-Pnaz-F3Cl-OH)(650mg、1.34mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(0.346g、2.68mmol)をDCM(28mL)に溶解し、2-ブロモアセトニトリル(640mg、5.34mmol)を室温において加え、室温で48時間撹拌した。反応液を濃縮し、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)にて精製し、(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸シアノメチル(化合物SS42、F-Pnaz-F3Cl-OCH2CN)(330mg、47%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=546(M+Na)+
保持時間:1.13分(分析条件SMD method3)
(2S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸 (2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル(化合物SS39、F-Pnaz-F3Cl-pCpA)の合成
Figure 2023182649000101
緩衝液A(100mL)に、文献(Helv. Chim. Acta,90,297-310)記載の方法で合成したリン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(552mg、0.76mmol)を溶解させ、(S)-3-(3-クロロフェニル)-2-((((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸シアノメチル(化合物SS42、F-Pnaz-F3Cl-OCH2CN)(200mg、0.38mmol)のアセトニトリル溶液(5mL)をシリンジポンプを用いて15分以上かけて滴下し、室温で30分撹拌した。反応液にトリフルオロ酢酸(2.3mL)を加えた。反応液を凍結乾燥したのちに、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル)にて精製し、表題化合物(化合物SS39、F-Pnaz-F3Cl-pCpA)(25.3mg、1%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1117.4(M-H)-
保持時間:0.55分(分析条件SQDFA05_01)
N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリン(化合物SS43、F-Pnaz-SiPen-OH)の合成
Figure 2023182649000102
窒素雰囲気下、特許文献(WO2018225864)記載の化合物O-イソペンチル-L-セリン(H-Ser(iPen)-OH)(1g、5.71mmol)、特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した炭酸-(4-ニトロフェニル)-4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル(化合物ts11)(2g、4.71mmol)の混合物に室温にてDMSO(15mL)、トリエチルアミン(1.3mL、9.42mmol)を添加した。反応混合物を室温において16時間撹拌したのち、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製し、N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリン(化合物SS43、F-Pnaz-SiPen-OH)(1.8g、83%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=483(M+Na)+
保持時間:1.04分(分析条件SMD method3)
シアノメチル N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリナート(化合物SS44、F-Pnaz-SiPen-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000103
窒素雰囲気下、N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリン(化合物SS43、F-Pnaz-SiPen-OH)(1.8g、3.91mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(1g、7.74mmol)をDCM(40mL)に溶解し、2-ブロモアセトニトリル(1.9g、15.84mmol)を室温において加え、室温で48時間撹拌した。反応液を濃縮し、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)にて精製し、シアノメチル N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリナート(化合物SS44、F-Pnaz-SiPen-OCHCN)(1.6g、82%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=522(M+Na)+
保持時間:1.35分(分析条件SMD method4)
(2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((ホスホノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリナート(化合物SS40、F-Pnaz-SiPen-pCpA)の合成
Figure 2023182649000104
緩衝液A(100mL)に、文献(Helv. Chim. Acta,90,297-310)記載の方法で合成したリン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(400mg、0.55mmol)を溶解させ、シアノメチル N-(((4-(2-(4-フルオロフェニル)アセトアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-O-イソペンチル-L-セリナート(化合物SS44、F-Pnaz-SiPen-OCHCN)(139mg、0.28mmol)のアセトニトリル溶液(5mL)をシリンジポンプを用いて15分以上かけて滴下し、室温で3時間撹拌した。反応液にトリフルオロ酢酸(2.3mL)を加えた。反応液を凍結乾燥したのちに、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05%トリフルオロ酢酸水溶液/0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル)にて精製し、表題化合物(化合物SS40、F-Pnaz-SiPen-pCpA)(39.5mg、3%)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1093.5(M-H)-
保持時間:0.55分(分析条件SQDFA05_01)
実施例6.BdpFL-Phe-pCpA(MT01)の合成
(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン(化合物MT02、BdpFL-Phe-OH)の合成
Figure 2023182649000105
窒素雰囲気下、3-(2-カルボキシエチル)-5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-4-イウム(200mg,0.685mmol)と1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(87mg,0.753mmol) のNMP(4.5ml)溶液にDIC(0.128ml,0.822mmol)を室温で加えたのち、40℃で終夜撹拌した。室温に戻したのち、反応液にL-フェニルアラニン(113mg,0.685mmol)とTEA(0.191ml,1.369mmol)を加え、40℃で終夜撹拌した。反応液を逆相カラムクロマトグラフィー(0.1%FA MeCN/H2O)にて精製し、(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン(化合物MT02、BdpFL-Phe-OH)(102 mg, 34%収率)を得た。
LCMS(ESI) m/z=438.3(M-H)-
保持時間:0.78分(分析条件SQDFA05_02)
(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン シアノメチルエステル(化合物MT03、BdpFL-Phe-OCH CN)の合成
Figure 2023182649000106
窒素雰囲気下、(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン(50mg、0.114mmol)およびN-エチル-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)(31.0μL,0.177mmol)をアセトニトリル(500μL)に溶解し、2-ブロモアセトニトリル(12μL,0.177mmol)を0℃で加えたのち、40℃で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン シアノメチルエステル(化合物MT02、BdpFL-Phe-OCHCN)を粗生成物として得た。得られた粗生成物は、そのまま次工程に用いた。
LCMS(ESI) m/z=477.3(M-H)-
保持時間:0.86分(分析条件SQDFA05_01)
3-(3-(((2S)-1-(((2R,3S,4R,5R)-2-((((((2R,3S,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-((フォスフォノオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)(ヒドロキシ)フォスフォリル)オキシ)メチル)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)-5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-4-イウム(化合物MT01、BdpFL-Phe-pCpA)の合成
Figure 2023182649000107
緩衝液A(11.3mL)に、リン酸二水素((2R,3R,4R,5R)-5-(4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3-(((((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)(ヒドロキシ)ホスホリル)オキシ)-4-((テトラヒドロフラン-2-イル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メチル(化合物pc01)(33.2mg、0.046mmol)を溶解させ、(3-(5,5-ジフルオロ-7,9-ジメチル-5H-4λ4,5λ4-ジピロロ[1,2-c:2’,1’-f][1,3,2]ジアザボリニン-3-イル)プロパノイル)-L-フェニルアラニン シアノメチルエステル(化合物MT03、BdpFL-Phe-OCHCN)(11mg、0.023mmol)のアセトニトリル溶液(0.13mL)を加えたのち、室温で45分撹拌した。反応液に0℃でTFA(0.56mL)を加え、5分撹拌したのち、室温にて10分撹拌した。反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.05% TFA MeCN/H2O)にて精製し、表題化合物(化合物MT01、BdpFL-Phe-pCpA)(2.1mg、8.5%収率)を得た。
LCMS(ESI) m/z=1072.5(M-H)-
保持時間:0.56分(分析条件SQDFA05_02)
実施例7.LCT-12のペプチド合成機によるペプチド合成に用いる(2S,3R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ブタン酸(Fmoc-Thr(THP)-OH)の合成
Figure 2023182649000108
(2S,3R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシブタン酸一水和物(Fmoc-Thr-OHの一水和物、東京化成より購入、5.0g、13.9mmol)とp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS、0.175g、0.70mmol)の混合物にトルエン(50mL)を加えて、減圧下トルエンを留去することで共沸により含まれている水分を除去した。得られた残渣に超脱水テトラヒドロフラン(THF、28mL)と3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(8.8mL、97mmol)を加え、窒素雰囲気下、50℃にて4時間攪拌した。LCMS(SQDFA05)にて原料の消失を確認後、混合物を25℃まで冷却し、酢酸エチル(30mL)を加えた。続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)を加えて有機層を洗浄し、水層を酢酸エチル(30mL)で抽出した。得られた全ての有機層を混合し、これをさらに飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)にて2度洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧下留去し、粗生成物(9.3g)を得た。
得られた粗生成物のうち、4.65gをテトラヒドロフラン(THF、30mL)に溶解させ、次いでpH8.0に調整した1.0Mリン酸緩衝液(30mL)を加えた。この混合物を50℃で4時間攪拌した。25℃まで冷却した後、酢酸エチル(30mL)を加え、有機層と水層を分離した。水層に酢酸エチル(30mL)を加えて抽出を行った後、得られた全ての有機層を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で2度洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去し、さらにポンプにて減圧下、25℃で30分乾燥させた。
得られた残渣をジエチルエーテル(50mL)に溶解させ、次いでヘプタン(50mL)を加えた。制御した減圧下(~100hPa)、ジエチルエーテルのみを留去し、得られた混合物をろ過して固体を得た。このヘプタンでの洗浄操作を2度繰り返した。得られた固体をポンプにて減圧下、25℃で2時間乾燥させ、Fmoc-Thr(THP)-OHのナトリウム塩(2.80g、6.26mmol)を得た。
得られた全量のFmoc-Thr(THP)-OHのナトリウム塩に酢酸エチル(50mL)とpH2.1の0.05Mリン酸水溶液(140mL)を加えて、25℃にて5分間攪拌した後、有機層と水層を分離した。水層に酢酸エチル(50mL)を加えて抽出した後、得られた全ての有機層を混合し、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)にて2度洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥させ、減圧下溶媒を留去した。残渣をポンプにて減圧下、25℃で2時間乾燥させた後、得られた固体をt-ブチルメチルエーテル(TBME、50mL)に溶解させ、溶媒を減圧下留去した。さらにポンプにて減圧下、25℃で1時間乾燥させることで、(2S,3R)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ブタン酸(Fmoc-Thr(THP)-OH、2.70g、30mol%のt-ブチルメチルエーテル(TBME)が残留)をTHP保護上の不斉炭素に由来するジアステレオマー混合物として得た。得られたFmoc-Thr(THP)-OHは-25℃の冷凍庫にて保存した。
LCMS(ESI)m/z=424.2(M-H)-
保持時間:0.84分、0.85分(分析条件SQDFA05_01)
実施例8.LC/MSの標品として用いるN末端にBdpFLを持つペプチド(LCT-12)の合成
Figure 2023182649000109
Fmoc-Ala-OHを担持させた2-ク口口卜リチルレジン(100mg)を用い、Fmocアミノ酸としてFmoc-Gly-OH、Fmoc-Thr(THP)-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-Pro-OHを用いてペプチド合成機にてペプチドの伸長を行った(アミノ酸の略号については本明細書中に別途記載)。Fmoc法によるペプチド合成法に従い、ペプチドの伸長を行った(WO2013100132B2)。ペプチドの伸長後、N末端のFmoc基の除去をペプチド合成機上にて行った後、レジンをDCMにて洗浄した。
レジンにTFE/DCM(1:1、v/v、2mL)を加えて1時間振とうし、ペプチドのレジンからの切り出しを行った。反応終了後、チューブ内の溶液を合成用カラムでろ過することによりレジンを除き、レジンをTFE/DCM(1:1、v/v、1mL)にて2回洗浄した。全ての抽出液を混合し、DMF(2mL)を加えた後、減圧下濃縮した。得られた残査をNMP(0.5mL)に溶解し、そのうち1/4(125μL)を次の反応に使用した。ペプチドのNMP溶液に76.5mMに調製したBdpFLスクシンイミドエステル(140μL)を室温にて加え、40℃で終夜撹拌した後、減圧下濃縮した。得られた残査を0.05M テトラメチルアンモニウム硫酸水素塩 in HFIP(1.2ml,0.060mmol)に溶解し、室温で2時間撹拌した。反応液を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0.1%FA MeCN/H2O)にて精製し、表題化合物(LCT-12)(0.3mg)を得た。LCT-12のアミノ酸配列を配列番号:53に示す。
LCMS(ESI) m/z=1972.9(M-H)-
保持時間:0.74分(分析条件SQDFA05_01)
実施例9 ライゲーション反応によるtRNA-CAの作製
tRNA5’断片、pNp(pUp、pLp、あるいはp(Agm)p)、およびtRNA3’断片を以下に記載の手順により、ライゲーション反応を用いて連結することで各種tRNA-CAを作製した。tRNA5’断片およびtRNA3’断片は化学合成品(株式会社ジーンデザイン)を用いた。各tRNA断片および全長の配列と、ライゲーションに用いたサンプルの組み合わせ(表4)を下記に示す。
配列番号:54(FR-1)
tRNA(Glu)5’ RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCU
配列番号:55(FR-2)
tRNA(Glu)3’ga RNA配列
GAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:56(UR-1)
lig-tRNA(Glu)uga-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUUGAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:57(LR-1)
tRNA(Glu)Lga-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULGAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:58(FR-3)
tRNA(Glu)3’ag RNA配列
AGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:59(LR-2)
tRNA(Glu)Lag-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULAGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:60(FR-4)
tRNA(Glu)3’ac RNA配列
ACACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:61(LR-3)
tRNA(Glu)Lac-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULACACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:62(FR-5)
tRNA(Glu)3’cc RNA配列
CCACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:63(LR-4)
tRNA(Glu)Lcc-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULCCACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:132(FR-6)
tRNA(Asp)5’ RNA配列
GGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUU
配列番号:133(FR-7)
tRNA(Asp)3’ag RNA配列
AGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC
配列番号:134(LR-5)
tRNA(Asp)Lag-CA RNA配列
GGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUULAGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC
配列番号:135(FR-8)
tRNA(AsnE2)5’ RNA配列
GGCUCUGUAGUUCAGUCGGUAGAACGGCGGAUU
配列番号:136(FR-9)
tRNA(AsnE2)3’ag RNA配列
AGGUUCCGUAUGUCACUGGUUCGAGUCCAGUCAGAGCCGC
配列番号:137(LR-6)
tRNA(AsnE2)Lag-CA RNA配列
GGCUCUGUAGUUCAGUCGGUAGAACGGCGGAUULAGGUUCCGUAUGUCACUGGUUCGAGUCCAGUCAGAGCCGC
配列番号:139(FR-10)
tRNA(Glu)3’cg RNA配列
CGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:140(LR-7)
tRNA(Glu)Lcg-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULCGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:141(FR-11)
tRNA(Glu)3’au RNA配列
AUACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
配列番号:142(LR-8)
tRNA(Glu)Lau-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCULAUACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC配列番号:138(AR-1)
tRNA(Glu)(Agm)ag-CA RNA配列
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCU(Agm)AGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
Figure 2023182649000110
50mM HEPES-KOH(pH7.5)、20mM MgCl、1mM ATP、0.125~0.25mM pNp(pUp、pLp、あるいはp(Agm)p)、25μM tRNA5’断片、0.6U/μL T4 RNA ligase(New England Biolabs)、10% DMSOの組成の反応溶液を15℃にて一晩静置する事によりtRNA断片5’とpNp(pUp、pLp、あるいはp(Agm)p)とのライゲーション反応を行った。ライゲーション産物は、フェノール・クロロホルム抽出を行い、エタノール沈殿によって回収した。
未反応のtRNA5’断片が次のライゲーション反応に持ち越されないようにするため、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)により、tRNA5’断片の3’末端のリボースを開裂させた。具体的には、10μM ライゲーション産物、10mM 過ヨウ素酸ナトリウム存在下で、氷上、暗所で30分静置することにより開裂反応を行った。反応後、100mMグルコースを1/10体積量加え、氷上、暗所で30分静置することにより過剰な過ヨウ素酸ナトリウムを分解した。反応産物は、エタノール沈殿によって回収した。
過ヨウ素酸処理後のライゲーション産物の5’末端をリン酸化、3’末端を脱リン酸化するためT4 PNK(T4 polynucleotide kinase)処理を行った。10μMの過ヨウ素酸処理後のライゲーション産物、50mM Tris-HCl(pH8.0)、10mM MgCl、5mM DTT、300μM ATP、0.5U/μL T4 PNK(TaKaRa)の組成の反応溶液を37℃にて30分から60分静置することにより反応を行った。反応産物は、フェノール・クロロホルム抽出を行い、エタノール沈殿によって回収した。
PNK処理後の反応産物とtRNA3’断片とのライゲーション反応を行った。まず、10μMのPNK処理後の反応産物、10μM tRNA3’断片、50mM HEPES-KOH(pH7.5)、15mM MgClの組成の溶液を65℃にて7分間加熱後、室温で30分から1時間静置することでPNK処理後の反応産物とtRNA3’断片とのアニーリングを行った。次に、tRNA3’断片の5’末端をリン酸化するためT4 PNK処理を行った。T4 PNK処理は、アニーリングを行った溶液に、DTT(終濃度3.5mM)、ATP(終濃度300μM)、T4 PNK(終濃度0.5U/μL)を加え、37℃にて30分静置する事で行った。続いて、この溶液に、T4 RNA ligase(New England Biolabs)を終濃度0.9U/μLとなるよう加え、37℃にて30分から40分静置することでライゲーション反応を行った。ライゲーション産物は、フェノール・クロロホルム抽出を行い、エタノール沈殿によって回収した。
ライゲーション法により作製したtRNA-CAは、高速逆相クロマトグラフィー(HPLC)(15mM TEAと400mM HFIPの水溶液/15mM TEAと400mM HFIPのメタノール溶液)にて分取精製を行った後、変性尿素10%ポリアクリルアミド電気泳動にて目的の長さを有していることを確認した。
実施例10 RNaseT により切断したtRNA断片の分析
ライゲーション反応を利用して調製した各種tRNA-CAをRNaseで断片化し分析することで、pUp、pLp、あるいはp(Agm)pで導入したU、L、あるいは(Agm)がそれぞれ目的の部位に導入されていることを確認した。
各tRNA-CAの配列番号と、pUp、pLp、あるいはp(Agm)pで導入したU、L、あるいは(Agm)を含むRNA断片の配列の組み合わせを下記の表5に示す。
Figure 2023182649000111
10μM tRNA-CA、5U/μL RNaseT(EpicentreまたはThermoFisher Scientific)、10mM酢酸アンモニウム(pH 5.3)を含む反応溶液を37℃にて1時間静置する事によりRNAをG塩基の3’側で特異的に切断し、pUp、pLp、あるいはp(Agm)pで導入したU、L、あるいは(Agm)を含むRNA断片を分析した。
CCCUGp
LCMS(ESI) m/z=944((M-2H)/2)-
保持時間:4.22分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pUpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pUpのligationが進行したことを確認した(図1)。
CCCUGp
LCMS(ESI) m/z=1008((M-2H)/2)-
保持時間:2.34分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図2)。
CCCUAGp
LCMS(ESI) m/z=1172((M-2H)/2)-
保持時間:3.81分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUAGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUAGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図3)。
CCCUACACGp(配列番号:197)
LCMS(ESI) m/z=1642((M-2H)/2)-
保持時間:5.78分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUACACGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUACACGp/配列番号:198)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図4)。
CCCUCCACGp(配列番号:199)
LCMS(ESI) m/z=1630((M-2H)/2)-
保持時間:5.64分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUCCACGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUCCACGp/配列番号:200)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図5)。
CUUAGp
LCMS(ESI) m/z=1020((M-2H)/2)-
保持時間:3.84分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CUUAGp)とRNAの他の部分由来の断片(UUCAGp)の分子量が等しいため、断片化していない状態のRNAの分析も併せて行った。
pGGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUAGGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC(配列番号:134)
LCMS(ESI) m/z=1109((M-22H)/22)-
保持時間:3.92分(分析条件LTQTEA/HFIP05_01)
pLpがligationされていない場合に想定されるRNAおよびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定されるRNAのマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図6)。
AUUAGp
LCMS(ESI) m/z=1032((M-2H)/2)-
保持時間:4.16分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(AUUAGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(AUUUAGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図7)。
CCCUCGp
LCMS(ESI) m/z=1160((M-2H)/2)-
保持時間:4.21分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUCGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUUCGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図8)。
CCCUAUACGp(配列番号:202)
LCMS(ESI) m/z=1642((M-2H)/2)-
保持時間:5.95分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
pLpがligationされていない場合に想定される断片(CCCUAUACGp)およびLysidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUUAUACGp/配列番号:203)のマスクロマトグラムと比較し、大部分pLpのligationが進行したことを確認した(図9)。
CCCU(Agm)AGp
LCMS(ESI) m/z=1164((M-2H)/2)-
保持時間:4.02分(分析条件LTQTEA/HFIP05_03)
p(Agm)pがligationされていない場合に想定される断片(CCCUAGp)およびAgmatidineの代わりにUridineが入っていた場合に想定される断片(CCCUUAGp)のマスクロマトグラムと比較し、大部分p(Agm)pのligationが進行したことを確認した(図10)。
実施例11 アミノアシルtRNAの合成
鋳型DNA(配列番号:64(D-1)~配列番号:76(D-13)、配列番号:143(D-26)~配列番号:152(D-35))から、T7 RNA polymeraseを用いたin vitro転写反応によりtRNA(配列番号:77(TR-1)~配列番号:89(TR-13)、配列番号:153(TR-14)~配列番号:162(TR-23))を合成し、RNeasy kit(Qiagen社)により精製した。
鋳型DNA 配列番号:64(D-1)
DNA配列:
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鋳型DNA 配列番号:65(D-2)
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GGCGTAATACGACTCACTATAGTCCCCTTCGTCTAGAGGCCCAGGACACCGCCCTTGAACGGCGGTAACAGGGGTTCGAATCCCCTAGGGGACGC
鋳型DNA 配列番号:66(D-3)
DNA配列:
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鋳型DNA 配列番号:67(D-4)
DNA配列:
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鋳型DNA 配列番号:68(D-5)
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鋳型DNA 配列番号:69(D-6)
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鋳型DNA 配列番号:70(D-7)
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鋳型DNA 配列番号:71(D-8)
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鋳型DNA 配列番号:72(D-9)
DNA配列:
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鋳型DNA 配列番号:73(D-10)
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鋳型DNA 配列番号:74(D-11)
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鋳型DNA 配列番号:75(D-12)
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鋳型DNA 配列番号:76(D-13)
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鋳型DNA 配列番号:143(D-26)
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鋳型DNA 配列番号:144(D-27)
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鋳型DNA 配列番号:145(D-28)
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鋳型DNA 配列番号:146(D-29)
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鋳型DNA 配列番号:147(D-30)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGATTtagGTTCCGTATGTCACTGGTTCGAGTCCAGTCAGAGCCGC
鋳型DNA 配列番号:148(D-31)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGCTCTGTAGTTCAGTCGGTAGAACGGCGGATTcagGTTCCGTATGTCACTGGTTCGAGTCCAGTCAGAGCCGC
鋳型DNA 配列番号:149(D-32)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGTCCCCTTCGTCTAGAGGCCCAGGACACCGCCCTgcgACGGCGGTAACAGGGGTTCGAATCCCCTAGGGGACGC
鋳型DNA 配列番号:150(D-33)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGTCCCCTTCGTCTAGAGGCCCAGGACACCGCCCTccgACGGCGGTAACAGGGGTTCGAATCCCCTAGGGGACGC
鋳型DNA 配列番号:151(D-34)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGTCCCCTTCGTCTAGAGGCCCAGGACACCGCCCTaauACGGCGGTAACAGGGGTTCGAATCCCCTAGGGGACGC
鋳型DNA 配列番号:152(D-35)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGTCCCCTTCGTCTAGAGGCCCAGGACACCGCCCTcauACGGCGGTAACAGGGGTTCGAATCCCCTAGGGGACGC
tRNA 配列番号:77(TR-1)
tRNA(Glu)aga-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUAGAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:78(TR-2)
tRNA(Glu)uga-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUUGAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:79(TR-3)
tRNA(Glu)cga-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUCGAACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:80(TR-4)
tRNA(Glu)aag-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUAAGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:81(TR-5)
tRNA(Glu)uag-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUUAGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:82(TR-6)
tRNA(Glu)cag-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUCAGACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:83(TR-7)
tRNA(Glu)aac-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUAACACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:84(TR-8)
tRNA(Glu)uac-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUUACACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:85(TR-9)
tRNA(Glu)cac-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUCACACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:86(TR-10)
tRNA(Glu)gcc-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUGCCACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:87(TR-11)
tRNA(Glu)ucc-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUUCCACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:88(TR-12)
tRNA(Glu)ccc-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUCCCACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:89(TR-13)
tRNA(fMet)cau-CA RNA配列:
GGCGGGGUGGAGCAGCCUGGUAGCUCGUCGGGCUCAUAACCCGAAGAUCGUCGGUUCAAAUCCGGCCCCCGCAA
tRNA 配列番号:153(TR-14)
tRNA(Asp)aag-CA RNA配列:
GGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUaagGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC
tRNA 配列番号:154(TR-15)
tRNA(Asp)uag-CA RNA配列:
GGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUuagGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC
tRNA 配列番号:155(TR-16)
tRNA(Asp)cag-CA RNA配列:
GGAGCGGUAGUUCAGUCGGUUAGAAUACCUGCUUcagGUGCAGGGGGUCGCGGGUUCGAGUCCCGUCCGUUCCGC
tRNA 配列番号:156(TR-17)
tRNA(AsnE2)aag-CA RNA配列:
GGCUCUGUAGUUCAGUCGGUAGAACGGCGGAUUaagGUUCCGUAUGUCACUGGUUCGAGUCCAGUCAGAGCCGC
tRNA 配列番号:157(TR-18)
tRNA(AsnE2)uag-CA RNA配列:
GGCUCUGUAGUUCAGUCGGUAGAACGGCGGAUUuagGUUCCGUAUGUCACUGGUUCGAGUCCAGUCAGAGCCGC
tRNA 配列番号:158(TR-19)
tRNA(AsnE2)cag-CA RNA配列:
GGCUCUGUAGUUCAGUCGGUAGAACGGCGGAUUcagGUUCCGUAUGUCACUGGUUCGAGUCCAGUCAGAGCCGC
tRNA 配列番号:159(TR-20)
tRNA(Glu)gcg-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUgcgACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:160(TR-21)
tRNA(Glu)ccg-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUccgACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:161(TR-22)
tRNA(Glu)aau-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUaauACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
tRNA 配列番号:162(TR-23)
tRNA(Glu)cau-CA RNA配列:
GUCCCCUUCGUCUAGAGGCCCAGGACACCGCCCUcauACGGCGGUAACAGGGGUUCGAAUCCCCUAGGGGACGC
アミノアシルpCpAを用いたアミノアシルtRNA混合液の調製
25μM 転写tRNA(Glu)aga-CA(配列番号:77(TR-1))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(特許文献(WO2018143145A1)記載の方法で合成した化合物TS24のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-1を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)uga-CA(配列番号:78(TR-2))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-2を調製した。
同様に、lig-tRNA(Glu)uga-CA(配列番号:56(UR-1))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-3を調製した。
同様に、tRNA(Glu)Lga-CA(配列番号:57(LR-1))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-4を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)cga-CA(配列番号:79(TR-3))に対して、アミノアシル化pCpA(ts14;特許文献(WO2018143145A1)に記載の方法により合成)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-5を調製した。
化合物AAtR-1、化合物AAtR-2、化合物AAtR-5の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-2、化合物AAtR-5の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
化合物AAtR-1、化合物AAtR-3、化合物AAtR-5の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-3、化合物AAtR-5の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
化合物AAtR-1、化合物AAtR-4、化合物AAtR-5の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-4、化合物AAtR-5の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
25μM 転写tRNA(Glu)aag-CA(配列番号:80(TR-4))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(ts14のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-6を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)uag-CA(配列番号:81(TR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-7を調製した。
同様に、tRNA(Glu)Lag-CA(配列番号:59(LR-2))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-8を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)cag-CA(配列番号:82(TR-6))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-9を調製した。
化合物AAtR-6、化合物AAtR-7、化合物AAtR-9の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-7、化合物AAtR-9の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
化合物AAtR-6、化合物AAtR-8、化合物AAtR-9の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-8、化合物AAtR-9の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
25μM 転写tRNA(Glu)aac-CA(配列番号:83(TR-7))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(ts14のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-10を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)uac-CA(配列番号:84(TR-8))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-11を調製した。
同様に、tRNA(Glu)Lac-CA(配列番号:61(LR-3))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-12を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)cac-CA(配列番号:85(TR-9))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-13を調製した。
化合物AAtR-10、化合物AAtR-11、化合物AAtR-13の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-10、化合物AAtR-11、化合物AAtR-13の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
化合物AAtR-10、化合物AAtR-12、化合物AAtR-13の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を等量で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-10、化合物AAtR-12、化合物AAtR-13の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
25μM 転写tRNA(Glu)gcc-CA(配列番号:86(TR-10))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(TS24のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-14を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)ucc-CA(配列番号:87(TR-11))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-15を調製した。
同様に、tRNA(Glu)Lcc-CA(配列番号:63(LR-4))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-16を調製した。
同様に、転写tRNA(Glu)ccc-CA(配列番号:88(TR-12))に対して、アミノアシル化pCpA(SS16)を前述の方法でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出を行い、化合物AAtR-17を調製した。
化合物AAtR-14、化合物AAtR-15、化合物AAtR-17の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を1:2:1の比率になるように混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-14、化合物AAtR-15、化合物AAtR-17の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
化合物AAtR-14、化合物AAtR-16、化合物AAtR-17の3種類のフェノール・クロロホルム抽出液を1:2:1で混合し、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-14、化合物AAtR-16、化合物AAtR-17の混合液)をエタノール沈殿により回収した。
アミノアシル化tRNA混合液は、翻訳混合物に添加する直前に1mM酢酸ナトリウムに溶解した。
化合物AAtR-19を調製するために、25μM 転写tRNA(Asp)aag-CA(配列番号:153(TR-14))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(特許記載(WO2018143145A1)の方法で合成した化合物ts14のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
同様に、化合物AAtR-20を調製するために、転写tRNA(Asp)uag-CA(配列番号:154(TR-15))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-21を調製するために、tRNA(Asp)Lag-CA(配列番号:134(LR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-22を調製するために、転写tRNA(Asp)cag-CA(配列番号:155(TR-16))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた段階で、各ligation産物を混合し、混合物の状態でフェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
具体的には、化合物AAtR-19、化合物AAtR-20、化合物AAtR-22の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-19、化合物AAtR-20、化合物AAtR-22の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-19、化合物AAtR-21、化合物AAtR-22の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-19、化合物AAtR-21、化合物AAtR-22の混合液)を調製した。
化合物AAtR-23を調製するために、25μM 転写tRNA(AsnE2)aag-CA(配列番号:156(TR-17))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(特許記載(WO2018143145A1)の方法で合成した化合物ts14のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
同様に、化合物AAtR-24を調製するために、転写tRNA(AsnE2)uag-CA(配列番号:157(TR-18))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-25を調製するために、tRNA(AsnE2)Lag-CA(配列番号:137(LR-6))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-26を調製するために、転写tRNA(AsnE2)cag-CA(配列番号:158(TR-19))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた段階で、各ligation産物を混合し、混合物の状態でフェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
具体的には、化合物AAtR-23、化合物AAtR-24、化合物AAtR-26の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-23、化合物AAtR-24、化合物AAtR-26の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-23、化合物AAtR-25、化合物AAtR-26の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-23、化合物AAtR-25、化合物AAtR-26の混合液)を調製した。
化合物AAtR-6を調製するために、25μM 転写tRNA(Glu)aag-CA(配列番号:80(TR-4))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(ts14のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
同様に、化合物AAtR-9を調製するために、転写tRNA(Glu)cag-CA(配列番号:82(TR-6))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-27を調製するために、転写tRNA(Glu)uag-CA(配列番号:81(TR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS16)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-28を調製するために、tRNA(Glu)Lag-CA(配列番号:59(LR-2))に対して、アミノアシル化pCpA(SS16)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-29を調製するために、転写tRNA(Glu)uag-CA(配列番号:81(TR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS39)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-30を調製するために、tRNA(Glu)Lag-CA(配列番号:59(LR-2))に対して、アミノアシル化pCpA(SS39)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-31を調製するために、転写tRNA(Glu)uag-CA(配列番号:81(TR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS40)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-32を調製するために、tRNA(Glu)Lag-CA(配列番号:59(LR-2))に対して、アミノアシル化pCpA(SS40)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた段階で、各ligation産物を混合し、混合物の状態で、もしくは単一の状態のまま、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
具体的には、化合物AAtR-6、化合物AAtR-27、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-27、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-6、化合物AAtR-28、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-28、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-6、化合物AAtR-29、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-29、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-6、化合物AAtR-30、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-30、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-6、化合物AAtR-31、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-31、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-6、化合物AAtR-32、化合物AAtR-9の3種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-32、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
化合物AAtR-9のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNAを調製した。
化合物AAtR-33を調製するために、25μM 転写tRNA(Glu)gcg-CA(配列番号:159(TR-20))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(特許記載(WO2018143145A1)の方法で合成した化合物TS24のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
同様に、化合物AAtR-34を調製するために、tRNA(Glu)Lcg-CA(配列番号:140(LR-7))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-35を調製するために、転写tRNA(Glu)ccg-CA(配列番号:160(TR-21))に対して、アミノアシル化pCpA(ts14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-36を調製するために、転写tRNA(Glu)aau-CA(配列番号:161(TR-22))に対して、アミノアシル化pCpA(ts14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-37を調製するために、tRNA(Glu)Lau-CA(配列番号:142(LR-8))に対して、アミノアシル化pCpA(SS14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-38を調製するために、転写tRNA(Glu)cau-CA(配列番号:162(TR-23))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた段階で、各ligation産物を混合し、混合物の状態で、もしくは単一の状態のまま、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
具体的には、化合物AAtR-33、化合物AAtR-35の2種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-33、化合物AAtR-35の混合液)を調製した。
同様に、化合物AAtR-36、化合物AAtR-38の2種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、等量で混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-36、化合物AAtR-38の混合液)を調製した。
化合物AAtR-34、化合物AAtR-37のそれぞれのligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNAを調製した。
化合物AAtR-6を調製するために、転写tRNA(Glu)aag-CA(配列番号:80(TR-4))に対して、アミノアシル化pCpA(ts14)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-9を調製するために、tRNA(Glu)cag-CA(配列番号:82(TR-6))に対して、アミノアシル化pCpA(TS24)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた段階で、各ligation産物を1:2になるように混合し、混合物の状態でフェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
具体的には、化合物AAtR-6、化合物AAtR-9の2種類のligation産物に0.3M酢酸ナトリウムを加え、フェノール・クロロホルム溶液を加えた液を、1:2となるように混合し、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-9の混合液)を調製した。
化合物AAtR-39を調製するために、転写tRNA(Glu)uag-CA(配列番号:81(TR-5))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
同様に、化合物AAtR-40を調製するために、tRNA(Glu)(Agm)ag-CA(配列番号:138(AR-1))に対して、アミノアシル化pCpA(SS15)を前述の方法でライゲーション反応を行った。
それぞれのligation反応後の溶液に0.3M酢酸ナトリウムを加えたあと、フェノール・クロロホルム溶液を加えた後、フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈殿を行い、回収した。
アミノアシルpCpAを用いたinitiatorアミノアシルtRNAの調製
25μM 転写tRNA(fMet)cau-CA(配列番号:89(TR-13))、50mM HEPES-KOH pH7.5、20mM MgCl、1mM ATP、0.6unit/μl T4 RNAリガーゼ(New england bio lab.社)、0.25mM アミノアシル化pCpA(MT01のDMSO溶液)となるように、Nuclease free waterでメスアップした反応液を調製し、15℃で45分間ライゲーション反応を行った。ただし、T4 RNAリガーゼおよびアミノアシル化pCpAを加える前の反応液は、95℃で2分間加熱後、室温で5分間放置し、予めtRNAのリフォールディングを行った。
ライゲーション反応液に、酢酸ナトリウムを0.3Mになるように加え、フェノール・クロロホルム抽出し、initiatorアミノアシルtRNA(化合物AAtR-18)をエタノール沈殿により回収した。
initiatorアミノアシル化tRNAは、翻訳混合物に添加する直前に1mM酢酸ナトリウムに溶解した。
化合物AAtR-1 配列番号:90
dA-tRNA(Glu)aga
Figure 2023182649000112
化合物AAtR-2 配列番号:91
SPh2Cl-tRNA(Glu)uga
Figure 2023182649000113
化合物AAtR-3 配列番号:92
SPh2Cl-lig-tRNA(Glu)uga
Figure 2023182649000114
化合物AAtR-4 配列番号:93
SPh2Cl-tRNA(Glu)Lga
Figure 2023182649000115
化合物AAtR-5 配列番号:94
nBuG-tRNA(Glu)cga
Figure 2023182649000116
化合物AAtR-6 配列番号:95
nBuG-tRNA(Glu)aag
Figure 2023182649000117
化合物AAtR-7 配列番号:96
Pic2-tRNA(Glu)uag
Figure 2023182649000118
化合物AAtR-8 配列番号:97
Pic2-tRNA(Glu)Lag
Figure 2023182649000119
化合物AAtR-9 配列番号:98
dA-tRNA(Glu)cag
Figure 2023182649000120
化合物AAtR-10 配列番号:99
nBuG-tRNA(Glu)aac
Figure 2023182649000121
化合物AAtR-11 配列番号:100
Pic2-tRNA(Glu)uac
Figure 2023182649000122
化合物AAtR-12 配列番号:101
Pic2-tRNA(Glu)Lac
Figure 2023182649000123
化合物AAtR-13 配列番号:102
dA-tRNA(Glu)cac
Figure 2023182649000124
化合物AAtR-14 配列番号:103
dA-tRNA(Glu)gcc
Figure 2023182649000125
化合物AAtR-15 配列番号:104
Pic2-tRNA(Glu)ucc
Figure 2023182649000126
化合物AAtR-16 配列番号:105
Pic2-tRNA(Glu)Lcc
Figure 2023182649000127
化合物AAtR-17 配列番号:106
MeHph-tRNA(Glu)ccc
Figure 2023182649000128
化合物AAtR-18 配列番号:107
BdpFL-Phe-tRNA(fMet)cau
Figure 2023182649000129
化合物AAtR-19 配列番号:175
nBuG-tRNA(Asp)aag
Figure 2023182649000130
化合物AAtR-20 配列番号:176
SPh2Cl-tRNA(Asp)uag
Figure 2023182649000131
化合物AAtR-21 配列番号:177
SPh2Cl-tRNA(Asp)Lag
Figure 2023182649000132
化合物AAtR-22 配列番号:178
dA-tRNA(Asp)cag
Figure 2023182649000133
化合物AAtR-23 配列番号:179
nBuG-tRNA(AsnE2)aag
Figure 2023182649000134
化合物AAtR-24 配列番号:180
SPh2Cl-tRNA(AsnE2)uag
Figure 2023182649000135
化合物AAtR-25 配列番号:181
SPh2Cl-tRNA(AsnE2)Lag
Figure 2023182649000136
化合物AAtR-26 配列番号:182
dA-tRNA(AsnE2)cag
Figure 2023182649000137
化合物AAtR-27 配列番号:183
MeHph-tRNA(Glu)uag
Figure 2023182649000138
化合物AAtR-28 配列番号:184
MeHph-tRNA(Glu)Lag
Figure 2023182649000139
化合物AAtR-29 配列番号:185
F3Cl-tRNA(Glu)uag
Figure 2023182649000140
化合物AAtR-30 配列番号:186
F3Cl-tRNA(Glu)Lag
Figure 2023182649000141
化合物AAtR-31 配列番号:187
SiPen-tRNA(Glu)uag
Figure 2023182649000142
化合物AAtR-32 配列番号:188
SiPen-tRNA(Glu)Lag
Figure 2023182649000143
化合物AAtR-33 配列番号:189
dA-tRNA(Glu)gcg
Figure 2023182649000144
化合物AAtR-34 配列番号:190
Pic2-tRNA(Glu)Lcg
Figure 2023182649000145
化合物AAtR-35 配列番号:191
nBuG-tRNA(Glu)ccg
Figure 2023182649000146
化合物AAtR-36 配列番号:192
nBuG-tRNA(Glu)aau
Figure 2023182649000147
化合物AAtR-37 配列番号:193
Pic2-tRNA(Glu)Lau
Figure 2023182649000148
化合物AAtR-38 配列番号:194
dA-tRNA(Glu)cau
Figure 2023182649000149
化合物AAtR-39 配列番号:195
SPh2Cl-tRNA(Glu)uag
Figure 2023182649000150
化合物AAtR-40 配列番号:196
SPh2Cl-tRNA(Glu)(Agm)ag
Figure 2023182649000151
実施例12 ペプチドの翻訳合成
次に、3種類のアミノアシル化tRNAが存在する状況で、1つのコドンボックスにおける3種類のアミノ酸の読み分けを確認するための実験を実施した。具体的には、同一コドンボックス内の3種類のコドンのうちいずれか1つを含み、それ以外は同一配列の鋳型mRNA(鋳型mRNA 配列番号:120(mR-1)~配列番号:131(mR-12))を、Lysidine修飾tRNAを含まないアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-2、化合物AAtR-5の混合液、化合物AAtR-1、化合物AAtR-3、化合物AAtR-5の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-7、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-10、化合物AAtR-11、化合物AAtR-13の混合液、化合物AAtR-14、化合物AAtR-15、化合物AAtR-17の混合液)、もしくはLysidine修飾tRNAを含むアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-4、化合物AAtR-5の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-8、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-10、化合物AAtR-12、化合物AAtR-13の混合液、化合物AAtR-14、化合物AAtR-16、化合物AAtR-17の混合液)を用いて翻訳し、ペプチド化合物を翻訳合成した。
翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mM スペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,54μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:120(mR-1)、配列番号:121(mR-2)、もしくは配列番号:122(mR-3))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-1、化合物AAtR-2、化合物AAtR-5の混合液、化合物AAtR-1、化合物AAtR-3、化合物AAtR-5の混合液、もしくは化合物AAtR-1、化合物AAtR-4、化合物AAtR-5の混合液)を30μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
そのほかの配列(配列番号:123(mR-4),配列番号:124(mR-5),配列番号:125(mR-6))に関しても無細胞翻訳を行った。
具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mM スペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,35μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、もしくは配列番号:125(mR-6))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-7、化合物AAtR-9の混合液、もしくは化合物AAtR-6、化合物AAtR-8、化合物AAtR-9の混合液)を30μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
そのほかの配列(配列番号:126(mR-7),配列番号:127(mR-8),配列番号:128(mR-9))に関しても無細胞翻訳を行った。
具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mM スペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,35μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:126(mR-7)、配列番号:127(mR-8)、もしくは配列番号:128(mR-9))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-10、化合物AAtR-11、化合物AAtR-13の混合液、もしくは化合物AAtR-10、化合物AAtR-12、化合物AAtR-13の混合液)を30μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
そのほかの配列(配列番号:129(mR-10),配列番号:130(mR-11),配列番号:131(mR-12))に関しても無細胞翻訳を行った。
具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mM スペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,54μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.4μM IleRS,0.04μM LeuRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:129(mR-10)、配列番号:130(mR-11)、もしくは配列番号:131(mR-12))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-14、化合物AAtR-15、化合物AAtR-17の混合液、もしくは化合物AAtR-14、化合物AAtR-16、化合物AAtR-17の混合液)を40μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
鋳型mRNAと期待される翻訳ペプチド化合物、その分子量(計算値)に関しては、以下の表6に記載した。
Figure 2023182649000152
次に、前項で実施したtRNA body配列と異なるbody配列のtRNAを使用し、3種類のアミノアシル化tRNAが存在する状況で、1つのコドンボックスにおける3種類のアミノ酸の読み分けを確認するための実験を実施した。具体的には、同一コドンボックス内の3種類のコドンのうちいずれか1つを含み、それ以外は同一配列の鋳型mRNA(鋳型mRNA配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、配列番号:125(mR-6))を、Lysidine修飾tRNAを含まないアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-19、化合物AAtR-20、化合物AAtR-22の混合液、化合物AAtR-23、化合物AAtR-24、化合物AAtR-26の混合液、)、もしくはLysidine修飾tRNAを含むアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-19、化合物AAtR-21、化合物AAtR-22の混合液、化合物AAtR-23、化合物AAtR-25、化合物AAtR-26の混合液)を用いて翻訳し、ペプチド化合物を翻訳合成した。
翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mMスペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,54μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、もしくは配列番号:125(mR-6))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-19、化合物AAtR-20、化合物AAtR-22の混合液、化合物AAtR-19、化合物AAtR-21、化合物AAtR-22の混合液、化合物AAtR-23、化合物AAtR-24、化合物AAtR-26の混合液、もしくは、化合物AAtR-23、化合物AAtR-25、化合物AAtR-26の混合液)を30μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
鋳型mRNAと期待される翻訳ペプチド化合物、その分子量(計算値)に関しては、以下の表7に記載した。
Figure 2023182649000153
次に、前項でLysidine修飾tRNAにアミノアシル化したアミノ酸以外のアミノ酸を、Lysidine修飾tRNAにアミノアシル化し、3種類のアミノアシル化tRNAが存在する状況で、1つのコドンボックスにおける3種類のアミノ酸の読み分けを確認するための翻訳実験を実施した。具体的には、同一コドンボックス内の3種類のコドンのうちいずれか1つを含み、それ以外は同一配列の鋳型mRNA(鋳型mRNA配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、配列番号:125(mR-6))を、Lysidine修飾tRNAを含まないアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-27、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-29、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-31、化合物AAtR-9の混合液)、もしくはLysidine修飾tRNAを含むアミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-28、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-30、化合物AAtR-9の混合液、化合物AAtR-6、化合物AAtR-32、化合物AAtR-9の混合液)を用いて翻訳し、ペプチド化合物を翻訳合成した。
翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mMスペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,49.3μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、もしくは配列番号:125(mR-6))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-27、化合物AAtR-9の混合液、もしくは、化合物AAtR-6、化合物AAtR-28、化合物AAtR-9の混合液)を30μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
同様に、上述のinitiatorアミノアシル化tRNAまでの翻訳反応混合物に対して、化合物AAtR-6、化合物AAtR-29、化合物AAtR-9の混合液、もしくは、化合物AAtR-6、化合物AAtR-30、化合物AAtR-9の混合液を30μM、化合物AAtR-9を10μMになるように添加し、37℃で1時間静置することで行った。
同様に、上述のinitiatorアミノアシル化tRNAまでの翻訳反応混合物に対して、化合物AAtR-6、化合物AAtR-31、化合物AAtR-9の混合液、もしくは、化合物AAtR-6、化合物AAtR-32、化合物AAtR-9の混合液を30μM、化合物AAtR-9を10μMになるように添加し、37℃で1時間静置することで行った。
鋳型mRNAと期待される翻訳ペプチド化合物、その分子量(計算値)に関しては、以下の表8に記載した。
Figure 2023182649000154
更に対象のコドンボックスを広げて、Lysidine修飾tRNAによる読み分け効果を評価するための実験を実施した。
具体的には、同一コドンボックス内の3種類のコドンのうちいずれか1つを含み、それ以外は同一配列の鋳型mRNA(鋳型mRNA配列番号:169(mR-13)、配列番号:170(mR-14)、配列番号:171(mR-15)、もしくは配列番号:172(mR-16)、配列番号:173(mR-17)、配列番号:174(mR-18))を、Lysidine修飾tRNAを含むアミノアシル化tRNA混合液と、Lysidine修飾tRNAを含まないアミノアシル化tRNA混合液を用いて翻訳し、ペプチド化合物を翻訳合成した。
翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mMスペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,49.3μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:169(mR-13)、配列番号:170(mR-14)、もしくは配列番号:171(mR-15))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-33、化合物AAtR-35の混合液)を30μM、アミノアシル化tRNA(化合物AAtR-34)を10μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
もう一つのコドンボックスにおいても同様に、翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mMスペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,49.3μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS,0.02μM ValRS,2.73μM AlaRS,0.04μM LeuRS,0.04μM SerRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:172(mR-16)、配列番号:173(mR-17)、もしくは配列番号:174(mR-18))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-36、化合物AAtR-38の混合液)を30μM、アミノアシル化tRNA(化合物AAtR-37)を10μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
鋳型mRNAと期待される翻訳ペプチド化合物、その分子量(計算値)に関しては、以下の表9に記載した。
Figure 2023182649000155
次に、Agmatidine修飾の効果を確認するために、調製した3種類のアミノアシル化tRNAが存在する状況で、1つのコドンボックスにおける3種類のアミノ酸の読み分けを確認するための実験を行った。具体的には、同一コドンボックス内の3種類のコドンのうちいずれか1つを含み、それ以外は同一配列の鋳型mRNA(鋳型mRNA配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、配列番号:125(mR-6))を、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-9の混合液)に対し、アミノアシル化tRNA(AAtR-39)、もしくはアミノアシル化Agmatidine修飾tRNA(AAtR-40)を加えた翻訳系で反応させ、ペプチド化合物を翻訳合成した。
翻訳系は、原核生物由来の再構成無細胞タンパク質合成系であるPURE systemを用いた。具体的には、翻訳液(1mM GTP,1mM ATP,20mM クレアチンリン酸,50mM HEPES-KOH pH7.6,100mM 酢酸カリウム,10mM 酢酸マグネシウム,2mMスペルミジン,1mM ジチオスレイトール,1.5mg/ml E.coli MRE600(RNaseネガティブ)由来tRNA(Roche社),0.26μM EF-G,0.24μM RF2,0.17μM RF3,0.5μM RRF,4μg/ml クレアチンキナーゼ,3μg/ml ミオキナーゼ,2unit/ml 無機ピロフォスファターゼ,1.1μg/ml ヌクレオシド二リン酸キナーゼ,2.7μM IF1,0.4μM IF2,1.5μM IF3,40μM EF-Tu,49.3μM EF-Ts,1μM EF-P-Lys,0.4unit/μl RNasein Ribonuclease inhibitor(Promega社,N2111),1.2μM リボソーム,0.5mM PGA,0.09μM GlyRS,0.4μM IleRS,0.68μM PheRS,0.16μM ProRS,0.09μM ThrRS)に、1μM 鋳型mRNA(配列番号:123(mR-4)、配列番号:124(mR-5)、もしくは配列番号:125(mR-6))、それぞれの鋳型mRNAにコードされている天然アミノ酸群をそれぞれ0.25mMずつ、initiatorアミノアシル化tRNA(化合物AAtR-18)を10μM、アミノアシル化tRNA混合液(化合物AAtR-6、化合物AAtR-9の混合液)を30μM、アミノアシル化tRNA(化合物AAtR-39もしくは化合物AAtR-40)を20μMになるように翻訳反応混合物に添加し、37℃で1時間静置することで行った。
鋳型mRNAと期待される翻訳ペプチド化合物、その分子量(計算値)に関しては、以下の表10に記載した。
Figure 2023182649000156
鋳型DNA(配列番号:108(D-14)~配列番号:119(D-25)、配列番号:163(D-36)~配列番号:168(D-41))から、RiboMAX Large Scale RNA production System T7(Promega社,P1300)を用いたin vitro 転写反応により鋳型mRNA(配列番号:120(mR-1)~配列番号:131(mR-12)、配列番号:169(mR-13)~配列番号:174(mR-18))を合成し、RNeasy Mini kit(Qiagen社)により精製した。
鋳型DNA 配列番号:108(D-14)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTTCTATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:109(D-15)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTTCAATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:110(D-16)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTTCGATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:111(D-17)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCTTATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:112(D-18)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCTAATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:113(D-19)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCTGATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:114(D-20)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTGTTATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:115(D-21)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTGTAATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:116(D-22)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTGTGATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:117(D-23)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTCTATTTGGTATTATTCCGATTCTATAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:118(D-24)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTCTATTTGGAATTATTCCGATTCTATAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:119(D-25)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTCTATTTGGGATTATTCCGATTCTATAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:163(D-36)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCGTATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:164(D-37)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCGAATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:165(D-38)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTATTATTGGTTTTCGGATTATTCCGATTGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:166(D-39)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTCTACTAGGTTTTATTCTACTACCGCTAGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:167(D-40)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTCTACTAGGTTTTATACTACTACCGCTAGGTTAAGCTTCG
鋳型DNA 配列番号:168(D-41)
DNA配列:
GGCGTAATACGACTCACTATAGGGTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGACTTTTCTACTAGGTTTTATGCTACTACCGCTAGGTTAAGCTTCG
鋳型mRNA 配列番号:120(mR-1)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUUCUAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:121(mR-2)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUUCAAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:122(mR-3)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUUCGAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:123(mR-4)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCUUAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:124(mR-5)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCUAAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:125(mR-6)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCUGAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:126(mR-7)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUGUUAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:127(mR-8)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUGUAAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:128(mR-9)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUGUGAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:129(mR-10)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUCUAUUUGGUAUUAUUCCGAUUCUAUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:130(mR-11)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUCUAUUUGGAAUUAUUCCGAUUCUAUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:131(mR-12)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUCUAUUUGGGAUUAUUCCGAUUCUAUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:169(mR-13)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCGUAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:170(mR-14)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCGAAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:171(mR-15)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUAUUAUUGGUUUUCGGAUUAUUCCGAUUGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:172(mR-16)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUCUACUAGGUUUUAUUCUACUACCGCUAGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:173(mR-17)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUCUACUAGGUUUUAUACUACUACCGCUAGGUUAAGCUUCG
鋳型mRNA 配列番号:174(mR-18)
RNA配列:
GGGUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGACUUUUCUACUAGGUUUUAUGCUACUACCGCUAGGUUAAGCUUCG
実施例13 翻訳ペプチドの分析
実施例12にて調製した非天然ペプチド翻訳溶液を10倍希釈し、LC-FLR-MSの装置を用いて分析した。分析データはMSデータより対象となる翻訳ペプチドの保持時間を同定し、該当保持時時間の蛍光ピークを定量することで、ペプチド翻訳量を評価した。なお、定量評価は実施例8にて合成したLCT12を標品により検量線を作成し、相対定量により含有量を算出した。LC-MSは下記の表11の条件に従い、対象となるサンプルに応じて最適な条件を選択して分析した。
Figure 2023182649000157
評価した結果、lysidineまたはagmatidine修飾tRNAを含むアミノアシル化tRNA混合液を用いた翻訳条件でのみ、1コドンボックスで3アミノ酸を読み分けられた。複数のコドンボックスでlysidine修飾の読み分け効果が示された(図11~図14、図20、図21、表12~表15、表21、表22)。読み分けの効果は、tRNA bodyの塩基配列を他のものに置き換えた場合でも確認することができた(図15、図16、表16、表17)。また、tRNAに連結されているアミノ酸を他の種類のものに置き換えた場合でも同様の効果が確認することができた(図17~図19、表18~表20)。agmatidine修飾されたtRNAによってもlysidine修飾tRNAと同様の読み分け効果が得られることが確認された(図22、表23)。
Figure 2023182649000158

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:UCU,UCA,UCG)。
Figure 2023182649000159

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000160

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:GUU,GUA,GUG)。
Figure 2023182649000161

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:GGU,GGA,GGG)。
Figure 2023182649000162

Asp-tRNA body配列を用いた、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000163

AsnE2-tRNA body配列を用いた、Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000164

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000165

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000166

Lysidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
Figure 2023182649000167

Lysidine修飾による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CGU,CGA,CGG)。
Figure 2023182649000168

Lysidine修飾による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:AUU,AUA,AUG)。
Figure 2023182649000169

Agmatidine修飾の有無による、1コドンボックスにおける3アミノ酸読み分けの翻訳評価結果の表である(評価したコドン:CUU,CUA,CUG)。
前述の発明は、明確な理解を助ける目的のもと、実例および例示を用いて詳細に記載したが、本明細書における記載および例示は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用したすべての特許文献および科学文献の開示は、その全体にわたって、参照により明示的に本明細書に組み入れられる。
一態様において、本開示の変異tRNAは、天然の遺伝暗号表では読み分けられていないNNAのコドンとNNGのコドンの読み分けが可能である点で有用である。一態様において、本開示の翻訳系は、天然の遺伝暗号表を用いた翻訳系よりも多くの種類のアミノ酸を翻訳すること(コドン拡張)が可能である点で有用である。

Claims (15)

  1. tRNAを改変することにより作製されている変異tRNAであって、当該改変が、Nで表されるアンチコドンの改変後の1文字目のヌクレオシドNがライシジン(k2C)、ライシジン誘導体、アグマチジン(agm2C)、またはアグマチジン誘導体のいずれかである改変を含み、NおよびNはそれぞれ、該アンチコドンの2文字目および3文字目の任意のヌクレオシドであり、
    該アンチコドンはMで表されるコドン(ここで、M、MおよびMはそれぞれコドンの1文字目、2文字目および3文字目のヌクレオシドを表す)に相補的であり、
    およびMは、天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがAであるコドンとGであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから選択される、変異tRNA。
  2. 前記ライシジン(k2C)、ライシジン誘導体、アグマチジン(agm2C)及びアグマチジン誘導体が、下記式A’:
    Figure 2023182649000170

    (式中、
    およびRは、それぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、
    Lは、ヒドロキシおよびC-Cアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンであり、該C-C直鎖アルキレンの炭素原子は、1個の酸素原子または硫黄原子によって置換されていてもよく、
    Mは、単結合、
    Figure 2023182649000171

    であり、波線は炭素原子との結合点を示し、*は、水素原子との結合点を示し、**は窒素原子との結合点を示し、ただしMが単結合である場合、Mに結合したHは存在しない。)
    で表される、請求項1に記載の変異tRNA。
  3. tRNAを改変することにより作製されている変異tRNAであって、当該改変が、Nで表されるアンチコドンの改変後の1文字目のヌクレオシドNが下記式A’:
    Figure 2023182649000172

    (式中、
    およびRは、それぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、
    Lは、ヒドロキシおよびC-Cアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、C-C直鎖アルキレンまたはC-C直鎖アルケニレンであり、該C-C直鎖アルキレンの炭素原子は、1個の酸素原子または硫黄原子によって置換されていてもよく、
    Mは、単結合、
    Figure 2023182649000173

    であり、波線は炭素原子との結合点を示し、*は、水素原子との結合点を示し、**は窒素原子との結合点を示し、ただしMが単結合である場合、Mに結合したHは存在しない。)
    で表される改変を含み、NおよびNはそれぞれ、該アンチコドンの2文字目および3文字目の任意のヌクレオシドであり、
    該アンチコドンはMで表されるコドン(ここで、M、MおよびMはそれぞれコドンの1文字目、2文字目および3文字目のヌクレオシドを表す)に相補的であり、
    およびMは、天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがAであるコドンとGであるコドンがともに同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから選択される、変異tRNA。
  4. 改変前のNがシチジン(C)であって、かつ当該シチジン(C)からライシジン(k2C)への改変が、配列番号:51のアミノ酸配列を有するライシジン合成酵素(tRNAIle-lysidine synthetase;TilS)では触媒され得ない、請求項1~3のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  5. 改変前のNがシチジン(C)であって、かつ当該シチジン(C)からアグマチジン(agm2C)への改変が、配列番号:52のアミノ酸配列を有するアグマチジン合成酵素(tRNAIle-agmatidine synthetase; TiaS)では触媒され得ない、請求項1~3のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  6. アンチコドンがk2CNまたはagm2CN(ここで、アンチコドンの1文字目のヌクレオシドはライシジン(k2C)またはアグマチジン(agm2C)であり、2文字目のヌクレオシド(N)、3文字目のヌクレオシド(N)はそれぞれM、Mに相補的である)で表される、請求項1~5のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  7. Aで表されるコドン(ここで、MおよびMはそれぞれコドンの1文字目および2文字目のヌクレオシドを表し、MおよびMはそれぞれアデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)のいずれかから選択され、3文字目のヌクレオシドはアデノシンである)に相補的なアンチコドンを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  8. 天然の遺伝暗号表において、3文字目のヌクレオシドがUであるコドン、Cであるコドン、Aであるコドン、およびGであるコドンがいずれも同じアミノ酸をコードしているコドンボックスを構成するコドンから、MおよびMが選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  9. およびMが以下(i)から(vi)からなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の変異tRNA;
    (i)Mがウリジン(U)であり、Mがシチジン(C)である、
    (ii)Mがシチジン(C)であり、Mがウリジン(U)である、
    (iii)Mがシチジン(C)であり、Mがシチジン(C)である、
    (iv)Mがシチジン(C)であり、Mがグアノシン(G)である、
    (v)Mがアデノシン(A)であり、Mがウリジン(U)である、
    (vi)Mがグアノシン(G)であり、Mがウリジン(U)である、
    (vii)Mがグアノシン(G)であり、Mがシチジン(C)である、および
    (viii)Mがグアノシン(G)であり、Mがグアノシン(G)である。
  10. 3’末端にアミノ酸またはアミノ酸類縁体が結合している、請求項1~9のいずれか一項に記載の変異tRNA。
  11. 複数の異なる種類のtRNAを含む組成物であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の変異tRNAを含む、組成物。
  12. (a)請求項1~10のいずれか一項に記載の変異tRNA、および(b)MGで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAを含む、請求項11に記載の組成物。
  13. さらに、(c)MUまたはMCで表されるコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAを含む、請求項11または12に記載の組成物。
  14. 請求項12(a)、請求項12(b)、および請求項13(c)に記載のtRNAに結合しているアミノ酸またはアミノ酸類縁体がいずれも互いに異なる、請求項13に記載の組成物。
  15. 請求項11~14のいずれか一項に記載の組成物を用いて核酸を翻訳することを含む、ペプチドの製造方法。
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