JP4490663B2 - イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素(TilS)としてのmesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037) - Google Patents

イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素(TilS)としてのmesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037) Download PDF

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本発明は、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素に関するものである。より詳細には、本発明は、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素としてmesJ遺伝子産物又はその相同性遺伝子(COG0037)を使用することに関するものである。
蛋白質合成における正確な翻訳のためには、tRNAのコドン及びアミノ酸特異性が必要である。tRNAアンチコドンの第一字目(ゆらぎ位置)における転写後修飾は、コドン−アンチコドン相互作用を介して遺伝暗号の正確な解読に参加する(非特許文献1;非特許文献2;及び非特許文献3)。このように、種々の生物学的機能のためにはゆらぎ修飾の正確な維持が必要である。ゆらぎ修飾の欠如は、ヒトの病気に関連する翻訳の欠陥をもたらすことが判明している(非特許文献4;及び非特許文献5)。また、tRNAの細胞内局在は、ゆらぎ修飾の化学構造により制御されることも判明している (非特許文献6)。
ゆらぎ修飾には、tRNAの暗号解読特性を変えることによって遺伝暗号の正確な解読を担うことが知られている3つの型がある。第三字目にプリン(R)を持つ二つのコドンのセット(即ちNNR)に対し、特異的なtRNAのゆらぎ位置に生じる修飾されたウリジンは、第三字目にピリミジン(Y)を持つ隣のコドン(NNY)の誤読の防止に重要な働きを担っている。ゆらぎ修飾の第二の型、イノシン(I)は、脱アミノ化アデノシンであり、NNGコドンを除いて、3個の同種コドン(NNU、NNC及びNNA)を解読することができる。ゆらぎ修飾の第三の型はライシジン(L, N*又はk2C)である。ライシジンはリジン含有のシチジン誘導体(図1A)であり、真正細菌及びCAUアンチコドンを持ついくつかの細胞小器官のAUAコドン特異的イソロイシンtRNA(tRNAIle)のゆらぎ位置(位置34)に存在する(図1B)( 非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;及び非特許文献10)。CAUアンチコドンは、もともとAUG特異的であるメチオニンtRNAのアンチコドンでもある。ライシジン修飾は、CAUアンチコドンを有するtRNAのコドン特異性をAUGからAUAに変換し、アミノ酸特異性をメチオニンからイソロイシンに変換し、これにより、AUGをイソロイシンに翻訳することができる。、また同時にAUAをメチオニンに翻訳する誤読を防止する。RNAの分子整形術を用いてEscherichia coliΔtRNAIle2中のL34をC34で置換すると、イソロイシン受容活性が劇的に低下し、逆にメチオニン受容活性生じることが示されている(非特許文献11)。これは、tRNAIleのコドン解読能及びアミノ酸受容能の特異性の転換が、ゆらぎ位置(34位)における単一の転写後の修飾に支配されていることを示唆している。ライシジンの化学構造(図1A)から、リジンは仮想のリジン転移酵素によってゆらぎ位置に直接導入されるのではないかと推測された。しかしながら、このような酵素、その遺伝子、その基質の存在、あるいはin vitroでのそれらの形成に関する報告はこれまでになされていなかった。
Bjork, G. (1995). Biosynthesis and function of modified nucleosides. In tRNA: Structure, Biosynthesis, and Function, D. R. Soll, U. L., ed. (American Society for Microbiology, Washington, D.C.), pp. 165-205 Curran, J. F. (1998). In Modification and editing of RNA, H. Grosjean, and R. Benne, eds. (Washington, D.C., ASM Press), pp. 463-516 Yokoyama, S., et al., (1995). Modified nucleosides and codon recognition. In tRNA: Structure, Biosynthesis, and Function, D. R. Soll, U. L., ed. (American Society for Microbiology, Washington, D.C.), pp. 207-224 Suzuki, T., et al., (2002). Embo J 21, 6581-6589 Yasukawa, T., et al., (2001). Embo J 20, 4794-4802 Kaneko, T., et al., (2003). Embo J 22, 657-667 Harada, F., et al., (1974). Biochemistry 13, 300-307 Matsugi, J., et al., (1996). J Biochem (Tokyo) 119, 811-816 Muramatsu, T., et al., (1988). J Biol Chem 263, 9261-9267 Weber, F., et al., (1990). Nucleic Acids Res 18, 5027-5030 Muramatsu, T., et al., (1988). Nature 336, 179-181
本発明は、tRNAIleのゆらぎ位置においてライシジンを生成する酵素(即ち、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素)を同定することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、上記酵素の遺伝子が細胞のAUAコドンを解読するために必要であることを実証することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素として、真正細菌特異性遺伝子(tilS)を同定することに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素としてのmesJ 遺伝子産物又はその相同性遺伝子(COG0037)の使用が提供される。
本発明の別の側面によれば、mesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037)を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成する方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、mesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037)を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成することを含む、RNAの修飾方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、mesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037)の機能を阻害する物質を含む、タンパク質合成阻害剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、mesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037)の機能を阻害する物質を含むタンパク質合成阻害剤から成る抗菌剤が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明者は、ライシジン合成に対する真正細菌特異性遺伝子(tilS)を同定した。CAUアンチコドンを伴うtRNAIle遺伝子は古細菌ゲノム中に存在する(Marck, C., et al., (2002). Rna 8, 1189-1232)が、tilS の同族体は古細菌の完全ゲノム配列中には存在しない。この結果は、AUA特異性古細菌tRNAIleは、ライシジンとは化学構造が異なるが同様に作用する修飾シチジンを持っていることを示唆する。この推測は、ライシジンは質量分析法解析では古細菌RNAの全ヌクレオシド中に検出されない(McCloskey, J. A., et al., (2001). Nucleic Acids Res 29, 4699-4706)という事実により支持される。
TilSのアミノ酸配列から、リジンを取込むために用いられる触媒機構を推測することができる。TilSのN-末端ドメイン中の高度に保存されたP-ループモチーフ(SGGXDS)は、PPiシンセターゼ中に共通に見られるモチーフである(図4)( Bork, P., et al., (1994). Proteins 20, 347-355)。更に、P-ループモチーフの下流に位置し残基R160を含有するこのファミリーの第二の保存モチーフが見いだされた。P-ループモチーフはATPのα-βリン酸基の結合及び加水分解に加わることが知られている。更に、第二の保存モチーフ中の残基R160はATPのγリン酸基と相互作用することが予想されている。既知のPPiシンセターゼファミリーによって触媒される反応は、ATPのα-β結合の加水分解に付随するアデニレート中間体を介して進行する。このように、tRNAIleの34位に存在するシトシンのC-2カルボニル基は、ライシジン合成の最初のステップでAMP添加により活性化される可能性が高い。次にシトシンのアデニル化中間体にリジンのε−アミノ基による求核性の攻撃が、反応を完結させると考えている。この反応機構は、PPiシンセターゼファミリーのGMPシンセターゼの反応機構と類似する(Tesmer, J. J., et al., (1996). Nat Struct Biol 3, 74-86)。GMPシンセターゼは、先ずXMPをアデニル化して電子対共有O2-アデニルXMP中間体を形成することにより、キサントシン5'-モノフォスフェート(XMP)のGMPへの転換を触媒する。XMPの活性化されたC-2炭素は、グルタミンのアミド窒素による求核攻撃を受ける。
最近、機能未知の幾つかの保存蛋白質の一つとして、E. coli mesJ の結晶構造が蛋白質データバンクに登録された(1NI5, M. Gu, T. Burling and C. D. Lima)。図7Aに示す通り、高度に保存されたN-末端領域は長いα-ヘリックス(H12)によりC-末端ドメインと連結する球形のドメイン(NTD)を形成する。C-末端ドメインは2つのサブドメイン(CTD1及びCTD2)に分割される。NTDは、正の表面電荷を与える多数のアルギニン残基から成る高度の保存アミノ酸により形成された小孔を伴うクレーターを有する(図7C及び7D)。P-ループとR160は、クレーターの底に位置する。これらの構造的特徴は、tRNAのアンチコドンステムループ(ASL)がクレーターの正電荷表面と相互作用して、NTDのクレーター上に着陸し、それにより、ゆらぎ塩基がP-ループに結合したATPの近傍に来ることができることを示唆している。もしそうであるなら、クレーターの寸法はASLを受容するには小さすぎるので、複合体形成のために、NTDとASL両方について立体配座の変更が必要であろう。この結合モデルは、正に荷電したラインがMesJタンパク質の表面上をNTDからCTDの谷へと走り、tRNAのアミノ酸受容ステムを掴んでtRNAを捕捉するというモデルによっても支持される(図7B)。
P-ループモチーフを伴う別のtRNA-修飾酵素も存在する。ThiI 及び mnmA は、それぞれ4-チオウリジン(位置s4U8)及び2-チオウリジン(位置mnm5s2U34)の合成を担うチオウリジンシンセターゼであることが知られている(Kambampati, R., et al., (1999). Biochemistry 38, 16561-16568;及びKambampati, R., et al., (2003). Biochemistry 42, 1109-1117)。両酵素共、反応のエネルギー源としてATPを必要とし、チオウリジル化も、tRNAの標的塩基のアデニル化中間体を介して進行する反応であることを示している。tRNAのゆらぎ塩基は mnmA の標的なので、tilS 及び mnmA はtRNAアンチコドンの認識モードを共有する可能性がある。
普遍的な遺伝コードは、基本的に、ファミリーボックス又は2−コドンのセットから成るが、AUNコドンは、3つのコドン(AUU、AUC及びAUA)がIleをコードし、残りのAUGがMetに対応する特殊なコドンボックスである。対応するイソロイシンtRNAのゆらぎ修飾は、AUAコドンを解読し、AUAとAUGを区別するように進化してきた。原核生物では、2つのイソロイシンtRNA、即ち、AUUとAUC コドンを認識するGAUアンチコドンを有するtRNAIleと、AUAコドンのみを認識するLAUアンチコドンを保持するもう一つのtRNAIleで3つのコドンを翻訳する。対照的に、真核生物系では、3つの同義コドンを全て認識するIAUアンチコドンを伴う単一のtRNAIleを用いている(Yokoyama, S., et al., (1995). Modified nucleosides and codon recognition. In tRNA: Structure, Biosynthesis, and Function, D. R. Soll, U. L., ed. (American Society for Microbiology, Washington, D.C.), pp. 207-224)。もしAUAコドンが単一のtRNAによって解読されるならば、ライシジンの代わりにイノシンを利用する方が経済的である。イノシン(I34)はアデノシンの脱アミノ化から生成し、これはtRNAアデノシンデアミナーゼ(Tad)が触媒する(Gerber, A. P., et al., (1999). Science 286, 1146-1149;及びWolf, J., et al., (2002). Embo J 21, 3841-3851)。E. coliの場合、tRNAArg2のみがI34を有することが知られているが、これは高い特異性を持つE. coli tRNAアデノシンデアミナーゼ(TadA)により形成される。対照的に、酵母では、7つの細胞質tRNAがI34を有し、これらは、基質特異性の低い単一のアデノシンデアミナーゼTad2p/Tad3p複合体によって形成される。このように、原核生物から真核生物への進化の過程で、AUAをイソロイシンとして解読するために使用されるRNA修飾がL34からI34への遷移したと考えられ、それに伴って、TilSは失われた可能性がある。
シチジンと天然アミノ酸の単純な結合は、その暗号解読特性及びアミノ酸特異性を変化させる。ライシジンは、これまでに報告された中で、直接アミノ酸を基質にすることにより合成されることが知られた第三の修飾ヌクレオシドである。N6−スレオニルカルバモイルアデノシン(t6A)のスレオニル基は、原核生物及び真核生物のtRNAの位置37に見いだされ、反応を担う酵素とその遺伝子は未だ同定されていないが、L−スレオニンがその基質であることが知られている(Chheda, G. B., et al., (1972). Biochem J 127, 515-519;及びPowers, D. M., et al., (1972). Biochem Biophys Res Commun 46, 831-838)。また最近、ヒトミトコンドリアのtRNA中にタウリンを含む修飾ウリジンが発見された。これらは、食物より摂取したタウリンの直接取込みにより合成される(Suzuki, T., et al., (2002). Embo J 21, 6581-6589)。修飾ヌクレオシドの合成にアミノ酸を使用することによって、RNAに機能的変異を創り出すことができる可能性がある。
上記の通り、本発明によれば、イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素としてmesJ遺伝子産物またはその相同遺伝子(COG0037)を使用することができる。より具体的には、mesJ遺伝子産物またはその相同遺伝子(COG0037)を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成することができ、これによりRNAを修飾することができる。また、mesJ遺伝子産物またはその相同遺伝子(COG0037)の機能を阻害する物質は、タンパク質合成阻害剤として有用であり、当該タンパク質合成阻害剤は抗菌剤等として用いることができる。本発明で用いるmesJ遺伝子産物またはその相同遺伝子(COG0037)の塩基配列及びアミノ酸配列はそれぞれ公知であり、E. coli mesJ遺伝子(Swiss prot P52097)はScience 277 (5331), 1453-1474 (1997)に、及びその相同遺伝子であるB. subtilusのyacA遺伝子(Swiss prot P37563)はNature 390 (6657), 249-256 (1997)に報告されている。また、一般的なmesJの相同遺伝子群はNCBIが提供するCOG(cluster of orthologous group)というデータベース( http://www.ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/COG/palox?seq=mesJ)にCOG0037という名前で記載(又は登録)されている。以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(A)実験手順
(1)菌株及び培地
yacA、yjbN、及び yneS の B. subtilis IPTG-依存性条件突然変異株を日本でB. subtilis プロジェクトにより構築した(Kobayashi, K., et al., (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 4678-4683;及びOgasawara, N. (2000). Res Microbiol 151, 129-134)。mesJts(tilSts)突然変異種はプラスミドシャフリングにより単離した(Kato, J., et al., (1996). Gene 170, 141-142)。mesJ DNAフラグメントは、0.2mMのMnCl2とプライマーとしてオリゴヌクレオチド128-5 (5'-CCGAATTCGTTGGAACTGTATGAGCAG-3')(配列番号1) 及び 128-6 (5'-CCGGATCCACTTAACTAAGCGTTTTCTGC-3')(配列番号2)の存在下、error-prone PCRにより調製し、mini-F ベクター mFCm2にクローニングした。得られたプラスミドは、既報の通り(Kato, J., et al., (1996). Gene 170, 141-142)、染色体mesJ+が ΔmesJ::KmR で置換されたMG1655ΔmesJ recA / pJK286 (mini-F (ApR)) −mesJ+ 株に導入した。mesJ+ 及び mesJts 株は、それぞれ mFCm2- mesJ+ 及び mFCm2- mesJts プラスミドを有するMG1655ΔmesJ recA 株であった。
(2)tRNAIle2遺伝子の突然変異誘発
C34T突然変異を伴うtRNAIle2遺伝子を構築するために、QuickChange mutagenesis (ストラタジーン)を説明書に従って使用し、オリゴヌクレオチド ileY-T34F (GGTTAGAGCAGGCGACTTATAATCGCTTGGTCG) (配列番号3) 及び ileY-T34R (CGACCAAGCGATTATAAGTCGCCTGCTCTAACC) (配列番号4)を用いて、Epicurian Coli BL21-CodonPlus (ストラタジーン)に由来する pACYC-RIL 中にコードされた ileY 遺伝子の部位特異的突然変異誘発を行った。
(3)C34のライシジン修飾を検出する系
ISOGEN(日本ジーン)を説明書に従って使用して、酸グアニジニウムチオシアン酸塩−フェノール−クロロホルム法により、E. coli 及び B. subtilis 細胞由来の全RNAを抽出した。RNase U2を用いた全RNAの限定的分解を以下の通り実施した。50 mM Tris-HCl (pH 7.5) 及び100 mM MgCl2からなる緩衝液中の全RNA 400 μg/mlを、0℃で30分間プレインキュベーションした。RNase U2(126 μg/ml)を添加し、0℃で30分間、RNAの分解を行った。分解物を0.1N HClで処理して、2'-3' 環状燐酸塩を開裂部位で加水分解した。分解物をフェノール抽出した後、RNAフラグメントを酸−尿素PAGE(12)により分離した。ゲルを、ノーザン解析用に、TBE緩衝液を用いてHybond N+(アマシャム バイオサイエンス)にブロットした。2種の合成DNA オリゴヌクレオチド; 5'-GCCTGCTCTAACCACTGAGCTAAGG-3' (配列番号5) 及び 5'-GTCTGCTCTAACCAACTGAGCTAAAG-3' (配列番号6)を5'32P-標識して、それぞれ、B. subtilis 及び E. coli tRNAsIle用のノーザンプローブとして使用した。
(4)tRNA単離
後半対数期のE. coli細胞から全RNA 約1000 A260 単位を得た。溶媒A (200 mM NaCl, 20 mM Hepes-KOH [pH 7.5] 及び 8mM MgCl2) 及び溶媒B (700 mM NaCl, 20 mM Hepes-KOH [pH 7.5] 及び 8mM MgCl2)からなるNaCl線形勾配を用いて、流速 2 ml/min のBio-scale DEAE2 カラム(バイオラッド)上での分画により、全RNAから粗tRNAを単離した。既報の(Kaneko, T., et al., (2003). Embo J 22, 657-667)、固相DNAプローブ法に従い、粗tRNAからtRNAIleを精製した。プローブとしては、3'−ビオチン化合成オリゴヌクレオチド 5'-AGTCGCCTGCTCTAACCACTGAGCT-3' (配列番号7) を用いた。変性PAGEにより、単離したtRNAIleを更に精製した。
(5)質量分析
電気スプレーイオン化(ESI)源を備えたLCQ イオントラップ(IT)質量分析計(サーモフィニガン)及びHP1100液体クロマトグラフィー系(アジレント)を用いて、全ヌクレオシド及びRNase T1-分解RNA を分析した。全RNA のヌクレオシド分析は、既報の通り(Kaneko, T., et al., (2003). Embo J 22, 657-667)、実施した。精製tRNA (各場合とも0.01-0.05 A260unit/0.5-2.5 μg)を、20 mM NH4OAc (pH 5.3)中RNase T1 (2.5 単位)を用い、37℃、3時間分解し、次いで、質量分析法により解析した。RNase T1分解により産生したオリゴヌクレオチドは、文献(Apffel, A., et al., (1997). Anal Chem 67, 1320-1325)の方法に一部修正を加えて、負イオン形として LC/MS により解析した。分解物はSpercosil LC-DB C18 カラム、300 × 1.0 mm (スペルコ)上に直接置いた。水中0.4 M 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(pH 7.0, トリエチルアミンで調整) (A) 及び 50% メタノール(B)から成る溶媒系を、以下の通り使用した: 0〜33 分間 5〜80% B、 33〜35 分間80% B、 35〜40 分間 80〜5% B。クロマトグラフィー流出物 (70 μl/ml) を予め分流しないでイオン源に導いた。620 から 2000 の範囲のm/zにわたり、以下の条件下での分離の間、負イオンを走査した: シースガス流速、55 arb, キャピラリー温度、235℃; スプレー電圧、5kV。
(6)組み換えTilS蛋白質の構築と精製
プライマーtilS-F (GGCATATGACACTCACGCTCAATAGA) (配列番号8)及びtilS-R (GGGAAGCTTACTAAGCGTTTTCTGCCA) (配列番号9)を用いて、PCRにより、E. coliゲノム由来 tilS (mesJ) 遺伝子を増幅した。増幅産物をpET-22b(+)(ノバゲン)にクローンした。E. coli BL21(DE3)を組み換えTilS発現の宿主として用いた。C−末端6xHis タグ付けTilS蛋白質を、1mM IPTG 誘発により可溶形で発現させ、His-Bind樹脂(ノバゲン)を説明書に従って使用して、精製した。Bio-Rad 蛋白質検査キットにより、標準としてウシ血清アルブミンを用いて、蛋白質濃度を測定した。プールしたTilSフラクションに、最終濃度30%になるようにグリセロールを添加し、液体窒素で急凍し、−70℃で保存した。
(7)ゲル遅延実験
既報の手法(Yokogawa, T., et al., (2000). J Biol Chem 275, 19913-19920)に若干の修正を加えて実験を行った。組み換えTilS及び精製tRNAIle2を、50 mM Tris-HCl (pH 8.5)、15 mM MgCl2、5mM DTT及び1 mM スペルミンから成る緩衝液中で、37℃、15分間培養した。複合体を、50 mM Tris、5 mM Mg(OAc)2及び5 mM DTT (pH 7.1、酢酸で調整)を用いて、6%の天然アクリルアミドゲル上に流した。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色してtRNAを可視化し、Coomasie Brilliant Blueで染色して蛋白質を可視化した。
(8)in vitro ライシジン形成
100 mM Tris−HCl (pH 7.8)、10 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM DTT、2 mM ATP、3μM [U-14C] リジン、1μg 組み換えTilS蛋白質、及び0.05 A260 単位のtRNA試料(この約50% はL34 修飾を持つ)から成る反応混合物 100 μL 中37℃でライシジンをin vitro 形成した。各時点で採取した試料をワットマン3MM フィルター円板上に点着した。円板を5% トリクロロ酢酸で洗浄し、液体シンチレーション計数により放射活性を測定した。
(9)アミノアシル化
既述の通り(Suzuki, T., et al., (1997). Embo J 16, 1122-1134)、アミノアシル化アッセイを実施した。反応混合物は、100 mM TrisHCl (pH 7.8)、10 mM KCl、5 mM MgCl2、1 mM DTT、2 mM ATP、5 μM [U-14C]イソロイシン(又は[1-14C]メチオニン)、E. coli S100フラクション及び0.02 A260 単位のtRNAから成るものを使用した。
(10)β−ガラクトシダーゼアッセイ
tilS遺伝子をpTH18cs1にクローンして(Hashimoto-Gotoh, T., et al., (2000). Gene 241, 185-191)、pSK10を構築した。pSK10 を保持するKM22の染色体tilS遺伝子を、Murphy, K. C., et al., (2000). Gene 246, 321-330の方法に従って、テトラサイクリン耐性遺伝子(tilS::Tc')で置換した。テトラサイクリン耐性はP1 形質導入によりlacZ-陰性株、pSK10を保持するCSH26(Δpro-lac、ara、thi)に転移され、新たな株、SK34を産生した。pJG200のlacZ-コーディング領域(Germino, J., et al. (1984). Proc Natl Acad Sci U S A 81, 4692-4696)はpMBL18に転移され(Nakano, Y., et al., (1995). Gene 162, 157-158)、レポータープラスミドpSK21を構築した。2組のタンデムAUAコドンによってエンコードされるペプチド配列 DEIIKLIIをpSK21中のlacZの1番目と2番目のアミノ酸残基間に挿入してpSK31を構築した。β−ガラクトシダーゼアッセイには以下の株を使用した。CSH26/pSK10、pSK21 (tilS+、元のlacZ)、CSH26/pSK10、pSK31(tilS+、4ATA-lacZ)、SK34/ pSK10、pSK21 (tilS−、元のlacZ) 及び SK34/ pSK10、 pSK31 (tilS−, 4ATA-lacZ)。各株の予備培養物を新鮮なLB培地に接種し、32℃又は42℃で8時間培養した。細胞増殖は対数期に保持した。β−ガラクトシダーゼアッセイはMiller(Miller, J. H. (1992). A short course in bacterial genetics : a laboratory manual and handbook for Escherichia coli and related bacteria. In (Plainview, N.Y., Cold Spring Harbor Laboratory Press), pp. 72-74)に従って実施した。
(B)結果
(1)tRNAIleのライシジン修飾を感度良く検出する方法の開発
ライシジン合成を担う酵素の遺伝子を逆遺伝学的手法によって同定するために、tRNAIle中のライシジンを検出するための高感度かつ簡便な方法を開発した。ライシジンはpH 3.5〜8.5の範囲で一価の正電荷を持つことから(Muramatsu, T., et al., (1988). J Biol Chem 263, 9261-9267)、ライシジンを有するtRNAIleとライシジンを有さないtRNAIleは、酸−尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(acid-urea PAGE)( Varshney, U., et al., (1991). J Biol Chem 266, 24712-24718)により互いに分離できるものと推測した。しかし、E. coli tRNAIleの3'-ハーフフラグメントの位置47にあるもう一つのRNA修飾acp3U[3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン](図1B)も、酸性条件下で正電荷を持つ。これは酸−尿素ゲル中のtRNAの移動度に影響する可能性がある。したがって、ライシジン保有tRNAIleの検出を更に信頼できるものにするため、先ず、位置A35(tRNAIleのアンチコドンの第二文字)で開裂させるRNase U2で、全RNAを部分的に分解した。次いで、生成物を酸−尿素ゲル上に流し、これをブロットし、特異的な放射標識プローブを用いて、RNaseU2の限定的分解によって生成したtRNAIleの5'−ハーフフラグメントを検出した(図2A)。
この検出系の感度を評価するためのモデル実験として、細胞中でライシジン修飾の発生を妨げる、C34がU34で置換された突然変異種tRNAIle2(C34T)を発現するプラスミドを有するE. coli細胞を用いた。これらの細胞から得られた全tRNAを用いて、部分的RNaseU2分解、酸−尿素ゲル電気泳動、及びノザンハイブリダイゼーションを行った(図2B)。その結果、酸−尿素PAGEにおいては、U34保有フラグメントはL34保有フラグメントより早く移動したので、U34を有する突然変異種tRNAIle2の5'−ハーフフラグメントは、L34を有する野生型フラグメントから明白に分離できることが示された。対照的に、これら2つのフラグメントは、中性ゲル上では同じ位置に移動した。このように、ライシジン塩基の一価の正電荷は、酸性ゲルではRNAフラグメントに異なる移動特性をもたらした。
(2)ライシジン形成を担う必須遺伝子の同定
CATアンチコドンを伴うtRNAIle遺伝子は、30の真正細菌及び13の古細菌の全ての完全なゲノム配列で見いだされており(Marck, C., et al., (2002). Rna 8, 1189-1232)、ライシジン様の機能を持つシチジン誘導体は、真正細菌及び古細菌tRNAIleの普遍的な転写後修飾であることを示している。そこで、ライシジン形成を担う遺伝子は、Clusters of Orthologous Groups of proteins (COGs) データベース(Tatusov, R. L., et al., (1997). Science 278, 631-637;及びTatusov, R. L., et al., (2001). Nucleic Acids Res 29, 22-28)に存在するはずであると推測した。Escherichia coli, Bacillus subtilis, 及び Mycoplasma genitalium中に共通に見いだされる遺伝子を同定するための系統発生パターン検索により、373個のCOGが検出され、この内48個は推定上の蛋白質遺伝子又は機能未知の未同定の遺伝子であった。ライシジン形成を担う遺伝子は必須遺伝子であると考えられるので、バクテリア遺伝子必須解析(Akerley, et al., (2002). Proc Natl Acad Sci U S A 99, 966-971; Hutchison, C. A., et al., (1999). Science 286, 2165-2169;及び Kobayashi, K., et al., (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 4678-4683)によって、候補遺伝子として5個のCOG (ナンバー 0037, 0061, 0344, 0536, 及び 1160)を選択した。
初めに、これら必須遺伝子の内の3つのCOG(ナンバー 0037, 0061, 及び0344)を解析した。これらの遺伝子(yacA, yjbN, and yneS)に対し、B. subtilisのIPTG-依存性条件突然変異種が利用できるからであった。これらの突然変異種において、各必須遺伝子はIPTG-制御プロモーターによって制御され、これらの突然変異種はIPTG無しでは増殖できない(Kobayashi, K., et al., (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 4678-4683)。各突然変異種をIPTGの有無の条件下で培養し、細胞中のtRNAIle分子の5'−ハーフフラグメントをライシジン修飾に関して評価した。yacA 突然変異種をIPTGを含まない培地で培養した場合、ライシジン形成において特定の欠陥が観察された(図2C、左パネル)。しかし、この修飾欠陥は、IPTG誘導によりもたらされたyacA 発現によって完全に救済された。yacA 突然変異は極性効果を持っているという可能性を除外するために、yacA の3'−隣接遺伝子であるhprT遺伝子がノックアウされた株においてtRNAIleのライシジン形成を解析した(図2C、左パネル)。この突然変異はライシジン形成に影響が無かった。これらの観察結果を確認するために、B. subtilis yacA 遺伝子の同族体であるmesJ(mesJts)の温度感受性E. coli突然変異種由来のtRNAIle2を解析した。これらの細胞を非許容温度(42℃)で培養したところ、ライシジン形成には強度の欠陥が観察された(図2C、右パネル)。
yacA突然変異株から単離されたtRNAの分解物中に存在する総ヌクレオチドの質量分析解析により、これらの細胞をIPTG無しで培養した場合には、ライシジン含量が明らかに減少することが判明した(図3A)。対照的に、IPTGの存在下で培養することによりこれらの細胞がyacA を発現した場合には、ライシジン含量は回復した。更に、E. coli mesJts株を30℃で培養した場合でも、細胞中のライシジン含量は減少した(図3B)。これらの結果は、yacA 又は mesJ遺伝子の部分不活性化により、ライシジン合成は不完全になることを実証しており、これらの同族遺伝子がライシジンの合成に関与することが示された。
(3)mesJts株中E. coli tRNAIle2の前駆体の解析
ライシジン形成がyacA 又はmesJにエンコードされた単一の酵素によって触媒される単一工程であるのか、他のRNA−修飾ヌクレオチド(例えば、キュェオシンあるいは4−チオウリジン)の生合成で起こるような複数の遺伝子が関与する複数の工程であるのかは(Iwata-Reuyl, D. (2003). Bioorg Chem 31, 24-43; Kambampati, R., et al., (1999). Biochemistry 38, 16561-16568;及びNishimura, S. (1983). Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 28, 49-73)、不明瞭であった。ライシジンの生合成を同定する最良の方法は、yacA 又はmesJ遺伝子を部分的に不活性化したときに、tRNAIleのゆらぎ位置におけるL34の前駆体形を同定することである。30℃で培養したmesJts株中のtRNAIle2分子の約50%においてライシジン合成に欠陥があるという知見(図3B参照)により、L34部分修飾を伴うE. coli tRNAIle2(ΔL34と表記)を親和性で単離するのに十分な数の培養細胞を得ることができた。親和性単離されたtRNAIle2をRNase T1(G-特異性)により分解し、液体クロマトグラフィー−質量分析法解析で処理した。野生型E. coli由来のtRNAIle2では、ライシジンを持つアンチコドン含有RNAフラグメント[5'-ACUL34AUt6AA・CGp-3' (3785.5 Da)]が検出されたが、L34の代わりにC34を含有するフラグメント[5'-ACUC34AUt6AA・CGp-3' (3657.5 Da)]は検出されなかった(図34、上端)。しかし、mesJts株由来のΔL34tRNAIle2では、L34保有フラグメントと共に、C34保有フラグメントが明瞭に検出された(図3C、中段)。即ち、ΔL34tRNAIle2のライシジンの前駆体形はシチジンであることが判明した。これらの観察結果を確認するために、酸−尿素PAGEにより、野生型tRNAIle2からmesJts中のC34含有前駆体tRNAIle2を分離した。単離された前駆体tRNAIleの残基34は、酵素的RNA配列決定中にC特異性RNaseCL3に感受性であることが見いだされたので(Donis-Keller, H. (1980). Nucleic Acids Res 8, 3133-3142)(図3D)、L34の前駆体塩基はC34であることが判明した。L34開裂バンド直下のギャップは、Lの正電荷に起因した。これらの結果は、ライシジン形成はmesJ蛋白質に触媒された単一工程の反応であることを示している。
(4)組換えtRNAIle−ライシジンシンセターゼ(Tils)によるin vitro ライシジン合成
yacA 及びmesJは、全真正細菌及び古細菌の完全ゲノム由来の77遺伝子を含む同じオーソロガスクラスタ、COG0037に属する。系統発生的には、このクラスタは2つのファミリー、ydaO 及び mesJ に分割される。mesJ ファミリーは真正細菌同族体からなる。配列の配置は、高度に保存されたN-末端及び保存されないC-末端領域を示した(図4)。N−末端領域では、高度に保存されたSGGXDS 配列(20-25)は、ATPピロフォスファターゼ(PPiシンセターゼ)ファミリー中ATP-結合に用いられる普遍的モチーフである、P-ループモチーフであると予想された。第二の保存されたモチーフ(154-160)も、N-末端領域に見いだされた。E. coli MesJ蛋白質の結晶構造は、最近、構造ゲノミクスにより機能未知の保存蛋白質であると決定された(図7参照)(1NI5, M. Gu, T. Burling and C. D. Lima)。結晶構造により規定された二次構造要素は、図4に示した配置により表示される。
MesJがライシジンを合成するか否かを試験するため、組換えにより、E. coli 中に48.5 KDa E. coli MesJ蛋白質を発現させた(図5A)。ゲル移動度シフト実験は、この蛋白質が単離されたtRNAIle2に特異的に結合することを示し(図5B)、これが、基質tRNAを認識してライシジン形成を直接担う酵素であることを示している。次に、mesJts株から単離された前駆体tRNAIleを用いて、組換えMesJ蛋白質を用いて in vitro でライシジンを合成した。ここでは、分子の約50%だけが既にL34修飾(ΔL34と表記)を持っている。MesJによるこれら前駆体への[14C]リジンのATP-依存性取込みが観察された(図5C)。NAD+, NADH, NADP+, ピリドキサル・リン酸又は GTP 等の他の補因子あるいはエネルギー源は必要なかった。従って、MesJ蛋白質はライシジン形成に直接関与し、ATP-依存性リジン転写活性を有することが分かった。この蛋白質は、tRNAIle−ライシジンシンセターゼ(TilS、遺伝子はtilS)と命名する。
(5)ライシジン形成によるtRNAIleのアミノ酸特異性の直接転換
ゆらぎ位置にC34を伴うtRNAIleはイソロイシンの代わりにメタニンを受容することが報告されている。アンチコドンCAUはメチオニル-tRNAシンセターゼに対する正の決定基だからである(Muramatsu, T., et al., (1988). Nature 336, 179-181)。これを確認するために、50%がC34前駆体であるΔL34 tRNAIle2のアミノアシル化を試験した。ΔL34分子の約600 pmol/A260単位がメチオニンを受けとったが、残りはイソロイシンを受けとったことを確認した(図5D)。tRNAIle2の in vitro ライシジン形成はアミノ酸特異性のイソロイシンへの転換を直接担っていることを実証するために、組換えTilS蛋白質及び基質として冷リジンを用いて、ΔL34 tRNAIle2 にin vitro でライシジンを形成させた。再構築されたΔL34 tRNAIle2をLC/MS解析に付した結果、痕跡量の再構築されていないフラグメント(m/z 1828)が検出されたが、C34-保有フラグメントの大部分はL34-保有フラグメントに転換されていた(m/z 1892)ことが明らかになった(図3C、最下段パネル)。次に、これらの再構築されたΔL34分子のアミノ酸受容活性を評定した。これらの分子のイソロイシン受け取り活性は1350 pmol/A260単位まで増加し、メチオニン受け取り活性は約100 pmol/A260単位まで落ちた(図5D)。残存メチオニン受け取り活性は、再構築されたΔL34分子中の、僅かな再構築されていないtRNA部分によるものである。このように、TilS蛋白質によるライシジン修飾により、tRNAIleのアミノ酸特異性はメチオニンからイソロイシンに直接転換した。これらのデータは、in vitro で部分的なライシジン修飾だけが起きるならば、非修飾のtRNAはAUGをMetにデコードするメチオニンtRNAとして行動することを示唆している。
(6)ライシジン形成は in vivo でのAUAコドンのデコーディングに必須である
ライシジン形成は細胞中のAUAコドンのデコーディングに必須であることを実証するために、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子、又はN-末端領域に2対のタンデムAUAコドンを保持する修飾したβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子を保持するレポータープラスミドを構築した。各プラスミドを tilS+ 株、及び tilS 遺伝子が分断され、かつ tilS が温度感受性(ts)複製起源を有する別のプラスミドにより救済された tilS欠損株中に導入した。30℃及び42℃で増殖したこれらの株のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。30℃では、tilS+ 株に産生されたβ−ガラクトシダーゼ活性は tilS欠損株に産生された活性に匹敵した(図6、例えばレーン1と5を比較)。(初代)lacZプラスミドにより特定された活性に対して、AUA-lacZプラスミドにより特定されたβ−ガラクトシダーゼ活性は減少した(図6、例えばレーン1と3を比較)。これは、AUAコドンの使用が比較的稀であるためかもしれない。非許容温度である42℃では、tilS含有プラスミドは、ts レプリコンにより次第に消失した。tilS欠損株に産生したβ−ガラクトシダーゼ活性は、42℃では、30℃に較べて減少した(図6、レーン1〜4)。特に、AUA-lacZプラスミドにより特定された活性の低下は顕著である(図6、レーン4)。これらの結果は、tilSによるライシジン形成は、細胞のAUAデコーディングに対する必須工程であることを表している。
図1は、ライシジン及びAUAコドン特異的tRNA の化学構造を示す。(A) ライシジンの化学構造 (L, N* 又は k2C)。(B) 修飾ヌクレオシドを伴うAUAコドンを担うE. coli tRNAIle2の二次構造:ライシジン(L)、4-チオウリジン (s4U)、2'-O-メチルグアノシン(Gm)、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン(t6A)、プソイドウリジン(Ψ)、7-メチルグアノシン(m7G)、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、及び 5-メチルウリジン(T)。青色は、RNase T1でtRNAを分解して産生したアンチコドン含有フラグメントである。 図2は、tRNAIleのライシジン修飾の検出方法及び必須ライシジン合成遺伝子の同定を示す。(A) ライシジン修飾を検出するために使用する方法の模式図解。青色は、ノーザンハイブリダイゼーションで使用するプローブ。(B) C34T突然変異を伴うtRNAIle2発現プラスミドを保有するE. coli細胞由来の全RNA中tRNAIleのライシジン修飾を検出する方法の適用。レーンの印WT、C34T及びmix は、野生型 tRNAIle2、 C34T 突然変異を伴うtRNAIle2、及び両 tRNAの混合試料を示す。ライシジンが無い5'−ハーフフラグメントは、ライシジンを持つものよりも早く移動する。(C) ライシジン合成に必須の遺伝子を同定するための本方法の適用。yacA のB. subtilis IPTG-依存性条件突然変異種をIPTGの有無の条件下で培養し、tRNAIleのライシジン修飾を解析した(左パネル)。yacA 突然変異種の極性効果を除外するため、B. subtilis hprT−ノックアウト株のライシジン修飾を解析した。対照としてのmesJ+及び野生型(WT)株と共に、E. coli mesJts細胞中のライシジン修飾を解析した(右パネル)。mesJ+は、mesJ遺伝子のプラスミド上への複写により、除去された染色体mesJ遺伝子が救済された株である。 図3は、総ヌクレオシド及びライシジン合成を止めた条件で培養した細胞由来のtRNAIleの質量分析法解析(A) IPTG の有無の条件下で増殖したB. subtilis yacA 突然変異種中の総ヌクレオシドの解析。上パネルは254 nmにおけるUVトレース。他のパネルは、IPTG無し(中央パネル)又は有り(下パネル)で培養したyacA 突然変異種由来のライシジン(L、m/z 372)及びキュェオシン(Q、m/z 410)を検出したマスクロマトグラム。(B) 許容温度で培養したE. coli mesJ突然変異種中の総ヌクレオシドの解析。上パネルは254 nmにおけるUV トレース。中及び下パネルは、それぞれmesJ+及びmesJts株由来のライシジン(L、m/z 372)及びキュェオシン(Q、m/z 410)を検出したマスクロマトグラムである。L のピーク強度はQ のそれにより規格化した。(C) 許容温度で培養した野生型及びmesJts E. coliから得たRNase T1-分解tRNAIle2のLC/MS フラグメント解析。左手のグラフは、野生型tRNAIle2(上端)、部分L34修飾から成るmesJts由来ΔL34 tRNAIle2(中)、及びライシジン再構築ΔL34 tRNAIle2(下端)由来のL34(m/z 1892、黒線)を伴う及びC34(m/z 1828、赤線)を伴うアンチコドン含有フラグメントの二重荷電イオンによって示されるマスクロマトグラムを説明する。右手のグラフは、マススペクトルを示す。荷電状態を括弧内に表示する。(D) Donis-Keller法(Donis-Keller, H. (1980). Nucleic Acids Res 8, 3133-3142)を用いた野生型及びmesJts株由来tRNAIle2の酵素RNAシーケンシング。-E、Al、T1、U2、PhyM、及び CL3 は、それぞれ、酵素処理無し、アルカリ、RNase T1、RNase U2、RNase PhyM、及びRNase CL3による分解、を表示する。 L34 及び C34 に関する RNA バンドは矢印で表示している。 図4は、種々のバクテリア由来tRNAIle−ライシジンシンセターゼ(tilS)の配列配置を示す。P-ループモチーフ(20-25)を赤点線で表示する。PPiシンセターゼファミリーの第二保存モチーフ(154-160)を青点線で示す。各配列は E. coli (Ecoli)、B. subtilis (Bsubt)、Deinococcus radiodurans (Dradi)、Treponema pallidum (Tpall)、Aquifex aeolicus (Aaeol)、Helicobacter pylori (Hpylo) 及び Mycoplasma genitalium (Mgeni)由来蛋白質同族体のセットにより配置されている。E. coli mesJの結晶構造によって規定される二次構造要素を上段に示す。α−螺旋及びβ−シートを、それぞれ円筒及び矢印で示す。 図5は、組換えTilSの酵素活性を示す。(A) 組換えTilS蛋白質のSDS-PAGE解析。レーン1、分子マーカー; レーン2、TilS発現E. coliの細胞溶解物; レーン3、精製TilS蛋白質。(B) 組換えTilS蛋白質のtRNAIle2への結合のゲル−シフト解析。アクリルアミドゲルを臭化エチジウム(下パネル)又はCoomassie Brilliant Blue(上パネル)で染色した。レーン1、TilS蛋白質; レーン2、tRNAIle2; レーン3、40 pmol TilS蛋白質と80 pmol tRNAIle2; レーン4、80 pmol TilS蛋白質と80 pmol tRNAIle2; レーン5、160 pmol TilS蛋白質と80 pmol tRNAIle2; レーン6、80 pmol TilS蛋白質と80 pmol tRNAGlu。(C) mesJts 突然変異種由来ΔL34 tRNAIle2を用いた、組換えTilS蛋白質の in vitro ライシジン合成能力の解析。反応は、ATP有り(円)又は無し(四角)で実施した。野生型株由来tRNAIle2(三角)を陰性対照として役立てた。(D) ΔL34 tRNAIle2(ここで約50%のtRNAIle2だけがL34を保有)の in vitro アミノアシル化、及びTilS及び冷リジンによる再構築tRNAIle2(ここで殆どのtRNAIle2がL34を保有)の査定。四角は非再構築ΔL34を表示し、円は再構築ΔL34を表示する。イソロイシル化及びメチオニル化を、それぞれ、塗りつぶし及び白抜きの四角/円で表示する。 図6は、in vivo AUA コドンのデコーディング活性測定用β−ガラクトシダーゼ検定を示す。この検定における全ての株は、tilS 遺伝子を保持するプラスミド(ts レプリコン)で形質転換した。レーン1−4、tilS−ノックアウト株; レーン5−8、野生型株; レーン1、2、5及び6、元のlacZレポーターを有する株; レーン3、4、7及び8、タンデムAUA コドンを保有するlacZレポーターを有する株; レーン1、3、5及び7、30℃で培養した株; レーン2、4、6及び8、42℃で培養した株。挿入ペプチドを伴うlacZレポーターを図解している。挿入ペプチド中のAUAコドンによってエンコードされた2つのタンデムイソロイシンを強調表示している。 図7は、E. coli TilS(mesJ)の結晶構造を示す。E. coli mesJ(1NI5)の座標を蛋白質データバンクから得た。DeepView/SwissPdb Viewer Ver. 3.7 (Guex, N., et al., (1997). Electrophoresis 18, 2714-2723) を用いて、三次元構造を表示した。(A) E. coli TilSのリボンダイアグラム。NTD中の保存残基を赤で示す。P−ループ及びR160残基を黄で示す。緑の矢印はC及びDに示したNTDに対する視角を表示する。(B) E. coli mesJ蛋白質の静電位。蛋白質表面はその静電位に従って色分けしてある。赤=−1.8 kT/e、青= +1.8 kT/e。(C) NTDのリボンダイアグラム。保存アルギニン残基を表示している。(D) NTDの表面静電位。

Claims (3)

  1. イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素としてのmesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物の使用。
  2. mesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成する方法。
  3. mesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成することを含む、RNAの修飾方法。
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