JP4490663B2 - イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素(TilS)としてのmesJ遺伝子産物及びその相同性遺伝子(COG0037) - Google Patents
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本発明者は、ライシジン合成に対する真正細菌特異性遺伝子(tilS)を同定した。CAUアンチコドンを伴うtRNAIle遺伝子は古細菌ゲノム中に存在する(Marck, C., et al., (2002). Rna 8, 1189-1232)が、tilS の同族体は古細菌の完全ゲノム配列中には存在しない。この結果は、AUA特異性古細菌tRNAIleは、ライシジンとは化学構造が異なるが同様に作用する修飾シチジンを持っていることを示唆する。この推測は、ライシジンは質量分析法解析では古細菌RNAの全ヌクレオシド中に検出されない(McCloskey, J. A., et al., (2001). Nucleic Acids Res 29, 4699-4706)という事実により支持される。
(1)菌株及び培地
yacA、yjbN、及び yneS の B. subtilis IPTG-依存性条件突然変異株を日本でB. subtilis プロジェクトにより構築した(Kobayashi, K., et al., (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 4678-4683;及びOgasawara, N. (2000). Res Microbiol 151, 129-134)。mesJts(tilSts)突然変異種はプラスミドシャフリングにより単離した(Kato, J., et al., (1996). Gene 170, 141-142)。mesJ DNAフラグメントは、0.2mMのMnCl2とプライマーとしてオリゴヌクレオチド128-5 (5'-CCGAATTCGTTGGAACTGTATGAGCAG-3')(配列番号1) 及び 128-6 (5'-CCGGATCCACTTAACTAAGCGTTTTCTGC-3')(配列番号2)の存在下、error-prone PCRにより調製し、mini-F ベクター mFCm2にクローニングした。得られたプラスミドは、既報の通り(Kato, J., et al., (1996). Gene 170, 141-142)、染色体mesJ+が ΔmesJ::KmR で置換されたMG1655ΔmesJ recA / pJK286 (mini-F (ApR)) −mesJ+ 株に導入した。mesJ+ 及び mesJts 株は、それぞれ mFCm2- mesJ+ 及び mFCm2- mesJts プラスミドを有するMG1655ΔmesJ recA 株であった。
C34T突然変異を伴うtRNAIle2遺伝子を構築するために、QuickChange mutagenesis (ストラタジーン)を説明書に従って使用し、オリゴヌクレオチド ileY-T34F (GGTTAGAGCAGGCGACTTATAATCGCTTGGTCG) (配列番号3) 及び ileY-T34R (CGACCAAGCGATTATAAGTCGCCTGCTCTAACC) (配列番号4)を用いて、Epicurian Coli BL21-CodonPlus (ストラタジーン)に由来する pACYC-RIL 中にコードされた ileY 遺伝子の部位特異的突然変異誘発を行った。
ISOGEN(日本ジーン)を説明書に従って使用して、酸グアニジニウムチオシアン酸塩−フェノール−クロロホルム法により、E. coli 及び B. subtilis 細胞由来の全RNAを抽出した。RNase U2を用いた全RNAの限定的分解を以下の通り実施した。50 mM Tris-HCl (pH 7.5) 及び100 mM MgCl2からなる緩衝液中の全RNA 400 μg/mlを、0℃で30分間プレインキュベーションした。RNase U2(126 μg/ml)を添加し、0℃で30分間、RNAの分解を行った。分解物を0.1N HClで処理して、2'-3' 環状燐酸塩を開裂部位で加水分解した。分解物をフェノール抽出した後、RNAフラグメントを酸−尿素PAGE(12)により分離した。ゲルを、ノーザン解析用に、TBE緩衝液を用いてHybond N+(アマシャム バイオサイエンス)にブロットした。2種の合成DNA オリゴヌクレオチド; 5'-GCCTGCTCTAACCACTGAGCTAAGG-3' (配列番号5) 及び 5'-GTCTGCTCTAACCAACTGAGCTAAAG-3' (配列番号6)を5'32P-標識して、それぞれ、B. subtilis 及び E. coli tRNAsIle用のノーザンプローブとして使用した。
後半対数期のE. coli細胞から全RNA 約1000 A260 単位を得た。溶媒A (200 mM NaCl, 20 mM Hepes-KOH [pH 7.5] 及び 8mM MgCl2) 及び溶媒B (700 mM NaCl, 20 mM Hepes-KOH [pH 7.5] 及び 8mM MgCl2)からなるNaCl線形勾配を用いて、流速 2 ml/min のBio-scale DEAE2 カラム(バイオラッド)上での分画により、全RNAから粗tRNAを単離した。既報の(Kaneko, T., et al., (2003). Embo J 22, 657-667)、固相DNAプローブ法に従い、粗tRNAからtRNAIleを精製した。プローブとしては、3'−ビオチン化合成オリゴヌクレオチド 5'-AGTCGCCTGCTCTAACCACTGAGCT-3' (配列番号7) を用いた。変性PAGEにより、単離したtRNAIleを更に精製した。
電気スプレーイオン化(ESI)源を備えたLCQ イオントラップ(IT)質量分析計(サーモフィニガン)及びHP1100液体クロマトグラフィー系(アジレント)を用いて、全ヌクレオシド及びRNase T1-分解RNA を分析した。全RNA のヌクレオシド分析は、既報の通り(Kaneko, T., et al., (2003). Embo J 22, 657-667)、実施した。精製tRNA (各場合とも0.01-0.05 A260unit/0.5-2.5 μg)を、20 mM NH4OAc (pH 5.3)中RNase T1 (2.5 単位)を用い、37℃、3時間分解し、次いで、質量分析法により解析した。RNase T1分解により産生したオリゴヌクレオチドは、文献(Apffel, A., et al., (1997). Anal Chem 67, 1320-1325)の方法に一部修正を加えて、負イオン形として LC/MS により解析した。分解物はSpercosil LC-DB C18 カラム、300 × 1.0 mm (スペルコ)上に直接置いた。水中0.4 M 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(pH 7.0, トリエチルアミンで調整) (A) 及び 50% メタノール(B)から成る溶媒系を、以下の通り使用した: 0〜33 分間 5〜80% B、 33〜35 分間80% B、 35〜40 分間 80〜5% B。クロマトグラフィー流出物 (70 μl/ml) を予め分流しないでイオン源に導いた。620 から 2000 の範囲のm/zにわたり、以下の条件下での分離の間、負イオンを走査した: シースガス流速、55 arb, キャピラリー温度、235℃; スプレー電圧、5kV。
プライマーtilS-F (GGCATATGACACTCACGCTCAATAGA) (配列番号8)及びtilS-R (GGGAAGCTTACTAAGCGTTTTCTGCCA) (配列番号9)を用いて、PCRにより、E. coliゲノム由来 tilS (mesJ) 遺伝子を増幅した。増幅産物をpET-22b(+)(ノバゲン)にクローンした。E. coli BL21(DE3)を組み換えTilS発現の宿主として用いた。C−末端6xHis タグ付けTilS蛋白質を、1mM IPTG 誘発により可溶形で発現させ、His-Bind樹脂(ノバゲン)を説明書に従って使用して、精製した。Bio-Rad 蛋白質検査キットにより、標準としてウシ血清アルブミンを用いて、蛋白質濃度を測定した。プールしたTilSフラクションに、最終濃度30%になるようにグリセロールを添加し、液体窒素で急凍し、−70℃で保存した。
既報の手法(Yokogawa, T., et al., (2000). J Biol Chem 275, 19913-19920)に若干の修正を加えて実験を行った。組み換えTilS及び精製tRNAIle2を、50 mM Tris-HCl (pH 8.5)、15 mM MgCl2、5mM DTT及び1 mM スペルミンから成る緩衝液中で、37℃、15分間培養した。複合体を、50 mM Tris、5 mM Mg(OAc)2及び5 mM DTT (pH 7.1、酢酸で調整)を用いて、6%の天然アクリルアミドゲル上に流した。電気泳動後、ゲルを臭化エチジウムで染色してtRNAを可視化し、Coomasie Brilliant Blueで染色して蛋白質を可視化した。
100 mM Tris−HCl (pH 7.8)、10 mM KCl、10 mM MgCl2、10 mM DTT、2 mM ATP、3μM [U-14C] リジン、1μg 組み換えTilS蛋白質、及び0.05 A260 単位のtRNA試料(この約50% はL34 修飾を持つ)から成る反応混合物 100 μL 中37℃でライシジンをin vitro 形成した。各時点で採取した試料をワットマン3MM フィルター円板上に点着した。円板を5% トリクロロ酢酸で洗浄し、液体シンチレーション計数により放射活性を測定した。
既述の通り(Suzuki, T., et al., (1997). Embo J 16, 1122-1134)、アミノアシル化アッセイを実施した。反応混合物は、100 mM TrisHCl (pH 7.8)、10 mM KCl、5 mM MgCl2、1 mM DTT、2 mM ATP、5 μM [U-14C]イソロイシン(又は[1-14C]メチオニン)、E. coli S100フラクション及び0.02 A260 単位のtRNAから成るものを使用した。
tilS遺伝子をpTH18cs1にクローンして(Hashimoto-Gotoh, T., et al., (2000). Gene 241, 185-191)、pSK10を構築した。pSK10 を保持するKM22の染色体tilS遺伝子を、Murphy, K. C., et al., (2000). Gene 246, 321-330の方法に従って、テトラサイクリン耐性遺伝子(tilS::Tc')で置換した。テトラサイクリン耐性はP1 形質導入によりlacZ-陰性株、pSK10を保持するCSH26(Δpro-lac、ara、thi)に転移され、新たな株、SK34を産生した。pJG200のlacZ-コーディング領域(Germino, J., et al. (1984). Proc Natl Acad Sci U S A 81, 4692-4696)はpMBL18に転移され(Nakano, Y., et al., (1995). Gene 162, 157-158)、レポータープラスミドpSK21を構築した。2組のタンデムAUAコドンによってエンコードされるペプチド配列 DEIIKLIIをpSK21中のlacZの1番目と2番目のアミノ酸残基間に挿入してpSK31を構築した。β−ガラクトシダーゼアッセイには以下の株を使用した。CSH26/pSK10、pSK21 (tilS+、元のlacZ)、CSH26/pSK10、pSK31(tilS+、4ATA-lacZ)、SK34/ pSK10、pSK21 (tilS−、元のlacZ) 及び SK34/ pSK10、 pSK31 (tilS−, 4ATA-lacZ)。各株の予備培養物を新鮮なLB培地に接種し、32℃又は42℃で8時間培養した。細胞増殖は対数期に保持した。β−ガラクトシダーゼアッセイはMiller(Miller, J. H. (1992). A short course in bacterial genetics : a laboratory manual and handbook for Escherichia coli and related bacteria. In (Plainview, N.Y., Cold Spring Harbor Laboratory Press), pp. 72-74)に従って実施した。
(1)tRNAIleのライシジン修飾を感度良く検出する方法の開発
ライシジン合成を担う酵素の遺伝子を逆遺伝学的手法によって同定するために、tRNAIle中のライシジンを検出するための高感度かつ簡便な方法を開発した。ライシジンはpH 3.5〜8.5の範囲で一価の正電荷を持つことから(Muramatsu, T., et al., (1988). J Biol Chem 263, 9261-9267)、ライシジンを有するtRNAIleとライシジンを有さないtRNAIleは、酸−尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(acid-urea PAGE)( Varshney, U., et al., (1991). J Biol Chem 266, 24712-24718)により互いに分離できるものと推測した。しかし、E. coli tRNAIleの3'-ハーフフラグメントの位置47にあるもう一つのRNA修飾acp3U[3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン](図1B)も、酸性条件下で正電荷を持つ。これは酸−尿素ゲル中のtRNAの移動度に影響する可能性がある。したがって、ライシジン保有tRNAIleの検出を更に信頼できるものにするため、先ず、位置A35(tRNAIleのアンチコドンの第二文字)で開裂させるRNase U2で、全RNAを部分的に分解した。次いで、生成物を酸−尿素ゲル上に流し、これをブロットし、特異的な放射標識プローブを用いて、RNaseU2の限定的分解によって生成したtRNAIleの5'−ハーフフラグメントを検出した(図2A)。
CATアンチコドンを伴うtRNAIle遺伝子は、30の真正細菌及び13の古細菌の全ての完全なゲノム配列で見いだされており(Marck, C., et al., (2002). Rna 8, 1189-1232)、ライシジン様の機能を持つシチジン誘導体は、真正細菌及び古細菌tRNAIleの普遍的な転写後修飾であることを示している。そこで、ライシジン形成を担う遺伝子は、Clusters of Orthologous Groups of proteins (COGs) データベース(Tatusov, R. L., et al., (1997). Science 278, 631-637;及びTatusov, R. L., et al., (2001). Nucleic Acids Res 29, 22-28)に存在するはずであると推測した。Escherichia coli, Bacillus subtilis, 及び Mycoplasma genitalium中に共通に見いだされる遺伝子を同定するための系統発生パターン検索により、373個のCOGが検出され、この内48個は推定上の蛋白質遺伝子又は機能未知の未同定の遺伝子であった。ライシジン形成を担う遺伝子は必須遺伝子であると考えられるので、バクテリア遺伝子必須解析(Akerley, et al., (2002). Proc Natl Acad Sci U S A 99, 966-971; Hutchison, C. A., et al., (1999). Science 286, 2165-2169;及び Kobayashi, K., et al., (2003). Proc Natl Acad Sci U S A 100, 4678-4683)によって、候補遺伝子として5個のCOG (ナンバー 0037, 0061, 0344, 0536, 及び 1160)を選択した。
ライシジン形成がyacA 又はmesJにエンコードされた単一の酵素によって触媒される単一工程であるのか、他のRNA−修飾ヌクレオチド(例えば、キュェオシンあるいは4−チオウリジン)の生合成で起こるような複数の遺伝子が関与する複数の工程であるのかは(Iwata-Reuyl, D. (2003). Bioorg Chem 31, 24-43; Kambampati, R., et al., (1999). Biochemistry 38, 16561-16568;及びNishimura, S. (1983). Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 28, 49-73)、不明瞭であった。ライシジンの生合成を同定する最良の方法は、yacA 又はmesJ遺伝子を部分的に不活性化したときに、tRNAIleのゆらぎ位置におけるL34の前駆体形を同定することである。30℃で培養したmesJts株中のtRNAIle2分子の約50%においてライシジン合成に欠陥があるという知見(図3B参照)により、L34部分修飾を伴うE. coli tRNAIle2(ΔL34と表記)を親和性で単離するのに十分な数の培養細胞を得ることができた。親和性単離されたtRNAIle2をRNase T1(G-特異性)により分解し、液体クロマトグラフィー−質量分析法解析で処理した。野生型E. coli由来のtRNAIle2では、ライシジンを持つアンチコドン含有RNAフラグメント[5'-ACUL34AUt6AA・CGp-3' (3785.5 Da)]が検出されたが、L34の代わりにC34を含有するフラグメント[5'-ACUC34AUt6AA・CGp-3' (3657.5 Da)]は検出されなかった(図34、上端)。しかし、mesJts株由来のΔL34tRNAIle2では、L34保有フラグメントと共に、C34保有フラグメントが明瞭に検出された(図3C、中段)。即ち、ΔL34tRNAIle2のライシジンの前駆体形はシチジンであることが判明した。これらの観察結果を確認するために、酸−尿素PAGEにより、野生型tRNAIle2からmesJts中のC34含有前駆体tRNAIle2を分離した。単離された前駆体tRNAIleの残基34は、酵素的RNA配列決定中にC特異性RNaseCL3に感受性であることが見いだされたので(Donis-Keller, H. (1980). Nucleic Acids Res 8, 3133-3142)(図3D)、L34の前駆体塩基はC34であることが判明した。L34開裂バンド直下のギャップは、Lの正電荷に起因した。これらの結果は、ライシジン形成はmesJ蛋白質に触媒された単一工程の反応であることを示している。
yacA 及びmesJは、全真正細菌及び古細菌の完全ゲノム由来の77遺伝子を含む同じオーソロガスクラスタ、COG0037に属する。系統発生的には、このクラスタは2つのファミリー、ydaO 及び mesJ に分割される。mesJ ファミリーは真正細菌同族体からなる。配列の配置は、高度に保存されたN-末端及び保存されないC-末端領域を示した(図4)。N−末端領域では、高度に保存されたSGGXDS 配列(20-25)は、ATPピロフォスファターゼ(PPiシンセターゼ)ファミリー中ATP-結合に用いられる普遍的モチーフである、P-ループモチーフであると予想された。第二の保存されたモチーフ(154-160)も、N-末端領域に見いだされた。E. coli MesJ蛋白質の結晶構造は、最近、構造ゲノミクスにより機能未知の保存蛋白質であると決定された(図7参照)(1NI5, M. Gu, T. Burling and C. D. Lima)。結晶構造により規定された二次構造要素は、図4に示した配置により表示される。
ゆらぎ位置にC34を伴うtRNAIleはイソロイシンの代わりにメタニンを受容することが報告されている。アンチコドンCAUはメチオニル-tRNAシンセターゼに対する正の決定基だからである(Muramatsu, T., et al., (1988). Nature 336, 179-181)。これを確認するために、50%がC34前駆体であるΔL34 tRNAIle2のアミノアシル化を試験した。ΔL34分子の約600 pmol/A260単位がメチオニンを受けとったが、残りはイソロイシンを受けとったことを確認した(図5D)。tRNAIle2の in vitro ライシジン形成はアミノ酸特異性のイソロイシンへの転換を直接担っていることを実証するために、組換えTilS蛋白質及び基質として冷リジンを用いて、ΔL34 tRNAIle2 にin vitro でライシジンを形成させた。再構築されたΔL34 tRNAIle2をLC/MS解析に付した結果、痕跡量の再構築されていないフラグメント(m/z 1828)が検出されたが、C34-保有フラグメントの大部分はL34-保有フラグメントに転換されていた(m/z 1892)ことが明らかになった(図3C、最下段パネル)。次に、これらの再構築されたΔL34分子のアミノ酸受容活性を評定した。これらの分子のイソロイシン受け取り活性は1350 pmol/A260単位まで増加し、メチオニン受け取り活性は約100 pmol/A260単位まで落ちた(図5D)。残存メチオニン受け取り活性は、再構築されたΔL34分子中の、僅かな再構築されていないtRNA部分によるものである。このように、TilS蛋白質によるライシジン修飾により、tRNAIleのアミノ酸特異性はメチオニンからイソロイシンに直接転換した。これらのデータは、in vitro で部分的なライシジン修飾だけが起きるならば、非修飾のtRNAはAUGをMetにデコードするメチオニンtRNAとして行動することを示唆している。
ライシジン形成は細胞中のAUAコドンのデコーディングに必須であることを実証するために、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子、又はN-末端領域に2対のタンデムAUAコドンを保持する修飾したβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子を保持するレポータープラスミドを構築した。各プラスミドを tilS+ 株、及び tilS 遺伝子が分断され、かつ tilS が温度感受性(ts)複製起源を有する別のプラスミドにより救済された tilS欠損株中に導入した。30℃及び42℃で増殖したこれらの株のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。30℃では、tilS+ 株に産生されたβ−ガラクトシダーゼ活性は tilS欠損株に産生された活性に匹敵した(図6、例えばレーン1と5を比較)。(初代)lacZプラスミドにより特定された活性に対して、AUA-lacZプラスミドにより特定されたβ−ガラクトシダーゼ活性は減少した(図6、例えばレーン1と3を比較)。これは、AUAコドンの使用が比較的稀であるためかもしれない。非許容温度である42℃では、tilS含有プラスミドは、ts レプリコンにより次第に消失した。tilS欠損株に産生したβ−ガラクトシダーゼ活性は、42℃では、30℃に較べて減少した(図6、レーン1〜4)。特に、AUA-lacZプラスミドにより特定された活性の低下は顕著である(図6、レーン4)。これらの結果は、tilSによるライシジン形成は、細胞のAUAデコーディングに対する必須工程であることを表している。
Claims (3)
- イソロイシンtRNA(tRNAIle)のライシジン合成酵素としてのmesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物の使用。
- mesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成する方法。
- mesJ遺伝子産物またはyacA遺伝子産物を使用して、イソロイシンtRNA(tRNAIle)中のライシジンを合成することを含む、RNAの修飾方法。
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