JP2023181099A - 複合偏光板の製造方法及び複合偏光板 - Google Patents

複合偏光板の製造方法及び複合偏光板 Download PDF

Info

Publication number
JP2023181099A
JP2023181099A JP2023079791A JP2023079791A JP2023181099A JP 2023181099 A JP2023181099 A JP 2023181099A JP 2023079791 A JP2023079791 A JP 2023079791A JP 2023079791 A JP2023079791 A JP 2023079791A JP 2023181099 A JP2023181099 A JP 2023181099A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizing plate
adhesive layer
layer
adhesive
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023079791A
Other languages
English (en)
Inventor
辰徳 荒木
Tatsunori Araki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Publication of JP2023181099A publication Critical patent/JP2023181099A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J133/00Adhesives based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/30Adhesives in the form of films or foils characterised by the adhesive composition
    • C09J7/38Pressure-sensitive adhesives [PSA]
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/13363Birefringent elements, e.g. for optical compensation

Abstract

【課題】偏光板及び/又は位相差層と粘着剤層との間に混入する気泡を抑制でき、冷熱衝撃試験でクラックが発生することを抑制できる複合偏光板の製造方法及び複合偏光板を提供する。【解決手段】複合偏光板は偏光板と位相差層とが積層されており、偏光板は少なくとも偏光素子を含み、位相差層は重合性液晶化合物の硬化層を含む。複合偏光板の製造方法は、第1粘着剤層の伸び800%での応力(X)が2.0N/mm2以下の状態となる条件下で、第1粘着剤層を介して位相差層と偏光板とを貼合して積層体を得る工程(a)と、積層体において、第1粘着剤層の温度23℃における伸び800%での応力(Y)を5.0N/mm2以上となるように調整する工程(b)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、複合偏光板の製造方法及び複合偏光板に関する。
液晶表示装置(LCD)は、液晶テレビだけでなく、パソコン、携帯電話等のモバイル端末、及びカーナビ等の車載用途にも広く用いられている。通常、液晶表示装置は、偏光素子を含む偏光板を液晶セルの両側に貼合した液晶パネルを有し、バックライトからの光を液晶パネルで制御することにより画像等の表示を行っている。近年では、有機EL表示装置も液晶表示装置と同様に、テレビ、携帯電話等のモバイル端末、カーナビ等の車載用途に広く用いられている。有機EL表示装置では、外光が金属電極(陰極)で反射され鏡面のように視認されることを抑止するために、画像表示素子の視認側表面に円偏光板(偏光素子とλ/4板とを含む)が配置されることがある。
表示装置に適用される偏光板には、良好な視野角特性を実現することが求められる。視野角特性を向上させるために、偏光素子とともに、重合性液晶化合物の硬化層を含む位相差層を表示装置に用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載されているように、重合性液晶化合物の硬化層は、基材フィルム上に重合性液晶化合物を含む組成物を塗布して硬化することによって形成される。基材フィルム上に形成された硬化層は、基材フィルムとともに偏光素子等の被着体に貼合された後、基材フィルムを剥離することによって被着体上に転写される。
特開2020-201510号公報
偏光板と位相差層とを含む複合偏光板では、粘着剤層を用いて偏光板と位相差層とを貼合することがある。重合性液晶化合物の硬化層を含む位相差層を用いた複合偏光板には、冷熱衝撃試験でのクラック耐性を付与するために、上記粘着剤層として硬い(塑性変形しにくい)粘着剤層を用いることがある。硬い粘着剤層を用いて偏光板と位相差層とを貼合すると、偏光板及び/又は位相差層と粘着剤層との間に、気泡が混入することが見出された。
本発明は、偏光板及び/又は位相差層と粘着剤層との間に混入する気泡を抑制でき、冷熱衝撃試験でクラックが発生することを抑制できる複合偏光板の製造方法及び複合偏光板の提供を目的とする。
本発明は、以下の複合偏光板の製造方法及び複合偏光板を提供する。
〔1〕 偏光板と位相差層とが積層された複合偏光板の製造方法であって、
前記偏光板は、少なくとも偏光素子を含み、
前記位相差層は、重合性液晶化合物の硬化層を含み、
前記製造方法は、
第1粘着剤層の伸び800%での応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、前記第1粘着剤層を介して前記位相差層と前記偏光板とを貼合して積層体を得る工程(a)と、
前記積層体において、前記第1粘着剤層の温度23℃における伸び800%での応力(Y)が5.0N/mm以上となるように調整する工程(b)と、を含む、複合偏光板の製造方法。
〔2〕 前記工程(a)は、
前記偏光板に前記第1粘着剤層を形成する工程(a1)と、
前記偏光板に形成した前記第1粘着剤層上に前記位相差層を積層する工程(a2)と、を含む、〔1〕に記載の複合偏光板の製造方法。
〔3〕 前記工程(a1)後6日以内に、前記工程(a2)を行う、〔2〕に記載の複合偏光板の製造方法。
〔4〕 前記工程(a)は、
前記位相差層に前記第1粘着剤層を形成する工程(a3)と、
前記位相差層に形成した前記第1粘着剤層上に前記偏光板を積層する工程(a4)と、を含む、〔1〕に記載の複合偏光板の製造方法。
〔5〕 前記工程(a3)後6日以内に、前記工程(a4)を行う、〔4〕に記載の複合偏光板の製造方法。
〔6〕 前記工程(b)は、前記積層体を保管する工程である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
〔7〕 前記偏光板は、前記偏光素子の片面又は両面に保護フィルムを有する、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
〔8〕 前記第1粘着剤層の厚みは、10μm以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
〔9〕 前記第1粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂を含む粘着剤組成物を用いて形成され、
前記第1粘着剤層のガラス転移温度は、0℃以下である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
〔10〕 前記複合偏光板は、さらに、前記位相差層の前記偏光板側とは反対側に第2粘着剤層を含み、
前記複合偏光板において、
前記第1粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.45MPa以上であり、
前記第2粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
〔11〕 偏光板、第1粘着剤層、位相差層、及び、第2粘着剤層をこの順に含み、
前記第1粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.45MPa以上である、複合偏光板。
〔12〕 前記第2粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上である、〔11〕に記載の複合偏光板。
〔13〕 前記第1粘着剤層は、ベースポリマーと架橋剤とを含む粘着剤組成物を用いて形成され、
前記粘着剤組成物における前記架橋剤の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して15質量部を超える、〔11〕又は〔12〕に記載の複合偏光板。
本発明の複合偏光板の製造方法によれば、偏光板及び/又は位相差層と粘着剤層との間に混入する気泡を抑制でき、冷熱衝撃試験でのクラックの発生を抑制でき、外観に優れた複合偏光板を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る複合偏光板を模式的に示す断面図である。 実施例で作製した第1粘着剤層の伸びに対する応力を測定した結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(複合偏光板)
図1は、本発明の一実施形態に係る複合偏光板を模式的に示す断面図である。複合偏光板1は、偏光板10と位相差層20とが積層されている。複合偏光板1は、偏光板10と位相差層20との間に第1粘着剤層31を有する。
偏光板10は、少なくとも偏光素子11を含む。偏光板10は、偏光素子11の片面又は両面に保護フィルム13を有することが好ましい。偏光素子11と保護フィルム13とは、貼合層12(接着剤層又は粘着剤層)を介して積層されていてもよく、貼合層12は偏光素子11及び保護フィルム13に直接接していることが好ましい。
第1粘着剤層31は、偏光板10及び位相差層20に直接接している。複合偏光板1における第1粘着剤層31の温度95℃における貯蔵弾性率(以下、「貯蔵弾性率G’(95℃)」ということがある。)は、0.45MPa以上であることが好ましく、0.9MPa以上であることがさらに好ましく、1.4MPa以上であることが最も好ましい。第1粘着剤層31の貯蔵弾性率G’(95℃)は、30.0MPa以下であることが好ましく、15.0MPa以下であることがさらに好ましく、10.0MPa以下であることが最も好ましい。第1粘着剤層31の貯蔵弾性率G’(95℃)が上記の範囲であることにより、冷熱衝撃試験(以下、「HS試験」ということがある。)でのクラックの発生、特に位相差層20のクラックの発生を抑制することができる。
複合偏光板1における第1粘着剤層31の温度23℃における貯蔵弾性率(貯蔵弾性率G’(23℃))は、1.5MPa以上であることが好ましく、2.0MPa以上であることがさらに好ましく、3.0MPa以上であることが最も好ましい。第1粘着剤層31の貯蔵弾性率G’(23℃)は、50.0MPa以下であることが好ましく、40.0MPa以下であることがさらに好ましく、30.0MPa以下であることが最も好ましい。第1粘着剤層31の貯蔵弾性率G’(95℃)及びG’(23℃)は、後述する実施例に記載の方法によって決定することができる。
第1粘着剤層31は、温度23℃における伸び800%での応力(Y)(以下、「伸び応力(Y)」ということがある。)が5.0N/mm以上であってもよく、5.3N/mm以上であってもよく、5.5N/mm以上であってもよく、6.0N/mm以上であってもよい。第1粘着剤層31の伸び応力(Y)が上記の範囲であることにより、複合偏光板1のHS試験でのクラックの発生、特に位相差層20のクラックの発生を抑制することができる。第1粘着剤層31の伸び応力(Y)は、後述する実施例に記載の方法によって決定することができる。
複合偏光板1は、さらに、位相差層20側に第2粘着剤層32を有していてもよく、第2粘着剤層32の位相差層20側とは反対側に、第2粘着剤層32を被覆保護するための剥離フィルムを有していてもよい。第2粘着剤層32は、例えば表示装置の画像表示素子に貼合するための貼合層である。第2粘着剤層32は、位相差層20に直接接して設けられていてもよく、位相差層20の偏光板10側とは反対側に配置された他の層を介して設けられていてもよい。
複合偏光板1における第2粘着剤層32の温度95℃における貯蔵弾性率(貯蔵弾性率G’(95℃))は、0.01MPa以上であることが好ましく、0.03MPa以上であることがさらに好ましく、0.05MPa以上であることが最も好ましい。第2粘着剤層の貯蔵弾性率G’(95℃)は、6.00MPa以下であることが好ましく、3.00MPa以下であることがさらに好ましく、1.50MPa以下であることが最も好ましい。
複合偏光板1における第2粘着剤層の温度23℃における貯蔵弾性率(貯蔵弾性率G’(23℃))は、0.03MPa以上であることが好ましく、0.05MPa以上であることがさらに好ましく、0.10MPa以上であることが最も好ましい。第2粘着剤層の貯蔵弾性率G’(23℃)は、7.00MPa以下であることが好ましく、1.00MPa以下であることがさらに好ましく、0.50MPa以下であることが最も好ましい。貯蔵弾性率G’(23℃)が大きくなりすぎると、パネル表面のディンプル(小さな凹凸)を埋めにくくなることがある。第2粘着剤層の貯蔵弾性率G’(95℃)及びG’(23℃)は、後述する実施例に記載の方法によって決定することができる。
複合偏光板1は、さらに、偏光板10の位相差層20側とは反対側にプロテクトフィルムが積層されていてもよい。プロテクトフィルムは、偏光板10に対して剥離可能であることができ、偏光板10の表面を保護するためのものである。
複合偏光板1は、液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示装置の画像表示素子に積層して用いることができる。
(複合偏光板の製造方法)
複合偏光板1の製造方法は、上記した構造の複合偏光板1の製造方法であって、
第1粘着剤層の伸び800%での応力(X)(以下、「伸び応力(X)」ということがある。)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、第1粘着剤層31を介して位相差層20と偏光板10とを貼合して積層体を得る工程(a)と、
積層体において、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)が5.0N/mm以上となるように調整する工程(b)と、を含む。
工程(a)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)が2.0N/mm以下となる条件は、第1粘着剤層31の伸び応力(X)が2.0N/mm未満となる条件であってもよく、1.5N/mm以下となる条件であってもよく、1.0N/mm以下となる条件であってもよい。工程(a)における上記条件は、通常、第1粘着剤層31の伸び応力(X)が0.1N/mm以上となる条件であり、0.2N/mm以上となる条件であってもよく、0.3N/mm以上となる条件であってもよい。伸び応力(X)は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
工程(b)における第1粘着剤層31の伸び応力(Y)は、5.0N/mm以上であり、5.3N/mm以上であってもよく、5.5N/mm以上であってもよく、6.0N/mm以上であってもよい。工程(b)における第1粘着剤層31の伸び応力(Y)は、通常15.0N/mm以下である。伸び応力(Y)は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
工程(a)において第1粘着剤層31の伸び応力(X)が上記した範囲となる条件とし、工程(b)において第1粘着剤層31の伸び応力(Y)を上記した範囲とする方法としては、第1粘着剤層31を形成するために用いる粘着剤組成物中の成分を調整する方法、工程(a)を行う環境条件を調整する方法等が挙げられる。粘着剤組成物中の成分を調整する方法としては、粘着剤組成物に含まれるベースポリマーの種類及び/又は分子量を調整する;ベースポリマーを構成する反応性官能基を有するモノマーの種類及び/又は量を調整する;粘着剤組成物に含まれる架橋剤の種類及び/又は量を調整する;粘着剤組成物中の成分として反応性基を有するベースポリマー及び重合開始剤を用いる等が挙げられる。工程(a)を行う環境条件を調整する方法としては、工程(a)を行う温度を調整する方法等が挙げられる。
工程(b)が後述する積層体を保管する工程である場合、第1粘着剤層31を形成するために用いる粘着剤組成物は、ベースポリマーと架橋剤とを含むことが好ましい。この場合、工程(a)での貼合に用いる第1粘着剤層31は、ベースポリマーと架橋剤との反応が十分に進行していない状態にあることが好ましく、工程(b)を経た第1粘着剤層31は、ベースポリマーと架橋剤との反応が十分に進行した状態にあることが好ましい。
粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、15質量部以上であってもよく、15質量部を超えることが好ましく、18質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが最も好ましい。また、架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが最も好ましい。架橋剤の含有量が上記の範囲を下回ると、HS試験でのクラック抑制の効果が得られにくく、架橋剤の含有量が上記の範囲を上回ると、タック性が低下して偏光板10(例えば、偏光板10に含まれる保護フィルム)と密着しづらくなる。
上記のように工程(a)で行う偏光板10と位相差層20との貼合は、第1粘着剤層31の伸び応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で行う。伸び応力(X)がこの範囲の状態にある第1粘着剤層31は、軟らかい状態にあるため、偏光板10及び/又は位相差層20に第1粘着剤層31を密着させやすくなる。これにより、工程(a)で得られる積層体において、偏光板10及び/又は位相差層20と第1粘着剤層31との間に気泡が混入することを抑制することができる。工程(b)では、気泡の混入が抑制された積層体において、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)が上記の範囲となるように調整するため、第1粘着剤層31の硬度を向上することができる。これにより、HS試験時のクラック耐性を備え、かつ、気泡の混入が抑制された複合偏光板1を得ることができる。
上記の伸び応力(X)は第1粘着剤層31の塑性変形領域の指標であり、第1粘着剤層31の形成からの経過時間に伴って変化する値である。一方、第1粘着剤層31の弾性変形領域の指標であるヤング率は、第1粘着剤層31の形成からの経過時間に伴って大きく異ならず、経過時間に関係なく同程度の値となることが確認された。このことから、本実施形態の複合偏光板1の製造方法では、偏光板10及び/又は位相差層20と第1粘着剤層31との間に混入する気泡を抑制するために、第1粘着剤層31の塑性変形領域の指標である上記伸び応力(X)に基づいて複合偏光板1を製造している。
複合偏光板1の製造方法は、さらに、位相差層20に第2粘着剤層32を積層する工程を含んでいてもよく、偏光板10にプロテクトフィルムを積層する工程を含んでいてもよい。これらの工程は、後述するように工程(a)で行ってもよく、工程(b)で行ってもよく、工程(a)の前に行ってもよく、工程(a)と工程(b)との間に行ってもよく、工程(b)の後に行ってもよい。
位相差層20に第2粘着剤層32を積層する工程において、第2粘着剤層32の伸び応力(X)は、2.0N/mm以下であってもよく、2.0N/mm未満であってもよく、1.5N/mm以下であってもよく、1.0N/mm以下であってもよい。当該工程における第2粘着剤層32の伸び応力(X)は、0.1N/mm以上であってもよく、0.2N/mm以上であってもよく、0.3N/mm以上であってもよい。伸び応力(X)は、後述する実施例に記載の第1粘着剤層の伸び応力(X)を測定する方法と同じ方法によって測定することができる。
複合偏光板1の製造方法は、枚葉体を用いて行ってもよく、長尺体を用いて行ってもよい。複合偏光板1を連続的に生産する観点からは、長尺体を用いて行うことが好ましい。この場合、各工程で又は工程の中で得られた層又はフィルムを、ロール状に巻き取って巻回体とし、この巻回体から層又はフィルムを繰り出して次の工程を行うこともできる。本明細書において、長尺体とは、例えば30~10000mの長さを有する層又はフィルムをいう。
以下、複合偏光板1の製造方法の各工程について具体的に説明する。
(工程(a))
工程(a)は、第1粘着剤層の伸び応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、第1粘着剤層31を用いて、偏光板10と位相差層20とを貼合して積層体を得る工程である。工程(a)を行う環境条件は、第1粘着剤層31の伸び応力(X)を2.0N/mm以下の状態とすることができれば特に限定されない。工程(a)を行う際の好ましい温度は、例えば10℃以上であり、15℃以上であってもよく、20℃以上であってもよく、また、例えば35℃以下であり、30℃以下であってもよい。工程(a)を行う際の好ましい相対湿度は、通常30%RH以上であってもよく、40%RH以上であってもよく、45%RH以上であってもよく、また、通常70%RH以下であってもよく、65%RH以下であってもよく、60%RH以下であってもよい。
工程(a)は、例えば、偏光板10及び位相差層20のうちの一方に第1粘着剤層31を形成する工程(a1’)と、工程(a1’)で形成した第1粘着剤層31上に、偏光板10及び位相差層20のうちの他方を積層する工程(a2’)と、を含むことができる。工程(a)が工程(a1’)及び工程(a2’)を含む場合、工程(a1’)及び工程(a2’)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)はいずれも、上記工程(a)で説明した範囲(2.0N/mm以下)である。
工程(a1’)は、剥離フィルム上に形成された第1粘着剤層31と、偏光板10又は位相差層20とを貼合した後、剥離フィルムを剥離する工程によって行ってもよい。この工程を含む場合、工程(a1’)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)は、工程(a2’)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)と同じ、又は、工程(a2’)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)よりも小さいことが好ましい。工程(a2’)における第1粘着剤層31の伸び応力(X)は、上記で工程(a)における伸び応力(X)として説明した範囲にあることが好ましい。
工程(a1’)後、工程(a2’)を行うまでの期間は、6日以内であってもよく、5日以内であってもよく、4日以内であってもよく、3日以内であってもよく、2日以内であってもよく、1日以内であってもよい。上記の期間内であることにより、第1粘着剤層31の伸び応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、工程(a2’)を行いやすい。
工程(a1’)を行うにあたり、上記の剥離フィルム上に形成した第1粘着剤層31を用いる場合、剥離フィルム上に第1粘着剤層31を形成した直後に、当該第1粘着剤層31と偏光板10又は位相差層20とを貼合することが好ましい。これにより、剥離フィルム上に第1粘着剤層31を形成してから工程(a2’)を行うまでの期間は、工程(a1’)後、工程(a2’)を行うまでの期間と実質的に同じとすることができる。剥離フィルム上に形成した第1粘着剤層31を用いて工程(a1’)を行う場合、剥離フィルム上に第1粘着剤層31を形成してから、工程(a1’)を経て工程(a2’)を行うまでの期間は、6日以内であってもよく、5日以内であってもよく、4日以内であってもよく、3日以内であってもよく、2日以内であってもよく、1日以内であってもよい。上記の期間内であることにより、第1粘着剤層31の伸び応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、工程(a2’)を行いやすい。
工程(a1’)は、偏光板10に第1粘着剤層31を形成する工程(a1)であり、工程(a2’)は、偏光板10に形成した第1粘着剤層31に位相差層20を積層する工程(a2)であってもよい。また、工程(a1’)は、位相差層20に第1粘着剤層31を形成する工程(a3)であり、工程(a2’)は、位相差層20に形成した第1粘着剤層31に偏光板10を積層する工程(a4)であってもよい。
工程(a)で用いる位相差層20には、上記した第2粘着剤層32(画像表示素子に貼合するための貼合層)及び剥離フィルムが積層されていてもよい。工程(a)で用いる偏光板10には、プロテクトフィルムが積層されていてもよい。
偏光板10及び位相差層20と第1粘着剤層31との貼合面、及び、位相差層20と第2粘着剤層32との貼合面には、これらの密着性を向上させるために、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
(工程(b))
工程(b)は、工程(a)で得た積層体において、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)が5.0N/mm以上となるように調整する工程である。工程(b)を経ることにより、工程(a)で得られた積層体では軟らかい状態にある第1粘着剤層31を、硬い状態にし、複合偏光板1のHS試験で、位相差層20等にクラックが発生することを抑制することができる。工程(b)は、シートの状態の積層体で行ってもよく、積層体をロール状に巻回した巻回体の状態で行ってもよい。
工程(b)は、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)を上記の範囲にすることができれば特に限定されない。工程(b)は、第1粘着剤層31に含まれる成分等に応じて行うことができ、例えば、工程(a)で得た積層体を保管する工程であってもよく、第1粘着剤層31に重合開始剤が含まれる場合は加熱又は活性エネルギー線の照射を行う工程であってもよい。工程(b)は、積層体を保管する工程であることが好ましい。積層体を保管する工程は、例えば、工程(a)で得た積層体を養生することにより、第1粘着剤層31に含まれる反応性成分(例えば、ベースポリマー及び架橋剤)の反応を進行させる工程であってもよい。
工程(b)が積層体を保管する工程である場合、保管を行う環境条件は、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)を5.0N/mm以上にすることができれば特に限定されない。工程(b)を行う際の好ましい温度は、通常10℃以上であり、15℃以上であってもよく、20℃以上であってもよく、また、通常35℃以下であり、30℃以下であってもよい。工程(b)を行う際の好ましい相対湿度は、30%RH以上であってもよく、40%RH以上であってもよく、45%RH以上であってもよく、また、70%RH以下であってもよく、65%RH以下であってもよく、60%RH以下であってもよい。
工程(b)が積層体を保管する工程である場合、保管を行う期間は、第1粘着剤層31を形成するために用いた粘着剤組成物の種類、上記した環境条件等に応じて選定すればよいが、例えば、6日以上であってもよく、6日超であってもよく、7日以上であってもよく、8日以上であってもよく、9日以上であってもよく、10日以上であってもよい。上記の期間内であることにより、工程(b)により、第1粘着剤層31の伸び応力(Y)を5.0N/mm以上に調整しやすい。
以下、複合偏光板1を構成する層及びフィルムの詳細について説明する。
(第1粘着剤層)
第1粘着剤層は、粘着剤組成物を用いて形成された層である。粘着剤組成物は、それ自体を被着体に貼り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。
第1粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であってもよく、7μm以下であってもよく、6μm以下であってもよく、また、通常1μm以上であり、3μm以上であってもよい。
第1粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂を主成分(ベースポリマー)とすることができる。主成分とは、粘着剤組成物の全固形分のうち50重量%以上を含む成分をいう。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型であってもよい。(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのうちの少なくとも一方をいう。
粘着剤組成物に用いられるベースポリマーとしての(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。
ベースポリマーには、反応性官能基を有するモノマーを共重合させることが好ましい。反応性官能基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、-30℃以下であることが好ましく、-35℃以下であることがより好ましく、また、通常-50℃以上であり、-45℃以上であってもよい。(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度が上記の範囲内であることにより、第1粘着剤層のガラス転移温度を0℃以下にすることができ、上記した伸び応力(X)及び伸び応力(Y)が上記した範囲にある第1粘着剤層が得られやすくなる。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩等を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合等を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合等を形成するもの;イソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合等を形成するものが例示される。中でも、イソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(-NCO)を有する化合物である。イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート化合物は、上記した化合物の多価アルコール化合物アダクト体(付加体)(例えばグリセロール、トリメチロールプロパン等によるアダクト体)、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート化合物、有機多価イソシアネート化合物のイソシアナト基をブロック化したブロックイソシアネート化合物等の誘導体であってもよい。
イソシアネート化合物の含有量は、ベースポリマー(特に(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、15質量部以上であってもよく、15質量部を超えることが好ましく、18質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることが最も好ましい。また、イソシアネート化合物の含有量は、ベースポリマー(特に(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが最も好ましい。イソシアネート化合物の含有量が15質量部未満の場合には、複合偏光板の第1粘着剤層の貯蔵弾性率G’(90℃)が小さくなり、HS試験でのクラック抑制の効果が得られにくく、また、イソシアネート化合物の含有量が50質量部を超えると、タック性が低下して偏光板10(例えば、偏光板10に含まれる保護フィルム)と密着しづらくなる。
粘着剤組成物のガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましく、-5℃以下であることがより好ましく、-10℃以下であることがさらに好ましく、-20℃以下であることが最も好ましい。粘着剤組成物のガラス転移温度は、-50℃以上であることが好ましく、-45℃以上であることがより好ましく、-40℃以上であることがさらに好ましい。粘着剤組成物のガラス転移温度が上記の範囲内であることにより、上記した伸び応力(X)及び伸び応力(Y)が上記した範囲にある第1粘着剤層が得られやすくなる。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
(位相差層)
位相差層は、少なくとも1層の重合性液晶化合物の硬化層を含むことができ、2層以上の硬化層を含んでいてもよい。位相差層は、重合性液晶化合物の硬化層を含み、重合性液晶化合物を配向させるための配向層を少なくとも1層含んでいてもよく2層以上の配向層を含んでいてもよい。位相差層の位相差値は、逆波長分散性を有することが好ましい。
位相差層を構成する材料としては、例えば、特許5463666号公報、特開2010-030979号公報、特開2009-173893号公報、特開2009-227667号公報、特開2010-241919号公報、特開2010-024438号公報、特開2011-162678号公報、特開2011-207765号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-246381号公報、特開2012-021068号公報、特開2016-121339号公報、特開2018-087152号公報、特開2017-179367号公報、特開2017-210601号公報、特開2019-151763号公報、特許6700468号公報、特開2020-074021号公報等に記載の重合性液晶化合物及び配向層(配向膜)を形成する材料が好適な材料として挙げられる。
位相差層は、基材層上又は基材層に設けられた配向層上に、重合性液晶化合物を含む組成物を塗布し、重合性液晶化合物を重合硬化させることによって形成することが好ましい。これにより、重合性液晶化合物の硬化層を、0.1μm以上10μm以下の厚みに形成することができる。位相差層の形成に用いた基材層は、複合偏光板の製造工程において剥離除去することができるため、薄膜の位相差層を形成でき、さらには複合偏光板の薄型化を実現することができる。
位相差層は、例えば電界が存在しない状態でホモジニアス配列に配向させた液晶分子を含む液晶層を備える液晶セル(IPSモードの液晶セル)の光学補償のための視野角補償フィルムとして用いることができる。視野角補償フィルムとして用いられる位相差層は、偏光板側から順に、第1光学補償層と第2光学補償層とを有することができ、第2光学補償層は液晶セル側に配置される。第1光学補償層及び第2光学補償層は、少なくとも一方が重合性液晶化合物の硬化層であることが好ましく、複合偏光板の薄型化の観点から、両方が硬化層であることがより好ましい。
視野角補償フィルムと偏光素子とは通常、第2光学補償層の遅相軸と偏光素子の吸収軸とが略平行となるように積層される。本明細書において、略平行とは、完全に平行であるもののみならず、実質的に平行であることを包含し、その角度は一般に±2°以内であり、好ましくは±1°以内、より好ましくは±0.5°以内である。本明細書において、略直交とは、完全に直交する場合のみならず、実質的に直交することを包含し、その角度は一般に90±2°の範囲であり、好ましくは90±1°、より好ましくは90±0.5°の範囲である。
第1光学補償層と第2光学補償層とは、直接積層されていてもよいし、接着剤層を介して積層されていてもよい。接着剤は、後述する水系接着剤やUV接着剤を用いることができる。
第1光学補償層及び第2光学補償層の厚みは、特に制限されないが、それぞれ独立して、通常0.1μm以上10μm以下であることができる。
第1光学補償層及び第2光学補償層は、下記式(1)及び式(2)を満たすことができる。
nz1>nx1=ny1 (1)
nx2>ny2≧nz2 (2)
[式(1)及び式(2)中、
nx1は、第1光学補償層の面内の遅相軸方向の屈折率を表し、
nx2は、第2光学補償層の面内の遅相軸方向の屈折率を表し、
ny1は、第1光学補償層の面内の進相軸方向の屈折率を表し、
ny2は、第2光学補償層の面内の進相軸方向の屈折率を表し、
nz1は、第1光学補償層の厚み方向の屈折率を表し、
nz2は、第12学補償層の厚み方向の屈折率を表す。
上記式(1)中の各屈折率は同じ波長で測定した値であり、上記式(2)中の各屈折率は同じ波長で測定した値である。]
第1光学補償層と第2光学補償層とは、同一の材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。第1光学補償層及び第2光学補償層に用いる重合性液晶化合物は、公知の化合物を用いることができる。第1光学補償層及び第2光学補償層の位相差値の波長分散特性は、特に制限されず、正波長分散性から逆波長分散性まで好適に用いることができる。
第1光学補償層及び第2光学補償層はいずれも、下記式(3)~式(6)を満たす逆波長分散特性を有することが好ましい。
Rth1(450)/Rth1(550)≦1.00 (3)
1.00≦Rth1(650)/Rth1(550) (4)
Re2(450)/Re2(550)≦1.00 (5)
1.00≦Re2(650)/Re2(550) (6)
式(3)~式(6)において、
Rth1(λ)={(nx1+ny1)/2-nz1}×d1
Re2(λ)=(nx2-ny2)×d2
[上記式中、d1は第1光学補償層の厚みを表し、d2は第2光学補償層の厚みを表し、λは測定波長[nm]を表す。]を表す。
第1光学補償層及び第2光学補償層の光学特性は、下記式(7)~式(10)を満たすことが好ましい。
0nm≦Re1(550)≦5nm (7)
-200nm≦Rth1(550)≦-20nm (8)
110nm≦Re2(550)≦150nm (9)
35nm≦Rth2(550)≦105nm (10)
第1光学補償層及び第2光学補償層の光学特性は、下記式(7a)~式(10a)を満たすことがより好ましい。
0nm≦Re1(550)≦5nm (7a)
-120nm≦Rth1(550)≦-50nm (8a)
120nm≦Re2(550)≦140nm (9a)
50nm≦Rth2(550)≦80nm (10a)
上記式(7)~式(10)及び式(7a)~式(10a)において、
Rth1(λ)={(nx1+ny1)/2-nz1}×d1
Rth2(λ)={(nx2+ny2)/2-nz2}×d2
Re1(λ)=(nx1-ny1)×d1
Re2(λ)=(nx2-ny2)×d2
[上記式中、d1は第1光学補償層の厚みを表し、d2は第2光学補償層の厚みを表し、λは測定波長[nm]を表す。]を表す。
(基材層)
基材層は、上記したように位相差層の形成に用いることができる。基材層としては、樹脂フィルムを用いることができ、光学的に透明な樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムは単層のフィルムであってもよく、2層以上の多層構造を有するフィルムであってもよい。樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば後述する保護フィルムを構成する樹脂材料が挙げられる。
基材層の厚みは、光学特性の観点から薄いものが好ましいが、薄すぎると強度が低下し加工性に劣る。適切な厚みとしては、5μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上80μm以下であり、より好ましくは15μm以上70μm以下である。
(偏光素子)
偏光素子は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する吸収型の偏光フィルムである。
偏光素子は、ポリビニルアルコール系樹脂層(以下、「PVA系樹脂層」ということがある。)に二色性色素が吸着配向されているものである。偏光素子は、公知のものを用いることができる。偏光素子としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ということがある。)を二色性色素で染色し、一軸延伸することによって得られる延伸フィルムや、基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ということがある。)を含む塗布液を塗布して形成した塗布層を有する積層フィルムを用い、塗布層を二色性色素で染色して積層フィルムを一軸延伸することによって得られる延伸層が挙げられる。延伸は二色性色素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、延伸してから染色してもよい。
PVA系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、エチレン等のオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等が挙げられる。
PVA系樹脂の鹸化度は、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上100モル%以下である。PVA系樹脂の重合度としては、例えば1000以上10000以下であり、好ましくは1500以上5000以下である。PVA系樹脂は変性されていてもよく、例えばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等でもよい。
PVA系樹脂層に吸着配向している二色性色素としては、ヨウ素又は二色性染料が挙げられる。二色性色素はヨウ素であることが好ましい。二色性染料としては、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラック等が挙げられる。
偏光素子の厚みは、好ましくは3μm以上35μm以下、より好ましくは4μm以上30μm以下、さらに好ましくは5μm以上25μm以下である。偏光素子の厚みが35μm以下であることにより、例えば、高温環境下でPVA系樹脂のポリエン化が光学特性の低下に与える影響を抑制することができる。偏光素子の厚みが3μm以上であることにより所望の光学特性を達成する構成とすることが容易となる。
(偏光素子の製造方法)
偏光素子の製造方法は特に限定されないが、予めロール状に巻かれたPVA系樹脂フィルムを送り出して延伸、染色、架橋等を行って作製する方法(以下、「製造方法1」とする。);PVA系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布して塗布層であるPVA系樹脂層を形成し、得られた積層体を延伸する工程を含む方法(以下、「製造方法2」とする。)が典型的である。
製造方法1は、PVA系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムをヨウ素等の二色性色素で染色して二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
膨潤工程は、PVA系樹脂フィルムを膨潤浴中に浸漬する処理工程である。膨潤工程により、PVA系樹脂フィルムの表面の汚れやブロッキング剤等を除去できるほか、PVA系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラを抑制できる。膨潤浴には、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。膨潤浴は、常法に従って界面活性剤、アルコール等が適宜に添加されていてもよい。偏光素子のカリウムの含有率を制御する観点から、膨潤浴にヨウ化カリウムを使用してもよく、この場合、膨潤浴中のヨウ化カリウムの濃度は、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
膨潤浴の温度は、10℃以上60℃以下であることが好ましく、15℃以上45℃以下であることがより好ましく、18℃以上30℃以下であることがさらに好ましい。膨潤浴への浸漬時間は、PVA系樹脂フィルムの膨潤の程度が膨潤浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5秒以上300秒以下であることが好ましく、10秒以上200秒以下であることがより好ましく、20秒以上100秒以下であることがさらに好ましい。膨潤工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
染色工程は、PVA系樹脂フィルムを二色性色素を含む処理浴(染色浴)に浸漬する処理工程であり、PVA系樹脂フィルムにヨウ素等の二色性色素を吸着及び配向させることができる。染色浴は、二色性色素を含む染色液であり、ヨウ素溶液であることが好ましい。ヨウ素溶液は、ヨウ素水溶液であることが好ましく、ヨウ素及び溶解助剤としてヨウ化物を含有することが好ましい。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムが好適である。
ヨウ素溶液中のヨウ素の濃度は、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。ヨウ素溶液中のヨウ化物の濃度は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
染色浴の温度は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、15℃以上45℃以下であることがより好ましく、18℃以上30℃以下であることがさらに好ましい。染色浴への浸漬時間は、PVA系樹脂フィルムの染色の程度が染色浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10秒以上300秒以下であることが好ましく、20秒以上240秒以下であることがより好ましい。染色工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
架橋工程は、染色工程にて染色されたPVA系樹脂フィルムを、ホウ素化合物を含む処理浴(架橋浴)中に浸漬する処理工程であり、ホウ素化合物によりPVA系樹脂フィルムが架橋して、ヨウ素分子又は染料分子が当該架橋構造に吸着できる。ホウ素化合物としては、例えばホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂等が挙げられる。架橋浴は、水溶液が一般的であるが、水との混和性のある有機溶媒及び水の混合溶液であってもよい。架橋浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。
架橋浴中、ホウ素化合物の濃度は、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。架橋浴にヨウ化カリウムを使用する場合、架橋浴中のヨウ化カリウムの濃度は、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
架橋浴の温度は、20℃以上70℃以下であることが好ましく、30℃以上65℃以下であることがより好ましい。架橋浴への浸漬時間は、PVA系樹脂フィルムの架橋の程度が架橋浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5秒以上300秒以下であることが好ましく、10秒以上200秒以下であることがより好ましい。架橋工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
延伸工程は、PVA系樹脂フィルムを、少なくとも一方向に所定の倍率に延伸する処理工程である。一般には、PVA系樹脂フィルムを、搬送方向(長手方向)に1軸延伸する。延伸の方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。延伸工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。延伸工程は、偏光素子の製造において、いずれの段階で行われてもよい。
湿潤延伸法における処理浴(延伸浴)は、通常、水又は水との混和性のある有機溶媒及び水の混合溶液等の溶媒を用いることができる。延伸浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。延伸浴にヨウ化カリウムを使用する場合、延伸浴中のヨウ化カリウムの濃度は、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。処理浴(延伸浴)は、延伸中のフィルム破断を抑制する観点から、ホウ素化合物を含むことができる。ホウ素化合物を含む場合、延伸浴中のホウ素化合物の濃度は、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
延伸浴の温度は、25℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましく、50℃以上75℃以下であることがさらに好ましく、65℃以上75℃以下であることが特に好ましい。延伸浴への浸漬時間は、PVA系樹脂フィルムの延伸の程度が延伸浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10秒以上800秒以下であることが好ましく、30秒以上500秒以下であることがより好ましい。湿潤延伸法における延伸処理は、膨潤工程、染色工程、架橋工程及び洗浄工程のいずれか1つ以上の処理工程とともに施してもよい。
乾式延伸法としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。なお、乾式延伸法は、乾燥工程とともに施してもよい。
PVA系樹脂フィルムに施される総延伸倍率(累積の延伸倍率)は、目的に応じ適宜設定できるが、2.0倍以上7.0倍以下であることが好ましく、3.0倍以上6.8倍以下であることがより好ましく、3.5倍以上6.5倍以下であることがさらに好ましい。
洗浄工程は、PVA系樹脂フィルムを、洗浄浴中に浸漬する処理工程であり、PVA系樹脂フィルムの表面等に残存する異物を除去できる。洗浄浴は、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。また、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、洗浄浴にヨウ化カリウムを使用することが好ましく、この場合、洗浄浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、1.8質量%以上3.8質量%以下であることがさらに好ましい。
洗浄浴の温度は、5℃以上50℃以下であることが好ましく、10℃以上40℃以下であることがより好ましく、15℃以上30℃以下であることがさらに好ましい。洗浄浴への浸漬時間は、PVA系樹脂フィルムの洗浄の程度が洗浄浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、1秒以上100秒以下であることが好ましく、2秒以上50秒以下であることがより好ましく、3秒以上20秒以下であることがさらに好ましい。洗浄工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
さらに、上記した工程の中で、又は、上記した工程とは別の工程として、金属イオン処理工程を有していることが好ましい。金属イオン処理工程は、金属イオンの金属塩を含む金属塩溶液にPVA系樹脂フィルムを浸漬することによって行うことができる。金属塩溶液は、金属塩を含む水溶液であることが好ましい。金属イオン処理工程により、金属イオンをPVA系樹脂フィルム中に含有させることができる。
金属イオンは、カリウムイオン以外の金属イオンであれば限定されることなく、好ましくはアルカリ金属以外の金属のイオンであり、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄等の遷移金属の金属イオンの少なくとも1種を含むことが好ましい。これら金属イオンの中でも、色調調整や耐熱性付与等の点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
金属イオン処理工程として、亜鉛含有溶液である亜鉛塩水溶液にPVA系樹脂フィルムを浸漬する工程について説明する。亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.3質量%以上7質量%以下の範囲である。PVA系樹脂フィルム中に亜鉛イオンを含浸させやすくする観点から、亜鉛塩水溶液は、ヨウ化カリウム等によりカリウムイオン及びヨウ素イオンを含有させた水溶液であることが好ましい。亜鉛塩水溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.1質量%以上10質量%以下、さらには0.2質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
乾燥工程は、洗浄工程にて洗浄されたPVA系樹脂フィルムを、乾燥して偏光素子を得る工程である。乾燥は任意の適切な方法で行われ、例えば自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥が挙げられる。
製造方法2は、PVA系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのPVA系樹脂層を二色性色素で染色することにより吸着させて偏光素子とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。偏光素子を形成するために用いる基材フィルムは、偏光素子の保護フィルムとして用いてもよい。必要に応じて、基材フィルムを偏光素子から剥離除去してもよい。
(偏光板)
偏光板は、少なくとも偏光素子を含む直線偏光板である。偏光板は、偏光素子の片面又は両面に保護フィルムを有するものであってもよい。偏光板が両面に保護フィルムを有する場合、保護フィルムは、その種類及び/又は厚みは、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
偏光素子と保護フィルムとは、貼合層(粘着剤層又は接着剤層)を介して積層されていることが好ましい。偏光素子と保護フィルムとを貼合する貼合層は、接着剤層であることが好ましく、後述する水系接着剤又は活性エネルギー線接着剤の硬化物層であることが好ましい。
(保護フィルム)
保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性等に優れるものであることが好ましい。保護フィルムとしては、樹脂フィルムが好ましく用いられる。
保護フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びこれらのうちの2種以上の組み合わせ等が挙げられる。これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性制御、及び異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
セルロース系樹脂は、セルロースの水酸基における水素原子の一部又は全部が、アセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロースの有機酸エステル又は混合有機酸エステルであり得る。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステル等からなるものが挙げられる。なかでも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアシレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂であることが好ましい。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα-オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及び、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びに、それらの水素化物等が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
保護フィルムを構成する樹脂材料には、透明性を損なわない範囲で、上記した樹脂に加えて、適宜の添加物が配合されていてもよい。添加物として例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、位相差低減剤、安定剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤等を挙げることができる。これらの添加物は、複数種が併用されてもよい。
保護フィルムの厚みは、通常1μm以上100μm以下であるが、強度や取扱性等の観点から5μm以上60μm以下であることが好ましく、10μm以上55μm以下であることがより好ましく、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
保護フィルムは、同時に他の光学的機能を有していてもよく、複数の層が積層された積層構造に形成されていてもよい。保護フィルムの膜厚は光学特性の観点から薄いものが好ましいが、薄すぎると強度が低下し加工性に劣るものとなる。適切な膜厚としては、5~100μmであり、好ましくは10~80μm、より好ましくは15~70μmである。
保護フィルムは、単層構造であってもよく、多層構造を有していてもよい。保護フィルムは、その片面又は両面に、帯電防止層を備えていてもよい。
保護フィルムは、視野角補償等の目的で位相差機能を備えていてもよく、その場合、フィルム自身が位相差機能を有していてもよく、位相差層を別に有していてもよく、両者の組み合わせであってもよい。位相差機能を備える保護フィルムは、偏光素子に貼合された別の保護フィルムを介して貼合層(粘着剤層又は接着剤層)を介して貼合された構成であってもよい。
(貼合層、第2粘着剤層)
貼合層は、粘着剤層又は接着剤層である。粘着剤層及び第2粘着剤層は、第1粘着剤層で説明した材料のものが挙げられる。
粘着剤層及び第2粘着剤層の厚みは、それぞれ独立して、1μm以上200μm以下であることが好ましく、2μm以上100μm以下であることがより好ましく、2μm以上80μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
第2粘着剤層のイソシアネート化合物の含有量は、ベースポリマー(特に(メタ)アクリル系樹脂)100質量部に対して、0.1質量部以上であってもよく、1質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい、また、30質量部以下であってもよく、25質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよい。
接着剤層を構成する接着剤は、任意の適切な接着剤を用いることができる。接着剤は、水系接着剤、溶剤系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤等を用いることができるが、水系接着剤であることが好ましい。
接着剤の塗布時の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。例えば、硬化後又は加熱(乾燥)後に、所望の厚みを有する接着剤層が得られるように設定する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm以上7μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm以上2μm以下であり、最も好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
水系接着剤としては、公知の水系接着剤を用いることができる。水系接着剤としては、PVA系樹脂を含む水系接着剤(以下、「PVA系接着剤」ということがある。)が好ましく用いられる。水系接着剤に含まれるPVA系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100以上5500以下であり、さらに好ましくは1000以上4500以下である。PVA系樹脂の平均鹸化度は、接着性の点から、好ましくは85モル%以上100モル%以下であり、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下である。
偏光素子と保護フィルムとを貼合する際に用いるPVA系接着剤に含まれるPVA系樹脂は、アセトアセチル基を含有するものが好ましい。偏光素子を構成するPVA系樹脂層と保護フィルムとの密着性に優れ、耐久性に優れているからである。アセトアセチル基を含有するPVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得ることができる。アセトアセチル基を含有するPVA系樹脂のアセトアセチル基の変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1モル%~20モル%である。
PVA系接着剤におけるPVA系樹脂の濃度は、好ましくは0.1重量%以上15重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。
PVA系樹脂がアセトアセチル基を含有する場合、PVA系接着剤は、架橋剤としてグリオキサール、グリオキシル酸塩、及びメチロールメラミンのうちの1種以上を含むことが好ましく、グリオキサール及びグリオキシル酸塩のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、グリオキサールを含むことが特に好ましい。
PVA系接着剤は有機溶剤を含有していてもよい。この場合、水と混和性を有することから、有機溶剤はアルコール類が好ましく、アルコール類の中でもメタノール又はエタノールであることが好ましい。
耐熱性を向上する観点から、PVA系接着剤は、さらに尿素、尿素誘導体、チオ尿素、及びチオ尿素誘導体等の尿素化合物;アスコルビン酸、エリソルビン酸、チオ硫酸、及び亜硫酸等の還元剤;マレイン酸及びフタル酸等のジカルボン酸;硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、及び弗化アンモニウム等のアンモニウム化合物;α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン等のデキストリン類;イソシアネート化合物がブロック剤によりブロックされているブロックイソシアネート化合物;N-オキシル化合物等のニトロキシラジカル;ニトロキシド基を有する化合物等を含有していてもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含む接着剤、光反応性樹脂を含む接着剤、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含む接着剤等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマー、及びこれらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含む化合物を挙げることができる。
(剥離フィルム)
剥離フィルムは、複合偏光板を画像表示素子に貼合するための第2粘着剤層に対して剥離可能に設けられ、第2粘着剤層の表面を被覆保護する。剥離フィルムとしては、基材層及び離型処理層を有する。基材層は樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムは、例えば、上記した保護フィルムを形成するために用いる樹脂材料から形成することができる。離型処理層は、公知の離型処理層であればよく、例えばフッ素化合物やシリコーン化合物等の離型剤を基材層にコーティングして形成された層が挙げられる。
(プロテクトフィルム)
プロテクトフィルムは、例えば偏光板に対して剥離可能に設けられる。プロテクトフィルムは、基材層と粘着剤層とを含んでいてもよく、自己粘着性フィルムであってもよい。基材層は、樹脂フィルムであってもよく、基材層は、例えば上記した保護フィルムを形成するために用いる樹脂材料から形成することができる。粘着剤層としては、上記貼合層で説明した粘着剤層が挙げられる。自己粘着性フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[ガラス転移温度、貯蔵弾性率の測定]
第1粘着剤組成物及び第2粘着剤組成物のガラス転移温度(Tg)、第1粘着剤層及び第2粘着剤層の貯蔵弾性率(G’(95℃)及びG’(23℃))は、メトラー・トレド(株)製の動的粘弾性測定装置「DMA/SDTA861」を用い、窒素雰囲気下、測定温度範囲-45~95℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
[第1粘着剤層の伸び応力(X)の測定]
後述する第1粘着剤組成物を用いて形成した第1粘着シートの第1粘着剤層側の表面に、剥離フィルム(離型処理層付きの厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を貼合して、厚み5μmの第1粘着剤層を有する両面剥離フィルム付き第1粘着シート(層構造:剥離フィルム/第1粘着剤層/剥離フィルム)を得た。実施例1~3並びに比較例1及び2において、第1粘着シートと偏光板との貼合(工程(a))と同じ環境下及び同じ期間、両面剥離フィルム付き第1粘着シートを保管した(実施例1~3及び比較例1では、温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で0日間保管し、比較例2では、温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で7日間保管した。)。保管後の両面剥離フィルム付き第1粘着シートから一方の剥離フィルムを剥離し、長さ150mm×幅30mmの第1粘着剤層を取り出し、当該第1粘着剤層を長さ方向(150mmの方向)にロール状に巻回して、直径約1mm、高さ(幅)30mmの円柱状の試料を作製した。作製した各試料について、第1粘着シートと偏光板との貼合(工程(a))と同じ環境下(実施例1~3並びに比較例1及び2では、温度23℃、相対湿度50%RHの条件下)で、材料試験機(STA-1225S、株式会社オリエンテック社製)を用い、チャック間距離5mm、引張速度300mm/minの条件で、伸び0%~1400%の範囲の応力を測定し、伸び800%における応力を、第1粘着剤層の伸び応力(X)とした。測定結果を表1及び図2に示す。
[第1粘着剤層の伸び応力(Y)の測定]
実施例1~3並びに比較例1及び2において第1粘着シートと偏光板との貼合(工程(a))と同じ環境下及び同じ期間で両面剥離フィルム付き第1粘着シートを保管した後に、複合偏光板を得るとき(工程(b))と同じ調整を行った(実施例1~3並びに比較例1及び2では、温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で7日間保管した)後、伸び応力(X)の測定と同じ手順で試料を作製した。この試料について温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で、伸び応力(X)の測定と同じ手順で伸び0%~1400%の範囲の応力を測定し、伸び800%における応力を、第1粘着剤層の伸び応力(Y)とした。測定結果を表1及び図2に示す。図2に示すように、実施例1~3及び比較例1で用いた第1粘着剤層では、伸び応力(X)に比較すると、伸び応力(Y)の方が大きくなることがわかる。
<偏光素子の作製>
厚み30μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムを、温度21.5℃の純水に80秒間浸漬した(膨潤処理)後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2/2/100であり、ヨウ素を1.0mM含む温度23℃の水溶液に55秒間浸漬した(染色工程)。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2.5/4/100である温度63℃の水溶液に76秒間浸漬した(第1架橋工程)。引き続き、ヨウ化カリウム/ホウ酸/塩化亜鉛/水の質量比が3/5.5/0.6/100である温度45℃の水溶液に10秒間浸漬した(第2架橋工程、金属イオン処理工程)。その後、洗浄浴に浸漬させて洗浄し(洗浄工程)、温度38℃で乾燥して(乾燥工程)、PVA系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向された厚み12μmの偏光素子を得た。延伸は、主に染色工程及び第1架橋工程で行い、トータル延伸倍率は5.85倍であった。
<水系接着剤の調製>
アセトアセチル基を含有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル(株)製:ゴーセネックスZ-410)50gを950gの純水に溶解し、温度90℃で2時間加熱後、常温に冷却し、PVA溶液を得た。このPVA溶液、純水、マレイン酸、グリオキサール、尿素及びα-シクロデキストリンを、ポリビニルアルコール系樹脂の濃度が3.0重量%となり、マレイン酸の濃度が0.01重量%となり、グリオキサールの濃度が0.15重量%となり、尿素の濃度が0.1重量%となり、α-シクロデキストリンの濃度が0.1重量%となるように配合して、水系接着剤を得た。
<偏光板の作成>
保護フィルム(1)としてセルロースアシレートフィルム「TJ40UL」(富士フイルム株式会社製、厚み:40μm)と、保護フィルム(2)としてセルロースアシレートフィルム「KC4CT1W」(コニカミノルタ(株)製、厚み:40μm)を用意し、それぞれ温度55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗した。その後、温度25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒間浸漬した後、さらに水洗浴に30秒間流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。その後、エアナイフによる水切りを3回繰り返した。水切り後に、フィルムを温度70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理した2種類の保護フィルム(1),(2)を作製した。
鹸化処理した2種類の保護フィルム(1),(2)を、上記で作製した偏光素子のそれぞれの面に、上記で調製した水系接着剤を介してロール貼合機を用いて貼合し、温度80℃で5分間乾燥して偏光板(層構造:保護フィルム(1)/接着剤層/偏光素子/接着剤層/保護フィルム(2))を得た。偏光素子と保護フィルム(1),(2)との間に介在する水系接着剤は、乾燥後の接着剤層の厚みが両面ともに100nmとなるように調整した。
<基材層付き位相差層の作製>
基材層上に重合性液晶化合物の硬化層を含む位相差層を形成し、基材層付き位相差層を準備した。位相差層は、逆波長分散性を有するものであった。
<(メタ)アクリル系樹脂の製造>
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、及び冷却器を備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチルを74.5質量部、アクリル酸メチルを20質量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを5質量部、アクリル酸を0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を、酢酸エチル120質量部とともに仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を温度60℃付近に保って8時間重合反応を行って、(メタ)アクリル系樹脂の溶液を得た。
<第1粘着シートの作製>
(第1粘着剤組成物(1)~(3)の調製)
上記で得た(メタ)アクリル系樹脂の溶液に、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液:固形分濃度75質量%)を表1に示す質量部、シランカップリング剤を0.3質量部混合して第1粘着剤組成物(1)~(3)を得た。表1に、作製した第1粘着剤組成物のガラス転移温度を示す。
(第1粘着剤層の形成)
基材層付き位相差層の位相差層側に、上記で調製した第1粘着剤組成物(1)~(3)を塗布して厚み5μmの第1粘着剤層(1)~(3)を形成し、第1粘着シート(1)~(3)を作製した。
<第2粘着シートの作製>
(第2粘着剤組成物の調製)
上記で得た(メタ)アクリル系樹脂の溶液に、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液:固形分濃度75質量%)を表1に示す質量部、シランカップリング剤を0.3質量部混合して第2粘着剤組成物(1)~(3)を得た。表1に、作製した第2粘着剤組成物のガラス転移温度を示す。
(第2粘着剤層の形成)
剥離フィルム(離型処理層付きの厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)に、上記で調製した第2粘着剤組成物(1)~(3)を塗布して厚み25μmの第2粘着剤層(1)~(3)を形成し、第2粘着シート(1)~(3)を作製した。
〔実施例1~3、比較例1〕
(複合偏光板の作製)
上記した手順で第1粘着シートを作製した後、直ちに第1粘着シートの第1粘着剤層側を、上記で作製した偏光板の保護フィルム(2)側に貼り合わせた。第1粘着シートが有する基材層付き位相差層の基材層を剥離した。第2粘着シートの第2粘着剤層側を、基材層を剥離して露出した位相差層の面に貼り合わせて積層体を得た。偏光板、第1粘着剤層、位相差層、及び第2粘着剤層の貼合面には、貼合前にコロナ処理を行った。
第1粘着シートの作製、第1粘着シートと偏光板との貼合、及び積層体を得る工程は、いずれも温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で行った。実施例1~3及び比較例1における第1粘着シートの作製、第1粘着シートと偏光板との貼合、及び積層体を得る工程は、第1粘着剤層の伸び800%における応力(伸び応力(X))が、図2に示すグラフに基づいて、0.9N/mm(実施例1)、0.6N/mm(実施例2及び3)、0.4N/mm(比較例1)の状態となる条件下で行った。
得られた積層体を、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で7日間保管して、複合偏光板(1)~(4)を得た。複合偏光板(1)~(4)の層構造は、偏光板(保護フィルム(1)/接着剤層/偏光素子/接着剤層/保護フィルム(2))/第1粘着剤層/位相差層/第2粘着剤層/剥離フィルムであった。
図2に示すグラフによると、実施例1~3で得た複合偏光板(1)~(3)において、第1粘着剤層の温度23℃における伸び800%における応力(伸び応力(X))は6.0N/mm以上であり、比較例1で得た複合偏光板(4)において、第1粘着剤層の温度23℃における伸び800%における応力(伸び応力(X))は5.0N/mm未満である。
(複合偏光板の気泡の数の確認)
複合偏光板(1)~(4)をマイクロスコープ(VHX-5000、キーエンス社製)を用いて観察し、偏光板の保護フィルム(2)と第1粘着剤層との間、及び、第1粘着剤層と位相差層との間の気泡の数(複合偏光板1mmあたりの数)を数えた。結果を表1に示す。
(複合偏光板の冷熱衝撃試験(HS試験))
複合偏光板(1)~(4)を、温度-40℃の環境下に30分間保持し、その後、温度95℃の環境下に30分間保持する工程を1サイクルとして、これを300サイクル繰り返すHS試験を行った。HS試験後の複合偏光板(1)~(4)について、位相差層におけるクラックの発生の有無を観察した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
上記した手順で第1粘着シートを作製してから7日後に、第1粘着シートの第1粘着剤層側を、上記で作製した偏光板の保護フィルム(2)側に貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様にして複合偏光板(5)を得た。第1粘着シートの作製は、図2に示すグラフに基づいて、第1粘着剤層の伸び800%における応力が0.4N/mmの状態となる条件下で行ったが、第1粘着シートと偏光板との貼合及び積層体を得る工程は、図2に示すグラフに基づいて、第1粘着剤層の伸び800%における応力(伸び応力(X))が4.0N/mmの状態となる条件下で行った。
(気泡の数の確認)
複合偏光板をマイクロスコープ(VHX-5000、キーエンス社製)を用いて観察し、偏光板の保護フィルム(2)と第1粘着剤層との間、及び、第1粘着剤層と位相差層との間の気泡の数(複合偏光板1mmあたりの数)を数えた。結果を表1に示す。
Figure 2023181099000002
1 複合偏光板、10 偏光板、11 偏光素子、12 貼合層、13 保護フィルム、20 位相差層、31 第1粘着剤層、32 第2粘着剤層。

Claims (13)

  1. 偏光板と位相差層とが積層された複合偏光板の製造方法であって、
    前記偏光板は、少なくとも偏光素子を含み、
    前記位相差層は、重合性液晶化合物の硬化層を含み、
    前記製造方法は、
    第1粘着剤層の伸び800%での応力(X)が2.0N/mm以下の状態となる条件下で、前記第1粘着剤層を介して前記位相差層と前記偏光板とを貼合して積層体を得る工程(a)と、
    前記積層体において、前記第1粘着剤層の温度23℃における伸び800%での応力(Y)が5.0N/mm以上となるように調整する工程(b)と、を含む、複合偏光板の製造方法。
  2. 前記工程(a)は、
    前記偏光板に前記第1粘着剤層を形成する工程(a1)と、
    前記偏光板に形成した前記第1粘着剤層上に前記位相差層を積層する工程(a2)と、を含む、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  3. 前記工程(a1)後6日以内に、前記工程(a2)を行う、請求項2に記載の複合偏光板の製造方法。
  4. 前記工程(a)は、
    前記位相差層に前記第1粘着剤層を形成する工程(a3)と、
    前記位相差層に形成した前記第1粘着剤層上に前記偏光板を積層する工程(a4)と、を含む、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  5. 前記工程(a3)後6日以内に、前記工程(a4)を行う、請求項4に記載の複合偏光板の製造方法。
  6. 前記工程(b)は、前記積層体を保管する工程である、請求項1又は2に記載の複合偏光板の製造方法。
  7. 前記偏光板は、前記偏光素子の片面又は両面に保護フィルムを有する、請求項1又は2に記載の複合偏光板の製造方法。
  8. 前記第1粘着剤層の厚みは、10μm以下である、請求項1又は2に記載の複合偏光板の製造方法。
  9. 前記第1粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂を含む粘着剤組成物を用いて形成され、
    前記第1粘着剤層のガラス転移温度は、0℃以下である、請求項1又は2に記載の複合偏光板の製造方法。
  10. 前記複合偏光板は、さらに、前記位相差層の前記偏光板側とは反対側に第2粘着剤層を含み、
    前記複合偏光板において、
    前記第1粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.45MPa以上であり、
    前記第2粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上である、請求項1又は2に記載の複合偏光板の製造方法。
  11. 偏光板、第1粘着剤層、位相差層、及び、第2粘着剤層をこの順に含み、
    前記第1粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.45MPa以上である、複合偏光板。
  12. 前記第2粘着剤層の温度95℃における貯蔵弾性率は、0.01MPa以上である、請求項11に記載の複合偏光板。
  13. 前記第1粘着剤層は、ベースポリマーと架橋剤とを含む粘着剤組成物を用いて形成され、
    前記粘着剤組成物における前記架橋剤の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して15質量部を超える、請求項11又は12に記載の複合偏光板。
JP2023079791A 2022-06-09 2023-05-15 複合偏光板の製造方法及び複合偏光板 Pending JP2023181099A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022093477 2022-06-09
JP2022093477 2022-06-09

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023181099A true JP2023181099A (ja) 2023-12-21

Family

ID=89118121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023079791A Pending JP2023181099A (ja) 2022-06-09 2023-05-15 複合偏光板の製造方法及び複合偏光板

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023181099A (ja)
TW (1) TW202406756A (ja)
WO (1) WO2023238668A1 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3009022U (ja) * 1994-09-14 1995-03-28 日本合成化学工業株式会社 積層構造体
JPH0943428A (ja) * 1995-07-28 1997-02-14 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 楕円偏光板
FR2859210B1 (fr) * 2003-09-01 2008-05-09 Oreal Copolymeres ethyleniques sequences comprenant une sequence vinyllactame, compositions cosmetiques les contenant, et utilisation de ces copolymeres en cosmetique
JP2009258589A (ja) * 2008-03-26 2009-11-05 Sumitomo Chemical Co Ltd 複合偏光板、複合偏光板の製造方法およびそれを用いた液晶表示装置
JP2010139729A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Sumitomo Chemical Co Ltd 複合偏光板の製造方法
JP5881966B2 (ja) * 2011-04-01 2016-03-09 山本光学株式会社 レンズおよび眼鏡
JP7181260B2 (ja) * 2019-09-17 2022-11-30 住友化学株式会社 円偏光板
JP2021179599A (ja) * 2020-05-11 2021-11-18 住友化学株式会社 円偏光板

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023238668A1 (ja) 2023-12-14
TW202406756A (zh) 2024-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5231158B2 (ja) 偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP5231181B2 (ja) 偏光板、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2010009027A (ja) 粘着型偏光板、画像表示装置およびそれらの製造方法
JP2009122663A (ja) 偏光板、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
JP2009008860A (ja) 偏光板の製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
KR20160076435A (ko) 편광판 및 그 제조 방법, 그리고 편광판의 세트, 액정 패널, 액정 표시 장치
JP6043315B2 (ja) 偏光子保護フィルム、その製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
JP6420274B2 (ja) 硬化性接着剤組成物及びそれを用いた偏光板
JP6343057B1 (ja) プロテクトフィルム付偏光板及び光学積層体
CN106873068B (zh) 偏振板和图像显示装置
JP5041532B2 (ja) 偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置
WO2023238668A1 (ja) 複合偏光板の製造方法及び複合偏光板
WO2015037568A1 (ja) 偏光板および画像表示装置
KR101781308B1 (ko) 편광판 세트 및 액정 패널
JP2018205464A (ja) 偏光板および画像表示装置
JP2022065609A (ja) 偏光板及び画像表示装置
KR20170059401A (ko) 편광판 및 액정 패널
WO2023149253A1 (ja) 複合偏光板の製造方法
JP7382450B2 (ja) 偏光板及び画像表示装置
JP4960197B2 (ja) Ips液晶パネルおよびips液晶表示装置
WO2023228584A1 (ja) 偏光板の製造方法
TW202401049A (zh) 偏光板的製造方法
CN114035257A (zh) 一种强耐候性偏光板及其制备方法
KR20240037952A (ko) 편광판 및 화상 표시 장치
KR20240031397A (ko) 편광판의 제조 방법