JP2023179213A - レンズ鏡筒及び光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】変形や破損等が発生し難く、駆動性能の維持が可能なレンズ鏡筒を提供する。【解決手段】レンズ鏡筒100は、第1のレンズ群L1を保持した第1のレンズ保持部材1を光軸方向に直進可能に案内する案内筒60と、案内筒60に対して光軸を中心として回転可能に案内筒60を囲むように保持されるカム環7と、案内筒60に固定される第4のレンズ保持部材4を備える。カム環7は光軸方向において第4のレンズ保持部材4と対向する第1の凹凸部7tを有し、第4のレンズ保持部材4は第1の凹凸部7tと対向する第2の凹凸部4tを有し、カム環7が外力によって光軸方向を第4のレンズ保持部材4へ近付くように移動した際に、第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tとが係合することでカム環7の光軸を中心とした回転が規制される。【選択図】図2

Description

本発明は、レンズ鏡筒及び光学機器に関し、特にレンズ鏡筒においてレンズ群を移動可能に支持する構成に関する。
一眼レフカメラに装着されるレンズ鏡筒(交換レンズ)やレンズ一体型カメラのレンズ鏡筒として、被写体に対するフォーカシング(ピント合わせ)を行う際に、内蔵されたレンズ群の一部(フォーカスレンズ)を光軸方向に直進移動させるものが知られている。例えば特許文献1には、フォーカスレンズに衝撃力等の外力が加わった場合に、フォーカスレンズを駆動する駆動機構への外力の伝達を抑制する技術が開示されている。
特開2009-31786号公報
上記特許文献1に開示された技術では、レンズ鏡筒に対して大きな外力が加えられた場合にカム環の回転を停止させることで、カム環を回転させるための歯車等に損傷が生じるのを防止している。しかし、カム環の回転を停止させる際に外力の多くをカム環に設けられたカム溝で受けるため、カム溝や、カム溝と係合するカムフォロワに変形や破損等が生じるおそれがある。そして、カム溝やカムフォロワに破損や変形等が生じると、レンズを光軸方向に移動させる際の駆動性能が低下してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外力による変形や破損等が発生し難く、駆動性能を維持することが可能なレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明に係るレンズ鏡筒は、レンズと、前記レンズを保持する保持部材と、前記保持部材を前記レンズの光軸方向に直進可能に案内する案内筒と、前記案内筒に対して前記レンズの光軸を中心として回転可能に前記案内筒を囲むように保持されるカム環と、前記案内筒に固定される固定部材と、を備え、前記カム環は前記光軸方向において前記固定部材と対向する第1の当接部を有し、前記固定部材は前記光軸方向において前記第1の当接部と対向する第2の当接部を有し、 前記カム環が外力によって前記光軸方向を前記固定部材へ近付くように移動した際に、前記第1の当接部と前記第2の当接部とが当接することで前記カム環の前記光軸を中心とした回転が規制されることを特徴とする。
本発明によれば、外力による変形や破損等が発生し難く、駆動性能を維持することが可能なレンズ鏡筒を提供することが可能になる。
実施形態に係るレンズ鏡筒の繰り込み状態での断面図である。 レンズ鏡筒の繰り出し状態での断面図である。 レンズ鏡筒の分解斜視図である。 レンズ鏡筒が備えるモータユニットの断面図である。 レンズ鏡筒が備えるカム環の外観斜視図である。 カム環の内周面の平面展開図である。 カム環のカム溝に対するカムフォロワの関係を示す断面図である。 レンズ鏡筒が備える第4のレンズ保持部材の斜視図である。 第4のレンズ保持部材とカム環とが対向する部分の側面図である。 図9(a)中の領域Aの拡大図である。 レンズ鏡筒のフォトインタラプタ及び光軸を含む断面図である。 レンズ鏡筒が備える案内筒の斜視図である。 フォトインタラプタが配置されている状態を示す側面図及び断面図である。 案内筒へモータユニットが組み込まれる前後の状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るレンズ鏡筒100の第1の断面図であり、無限遠撮影状態となる繰り込み状態を表している。図2は、レンズ鏡筒100の第2の断面図であり、至近撮影状態となる繰り出し状態を表している。
図1の第1の断面図は、繰り出し状態において、後述の第1のカムフォロワ16及び第2のカムフォロワ41aと光軸とを含む断面を表している。図2の第2の断面図は、レンズ鏡筒100が撮像装置本体に装着された状態での垂直断面(光軸を含み、且つ、撮像装置本体の高さ方向と平行な平面での断面)を表している。
レンズ鏡筒100は、具体的には、一眼レフカメラ等の撮像装置本体(不図示)に着脱可能な交換レンズである。但し、レンズ鏡筒100は、撮像装置本体と一体的に構成されていてもよい。また、レンズ鏡筒100の用途はカメラに限定されるものではなく、カメラ以外の光学機器、例えば望遠鏡(単眼鏡)等への適用が可能である。
レンズ鏡筒100は、撮像装置本体に取り付けるためのマウント8を備え、マウント8は後ろ固定筒70bに固定されている。マウント8には、撮像装置本体との通信や撮像装置本体からの電源供給を可能とするため接点ブロック28が固定されている。また、マウント8には、裏蓋9が固定されている。なお、裏蓋9には爪が一体的に形成されており、裏蓋9は爪の弾性力を利用してマウント8に固定されている。
後ろ固定筒70bと前固定筒70aは、光軸方向において結合しており、固定筒70を形成している。固定筒70には、マニュアル操作によるフォーカシングを行うためのフォーカスリング12が光軸を中心としてマニュアル操作により回転可能に設けられている。前固定筒70aの前端には、有害光の入射を遮る不図示のフードの着脱を可能とするフードマウント13が設けられている。
後ろ固定筒70bには外装環10が固定されており、外装環10には基板15が固定されている。基板15には、電子部品が実装されている。また、基板15は、フレキシブルプリント基板を介して接点ブロック28とも接続されている。後述の絞り装置30やモータユニット14、エンコーダフレキシブル基板(FPC53(図13(b)参照)、AF/MF切替えスイッチ及びフォトインタラプタ18等が不図示のフレキシブル基板を介して基板15と電気的に接続されている。また、基板15には、絞り装置30やモータユニット14の各種駆動制御を行うマイクロコンピュータが実装されている。
レンズ鏡筒100は、第1のレンズ群L1、第2のレンズ群L2、第3のレンズ群L3及び第4のレンズ群L4を有する。第1のレンズ群L1は第1のレンズ保持部材1に、第2のレンズ群L2は第2のレンズ保持部材2に、第3のレンズ群L3は第3のレンズ保持部材3に、第4のレンズ群L4は第4のレンズ保持部材4にそれぞれ保持されている。
光軸方向において第1のレンズ保持部材1と第2のレンズ地板21の間には絞り装置30が配置されている。絞り装置30は駆動源として不図示のモータを備えており、モータの駆動を制御して絞り装置30に内蔵された絞り羽根の開口面積を変化させることにより、レンズ鏡筒100内を通過する光量を調節することができる。
第1のレンズ群L1、第2のレンズ群L2、第3のレンズ群L3、第4のレンズ群L4及び絞り装置30は、レンズ鏡筒100の撮影光学系を構成する。レンズ鏡筒100では、第4のレンズ群L4を除いた第1のレンズ群L1から第3のレンズ群L3及び絞り装置30が、一体的に光軸方向に移動可能な移動レンズ群の主構成要素となっている。こうして、レンズ鏡筒100は、被写体に対する合焦の際に移動レンズ群が光軸方向に移動する単焦点レンズとして構成されている。
第1のレンズ保持部材1は、ビス(不図示)により3箇所で第2のレンズ地板21に固定されている。第1のレンズ保持部材1の外周面には、円錐台形状を有する第1のカムフォロワ16が、周方向に略等間隔で3箇所に外周側へ突出するように圧入、固定されている。第2のレンズ保持部材2は、光軸と直交する方向へ移動可能に、且つ、光軸に対して傾斜可能に、第2のレンズ地板21に保持されている。
第4のレンズ保持部材4は、案内筒60の外周側で後述のカム環7と対向するように設けられた外周フランジ部4fを有する。第4のレンズ保持部材4は、外周フランジ部4fが案内筒60により固定されることにより、案内筒60と結合している固定部材である。
第1のレンズ保持部材1は案内筒60と係合している。具体的には、第1のレンズ保持部材1に第1のカムフォロワ16を保持するために設けられた保持部にはそれぞれ、周方向両側にキー部1bが形成されている。キー部1bは案内筒60に形成された3本の直進溝60a(図12参照)に係合しており、これにより、第1のレンズ保持部材1は光軸方向へ直進可能となっている。
案内筒60の外周面を囲むように、且つ、光軸方向の定位置に、カム環7が光軸を中心として回転可能に配置されている。カム環7の光軸方向のガタつきは、カム環7の前面側に配置された波ワッシャ19(付勢部材)の付勢力により、案内筒60に対してカム環7が光軸方向を背面側(マウント8側)へ押圧されることにより抑制されている。
案内筒60には、モータユニット14が固定されている。図4は、光軸と直交する平面でのモータユニット14の断面図である。モータユニット14は、モータ(不図示)と、モータを実装した板金部材である駆動地板50を備える。モータユニット14において、モータの出力ギア14gは、駆動地板50に内包されて保持され、カム環7の外周に設けられたカム環ギア7pと噛み合っている。モータの駆動による出力ギア14gの回転にしたがってカム環7が回転すると、カム環7に設けられた後述の第1のカム溝7a(図5乃至図7参照)のカムリフトによって、第1のカムフォロワ16が光軸方向に移動する。その際、第1のレンズ保持部材1は、直進溝60aに案内されて光軸方向に直進移動する。即ち、移動レンズ群が光軸方向に移動する。被写体距離に応じて移動レンズ群を光軸方向において移動させることにより、無限遠撮影位置と至近撮影位置との間でのフォーカス動作が行われる。
第1のレンズ群L1の被写体側には、光学部品の一例であるフィルタ(不図示)の取り付けが可能な筒状部材であるフィルタ枠40が配置されている。フィルタ枠40は、接続筒41にビス止めされて固定されている。フィルタ枠40の前面には、フィルタ枠40を接続筒41に固定するためのビスを目隠しして、意匠性を高めるための化粧リング11が配置されている。
接続筒41と第1のレンズ保持部材1の間には、第1のレンズ保持部材1(移動レンズ群)と接続筒41とを離間させる方向に付勢する付勢バネで25が配置されている。付勢バネ25は、第1のレンズ群L1を囲む円環形状を有しており、第1のレンズ群L1の被写体側頂点よりも背面側の位置で、第1のレンズ保持部材1に保持されている。
接続筒41の外周面には接続筒41の本体部と一体的に、第2のカムフォロワ41aが、第1のカムフォロワ16とは異なる位相で周方向の3箇所に形成されている。また、接続筒41の外周面には接続筒41の本体部と一体的に、第3のカムフォロワ41bが、第1のカムフォロワ16及び第2のカムフォロワ41aとは異なる位相で周方向の3箇所に形成されている。第2のカムフォロワ41a及び第3のカムフォロワ41bはそれぞれ、第1のカムフォロワ16と同様に円錐台形状を有する。なお、第1のレンズ保持部材1に第1のカムフォロワ16を圧入して設けたように、第2のカムフォロワ41aと第3のカムフォロワ41bは、別部品として接続筒41の本体部に固定されていてもよい。
図5は、カム環7を背面側から見て示す斜視図である。図6は、カム環7の内周面の平面展開図である。カム環7の内周面の被写体側、且つ、光軸方向の同じ位置には周方向に3本の周溝7dが設けられており、3本の周溝7dと案内筒60の外周に設けられた3箇所の突起部60bとが1対1で係合している。これにより、カム環7は案内筒60に対して、光軸方向での位置が規制された状態で回転可能となっている。
カム環7の内周面には、3本の第1のカム溝7aと、3本の第2のカム溝7bと、第2のカム溝7bとは溝幅の異なる3本の第3のカム溝7cが形成されており、それぞれのカム溝面(カム溝の側面)はテーパ状(斜面状)に形成されている(図7参照)。第1のカム溝7a、第2のカム溝7b及び第3のカム溝7cはそれぞれ、背面側が無限遠の被写体に合焦する無限遠合焦端となっており、被写体側が至近の被写体に合焦する至近合焦端となっている。無限遠合焦端と至近合焦端の間が合焦可能領域(撮影領域)となり、各カム溝の無限遠合焦端と至近合焦端が図6に丸印で示されている。
第1のカム溝7aの無限遠合焦端側の端部からカム環7の被写体側(前方)へ向けて光軸方向に延び、且つ、カム環7の被写体側端面で開放されるように、第1のカム溝導入部7gが形成されている。第1のカム溝導入部7gは、第1のカムフォロワ16を第1のカム溝7aに係合させるための、つまり、第1のレンズ保持部材1を含む移動レンズ群をカム環7に組み込むための溝である。
第2のカム溝7bの至近合焦端側の端部からカム環7の被写体側へ向けて光軸方向に延び、且つ、カム環7の被写体側端面で開放されるように、第2のカム溝導入部7hが設けられている。第1のカム溝導入部7gと第2のカム溝導入部7hは、カム環7の被写体側の第1の合流部7eを共有する。第3のカム溝7cの至近合焦端側の端部からカム環7の被写体側へ向けて光軸方向に延び、且つ、カム環7の被写体側端面で開放されるように、第3のカム溝導入部7jが設けられている。第2のカム溝導入部7hと第3のカム溝導入部7jは、第2のカムフォロワ41aと第3のカムフォロワ41bをそれぞれ第2のカム溝7bと第3のカム溝7cに係合させることで、接続筒41をカム環7に組み込むための溝である。
周溝7dにはカム環7の被写体側へ光軸方向に延び、且つ、カム環7の被写体側端面で開放されるように、周溝導入部7kが設けられている。第3のカム溝導入部7jと周溝導入部7kは、カム環7の被写体側の第2の合流部7fを共有している。
このような構成とすることで、導入溝を削減することが可能となる。また、周溝7dを第1の合流部7eや第2の合流部7fと交差させることなく配置することが可能となることで、周溝7dと第1の合流部7e及び第2の合流部7fとの交差を避けるためにカム環7を大径化する必要がなくなる。更に、カム環7が案内筒60の外周を回転する際に突起部60bが各カム溝導入部を横断することがないため、カム環7の回転時に周溝7d内で突起部60bは滑らかに移動することが可能となることで、スムーズなフォーカシングが可能となる。
図7は、カム環7に設けられたカム溝と、カム溝と係合するカムフォロワとの関係を示す断面図である。図7(a)~(c)に示されるように、第1のカムフォロワ16は第1のカム溝7aと、第2のカムフォロワ41aは第2のカム溝7bと、第3のカムフォロワ41bと第3のカム溝7cとそれぞれ係合している。
第1のカム溝7a、第2のカム溝7b及び第3のカム溝7cは、同じカムリフト量を有する。フィルタ枠40は、移動レンズ群に保持されているわけではないが接続筒41に固定されているため、常に移動レンズ群の被写体側である前方を同じリフト量で移動レンズ群と同様の動きを取る。
第1のレンズ保持部材1を含む移動レンズ群と接続筒41とは、付勢バネ25によって互いに離間する方向へ付勢されている。そのため、通常の状態で、第1のレンズ保持部材1に設けられた第1のカムフォロワ16は、第1のカム溝7aのマウント8側(図7(a)~(c)において上側)の壁面へ付勢されている。一方、第2のカムフォロワ41aは、第2のカム溝7bの被写体側(図7(a)~(c)において下側)の壁面へ付勢されている。これにより、レンズ鏡筒100が装着された撮像装置での撮影時に、撮像装置の姿勢が変化しても、光学特性を損なうことなく、撮影を行うことが可能となる。
第2のカムフォロワ41aと第2のカム溝7bのマウント8側の壁面との間には隙間t1が形成されている。そして、第3のカムフォロワ41bは通常の状態では第3のカム溝7cのカム面と当接しておらず、第3のカムフォロワ41bと第3のカム溝7cのマウント8側の壁面との間には隙間t2が形成されている。ここで、隙間t1,t2の間には、t1≧t2、の関係が成り立っている。
フィルタ枠40へ被写体側から衝撃等の外力が加わった場合、被写体側(前側)に配置されたフィルタ枠40を保持している接続筒41に設けられた第2のカムフォロワ41aと第2のカム溝7bの係合部に最初に外力が伝わる。続いて、外力は第3のカムフォロワ41bと第3のカム溝7cの係合部に伝わる。このとき、前述したように、第2のカムフォロワ41aと第2のカム溝7bのマウント8側の壁面との間には隙間t1が形成されており、第3のカムフォロワ41bと第3のカム溝7cのマウント8側の壁面との間にも隙間t2が形成されている。そのため、付勢バネ25が圧縮されやすく、付勢バネ25によって衝撃を和らげることができることで、第2のカム溝7bからの第2のカムフォロワ41aの脱落と第3のカムフォロワ41bの第3のカム溝7cからの脱落を防止することが可能となっている。
また、第1のカム溝7aの合焦可能領域と第2のカム溝7bの合焦可能領域は、光軸方向において重ならない(図6において周方向で第2のカム溝7bの無限遠合焦端と第1のカム溝7aの至近合焦端との間に一定の距離がある)ように配置されている。これにより、第1のカム溝7aへの外力の伝達が抑制される。更に、接続筒41と移動レンズ群はそれぞれ、カム環7とは独立して係合している。そのため、第1のカムフォロワ16と第1のカム溝7aの係合部に外力は伝わらず、第1のカムフォロワ16と第1のカム溝7aの変形や破損が生じないことで、光学性能の低下を防止することが可能となっている。
図8は、第4のレンズ保持部材4の斜視図である。カム環7において外周フランジ部4fの対向する部分には、カム環側凹凸部7t(第1の当接部(以下「第1の凹凸部7t」という))が、図2及び図5に示されるように複数箇所において光軸を中心として光軸方向から見て円弧状に形成されている。また、第4のレンズ保持部材4に設けられた外周フランジ部4fにおいて第1の凹凸部7tと対向する部分には、第4のレンズ保持部材側凹凸部4t(第2の当接部(以下「第2の凹凸部4t」という))が形成されている。
図9は、第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tとの種々の位置関係を示す側面図(光軸と直交する方向から見た図)である。図10は、図9(a)に示す領域Aの拡大図である。光軸と直交する方向から見て、第1の凹凸部7tは、等間隔に形成された頂点7vと底7wを有し、頂点7vと底7wの間に斜面7sが形成された三角形が周方向に連続するように形成されている。同様に、第2の凹凸部4tは、等間隔に形成された頂点4vと底4wを有し、頂点4vと底4wの間に斜面4sが形成された三角形状が周方向に連続するように形成されている。第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tは、一方の当接部の頂点と他方の当接部の底とが互いに当接する同等の凹凸形状を有している。つまり、図9(a)の状態から第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tを光軸方向に平行移動させて当接させると、斜面7sと斜面4sが当接する(頂点4vと底7wが当接すると共に底4wと頂点7vとが当接する。ここで、斜面4s,7sが光軸方向となす角を傾斜角と定義し、斜面4sの傾斜角と斜面7sの傾斜角は共に角度θであるとする。
レンズ鏡筒100の通常動作時には、第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tは図10に示されるように一定の隙間Dを維持した状態にあり、第4のレンズ保持部材4に対してカム環7は光軸を中心として回転可能となっている。
フィルタ枠40に被写体側から付勢バネ25では吸収することができない衝撃等の外力が加えられた場合、第1のレンズ保持部材1に取り付けられた第1のカムフォロワ16が第1のカム溝7aのリフトに沿って光軸方向を背面側へ移動する。その際、カム環7に回転力が発生し、発生した回転力が出力ギア14gへ伝達される。
出力ギア14gに伝達された力によってモータユニット14や出力ギア14gに変形や損傷等が生じた場合、モータの駆動により生じる回転駆動力をカム環7に伝達する精度が低下し、移動レンズ群の動作不良が生じてしまう。
この問題に対して、レンズ鏡筒100では、フィルタ枠40が被写体側から衝撃を受けた際にカム環7が光軸方向を第4のレンズ保持部材4に接近する方向へ(背面側へ)移動する。ここで、波ワッシャ19がカム環7を背面側へ付勢した状態で隙間Dが維持されているため、隙間Dが容易に小さくなってしまうことはない。
フィルタ枠40に被写体側からより大きな外力が加わった場合、図9(b)に示されるように、カム環7と第4のレンズ保持部材4が光軸方向で接近することにより、頂点7vと底4wが係合し、頂点4vと底7wが係合する。これらの係合は、頂点7vと底7w及び頂点4vと底4wはそれぞれ光軸を中心とした放射状に形成されているため、カム環7の回転位置に依らず、可能となっている。また、カム環7と案内筒60は弾性材料で構成されており、そのため、フィルタ枠40が被写体側から衝撃等の外力を受けた際にカム環7と案内筒60には一時的な変形が生じやすく、第2の凹凸部4tと第1の凹凸部7tとが係合しやすくなる。なお、カム環7と案内筒60を構成する弾性材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ABS樹脂等が挙げられる。
第1の凹凸部7tを有するカム環7は共に案内筒60に回転可能に保持されており、第2の凹凸部4tを有する第4のレンズ保持部材4は案内筒60に固定されている。そのため、第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tとが係合可能な隙間Dは、他の部品の影響を受けず、隙間Dを高精度に維持することができる。
外部からの衝撃等の外力によって第1の凹凸部7tと第2の凹凸部4tが係合する際には、カム環7には回転力が発生しているため、斜面7sと斜面4sが接触して滑りながらカム環7が第4のレンズ保持部材4から離間する方向へ押し戻される。こうして、図9(c),(d)に示されるように、第1の凹凸部7tが第2の凹凸部4tを乗り越える。
このとき、角度θが0度に近いほど、カム環7の回転力は出力ギア14gへ伝達され難くなる。但し、角度θが0度に近くなるにしたがって、第1のカムフォロワ16からカム環7への衝撃力が、カム環7を回転させる力として逃げずに第1のカム溝7aに伝わるため、第1のカム溝7aに打痕等の変形や破損が発生しやすくなる。これに対して、角度θを大きくしすぎると、モータユニット14や出力ギア14gに破損が発生しやすくなる。これらを考慮して、角度θは30°以上、60°以下とすることが望ましい。
以上、レンズ鏡筒100を上記構成とすることにより、カム環7やモータユニット14、第1のカムフォロワ16の破損を防止しつつ、レンズ鏡筒100の光学的な性能、動作及び機能の低下を抑制することが可能となる。
次に、移動レンズ群の位置を検出するための構成について説明する。図11は、レンズ鏡筒100のフォトインタラプタ18及び光軸を含む断面図である。図12は、案内筒60の斜視図である。
案内筒60には、光軸方向において背面側と径方向(光軸と直交する方向)の外周側が開放された保持溝60hが形成されている。保持溝60hには、移動レンズ群の位置を検出する検出ユニットとしてフォトインタラプタ18(フォトセンサ)が配置(収納)されている。第2のレンズ地板21にはリブ21aが設けられており、リブ21aがフォトインタラプタ18の発光部と受光部の間を通過した際にフォトインタラプタ18から出力される矩形波信号を用いて移動レンズ群の位置を検出することができる。
図13は、フォトインタラプタ18が配置されている状態を示す図である。より詳しくは、図13(a)はフォトインタラプタ18及びその周辺を示す側面図であり、図13(b)は、フォトインタラプタ18及びその周辺を示す断面図(図12におけるフォトインタラプタ18及びその近傍の拡大図)である。
第4のレンズ保持部材4において外周フランジ部4fが形成されていない部分に、図8に示されるように、弾性部4dが設けられている。案内筒60に第4のレンズ保持部材4が固定されると、弾性部4dによってフォトインタラプタ18は、光軸と略直交するように案内筒60に設けられている壁面60jに対して光軸方向を被写体側へ付勢される。
案内筒60と、移動レンズ群に隣接する第4のレンズ群L4を保持する第4のレンズ保持部材4との2つの固定要素によってフォトインタラプタ18の光軸方向位置が規制されるため、移動レンズ群の高精度な位置検出が可能となる。また、弾性部4dは第4のレンズ群L4とは光軸方向において重ならない(光軸と直交する方向から見た場合に重ならない)位置に設けられているため、弾性部4dの変形による光学性能への影響は小さい。
また、モータユニット14の駆動地板50には、光軸に近い内周側に弾性部50dが形成されており、案内筒60の保持溝60hに保持されたフォトインタラプタ18を案内筒60の保持溝60hの底面である側壁面60kに付勢する。カム環ギア7pはカム環7の外周側に形成されているため、フォトインタラプタ18を側壁面60kへ付勢しながらレンズ鏡筒100を組み立てるが可能となっている。フォトインタラプタ18のサイズばらつきやFPC53への実装バラツキは、弾性部50dによる付勢によって吸収され、これによりフォトインタラプタ18の高精度な位置決めが可能となる。更に、移動レンズ群を光軸方向に移動可能に保持する案内筒60にフォトインタラプタ18を配置することで、案内筒60と第2のレンズ地板21のリブ21aとの隙間を詰めることが可能になると共に小型のフォトインタラプタ18を使用することが可能となる。
このように、レンズ鏡筒100では、公知技術(例えば、特開2019‐132938号公報)のように専用部品を用いずとも、所定の機能を実現するために必須となる他の部品を隣接させて組み込むことによって自動的にフォトインタラプタ18が固定される。よって、部品点数の削減による低コスト化を実現することができると共に大型化(大径化)を回避することができ、また、組立作業性に優れた高いレンズ鏡筒100を提供することが可能となる。
図14(a)は案内筒60へモータユニット14が組み込まれる前の状態を示す斜視図であり、図14(b)は案内筒60へモータユニット14が組み込まれた後の状態を示す斜視図である。第4のレンズ保持部材4の外周フランジ部4fが形成されていない外周側(外周フランジ部4fの切り欠き部)に駆動地板50が配置されて案内筒60に保持されると、これと同時にカム環ギア7pと出力ギア14gが噛み合あう。これによりモータユニット14を光軸に近付けて配置することが可能となり、レンズ鏡筒100の小型化(小径化)が可能となる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、上記実施形態では、移動レンズ群は複数のレンズ群とそれらを保持する複数の保持部材で構成されているが、少なくとも1枚のレンズとこれを保持する少なくとも1つの保持部材が光軸方向において移動可能な構成であってもよい。
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)レンズと、前記レンズを保持する保持部材と、前記保持部材を前記レンズの光軸方向に直進可能に案内する案内筒と、前記案内筒に対して前記レンズの光軸を中心として回転可能に前記案内筒を囲むように保持されるカム環と、前記案内筒に固定される固定部材と、を備え、前記カム環は前記光軸方向において前記固定部材と対向する第1の当接部を有し、前記固定部材は前記光軸方向において前記第1の当接部と対向する第2の当接部を有し、前記カム環が外力によって前記光軸方向を前記固定部材へ近付くように移動した際に、前記第1の当接部と前記第2の当接部とが当接することで前記カム環の前記光軸を中心とした回転が規制されることを特徴とするレンズ鏡筒。
(構成2)前記第1の当接部と前記第2の当接部はそれぞれ、前記光軸方向から見て、前記光軸を中心として円弧状に複数箇所に分かれて形成されていることを特徴とする構成1に記載のレンズ鏡筒。
(構成3)前記第1の当接部と前記第2の当接部はそれぞれ、一方の当接部の頂点と他方の当接部の底とが互いに当接する同等の凹凸を有することを特徴とする構成1又は2に記載のレンズ鏡筒。
(構成4)前記凹凸は、前記光軸と直交する方向から見て、前記頂点と前記底が等間隔に形成され、前記頂点と前記底の間に斜面が形成された三角形状が周方向に連続するように形成されていることを特徴とする構成3に記載のレンズ鏡筒。
(構成5)前記斜面が前記光軸となす角度は、30°以上、60°以下であることを特徴とする構成4に記載のレンズ鏡筒。
(構成6)前記カム環の内周面において前記光軸方向の同じ位置に周方向に設けられた周溝と、前記案内筒の外周面に設けられた突起部とが係合することにより、前記案内筒に対して前記光軸方向の定位置で前記カム環が回転可能に保持されていることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
(構成7)前記保持部材は前記レンズ鏡筒の外周側へ向けて突出する第1のカムフォロワを有し、
前記カム環は前記第1のカムフォロワと係合する第1のカム溝を有し、
前記カム環の回転に従って前記第1のカムフォロワが前記第1のカム溝に案内されて前記保持部材が前記光軸方向に移動することを特徴とする構成6に記載のレンズ鏡筒。
(構成8)所定の光学部品を保持する筒状部材と、前記筒状部材が固定される接続筒と、前記カム環を前記レンズ鏡筒の背面側へ付勢する付勢部材と、を備え、前記接続筒は外周側に突出する第2のカムフォロワと第3のカムフォロワを有し、前記カム環は、前記第2のカムフォロワと係合する第2のカム溝と、前記第3のカムフォロワと係合する第3のカム溝とを有し、前記付勢部材の付勢力により、前記第2のカムフォロワと前記第2のカム溝における前記レンズ鏡筒の背面側の壁面との間に第1の隙間が形成され、前記第3のカムフォロワと前記第3のカム溝における前記レンズ鏡筒の背面側の壁面との間に第2の隙間が形成されていることを特徴とする構成7に記載のレンズ鏡筒。
(構成9)前記第1の隙間は前記第2の隙間よりも大きいことを特徴とする構成8に記載のレンズ鏡筒。
(構成10)前記カム環は、前記第1のカムフォロワを前記第1のカム溝と係合させるための第1のカム溝導入部と前記第2のカムフォロワを前記第2のカム溝に係合させるための第2のカム溝導入部とが合流する第1の合流部と、前記第3のカムフォロワを前記第3のカム溝と係合させるための第3のカム溝導入部と、前記突起部を前記周溝に係合させるための周溝導入部とが合流する第2の合流部と、を有し、前記第1の合流部と前記第2の合流部が前記周溝と交差しないことを特徴とする構成8又は9に記載のレンズ鏡筒。
(構成11)
前記固定部材はレンズを保持していることを特徴とする構成1乃至10のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
(構成12)前記光軸方向において、前記固定部材は前記カム環の背面側に配置されていることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒。
(構成13)構成1乃至12のいずれか1つに記載のレンズ鏡筒を備えることを特徴とする光学機器。
1 第1のレンズ保持部材
4 第4のレンズ保持部材
4t 第2の凹凸部
7 カム環
7d 周溝
7t 第1の凹凸部
16 第1のカムフォロワ
100 レンズ鏡筒
40 フィルタ枠
41 接続筒
41a 第2のカムフォロワ
41b 第3のカムフォロワ
60 案内筒
60b 突起部
L1 第1のレンズ群
L4 第4のレンズ群

Claims (13)

  1. レンズと、
    前記レンズを保持する保持部材と、
    前記保持部材を前記レンズの光軸方向に直進可能に案内する案内筒と、
    前記案内筒に対して前記レンズの光軸を中心として回転可能に前記案内筒を囲むように保持されるカム環と、
    前記案内筒に固定される固定部材と、を備え、
    前記カム環は前記光軸方向において前記固定部材と対向する第1の当接部を有し、
    前記固定部材は前記光軸方向において前記第1の当接部と対向する第2の当接部を有し、
    前記カム環が外力によって前記光軸方向を前記固定部材へ近付くように移動した際に、前記第1の当接部と前記第2の当接部とが当接することで前記カム環の前記光軸を中心とした回転が規制されることを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記第1の当接部と前記第2の当接部はそれぞれ、前記光軸方向から見て、前記光軸を中心として円弧状に複数箇所に分かれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記第1の当接部と前記第2の当接部はそれぞれ、一方の当接部の頂点と他方の当接部の底とが互いに当接する同等の凹凸を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記凹凸は、前記光軸と直交する方向から見て、前記頂点と前記底が等間隔に形成され、前記頂点と前記底の間に斜面が形成された三角形状が周方向に連続するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
  5. 前記斜面が前記光軸となす角度は、30°以上、60°以下であることを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
  6. 前記カム環の内周面において前記光軸方向の同じ位置に周方向に設けられた周溝と、前記案内筒の外周面に設けられた突起部とが係合することにより、前記案内筒に対して前記光軸方向の定位置で前記カム環が回転可能に保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
  7. 前記保持部材は前記レンズ鏡筒の外周側へ向けて突出する第1のカムフォロワを有し、
    前記カム環は前記第1のカムフォロワと係合する第1のカム溝を有し、
    前記カム環の回転に従って前記第1のカムフォロワが前記第1のカム溝に案内されて前記保持部材が前記光軸方向に移動することを特徴とする請求項6に記載のレンズ鏡筒。
  8. 所定の光学部品を保持する筒状部材と、
    前記筒状部材が固定される接続筒と、
    前記カム環を前記レンズ鏡筒の背面側へ付勢する付勢部材と、を備え、
    前記接続筒は外周側に突出する第2のカムフォロワと第3のカムフォロワを有し、
    前記カム環は、前記第2のカムフォロワと係合する第2のカム溝と、前記第3のカムフォロワと係合する第3のカム溝とを有し、
    前記付勢部材の付勢力により、前記第2のカムフォロワと前記第2のカム溝における前記レンズ鏡筒の背面側の壁面との間に第1の隙間が形成され、前記第3のカムフォロワと前記第3のカム溝における前記レンズ鏡筒の背面側の壁面との間に第2の隙間が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡筒。
  9. 前記第1の隙間は前記第2の隙間よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のレンズ鏡筒。
  10. 前記カム環は、
    前記第1のカムフォロワを前記第1のカム溝と係合させるための第1のカム溝導入部と前記第2のカムフォロワを前記第2のカム溝に係合させるための第2のカム溝導入部とが合流する第1の合流部と、
    前記第3のカムフォロワを前記第3のカム溝と係合させるための第3のカム溝導入部と、前記突起部を前記周溝に係合させるための周溝導入部とが合流する第2の合流部と、を有し、
    前記第1の合流部と前記第2の合流部が前記周溝と交差しないことを特徴とする請求項8又は9に記載のレンズ鏡筒。
  11. 前記固定部材はレンズを保持していることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
  12. 前記光軸方向において、前記固定部材は前記カム環の背面側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
  13. 請求項1に記載のレンズ鏡筒を備えることを特徴とする光学機器。
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